(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】導波路の表面を研磨する方法
(51)【国際特許分類】
B24B 49/12 20060101AFI20240213BHJP
B24B 9/08 20060101ALI20240213BHJP
B24B 7/04 20060101ALI20240213BHJP
G02B 7/00 20210101ALI20240213BHJP
G02B 6/25 20060101ALI20240213BHJP
G02B 5/00 20060101ALN20240213BHJP
【FI】
B24B49/12
B24B9/08 Z
B24B7/04 Z
G02B7/00 D
G02B6/25 301
G02B5/00 Z
(21)【出願番号】P 2022529088
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(86)【国際出願番号】 IL2020051189
(87)【国際公開番号】W WO2021105982
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-08-25
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マジール,アミット
(72)【発明者】
【氏名】レヴィン,ナアマー
(72)【発明者】
【氏名】ロバチンスキ,リリア
(72)【発明者】
【氏名】ダンジガー,ヨチャイ
【審査官】鈴木 崇文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/106637(WO,A1)
【文献】特開2006-214753(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109909808(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0111813(US,A1)
【文献】米国特許第08913865(US,B1)
【文献】国際公開第2018/200913(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 49/12
B24B 9/08
B24B 7/04
G02B 7/00
G02B 6/25
G02B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波路のターゲット表面を研磨して、前記導波路の少なくとも1つの基準表面に対する前記ターゲット表面の正確な垂直性を達成する方法であって、前記方法は、
研磨面に平行な基準面を規定する平坦面を有する研磨プレートと、研磨中に前記基準面に対する複数の角度方向のいずれかにて前記導波路を保持するように構成された調整可能な取り付け装置とを備える研磨装置を提供することと、
所与の基準表面の各々に対して、1つ以上のコリメート光ビームを放射してその反射を受け取るように構成された対応する光学アライメントセンサと、コリメート光ビームを正確に90度反射するように構成された対応する光反射装置とを配置することによって、第1のコリメート光ビームが前記基準面に平行な表面から反射され、前記第1のコリメート光ビームに対して垂直な第2のコリメート光ビームが前記所与の基準表面から反射されるようにすることと、
前記取り付け装置を使用することによって、各所与の基準表面について、前記所与の基準表面に対応する前記光学アライメントセンサによって受け取られた前記反射が前記光学アライメントセンサ内で位置合わせされ、それによって前記基準面と前記所与の基準表面との間の垂直性が示されるように、前記導波路の前記角度方向を調整することによって前記研磨装置内で前記導波路を位置合わせすることと、
前記研磨装置を使用することによって、前記位置合わせされた導波路の前記ターゲット表面を研磨することとを含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの基準表面は、前記導波路の外表面である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの基準表面は、前記導波路の内表面である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの基準表面は、前記導波路の1つの外表面および1つの内表面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
各光学アライメントセンサはそれぞれのオートコリメータを含み、各光反射器は、角度付きミラー、ペンタプリズムからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記調整可能な取り付け装置は、前記研磨プレートに対する前記導波路の高さの調整を容易にする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
