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特許7433700温度管理インジケーター及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】温度管理インジケーター及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 11/12 20210101AFI20240213BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20240213BHJP
   G01K 11/16 20210101ALI20240213BHJP
【FI】
G01K11/12 A
G09F3/02 U
G01K11/16
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019198027
(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公開番号】P2020071232
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2018204570
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】原田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】三田 真之
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-170664(JP,A)
【文献】特開2006-137886(JP,A)
【文献】特開2002-012787(JP,A)
【文献】特開2007-101469(JP,A)
【文献】特開2008-186127(JP,A)
【文献】特開平11-264772(JP,A)
【文献】特開2014-055842(JP,A)
【文献】特開平07-286914(JP,A)
【文献】国際公開第2017/203851(WO,A1)
【文献】特開2003-025507(JP,A)
【文献】特開2014-235395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 11/12
G09F 3/02
G01K 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可逆熱変色性材料を備えた透明性を有する第一の可逆熱変色体と、可逆熱変色性材料を備えた第二の可逆熱変色体とから構成される温度管理インジケーターであって、前記可逆熱変色性材料は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、又は、前記可逆熱変色性組成物を熱可塑性又は熱硬化性樹脂中に分散した可逆熱変色性樹脂粒子であり、色濃度-温度曲線に関してヒステリシス特性を示して発色状態と消色状態の互変性を呈し、発色状態から温度が上昇する過程では、消色開始温度tに達すると消色し始め、温度tより高い完全消色温度t以上の温度域で完全に消色状態となり、消色状態から温度が下降する過程では、発色開始温度tに達すると発色し始め、温度tより低い完全発色温度t以下の温度域で完全に発色状態となるヒステリシス特性を示し、色濃度-温度曲線に関して、5~30℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色し、前記可逆熱変色体の一方の可逆熱変色性材料が発色状態、他方の可逆熱変色性材料が消色状態であり、前記第一の可逆熱変色体が、透明性を有する支持体上に可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けてなる可逆熱変色体であり、且つ、前記第二の可逆熱変色体が、支持体上に可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けてなる可逆熱変色体であり、前記第二の可逆熱変色体上に前記第一の可逆熱変色体が積層されることを特徴とする温度管理インジケーター。
【請求項2】
前記第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料の(イ)電子供与性呈色性有機化合物が互いに異なる請求項1記載の温度管理インジケーター。
【請求項3】
前記第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料は、発色状態で互いに異なる色を呈する請求項2記載の温度管理インジケーター。
【請求項4】
前記第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料の(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体が互いに異なる請求項1乃至3のいずれか一項に記載の温度管理インジケーター。
【請求項5】
前記第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料は、一方の可逆熱変色性材料の完全発色温度t他方の可逆熱変色性材料の完全発色温度t、及び、一方の可逆熱変色性材料の発色開始温度t他方の可逆熱変色性材料の発色開始温度tがそれぞれ略同一であり、且つ、一方の可逆熱変色性材料の消色開始温度t他方の可逆熱変色性材料の消色開始温度tが略同一であり、一方の可逆熱変色性材料の完全消色温度t他方の可逆熱変色性材料の完全消色温度tより小さい請求項2乃至4のいずれか一項に記載の温度管理インジケーター。
【請求項6】
前記第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料は、一方の可逆熱変色性材料の完全発色温度t他方の可逆熱変色性材料の完全発色温度t、及び、一方の可逆熱変色性材料の発色開始温度t他方の可逆熱変色性材料の発色開始温度tがそれぞれ略同一であり、且つ、一方の可逆熱変色性材料の消色開始温度t他方の可逆熱変色性材料の消色開始温度tより小さく、又は、他方の可逆熱変色性材料の消色開始温度tより大きく、一方の可逆熱変色性材料の完全消色温度t他方の可逆熱変色性材料の完全消色温度tより小さい請求項2乃至4のいずれか一項に記載の温度管理インジケーター。
【請求項7】
前記第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料は、一方の可逆熱変色性材料の消色開始温度t他方の可逆熱変色性材料の消色開始温度t、及び、一方の可逆熱変色性材料の完全消色温度t他方の可逆熱変色性材料の完全消色温度tがそれぞれ略同一であり、且つ、一方の可逆熱変色性材料の完全発色温度t他方の可逆熱変色性材料の完全発色温度tより小さく、一方の可逆熱変色性材料の発色開始温度t他方の可逆熱変色性材料の発色開始温度tが略同一である請求項2乃至4のいずれか一項に記載の温度管理インジケーター。
【請求項8】
前記第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料は、一方の可逆熱変色性材料の消色開始温度t他方の可逆熱変色性材料の消色開始温度t、及び、一方の可逆熱変色性材料の完全消色温度t他方の可逆熱変色性材料の完全消色温度tがそれぞれ略同一であり、且つ、一方の可逆熱変色性材料の完全発色温度t他方の可逆熱変色性材料の完全発色温度tより小さく、一方の可逆熱変色性材料の発色開始温度t他方の可逆熱変色性材料の発色開始温度tより小さい、又は、他方の可逆熱変色性材料の発色開始温度tより大きい請求項2乃至4のいずれか一項に記載の温度管理インジケーター。
【請求項9】
前記第二の可逆熱変色体の支持体と可逆熱変色層の間に、非熱変色性着色剤を含む非熱変色層を設けてなる請求項1乃至8のいずれか一項に記載の温度管理インジケーター。
【請求項10】
前記第一の可逆熱変色体の、前記第二の可逆熱変色体と接触する面に第一の粘着層を設けてなる請求項1乃至9のいずれか一項に記載の温度管理インジケーター。
【請求項11】
前記第二の可逆熱変色体の、前記第一の可逆熱変色体が設けられる反対側の面に第二の粘着層を設けてなる請求項1乃至10のいずれか一項に記載の温度管理インジケーター。
【請求項12】
前記第一の可逆熱変色体の支持体が、被着体に貼着後剥がすと、剥がしたことが判別できる、粘着層を設けた透明性を有する改ざん防止用部材である請求項1乃至11のいずれか一項に記載の温度管理インジケーター。
【請求項13】
前記第二の可逆熱変色体の支持体が、被着体に貼着後剥がすと、剥がしたことが判別できる、粘着層を設けた改ざん防止用部材である請求項1乃至11のいずれか一項に記載の温度管理インジケーター。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の温度管理インジケーターを、温度管理を必要とする物品又はその保存容器に設けて使用することを特徴とする温度管理インジケーターの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温度管理インジケーター及びその使用方法に関する。更に詳細には、適正温度範囲内で保存されることを必要とする物品等の温度管理を、可逆熱変色性材料の色変化によって行うことのできる温度管理インジケーター及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温度変化によってヒステリシス特性を示す色彩記憶性感温色素を含む色材により感温表示層を形成した、感温表示インジケーターが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記感温表示インジケーターは、前記色彩記憶性感温色素の実質的低温側変色点と実質的高温側変色点の差が10℃~50℃であり、物品の適正保持温度域内で前記色彩記憶性感温色素が呈色した状態で保持され、適正保持温度域より温度が上がりすぎると前記色彩記憶性感温色素が消色して適正保持温度域に戻っても消色状態が保持される。または、適正保持温度域内で前記色彩記憶性感温色素が消色した状態で保持され、適正保持温度域より温度が下がりすぎると前記色彩記憶性感温色素が呈色して適正保持温度域に戻っても呈色状態が保持される。前記感温表示インジケーターが適正保持温度域外の温度環境下に置かれると、最初に記憶保持していた色彩とは異なる色彩を記憶保持することにより、物品が適正保持温度域を逸脱したか否かを検知できるものであるが、物品が適正保持温度域を逸脱して変色した場合でも再び変色前の色に戻すことが可能であり、一度も適正保持温度域を逸脱することなく保持されていたかどうかを確認することは困難であった。
また、温度上昇又は低下によって可逆熱変色層が色変化することにより偽造を判別可能な、偽造防止媒体が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
前記偽造防止媒体は、一方が有色状態、他方が無色状態であり、大きなヒステリシス特性を示す各感温変色性記憶性組成物を含有する可逆熱変色層を備えてなり、温度上昇又は低下すると、前記各感温変色性記憶性組成物が共に無色状態又は有色状態となり、一方の感温変色性記憶性組成物が有色である変色前の状態に戻すことができ難く、所定の温度範囲を逸脱したか否かを確実に確認できる温度インジケーターとしての機能を有するものの、適正温度範囲が狭い物品では、感温変色性記憶性組成物が択一的に色彩を記憶保持することができ難く、温度上昇又は低下を試みたかどうかを不可逆的に確認することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平6-46335号公報
【文献】特開2017-170664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、適正温度範囲が狭い飲食物、薬剤、生花等の物品等が、流通時及び保存時において、一度も適正温度範囲を逸脱することなく保持されていたか否かを、可逆熱変色性材料の色変化によって不可逆的に判別可能な温度管理インジケーター及びその使用方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、可逆熱変色性材料を備えた透明性を有する第一の可逆熱変色体と、可逆熱変色性材料を備えた第二の可逆熱変色体とから構成される温度管理インジケーターであって、前記可逆熱変色性材料は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、又は、前記可逆熱変色性組成物を熱可塑性又は熱硬化性樹脂中に分散した可逆熱変色性樹脂粒子であり、色濃度-温度曲線に関してヒステリシス特性を示して発色状態と消色状態の互変性を呈し、発色状態から温度が上昇する過程では、消色開始温度tに達すると消色し始め、温度tより高い完全消色温度t以上の温度域で完全に消色状態となり、消色状態から温度が下降する過程では、発色開始温度tに達すると発色し始め、温度tより低い完全発色温度t以下の温度域で完全に発色状態となるヒステリシス特性を示し、色濃度-温度曲線に関して、5~30℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色し、前記可逆熱変色体の一方の可逆熱変色性材料が発色状態、他方の可逆熱変色性材料が消色状態であり、前記第一の可逆熱変色体が、透明性を有する支持体上に可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けてなる可逆熱変色体であり、且つ、前記第二の可逆熱変色体が、支持体上に可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けてなる可逆熱変色体であり、前記第二の可逆熱変色体上に前記第一の可逆熱変色体が積層されることを要件とする。
さらには、前記第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料の(イ)電子供与性呈色性有機化合物が互いに異なること、前記第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料は、発色状態で互いに異なる色を呈すること、前記第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料の(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体が互いに異なること、前記第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料は、一方の可逆熱変色性材料の完全発色温度t他方の可逆熱変色性材料の完全発色温度t、及び、一方の可逆熱変色性材料の発色開始温度t他方の可逆熱変色性材料の発色開始温度tがそれぞれ略同一であり、且つ、一方の可逆熱変色性材料の消色開始温度t他方の可逆熱変色性材料の消色開始温度tが略同一であり、一方の可逆熱変色性材料の完全消色温度t他方の可逆熱変色性材料の完全消色温度tより小さいこと、前記第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料は、一方の可逆熱変色性材料の完全発色温度t他方の可逆熱変色性材料の完全発色温度t、及び、一方の可逆熱変色性材料の発色開始温度t他方の可逆熱変色性材料の発色開始温度tがそれぞれ略同一であり、且つ、一方の可逆熱変色性材料の消色開始温度t他方の可逆熱変色性材料の消色開始温度tより小さく、又は、他方の可逆熱変色性材料の消色開始温度tより大きく、一方の可逆熱変色性材料の完全消色温度t他方の可逆熱変色性材料の完全消色温度tより小さいこと、前記第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料は、一方の可逆熱変色性材料の消色開始温度t他方の可逆熱変色性材料の消色開始温度t、及び、一方の可逆熱変色性材料の完全消色温度t他方の可逆熱変色性材料の完全消色温度tがそれぞれ略同一であり、且つ、一方の可逆熱変色性材料の完全発色温度t他方の可逆熱変色性材料の完全発色温度tより小さく、一方の可逆熱変色性材料の発色開始温度t他方の可逆熱変色性材料の発色開始温度tが略同一であること、前記第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料は、一方の可逆熱変色性材料の消色開始温度t他方の可逆熱変色性材料の消色開始温度t、及び、一方の可逆熱変色性材料の完全消色温度t他方の可逆熱変色性材料の完全消色温度tがそれぞれ略同一であり、且つ、一方の可逆熱変色性材料の完全発色温度t他方の可逆熱変色性材料の完全発色温度tより小さく、一方の可逆熱変色性材料の発色開始温度t他方の可逆熱変色性材料の発色開始温度tより小さい、又は、他方の可逆熱変色性材料の発色開始温度tより大きいことを要件とする。
さらには、前記第二の可逆熱変色体の支持体と可逆熱変色層の間に、非熱変色性着色剤を含む非熱変色層を設けてなること、前記第一の可逆熱変色体の、前記第二の可逆熱変色体と接触する面に第一の粘着層を設けてなること、前記第二の可逆熱変色体の、前記第一の可逆熱変色体が設けられる反対側の面に第二の粘着層を設けてなること、前記第一の可逆熱変色体の支持体が、被着体に貼着後剥がすと、剥がしたことが判別できる、粘着層を設けた透明性を有する改ざん防止用部材であること、前記第二の可逆熱変色体の支持体が、被着体に貼着後剥がすと、剥がしたことが判別できる、粘着層を設けた改ざん防止用部材であることを要件とする。
さらには、前記温度管理インジケーターを、温度管理を必要とする物品又はその保存容器に設けて使用する温度管理インジケーターの使用方法を要件とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、適正温度範囲が狭い飲食物、薬剤、生花等の物品等が、流通時及び保存時において、一度も適正温度範囲を逸脱することなく保持されていたか否かを可逆熱変色性材料の色変化によって判別可能であり、一度適正温度範囲を逸脱すると元の色に戻すことが困難な不可逆性を有する温度管理インジケーター及びその使用方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に適用する可逆熱変色性材料の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
図2】本発明に適用する発色状態及び消色状態の各可逆熱変色性材料の色濃度-温度曲線における、温度管理インジケーターの色変化挙動の一例を説明するグラフである。
図3】本発明に適用する発色状態及び消色状態の各可逆熱変色性材料の色濃度-温度曲線における、温度管理インジケーターの色変化挙動の他の例を説明するグラフである。
図4】本発明に適用する発色状態及び消色状態の各可逆熱変色性材料の色濃度-温度曲線における、温度管理インジケーターの色変化挙動の他の例を説明するグラフである。
図5】本発明に適用する発色状態及び消色状態の各可逆熱変色性材料の色濃度-温度曲線における、温度管理インジケーターの色変化挙動の他の例を説明するグラフである。
図6】本発明に適用する発色状態及び消色状態の各可逆熱変色性材料の色濃度-温度曲線における、温度管理インジケーターの色変化挙動の他の例を説明するグラフである。
図7】本発明に適用する発色状態及び消色状態の各可逆熱変色性材料の色濃度-温度曲線における、温度管理インジケーターの色変化挙動の他の例を説明するグラフである。
図8】本発明の温度管理インジケーターの一例の縦断面説明図である。
図9】本発明の第一の可逆熱変色体の一例の縦断面説明図である。
図10】本発明の第二の可逆熱変色体の一例の縦断面説明図である。
図11】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
図12】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
図13】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
図14】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
図15】本発明の第二の可逆熱変色体の他の例の縦断面説明図である。
図16】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
図17】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
図18】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
図19】本発明の温度管理インジケーターの他の例の縦断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に適用される可逆熱変色性材料としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)(イ)成分及び(ロ)成分の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、又は、可逆熱変色性組成物を、熱可塑性又は熱硬化性樹脂中に分散した可逆熱変色性樹脂粒子等が挙げられる。
可逆熱変色性組成物としては、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、比較的小さいヒステリシス特性を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を使用することができる。
