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特許7433655多層複屈折構造内の量子光学的効果の使用を通じた乱数の生成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】多層複屈折構造内の量子光学的効果の使用を通じた乱数の生成
(51)【国際特許分類】
   G06F 7/58 20060101AFI20240213BHJP
   G02F 3/00 20060101ALI20240213BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G06F7/58 680
G02F3/00
G02B5/30
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020564414
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 US2019032192
(87)【国際公開番号】W WO2019222195
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】15/979,062
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517309940
【氏名又は名称】スカーレット,キャロル ワイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スカーレット,キャロル ワイ.
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/141192(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0048072(US,A1)
【文献】特開2003-036168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F7/58
G02F3/00
G02B5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム源からビームを受信するように構成された複屈折構造であって、前記複屈折構造は複数の層を備える、複屈折構造と、
前記複屈折構造の前記複数の層の各々の間に配置された複数の偏光子であって、
前記複屈折構造の前記層および前記複屈折構造の前記複数の層の各々の間に配置された前記複数の偏光子は、前記複屈折構造を通じて伝播する際に前記ビームを分割し、漸進的分岐ビームを形成するように配置されている、複数の偏光子と、
前記複数の偏光子に結合され、前記複数の偏光子の偏光軸を制御するように構成されたコントローラと、
前記複屈折構造を出る前記分岐ビームによって生成されたランダム化エネルギーを受信し、前記ランダム化エネルギーを並列ランダム化出力信号に変換するように配置された光検出器と
を備える、ランダム化生成光学システム。
【請求項2】
各層は、前の各層の複屈折軸とずれている複屈折軸を有する、請求項1に記載のランダム化生成光学システム。
【請求項3】
前記複屈折構造の各層は、前記複屈折構造の前の各層の複屈折軸と整列している複屈折軸を有し、
前記複数の偏光子の前記偏光軸は、前記複屈折構造の前記層の前記整列した複屈折軸に対して回転させられている
請求項1に記載のランダム化生成光学システム。
【請求項4】
各偏光子は、前記複屈折構造の各層から切り離されている、請求項1に記載のランダム化生成光学システム。
【請求項5】
各偏光子は、一体型偏光子を形成するために前記複屈折構造の層に取り付けられている、請求項1に記載のランダム化生成光学システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記複屈折構造の前記層とは無関係に前記偏光子を回転させるように構成された機械的歯車システムである、請求項1に記載のランダム化生成光学システ
ム。
【請求項7】
前記コントローラは、印加電圧によって操作されるように構成された1つ以上の液晶を含む、請求項1に記載のランダム化生成光学システム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記ビームに特定のデバイスのシグネチャを課すように、前記偏光子の前記偏光軸を制御するように構成されている、請求項1に記載のランダム化生成光学システム。
【請求項9】
前記シグネチャは、埋め込まれた信号の形態の物理的にクローン不可能な関数(PUF)である、請求項8に記載のランダム化生成光学システム。
【請求項10】
前記複屈折構造の各層は、少なくとも1mmの厚さを有する、請求項1に記載のランダム化生成光学システム。
【請求項11】
前記複屈折構造の前記層はカルサイトの層である、請求項1に記載のランダム化生成光学システム。
【請求項12】
ランダム化を生成するための方法であって、前記方法は、
ビーム源からのビームを、複数の層を備える複屈折構造に受信するステップであって、各層は、前の各層の複屈折軸とずれている複屈折軸を有し、偏光子が前記複屈折構造の各層の間に配置されている、ステップと、
前記偏光子に結合されたコントローラによって、前記偏光子の動きを制御するステップと、
前記複屈折構造に差し迫った前記ビームが、まとまって漸進的分岐ビームを形成するために追加ビームに細分化されるように、前記複屈折構造の前記層および前記偏光子に前記ビームを通すことによって、前記ビームを細分化するステップと、
光検出器によって、前記複屈折構造を出る前記分岐ビームによって生成されたランダム化エネルギーを検出するステップと、
前記光検出器で検出された前記ランダム化エネルギーから並列ランダム化出力信号を生成するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記複屈折構造の各層は、前記複屈折構造の前の各層の複屈折軸と整列している複屈折軸を有し、
前記複数の偏光子は、前記複屈折構造の前記層の前記整列した複屈折軸に対して回転させられた偏光軸を有する、
請求項12に記載のランダム化を生成するための方法。
【請求項14】
各偏光子は、前記複屈折構造の各層から切り離されている、請求項12に記載のランダム化を生成するための方法。
【請求項15】
各偏光子は、一体型偏光子を形成するために前記複屈折構造の層に取り付けられている、請求項12に記載のランダム化を生成するための方法。
【請求項16】
前記ビームに特定のデバイスのシグネチャを課すように、前記偏光子の偏光軸を制御するステップをさらに含む、請求項12に記載のランダム化を生成するための方法。
【請求項17】
前記シグネチャは、埋め込まれた信号の形態の物理的にクローン不可能な関数(PUF)である、請求項16に記載のランダム化を生成するための方法。
【請求項18】
前記複屈折構造の各層は、少なくとも1mmの厚さを有する、請求項12に記載のランダム化を生成するための方法。
【請求項19】
ビーム源からビームを受信するように構成された複屈折構造であって、前記複屈折構造は複数の層を備え、
各層は、前記ビームの光子が混合量子状態で各層に入るように、前の各層の複屈折軸からの偏光の交番方向を有する複屈折軸を有し、
前記複屈折構造の各層は、前記複屈折構造を通じて伝播する際に前記ビームを分割し、漸進的分岐ビームを形成するように配置されている、複屈折構造と、
前記複屈折構造を出る前記分岐ビームによって生成されたランダム化エネルギーを受信し、前記ランダム化エネルギーを並列ランダム化出力信号に変換するように配置された光検出器と
を備える、ランダム化生成光学システム。
【請求項20】
各層の前記複屈折軸は、前の各層の前記複屈折軸から45度回転させられる、請求項19に記載のランダム化生成光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその開示の全体が本明細書に組み込まれる、2015年3月4日に出願された米国特許仮出願第62/128,088号の米国特許法第119条(e)の下で優先権の利益を主張する、2016年3月3日に出願された米国特許出願第15/060,144号の一部継続である、2018年5月14日に出願された米国特許出願第15/979,062号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で提供される背景の説明は、本開示の文脈を一般的に提示することを目的とする。この背景のセクションに記載されている範囲で、現在挙げられている発明者らの著作物、ならびに出願の時点で従来技術として別途承認されない可能性がある説明の態様は、本開示に対する従来技術として明示的にも暗示的にも認められない。
