(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】工作工具における回転駆動工具を測定及び制御するためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/22 20060101AFI20240213BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20240213BHJP
G01B 11/02 20060101ALI20240213BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20240213BHJP
G05B 19/18 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
B23Q17/22 D
G01B11/24 A
G01B11/02 Z
B23Q17/00 F
G05B19/18 X
(21)【出願番号】P 2018109910
(22)【出願日】2018-06-08
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】10 2017 005 488.6
(32)【優先日】2017-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502140743
【氏名又は名称】ブルム‐ノヴォテスト・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト メルシュ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ リーター
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ハーフェレ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴール マイアー
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-138099(JP,A)
【文献】特開平08-267343(JP,A)
【文献】特開2006-284471(JP,A)
【文献】特表2011-507119(JP,A)
【文献】特表2006-510495(JP,A)
【文献】特開平09-253979(JP,A)
【文献】特開2007-003346(JP,A)
【文献】特開2006-343128(JP,A)
【文献】特開平05-250019(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013011307(DE,A1)
【文献】特開2001-314936(JP,A)
【文献】特開2013-174549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00、22、24
G01B 11/02、24
G05B 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動工具(160)を測定及び制御するための処理ユニット(150、1150、1250)であって、
前記処理ユニットは、送光ユニット(120)及び受光ユニット(130)を含む光バリア装置(110)に接続可能であり、
前記処理ユニットは、第1の測定位置における前記回転駆動工具によって及び/又は前記回転駆動工具の少なくとも1つの刃先(180)によって生成される遮光に少なくともほぼ比例する信号を受信するように構成されており、
前記処理ユニットは前記受信した信号を評価し、前記光バリア装置に制御信号を送るように構成されており、
前記処理ユニットにより受信された信号の評価は、
前記受信した信号の、干渉信号成分及び/又は有効信号成分を判定することを、前記干渉信号成分と有効信号成分とに分離することにより、繰り返し行うステップと、
工作機械(170)の数値制御装置に転送するための、前記有効信号成分、前記干渉信号成分及び/又は前記受信した信号に関する情報を提供するステップと
を含み、
周波数及び/又は振幅が前記回転駆動工具及び/又は前記少なくとも1つの刃先(180)に対して予め定義され、前記処理ユニットが、前記予め定義した周波数及び振幅に基づいて、前記干渉信号成分及び/又は前記有効信号成分を判定するように構成されたものであり、
前記処理ユニットが、前記繰り返し判定される有効信号成分を互いに比較し、該比較に基づいて測定位置の誤差を決定するように構成されたものであり、
前記処理ユニットが、前記測定位置の誤差に基づいて、補正された位置に対応する第2の測定位置を決定するように構成されたものであり、
