IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎エナジーシステム株式会社の特許一覧

特許7433717コージェネレーションシステムの設備決定方法、設備決定装置、設備決定プログラム、及び、コンピュータ読取可能な記録媒体
<>
  • 特許-コージェネレーションシステムの設備決定方法、設備決定装置、設備決定プログラム、及び、コンピュータ読取可能な記録媒体 図1
  • 特許-コージェネレーションシステムの設備決定方法、設備決定装置、設備決定プログラム、及び、コンピュータ読取可能な記録媒体 図2
  • 特許-コージェネレーションシステムの設備決定方法、設備決定装置、設備決定プログラム、及び、コンピュータ読取可能な記録媒体 図3
  • 特許-コージェネレーションシステムの設備決定方法、設備決定装置、設備決定プログラム、及び、コンピュータ読取可能な記録媒体 図4
  • 特許-コージェネレーションシステムの設備決定方法、設備決定装置、設備決定プログラム、及び、コンピュータ読取可能な記録媒体 図5
  • 特許-コージェネレーションシステムの設備決定方法、設備決定装置、設備決定プログラム、及び、コンピュータ読取可能な記録媒体 図6
  • 特許-コージェネレーションシステムの設備決定方法、設備決定装置、設備決定プログラム、及び、コンピュータ読取可能な記録媒体 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】コージェネレーションシステムの設備決定方法、設備決定装置、設備決定プログラム、及び、コンピュータ読取可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20220101AFI20240213BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20240213BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240213BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20240213BHJP
   F02G 5/04 20060101ALI20240213BHJP
   F24H 15/156 20220101ALI20240213BHJP
   F24H 15/172 20220101ALI20240213BHJP
【FI】
F24H1/00 631A
F24H1/18 B
H01M8/00 Z
H01M8/04 Z
F02G5/04 H
F24H15/156
F24H15/172
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020056958
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021156491
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】久土 智春
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 元巳
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽祐
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-257115(JP,A)
【文献】特開2007-003125(JP,A)
【文献】特開2007-101004(JP,A)
【文献】特開2001-336805(JP,A)
【文献】特開2003-222430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 1/18
H01M 8/00
H01M 8/04
F02G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電を行うと共に熱を排出するコージェネレーション設備と、前記コージェネレーション設備からの廃熱を利用して湯水を加熱する加熱器と、複数の需要者に設けられた複数の貯湯槽と、前記加熱器にて加熱された熱媒を前記複数の貯湯槽に対して供給する供給経路と、を備えたコージェネレーションシステムの設備決定方法であって、
前記複数の需要者における給湯利用に応じた2以上の分割期間それぞれの単位給湯負荷に基づいて、前記2以上の分割期間から構成される特定期間毎の総給湯負荷を前記特定期間よりも長い所定期間にわたって算出する給湯負荷算出工程と、
前記給湯負荷算出工程において算出された特定期間毎の総給湯負荷のうち少なくとも総給湯負荷が低負荷側となる特定期間を代表期間として設定する設定工程と、
前記設定工程において設定された代表期間における総給湯負荷に基づいて前記コージェネレーション設備の容量を決定する第1コージェネ容量決定工程と、
前記設定工程において設定された代表期間を構成する2以上の分割期間それぞれの単位給湯負荷のうち、前記第1コージェネ容量決定工程において決定された前記コージェネレーション設備の容量を上回る給湯負荷の合計分に基づいて前記複数の貯湯槽の容量を決定する第1貯湯容量決定工程と、
を有することを特徴とするコージェネレーションシステムの設備決定方法。
【請求項2】
前記加熱器を有するバッファタンク、第n(nは自然数)貯湯容量決定工程において決定された容量の前記複数の貯湯槽、及び前記供給経路における熱ロス分を算出する第n熱ロス算出工程と、