【0003】
乱数の使用は、コンピュータサイエンスおよび情報技術の分野においてほぼ遍在している。乱数は、機密メッセージをエンコードするため、現実のランダム化されたイベントを模倣するシミュレーション(ウォールストリートによる科学的計算および消費者行動のモデリングで使用されるモンテカルロシミュレーションとしても知られる)を作成するため、宝くじなどのゲームアプリケーション向け、ならびに科学および計算におけるその他のアプリケーションのホスト向け、に使用される。伝統的な乱数発生器(RNG)デバイスは、初期数を生成するために、様々な電子および光学ノイズを利用してきた。多くの場合、プロセスは十分に遅いので、これらの初期数値は、最終的にランダムビットを生成する数学的アルゴリズムのための「シード」のみを提供する。しかしながら、これらのランダムビットは、システム設計の根本的な制限のため、擬似ランダムに過ぎない。
【0004】
現在、乱数を生成する光学システムは、光学ノイズを使用して生成している。しかしながら、従来の設計におけるノイズ、たとえば光ビームスプリッタを通過する単一光子によるノイズの発生源は、温度および外部条件のために著しい変動を示し、多くの場合、DC信号の減算を必要とする。これは、多くのRNGが、光子計数率が低いため、または通常所望の効果よりも桁違いに大きい非ランダムバックグラウンドのフィルタリングのため、かなりの数のゼロビットを補正する回路(フォンノイマン補正器)がある場合のみ有益であることを意味する。このようなRNGデバイスは、ノイズレベルがいくつかの閾値を上回るのを待つ必要があるため、低速を呈する場合もある。
【0005】
電子デバイスがより速く、より安く、動作が並列になるにつれて、動作条件または擬似ランダムアルゴリズムの必要性に左右されない方法で真の乱数を生成することに大きな関心が寄せられている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、ランダムビットを生成するための代替技術、従来のRNGに関連する多くの欠点を克服する技術を提供する。本技術は、非常にコヒーレントであり得、超低ノイズを呈し得るビーム源(たとえば、レーザー源)を使用し、複屈折媒質との繰り返しの相互作用を通じてランダム化された光出力を生成する。デバイスは、光の偏光状態を回転させるために使用されてもよく、(複屈折媒質の軸に対して)ノイズを呈する光出力を生じる「混合量子状態」を維持する。この強化されたノイズ、ランダムビーム出力は、単一セルまたはピクセル化された光検出器によって読み取ることができる。各ピクセルは、ランダム
化されたエネルギー変動の異なるセットを経験し、これにより、本質的にランダムかつ並列な性質のビットストリームを提供する。
【0007】
いくつかの例では、光遅延またはファブリペロー設定のいずれかを含む、ミラー共振器が使用され得る。共振器は、偏光回転素子とともに、共振器内の複屈折材料を通じて光を前後に反射させる。これにより、共振器内のビームが共振器を通過する際に、材料の複屈折軸に対して(平行または垂直な方向に沿って)その偏光軸にしたがって、共振器内のビームを連続的に分割させる。ビームが細分化されると、各々の新しい分割に関連するエネルギーは、各々の前の分割のエネルギーの半分になる。このような減少は、光子の数(共振器に入る光に関連するエネルギーの分割不可能な単位)が1よりも大きい場合にのみ継続できる。統計的限界、すなわち総入力ビームエネルギーを取得し、単一光子のエネルギーで割ることによって決定される限界[E=(hω/2π)]に到達すると、共振器内の光子は、各々がランダムな量の横方向運動量を獲得する際にランダムウォークする。このランダムウォークから、デバイスは、後に光検出器によって測定されるランダム化されたエネルギー分布を生成する。
【0008】
別の例では、単回通過ランダム化システムを作成するために、共振器構成が多層複屈折構造に置き換えられる。このような例では、複屈折構造は複数の当接層で形成され、後続の各層は、前の入射層とずれている複屈折軸を有する。このような構成では、光は各表面を同様に分割し、続いて、次の層のさらなる分割が発生し、最終的に分岐が発生して構造からランダム化エネルギーを生成するように、次の層に対して回転状態となる。
【0009】
一例によれば、ランダム化生成光学システムは、第1ミラーおよび第2ミラーで形成された光共振器であって、第1ミラーはビーム源からのビームを共振器内に受信するように構成されており、第1ミラーおよび第2ミラーは共振器の複数の往復トラバーサルにわたってビームを伝播するように配置されている、光共振器と、共振器内の複数の偏光子素子および光共振器内に配置された複屈折媒質であって、複屈折媒質は、ビームを受信し、少なくとも各往復トラバーサルで新しい細分化されたビームを生成し、これによって共振器内で増加する分岐ビームを形成するため、ならびに複数の偏光子素子の1つ以上によって誘発される偏光選択または回転に応答して、光共振器内に配置され、光共振器は、往復トラバーサルのランダム化閾値数が発生した後にランダム化されたエネルギーが共振器内で生成されるように、共振器の往復トラバーサルのランダム化閾値数のために共振器内にビームおよび増加する分岐ビームを保持するように構成されており、共振器は、生成されたランダム化されたエネルギーを共振器から放出するように構成されている、複数の偏光子素子および複屈折媒質と、共振器からランダム化されたエネルギーを受信し、ランダム化エネルギーを並列ランダム化出力信号に変換するように配置されている光検出器とを備える。
【0010】
別の例によれば、ランダム化を生成するための方法であって、方法は、光共振器内に、ビーム源からのビームを受信するステップと、光共振器の複数の往復トラバーサルの光共振器内にビームを保持するステップと、複屈折媒質上で妨害されるビームが、まとまって共振器内で分岐ビームを形成するために追加ビームに細分化されるように、各往復トラバーサルで、複屈折媒質および複数の偏光子素子にビームを通すことによって、ビームを細分化するステップと、往復トラバーサルの閾値数が共振器内に発生してしまうまで、共振器内に分岐ビームを保持するステップであって、その後、ランダム化されたエネルギーが、分岐ビームから共振器内で生成される、ステップと、光検出器でランダム化されたエネルギーを検出するステップと、光検出器で検出されたランダム化されたエネルギーから並列ランダム化出力信号を生成するステップとを含む。
【0011】
本開示に組み込まれてその一部を構成する添付図面は、本装置の様々な実施形態を示す
。これらの図面は、以下を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一例による、ランダム化を作成するための光学システムの概略図である。
図2】別の例による、ランダム化を作成するための別の光学システムの概略図である。
図3】一例による、細分化のための複屈折媒質に対する「混合量子」状態を表す偏光を伴ってビームがサンプル材料に入るとき、図1および図2のような複屈折サンプルを横断する際にビームがどのように分割されるかを示す。
図4】一例による、図1および図2の光学システムにおいてビームを連続的に分割させるためのビーム分岐プロセスを示す。
図5】一例による、平面ミラーを使用してランダム化を作成するための光学システムの概略図である。
図6】別の例による、平面ミラーを使用してランダム化を作成するための別の光学システムの概略図である。
図7A】一例による、光検出器上のランダム化されたエネルギーピクセルパターンを示す図である。
図7B】一例による、光検出器上の別のランダム化されたエネルギーピクセルパターンを示す図である。
図8】一例による、セグメント化された偏光子で形成された複屈折媒質および光共振器の概略図である。
