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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】太陽光パネル設置システム
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/32 20140101AFI20240213BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20240213BHJP
   H02S 20/22 20140101ALI20240213BHJP
【FI】
H02S20/32
E04F13/08 Z ETD
H02S20/22
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023502299
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 JP2022005870
(87)【国際公開番号】W WO2022181386
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-08-18
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521081012
【氏名又は名称】株式会社リエール
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】保坂 新吾
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-199359(JP,A)
【文献】特開2011-129664(JP,A)
【文献】特開2013-194503(JP,A)
【文献】米国特許第10020410(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/20-20/32
E04F 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の屋上又は構造物上に敷設された第一レールと、
前記第一レール上を移動可能に設けられ、前記第一レールに載置された状態において前記建築物又は前記構造物の外側に一部が突出する支持台車と、
前記支持台車のうち前記建築物又は前記構造物の外側に突出した部分に直接又は間接的に支持され、前記建築物又は前記構造物の側面に沿って鉛直方向に延びる芯柱と、
前記芯柱に固定される複数の太陽光パネルと、
前記第一レールの長手方向における第一向き又は前記第一向きとは反対の第二向きに前記支持台車を移動させる台車駆動部と、を備えることを特徴とする太陽光パネル設置システム。
【請求項2】
前記台車駆動部は、前記支持台車を前記第一向きに移動させる第一巻取り機と、前記支持台車を前記第二向きに移動させる第二巻取り機とを含み、
前記第一巻取り機は、前記支持台車のうち移動方向の一端側に接続される第一ワイヤーを巻き取って前記支持台車を前記第一向きに移動させ、
前記第二巻取り機は、前記支持台車のうち前記移動方向の他端側に接続される第二ワイヤーを巻き取って前記支持台車を前記第二向きに移動させることを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル設置システム。
【請求項3】
前記芯柱に直接又は間接的に固定されるギアと、
前記支持台車に搭載され、前記ギアを回動させることによって前記芯柱をその周方向に回動させる駆動装置と、を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の太陽光パネル設置システム。
【請求項4】
前記駆動装置は、前記ギアに噛み合う駆動ギアと、前記駆動ギアを回転させるモーターとを含み、
前記ギアは、前記駆動ギアの回転に追従して回転することを特徴とする請求項3に記載の太陽光パネル設置システム。
【請求項5】
前記芯柱は、その上端に固設されるプレートを備え、
前記ギアは、前記プレートを介して前記芯柱に固定されていることを特徴とする請求項3又は請求項に記載の太陽光パネル設置システム。
【請求項6】
前記芯柱の下端側に配されるベース部材と、
筒状をなす前記芯柱の中空部内に挿通されるとともに、前記支持台車のうち前記建築物又は前記構造物の外側に突出した前記部分と前記ベース部材とをつなぐ連結ワイヤーと、
前記連結ワイヤーの下端に設けられるフックと、
前記ベース部材に設けられるフック係止部と、を備え、
前記フックを前記フック係止部に掛止することによって、前記連結ワイヤーの下端が前記ベース部材に接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の太陽光パネル設置システム。
【請求項7】
前記第一レールは、鋼製であり、
前記支持台車は、前記第一レールを走行する第一走行部を備え、
前記第一走行部は、電磁石を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の太陽光パネル設置システム。
【請求項8】
前記芯柱の下端側に設けられる第二レールを備え、
前記支持台車の移動に伴い、前記芯柱の前記下端側が前記第二レールに沿って移動することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の太陽光パネル設置システム。
【請求項9】
前記第二レールは、鋼製であり、
前記芯柱の下端側は、前記第二レールを走行する第二走行部を備え、
前記第二走行部は、電磁石を備えていることを特徴とする請求項8に記載の太陽光パネル設置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルの向きや配置、あるいはこれらの両方を所望に変更することができる太陽光パネル設置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光パネルが横棒に吊り下げられた状態で設置される太陽電池システムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
具体的には、特許文献1の図1に示すように、太陽電池システム(1)においては、3つの太陽光パネル(10)が横棒(2)に吊り下げられている。横棒(2)には、支持部材(20)が取り付けられており、各太陽光パネル(10)は、支持部材(20)によって揺動可能に支持されている。つまり、各太陽光パネル(10)は、横棒(2)の長さ方向に対して略垂直な方向に揺動可能なように、横棒(2)に吊り下げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2015/029728号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、中・高層ビルディングなどの建築物において、側面(例えば、ベランダ側の側面)全体を覆うように複数の太陽光パネルを設置することが検討されている。そうすることで、側面の一部にのみ太陽光パネルを設置する場合に比べて、発電量が大きくなるとともに、外観上の一体感も生まれる。
【0006】
ただ、高層ビルディングなど比較的階数が多い建築物においては、鉛直方向に設置される太陽光パネルの枚数も多くなるため、設置の難易度が上がる。特に、鉛直方向に多数の太陽光パネルを設置する場合には、特許文献1の発明のように、横棒に吊り下げる構成を採用することは困難である。
【0007】
また、建築物の側面に複数の太陽光パネルを設置するにあたり、より多くの発電量を確保すべく、日射方向を向くように複数の太陽光パネルを一体的に回転させることも検討されている。その場合に、鉛直方向に連続的に設置された複数の太陽光パネルを1つの駆動装置によって回転させるのが好ましい。
【0008】
しかしながら、鉛直方向に設置される太陽光パネルの枚数が多くなれば、駆動装置を構成するギアなどに生じる負荷が大きくなるという新たな課題が生じる。
【0009】
