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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】電子部品の固定構造、及び車載充電器
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/40 20060101AFI20240213BHJP
   H05K 7/12 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
H01L23/40 E
H05K7/12 L
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021142158
(22)【出願日】2021-09-01
(65)【公開番号】P2023035365
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】地田 知明
(72)【発明者】
【氏名】井本 健太郎
【審査官】高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0343775(US,A1)
【文献】中国実用新案第211090385(CN,U)
【文献】特開2015-103800(JP,A)
【文献】特開2016-034008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/34-23/473
H05K7/12
H05K7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の壁面に沿って並べて配された複数の電子部品を前記筐体の前記壁面に押圧した状態で固定する固定部材と、
前記筐体における前記壁面から離間した位置に設けられ、前記固定部材が締結固定される被締結部と
を備え、
前記固定部材は、
前記固定部材による押圧方向に対して交差する締結方向に前記被締結部に締結固定される固定部と、
複数の前記電子部品が並ぶ方向に並べて配され、それぞれ、前記固定部から前記電子部品へ延び前記電子部品を前記壁面に対して前記押圧方向に押圧する複数の押圧部と、
前記固定部に設けられた第1の係合部と
前記固定部に設けられた第2の係合部と
を備え、
前記被締結部は、
前記第1の係合部が係合し前記第1の係合部との共働により前記固定部の前記押圧方向の反対方向への移動を制限する第1の被係合部と、
前記第2の係合部が係合し前記第2の係合部との共働により前記固定部の前記押圧方向の反対方向への移動を制限する第2の被係合部と
を備え
前記固定部は、複数の前記電子部品が並ぶ方向を長手方向として延在し、
前記第1の係合部と前記第1の被係合部とが係合する第1の係合位置は、前記固定部における前記長手方向の一端側に配され、
前記第2の係合部と前記第2の被係合部とが係合する第2の係合位置は、前記固定部における前記長手方向の他端側に配され、
前記固定部は、前記固定部の前記長手方向の中央部における前記押圧部と前記押圧部との間から前記電子部品側に張り出し前記被締結部に締結される張出部を備える電子部品の固定構造。
【請求項2】
筐体と、
前記筐体の壁面に沿って並べて配され前記筐体の前記壁面に固定される複数の電子部品と、
複数の前記電子部品を前記壁面に押圧した状態で固定する固定部材と、
前記筐体における前記壁面から離間した位置に設けられ、前記固定部材が締結固定される被締結部と
を備え、
前記固定部材は、
前記固定部材による押圧方向に対して交差する締結方向に前記被締結部に締結固定される固定部と、
複数の前記電子部品が並ぶ方向に並べて配され、それぞれ、前記固定部から前記電子部品へ延び前記電子部品を前記壁面に対して前記押圧方向に押圧する複数の押圧部と、
前記固定部に設けられた第1の係合部と
前記固定部に設けられた第2の係合部と
を備え、
前記被締結部は、
前記第1の係合部が係合し前記第1の係合部との共働により前記固定部の前記押圧方向の反対方向への移動を制限する第1の被係合部と、
前記第2の係合部が係合し前記第2の係合部との共働により前記固定部の前記押圧方向の反対方向への移動を制限する第2の被係合部と
を備え
前記固定部は、複数の前記電子部品が並ぶ方向を長手方向として延在し、
前記第1の係合部と前記第1の被係合部とが係合する第1の係合位置は、前記固定部における前記長手方向の一端側に配され、
前記第2の係合部と前記第2の被係合部とが係合する第2の係合位置は、前記固定部における前記長手方向の他端側に配され、