図9】一例による、ファブリペロー構成を有するランダム化のための光学システムを示す図である。
図10】一例による、ランダム化のための単回通過の光学システムを示す図である。
図11】一例による、ランダム化を作成するための単回通過の光学システムの概略図である。
図12】別の例による、ランダム化を作成するための別の単回通過の光学システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本技術は、最初はコヒーレントであってもなくてもよい光の入射ビームからランダム化されたエネルギーまたは光出力を生成するために、複屈折を適用する。光複屈折現象は、材料が入射する電界の方向および材料の原子構造の配列に応じて入射する光の非偏光または偏光ビームを2つの異なる状態に分割するときに発生する。複屈折材料は、一方向または別の方向に、「混合量子(偏光)状態」で、単一光子をランダムに偏向させるビームスプリッタの形態の乱数発生器での使用を既に見いだしている。これらのデバイスは、1つの光子で動作する単段デバイスであり、これは、ほとんどの計算用途の場合と同様に、非常に大きなランダム化されたビットストリームが必要な用途では本質的に実用的ではないことを意味している。また、この技術は、しばしば高い割合のゼロビットを生成し、これを補正する必要があるので、ある時点での1つの光子のランダム化でさえ有用性に疑問がある。
【0014】
図1は、ビーム源102と、第1共振器ミラー106および第2共振器ミラー108によって規定される光共振器104とを有する光学システム100を示す。ビーム源102は、例として、アーク灯、フラッシュチューブ、電気火花、無電極ランプ、エキシマランプ、蛍光灯、高輝度放電ランプ、中空陰極ランプ、誘導灯、ネオンライト、およびアルゴンランプ、プラズマランプ、キセノンフラッシュランプ、様々なフィラメントまたはガスを使用する電球、さらには日光などの非コヒーレントビーム源であり得る。図示されるものを含む別の例では、ビーム源102は、ダイオードレーザー、VCSELアレイ、もし
くはガス管、固体構造、光ファイバー、フォトニック結晶、半導体、染料、自由電子、または連続動作するか(CW)パルスがかけられるか(qスイッチ、モード固定、またはパルス励起)にかかわらず、その他の外来の媒質を使用するレーザーなどのコヒーレントビーム源であり得る。ビーム源102は、可視光、近赤外線、中赤外線、長赤外線、紫、またはその他の適切なスペクトル領域でビーム放射を生成し得る。また、いくつかの例では、ビーム源は、複数の波長成分にわたるビーム放射を含んでもよく、各波長成分は、たとえば複数の異なる光検出器を使用するとき、光学システムによって別々にランダム化され得る。
【0015】
図示される例では、ビーム源102は、共振器104に入射し、ミラー106を通じて共振器内に導入されるビームを生成し、これは、外部ビームを部分的に透過してもよく、またはボアホール(図示の通り)を有してもよく、またはビームが共振器104の軸に対して非90°の角度をなすときに衝突してもよい。つまり、いくつかの例では、ビーム源102からの入射ビームは、第1ミラー106の入力ボアホールを通じて入り、同じ入力ボアホールを通じて共振器104から出る。別の例では、入射ビームは、図2の光学システム100’(ミラー108が有していない出口ボアホールを有するミラー108’を除き、同じ参照番号を有する)に示されるように、共振器の反対側のミラー108の出口ボアホールを通じて出ることができる。入力ビームの入力角度およびランダム化エネルギーの出口角度は、いくつかの例では異なってもよく、別の例では同じ(またはほぼ同じ)であってもよい。出口穴のサイズは、光学システム100によって生成されたランダム化されたエネルギーのビーム広がりと一致するように選択され得る。
【0016】
共振器104は、カルサイト、石英、ルビー、ルチル、サファイア、炭化ケイ素、トルマリン、ジルコン、フッ化マグネシウム、ニオブ酸リチウム、氷、緑柱石ホウ酸バリウム、ボラックス、エプソム塩、雲母-黒雲母、雲母-白雲母、オリビン、ペロブスカイト、トパーズ、ウレキサイト、および外部磁場との相互作用を通じて誘導可能な複屈折を有する材料などの複屈折媒質110である。複屈折媒質110は、速軸および遅軸の両方を生じさせる2つの屈折率の差によって特徴付けることができる。これらの異なる屈折率は、入射ビームを2つに分割させる。出射ビームの分離は、これら2つの屈折率の差の関数である(Δn=n-n)。
【0017】
複屈折媒質110は、2つの偏光子素子(プレート)112の間に配置され、これらは、互いに整列した、互いに直交する、または互いに対して角度付けされた偏光軸を有し得る。これらの偏光子素子は、たとえば直線偏光子、または円偏光子であり得る。いくつかの例では、これらの偏光子プレート112は、代わりに、ビームが共振器104を横断する際に部分的な偏光状態の回転を提供する波長板である。さらに別の例では、これらの偏光子は、たとえば電気的に回転可能な液晶板を含む、回転可能な要素である。つまり、偏光子プレート112の偏光軸は、ランダム化を実現するために動作中に固定され得る。一方、別の例では、プレート112は、ランダム化プロセス中にその偏光軸が変化するように、プレート112は動作中に回転し得る。以下でさらに記載されるように、たとえば、ランダム化されたエネルギー出力内に情報を埋め込むために、変化する偏光軸を使用することができる。
【0018】
図示されないが、いくつかの例では、共振器104は、ミラー表面の1つに沿ったある位置に埋め込まれた光子検出器、ビーム内の光子の一部または全ての偏光を変更することを通じて情報を転写するために使用することができる複屈折材料の表面に沿ったネマチック結晶ゲル、または共振器を出る前にビームを集束または屈折させるその他の材料などの要素を、さらに含むことになる。これらの要素は、偏光回転子または集束素子の外層を有する中央の複屈折材料からなる単一の材料として、層に組み合わせられるか、または機械的構造を通じて別々に所定の位置に保持されることが可能である。
【0019】
動作中、ミラー106、108は、入射ビームを封入された複屈折媒質110と繰り返し相互作用させる反射型共振器を形成する。したがって、共振器104は、主に中央の媒質の複屈折の程度に応じて、光遅延またはファブリペロー共振器(たとえば、図9)として構成され得る。複屈折媒質110は、図3に示されるように、入射ビームのエネルギーを複数のビームに分割する。偏光プレート112は、媒質110の複屈折軸に対して「混合量子」状態を維持するために、入射ビームの偏光を回転させ、分割されたビームが各トラバーサルで生成される。こうしてこの構成は、ビームエネルギーが共振器104の各トラバーサルで細分化できるようにする。つまり、偏光プレート112は、共振器軸に直交するy軸に対して角度をなす偏光軸を有し得る。たとえば、偏光プレート112は、y軸に対して22.5°の角度を形成し得るが、ただし偏光回転を作成するために、非0°の鋭角が使用され得る。図3は、複屈折媒質上の入射ビームの細分化を示す。入射ビームは、一例によれば、媒質の複屈折軸に沿った状態と媒質の複屈折軸に垂直な状態の、2つの状態に細分化される。共振器内のビームが共振器を横断すると、図4に示されるように、ビーム分岐プロセスが発生し、共振器はビームを連続的に分割して、新しい偏光ベースの細分化されたビームを生成する。つまり、最初の入力ビームは共振器を横断し、各ラウンドトリップ、または構成に応じて各シングルトリップは、図4に示されるように、分岐ビームとも呼ばれる、数が増加するビームを生成する。
【0020】
各トラバーサルで複屈折媒質を出るビーム(たとえば、図3参照)は、垂直な偏光状態を有する2つのビーム成分に分離されている。プレート112の偏光軸の角度に応じて、各トラバーサルで、ビーム成分は各々、複屈折媒質に入った後にさらに分割され、このプロセスは、少なくともランダム化閾値に到達してランダム化エネルギーが生成されるまで、継続および成長する。プレート112の偏光軸が各トラバーサルの前にこれらのビーム出射ビーム成分の偏光軸に対して回転させられる、図1および図2のような構成では、共振器の片道トリップごとに、またはラウンドトリップごとに2回、分割が行われる。しかしながら、プレート112の偏光軸の1つがビーム成分の偏光軸の1つに対して45°の角度に沿って一定に保持される構成では、ラウンドトリップごとに分割が行われる。さらに、ラウンドトリップにおける分割の量は、偏光子または偏光回転子の動作を制御することによって、たとえばLC回転要素を可変電圧源に接続することによって、あるトラバーサルから次のトラバーサルへと調整することができる。
