(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】清掃具
(51)【国際特許分類】
A47L 13/16 20060101AFI20240213BHJP
A47L 13/20 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
A47L13/16 A
A47L13/20 B
(21)【出願番号】P 2020145648
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000101363
【氏名又は名称】アズマ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼嶋 ゆかり
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-268975(JP,A)
【文献】特開2013-075118(JP,A)
【文献】実開昭53-132762(JP,U)
【文献】登録実用新案第3194945(JP,U)
【文献】特開平11-042194(JP,A)
【文献】特開平08-336493(JP,A)
【文献】特開2009-273729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/00 - 13/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二股状をした清掃具本体と、該清掃具本体に装着される二股状をしたダストクロスとからなり、
前記清掃具本体は、グリップ部と、被清掃物を挟んで清掃するための清掃間隔を保って該グリップ部から並行状態に延出する左右一対のアームとを有し、
前記一対のアームは、幅広の表面及び裏面と、該表面及び裏面より幅狭の内側面及び外側面とを有する扁平形状をなしていて、互いの内側面間に前記清掃間隔を有し、表裏面方向に弾性変形可能であると共に、前記清掃間隔が変化する方向に変位可能であり、
前記ダストクロスは、扁平な筒状をした胴部と、該胴部の先端から左右に分岐して延びる扁平な筒状をした2つの分岐部とを有し、該2つの分岐部の内部には、前記一対のアームの長さ方向中央より先端側の部分が個別に挿入され、前記胴部の内部には、前記一対のアームの前記分岐部内に挿入される部分より基端側の部分が一緒に挿入
され、
前記一対のアームは、清掃時に該一対のアームが表裏面方向に位置ずれするのを防止するための位置ずれ防止機構を有し、
前記位置ずれ防止機構は、前記一対のアームの一方及び他方に形成された2つの突起からなる第1の突起対と、前記一対のアームの一方及び他方に形成された他の2つの突起からなる第2の突起対とを有し、前記第1の突起対における2つの突起が相互に係止すると共に前記第2の突起対における2つの突起が相互に係止することにより、前記一対のアームの表裏面方向への位置ずれが防止されるように構成されている、
ことを特徴とする清掃具。
【請求項2】
前記第1の突起対を形成する2つの突起は、一方の第1アームに形成された第1突起及び他方の第2アームに形成された第2突起であり、前記第1突起は、前記第1アームの内側面における厚さ方向の中央より表面側及び裏面側のうち何れか一方の側に寄った位置に形成され、前記第2突起は、前記第2アームの内側面における厚さ方向の中央より表面側及び裏面側のうち前記第1突起と反対の側に寄った位置に形成されており、前記第2の突起対を形成する2つの突起は、前記第1アームに形成された第3突起及び前記第2アームに形成された第4突起であり、前記第3突起は、前記第1アームの内側面における厚さ方向の中央より表面側及び裏面側のうち前記第2突起と同じ側に寄った位置に形成され、前記第4突起は、前記第2アームの内側面における厚さ方向の中央より表面側及び裏面側のうち前記第1突起と同じ側に寄った位置に形成されている、
ことを特徴とする請求項
1に記載の清掃具。
【請求項3】
前記第1の突起対及び第2の突起対は、前記第1アーム及び第2アームの基端部の、前記ダストクロスの胴部内に挿入される部分の内側面に、該第1アーム及び第2アームの長さ方向に隣接するように形成されていることを特徴とする請求項
2に記載の清掃具。
【請求項4】
前記グリップ部は、U字形に湾曲していて、合成樹脂により前記一対のアームと一体に形成され、前記清掃間隔が変化する方向に弾性変形可能であることを特徴とする請求項1から