研磨の前に、前記研磨プレートの前記平坦面上に複数の犠牲ブロックを取り付けることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記基準面に平行な前記表面は、前記研磨プレートの前記平坦面、犠牲ブロックの頂面からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記調整可能な取り付け装置を使用することによって、前記ターゲット表面の少なくとも一部が初期研磨面より下だがそれに隣接して位置するように前記導波路の高さを調整することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
研磨の初期段階における負荷の大部分を前記犠牲ブロックが受けるように、前記初期研磨面に対する予め定められた差を付けるように前記導波路の高さが調整される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記取り付け装置は、傾斜ステージと複数のねじとを備え、各ねじは前記傾斜ステージを回転させるように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記取り付け装置は、前記傾斜ステージの向きを所与の角度方向にてロックするように構成されたロック機構をさらに備え、前記方法は、研磨の前に前記ロック機構を使用することによって前記傾斜ステージの前記角度方向をロックすることをさらに含む、請求項1
1に記載の方法。
【請求項13】
前記取り付け装置は、前記導波路を受け取り、かつ研磨中に前記導波路を前記研磨装置内に保持するように構成された、前記傾斜ステージに固定された取り付けプレートをさらに備える、請求項1
1に記載の方法。
【請求項14】
前記調整可能な取り付け装置は、少なくとも2つの垂直軸の周りの前記導波路の回転を調整することを容易にする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
研磨後、前記ターゲット表面は各基準表面に対して1分以内で正確に垂直である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記研磨装置は複数の調整可能な取り付け装置を備え、各々の調整可能な取り付け装置は独立して調整可能であり、かつすべての導波路の研磨中にそれぞれの導波路をそれぞれの角度方向にて独立して保持するように各々が構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
導波路のターゲット表面を研磨して、前記導波路の2つの非平行表面に対する前記ターゲット表面の正確な垂直性を達成する方法であって、前記方法は、
研磨面に平行な基準面を規定する平坦面を有する研磨プレートと、研磨中に前記基準面に対する複数の角度方向のいずれかにて前記導波路を保持するように構成された調整可能な取り付け装置とを備える研磨装置を提供することと、
1つ以上のコリメート光ビームを放射してそこからの反射を受け取るように構成された第1の光学アライメントセンサと、コリメート光ビームを正確に90度反射するように構成された第1の光反射装置とを配置することによって、前記第1の光学アライメントセンサの第1のコリメート光ビームが前記基準面に平行な表面から反射され、前記第1のコリメート光ビームに対して垂直な前記第1の光学アライメントセンサの第2のコリメート光ビームが前記
2つの非平行表面の第1の非平行表面から反射されるようにすることと、
1つ以上のコリメート光ビームを放射してそこからの反射を受け取るように構成された第2の光学アライメントセンサと、コリメート光ビームを正確に90度反射するように構成された第2の光反射装置とを配置することによって、前記第2の光学アライメントセンサの第1のコリメート光ビームが前記基準面に平行な表面から反射され、前記第2の光学アライメントセンサの前記第1のコリメート光ビームに対して垂直な前記第2の光学アライメントセンサの第2のコリメート光ビームが前記
2つの非平行表面の第2の非平行表面から反射されるようにすることと、
前記取り付け装置を使用することによって、前記第1の光学アライメントセンサによって受け取られた前記反射が前記第1の光学アライメントセンサ内で位置合わせされ、前記第2の光学アライメントセンサによって受け取られた前記反射が前記第2の光学アライメントセンサ内で位置合わせされ、それによって前記基準面と前記第1および第2の非平行表面の各々との間の垂直性が示されるように、前記導波路の前記角度方向を調整することによって前記研磨装置内で前記導波路を位置合わせすることと、
前記研磨装置を使用することによって、前記位置合わせされた導波路の前記ターゲット表面を研磨することとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は導波路に関し、より具体的には、導波路の表面を研磨する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のヘッドマウントディスプレイ(HMD:head-mounted displays)は、導波路の外表面から全内部反射によって基板の内側に光波を閉じ込めることによって動作する2次元導波路を使用する。導波路の内側に閉じ込められた光波は、部分反射表面のアレイによって結合される。通常、結合された光波は、ユーザの眼に伝送される前に追加の導波路を通過する。伝搬する像の品質を維持するためには、導波路の2つ以上の表面の間に非常に高度の垂直性がなければならない。通常、これらの導波路は、互いに対向する2対の平行な外表面(すなわち、頂部および底部、前部および後部)を有し、これら2対は互いに垂直でなければならない。