【0009】
また、特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、特開平8-39936号公報、特開2005-1369号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示し、温度変化による発色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、低温域での発色状態、又は、高温域での消色状態を特定温度域で保持できる色彩記憶性を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を使用することができる(図1参照)。
【0010】
可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性について説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色温度tにおける濃度を示す点であり、Bは消色開始温度tにおける濃度を示す点であり、Cは発色開始温度tにおける濃度を示す点であり、Dは完全発色温度tにおける濃度を示す点である。
変色温度域はtとt間の温度域であり、発色状態と消色状態のいずれかの状態を呈することができ、色濃度の差の大きい領域であるtとtの間の温度域が実質変色温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
可逆熱変色性組成物は、実質変色温度域(tとtの間)全域で発色状態と消色状態のいずれかの状態を択一的に保持することができる。
【0011】
本発明の温度管理インジケーターは、可逆熱変色性組成物のΔH値を、5~30℃、好ましくは7~25℃、より好ましくは10~20℃の範囲に特定することにより、適正温度範囲が狭い物品又はその保存容器の温度管理に有効に機能させることができる。ΔH値が5℃未満では、可逆熱変色性組成物は発色状態と消色状態のいずれかの状態を択一的に保持し難く、温度管理インジケーターは容易に変色し易い。一方、ΔH値が30℃を超えると、物品又はその保存容器周辺の温度環境が変化しても、温度管理インジケーターが変色し難くなり、物品又はその保存容器の適切な温度管理が難しくなる。
【0012】
以下に前記(イ)、(ロ)、(ハ)の各成分について具体的に化合物を例示する。
本発明の(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物は、色を決める成分であって、顕色剤である(ロ)成分に電子を供与し、発色する化合物である。
電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、ビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらのうちフタリド化合物及びフルオラン化合物が好ましい。
前記フタリド化合物としては、例えば、ジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、及びそれらの誘導体等が挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物、及びその誘導体が好ましい。
また、フルオラン化合物としては、例えば、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、及びそれらの誘導体等が挙げられる。
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアミノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジペンチルアミノフルオラン、
2-ジベンジルアミノ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-N-メチルアニリノ-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
2-ジエチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ブチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ペンチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジメチルアミノ-2-メトキシフェニル)-3-(1-ブチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-ペンチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3′,6′-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2′-エチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2′,4′-ジエチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4′-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシキナゾリン、
4,4′-エチレンジオキシ-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
等を挙げることができる。
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する化合物の他、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基などのアルキル基、塩素原子などのハロゲン原子)を有する青色や黒色を呈する化合物であってもよい。
【0013】
(ロ)成分、即ち電子受容性化合物は、(イ)成分から電子を受け取り、(イ)成分の顕色剤として機能する化合物である。
電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群及びその誘導体、偽酸性化合物群〔酸ではないが、組成物中で酸として作用して(イ)成分を発色させる化合物群〕、電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物があり、これらの中でも活性プロトンを有する化合物群から選択される化合物が好ましい。
活性プロトンを有する化合物及びその誘導体としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物及びその金属塩、カルボン酸及びその金属塩、好ましくは、芳香族カルボン酸、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸及びそれらの金属塩、酸性リン酸エステル及びその金属塩、ならびにアゾ-ル系化合物及びその誘導体、1,2,3-トリアゾール及びその誘導体等が挙げられ、これらの中でも、有効な熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。
フェノール性水酸基を有する化合物はモノフェノール化合物からポリフェノール化合物まで広く含まれ、さらにビス型、トリス型フェノール等及びフェノール-アルデヒド縮合樹脂等もこれに含まれる。フェノール性水酸基を有する化合物の中でも、少なくともベンゼン環を2以上有するものが好ましい。また、これら化合物は置換基を有していてもよく、置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン原子等が挙げられる。
活性プロトンを有する化合物の金属塩が含む金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、及びモリブデン等が挙げられる。
【0014】
以下にこれらの化合物を例示する。
フェノール、o-クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n-オクチルフェノール、n-ドデシルフェノール、n-ステアリルフェノール、p-クロロフェノール、p-ブロモフェノール、o-フェニルフェノール、p-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、p-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、4,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン等が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2~5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1,2,3-トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0015】
(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
【0016】
さらに、色濃度-温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して変色し、温度変化に依存して色彩記憶性を与えるためには、特公平4-17154号公報に記載された5℃以上50℃未満のΔT値(融点-曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が挙げられる。
【0017】
炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n-ペンチルアルコール又はn-ヘプチルアルコールと炭素数10~16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17~23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデルシ、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等が挙げられる。
【0018】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、2-ウンデカノン、3-ウンデカノン、4-ウンデカノン、5-ウンデカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-ドデカノン、5-ドデカノン、2-トリデカノン、3-トリデカノン、2-テトラデカノン、2-ペンタデカノン、8-ペンタデカノン、2-ヘキサデカノン、3-ヘキサデカノン、9-ヘプタデカノン、2-ペンタデカノン、2-オクタデカノン、2-ノナデカノン、10-ノナデカノン、2-エイコサノン、11-エイコサノン、2-ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等が挙げられる。
さらには、総炭素数が12~24のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
【0019】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0020】
酸アミド類としては、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N-メチルアミド、カプリル酸N-メチルアミド、カプリン酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-メチルアミド、ミリスチン酸N-メチルアミド、パルミチン酸N-メチルアミド、ステアリン酸N-メチルアミド、ベヘニン酸N-メチルアミド、オレイン酸N-メチルアミド、エルカ酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-エチルアミド、ミリスチン酸N-エチルアミド、パルミチン酸N-エチルアミド、ステアリン酸N-エチルアミド、オレイン酸N-エチルアミド、ラウリン酸N-ブチルアミド、ミリスチン酸N-ブチルアミド、パルミチン酸N-ブチルアミド、ステアリン酸N-ブチルアミド、オレイン酸N-ブチルアミド、ラウリン酸N-オクチルアミド、ミリスチン酸N-オクチルアミド、パルミチン酸N-オクチルアミド、ステアリン酸N-オクチルアミド、オレイン酸N-オクチルアミド、ラウリン酸N-ドデシルアミド、ミリスチン酸N-ドデシルアミド、パルミチン酸N-ドデシルアミド、ステアリン酸N-ドデシルアミド、オレイン酸N-ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N-メチルアミド、アジピン酸N-メチルアミド、グルタル酸N-メチルアミド、マロン酸N-メチルアミド、アゼライン酸N-メチルアミド、コハク酸N-エチルアミド、アジピン酸N-エチルアミド、グルタル酸N-エチルアミド、マロン酸N-エチルアミド、アゼライン酸N-エチルアミド、コハク酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-ブチルアミド、グルタル酸N-ブチルアミド、マロン酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-オクチルアミド、アジピン酸N-ドデシルアミド等が挙げられる。
【0021】
また、(ハ)成分として、下記一般式(1)で示される化合物を用いることもできる。
【化1】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0~2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は-(CHOCOR又は-(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0~2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、又はハロゲン原子を示し、r及びpはそれぞれ1~3の整数を示す。)
式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、さらにRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(2)で示される化合物が用いられる。
【化2】
式中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10~24のアルキル基、さらに好ましくは炭素数12~22のアルキル基である。
式(2)で示される化合物として具体的には、オクタン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
【0022】
さらに、(ハ)成分として、下記一般式(3)で示される化合物を用いることもできる。
【化3】
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1~3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、又はハロゲン原子を示す。)
式(3)で示される化合物として具体的には、オクタン酸1,1-ジフェニルメチル、ノナン酸1,1-ジフェニルメチル、デカン酸1,1-ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1-ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1-ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1-ジフェニルメチルを例示できる。
【0023】
さらに、(ハ)成分として下記一般式(4)で示される化合物を用いることもできる。
【化4】
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す。)
式(4)で示される化合物として具体的には、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
【0024】
さらに、(ハ)成分として下記一般式(5)で示される化合物を用いることもできる。
【化5】
(式中、Rは炭素数1~21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1~3の整数を示す。)
式(5)で示される化合物として具体的には、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
【0025】
さらに、(ハ)成分として下記一般式(6)で示される化合物を用いることもできる。
【化6】
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す。)
式(6)で示される化合物として具体的には、こはく酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステルを例示できる。
【0026】
さらに、(ハ)成分として下記一般式(7)で示される化合物を用いることもできる。
【化7】
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1の整数を示す。)
式(7)で示される化合物として具体的には、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチルを例示できる。
【0027】
さらに、(ハ)成分として下記一般式(8)で示される化合物を用いることもできる。
【化8】
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基又は炭素数3~18の脂肪族アシル基を示し、Xは水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子又はメチル基を示し、Zは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
式(8)で示される化合物として具体的には、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテルを例示できる。
【0028】
さらに、(ハ)成分として下記一般式(9)で示される化合物を用いることもできる。
【化9】
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1の整数を示す。)
式(9)で示される化合物として具体的には、p-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルのp-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ドデシルのo-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステルを例示できる。
【0029】
さらに、(ハ)成分として下記一般式(10)で示される化合物を用いることもできる。
【化10】
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基、炭素数6~11のシクロアルキルアルキル基、炭素数5~7のシクロアルキル基、炭素数3~18のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
式(10)で示される化合物として具体的には、p-ヒドロキシ安息香酸ノニルのフェノキシエチルエーテル、p-ヒドロキシ安息香酸デシルのフェノキシエチルエーテル、p-ヒドロキシ安息香酸ウンデシルのフェノキシエチルエーテル、バニリン酸ドデシルのフェノキシエチルエーテルを例示できる。
【0030】
さらに、(ハ)成分として下記一般式(11)で示される化合物を用いることもできる。
【化11】
(式中、Rは炭素数3~8のシクロアルキル基又は炭素数4~9のシクロアルキルアルキル基を示し、nは1~3の整数を示す。)
式(11)で示される化合物として具体的には、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステルを例示できる。
【0031】
さらに、(ハ)成分として下記一般式(12)で示される化合物を用いることもできる。
【化12】
(式中、Rは炭素数3~17のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキルアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは1~3の整数を示す。)
式(12)で示される化合物として具体的には、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
【0032】
さらに、(ロ)電子受容性化合物として炭素数3~18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物(特開平11-129623号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステル(特開2001-105732号公報)、没食子酸エステル(特開2003-253149号公報)等を用いた加熱発色型の可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を適用することもできる。