3の何れかに記載の清掃具。
【請求項5】
前記一対のアームの表面及び裏面の少なくとも一方の面には、該アームの長さ方向の中央より基端部寄りの位置に、面ファスナーの互いに係止する一対の係止体のうち一方の係止体がそれぞれ取り付けられ、前記ダストクロスの胴部の内面には、前記一対の係止体のうち他方の係止体が取り付けられ、それによって前記清掃具本体とダストクロスとが、前記一対のアームの基端部とダストクロスの胴部とにおいて相互に止着され、
前記一対のアームの先端部の、前記ダストクロスの分岐部内に挿入される部分の外側面には、前記分岐部の内側部に弾力的に当接して係止する弾性フックがそれぞれ形成されている、
ことを特徴とする請求項1から
4の何れかに記載の清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内や家具等における比較的狭い場所を清掃するための清掃具に関するものであり、特に、エアコンディショナー(エアコン)のエア吹き出し口のような狭い場所の清掃に適した清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、エアコンのエア吹き出し口は、空気中を浮遊する塵埃が付着することによって汚れ易く、また、湿気にも晒されるためカビも生え易い。このため、定期的に清掃する必要がある。
これまで、エア吹き出し口を清掃する場合、開口の内壁やフィン等に付着した汚れを、洗剤を吹き付けて剥離させたあとスポンジや雑巾等で拭き取るか、あるいは、洗剤を含ませたスポンジや雑巾等で直接拭き取るのが、一般的な方法であった。
【0003】
しかし、この方法では、エア吹き出し口の狭いスペース内に手が入らなかったり、汚れを除去するために必要以上の力を加え過ぎてフィン等の脆弱な部品を損傷し易いといった問題があった。また、洗剤の使用によって手が汚れるといった問題もあった。このような問題は、エアコン以外の家具や調度品等の狭い場所を清掃する場合にも共通する問題である。
【0004】
一方、室内や家具等を清掃するための清掃具として、特許文献1-4に開示されているようなハンディモップが知られている。このハンディモップは、二股状をしたハンドル部材に、不織布やモップ糸等からなるモップ布を装着して使用するもので、比較的小形で、片手に持って手軽に清掃することができ、エアコンの清掃にも使用することができる。
【0005】
しかしながら、公知のハンディモップは、小形化されているとはいっても、エアコンの吹き出し口のような非常に狭いスペース内に挿入し得るようには構成されていないため、エアコンの外面のように外部に露出する部分の清掃は行うことができても、吹き出し口の内壁面や、狭い間隔で並ぶフィンの表面等の清掃を行うのは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-265391号公報
【文献】実用新案登録第3103720号公報
【文献】特開2007-44088号公報
【文献】特開2013-63154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の技術的課題は、室内や家具等における狭い場所の清掃、特に、エアコンの吹き出し口のように狭く且つフィンのような脆弱な部品が設置されている場所の清掃を、簡単且つ安全に行うことができる清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の清掃具は、二股状をした清掃具本体と、該清掃具本体に装着される二股状をしたダストクロスとからなり、前記清掃具本体は、グリップ部と、被清掃物を挟んで清掃するための清掃間隔を保って該グリップ部から並行状態に延出する左右一対のアームとを有し、前記一対のアームは、幅広の表面及び裏面と、該表面及び裏面より幅狭の内側面及び外側面とを有する扁平形状をなしていて、互いの内側面間に前記清掃間隔を有し、表裏面方向に弾性変形可能であると共に、前記清掃間隔が変化する方向に変位可能であり、前記ダストクロスは、扁平な筒状をした胴部と、該胴部の先端から左右に分岐して延びる扁平な筒状をした2つの分岐部とを有し、該2つの分岐部の内部には、前記一対のアームの長さ方向中央より先端側の部分が個別に挿入され、前記胴部の内部には、前記一対のアームの前記分岐部内に挿入される部分より基端側の部分が一緒に挿入され、前記一対のアームは、清掃時に該一対のアームが表裏面方向に位置ずれするのを防止するための位置ずれ防止機構を有し、前記位置ずれ防止機構は、前記一対のアームの一方及び他方に形成された2つの突起からなる第1の突起対と、前記一対のアームの一方及び他方に形成された他の2つの突起からなる第2の突起対とを有し、前記第1の突起対における2つの突起が相互に係止すると共に前記第2の突起対における2つの突起が相互に係止することにより、前記一対のアームの表裏面方向への位置ずれが防止されるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
