(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】構造物画像管理システム
(51)【国際特許分類】
G06T 3/18 20240101AFI20240213BHJP
【FI】
G06T3/18
(21)【出願番号】P 2019208001
(22)【出願日】2019-11-18
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】517389643
【氏名又は名称】株式会社ベイシスコンサルティング
(74)【代理人】
【識別番号】100205084
【氏名又は名称】吉浦 洋一
(72)【発明者】
【氏名】石川 雄章
(72)【発明者】
【氏名】猪村 元
【審査官】▲高▼橋 真之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-088114(JP,A)
【文献】特開2019-070631(JP,A)
【文献】特開2018-090099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物を撮影した画像情報に対する構造物画像管理システムであって,
前記構造物画像管理システムは,
前記構造物における撮影対象を撮影した可視光画像情報を,前記撮影対象の形状を計測した基準情報による基準画像情報に基づいて変形する画像変形処理部,を有しており,
前記撮影対象は,縦断方向に連続して撮影する壁面であり,
前記画像変形処理部は,
前記可視光画像情報における特徴点に対応する前記基準画像情報における特徴点を探索する際に,縦断方向の探索範囲よりも横断方向の探索範囲を広く設定し,
前記可視光画像情報における特徴点を,その特徴点に対応する前記基準画像情報における特徴点の位置に変形する,
ことを特徴とする構造物画像管理システム。
【請求項2】
構造物を撮影した画像情報に対する構造物画像管理システムであって,
前記構造物画像管理システムは,
前記構造物における撮影対象を撮影した可視光画像情報を,前記撮影対象の形状を計測した基準情報による基準画像情報に基づいて変形する画像変形処理部,を有しており,
前記撮影対象は,縦断方向に連続して撮影する壁面であり,
前記画像変形処理部は,
前記可視光画像情報における特徴点を,その特徴点に対応する前記基準画像情報における特徴点の位置に変形する際に,縦断方向は線形の移動を行い,横断方向は非線形の移動を行う,
ことを特徴とする構造物画像管理システム。
【請求項3】
構造物を撮影した画像情報に対する構造物画像管理システムであって,
前記構造物画像管理システムは,
前記構造物における撮影対象を撮影した可視光画像情報における特徴点を,前記撮影対象の形状を計測した基準情報による基準画像情報における特徴点の位置に変形する画像変形処理部と,
前記変形した可視光画像情報から検出した変状の差分を算出する差分自動算出処理部と,を有しており,
前記画像変形処理部において,
共通の撮影対象を撮影範囲に含む第1の可視光画像情報と,第2の可視光画像情報とについて,前記画像変形処理部により,それぞれ前記基準画像情報に基づいて変形し,
前記差分自動算出処理部において,
前記変形した第1の可視光画像情報から検出した変状と,前記変形した第2の可視光画像情報から検出した変状との差分を算出する,
ことを特徴とする構造物画像管理システム。
【請求項4】
前記差分自動算出処理部は,
少なくとも前記検出した変状,その差分,日付とを前記基準画像情報および/または前記可視光画像情報の位置情報に対応づけて記憶させる,
ことを特徴とする請求項3に記載の構造物画像管理システム。
【請求項5】
前記可視光画像情報は,
前記
撮影対象をデジタルカメラで撮影した画像情報であり,
前記基準画像情報は,
前記
撮影対象をレーザレンジスキャナで計測した基準情報に基づく基準画像情報である,
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の構造物画像管理システム。
【請求項6】
コンピュータを,
構造物における撮影対象を撮影した可視光画像情報を,前記撮影対象の形状を計測した基準情報による基準画像情報に基づいて変形する画像変形処理部,
として機能させる画像処理プログラムであって,
前記撮影対象は,縦断方向に連続して撮影する壁面であり,
前記画像変形処理部は,
前記可視光画像情報における特徴点に対応する前記基準画像情報における特徴点を探索する際に,縦断方向の探索範囲よりも横断方向の探索範囲を広く設定し,
前記可視光画像情報における特徴点を,その特徴点に対応する前記基準画像情報における特徴点の位置に変形する,
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項7】
コンピュータを,
構造物における撮影対象を撮影した可視光画像情報を,前記撮影対象の形状を計測した基準情報による基準画像情報に基づいて変形する画像変形処理部,
として機能させる画像処理プログラムであって,
前記撮影対象は,縦断方向に連続して撮影する壁面であり,
前記画像変形処理部は,