【0033】
可逆熱変色性組成物は、(イ)、(ロ)、及び(ハ)成分を必須成分とする相溶体であり、各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1~100、好ましくは0.1~50、より好ましくは0.5~20、(ハ)成分5~200、好ましくは5~100、より好ましくは10~100の範囲である(上記した割合はいずれも質量部である)。
【0034】
マイクロカプセル化は、公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。さらにマイクロカプセルの表面には、目的に応じてさらに二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、内包物:壁膜の質量比が7:1~1:1であることが好ましく、内包物と壁膜の質量比が上記の範囲内にあることにより、発色時の色濃度及び鮮明性の低下を防止することができる。より好ましくは、内包物:壁膜の質量比は6:1~1:1である。
【0035】
本発明の温度管理インジケーターは、可逆熱変色体の一方の可逆熱変色性材料が発色状態、他方の可逆熱変色性材料が消色状態であり、温度管理を必要とする物品又はその保存容器の適正温度範囲内では、発色状態の可逆熱変色性材料の色のみが視認される(初期状態)。
【0036】
一方の可逆熱変色性材料が発色状態である初期状態の温度管理インジケーターは、適正温度範囲より高い温度環境下に置かれると、発色状態の可逆熱変色性材料は消色し、適正温度範囲内では各可逆熱変色性材料が消色状態の色が視認される(状態1)。
この状態から可逆熱変色性材料を発色状態に戻すためには冷却を必要とするが、適正温度範囲より低い温度環境下に置かれると消色状態の各可逆熱変色性材料は共に発色し、適正温度範囲内では各可逆熱変色性材料が発色状態で混色となった色が視認される(状態2)。
また、初期状態の前記温度管理インジケーターは、適正温度範囲より低い温度環境下に置かれると、消色状態の可逆熱変色性材料は発色し、適正温度範囲内では各可逆熱変色性材料が発色状態で混色となった色が視認される(状態2)。
この状態から可逆熱変色性材料を消色状態に戻すためには加熱を必要とするが、適正温度範囲より高い温度環境下に置かれると発色状態の各可逆熱変色性材料は共に消色し、適正温度範囲内では各可逆熱変色性材料が消色状態の色が視認される(状態1)。
本発明の温度管理インジケーターは、初期の状態から適正温度範囲より高い又は低い温度環境下に置かれると、初期の一方の可逆熱変色性材料が発色状態で示す色に戻ることがなく、温度管理を必要とする物品又はその保存容器が適正温度範囲を逸脱したか否か判別できるものである。
【0037】
本発明の温度管理インジケーターを構成する第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料において、(イ)、(ロ)、(ハ)成分がそれぞれ同一である(各可逆熱変色性材料が同一の組成である)場合、各可逆熱変色性材料は発色状態で同一の色を示し、完全発色温度t、発色開始温度t、消色開始温度t、完全消色温度tも同一であるため、一方の可逆熱変色性材料が発色状態である初期状態の温度管理インジケーターにおいて視認される色と、各可逆熱変色性材料が発色状態で混色となった状態2の温度管理インジケーターにおいて視認される色は同一の色であり、状態2で視認される色は初期状態で視認される色より高濃度であるため、温度管理インジケーターが適正温度範囲を逸脱した場合に視認される変化は、濃淡の変化のみであり、適正温度範囲を逸脱したか否かを判別することが困難な場合がある。よって、第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料は(イ)成分、即ち、電子供与性呈色性有機化合物が互いに異なることが好ましく、第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料が、発色状態で互いに異なる色を呈することがより好ましい。
【0038】
第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料の(イ)成分が互いに異なり、各可逆熱変色性材料が発色状態で互いに異なる色を示す場合、一方の可逆熱変色性材料が発色状態である初期状態の温度管理インジケーターにおいて視認さる色と、各可逆熱変色性材料が共に発色状態で混色となった状態2の温度管理インジケーターにおいて視認される色は異なる色であるため、温度管理インジケーターが適正温度範囲を逸脱した場合に視認される変化は、色相の変化であり、適正温度範囲を逸脱したか否かを明瞭且つ容易に判別することができる。
【0039】
また、本発明の温度管理インジケーターは、第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料の完全発色温度t、発色開始温度t、消色開始温度t、又は、完全消色温度tを変化させることにより、特定温度域における温度管理を必要とする物品又はその保存容器の温度管理機能を付与することができ、温度t、t、t、又はtを変化させるために、各可逆熱変色性材料を構成する(イ)成分、(ロ)成分、(ハ)成分の少なくとも一つが互いに異なること、具体的には、(イ)成分が互いに異なること、又は、(ハ)成分が互いに異なることが好ましく、各可逆熱変色性材料を構成する(イ)成分及び(ハ)成分が互いに異なる、又は、各可逆熱変色性材料を構成する(イ)成分、(ロ)成分、及び(ハ)成分の全てが互いに異なることがより好ましい。
【0040】
本発明の温度管理インジケーターにおいて、発色状態の可逆熱変色性材料の完全発色温度t、発色開始温度t、消色開始温度t、及び、完全消色温度tと、消色状態の可逆熱変色性材料の完全発色温度t、発色開始温度t、消色開始温度t、及び、完全消色温度tは、それぞれ「略同一」の温度である場合がある。「略同一」とは、発色状態及び消色状態の可逆熱変色性材料の各温度t、t、t、及び、tがそれぞれ全く同一の温度であり、また、本発明においては、発色状態及び消色状態の可逆熱変色性材料の各温度の差(ΔT)の絶対値(|ΔT|)が3℃以下、具体的には、|ΔT=〔発色状態の可逆熱変色性材料の各温度(t、t、t、t)〕-〔消色状態の可逆熱変色性材料の各温度(t、t、t、t)〕|≦3℃を満たすことも含んでおり、好ましくは|ΔT|≦2℃であり、より好ましくは|ΔT|≦1℃である。
【0041】
第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料において、発色状態の可逆熱変色性材料の完全発色温度tと消色状態の可逆熱変色性材料の完全発色温度t、及び、発色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度tと消色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度tがそれぞれ略同一であり、且つ、発色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度tと消色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度tが略同一であり、発色状態の可逆熱変色性材料の完全消色温度tは消色状態の可逆熱変色性材料の完全消色温度tより小さい温度管理インジケーターの色変化挙動について説明する。
初期状態の温度管理インジケーターにおいて、可逆熱変色性材料Aが発色状態であり、可逆熱変色性材料Bが消色状態であり、図2において、実線は、可逆熱変色性材料A(発色状態の可逆熱変色性材料)の色濃度-温度曲線であり、破線は可逆熱変色性材料B(消色状態の可逆熱変色性材料)の色濃度-温度曲線である。また、t4Aは可逆熱変色性材料Aの完全消色温度tを、t4Bは可逆熱変色性材料Bの完全消色温度tをそれぞれ表している。
【0042】
初期状態の温度管理インジケーターは可逆熱変色性材料Aが発色状態であり、適正温度範囲内(温度tを超え、温度t4A未満の温度範囲内)では、可逆熱変色性材料Aの色のみが視認され、適正温度範囲より高い温度環境下に置かれると、発色状態の可逆熱変色性材料Aが消色し、適正温度範囲内では各可逆熱変色性材料が消色状態の色が視認される(状態1)。
この状態から温度管理インジケーターを初期状態に戻すためには冷却を必要とするが、適正温度範囲より低い温度環境下に置かれると、消色状態の各可逆熱変色性材料が共に発色し、適正温度範囲内(温度t4A未満の温度範囲内)では各可逆熱変色性材料が発色状態で混色となった色が視認される(状態2)。
また初期状態の温度管理インジケーターは、適正温度範囲より低い温度環境下に置かれると、消色状態の可逆熱変色性材料Bが発色し、適正温度範囲内(温度t4A未満の温度範囲内)では各可逆熱変色性材料が発色状態で混色となった色が視認される(状態2)。
この状態から温度管理インジケーターを初期状態に戻すためには加熱を必要とするが、温度t4A以上、温度t4B未満の温度環境下に置かれると、発色状態の可逆熱変色性材料Aのみが消色し、適正温度範囲内(温度t4A未満の温度範囲内)では可逆熱変色性材料Bが発色状態の色が視認される(状態3)。また、温度t4B以上の温度環境下に置かれると、発色状態の可逆熱変色性材料Bが消色し、適正温度範囲内(温度tを超える温度範囲内)では各可逆熱変色性材料が消色状態の色が視認される(状態1)。
上記の温度管理インジケーターは、初期状態から適正温度範囲より高い又は低い温度環境下に置かれると、初期の一方の可逆熱変色性材料が発色状態である、変色前の温度管理インジケーターの色とは異なる色に変色し、初期状態の色に戻ることがなく、温度管理を必要とする物品又はその保存容器が適正温度範囲を逸脱したか否かを容易に検知することができる。また、各可逆熱変色性材料が発色状態で混色となった状態(状態2)から、適正温度範囲の上限より高い特定の温度環境下(温度t4A以上、温度t4B未満の温度環境下)に置かれると、適正温度範囲内では、初期状態の色、及び、初期状態から適正温度範囲より高い又は低い温度環境下に置かれた場合に示す色とは異なる色に変色するため、特定の温度環境下における温度管理機能を有する。
【0043】
初期状態の温度管理インジケーターにおいて、可逆熱変色性材料Aが発色状態であり、可逆熱変色性材料Bが消色状態であり、図3において、実線は、可逆熱変色性材料A(発色状態の可逆熱変色性材料)の色濃度-温度曲線であり、破線は可逆熱変色性材料B(消色状態の可逆熱変色性材料)の色濃度-温度曲線であり、発色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度tが消色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度tより大きい場合が表されている。また、t3Aは可逆熱変色性材料Aの消色開始温度tを、t3Bは可逆熱変色性材料Bの消色開始温度tを、t4Aは可逆熱変色性材料Aの完全消色温度tを、t4Bは可逆熱変色性材料Bの完全消色温度tをそれぞれ表している。
上記の温度管理インジケーターは、図2に示す、発色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度tが消色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度tと略同一である場合と同様の色変化挙動を示し、温度管理を必要とする物品又はその保存容器が適正温度範囲を逸脱したか否かを容易に検知することができ、さらに、特定の温度環境下における温度管理機能を有する。
【0044】
第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料において、発色状態の可逆熱変色性材料の完全発色温度tと消色状態の可逆熱変色性材料の完全発色温度t、及び、発色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度tと消色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度tがそれぞれ略同一であり、且つ、発色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度tが消色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度tより小さく、発色状態の可逆熱変色性材料の完全消色温度tは消色状態の可逆熱変色性材料の完全消色温度tより小さい温度管理インジケーターの色変化挙動について説明する。
初期状態の温度管理インジケーターにおいて、可逆熱変色性材料Aが発色状態であり、可逆熱変色性材料Bが消色状態であり、図4において、実線は、可逆熱変色性材料A(発色状態の可逆熱変色性材料)の色濃度-温度曲線であり、破線は可逆熱変色性材料B(消色状態の可逆熱変色性材料)の色濃度-温度曲線である。また、t3Aは可逆熱変色性材料Aの消色開始温度tを、t3Bは可逆熱変色性材料Bの消色開始温度tを、t4Aは可逆熱変色性材料Aの完全消色温度tを、t4Bは可逆熱変色性材料Bの完全消色温度tをそれぞれ表している。
【0045】
初期状態の温度管理インジケーターは可逆熱変色性材料Aが発色状態であり、適正温度範囲内(温度tを超え、温度t4A未満の温度範囲内)では、可逆熱変色性材料Aの色のみが視認され、適正温度範囲より高い温度環境下に置かれると、発色状態の可逆熱変色性材料Aが消色し、適正温度範囲内では各可逆熱変色性材料が消色状態の色が視認される(状態1)。
この状態から温度管理インジケーターを初期状態に戻すためには冷却を必要とするが、適正温度範囲より低い温度環境下に置かれると、消色状態の各可逆熱変色性材料が共に発色し、適正温度範囲内(温度t4A未満の温度範囲内)では各可逆熱変色性材料が発色状態で混色となった色が視認される(状態2)。
また初期状態の温度管理インジケーターは、適正温度範囲より低い温度環境下に置かれると、消色状態の可逆熱変色性材料Bが発色し、適正温度範囲内(温度t4A未満の温度範囲内)では各可逆熱変色性材料が発色状態で混色となった色が視認される(状態2)。
この状態から温度管理インジケーターを初期状態に戻すためには加熱を必要とするが、温度t4A以上、温度t4B未満の温度環境下に置かれると、発色状態の可逆熱変色性材料Aのみが消色し、適正温度範囲内(温度t4A未満の温度範囲内)では可逆熱変色性材料Bが発色状態の色が視認される(状態3)。また、温度t4B以上の温度環境下に置かれると、発色状態の可逆熱変色性材料Bが消色し、適正温度範囲内(温度tを超える温度範囲内)では各可逆熱変色性材料が消色状態の色が視認される(状態1)。
上記の温度管理インジケーターは、初期状態から適正温度範囲より高い又は低い温度環境下に置かれると、初期の一方の可逆熱変色性材料が発色状態である、変色前の温度管理インジケーターの色とは異なる色に変色し、初期状態の色に戻ることがなく、温度管理を必要とする物品又はその保存容器が適正温度範囲を逸脱したか否かを容易に検知することができる。また、各可逆熱変色性材料が発色状態で混色となった状態(状態2)から、適正温度範囲の上限より高い特定の温度環境下(温度t4A以上、温度t4B未満の温度環境下)に置かれると、適正温度範囲内では、初期状態の色、及び、初期状態から適正温度範囲より高い又は低い温度環境下に置かれた場合に示す色とは異なる色に変色するため、特定温度域における温度管理機能を有する。
【0046】
図2乃至図4に示す温度管理インジケーターは、各可逆熱変色性材料が発色状態で混色となった色が視認される状態から、適正温度範囲より高い特定の温度環境下、詳細には、温度t4A以上、温度t4B未満の温度環境下に置かれ、その温度環境下で保持されると可逆熱変色性材料Bが発色状態の色が視認される状態に変化するが、図2及び図3に示す温度管理インジケーターは、上記の温度環境下では可逆熱変色性材料Bは消色を開始しており、視認される温度管理インジケーターの色は、可逆熱変色性材料Bが完全発色状態の色よりも薄い色であり、各可逆熱変色性材料が発色状態で混色となった色から、可逆熱変色性材料Bのみが発色状態の色への変化が不明瞭なことがある。
一方、図4に示す温度管理インジケーターは、可逆熱変色性材料Aの完全消色温度t4Aが可逆熱変色性材料Bの消色開始温度t3Bより小さい場合において、各可逆熱変色性材料が発色状態で混色となった色が視認される状態から、上記の温度環境下で保持されると、可逆熱変色性材料Bは完全に発色し、可逆熱変色性材料Aは完全に消色しているため、各可逆熱変色性材料が発色状態で混色となった色から、可逆熱変色性材料Bのみが発色状態の色への変化が明瞭である。
よって、第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料において、発色状態の可逆熱変色性材料の完全発色温度tと消色状態の可逆熱変色性材料の完全発色温度t、及び、発色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度tと消色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度tがそれぞれ略同一であり、且つ、発色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度tが消色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度tより小さく、発色状態の可逆熱変色性材料の完全消色温度tは消色状態の可逆熱変色性材料の完全消色温度tより小さく、且つ、可逆熱変色性材料Aの完全消色温度t4Aが可逆熱変色性材料Bの消色開始温度t3Bより小さいことが好ましい。
【0047】
第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料において、発色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度tと消色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度t、及び、発色状態の可逆熱変色性材料の完全消色温度tと消色状態の可逆熱変色性材料の完全消色温度tがそれぞれ略同一であり、且つ、発色状態の可逆熱変色性材料の完全発色温度tは消色状態の可逆熱変色性材料の完全発色温度tより小さく、発色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度tと消色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度tが略同一である温度管理インジケーターの色変化挙動について説明する。
初期状態の温度管理インジケーターにおいて、可逆熱変色性材料Aが発色状態であり、可逆熱変色性材料Bが消色状態であり、図5において、実線は、可逆熱変色性材料A(発色状態の可逆熱変色性材料)の色濃度-温度曲線であり、破線は可逆熱変色性材料B(消色状態の可逆熱変色性材料)の色濃度-温度曲線である。また、t1Aは可逆熱変色性材料Aの完全発色温度tを、t1Bは可逆熱変色性材料Bの完全発色温度tをそれぞれ表している。
初期状態の温度管理インジケーターは可逆熱変色性材料Aが発色状態であり、適正温度範囲内(温度t1Bを超え、温度t未満の温度範囲内)では、可逆熱変色性材料Aの色のみが視認され、適正温度範囲より高い温度環境下に置かれると、発色状態の可逆熱変色性材料Aが消色し、適正温度範囲内では各可逆熱変色性材料が消色状態の色が視認される(状態1)。
この状態から温度管理インジケーターを初期状態に戻すためには冷却を必要とするが、温度t1Aを超え、温度t1B以下の温度環境下に置かれると、消色状態の可逆熱変色性材料Bのみが発色し、適正温度範囲内(温度t未満の温度範囲内)では可逆熱変色性材料Bが発色状態の色が視認される(状態2)。また、温度t1A以下の温度環境下に置かれると、消色状態の可逆熱変色性材料Aが発色し、適正温度範囲内では各可逆熱変色性材料が発色状態で混色となった色が視認される(状態3)。
また初期状態の温度管理インジケーターは、適正温度範囲より低い温度環境下に置かれると、消色状態の可逆熱変色性材料Bが発色し、適正温度範囲内(t未満の温度範囲内)では各可逆熱変色性材料が発色状態で混色となった色が視認される(状態3)。
この状態から温度管理インジケーターを初期状態に戻すためには加熱を必要とするが、適正温度範囲より高い温度環境下に置かれると、発色状態の各可逆熱変色性材料は共に消色し、適正温度範囲内(温度t1Bを超える温度範囲内)では各可逆熱変色性材料が消色状態の色が視認される(状態1)。また、温度t1Aを超え、温度t1B以下の温度環境下に置かれると、消色状態の可逆熱変色性材料Bのみが発色し、温度t1Aを超える温度範囲内では可逆熱変色性材料Bが発色状態の色が視認される。
上記の温度管理インジケーターは、初期状態から適正温度範囲より高い又は低い温度環境下に置かれると、初期の一方の可逆熱変色性材料が発色状態である、変色前の温度管理インジケーターの色とは異なる色に変色し、初期状態の色に戻ることがなく、温度管理を必要とする物品又はその保存容器が適正温度範囲を逸脱したか否かを容易に検知することができる。また、各可逆熱変色性材料が消色状態となった状態(状態1)から適正温度範囲の下限より低い特定の温度環境下(温度t1Aを超え、温度t1B以下の温度環境下)に置かれると、適正温度範囲内では、初期状態の色、及び、初期状態から適正温度範囲より高い又は低い温度環境下に置かれた場合に示す色とは異なる色に変色するため、特定温度域における温度管理機能を有する。
