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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】ガス混合装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/10 20220101AFI20240213BHJP
   B01F 35/75 20220101ALI20240213BHJP
【FI】
B01F23/10
B01F35/75
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022534497
(86)(22)【出願日】2020-07-06
(86)【国際出願番号】 JP2020026379
(87)【国際公開番号】W WO2022009262
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】594123387
【氏名又は名称】ヤマハファインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(72)【発明者】
【氏名】市ノ木山 尚士
(72)【発明者】
【氏名】加藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】石井 徹
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/074460(WO,A1)
【文献】特開平11-283646(JP,A)
【文献】国際公開第2012/101673(WO,A1)
【文献】特開平10-318574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 23/00-23/80
B01F 35/00-35/95
F24F 7/00- 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非可燃性ガスと水素ガスとを混合するガス混合装置であって、
基台と、前記基台上に搭載されて水から前記水素ガスと酸素ガスとを発生する水素発生器と、前記基台上に搭載されてガス混合装置の動作を制御するための電気機器と、前記水素ガスと前記非可燃性ガスとを混合する混合機器と、前記混合機器と経路により接続され、前記混合機器で混合された混合ガスを貯蔵する貯蔵タンクと、を備え、
前記混合機器及び前記貯蔵タンクは、前記基台の上方から見た平面視で、前記基台上のうち前記水素発生器及び前記電気機器の搭載領域とは異なる領域に搭載され、
前記水素発生器と前記電気機器とが、前記基台の上方から見た平面視で互いに重ならないように配置され、
前記混合機器及び前記貯蔵タンクは、前記基台の上方から見た平面視で鉛直方向に互いに重なるように配置されるガス混合装置。
【請求項2】
リレーを備え、
前記リレーは、ソリッドステートリレーである請求項1に記載のガス混合装置。
【請求項3】
ガス混合装置から前記水素ガスを排出する排気ポートを備え、
前記排気ポートは、ガス混合装置の上部に設けられている請求項1又は請求項2に記載のガス混合装置。
【請求項4】
ガス混合装置から前記非可燃性ガスを排出する排気ポートを備え、
前記排気ポートは、ガス混合装置の上部に設けられている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガス混合装置。
【請求項5】
前記排気ポートは、ガス混合装置の下端を基準として1.7m以上の高さに位置する請求項3又は請求項4に記載のガス混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガス混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、可燃性ガス(水素ガス)と非可燃性ガス(窒素ガス)とを混合するガス混合装置が開示されている。