(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】フローリングワイパー
(51)【国際特許分類】
A47L 13/24 20060101AFI20240213BHJP
A47L 13/20 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
A47L13/24 A
A47L13/20 A
(21)【出願番号】P 2020147644
(22)【出願日】2020-09-02
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000101363
【氏名又は名称】アズマ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】田口 信吾
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-243904(JP,A)
【文献】特開2006-122355(JP,A)
【文献】登録実用新案第3226108(JP,U)
【文献】特開2006-239174(JP,A)
【文献】特開2014-042558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/24
A47L 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃シートを取り付けて床面を清掃するフローリングワイパーであって、
上記フローリングワイパーは、柄と、柄の先端に連結されたヘッドとを有し、
上記ヘッドは、長手方向と短手方向とを有する基盤と、該基盤の上面の長手方向の一端側及び他端側にそれぞれ配設されたシート止着機構とを有し、
上記シート止着機構は、上記基盤の短手方向の一端側と他端側との相対する位置に形成された一対の庇部と、該一対の庇部の間に配設されたシート固定部材とを有し、
上記庇部は、上記基盤から立ち上がった脚部の上端に該基盤の内側に向けて突き出すように形成され、
該庇部の先端部に
、指を挿入可能な幅を持つ凹部
が上記基盤の内側に向けて開口するように形成されると共に、
該庇部の先端部下面の上記凹部を挟んで隣接する位置に、一対の突起が該庇部の下面から下向きに突出する
ように形成され、
上記シート固定部材は、上記基盤の短手方向に細長い板状をしていて、可撓性を有し、中間部が上記基盤に取り付けられると共に、両端の自由端が、上記一対の庇部の下方にそれぞれ潜り込んで上記突起に下から当接
することにより、該シート固定部材と上記突起との間に上記清掃シートを挟持するように構成されている、
ことを特徴とするフローリングワイパー。
【請求項2】
上記凹部の内周壁は滑らかな曲面をしていることを特徴とする請求項1に記載のフローリングワイパー。
【請求項3】
上記
一対の突起の互いに向かい合う内側面は上記凹部の内周壁の曲面と同一曲面上にあることを特徴とする請求項2に記載のフローリングワイパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃シートを清掃ヘッドに装着して床面を掃除するフローリングワイパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、清掃ヘッドに清掃シートを装着して床面を掃除するフローリングワイパーは公知である。特許文献1には、織布や不織布からなる拭布1と、拭布1が取り付けられる平面視矩形の拭布取付台2と、使用者が手で持つための柄4とを有するモップが開示されている。上記モップは、上記拭布取付台2の上面に上記拭布1を取り付けるための止着手段3を有している。上記止着手段3は、拭布取付台2の上面から上方に立ち上がって、上端に拭布取付台2の内側に折れ曲がった係止部5a,5aを有する一対の立壁5,5と、上記係止部5a,5a間に弾性変形可能に設けられた可撓性を有するプレート状の挟持部材6とで構成され、この挟持部材6を撓ませながら上記拭布1を係止部5aと挟持部材6の自由端との間に押し込むことで、拭布1が、上記係止部5aと自由端とで挟持されて拭布取付台2に取り付けられる。
【0003】
特許文献1のモップは、上記挟持部材6を撓ませて、この挟持部材6と立壁5との間に拭布1を挟持させたり、その挟持を解除して拭布1を取り外すもので、厚手の拭布であっても薄手の拭布であっても簡単に拭布取付台2に取り付けられる。