(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】運転支援装置および移動体
(51)【国際特許分類】
G05D 1/24 20240101AFI20240213BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240213BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G05D1/24
G05D1/43
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2020105306
(22)【出願日】2020-06-18
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】小滝 義和
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-80840(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0047627(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/24
G05D 1/43
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪および後輪を備えた移動体の運転支援装置であって、
少なくとも後輪を駆動する駆動手段と、
前輪の角速度を検出する第1の検出手段と、
後輪の角速度を検出する第2の検出手段と、
前記第1および前記第2の検出手段の検出結果に基づき動く歩道への移動体の乗降を判定する判定手段と
を含み、
前記判定手段は、前輪と後輪の角速度差が生じたときまたは角速度差に変化が生じたとき前輪が動く歩道に乗ったと判定し、前輪が動く歩道に乗った後に、前輪と後輪の角速度差が無くなったときまたは角速度差の変化が無くなったとき後輪が動く歩道に乗ったと判定する、運転支援装置。
【請求項2】
前輪および後輪を備えた移動体の運転支援装置であって、
少なくとも後輪を駆動する駆動手段と、
前輪の角速度を検出する第1の検出手段と、
後輪の角速度を検出する第2の検出手段と、
前記第1および前記第2の検出手段の検出結果に基づき動く歩道への移動体の乗降を判定する判定手段とを含み、
前記判定手段は、移動体が動く歩道に乗った後、前輪に角速度が生じたとき前輪が動く歩道から降りたと判定す
る、運転支援装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前輪が動く歩道から降りたと判定した後、前輪と後輪の角速度差が無くなったときまたは角速度差が一定になったとき前輪および後輪が動く歩道から降りたと判定する、請求項
2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
運転支援装置はさらに、前記判定手段の判定結果に基づき前記駆動手段を制御する駆動制御手段を含み、
前記駆動制御手段は、前輪および後輪が動く歩道に乗ったと判定されたとき、後輪をロックする、請求項1ないし
3いずれか1つに記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記駆動制御手段は、前輪が動く歩道から降りたと判定されたとき、後輪のロックを解除し、後輪を駆動させる、請求項
4に記載の運転支援装置。
【請求項6】
請求項1ないし
5いずれか1つに記載の運転支援装置を搭載し、かつ歩道を走行可能な移動体。
【請求項7】
前記移動体は、電動カートである、請求項
6に記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者空間を走行可能な移動体に関し、特に、前輪および後輪を備えた電動カートの運転支援または走行支援に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会に伴い、歩道を走行可能な電動カートの利用が増加している。歩道に障害物があったり、歩道が狭くなる空間では、電動カートを歩道から車道、車道から歩道へ走行させなければならない。歩道と車道との間には段差があり、この段差によって電動カートの転倒を防止するため、前方を3Dスキャナを用いて三次元測定し、前方に段差等の障害物が検出された場合に電動カートを停止させる技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動カートが普及すると、エレベータ等の混雑解消のため、電動カートは、傾斜付きの動く歩道の利用が推奨されることが想定される。電動カートに実装された運転支援技術または自動走行技術は、カメラを主体とした画像認識を利用して走行の停止や再開の判定を行っている。
図1に、従来の電動カートの概略側面を示す。電動カート10は、本体12、前輪FW、後輪RW、座席14、収容ボックス16、カメラ18、本体12の前端および後端にぞれぞれ取り付けられた距離センサ20、22を含み、後輪RWがモータによって駆動される。カメラ18で撮像された前方画像から障害物や走行路等を判定し、距離センサ20、22で路面上の段差等を検出し、これらの情報を利用して運転支援や走行制御が行われる。