本発明はかかる従来の課題に対処してなされたものでありその目的は、複数の太陽光パネルを建築物又は構造物の側面に設置する際に、太陽光パネルの向きや配置、あるいはこれらの両方を所望に変更することができる太陽光パネル設置システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための第1の発明に係る太陽光パネル設置システムは、建築物の屋上又は構造物上に敷設された第一レールと、この第一レール上を移動可能に設けられ、第一レールに載置された状態において建築物又は構造物の外側に一部が突出する支持台車と、この支持台車のうち建築物又は構造物の外側に突出した部分に直接又は間接的に支持され、建築物又は構造物の側面に沿って鉛直方向に延びる芯柱と、この芯柱に固定される複数の太陽光パネルと、第一レールの長手方向における第一向き又は第一向きとは反対の第二向きに支持台車を移動させる台車駆動部と、を備えることを特徴とする。
上記構成の第1の発明において、第一レールは、支持台車を第一向き又は第二向きに案内するという作用を有する。また、支持台車は、この支持台車に直接又は間接的に支持される、複数の太陽光パネルを備えた芯柱を、建築物又は構造物の側面上を移動させるという作用を有する。さらに、芯柱は、複数の太陽光パネルを鉛直方向にかつ直列状に保持するという作用を有する。また、太陽光パネルは光エネルギーを電気エネルギーに変換して出力するという作用を有する。加えて、台車駆動部は、支持台車を第一レールの長手方向における第一向き又は第二向きに移動させるという作用を有する。
よって、上述のような太陽光パネル設置システムによれば、建築物又は構造物の任意の側面上に配される複数の太陽光パネルからなる太陽光パネル群を、この側面に隣接する他の側面上に移動することができる。
【0011】
第2の発明は、上述の第1の発明であって、建築物又は構造物は、第一側面と第二側面とを含み、第一レールは、第一側面に沿って延在する直線状の第一部分と、第二側面に沿って延在する直線状の第二部分と、第一部分と第二部分とを連結するR形状のR部分とを含み、台車駆動部は、支持台車が第一部分に位置する場合にはR部分を介して支持台車を第一部分から第二部分に移動させ、支持台車が第二部分に位置する場合にはR部分を介して支持台車を第二部分から第一部分に移動させる、ことを特徴とする。
上記構成の第2の発明は、上述の第1の発明による作用と同じ作用に加えて、第一レールがR部分を備えていることで、支持台車及び台車駆動部を用いて太陽光パネル群を第一側面から第二の側面に、又はこの逆方向にスムーズに移動させることができる。
【0012】
第3の発明は、上述の第2の発明であって、台車駆動部は、支持台車が第一部分に位置する場合において、所定時刻になったことに応答して支持台車を第一部分から第二部分に移動させる、ことを特徴とする。
上記構成の第3の発明は、上述の第2の発明による作用と同じ作用に加えて、所定時刻になったことに応答して支持台車を移動させることで、より多くの日射が期待できる建築物又は構造物の側面に、太陽光パネル群を移動して配置することができる。この結果、第3の発明による発電量を増やすことができる。
【0013】
第4の発明は、上述の第1の発明であって、台車駆動部は、支持台車を第一向きに移動させる第一巻取り機と、支持台車を第二向きに移動させる第二巻取り機とを含み、第一巻取り機は、支持台車のうち移動方向の一端側に接続される第一ワイヤーを巻き取って支持台車を第一向きに移動させ、第二巻取り機は、支持台車のうち移動方向の他端側に接続される第二ワイヤーを巻き取って支持台車を第二向きに移動させる、ことを特徴とする。
上記構成の第4の発明は、上述の第1の発明による作用と同じ作用に加えて、台車駆動部が、第一ワイヤー及び第一巻取り機、並びに第二ワイヤー及び第二巻取り機の組合せにより構成されることで、台車駆動部の構造を簡素にできる。
【0014】
第5の発明は、上述の第2の発明であって、移動方向において支持台車と間隙を隔てて第一レール上を移動可能に設けられる他の支持台車を含み、支持台車と他の支持台車とは牽引用連結具によって連結され、他の支持台車は、第一レールに載置された状態において建築物又は構造物の外側に一部が突出し、他の支持台車のうち建築物又は構造物の外側に突出した部分には、建築物又は構造物の側面に沿って鉛直方向に延びる他の芯柱が直接又は間接的に支持され、他の芯柱には、複数の太陽光パネルが固定され、台車駆動部は、支持台車及び他の支持台車が第一部分に位置する場合にはR部分を介して支持台車及び他の支持台車を第一部分から第二部分に移動させ、支持台車及び他の支持台車が第二部分に位置する場合にはR部分を介して支持台車及び他の支持台車を第二部分から第一部分に移動させることを特徴とする。
上記構成の第5の発明は、上述の第2の発明における支持台車、芯柱及び太陽光パネル群からなる組合せを複数セット備えるとともに、これらを牽引用連結具により連結して一体化したものである。
上述のような第5の発明によれば、支持台車、芯柱及び太陽光パネル群からなる組合せを複数セット一体化した状態で、建築物又は構造物の任意の側面からこの側面に隣接する他の側面に移動させることができる。
【0015】
第6の発明は、上述の第1乃至第5のいずれかの発明であって、芯柱に直接又は間接的に固定されるギアと、支持台車に搭載され、ギアを回動させることによって芯柱をその周方向に回動させる駆動装置と、を備えることを特徴とするものである。
上記構成の第6の発明は、上述の第1乃至第5のそれぞれの発明による作用と同じ作用に加えて、ギア及びこのギアの駆動装置を備えていることで、支持台車に設けられる芯柱を、その周方向に回動させるという作用を有する。
よって、第6の発明によれば、芯柱の上述のような回動動作に連動して、複数の太陽光パネルの向きを変えることができる。
【0016】
第7の発明は、上述の第6の発明であって、駆動装置は、ギアに噛み合う駆動ギアと、駆動ギアを回転させるモーターとを含み、ギアは、駆動ギアに回転に追従して回転することを特徴とする。
上記構成の第7の発明は、上述の第6の発明の構成を具体的に特定したものであり、その作用は上述の第6の発明による作用と同じである。
また、第7の発明において、駆動装置を、駆動ギアと、この駆動ギアを回転させるモーターにより構成することで、駆動装置の構造を簡素にできる。
【0017】
第8の発明は、上述の第1乃至第7のいずれかの発明であって、芯柱の下端側に配されるベース部材と、筒状をなす芯柱の中空部内に挿通されるとともに、持台車のうち建築物又は構造物の外側に突出した部分とベース部材とをつなぐ連結ワイヤーと、この連結ワイヤーの下端に設けられるフックと、ベース部材に設けられるフック係止部と、を備え、フックをフック係止部に掛止することによって、連結ワイヤーの下端がベース部材に接続される、ことを特徴とする。
上記構成の第8の発明は、上述の第1乃至第7のそれぞれの発明による作用と同じ作用に加えて、ベース部材に対する芯柱の固定方法を上述のように特定することで、芯柱の駆動機構を簡素にしつつ、芯柱及びその駆動機構を軽量化することができる。
【0018】
第9の発明は、上述の第6乃至第8のいずれかの発明であって、芯柱は、その上端に固設されるプレートを備え、ギアは、上記プレートを介して芯柱に固定されている、ことを特徴とする。
上記構成の第9の発明は、上述の第6乃至第8のそれぞれの発明による作用と同じ作用に加えて、ギアと芯柱の間にプレートを介設することで、芯柱に対するギアの取り付け強度を向上させるという作用を有する。これにより、芯柱の回動機構の強度及び耐久性を向上させるという作用を有する。
【0019】
第10の発明は、上述の第1乃至第9のいずれかの発明であって、第一レールは、鋼製であり、支持台車は、第一レールを走行する第一走行部を備え、第一走行部は、電磁石を備えている、ことを特徴とする。
上記構成の第10の発明は、上述の第1乃至第9のそれぞれの発明による作用と同じ作用を有する。加えて、第10の発明において、第一レールを鋼製にするとともに、支持台車に設けられる第一走行部が電磁石を備えていることで、この電磁石を「ON」にすることで、第一レール上の所望の位置に支持台車を固定することができる。また、電磁石を「OFF」にすることで、支持台車の固定状態を解除して、第一レール上を移動可能にするという作用を有する。
【0020】
第11の発明は、上述の第1乃至第10のいずれかの発明であって、芯柱の下端側に設けられる第二レールを備え、支持台車の移動に伴い、芯柱の下端側が第二レールに沿って移動する、ことを特徴とする。
