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特許7433684疑似固相保護基、それを用いたヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体、オリゴアミダイト前駆体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】疑似固相保護基、それを用いたヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体、オリゴアミダイト前駆体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 69/36 20060101AFI20240213BHJP
   C07C 69/92 20060101ALI20240213BHJP
   C07C 235/48 20060101ALI20240213BHJP
   C07H 21/02 20060101ALI20240213BHJP
   C07H 21/04 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
C07C69/36
C07C69/92 CSP
C07C235/48
C07H21/02
C07H21/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023085573
(22)【出願日】2023-05-24
【審査請求日】2023-05-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397074172
【氏名又は名称】塩野フィネス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤村 一真
(72)【発明者】
【氏名】木村 元紀
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-275254(JP,A)
【文献】特開2020-011932(JP,A)
【文献】国際公開第2012/157723(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/086397(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/227618(WO,A1)
【文献】Asian J. Chem.,2014年,26,6364-6366
【文献】Tetrahedron Lett.,2010年,51,240-243
【文献】Nucleosides & Nucleotides,1996年,15,1871-1889
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07F
C07H 21/
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴヌクレオチド又はオリゴアミダイトの製造に用いられる疑似固相保護基であって、
一般式(1wo)で表され、ヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドの3’位ヒドロキシ基に結合する分子末端にシュウ酸構造を有する、疑似固相保護基。
MO-(O=)C-C(=O)--X-Y-Z (1wo
(一般式(1wo)中、-OMはヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドの3’位ヒドロキシ基に結合する結合基を示し、Mは水素原子(H)又はアルカリ金属原子を示し
a)は炭素数~12のアルキレン基、-(CH -O-(CH -基(pは2~6の整数を示す)若しくはアリーレン基(炭素数1~3のアルキレン基で置換されていてもよい)はエーテル結合、-OCO-若しくは-NRCO-(Nは窒素原子を示し、RはH又は炭素数1~6のアルキル基を示す;かつZは炭素数10~30のアルコキシ基2個若しくは3個が結合されたジ若しくはトリアルコキシフェニル基、若しくは炭素数10~30のアルコキシ基2個若しくは3個が結合されたジ若しくはトリアルコキシアルキル基を示す、又は
b)X及びYは単結合;かつZは炭素数10~30のアルコキシ基2個若しくは3個が結合されたジ若しくはトリアルコキシアルキル基を示す。)
【請求項2】
疑似固相保護基の結合により、3’位ヒドロキシ基が保護されたヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体であって、
疑似固相保護基が請求項1に記載の疑似固相保護基である、ヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体。
【請求項3】
請求項2に記載のオリゴヌクレオチド保護体から上記疑似固相保護基が選択的に脱保護されたオリゴアミダイト前駆体を製造する方法であって、
上記オリゴヌクレオチド保護体と、求核剤及び塩基とを混合することにより、該オリゴヌクレオチド保護体から上記疑似固相保護基を選択的に除去する選択的脱保護工程を備える、オリゴアミダイト前駆体の製造方法。
【請求項4】
上記求核剤は、2-シアノエタノール、2-ブロモエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、メタノール、エチレングリコール、1,10-デカンジチオール、2-アニリノエタノール、2-アミノベンジルアルコール及び2-アミノフェノールからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項3に記載のオリゴアミダイト前駆体の製造方法。
【請求項5】
上記塩基は、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-メチルイミダゾール、4-ジメチルアミノピリジン、4-ピロリジノピリジン、ピリジン及びリン酸水素二カリウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項3又は4に記載のオリゴアミダイト前駆体の製造方法。
【請求項6】
請求項2に記載のオリゴヌクレオチド保護体から上記疑似固相保護基が選択的に脱保護されたオリゴアミダイト前駆体を製造する方法であって、
上記オリゴヌクレオチド保護体と、脂肪族アミノアルコールとを混合することにより、該オリゴヌクレオチド保護体から上記疑似固相保護基を選択的に除去する選択的脱保護工程を備える、オリゴアミダイト前駆体の製造方法。
【請求項7】
上記脂肪族アミノアルコールは、2-(メチルアミノ)エタノール、2-[(ヒドロキシメチル)アミノ]エタノール及びジエタノールアミンからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項6に記載のオリゴアミダイト前駆体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、疑似固相保護基、それを用いたヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体、オリゴアミダイト前駆体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、オリゴヌクレオチドの製造方法として、自動合成装置を使用したホスホロアミダイト法による固相合成法が最も汎用されている。近年、核酸医薬の開発増加に伴い、原薬成分であるオリゴヌクレオチドを大量に製造する方法に対する需要が高まっているが、固相合成法では1回の製造スケールの限界が数キログラム程度であるため、より大量製造が可能な方法として液相合成法の開発が進められている。
【0003】
液相合成法として、従来の課題であった精製操作の煩雑さを解消するため、疑似固相保護基を用いたオリゴヌクレオチド保護体の製造方法が提案されている(例えば特許文献1~3)。また近年では、目的のオリゴヌクレオチドに対して鎖長がN-1およびN+1の副生成物を低減する目的で、予め調製した2量体(2mer)以上のオリゴアミダイトを縮合に用いるブロック合成法が開発されている(例えば先行文献4)。
【0004】
ここで、オリゴアミダイトの前駆体となる核酸塩基やリン酸基が保護されたオリゴアミダイト前駆体を合成するためには、疑似固相保護基を除去する選択的脱保護工程が必要になる(例えば非特許文献1や特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-275254号公報
【文献】国際公開第2012/157723号
【文献】国際公開号2017/086397号
【文献】国際公開第2020/227618号
【文献】特開2020-011932号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】Y. Matsuno, et al., Org. Lett., 2016, 18, 800-803
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1~3に記載の液相合成方法では、オリゴアミダイト前駆体の合成(疑似固相保護基の選択的脱保護)については触れられていない。
【0008】
特許文献4に記載の2mer以上のオリゴアミダイトを用いたオリゴヌクレオチド保護体のブロック合成法では、3’末端側のビルディングブロックは疑似固相保護基を使用して合成しているのに対し、5’末端側のビルディングブロック(オリゴアミダイト)の合成には疑似固相保護基ではなく、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS基)が使用されており、選択的脱保護により高い収率でオリゴアミダイト前駆体を得るためには、危険なフッ化水素酸を過剰量使用しなければならない。また、TBDMS基はRNA合成の際に2’位ヒドロキシ基の保護基として一般的に使用されているが、その場合は3’位ヒドロキシ基を保護したTBDMS基の選択的脱保護が困難であるため、2’位ヒドロキシ基がTBDMS基で保護されたRNA型のオリゴアミダイト合成には適用できないと考えられる。
【0009】
非特許文献1に記載の工程では、Pd触媒を用いる接触還元により疑似固相保護基の除去が行われているが、毒性のある重金属や危険な水素ガスを使用しなければならない。また、この工程では20~40時間程度の長時間を要する。特許文献5に記載の工程では、水素化ホウ素リチウムを用いて疑似固相保護基の選択的脱保護が行われているが、水素化ホウ素リチウムは空気中の水分により失活するため取り扱いに注意が必要であり、水と反応して水素ガスを発生するため、火災や発泡による吹きこぼれなどの事故を招く危険性がある。また、2’位にフッ素やメトキシ基、TBDMS基で保護されたヒドロキシ基などの置換基を有するRNAの合成では、選択的脱保護の収率は53~67%であり、収率に課題が認められる。
【0010】
このように、従来の疑似固相保護基では、オリゴアミダイトの前駆体となる核酸塩基やリン酸基が保護されたオリゴアミダイト前駆体を合成するために必要な疑似固相保護基の選択的脱保護工程において、重金属や水素ガス、水素化ホウ素リチウムなどの有害または危険な試薬を使用する必要があるため、大量製造を実施するには取り扱いの点で課題が存在し、改善が求められている。
【0011】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、オリゴヌクレオチド又はオリゴアミダイトの製造に用いられ、取り扱い容易な化合物を用いて選択的に脱保護可能な疑似固相保護基、それを用いたヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体、オリゴアミダイト前駆体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
核酸医薬品の原薬であるオリゴヌクレオチドを製造する技術として、大量製造を目的とした疑似固相保護基を用いる液相合成法と、副生成物の低減を目的としたブロック合成法という、これら2つの技術を組み合わせることで、より純度の高いオリゴヌクレオチドの大量製造が可能になると考えられるが、その実現にはオリゴアミダイト前駆体の大量製造法を確立する必要がある。そこで、本発明者らは、オリゴアミダイト前駆体の大量製造を目的として、オリゴヌクレオチド保護体の核酸塩基やリン酸基の保護基を損なうことなく、選択的に除去可能な疑似固相保護基の研究を進めた結果、取り扱いの容易な求核剤と塩基の組み合わせ又は特定の脂肪族アミノアルコールを用いて選択的に脱保護可能な疑似固相保護基を見出した。
【0013】
本開示は、具体的には以下のとおりである。本開示の疑似固相保護基は、オリゴヌクレオチド又はオリゴアミダイトの製造に用いられる疑似固相保護基であって、一般式(1):MO-(O=)C-C(=O)-W-X-Y-Z (1)
(一般式(1)中、-OMはヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドの3’位ヒドロキシ基に結合する結合基を示し、Mは水素原子(H)又はアルカリ金属原子を示し、Wは酸素原子(O)、硫黄原子(S)又はNR(Nは窒素原子を示し、RはH又は炭素数1~6のアルキル基を示す)を示し、Xは単結合、炭素数1~12のアルキレン基(エーテル結合(-O-)を有していてもよい)、アリーレン基(炭素数1~3のアルキレン基で置換されていてもよい)又は2価の複素環基を示し、Yは単結合、エーテル結合、-OCO-、-NRCO-(Rは上記と同じ)、-CO-又は-SCO-を示し、Zは炭素数10~30のアルコキシ基を有するアルコキシフェニル基又はアルコキシアルキル基を示す。)
で表され、ヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドの3’位ヒドロキシ基に結合する分子末端にシュウ酸構造を有する。
【0014】
本開示のヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体は、疑似固相保護基の結合により、3’位ヒドロキシ基が保護されたヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体であって、疑似固相保護基が上記疑似固相保護基である。
【0015】
本開示のオリゴアミダイト前駆体の製造方法は、上記オリゴヌクレオチド保護体から上記疑似固相保護基が選択的に脱保護されたオリゴアミダイト前駆体を製造する方法であって、上記オリゴヌクレオチド保護体と、求核剤及び塩基とを混合することにより、該オリゴヌクレオチド保護体から上記疑似固相保護基を選択的に除去する選択的脱保護工程を備える。上記求核剤は、2-シアノエタノール、2-ブロモエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、メタノール、エチレングリコール、1,10-デカンジチオール、2-アニリノエタノール、2-アミノベンジルアルコール及び2-アミノフェノールからなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてもよい。上記塩基は、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-メチルイミダゾール、4-ジメチルアミノピリジン、4-ピロリジノピリジン、ピリジン及びリン酸水素二カリウムからなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてもよい。
【0016】
また、本開示のオリゴアミダイト前駆体の製造方法は、上記オリゴヌクレオチド保護体から上記疑似固相保護基が選択的に脱保護されたオリゴアミダイト前駆体を製造する方法であって、上記オリゴヌクレオチド保護体と、脂肪族アミノアルコールとを混合することにより、該オリゴヌクレオチド保護体から上記疑似固相保護基を選択的に除去する選択的脱保護工程を備える。上記脂肪族アミノアルコールは、2-(メチルアミノ)エタノール、2-[(ヒドロキシメチル)アミノ]エタノール及びジエタノールアミンからなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本開示によれば、オリゴヌクレオチド又はオリゴアミダイトの製造に用いられ、取り扱い容易な化合物を用いて選択的に脱保護可能な疑似固相保護基、それを用いたヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体、オリゴアミダイト前駆体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施の形態を詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0019】
<疑似固相保護基>
本実施形態に係る疑似固相保護基は、従来の疑似固相保護基と同様に、オリゴヌクレオチド又はオリゴアミダイトの製造に使用される。疑似固相保護基は、ヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドの3’位ヒドロキシ基に結合して、当該3’位ヒドロキシ基を保護する保護基をいう。
【0020】
本実施形態に係る疑似固相保護基は、一般式(1):
[化1]
MO-(O=)C-C(=O)-W-X-Y-Z (1)