特許文献1のガス混合装置では、可燃性ガスを発生する可燃性ガス発生器、非可燃性ガスを発生する非可燃性ガス発生器、可燃性ガスと非可燃性ガスとを混合する混合機器などを同一の基台上に搭載することでガス混合装置をコンパクトに構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-140361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のガス混合装置は、ガス混合装置の各部への電力供給や電気制御を行うための電気機器を有する。ガス混合装置をコンパクトに構成するためには、電気機器も同一の基台上に搭載する必要がある。しかし、電気機器は、リレー接点やブレーカーなどのように放電が生じる部品や静電気を帯び得る部品を含む。このため、可燃性ガス発生器及び電気機器を無策に基台上に搭載すると、可燃性ガス発生器で発生した可燃性ガスが電気機器に影響してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、可燃性ガス発生器及び電気機器を同一の基台上に搭載しても、可燃性ガスの電気機器への影響を抑制することができるガス混合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、非可燃性ガスと水素ガスとを混合するガス混合装置であって、基台と、前記基台上に搭載されて水から前記水素ガスと酸素ガスとを発生する水素発生器と、前記基台上に搭載されてガス混合装置の動作を制御するための電気機器と、前記水素ガスと前記非可燃性ガスとを混合する混合機器と、前記混合機器と経路により接続され、前記混合機器で混合された混合ガスを貯蔵する貯蔵タンクと、を備え、前記混合機器及び前記貯蔵タンクは、前記基台の上方から見た平面視で、前記基台上のうち前記水素発生器及び前記電気機器の搭載領域とは異なる領域に搭載され、前記水素発生器と前記電気機器とが、前記基台の上方から見た平面視で互いに重ならないように配置され、前記混合機器及び前記貯蔵タンクは、前記基台の上方から見た平面視で鉛直方向に互いに重なるように配置されるガス混合装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、可燃性ガス発生器及び電気機器を同一の基台上に搭載しても、ガス混合装置において可燃性ガスが電気機器に影響することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るガス混合装置を示す上面図である。
図2図1に示すガス混合装置の正面図である。
図3図1,2に示すガス混合装置の側面図である。
図4図1~3のガス混合装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1~4を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1~4に示す本実施形態のガス混合装置1は、可燃性ガスと非可燃性ガスとを混合し、これらの混合ガスを漏れ検査装置などの各種の装置に供給する。混合ガスは、例えば漏れ検査(リークテスト)における検査用ガスとして用いられる。本実施形態のガス混合装置1は、可燃性ガスとして空気よりも比重が小さい水素ガスを用い、非可燃性ガスとして窒素ガスを用いた水素ガス混合装置である。
【0010】
ガス混合装置1は、基台2と、水素発生器3(可燃性ガス発生器)と、電気機器4と、を備える。また、ガス混合装置1は、混合機器5と、貯蔵タンク6と、を備える。さらに、ガス混合装置1は、窒素供給器7(混合用ガス供給器)を備える。
【0011】
水素発生器3は、水素ガスを発生する。本実施形態の水素発生器3は、水を電気分解すること(水電解)により水素ガスと酸素ガスとを発生する水電解器である。図4に示すように、水素発生器3には、酸素ガスを水素発生器3から排出する酸素排気経路10、及び、当該酸素ガスを希釈するための窒素ガス(希釈ガス)を水素発生器3に導入する窒素導入経路11が接続されている。また、水素発生器3には、水素ガスを水素発生器3から混合機器5に供給するための第一混合経路12、及び、水素ガスを水素発生器3から排出する第一水素排気経路13が接続されている。
【0012】
本実施形態の水素発生器3は、水を貯留する水タンク31と、発生した水素ガスを貯留する水素貯留部32と、を含む。
水タンク31においては、水の電気分解によって酸素ガスが発生する。具体的に、水タンク31においては、水タンク31から送り出された水が電気分解ユニットにより水素ガスと酸素ガスとに分解される。酸素ガスは未分解の水と共に水タンク31に戻り、酸素ガスは水タンク31の上部空間に蓄積される。