上記構成の第11の発明は、上述の第1乃至第10のそれぞれの発明による作用と同じ作用を有する。加えて、第11の発明が第二レールを備えていることで、芯柱の下端側の安定性を向上させるという作用を有する。
【0021】
第12の発明は、上述の第11の発明であって、第二レールは、鋼製であり、芯柱の下端側は、第二レールを走行する第二走行部を備え、第二走行部は、電磁石を備えていることを特徴とする。
上記構成の第12の発明は、上述の第11の発明による作用と同じ作用を有する。加えて、第11の発明において、第二レールを鋼製にするとともに、芯柱の下端側設けられる第二走行部が電磁石を備えていることで、この電磁石を「ON」にすることで、第二レール上の所望の位置に芯柱の下端側を固定することができる。また、電磁石を「OFF」にすることで、芯柱の下端側の固定状態を解除して、第二レール上を移動可能にするという作用を有する。
【発明の効果】
【0022】
上述のような第1乃至第12のそれぞれの発明によれば、複数の太陽光パネルが固定された芯柱が支持台車のうち建築物又は構造物の外側に突出した部分に直接又は間接的に支持される。そして、支持台車が台車駆動部によってレール上を長手方向に移動する。その結果、支持台車に支持された芯柱を、建築物又は構造物の第一側面に近接する位置から第二側面に近接する位置に移動させるとともに、第二側面に近接する位置から第一側面に近接する位置に移動させることが可能である。すなわち、第1乃至第12のそれぞれの発明である太陽光パネル設置システムによれば、複数の太陽光パネルを、建築物又は構造物の一の側面に近接する位置から他の側面に近接する位置に移動させることが可能である。
【0023】
上述のような第6乃至第12のそれぞれの発明によれば、複数の太陽光パネルからなる太陽光パネル群を、建築物又は構造物の所望の側面上に移動させることができるという効果に加えて、この太陽光パネル群の鉛直方向軸に対する向きを所望に変更することができるという効果も有する。よって、第6乃至第12のそれぞれの発明によれば、太陽光パネル設置システムによる発電効率を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第一実施形態に係る太陽光パネル設置システムの外観斜視図である。
図2図1のX-X位置で切った断面図である。
図3】芯柱及びワイヤーの上端側を拡大した拡大図である。
図4図3のY-Y位置で切った断面図である。
図5】芯柱及びワイヤーの下端側を拡大した拡大図である。
図6】芯柱及び芯柱に固定された太陽光パネルを上から見た模式図である。
図7】日射方向に応じて太陽光パネルが回動する様子を示す模式図である。
図8】本発明の第二実施形態に係る太陽光パネル設置システムの平面図である。
図9図8のZ-Z位置で切った断面図である。
図10】レールの各部を説明するための概略平面図である。
図11】支持台車同士を連結する牽引用連結具を示す概略斜視図である。
図12】複数の支持台車が西側に移動した状態を示す平面図である。
図13】複数の支持台車が北側に移動した状態を示す平面図である。
図14】本発明の第二実施形態の変形例に係る太陽光パネル設置システムの鉛直方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る太陽光パネル設置システムについて第一実施形態及び第二実施形態を参照にしながら詳細に説明する。
【0026】
<1-1;第一実施形態について>
本発明の第一実施形態に係る太陽光パネル設置システムについて図1乃至図7に基づいて説明する。以下では、太陽光パネル設置システムの一例として、建築物17(中・高層共同住宅など)の側面全体に設置される太陽光パネル設置システム1A(図1参照)を例示する。
【0027】
図1及び図2に示すように、太陽光パネル設置システム1Aは、基礎コンクリート2と、梁部材3と、ベース部材5と、連結ワイヤー7と、芯柱10と、太陽光パネル13とを備えている。
【0028】
基礎コンクリート2は、梁部材3を支持するための基礎構造であり、建築物17の屋上に設けられている。
【0029】
梁部材3は、基礎コンクリート2に支持された状態で固定されるH形鋼である。梁部材3の一部は、ベランダ側に突出している。梁部材3のうちベランダ側に突出した部分の先端には、支持プレート4が設けられている。支持プレート4は、H形鋼の上面に溶接されて固定されている。
【0030】
ベース部材5は、芯柱10を支持するための板状の支持部材である。ベース部材5は、連結ワイヤー7によって吊られる。
【0031】
連結ワイヤー7は、ベース部材5及びベース部材5に載置される芯柱10を吊るための吊り具である。
【0032】
芯柱10は、鉛直方向に複数の太陽光パネル13を連続的に配置するための被取付け部材である。詳細には、芯柱10は、例えば断面矩形形状を有し、鉛直方向に長尺な中空部材である。
【0033】
図2に示すように、芯柱10は、ベース部材5に載置された状態において、鉛直方向に延在する。また、芯柱10は、ベース部材5に載置された状態において、連結ワイヤー7が内部に挿通されている。
【0034】
また、芯柱10には、太陽光パネル13を固定する支持フレーム14が設置されている。複数の太陽光パネル13は、例えば支持フレーム14を介して芯柱10に取り付けられる。
【0035】
また、梁部材3のうちベランダ側に突出した部分には、後述の駆動ギア16(図3及び図4参照)を回転駆動させるためのモーター15が格納されている。
【0036】
図3に示すように、芯柱10の上端には、蓋板11が溶接されている。蓋板11の中央には、連結ワイヤー7を挿通可能な挿通孔が形成されている。
【0037】
また、蓋板11の上面には、従動ギア12が溶接されている。従動ギア12の中央には、連結ワイヤー7を挿通可能な挿通孔が形成されている。
【0038】
図4に示すように、従動ギア12は、モーター15によって駆動する駆動ギア16と噛み合っており、駆動ギア16の回転に追従して回転する。従動ギア12が回転すると、従動ギア12が溶接された蓋板11と、この蓋板11が溶接された芯柱10も一緒に回転する。芯柱10が回転すると、芯柱10に固定された複数の太陽光パネル13も回転する。
【0039】
なお、ここでは、駆動ギア16の径が従動ギア12の径よりも大きい場合を例示しているが、これに限定されない。例えば、駆動ギア16の径が従動ギア12の径よりも小さくてもよく、あるいは、同じであってもよい。
【0040】
図3に示すように、支持プレート4の下面には、必要に応じてワイヤー支持リング8が設けられている。ワイヤー支持リング8には、連結ワイヤー7の上端が固定される。これにより、連結ワイヤー7の上端は、ワイヤー支持リング8を介して支持プレート4、ひいては、支持プレート4が設けられている梁部材3に接続される。
【0041】
図5に示すように、連結ワイヤー7の下端には、フック9が接続されている。一方、ベース部材5の上面には、フック係止部6(フックを係止するための孔を備えたパーツ)が設けられている。フック9をフック係止部6に掛けることにより、連結ワイヤー7の下端がベース部材5に対して接続される。つまり、連結ワイヤー7がベース部材5を吊った状態、換言すれば、ベース部材5が連結ワイヤー7によって吊られた状態となる。
【0042】
そして、芯柱10は、連結ワイヤー7によって吊られた状態のベース部材5に載置(支持)される。その結果、芯柱10が連結ワイヤー7で吊られた状態となる。
【0043】
続いて、図6及び図7を参照しながら、太陽光パネル13のパネル面の向きを制御する動作について説明する。
【0044】
太陽光発電においてより多くの発電量を獲得するためには、太陽光パネル13のパネル面を日射方向に対して垂直に配置するのが好ましい。そこで、本発明の第一実施形態では、モーター15を制御することによって日射方向に応じて太陽光パネル13を回転させる構成が採用されている。
【0045】
図6は、太陽光パネル13のパネル面が建築物17の側面に対して平行に配置された状態が示されている。図6では、建物内側が北向き、建物外側(ベランダが配置される側)が南向きとなる建築物17に設置された太陽光パネル13を例示している。
【0046】