で表される(以下「疑似固相保護基(1)」とも称する)。疑似固相保護基(1)は、ヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドの3’位ヒドロキシ基に結合する分子末端にシュウ酸構造「MO-(O=)C-C(=O)-W」を有する。疑似固相保護基(1)は、3’位ヒドロキシ基との結合部位側の分子末端にシュウ酸構造を有する点で、従来の疑似固相保護基とは構造が異なる。そして、当該分子末端にシュウ酸構造を有する疑似固相保護基(1)と、特定の化合物(以下「脱保護剤」とも称する)との組み合わせにより、疑似固相保護基(1)の選択的脱保護という所望の効果が得られる。なお、従来の疑似固相保護基は、同条件(脱保護剤との組み合わせ)では脱保護されない。
【0021】
また、疑似固相保護基(1)は、オリゴヌクレオチド合成の一般的な全脱保護条件においても脱保護される。さらに、疑似固相保護基(1)は、当該全脱保護条件において、従来の疑似固相保護基よりも速やかに脱保護される。これらより、疑似固相保護基(1)は、オリゴヌクレオチド合成に好適に利用可能である。
【0022】
一般式(1)において、シュウ酸構造の一端を構成する「-OM」はヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドの3’位ヒドロキシ基に結合する結合基を示す。
【0023】
「M」は水素原子(H)又はアルカリ金属原子を示す。アルカリ金属の種類は特に限定されず、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等が挙げられる。好ましくはカリウムである。
【0024】
一般式(1)において、シュウ酸構造の他端を構成する「W」は酸素原子(O)、硫黄原子(S)又はNRを示す。「N」は窒素原子を示す。「R」はH又は炭素数1~6のアルキル基を示す(以下同様)。「W」の中では、「O」が好ましい。
【0025】
炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖状又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。炭素数1~6のアルキル基の中では、炭素数1~6の直鎖状アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。なお、-W-X-(WはNRを示す)で2価の複素環(ヘテロ環)基を形成してもよい。
【0026】
一般式(1)において、「X」(-X-)は単結合;2価の基として炭素数1~12のアルキレン基(エーテル結合(-O-)を有していてもよい)、アリーレン基(炭素数1~3のアルキレン基で置換されていてもよい)又は2価の複素環基を示す。
【0027】
炭素数1~12のアルキレン基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、tert-ブチレン基、sec-ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、ヘキシレン基、イソへキシレン基、3-メチルペンチレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基等の直鎖状又は分枝鎖状アルキレン基が挙げられる。
【0028】
エーテル結合を有する炭素数1~12のアルキレン基は、-(CH-O-(CH-基(エーテル結合を有するジアルキレン基)で示される。pは1~6の整数を示し、好ましくは1~3の整数である。例えば、-CHCH-O-CHCH-基(エーテル結合を有するジエチレン基)等が挙げられる。
【0029】
アリーレン基は、単環式又は2環式~6環式の芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレン等)から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基である。例えばフェニレン基(-C-)等が挙げられる。
【0030】
炭素数1~3のアルキレン基で置換された(炭素数1~3のアルキレン基を有する)アリーレン基は、上記の環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を炭素数1~3のアルキレン基でそれぞれ置換した基である。例えば-(CH-C-(CH-基(ジメチレン基置換フェニレン基、キシレンのメチル基がメチレン基に置換された基)等が挙げられる。qは1~3の整数を示す。
【0031】
2価の複素環基は、単環式又は2環式~6環式の複素環式化合物(例えば、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロリジン、ピぺリジン、ピペラジン等)から、環を構成する原子(好ましくは炭素原子及び/又は窒素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基である。例えば、2価のピペリジン環構造含有基(以下「-(piperi)-」とも称する)、2価のピペラジン環構造含有基(以下「-(pipera)-」とも称する)等が挙げられる。なお、2価のピペラジン環構造含有基は、-W-X-(WはNRを示す)で構成されていてもよい(以下「-N(pipera)-」とも称する)。
【0032】
一般式(1)において、「Y」(-Y-)は単結合;2価の基としてエーテル結合(-O-)、-OCO-(-OC(=O)-)、-NRCO-(-(R)NC(=O)-)、-CO-(-C(=O)-)又は-SCO-(-SC(=O)-)を示す。
【0033】
一般式(1)において、「Z」(-Z)は炭素数10~30のアルコキシ基を有するアルコキシフェニル基又はアルコキシアルキル基を示す。
【0034】
炭素数10~30のアルコキシ基を有するアルコキシフェニル基は、ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子を炭素数10~30のアルコキシ基で置換したフェニル基を示す。例えば、アルコキシ基2個が結合されたジアルコキシフェニル基、アルコキシ基3個が結合されたトリアルコキシフェニル基等が挙げられる。この中では、トリアルコキシフェニル基が好ましい。
【0035】
炭素数10~30のアルコキシ基を有するアルコキシアルキル基は、炭素数1~6の直鎖状又は分枝鎖状アルキル基(上記と同じ)を構成する炭素原子に直接結合する水素原子を炭素数10~30のアルコキシ基で置換したアルキル基を示す。例えば、アルコキシメチル基、アルコキシエチル基、アルコキシプロピル基、ジアルコキシイソプロピル基、アルコキシブチル基、アルコキシペンチル基、アルコキシヘキシル基が挙げられる。この中では、アルコキシ基2個が結合されたジアルコキシイソプロピル基が好ましい。
【0036】
疑似固相保護基(1)の中では、
・一般式(1wo):
[化2]
MO-(O=)C-C(=O)-O-X-Y-Z (1wo)
で表される基(以下「疑似固相保護基(1wo)」とも称する)及び
・一般式(1wn):
[化3]
MO-(O=)C-C(=O)-NR-X-Y-Z (1wn)
で表される基(以下「疑似固相保護基(1wn)」とも称する)が好ましい。疑似固相保護基(1wo)は、WがOを示すシュウ酸エステル構造を有する。疑似固相保護基(1wn)は、WがNRを示すシュウ酸アミド構造を有する。
【0037】
シュウ酸エステル構造の疑似固相保護基(1wo)の中では、
・一般式(1woxe):
[化4]
MO-(O=)C-C(=O)-O-(CH-O-(CH-Y-Z (pは1~6の整数を示す) (1woxe)
で表される基(以下「疑似固相保護基(1woxe)」とも称する)、
・一般式(1woxp):
[化5]
MO-(O=)C-C(=O)-O-(CH-C-(CH-Y-Z (qは1~3の整数を示す) (1woxp)
で表される基(以下「疑似固相保護基(1woxp)」とも称する)、
・一般式(1wox-):
[化6]
MO-(O=)C-C(=O)-O-Y-Z (1wox-)
で表される基(以下「疑似固相保護基(1wox-)」とも称する)、
・一般式(1woxh):
[化7]
MO-(O=)C-C(=O)-O-(piperi)-Y-Z (1woxh)
で表される基(以下「疑似固相保護基(1woxh)」とも称する)及び
・一般式(1woxa):
[化8]
MO-(O=)C-C(=O)-O-(CH-Y-Z (rは1~12の整数を示す。但し、Yは-OCO-及び-NRCO-を除く。) (1woxa)
で表される基(以下「疑似固相保護基(1woxa)」とも称する)が好ましい。疑似固相保護基(1woxe)では、Xが「エーテル結合を有するジアルキレン基」を示す。疑似固相保護基(1woxp)では、Xが「ジアルキレン基置換フェニレン基」を示す。疑似固相保護基(1wox-)では、Xが「単結合」を示す。疑似固相保護基(1woxh)では、Xが「2価のピペリジン環構造含有基」(2価の複素環基)を示す。疑似固相保護基(1woxa)では、Xが「炭素数1~12のアルキレン基」を示し、Yが-OCO-及び-NRCO-以外の基を示す。
【0038】
シュウ酸アミド構造の疑似固相保護基(1wn)の中では、
・一般式(1wnxh):
[化9]
MO-(O=)C-C(=O)-N(pipera)-Y-Z (1wnxh)
で表される基(以下「疑似固相保護基(1wnxh)」とも称する)及び
・一般式(1wnx-):
[化10]
MO-(O=)C-C(=O)-NR-Y-Z (1wnx-)
で表される基(以下「疑似固相保護基(1wnx-)」とも称する)が好ましい。疑似固相保護基(1wnxh)では、-W-X-(WはNRを示す)が「2価のピペラジン環構造含有基」(2価の複素環基)を示す。疑似固相保護基(1wnx-)では、Xが「単結合」を示す。
【0039】
疑似固相保護基(1)の具体的化合物を以下の表1に示す。なお、表1中の番号は、括弧書きで記載した番号以外、以下の実施例に記載の化合物の番号に対応する。
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示す疑似固相保護基(1)の具体的化合物の中では、化合物5、47、53、58、65、66及び67が好ましく、化合物5、47、53、58、66及び67がより好ましく、化合物5、47、53及び58がさらに好ましく、化合物5及び53がさらに一層好ましい。
【0042】
<疑似固相保護基の製造方法>
疑似固相保護基(1)の製造方法は、特に限定されず、一般に公知の方法を用いて合成される。具体的な合成方法としては、例えば以下の実施例に記載の方法が挙げられる。
【0043】
<ヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体>
ヌクレオシド保護体とは、3’位ヒドロキシ基に疑似固相保護基が結合されたヌクレオシド(1量体)をいう。オリゴヌクレオチド保護体とは、3’位ヒドロキシ基に擬似固相保護基が結合されたヌクレオシド保護体又は3’位ヒドロキシ基に擬似固相保護基が結合されたオリゴヌクレオチド(その5’位ヒドロキシ基)に、ホスホロアミダイトを反応させることで、別のヌクレオシド又はオリゴヌクレオチド(その3’位ヒドロキシ基)がリン酸含有基を介して複数結合された2量体以上の結合体をいう。なお、ホスホロアミダイトとは、ヌクレオシドホスホロアミダイト(1量体)又はオリゴヌクレオチドホスホロアミダイト(2量体以上)をいい、リン原子に、ヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドの3’位と、シアノエトキシ基と、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基とが結合された化合物をいう。また、オリゴヌクレオチド保護体の製造方法を以下「伸長反応サイクル」とも称する。
【0044】
ここで、本実施形態に係るヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体は、3’位ヒドロキシ基が疑似固相保護基(1)の結合により保護されている。なお、ヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体の5’位ヒドロキシ基は後述する一時保護基の結合により保護されている。また、ヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体の2’位は、水素原子(2’-デオキリボース)又は後述する基本保護基の結合により保護されていてもよい水酸基(リボース)であり、メトキシ基、2-メトキシエトキシ基又はハロゲンで置換されていてもよい。2量体以上のオリゴヌクレオチド保護体の場合、2’位は同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。2’位は4’位と架橋されていてもよい(2’位と4’位とが架橋したリボース)。この場合、2’位と4’位とは、(2’位)-O-A-(4’位)という結合を形成する。Aは、例えば、炭素数1~6のアルキレン基(途中の炭素原子が酸素原子又はアルキル基が結合した窒素原子と置換されていてもよい)等が挙げられる。また、ヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体の核酸塩基(そのアミノ基、カルボニル基、ヒドロキシ基もしくはチオール基)、及びオリゴヌクレオチド保護体のリン酸基(リン酸ジエステル結合のヒドロキシ基、又はチオリン酸ジエステル結合のヒドロキシ基もしくはチオール基)は基本保護基の結合により保護されている。なお、「核酸塩基」は、核酸の合成に使用されるものであれば特に制限されず、例えば、シトシル基、ウラシル基、チミニル基、アデニル基、グアニル基等の天然型塩基;5-フルオロウラシル基、5-メチルシトシル基、8-オキソグアニル基、ヒポキサンチニル基等の修飾塩基等が挙げられる。
【0045】
一時保護基は、ヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体の5’位ヒドロキシ基を保護する保護基をいい、伸長反応サイクルにおいて脱保護される保護基をいう。脱保護された5’位ヒドロキシ基は、伸長反応サイクルにおいて、ホスホロアミダイトとの結合に利用される。一時保護基は疑似固相保護基(1)とは構造が異なり、そのため一時保護基の機能も疑似固相保護基(1)とは異なる。なお、一時保護基は、特に限定されず、従来公知の保護基を適用できる。一時保護基としては、例えば、4,4’-ジメトキシトリチル基、tert-ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。
【0046】
基本保護基は、ヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体の核酸塩基中の各基、及びオリゴヌクレオチド保護体のリン酸基中の各基を保護する保護基をいい、伸長反応サイクルにおいて脱保護されない保護基をいう。なお、基本保護基は、必要に応じてヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体の2’位ヒドロキシ基を保護する。基本保護基は疑似固相保護基(1)とは構造が異なり、そのため基本保護基の機能も疑似固相保護基(1)とは異なる。なお、基本保護基は、特に限定されず、従来公知の保護基を適用できる。核酸塩基中のアミノ基の保護基としては、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、ジメチルホルムアミジル基、フェノキシアセチル基、4-イソプロピルフェノキシアセチル基等が挙げられる。リン酸基中のリン酸ジエステル結合のヒドロキシ基、又はチオリン酸ジエステル結合のヒドロキシ基もしくはチオール基の保護基としては、例えば、シアノエチル基、アリル基、メチル基等が挙げられる。2’位ヒドロキシ基の保護基としては、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、フェノキシアセチル基、tert-ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシロキシメチル基、4,4’-ジメトキシトリチル基等が挙げられる。
【0047】
<オリゴヌクレオチド保護体の製造方法(伸長反応サイクル)>
オリゴヌクレオチド保護体の伸長反応サイクルは、保護工程と、合成工程とを備える。当該サイクルは、必要に応じて上記以外の工程(その他の工程)を含んでいてもよい。
【0048】
(保護工程)
保護工程では、5’位ヒドロキシ基が一時保護基で保護されたヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドの3’位ヒドロキシ基に、疑似固相保護基(1)を結合する(以下「疑似固相保護基(1)結合ヌクレオシド又はオリゴヌクレオチド」とも称する)。なお、保護工程で得られる疑似固相保護基(1)結合ヌクレオシドはヌクレオシド保護体である。換言すると、ヌクレオシド保護体の製造方法は保護工程のみを備える。
【0049】
(合成工程)
合成工程では、疑似固相保護基(1)結合ヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドの5’位ヒドロキシ基に結合された一時保護基を除去して脱保護した後、その5’位ヒドロキシ基にホスホロアミダイトを結合し、亜リン酸エステルを酸化又は硫化する。
【0050】