【0013】
水タンク31には、酸素排気経路10及び窒素導入経路11が接続されている。窒素導入経路11は窒素供給器7に接続されている。このため、窒素供給器7の窒素ガスが水タンク31に供給される。なお、窒素導入経路11は例えば後述する窒素圧力容器8に接続されてもよい。窒素導入経路11には、水タンク31に供給される窒素ガスの流量を計測する流量計111が設けられている。これにより、水タンク31に供給する窒素ガスの流量を適切に調整することができる。
【0014】
水タンク31において発生した酸素ガスは、窒素導入経路11を通して水タンク31に供給された窒素ガスによって希釈された上で、水タンク31から酸素排気経路10を通って酸素排気ポート20からガス混合装置1の外部に放出される。酸素排気ポート20から放出されるガスでは、酸素ガスの濃度が十分に低く、窒素ガスの濃度が十分に高い。すなわち、酸素排気ポート20から放出されるガスは、ほぼ窒素ガス(非可燃性ガス)である。本実施形態において、酸素排気ポート20は、大気に開放されている。なお、酸素排気ポート20は、例えば他の排気ガスが流れる工場の排気管(不図示)に接続されてもよい。
【0015】
水素貯留部32には、混合機器5まで延びる第一混合経路12が接続されている。これにより、水素ガスを水素貯留部32から混合機器5に供給することができる。また、水素貯留部32には、第一水素排気経路13も接続されている。第一水素排気経路13には、安全弁131が設けられている。これにより、水素貯留部32における気圧が所定値以上になった際には安全弁131が開き、水素貯留部32で生じた水素ガスが第一水素排気経路13を通って水素排気ポート21からガス混合装置1の外部に放出される。本実施形態において、水素排気ポート21は大気に開放されている。なお、水素排気ポート21は、例えば水素ガスが流れる工場の水素用の排気管(不図示)に接続されてもよい。
【0016】
窒素供給器7は、水素発生器3で発生した水素ガスと混合するための窒素ガスを供給する。窒素供給器7には、窒素ガスを窒素供給器7から混合機器5に供給するための第二混合経路14が接続されている。
【0017】
本実施形態の窒素供給器7は、空気供給源71と、フィルター72と、を備える。空気供給源71は、フィルター72に接続され、空気をフィルター72に供給する。空気供給源71は、空気が流通する空気配管や、空気をフィルター72に向けて流すファンやブロワなどであってよい。フィルター72は、例えば膜モジュール(膜分離窒素ガス発生装置)であり、取り入れられた空気から窒素ガスを分離して取り出す。すなわち、フィルター72は、比較的高濃度の窒素ガスを発生する窒素発生器(混合用ガス発生器)として機能する。
【0018】
フィルター72には、第二混合経路14が接続されている。これにより、窒素ガスをフィルター72から第二混合経路14に流して混合機器5に供給することができる。また、フィルター72には、分離ガス排気経路15と分離ガス排気ポート22とが順番につながっている。分離ガス排気経路15には、取り入れられた空気から窒素ガスを分離した残りのガス(以下、分離ガスと呼ぶ。)が流通する。分離ガスは、分離ガス排気ポート22からガス混合装置1の外部に放出される。分離ガスでは、空気よりも窒素濃度が低く、酸素濃度が高い。本実施形態において、分離ガス排気ポート22は大気に開放されている。なお、分離ガス排気ポート22は、例えば他の排気ガスが流れる工場の排気管(不図示)に接続されてもよい。
【0019】
混合機器5は、水素発生器3からの水素ガスと、窒素供給器7からの窒素ガスとを混合する。混合機器5において混合された混合ガスにおける水素ガスの濃度は、可燃性にならない低濃度の範囲にすることが好ましい。例えば、ISO10156:2010では、可燃性にならない水素ガスの濃度範囲が規定されており、その規定の範囲内とすることが好ましい。当該混合ガスの大半は窒素ガス(非可燃性ガス)である。
【0020】