【0021】
図4に示されるように、各トラバーサルで、最初のビームは、個々の光子のスケールに到達するまでそのエネルギーを細分化(分岐)させる。これが発生すると、光子はランダムな横方向運動量を獲得する。これにより、共振器を出て光検出器に衝突するビームの強度は、別のタイプの変動または光学ノイズとは非常に異なるスケールで変動する。この誘発されたノイズは、ショットノイズに見られるように、総出力の平方根ではなく総ビーム出力に応じて増減し、生成されたエネルギーに、非常に明確なシグネチャ、ならびにショットノイズデバイスに対する数値的な利点を与える。生成されたエネルギーはランダム化された分布を有し、たとえば、光検出器における出力ビーム強度はランダムである(ノイズ)。ピクセル化された検出器では、このノイズは、各ピクセルで同時に現れ、並行して読み取ることができる。
【0022】
言い換えると、光学システム100および100’は、乱数生成(RNG)の目的で複屈折の使用を改善するための技術の例である。1回の遭遇で、図3のように、最初に偏光されていない、または複屈折媒質を離れる「混合量子」(偏光)状態にあるビームは、媒質によって規定される軸に沿って2つの異なる偏光状態に分割される。このビームを同じ媒質を通じて反射するだけでは、通常、追加の効果はほとんどなく、円形複屈折の場合、最初の分割が行われないことさえある。しかしながら、本技術は、共振器内のビームの連続回転を提供し、ビームの偏光は各トラバーサルで回転させられ、共振器内でビーム分割
が連続的に発生するようになっている。しかしながら、ビーム分割が増加するにつれて、ランダム化閾値に到達し、その後、共振器内でランダム化エネルギーが生成される。次に、このランダム化エネルギーは、並列ランダム化の領域全体を生成するために共振器の外側で活用および使用され、これが光検出器によって検出され得る。
【0023】
共振器を通過する閾値数の後(たとえば、Ebeam~2(トラバーサルの数))、入射ビームはランダム化されたエネルギー分布に変換されており、これはその後、共振器104から取り出され、光検出器114、たとえばピクセル化アレイ光検出器に提供される。
【0024】
ランダム化されたエネルギー分布は、部分反射表面を通じて、開口またはボアホール、もしくは、たとえば平面ミラーが使用される場合にミラーの側面からの技術を含む、いくつかの技術を通じて共振器104から取り出され得る。ファブリペロー共振器構成(図9参照)では、1つの共振器ミラーは反射率が高く、他のものは部分的に反射性であり、ランダム化されたエネルギーを共振器から取り出すために部分反射ミラーを通じてビームを出入りさせる。光学システム100のいくつかの実装形態では、ランダム化エネルギーのみが共振器104から逃げる。いくつかの例では共振器から出力されたランダム化エネルギーに対して外部フィルタリングが実行され得るが、たとえば、出力がいくつかの非ランダム成分を有する場合。このフィルタリングは、共振器104を有するかまたはその外部の物理的フィルタを通じて実現され得る。いくつかの例では、このフィルタリングは、光検出器を通じて、たとえば、各ピクセルのDCレベルを特定のレベルに設定すること、または各ピクセルに対して所定期間にわたって平均化を実行すること、またはピクセルで強度測定を収集する前に各ピクセルに飽和期間を許容することによって、実現され得る。
【0025】
図1および図2の例のように、ビームが1つのミラーの穴を通じて、またはミラーの側面に対してある角度で導入される、光遅延に基づく構成では、ビームは、やはり逃げることができる入口のポイントに戻るまでか、もしくはビームが共振器を横断して反対側の共振器ミラーの穴または側面を通じて逃げるまで、共振器を横断する。これらの例は、曲面ミラーの場合に特に機能する。
【0026】
図5および図6は、ランダム化を生成するための光学システムの別の例示的な構成を示す。図5の光学システム200では、ビーム源102は、ある角度から、第1共振器ミラー204の外縁の外側から入射ビームを提供し、第1共振器ミラー204は、平面であって、やはり平面で第1共振器ミラー204と平行な第2共振器ミラー206とともに共振器205を規定する。複屈折媒質210を取り囲む2つの偏光プレート208が提供される。プレート208は、プレート112と同様に、固定または回転可能な偏光軸を有する、偏光子または波長板または液晶板またはその他いずれか適切な偏光子であり得る。これらの偏光子は直線偏光子であり得るが、別の例では、これらは円偏光子であってもよい。平面ミラー204、206で構成された共振器では、その形状のため、ビームは単に共振器から出ていく。ビームは、共振器の左下で非90°の角度で入り、次いでいくつかのトラバーサル後に左上から出ていき、次いでランダム化されたエネルギー光線が、画像処理デバイス214に接続された光検出器212に衝突する。図5は、システムの片側に光検出器212を有する光学システム200を示す。図6は、反対側の光検出器212を示す(したがって200’でラベル付けされている)。
【0027】
光学システム100および200は、ランダムな統計ノイズ(出現する光子の数の平方根のレベルで)によって特徴付けられるランダム化されたエネルギー、ならびに光子の数に比例するスケールのランダムなビームエネルギーを生成する。ビームエネルギーは、0と最大値との間で変動する。この光学的なランダム化されたエネルギーをランダム化されたデジタル信号に変換するために、光検出器114および212は、それぞれランダム化
処理デバイス116および214に電気的に結合される。これらのランダム化処理デバイス116/214は、それぞれ読み出し回路またはその他のプロセッサなどの光検出器114および212(当然ながら416も)が埋め込まれたプロセッサとして実現され得る。または処理デバイス116/214は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ワークステーションなどのような別個のデバイスであってもよい。いくつかの例では、処理デバイス116は、有線または無線接続を通じて光検出器114に結合され得る。いくつかの例では、処理デバイス116/214は、通信ネットワークを通じて光検出器114/212に結合され、たとえば、処理デバイス116/212は、サーバ上またはその他の場所に離れて配置されてもよい。
【0028】
光検出器114/212のピクセルアレイは、共振器104/205からランダム化エネルギーを受信し、各ピクセルは、「1」または「0」のデジタル出力信号を生成する。各ピクセルは、ピクセルがまとまって並列ピクセル出力信号を生成するように、並列に出力信号を生成する。これらの並列ピクセル出力信号は、連続的に、または対応する光検出器の読み取りサイクルごとに、生成され得る。これらの並列ピクセル出力信号は、まとまって、対応する光検出器の並列ランダム化出力信号を形成する。たとえば、12×12のピクセルアレイは、ランダム化エネルギーによって完全に照らされた場合、最大で144の並列出力信号を生成することができ、これは144の異なる値で形成された並列ランダム化出力信号であり、次いでランダム化プロセッサがこれをNビットの乱数に変換し、ここでNは144以下であり、たとえば128ビットである。図7Aは、光検出器114/212上の第1のランダム化されたエネルギーピクセルパターンを示す。ランダム化されたエネルギーパターンは、たとえばCWビーム源が使用される場合、連続的に読み取られてもよく、またはパターンは、たとえばパルスビーム源が使用される場合、周期的に読み取られてもよい。ビームが共振器に入ることが許容される限り、レーザーに電力供給されている限り、パターンは、光検出器が読み取りのためにアクセスされるたびに、自動的に変化および更新し続ける。図7Bは、別の時点で取得された別の例示的なランダム化されたエネルギーパターンを示す。