【0048】
また、初期状態の温度管理インジケーターにおいて、可逆熱変色性材料Aが発色状態であり、可逆熱変色性材料Bが消色状態であり、図6において、実線は、可逆熱変色性材料A(発色状態の可逆熱変色性材料)の色濃度-温度曲線であり、破線は可逆熱変色性材料B(消色状態の可逆熱変色性材料)の色濃度-温度曲線であり、発色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度tが消色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度tより大きい場合が表されている。また、t1Aは可逆熱変色性材料Aの完全発色温度tを、t1Bは可逆熱変色性材料Bの完全発色温度tを、t2Aは可逆熱変色性材料Aの発色開始温度tを、t2Bは可逆熱変色性材料Bの発色開始温度tをそれぞれ表している。
上記の温度管理インジケーターは図5に示す、発色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度tが消色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度tと略同一である場合と同様の色変化挙動を示し、温度管理を必要とする物品又はその保存容器が適正温度範囲を逸脱したか否かを容易に検知することができ、さらに、特定の温度環境下における温度管理機能を有する。
【0049】
第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料において、発色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度tと消色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度t、及び、発色状態の可逆熱変色性材料の完全消色温度tと消色状態の可逆熱変色性材料の完全消色温度tがそれぞれ略同一であり、且つ、発色状態の可逆熱変色性材料の完全発色温度tは消色状態の可逆熱変色性材料の完全発色温度tより小さく、発色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度tは消色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度tより小さい温度管理インジケーターの色変化挙動について説明する。
初期状態の温度管理インジケーターにおいて、可逆熱変色性材料Aが発色状態であり、可逆熱変色性材料Bが消色状態であり、図7において、実線は、可逆熱変色性材料A(発色状態の可逆熱変色性材料)の色濃度-温度曲線であり、破線は可逆熱変色性材料B(消色状態の可逆熱変色性材料)の色濃度-温度曲線である。また、t1Aは可逆熱変色性材料Aの完全発色温度tを、t1Bは可逆熱変色性材料Bの完全発色温度tを、t2Aは可逆熱変色性材料Aの発色開始温度tを、t2Bは可逆熱変色性材料Bの発色開始温度tをそれぞれ表している。
【0050】
初期状態の温度管理インジケーターは可逆熱変色性材料Aが発色状態であり、適正温度範囲内(温度t1Bを超え、温度t未満の温度範囲内)では、可逆熱変色性材料Aの色のみが視認され、適正温度範囲より高い温度環境下に置かれると、発色状態の可逆熱変色性材料Aが消色し、適正温度範囲内では各可逆熱変色性材料が消色状態の色が視認される(状態1)。
この状態から温度管理インジケーターを初期状態に戻すためには冷却を必要とするが、温度t1Aを超え、温度t1B以下の温度環境下に置かれると、消色状態の可逆熱変色性材料Bのみが発色し、適正温度範囲内(温度t未満の温度範囲内)では可逆熱変色性材料Bが発色状態の色が視認される(状態2)。また、温度t1A以下の温度環境下に置かれると、消色状態の可逆熱変色性材料Aが発色し、適正温度範囲内では各可逆熱変色性材料が発色状態で混色となった色が視認される(状態3)。
また初期状態の温度管理インジケーターは、適正温度範囲より低い温度環境下に置かれると、消色状態の可逆熱変色性材料Bが発色し、適正温度範囲内(t未満の温度範囲内)では各可逆熱変色性材料が発色状態で混色となった色が視認される(状態3)。
この状態から温度管理インジケーターを初期状態に戻すためには加熱を必要とするが、適正温度範囲より高い温度環境下に置かれると、発色状態の各可逆熱変色性材料は共に消色し、適正温度範囲内(温度t1Bを超える温度範囲内)では各可逆熱変色性材料が消色状態の色が視認される(状態1)。また、温度t1Aを超え、温度t1B以下の温度環境下に置かれると、消色状態の可逆熱変色性材料Bのみが発色し、温度t1Aを超える温度範囲内では可逆熱変色性材料Bが発色状態の色が視認される。
上記の温度管理インジケーターは、初期状態から適正温度範囲より高い又は低い温度環境下に置かれると、初期の一方の可逆熱変色性材料が発色状態である、変色前の温度管理インジケーターの色とは異なる色に変色し、初期状態の色に戻ることがなく、温度管理を必要とする物品又はその保存容器が適正温度範囲を逸脱したか否かを容易に検知することができる。また、各可逆熱変色性材料が消色状態となった状態(状態1)から適正温度範囲の下限より低い特定の温度環境下(温度t1Aを超え、温度t1B以下の温度環境下)に置かれると、適正温度範囲内では、初期状態の色、及び、初期状態から適正温度範囲より高い又は低い温度環境下に置かれた場合に示す色とは異なる色に変色するため、特定温度域における温度管理機能を有する。
【0051】
図5乃至図7に示す温度管理インジケーターは、各可逆熱変色性材料が消色状態の色が視認される状態から、適正温度範囲より低い特定の温度環境下、詳細には、温度t1Aを超え、温度t1B以下の温度環境下に置かれ、その温度環境下で保持されると可逆熱変色性材料Bが発色状態の色が視認されるが、図5及び図6に示す温度管理インジケーターは、上記の温度環境下では可逆熱変色性材料Aは発色を開始しており、視認される温度管理インジケーターの色は、完全発色状態の可逆熱変色性材料Bの色と、完全発色状態の色よりも薄い可逆熱変色性材料Aの色とが混色となった色であり、各可逆熱変色性材料が消色状態の色から、可逆熱変色性材料Bのみが発色状態への色変化が不明瞭なことがある。
一方、図7に示す温度管理インジケーターは、可逆熱変色性材料Aの発色開始温度t2Aが可逆熱変色性材料Bの完全発色温度t1Bより小さい場合において、各可逆熱変色性材料が消色状態の色が視認される状態から、上記の温度環境下で保持されると、可逆熱変色性材料Bは完全に発色し、可逆熱変色性材料Aは完全に消色しているため、各可逆熱変色性材料が消色状態の色から、可逆熱変色性材料Bのみが発色状態の色への変化が明瞭である。
よって、第一の可逆熱変色体及び第二の可逆熱変色体に備えられる各可逆熱変色性材料において、発色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度tと消色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度t、及び、発色状態の可逆熱変色性材料の完全消色温度tと消色状態の可逆熱変色性材料の完全消色温度tがそれぞれ略同一であり、且つ、発色状態の可逆熱変色性材料の完全発色温度tは消色状態の可逆熱変色性材料の完全発色温度tより小さく、発色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度tは消色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度tより小さく、且つ、可逆熱変色性材料Aの発色開始温度t2Aが可逆熱変色性材料Bの完全発色温度t2Bより小さいことが好ましい。
【0052】
本発明の温度管理インジケーターは、発色状態の可逆熱変色性材料を備えた可逆熱変色体と、消色状態の可逆熱変色性材料を備えた可逆熱変色体とが積層されて構成される。
可逆熱変色性材料のヒステリシス特性は小さいと、可逆熱変色体は容易に変色し易いが、各可逆熱変色性材料はそれぞれ別の可逆熱変色体に備えられ、温度管理インジケーターとして使用する前まで、一方の可逆熱変色体は加熱されることにより消色状態で、他方の可逆熱変色体は冷却されることにより発色状態で保持させることができる。よって、温度管理インジケーターを使用するまでに色変化が起こることなく、可逆熱変色体の一方の可逆熱変色性材料が発色状態、他方の可逆熱変色性材料が消色状態である温度管理インジケーターとして、適正温度範囲の狭い物品又はその保存容器の温度管理に有効に機能させることができる。
【0053】
本発明の温度管理インジケーター(1)は図8に示す通り、第二の可逆熱変色体(3)上に第一の可逆熱変色体(2)が積層される構成となっている。
第一の可逆熱変色体(2)は図9に示す通り、透明性を有する支持体(5)上に可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層(4)を設けてなる構成の他、透明性を有する支持体中に可逆熱変色性材料を含んでなる構成とすることもできる。また、第二の可逆熱変色体は図10に示す通り、支持体(6)上に可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層(4)を設けてなる構成の他、支持体中に可逆熱変色性材料を含んでなる構成とすることもできる。
【0054】
本発明の温度管理インジケーター(1)は図11に示す通り、支持体(6)上に可逆熱変色層(4)を設けてなる第二の可逆熱変色体(3)上に、透明性を有する支持体(5)上に可逆熱変色層(4)を設けてなる第一の可逆熱変色体(2)が積層される構成の他、図12に示す通り、支持体(6)上に可逆熱変色層(4)を設けてなる第二の可逆熱変色体(3)上に、透明性を有する支持体中に可逆熱変色性材料を含んでなる第一の可逆熱変色体(7)が積層される構成とすることもできる。
また図13に示す通り、支持体中に可逆熱変色性材料を含んでなる第二の可逆熱変色体(8)上に、透明性を有する支持体(5)上に可逆熱変色層(4)を設けてなる第一の可逆熱変色体(2)が積層される構成とすることもできる。
さらに図14に示す通り、支持体中に可逆熱変色性材料を含んでなる第二の可逆熱変色体(8)上に、透明性を有する支持体中に可逆熱変色性材料を含んでなる第一の可逆熱変色体(7)が積層される構成とすることもできる。
【0055】
第一の可逆熱変色体が透明性を有する支持体中に可逆熱変色性材料を含んでなる場合、熱可塑性又は熱硬化性樹脂から選ばれる透明性を有する成形用樹脂中に上記の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は可逆熱変色性樹脂粒子をブレンドし、成形して得ることができる。
透明性を有する成形用樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロへキシレン-ジメチレン-テレフタレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、アイオノマー樹脂、エチレン-プロピレン共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン-アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン-メタクリル酸エステル共重合樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂、シクロオレフィンコポリマー等の熱可塑性樹脂、
エポキシ樹脂、エポキシアクリレート、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、アリール樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0056】
第二の可逆熱変色体が支持体中に可逆熱変色性材料を含んでなる場合、熱可塑性又は熱硬化性樹脂から選ばれる成形用樹脂中に上記の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は可逆熱変色性樹脂粒子をブレンドし、成形して得ることができる。
成形用樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中高密度ポリエチレン、超高密度ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロへキシレン-ジメチレン-テレフタレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ポリアミド、共重合ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、フッ素樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン-プロピレン共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン-アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン-メタクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン-塩化ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-プロピレン共重合樹脂、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル-塩化ビニリデン共重合樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-エチレン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-塩素化ポリエチレン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-アクリル酸エステル-スチレン共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル樹脂-塩化ビニルグラフト共重合樹脂、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、1,2-ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、石油系炭化水素樹脂、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリブテン、クマロン-インデン共重合物、フェノキシプラスチック等の熱可塑性樹脂、
エポキシ樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、エポキシアクリレート、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリ(p-ヒドロキシ安息香酸)、ポリウレタン、尿素樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0057】
第一の可逆熱変色体が透明性を有する支持体上に可逆熱変色層を設けてなる、又は、第二の可逆熱変色体が支持体上に可逆熱変色層を設けてなる場合、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は可逆熱変色性樹脂粒子を、バインダー樹脂を含むビヒクルに分散させたインキや塗料を用いて、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、転写印刷等の印刷方法、又は、スプレー塗装等の塗布方法により、第一の可逆熱変色体の支持体又は第二の可逆熱変色体の支持体上に可逆熱変色層を設けることができる。
【0058】
第一の可逆熱変色体の支持体は無色透明又は有色透明で、第二の可逆熱変色体の図柄や文字、色変化が視認可能であれば特に限定されるものではない。第一の可逆熱変色体の支持体としては、プラスチック、エラストマー、ゴム等が挙げられ、形態としては平面状、シート状、フィルム状のものが好ましい。
第二の可逆熱変色体の支持体としては特に限定されるものではないが、紙、合成紙、編布、織布、及び不織布等の布帛、合成皮革、レザー、プラスチック、ガラス、エラストマー、ゴム、陶磁器、金属、木材、石材等が挙げられ、形態としては平面状、シート状、フィルム状のものが好ましい。
【0059】
バインダー樹脂としては、可逆熱変色性材料の発色、消色、変色等に影響を及ぼさなければ特に限定されず、汎用の樹脂、例えば、アイオノマー樹脂、イソブチレン-無水マレイン酸系共重合樹脂、アクリロニトリル-アクリリックスチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル塩素化ポリエチレン-スチレン共重合樹脂、エチレン-塩化ビニル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル-塩化ビニルグラフト共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、フェノール樹脂変性アルキド樹脂、エポキシ樹脂変性アルキド樹脂、スチレン変性アルキド樹脂、アクリル変性アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル樹脂、スチレン-ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂、天然ゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリビニルアルキルエーテル、ロジン、ロジンエステル、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、油溶性フェノール樹脂、石油系炭化水素樹脂、シェラック、環化ゴム、酢酸ビニル系エマルジョン樹脂、スチレン-ブタジエン系エマルジョン樹脂、アクリル酸エステル系エマルジョン樹脂、水溶性アルキド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリブタジエン樹脂、酢酸セルロース、硝酸セルロース、エチルセルロース等が挙げられる。
【0060】
可逆熱変色体が、可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けてなる場合、可逆熱変色層上には、透明性保護層を設けて耐擦過性を付与したり、光安定剤層を設けて耐光性を付与することができる。
光安定剤層としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤、可視光線吸収剤、赤外線吸収剤等から選ばれる光安定剤を分散状態に固着した層が挙げられる。
【0061】
本発明の温度管理インジケーターは、可逆熱変色性材料と非熱変色性着色剤を併用することにより、有色(1)から有色(2)の互変的色変化をもたらすことができる。
図15に示す通り、第二の可逆熱変色体の支持体(6)と可逆熱変色層(4)の間に、非熱変色性着色剤を含む非熱変色層(9)を設けてなる構成の他、第二の可逆熱変色体の可逆熱変色層中に非熱変色性着色剤を含んでなる構成でもよい。
また、第二の可逆熱変色体の支持体に着色された支持体を用いる構成でもよい。
非熱変色性着色剤には、一般的な顔料または染料が用いられる。
【0062】
本発明の温度管理インジケーターは、第一の可逆熱変色体の、第二の可逆熱変色体と接触する面に第一の粘着層を設け、第二の可逆熱変色体に第一の可逆熱変色体を貼着し、温度管理を必要とする物品又はその保存容器に積層して使用することができる。
また、第二の可逆熱変色体の、第一の可逆熱変色体が設けられる反対側の面に第二の粘着層を設け、温度管理を必要とする物品又はその保存容器に第二の可逆熱変色体を貼着し、前記第二の可逆熱変色体上に前記第一の可逆熱変色体を積層して使用することもできる。
さらに、第一の可逆熱変色体の、第二の可逆熱変色体と接触する面に第一の粘着層を設け、且つ、第二の可逆熱変色体の、第一の可逆熱変色体が設けられる反対側の面に第二の粘着層を設け、温度管理を必要とする物品又はその保存容器に第二の可逆熱変色体を貼着し、第二の可逆熱変色体に第一の可逆熱変色体を貼着して使用することもできる。
【0063】
第一の粘着層に用いる粘着剤としては、第一の可逆熱変色体に備えられた可逆熱変色性材料の発色、消色、変色等に影響がなく、第二の可逆熱変色体の図柄や文字、色変化が視認可能であり、第二の可逆熱変色体に貼着可能であれば特に限定されるものではない。また、第二の粘着層としては、第二の可逆熱変色体に備えられた可逆熱変色性材料の発色、消色、変色等に影響がなく、温度管理を必要とする物品又はその保存容器に貼着可能であれば特に限定されるものではない。
第一の粘着層及び第二の粘着層に用いる粘着剤としては、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0064】
本発明の温度管理インジケーターは、第一の可逆熱変色体の支持体を、粘着層を設けた透明性を有する改ざん防止用部材とし、第二の可逆熱変色体に前記第一の可逆熱変色体を貼着し、温度管理を必要とする物品又はその保存容器に積層することにより、温度管理を必要とする物品又はその保存容器が適正温度範囲を逸脱した場合の可逆熱変色体の交換又は、一方の可逆熱変色体を外し、再度加熱又は冷却してから貼り直す等の改ざん行為を防止することができる。