前記固定部は、前記固定部の前記長手方向の中央部における前記押圧部と前記押圧部との間から前記電子部品側に張り出し前記被締結部に締結される張出部を備える車載充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の固定構造、及び車載充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の固定構造として、配列された複数の発熱電子部品を、放熱素子と弾性クリップとの間に挟み込むことにより、複数の発熱電子部品と放熱素子とを緊密に貼り合わせたものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1には、発熱電子部品と発熱電子部品との間において弾性クリップをネジで放熱素子に締め付けることにより、複数の発熱電子部品を放熱素子に圧接させる構造が記載されている。また、特許文献1,2には、複数の発熱電子部品の下側において弾性クリップをネジで放熱素子に締め付けることにより、複数の発熱電子部品を放熱素子に圧接させる構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-108121号公報
【文献】特開2016-167425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発熱電子部品と発熱電子部品との間において弾性クリップをネジで放熱素子に締め付ける構造では、発熱電子部品と発熱電子部品との間にネジや被締結部等のスペースを設ける必要があることから、複数の発熱電子部品の設置スペースのピッチ方向(複数の発熱電子部品の配列方向)の寸法が大きくなる。また、ネジの締め付け代によりボルトの締付力が変わる。
【0005】
また、発熱電子部品の下側において弾性クリップをネジで放熱素子に締め付ける構造では、発熱電子部品の下側にネジや被締結部等のスペースを設ける必要があることから、複数の発熱電子部品の設置スペースの高さ方向の寸法が大きくなる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、電子部品を筐体の壁面に確実に固定できると共に、筐体の壁面における電子部品の設置スペースの寸法の増大を抑えることができる電子部品の固定構造、及び車載充電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子部品の固定構造は、筐体の壁面に沿って並べて配された複数の電子部品を前記筐体の前記壁面に押圧した状態で固定する固定部材と、前記筐体における前記壁面から離間した位置に設けられ、前記固定部材が締結固定される被締結部とを備え、前記固定部材は、前記固定部材による押圧方向に対して交差する締結方向に前記被締結部に締結固定される固定部と、複数の前記電子部品が並ぶ方向に並べて配され、それぞれ、前記固定部から前記電子部品へ延び前記電子部品を前記壁面に対して前記押圧方向に押圧する複数の押圧部と、前記固定部に設けられた第1の係合部と、前記固定部に設けられた第2の係合部とを備え、前記被締結部は、前記第1の係合部が係合し前記第1の係合部との共働により前記固定部の前記押圧方向の反対方向への移動を制限する第1の被係合部と、前記第2の係合部が係合し前記第2の係合部との共働により前記固定部の前記押圧方向の反対方向への移動を制限する第2の被係合部とを備え、前記固定部は、複数の前記電子部品が並ぶ方向を長手方向として延在し、前記第1の係合部と前記第1の被係合部とが係合する第1の係合位置は、前記固定部における前記長手方向の一端側に配され、前記第2の係合部と前記第2の被係合部とが係合する第2の係合位置は、前記固定部における前記長手方向の他端側に配され、前記固定部は、前記固定部の前記長手方向の中央部における前記押圧部と前記押圧部との間から前記電子部品側に張り出し前記被締結部に締結される張出部を備える。
【0008】
本発明の車載充電器は、筐体と、前記筐体の壁面に沿って並べて配され前記筐体の前記壁面に固定される複数の電子部品と、複数の前記電子部品を前記壁面に押圧した状態で固定する固定部材と、前記筐体における前記壁面から離間した位置に設けられ、前記固定部材が締結固定される被締結部とを備え、前記固定部材は、前記固定部材による押圧方向に対して交差する締結方向に前記被締結部に締結固定される固定部と、複数の前記電子部品が並ぶ方向に並べて配され、それぞれ、前記固定部から前記電子部品へ延び前記電子部品を前記壁面に対して前記押圧方向に押圧する複数の押圧部と、前記固定部に設けられた第1の係合部と、前記固定部に設けられた第2の係合部とを備え、前記被締結部は、前記第1の係合部が係合し前記第1の係合部との共働により前記固定部の前記押圧方向の反対方向への移動を制限する第1の被係合部と、前記