【0029】
出射ビームのエネルギーは、電子的に記録され、処理デバイス116/214によって記録される一連の「1」および「0」ビットに変換される。次に処理デバイス116/214は、光検出器114/212のピクセルによって記録された値から、Nビットの長さの乱数を生成する。このビット長Nは、光検出器114/212のピクセルの数と同じであってもよく、またはピクセルの総数のいくつかのサブセットであってもよい。いくつかの例では、Nは2に等しい整数である(2、4、8、16、32、64、128、256,など)。次に、乱数は、処理デバイス116/214/416の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読メモリに記憶される。本明細書の処理デバイスは、1つ以上のプロセス、1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令を記憶する1つ以上のメモリを含み得る。これらのデバイスは、入力デバイス(キーボード、キーパッドなど)、ディスプレイなどの周辺機器、ならびにポータブルデバイスおよびその他の処理デバイスに接続するための、入出力コネクタを含み得る。デバイスは、有線または無線通信を通じて通信ネットワークに結合するためのネットワークインターフェースを含み得る。処理デバイス116/214は、任意の所望の時間に光検出器114/212にアクセスし、ランダム化が連続的に変化する際に、特にCW動作ビーム源の場合に、新しい乱数を取得することができる。光検出器は、処理デバイス116/214によってアクセスされ得るメモリ内に検出されたランダム化ピクセル値を記憶するように、その読み出しをバッファリングし得ることが、理解されるだろう。本明細書の技術は、さらなる例として、専用論理回路、たとえばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)として実装されることも可能である。コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および専用の両方のマイクロプロセッサ、および任意の種類のデジタルコンピュータの1つ以上のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み取
り専用メモリ、またはランダムアクセスメモリ、またはこれらの両方から命令およびデータを受信する。コンピュータは、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイスとを含む。しかしながら、一般に、コンピュータはまた、データを記憶するための1つ以上の大容量記憶装置、たとえば磁気、光磁気ディスク、または光ディスクを含むか、データを送受信するために動作可能に結合されるか、もしくはこれらの両方であり得る。しかしながら、コンピュータはこのようなデバイスを有する必要がない。また、コンピュータは、別のデバイスに組み込まれることが可能である。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体は、例として、たとえばEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス;などの半導体メモリデバイス、たとえば内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCDROMおよびDVD-ROMディスクを含む、全ての形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスを含む。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補完されるか、またはこれに組み込まれることが可能である。
【0030】
エネルギー出力を捕捉するためにピクセル化された光検出器を使用することによって、ランダム分布は、機密情報の暗号化、ノイズのシミュレーション(たとえば様々なシステムにおけるモンテカルロシミュレーションにおいて)、および乱数生成を必要とする任意のアプリケーションで使用するためのビットの並列セットを提供することができる。つまり、各ピクセルは、ランダムな異なるビットに対応する。したがって、Nビット乱数の各ビットは真にランダムである。
【0031】
上記で簡単に論じられたように、いくつかの例では、偏光子素子の偏光軸は、動作中に回転するように電気的に(または機械的に)制御され得る。軸は、振動することさえある。たとえば、液晶回転子は偏光プレート112として使用されてもよい。これらの液晶回転子は、偏光配向に固定されて保持されることが可能である。しかしながら、別の例では、共振器内のビーム分割に対してさらなる制御を提供する要素の偏光軸を変更するために、印加電圧が使用され得る。図1は、偏光子素子112の回転を制御するための変調された電圧信号を送信するようにランダム化処理デバイス116によって制御された任意選択的な波形発生器および電圧コントローラ118を有する、例示的な実装形態を示す。このような構成では、印加電圧は、偏光回転の程度に変化を生じるために、制御電圧に印加される摂動信号を使用して、正弦的に増加または減少し得る。回転量、回転速度、および変調波形は全て、光共振器の特性、共振器ラウンドトリップ時間、現在のトラバーサル数、ランダム化エネルギーを達成するために必要なトラバーサルの閾値数、およびその他いずれか適切な物理的要因に応じて制御され得る。変調された電圧信号は、ランダム化されたエネルギーに関する所望の情報、ランダム化された数の送信元を認証するために信頼できる受信局によって使用され得るエンコードされたヘッダなどの情報を付与するように、制御され得る。いずれにせよ、偏光プレートまたは波長板が使用される例であっても、これらの要素は、偏光子素子を回転させ、これによってその配向を調整することができる取り付けステージに取り付けられ得る。このような機械的回転は、手動であっても、取り付けステージに対する電気的制御であってもよい。
【0032】
これらのような例では、偏光子素子の実際の偏光配向が調整されるとき、この調整は、連続的にまたは周期的に、そして共振器のラウンドトリップ時間、複屈折の量、およびその他の要因に応じて時間を決めて、行われ得る。偏光配向に対するこのような制御は、ランダム出力に重ねられた周期定常信号と呼ばれるものを導入する可能性がある。この周期定常信号は、たとえば、光学システムによって生成されたランダム化されたエネルギーに埋め込まれた変調信号であり得る。
【0033】
偏光回転子は、図1および図2の構成のように、複屈折媒質210の両側の1対の回転
子として実現されてもよく、またはこれらは、セグメント偏光回転子の例示的な実装形態300を示す、図8に示されるように、共振器を通るビームの経路を遮断するいくつかのセグメントに分離されてもよい。2つの平面ミラー302、304は、複屈折媒質306を取り囲む。ミラーのうちの少なくとも1つの表面を横断するのは、複数の偏光回転子セグメント308であり(これらのうち代表的な番号のみが示される)、各々が、2つのミラー302、304の間の共振器の特定のトラバーサルに対応する入射ビームと相互作用するように配置されている。各トラバーサルは、ビームがミラーの直径を上る際に、偏光回転子セグメントを経験する。形状に応じて、いくつかのビームは、次の偏光回転子セグメント308に向けて横断して十分に進む前に、複数のトラバーサルにわたって同じ偏光回転子308に衝突し得る。セグメント化アプローチでは、各偏光回転子セグメント308は、同じ動作をして同じ偏光回転を生成してもよく、または各々が個別に制御されてもよい。セグメント308のサイズは、ランダム化閾値に到達するために、ビーム形状および幅およびトラバーサル数に基づいて設定することができる。液晶として、または他の方法で実装される場合、セグメント308は、セグメントの中心のビームスポットの入射を最大化するために、および入射角によって決定されるように、セグメントを離間させる機械的構造に実装され得る。図示されないが、セグメントの適合する対は、ミラー304のためにも形成され得る。
【0034】