上記一連の工程により、2量体のオリゴヌクレオチド保護体が合成される。なお、合成工程はサイクル数(オリゴヌクレオチド保護体の鎖長)に応じて繰り返し実施すればよい。例えば、上記一連の工程をn回繰り返す方法(当該一連の工程を同じ順序で連続的に液中にて行う方法等)、所定の長さを有するn量体のホスホロアミダイトを用いてそれらをm量体のヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体に結合させる方法等により、2量体以上である(n+m)量体、即ちより高次のオリゴヌクレオチド保護体が合成される。なお、伸長反応サイクルの具体的な方法は、以下の実施例に記載の方法等が挙げられる。
【0051】
ここで、本実施形態に係るヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体では、取り扱い容易な脱保護剤の使用により、一時保護基及び基本保護基は脱保護せずに、疑似固相保護基(1)だけを脱保護できる。疑似固相保護基(1)が有する機能(選択的脱保護能)は、一時保護基及び基本保護基は有しない。このように、疑似固相保護基(1)と脱保護剤との組み合わせにより、オリゴヌクレオチド保護体から疑似固相保護基(1)を選択的に脱保護できるため、疑似固相保護基(1)及びそれが結合されたオリゴヌクレオチド保護体は、オリゴアミダイト前駆体の製造にも好適に利用可能である。
【0052】
<オリゴアミダイト前駆体の製造方法>
オリゴアミダイト前駆体とは、オリゴヌクレオチド保護体の3’位ヒドロキシ基に結合された疑似固相保護基(1)が除去されたものをいう。
【0053】
本実施形態に係るオリゴアミダイト前駆体の製造方法は、本実施形態に係るオリゴヌクレオチド保護体から疑似固相保護基(1)を選択的に脱保護することで、オリゴアミダイト前駆体を得る方法をいう。オリゴアミダイト前駆体の製造方法は、選択的脱保護工程を備える。当該製造方法は、必要に応じて上記以外の工程(その他の工程)を含んでいてもよい。
【0054】
(選択的脱保護工程)
選択的脱保護工程では、オリゴヌクレオチド保護体と脱保護剤とを混合することにより、オリゴヌクレオチド保護体から、その3’位ヒドロキシ基に結合された疑似固相保護基(1)を選択的に除去する。
【0055】
〔脱保護剤〕
《第1のオリゴアミダイト前駆体の製造方法》
第1のオリゴアミダイト前駆体の製造方法では、脱保護剤として、取り扱い容易な求核剤と塩基とを組み合わせたものが用いられる。
【0056】
〔求核剤〕
求核剤は、例えば、2-シアノエタノール、2-ブロモエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、メタノール、エチレングリコール、1,10-デカンジチオール、2-アニリノエタノール、2-アミノベンジルアルコール、2-アミノフェノール等が挙げられる。求核剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい(例示される求核剤からなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてもよい)。求核剤の中では、2-シアノエタノール、2-ブロモエタノール、メタノール、エチレングリコール、2-アニリノエタノール、2-アミノベンジルアルコール及び2-アミノフェノールが好ましく;2-シアノエタノール、2-ブロモエタノール、メタノール及びエチレングリコールがより好ましく;メタノール及びエチレングリコールがさらに好ましい。選択的脱保護工程における求核剤の当量は、疑似固相保護基(1)に対して、好ましくは1~100当量、より好ましくは5~50当量である。
【0057】
〔塩基〕
塩基は、例えば、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-メチルイミダゾール、4-ジメチルアミノピリジン、4-ピロリジノピリジン、ピリジン、リン酸水素二カリウム等が挙げられる。塩基は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい(例示される塩基からなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてもよい)。塩基の中では、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-メチルイミダゾール、4-ジメチルアミノピリジン、4-ピロリジノピリジン及びリン酸水素二カリウムが好ましく;トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、4-ピロリジノピリジン及びリン酸水素二カリウムがより好ましく;トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン及び4-ピロリジノピリジンがさらに好ましい。選択的脱保護工程における塩基の当量は、疑似固相保護基(1)に対して、好ましくは0.001~3当量、より好ましくは0.001~1.5当量である。
【0058】
求核剤と塩基の好ましい組み合わせとしては、2-シアノエタノールと、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、4-ピロリジノピリジン及びリン酸水素二カリウムの少なくとも一種との組み合わせ;メタノールと4-ピロリジノピリジンとの組み合わせ;エチレングリコールと4-ピロリジノピリジンとの組み合わせ等が挙げられる。
【0059】
《第2のオリゴアミダイト前駆体の製造方法》
第2のオリゴアミダイト前駆体の製造方法では、脱保護剤として、取り扱い容易な脂肪族アミノアルコールが用いられる。
【0060】
〔脂肪族アミノアルコール〕
脂肪族アミノアルコールは、例えば、2-(メチルアミノ)エタノール、2-[(ヒドロキシメチル)アミノ]エタノール、ジエタノールアミン等が挙げられる。脂肪族アミノアルコールは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい(例示される脂肪族アミノアルコールからなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてもよい)。脂肪族アミノアルコールの中では、2-(メチルアミノ)エタノールが好ましい。選択的脱保護工程における脂肪族アミノアルコールの当量は、疑似固相保護基(1)に対して、好ましくは1~5当量、より好ましくは1~3当量である。
【0061】
選択的脱保護工程では、オリゴヌクレオチド保護体と脱保護剤とを溶媒中で混合する。溶媒は、オリゴヌクレオチド保護体と脱保護剤に対する溶解度の高い低極性溶媒が好ましく、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロヘキサン等の脂肪族系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0062】
選択的脱保護工程における反応温度は好ましくは5~40℃程度である。選択的脱保護工程における反応時間は、好ましくは24時間以内であり、20時間以内、10時間以内、8時間以内、5時間以内、3時間以内、1時間以内、30分以内、10分以内等短いほど好ましい。なお、当該反応時間は、選択的脱保護の収率(オリゴアミダイト前駆体の生成率)が好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上の時点をいう。
【0063】
以上の選択的脱保護工程により、オリゴヌクレオチド保護体からオリゴアミダイト前駆体が得られる。選択的脱保護工程は、オリゴヌクレオチド保護体の伸長反応サイクルにおける保護工程及び合成工程と組み合わせて、一連の工程としてもよい。選択的脱保護工程の具体的な方法は、以下の実施例に記載の方法等が挙げられる。
【0064】
以上詳述したように、本実施形態に係る疑似固相保護基(1)は、オリゴヌクレオチド合成の一般的な全脱保護条件において、従来の疑似固相保護基よりも速やかに脱保護されるため、オリゴヌクレオチド合成に利用可能である。なお、疑似固相保護基(1)は、液相合成において極性溶媒(アセトニトリル、メタノール等)を添加することで、ろ過等によりアミダイトモノマー等の副原料と簡便に分離できる。また、本実施形態に係る疑似固相保護基(1)、疑似固相保護基(1)を有するオリゴヌクレオチド保護体、オリゴヌクレオチド保護体を用いたオリゴアミダイト前駆体の製造方法によれば、選択的脱保護工程で使用する脱保護剤として、従来の重金属、水素ガス、水素化ホウ素リチウム等の有害又は危険な試薬を使用せずに、取り扱い容易な求核剤と塩基とを組み合わせたもの又は脂肪族アミノアルコールを用いて、疑似固相保護基(1)を選択的に除去可能であるため、オリゴアミダイト前駆体の大量製造に好適に利用できる。したがって、疑似固相保護基(1)は、オリゴヌクレオチド又はオリゴアミダイトの大量製造法を確立する上で有用である。
【0065】
<その他の実施形態>
上記実施形態に係る疑似固相保護基(1)、それを用いたオリゴヌクレオチド保護体、オリゴアミダイト前駆体の製造方法は、DNA合成だけでなく、RNA合成(例えば2’位ヒドロキシ基がTBDMS基で保護されたRNA型のオリゴアミダイト合成)にも適用できる。
【実施例
【0066】
以下に、本開示を実施例に基づいて説明する。なお、本開示は、以下の実施例に限定されるものではなく、以下の実施例を本開示の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本開示の範囲から除外するものではない。
【0067】
(NMRスペクトル)
H、13C及び31P-NMRスペクトルはブルカー・バイオスピン社製AVANCE III 400Nano-Bay(H:400MHz、13C:100MHz、31P:162MHz)でそれぞれ測定した。内部標準物質にテトラメチルシラン(H及び13C:0ppm)又はリン酸トリエチル(31P:0.20ppm)を用いた。
【0068】
(質量分析)
質量分析は日本電子社製JMS-S3000で測定した。
【0069】
(略記の説明)
・THF:テトラヒドロフラン
・MTBE:tert-ブチルメチルエーテル
・HBTU:1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-ベンゾトリアゾリウム3-オキシドヘキサフルオロフォスファート
・COMU:(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロフォスファート
・BTT:5-(ベンジルチオ)-1H-テトラゾール
・TBHP:tert-ブチルヒドロペルオキシド。
【0070】
実施例1(疑似固相保護基の前駆体の合成):化合物3の合成
【0071】
【化1】
【0072】
工程1-1:化合物2の合成
窒素雰囲気下、化合物1(12.0 g、65.2 mmol)、1-ブロモオクタデカン(71.6 g、215 mmol)、炭酸カリウム(54.0 g、391 mmol)及びヨウ化ナトリウム(977 mg、6.52 mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(230 g)に懸濁させ、85 ℃で18時間撹拌した。反応液を水(1300 g)に加えて析出した固体をろ過した。得られた固体を水とメタノールで洗浄し、化合物2のwet晶(89.0 g)を微褐色固体として得た。得られたwet晶は、そのまま次工程に使用した。なお、wet晶とは、晶析し、母液と分離した後、乾燥前の結晶をいい、乾燥後の結晶であるdry晶とは区別される。
【0073】
工程1-2:化合物3の合成
窒素雰囲気下、化合物2のwet晶(89.0 g)をメタノール(9.8 g)とTHF(290 g)の混液に懸濁させ、室温で24 %水酸化ナトリウム水溶液(54.1 g、325 mmol)を加えて、16.5時間還流した。常圧濃縮でTHF(143 g)を留去した後、室温で濃塩酸(48 g)を加えた。反応液を水(670 g)とアセトニトリル(1000 g)の混液に加えて析出した固体をろ過した。得られた固体を水とアセトニトリルで洗浄後、35 ℃で減圧乾燥し、化合物3(63.6 g、化合物1からの収率105 %)を微黄白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.80-0.95(m, 9H), 1.15-1.55(m, 90H), 1.68-1.90(m, 6H), 3.92-4.15(m, 6H), 7.32(s, 2H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 14.1, 22.7, 22.9, 26.1, 26.1, 29.2, 29.4, 29.4, 29.6, 29.7, 29.7, 29.7, 30.4, 32.0, 69.4, 73.6, 108.9, 123.7, 143.5, 153.0, 171.1。
【0074】
実施例2(疑似固相保護基(ジエチレングリコール型)の合成):化合物5の合成
【0075】
【化2】
【0076】
工程2-1:化合物4の合成
窒素雰囲気下、化合物3(20.0 g、21.6 mmol)、ジエチレングリコール(34.4 g、324 mmol)及びN-メチルイミダゾール(3.54 g、43.1 mmol)をTHF(190 g)に懸濁させ、室温でHBTU(12.3 g、32.4 mmol)と4-ジメチルアミノピリジン(526 mg、4.31 mmol)を加え、室温にて46時間撹拌した。反応液をアセトニトリル(680 g)に加えて析出した固体をろ過した。得られた固体をアセトニトリルで洗浄後、室温で減圧乾燥し、化合物4(21.0 g、収率96.2 %)を微黄白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.80-0.95(m, 9H), 1.15-1.55(m, 90H), 1.70-1.85(m, 6H), 3.58-3.70(m, 2H), 3.72-3.80(m, 2H), 3.80-3.88(m, 2H), 3.94-4.10(m, 6H), 4.39-4.54(m, 2H), 7.26(s, 2H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 14.1, 22.7, 26.1, 26.1, 29.3, 29.4, 29.4, 29.6, 29.7, 29.7, 29.7, 30.3, 31.9, 61.8, 64.0, 69.2, 69.3, 72.4, 73.5, 108.1, 124.5, 142.6, 152.9, 166.5。
【0077】
工程2-2:化合物5の合成
窒素雰囲気下、塩化オキサリル(7.50 g、59.1 mmol)のジクロロメタン(100 g)溶液に、化合物4(20.0 g、19.7 mmol)のジクロロメタン(200 g)溶液を室温にて15分で滴下し、室温で30分撹拌した。室温にて、反応液を10 %炭酸水素カリウム水溶液(158 g)とジクロロメタン(52 g)の混液に10分で滴下し、析出した固体をろ過した。得られた固体を水及びジクロロメタンで洗浄後、室温で減圧乾燥し、化合物5(20.6 g、収率92.8 %)を微黄白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3, 50 ℃):δ 0.80-0.98(m, 9H), 1.16-1.54(m, 90H), 1.62-1.85(m, 6H), 3.65-3.85(m, 4H), 3.85-4.05(m, 6H), 4.06-4.29(m, 2H), 4.31-4.57(m, 2H), 7.17(brs, 2H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 14.1, 22.7, 26.2, 26.3, 29.4, 29.6, 29.6, 29.7, 29.8, 29.8, 29.8, 29.8, 29.8, 30.5, 32.0, 63.8, 69.0, 69.3, 69.4, 73.5, 108.5, 124.5, 142.9, 152.9, 162.2, 165.0, 166.4。
【0078】
実施例3(T末端の2量体のオリゴヌクレオチド保護体の合成):化合物10の合成
【0079】
【化3】
【0080】
工程3-1:化合物7(ヌクレオシド保護体)の合成