前記可視光画像情報における特徴点を,その特徴点に対応する前記基準画像情報における特徴点の位置に変形する際に,縦断方向は線形の移動を行い,横断方向は非線形の移動を行う,
ことを特徴とする構造物画像管理プログラム。
【請求項8】
コンピュータを,
構造物における撮影対象を撮影した可視光画像情報における特徴点を,前記撮影対象の形状を計測した基準情報による基準画像情報における特徴点の位置に変形する画像変形処理部,
前記変形した可視光画像情報から検出した変状の差分を算出する差分自動算出処理部,
として機能させる画像処理プログラムであって,
前記画像変形処理部において,
共通の撮影対象を撮影範囲に含む第1の可視光画像情報と,第2の可視光画像情報とについて,前記画像変形処理部により,それぞれ前記基準画像情報に基づいて変形し,
前記差分自動算出処理部において,
前記変形した第1の可視光画像情報から検出した変状と,前記変形した第2の可視光画像情報から検出した変状との差分を算出する,
ことを特徴とする構造物画像管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,構造物の変状を管理する際に用いる構造物画像管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インフラ構造物,たとえばコンクリート構造物やトンネル構造物などは,その維持管理を適切に行う必要がある。とくに,維持管理業務では,構造物があるべき健全な状態から性能が低下している状態(これを「変状」という),たとえばクラック,コンクリートの剥離や浮き,漏水等を適切に発見し,記録をし,補修等を行うことが求められている。
【0003】
構造物の変状を発見するにはさまざまな方法があり,たとえば構造物を目視点検し,変状を発見する目視点検の方法,構造物を所定の器具で叩き,その音で変状の有無を点検する打音点検の方法,構造物を撮影し,撮影された画像情報を目視して,変状箇所を抽出する点検方法などが代表的である。
【0004】
目視点検,打音点検は構造物のある場所に赴いて作業を行う必要があり,またその作業にも時間を要する。そのため,構造物を撮影し,撮影した画像情報から変状箇所を抽出する方法がとられることも多い。
【0005】
画像情報を用いる点検方法の場合,撮影した構造物の画像情報を担当者が目視して変状箇所を視認する。そして,トレース作業で視認した変状箇所について,変状があることを示す情報(以下,「変状情報」という)を,変状を管理するCADデータ(変状トレースデータ)に追加する(これはトレース作業とよばれる)。変状トレースデータは,構造物の補修計画の立案に活用され,補修計画に基づいて,実際の補修作業が行われる。
【0006】
このようなコンピュータシステムの一例を下記非特許文献1に示す。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】三協エンジニアリング株式会社,”Crack Draw21”,[online],インターネット<URL:http://www.sankyo-eng.com/crackdraw.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
画像情報を用いる点検方法は,非特許文献1に示すようなコンピュータシステムを用いることで実現することができる。
【0009】
構造物の維持管理業務においては,変状の記録のみならず,変状の経年変化も重要であるから,何年かおきに同様の維持管理業務を行う。たとえばある時点においてトンネルなどの構造物の壁面の画像情報を撮影し,その画像情報に基づいて変状箇所を検出し,変状トレースデータを作成したとする。そして,前回の撮影から一定期間が経過した後,たとえば3年後に,同一箇所の壁面の画像情報を撮影し,その画像情報に基づいて変状箇所を検出することとなる。この場合,前回の作業時からの変状の変化(たとえばクラックの長さの変化など)を検出するためには,前回撮影した画像情報と今回撮影した画像情報とを精度よく位置を合わせる必要がある。
【0010】
しかし,構造物の撮影を行う撮影・計測装置は,前回と同じ機材(撮影・計測装置)で撮影するとは限らない。なぜならば,撮影・計測装置自体の精度が向上するため,撮影・計測装置を更新しているからである。そして撮影・計測装置が変わるとレンズが変わり,それによって,前回の撮影時とレンズ歪みなどが変わる場合がある。また撮影時の撮影距離も変わる可能性がある。そのため,画像情報自体に生じる歪みが前回の撮影時と今回の撮影時で相違することとなる。そのため,前回撮影した画像情報と今回撮影した画像情報とを精度よく重ね合わせることは容易ではない。
【0011】
また,前回撮影した画像情報と今回撮影した画像情報との共通箇所を検出し,その共通箇所を用いて2つの画像情報を重ね合わせるマッチング技術を用いることも考えられるが,このようなマッチング技術を用いて画像情報を重ね合わせる際には画像情報に歪みが生じることから,上述の場合と同様に,精度よく重ね合わせることは容易ではない。
【0012】