いずれにせよ、回転偏光子を使用する本明細書の光学システムは、任意の周期定常信号、すなわち最終出力に埋め込まれ、ビットをエンコードするために使用されるランダム化エネルギー(ノイズ)の上で変調された信号の強度を制御することができる。偏光子の1つ以上が変化するので、追加の特徴として、光学システムによって生成されたノイズを変調することができる。周期定常信号は、ユーザが変調されたノイズを所定の周波数で送信できるようにする。受信者は、ノイズに続いて受信された信号が特定の送信者によって送信されたかどうかを判断するために、このノイズ変調を検出する。光学システムでは、ランダム化中に、回転子の少なくとも1つは連続的に回転し得る。別の例では、ランダム化中に、回転子の2つ以上(セグメント化されている場合)が連続的に回転する。
【0035】
結果として得られた重複信号(周期定常信号)は、以前に割り当てられた、または合意された周波数での送信の検証を通じて暗号化された情報の受信者を認証する方法を提供し得る。たとえば、送信局は、本明細書に記載されるような光学システムランダマイザを含み得る。この送信局は、乱数を生成し、次いで、そのネットワークが保護されているか、保護されていないか、または部分的に保護されているかにかかわらず、たとえば有線電気接続を通じて、またはネットワークを介した無線接続を通じて、この乱数を受信局に送信し得る。乱数は、乱数を生成するために使用された元のランダム化エネルギーに埋め込まれた周期定常信号から決定された二次データとともに送信され得る。この二次データは、乱数のどの部分がその二次データを含んでいるかを第三者が検出できないような方法で、乱数に埋め込まれ得る。しかしながら、その二次データを有する認証された受信者、たとえばランダム化プロセス中に偏光軸を変調するために使用された波形を知っている受信者は、その数字が有効な送信局からのものであると確認するために、検証目的のため、乱数内の二次データを識別することができる。つまり、正弦波であってもなくても、電圧に印加された正確な重複(または摂動)波形は、送信デバイスまたは送信源から別々に通信され得る。または、別の例では、受信者デバイスは、重複した波形を記憶し、受信した信号を復号化するためにその波形を使用してもよい。重複した正弦波信号は、受信者に何らかの脅威を警告するために、またはランダム化プロセスにアクセスするためにフィールド内の機器のクイックチェックを実行するために、さらに使用され得る。
【0036】
図9は、ファブリペロー構成の別の光学システム400を示す。(図示されないビーム源からの=)入力ビームは、部分反射性であって、第2の部分反射ミラー406とともに共振器404を形成する、第1の集束ミラー402に衝突する。したがって、入力ビーム
は、ボアホールを通じてではなく、ミラーの部分反射性を通じて共振器404内に導入される。生成されたランダム化されたエネルギーおよびこれがどのように出ていくかについても、同じことが当てはまる。図示される例では、ミラー402の反射率は、ミラー406の反射率よりも実質的に高くてもよい。偏光子プレート408が、複屈折サンプル410の反対側に示されている。ランダム化エネルギー出力は、ランダム化処理デバイス416に結合された光検出器412に供給される。
【0037】
ビームのトラバーサルが光学システムを通過するたびに発生する複屈折分割を通じて光ビーム(たとえばレーザービームまたはその他いずれかの光源)の光子エネルギーを再分布させるために使用される、光複屈折に基づくランダム化発生器を示してきた。通過ごとの分割を確実にするために、やはり共振器内に配置された光学素子を使用して、ビーム偏光が回転させられる。液晶(LC)を含むがこれに限定されない回転子は、動作に必要な「混合量子」状態を維持するために使用され得る。分割は、入射ビーム源に関連する光子の数の統計的限界に到達すると、ビームエネルギーのランダム化を誘発する。一例では、1Wの入力ビームが使用される場合、およそ6*1018個の光子が利用可能であり、複屈折材料を63回トラバーサルしてエネルギーを合計263(~6*10+18)回分割した後、共振器内に残留して連続的に回転して混合状態になる任意の光子は、出力エネルギー分布が入力ビームの元の予測可能なコヒーレント特性をまったく保持しないように、ランダムな横方向運動量(すなわち、ランダムウォーク)を獲得し始める。このランダム化閾値に到達するために必要なトラバーサル数は、Ebeam~2(トラバーサル数)によって決定される。
【0038】
したがって、本技術は、i)擬似ランダムの数学的アルゴリズムに依存せずに真のランダム性を提供する、生成されたシーケンス、ii)光検出器上に読み出され得るランダム化の(並列計算にとって重要な)並列ビットストリーム、iii)多くの産業目的で必要とされるような、非常に迅速なビット生成(主に検出器からの読み出し時間によって制限される)、およびiv)他のタイプの乱数発生器では利用できない変調された信号または周期定常性を提供するためにビーム源の偏光の回転を変化させる能力、を生成することができる。
【0039】
別の例では、共振器構成は、図10に示されるような単回通過のランダム化システムを作成するために、多層複屈折構造に置き換えられる。システム500では、複屈折構造502は複数の当接層で形成され、後続の各層は、前の入射層とずれている複屈折軸を有する。このような構成では、ビームは各表面を同様に分割し、続いて、次の層のさらなる分割が発生し、最終的に分岐が発生して構造からランダム化エネルギーを生成するように、次の層に対して回転状態となる。層状システム500がランダムウォークにつながる分岐を生成するために、構造502の成層は、大規模液晶、または層に埋め込まれたその他の制御された偏光子をさらに含み得る。
【0040】
図11は、単回通過ランダム化システムの概略図である。図11に示されるように、光学システム1100は、ビーム源1102と、複屈折材料の一連の層によって規定される多層複屈折構造1104とを含む。ビーム源1102は、多層複屈折構造1104に入射し、ランダム化エネルギーとして多層複屈折構造1104を出る前にその中の後続の各層を通過する、ビームを生成する。次に、ランダム化されたエネルギー分布が多層複屈折構造1104から取り出され、数の同時のランダムストリームの分布のための光検出器1106(たとえば、ピクセル化アレイ光検出器であってもよい)に提供される。入力ビームの入力角度およびランダム化エネルギーの出口角度は、いくつかの例では異なってもよく、別の例では同じ(またはほぼ同じ)であってもよい。出口ビームのサイズは、光学システム1100によって生成されたランダム化されたエネルギーのビーム広がりと一致するように選択され得る。
【0041】
ビーム源1102は、例として、アーク灯、フラッシュチューブ、電気火花、無電極ランプ、エキシマランプ、蛍光灯、高輝度放電ランプ、中空陰極ランプ、誘導灯、ネオンライト、およびアルゴンランプ、プラズマランプ、キセノンフラッシュランプ、様々なフィラメントまたはガスを使用する電球、さらには日光などの非コヒーレントビーム源であり得る。いくつかの例では、ビーム源1102は、ダイオードレーザー、VCSELアレイ、もしくはガス管、固体構造、光ファイバー、フォトニック結晶、半導体、染料、自由電子、または連続動作するか(CW)パルスがかけられるか(qスイッチ、モード固定、またはパルス励起)にかかわらず、その他の外来の媒質を使用するレーザーなどのコヒーレントビーム源であり得る。ビーム源1102は、可視光、近赤外線、中赤外線、長赤外線、紫、またはその他の適切なスペクトル領域でビーム放射を生成し得る。また、いくつかの例では、ビーム源は、複数の波長成分にわたるビーム放射を含んでもよく、各波長成分は、たとえば複数の異なる光検出器を使用するとき、光学システムによって別々にランダム化され得る。
【0042】
複屈折構造1104の層は、複屈折材料(たとえば、カルサイト、石英、ルビー、ルチル、サファイア、炭化ケイ素、トルマリン、ジルコン、フッ化マグネシウム、ニオブ酸リチウム、氷、緑柱石ホウ酸バリウム、ボラックス、エプソム塩、雲母-黒雲母、雲母-白雲母、オリビン、ペロブスカイト、トパーズ、ウレキサイトなど)で構成され得る。別の例では、複屈折構造1104の層は、光に対して複屈折になるように誘導できる材料(遷移金属、プラスチック、または複屈折を誘発するために一方向に沿って延伸され得るその他の均質な膜)で構成され得る。