【0005】
ベルトコンベア、オートウォーク、トラベレータ、ムービングサイドウォーク、オートスロープ等の動く歩道を電動カートで走行する場合、電動カートは、安全性の観点から動く歩道上で停止していることが望ましい。
具体的には、
図2(A)に示すように、電動カート10が動く歩道30に乗るとき、前輪FWおよび後輪RWが動く歩道30に乗ってから後輪RWを停止させないと、電動カート10が動く歩道30の前で立ち往生してしまう。また、
図2(B)に示すように、電動カート10が動く歩道30から降りるとき、前輪FWが動く歩道30の踏板32に乗った時点で後輪RWの駆動を再開させないと、電動カート10が動く歩道10の前で立ち往生してしまう。
【0006】
しかしながら、現在の電動カートでは、動く歩道は障害物ではなく、しかも動く歩道に乗ったタイミングを正確に判定することができない。このため、電動カートを正確なタイミングで停止させることができない。また、動く歩道から降りる場合にも、前輪FWが踏板32に乗ったタイミングを正確に判定することができない。このため、電動カートを正確なタイミングで駆動させることができない。こうした課題は、電動カートの自動走行あるいはマニュアル走行の双方の運転支援に影響を及ぼす。さらにカメラ18を主体とした画像認識や距離センサ20、22の利用は、電動カートのコスト増を引き起こすという課題もある。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決し、動く歩道の乗降を正確に判定し、かつ低コスト化を図る運転支援装置および移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る運転支援装置は、前輪および後輪を備えた移動体のものであって、少なくとも後輪を駆動する駆動手段と、前輪の角速度を検出する第1の検出手段と、後輪の角速度を検出する第2の検出手段と、前記第1および前記第2の検出手段の検出結果に基づき動く歩道への移動体の乗降を判定する判定手段とを含む。
【0009】
ある実施態様では、前記判定手段は、前輪と後輪の角速度差が生じたときまたは角速度差に変化が生じたとき前輪が動く歩道に乗ったと判定する。ある実施態様では、前記判定手段は、前輪が動く歩道に乗った後に、前輪と後輪の角速度差が無くなったときまたは角速度差の変化が無くなったとき後輪が動く歩道に乗ったと判定する。ある実施態様では、前記判定手段は、移動体が動く歩道に乗った後、前輪に角速度が生じたとき前輪が動く歩道から降りたと判定する。ある実施態様では、前記判定手段は、前輪が動く歩道から降りたと判定した後、前輪と後輪の角速度差が無くなったときまたは角速度差が一定になったとき前輪および後輪が動く歩道から降りたと判定する。ある実施態様では、運転支援装置はさらに、前記判定手段の判定結果に基づき前記駆動手段を制御する駆動制御手段を含み、前記駆動制御手段は、前輪および後輪が動く歩道に乗ったと判定されたとき、後輪をロックする。ある実施態様では、前記駆動制御手段は、前輪が動く歩道から降りたと判定されたとき、後輪のロックを解除し、後輪を駆動させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前輪の角速度と後輪の角速度を検出し、検出された角速度から移動体の動く歩道への乗降を判定するようにしたので、移動体の前輪または後輪の乗降のタイミングを正確に判定することが可能になる。これにより、動く歩道への進入または発進に際して移動体の停止または駆動を自動制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図2(A)は、電動カートが動く歩道に乗るときの例を示し、
図2(B)は、電動カートが動く歩道を降りるときの例を示す。
【
図3】本発明の実施例に係る電動カートに搭載される運転支援装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】動く歩道に乗るときの電動カートの前輪と後輪の角速度の関係を説明する図である。
【
図5】動く歩道から降りるときの電動カートの前輪と後輪の角速度の関係を説明する図である。
【
図6】本発明の実施例による運転支援装置の動く歩道に乗るときの動作を説明するフローチャートである。
【
図7】本発明の実施例による運転支援装置の動く歩道から降りるときの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る運転支援装置は、移動体に固定的に搭載される電子装置によって実現されるものであってもよいし、移動体から取り外し可能な電子装置によって実現されるものであってもよい。電子装置は、例えば、コンピュータ装置、車載装置、スマートフォン等の多機能型携帯端末である。また、本発明に係る移動体は、歩行者と同様に歩道を走行することが許された車両であり、例えば、電動カートや電動車いす等の自走機能を備えた車両である。
【実施例】
【0013】