また、第二の可逆熱変色体の支持体を、粘着層を設けた改ざん防止部材とし、温度管理を必要とする物品又はその保存容器に第二の可逆熱変色体を貼着し、第二の可逆熱変色体上に第一の可逆熱変色体を積層することによっても、改ざん行為を防止することができる。
さらに、第一の可逆熱変色体の支持体を、粘着層を設けた透明性を有する改ざん防止用部材とし、且つ、第二の可逆熱変色体の支持体を、粘着層を設けた改ざん防止部材でとし、温度管理を必要とする物品又はその保存容器に第二の可逆熱変色体を貼着し、第二の可逆熱変色体に第一の可逆熱変色体を貼着することによって、より一層改ざん行為を防止することができる。
【0065】
改ざん防止用部材は、積層構造の部材の最外層に粘着層を設ける構成とすることで改ざん防止機能が発揮されるものである。
改ざん防止用部材としては、改ざん防止用ラベル、テープ又はシール等を用いることができ、例えば、被着体に貼着後剥がすと、積層構造の層内剥離によって、粘着層が文字の形として被着体に転写されるタイプの改ざん防止機能を有する改ざん防止用部材が挙げられる。
また、被着体に貼着後剥がすと、積層構造の界面で分離が生じ、層の変形によって被着体に残留物が残らず改ざん防止用部材に文字が浮き出るタイプや、脆弱な材質の基材を用いることによって、被着体に貼着後剥がすと基材が破壊され、剥がした跡が被着体上に残るタイプ等の改ざん防止性を有する改ざん防止用部材が挙げられる。
【0066】
本発明における温度管理インジケーターは、例えば次のように使用することができる。
第一の可逆熱変色体を発色状態にするために、温度管理を必要とする物品又はその保存容器の適正温度範囲より低い温度で冷却し発色状態を保持させる。続いて、第二の可逆熱変色体を消色状態にするために、適正温度範囲より高い温度で加熱し消色状態を保持させる。可逆熱変色体の加熱又は冷却を止め、適正温度範囲内の温度環境下で、消色状態の第二の可逆熱変色体上に着色状態の第一の可逆熱変色体を積層し、温度管理インジケーターを作製する。温度管理インジケーターを、温度管理を必要とする物品又はその保存容器上に積層し、温度変化を検知可能な状態にすると、温度管理インジケーターの色の変化から、上記の物品又はその保存容器が適正温度範囲を逸脱したか否かを不可逆的に確認することができる。
温度管理インジケーターが、使用前に誤って適正温度範囲より高い温度環境下に置かれ、各可逆熱変色体が共に消色状態となってしまった場合は、温度管理インジケーターから第一の可逆熱変色体を外し、再度適正温度範囲より低い温度で冷却することで発色状態を保持させて保管する。第一の可逆熱変色体の冷却を止め、適正温度範囲内の温度環境下で再度、第二の可逆熱変色体上に第一の可逆熱変色体を積層させることにより、温度管理インジケーターを初期状態に戻して使用することができる。
また、温度管理インジケーターが、使用前に誤って適正温度範囲より低い温度環境下に置かれ、各可逆熱変色体が共に着色状態となってしまった場合は、温度管理インジケーターから第二の可逆熱変色体を外し、再度適正温度範囲より高い温度で加熱することで消色状態を保持させて保管する。第二の可逆熱変色体の加熱を止め、適正保持温度範囲内の温度環境下で再度、第二の可逆熱変色体上に第一の可逆熱変色体を積層させることにより、前記温度管理インジケーターを初期状態に戻して使用することができる。
第一の可逆熱変色体又は第二の可逆熱変色体の少なくとも一方に粘着層を設けた場合、第二の可逆熱変色体又は上記の物品若しくはその保存容器上に貼着して、同様の方法で使用することができる。
【実施例
【0067】
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中の部は、質量部を示す。
【0068】
実施例1
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aの調製
(イ)成分として、1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン2.5部と、(ロ)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部と、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン3.0部と、(ハ)成分として、ミリスチン酸デシル50.0部とからなる可逆熱変色性組成物を、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル懸濁液を得た。懸濁液を遠心分離して加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aを単離した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aは、粒子径が2.5μmであり、完全発色温度tが15℃、発色開始温度tが17℃、消色開始温度tが20℃、完全消色温度tが22℃、ヒステリシス幅ΔHが5℃であり、温度変化により橙色から無色に可逆的に変化した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bの調製
(イ)成分として、3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド1.0部と、(ロ)成分として、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン8.0部と、(ハ)成分として、ミリスチン酸デシル50.0部とからなる可逆熱変色性組成物を、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル懸濁液を得た。懸濁液を遠心分離して加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bを単離した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bは、粒子径が2.5μmであり、完全発色温度tが15℃、発色開始温度tが16℃、消色開始温度tが19℃、完全消色温度tが22℃、ヒステリシス幅ΔHが5℃であり、温度変化により青緑色から無色に可逆的に変化した。
【0069】
温度管理インジケーターの作製(図11参照)
透明性を有する支持体(5)として、厚さ25μmの透明ポリエステルフィルム上に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第一の可逆熱変色体(2)を得た。
次いで、支持体(6)として白色合成紙上に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料B30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第二の可逆熱変色体(3)を得た。
第一の可逆熱変色体は15℃以下に冷却して発色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は22℃以上に加熱して消色状態を保持させて保管した。
第一の可逆熱変色体の冷却及び第二の可逆熱変色体の加熱を止め、第二の可逆熱変色体上に第一の可逆熱変色体を積層して温度管理インジケーター(1)を作製したが、25℃の温度環境下で作製してしまい、発色状態の第一の可逆熱変色体が消色してしまったため、温度管理インジケーターから第一の可逆熱変色体を外し、第一の可逆熱変色体を再度15℃以下に冷却して発色状態を保持させて保管した。
第一の可逆熱変色体の冷却を止め、18℃の温度環境下で、第二の可逆熱変色体上に第一の可逆熱変色体を積層したところ、所望の温度管理インジケーターを作製することができた。
【0070】
チョコレートの流通、保管過程の温度チェック(15℃を超え、22℃未満の適正温度範囲を逸脱したか否かを判別する)
18℃の温度環境下で、適正温度範囲が15℃を超え、22℃未満の温度範囲であるチョコレートを収容した包装容器に温度管理インジケーターを積層すると、第一の可逆熱変色体による橙色が視認された(初期状態)。包装容器が適正温度範囲内にある限り、橙色の温度管理インジケーターが視認されるのみであった。
初期状態の温度管理インジケーターが22℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aが消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、15℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
状態1の温度管理インジケーターが15℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bが共に発色して、第一の可逆熱変色体による橙色と第二の可逆熱変色体による青緑色が混色となった茶色が視認され(状態2)、22℃未満の温度域では茶色が視認されるのみであった。
また、初期状態の温度管理インジケーターが15℃以下の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bが発色して、第一の可逆熱変色体による橙色と第二の可逆熱変色体による青緑色が混色となった茶色が視認され(状態2)、22℃未満の温度域では茶色が視認されるのみであった。
状態2の温度管理インジケーターが22℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bが共に消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認された(状態1)。
よって、チョコレートを収容した包装容器は適正温度範囲外の温度環境下に置かれると変色し、その後初期状態に戻すことはできず、包装容器が適正温度範囲を逸脱したことを不可逆的に確認することができた。
【0071】
実施例2
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cの調製
(イ)成分として、4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)イソベンゾフラノン2.0部と、(ロ)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン8.0部と、(ハ)成分として、ステアリン酸ネオペンチル50.0部とからなる可逆熱変色性組成物を、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル懸濁液を得た。懸濁液を遠心分離して加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cを単離した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cは、粒子径が2.5μmであり、完全発色温度tが5℃、発色開始温度tが10℃、消色開始温度tが30℃、完全消色温度tが35℃、ヒステリシス幅ΔHが25℃であり、温度変化により青色から無色に可逆的に変化した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dの調製
(イ)成分として、2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ペンチルアミノ-4-メチル-スピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン]-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン1.0部と、(ロ)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン8.0部と、(ハ)成分として、ステアリン酸ネオペンチル50.0部とからなる可逆熱変色性組成物を、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル懸濁液を得た。懸濁液を遠心分離して加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dを単離した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dは、粒子径が2.5μmであり、完全発色温度tが5℃、発色開始温度tが10℃、消色開始温度tが28℃、完全消色温度tが35℃、ヒステリシス幅ΔHが24℃であり、温度変化により桃色から無色に可逆的に変化した。
【0072】
温度管理インジケーターの作製(図12参照)
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料C10部、分散剤1部、ポリプロピレンホモポリマー89部をエクストルーダーにて180℃で溶融混合して、可逆熱変色性ペレットを得た。
可逆熱変色性ペレットを用いて、射出成形機にて180℃のシリンダー温度で板状に成形して、透明性を有する支持体中に可逆熱変色性材料を含む第一の可逆熱変色体(7)を得た。
次いで、支持体(6)として白色合成紙上に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料D30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第二の可逆熱変色体(3)を得た。
第一の可逆熱変色体は35℃以上に加熱して消色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は5℃以下に冷却して発色状態を保持させて保管した。
第一の可逆熱変色体の加熱及び第二の可逆熱変色体の冷却を止め、25℃の温度環境下で、第二の可逆熱変色体上に第一の可逆熱変色体を積層して、温度管理インジケーター(1)を作製した。
【0073】
常温域における流通、保管過程の温度チェック〔常温はJIS Z 8703で規定された20℃±15℃(5~35℃)を基準とし、常温域とは、5℃を超え、35℃未満の温度域である〕
25℃の温度環境下では、温度管理インジケーターは、第二の可逆熱変色体による桃色が視認された(初期状態)。温度管理インジケーターは常温域にある限り、桃色が視認されるのみであった。
初期状態の温度管理インジケーターが35℃以上の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dが消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、5℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
状態1の温度管理インジケーターが5℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料C及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dが共に発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった紫色が視認され(状態2)、35℃未満の温度域では紫色が視認されるのみであった。
また、初期状態の温度管理インジケーターが5℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cが発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった紫色が視認され(状態2)、35℃未満の温度域では紫色が視認されるのみであった。
状態2の温度管理インジケーターが35℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料C及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dが共に消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認された(状態1)。
よって、温度管理インジケーターは常温域外の温度環境下に置かれると変色し、その後初期状態に戻すことはできず、温度管理インジケーターが常温域を逸脱したことを不可逆的に確認することができた。
【0074】
実施例3
温度管理インジケーターの作製(図16参照)
透明性を有する支持体(5)として厚さ25μmの透明ポリエステルフィルム上に、上記の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料C30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第一の可逆熱変色体(2)を得た。
次いで、支持体(6)として白色合成紙上に、黄色の一般顔料0.5部、ウレタン系エマルジョン91.5部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる非熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて非熱変色層(9)を設けた。
非熱変色層上に、上記の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料D30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第二の可逆熱変色体(3)を得た。
第一の可逆熱変色体は5℃以下に冷却して発色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は35℃以上に加熱して消色状態を保持させて保管した。
第一の可逆熱変色体の冷却及び第二の可逆熱変色体の加熱を止め、25℃の温度環境下で、第二の可逆熱変色体上に第一の可逆熱変色体を積層して、温度管理インジケーター(1)を作製した。
【0075】
常温域における流通、保管過程の温度チェック〔常温はJIS Z 8703で規定された20℃±15℃(5~35℃)を基準とし、常温域とは、5℃を超え、35℃未満の温度域である〕
25℃の温度環境下では、温度管理インジケーターは、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体の非熱変色層による黄色が混色となった緑色が視認された(初期状態)。温度管理インジケーターは常温域にある限り、緑色が視認されるのみであった。
初期状態の温度管理インジケーターが35℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cが消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による黄色が視認され(状態1)、5℃を超える温度域では黄色が視認されるのみであった。
状態1の温度管理インジケーターが5℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料C及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dが共に発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体の可逆熱変色層による桃色と非熱変色層による黄色が混色となった茶色が視認され(状態2)、35℃未満の温度域では茶色が視認されるのみであった。
また、初期状態の温度管理インジケーターが5℃以下の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dが発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体の可逆熱変色層による桃色と非熱変色層による黄色が混色となった茶色が視認され(状態2)、35℃未満の温度域では茶色が視認されるのみであった。
状態2の温度管理インジケーターが35℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料C及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dが共に消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による黄色が視認された(状態1)。
よって、温度管理インジケーターは常温域外の温度環境下に置かれると変色し、その後初期状態に戻すことはできず、温度管理インジケーターが常温域を逸脱したことを不可逆的に確認することができた。
【0076】
実施例4
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Eの調製
(イ)成分として、1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン1.0部と、(ロ)成分として、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン8.0部と、(ハ)成分として、パルミチン酸n-ブチル5.0部とからなる可逆熱変色性組成物を、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル懸濁液を得た。懸濁液を遠心分離して加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Eを単離した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Eは、粒子径が2.5μmであり、完全発色温度tが0℃、発色開始温度tが3℃、消色開始温度tが8℃、完全消色温度tが10℃、ヒステリシス幅ΔHが8℃であり、温度変化により赤色から無色に可逆的に変化した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Fの調製