前記第1の突起対を形成する2つの突起は、一方の第1アームに形成された第1突起及び他方の第2アームに形成された第2突起であり、前記第1突起は、前記第1アームの内側面における厚さ方向の中央より表面側及び裏面側のうち何れか一方の側に寄った位置に形成され、前記第2突起は、前記第2アームの内側面における厚さ方向の中央より表面側及び裏面側のうち前記第1突起と反対の側に寄った位置に形成されており、前記第2の突起対を形成する2つの突起は、前記第1アームに形成された第3突起及び前記第2アームに形成された第4突起であり、前記第3突起は、前記第1アームの内側面における厚さ方向の中央より表面側及び裏面側のうち前記第2突起と同じ側に寄った位置に形成され、前記第4突起は、前記第2アームの内側面における厚さ方向の中央より表面側及び裏面側のうち前記第1突起と同じ側に寄った位置に形成されている。
【0011】
この場合、前記第1の突起対及び第2の突起対は、前記第1アーム及び第2アームの基端部の、前記ダストクロスの胴部内に挿入される部分の内側面に、該第1アーム及び第2アームの長さ方向に隣接するように形成されていることが望ましい。
【0012】
また、前記グリップ部は、U字形に湾曲していて、合成樹脂により前記一対のアームと一体に形成され、前記清掃間隔が変化する方向に弾性変形可能であることが望ましい。
【0013】
本発明において、前記一対のアームの表面及び裏面の少なくとも一方の面には、該アームの長さ方向の中央より基端部寄りの位置に、面ファスナーの互いに係止する一対の係止体のうち一方の係止体がそれぞれ取り付けられ、前記ダストクロスの胴部の内面には、前記一対の係止体のうち他方の係止体が取り付けられ、それによって前記清掃具本体とダストクロスとが、前記一対のアームの基端部とダストクロスの胴部とにおいて相互に止着され、前記一対のアームの先端部の、前記ダストクロスの分岐部内に挿入される部分の外側面には、前記分岐部の内側部に弾力的に当接して係止する弾性フックがそれぞれ形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の清掃具は、例えばエアコンのエア吹き出し口のような狭い空間部を清掃する場合、ダストクロスを装着した一対の柔軟なアームを空間部内に挿入し、前記ダストクロスを内壁に面状且つ弾力的に押し当てることにより、該内壁に付着した汚れを拭き取ることができ、また、フィンのような薄板状の部材を清掃する場合には、該部材を前記一対のアーム間に挟むことにより、該部材の両面に付着した汚れを大きな力を加えることなく除去することができるので、使い勝手が良く、フィン等の脆弱な部品であっても破損させることなく安全に清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図6】
図3の一部を拡大して示す要部拡大図である。
【
図7】
図6のVII-VII線に沿った拡大断面図である。
【
図8】
図6のVIII-VIII線に沿った拡大断面図である。
【
図9】
図3のIX-IX線に沿った拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る清掃具の一実施形態を、
図1-
図9を参照しながら詳細に説明する。この清掃具1は、例えばエアコンのエア吹き出し口のような狭い場所の清掃を行うのに特に適した構成を有するもので、二股状をした清掃具本体2と、該清掃具本体2に装着される二股状をしたダストクロス3とで構成されている。
【0017】
前記清掃具本体2は、片手に持つためのグリップ部4と、該グリップ部4から並行して延出する左右一対のアーム5a,5bとを有し、これらグリップ部4とアーム5a,5bとが、ポリプロピレン等の弾性変形可能な合成樹脂によって一体に形成されている。図においては、前記グリップ部4とアーム5a,5bとを区別し易くするため、グリップ部4にドットが付されているが、グリップ部4の表面にアーム5a,5bと区別するための何らかの加工が施されている訳ではない。しかし、グリップ部4の表面に、滑り止め加工や着色加工等が施されていても構わない。