【0043】
ビームの光子が複屈折構造1104の1つの層を出る際に、これらが「混合量子」状態で次の層に入ることを保証するために、多層複屈折構造1104の層は、偏光の交番方向を有するように構成され得る。たとえば、各層の複屈折軸は、後続の各層の軸から、ビーム源1102から生成された光に対して垂直な方向に(たとえば、45度)回転し得る。あるいは、たとえば全ての複屈折軸が整列した構成では、構造1104の複屈折層は、偏光子軸の角度が複屈折材料の複屈折の角度に対して回転するように、各複屈折層の間に挿入された偏光子を含み得る。たとえば、図12に示されるように、偏光子1108は、複屈折構造1104の各層の間に挿入される。場合により、偏光子1108は、特定のデバイスのシグネチャを較正するためもしくはこれを課すためにさらに利用されてもよく、これは暗号法においていくつかの用途を有する。たとえば、変調を通じて偏光子軸の制御にシグネチャを課すことによって、埋め込まれた信号の形態の物理的にクローン不可能な関数(PUF)が複屈折構造を横断する光子放射に付与される。偏光子1108は、たとえば、偏光層を回転させて複屈折材料を所定位置に残すように構成された機械的歯車システムを介して制御され得る。あるいは、偏光子1108は、印加電圧によって操作される液晶によって制御されてもよい。いずれの場合も、偏光子1108に結合されたコントローラ1110が偏光軸を制御する。偏光子1108は、構造1104の複屈折層から分離してその間に配置されてもよく、または各層が一体型偏光子(図示せず)を用いて形成されてもよい。いずれの場合も、1つの層から出る光子は、どちらの複屈折軸にも沿わない偏光で次の層に入る。
【0044】
多層複屈折構造1104の各層を出るビームは、垂直な偏光状態を有する2つのビーム成分に分離されている。各層で、これらのビーム成分は各々、次の複屈折層に入った後にさらなる分割を経験する。このプロセスは、少なくともランダム化閾値に到達してランダム化エネルギーが生成されるまで、継続および成長する。単層における分割の量は、たとえば、各層の厚さ、前の層に対する各層の複屈折または偏光軸の角度、および/またはシステムに入る光の入射角のうちの1つ以上を制御することによって調整することができる。
【0045】
一般的に言えば、光ビームを単一の複屈折層(たとえば、カルサイトの単層)に通過させることでさえ、ある程度の量子ランダム性につながり、より多くの層は一般に、光ビームが各層を通過する際により多くのビームが分割するため、量子ランダム性の程度が大きくなる。また、層の数を増やすことで、結果として得られたランダム性に対する古典的なノイズ源(たとえば、温度変動、電気的干渉、漂遊電磁界など)の影響を低下させる傾向がある。つまり、層の数が増加すると、このような古典的なノイズ源によるノイズと比較して、光子のランダムウォークによるノイズが増加する可能性がある。一例では、光子のランダムウォークによるノイズを他のノイズ源のレベルまで増加させるために、わずか8層の1mm厚のカルサイト(0.172の複屈折を有する)が使用され得る。しかしながら、複屈折の低い材料を使用するときには、光子のランダムウォークによる同じレベルのノイズに到達するために、より厚い層または追加の層が使用され得る。同様に、たとえば遷移金属またはカルサイトなどの複屈折の高い材料を使用するときには、光子のランダムウォークによる同じレベルのノイズに到達するために、より薄い層またはより少ない層が使用され得る。
【0046】
追加の考察として、より厚い層、より多くの層、および/または間の間隔を拡大することで、より厚い多層複屈折構造1104を得られるかも知れない。結果として、非常に厚い多層複屈折構造1104を含むデバイスはかなり大きく、クラスタ、高性能コンピュータ(HPC)、またはその他のかなり大きな機械での使用に限定される可能性があり、より薄い多層複屈折構造1104を含むデバイス(たとえば、遷移金属またはカルサイトで構成されている)は、個人使用により適しているだろう。さらに、複屈折性の高い遷移金属で作られた層は、場合により、チップスケールの真の乱数発生器デバイスを可能にするのに十分に薄くできる。
【0047】
ビームが複屈折構造1104の層閾値数を通過した後(たとえば、Ebeam~2(トラバーサルの数))、入射ビームはランダム化されたエネルギー分布に変換される。ランダム化されたエネルギー分布のランダム性は、空間的および時間的の両方であり得る。つまり、光子はガウスビームで始まり、これはコヒーレントで、周知の空間的位置を有し、時間的に相関している。ビームが複屈折層と相互作用すると、光子は、空間的にも時間的にもランダム化されて出現するように、偏光に応じて散乱する。
【0048】
次に、ランダム化されたエネルギー分布が多層複屈折構造1104から取り出され、光検出器1106(たとえば、ピクセル化アレイ光検出器であってもよい)に提供される。結果として、光子が光子検出器上の2Dアレイに収集されると、蓄積されたエネルギーは、大きくランダムな強度の変動を示す(すなわち、強度が位置ごとに異なる元のビームとは異なり、ガウス分布が明確に定義された中心から外れている)。たとえば、ピクセル化された光学検出器は、次に並列ランダム化出力信号に変換され、そこからプロセッサはNビットの乱数を生成し得る。
【0049】
場合により、ランダム化されたエネルギー分布を受信する検出器は、たとえば特定のレベルを超えるノイズを有する量子乱数を生成する、信号を埋め込むなど、意図される結果に応じて異なってもよい。また、いくつかの例では、瞬時に乱数を捕捉するために2Dアレイ光検出器が使用されてもよく(たとえば、144個のピクセルおよび144ビットの乱数またはワードに等しいランダム性を有する12×12のアレイ)、別の例では、単一の検出器は、検出されたランダムな光子の144ビットを測定するのに十分な長さの時間枠を記録するように構成され得る。
【0050】
この明細書全体を通して、複数のインスタンスは、単一のインスタンスとして記載された構成要素、動作、または構造を実装し得る。1つ以上の方法の個々の動作が別個の動作
として図示および記載されているが、個々の動作の1つ以上は同時に実行されてもよく、動作が図示された順序で行われる必要はない。例示的な構成において別個の構成要素として提示された構造および機能は、組み合わせられた構造または構成要素として実装されてもよい。同様に、単一の構成要素として提示された構造および機能は、別個の構成要素として実装されてもよい。これらおよびその他の変形、修正、追加、および改善は、本明細書の主題の範囲に含まれる。
【0051】
加えて、特定の実施形態は、論理、もしくはいくつかのルーチン、サブルーチン、アプリケーション、または命令を含むものとして本明細書に記載されている。これらは、ソフトウェア(たとえば、機械可読媒体上または送信信号内で具現化されたコード)またはハードウェアのいずれかを構成し得る。ハードウェアでは、ルーチンなどは、特定の動作を実行できる有形のユニットであり、特定の方法で構成または配置され得る。例示的な実施形態では、1つ以上のコンピュータシステム(たとえば、スタンドアロン、クライアント、またはサーバコンピュータシステム)またはコンピュータシステムの1つ以上のハードウェアモジュール(たとえば、プロセッサまたはプロセッサのグループ)は、本明細書に記載されるような特定の動作を実行するように動作するハードウェアモジュールとして、ソフトウェア(たとえば、アプリケーションまたはアプリケーション部分)によって構成され得る。
【0052】
様々な実施形態では、ハードウェアモジュールは、機械的または電子的に実装され得る。たとえば、ハードウェアモジュールは、特定の動作を実行するように(たとえば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路(ASIC)などの専用プロセッサとして)恒久的に構成された、専用回路またはロジックを備え得る。ハードウェアモジュールはまた、特定の動作を実行するようにソフトウェアによって一時的に構成された(たとえば、汎用プロセッサまたはその他のプログラマブルプロセッサ内に包含される)プログラマブルロジックまたは回路も備え得る。専用の恒久的に構成された回路内、または一時的に構成された(たとえば、ソフトウェアによって構成された)回路内で、ハードウェアモジュールを機械的に実装する決定は、コストおよび時間の考慮によって推進され得ることが、理解されるだろう。