第2の係合部が係合し前記第2の係合部との共働により前記固定部の前記押圧方向の反対方向への移動を制限する第2の被係合部とを備え、前記固定部は、複数の前記電子部品が並ぶ方向を長手方向として延在し、前記第1の係合部と前記第1の被係合部とが係合する第1の係合位置は、前記固定部における前記長手方向の一端側に配され、前記第2の係合部と前記第2の被係合部とが係合する第2の係合位置は、前記固定部における前記長手方向の他端側に配され、前記固定部は、前記固定部の前記長手方向の中央部における前記押圧部と前記押圧部との間から前記電子部品側に張り出し前記被締結部に締結される張出部を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子部品を筐体の壁面に確実に固定できると共に、筐体の壁面における電子部品の設置スペースの寸法の増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品の固定構造を示す斜視図である。
図2図2は、図1の固定構造を固定部材を不図示にして示す斜視図である。
図3図3は、図1の固定構造の固定部材を示す斜視図である。
図4図4は、図1の固定構造を示す平面図である。
図5図5は、図1の固定構造を示す側面図である。
図6図6は、本発明の他の実施形態に係る電子部品の固定構造を示す平面図である。
図7図7は、本発明の他の実施形態に係る電子部品の固定構造を示す平面図である。
図8図8は、本発明の他の実施形態に係る電子部品の固定構造を示す平面図である。
図9図9は、本発明の他の実施形態に係る電子部品の固定構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品1の固定構造10を示す斜視図である。この図に示す固定構造10は、車載充電器2の筐体21の壁面211に取り付けられる電子部品1を固定する。この固定構造10は、固定部材100と、固定部材100が締結されて固定される台220とを備える。
【0013】
電子部品1は、通電によって自己発熱する電子部品であり、例えば、FET(Field Effect Transistor)やディスクリート部品等である。この電子部品1は、発熱部である薄型の直方体形状の本体部11と、複数のリード線12とを備える。複数のリード線12は、不図示の回路基板に接続される。
【0014】
筐体21の壁面211には、電子部品1の放熱、絶縁のために放熱シート3が貼り付けられている。電子部品1は、放熱シート3を介して筐体21の壁面211に固定部材100により押圧された状態で固定されている。また、筐体21の壁面211には、冷却水路(図示省略)が配されており、電子部品1の放熱を促進する。
【0015】
本実施形態では、複数の電子部品1が、筐体21の壁面211の左右方向(高さ方向に対して直交する方向)に沿って等間隔で配列されている。ここで、電子部品1と電子部品1との間隔は、ネジやボルトを挿入できない程に狭く設定されている。また、各電子部品1は、本体部11の一方の面(放熱面)が放熱シート3に面接触し、リード線12が本体部11から上方に延びるように配されている。
【0016】
筐体21の壁面211から側方にフランジ212が張り出しており、このフランジ212の上面に複数の台220が設けられている。複数の台220は、複数の電子部品1の配列方向に沿って等間隔で配されている。台220は、複数の電子部品1の配列方向を長手方向とする長方形状の上面220Aを備える。ここで、複数の台220の各々は、2個の電子部品1に対応して設けられている。
【0017】
図2は、図1の固定構造10を固定部材100を不図示にして示す斜視図である。図1及び図2に示すように、台220は、2個の電子部品1の下端部(リード線12側の反対側の端部)の近傍で当該下端部に対して平行に延在している。台220の上面220Aには、固定部材100がネジ4により締結固定されている。台220の上面220Aには、一対のボス221が形成され、台220の長手方向中央部にはネジ孔222が形成されている。
【0018】
図3は、図1の固定構造10の固定部材100を示す斜視図である。図1及び図3に示すように、固定部材100は、固定部110と、一対の押圧部120とを備える。固定部110は、電子部品1の配列方向を長手方向とする長方形の板状に形成されている。この固定部110の長手方向中央部にはネジ4の挿通孔111が形成されている。固定部110は、挿通孔111に挿通されたネジ4がネジ孔222(図2参照)に螺合することにより、台220の上面220Aに締結固定されている。
【0019】