なお、以下の説明においては、前記一対のアーム5a,5bの一方を第1アーム5a、他方を第2アーム5bということもある。
【0018】
前記グリップ部4は、略U字形をしていて、基端側の湾曲部4aと、該湾曲部4aの両端から相互間の間隔が次第に狭くなっていくように延びる左右の延長部4b,4bとを有し、該左右の延長部4b,4bの一方及び他方に前記一対のアーム5a,5bの一方及び他方がそれぞれ一体に連なっている。
【0019】
前記湾曲部4aの断面形状は、円形か、又は、円の一部を該湾曲部4aの内周側で平面状に切除したような形である。また、前記延長部4b,4bの断面形状は、前記湾曲部4aに連なる基端側から先端側に向かって次第に扁平化していき、前記アーム5a,5bに連なる先端部分では、上下面(表裏面)の幅が左右両側面の幅(厚み)より大きくなっており、それによって該延長部4b,4bは、前記アーム5a,5bに滑らかに連なっている。
【0020】
前記一対のアーム5a,5bは、幅広で平坦な表面6a及び裏面6bと、該表面6a及び裏面6bより幅狭な内側面7a及び外側面7bとを有する扁平形状をなしていて、互いの内側面7a,7a間に、小径の被清掃物を挟んだ状態で清掃するための清掃間隔8を有し、表裏面6a,6b方向に弾性変形可能であると共に、前記グリップ部4の弾性変形によって前記清掃間隔8が大小に変化する方向に変位可能である。
【0021】
前記アーム5a,5bの表面6a及び裏面6bの幅Wは、該アーム5a,5bの全長にわたってほぼ一定であるが、前記アーム5a,5bの表裏面間の厚み(内側面7a及び外側面7bの上下幅)Tは、該アーム5a,5bを清掃対象に押し付けたとき適度の弾性力をもってしなるように、該アーム5a,5bの基端側から先端側に向けて次第に薄くなっている。
しかし、前記表面6a及び裏面6bの幅Wは、必ずしも一定である必要はなく、アーム5a,5bの先端側に向かって次第に狭くなっていても良く、また、前記アーム5a,5bの厚みTは、該アーム5a,5bの全長にわたって一定であっても構わない。
【0022】
また、前記清掃間隔8は、例えば、エアコンのエア吹き出し口に設置されたフィンのような薄板状をした部品や、電気配線のような小径の部品を挟んで清掃するための間隔であり、通常は、前記アーム5a,5bの基端から先端に至るまでほぼ一定の大きさを有している。しかし、該清掃間隔8の先端部は、被清掃物を挿入し易くするため、一対のアーム5a,5bの内側面7aの先端部分を一部切除することによって外広がり状に広げられている。
【0023】
前記アーム5a,5bの長さは、清掃具本体2の全長の0.5-0.7倍程度であることが好ましく、より好ましい長さは、図示したように、清掃具本体2の全長の0.6倍程度である。
ここで、前記清掃具本体2の好ましい寸法例を実際の数値で説明すると、前記清掃具本体2の全長が200-300mm程度である場合、前記アーム5a,5bの長さは120-180mm程度であることが好ましく、また、前記アーム5a,5bの幅Wは10-15mm程度、該アーム5a,5bの厚みTは、基端側で3-5mm程度、先端側で1-2mm程度であることが好ましく、更に、前記清掃間隔8の大きさは3-5mm程度であることが好ましい。
【0024】
一方、前記ダストクロス3は、
図1-
図2に示すように、布製の基材の表面に、極細繊維を緩く束ねた多数の繊維束10を総状に取り付けて形成したもので、扁平な筒状をした1つの胴部11と、該胴部11の先端から左右に分岐して延びる扁平な筒状をした2つの分岐部12,12とを有し、前記胴部11の基端部は開放し、前記分岐部12,12の先端部は閉塞されている。
前記ダストクロス3の長さは、前記アーム5a,5bの長さと同程度か、又は該アーム5a,5bの長さより僅かに長く、前記分岐部12,12の長さは、互いに同長で、前記ダストクロス3の長さの0.3-0.5倍程度である。
【0025】
前記ダストクロス3は、胴部11の基端の開口11aを通じて前記清掃本体のアーム5a,5bを先端側から挿入することにより、該清掃具本体2に装着される。このとき、2つの分岐部12,12の内部に、前記一対のアーム5a,5bの長さ方向の中央より先端側の部分が個別に挿入され、前記胴部11の内部に、前記一対のアーム5a,5bの前記分岐部12,12内に挿入される部分より基端側の部分が一緒に挿入される。