次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図3(A)は、本発明の実施例に係る電動カートの側面図である。電動カート200は、本体202、前輪FW、後輪RW、座席204、収容ボックス206を含み、後輪RWがバッテリーを動力源とするモータによって駆動される。前輪FWおよび後輪RWのタイヤの数は限定されないが、例えば、前輪FWが2輪または1輪であり、後輪RWが2輪である。また、前輪FWのタイヤの径や後輪RWのタイヤの径は限定されないが、例えば、前輪FWのタイヤの径と後輪RWのタイヤの径は等しい。
【0014】
電動カート200は、自動走行または運転者によるマニュアル走行が可能である。マニュアル走行を可能にするため、電動カート200には、前輪FWの舵を操作するためのハンドル、走行の加減速のためのアクセル、ブレーキ(図中、省略)などが実装されている。また、本実施例の電動カート200は、従来の
図1に示す電動カート10と異なり、前方の障害物を検出するためのカメラ18や距離センサ20、22を必須とするものではない。
【0015】
図3(B)は、本実施例の運転支援装置の構成を示すブロック図である。本実施例の運転支援装置100は、電動カート200の任意の位置に取り付けられる。運転支援装置100は、前輪FWの角速度を検出するための前輪角速度検出部110、後輪RWの角速度を検出するための後輪角速度検出部120、前輪FWおよび/または後輪RWの減速やロックまたはその解除をするためのブレーキ駆動部130、後輪RWを駆動するためのモータ駆動部140、ハンドルを操作するための操舵駆動部150、マニュアル走行時に運転者が操作した情報を受け取る操作入力部160、電動カート200の現在地を検出し、検出した現在地と地図データを利用して目的地までの経路を探索する機能等を備えるナビゲーション部170、運転支援装置の全体の制御を行う制御部180を含む。
【0016】
電動カート200は、自動走行またはマニュアル走行が可能であり、自動走行時、制御部180は、ナビゲーション部170と連携して目的地までの探索経路に従い電動カート200を走行させることができる。また、マニュアル走行時、制御部180は、操作入力部160を介して入力された運転者の操作情報に従い電動カート200を走行させることができる。制御部180は、自動走行時およびマニュアル走行時に、動く歩道の乗降の運転支援を行う。ある実施態様では、制御部180は、ROM/RAMを備えたマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ等を含み、ROM/RAM等に格納されたプログラムを実行することで動く歩道の乗降の運転支援を行う。
【0017】
本実施例の電動カート200において特徴的な構成は、前輪角速度検出部110が前輪FWの角速度を検出し、後輪角速度検出部120が後輪RWの角速度を検出し、制御部180は、前輪FWと後輪RWの角速度差または角速度の変化に基づき動く歩道の乗降の運転支援を行う。前輪角速度検出部110および後輪角速度検出部120は、例えば、ホール素子のような磁気センサあるいは光学センサを用いて単位時間当たりの前輪FWおよび後輪RWの回転角、すなわち角速度を検出する。
【0018】
図4は、電動カート200が動く歩道30に乗るときの前輪FWと後輪RWの角速度の関係を説明する図である。動く歩道30は、静止状態の踏板32と、踏板32から連続する搬送部34とを含む。搬送部34は、一定の速度Svで移動するベルトまたは可動部であり、平坦な領域あるいは傾斜した領域に配置される。踏板32は必ずしも必須ではなく、道路から搬送部34が連続するような構成であってもよい。動く歩道30を利用する場合、電動カート200は、踏板32に対して概ね真っ直ぐに進入し、その後、搬送部34に乗るものとする。
【0019】
先ず、
図4(A)に示すように、電動カート200が搬送部34に乗る前の踏板32を走行するとき、前輪FWのタイヤの径D1と後輪RWのタイヤの径D2とが等しければ、前輪FWの角速度S1と後輪RWの角速度S2とは等しい関係にある(S1=S2)。但し、タイヤのスリップ、前輪FWの操舵のぶれ、検出部110、120の誤差等を考慮し、角速度S1と角速度S2が概ね等しければ(つまり、角速度差が一定以下であれば)、角速度S1と角速度S2とが等しいと判定する。また、前輪FWのタイヤの径D1と後輪RWのタイヤの径D2とが異なる場合には、前輪FWの角速度S1と後輪RWの角速度S2とは等しくはならない(S1/S2=D1/D2)。この場合には、角速度差(S1-S2)が一定または角速度比(S1/S2)が一定の関係にある。
【0020】
次に、
図4(B)に示すように、電動カート200の前輪FWが踏板32を超えて搬送部34に乗ると、前輪FWの角速度S1は、搬送部34の速度Svだけ遅くなる。つまり、前輪FWと後輪RWとの間に角速度差(S1-S2=Sv)が生じる。前後輪のタイヤの径が異なる場合には、角速度差または角速度比に変化が生じる。
【0021】
次に、
図4(C)に示すように、電動カート200の後輪RWが搬送部34に乗ると、前輪FWの角速度S1と後輪RWの角速度S2とが等しくなる(S1=S2)。タイヤの径が異なる場合には、角速度差または角速度比が
図4(A)のときと同じになる。制御部180は、
図4(A)ないし(C)の角速度の変化から電動カート200が動く歩道30に乗ったタイミングを正確に判定することができる。