図7(A)に示すように、南向きの共同住宅では、日の出の時間帯において太陽光パネル13のパネル面が東側を向くようにモーター15を制御して芯柱10を回転させる。
【0047】
その後、図7(B)に示すように、時間の経過とともに、太陽光パネル13のパネル面が徐々に南側を向くようにモーター15を制御して芯柱10を時計回りに回転させる。
【0048】
時間の経過とともに、モーター15を制御してさらに芯柱10を時計回りに回転させると、図7(C)に示すように、正午頃には、太陽光パネル13のパネル面が南側を向く。
【0049】
正午を過ぎ、モーター15を制御してさらに芯柱10を時計回りに回転させると、図7(D)に示すように、太陽光パネル13のパネル面が徐々に西側を向く。
【0050】
その後、図7(E)に示すように、日の入りの時間帯において太陽光パネル13のパネル面が西側を向くようにモーター15を制御して芯柱10をさらに時計回りに回転させる。
【0051】
以上のようにモーター15を制御することにより、太陽光パネル13のパネル面を日射方向に対して垂直に近い状態に維持し続けることが可能になる。
【0052】
上述した第一実施形態によれば、ベース部材5に載置された芯柱10に複数の太陽光パネル13が固定され、芯柱10が連結ワイヤー7によって梁部材3(詳細には支持プレート4)に吊られた状態で設置されている。そのため、建築物(中高層共同住宅)の側面(ベランダ側)において鉛直方向に複数の太陽光パネル13を安定的に設置することが可能である。
【0053】
特に、上述した第一実施形態では、芯柱10が連結ワイヤー7で吊られているため、芯柱10を回動させるための従動ギア12、駆動ギア16及びモーター15にかかる負荷が低減される。
【0054】
また、上述した第一実施形態によれば、芯柱10に対して複数の太陽光パネル13が鉛直方向に連続的に固定されている。そのため、複数の太陽光パネル13を1つのモーター15によって一体的に回転させることが可能である。
【0055】
<1-2;第一実施形態の変形例について>
本発明に係る太陽光パネル設置システムは上述した第一実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0056】
例えば、上述した第一実施形態では、梁部材3に設けられた支持プレート4に連結ワイヤー7の上端が固定される場合を例示したが、これに限定されず、支持プレート4を設けることなく梁部材3に対して直接固定するようにしてもよい。
【0057】
また、上述した第一実施形態では、本発明に係る太陽光パネル設置システム1Aを中・高層共同住宅に設置する場合を例示したが、これに限定されず、比較的階数を有するオフィスビルなどの建築物に設置するようにしてもよい。
【0058】
また、上述した第一実施形態では、芯柱10の上端に従動ギア12を設ける場合を例示したが、これに限定されず、鉛直方向に芯柱10の中央近傍などの他の場所に従動ギア12を設けるようにしてもよい。
【0059】
また、上述した第一実施形態では、本発明に係る太陽光パネル設置システム1Aを既存の中・高層共同住宅に後付けする場合を想定し、建築物17の屋上に基礎コンクリート2を設ける場合を例示したが、これに限定されない。中・高層共同住宅の施工時に標準搭載する場合には、基礎コンクリート2は必ずしも必須ではなく、梁部材3を直接設置するようにしてもよい。
【0060】
さらに、上述した第一実施形態では、本発明に係る太陽光パネル設置システム1Aを既存の中・高層共同住宅等の建築物17に後付けする場合を例に挙げて説明しているが、本発明に係る太陽光パネル設置システム1Aを設置するために建てられた鉄骨又は木造軸組み、あるいは鉄筋コンクリート造等による構造物(図示せず)に太陽光パネル設置システム1Aを設置して用いてもよい。
【0061】
<1-3;第一実施形態の発明の構成について>
上述のような第一実施形態に係る太陽光パネル設置システム1Aは、以下に[1]乃至[5]として示すそれぞれの発明として特定することができる。
【0062】
[1] 建築物17又は構造物の側面に沿って複数の太陽光パネル13を鉛直方向に連続的に設置する太陽光パネル設置システムにおいて、建築物17の屋上又は構造物の最上面に固定された梁部材3であって建築物17又は構造物の側面から一部が突出する梁部材3と、この梁部材3のうち上記側面から突出した部分に上端側が直接又は間接的に接続され、鉛直方向に延びる連結ワイヤー7と、この連結ワイヤー7の下端側が接続されたベース部材5と、このベース部材5に載置され、内部に連結ワイヤー7を挿通した状態でベース部材5から梁部材3に向かって延在する筒状の芯柱10と、この芯柱10に直接又は間接的に固定されたギア(例えば従動ギア12)と、このギア(例えば従動ギア12)を回動させることによって芯柱10を回動させる駆動装置と、を備え、芯柱10には、パネル面を垂直に立てた縦置きの状態で複数の太陽光パネル13が鉛直方向に連続的に固定されていることを特徴とする太陽光パネル設置システム1A。
【0063】
[2] 上記[1]の太陽光パネル設置システム1Aにおいて、連結ワイヤー7の下端には、フック9が設けられ、ベース部材5には、フック係止部6が設けられ、フック9をフック係止部6に掛けることによって、連結ワイヤー7の下端がベース部材5に接続されている、ことを特徴とする。
【0064】
[3] 上記[1]又は[2]の太陽光パネル設置システム1Aにおいて、芯柱10には、太陽光パネル13を固定するための固定用フレーム(例えば支持フレーム14)が設けられ、太陽光パネル13は、固定用フレーム(例えば支持フレーム14)を介して芯柱10に固定されている、ことを特徴とする。
【0065】
[4] 上記[1]乃至[3]のいずれかの太陽光パネル設置システム1Aにおいて、駆動装置は、ギア(例えば従動ギア12)に噛み合う駆動ギア16と、この駆動ギア16を回転させるモーター15とを含み、ギア(例えば従動ギア12)は、駆動ギア16回転に追従して回転する、ことを特徴とする。
【0066】
[5] 上記[1]乃至[4]のいずれかの太陽光パネル設置システム1Aにおいて、芯柱10の上端には、連結ワイヤー7を挿通可能な挿通孔を備えたプレート(例えば蓋板11)が固定されており、ギア(例えば従動ギア12)は、プレート(例えば蓋板11)を介して芯柱10に固定されている、ことを特徴とする。
【0067】
<1-4;発明[1]乃至発明[5]のそれぞれの効果について>
上述の発明[1]によれば、ベース部材5に載置された芯柱10に複数の太陽光パネル13が固定され、芯柱10はベース部材5に接続された連結ワイヤー7によって梁部材3に吊られた状態で設置されている。そのため、建築物17又は構造物の側面において複数の太陽光パネル13を鉛直方向に安定的に設置することが可能である。また、芯柱10に対して複数の太陽光パネル13が鉛直方向に連続的に固定されているため、当該複数の太陽光パネル13を共通の駆動装置を用いて一体的に回転させることが可能である。
よって、上記発明[1]によれば、太陽光パネル13を芯柱10の周方向に所望に回動させることができるので、複数の太陽光パネル13を、これらによる発電量がより多くなる向きに向けておくことができる。この結果、太陽光パネル13を芯柱10の周方向に回動させることができない場合に比べて、発明[1]による発電効率を向上させることができる。
【0068】
上述の発明[2]によれば、上記発明[1]による効果と同じ効果に加えて、連結ワイヤー7とベース部材5をフック9で連結することで、これらの連結構造を簡素化しつつ、その連結作業を簡便化できる。
【0069】
上述の発明[3]によれば、上記発明[1]又は発明[2]による効果と同じ効果に加えて、芯柱10に固定用フレーム(例えば支持フレーム14)を用いて太陽光パネル13を固定することで、芯柱10に対する太陽光パネル13の取り付け強度を高くすることができる。これにより、発明[3]全体の強度及び耐久性を向上させることができる。
【0070】
上述の発明[4]によれば、上記発明[1]乃至発明[3]のそれぞれによる効果と同じ効果に加えて、駆動装置の構造を簡素にできる。この結果、発明[4]の設置に要するコストを廉価にしつつ、メンテナンスに要するコストも削減できる。
【0071】