(イ)成分として、2-(2-クロロアミノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン2.0部と、(ロ)成分として、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン8.0部と、(ハ)成分として、パルミチン酸n-ブチル50.0部とからなる可逆熱変色性組成物を、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル懸濁液を得た。懸濁液を遠心分離して加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Fを単離した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Fは、粒子径が2.5μmであり、完全発色温度tが0℃、発色開始温度tが3℃、消色開始温度tが7℃、完全消色温度tが10℃、ヒステリシス幅ΔHが7℃であり、温度変化により黒色から無色に可逆的に変化した。
【0077】
粘着層を設けた温度管理インジケーターの作製(図17参照)
透明性を有する支持体(5)として、第一の粘着層(10)を設けた厚さ25μmの透明ポリエステルフィルムの粘着層とは反対側の面上に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料E30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第一の可逆熱変色体(2)を得た。
次いで、支持体(6)として、第二の粘着層(11)を設けた厚さ25μmの白色ポリエステルフィルムの粘着層とは反対側の面上に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料F30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第二の可逆熱変色体(3)を得た。
第一の可逆熱変色体は、0℃以下に冷却して発色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は、10℃以上に加熱して消色状態を保持させて保管した。
第一の可逆熱変色体の冷却及び第二の可逆熱変色体の加熱を止め、5℃の温度環境下で、第二の可逆熱変色体に第一の可逆熱変色体を貼着して、温度管理インジケーター(1)を作製した。
【0078】
牛乳の流通、保管過程の温度チェック(0℃を超え、10℃未満の適正温度範囲を逸脱したか否かを判別する)
5℃の温度環境下で、適正温度範囲が0℃を超え、10℃未満の温度範囲である牛乳を詰めた包装容器に温度管理インジケーターを貼着すると、第一の可逆熱変色体による赤色が視認された(初期状態)。包装容器が適正温度範囲内にある限り、赤色の温度管理インジケーターが視認されるのみであった。
初期状態の温度管理インジケーターが10℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Eが消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、0℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
状態1の温度管理インジケーターが0℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料E及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Fが共に発色して、第一の可逆熱変色体による赤色と第二の可逆熱変色体による黒色が混色となった赤茶色が視認され(状態2)、10℃未満の温度域では赤茶色が視認されるのみであった。
また、初期状態の温度管理インジケーターが0℃以下の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Fが発色して、第一の可逆熱変色体による赤色と第二の可逆熱変色体による黒色が混色となった赤茶色が視認され(状態2)、10℃未満の温度域では赤茶色が視認されるのみであった。
状態2の温度管理インジケーターが10℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料E及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆変色性マイクロカプセル顔料Fが共に消色して無色となり、第二の可逆熱変色体による白色が視認された(状態1)。
よって、牛乳を詰めた包装容器は適正温度範囲外の温度環境下に置かれると変色し、その後初期状態に戻すことはできず、包装容器が適正温度範囲を逸脱したことを不可逆的に確認することができた。
【0079】
実施例5
改ざん防止機能を有する温度管理インジケーターの作製(図18参照)
改ざん防止用部材(12)として、透明ポリエステルフィルムからなる厚さ38μmの改ざん防止用ラベル〔リンテック(株)製TPシールC(M)カイフウ〕の粘着面とは反対側の面上に、上記の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料E30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第一の可逆熱変色体(2)を得た。
次いで、支持体(6)として厚さ25μmの白色ポリエステルフィルム上に、上記の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料F30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第二の可逆熱変色体(3)を得た。
第一の可逆熱変色体は0℃以下に冷却して発色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は10℃以上に加熱して消色状態を保持させて保管した。
第一の可逆熱変色体の冷却及び第二の可逆熱変色体の加熱を止め、5℃の温度環境下で、第二の可逆熱変色体に第一の可逆熱変色体を貼着して、温度管理インジケーター(1)を作製した。
【0080】
牛乳の流通、保管過程の温度チェック(0℃を超え、10℃未満の適正温度範囲を逸脱したか否かを判別する)
5℃の温度環境下で、適正温度範囲が0℃を超え、10℃未満の温度範囲である牛乳を詰めた包装容器に温度管理インジケーターを貼着すると、第一の可逆熱変色体による赤色が視認された(初期状態)。包装容器が適正温度範囲内にある限り、赤色の温度管理インジケーターが視認されるのみであった。
初期状態の温度管理インジケーターが10℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Eが消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、0℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
状態1の温度管理インジケーターが0℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料E及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Fが共に発色して、第一の可逆熱変色体による赤色と第二の可逆熱変色体による黒色が混色となった赤茶色が視認され(状態2)、10℃未満の温度域では赤茶色が視認されるのみであった。
また、初期状態の温度管理インジケーターが0℃以下の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Fが発色して、第一の可逆熱変色体による赤色と第二の可逆熱変色体による黒色が混色となった赤茶色が視認され(状態2)、10℃未満の温度域では赤茶色が視認されるのみであった。
状態2の温度管理インジケーターが10℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料E及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Fが共に消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認された(状態1)。
よって、牛乳を詰めた包装容器は適正温度範囲外の温度環境下に置かれると変色し、その後初期状態に戻すことはできず、包装容器が適正温度範囲を逸脱したことを不可逆的に確認することができた。
牛乳の温度を上昇及び低下させた履歴を残さないよう、第一の可逆熱変色体を、別の発色状態の第一の可逆熱変色体と交換しようと剥がしたところ、第一の可逆熱変色体の改ざん防止用ラベルの粘着剤が第二の可逆熱変色体上に残り、「開封済」の文字が転写されていた。剥がした第一の可逆熱変色体を第二の可逆熱変色体に再度貼着し直そうと試みたが、第二の可逆熱変色体上に残った文字と第一の可逆熱変色体の改ざん防止用ラベルの抜け文字とが正確に重ならなかった。
よって、上記の温度管理インジケーターは、交換又は貼り直し等の改ざん行為を防止する機能を有していた。
【0081】
実施例6
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Gの調製
(イ)成分として、4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)イソベンゾフラノン2.0部と、(ロ)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン8.0部と、(ハ)成分として、パルミチン酸n-ブチル40.0部と、ミリスチルアルコール10.0部とからなる可逆熱変色性組成物を加温溶解し、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル懸濁液を得た。懸濁液を遠心分離して加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Gを単離した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Gは、粒子径が2.5μmであり、完全発色温度tが2℃、発色開始温度tが3℃、消色開始温度tが7℃、完全消色温度tが8℃、ヒステリシス幅ΔHが5℃であり、温度変化により青色から無色に可逆的に変化した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Hの調製
(イ)成分として、2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ペンチルアミノ-4-メチル-スピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン]-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン1.0部と、(ロ)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン8.0部と、(ハ)成分として、パルミチン酸n-ブチル40.0部と、ミリスチルアルコール10.0部とからなる可逆熱変色性組成物を加温溶解し、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル懸濁液を得た。懸濁液を遠心分離して加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Hを単離した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Hは、粒子径が2.5μmであり、完全発色温度tが2℃、発色開始温度tが3℃、消色開始温度tが7℃、完全消色温度tが8℃、ヒステリシス幅ΔHが5℃であり、温度変化により桃色から無色に可逆的に変化した。
【0082】
改ざん防止機能を有する温度管理インジケーターの作製(図19参照)
透明性を有する支持体(5)として、第一の粘着層(10)を設けた厚さ25μmの透明ポリエステルフィルムの粘着層とは反対側の面上に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料G30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第一の可逆熱変色体(2)を得た。
次いで、改ざん防止用部材(12)として白色塩化ビニルフィルムからなる厚さ50μmの改ざん防止用ラベル〔リンテック(株)製FP1102B PAT1 11HL〕の粘着面とは反対側の面上に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料H30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第二の可逆熱変色体(3)を得た。
第一の可逆熱変色体は8℃以上に加熱して消色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は2℃以下に冷却して発色状態を保持させて保管した。
第一の可逆熱変色体の加熱及び第二の可逆熱変色体の冷却を止め、5℃の温度環境下で、第二の可逆熱変色体に第一の可逆熱変色体を貼着して、温度管理インジケーター(1)を作製した。
【0083】
医薬品の流通、保管過程の温度チェック(2℃を超え、8℃未満の適正温度範囲を逸脱したか否かを判別する)
5℃の温度環境下で、適正温度範囲が2℃を超え、8℃未満の温度範囲である医薬品を梱包した保存容器に温度管理インジケーターを貼着すると、発色状態の第二の可逆熱変色体による桃色が視認された(初期状態)。保存容器が適正温度範囲内にある限り、桃色の温度管理インジケーターが視認されるのみであった。
初期状態の温度管理インジケーターが8℃以上の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Hが消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、2℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
状態1の温度管理インジケーターが2℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料G及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Hが共に発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった紫色が視認され(状態2)、8℃未満の温度域では紫色が視認されるのみであった。
また、初期状態の温度管理インジケーターが2℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Gが発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった紫色が視認され(状態2)、8℃未満の温度域では紫色が視認されるのみであった。
状態2の温度管理インジケーターが8℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料G及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Hが共に消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認された(状態1)。
よって、医薬品を梱包した保存容器は適正温度範囲外の温度環境下に置かれると変色し、その後初期状態に戻すことはできず、保存容器が適正温度範囲を逸脱したことを不可逆的に確認することができた。
医薬品の温度を上昇及び低下させた履歴を残さないよう、第二の可逆熱変色体を、別の発色状態の第二の可逆熱変色体と交換しようと剥がしたところ、第二の可逆熱変色体の改ざん防止用ラベルの表面基材が破壊され、剥がした跡が保存容器上に残った。
よって、温度管理インジケーターは、交換又は貼り直し等の改ざん行為を防止する機能を有していた。
【0084】
実施例7
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Iの調製
(イ)成分として、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチルメチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド1.0部と、(ロ)成分として、4,4′-(2-メチルプロパン-1,1-ジイル)ジフェノール5.0部と、(ハ)成分として、セチルアルコール5.0部と、ミリスチルアルコール20.0部と、ミリスチン酸デシル25.0部とからなる可逆熱変色性組成物を加温溶解し、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル懸濁液を得た。懸濁液を遠心分離して加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Iを単離した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Iは、粒子径が6.0μmであり完全発色温度tが11℃、発色開始温度tが13℃、消色開始温度tが20℃、完全消色温度tが22℃、ヒステリシス幅ΔHが9℃であり、温度変化により青色から無色に可逆的に変化した。
【0085】
改ざん防止機能を有する温度管理インジケーターの作製(図18参照)
改ざん防止用部材(12)として、透明ポリエステルフィルムからなる厚さ38μmの改ざん防止用ラベル〔リンテック(株)製TPシールC(M)カイフウ〕の粘着面とは反対側の面上に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料I30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第一の可逆熱変色体(2)を得た。
次いで、支持体(6)として厚さ25μmの白色ポリエステルフィルム上に、上記の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第二の可逆熱変色体(3)を得た。
第一の可逆熱変色体は11℃以下に冷却して発色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は22℃以上に加熱して消色状態を保持させて保管した。
第一の可逆熱変色体の冷却及び第二の可逆熱変色体の加熱を止め、17℃の温度環境下で、第二の可逆熱変色体に第一の可逆熱変色体を貼着して、温度管理インジケーター(1)を作製した。
【0086】
チョコレートの流通、保管過程の温度チェック(15℃を超え、22℃未満の適正温度範囲を逸脱したか否かを判別する)(図7参照)
17℃の温度環境下で、適正温度範囲が15℃を超え、22℃未満の温度範囲であるチョコレートを収容した包装容器に温度管理インジケーターを貼着すると、第一の可逆熱変色体による青色が視認された(初期状態)。包装容器が適正温度範囲内にある限り、青色が視認されるのみであった。
初期状態の温度管理インジケーターが22℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Iが消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、15℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
状態1の温度管理インジケーターが11℃を超え、15℃以下の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aが発色して、第二の可逆熱変色体による橙色が視認され(状態2)、11℃を超え、22℃未満の温度域では橙色が視認されるのみであった。さらに、状態2の温度管理インジケーターが11℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Iが発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による橙色が混色となった黒茶色が視認され(状態3)、22℃未満の温度域では黒茶色が視認されるのみであった。
また、状態1の温度管理インジケーターが11℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料I及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aが共に発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による橙色が混色となった黒茶色が視認され(状態3)、22℃未満の温度域では黒茶色が視認されるのみであった。