前記受光ユニットが、前記第2の測定位置において前記回転駆動工具によって及び/又は前記回転駆動工具の少なくとも1つの刃先によって生成される遮光に少なくともほぼ比例する信号を生成するものであることを特徴とするものである処理ユニット。
【請求項2】
前記処理ユニットが、
前記繰り返される有効信号成分、干渉信号成分及び/又は受信した信号を重ね合わせて、
前記重ね合わされた有効信号成分、干渉信号成分及び/又は受信した信号にブロックフィルタを適用し、
前記有効信号成分、前記干渉信号成分及び/又は前記受信した信号の代表値を前記重ね合わせた有効信号成分、前記干渉信号成分及び/又は受信した信号に基づいて決定し、
前記工作機械の前記数値制御装置に転送するために、前記有効信号成分、前記干渉信号成分及び/又は前記受信した信号の代表値に関する情報を提供するように構成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の処理ユニット。
【請求項3】
前記ブロックフィルタが中央値フィルタ、最小値フィルタ、最大値フィルタ、平均値フィルタ又はこれらのフィルタの組み合わせであることを特徴とする請求項2に記載の処理ユニット。
【請求項4】
前記処理ユニットは、さらに、前記有効信号成分、前記干渉信号成分及び/又は前記受信した信号に基づいて、前記回転駆動工具の及び/又は前記少なくとも1つの刃先の、刃先の数及び/又は形状及び/又は長さを決定し、前記回転駆動工具の及び/又は前記少なくとも1つの刃先の、前記刃先の数及び/又は前記形状及び/又は前記長さに関する情報を、前記工作機械の前記数値制御装置に提供するように構成されたものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の処理ユニット。
【請求項5】
前記形状及び/又は前記長さを決定するために、前記処理ユニットが、予め定義された較正関数にアクセスするものであり、前記予め定義された較正関数は、前記回転駆動工具によって及び/又は前記少なくとも1つの刃先によって生成される遮光と、それに関連した、少なくともほぼ比例する信号の関係を規定するものであることを特徴とする請求項4に記載の処理ユニット。
【請求項6】
前記処理ユニットは、前記決定した回転駆動工具の、刃先の数及び/又は形状及び/又は長さに基づいて、前記回転駆動工具の、刃先の数及び/又は形状及び/又は長さと、既知の工具の予め定義された刃先の数及び/又は形状及び/又は長さを比較することにより工具の識別を行うことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の処理ユニット。
【請求項7】
前記処理ユニットは、前記予め定義された較正関数を用いて、前記回転駆動工具の及び/又は前記少なくとも1つの刃先の長さを決定するために、前記回転駆動工具の及び/又は前記少なくとも1つの刃先の前記遮光の極大値を決定し、前記回転駆動工具の及び/又は前記少なくとも1つの刃先の長さに関する情報を前記工作機械の前記数値制御装置に提供するように構成されたものであることを特徴とする請求項5に記載の処理ユニット。
【請求項8】
前記処理ユニットが、前記有効信号成分の及び/又は前記受信した信号の1つ以上の対称的な又はほぼ対称的な信号領域を決定し、前記1つ以上の対称的な又はほぼ対称的な信号領域を正弦関数回帰、多項式回帰、ガウス回帰及び/又は指数平滑化でフィットさせ、前記対称的に又はほぼ対称的にフィットさせた信号領域における極大値を決定するように構成されたものであることを特徴とする請求項7に記載の処理ユニット。
【請求項9】
前記処理ユニットが、前記極大値をピーク値検出によって決定するように構成されたものであることを特徴とする請求項7に記載の処理ユニット。
【請求項10】
前記処理ユニットが、前記有効信号成分及び/又は前記干渉信号成分に基づいて、前記回転駆動工具の又は前記少なくとも1つの刃先の汚染及び/又は不完全性を判定するものであり、
前記処理ユニットが汚染を判定する場合は、前記処理ユニットが、前記工作機械の数値制御装置に対して、前記汚染された回転駆動工具及び/又は前記少なくとも1つの刃先を清掃するための清掃信号に関する情報を提供し、
前記処理ユニットが不完全性を判定する場合は、前記処理ユニットが、前記工作機械の数値制御装置に対して、警告信号に関する情報を提供することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の処理ユニット。
【請求項11】
前記回転駆動工具が複数の刃先を有し、該複数の刃先が光線の遮光を生成し、前記受光ユニットが、各遮光に対して、これを再現する少なくともほぼ比例する信号を生成するものであることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の処理ユニット。
【請求項12】