上述の発明[5]によれば、上記発明[1]乃至発明[4]のそれぞれによる効果と同じ効果に加えて、芯柱10に対するギア(例えば従動ギア12)の接合強度を高めることができる。この結果、発明[5]の耐久性を向上させることができる。
【0072】
<2-1;第二実施形態について>
本発明の第二実施形態に係る太陽光パネル設置システムについて図8から図13に基づいて説明する。以下では、太陽光パネル設置システムの一例として、建築物33(中・高層ビルなど)の側面に設置される太陽光パネル設置システム1B(図8参照)を例示する。
【0073】
図8に示すように、太陽光パネル設置システム1Bは、建築物33の屋上RTに敷設された第一レール20と、4台の支持台車23a,23b,23c,23dと、巻取り機29,30とを備えている。
【0074】
図8に示すように、建築物33は、東側の側面ESと、西側の側面WSと、南側の側面SSと、北側の側面NSとを備えた中・高層ビルである。
【0075】
第一レール20は、例えば建築物33の屋上RTにおいて側面ES、側面NS、側面WS、側面SSに沿って環状に敷設されている。
【0076】
図10に示すように、第一レール20は、例えば直線部21と、カーブ部21Rと、直線部22と、カーブ部22Rと、直線部23と、カーブ部23Rと、直線部24とを有している。
【0077】
直線部21は、南側の側面SSに沿って延在する直線状の領域であり、本発明に係る第一部分の一例である。
【0078】
直線部22は、西側の側面WSに沿って延在する直線状の領域であり、本発明に係る第二部分の一例である。
【0079】
カーブ部21Rは、直線部21と直線部22とを連結するR形状の領域であり、本発明に係るR部分の一例である。
【0080】
また、直線部23は北側の側面NSに沿って延在する直線状の領域であり、直線部24は東側の側面ESに沿って延在する直線状の領域である。カーブ部23Rは、直線部23と直線部24とを連結するR形状の領域である。
【0081】
第一レール20には、例えば4台の支持台車23a,23b,23c,23dが移動可能に載置される。4台の支持台車23a,23b,23c,23dは、移動方向(第一レール20の長手方向)において互いに間隙を隔てた状態で第一レール20に載置されている。
【0082】
なお、以下では、説明の便宜上、支持台車23aを先頭車、支持台車23dを最後尾車として定義する。
【0083】
図8に示すように、支持台車23aの一部は、建築物33の側面SSから外側(南側)に突出している。同様に、支持台車23bの一部、支持台車23cの一部、支持台車23dの一部も、建築物33の側面SSから外側(南側)に突出している。
【0084】
図9に示すように、支持台車23aのうち建築物33の側面SSから外側に突出した部分には、南側の側面SS(図8参照)に沿って鉛直方向に延びる芯柱10の上端が接続されている。芯柱10には、複数の太陽光パネル13が鉛直方向に所定の間隔で配設されている。なお、複数の太陽光パネル13は、いずれも、上端側を軸として回動可能に構成されている(図9の破線参照)。
【0085】
なお、図示を省略するが、支持台車23b,23c,23dのうち建築物33の側面SSから外側に突出した部分も同様の構成になっている。
【0086】
また、図8に示すように、支持台車23a及び支持台車23bは、牽引用連結具24aによって連結されている。同様に、支持台車23b及び支持台車23cは牽引用連結具24bによって連結され、支持台車23c及び支持台車23dは牽引用連結具24cによって連結されている。
【0087】
図11に示すように、牽引用連結具24aは、例えば円柱部材25と、U字部材26と、連結プレート27と、回動軸28とを備えている。
【0088】
円柱部材25は、先頭車である支持台車23aの後端側において長手方向が鉛直方向と一致するように設けられている。
【0089】
U字部材26は、連結プレート27の前端に固定される部材である。支持台車23a及び支持台車23bの連結時において、U字部材26のU字内側には、円柱部材25が挿通される。
【0090】
連結プレート27は、支持台車23aの後端側と支持台車23bの前端側とを繋ぐ板状の部材である。
【0091】
回動軸28は、支持台車23bの前端に設けられ、連結プレート27を上下方向に回動させるための軸として機能する。
【0092】
図11に示す状態において、回動軸28を軸として連結プレート27を上方に持ち上げると、U字部材26を円柱部材25から取り外すことができる。これにより、支持台車23aと支持台車23bとの連結が解除される。
【0093】
なお、牽引用連結具24b,24cは、上記で説明した牽引用連結具24aと全く同じ構成である。よって、牽引用連結具24b,24cについては説明を省略する。
【0094】
牽引用連結具24a,24b,24cを用いることで、4台の支持台車23a~23dが連結した状態のままでカーブ部21R,22R,23Rを曲がることができる。
【0095】
再度図8を参照し、巻取り機29,30について説明する。巻取り機29,30は、本発明に係る台車駆動部の一例であり、4台の支持台車23a,23b,23c,23dを一体的に移動させるための装置である。
【0096】
巻取り機29は、ワイヤー31を巻き取る装置である。巻取り機29は、ワイヤー31を第一レール20に沿って反時計回りに送り出す一方、第一レール20に沿って時計周りに巻き取ることが可能である。なお、ワイヤー31の先端は、先頭車である支持台車23aの先端Pに接続されている。
【0097】
巻取り機30は、ワイヤー32を巻き取る装置である。巻取り機30は、ワイヤー32を第一レール20に沿って時計回りに送り出す一方、第一レール20に沿って反時計周りに巻き取ることが可能である。なお、ワイヤー32の先端は、最後尾車である支持台車23dの後端Qに接続されている。
【0098】
例えば、図8に示すように、4台の支持台車23a~23dが第一レール20の直線部21(図10)に位置する場合に、巻取り機29によるワイヤー31の巻取りを実行すると、4台の支持台車23a~23dが第一レール20上を時計回りに移動し始める。その際、巻取り機30は、ワイヤー32を時計周りに送り出す。
【0099】
そして、4台の支持台車23a~23dは、第一レール20のカーブ部21R(図10)を介して第一レール20の直線部22(図10)に移動し、図12に示す状態となる。図12に示すように、4台の支持台車23a~23dが直線部22(図10)に移動すると、4台の支持台車23a~23dに支持された4本の芯柱10(及びそれに固定された複数の太陽光パネル13)は、西側の側面WSに近接する位置に移動する。
【0100】
図12に示す状態において、巻取り機29によってワイヤー31がさらに巻き取られると、4台の支持台車23a~23dは、第一レール20のカーブ部22R(図10)を介して第一レール20の直線部23(図10)に移動し、図13に示す状態となる。
【0101】
4台の支持台車23a~23dが直線部23(図10)に移動すると、4台の支持台車23a~23dに支持された4本の芯柱10(及びそれに固定された複数の太陽光パネル13)が北側の側面NSに近接する位置に移動する。
【0102】
一方、図13に示すように、4台の支持台車23a~23dが第一レール20の直線部23(図10)に位置する場合に、巻取り機30によるワイヤー32の巻取りを実行すると、4台の支持台車23a~23dが第一レール20上を反時計回りに移動し始める。その際、巻取り機29は、ワイヤー31を反時計周りに送り出す。
【0103】
そして、4台の支持台車23a~23dは、第一レール20のカーブ部22R(図10)を介して第一レール20の直線部22(図10)に移動し、図12に示す状態となる。4台の支持台車23a~23dが直線部22(図10)に移動すると、4台の支持台車23a~23dに支持された4本の芯柱10(及びそれに固定された複数の太陽光パネル13)が西側の側面WSに近接する位置に移動する。
【0104】
図12に示す状態において、巻取り機30によってワイヤー32がさらに巻き取られると、4台の支持台車23a~23dは、第一レール20のカーブ部21R(図10)を介して第一レール20の直線部21(図10)に移動し、図8に示す状態となる。
【0105】