このようなことから,現在では,前回撮影した画像情報と今回撮影した画像情報とを重ね合わせて差分を自動算出することはせず,作業の担当者が目視で前回撮影した画像情報と今回撮影した画像情報とを見比べて,それぞれ別々に変状箇所を特定し,変状の長さ,幅,大きさなどを個別に数値化し,差分を算出する作業を行っている。
【0013】
しかし,このような作業を行うのは極めて負担が重いので,前回撮影した画像情報と今回撮影した画像情報との位置を重ね合わせて,変状の長さ,幅,大きさなどの変化を自動的に算出できることが求められている。
【0014】
また,構造物の補修計画の立案の際には,変状の長さ,幅,大きさなどに加えて,その劣化の速度も考慮すべき要因である。そのため,変状の劣化の程度も位置情報と紐付けて記録し表示できることが有効であり,また求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで本発明者らは上記課題に鑑み,以前に撮影した画像情報と今回撮影した画像情報との位置合わせを精度よく行える構造物画像管理システムを発明した。また,変状の劣化の履歴を位置情報と紐付けて高精度に管理できる構造物画像管理システムを発明した。
【0016】
請求項1の発明は,構造物を撮影した画像情報に対する構造物画像管理システムであって,前記構造物画像管理システムは,前記構造物における撮影対象を撮影した可視光画像情報を,前記撮影対象の形状を計測した基準情報による基準画像情報に基づいて変形する画像変形処理部,を有しており,前記撮影対象は,縦断方向に連続して撮影する壁面であり,前記画像変形処理部は,前記可視光画像情報における特徴点に対応する前記基準画像情報における特徴点を探索する際に,縦断方向の探索範囲よりも横断方向の探索範囲を広く設定し,前記可視光画像情報における特徴点を,その特徴点に対応する前記基準画像情報における特徴点の位置に変形する,構造物画像管理システムである。
【0017】
本発明のように,可視光画像情報を,撮影対象の形状を計測した基本情報による基本画像情報に基づいて変形することで,複数の可視光画像情報をそれぞれ基本画像情報を介して対応させることができる。そのため,異なる機会に撮影した複数の可視光画像情報の位置合わせを精度よく行うことができる。
特徴点の探索処理は負荷がかかる処理である。そのため,探索範囲は狭い方が負荷がかからない。しかし狭すぎると適切な対応関係を特定することができない。
撮影対象とした構造物がトンネルなどの壁面の場合,縦断方向に連続して撮影することとなる。その撮影条件下では,縦断方向は画像情報に対する歪みが生じにくいのに対し,横断方向は,可視光画像情報撮影・計測装置のレンズ歪みや撮影対象までの距離が変わることから,縦断方向よりも歪みが大きくなる。そこで,本発明のように,縦断方向の探索範囲よりも横断方向の探索範囲を広く設定することで,処理負荷を増やすことなく,適切な対応関係を特定することができる。
【0018】
請求項2の発明は,構造物を撮影した画像情報に対する構造物画像管理システムであって,前記構造物画像管理システムは,前記構造物における撮影対象を撮影した可視光画像情報を,前記撮影対象の形状を計測した基準情報による基準画像情報に基づいて変形する画像変形処理部,を有しており,前記撮影対象は,縦断方向に連続して撮影する壁面であり,前記画像変形処理部は,前記可視光画像情報における特徴点を,その特徴点に対応する前記基準画像情報における特徴点の位置に変形する際に,縦断方向は線形の移動を行い,横断方向は非線形の移動を行う,構造物画像管理システムである。
【0019】
本発明のように,可視光画像情報を,撮影対象の形状を計測した基本情報による基本画像情報に基づいて変形することで,複数の可視光画像情報をそれぞれ基本画像情報を介して対応させることができる。そのため,異なる機会に撮影した複数の可視光画像情報の位置合わせを精度よく行うことができる。
撮影対象とした構造物がトンネルなどの壁面の場合,縦断方向に連続して撮影することとなる。その撮影条件下では,縦断方向は画像情報に対する歪みが生じにくいのに対し,横断方向は,可視光画像情報撮影・計測装置のレンズ歪みや撮影対象までの距離が変わることから,縦断方向よりも歪みが大きくなる。そこで,本発明のような処理を行うことで,対応する特徴点の移動を適切に行うことができる。
【0020】
請求項3の発明は,構造物を撮影した画像情報に対する構造物画像管理システムであって,前記構造物画像管理システムは,前記構造物における撮影対象を撮影した可視光画像情報における特徴点を,前記撮影対象の形状を計測した基準情報による基準画像情報における特徴点の位置に変形する画像変形処理部と,前記変形した可視光画像情報から検出した変状の差分を算出する差分自動算出処理部と,を有しており,前記画像変形処理部において,共通の撮影対象を撮影範囲に含む第1の可視光画像情報と,第2の可視光画像情報とについて,前記画像変形処理部により,それぞれ前記基準画像情報に基づいて変形し,前記差分自動算出処理部において,前記変形した第1の可視光画像情報から検出した変状と,前記変形した第2の可視光画像情報から検出した変状との差分を算出する,構造物画像管理システムである。