窒素雰囲気下、化合物5(9.00 g、7.99 mmol)、化合物6(5.66 g、10.4 mmol)、2,6-ルチジン(3.00 g、28.0 mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(195 mg、1.60 mmol)をTHF(71 g)に懸濁させ、室温でCOMU(9.25 g、21.6 mmol)を加えて室温にて3時間撹拌した。反応液をろ過し、ろ液をアセトニトリル(320 g)に加えて析出した固体をろ過した。得られた固体をアセトニトリルで洗浄後、室温で減圧乾燥し、化合物7(12.1 g、収率93.8 %)を微褐白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.80-0.95(m, 6H), 1.15-1.55(m, 93H), 1.68-1.89(m, 6H), 2.41-2.70(m, 2H), 3.41-3.60(m, 2H), 3.74-3.92(m, 10H), 3.93-4.09(m, 6H), 4.20-4.28(m, 1H), 4.37-4.55(m, 4H), 5.49-5.64(m, 1H), 6.42-6.55(m, 1H), 6.79-6.91(m, 4H), 7.20-7.35(m, 9H), 7.35-7.44(m, 2H), 7.56-7.67(m, 1H), 8.33(brs, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 11.7, 14.1, 22.7, 26.1, 26.1, 29.3, 29.4, 29.4, 29.6, 29.7, 29.7, 30.4, 31.9, 37.7, 55.3, 63.5, 63.8, 66.1, 68.3, 69.2, 69.4, 73.5, 78.3, 83.5, 84.3, 87.3, 108.1, 111.8, 113.4, 124.4, 127.3, 128.1, 128.1, 130.0, 130.1, 135.0, 135.1, 135.2, 142.6, 144.1, 150.1, 152.8, 157.0, 157.0, 158.8, 158.8, 163.3, 166.4。
【0081】
工程3-2:化合物8の合成
窒素雰囲気下、化合物7(11.6 g、7.19 mmol)のジクロロメタン(290 g)溶液に、室温でピロール(1.68 g、25.0 mmol)とジクロロ酢酸(1.86 g、14.4 mmol)を加えて、室温にて2時間撹拌した。2,6-ルチジン(1.93 g、18.0 mmol)を加えた後、反応液をアセトニトリル(430 g)に加えて析出した固体をろ過し、固体をアセトニトリルで洗浄した。室温で減圧乾燥し、化合物8(9.32 g、収率98.8 %)を微褐白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.80-0.95(m, 9H), 1.20-1.55(m, 90H), 1.65-1.87(m, 6H), 1.87-1.98(m, 3H), 2.37-2.64(m, 2H), 3.75-4.10(m, 12H), 4.13-4.21(m, 1H), 4.40-4.54(m, 4H), 5.35-5.45(m, 1H), 6.14-6.24(m, 1H), 7.25(s, 1H), 7.44-7.52(m, 1H), 8.59(brs, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 12.6, 14.1, 22.7, 26.1, 26.1, 29.4, 29.4, 29.4, 29.6, 29.7, 29.7, 30.3, 31.9, 36.7, 62.5, 63.7, 66.0, 68.2, 69.2, 69.3, 73.6, 77.9, 84.7, 86.9, 108.1, 111.5, 124.6, 136.8, 142.3, 150.3, 152.8, 157.0, 157.0, 163.4, 166.4。
【0082】
工程3-3:化合物10の合成
窒素雰囲気下、化合物8(4.40 g、3.35 mmol)、化合物9(3.92 g、4.70 mmol)及びモレキュラーシーブ3A(0.80 g)をジクロロメタン(44 g)に懸濁させ、室温でBTT(752 mg、4.69 mmol)を加えて、室温にて2時間撹拌した。室温で5.1 M TBHP/n-デカン溶液(1.32 mL、6.70 mmol)を加えて2時間撹拌した後、反応液をろ過し、ろ液をアセトニトリル(200 g)に加えて析出した固体をろ過した。得られた固体をアセトニトリルで洗浄後、室温で減圧乾燥し、化合物10(6.46 g、収率93.5 %)を微褐白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.80-0.96(m, 9H), 1.17-1.54(m, 90H), 1.68-1.95(m, 9H), 2.30-2.60(m, 3H), 2.62-2.84(m, 2H), 2.90-3.06(m, 1H), 3.34-3.59(m, 2H), 3.72-3.92(m, 10H), 3.94-4.07(m, 6H), 4.11-4.53(m, 10H), 5.09-5.23(m, 1H), 5.38-5.55(m, 1H), 6.14-6.35(m, 2H), 6.79-6.93(m, 4H), 7.19-7.42(m, 13H), 7.45-7.56(m, 2H), 7.56-7.66(m, 1H), 7.84-7.98(m, 2H), 8.07-8.19(m, 1H), 8.63-9.00(m, 2H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.66, -1.57。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 2082.2052。
【0083】
実施例4(T末端の2量体のオリゴヌクレオチド保護体からの疑似固相保護基の選択的脱保護):化合物11の合成
【0084】
【化4】
【0085】
窒素雰囲気下、化合物10(1.00 g、0.485 mmol)、エチレングリコール(452 mg、6.28 mmol)及び4-ピロリジノピリジン(14.4 mg、97.2 μmol)を含むTHF(6.5 g)溶液を、室温で3時間撹拌した。反応液をMTBE(21 g)に加えて析出した固体をろ過した。得られた固体をMTBEで洗浄後、室温で減圧乾燥し、化合物11(417 mg、収率86.7 %)を白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 1.86-1.90(m, 3H), 2.17-2.50(m, 3H), 2.67-2.80(m, 2H), 2.95-3.09(m, 1H), 3.40-3.54(m, 2H), 3.74-3.84(m, 6H), 4.04-4.45(m, 6H), 4.46-4.61(m, 1H), 5.03-5.22(m, 1H), 6.16-6.30(m, 2H), 6.80-6.92(m, 4H), 7.20-7.44(m, 11H), 7.45-7.54(m, 2H), 7.54-7.64(m, 1H), 7.89-8.02(m, 2H), 8.05-8.16(m, 1H), 9.06-9.84(m, 2H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.94, -1.13。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+1013.3062。
【0086】
実施例5(C末端の2量体のオリゴヌクレオチド保護体の合成):化合物16の合成
【0087】
【化5】
【0088】
工程5-1:化合物13(ヌクレオシド保護体)の合成
窒素雰囲気下、化合物5(10.0 g、8.88 mmol)、化合物12(9.57 g、15.1 mmol)、2,6-ルチジン(1.90 g、17.7 mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(217 mg、1.78 mmol)をTHF(79 g)に懸濁させ、室温でCOMU(9.51 g、22.2 mmol)を加えて室温にて2時間撹拌した。反応液をろ過し、ろ液をアセトニトリル(220 g)と水(280 g)の混液に加えて析出した固体をろ過した。得られた固体をアセトニトリルで洗浄後、室温で減圧乾燥し、化合物13(13.4 g、収率88.5 %)を白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.80-0.97(m, 9H), 1.18-1.55(m, 90H), 1.66-1.89(m, 6H), 2.33-2.49(m, 1H), 2.89-3.05(m, 1H), 3.45-3.60(m, 2H), 3.74-3.82(m, 6H), 3.82-3.92(m, 4H), 3.94-4.08(m, 4H), 4.32-4.41(m, 1H), 4.42-4.54(m, 4H), 5.42-5.58(m, 1H), 6.30-6.41(m, 1H), 6.78-6.94(m, 4H), 7.20-7.42(m, 12H), 7.48-7.58(m, 2H), 7.59-7.66(m, 1H), 7.80-7.99(m, 2H), 8.07-8.21(m, 1H), 8.66(brs, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 14.1, 22.7, 26.1, 26.1, 29.3, 29.4, 29.5, 29.6, 29.7, 29.7, 30.4, 31.9, 39.3, 55.2, 55.2, 63.0, 63.8, 66.1, 68.3, 69.2, 69.4, 73.5, 77.5, 84.3, 87.2, 87.3, 96.4, 108.1, 113.4, 113.4, 124.5, 127.2, 127.5, 128.0, 128.1, 129.1, 130.0, 130.0, 133.0, 133.2, 135.0, 135.1, 142.5, 143.9, 144.3, 152.8, 156.9, 156.9, 158.8, 158.8, 162.2, 166.4。
【0089】
工程5-2:化合物14の合成
工程3-2の方法に従って、化合物13(12.0 g、7.04 mmol)から化合物14(9.66 g、収率98.0 %)を白灰色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.80-0.96(m, 9H), 1.16-1.56(m, 90H), 1.69-1.87(m, 6H), 2.49-2.63(m, 1H), 2.69-2.80(m, 1H), 3.79-4.07(m, 12H), 4.26-4.32(m, 1H), 4.42-4.52(m, 4H), 5.41-5.51(m, 1H), 6.18-6.30(m, 1H), 7.25(s, 1H), 7.46-7.69(m, 4H), 7.83-7.96(m, 2H), 8.22-8.33(m, 1H),8.85(brs, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 14.1, 22.7, 26.1, 26.1, 29.4, 29.4, 29.5, 29.6, 29.7, 29.7, 30.3, 31.9, 38.2, 63.4, 63.7, 66.0, 68.2, 69.2, 69.3, 73.6, 78.0, 85.6, 88.9, 97.0, 108.1, 124.6, 127.6, 129.1, 132.9, 133.3, 142.3, 145.7, 152.8, 157.0, 157.0, 162.5, 166.4。
【0090】
工程5-3:化合物16の合成
工程3-3の方法に従って、化合物14(4.00 g、2.86 mmol)及び化合物15(3.43 g、4.00 mmol)から化合物16(5.82 g、収率93.9 %)を微黄色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.80-0.96(m, 9H), 1.16-1.56(m, 90H), 1.67-1.87(m, 6H), 2.30-2.47(m, 1H), 2.61-2.98(m, 4H), 3.17-3.35(m, 1H), 3.37-3.56(m, 2H), 3.69-3.90(m, 10H), 3.93-4.07(m, 6H), 4.15-4.54(m, 10H), 5.25-5.39(m, 1H), 5.41-5.56(m, 1H), 6.19-6.33(m, 1H), 6.43-6.59(m, 1H), 6.72-6.85(m, 4H), 7.15-7.32(m, 9H), 7.33-7.41(m, 2H), 7.43-7.66(m, 7H), 7.77-7.92(m, 2H), 7.95-8.10(m, 3H), 8.14-8.26(m, 1H), 8.60-8.69(m, 1H), 8.70-8.98(m, 1H), 9.00-9.18(m, 1H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.32, -1.13。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 2195.2462。
【0091】
実施例6(C末端の2量体のオリゴヌクレオチド保護体からの疑似固相保護基の選択的脱保護):化合物17の合成
【0092】
【化6】
【0093】
実施例4の方法に従って、化合物16(1.00 g、0.460 mmol)、エチレングリコール(428 mg、6.90 mmol)及び4-ピロリジノピリジン(10.2 mg、68.8 μmol)から化合物17(475 mg、収率94.8 %)を白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 2.20-2.34(m, 1H), 2.61-2.91(m, 4H), 3.10-3.30(m, 1H), 3.35-3.54(m, 2H), 3.69-3.80(m, 6H), 4.11-4.59(m, 7H), 5.26-5.39(m, 1H), 6.15-6.26(m, 1H), 6.43-6.58(m, 1H), 6.73-6.85(m, 4H), 7.16-7.30(m, 7H), 7.33-7.63(m, 9H), 7.80-7.91(m, 2H), 7.96-8.05(m, 2H), 8.05-8.15(m, 1H), 8.17-8.27(m, 1H), 8.59-8.69(m, 1H), 8.93-9.42(m, 2H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.06, -0.95。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+1126.3422。
【0094】
実施例7(A末端の2量体のオリゴヌクレオチド保護体の合成):化合物22の合成
【0095】
【化7】
【0096】
工程7-1:化合物19(ヌクレオシド保護体)の合成
工程3-1の方法に従って、化合物5(3.00 g、2.66 mmol)及び化合物18(2.00 g、3.04 mmol)から化合物19(3.65 g、収率79.5 %)を白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.80-0.97(m, 6H), 1.14-1.40(m, 84H), 1.40-1.55(m, 6H), 1.66-1.89(m, 6H), 2.60-2.69(m, 1H), 3.12-3.26(m, 1H), 3.43-3.55(m, 2H), 3.71-3.82(m, 6H), 3.82-3.94(m, 4H), 3.94-4.10(m, 6H), 4.32-4.44(m, 1H), 4.44-4.55(m, 4H), 5.62-5.74(m, 1H), 6.47-6.57(m, 1H), 6.73-6.88(m, 4H), 7.16-7.35(m, 9H), 7.36-7.43(m, 2H), 7.49-7.58(m, 2H), 7.58-7.67(m, 1H), 7.97-8.10(m, 2H), 8.19(s, 1H), 8.71(brs, 1H), 9.03(brs, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 14.1, 22.7, 26.1, 26.1, 29.3, 29.4, 29.4, 29.6, 29.7, 29.7, 30.4, 31.9, 37.4, 55.2, 63.3, 63.8, 66.1, 68.3, 69.2, 69.4, 73.5, 78.1, 84.0, 84.7, 86.8, 108.1, 113.2, 123.4, 124.4, 127.0, 127.9, 128.0, 128.1, 128.9, 130.0, 130.0, 130.8, 132.8, 133.6, 135.4, 135.4, 141.4, 142.6, 144.3, 149.6, 151.5, 152.7, 152.9, 156.8, 157.1, 158.61, 158.6, 164.5, 166.4。
【0097】
工程7-2:化合物20の合成
工程3-2の方法に従って、化合物19(2.50 g、1.45 mmol)から化合物20(1.91 g、収率92.7 %)を白灰色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.81-0.94(m, 6H), 1.16-1.39(m, 84H), 1.41-1.53(m, 6H), 1.68-1.87(m, 6H), 2.50-2.65(m, 1H), 3.20-3.35(m, 1H), 3.81-4.07(m, 12H), 4.31-4.40(m, 1H), 4.40-4.56(m, 4H), 5.65-5.77(m, 1H), 6.35-6.45(m, 1H), 7.26(s, 2H), 7.49-7.58(m, 2H), 7.58-7.67(m, 1H), 7.99-8.09(m, 2H), 8.16(s, 1H), 8.79(s, 1H), 9.14(brs, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 14.1, 22.7, 26.1, 26.1, 29.3, 29.4, 29.4, 29.6, 29.7, 29.7, 30.3, 31.9, 34.5, 63.2, 63.8, 66.1, 68.3, 69.2, 69.3, 73.6, 79.2, 86.8, 87.6, 108.1, 124.4, 124.6, 127.9, 128.9, 133.0, 133.4, 142.6, 142.7, 150.4, 150.6, 152.2, 152.9, 156.9, 157.1, 164.5, 166.4。