【0053】
したがって、用語「ハードウェアモジュール」は有形のエンティティを含むように理解されるべきであり、エンティティは、本明細書に記載される、特定の方法で動作するように、または特定の動作を実行するように、物理的に構築され、恒久的に構成(たとえば、配線接続)され(たとえば、配線接続)、または一時的に構成(たとえば、プログラム)されている。ハードウェアモジュールが一時的に構成(たとえば、プログラム)される実施形態を考えると、ハードウェアモジュールの各々は、いずれかの時点で構成またはインスタンス化される必要はない。たとえば、ハードウェアモジュールがソフトウェアを使用して構成される汎用プロセッサを備えるとき、汎用プロセッサは、異なる時間にそれぞれの異なるハードウェアモジュールとして構成され得る。したがって、ソフトウェアは、たとえば、ある時点で特定のモジュールを構成し、異なる時点で異なるハードウェアモジュールを構成するように、プロセッサを構成し得る。
【0054】
ハードウェアモジュールは、別のハードウェアモジュールに情報を提供し、そこから情報を受信することができる。したがって、記載されるハードウェアモジュールは、通信可能に結合されていると見なされ得る。このようなハードウェアモジュールが同時に複数存在するとき、通信は、ハードウェアモジュールを接続する信号送信(たとえば、適切な回路およびバスを介して)を通じて実現され得る。複数のハードウェアモジュールが異なる時間に構成またはインスタンス化される実施形態では、このようなハードウェアモジュール間の通信は、たとえば、複数のハードウェアモジュールがアクセスできるメモリ構造内の情報の保存および検索を通じて実現され得る。たとえば、1つのハードウェアモジュー
ルは、ある動作を実行して、通信可能に結合されたメモリデバイス内にその動作の出力を保存してもよい。次に、さらなるハードウェアモジュールは、後になって、保存された出力を検索および処理するために、メモリデバイスにアクセスし得る。ハードウェアモジュールはまた、入力または出力デバイスとの通信を開始してもよく、リソース(たとえば、収集した情報など)上で動作することができる。
【0055】
本明細書に記載される例示的な方法の様々な動作は、少なくとも部分的に、関連する動作を実行するように(たとえば、ソフトウェアによって)一時的に構成された、または恒久的に構成された1つ以上のプロセッサによって、実行され得る。一時的に構成されても恒久的に構成されても、このようなプロセッサは、1つ以上の動作または関数を実行するように動作するプロセッサ実装モジュールを構成し得る。本明細書で言及されるモジュールは、いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサ実装モジュールを備え得る。
【0056】
同様に、本明細書に記載される方法またはルーチンは、少なくとも部分的にプロセッサ実装され得る。たとえば、方法の動作の少なくともいくつかは、1つ以上のプロセッサまたはプロセッサ実装ハードウェアモジュールによって実行され得る。特定の動作の実行は、単一の機械の中に存在するだけでなく、複数の機械にわたって展開される、1つ以上のプロセッサの間に分散され得る。いくつかの例示的な実施形態では、1つまたは複数のプロセッサは、単一の場所に(たとえば、家庭環境、オフィス環境内、またはサーバファームとして)配置されてもよく、別の実施形態では、プロセッサはいくつかの場所に分散されてもよい。
【0057】
特定の動作の実行は、単一の機械の中に存在するだけでなく、複数の機械にわたって展開される、1つ以上のプロセッサの間に分散され得る。いくつかの例示的な実施形態では、1つ以上のプロセッサまたはプロセッサ実装モジュールは、単一の地理的位置(たとえば、家庭環境、オフィス環境、またはサーバファーム内)に配置され得る。別の実施形態では、1つ以上のプロセッサまたはプロセッサ実装モジュールは、いくつかの地理的位置に分散されてもよい。
【0058】
別途明記されない限り、「処理(processing)」、「計算(computing)」、「計算(calculating)」、「決定(determining)」、「提示(presenting)」、「表示(displaying)」などのような単語を使用する本明細書の説明は、1つ以上のメモリ(たとえば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、またはこれらの組み合わせ)、レジスタ、もしくは情報を受信、記憶、送信、または表示するその他の機械コンポーネント内の物理(たとえば、電子的、磁気的、または光学的)量として表されるデータを操作または変換する機械(たとえば、コンピュータ)の動作またはプロセスを指すことができる。
【0059】
本明細書で使用される際に、「一実施形態」または「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の要素、特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書内の様々な箇所における「一実施形態では」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。
【0060】
いくつかの実施形態は、これらの派生語とともに「結合」および「接続」という表現を使用して記載され得る。たとえば、いくつかの実施形態は、2つ以上の要素が直接物理的または電気的に接触していることを示すために、用語「結合」を使用して記載され得る。しかしながら、用語「結合」は、2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、それでもなお互いに連携または相互作用していることを意味する場合もある。実施形態は、この文脈において限定されるものではない。
【0061】
本明細書で使用される際に、用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、またはこれらの任意の他の変形は、非排他的な包含に及ぶように意図される。たとえば、要素のリストを備えるプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもこれらの要素のみに限定されるものではなく、このようなプロセス、方法、物品、または装置に明確にリストされない、またはこれらに固有ではない、他の要素を含み得る。さらに、反対であると明記されない限り、「または」は、排他的論理和ではなく包含的論理和を指す。たとえば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真(または存在)かつBが偽(または不存在)、Aが偽(または不存在)かつBが真(または存在)、ならびにAおよびBの両方が真(または存在)。
【0062】
加えて、「a」または「an」の使用は、本明細書の実施形態の要素および構成要素を記載するために採用されている。これは、単に便宜上、説明の一般的な意味を持たせるために行われる。この説明、および以下の請求項は、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数形は、別の意味であることが明確でない限り、複数形も含む。
【0063】
この詳細な説明は、単なる例として解釈されるべきであり、あらゆる可能な実施形態を記載することは、不可能ではないとしても現実的ではないので、あらゆる可能な実施形態を記載するわけではない。現在の技術、または本出願の出願日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多くの代替実施形態を実施することができる。
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図7A
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