【0003】
本発明を理解し、それが実際にどのように実行され得るかを見るために、添付の図面を参照して非限定的な例として実施形態が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本開示の主題の特定の実施形態による導波路の上面図を示す。
【
図2】本開示の主題の特定の実施形態による導波路の斜視図を示す。
【
図3】本開示の主題の特定の実施形態による研磨装置の概略等角図を示す。
【
図4】本開示の主題の特定の実施形態による調整可能な取り付け装置を示す、
図3のある領域の拡大図を示す。
【
図5】本開示の主題の特定の実施形態によるロック機構の概略部分切欠等角図を示す。
【
図6】本開示の主題の特定の実施形態による導波路を位置合わせするプロセスを示す概略図を示す。
【
図7】本開示の主題の特定の実施形態による2つの表面を位置合わせすることの概念化概略図を示す。
【
図8】本開示の主題の特定の実施形態による導波路を位置合わせする代替的な方法を示す。
【
図9】本開示の主題の特定の実施形態による導波路を位置合わせすることの代替的な上面図を示す。
【
図10】本開示の主題の特定の実施形態による導波路を位置合わせするための開口部を有する研磨装置の底面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の詳細な説明においては、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が示されている。しかし、本開示の主題はこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者によって理解されるであろう。他の場合には、本開示の主題を不明瞭にしないように、周知の方法、手順、および構成要素は詳細に説明されていない。
【0006】
このことを念頭に置くと、本開示の主題は、たとえば国際公開第2018/065975(A1)号に開示されるものなどの導波路に特に適用可能であり、この導波路は、互いに平行であるが導波路の側部外表面に対して角度が付けられた複数の内部部分反射表面を含むが、本発明は、たとえ内部部分反射表面がなくても、高品質の相互に垂直な研磨表面を生成するために光学構成要素を研磨する必要がある任意の場合にも有利に適用され得る。ここで
図1を参照すると、側部外表面101と、前面および背面104と、角度付きの内表面102a~102xとを有する導波路100の上面図が示されている。
図2は導波路100の斜視図を示しており、ここでは側面101と、頂面103と、前面104とが示されている。たとえば前述のPCTに開示されるものなどの導波路では、側部外表面に対する頂面および底面の間に非常に高度の垂直性が存在する必要があり、特定の好ましい実施においては、内表面に対する頂面および底面の間にも非常に高度の垂直性が存在する必要がある。
【0007】
したがって本明細書においては、導波路の研磨される表面(「ターゲット表面」)と、少なくとも1つの他の、通常は当接する表面(「基準表面」)との間の正確な垂直性を達成するために、導波路の外表面を研磨する方法が提供される。いくつかの実施形態では、ターゲット表面がたとえば外表面および内表面などの2つの異なる非平行基準表面に対して同時に正確に垂直に研磨されることが望ましいことがある。
【0008】
ここで
図3を参照すると、この方法は、導波路のターゲット表面の研磨に使用するための研磨装置300を提供することを含む。研磨装置300は、平坦な外部(図示される頂部)表面303を有する環状の研磨プレート301を含む。研磨プレート301は、研磨される物体を保持し、研磨される物体とポリッシャ(図示せず)との摺動可能な接触を容易にするように構成され、それにより、ポリッシャと物体との接触点が研磨面(一般的に、研磨中に物体の表面が研削されるにつれて移動する)を規定する。研磨中、研磨装置300は、平坦面303が研磨面に平行になるようにポリッシャと接触する。したがって、平坦面303は、研磨面に対して常に平行な平面(以後「基準面」)を規定していると言える。
図3は、上方に面する平坦面303を有する研磨装置300を示しているが、ほとんどの場合、研磨中に研磨装置300は上下逆向きにされてポリッシャ上に置かれるので、これは単に明確にするためのものである。
【0009】
研磨装置300は、ターゲット表面の研磨中に導波路100を保持するように構成された少なくとも1つの調整可能な取り付け装置305をさらに含む。調整可能な取り付け装置305は、研磨装置300の平坦面303に対する複数の角度方向のうちの任意の1つにて導波路を保持するようにさらに構成される。
図4を参照してさらに詳述されることとなるとおり、調整可能な取り付け装置305は、複数の軸の周りの導波路100の回転を容易にし、それによってユーザがそこでターゲット表面を研磨しようとする(すなわち、研磨が完了した後に平行にされる)所望の平面を設定することを可能にする。
【0010】
いくつかの実施形態では、