【0026】
前記ダストクロス3を清掃具本体2に止着するため、前記一対のアーム5a,5bの表面6a及び裏面6bの何れか一方の面(図示した例では表面6a)には、該アーム5a,5bの長さ方向の中央より基端部寄りの位置に、面ファスナーを構成する一対の係止体のうち一方の係止体(フック側係止体)13aがそれぞれ取り付けられ、前記ダストクロス3の胴部11の内面には、前記一対の係止体のうち他方の係止体(ループ側係止体)13bが取り付けられ、それによって前記清掃具本体2とダストクロス3とが、前記一対のアーム5a,5bの基端部とダストクロス3の胴部11とにおいて相互に止着される。
【0027】
この場合、前記胴部11の内面には、前記ループ側係止体13bを、前記アーム5a,5bのフック側係止体13aに対応する部分だけに部分的に取り付けても良いが、前記ダストクロス3を清掃具本体2に表裏どちら向きにも取り付けることができるように、胴部11の内面全周か又は表面側の内面及び裏面側の内面に、該ループ側係止体13bを取り付けても良い。
あるいは、前記一対のアーム5a,5bの表面6a及び裏面6bの両面に前記フック側係止体13aをそれぞれ取り付け、前記ダストクロス3の胴部11の内面の前記フック側係止体13aに対応する部分に前記ループ側係止体13bを取り付けても良い。
【0028】
また、前記一対のアーム5a,5bの先端部の、前記ダストクロス3の分岐部12,12内に挿入される部分の外側面7bには、前記分岐部12,12の内面に弾力的に当接することにより該分岐部12,12に係止する弾性フック16がそれぞれ形成されている。
前記弾性フック16は、前記アーム5a,5bの外側面7bに一体に連なる一端16a及び他端16bと、該外側面7bから分離して該外側面7bよりも側方に突出する張出部16cとを有し、該張出部16の中央部分は外に向けて凸形に湾曲する突出部16dとなっており、該突出部16dが前記分岐部12,12の内面に弾力的に当接して係止している。
【0029】
更に、前記一対のアーム5a,5bには、前記清掃間隔8内に被清掃物を挟んで清掃するとき該一対のアーム5a,5bが表裏面6a,6b方向に位置ずれするのを防止するための位置ずれ防止機構20が形成されている。
前記位置ずれ防止機構20は、
図3及び
図6に示すように、前記一対のアーム5a,5bの基端部の、前記ダストクロス3の胴部11内に一緒に挿入される部分の内側面7a,7aに形成されていて、互いに係止し合う2つの突起22,23を備えた第1の突起対21と、互いに係止し合う他の2つの突起25,26を備えた第2の突起対24とを有し、これら第1の突起対21及び第2の突起対24は、前記アーム5a,5bの長さ方向の互いに隣接する位置に形成されている。
【0030】
前記第1の突起対21を形成する2つの突起22,23は、前記第1アーム5aに形成された第1突起22及び前記第2アーム5bに形成された第2突起23である。これら第1突起22及び第2突起23は、側面視形状が部分円形をしていて、前記第1アーム5a及び第2アーム5bの長さ方向(前後方向)の同じ位置に形成されており、また、
図7に示すように、前記第1突起22は、前記第1アーム5aの内側面7aにおける厚さ方向の中央より裏面6b側に寄った位置に形成され、前記第2突起23は、前記第2アーム5bの内側面7aにおける厚さ方向の中央より表面6a側に寄った位置に形成されている。
【0031】
また、前記第2の突起対24を形成する2つの突起25,26は、前記第1アーム5aに形成された第3突起25及び前記第2アーム5bに形成された第4突起26である。これら第3突起25及び第4突起26は、側面視形状が部分円形をしていて、前記第1アーム5a及び第2アーム5bの長さ方向(前後方向)の同じ位置に形成されており、また、
図8に示すように、前記第3突起25は、前記第1アーム5aの内側面7aにおける厚さ方向の中央より表面6a側に寄った位置に形成され、前記第4突起26は、前記第2アーム5bの内側面7aにおける厚さ方向の中央より裏面6b側に寄った位置に形成されている。
【0032】
しかし、前記第1突起22と第2突起23との、アーム5a,5bの厚さ方向の位置関係、及び、前記第3突起25と第4突起26との、アーム5a,5bの厚さ方向の位置関係は、前述した場合と逆であっても良い。
【0033】