【0022】
図5は、電動カート200が動く歩道30を降りるときの前輪FWと後輪RWの角速度の関係を説明する図である。
図5(A)に示すように、電動カート200が搬送部34によって搬送されているとき、前輪FWの角速度S1と後輪RWの角速度S2は等しい(S1=S2)。なお、搬送部34で搬送される間、後輪RWはロックされるので、実際には、S1=S2=0である。
【0023】
次に、
図5(B)に示すように、電動カート200の前輪FWが搬送部34を超えて踏板32に乗ると、前輪FWに角速度S1が発生する。この角速度S1は、搬送部34の速度Svに応じた大きさである。つまり、前輪FWと後輪RWとの間に角速度差が生じる(S1>S2)。このタイミングで、後輪RWのロックが解除され、後輪RWの駆動が再開される。
【0024】
次に、
図5(C)に示すように、電動カート200の後輪RWが搬送部34を超えて踏板32に乗ると、前輪FWの角速度S1と後輪RWの角速度S2とが等しい関係になる(S1=S2)。制御部180は、
図5(A)ないし(C)の角速度の変化から電動カート200が動く歩道を降りたタイミングを正確に判定することができる。
【0025】
次に、本実施例の運手支援装置の動作について説明する。
図6は、動く歩道に乗るときの運転支援の動作フローであり、ここでは、前輪FWと後輪RWのタイヤの径は等しいものとする。制御部180は、前輪角速度検出部110および後輪角速度検出部120によって検出された前輪FWの角速度S1および後輪RWの角速度S2を監視し(S100)、角速度差(S1=S2-Sv)が生じたか否かを検出する(S110)。つまり、前輪FWの角速度S1が後輪RWの角速度S2よりも搬送部34の速度Svの分だけ遅くなったことを検出する。
【0026】
制御部180は、角速度差(S1=S2-Sv)を検出すると、前輪FWが搬送部34に乗ったと判定する(S120)。制御部180はさらに角速度S1、S2を監視し、角速度差が無くなったこと、つまりS1=S2を検出すると(S130)、前輪FWおよび後輪RWが搬送部34に乗ったと判定する(S140)。この判定結果は、電動カートが動く歩道に乗ったことを示すフラグとしてセットされるようにしてもよい。制御部180は、電動カート200が動く歩道に乗ったことに応答して、ブレーキ駆動部130あるいはモータ駆動部140を介して後輪RWをロックさせる(S150)。
【0027】
図7は、動く歩道から降りるときの運転支援の動作フローである。制御部180は、セットされたフラグを参照し、動く歩道から降りるときの運転支援を開始する。制御部180は、前輪FWの角速度S1と後輪RWの角速度S2を監視し(S200)、角速度差が生じていない場合には(S1=S2=0)、電動カート200が搬送部34上にあると判定する。
【0028】
制御部180は、前輪FWの角速度S1が発生したとき、あるいは角速度差(S1>S2)を検出すると(S210)、前輪FWが踏板32に乗ったと判定する(S220)。この判定に応答して、制御部180は、ブレーキ駆動部130を介して後輪RWのロックを解除し、モータ駆動部140を介して後輪RWの駆動を開始させる(S230)。この場合、モータ駆動部140は、通常の走行時よりも低速回転で後輪RWを駆動することで、電動カート200が急発進することによる衝撃を緩和するようにしてもよい。
【0029】
その後、制御部180は、角速度差がないこと、つまりS1=S2を検出すると(S240)、電動カートが動く歩道から完全に降りたと判定する(S250)。この判定に伴い、制御部180は、例えば、モータ駆動部140を介して電動カート200を通常の速度で走行を開始させ、フラグのセットを解除する。
【0030】
このように本実施例によれば、前輪の角速度と後輪の角速度の変化から電動カートの動く歩道の乗降のタイミングを正確に判定することができる。これにより、動く歩道の入口や出口で電動カートを立ち往生させることなく、動く歩道への進入および動く歩道からの発進を自動で行うことができる。また、動く歩道における電動カートの走行を制限することにより、動く歩道上での接触事故を防止することができ、さらに電動カートが傾斜付き動く歩道を利用し易くなり、エレベータの混雑時でもフロア間の移動が容易になる。さらに本実施例では、カメラやカメラで撮像された画像の処理装置、距離センサなどを必要としないため、電動カートの低コスト化を図ることができる。
【0031】
上記実施例では、前輪と後輪のタイヤの径が同じ場合を例示したが、本発明は、前輪と後輪のタイヤの径が異なる場合でも適用できることは言うまでもない。さらに上記実施例では、電動カートを例示したが、本発明は、動く歩道を走行することができるあらゆる車両または移動体に適用することができる。さらに上記実施例では、電動カートの後輪を駆動する例を示したが、本発明は、電動カートの前輪および後輪を駆動する場合にも適用することができる。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0033】
10:電動カート 30:動く歩道
32:踏板 34:搬送部
100:運転支援装置 200:電動カート
FW:前輪 RW:後輪
S1、S2:角速度