前記第n熱ロス算出工程において算出された前記代表期間の熱ロス分に相当する負荷を、前記給湯負荷算出工程において算出された前記代表期間における総給湯負荷に加算し、加算して得られた総給湯負荷に基づいて前記コージェネレーション設備の容量を決定する第(n+1)コージェネ容量決定工程と、
前記第n熱ロス算出工程において算出された前記2以上の分割期間それぞれの熱ロス分に相当する負荷を、前記設定工程において設定された代表期間を構成する2以上の分割期間それぞれの単位給湯負荷に加算し、加算して得られた単位給湯負荷のうち、前記第(n+1)コージェネ容量決定工程において決定された前記コージェネレーション設備の容量を上回る給湯負荷の合計分に基づいて前記複数の貯湯槽の容量を決定する第(n+1)貯湯容量決定工程と、
を更に有することを特徴とする請求項1に記載のコージェネレーションシステムの設備決定方法。
【請求項3】
前記第(n+1)貯湯容量決定工程において決定された前記複数の貯湯槽の容量と、前記第n貯湯容量決定工程において決定された前記複数の貯湯槽の容量との差が所定範囲内となった場合、前記第(n+1)貯湯容量決定工程において決定された前記複数の貯湯槽の容量を最終結果として採用し、
前記第(n+1)貯湯容量決定工程において決定された前記複数の貯湯槽の容量と、前記第n貯湯容量決定工程において決定された前記複数の貯湯槽の容量との差が所定範囲内とならなかった場合、
前記バッファタンク、第(n+1)貯湯容量決定工程において決定された容量の前記複数の貯湯槽、及び前記供給経路における熱ロス分を算出する第(n+1)熱ロス算出工程、
前記第(n+1)熱ロス算出工程において算出された前記代表期間の熱ロス分に相当する負荷を、前記給湯負荷算出工程において算出された前記代表期間における総給湯負荷に加算し、加算して得られた総給湯負荷に基づいて前記コージェネレーション設備の容量を決定する前記第(n+2)コージェネ容量決定工程、
並びに、前記第(n+1)熱ロス算出工程において算出された前記2以上の分割期間それぞれの熱ロス分に相当する負荷を、前記設定工程において設定された代表期間を構成する2以上の分割期間それぞれの単位給湯負荷に加算し、加算して得られた単位給湯負荷のうち、前記第(n+2)コージェネ容量決定工程において決定された前記コージェネレーション設備の容量を上回る給湯負荷の合計分に基づいて前記複数の貯湯槽の容量を決定する前記第(n+2)貯湯容量決定工程、を実行する
ことを特徴とする請求項2に記載のコージェネレーションシステムの設備決定方法。
【請求項4】
発電を行うと共に熱を排出するコージェネレーション設備と、前記コージェネレーション設備からの廃熱を利用して湯水を加熱する加熱器と、複数の需要者に設けられた複数の貯湯槽と、前記加熱器にて加熱された湯水を前記複数の貯湯槽に対して供給する供給経路と、を備えたコージェネレーションシステムの設備決定装置であって、
前記複数の需要者における給湯利用に応じた2以上の分割期間それぞれの単位給湯負荷に基づいて、前記2以上の分割期間から構成される特定期間毎の総給湯負荷を前記特定期間よりも長い所定期間にわたって算出する給湯負荷算出手段と、
前記給湯負荷算出手段により算出された特定期間毎の総給湯負荷のうち少なくとも低負荷側となる特定期間を代表期間として設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された代表期間における総給湯負荷に基づいて前記コージェネレーション設備の容量を決定するコージェネ容量決定手段と、
前記設定手段により設定された代表期間を構成する2以上の分割期間それぞれの単位給湯負荷のうち、前記コージェネ容量決定手段により決定された前記コージェネレーション設備の容量を上回る給湯負荷の合計分に基づいて前記複数の貯湯槽の容量を決定する貯湯容量決定手段と、
を備えることを特徴とするコージェネレーションシステムの設備決定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3いずれか1項に記載の設備決定方法をコンピュータに実行させるための設備決定プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の設備決定プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コージェネレーションシステムの設備決定方法、設備決定装置、設備決定プログラム、及び、コンピュータ読取可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池やガスエンジン等の廃熱を給湯に利用したコージェネレーションシステムが知られている(特許文献1参照)。このようなコージェネレーションシステムには、集合住宅、老健施設、及び病院等に適用されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4426860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、集合住宅等に利用されるコージェネレーションシステムは、例えば燃料電池やガスエンジン等の電力を発すると共に熱を排出するコージェネレーション設備と、コージェネレーション設備からの廃熱を利用して湯水の加熱を行うためのバッファタンクと、を備え、バッファタンクからの湯水を各家庭等の貯湯槽に供給して貯湯又は貯湯槽内の湯水と熱交換する構成となっている。
【0005】
このようなコージェネレーションシステムは、高い発電効率と高い廃熱利用効率とが求められている。このため、コージェネレーション設備は、高い発電効率を実現する観点から部分負荷運転をせずにベースロードの全負荷運転を行うことが望ましい。さらにコージェネレーション設備によっては一旦停止させると起動時間が長く、簡単に停止と起動とを繰り返すことができず24時間365日運転が基準となるものもある。