図3に示されるとおり、研磨装置300は複数の調整可能な取り付け装置305を含むことができ、各取り付け装置305は異なる導波路100を保持し、かつ各取り付け装置305は独立して調整可能であり、それによって複数の導波路100の同時研磨を可能にする。いくつかの実施形態では、以下に詳述されることとなるとおり、研磨装置300は、各取り付け装置を光学アライメントセンサと順次位置合わせすることを可能にする回転可能な基部307をさらに含む。研磨中にも自由回転が可能にされてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、この方法は、研磨プレート301の平坦面303上のさまざまな地点に(例、接着結合材料を使用して)複数の犠牲ブロック309を取り付けることをさらに含む。犠牲ブロック309は、場合によっては研磨中の平衡化および/または負荷分散のために望まれることがある。付加的または代替的に、研磨中に導波路(単数または複数)100にかかる圧力の一部を軽減するために、犠牲ブロック309が望まれることもある。これは、研磨プロセスが最初に導波路の角部または端縁部に到達するときに特に有益であり、そうでなければポリッシャの過剰な負荷が局所的にかかることになる。犠牲ブロック309を使用することによって、研磨プロセスの負荷は常に比較的大きな面積に分散され、基準面に対するポリッシャの平行性が維持され、導波路の角部または端縁部の損傷が回避される。この場合、研磨の前に、導波路100のターゲット表面は、犠牲ブロック309の頂面に隣接するがそれよりも下にあるべきである。「隣接するが下にある」とは、肉眼では2つの表面が同じ平面上にあるように見えるが、実際にはそれらの相対的な高度にわずかな差があるために、ターゲット表面の方が幾分低いことを意味する。付加的または代替的に、以下に詳述されることとなるとおり、犠牲ブロック309の頂面は、研磨面に平行な代替的基準面として使用され得る。場合によっては、2つの平行な面および均一な厚さを提供するように予め研磨された犠牲ブロックを使用することによって、そのブロックを圧力で平坦面303に接着することによって、十分に正確な基準表面が達成され得る。付加的または代替的に、複数の犠牲ブロック309は、それらの頂面が同一の平面上にあること、すなわち同一平面にあることと、第2に犠牲ブロックの頂面が研磨面に正確に平行であることとを確実にするために、取り付け後に最初に同時に研磨されてもよい。いくつかの実施形態では、犠牲ブロック309は、ガラスか、または導波路100と同じ材料か、もしくは任意のその他の好適な材料から作製され得る。
【0012】
図4は、本開示の主題のいくつかの実施形態による調整可能な取り付け装置305の拡大図を示す。取り付け装置305は傾斜ステージ400を含み、傾斜ステージ400上には取り付けプレート402が固定されており、取り付けプレート402は導波路を受け取って、研磨中にたとえば一時的な接着結合または代替的にはクランプなどによって導波路を保持するように構成される。取り付けプレート402は、締結具404(例、ねじ)によって締め付けられたクランプによって傾斜ステージ400に固定される。取り付け装置305は、少なくとも2つの垂直軸(例、傾斜およびロール)の周りの傾斜ステージ400の回転(傾斜)を容易にするように構成された回転ねじ406a~406bをさらに含む。特定の実施形態において、取り付け装置は、研磨プレート301に対する傾斜ステージ400の高さ(すなわち、高度)の調整を容易にするために、第3の「高度」ねじ406cを含み得る。本明細書に示される好ましいが非限定的な実施において、3つの調整ねじ406a~406cはすべて、本質的に類似のものであり、各々が3点支持構造の1つの領域を上昇または下降させる。しかし、3つの調整点の存在によって、傾斜ステージ400の全体的な上昇または下降が可能になる。特定の実施形態では、ターゲット表面の少なくとも一部が初期研磨面(例、犠牲ブロック309の頂面)より下だがそれに隣接して位置するように、導波路の高さを設定することが望ましいことがある。特定の実施形態では、ねじ406a~406cの動作を介して、研磨の初期段階における負荷のすべてまたは大部分を犠牲ブロック309が受けるように、初期研磨面に対する予め定められた差を付けるように導波路の高さを調整できる。
【0013】
研磨中にはかなりの応力が傾斜ステージ400にかかり得るため、調整ねじ406a~406cの意図しない滑り、およびその結果として傾斜ステージ400の向きの望ましくない逸脱がもたらされ得る。こうした逸脱を防止するために、いくつかの実施形態では、取り付け装置305はさらに、所与の角度方向(および高さ)で傾斜ステージ400の向きをロックするように構成されたロック機構を含み得る。この場合、この方法は好ましくは、研磨の前にロック機構を使用することによって傾斜ステージの角度方向および/または高さをロックすることをさらに含む。
【0014】