状態3の温度管理インジケーターが22℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料I及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aが共に消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、15℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
また、初期状態の温度管理インジケーターが15℃以下の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aが発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による橙色が混色となった黒茶色が視認され(状態3)、22℃未満の温度域では黒茶色が視認されるのみであった。
状態3の温度管理インジケーターが22℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料I及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aが共に消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、15℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
状態1の温度管理インジケーターが11℃を超え、15℃以下の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aが発色して、第二の可逆熱変色体による橙色が視認され(状態2)、11℃を超え、22℃未満の温度域では橙色が視認されるのみであった。さらに、状態2の温度管理インジケーターが11℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Iが発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による橙色が混色となった黒茶色が視認され(状態3)、22℃未満の温度域では黒茶色が視認されるのみであった。
また、状態1の温度管理インジケーターが11℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料I及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aが共に発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による橙色が混色となった黒茶色が視認され(状態3)、22℃未満の温度域では黒茶色が視認されるのみであった。
よって、チョコレートを収容した包装容器は適正温度範囲外の温度環境下に置かれると変色し、その後初期状態に戻すことはできず、包装容器が適正温度範囲を逸脱したことを不可逆的に確認することができた。さらに、一度適正温度範囲より高い温度環境下に置かれた温度管理インジケーターは、適正温度範囲より低い温度環境下のうち、11℃を超え、15℃以下の温度域に置かれた場合と、11℃以下の温度域に置かれた場合とで異なる色に変色し、特定温度域における温度管理機能を有していた。
また、上記の温度管理インジケーターは発色状態の可逆熱変色性材料(第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料I)の発色開始温度tが、消色状態の可逆熱変色性材料(第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A)の完全消色温度tより小さいことにより、各可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料I及び可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aが消色状態(状態1)の色から、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aのみが発色状態(状態2)の色への変化が明瞭であった。
さらに、チョコレートの温度を上昇及び低下させた履歴を残さないよう、第一の可逆熱変色体を、別の発色状態の第一の可逆熱変色体と交換しようと剥がしたところ、第一の可逆熱変色体の改ざん防止用ラベルの粘着剤が第二の可逆熱変色体上に残り、「開封済」の文字が転写されていた。剥がした第一の可逆熱変色体を第二の可逆熱変色体に再度貼着し直そうと試みたが、第二の可逆熱変色体上に残った文字と第一の可逆熱変色体の改ざん防止用ラベルの抜け文字とが正確に重ならなかった。
よって、上記の温度管理インジケーターは、交換又は貼り直し等の改ざん行為を防止する機能を有していた。
【0087】
実施例8
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Jの調製
(イ)成分として、{4-〔2,6-ビス(2,4-ジエトキシフェニル)ピリジン-4-イル〕フェニル}ジメチルアミン1.0部と、(ロ)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部と、(ハ)成分として、ステアリン酸シクロヘキシルメチル50.0部とからなる可逆熱変色性組成物を加温溶解し、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル懸濁液を得た。懸濁液を遠心分離して加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Jを単離した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Jは、粒子径が2.5μmであり、完全発色温度tが15℃、発色開始温度tが21℃、消色開始温度tが33℃、完全消色温度tが39℃、ヒステリシス幅ΔHが18℃であり、温度変化により黄色から無色に可逆的に変化した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kの調製
(イ)成分として、1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン2.0部と、(ロ)成分として、4,4-(2-メチルプロピリデン)ビスフェノール6.0部と、(ハ)成分として、ステアリン酸ネオペンチル50.0部とからなる可逆熱変色性組成物を加温溶解し、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル懸濁液を得た。懸濁液を遠心分離して加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kを単離した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kは、粒子径が2.5μmであり、完全発色温度tが15℃、発色開始温度tが21℃、消色開始温度tが26℃、完全消色温度tが32℃、ヒステリシス幅ΔHが18℃であり、温度変化により桃色から無色に可逆的に変化した。
【0088】
改ざん防止機能を有する温度管理インジケーターの作製(図19参照)
透明性を有する支持体(5)として、第一の粘着層(10)を設けた厚さ25μmの透明ポリエステルフィルムの粘着層とは反対側の面上に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料J30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第一の可逆熱変色体(2)を得た。
次いで、改ざん防止用部材(12)として白色塩化ビニルフィルムからなる厚さ50μmの改ざん防止用ラベル〔リンテック(株)製FP1102B PAT1 11HL〕の粘着面とは反対側の面上に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料K30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第二の可逆熱変色体(3)を得た。
第一の可逆熱変色体は32℃以上に加熱して消色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は15℃以下に冷却して発色状態を保持させて保管した。
第一の可逆熱変色体の加熱及び第二の可逆熱変色体の冷却を止め、18℃の温度環境下で、第二の可逆熱変色体に第一の可逆熱変色体を貼着して、温度管理インジケーター(1)を作製した。
【0089】
調味料の流通、保管過程の温度チェック(15℃を超え、32℃未満の適正温度範囲を逸脱したか否かを判別する)(図4参照)
18℃の温度環境下で、適正温度範囲が15℃を超え、32℃未満の温度範囲である調味料を収容した保存容器に温度管理インジケーターを貼着すると、第二の可逆熱変色体による桃色が視認された(初期状態)。保存容器が適正温度範囲内にある限り、桃色が視認されるのみであった。
初期状態の温度管理インジケーターが32℃以上の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kは消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、15℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
状態1の温度管理インジケーターが15℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料J及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kが共に発色して、第一の可逆熱変色体による黄色と第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった橙色が視認され(状態2)、32℃未満の温度域では橙色が視認されるのみであった。
状態2の温度管理インジケーターが32℃以上、39℃未満の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kが消色して、第一の可逆熱変色体による黄色が視認され(状態3)、15℃を超え、39℃未満の温度域では黄色が視認されるのみであった。さらに、状態3の温度管理インジケーターが39℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Jが消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、15℃を超える温度域では第二の可逆熱変色体による白色が視認された。
また、状態2の温度管理インジケーターが39℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料J及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kが共に消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、15℃を超える温度域では第二の可逆熱変色体による白色が視認された。
また、初期状態の温度管理インジケーターが15℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Jが発色して、第一の可逆熱変色体による黄色と第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった橙色が視認され(状態2)、32℃未満の温度域では橙色が視認されるのみであった。
状態2の温度管理インジケーターが32℃以上、39℃未満の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kが消色して、第一の可逆熱変色体による黄色が視認され(状態3)、15℃を超え、39℃未満の温度域では黄色が視認されるのみであった。さらに、状態3の温度管理インジケーターが39℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に含まれる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Jが消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、15℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
また、状態2の温度管理インジケーターが39℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料J及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kが共に消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、15℃を超える温度域では第二の可逆熱変色体による白色が視認された。
状態1の温度管理インジケーターが15℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性材料J及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kが共に発色して、第一の可逆熱変色体による黄色と第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった橙色が視認され(状態2)、32℃未満の温度域では橙色が視認されるのみであった。
よって、調味料を収容した保存容器は適正温度範囲外の温度環境下に置かれると変色し、その後初期状態に戻すことはできず、保存容器が適正温度範囲を逸脱したことを不可逆的に確認することができた。さらに、一度適正温度範囲より低い温度環境下に置かれた温度管理インジケーターは、適正温度範囲より高い温度環境下のうち、32℃以上、39℃未満の温度環境下に置かれた場合と、39℃以上の温度環境下に置かれた場合とで異なる色に変色し、特定温度域における温度管理機能を有していた。
また、上記の温度管理インジケーターは発色状態の可逆熱変色性材料(第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料K)の完全消色温度tが、消色状態の可逆熱変色性材料(第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料J)の消色開始温度tより小さいことにより、各可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料J及び可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kが発色状態(状態2)から、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kのみが消色状態(状態3)の色への変化が明瞭であった。
調味料の温度を上昇及び低下させた履歴を残さないよう、第二の可逆熱変色体を、別の発色状態の第二の可逆熱変色体と交換しようと剥がしたところ、第二の可逆熱変色体の改ざん防止用ラベルの表面基材が破壊され、剥がした跡が保存容器上に残った。
よって、温度管理インジケーターは、交換又は貼り直し等の改ざん行為を防止する機能を有していた。
【0090】
実施例9
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Lの調製
(イ)成分として、3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチル-インドール-3-イル)-4-アザフタリド2.0部と、(ロ)成分として、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン6.0部と、(ハ)成分として、パルミチン酸ノニル50.0部とからなる可逆熱変色性組成物を加温溶解し、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル懸濁液を得た。懸濁液を遠心分離して、加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Lを単離した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Lは、粒子径が8.0μmであり、完全発色温度tが16℃、発色開始温度tが19℃、消色開始温度tが27℃、完全消色温度tが32℃、ヒステリシス幅ΔHが12℃であり、温度変化により青色から無色に可逆的に変化した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Mの調製
(イ)成分として、1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)フルオラン2.0部と、(ロ)成分として、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン6.0部と、(ハ)成分として、パルミチン酸ノニル50.0部とからなる可逆熱変色性組成物を加温溶解し、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル懸濁液を得た。懸濁液を遠心分離して加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Mを単離した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Mは、粒子径が3.0μmであり、完全発色温度tが4℃、発色開始温度tが18℃、消色開始温度tが27℃、完全消色温度tが32℃、ヒステリシス幅ΔHが19℃であり、温度変化により桃色から無色に可逆的に変化した。
【0091】
粘着層を設けた温度管理インジケーターの作製(図17参照)
透明性を有する支持体(5)として、第一の粘着層(10)を設けた厚さ25μmの透明ポリエステルフィルムの粘着層とは反対側の面上に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料L30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第一の可逆熱変色体(2)を得た。
次いで、支持体(6)として、第二の粘着層(11)を設けた厚さ25μmの白色ポリエステルフィルムの粘着層とは反対側の面上に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料M30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第二の可逆熱変色体(3)を得た。
第一の可逆熱変色体は、32℃以上に加熱して消色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は、4℃以下に冷却して発色状態を保持させて保管した。
第一の可逆熱変色体の加熱及び第二の可逆熱変色体の冷却を止め、20℃の温度環境下で、第二の可逆熱変色体に第一の可逆熱変色体を貼着して、温度管理インジケーター(1)を作製した。
【0092】
野菜の流通、保管過程の温度チェック(16℃を超え、32℃未満の適正温度範囲を逸脱したか否かを判別する)(図5参照)
20℃の温度環境下で、適正温度範囲が16℃を超え、32℃未満の温度範囲である野菜を収容した包装容器に温度管理インジケーターを貼着すると、第二の可逆熱変色体による桃色が視認された(初期状態)。包装容器が適正温度範囲内にある限り、桃色が視認されるのみであった。
初期状態の温度管理インジケーターが32℃以上の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Mが消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、16℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
状態1の温度管理インジケーターが4℃を超え、16℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Lが発色して、第一の可逆熱変色体による青色が視認され(状態2)、4℃を超え、32℃未満の温度域では青色が視認されるのみであった。さらに、状態2の温度管理インジケーターが4℃以下の温度になると、第二の可逆熱変色体に含まれる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Mが発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった紫色が視認され(状態3)、32℃未満の温度域では紫色が視認されるのみであった。
また、状態1の温度管理インジケーターが4℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料M及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Lが共に発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった紫色が視認され(状態3)、32℃未満の温度域では紫色が視認されるのみであった。