【0098】
工程7-3:化合物22の合成
工程3-3の方法に従って、化合物20(1.50 g、1.05 mmol)及び化合物21(1.24 g、1.40 mmol)から化合物22(2.00 g、収率87.0 %)を微黄色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.78-0.98(m, 9H), 0.98-1.54(m, 96H), 1.67-1.88(m, 6H), 2.36-2.51(m, 1H), 2.52-2.96(m, 5H), 3.20-3.49(m, 3H), 3.70-3.79(m, 6H), 3.80-3.90(m, 4H), 3.94-4.55(m, 16H), 5.20-5.38(m, 1H), 5.69-5.83(m, 1H), 6.01-6.13(m, 1H), 6.44-6.56(m, 1H), 6.72-6.85(m, 4H), 7.11-7.30(m, 9H), 7.31-7.39(m, 2H), 7.40-7.53(m, 2H), 7.53-7.64(m, 1H), 7.66-7.73(m, 1H), 7.83-8.04(m, 2H), 8.22-8.34(m, 1H), 8.74-8.88(m, 1H), 9.13-9.34(m, 1H), 11.80-12.12(m, 1H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.54, -1.13。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 2201.2564。
【0099】
実施例8(A末端の2量体のオリゴヌクレオチド保護体からの疑似固相保護基の選択的脱保護):化合物23の合成
【0100】
【化8】
【0101】
実施例4の方法に従って、化合物22(1.00 g、0.459 mmol)、エチレングリコール(427 mg、6.88 mmol)及び4-ピロリジノピリジン(10.2 mg、68.8 μmol)から化合物23(507 mg、収率99.6 %)を白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 1.02-1.19(m, 6H), 2.38-3.15(m, 7H), 3.24-3.34(m, 2H), 3.68-3.80(m, 6H), 3.96-4.52(m, 6H), 4.87-5.06(m, 1H), 5.17-5.47(m, 1H), 6.01-6.13(m, 1H), 6.41-6.55(m, 1H), 6.70-6.85(m, 4H), 7.12-7.41(m, 9H),7.41-7.55(m, 2H), 7.55-7.71(m, 2H), 7.85-8.06(m, 2H), 8.20-8.44(m, 1H), 8.72-8.87(m, 1H), 9.11-9.32(m, 1H), 9.50-10.14(m, 1H), 11.87-12.09(m, 1H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.57, -0.94。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 1132.3650。
【0102】
実施例9(G末端の2量体のオリゴヌクレオチド保護体の合成):化合物28の合成
【0103】
【化9】
【0104】
工程9-1:化合物25(ヌクレオシド保護体)の合成
工程5-1の方法に従って、化合物5(9.00 g、7.99 mmol)及び化合物24(7.67 g、12.0 mmol)から化合物25(12.6 g、収率91.9 %)を白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.81-0.95(m, 12H), 1.00-1.06(m, 3H), 1.16-1.53(m, 90H), 1.66-1.84(m, 6H), 1.89-1.99(m, 1H), 2.52-2.63(m, 1H), 3.12-3.35(m, 2H), 3.41-3.53(m, 1H), 3.71-3.90(m, 10H), 3.92-4.07(m, 6H), 4.20-4.30(m, 1H), 4.41-4.55(m, 4H), 5.62-5.75(m, 1H), 6.09-6.18(m, 1H), 6.73-6.88(m, 4H), 7.13-7.39(m, 9H), 7.43-7.52(m, 2H), 7.78(s, 1H), 8.11(brs, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 14.1, 18.9, 22.7, 26.1, 26.1, 29.3, 29.4, 29.4, 29.6, 29.7, 29.7, 30.3, 31.9, 36.2, 37.2, 55.2, 63.4, 64.0, 66.2, 68.3, 69.3, 69.3, 73.6, 77.9, 83.7, 84.4, 86.5, 108.2, 113.3, 113.3, 122.3, 124.3, 127.2, 128.00, 128.1, 129.1, 129.9, 135.4, 135.7, 137.7, 142.8, 144.6, 147.3, 148.0, 152.9, 155.4, 156.9, 157.1, 158.8, 166.7, 178.4。
【0105】
工程9-2:化合物26の合成
工程3-2の方法に従って、化合物25(11.0 g、6.44 mmol)から化合物26(9.13 g、収率100 %)を白灰色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.81-0.96(m, 9H), 1.16-1.54(m, 96H), 1.67-1.89(m, 6H), 2.45-2.59(m, 1H), 2.66-2.80(m, 2H), 2.99-3.13(m, 1H), 3.81-4.08(m, 12H), 4.23-4.33(m, 1H), 4.40-4.57(m, 4H), 5.54-5.67(m, 1H), 6.16-6.24(m, 1H), 7.25(s, 1H), 7.87(s, 1H), 9.02(brs, 1H), 12.16(brs, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 14.1, 18.9, 22.7, 26.1, 26.1, 29.3, 29.4, 29.4, 29.6, 29.7, 29.7, 30.3, 31.9, 36.2, 37.4, 82.8, 63.9, 66.2, 68.3, 69.3, 69.3, 73.6, 78.8, 85.8, 86.2, 108.2, 122.5, 124.4, 131.3, 138.6, 142.6, 147.1, 147.8, 152.9, 155.1, 157.0, 157.1, 166.6。
【0106】
工程9-3:化合物28の合成
工程3-3の方法に従って、化合物26(4.00 g、2.84 mmol)及び化合物27(2.96 g、3.97 mmol)から化合物28(5.24 g、収率87.0 %)を微黄色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.81-0.97(m, 9H), 1.06-1.53(m, 96H), 1.68-1.89(m, 9H), 2.31-2.81(m, 3H), 3.24-3.59(m, 3H), 3.72-3.93(m, 10H), 3.93-4.06(m, 6H), 4.10-4.55(m, 9H), 4.61-4.83(m, 1H), 5.03-5.26(m, 1H), 5.48-5.79(m, 1H), 6.12-6.24(m, 1H), 6.28-6.51(m, 1H), 6.76-6.94(m, 4H), 7.13-7.43(m, 11H), 7.43-7.61(m, 1H), 7.65-7.85(m, 1H), 8.37-9.08(m, 1H), 9.98-10.38(m, 1H), 11.94-12.41(m, 1H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -2.96, -2.35。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 2088.2350。
【0107】
実施例10(G末端の2量体のオリゴヌクレオチド保護体からの疑似固相保護基の選択的脱保護):化合物29の合成
【0108】
【化10】
【0109】
実施例4の方法に従って、化合物28(1.00 g、0.484 mmol)、エチレングリコール(451 mg、6.27 mmol)及び4-ピロリジノピリジン(14.3 mg、96.5 μmol)から化合物29(450 mg、収率93.4 %)を白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 1.09-1.23(m, 6H), 1.34-1.46(m, 3H), 2.26-2.91(m, 7H), 3.27-3.54(m, 2H), 3.67-3.84(m, 6H), 4.04-4.52(m, 6H), 4.67-4.87(m, 1H), 5.02-5.16(m, 1H), 6.14-6.42(m, 2H), 6.73-6.90(m, 4H), 7.13-7.39(m, 9H), 7.45-7.58(m, 1H), 7.83-7.97(m, 1H), 9.51-10.85(m, 2H), 12.14-12.51(m, 1H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -2.51, -2.02。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 1019.3275。
【0110】
実施例11(4量体のオリゴヌクレオチド保護体の合成):化合物33の合成
【0111】
【化11】
【0112】
工程11-1:化合物30の合成
工程3-2の方法に従って、化合物10(17.0 g、8.25 mmol)から化合物30(14.3 g、収率98.6 %)を微褐白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.77-0.99(m, 9H), 1.17-1.55(m, 90H), 1.68-1.98(m, 9H), 2.39-2.68(m, 3H), 2.73-2.90(m, 3H), 3.73-4.10(m, 12H), 4.21-4.57(m, 10H), 5.14-5.32(m, 1H), 5.42-5.60(m, 1H), 6.07-6.32(m, 2H), 7.19-7.34(m, 3H), 7.42-7.68(m, 4H), 7.83-8.00(m, 2H), 8.20-8.37(m, 1H), 8.93-9.57(m, 2H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.57, -1.44。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 1780.0669。
【0113】
工程11-2:化合物31の合成
工程3-3の方法に従って、化合物30(13.0 g、7.39 mmol)及び化合物27(7.71 g、10.4 mmol)から化合物31(17.5 g、収率97.8 %)を微褐白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.81-0.96(m, 9H), 1.17-1.53(m, 90H), 1.68-1.97(m, 12H), 2.27-2.57(m, 3H), 2.60-2.98(m, 7H), 3.33-3.56(m, 2H), 3.72-3.90(m, 10H), 3.94-4.07(m, 6H), 4.10-4.56(m, 15H), 5.10-5.27(m, 2H), 5.46-5.62(m, 1H), 6.00-6.42(m, 3H), 6.78-6.91(m, 4H), 7.18-7.40(m, 12H), 7.43-7.74(m, 5H), 7.82-8.12(m, 3H), 8.97-9.71(m, 3H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.86, -1.77, -1.72, -1.70, 1.60, -1.54, -1.50, -1.44。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 2439.2739。
【0114】
工程11-3:化合物32の合成
工程3-2の方法に従って、化合物31(14.0 g、5.79 mmol)から化合物32(11.8 g、収率95.9 %)を灰白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.80-0.97(m, 9H), 1.17-1.54(m, 90H), 1.68-1.93(m, 12H), 2.33-2.96(m, 10H), 3.74-3.93(m, 6H), 3.94-4.08(m, 6H), 4.15-4.55(m, 15H), 5.13-5.31(m, 2H), 5.44-5.62(m, 1H), 5.98-6.28(m, 3H), 7.18-7.33(m, 2H), 7.38-7.67(m, 5H), 7.82-8.13(m, 3H), 9.24-10.00(m, 3H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.66, -1.60, -1.57, -1.55, -1.46, -1.41。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 2137.1420。
【0115】
工程11-4:化合物33の合成
工程3-3の方法に従って、化合物32(4.00 g、1.89 mmol)及び化合物15(2.27 g、2.65 mmol)から化合物33(5.20 g、収率94.9 %)を黄褐白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):d 0.78-0.97(m, 9H), 1.16-1.56(m, 90H), 1,67-2.12(m, 12H), 2.32-2.96(m, 13H), 3.09-3.27(m, 1H), 3.34-3.52(m, 2H), 3.68-4.08(m, 16H), 4.15-4.56(m, 20H), 5.09-5.39(m, 2H), 5.43-5.60(m, 1H), 5.97-6.23(m, 3H), 6.44-6.59(m, 1H), 6.69-6.86(m, 4H), 7.11-7.66(m, 20H), 7.80-8.29(m, 6H), 8.59-8.74(m, 1H), 9.21-10.21(m, 4H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.78 - -1.26(m)。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 2909.3931。
【0116】
実施例12(4量体のオリゴヌクレオチド保護体からの疑似固相保護基の選択的脱保護):化合物34の合成
【0117】
【化12】
【0118】
窒素雰囲気下、化合物33(1.00 g、0.346 mmol)、メタノール(333 mg、10.4 mmol)及び4-ピロリジノピリジン(5.13 mg、34.6 μmol)のジクロロメタン(6.9 g)溶液を、室温で2時間撹拌した。反応液をカラムクロマトグラフィー(球状中性シリカゲル、展開溶媒:ジクロロメタン-メタノール)で精製することにより、化合物34(493 mg、収率78.3 %)を微黄白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3/CD3OD 97/3 [v/v]):δ 1.75-1.97(m, 6H), 2.19-2.98(m, 13H), 3.09-3.24(m, 1H), 3.43-3.53(m, 2H), 3.68-3.86(m, 6H), 3.99-4.60(m, 17H), 5.07-5.42(m, 3H), 6.04-6.29(m, 3H), 6.47-6.59(m, 1H), 6.70-6.88(m, 4H), 7.12-7.41(m, 11H), 7.41-7.71(m, 7H), 7.88-8.14(m, 5H), 8.16-8.25(m, 1H), 8.63-8.73(m, 1H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.68 - -1.18(m)。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 1840.4892。