また、前記第1突起22及び第2突起23の互いに係止し合う係止面22a,23a、及び、前記第3突起25及び第4突起26の互いに係止し合う係止面25a,26aは、各々の突起の先端側(頂点側)に向かってその突起の厚みが次第に薄くなる方向に傾斜している。
【0034】
なお、前記一対のアーム5a,5bの厚みTは、該厚みTをアーム5a,5bの先端側に向けて次第に薄く形成する場合、前記第1の突起対21及び第2の突起対24を形成し易くするため、これら第1の突起対21及び第2の突起対24が形成されている部分の若干前方側から若干後方側(好ましくはグリップ部4との境界)までの範囲S内で、一定の大きさに形成することが望ましい。
【0035】
前記位置ずれ防止機構20は次のように動作する。即ち、前記第1アーム5aと第2アーム5bとの間に被清掃物を挟んで清掃間隔8を狭めたとき、
図7に示す第1の突起対21における第1突起22の係止面22aと第2突起23の係止面23aとが相互に係止すると同時に、
図8に示す第2の突起対24における第3突起25の係止面25aと第4突起26の係止面26aとが相互に係止する。そして、前記第1突起22と第2突起23との係止により、前記第1アーム5aの表面6a方向への変位及び第2アーム5bの裏面6b方向への変位が防止され、また、前記第3突起25と第4突起26との係止により、前記第1アーム5aの裏面6b方向への変位及び第2アーム5bの表面6a方向への変位が防止され、その結果、前記第1アーム5a及び第2アーム5bの表面6a方向及び裏面6b方向への変位が防止されることになる。
【0036】
前記清掃具本体2は、前記係止体13a及び位置ずれ防止機構20を除いた形状が表裏対称をなすと共に、前記位置ずれ防止機構20を除いた形状が左右対称をなすように形成されている。
【0037】
次に、前記構成を有する清掃具1を使用して例えばエアコンのエア吹き出し口を清掃する場合について説明する。
まず、前記エア吹き出し口の内壁面のように比較的広い面を清掃するときは、清掃具本体2の前記グリップ部4を片手に持ち、一対のアーム5a,5bの表面6a又は裏面6bを内壁面に向けることにより、ダストクロス3の表面6a又は裏面6bを全面的に前記内壁面に押し当てて清掃する。このとき、前記一対のアーム5a,5bが滑らかに撓んでダストクロス3を適度の力で内壁面に弾力的に押し当てるため、大きな力を加える必要がなく、しかも、前記内壁面が曲面であってもフィットし易い。また、前記ダストクロス3は極細繊維で形成されていて、除塵能力が勝れているため、通常の汚れは洗剤を使用しなくても落とすことができる。
前記ダストクロス3の一方の面が汚れたら、清掃具1を表裏反転させてダストクロス3の他方の面を使用して清掃する。
【0038】
また、前記エア吹き出し口に設置されたフィンを清掃する場合は、前記一対のアーム5a,5bの間、即ちダストクロス3の2つの分岐部12,12の間に、該フィンを挟み、清掃間隔8を狭めることによって該フィンを両側から挟み付けるようにしながら表面の汚れを拭き取る。これにより、該フィンの両面をダストクロス3の2つの分岐部12,12の内側面で同時に清掃することができると同時に、該2つの分岐部12,12の付け根の部分でフィンの側面も清掃することができる。
【0039】
このとき、前記一対のアーム5a,5bは、前記位置ずれ防止機構20における第1の突起対21の2つ突起22,23及び第2の突起対24の2つ突起25,26がそれぞれ係止し合うことにより、表面6a方向及び裏面6b方向の位置ずれが防止されるため、両アーム5a,5b間に前記フィンを確実且つ安定的に挟んで清掃することができる。
そして、前記操作を全てのフィンについて行うことにより、該全てのフィンの表裏面及び側面を簡単に清掃することができる。
【0040】
前記清掃具1は、前述したようにエアコンのエア吹き出し口の清掃だけでなく、室内や家具等の清掃も行うことができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0041】
1 清掃具
2 清掃具本体
3 ダストクロス
4 グリップ部
5a,5b アーム
6a 表面
6b 裏面
7a 内側面
7b 外側面
8 清掃間隔
11 胴部
12 分岐部
13a,13b 係止体
16 弾性フック
20 位置ずれ防止機構
21 第1の突起対
22 第1突起
23 第2突起
24 第2の突起対
25 第3突起
26 第4突起