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  • 特許-トルク測定装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】トルク測定装置
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/14 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
B25B23/14 640W
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020076542
(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公開番号】P2021171862
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000161909
【氏名又は名称】京都機械工具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】朝比奈 謙介
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-050671(JP,U)
【文献】実開平07-044569(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0117271(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/14
B25B 13/00
G01L 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締付工具の締付トルクを測定するトルク測定装置であって、
作業者から前記締付工具に加わる応力を検出する応力センサと、
前記締付工具の作用点から力点までの距離を取得する距離取得部と、
前記応力及び前記距離を用いて前記締付トルクを算出するトルク算出部と
前記締付工具の作用点から力点までの距離を検出する距離センサとを備え、
前記応力センサが、前記作業者に取り付けられるものであり、
前記距離取得部が、前記距離センサにより測定された距離を取得する、トルク測定装置。
【請求項2】
前記応力センサが、前記作業者の一方の手に取り付けられるものであり、
前記距離センサが、前記作業者の他方の手に取り付けられて、両手の離間距離を前記締付工具の作用点から力点までの距離として測定するものである、請求項記載のトルク測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばレンチ等の締付工具の締付トルクを測定するトルク測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のトルク測定装置としては、特許文献1に示すように、締付工具に圧力センサを設けておき、この圧力センサにより作業者から締付工具に作用する圧力を検出できるように構成されたものがある。
【0003】
そして、圧力センサから負荷対象までの距離を予め入力しておくことで、この距離と上記の圧力センサにより検出された圧力とを掛け合わせて締付トルクを算出している。
【0004】
しかしながら、このように圧力センサを締付工具に設ける構成であると、いくつかの締付工具それぞれにおいて締付トルクを算出できるようにするためには、圧力センサをどの締付工具にも取り付けられるような取付機構が必要になったり、そのような取付機構がなければ締付工具それぞれに圧力センサを設ける必要があり、コストや手間がかかる。
【0005】
そのうえ、締付工具を使用する際には、圧力センサが設けられた部位を握らなければならないので、圧力センサを締付工具の端部に設けることができない場合には、力を効率良く伝えることができず、作業性の低下を招来する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開昭63-50671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本願発明は、上記問題点を解決するべくなされたものであり、種々の締付工具に汎用することができ、作業性も担保することのできるトルク測定装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本願発明に係るトルク測定装置は、締付工具の締付トルクを測定するトルク測定装置であって、作業者が前記締付工具に加わる応力を検出する応力センサと、前記締付工具の作用点から力点までの距離を取得する距離取得部と、前記応力及び前記距離を用いて前記締付トルクを算出するトルク算出部とを備え、前記応力センサが、前記作業者に取り付けられるものであることを特徴とする。
【0009】
このように構成されたトルク測定装置であれば、応力センサが作業者に取り付けられるので、種々の締付工具に汎用することができ、しかも締付工具の握る部位は限られず、作業性も担保することができる。
【0010】
前記締付工具の作用点から力点までの距離を検出する距離センサをさらに備え、前記距離取得部が、前記距離センサにより測定された距離を取得することが好ましい。
このような構成であれば、締付工具を用いるその時々において、作用点から力点までの距離を測定することができるので、より正確な締付トルクを算出することができる。
【0011】
応力センサのみならず、距離センサをも種々の締付工具に汎用性のあるものにするためには、前記応力センサが、前記作業者の一方の手に取り付けられるものであり、前記距離センサが、前記作業者の他方の手に取り付けられて、両手の離間距離を前記締付工具の作用点から力点までの距離として測定するものであることが好ましい。
このような構成であれば、距離センサが取り付けられている方の手を力点に添えることで、どの締付工具を用いても作用点から力点までの距離を測定することができる。
【0012】