【0119】
実施例13(硫化型の2量体のオリゴヌクレオチド保護体の合成):化合物35の合成
【0120】
【化13】
【0121】
窒素雰囲気下、化合物8(3.00 g、2.14 mmol)、化合物9(2.57 g、3.00 mmol)及びモレキュラーシーブ3A(0.60 g)をジクロロメタン(29 g)に懸濁させ、室温でBTT(480 mg、3.00 mmol)を加えて、室温にて3時間撹拌した。15 ℃に冷却後、ビス(フェニルアセチル)ジスルフィド(1.30 g、4.30 mmol)を加えて室温に昇温し2.5時間撹拌した。反応液をろ過し、ろ液をアセトニトリル(130 g)に加えて析出した固体をろ過した。得られた固体をアセトニトリルで洗浄後、室温で減圧乾燥し、化合物35(4.58 g、収率97.9 %)を微黄色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.79-0.98(m, 9H), 1.17-1.54(m, 90H), 1.68-1.87(m, 6H), 2.28-2.44(m, 1H), 2.58-3.00(m, 4H), 3.10-3.34(m, 1H), 3.37-3.57(m, 2H), 3.71-3.92(m, 10H), 3.93-4.08(m, 6H), 4.09-4.58(m, 10H), 5.37-5.57(m, 2H), 6.25-6.39(m, 1H), 6.43-6.60(m, 1H), 6.74-6.89(m, 4H), 7.15-7.34(m, 9H), 7.35-7.44(m, 2H), 7.44-7.70(m, 7H), 7.77-7.94(m, 2H), 7.98-8.15(m, 3H), 8.16-8.31(m, 1H), 8.60-9.30(m, 3H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ 68.50, 68.65。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 2211.2168。
【0122】
実施例14(硫化型の2量体のオリゴヌクレオチド保護体からの疑似固相保護基の選択的脱保護):化合物36の合成
【0123】
【化14】
【0124】
実施例4の方法に従って、化合物35(1.00 g、0.457 mmol)、エチレングリコール(425 mg、6.85 mmol)及び4-ピロリジノピリジン(10.1 mg、68.1 mmol)から化合物36(433 mg、収率84.6 %)を微黄色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 2.17-2.36(m, 1H), 2.62-2.87(m, 4H), 3.01-3.17(m, 1H), 3.36-3.57(m, 2H), 3.72-3.83(m, 6H), 4.08-4.58(m, 7H), 5.36-5.52(m, 1H), 6.17-6.30(m, 1H), 6.44-6.61(m, 1H), 6.74-6.87(m, 4H), 7.15-7.33(m, 7H), 7.34-7.67(m, 9H), 7.77-7.91(m, 2H), 7.95-8.07(m, 2H), 8.14-8.31(m, 2H), 8.60-8.68(m, 1H), 8.83-9.60(m, 2H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ 68.58, 68.81。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 1142.3201。
【0125】
実施例15(アリル型の2量体のオリゴヌクレオチド保護体の合成):化合物38の合成
【0126】
【化15】
【0127】
窒素雰囲気下、化合物37(1.55 g、2.45 mmol)、アリルテトライソプロピルホスホロジアミダイト(770 mg、2.67 mmol)のジクロロメタン(10 g)溶液に、室温で4,5-ジシアノイミダゾール(288 mg、2.44 mmol)を加えて、室温にて1時間撹拌した(以下「反応液37」とも称する)。化合物8(2.00 g、1.52 mmol)及びモレキュラーシーブ3A(0.40 g)をジクロロメタン(6.0 g)に懸濁させ、室温で反応液37とBTT(440 mg、2.75 mmol)を加えて、室温にて1.5時間撹拌した。室温で5.0 M TBHP/n-デカン溶液(762 μL、3.80 mmol)を加えて2時間撹拌した後、反応液をろ過し、ろ液をアセトニトリル(90 g)に加えて析出した固体をろ過した。得られた固体をアセトニトリルで洗浄後、室温で減圧乾燥し、化合物38(2.71 g、収率86.9 %)を微褐白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.78-0.96(m, 9H), 1.15-1.54(m, 90H), 1.65-1.98(m, 9H), 2.26-2.63(m, 3H)2.87-3.06(m, 1H), 3.36-3.35(m, 2H), 3.71-3.91(m, 10H), 3.93-4.08(m, 6H), 4.12-4.67(m, 10H), 5.04-5.52(m, 3H), 5.80-6.00(m, 1H), 6.21-6.40(m, 2H), 6.78-6.94(m, 4H), 7.19-7.42(m, 13H), 7.46-7.70(m, 3H), 7.79-8.02(m, 2H), 8.05-8.27(m, 1H), 8.28-9.06(m, 2H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -0.91, -0.65。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 2069.2169。
【0128】
実施例16(アリル型の2量体のオリゴヌクレオチド保護体からの疑似固相保護基の選択的脱保護):化合物39の合成
【0129】
【化16】
【0130】
窒素雰囲気下、化合物38(1.00 g、0.488 mmol)、メタノール(469 mg、14.6 mmol)及び4-ピロリジノピリジン(10.9 mg、73.5 μmol)のジクロロメタン(9.7 g)溶液を、室温で3時間撹拌した。反応液をカラムクロマトグラフィー(球状中性シリカゲル、展開溶媒:ジクロロメタン-アセトン)で精製することにより、化合物39(393 mg、収率82.2 %)を微黄白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 1.80-1.95(m, 3H), 2.08-2.54(m, 3H), 2.91-3.13(m, 1H), 3.38-3.58(m, 2H), 3.66-3.86(m, 6H), 4.00-4.69(m, 7H), 4.98-5.44(m, 3H), 5.82-6.00(m, 1H), 6.16-6.35(m, 2H), 6.78-6.95(m, 4H), 7.18-7.47(m, 11H), 7.47-7.67(m, 3H), 7.84-8.01(m, 2H), 8.04-8.21(m, 1H), 8.52-9.49(m, 2H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.38, -0.03。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 1000.3106。
【0131】
実施例17(RNA型の2量体のオリゴヌクレオチド保護体の合成):化合物44の合成
【0132】
【化17】
【0133】
工程17-1:化合物41(RNA型のヌクレオシド保護体)の合成
工程3-1の方法に従って、化合物5(5.00 g、4.44 mmol)及び化合物40(4.28 g、6.22 mmol)から化合物41(6.72 g、収率86.2 %)を微褐白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.80-0.95(m, 9H), 1.16-1.55(m, 90H), 1.66-1.89(m, 6H), 3.36(s, 3H), 3.40-3.50(m, 1H), 3.57-3.67(m, 1H), 3.75-3.93(m, 10H), 3.95-4.08(m, 6H), 4.39-4.54(m, 5H), 4.96-5.08(m, 1H), 5.58-5.66(m, 1H), 6.09-6.17(m, 1H), 6.78-6.87(m, 4H), 7.17-7.37(m, 10H), 7.39-7.47(m, 2H), 7.48-7.65(m, 3H), 7.98-8.08(m, 1H), 8.19(s, 1H), 8.69(brs, 1H), 9.02(brs, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 14.1, 22.7, 26.1, 26.1, 29.3, 29.4, 29.4, 29.6, 29.7, 29.7, 30.4, 32.0, 55.2, 59.6, 55.2, 59.6, 62.8, 63.8, 66.2, 68.3, 69.2, 69.4, 73.5, 73.9, 80.9, 81.7, 87.1, 108.1, 113.3, 123.6, 124.4, 127.1, 127.9, 128.0, 128.1, 130.0, 130.0, 132.9, 133.6, 135.3, 135.4, 142.1, 142.6, 144.3, 149.6, 151.9, 152.8, 152.8, 156.4, 156.9, 158.7, 164.5, 166.4。
【0134】
工程17-2:化合物42の合成
工程3-2の方法に従って、化合物41(6.20 g、3.53 mmol)から化合物42(5.05 g、収率98.4 %)を微褐白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.81-0.95(m, 9H), 1.16-1.54(m, 90H), 1.69-1.86(m, 6H), 3.27(s, 3H), 3.77-3.92(m, 5H), 3.95-4.08(m, 7H), 4.41-4.57(m, 5H), 4.81-4.92(m, 1H), 5.74-5.85(m, 1H), 5.89-5.98(m, 1H), 6.30(brs, 1H), 7.27(s, 1H), 7.50-7.68(m, 3H), 7.99-8.08(m, 2H), 8.11(s, 1H), 8.81(brs, 1H), 9.12(brs, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 14.1, 22.7, 26.1, 26.1, 29.4, 29.6, 29.7, 29.7, 30.3, 31.9, 59.8, 62.9, 63.8, 66.2, 68.3, 69.3, 69.4, 73.5, 75.0, 81.1, 85.4, 89.4, 108.2, 124.4, 124.7, 127.9, 129.0, 133.1, 133.3, 142.6, 143.4, 150.4, 150.5, 152.2, 152.9, 156.4, 157.0, 164.4, 166.4。
【0135】
工程17-3:化合物44の合成
工程3-3の方法に従って、化合物42(4.50 g、3.09 mmol)及び化合物43(3.73 g、4.33 mmol)から化合物44(6.51 g、収率94.5 %)を微褐白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.04-0.18(m, 6H), 0.80-0.97(m, 18H), 1.17-1.54(m, 90H), 1.68-1.87(m, 6H), 2.47-2.74(m, 2H), 3.32-3.70(m, 5H), 3.73-3.92(m, 10H), 3.94-4.59(m, 16H), 4.85-5.06(m, 2H), 5.18-5.29(m, 1H), 5.59-5.71(m, 1H), 5.92-6.14(m, 2H), 6.78-6.90(m, 4H), 7.16-7.38(m, 12H), 7.45-7.65(m, 3H), 7.78-7.88(m, 1H), 7.98-8.10(m, 1H), 8.15-8.26(m, 1H), 8.76-8.86(m, 1H), 8.87-9.12(m, 1H), 9.24-9.40(m, 1H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.32, -1.13。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 2252.2939。
【0136】
実施例18(RNA型の2量体のオリゴヌクレオチド保護体からの疑似固相保護基の選択的脱保護):化合物45の合成
【0137】
【化18】
【0138】
実施例16の方法に従って、化合物44(1.00 g、0.448 mmol)、メタノール(431 mg、13.5 mmol)及び4-ピロリジノピリジン(6.64 mg、44.8 μmol)から化合物45(432 mg、収率82.9 %)を白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.03-0.20(m, 6H), 0.75-0.96(m, 9H), 2.48-2.78(m, 2H), 3.41-3.68(m, 5H), 3.72-3.87(m, 6H), 3.95-4.60(m, 9H), 4.84-4.99(m, 1H), 5.22-5.31(m, 1H), 5.98-6.08(m, 1H), 6.10-6.22(m, 1H), 6.77-6.92(m, 4H), 7.17-7.41(m, 10H), 7.45-7.65(m, 3H), 7.78-7.89(m, 1H), 7.98-8.11(m, 1H), 8.17-8.31(m, 1H), 8.75-8.88(m, 1H), 9.33-9.84(m, 2H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -0.91, -0.80。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 1183.3982。
【0139】
実施例19(疑似固相保護基(変形例1)の合成):化合物47の合成
【0140】
【化19】
【0141】
工程19-1:化合物46の合成
ジエチレングリコールをエチレングリコールに変更したこと以外は工程2-1の方法に従って、化合物3(10.0 g、10.8 mmol)及びエチレングリコール(10.0 g、161 mmol)から化合物46(10.2 g、収率97.0 %)を微黄白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.80-0.95(m, 9H), 1.16-1.54(m, 90H), 1.67-1.88(m, 6H), 3.90-4.10(m, 8H), 4.41-4.51(m, 2H), 7.26(s, 2H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 14.1, 22.7, 26.1, 26.1, 29.4, 29.4, 29.5, 29.6, 29.7, 29.7, 29.8, 30.4, 32.0, 61.7, 66.8, 69.4, 69.5, 73.6, 108.6, 124.4, 143.1, 153.0, 167.0。
【0142】
工程19-2:化合物47の合成
工程2-2の方法に従って、塩化オキサリル(2.74 g、21.6 mmol)及び化合物46(7.00 g、7.20 mmol)から化合物47(6.59 g、収率84.8 %)を微黄白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3, 50 ℃):δ 0.83-0.93(m, 9H), 1.16-1.50(m, 90H), 1.61-1.79(m, 6H), 3.80-4.02(m, 6H), 4.22-4.56(m, 4H), 7.16(brs, 2H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3, 50 ℃):δ 14.1, 22.7, 26.2, 26.3, 29.4, 29.6, 29.7, 29.7, 29.8, 29.8, 29.8, 29.9, 29.9, 29.9, 30.5, 32.0, 62.2, 63.4, 69.4, 73.5, 108.5, 124.0, 143.0, 152.9, 162.1, 165.2, 166.5。
【0143】
実施例20(A末端の2量体のオリゴヌクレオチド保護体の合成):化合物50の合成