【0021】
本発明のように,可視光画像情報を,撮影対象の形状を計測した基本情報による基本画像情報に基づいて変形することで,複数の可視光画像情報をそれぞれ基本画像情報を介して対応させることができる。そのため,異なる機会に撮影した複数の可視光画像情報の位置合わせを精度よく行うことができる。
また、本発明のように構成することで,異なる機会に撮影した複数の可視光画像情報の位置合わせを精度よく行うことができるので,異なる機会に撮影した複数の可視光画像情報でそれぞれ検出した変状の差分(劣化)を算出することができる。そのため,従来,手作業で行っていた作業を自動的に行うことができる。
【0022】
上述の発明において,前記差分自動算出処理部は,少なくとも前記検出した変状,その差分,日付とを前記基準画像情報および/または前記可視光画像情報の位置情報に対応づけて記憶させる,構造物画像管理システムのように構成することができる。
【0023】
本発明のように,変状,その差分,日付とを基準画像や可視光画像情報の位置情報に対応づけて記憶させることで,構造物の補修計画の判断の基礎情報とすることができる。
【0024】
上述の各発明において,前記可視光画像情報は,前記撮影対象をデジタルカメラで撮影した画像情報であり,前記基準画像情報は,前記撮影対象をレーザレンジスキャナで計測した基準情報に基づく基準画像情報である,構造物画像管理システムのように構成することができる。
【0025】
画像情報から変状を検出するためには,高解像度での撮影が可能なデジタルカメラで撮影することが求められる。しかし,デジタルカメラはレンズを通して撮影するため,レンズ歪み(歪曲収差,像面湾曲)が発生し,また高性能化に伴うデジタルカメラの変更もありえる。一方,レーザレンジスキャナなどのトンネル,橋台,橋脚,床板,ダム堤体,建築物などの構造物の壁面の形状を正確に計測できる装置を用いて変状を検出することも考えられるが,レーザレンジスキャナなどの,構造物の撮影対象を計測する装置は,レンズ歪みなどの問題はないものの,デジタルカメラなどと比較して密度が粗く,変状を検出するためには十分なものではない。そこで,これらの2つの装置による画像情報の特性を適切に組み合わせることで,異なる機会に撮影した複数の可視光画像情報の位置合わせを精度よく行うことができる。
【0029】
請求項1の構造物画像管理システムは,本発明のプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することで実現することができる。すなわち,コンピュータを,構造物における撮影対象を撮影した可視光画像情報を,前記撮影対象の形状を計測した基準情報による基準画像情報に基づいて変形する画像変形処理部,として機能させる画像処理プログラムであって,前記撮影対象は,縦断方向に連続して撮影する壁面であり,前記画像変形処理部は,前記可視光画像情報における特徴点に対応する前記基準画像情報における特徴点を探索する際に,縦断方向の探索範囲よりも横断方向の探索範囲を広く設定し,前記可視光画像情報における特徴点を,その特徴点に対応する前記基準画像情報における特徴点の位置に変形する,画像処理プログラムである。
請求項2の構造物画像管理システムは,本発明のプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することで実現することができる。すなわち,コンピュータを,構造物における撮影対象を撮影した可視光画像情報を,前記撮影対象の形状を計測した基準情報による基準画像情報に基づいて変形する画像変形処理部,として機能させる画像処理プログラムであって,前記撮影対象は,縦断方向に連続して撮影する壁面であり,前記画像変形処理部は,前記可視光画像情報における特徴点を,その特徴点に対応する前記基準画像情報における特徴点の位置に変形する際に,縦断方向は線形の移動を行い,横断方向は非線形の移動を行う,構造物画像管理プログラムである。
請求項3の構造物画像管理システムは,本発明のプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することで実現することができる。すなわち,コンピュータを,構造物における撮影対象を撮影した可視光画像情報における特徴点を,前記撮影対象の形状を計測した基準情報による基準画像情報における特徴点の位置に変形する画像変形処理部,前記変形した可視光画像情報から検出した変状の差分を算出する差分自動算出処理部,として機能させる画像処理プログラムであって,前記画像変形処理部において,共通の撮影対象を撮影範囲に含む第1の可視光画像情報と,第2の可視光画像情報とについて,前記画像変形処理部により,それぞれ前記基準画像情報に基づいて変形し,前記差分自動算出処理部において,前記変形した第1の可視光画像情報から検出した変状と,前記変形した第2の可視光画像情報から検出した変状との差分を算出する,構造物画像管理プログラムである。
【発明の効果】
【0030】