【0006】
よって、コージェネレーション設備を例えば24時間365日全負荷でベースロード運転しつつも廃熱を上手く利用することが望まれるが、廃熱利用の熱負荷がない場合にはラジエータによって熱を捨てなければならなくなってしまう。そこで、熱を捨てることを避けるために蓄熱槽や貯湯槽を設けることがあるが、コージェネレーション設備に対して容量が適切でないとシステム全体の効率の低下を招いてしまう。
【0007】
なお、この問題は、24時間365日全負荷でベースロード運転するコージェネレーション設備に限らず、例えば極力止められず、又は極力部分負荷運転が行われないコージェネレーション設備においても共通するものである。このため、365日のうち数日等が止められたり、24時間のうち数時間等が止められたりするコージェネレーション設備においても共通する問題である。
【0008】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その発明の目的とするところは、システム全体の効率の低下を抑えることができるコージェネレーションシステムの設備決定方法、設備決定装置、設備決定プログラム、及び、コンピュータ読取可能な記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の需要者における給湯利用に応じた2以上の分割期間それぞれの単位給湯負荷に基づいて、2以上の分割期間から構成される特定期間毎の総給湯負荷を特定期間よりも長い所定期間にわたって算出し、算出した特定期間毎の総給湯負荷のうち少なくとも総給湯負荷が低負荷側となる特定期間を代表期間として設定し、設定された代表期間における総給湯負荷に基づいてコージェネレーション設備の容量を決定し、設定された代表期間を構成する2以上の分割期間それぞれの単位給湯負荷のうち、決定されたコージェネレーション設備の容量を上回る給湯負荷の合計分に基づいて複数の貯湯槽の容量を決定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、システム全体の効率の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】コージェネレーションシステムの一例を示す構成図である。
図2図1に示したコージェネレーションシステムの一部構成図である。
図3】本実施形態に係る設備決定装置を示すブロック図である。
図4図3に示した給湯負荷算出部により算出される1年間にわたる1日毎の総給湯負荷の一例を示す図である。
図5図4に示した代表日における1時間毎の単位給湯負荷の一例を示す図である。
図6】熱ロスを考慮した代表日における1時間毎の単位給湯負荷の一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係るコージェネレーションシステムの設備決定方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明するが、それに先立ってコージェネレーションシステムについて説明する。
【0013】
なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0014】
図1は、コージェネレーションシステムの一例を示す構成図であり、図2は、図1に示したコージェネレーションシステムの一部構成図である。
【0015】
図1に示すコージェネレーションシステムCSは、コージェネレーション設備Cを含む第1設備100と、ボイラBOを含む第2設備200と、複数の需要者側設備300と、供給経路Lと、差圧測定部400と、循環ポンプPと、第1及び第2温度センサT1,T2と、電動弁SVとを有している。このコージェネレーションシステムCSは、第1及び第2設備100,200により得られる熱媒(温水を想定するが不凍液であってもよい)を、供給経路Lを通じて需要者側設備300における各需要者の貯湯槽310(図2参照)に供給するものである。
【0016】
第1設備100は、コージェネレーション設備Cと、バッファタンク110と、接続配管120と、熱交換器(加熱器)130と、バイパス電動弁BVと、ラジエータRと、廃熱系循環ポンプWPと、廃熱温度センサWTとを備えている。
【0017】
コージェネレーション設備Cは、発電を行うと共に熱を排出する燃料電池やガスエンジン等の機器である。バッファタンク110は、コージェネレーション設備Cにより得られた廃熱(例えば、燃料電池の電気を作る過程で発生される熱や、ガスエンジンの冷却に利用されて加熱された冷却水や、ガスエンジンの排気ガス)を利用して熱媒を加熱する熱交換器130を内蔵するものである。
【0018】
接続配管120は、コージェネレーション設備Cとバッファタンク110とを接続する配管である。図1においては、コージェネレーション設備Cが燃料電池を想定している。このため、接続配管120は、コージェネレーション設備Cからバッファタンク110へ、及び、バッファタンク110からコージェネレーション設備Cへ、冷却水を循環させるものとして図示されている。
【0019】
また、接続配管120は、バッファタンク110内の熱交換器130に接続されている。コージェネレーション設備Cから排出された冷却水は、熱交換器130に流入し、熱交換器130における熱交換を経てバッファタンク110内の熱媒を加熱する。
【0020】
また、接続配管120はバイパス配管121を備えている。バイパス配管121は、バッファタンク110(熱交換器130)をバイパスするものであり、コージェネレーション設備Cから排出された冷却水をバッファタンク110に導入させることなくコージェネレーション設備Cに戻すための配管である。