【0144】
【化20】
【0145】
工程20-1:化合物48(ヌクレオシド保護体)の合成
工程5-1の方法に従って、化合物47(8.00 g、7.40 mmol)及び化合物18(5.84 g、8.88 mmol)から化合物48(11.7 g、収率93.8 %)を微褐白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.81-0.95(m, 9H), 1.16-1.53(m, 90H), 1.65-1.87(m, 6H), 2.68-2.80(m, 1H), 3.13-3.27(m, 1H), 3.41-3.56(m, 2H), 3.72-3.82(m, 6H), 3.94-4.06(m, 6H), 4.35-4.42(m, 1H), 4.55-4.72(m, 4H), 5.64-5.74(m, 1H), 6.45-6.56(m, 1H), 6.73-6.86(m, 4H), 7.16-7.33(m, 9H), 7.35-7.42(m, 2H), 7.50-7.66(m, 3H), 7.98-8.08(m, 2H), 8.18(s, 1H), 8.70(brs, 1H), 8.94(brs, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 14.1, 22.7, 26.1, 26.1, 29.3, 29.4, 29.4, 29.6, 29.7, 29.7, 30.4, 31.9, 37.3, 55.2, 62.0, 63.3, 64.8, 69.2, 73.5, 78.2, 84.0, 84.7, 86.9, 108.2, 113.2, 123.4, 123.9, 127.0, 127.8, 128.0, 128.9, 130.0, 130.0, 132.8, 133.6, 135.3, 135.4, 141.4, 142.8, 144.3, 149.6, 151.5, 152.7, 152.9, 156.7, 157.0, 158.6, 158.6, 164.5, 166.1。
【0146】
工程20-2:化合物49の合成
工程3-2の方法に従って、化合物48(10.0 g、5.94 mmol)から化合物49(7.95 g、収率97.0 %)を微褐白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.81-0.94(m, 9H), 1.15-1.53(m, 90H), 1.68-1.85(m, 6H), 2.48-2.62(m, 1H), 3.21-3.36(m, 1H), 3.87-4.09(m, 8H), 4.32-4.40(m, 1H), 4.53-4.74(m, 4H), 5.70-5.79(m, 1H), 6.28-6.40(m, 1H), 7.26(brs, 1H), 7.51-7.59(m, 2H), 7.60-7.67(m, 1H), 8.00-8.06(m, 2H), 8.10(s, 1H), 8.80(s, 1H), 9.05(brs, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 14.1, 22.7, 26.1, 26.1, 29.3, 29.4, 29.4, 29.6, 29.7, 29.7, 30.3, 31.9, 37.5, 61.9, 63.2, 64.7, 69.3, 73.6, 79.3, 86.9, 87.6, 108.2, 123.9, 124.6, 127.9, 129.0, 133.0, 133.4, 142.6, 142.8, 150.5, 150.5, 152.2, 152.9, 156.7, 157.1, 164.5, 166.0。
【0147】
工程20-3:化合物50の合成
工程3-3の方法に従って、化合物49(7.30 g、5.29 mmol)及び化合物21(6.21 g、7.39 mmol)から化合物50(10.7 g、収率94.9 %)を微褐白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.81-0.94(m, 9H), 0.97-1.54(m, 97H), 1.67-1.86(m, 6H), 2.33-2.48(m, 1H), 2.52-2.97(m, 6H), 3.19-3.52(m, 3H), 3.66-3.81(m, 6H), 3.91-4.75(m, 16H), 5.19-5.38(m, 1H), 5.67-5.84(m, 1H), 5.99-6.12(m, 1H), 6.40-6.55(m, 1H), 6.68-6.84(m, 4H), 7.12-7.63(m, 14H), 7.66-7.75(m, 1H), 7.84-8.03(m, 2H), 8.22-8.33(m, 1H), 8.74-8.86(m, 1H), 9.03-9.29(m, 1H), 9.41-9.80(m, 1H), 11.71-12.27(m, 1H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.50, -1.19。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+2157.2363。
【0148】
実施例21(A末端の2量体のオリゴヌクレオチド保護体からの疑似固相保護基の選択的脱保護):化合物23の合成
【0149】
【化21】
【0150】
実施例4の方法に従って、化合物50(1.00 g、0.468 mmol)、エチレングリコール(436 mg、7.02 mmol)及び4-ピロリジノピリジン(6.94 mg、46.8 μmol)から化合物23(485 mg、収率93.3 %)を白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 1.02-1.19(m, 6H), 2.38-3.15(m, 6H), 3.24-3.34(m, 2H), 3.68-3.80(m, 6H), 3.96-4.52(m, 6H), 4.87-5.06(m, 1H), 5.17-5.47(m, 1H), 6.01-6.13(m, 1H), 6.41-6.55(m, 1H), 6.70-6.85(m, 4H), 7.12-7.41(m, 9H),7.41-7.55(m, 2H), 7.55-7.71(m, 2H), 7.85-8.06(m, 2H), 8.20-8.44(m, 1H), 8.72-8.87(m, 1H), 9.11-9.32(m, 1H), 9.50-10.14(m, 1H), 11.87-12.09(m, 1H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.57, -0.94。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 1132.3650。
【0151】
実施例22(疑似固相保護基(変形例2)の合成):化合物53の合成
【0152】
【化22】
【0153】
工程22-1:化合物52の合成
窒素雰囲気下、1-オクタデカノール(2.46 g、9.09 mmol)、水酸化カリウム(532 mg、9.48 mmol)、トルエン(7.6 g)及び水(1.0 g)の混合物を加熱還流下2時間撹拌し、ディーンスタークトラップで水を除去した後、n-テトラブチルアンモニウムブロミド(139 mg、0.431 mmol)、化合物51(0.400 g、4.32 mmol)及びTHF(3.8 g)を加え40 ℃で16時間撹拌した。反応液に10 %塩化アンモニウム水溶液を加え分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、得られた有機層に無水硫酸ナトリウムを加え、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣に窒素雰囲気下、1-オクタデカノール(1.05 g、3.88 mmol)及びジクロロメタン(90 g)を加え、10 ℃に冷却後、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(123 mg、0.867 mmol)を加えた。10 ℃にて3時間撹拌後、5 %炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、水層をジクロロメタンで再抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄後、得られた有機層に無水硫酸ナトリウムを加え、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して得られた固体をイソプロピルアルコールで洗浄し、室温で減圧乾燥することで化合物52(1.29 g、収率50.0 %)を白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.81-0.95(m, 6H), 1.16-1.39(m, 60H), 1.49-1.67(m, 4H), 2.44-2.51(m, 1H), 3.37-3.54(m, 8H), 3.89-4.00(m, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 14.1, 22.7, 26.1, 29.4, 29.5, 29.6, 29.7, 29.7, 31.9, 69.5, 71.7, 71.8。
【0154】
工程22-2:化合物53の合成
工程2-2の方法に従って、塩化オキサリル(1.15 g、9.06 mmol)及び化合物52(1.80 g、3.01 mmol)から化合物53(1.91 g、収率90.1 %)を微黄白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3, 50 ℃):δ 0.80-1.00(m, 6H), 1.13-1.39(m, 56H), 1.45-1.65(m, 4H), 1.73-2.01(m, 4H), 3.28-3.66(m, 8H), 4.85-5.05(m, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 14.1, 22.7, 25.9, 26.1, 29.3, 29.4, 29.4, 29.6, 29.6, 29.7, 29.7, 29.7, 31.9, 68.6, 72.0, 74.4, 157.1, 157.6。
【0155】
実施例23(T末端の2量体のオリゴヌクレオチド保護体の合成):化合物56の合成
【0156】
【化23】
【0157】
工程23-1:化合物54(ヌクレオシド保護体)の合成
工程3-1の方法に従って、化合物53(2.00 g、2.83 mmol)及び化合物6(2.32 g、4.26 mmol)から化合物54(2.60 g、収率76.9 %)を白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.80-0.95(m, 6H), 1.16-1.45(m, 63H), 1.49-1.60(m, 4H), 2.43-2.68(m, 2H), 3.35-3.59(m, 6H), 3.64(d, 4H, J= 5.2Hz), 3.80(s, 6H), 4.20-4.28(m, 1H), 5.27(sext, 1H, J= 5.2 Hz), 5.51-5.62(m, 1H), 6.43-6.53(m, 1H), 6.79-6.92(m, 4H), 7.20-7.42(m, 7H), 7.59-7.66(m, 1H), 8.24(s, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 11.6, 14.1, 22.7, 26.0, 29.4, 29.5, 29.6, 29.7, 29.7, 31.9, 37.7, 55.3, 63.5, 68.7, 71.8, 75.2, 78.1, 83.6, 84.3, 87.3, 111.7, 113.4, 127.3, 128.1, 128.1, 130.0, 130.1, 135.0, 135.1, 135.2, 144.1, 150.1, 156.6, 157.2, 158.8, 158.8, 163.3。
【0158】
工程23-2:化合物55の合成
工程3-2の方法に従って、化合物54(2.40 g、2.01 mmol)から化合物55(1.76 g、収率98.3 %)を白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 0.80-0.95(m, 6H), 1.17-1.38(m, 60H), 1.48-1.61(m, 4H), 1.94(d, 3H, J= 1.2 Hz), 2.43-2.70(m, 2H), 3.37-3.53(m, 4H), 3.64 (d, 4H, J= 5.2 Hz), 3.90-4.01(m, 2H), 4.19-4.25(m, 1H), 5.29(sext, 1H, J= 5.2 Hz), 5.48-5.56(m, 1H), 6.16-6.23(m, 1H), 7.43(d, 1H, J= 1.2 Hz), 8.21(brs, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):δ 12.6, 14.1, 22.7, 26.0, 29.4, 29.5, 29.5, 29.6, 29.7, 29.7, 31.9, 36.7, 62.6, 69.7, 71.8, 75.2, 76.7, 77.7, 84.7, 87.2, 111.5, 136.7, 150.1, 156.7, 157.3, 163.2。
【0159】
工程23-3:化合物56の合成
工程3-3の方法に従って、化合物55(1.30 g、1.46 mmol)及び化合物9(1.70 g、2.04 mmol)から化合物56(2.00 g、収率83.7 %)を白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ0.83-0.94(m, 6H), 1.18-1.37(m, 60H), 1.48-1.60(m, 4H), 1.86-1.98(m, 3H), 2.31-3.05(m, 6H), 3.35-3.56(m,6H), 3.59-3.70(m, 4H), 3.73-3.86(m, 6H), 4.09-4.46(m, 6H), 5.08-5.21(m, 1H), 5.23-5.34(m, 1H), 5.36-5.52(m, 1H), 6.20-6.36(m, 2H), 6.79-6.93(m, 4H), 7.20-7.40(m, 11H), 7.47-7.66(m, 3H), 7.82-7.96(m,2H), 8.06-8.88(m,3H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.61, -1.59。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 1663.8936。
【0160】
実施例24(T末端の2量体のオリゴヌクレオチド保護体からの疑似固相保護基の選択的脱保護):化合物11の合成
【0161】
【化24】
【0162】
実施例4の方法に従って、化合物56(1.00 g、0.609 mmol)、エチレングリコール(567 mg、9.13 mmol)及び4-ピロリジノピリジン(13.5 mg、91.1 μmol)から化合物11(485 mg、収率80.4 %)を白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 1.86-1.90(m, 3H), 2.17-2.50(m, 3H), 2.67-2.80(m, 2H), 2.95-3.09(m, 1H), 3.40-3.54(m, 2H), 3.74-3.84(m, 6H), 4.04-4.45(m, 6H), 4.46-4.61(m, 1H), 5.03-5.22(m, 1H), 6.16-6.30(m, 2H), 6.80-6.92(m, 4H), 7.20-7.44(m, 11H), 7.45-7.54(m, 2H), 7.54-7.64(m, 1H), 7.89-8.02(m, 2H), 8.05-8.16(m, 1H), 9.06-9.84(m, 2H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.94, -1.13。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 1013.3062。
【0163】
実施例25(疑似固相保護基(変形例3)の合成):化合物58の合成
【0164】
【化25】
【0165】
工程25-1:化合物57の合成