混合機器5は、第一混合経路12を介して水素発生器3に接続されている。第一混合経路12には、これを開閉する電磁弁121(図示例では常閉電磁弁)が設けられている。このため、電磁弁121によって第一混合経路12を開いた状態では、水素ガスが水素発生器3から第一混合経路12を通して混合機器5に導かれる。また、混合機器5は、第二混合経路14を介して窒素供給器7に接続されている。第二混合経路14には、これを開閉する電磁弁141(図示例では常閉電磁弁)が設けられている。このため、電磁弁141によって第二混合経路14を開いた状態では、窒素ガスが窒素供給器7から第二混合経路14を通して混合機器5に導かれる。これにより、混合機器5において水素ガスと窒素ガスとを混合することができる。
【0021】
貯蔵タンク6は、上記した混合機器5で混合された混合ガスを貯蔵する。混合機器5と貯蔵タンク6とを接続する経路には、圧縮機51及び逆止弁52が設けられている。圧縮機51は、混合機器5の混合ガスを圧縮した状態で貯蔵タンク6に供給する。逆止弁52は、圧縮機51の動作を停止した状態において、圧縮された混合ガスが貯蔵タンク6から混合機器5に逆流することを防ぐ。これにより、貯蔵タンク6には、混合ガスを混合機器5における混合ガスの圧力よりも高い圧力で貯蔵することができる。
【0022】
貯蔵タンク6には、貯蔵タンク6内の混合ガスを漏れ検査装置などの各種の装置に供給するための供給経路16と供給ポート25とが順番につながっている。供給経路16には、これを開閉する電磁弁161(図示例では常閉電磁弁)が設けられている。このため、電磁弁161によって供給経路16を開いた状態では、混合ガスが貯蔵タンク6から供給経路16を通り、供給ポート25から漏れ検査装置などの各種の装置に供給される。
【0023】
供給経路16の中途部には、混合ガス排気経路17が接続されている。混合ガス排気経路17の延長方向の先端には、混合ガス排気ポート23が設けられている。混合ガス排気経路17には、これを開閉する電磁弁171(図示例では常閉電磁弁)が設けられている。このため、電磁弁171によって混合ガス排気経路17を開いた状態では、貯蔵タンク6内の混合ガスが混合ガス排気ポート23からガス混合装置1の外部に放出される。本実施形態において、混合ガス排気ポート23は大気に開放されている。なお、混合ガス排気ポート23は、例えば他の排気ガスが流れる工場の排気管(不図示)に接続されてもよい。
【0024】
水素発生器3から混合機器5まで延びる第一混合経路12の中途部には、第二水素排気経路18が接続されている。第二水素排気経路18は、第一混合経路12の中途部から前述した混合ガス排気経路17まで延びている。第二水素排気経路18には、当該第二水素排気経路18を開閉する電磁弁181(図示例では常開電磁弁)が設けられている。
【0025】
第二水素排気経路18の延長方向の中途部には、希釈ガス経路19を介して、窒素供給器7や窒素圧力容器8が接続されている。窒素圧力容器8には、窒素ガスが圧縮した状態で貯留されている。窒素圧力容器8は、ボンベやタンクなどであってよい。希釈ガス経路19には、当該希釈ガス経路19を開閉する電磁弁191(図示例では常開電磁弁)が設けられている。このため、電磁弁191によって第二水素排気経路18及び希釈ガス経路19を開いた状態では、窒素ガスが窒素供給器7や窒素圧力容器8から希釈ガス経路19を通して第二水素排気経路18に導入される。これにより、第二水素排気経路18に通る水素ガスを窒素ガスで希釈した上で混合ガス排気ポート23からガス混合装置1の外部に放出することができる。
【0026】
希釈ガス経路19は、その中途部で分岐されて、窒素供給器7と窒素圧力容器8とにそれぞれ接続されている。希釈ガス経路19の分岐部分には、シャトルバルブ194が設けられている。シャトルバルブ194は、窒素供給器7からの窒素ガス及び窒素圧力容器8からの窒素ガスのうち、圧力が高い方の窒素ガスを第二水素排気経路18に向けて流す。
【0027】
第二水素排気経路18のうち希釈ガス経路19との合流部分よりも上流側(第一混合経路12側)の部分には、レギュレータ182及びオリフィス183が設けられている。レギュレータ182及びオリフィス183は、第二水素排気経路18に流れる水素ガスの流量を調整する。同様に、希釈ガス経路19には、当該希釈ガス経路19に流れる窒素ガスの流量を調整するためのレギュレータ192及びオリフィス193が設けられている。なお、オリフィス183,193は、例えば流量調整弁(スピードコントローラー)であってもよい。