4台の支持台車23a~23dが直線部21(図10)に移動すると、4台の支持台車23a~23dに支持された4本の芯柱10(及びそれに固定された複数の太陽光パネル13)が南側の側面SSに近接する位置に移動する。
【0106】
なお、巻取り機29,30による巻取り又は送り出しは、太陽の動きに応じて制御するようにすればよい。例えば、複数の太陽光パネル13を西側の側面WSに配置した場合の発電量が複数の太陽光パネル13を南側の側面SSに配置した場合の発電よりも高くなるタイミング(時刻)を事前に特定する。そして、当該時刻に、4台の支持台車23a~23dが第一レール20の直線部21から直線部22に移動するように、巻取り機29,30を制御するようにすればよい。他の側面に移動させる場合も同様である。
【0107】
上述した第二実施形態によれば、複数の太陽光パネル13が固定された芯柱10が4台の支持台車23a~23dのうち建築物33の外側に突出した部分に支持されている。そして、4台の支持台車23a~23dが巻取り機29,30によって第一レール20上をその長手方向に移動する。
【0108】
その結果、4台の支持台車23a~23dに支持された4本の芯柱10を、建築物33の南側の側面SSに近接する位置と、西側の側面WSに近接する位置と、北側の側面NSに近接する位置と、東側の側面ESに近接する位置とのいずれかに移動させることが可能である。すなわち、太陽光パネル設置システム1Bによれば、複数の太陽光パネル13を、建築物33の南側の側面SSに近接する位置と、西側の側面WSに近接する位置と、北側の側面NSに近接する位置と、東側の側面ESに近接する位置とのいずれかに移動させることが可能である。
【0109】
また、上述した第二実施形態によれば、支持台車23a及び支持台車23bが牽引用連結具24aによって連結されている。同様に、支持台車23b及び支持台車23cは牽引用連結具24bによって連結され、支持台車23c及び支持台車23dは牽引用連結具24cによって連結されている。そのため、第一レール20上に複数(例えば4台)の支持台車23a~23dを移動可能に設置することができる。
【0110】
<2-2;第二実施形態の変形例について>
本発明に係る太陽光パネル設置システムは上述した第二実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0111】
例えば、上述した第二実施形態では、本発明に係る台車駆動部の一例として巻取り機29,30を例示したが、これに限定されない。例えば、先頭車の支持台車23a及び最後尾車の支持台車23dをバッテリー式のモーター自走車として構成してもよい。
【0112】
また、上述した第二実施形態では、本発明に係る太陽光パネル設置システム1Bを既存の中・高層共同住宅等の建築物33に後付けする場合を例に挙げて説明しているが、本発明に係る太陽光パネル設置システム1Bを設置するために建てられた鉄骨又は木造軸組み、あるいは鉄筋コンクリート造等による図示しない構造物に太陽光パネル設置システム1Bを設置して用いてもよい。
【0113】
さらに、例えば上述した第二実施形態では、図9に示すように、支持台車23aのうち建築物33の外側に突出した部分に芯柱10の上端が接続されている場合を例示したが、これに限定されない。
例えば、先の第一実施形態に係る太陽光パネル設置システム1Aのように、太陽光パネル13の支持構造が、ベース部材5と、連結ワイヤー7、芯柱10と、当該芯柱10に固定される従動ギア12と、当該従動ギア12を回動させるモーター15とを備えていてもよい。
【0114】
具体的には、例えば図14に示すような第二実施形態の変形例に係る太陽光パネル設置システム1B’は、建築物33の外側に突出するよう支持台車23aに必要に応じて筐体40を搭載し、この筐体40に支持プレート4を設け、当該支持プレート4に連結ワイヤー7の上端側が固定されるようにしてもよい。
この場合、芯柱10がベース部材5に載置され、芯柱10の内部に連結ワイヤー7を挿通した状態でベース部材5から支持プレート4に向かって延伸するようにしてもよい。すなわち、芯柱10が支持台車23a等に間接的に支持されるようにしてもよい。
【0115】
図14に示す第二実施形態の変形例に係る太陽光パネル設置システム1B’によれば、先の第一実施形態に係る太陽光パネル設置システム1Aと同様に、鉛直方向を軸として芯柱10をその周方向に回動させることができる。
この場合、太陽の動きに応じて芯柱10を回動させることで、太陽光パネル13による発電効率を向上させることができる。しかも、そのための芯柱10の回動機構をシンプルにできるので、変形例に係る太陽光パネル設置システム1B’の設置やメンテナンスに要するコストを節減できる。
【0116】
加えて、第二実施形態の変形例に係る太陽光パネル設置システム1B’では、図14に示すように、ベース部材5への連結ワイヤー7の固定を、連結ワイヤー7の下端に設けられるフック9と、ベース部材5側に設けられるフック係止部6により行ってもよい。
この場合は、ベース部材5への連結ワイヤー7の固定構造を簡素にできる。この結果、変形例に係る太陽光パネル設置システム1B’全体の構造を簡素にできるので、この点からもその設置やメンテナンスに要するコストを節減できる。
【0117】
さらに、第二実施形態の変形例に係る太陽光パネル設置システム1B’では、図14に示すように、芯柱10の下端側に第二レール34を設けておき、支持台車23a等が第一レール20を走行する際に、芯柱10の下端側を第二レール34に沿って移動させてもよい。
先の図9には記載されていないが、第二実施形態に係る太陽光パネル設置システム1Bでは、芯柱10の下端側は、支持構造を何ら有していない。つまり、先の太陽光パネル設置システム1Bでは、芯柱10は支持台車23aに単に吊下げられているだけである。
これに対して、図14に示すような変形例に係る太陽光パネル設置システム1B’では、芯柱10の下端側が第二レール34に沿って移動するので、芯柱10の下端側の安定性を向上させることができる。
これにより、変形例に係る太陽光パネル設置システム1B’の全体の安定性を向上させることができる。
【0118】
より具体的には、例えば図14に示すように、変形例に係る太陽光パネル設置システム1B’は、芯柱10を支持するベース部材5の下面側に第二レール34を走行する第二走行部36を備えていてもよい。
なお、図14では、断面凹状をなす第二レール34の溝部内に第二走行部36を収容する場合を例に挙げて説明しているが、第二走行部36は、図14に示される形態以外のものでもよい。
より具体的には、第二走行部36は、第二レール34を例えば長尺で中実な棒体(ただし、この棒体はカーブ部を備えている)とし、その左右側面上をローラ等からなる図示しない走行部が転動しながら移動するような構造を採用してもよい。
この場合は、第二レール34の長手方向への芯柱10の下端側の移動をスムーズにできる。
【0119】
加えて、第二実施形態の変形例に係る太陽光パネル設置システム1B’は、図14に示すように、支持台車23a等に第一レール20を走行する第一走行部35を備えていてもよい。
なお、図14では、断面凹状をなす第一レール20の溝部内に第一走行部35を収容する場合を例に挙げて説明しているが、第一走行部35の形態は、図14に示される形態以外のものでもよい。
より具体的には、第一走行部35は、第一レール20を例えば長尺で中実な棒体(ただし、この棒体はカーブ部を備えている)とし、その左右側面上をローラ等からなる図示しない走行部が転動しながら移動するような構造を採用してもよい。
この場合は、第一レール20の長手方向への支持台車23a等の移動をスムーズにすることができる。
【0120】
さらに、第二実施形態の変形例に係る太陽光パネル設置システム1B’において支持台車23a等が、特に上述のような第一走行部35を備える場合は、第一レール20を鋼製にするとともに、第一走行部35は電磁石37aを備えていてもよい。
この場合、電磁石37aを「ON」にすることで、第一レール20の所望の位置に、第一走行部35を備える支持台車23a等を固定しておくことができる。他方、電磁石37aを「OFF」にすることで、第一走行部35を備える支持台車23a等の、第一レール20上の移動が可能になる。