ところが、この種のモップは、上記拭布1を、上記挟持部材6を弾性変形させる際に、上記立壁5の係止部5a,5aの縁に指が引っ掛かり、拭布1を装着し難いことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的課題は、清掃シートをヘッドに装着するときに指先が該ヘッドの一部に当たるのを防止して、清掃シートの装着を円滑に行うことができるようにしたフローリングワイパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明によれば、清掃シートを取り付けて床面を清掃するフローリングワイパーであって、上記フローリングワイパーは、柄と、柄の先端に連結されたヘッドとを有し、上記ヘッドは、長手方向と短手方向とを有する基盤と、該基盤の上面の長手方向の一端側及び他端側にそれぞれ配設されたシート止着機構とを有し、上記シート止着機構は、上記基盤の短手方向の一端側と他端側との相対する位置に形成された一対の庇部と、該一対の庇部の間に配設されたシート固定部材とを有し、上記庇部は、上記基盤から立ち上がった脚部の上端に該基盤の内側に向けて突き出すように形成され、該庇部の先端部に、指を挿入可能な幅を持つ凹部が上記基盤の内側に向けて開口するように形成されると共に、該庇部の先端部下面の上記凹部を挟んで隣接する位置に、一対の突起が該庇部の下面から下向きに突出するように形成され、上記シート固定部材は、上記基盤の短手方向に細長い板状をしていて、可撓性を有し、中間部が上記基盤に取り付けられると共に、両端の自由端が、上記一対の庇部の下方にそれぞれ潜り込んで上記突起に下から当接することにより、該シート固定部材と上記突起との間に上記清掃シートを挟持するように構成されている、ことを特徴とするフローリングワイパーが提供される。
【0007】
本発明において、上記凹部の内周壁は滑らかな曲面をしていることが望ましい。
【0008】
本発明において、上記一対の突起の互いに向かい合う内側面は上記凹部の内周壁の曲面と同一曲面上にあると、より望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフローリングワイパーは、シート止着機構の一方を構成する庇部の先端部に、指を挿入可能な幅を持つ凹部が設けられ、この凹部の位置で、清掃シートを指先で庇部の下に押し込むことにより、上記清掃シートが、上記庇部の下にある突起と、シート止着機構の他方を構成するシート固定部材との間に挟持される。このとき、上記凹部が、上記清掃シートを庇部の下に押し込む際の逃げとなるため、庇部の先端縁に指が引っ掛かることがなく、清掃シートの装着作業を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るフローリングワイパーを示す斜視図である。
【
図2】
図1のフローリングワイパーの平面図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿った拡大断面図である。
【
図7】本発明のフローリングワイパーに清掃シートを取り付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るフローリングワイパーについて、
図1-
図7を用いて説明する。
上記フローリングワイパー1は、
図1に示すように、柄2と、該柄2の先端に取り付けられた矩形のヘッド3とを有し、上記ヘッド3に、清掃シート4を、該ヘッド3の下面の全体を覆うようにして装着し、該ヘッド3で上記清掃シート4を床面に押し付けて清掃を行うものである。
【0012】
上記清掃シート4は、不織布または織物等により形成された長方形状の柔軟なシートである。上記清掃シート4としては、使い捨て用シートのような薄手のものや、雑巾のような厚手のものも採用することができる。また、上記清掃シート4は、水や洗浄剤等の液体を含んだウェットタイプのものや、液体を含んでいないドライタイプのものが、清掃目的に応じて使い分けられる。
【0013】
上記柄2は、金属または合成樹脂からなる丸棒状の部材である。この柄2は、基端部にグリップ2aが設けられていると共に、先端部に、前後方向(基盤6の短手方向)及び左右方向(基盤6の長手方向)に傾動できる自在継手5が取り付けられている。上記柄2は、自在継手5を介して、ヘッド3に、前後方向及び左右方向に向けて任意の角度傾動自在なるように連結されている。上記柄2は、長さ調整のために伸縮可能に形成されていてもよい。
【0014】
上記ヘッド3は、長手方向と短手方向とを有する横長の長方形状をした基盤6と、上記基盤6の下面に取り付けられた横長の長方形状をしたパッド7と、上記基盤6の長手方向の一端側及び他端側の上面6aにそれぞれ配設されたシート止着機構8,8とを有している。上記パッド7は、清掃時のクッション性を高めるもので、上記基盤6よりも若干大きめに形成されている。
【0015】
上記基盤6は、合成樹脂で形成され、その上面6aには、上記柄2を取り付けるための柄取付部9が、該基盤6の長手方向及び短手方向の中央に配されている。上記柄取付部9は、上方に向けて突出する凸形状を有し、その上端部が、上記自在継手5を接続する筒形をした一対の軸受部9a,9aとして形成されている。
また、上記基盤6の短手方向の一端縁と他端縁とには、該基盤6の上面6aから上方に立ち上がった端壁10が形成され、該端壁10は、基盤6の長手方向全長にわたって延びている。
【0016】
上記シート止着機構8は、ヘッド3に清掃シート4を止着するためのもので、上記基盤6の短手方向の一端側と他端側との相対する位置に形成された一対の庇部15,15と、該一対の庇部15,15の間に配設されたシート固定部材12とから構成されている。