【0028】
第二水素排気経路18に流れる水素ガスの流量を調整し、希釈ガス経路19に流れる窒素ガスの流量を調整することで、第二水素排気経路18を通して外部に放出される水素ガスと窒素ガスとの混合比、すなわち、窒素ガスによって希釈される水素ガスの濃度を調整することができる。そして、第二水素排気経路18において混合された混合ガスでは、水素ガスの濃度が十分に低く、窒素ガスの濃度が十分に高い。すなわち、当該混合ガスは、ほぼ窒素ガス(非可燃性ガス)である。
【0029】
電気機器4は、上記したガス混合装置1の動作を制御する。電気機器4は、例えば水素発生器3や窒素供給器7、各種の電磁弁121,141,161,171,181,191、圧縮機51などの動作を制御する。
ガス混合装置1は、リレー(不図示)を備える。本実施形態において、リレーは、電気機器4に設けられ、例えば電磁弁121,141,161,171,181,191の動作などに用いられる。リレーは、ソリッドステートリレー(SSR)である。
【0030】
図1~3に示す基台2上には、主に上記した水素発生器3、電気機器4、混合機器5、貯蔵タンク6が搭載される。図1~3には図示しないが、基台2上には、窒素供給器7、窒素圧力容器8(図4参照)も搭載される。これにより、ガス混合装置1がコンパクトに構成されている。水素発生器3、電気機器4、混合機器5、貯蔵タンク6、窒素供給器7、窒素圧力容器8は、例えば基台2上に一体化された筐体27内に収納されてもよい。
図1~3において、Z軸方向は鉛直方向を示しており、X軸方向及びY軸方向は水平方向を示している。また、Z軸正方向が鉛直方向の上側を示している。
【0031】
基台2上に搭載された水素発生器3及び電気機器4は、図1に示すように基台2の上方から見た平面視で、互いに重ならないように配置されている。図1において、水素発生器3及び電気機器4は基台2の上面2aに載置されている。
【0032】
混合機器5及び貯蔵タンク6は、基台2の上方から見た平面視で、基台2上のうち水素発生器3及び電気機器4の搭載領域とは異なる領域S1(以下、他の領域S1とも呼ぶ。)に配置されている。本実施形態において、混合機器5及び貯蔵タンク6は、基台2の上方から見た平面視で互いに重なるように配置されている。図2,3において、混合機器5は貯蔵タンク6の上側に重ねて配置されているが、例えば貯蔵タンク6の下側に配置されてもよい。
図示しないが、本実施形態の窒素供給器7や窒素圧力容器8は、混合機器5や貯蔵タンク6と同様に、基台2の上方から見た平面視で他の領域S1に搭載されている。
【0033】
基台2の下側には、複数のキャスター26が取り付けられている。キャスター26は、例えば基台2の四隅に取り付けられているとよい。これにより、ガス混合装置1を床面Gに載置した状態で、ガス混合装置1を床面G上で容易に移動させることができる。
【0034】
ガス混合装置1の上部には、酸素排気ポート20、水素排気ポート21、分離ガス排気ポート22、混合ガス排気ポート23が設けられている。
水素排気ポート21は、高濃度の水素ガス、すなわち可燃性ガスを排出する排気ポートである。一方、酸素排気ポート20からは、酸素濃度が十分に低く、窒素濃度が十分に高いガスが排出される。また、混合ガス排気ポート23からは、水素濃度が十分に低く、窒素濃度が十分に高いガスが排出される。すなわち、酸素排気ポート20及び混合ガス排気ポート23は、いずれも実質的に窒素ガス(非可燃性ガス)を排出する排気ポートである。分離ガス排気ポート22からは、空気よりも窒素濃度が低く、酸素濃度が高いガス(分離ガス)が排出される。
【0035】
上記した排気ポート20~23(ガス混合装置1の上部)は、いずれもガス混合装置1の下端(図示例において床面G)を基準とした成人の身長や、作業者(成人)がガス混合装置1の周囲において作業する空間WS(作業空間WS)よりも高く位置する。排気ポート20~23は、例えばガス混合装置1の下端(床面G)を基準として、1.7m以上の高さに位置することが好ましく、2m以上の高さに位置することがより好ましい。
【0036】