この場合、支持台車23a等が風等により、意図せず第一レール20上を移動してしまうのを防ぐことができる。
よって、上述のような変形例に係る太陽光パネル設置システム1B’によれば、支持台車23a等の位置を制御する際の精度を高めることができる。
【0121】
また、第二実施形態の変形例に係る太陽光パネル設置システム1B’において芯柱10の下端側が、特に上述のような第二走行部36を備える場合、第二レール34を鋼製にするとともに、第二走行部36は電磁石37bを備えていてもよい。
この場合、電磁石37bを「ON」にすることで、第二レール34の所望の位置に、芯柱10の下端側に設けられる第二走行部36を固定しておくことができる。他方、電磁石37bを「OFF」にすることで、芯柱10の下端側に設けられる第二走行部36の、第二レール34上の移動が可能になる。この場合、芯柱10が風等により揺動するのを防ぐことができる。
よって、上述のような変形例に係る太陽光パネル設置システム1B’によれば、支持台車23a等の移動に伴って芯柱10を移動させる際の、芯柱10の安定性及び、太陽光パネル設置システム1B’自体の安全性を向上させることができる。
【0122】
さらに、図14に示すように、第二実施形態の変形例に係る太陽光パネル設置システム1B’は、必要に応じて個々の太陽光パネル13を、回動軸38(水平軸)を介して芯柱10に固定してもよい。
この場合、芯柱10に固定される個々の太陽光パネル13を、回動軸38(水平軸)を基軸に回動させることができる。
上述のような太陽光パネル設置システム1B’によれば、建築物33や図示しない構造物の所望の側面に太陽光パネル13群をまとめて移動させることができ、かつ個々の太陽光パネル13の向きを芯柱10の周方向に変えることができ、さらに個々の太陽光パネル13の向きを、水平軸(例えば回動軸38)を基軸に変えることができる、という独自の効果を発揮させることができる。
つまり、上述のような変形例に係る太陽光パネル設置システム1B’によれば、少数の太陽光パネル13を用いて、より多くの電力を得ることができる。
【0123】
なお、図14では、基礎コンクリート2’上に支持構造39を立設し、この支持構造39の上端に第二レール34を設ける場合を例に挙げて説明しているが、基礎コンクリート2’に第二レール34を埋設又は載置してもよい(図示せず)。
この場合も、第二レール34を支持構造39で支持する場合と同様の作用・効果を発揮させることができる。
【0124】
<2-3;第二実施形態の発明の構成について>
上述のような第二実施形態に係る太陽光パネル設置システム1B,1B’は、以下に[6]乃至[18]として示すそれぞれの発明として特定することができる。
【0125】
[6] 建築物33の屋上又は構造物上に敷設された第一レール20と、この第一レール20上を移動可能に設けられ、第一レール20に載置された状態において建築物33又は構造物の外側に一部が突出する支持台車(例えば支持台車23a等)と、この支持台車(例えば支持台車23a等)のうち建築物33又は構造物の外側に突出した部分に直接又は間接的に支持され、建築物33又は構造物の側面に沿って鉛直方向に延びる芯柱10と、この芯柱10に固定される複数の太陽光パネル13と、第一レール20の長手方向における第一向き又は第一向きとは反対の第二向きに支持台車(例えば支持台車23a等)を移動させる台車駆動部と、を備えることを特徴とする太陽光パネル設置システム1B,1B’。
【0126】
[7] 上記[6]の太陽光パネル設置システム1B,1B’において、建築物33又は構造物は、第一側面と第二側面とを含み、第一レール20は、第一側面に沿って延在する直線状の第一部分(例えば直線部21等)と、第二側面に沿って延在する直線状の第二部分(例えば直線部22等)と、第一部分と第二部分とを連結するR形状のR部分(例えばカーブ部21R等)とを含み、台車駆動部は、支持台車(例えば支持台車23a等)が第一部分(例えば直線部21等)に位置する場合にはR部分(例えばカーブ部21R等)を介して支持台車(例えば支持台車23a等)を第一部分(例えば直線部21等)から第二部分(例えば直線部22等)に移動させ、支持台車(例えば支持台車23a等)が第二部分(例えば直線部22等)に位置する場合にはR部分(例えばカーブ部21R等)を介して支持台車(例えば支持台車23a等)を第二部分(例えば直線部22等)から第一部分(例えば直線部21等)に移動させる、ことを特徴とする。
【0127】
[8] 上記[7]の太陽光パネル設置システム1B,1B’において、台車駆動部は、支持台車(例えば支持台車23a等)が第一部分(例えば直線部21等)に位置する場合において、所定時刻になったことに応答して支持台車(例えば支持台車23a等)を第一部分(例えば直線部21等)から第二部分(例えば直線部22等)に移動させる、ことを特徴とする。
【0128】
[9] 上記[6]の太陽光パネル設置システム1B,1B’において、台車駆動部は、支持台車(例えば支持台車23a等)を第一向きに移動させる第一巻取り機29と、支持台車(例えば支持台車23a等)を第二向きに移動させる第二巻取り機30とを含み、第一巻取り機29は、支持台車(例えば支持台車23a等)のうち移動方向の一端側に接続される第一ワイヤー31を巻き取って支持台車(例えば支持台車23a等)を第一向きに移動させ、第二巻取り機30は、支持台車(例えば支持台車23a等)のうち移動方向の他端側に接続される第二ワイヤー32を巻き取って支持台車(例えば支持台車23a等)を第二向きに移動させる、ことを特徴とする。
【0129】
[10] 上記[7]の太陽光パネル設置システム1B,1B’において、支持台車(例えば支持台車23a等)の移動方向においてこの支持台車(例えば支持台車23a等)と間隙を隔てて第一レール20上を移動可能に設けられる他の支持台車(例えば支持台車23b等)を含み、支持台車(例えば支持台車23a等)と他の支持台車(例えば支持台車23b等)とは牽引用連結具(例えば牽引用連結具24a等)によって連結され、他の支持台車(例えば支持台車23b等)は、第一レール20に載置された状態において建築物33又は構造物の外側に一部が突出し、他の支持台車のうち建築物33又は構造物の外側に突出した部分には、建築物33又は構造物の側面に沿って鉛直方向に延びる他の芯柱10が直接又は間接的に支持され、他の芯柱10には、複数の太陽光パネル13が固定され、台車駆動部は、支持台車(例えば支持台車23a等)及び他の支持台車(例えば支持台車23b等)が第一部分(例えば直線部21等)に位置する場合にはR部分(例えばカーブ部21R等)を介して支持台車(例えば支持台車23a等)及び他の支持台車(例えば支持台車23b等)を第一部分(例えば直線部21等)から第二部分(例えば直線部22等)に移動させ、支持台車(例えば支持台車23a等)及び他の支持台車(例えば支持台車23b等)が第二部分(例えば直線部22等に位置する場合にはR部分(例えばカーブ部21R等)を介して支持台車(例えば支持台車23a等)及び他の支持台車(例えば支持台車23b等)を第二部分(例えば直線部22等)から第一部分(例えば直線部21等)に移動させる、ことを特徴とする。
【0130】
[11] 上記[6]乃至[10]のいずれかの太陽光パネル設置システム1B,1B’において、芯柱10に直接又は間接的に固定されるギア(例えば従動ギア12)と、支持台車(例えば支持台車23a等)に搭載され、ギア(例えば従動ギア12)を回動させることによって芯柱10をその周方向に回動させる駆動装置と、を備える、ことを特徴とする。
【0131】
[12] 上記[11]の太陽光パネル設置システム1B’において、駆動装置はギア(例えば従動ギア12)に噛み合う駆動ギア16と、この駆動ギア16を回転させるモーター15とを含み、ギア(例えば従動ギア12)は、駆動ギア16の回転に追従して回転する、ことを特徴とする。
【0132】
[13] 上記[6]乃至[12]のいずれかの太陽光パネル設置システム1B’において、芯柱10の下端側に配されるベース部材5と、筒状をなす芯柱10の中空部内に挿通されるとともに、支持台車(例えば支持台車23a等)のうち建築物33又は構造物の外側に突出した部分とベース部材5とをつなぐ連結ワイヤー7と、この連結ワイヤー7の下端に設けられるフック9と、ベース部材5に設けられるフック係止部6と、を備え、フック9をフック係止部6に掛止することによって、連結ワイヤー7の下端がベース部材5に接続される、ことを特徴とする。