窒素雰囲気下、化合物3(13.0 g、14.0 mmol)、2-(メチルアミノ)エタノール(3.16 g、42.1 mmol)及びN-メチルイミダゾール(3.46 g、42.1 mmol)をTHF(120 g)に懸濁させ、室温でHBTU(7.97 g、21.0 mmol)を加え、室温にて3時間撹拌した。反応液をアセトニトリル(330 g)に加えて析出した固体をろ過した。得られた固体をアセトニトリルで洗浄後、室温で減圧乾燥し、化合物57(13.0 g、収率93.9 %)を微黄白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3, 50 ℃):δ 0.82-0.94(m, 9H), 1.15-1.53(m, 90H), 1.68-1.84(m, 6H), 3.06(brs, 3H), 3.56-3.72(m, 2H), 3.77-3.91(m, 2H), 3.94-4.02(m, 6H), 6.63(s, 2H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3, 50 ℃):δ 14.1, 22.7, 26.1, 29.4, 29.5, 29.6, 29.7, 29.7, 29.8, 30.4, 32.0, 38.6, 51.7, 61.2, 69.5, 73.5, 106.3, 110.8, 118.5, 124.3, 130.6, 139.9, 153.2, 173.3。
【0166】
工程25-2:化合物58の合成
工程2-2の方法に従って、塩化オキサリル(4.84 g、38.1 mmol)及び化合物57(12.5 g、12.7 mmol)から化合物58(13.7 g、収率98.6 %)を白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3, 50 ℃):δ 0.80-0.95(m, 9H), 1.15-1.52(m, 90H), 1.65-1.82(m, 6H), 2.93(brs, 3H), 3.57-3.75(m, 2H), 3.83-3.99(m, 6H), 4.15-4.33(m, 2H), 6.55(brs, 2H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3, 50 ℃):δ 14.1, 22.7, 26.3, 26.4, 29.4, 29.6, 29.7, 29.7, 29.8, 29.8, 29.8, 29.8, 29.9, 29.9, 30.5, 32.0, 38.1, 46.4, 61.7, 69.5, 73.5, 105.9, 130.8, 139.6, 153.2, 162.3, 165.5, 171.9。
【0167】
実施例26(T末端の2量体のオリゴヌクレオチド保護体の合成): 化合物61の合成
【0168】
【化26】
【0169】
工程26-1:化合物59(ヌクレオシド保護体)の合成
工程3-1の方法に従って、化合物58(10.0 g、9.13 mmol)及び化合物6(6.96 g、12.8 mmol)から化合物59(12.4 g、収率85.7 %)を微褐白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3, 50 ℃):δ 0.81-0.95(m, 9H), 1.15-1.53(m, 93H), 1.68-1.83(m, 6H), 2.41-2.66(m, 2H), 3.04-3.13(m, 3H), 3.42-3.58(m, 2H), 3.71-3.89(m, 8H), 3.89-4.05(m, 6H), 4.18-4.25(m, 1H), 4.40-4.64(m, 2H), 5.51-5.58(m, 1H), 6.38-6.47(m, 1H), 6.56-6.62(m, 2H), 6.79-6.88(m, 4H), 7.19-7.34(m, 7H), 7.34-7.42(m, 2H), 7.53-7.59(m, 1H), 8.38(brs, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3, 50 ℃):δ 11.7, 14.1, 22.7, 26.2, 29.4, 29.5, 29.7, 29.7, 29.7, 29.8, 30.4, 32.0, 37.8, 55.3, 63.6, 64.9, 69.5, 73.5, 78.2, 83.6, 84.5, 87.5, 106.0, 111.8, 113.5, 127.3, 128.1, 128.2, 130.1, 130.1, 130.6, 135.1, 135.2, 135.2, 139.8, 144.2, 150.2, 153.3, 156.9, 159.0, 159.0, 163.3, 172.0。
【0170】
工程26-2:化合物60の合成
工程3-2の方法に従って、化合物59(11.0 g、6.95 mmol)から化合物60(8.70 g、収率88.6 %)を微褐白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3, 50 ℃):δ 0.84-0.92(m, 9H), 1.16-1.51(m, 90H), 1.68-1.84(m, 6H), 1.88-1.93(m, 3H), 2.39-2.47(m, 1H), 2.59-2.69(m, 1H), 3.06-3.12(m, 3H), 3.75-4.02(m, 10H), 4.15-4.21(m, 1H), 4.45-4.61(m, 2H), 5.50-5.55(m, 1H), 6.09-6.15(m, 1H), 6.57-6.62(m, 2H), 7.38-7.43(m, 1H), 8.57(brs, 1H)。
13C-NMR(100 MHz, CDCl3, 50 ℃):δ 12.4, 14.1, 22.7, 26.2, 29.4, 29.5, 29.7, 29.7, 29.8, 29.8, 30.4, 32.0, 36.7, 62.5, 64.4, 69.5, 73.6, 84.8, 87.5, 106.0, 111.5, 130.6, 137.0, 139.8, 150.3, 153.3, 156.9, 157.0, 163.4, 172.1。
【0171】
工程26-3:化合物61の合成
工程3-3の方法に従って、化合物60(2.80 g、2.19 mmol)及び化合物9(2.48 g、2.97 mmol)から化合物61(4.11 g、収率93.0 %)を微褐白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3, 50 ℃):δ 0.81-0.95(m, 9H), 1.15-1.53(m, 90H), 1.68-2.00(m, 9H), 2.27-2.80(m, 4H), 2.90-3.02(m, 1H), 3.02-3.15(m, 3H), 3.42-3.54(m, 2H), 3.67-4.72(m, 22H), 5.09-5.19(m, 1H), 5.42-5.53(m, 1H), 6.16-6.29(m, 2H), 6.57-6.63(m, 2H), 6.82-6.89(m, 4H), 7.21-7.39(m, 11H), 7.44-7.52(m, 2H), 7.55-7.62(m, 1H), 7.89-7.96(m, 2H), 8.05-8.12(m, 1H), 8.69-9.11(m, 2H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3, 50 ℃):δ -1.70, -1.59。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 2051.2039。
【0172】
実施例27(T末端の2量体のオリゴヌクレオチド保護体からの疑似固相保護基の選択的脱保護):化合物11の合成
【0173】
【化27】
【0174】
実施例4の方法に従って、化合物61(1.00 g、0.493 mmol)、エチレングリコール(428 mg、6.90 mmol)及び4-ピロリジノピリジン(17.5 mg、0.118 mmol)から化合物11(430 mg、収率88.1 %)を白色固体として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ 1.86-1.90(m, 3H), 2.17-2.50(m, 3H), 2.67-2.80(m, 2H), 2.95-3.09(m, 1H), 3.40-3.54(m, 2H), 3.74-3.84(m, 6H), 4.04-4.45(m, 6H), 4.46-4.61(m, 1H), 5.03-5.22(m, 1H), 6.16-6.30(m, 2H), 6.80-6.92(m, 4H), 7.20-7.44(m, 11H), 7.45-7.54(m, 2H), 7.54-7.64(m, 1H), 7.89-8.02(m, 2H), 8.05-8.16(m, 1H), 9.06-9.84(m, 2H)。
31P-NMR(162 MHz, CDCl3):δ -1.94, -1.13。
MALDI-TOF/MS:[M+Na]+ 1013.3062。
【0175】
実施例28(選択的脱保護速度の比較):化合物6の生成
【0176】
【化28】
【0177】
化合物59、化合物62及び化合物63について、以下に示す選択的脱保護条件における反応進行速度(化合物6の生成率)の比較を行った。その結果を以下の表に示す。なお、化合物62は、特許文献3に記載の化合物1を上記の化合物6に変更したこと以外は、特許文献3に記載の実施例17における工程2 化合物32の合成に準じて、同様の方法で合成した。化合物63は、特許文献5に記載の実施例1-1、1-2、2-1に準じて、同様の方法で合成した。また、化合物6の生成率は、以下に示す超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)条件に基づいて測定された各化合物のピーク面積値を用いて、以下に示す数式(1)により求めた。
【0178】
[数]
化合物6の生成率=(化合物6のピーク面積値)/[(化合物59、化合物62又は化合物63のピーク面積値)+(化合物6のピーク面積値)]×100 (1)。
【0179】
《選択的脱保護条件》
窒素雰囲気下、各化合物(化合物59、化合物62又は化合物63)(30.0 μmol)、エチレングリコール(450 μmol)及び4-ピロリジノピリジン(15.0 μmol)を含むTHF(0.45 mL)溶液を、反応温度25 ℃で所定時間撹拌した。
【0180】
《UHPLC条件》
・カラム:Acquity UPLC BEH C18(φ2.1×100 mm, 1.7 μm)
・流速:0.25 mL/min
・移動相A:100 mmol/L トリエチルアミン酢酸緩衝液
・移動相B:THF/アセトニトリル=60/40
・移動相A/B=60/40→(12 min)→0/100(8 min)→(0.1 min)→60/40(10.9 min)
・カラム温度:30 ℃
・検出方法:UV(λ=260 nm)
・保持時間:化合物59(RT 15.3 min)、化合物62(RT 15.3 min)、化合物63(RT 15.6 min)、化合物6(RT 4.1 min)。
【0181】
【表2】
【0182】
この結果から、シュウ酸エステル構造を有する疑似固相保護基(化合物59)は、求核剤と塩基とを組み合わせた選択的脱保護条件において、従来の疑似固相保護基(化合物62、化合物63)よりも速やかに脱保護されることが確認された。
【0183】
実施例29(全脱保護速度の比較):化合物6の生成
【0184】
【化29】
【0185】
化合物59(実施例28参照)、化合物63(実施例28参照)及び化合物64について、以下に示すオリゴヌクレオチド合成の一般的な全脱保護条件における反応進行速度(化合物6の生成率)の比較を行った。その結果を以下の表に示す。なお、化合物64は、特許文献2に記載の実施例1に準じて、同様の方法で合成した。また、化合物6の生成率は、実施例28と同様の方法により求めた。
【0186】
《全脱保護条件》
窒素雰囲気下、各化合物(化合物59、化合物63又は化合物64)(50.0 μmol)、28 %アンモニア水(2.0 mL)、エタノール(0.5 mL)及びTHF(0.5 mL)を、反応温度35 ℃で所定時間撹拌した。
【0187】
【表3】
【0188】
この結果から、シュウ酸エステル構造を有する疑似固相保護基(化合物59)は、オリゴヌクレオチド合成の一般的な全脱保護条件において、従来の疑似固相保護基(化合物63、化合物64)よりも速やかに脱保護されることが確認された。このように、シュウ酸エステル構造を有する疑似固相保護基(化合物59)は、本条件で脱保護が進行したことから、オリゴヌクレオチド合成に利用可能であることが確認された。
【0189】
実施例30(選択的脱保護反応(条件)の検討):化合物11の生成
【0190】
【化30】
【0191】
シュウ酸エステル構造を有する疑似固相保護基で保護されたオリゴヌクレオチド保護体から、3’末端に結合した疑似固相保護基のみを選択的に脱保護する条件を検討した。本実施例では、化合物10を用い、塩基及び求核種の種類、並びにこれらの当量を検討した。
【0192】
(実施例30-1)塩基種の検討
化合物10について以下に示す選択的脱保護条件で反応を行い、各塩基種に対する化合物11の生成率を比較した。その結果を以下の表に示す。化合物11の生成率は、実施例28と同様の方法により求めた。なお、保持時間は、化合物10(RT 15.1 min)、化合物11(RT 4.3 min)である。また、上記数式(1)において、化合物6を化合物11に、化合物59、化合物62又は化合物63を化合物10に変更して算出した。
【0193】
《選択的脱保護条件》
窒素雰囲気下、化合物10(24.3 μmol)、以下の表に示す各塩基(72.9 μmol)及び2-シアノエタノール(725 μmol)を含むTHF(0.4 mL)溶液を、反応温度25 ℃で所定時間撹拌した。
【0194】
【表4】
【0195】
この結果から、シュウ酸エステル構造を有する疑似固相保護基で保護されたオリゴヌクレオチド保護体から、3’位に結合された疑似固相保護基のみを選択的に脱保護する反応において、種々の塩基で反応が進行することが確認された。
【0196】
(実施例30-2)塩基当量の検討
化合物10について以下に示す選択的脱保護条件で反応を行い、塩基当量に対する化合物11の生成率を比較した。その結果を以下の表に示す。なお、化合物11の生成率は、実施例28と同様の方法により求めた。
【0197】
《選択的脱保護条件》
窒素雰囲気下、化合物10(24.3 μmol)、塩基としてトリエチルアミン(以下の表に示す塩基当量)及び2-シアノエタノール(725 μmol)を含むTHF(0.4 mL)溶液を、反応温度25 ℃で所定時間撹拌した。
【0198】
【表5】
【0199】
この結果から、シュウ酸エステル構造を有する疑似固相保護基で保護されたオリゴヌクレオチド保護体から、3’位に結合された疑似固相保護基のみを選択的に脱保護する反応において、塩基を反応基質である化合物10(オリゴヌクレオチド保護体)に対して1当量以下(例えば0.5当量)または1当量以上(例えば1~3当量)を用いた条件で、反応が進行することが確認された。
【0200】
(実施例30-3)求核種の検討
化合物10(50.0 mg、24.3 μmol)、4-ジメチルアミノピリジン(1.48 mg、12.1 μmol)及び以下の表に示す各求核種を含むTHF(330 mg)溶液を25 ℃で撹拌し、求核種の種類に対する化合物11の生成率を比較した。その結果を以下の表に示す。なお、化合物11の生成率は、実施例28と同様の方法により求めた。
【0201】
【表6】
【0202】
この結果から、シュウ酸エステル構造を有する疑似固相保護基で保護されたオリゴヌクレオチド保護体から、3’位に結合された疑似固相保護基のみを選択的に脱保護する反応において、種々の求核種で反応が進行することが確認された。
【0203】
(実施例30-4)脂肪族アミノアルコールの検討
化合物10について以下に示す選択的脱保護条件で反応を行い、各脂肪族アミノアルコールに対する化合物11の生成率を比較した。その結果を以下の表に示す。なお、化合物11の生成率は、実施例28と同様の方法により求めた。
【0204】
《選択的脱保護条件》
窒素雰囲気下、化合物10(24.3 μmol)、以下の表に示す各脂肪族アミノアルコール(26.7 μmol)を含むTHF(0.4 mL)溶液を、反応温度25 ℃で所定時間撹拌した。
【0205】
【表7】
【0206】
この結果から、シュウ酸エステル構造を有する疑似固相保護基で保護されたオリゴヌクレオチド保護体から、3’位に結合された疑似固相保護基のみを選択的に脱保護する反応において、種々の脂肪族アミノアルコールで反応が進行することが確認された。
【要約】
【課題】オリゴヌクレオチド又はオリゴアミダイトの製造に用いられ、取り扱い容易な化合物を用いて選択的に脱保護可能な疑似固相保護基、それを用いたヌクレオシド保護体又はオリゴヌクレオチド保護体、オリゴアミダイト前駆体の製造方法を提供する。
【解決手段】疑似固相保護基は一般式(1):MO-(O=)C-C(=O)-W-X-Y-Z(-OMはヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドの3’位ヒドロキシ基に結合する結合基;MはH又はアルカリ金属原子;WはO、S又はNR;Xは単結合、炭素数1~12のアルキレン基、アリーレン基又は2価の複素環基;Yは単結合、エーテル結合、-OCO-、-NRCO-、-CO-又は-SCO-;Zは炭素数10~30のアルコキシ基を有するアルコキシフェニル基又はアルコキシアルキル基を示す。)で表され、ヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドの3’位ヒドロキシ基に結合する分子末端にシュウ酸構造を有する。
【選択図】なし