状態3の温度管理インジケーターが32℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料L及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Mが共に消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、16℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
また、初期状態の温度管理インジケーターが16℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Lが発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった紫色が視認され(状態3)、32℃未満の温度域では紫色が視認されるのみであった。
状態3の温度管理インジケーターが32℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料L及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Mが共に消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、16℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
状態1の温度管理インジケーターが4℃を超え、16℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Lが発色して、第一の可逆熱変色体による青色が視認され(状態2)、4℃を超え、32℃未満の温度域では青色が視認されるのみであった。さらに、状態2の温度管理インジケーターが4℃以下の温度になると、第二の可逆熱変色体に含まれる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Mが発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった紫色が視認され(状態3)、32℃未満の温度域では紫色が視認されるのみであった。
また、状態1の温度管理インジケーターが4℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料M及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Lが共に発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった紫色が視認され(状態3)、32℃未満の温度域では紫色が視認されるのみであった。
よって、野菜を収容した包装容器は適正温度範囲外の温度環境下に置かれると変色し、その後初期状態に戻すことはできず、包装容器が適正温度範囲を逸脱したことを不可逆的に確認することができた。さらに、一度適正温度範囲より高い温度環境下に置かれた温度管理インジケーターは、適正温度範囲より低い温度環境下のうち、4℃を超え、16℃以下の温度環境下に置かれた場合と、4℃以下の温度環境下に置かれた場合とで異なる色に変色し、特定温度域における温度管理機能を有していた。
【0093】
実施例10
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Nの調製
(イ)成分として、4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)イソベンゾフラノン2.0部と、(ロ)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン8.0部と、(ハ)成分として、カプリン酸ステアリル35.0部と、カプリン酸セチル15.0部とからなる可逆熱変色性組成物を加温溶解し、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル懸濁液を得た。懸濁液を遠心分離して加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Nを単離した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Nは、粒子径が3.0μmであり、完全発色温度tが8℃、発色開始温度tが28℃、消色開始温度tが25℃、完全消色温度tが34℃、ヒステリシス幅ΔHが11.5℃であり、温度変化により青色から無色に可逆的に変化した。
【0094】
温度管理インジケーターの作製(図16参照)
透明性を有する支持体(5)として、厚さ25μmの透明ポリエステルフィルム上に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料N30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第一の可逆熱変色体(2)を得た。
次いで、支持体(6)として白色合成紙上に、上記の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料K30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第二の可逆熱変色体(3)を得た。
第一の可逆熱変色体は8℃以下に冷却して発色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は32℃以上に加熱して消色状態を保持させて保管した。
第一の可逆熱変色体の冷却及び第二の可逆熱変色体の加熱を止め、第二の可逆熱変色体上に第一の可逆熱変色体を積層して温度管理インジケーター(1)を作製した。
【0095】
野菜の流通、保管過程の温度チェック(15℃を超え、32℃未満の適正温度範囲を逸脱したか否かを判断する)(図6参照)
20℃の温度環境下で、適正温度範囲が15℃を超え、32℃未満の温度範囲である野菜を収容した包装容器に温度管理インジケーターを積層すると、第一の可逆熱変色体による青色が視認された(初期状態)。包装容器が適正温度範囲内にある限り、青色が視認されるのみであった。
初期状態の温度管理インジケーターが34℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Nが消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、15℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
状態1の温度管理インジケーターが8℃を超え、15℃以下の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kが発色して、第二の可逆熱変色体による桃色が視認され(状態2)、8℃を超え、34℃未満の温度域では青色が視認されるのみであった。さらに、状態2の温度管理インジケーターが8℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に含まれる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Nが発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった紫色が視認され(状態3)、32℃未満の温度域では紫色が視認されるのみであった。
また、状態1の温度管理インジケーターが8℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料N及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kが共に発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった紫色が視認され(状態3)、32℃未満の温度域では紫色が視認されるのみであった。
状態3の温度管理インジケーターが34℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料N及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kが共に消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、15℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
また、初期状態の温度管理インジケーターが15℃以下の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kが発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった紫色が視認され(状態3)、32℃未満の温度域では紫色が視認されるのみであった。
状態3の温度管理インジケーターが34℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料N及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kが共に消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、15℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
状態1の温度管理インジケーターが8℃を超え、15℃以下の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kが発色して、第二の可逆熱変色体による桃色が視認され(状態2)、8℃を超え、32℃未満の温度域では桃色が視認されるのみであった。さらに、状態2の温度管理インジケーターが8℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に含まれる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Nが発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった紫色が視認され(状態3)、32℃未満の温度域では紫色が視認されるのみであった。
また、状態1の温度管理インジケーターが8℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料N及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Kが共に発色して、第一の可逆熱変色体による青色と第二の可逆熱変色体による桃色が混色となった紫色が視認され(状態3)、32℃未満の温度域では紫色が視認されるのみであった。
よって、野菜を収容した包装容器は適正温度範囲外の温度環境下に置かれると変色し、その後初期状態に戻すことはできず、包装容器が適正温度範囲を逸脱したことを不可逆的に確認することができた。さらに、一度適正温度範囲より高い温度環境下に置かれた温度管理インジケーターは、適正温度範囲より低い温度環境下のうち、8℃を超え、15℃以下の温度環境下に置かれた場合と、8℃以下の温度環境下に置かれた場合とで異なる色に変色し、特定温度域における温度管理機能を有していた。
【0096】
実施例11
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Oの調製
(イ)成分として、2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ペンチルアミノ-4-メチル-スピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン]-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン1.0部と、(ロ)成分として、2,2-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)プロパン8.0部と、(ハ)成分として、カプリン酸セチル50.0部とからなる可逆熱変色性組成物を加温溶解し、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル懸濁液を得た。懸濁液を遠心分離して加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Oを単離した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Oは、粒子径が6.0μmであり、完全発色温度tが25℃、発色開始温度tが27℃、消色開始温度tが29℃、完全消色温度tが33℃、ヒステリシス幅ΔHが5℃であり、温度変化により桃色から無色に可逆的に変化した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Pの調製
(イ)成分として、3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-ペンチル-2-メチルインドール-3-イル)-4,5,6,7-テトラクロロフタリド2.0部と、(ロ)成分として、没食指酸ドデシル18.0部と、(ハ)成分として、ラウリルアルコール35.0部と、ラウリン酸ステアリル15.0部とからなる可逆熱変色性組成物を加温溶解し、界面重合法によりマイクロカプセルに内包し、マイクロカプセル懸濁液を得た。懸濁液を遠心分離して加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Pを単離した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Pは、粒子径が6。0μmであり、完全発色温度tが23℃、発色開始温度tが28℃、消色開始温度tが30℃、完全消色温度tが38℃、ヒステリシス幅ΔHが8.5℃であり、温度変化により青色から無色に可逆的に変化した。
【0097】
粘着層を設けた温度管理インジケーターの作製(図17参照)
透明性を有する支持体(5)として、第一の粘着層(10)を設けた厚さ25μmの透明ポリエステルフィルムの粘着層とは反対側の面上に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料O30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第一の可逆熱変色体(2)を得た。
次いで、支持体(6)として、第二の粘着層(11)を設けた厚さ25μmの白色ポリエステルフィルムの粘着層とは反対側の面上に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料P30部、ウレタン系エマルジョン62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色層(4)を設けて、第二の可逆熱変色体(3)を得た。
第一の可逆熱変色体は、25℃以下に冷却して発色状態を保持させ、第二の可逆熱変色体は、38℃以上に加熱して消色状態を保持させて保管した。
第一の可逆熱変色体の冷却及び第二の可逆熱変色体の加熱を止め、27℃の温度環境下で、第二の可逆熱変色体に第一の可逆熱変色体を貼着して、温度管理インジケーター(1)を作製した。
【0098】
調味料の流通、保管過程の温度チェック(25℃を超え、33℃未満の適正温度範囲を逸脱したか否かを判別する)(図2参照)
27℃の温度環境下で、適正温度範囲が25℃を超え、33℃未満の温度範囲である調味料を収容した保管容器に温度管理インジケーターを貼着すると、発色状態の第一の可逆熱変色体による桃色が視認された(初期状態)。保存容器が適正温度範囲内にある限り、桃色が視認されるのみであった。
初期状態の温度管理インジケーターが33℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Pは消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、25℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
状態1の温度管理インジケーターが25℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料O及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Pが共に発色して、第一の可逆熱変色体による桃色と第二の可逆熱変色体による青色が混色となった紫色が視認され(状態2)、33℃未満の温度域では橙色が視認されるのみであった。
状態2の温度管理インジケーターが33℃以上、38℃未満の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Oが消色して、第二の可逆熱変色体による青色が視認され(状態3)、25℃を超え、38℃未満の温度域では青色が視認されるのみであった。さらに、状態3の温度管理インジケーターが38℃以上の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Pが消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、25℃を超える温度域では第二の可逆熱変色体による白色が視認された。
また、状態2の温度管理インジケーターが38℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料O及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Pが共に消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、25℃を超える温度域では第二の可逆熱変色体による白色が視認された。
また、初期状態の温度管理インジケーターが23℃以下の温度になると、第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Pが発色して、第一の可逆熱変色体による桃色と第二の可逆熱変色体による青色が混色となった紫色が視認され(状態2)、33℃未満の温度域では橙色が視認されるのみであった。
状態2の温度管理インジケーターが33℃以上、38℃未満の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Oが消色して、第一の可逆熱変色体による青色が視認され(状態3)、25℃を超え、38℃未満の温度域では青色が視認されるのみであった。さらに、状態3の温度管理インジケーターが38℃以上の温度になると、第二の可逆熱変色体に含まれる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Pが消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、25℃を超える温度域では白色が視認されるのみであった。
また、状態2の温度管理インジケーターが38℃以上の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料O及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Pが共に消色して無色になり、第二の可逆熱変色体による白色が視認され(状態1)、25℃を超える温度域では第二の可逆熱変色体による白色が視認された。
状態1の温度管理インジケーターが23℃以下の温度になると、第一の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性材料O及び第二の可逆熱変色体に備えられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Pが共に発色して、第一の可逆熱変色体による桃色と第二の可逆熱変色体による青色が混色となった紫色が視認され(状態2)、33℃未満の温度域では紫色が視認されるのみであった。
【符号の説明】
【0099】
完全発色温度
発色開始温度
消色開始温度
完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅
1A 発色状態の可逆熱変色性材料の完全発色温度
1B 消色状態の可逆熱変色性材料の完全発色温度
2A 発色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度
2B 消色状態の可逆熱変色性材料の発色開始温度
3A 発色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度
3B 消色状態の可逆熱変色性材料の消色開始温度
4A 発色状態の可逆熱変色性材料の完全消色温度
4B 消色状態の可逆熱変色性材料の完全消色温度
1 温度管理インジケーター
2 第一の可逆熱変色体
3 第二の可逆熱変色体
4 可逆熱変色層
5 透明性を有する支持体
6 支持体
7 透明性を有する支持体中に可逆熱変色性材料を含む第一の可逆熱変色体
8 支持体中に可逆熱変色性材料を含む第二の可逆熱変色体
9 非熱変色層
10 第一の粘着層
11 第二の粘着層
12 改ざん防止用部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19