本発明の構造物画像管理システムを用いることで,以前に撮影した画像情報と今回撮影した画像情報との位置合わせを精度よく行うことができる。また,位置合わせを精度よく行えることで,画像情報間の差分を精度よく自動的に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の構造物画像管理システムの全体の構成の一例を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の構造物画像管理システムを実行するコンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示す図である。
【
図3】本発明の構造物画像管理システムにおける全体の処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の構造物画像管理システムにおける可視光画像情報の変形処理の処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
【
図7】変形後の可視光画像情報の一例を示す図である。
【
図8】可視光画像情報と基準画像情報の特徴点の対応関係を模式的に示す図である。
【
図9】地下鉄のトンネル壁面を撮影する撮影・計測装置を搭載した車両の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の構造物画像管理システム1の全体のシステム構成の一例を
図1に,構造物画像管理システム1で用いるコンピュータのハードウェア構成の一例を
図2に示す。
【0033】
本発明の構造物画像管理システム1では,制御端末2と撮影・計測装置3とを用いる。撮影・計測装置3は,インフラ構造物における撮影対象,たとえばトンネルの壁面などを可視光で撮影する撮影装置30と,撮影対象の形状を計測する計測装置31とを有する。撮影装置30と計測装置31とは,一致または概略一致する位置で撮影,計測が行われる。概略一致とは,可視光画像情報で撮影した可視光画像情報の撮影範囲と,計測装置31で計測した範囲とが,その多くの部分(たとえば50%以上)で重複する場合をいう。撮影装置30で撮影した可視光画像情報の撮影範囲と計測装置31で計測した範囲とが多くの部分で重複するので,基準情報に基づく基準画像情報の範囲と可視光画像情報の範囲とも多くの部分で重複することとなる。なお撮影装置30で可視光画像情報を撮影する際に必ず計測装置31で計測をする必要はなく,撮影対象の形状に変化がない限り,少なくとも一度,計測装置31で基準情報を計測すればよい。また,撮影・計測装置3は,一体として構成されている必要はなく,それぞれ分離していてもよい。また撮影装置30,計測装置31のみを用いてもよい。
【0034】
撮影装置30は,いわゆるデジタルカメラなどでよいが,構造物の維持管理で必要とされる変状が検出可能な程度の解像度を有している。撮影装置30で撮影した可視光画像情報の一例を
図5に示す。なお,
図5は図面の都合上,グレースケール画像で示しているが,カラー画像であってもよい。
【0035】
計測装置31は,撮影対象の形状を計測する計測装置であればよく,たとえばレーザレンジスキャナなどを用いることができる。レーザレンジスキャナとは,撮影対象にレーザを照射し,撮影対象に反射したレーザが返ってくるまでの時間を計測し,距離に換算するなどによって,撮影対象の形状を計測する装置である。レーザレンジスキャナでは,カラー情報,反射強度,反射率,角度情報など各種の情報(基準情報)を取得でき,これらの基準情報,たとえば反射強度を用いて撮影対象の画像情報(レンジ画像)を生成する。これを模式的に示すのが
図6である。基準画像情報は,たとえば反射強度などに基づいて画像化するので,グレースケール画像となる。なお,計測装置31としては,レーザレンジスキャナを用いる場合を説明するが,それに限定するものではなく,撮影対象の形状を計測できる装置であればよい。
【0036】
構造物画像管理システム1における制御端末2は,コンピュータを用いて実現される。
図2にコンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示す。コンピュータは,プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置70と,情報を記憶するRAMやハードディスクなどの記憶装置71と,情報を表示するディスプレイなどの表示装置72と,情報の入力が可能なキーボードやマウスなどの入力装置73と,演算装置70の処理結果や記憶装置71に記憶する情報をインターネットやLANなどのネットワークを介して送受信する通信装置74とを有している。
【0037】
コンピュータがタッチパネルディスプレイを備えている場合には,表示装置72と入力装置73とが一体的に構成されていてもよい。タッチパネルディスプレイは,たとえばタブレット型コンピュータやスマートフォンなどの可搬型通信端末などで利用されることが多いが,それに限定するものではない。
【0038】
タッチパネルディスプレイは,そのディスプレイ上で,直接,所定の入力デバイス(タッチパネル用のペンなど)や指などによって入力を行える点で,表示装置72と入力装置73の機能が一体化した装置である。