図5は、本開示の主題の特定の実施形態によるロック機構の概略的な非限定的な例を示しており、前述の調整ねじ406a~406cの各々のより詳細な例示的構造も提供する。各調整ねじによって支持される傾斜ステージ400の領域の高さの調整は、中空ボルト701を回転させるホイール700を回すことによって達成され、次いで中空ボルト701は傾斜ステージ400の領域と係合したライダー703を上昇または下降させる。調整ねじが正しく調整されると、ホイール700をロックするねじ705を締め付けることによって、ホイール700はそれ以上回転しないように固定される。追加のクランプねじ707は、ケーブル709を介して、研磨プレート301の支持部材の反対側に位置するケーブル端部711に接続される。向きに対するすべての調整が終了すると、ねじ707を回転させてケーブル709を締め付けることによって、傾斜ステージ400を所与の向きで研磨プレート301に固定する。いくつかの実施形態では、ケーブル709を引張る際に傾斜ステージ400が研磨プレート301に対して沈み込むことを防止するために、ロック機構は金属端部713をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、たとえば傾斜ステージ400の向きを調整するためにねじ707が緩められたときにケーブル709の残留張力を維持するために、ロック機構は、ケーブル端部711と研磨プレート301との間に位置するばね715をさらに含み得る。
【0015】
ここで
図6を参照すると、いくつかの好ましい実施形態では、この方法は、研磨の前に導波路100のターゲット表面と犠牲ブロック309の頂面609との高さの差を検出し、かつ所望の高さの差を設定するように構成された高さ検知装置600を配置することをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の導波路を所望の高さに調整した後に、高さ検知装置600を使用して、研磨装置100内の第2の導波路および後続の導波路の高さを第1の導波路と同じ高さに調整することもできる。
【0016】
いくつかの実施形態では、
図6に示されるとおり、この方法は、1つ以上のコリメート光ビームを放射してその反射を受け取るように各々が構成された1つ以上の光学アライメントセンサ601(例、オートコリメータなど)を配置することと、コリメート光ビームを正確に90度反射するように構成された1つ以上の光反射装置603(例、ミラー、ペンタプリズムなど)を配置することとをさらに含む。各基準表面607に対して、対応する光学アライメントセンサ601および対応する光反射装置603は、第1のコリメート光ビームが基準面に平行な表面609から反射され、反射点において第1のコリメート光ビームに垂直な第2のコリメート光ビーム605が所与の基準表面607から反射されるように配置される。好適な光学アライメントセンサとしては、株式会社ニコン(Nikon Corporation)製のニコン・オートコリメータ(Nikon Autocollimator)6B-LED/6D-LEDが挙げられる。当然のことながら、単一の広いコリメート光ビームを使用することもでき、その場合の第1および第2のコリメート光ビームへの言及は、単一のコリメート光ビームの2つの異なる部分を指すものであると理解されるべきである。
【0017】
いくつかの実施形態では、この方法は、調整可能な取り付け装置305を使用して、研磨面が各基準表面に対して垂直になるように研磨装置300内で導波路100を位置合わせすることをさらに含む。これは、
図7を参照して以下にさらに詳述されることとなるとおり、各所与の基準表面について、対応する光学アライメントセンサ601によって受け取られる反射がその中で位置合わせされ、それによって基準面(ひいては研磨面)と所与の基準表面との間の垂直性が示されるように、導波路の角度方向を調整することによって達成される。
【0018】
この方法はさらに、導波路のターゲット表面をポリッシャと摺動可能に接触させることによってターゲット表面を研磨し、それによって各基準表面に対するターゲット表面の正確な垂直研磨を達成することを含む。いくつかの実施形態では、正確な垂直性は、1分以内の垂直性を含む。いくつかの実施形態では、正確な垂直性は、10秒以内の垂直性を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、上記で詳述したとおり、この方法は、研磨の前に取り付け装置のロック機構を介して導波路の向きをロックすることを含み得る。
【0020】
より明確にするために、上記で詳述した位置合わせ方法の概念図を示す
図7を参照する。立方体507は、2つの当接する非平行表面505および503を有する。表面505は、表面503に対して正確に垂直に研磨されることが望まれている。表面501は研磨面と平行であることが予め知られており、したがって所望の結果は、表面503が表面501に対して正確に垂直になるように、研磨装置上で立方体507を向き付けすることである。オートコリメータ509および45度傾斜ミラー511は、オートコリメータ509が第1のコリメートビーム513を表面501上に放射し、第2のコリメート光ビーム515(単一の広いコリメートビームの異なる領域であってもよい)を表面503上に放射して、そこからの反射を受け取るようにともに配置される。もし2つのコリメート光ビームからの反射が正確に平行であって、それらの像がオートコリメータ内で位置合わせされて見えれば、表面503は研磨面に対して垂直であり、もしそうでなければ垂直ではない。こうした場合は、コリメート光ビームが位置合わせされるまで、立方体507が左または右に回転されるべきである。
【0021】
図7に示されるとおり、オートコリメータ内で受け取られた2つのコリメートビームの反射は、オートコリメータのビューファインダ517内で見たときに、受け取られた反射513、515のアライメントシンボルが一致するときに位置合わせされているとみなされ得る。不完全に重なり合う反射は、位置合わせされておらず、コリメート光ビームを反射した表面間の非垂直性を示すものとみなされる。