固定部110の長手方向中央部には、半円形状の被締結部112が形成されている。この被締結部112は、固定部110における長手方向中央部且つ幅方向一端部(電子部品1側の端部)に、電子部品1側に張り出すように形成されている。この被締結部112の曲率中心とネジ孔222の中心とが一致している。
【0020】
固定部110の幅方向他端部(電子部品1側に対して反対側の端部)には、一対のU字状の溝113が形成されている。この一対の溝113は、固定部110の長手方向の一端側と他端側とに設けられている。この一対の溝113の深部の曲率中心は、固定部110の幅方向中央部に配されている。
【0021】
図4は、図1の固定構造10を示す平面図である。図1及び図4に示すように、一対のボス221が、台220の上面220Aの長手方向の一端側と他端側とに配されている。この一対のボス221は、一対の溝113に対応して設けられており、各ボス221の中心位置は、各溝113の深部の曲率中心位置と一致し、各ボス221は溝113の深部に係合している。
【0022】
一対の押圧部120は、板バネである。この一対の押圧部120は、電子部品1の配列方向に並べて配されている。この一対の押圧部120の間に被締結部112が設けられている。各押圧部120は、各電子部品1に対向するように配されている。
【0023】
一対の押圧部120は、固定部110の幅方向一端部(電子部品1側の端部)から電子部品1側に傾斜した状態で立ち上がっている。各押圧部120の先端側は、各電子部品1から離間する側に屈折しており、各押圧部120の屈折部121が、各電子部品1の本体部11の中央部に当接している。これにより、板バネである押圧部120の弾性力が電子部品1を筐体21の壁面211に押圧する力として作用し、電子部品1が押圧部120により壁面211に対して押圧された状態で固定されている。
【0024】
図5は、図1の固定構造10を示す側面図である。この図に示すように、固定構造10では、押圧部120から電子部品1及び壁面211に対して押圧力が作用するのに対して、その押圧力に対する反力Yが、押圧部120を介して固定部110に作用する。この反力Yは、ネジ4の締結方向に対して直交する方向に作用するところ、一対のボス221と一対の溝113(図1参照)との係合により、反力Yによる固定部110の押圧方向の反対方向への移動が制限されている。また、台220の上面220Aに締結固定された固定部110のネジ4の回りの回動が一対のボス221及び一対の溝113により制限されている。
【0025】
ここで、上述の従来技術のように、固定部110をネジ4により壁面211に締結固定する比較例について検討する。当該比較例では、壁面211における電子部品1の周囲にネジ孔を形成して固定部110を締結固定しなければならず、壁面211の面積が、固定部110を取り付けるスペースの分だけ拡大する。固定部110を壁面211における電子部品1の下側に取り付ける場合には、壁面211の高さ寸法が拡大し、筐体21が高さ方向に大型化する。他方で、固定部110を壁面211における電子部品1と電子部品1との間に取り付ける場合には、壁面211の横方向(電子部品1の配列方向)の寸法が拡大し、筐体21が横方向に大型化する。
【0026】
それに対して、本実施形態の電子部品1の固定構造10では、固定部材100の固定部110が、押圧方向の反対方向に壁面211から離間した位置に設けられた台220に締結固定されている。また、固定部110は、ネジ4により、押圧方向に対して交差する締結方向に台220に締結固定されている。これにより、壁面211における電子部品1の下側や電子部品1と電子部品1との間から、固定部110を取り付けるためのスペースを無くすことができる。従って、上記比較例に比して、壁面211の高さ寸法及び横方向の寸法を抑えることができ、筐体21の高さ方向及び横方向への大型化を抑えることができる。
【0027】
また、本実施形態の電子部品1の固定構造10では、固定部110に設けられた溝113と台220に設けられたボス221との共働により、反力Yによる固定部110の押圧方向の反対方向への移動を制限できる。従って、固定部材100により確実に電子部品1を壁面211に押圧した状態で固定することができ、電子部品1の放熱効果を確実に実現できる。
【0028】
また、本実施形態の電子部品1の固定構造10では、一対の押圧部120が、電子部品1の配列方向に並べて配され、各押圧部120が、各電子部品1に対応して設けられている。ここで、各押圧部120の幅は、各電子部品1の本体部11の幅に比して狭いので、電子部品1と電子部品1との間隔を不要に広げることなく、一対の押圧部120の間に固定部110の被締結部112を設けることが可能となっている。その被締結部112を、壁面211から離間した位置に存在する台220に締結固定することにより、一対の押圧部120を備える固定部材100を、電子部品1と電子部品1との間隔を不要に広げることなく筐体21に取り付けることを実現している。