排気ポート20~23は、例えば筐体27の側面27bに設けられてもよいが、本実施形態では筐体27の上面27aに設けられている。また、排気ポート20~23は、例えば筐体27の側方(X軸方向やY軸方向)に開口してもよいが、本実施形態では筐体27の上方(Z軸正方向)に開口している。
本実施形態において、ガス混合装置1の高さ(床面Gを基準とした筐体27の上面27aの高さ位置)は、1.7m程度であり、排気ポート20~23はガス混合装置1の上面27aに設けられている。このため、排気ポート20~23から排気されたガスが、作業空間WSや作業空間WSで作業する作業者に吹き付けられる可能性は低い。
【0037】
次に、本実施形態のガス混合装置1の動作の一例について説明する。
ガス混合装置1において混合ガスを生成するためには、予め、電磁弁121,141により第一、第二混合経路12,14を開いておき、電磁弁181,191により第二水素排気経路18及び希釈ガス経路19を閉じておく。これにより、水素発生器3からの水素ガスと窒素供給器7からの窒素ガスとが混合機器5に導かれて混合する。混合機器5で混合された水素ガスと窒素ガスとの混合ガスは、圧縮された状態で貯蔵タンク6に貯蔵される。貯蔵タンク6に貯蔵された混合ガスは、電磁弁161により供給経路16を開くことで供給ポート25から漏れ検査装置などの各種の装置に供給することができる。
【0038】
ガス混合装置1の運転開始時には、混合機器5に供給される水素ガスや窒素ガスの濃度が安定しないことがある。このため、水素ガスや窒素ガスの濃度が安定するまで、電磁弁171により混合ガス排気経路17を開いて貯蔵タンク6にある混合ガスを混合ガス排気ポート23から外部に排出することがある。
【0039】
ガス混合装置1の運転を停止する際には、電磁弁121,141によって第一、第二混合経路12,14を開いた状態、かつ、電磁弁161により供給経路16を閉じた状態で、電磁弁171により混合ガス排気経路17を開く。これにより、水素発生器3の水素貯留部32に残っている水素ガスが、混合機器5において窒素供給器7からの窒素ガスと混合される。混合機器5で混合された混合ガスは、貯蔵タンク6及び混合ガス排気経路17を通って混合ガス排気ポート23から外部に放出される。
【0040】
ガス混合装置1の運転時において、停電などによってガス混合装置1に異常が発生したときには、電磁弁121,141によって第一、第二混合経路12,14を閉じると共に、電磁弁181,191により第二水素排気経路18及び希釈ガス経路19を開く。これにより、水素発生器3の水素貯留部32に残っている水素ガスを、第二水素排気経路18に流通させると共に、窒素供給器7や窒素圧力容器8から希釈ガス経路19を通して第二水素排気経路18に導入される窒素ガスと混合させる。第二水素排気経路18において混合された混合ガスは、混合ガス排気ポート23から外部に放出される。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係るガス混合装置1では、水素発生器3と電気機器4とが、基台2の上方から見た平面視で互いに重ならないように配置される。このため、仮に空気よりも軽い水素ガスが水素発生器3から漏れ出して上方に向かっても、当該水素ガスが電気機器4に到達することを抑えることができる。これにより、水素発生器3及び電気機器4を同一の基台2上に搭載しても、水素ガスの電気機器4への影響を抑制することができる。
【0042】
また、本実施形態のガス混合装置1では、混合機器5及び貯蔵タンク6が、基台2の上方から見た平面視で、基台2上のうち水素発生器3及び電気機器4の搭載領域とは異なる領域S1(他の領域S1)に搭載されている。これにより、水素発生器3や電気機器4に影響しないように混合機器5や貯蔵タンク6を基台2上に搭載することができる。
【0043】
また、本実施形態のガス混合装置1では、混合機器5及び貯蔵タンク6が、基台2の上方から見た平面視で互いに重なるように配置されている。このため、混合機器5と貯蔵タンク6とが互いに重ならない場合と比較して、平面視した基台2の大きさを小さく抑えることができる。すなわち、ガス混合装置1の専有面積を小さく抑えることができる。混合機器5及び貯蔵タンク6は、ガス混合装置1の構成要素の中でもサイズが大きいため、これらを重ねることでガス混合装置1の専有面積を効果的に小さく抑えることができる。
【0044】