【0039】
制御端末2は,撮影・計測装置3で撮影した可視光画像情報,生成した基準画像情報を用いて,可視光画像情報に対する変形処理を実行する。制御端末2は,可視光画像情報入力受付処理部20と変形前画像情報記憶部21と基準画像情報処理部22と基準画像情報記憶部23と画像変形処理部24と変形後画像情報記憶部25と変状検出処理部26と差分自動算出処理部27と差分記憶部28とを有する。
【0040】
可視光画像情報入力受付処理部20は,撮影・計測装置3における撮影装置30で撮影した可視光画像情報の入力を受け付ける。この際に,入力を受け付けた可視光画像情報の識別情報,日時情報,位置情報などの入力を受け付けてもよい。
【0041】
変形前画像情報記憶部21は,可視光画像情報入力受付処理部20で入力を受け付けた可視光画像情報を記憶する。この際に,当該可視光画像情報に対応づけて,当該可視光画像情報の識別情報,日時情報,位置情報などを記憶してもよい。
【0042】
基準画像情報処理部22は,撮影・計測装置3における計測装置31で撮影した基準情報を用いて画像化した基準画像情報の入力を受け付ける。この際に,入力を受け付けた基準画像情報の識別情報,日時情報,位置情報などの入力を受け付けてもよい。また,基準画像情報の代わりに,基準情報の入力を受け付け,制御端末2で基準情報に基づいて基準画像情報を生成するように構成してもよい。さらに基準情報と基準画像情報の双方の入力を受け付けてもよい。
【0043】
基準画像情報記憶部23は,基準画像情報処理部22で入力を受け付けた,または生成した基準画像情報を記憶する。この際に,当該基準画像情報に対応づけて,当該基準画像情報の識別情報,日時情報,位置情報などを記憶してもよい。また基準情報を記憶していてもよい。
【0044】
画像変形処理部24は,可視光画像情報と基準画像情報とを用いて,基準画像情報と可視光画像情報とが一致またはほぼ一致するように可視光画像情報を変形する処理を実行する。
【0045】
具体的には,以下のような処理を実行する。まず変形を行う可視光画像情報とそれに対応する基準画像情報とを,それぞれ変形前画像情報記憶部21,基準画像情報記憶部23から抽出する。そして可視光画像情報の縦横比を,基準画像情報のサイズに一致させるように変更し,それぞれの画像情報のサイズを一致させる。また,可視光画像情報がカラー画像の場合には,グレースケールに変換する。
【0046】
そして,グレースケールの可視光画像情報の形状特徴量と,基準画像情報の形状特徴量とをそれぞれ抽出することによって,グレースケールの可視光画像情報と,基準画像情報とで対応する特徴点を探索し対応づける。そして,グレースケールの可視光画像情報の特徴点を,それに対応する基準画像情報の特徴点の位置に変形することで,グレースケールの可視光画像情報と基準画像情報とを一致またはほぼ一致させることができる。グレースケールの可視光画像情報の変形の際には,縦断方向(トンネルなどの場合には鉄道や車両の進行方向)は線形,横断方向は非線形の移動を行うことで変形を行う。すなわち,縦断方向については,たとえば左右50ピクセル程度の狭い幅で,可視光画像情報と基準画像情報の対応する特徴点を探索する。また,横断方向については,縦断方向よりも広い幅,たとえば左右200ピクセルから300ピクセル程度の広い幅で,可視光画像情報と基準画像情報の対応する特徴点を探索する。これは,撮影対象とした構造物がトンネル壁面の場合,縦断方向は画像情報に対する歪みが生じにくいのに対し,横断方向は,可視光画像情報撮影・計測装置3のレンズ歪みや撮影対象までの距離が変わることから,縦断方向よりも歪みが大きくなるからである。
【0047】
グレースケールの可視光画像情報の形状特徴量と,基準画像情報の形状特徴量との抽出,グレースケールの可視光画像情報と,基準画像情報とで対応する特徴点を探索し対応づける処理については,公知の特徴点対応処理を用いることができ,たとえばORB,AKAZEなどのアルゴリズムに基づくプログラムを用いることができる。
【0048】
以上のようにグレースケールの可視光画像情報の各画素の移動箇所(変形量)が特定できると,カラーの可視光画像情報の各画素をグレースケールの可視光画像情報と同一の変形処理を実行する。変形した可視光画像情報の一例を
図7に示す。この変形した可視光画像情報を変形後画像情報記憶部25に記憶させる。この際に,当該可視光画像情報の識別情報,日時情報,位置情報などを記憶させてもよい。また変形前と変形後が識別可能なように,識別情報を変更してもよい。
【0049】
変形後画像情報記憶部25は,画像変形処理部24で変形した可視光画像情報を記憶する。この際に,当該可視光画像情報の識別情報,日時情報,位置情報などを記憶してもよい。
【0050】
変状検出処理部26は,変形後画像情報記憶部25に記憶した変形した可視光画像情報から,変状を検出する。変状を検出する処理は,画像情報から変状を検出する各種の公知技術を用いることができる。たとえば画像解析処理で変状を検出してもよいし,深層学習(ディープラーニング)を用いて変状を検出してもよい。検出した変状は,その変状を識別する識別情報(変状識別情報)と,変状の長さ,幅,大きさ,位置などの変状に関する情報を対応づける。検出した変状の変状識別情報,変状に関する情報は,変形した可視光画像情報に対応づけて変形後画像情報記憶部25に記憶していてもよい。