【0021】
バイパス配管121にはバイパス電動弁BVが設けられている。バイパス電動弁BVは、コージェネレーション設備Cに戻す冷却水温度が所定の温度以下にならないように開度が調整され、且つ、バッファタンク110内の熱媒を加熱する必要がないときに開けられ、冷却水の全量又は少量がバッファタンク110(熱交換器130)を介することなく迂回するようにされる。
【0022】
廃熱温度センサWTは、廃熱により加熱された冷却水(バイパス配管121を経由しないときはバッファタンク110における熱媒加熱により温度が低下した冷却水)の温度を検出するものである。
【0023】
ラジエータRは、冷却水温度が高すぎる場合に冷却水を冷却するために機能するものである。廃熱系循環ポンプWPは、コージェネレーション設備Cとバッファタンク110との間で冷却水を循環させるための動力源となるものである。
【0024】
第2設備200は、ボイラBOと、バッファタンク210と、熱交換器HEと、接続配管231,232と、ボイラ系循環ポンプBP1,BP2とを備えている。
【0025】
ボイラBOは、燃料を燃焼させ、その熱エネルギーによって水等を加熱するものである。熱交換器HEは、ボイラBOからの水等を利用して熱媒を加熱するものである。バッファタンク210は、熱交換器HEにより加熱された熱媒を蓄えるものである。
【0026】
第1接続配管231は、ボイラBOと熱交換器HEとをつなぐ配管である。第2接続配管232は、熱交換器HEとバッファタンク210とをつなぐ配管である。第1ボイラ系循環ポンプBP1は、ボイラBOと熱交換器HEとの間で水等を循環させるための動力源となるものである。第2ボイラ系循環ポンプBP2は、熱交換器HEとバッファタンク210との間で熱媒を循環させるための動力源となるものである。
【0027】
複数の需要者側設備300は、各需要者に対して1つずつ設けられる設備である。図2に示すように、需要者側設備300は、貯湯槽310と、熱交換器320と、二方弁330とを備えている。
【0028】
貯湯槽310は、各需要者に設けられ、内部に温水を蓄えるものである。熱交換器320は、後述の第1経路L1からの熱媒を導入して貯湯槽310の湯水を加熱し、後述の第4経路L4へ排出するものである。二方弁330は、例えば後述の第4経路L4上に設けられた弁体である。二方弁330の開度が制御されることで、熱交換器320への熱媒の導入量が制御される。この需要者側設備300において、貯湯槽310に蓄えられた温水は、水道管等から供給される冷水と混合され適切な温度とされたうえで蛇口等から需要者側に供給される。
【0029】
供給経路Lは、第1~第4経路L1~L4を備えている。第1経路L1は、第1設備100のバッファタンク110から複数の需要者側設備300それぞれの貯湯槽310までを接続する配管である。この第1経路L1によって、バッファタンク110内の熱媒がそれぞれの貯湯槽310に供給される。
【0030】
第2経路L2は第1経路L1の途中位置から第2設備200のバッファタンク210までを接続する配管である。このため、第1設備100のバッファタンク110内の熱媒は、第2設備200のバッファタンク210へも供給可能となっている。電動弁SVは、上記の途中位置に設けられている。この電動弁SVの制御によって、第1設備100のバッファタンク110内の熱媒が第2設備200のバッファタンク210へ供給されたり、供給が禁止されたりする。
【0031】
第3経路L3は、第2設備200のバッファタンク210から第1経路L1の接続点Aまでを接続する配管である。この接続点Aは、上記した途中位置よりも下流側(需要者側設備300側)に位置している。第2設備200のバッファタンク210内の熱媒は、第3経路L3及び第1経路L1を経て複数の需要者側設備300それぞれの貯湯槽310に供給可能となっている。
【0032】
第4経路L4は、複数の需要者側設備300それぞれの貯湯槽310から第1設備100のバッファタンク110までを接続する配管である。このため、第4経路L4には、各貯湯槽310における湯水の加熱によって温度低下した熱媒が流れることとなる。この第4経路L4は、接続点Bにおいて1本に合流してバッファタンク110に接続される。
【0033】
差圧測定部400は、第1経路L1(接続点Aの下流側)と第4経路L4(接続点Bの下流側)との差圧を検出するものである。貯湯槽310内の湯水温度が低下した場合には二方弁330の開度が大きくされる。この結果、第1経路L1と第4経路L4との差圧が小さくなる。よって、差圧測定部400は差圧を測定することでそれぞれの二方弁330の開度を代用的に検出しているといえる。循環ポンプPは、第1設備100及び第2設備200と、需要者側設備300との間で熱媒を循環させる動力源となるものである。この循環ポンプPは、差圧測定部400により測定された差圧に基づいて回転数制御される。すなわち、循環ポンプPは差圧が小さくなると回転数が大きくされて熱媒の循環量が大きくなる。結果として、二方弁330の開度が大きくなったときに熱媒の循環量が大きくなり、貯湯槽310内の湯水温度を上昇させることとなる。
【0034】