【0133】
[14] 上記[11]乃至[13]のいずれかの太陽光パネル設置システム1B’において、芯柱10は、その上端に固設されるプレート(例えば蓋板11)を備え、ギア(例えば従動ギア12)は、プレート(例えば蓋板11)を介して芯柱10に固定されている、ことを特徴とする。
【0134】
[15] 上記[6]乃至[14]のいずれかの太陽光パネル設置システム1B’において、第一レール20は鋼製であり、支持台車(例えば支持台車23a等)は第一レール20を走行する第一走行部35を備え、この第一走行部35は電磁石37aを備えている、ことを特徴とする。
【0135】
[16] 上記[6]乃至[15]のいずれかの太陽光パネル設置システム1B’において、芯柱10の下端側に設けられる第二レール34を備え、支持台車(例えば支持台車23a等)の移動に伴い、芯柱10の下端側が第二レール34に沿って移動する、ことを特徴とする。
【0136】
[17] 上記[16]の太陽光パネル設置システム1B’において、第二レール34は、鋼製であり、芯柱10の下端側は、第二レール34を走行する第二走行部36を備え、この第二走行部36は、電磁石37bを備えている、ことを特徴とする。
【0137】
[18] 上記[6]乃至[17]の太陽光パネル設置システム1B’において、個々の太陽光パネル13は、芯柱10に水平軸(例えば回動軸38)を基軸に回動可能に取設されている、ことを特徴とする。
【0138】
<2-4;発明[6]乃至発明[18]のそれぞれの効果について>
上述の発明[6]によれば、建築物33や図示しない構造物における所望の側面に、芯柱10に固定された状態の複数の太陽光パネル13を移動させることができる。つまり、発明[6]では、太陽光発電を行おうとする建築物33や図示しない構造物の側面の全てに太陽光パネル13を設ける代わりに、必要最小限度の数の太陽光パネル13を移動させて使い回すことができる。この結果、発明[6]によれば、目的とする発電量を得るために必要な太陽光パネル13の数を少なくすることができる。
よって、発明[6]によれば、上述の発明[1]乃至発明[5]のそれぞれと比較して、太陽光発電を行う際の設備投資に必要なコストを削減することができる。
【0139】
上述の発明[7]によれば、上記発明[6]による効果と同じ効果に加えて、支持台車(例えば支持台車23a等)の移動を、つまり芯柱10に固定された複数の太陽光パネル13の移動を、スムーズに行うことができる。
よって、発明[7]によれば、支持台車(例えば支持台車23a等)の操作性を良好にできる。
【0140】
上述の発明[8]によれば、上記発明[7]による効果と同じ効果に加えて、太陽の高度に対応させながら、発電に適した建築物33又は図示しない構造物、の側面に太陽光パネル13を移動させることができる。この結果、発明[8]による発電効率を向上させることができる。
【0141】
上述の発明[9]によれば、上記発明[6]による効果と同じ効果に加えて、台車駆動部の構造を簡素にすることができる。この場合、発明[9]の設置に要するコストを一層削減できる。
【0142】
上述の発明[10]によれば、上記発明[7]による効果と同じ効果に加えて、多数の太陽光パネル13をまとめて移動させる際の駆動機構を簡素にできる。
この場合、発明[10]の設置に要するコストを削減できるとともに、そのメンテナンスに要するコストも削減できる。
【0143】
上述の発明[11]によれば、上記発明[6]乃至発明[10]のそれぞれによる効果と同じ効果に加えて、上記発明[1]による効果を併せて発揮させることができる。この場合、複数の太陽光パネル13を建築物33又は構造物における所望の側面に移動させることができる上、個々の太陽光パネル13の向きを、鉛直方向軸を基軸にして芯柱10の周方向に変えることもできる。よって、発明[11]によれば、個々の太陽光パネル13の向きを発電に適した向きに保つことが容易になるため、太陽光パネル13における発電効率を向上させることができる。
【0144】
上述の発明[12]は、発明[11]の構成を具体的に特定したものであり、その効果は発明[11]による効果と同じである。
また、発明[12]によれば、駆動装置の構造を簡素にできるので、太陽光パネル設置システム1B’の設置に要するコスト、およびそのメンテナンスに要するコストを削減できる。
【0145】
上述の発明[13]は、上記発明[6]乃至発明[12]のそれぞれによる効果と同じ効果に加えて、芯柱10の駆動機構を簡素にしつつ、芯柱10及びその駆動機構を軽量化することができる。
よって、発明[13]によれば、太陽光パネル設置システム1B’の大型化及び重量化を抑制できる。この結果、発明[13]の設置に要するコストを節減できる。
【0146】
上述の発明[14]は、上記発明[6]乃至発明[13]のそれぞれによる効果と同じ効果に加えて、芯柱10の回動機構の強度及び耐久性を向上させることができる。
この結果、発明[14]によれば、ギア(例えば従動ギア12)と芯柱10の間にプレート(例えば蓋板11)を備えない場合に比べて、太陽光パネル設置システム1B’全体の強度及び耐久性を向上させることができる。
【0147】
上述の発明[15]は、上記発明[6]乃至発明[14]のそれぞれによる効果と同じ効果に加えて、停止中の支持台車(例えば支持台車23a等)が風等によって意図せず移動してしまうのを防ぐことができる。
よって、発明[15]によれば、支持台車(例えば支持台車23a等)の位置制御を行う際の精度を高めつつ、発明[15]の使用時の安全性を向上させることができる。
【0148】
上述の発明[16]は、上記発明[6]乃至発明[15]のそれぞれによる効果と同じ効果に加えて、芯柱10の下端側の安定性を向上させることができる。
この場合、発明[16]の使用時に、風等によって芯柱10が揺動するのを防ぐことができる。この結果、発明[16]が第二レール34を備えない場合に比べて、太陽光パネル設置システムの使用時の安全性及び耐久性を向上させることができる。
【0149】
上述の発明[17]は、上記発明[16]による効果と同じ効果に加えて、支持台車(例えば支持台車23a等)の停止中に、芯柱10の位置制御を行う際の精度を高めることができる。
この場合、当初目的とした位置に芯柱10を高い精度で配置することができるので、太陽光パネル13における発電効率を向上させることができる。
【0150】
上述の発明[18]は、上記発明[6]乃至発明[16]のそれぞれによる効果と同じ効果に加えて、芯柱10に固定される個々の太陽光パネル13を、水平軸(例えば回動軸38)を基軸に回動させることができる。この場合、発明[18]の太陽光パネル13の向きが、発電に適した向きになるよう高い精度で微調整することができる。よって、発明[18]によれば、太陽光パネル13を、水平軸(例えば回動軸38)を基軸に回動させることができない場合に比べて、太陽光パネル13による発電効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0151】
1A,1B,1B’…太陽光パネル設置システム
2,2’…基礎コンクリート
3…梁部材
4…支持プレート
5…ベース部材
6…フック係止部
7…連結ワイヤー
8…ワイヤー支持リング
9…フック
10…芯柱
11…蓋板
12…従動ギア
13…太陽光パネル
14…支持フレーム
15…モーター
16…駆動ギア
17…建築物
20…第一レール
21,22,23,24…直線部
21R,22R,23R…カーブ部
23a,23b,23c,23d…支持台車
24a,24b,24c…牽引用連結具
25…円柱部材
26…U字部材
27…連結プレート
28…回動軸
29,30…巻取り機
31,32…ワイヤー
33…建築物
34…第二レール
35…第一走行部
36…第二走行部
37a,37b…電磁石
38…回動軸
39…支持構造
40…筐体
P…先端
Q…後端
ES…東側の側面
NS…北側の側面
RT…屋上
SS…南側の側面
WS…西側の側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14