【0029】
また、本実施形態の電子部品1の固定構造10では、一対の溝113と一対のボス221とが電子部品1の配列方向に並べて配されている。これにより、押圧部120やネジ4に対する溝113及びボス221の位置関係にかかわらず、押圧部120のネジ4の回りの回転を制限できる。
【0030】
図6は、本発明の他の実施形態に係る電子部品1の固定構造10Aを示す平面図である。この図に示すように、本実施形態の固定構造10Aでは、上記実施形態の一対の溝113に代えて、丸孔113A及び長孔113Bを備える。丸孔113Aは、一方のボス221を、電子部品1の配列方向及び押圧方向の2方向について相対的に位置決めする。他方で、長孔113Bは、他方のボス221を、押圧方向の1方向について相対的に位置決めする。これにより、固定部材100が、電子部品1の配列方向及び押圧方向の2方向について位置決めされている。
【0031】
図7は、本発明の他の実施形態に係る電子部品1の固定構造10Bを示す平面図である。この図に示すように、本実施形態の固定構造10Bでは、1個の台220に1本のボス221が設けられ、1個の固定部110に1個の丸孔113Aが設けられている。丸孔113Aは、ボス221を、電子部品1の配列方向及び押圧方向の2方向について相対的に位置決めする。
【0032】
ここで、ネジ4が右ネジであれば、ネジ4の締付時に時計周り方向の回転力が固定部110に作用し、ネジ4が左ネジであれば、ネジ4の締付時に反時計周り方向の回転力が固定部110に作用する。それに対して、丸孔113Aとボス221とにより、固定部110のネジ4を中心とする時計周り方向及び反時計周り方向の回転が制限されている。よって、ネジ4の締付時の固定部110の回転が防止される。
【0033】
図8は、本発明の他の実施形態に係る電子部品1の固定構造10Cを示す平面図である。この図に示すように、本実施形態の固定構造10Cでは、各固定部材100Cが、1個の押圧部120と1個の溝113とを備え、1個の台220に1本のボス221が設けられている。
【0034】
ここで、ネジ4は右ネジであり、ネジ4の締付時に各固定部110に時計周り方向の回転力が作用する。それに対して、溝113及びボス221が、各固定部110のネジ4を中心とする時計周り方向の回転を制限する位置に配されている。よって、ネジ4の締付時の各固定部110の回転が防止される。
【0035】
図9は、本発明の他の実施形態に係る電子部品1の固定構造10Dを示す側面図である。この図に示すように、本実施形態の固定構造10Dでは、上記実施形態では水平であった台220の上面220Aが傾斜している。ここで、上面220Aは、電子部品1の側から離れるにつれて高さが低くなるように傾斜している。これにより、上記実施形態では垂直であったネジ4の姿勢が、頭部が電子部品1から離れる側に傾いた姿勢となっている。よって、ネジ4の締付時にドライバー等の締結工具と電子部品1とが干渉し難くなり、ネジ4の締結作業の作業性が向上される。
【0036】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、適宜公知や周知の技術を組み合わせてもよい。例えば、上記実施形態では、ボス221を台220に設け、溝113や丸孔113Aや長孔113Bを固定部110に設けたが、ボス221を固定部110に設け、溝113や丸孔113Aや長孔113Bを台220に設けてもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、2個の押圧部120を1個の固定部材100に設けたが、3個以上の押圧部120を1個の固定部材100に設けてもよい。この場合、1個の固定部材100を3個以上の電子部品1に対応して設けることになる。さらに、溝113や丸孔113Aや長孔113B、及びボス221の数も1個や2個には限られず、3個以上にしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 :電子部品
2 :車載充電器
10 :固定構造
10A :固定構造
10B :固定構造
10C :固定構造
10D :固定構造
21 :筐体
100 :固定部材
100C :固定部材
110 :固定部
113 :溝(係合部)
113A :丸孔(係合部)
113B :長孔(係合部)
120 :押圧部
211 :壁面
220 :台(被締結部)
221 :ボス(被係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9