第1温度センサT1は、第1経路L1のうち電動弁SVの上流側における熱媒温度を検出するものである。第2温度センサT2は、第1経路L1のうち接続点Aの下流側における熱媒温度を検出するものである。不図示の制御部は、第1温度センサT1及び第2温度センサT2の信号に基づいて電動弁SVを制御する。例えば制御部は、第1設備100のバッファタンク110の熱媒温度(第1温度センサT1による検出温度)が充分に高い場合、電動弁SVを制御して第1設備100のバッファタンク110からの熱媒を、第2設備200のバッファタンク210を経由することなく、複数の需要者側設備300の貯湯槽310に供給する。一方、制御部は、第1設備100のバッファタンク110の熱媒が充分に高い温度ではない場合、電動弁SVを制御して第1設備100のバッファタンク110からの熱媒を、第2設備200のバッファタンク210に供給する。熱媒は、第2設備200のバッファタンク210を経由することで適正温度(第2温度センサT2による検出温度で確認)まで昇温され、複数の需要者側設備300の貯湯槽310に供給される。または、第2温度センサT2の値が、予め設定する所定の目標温度になるように開度を調整する制御でもよい。
【0035】
このようなコージェネレーションシステムCSは、複数の貯湯槽310の温度が所定温度で維持されるように、温水の利用がない場合であっても循環ポンプPが小さめの回転数で駆動している。この状態において、各需要者で温水が利用されると貯湯槽310内の温水温度が低下する。これにより、その需要者の二方弁330の開度が大きくなり、差圧測定部400により測定される差圧が小さくなる。この結果、循環ポンプPの回転数が大きくされる。
【0036】
ここで、第1温度センサT1より検出される熱媒温度が充分に高い場合、第2設備200のバッファタンク210内の熱媒は利用されることなく、第1設備100のバッファタンク110内の熱媒が複数の需要者側設備300の貯湯槽310に供給される。一方、第1温度センサT1より検出される熱媒温度が充分に高くない場合、電動弁SVが制御され、第1設備100のバッファタンク110内の熱媒が第2設備200のバッファタンク210に供給される。そして、第2設備200のバッファタンク210において適正温度(第2温度センサT2による検出温度で確認)まで昇温された熱媒が複数の需要者側設備300の貯湯槽310に供給される。
【0037】
ここで、上記のようなコージェネレーションシステムCSは、高い発電効率と高い廃熱利用効率とが求められているため、コージェネレーション設備Cが例えば24時間365日全負荷でベースロード運転されることが好ましく、且つ、廃熱を上手く利用することが好ましい。特に、廃熱についてはラジエータRで捨てることなく、利用されることが好ましい。このため、熱を捨てることを避けるために各貯湯槽310を大容量とすることが考えられるが、この場合にはコージェネレーション設備Cに対して容量が適切ではなくシステム全体の効率の低下を招いてしまう。
【0038】
そこで、本実施形態に係る設備決定装置が提案される。図3は、本実施形態に係る設備決定装置を示すブロック図である。図3に示す設備決定装置1は、環境に応じてコージェネレーション設備Cの大きさや、貯湯槽310の容量を適切に決定するための装置である。このような設備決定装置1は、入力部10と、処理部20と、出力部30とを備えている。
【0039】
入力部10は、設備決定装置1を利用する利用者によって操作される操作部等によって構成されている。この入力部10には、各種条件や初期値等が入力される。処理部20は、設備決定プログラムが実行されることで機能するものであり、給湯負荷算出部(給湯負荷算出手段)21と、設定部(設定手段)22と、コージェネ容量決定部(コージェネ容量決定手段)23と、貯湯容量決定部(貯湯容量決定手段)24と、記憶部26とを備えている。設備決定プログラムは、予め記憶部26に記憶されていてもよいし、USBメモリやCD-ROM等の記録媒体に記録されたものが新たにダウンロードされて記憶部26に記憶されてもよい。さらに、設備決定プログラムは、ネットワークを通じてダウンロードされて記憶部26に記憶されてもよい。
【0040】
出力部30は、コージェネ容量決定部23や貯湯容量決定部24による決定結果を利用者に向けて出力するものであり、例えばディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の紙媒体の印刷機で構成されている。また、出力部30は、メール等によって結果を出力する通信部で構成されていてもよい。
【0041】
給湯負荷算出部21は、複数の需要者における給湯利用に応じた24時間(2以上の分割期間の一例)それぞれの単位給湯負荷に基づいて、1日(2以上の分割期間から構成される特定期間の一例)毎の総給湯負荷を1年間(特定期間よりも長い所定期間の一例)にわたって算出するものである。
【0042】
ここで、24時間それぞれの単位給湯負荷(すなわち1日における給湯負荷の推移)については、予め記憶部26に記憶されている。また、24時間それぞれの単位給湯負荷については、一人暮らし、二人暮らし、及び4人家族等の区分毎に分けて記憶されている。さらに、記憶部26には、365日又は月毎や季節毎の給水温度の変化情報や地域における給水温度の変化情報についても記憶している。
【0043】
例えば図1に示すように、コージェネレーションシステムCSが6戸のマンション(単身用)に適用される場合、給湯負荷算出部21は、記憶部26から一人暮らし用の24時間それぞれの単位給湯負荷の情報を読み込んで、これを6倍する。次いで、給湯負荷算出部21は、365日又は月毎や季節毎の給水温度の変化情報や地域における給水温度の変化情報を加味して、1日毎の総給湯負荷を1年間にわたって算出する。
【0044】