【0022】
図8は、導波路を位置合わせする代替的な方法を示す。この方法では、導波路は、正確に垂直な表面を有する大きくて好ましくはガラスのブロック56に結合され、導波路のターゲット表面はポリッシャに面している。導波路が結合されているブロック56の表面は研磨面に対して垂直であり、したがってターゲット表面は研磨後にこの表面に対して垂直にされる。ターゲット表面が同時に導波路の内表面と垂直にされるとき、光学アライメントセンサおよび光反射装置を使用して、導波路の内表面から第1のコリメート光ビームを反射させ、ブロック56の頂面から第2のコリメート光ビームを反射させ得る。次いで、反射ビームが重なり合うまでブロック56に対する導波路の向きが調整される。
【0023】
図9のAは、光線901が内部ファセット102から反射される代替的または付加的な位置合わせ方法を示している。(好ましくはオートコリメータから発生してそこに反射される)光線901は、構成要素100による屈折のために、導波路100内ではこの構成要素の外側とは異なる角度を有する。それにもかかわらず、前述の位置合わせ手順は依然として有効である。
【0024】
特定の場合には、オートコリメータからの光は単色ではない。その結果として反射光が前記屈折により分散されるため、アライメント精度が低下することとなる。この発明によると、オートコリメータ投影像の適切な向きを使用することによって、この制限を排除できる。
図9のBは、オートコリメータによって投影された典型的な像を示す。像面上の光線901の分散の向きが矢印905によって示される向きであることが予期されるとき、コリメータ投影像の向きは、
図9のCに示されるとおり、分散の向きに対して平行および垂直に位置合わせされるまで調整(回転)されるべきである。反射された像(
図9のD)は、結果として生じる垂直線907の分散を示し、これはほとんどの場合に不可視となる。分散の方向に沿って位置合わせされた線は鮮明なままである。前述のとおり、表面609からの投影反射像に対するこの線の垂直方向909のシフトは非垂直性を示す。
【0025】
ここで
図10を参照すると、いくつかの実施形態では、研磨プロセス全体を通じたさまざまな時点で、研磨面と基準表面(単数または複数)との間の垂直性を再検査することが望ましいことがある。研磨装置をポリッシャから分離することなくこうした検査を容易にするために、いくつかの実施形態では、たとえば穿孔などによって、研磨プレートを通る1つ以上の開口部1000が作製されてもよく、各開口部は、コリメート光ビームが意図される表面に到達することを可能にする。加えて、犠牲ブロックはポリッシャと接触しており、光学アライメントセンサによってアクセスできないので、研磨面に平行な代替表面が使用されてもよい。この場合は、各々が研磨面と平行な平坦面を有する1つ以上のブロック1001を研磨プレートに取り付けて、犠牲ブロックの代わりに基準面として使用できる。
【0026】
本発明のデバイスおよび方法の特定の特に好ましい実施では、導波路の表面に対して垂直に研磨面を位置合わせすることは、導波路の外表面および内部部分反射表面の両方に対して同時に行われる。調整は、2つのオートコリメータを同時に使用して、各々の調整を交互に反復して実行することによって行われてもよい。場合によっては、調整プロセスは自動化されてもよい。
【0027】
より明確にするために、頂面および/または底面が側部外表面および角度付き内表面に対して正確に垂直であることが必要とされる導波路の用途では、2つの光学アライメントセンサおよび2つの光反射装置を使用して、ターゲット表面と2つの非平行基準表面(すなわち、側部外表面および内表面)との間の正確な垂直性を達成できる。第1の光学アライメントセンサおよび光反射装置は、それぞれ研磨面に平行な表面および第1の基準表面に放射してそこからの反射を受け取る。第2の光学アライメントセンサおよび光反射装置は、それぞれ研磨面に平行な表面および第2の基準表面に放射してそこからの反射を受け取る。次いで、調整可能な取り付け装置を使用して、第1の光学アライメントセンサによって受け取られた反射がその中で位置合わせされ、かつ第2の光学アライメントセンサによって受け取られた反射もその中で位置合わせされるまで導波路の角度方向が調整され、それによって研磨面と第1の基準表面と第2の基準表面との間の垂直性が同時に示される。
【0028】
本発明は、その適用において、本明細書に含まれる説明において示されるかまたは図面に示される詳細に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、さまざまなやり方で実施および実行され得る。したがって、本明細書で使用される表現および用語は、説明のためのものであり、限定とみなされるべきではないことが理解されるべきである。よって当業者は、この開示が基づく概念が、本開示の主題のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法、およびシステムを設計するための基礎として容易に利用され得ることを認識するであろう。
【0029】
添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、前述した本発明の実施形態にさまざまな修正および変更を適用できることを当業者は容易に認識するであろう。