【0017】
上記庇部15は、上記基盤6の上面6aから上方に立ち上がった脚部14の上端から該基盤6の内側に向けて延びていて、先端部中央に該基盤6の内側に向けて開口する凹部16を有すると共に、該庇部15の下面から下向きに突出する突起17を有している。上記庇部15の正面視幅すなわち上記基盤6の長手方向に沿った長さは、該庇部15の突出幅すなわち上記脚部14の上端から基盤6の内側に向けて突出する幅より大きく、該庇部15の先端部両端の角部は丸められている。
なお、図示した実施形態では、上記庇部15が上記端壁10の上端から延びていて、この端壁10の一部が上記脚部14を兼ねているが、この脚部14は、端壁10とは別体に形成することもできる。
【0018】
上記凹部16は、円弧かまたは円弧に近い平面視形状を有するもので、その内周壁は滑らかな凹曲面をなしており、該凹部16の横幅(開口幅)は、清掃シート4の着脱時にこの凹部16内に指先を挿入し得る程度の大きさである。
【0019】
また、上記突起17,17は、上記庇部15の先端部下面の、上記凹部16を挟んで互いに隣り合う位置に、それぞれ1つずつ設けられている。該突起17の前後幅は、上記庇部15の突出幅より小さく、上記凹部16の深さよりも小さい。また、該突起17の高さは上記庇部15の厚さと同程度であるが、該厚さよりも小さくても大きくても構わない。さらに、上記一対の突起17,17の、上記凹部16を介して互いに向かい合う内側面17a,17aは、上記凹部16の内周壁と同位置にあり、上記凹部16の内周壁の曲面と同一曲面上にある。
【0020】
一方、上記シート固定部材12は、
図3-
図6に示すように、合成ゴムや合成樹脂等から成る可撓性を有する細長い板状をした部材であって、中央部下面に取付部12aを有し、該取付部12aを基盤6の上面6aに形成された被取付部13に係止させることにより、該基盤6上の上記一対の庇部15,15間に、一方の自由端12bを一方の庇部15側に向けると共に他方の自由端12bを他方の庇部15側に向けた姿勢で取り付けられている。このとき、上記シート固定部材12の長さは、上記一対の庇部15,15間の間隔より大きいため、該シート固定部材12の一端及び他端は、上記一対の庇部15,15の一方及び他方の下にそれぞれ潜り込み、各々の庇部15,15の下面の突起17,17にそれぞれ下から当接している。このときのシート固定部材12を側面から見たときの姿勢は、
図7に示すように、中央部が最も高く、両端の自由端12b,12b側に行くほど次第に高さが低くなるように、上に向けて凸をなす形に湾曲している。
【0021】
図示した例では、上記シート固定部材12の幅が上記庇部15の正面視幅より小さいが、該シート固定部材12の幅は、上記庇部15の正面視幅と同じかあるいはそれより大きくても構わない。
【0022】
上記構成を有するフローリングワイパー1に清掃シート4を取り付ける場合には、
図7のように、上記清掃シート4を、上記基盤6に取り付けられたパッド7の下面全体と、該基盤6の上面6aの短手方向(前後方向)の両端部とを覆うように巻き付ける。
【0023】
そして、上記庇部15に形成された凹部16の位置で、清掃シート4の端部を指先で庇部15の下に押し込むことにより、上記シート固定部材12の端部を下方に弾性変形させて該シート固定部材12と上記突起17との間に清掃シート4の端部を挟み込むようにする。そうすることで、上記清掃シート4の端部が上記シート固定部材12と突起17との間に挟持される。このとき、上記凹部16が、上記清掃シート4を庇部15の下に押し込む際の逃げとなるため、該凹部16が形成されていない場合のように庇部15の先端縁に指が引っ掛かることがなく、このため、清掃シート4の装着作業を円滑且つ安全に行うことができる。また、上記清掃シート4の端部は、上記シート固定部材12と突起17との間に挟持されることによって該突起17に係止するため、該突起17が形成されていない場合に比べて挟持力が大きく、清掃時に清掃シート4に摺動抵抗が作用しても、外れにくい。
【0024】
清掃で汚れた清掃シート4をヘッド3から外す場合には、上記凹部16の位置でシート固定部材12の自由端12bを押し下げることにより、該自由端12bを下向きに弾性変形させる。そうすると、上記自由端12bと上記突起17とによる清掃シート4の挟持が解除されるため、その状態で清掃シート4を外部に引き出すことで、清掃シート4を取り外すことができる。
【0025】
以上、本発明に係るフローリングワイパーついて説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない範囲で様々な設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 フローリングワイパー
2 柄
3 ヘッド
6 基盤
6a 上面
8 シート止着機構
12 シート固定部材
12b 自由端
14 脚部
15 庇部
16 凹部
17 突起
17a 内側面