図4は、図3に示した給湯負荷算出部21により算出される1年間にわたる1日毎の総給湯負荷の一例を示す図である。図4に示すように、例えば各戸の給湯負荷の情報が合算されることで、365日それぞれの総給湯負荷が算出される。特に、給水温度の変化情報が考慮されることによって、例えば冬は給水温度が低く設定温度(例えば42℃)の湯を需要者に供給するにあたり貯湯槽310の温水使用量が多くなって給湯負荷が高まる等が反映された1日毎の総給湯負荷が算出される。
【0045】
再度図3を参照する。設定部22は、給湯負荷算出部21により算出された1日毎の総給湯負荷のうち、総給湯負荷が最小なる最小日(少なくとも低負荷側となる特定期間の一例)を代表日(代表期間の一例)として設定するものである。なお、設定部22は、少なくとも1年間で低負荷側(低負荷側と高負荷側に分けた場合の低負荷側)のいずれかの日であれば、最小日に限らず、例えば最小から2番目等の日であってもよい。
【0046】
コージェネ容量決定部23は、設定部22により設定された代表日における総給湯負荷に基づいてコージェネレーション設備の容量を決定するものである。この際、コージェネ容量決定部23は、代表日を構成する単位給湯負荷から、単位給湯負荷の平均値(代表値)を算出して、コージェネレーション設備Cの容量を決定する。
【0047】
図5は、図4に示した代表日における1時間毎の単位給湯負荷の一例を示す図である。図5に示すように、代表日については、例えば朝方と昼間に僅かな給湯負荷があり、その後夜間において最も給湯負荷が高く18時~19時において最大となる。コージェネ容量決定部23は、このような単位給湯負荷から平均値を算出し、平均値に基づいてコージェネレーション設備Cの容量を決定する。
【0048】
この場合において、コージェネ容量決定部23は、平均値に近い容量のコージェネレーション設備Cを選択する。具体的にコージェネレーション設備Cは、無数の容量が存在するわけでなく、段階的に容量が定められている。コージェネ容量決定部23は、このような段階的な容量から、平均値に近いものを選択することで、コージェネレーション設備Cの容量を決定する。これにより、代表日については理論上、コージェネレーション設備Cをベースロードの全負荷運転で貯湯槽310に熱を貯めながら利用したとしても廃熱を略捨てることなく利用することができるためである。
【0049】
特に、コージェネ容量決定部23は、平均値よりも小さい容量となるようにコージェネレーション設備Cの容量を選択することが好ましい。コージェネレーション設備Cの容量が小さいほど、コージェネレーション設備Cについてベースロードの全負荷運転を行っても廃熱を捨てる可能性が少なくなり、熱効率が良くなるためである。
【0050】
再び図3を参照する。貯湯容量決定部24は、1時間毎の単位給湯負荷のうちコージェネ容量決定部23により決定されたコージェネレーション設備Cの容量を上回る給湯負荷分に基づいて複数の貯湯槽310の総容量を決定するものである。原則として、コージェネレーション設備Cの容量を上回る給湯負荷分については、これに対応できるように複数の貯湯槽310において熱量を確保しておく必要がある。このため、このような給湯負荷分に応じた総容量で複数の貯湯槽310を決定しておくことが良い。例えば、コージェネレーション設備Cの容量が単位給湯負荷から平均値に決定された場合、貯湯容量決定部24は、図5に示すコージェネレーション設備Cの容量を上回る給湯負荷分(ハッチング部分)を複数の貯湯槽310の総容量として決定することとなる。
【0051】
なお、この場合において、複数の貯湯槽310については例えば所定の給湯設計温度(例えば65℃)を基準にして、熱量を確保できる総容量が決定される。
【0052】
また、貯湯容量決定部24は、複数の貯湯槽310の総容量を決定した後に、個別の貯湯槽310の容量も決定する。この場合、貯湯容量決定部24は、例えば総容量を戸数で均等割して各容量を決定してもよいし、一人暮らしや4人家族等の区分毎に重みづけを行って各容量を決定してもよい。
【0053】
以上により、本実施形態に係る設備決定装置1は、コージェネレーション設備Cの容量と、複数の貯湯槽310の総容量(個別の貯湯槽310の容量)とを決定する。特に、コージェネレーション設備Cの容量は、給湯負荷が最小となる最小日に基づいて決定されていることから、コージェネレーション設備Cについてベースロードの全負荷運転を行っても、廃熱を捨てる可能性が小さくなる。しかも、コージェネレーション設備Cの容量を上回る給湯負荷分に基づいて複数の貯湯槽310の容量を決定するため、代表日において給湯負荷が高まった過渡的な負荷分を賄えるだけの容量を複数の貯湯槽310で設定することとなり、貯湯槽310の容量を適切化することとなる。
【0054】
なお、上記においてバッファタンク110については、例えばコージェネレーション設備Cの容量に合わせて大きさが決定され、廃熱と熱媒との熱交換が円滑に行われる程度の大きさを有していればよい。さらに、バッファタンク210についても同様に、ボイラBOに応じて大きさが決定され、廃熱と熱媒との熱交換が円滑に行われる程度の大きさを有していればよい。加えて、バッファタンク110は、熱交換器130を内部に有しているが、これに限らず、熱交換器HEと同様に外部に有していてもよい。同様に、バッファタンク210は、熱交換器HEを外部に有しているが、これに限らず、熱交換器130と同様に内部に有していてもよい。
【0055】
さらに、処理部20は熱ロス算出部25を備えている。熱ロス算出部25は、バッファタンク110、決定された総容量の複数の貯湯槽310、及び、供給経路Lにおける熱ロス分を算出するものである。熱媒については、バッファタンク110や供給経路Lの表面積の大きさに依存して放熱してしまう。また、複数の貯湯槽310内の温水についても、複数の貯湯槽310の表面積に応じて放熱してしまう。このため、熱ロス算出部25は、このような熱ロスを算出することとなる。なお、熱ロス算出部25は、熱ロスを算出するにあたり外気温度や地中温度を一定値と仮定してもよいが、これに限らず、外気温度や(特に地中温度の変化は非常に少ないが)地中温度の変化を考慮してもよい。