【0051】
差分自動算出処理部27は,同じ撮影対象を撮影した異なる時点における変形後の可視光画像情報からそれぞれ特定した変状の差分を算出する。すなわち,同じ撮影対象を撮影した異なる時点における変形後の可視光画像情報を変形後画像情報記憶部から特定する。特定したそれぞれの変形後の可視光画像情報は精度よく重ね合わせることができるので,変状の位置も対応することとなる。したがって,対応する変状同士(同じまたはほぼ同じ位置にある変状同士)の変状の長さ,幅,大きさなどの差分を算出し,変状の劣化を自動的に算出する。また対応する変状については,その変状識別情報を同一としてもよいし,同一の変状であることを示す情報を記憶させておくのでもよい。算出した差分の情報は,後述する差分記憶部28に記憶させる。
【0052】
差分記憶部28は,差分自動算出処理部27で算出した変状の差分を記憶する。差分記憶部28は,たとえば変状識別情報に対応づけて,変状の長さ,幅,大きさ,前回からの劣化(差分)などを記憶する。またその日付を記憶していてもよい。この日付は,変形後画像情報記憶部25における当該可視光画像情報の日時情報に基づいて特定できる。さらに,変状識別情報,変状の長さ,幅,大きさ,前回からの劣化(差分),日付などの情報は,変形後の可視光画像情報のほか,基準画像情報における当該変状の位置に対応づけて記憶させていてもよい。
【0053】
つぎに本発明の構造物画像管理システム1の処理プロセスの一例を
図3および
図4のフローチャートを用いて説明する。また本実施例では,インフラ構造物として地下鉄のトンネル壁面を撮影する場合を説明する。
【0054】
撮影対象のトンネル壁面を撮影・計測装置3で撮影,計測を行う。
図9に地下鉄のトンネル壁面を撮影する撮影・計測装置3を搭載した車両の一例を,
図10に撮影・計測装置3の一例を示す。
【0055】
撮影対象のトンネル壁面を撮影・計測装置3で撮影,計測を行う場合,当該撮影対象のトンネル壁面について基準情報を計測していない場合には,撮影装置30と計測装置31とで撮影,計測を行い(S100,S110),撮影対象のトンネル壁面について計測装置31で基準情報を計測している場合には,撮影装置30で撮影を行う(S100)。トンネル壁面を撮影する場合,
図10に示す撮影・計測装置3を搭載した車両(
図9)をレールに沿って縦断方向(進行方向)に移動させながら連続的に撮影を行うこととなる。
【0056】
そして撮影した可視光画像情報,基準情報に基づく基準画像情報は制御端末2に送られ,制御端末2における可視光画像情報入力受付処理部20,基準画像情報処理部22でそれぞれ入力を受け付ける(S120,S130)。可視光画像情報入力受付処理部20で入力を受け付けた可視光画像情報は変形前画像情報記憶部21に,基準画像情報処理部22で入力を受け付けた基準画像情報は基準画像情報記憶部23に,それぞれ記憶させる。
【0057】
可視光画像情報と基準画像情報とは,撮影対象の位置情報などで対応づけられているとよい。
【0058】
なお,ここでは,計測装置31から基準画像情報処理部22が基準画像情報の入力を受け付ける場合を説明したが,計測装置31から基準情報の入力を受け付け,制御端末2の基準画像情報処理部22において当該基準情報に基づいて基準画像情報を生成し,基準画像情報記憶部23に記憶させてもよい。
【0059】
所定のタイミングで画像変形処理部24は,変形前画像情報記憶部21に記憶する可視光画像情報が,対応する基準画像情報と一致またはほぼ一致するように変形処理を実行する(S140)。
【0060】
具体的には,変形を行う可視光画像情報を変形前画像情報記憶部21から抽出し,また抽出した可視光画像情報の位置に対応する基準画像情報を基準画像情報記憶部23から抽出する。そして撮影装置30で撮影した可視光画像情報と,計測装置31で計測した基準情報に基づく基準画像情報とでは縦横比が相違する場合があるので,可視光画像情報の縦および/または横のサイズが基準画像情報の縦および/または横のサイズに一致するように,可視光画像情報の縦横比を変更する(S200)。なお,可視光画像情報と基準画像情報とでは,撮影範囲が異なる場合があるので,その場合には,可視光画像情報の空白部分については所定の色,たとえば黒などで塗りつぶす。また,可視光画像情報がカラー画像の場合には,グレースケールに変換する(S210)。
【0061】
そしてORB,AKAZEなど公知のアルゴリズムに基づくプログラムを用いて,グレースケールの可視光画像情報の形状特徴量と,基準画像情報の形状特徴量とをそれぞれ抽出し(S220),それぞれの画像情報における対応する特徴点同士を探索する(S230)。この際に,トンネルの縦断方向は左右50ピクセル程度の幅で,トンネルの横断方向は縦断方向よりも広い幅,たとえば200ピクセルから300ピクセル程度の幅で探索を行う(S230)。
【0062】