また、本実施形態のガス混合装置1が備えるリレーは、ソリッドステートリレーである。これにより、リレーにおいて放電や火花が生じないため、水素ガスがガス混合装置1のリレーに影響することを抑制することができる。また、リレーが電気機器4に設けられていることで、特に水素発生器3から漏れ出した水素ガスがリレーに影響することを効果的に抑制できる。
【0045】
また、本実施形態のガス混合装置1では、主に窒素ガス(非可燃性ガス)を排出する酸素排気ポート20及び混合ガス排気ポート23、並びに、水素ガス(可燃性ガス)を排出する水素排気ポート21が、いずれもガス混合装置1の上部に設けられている。このため、水素ガスや窒素ガスを上記の排気ポート20,21,23からガス混合装置1の周囲の作業空間WSよりも上方に排出することができる。これにより、水素ガスや窒素ガスが、作業空間WSで作業する作業者(人体)に影響することを抑制することができる。また、水素ガスが、各種の作業によって火花や放電が生じ得る作業空間WSに影響することを抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態のガス混合装置1では、排気ポート20,21,23が、ガス混合装置1の下端を基準として1.7m以上の高さに位置している。このため、排気ポート20,21,23から排出された水素ガスや窒素ガスが、成人の作業者が作業する作業空間WSにおいて漂うことを効果的に抑制することができる。これにより、水素ガスや窒素ガスが、各種の作業によって火花や放電が生じ得る作業空間WSや、当該作業空間WSで作業する作業者(人体)に影響することを効果的に抑えることができる。
【0047】
また、本実施形態のガス混合装置1によれば、排気ポート20,21,23が筐体27の上方に開口している。このため、排気ポート20,21,23が筐体27の側方に開口する場合と比較して、水素ガスや窒素ガスが排気ポート20,21,23よりも下方(すなわち作業空間WSに向けて)に流れる可能性を低下させることができる。この点について説明すれば、水素ガスや窒素ガスは、排気ポート20,21,23の開口から当該開口を中心に広がるように放出される。このため、排気ポート20,21,23が筐体27の側方に開口していると、排気ポート20,21,23から側方に排気された水素ガスや窒素ガスの一部が排気ポート20,21,23よりも下方に流れやすい。一方、排気ポート20,21,23が筐体27の上方に開口していれば、水素ガスや窒素ガスが排気ポート20,21,23から上方に排気されるため、水素ガスや窒素ガスが排気ポート20,21,23よりも下方に流れる可能性を低下させることができる。
【0048】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0049】
本発明のガス混合装置において、混合機器5、貯蔵タンク6、窒素供給器7、窒素圧力容器8は、基台2の上方から見た平面視で、水素発生器3や電気機器4と重なるように配置されてもよい。
【0050】
本発明のガス混合装置において、分離ガス排気ポート22は、例えばガス混合装置の下部など上部以外の箇所に設けられてよい。
【0051】
本発明のガス混合装置における可燃性ガスは、水素ガスなどのように空気よりも比重が小さい可燃性のガスに限らず、少なくとも空気と比重が異なる可燃性のガスであってよい。例えば可燃性ガスの比重が空気よりも大きい場合には、仮に可燃性ガスが可燃性ガス発生器から漏れ出して下方に向かっても、当該可燃性ガスが電気機器4に到達することを抑えることができる。したがって、上記実施形態と同様に可燃性ガスの電気機器4への影響を抑制することができる。
【0052】
本発明のガス混合装置における非可燃性ガスは、窒素ガスに限らず、例えばヘリウムガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガスなどであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…ガス混合装置、2…基台、3…水素発生器(可燃性ガス発生器)、4…電気機器、5…混合機器、6…貯蔵タンク、20…酸素排気ポート、21…水素排気ポート、22…分離ガス排気ポート、23…混合ガス排気ポート
図1
図2
図3
図4