【0056】
コージェネ容量決定部23は、熱ロス算出部25による算出結果を加味してコージェネレーション設備Cの容量について再決定を行う。このコージェネ容量決定部23は、熱ロス算出部25により算出された代表日の熱ロス分に相当する負荷を、前回算出された代表日における総給湯負荷に加算し、加算して得られた総給湯負荷に基づいてコージェネレーション設備Cの容量を決定する。
【0057】
図6は、熱ロスを考慮した代表日における1時間毎の単位給湯負荷の一例を示す図である。図6に示すように、コージェネ容量決定部23は、例えば1時間毎の単位給湯負荷それぞれに対して1時間毎の熱ロス分に相当する負荷を加算し、加算して得られた単位給湯負荷から平均値を算出し、この平均値に基づいてコージェネレーション設備Cの容量を再決定する。この際、コージェネ容量決定部23は、上記と同様に、なるべく平均値に近く、且つ、平均値以下となる容量のコージェネレーション設備Cに再決定することとなる。なお、算出する値は平均値に限られるものではない。
【0058】
また、貯湯容量決定部24は、1時間毎の単位給湯負荷それぞれに対して1時間毎の熱ロス分に相当する負荷を加算し、加算して得られた単位給湯負荷のうち、前回決定されたコージェネレーション設備Cの容量を上回る給湯負荷分に基づいて複数の貯湯槽310の容量(総容量)を再決定する。ここで、図6に示すように、コージェネレーション設備Cの容量が単位給湯負荷から平均値に決定された場合、貯湯容量決定部24は、図6に示すコージェネレーション設備Cの容量を上回る給湯負荷分(ハッチング部分)を複数の貯湯槽310の総容量として再決定することとなる。
【0059】
また、貯湯容量決定部24は、複数の貯湯槽310の総容量を再決定した後、上記と同様にして、個別の貯湯槽310の容量も決定する。
【0060】
上記のような処理を実行するため、設備決定装置1は、今回決定された複数の貯湯槽310の容量と、前回決定された複数の貯湯槽310の容量との差が所定範囲内となった場合、今回決定された複数の貯湯槽310の容量を最終結果として採用する。
【0061】
一方、設備決定装置1は、今回決定された複数の貯湯槽310の容量と、前回決定された複数の貯湯槽310の容量との差が所定範囲内とならなかった場合、熱ロス算出部25による処理、コージェネ容量決定部23による決定処理、及び貯湯容量決定部24による決定処理を再度実行することとなる。
【0062】
図7は、本発明の実施形態に係るコージェネレーションシステムCSの設備決定方法を示すフローチャートである。まず、図7に示すように、給湯負荷算出部21は、1時間単位の単位給湯負荷から構成される1日毎の総給湯負荷を、1年間にわたって算出する(S1)。この処理において給湯負荷算出部21は、予め記憶部26に記憶されている一人暮らし及び家族用等の給湯負荷データに基づいて算出を行う。
【0063】
次に、設定部22は、代表日を設定する(S2)。この処理において設定部22は、1日の総給湯負荷が最小となる日を代表日に設定する。なお、代表日は、1日の総給湯負荷が最小となる日に限らず、1日の総給湯負荷を1年間で低負荷側と高負荷側とに分けた場合に、低負荷側に属する日のいずれか1つが選択されてもよい。
【0064】
次に、コージェネ容量決定部23は、代表日における1時間毎の単位給湯負荷の平均値を算出する(S3)。なお、コージェネ容量決定部23は、平均値に限らず、極小値及び極大値を除く平均値や中央値等を採用してもよい。
【0065】
次いで、コージェネ容量決定部23は、ステップS3において算出された平均値に基づいて、コージェネレーション設備Cの容量を決定する(S4)。この処理においてコージェネ容量決定部23は、段階的に容量が定められているコージェネレーション設備Cから、平均値に最も近いものを選択したり、平均値以下で最も近いものを選択したりする。
【0066】
その後、貯湯容量決定部24は、ステップS4において決定されたコージェネレーション設備Cの容量に基づいて、複数の貯湯槽310の総容量を決定する(S5)。この場合において貯湯容量決定部24は、図5に示すようにコージェネレーション設備Cの容量を上回る給湯負荷分に基づいて複数の貯湯槽310の総容量を決定する。すなわち、コージェネレーション設備Cの容量を上回る給湯負荷を賄うように複数の貯湯槽310の総容量が決定される。
【0067】
次に、貯湯容量決定部24は、ステップS5において決定された複数の貯湯槽310の総容量に基づいて、各貯湯槽310の容量を決定する(S6)。この処理において貯湯容量決定部24は、単に総容量を世帯数等で均等割して各貯湯槽310の容量を決定してもよいし、一人暮らし世帯や4人家族世帯等を考慮して案分してもよい。
【0068】
その後、熱ロス算出部25は、バッファタンク110、ステップS6において決定された各貯湯槽310、及び、供給経路Lにおける代表日の熱ロス分を算出する(S7)。すなわち、熱ロス算出部25は、バッファタンク110、ステップS6において決定された各貯湯槽310、及び、供給経路Lからの放熱分を算出する。
【0069】
次に、コージェネ容量決定部23は、ステップS7において算出された代表日の熱ロス分に相当する負荷を、ステップS1において算出された代表日における総給湯負荷に加算し、加算して得られた総給湯負荷に基づいてコージェネレーション設備Cの容量を決定する(S8)。すなわち、コージェネ容量決定部23は、図6に示すようにしてコージェネレーション設備Cの容量を再決定する。この処理においては、ステップS4と同様に、平均値に近く且つ平均値以下の容量に決定されることが好ましい。