一方で、コストの削減を図るべく、距離センサを不要にするためには、前記距離取得部が、外部から入力された前記距離を取得するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
このように構成した本発明によれば、作業性の低下を招来することなく、種々の締付工具に汎用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態におけるトルク測定装置の構成を示す模式図。
図2】同実施形態の演算装置の機能を示す機能ブロック図。
図3】同実施形態の演算装置の機能を示す機能ブロック図。
図4】同実施形態の演算装置の機能を示す機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明に係るトルク測定装置の一実施形態について説明する。
【0016】
本実施形態のトルク測定装置100は、例えばレンチ等の締付工具Xからボルトやナット等の締結具に作用する締付トルクを測定するものであり、図1に示すように、締付工具Xに加わる応力を検出する応力センサ10と、締付工具Xの作用点から力点までの距離を検出する距離センサ20と、締付トルクを算出する演算装置30とを具備する。
【0017】
応力センサ10は、作業者から締付工具Xに作用する応力、言い換えれば作業者が締付工具Xの力点に加える応力を検出するものである。
【0018】
本実施形態の応力センサ10は、作業者に取り付け可能なものであり、例えば手袋やバンド等の装着品により作業者の締結具を握る方の手に取り付けられる。より具体的には、例えばロードセル等の荷重センサやピエゾ素子を用いた圧力センサ等であり、作業者の手のひらに取り付けることができる。
【0019】
距離センサ20は、作業者の締付工具Xを握る手から締結具までの距離、言い換えれば締付工具Xの力点から作用点(この場合は支点でもある)までの距離を測定するものである。
【0020】
本実施形態の距離センサ20は、作業者に取り付け可能なものであり、例えば手袋やバンド等の装着品により作業者の締結具を握らない方の手に取り付けられる。より具体的には、例えばミリ波レーザやウルトラソニック等を利用して距離を検出するものであり、図1に示すように、作業者の締付工具Xを握らない方の手を締結具に添えることで、両手の間隔を作用点から力点までの距離として測定することができる。
【0021】
演算装置30は、CPUやメモリ等を備えるものであり、前記メモリに記憶されたプログラムに従って、CPU等が協働することにより、図2に示すように、応力取得部31、距離取得部32、及びトルク算出部33としての機能を発揮するものである。
【0022】
応力取得部31は、上述した応力センサ10により検出された応力を取得するものであり、ここでは応力センサ10から無線又は有線で送信された応力を取得する。
【0023】
距離取得部32は、上述した距離センサ20により検出された距離を取得するものであり、ここでは距離センサ20から無線又は有線で送信された距離を取得する。
【0024】
トルク算出部33は、応力取得部31が取得した応力、及び、距離取得部32が取得した距離を用いて締付トルクを算出するものであり、具体的には応力と距離とを掛け合わせたトルクを締付トルクとして算出し、ディスプレイ等に出力する。
【0025】
このように構成されたトルク測定装置100によれば、応力センサ10が作業者に取り付けられるものであるから、種々の締付工具Xに汎用することができ、しかも締付工具Xの握る部位は限られず、作業性も担保することができる。
【0026】
また、作用点から力点までの距離を測定する距離センサ20を備えているので、締付工具Xを用いるその時々において、作用点から力点までの距離を測定することができ、より正確な締付トルクを算出することができる。
【0027】
さらに、応力センサ10が、作業者の一方の手に取り付けられるものであり、距離センサ20が作業者の他方の手に取り付けられて、両手の離間距離を作用点から力点までの距離として測定するので、応力センサ10のみならず、距離センサ20をも種々の締付工具Xに汎用することができる。
【0028】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0029】
例えば、前記実施形態のトルク測定装置100は、距離センサ20を備えたものであったが、コストの削減を図るべく、作用点から力点までの距離を予め入力しておき、距離センサ20を不要にしても良い。この場合、距離取得部32は、図3に示すように、例えばキーボード等の入力手段を介して外部から予め入力された距離を取得すれば良い。
【0030】
また、図4に示すように、例えば複数の締付工具Xを示す工具識別子と、それぞれの締付工具Xにおける作用点から力点までの距離とを予め結び付けた工具―距離関連データを予め記憶部34に記憶させておき、入力手段を介して工具識別子を入力することで、その工具識別子に結び付けられている距離を距離取得部32が取得する構成でも構わない。
【0031】
また、応力センサ10や距離センサ20は、手のひらに取り付けられるものであったが、手のひら以外の部位に取り付けられても良い。
このような具体例としては、例えば歯科インプラント手術のような微妙で繊細なトルク調整が必要な場合は、応力センサ10を指先に取り付けても良い。また、大きなトルクをかける必要がある場合は、靴底などの装備品を介して作業者に取り付けても良い。
【0032】
さらに、距離センサ20は、例えば作用点から力点までの距離を画像から算出する画像式のものであっても良い。この場合、距離センサ20は手に取り付けられる必要はなく、例えば頭などに取り付けられても良いし、作業場の近くに据え置きされていても良い。
【0033】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0034】
100・・・トルク測定装置
X ・・・締付工具
10 ・・・応力センサ
20 ・・・距離センサ
30 ・・・演算装置
31 ・・・応力取得部
32 ・・・距離取得部
33 ・・・トルク算出部
図1
図2
図3
図4