このような探索処理で特定した対応する特徴点に基づいて,グレースケールの可視光画像情報の特徴点を,それに対応する基準画像情報の特徴点の位置に変形する変形量が特定できる。したがって,カラーの可視光画像情報の各画素を当該変形量にしたがって移動させることで,変形後の可視光画像情報を得ることができる(S240)。カラーの可視光画像情報と基準画像情報との変形の関係を模式的に示すのが
図8である。
図8(a)が可視光画像情報であり,
図8(b)が基準画像情報であり,それらを直線で特徴点の対応関係を示している。なお,
図8の特徴点の対応関係は一部であり,実際にはより多くの特徴点の抽出,対応点が特定されている。
【0063】
そして画像変形処理部24で変形した可視光画像情報は,変形後画像情報記憶部25に記憶させる(S150)。
【0064】
このような処理を実行することで,基準画像情報を基準として可視光画像情報の位置を精度よく合わせることができる。
【0065】
さらに変形した可視光画像情報について,所定のタイミングで,変状検出処理部26が変状を検出し,変形後画像情報記憶部25に記憶させておく(S160)。これによって,当該変形した可視光画像情報における変状の長さ,幅,大きさ,位置などの変状に関する情報を,変状識別情報に対応づけて変形後画像情報記憶部25に記憶できる。
【0066】
また,次回,たとえば3年後に同じ撮影対象のトンネル壁面を撮影した場合(S100),その撮影した可視光画像情報(撮影装置30で撮影し,可視光画像情報入力受付処理部20で入力を受け付け(S120),変形前画像情報記憶部21に記憶した可視光画像情報)について,その撮影対象に対応する基準画像情報(基準画像情報記憶部23に記憶する基準画像情報)と一致またはほぼ一致するように,画像変形処理部24で同様の変形処理を実行させる(S140)。そして,変形した可視光画像情報を変形後画像情報記憶部25に記憶させ(S150),変状検出処理部26における変状の検出処理を実行する(S160)。これによって,3年後の同じ撮影対象であるトンネル壁面について,変状の長さ,幅,大きさ,位置などを検出することができる。
【0067】
同じ撮影対象を撮影した3年前の変形後の可視光画像情報と,今回撮影した変形後の可視光画像情報とは,ともに同一の基準画像情報と一致またはほぼ一致することから,3年前の変形後の可視光画像情報と,今回撮影した変形後の可視光画像情報とを精度よく重ね合わせることが可能となる。そして,差分自動算出処理部27は,2つの変形後の可視光画像情報からそれぞれ検出した変状について,対応する変状の差分を算出することで,変状の劣化を算出する(S170)。変状の差分は,3年前の変形後の可視光画像情報から検出した変状の幅,長さ,大きさなどと,今回撮影した変形後の可視光画像情報から検出した変状の幅,長さ,大きさなどとの差を算出することで行える。
【0068】
差分自動算出処理部27が算出した差分の情報は差分記憶部28に記憶させる(S170)。また差分自動算出処理部27は,変状識別情報に対応づけて,変状の長さ,幅,大きさ,前回からの劣化(差分),日付などを差分記憶部28に記憶させるとともに,それらの情報を基準画像情報および/または可視光画像情報における位置情報(トンネルのどの位置を撮影対象としたかを示す位置情報)に対応づけて記憶させていてもよい。
【0069】
このように,差分自動算出処理部27で変状の差分を算出し,それを差分記憶部28で基準画像情報および/または可視光画像情報における位置情報に対応づけて記憶させることで,点検計画や補修計画を検討する際の基礎情報にすることができる。
【0070】
上述の実施例では,撮影対象の構造物として地下鉄のトンネル壁面を撮影する場合を説明したが,それに限られるものではなく,道路のトンネル壁面,橋梁のコンクリート壁面,たとえば橋梁の橋台,橋脚,床板のコンクリート壁面,ダム堤体,コンクリート建築物のコンクリート壁面など,コンクリート構造物およびそれを構成する連続した壁面も対象となりうる。これらのコンクリート壁面を撮影,計測するためには,上述の実施例で説明した車両に撮影・計測装置3を搭載して撮影,計測をしてもよいし,ドローンなどのUAV(unmanned aerial vehicle)に撮影・計測装置3を搭載して撮影,計測をしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の構造物画像管理システムを用いることで,以前に撮影した画像情報と今回撮影した画像情報との位置合わせを精度よく行うことができる。また,位置合わせを精度よく行えることで,画像情報間の差分を自動的に精度よく算出することができる。
【符号の説明】
【0072】
1:構造物画像管理システム
2:制御端末
3:撮影・計測装置
20:可視光画像情報入力受付処理部
21:変形前画像情報記憶部
22:基準画像情報処理部
23:基準画像情報記憶部
24:画像変形処理部
25:変形後画像情報記憶部
26:変状検出処理部
27:差分自動算出処理部
28:差分記憶部
30:撮影装置
31:計測装置
70:演算装置
71:記憶装置
72:表示装置
73:入力装置
74:通信装置