【0070】
その後、貯湯容量決定部24は、ステップS8において決定されたコージェネレーション設備Cの容量に基づいて、複数の貯湯槽310の総容量を再決定する(S9)。この処理において貯湯容量決定部24はステップS5と同様にして複数の貯湯槽310の総容量を再決定する。
【0071】
次いで、貯湯容量決定部24は、ステップS9において決定された複数の貯湯槽310の総容量に基づいて、各貯湯槽310の容量を再決定する(S10)。この処理において貯湯容量決定部24はステップS6と同様にして各貯湯槽310の容量を再決定する。
【0072】
その後、処理部20は、前回決定された複数の貯湯槽310の総容量(例えばステップS5において決定された複数の貯湯槽310の総容量)と、今回決定された複数の貯湯槽310の総容量(例えばステップS9において決定された複数の貯湯槽310の総容量)との容量差が所定範囲(例えば数%)内であるかを判断する(S11)。
【0073】
所定範囲内でない場合(S11:NO)、処理はステップS7に移行する。このため、処理部20は、熱ロス算出部25による処理(2回目)、コージェネ容量決定部23による決定処理(3回目)、及び貯湯容量決定部24による決定処理(3回目)を実行することとなる。実行後、容量差が所定範囲内とならない場合には、再度、熱ロス算出部25による処理(3回目以降)、コージェネ容量決定部23による決定処理(4回目以降)、及び貯湯容量決定部24による決定処理(4回目以降)が実行される。
【0074】
容量差が所定範囲内である場合(S11:YES)、処理部は繰り返し実行されるステップS8~S10の最新の処理において決定されたコージェネレーション設備Cの容量、及び複数の貯湯槽310の総容量(各貯湯槽310の容量)を最終結果とする。
【0075】
このようにして、本実施形態に係るコージェネレーションシステムCSの設備決定方法、設備決定装置1、設備決定プログラム及びコンピュータ読取可能な記録媒体によれば、1日毎の総給湯負荷が最小となる日を代表日として設定し、設定された代表日の総給湯負荷に基づいてコージェネレーション設備Cの容量を決定するため、コージェネレーション設備Cを全負荷のベースロード運転で貯湯槽310に熱を貯めながら利用しても捨てる熱は小さくなる。また、コージェネレーション設備Cの容量を上回る給湯負荷分に基づいて複数の貯湯槽310の容量を決定するため、代表日内において給湯負荷が高まった過渡的な負荷分を賄えるだけの容量を複数の貯湯槽310で設定することとなり、貯湯槽310の容量を適切化することとなる。従って、システム全体の効率の低下を抑制することができる。
【0076】
また、熱ロスを加味して、より適切なコージェネレーション設備Cと複数の貯湯槽310の容量を決定することで、一層システム全体の効率の低下を抑制することができる。
【0077】
また、今回決定された複数の貯湯槽310の容量と、前回決定された複数の貯湯槽310の容量との差が所定範囲内となった場合に最終結果とするため、所定範囲外となった場合にコージェネレーション設備Cの容量と複数の貯湯槽310の容量とを繰り返し実行することとなり、今回の容量と前回の容量との差異が小さく、計算上のバラつきが抑えられた状態のより一層適切なコージェネレーション設備Cと複数の貯湯槽310の容量を決定することとなり、より一層システム全体の効率の低下を抑制することができる。
【0078】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、適宜公知や周知の技術を組み合わせてもよい。
【0079】
例えば、本実施形態において給湯負荷算出部21は、1時間単位の単位給湯負荷に基づいて1日の総給湯負荷を1年間にわたって算出しているが、これに限らず、例えば3時間単位の単位給湯負荷に基づいて1月の総給湯負荷を1年間にわたって算出してもよいし、1日単位の単位給湯負荷に基づいて1週間(又は1月)の総給湯負荷を10年間にわたって算出してもよいし、各期間についてはコージェネレーションシステムCSの適用状態に応じて適宜設定可能である。この場合、設定部22は代表日に代えて代表週や代表月等を設定してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 :設備決定装置
10 :入力部
20 :処理部
21 :給湯負荷算出部(給湯負荷算出手段)
22 :設定部(設定手段)
23 :コージェネ容量決定部(コージェネ容量決定手段)
24 :貯湯容量決定部(貯湯容量決定手段)
25 :熱ロス算出部
26 :記憶部
30 :出力部
100 :第1設備
110 :バッファタンク
120 :接続配管
121 :バイパス配管
130 :熱交換器(加熱器)
200 :第2設備
210 :バッファタンク
231 :第1接続配管
232 :第2接続配管
300 :需要者側設備
310 :貯湯槽
320 :熱交換器
330 :二方弁
400 :差圧測定部
A :接続点
B :接続点
BO :ボイラ
BP1 :第1ボイラ系循環ポンプ
BP2 :第2ボイラ系循環ポンプ
BV :バイパス電動弁
C :コージェネレーション設備
CS :コージェネレーションシステム
HE :熱交換器
L :供給経路
P :循環ポンプ
R :ラジエータ
SV :電動弁
T1 :第1温度センサ
T2 :第2温度センサ
WP :廃熱系循環ポンプ
WT :廃熱温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7