前記処理ユニットが、前記受信した信号の有効信号成分に基づいて刃先の数を特定し、前記工作機械の前記数値制御装置に対して、前記特定した刃先の数に関する情報を提供するものであることを特徴とする請求項11に記載の処理ユニット。
【請求項13】
前記処理ユニットが、前記受信した信号の有効信号成分に基づいて最も短い刃先と最も長い刃先を特定し、前記工作機械の前記数値制御装置に対して、前記特定した最も短い刃先と最も長い刃先に関する情報を提供するように構成されたものであることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の処理ユニット。
【請求項14】
前記処理ユニットが、前記特定した最も短い刃先と最も長い刃先に基づいて、前記回転駆動工具の同心度誤差を決定するように構成されたものであることを特徴とする請求項13に記載の処理ユニット。
【請求項15】
前記処理ユニットが、前記有効信号成分及び/又は前記受信した信号を、同心度解析、周波数解析、波高因子解析、単一パルス及び/又は二乗平均平方根(RMS)電力値によって評価し、前記工作機械の前記数値制御装置に対して、前記工作機械のスピンドル及び/又はスピンドル軸受けの状態に関するキー数値を提供するように構成されたものであることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の処理ユニット。
【請求項16】
前記処理ユニットが、基準工具を用いて、所定のスピンドル速度での比例信号を含む信号曲線を決定し、前記信号曲線を、同心度解析、周波数解析、波高因子解析、単一パルス及び/又は二乗平均平方根(RMS)電力値によって評価し、前記工作機械の前記数値制御装置に対して、前記基準工具のスピンドル及び/又はスピンドル軸受けの状態に関するキー数値を提供するように構成されたものであることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の処理ユニット。
【請求項17】
前記処理ユニットが、前記有効信号成分及び/又は干渉信号成分を判定するために前記受信した信号に自己相関関数を適用するように構成されたものであることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の処理ユニット。
【請求項18】
前記処理ユニットが、前記干渉信号成分及び/又は前記有効信号成分を、前記回転駆動工具の及び/又は前記少なくとも1つの刃先の、遮断率、遮断方向、遮断深さ、遮光閾値、刃先毎の遮光時間、速度、刃先の数、環境大気湿度、回転の持続時間、前記受信した信号の周期性、前記回転駆動工具の及び/又は前記少なくとも1つの刃先の位置及び/又は工具のタイプに基づいて、判定し、前記工作機械の前記数値制御装置に対して、前記干渉信号成分及び/又は前記有効信号成分に関する情報を提供するように構成されたものであることを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の処理ユニット。
【請求項19】
回転駆動工具(160)を測定及び制御するための処理ユニット(1150)であって、
前記処理ユニットは、送光ユニット(120)及び受光ユニット(130)を含む光バリア装置(110)に接続可能であり、
前記処理ユニットは、第1の測定位置における前記回転駆動工具によって及び/又は前記回転駆動工具の少なくとも1つの刃先(180)によって生成される遮光に少なくともほぼ比例するアナログ信号をデジタル信号に変換して前記受光ユニットから受けるように構成されたものであり、
前記光バリア装置は、さらに、
前記光バリア装置の状態情報を前記処理ユニットへ送り、前記処理ユニットからの制御信号を受けるように構成された第1のデジタルインターフェース(1140)と、
所定の制限周波数よりも高い、前記アナログ信号の周波数成分をフィルタリングするように構成されたローパスフィルターユニット(1110)と、
前記フィルタリングされたアナログ信号を、比例するフィルタリングされたデジタル信号に変換するように構成された変換ユニット(1120)と、
前記フィルタリングされたデジタル信号を、処理ユニットに送るように構成された第2のデジタルインターフェース(1130)と
を含み、
前記処理ユニットが、前記デジタル信号を評価し、前記光バリア装置へ制御信号を送るように構成され、
前記処理ユニットによる受信された前記デジタル信号の評価は、
前記受信したデジタル信号の、干渉信号成分及び/又は有効信号成分を判定することを、前記干渉信号成分と有効信号成分とに分離することにより、繰り返し行うステップと、
工作機械(170)の数値制御装置に転送するための、前記有効信号成分、前記干渉信号成分及び/又は前記受信したデジタル信号に関する情報を提供するステップと
を含み、
周波数及び/又は振幅が前記回転駆動工具及び/又は前記少なくとも1つの刃先(180)に対して予め定義され、前記処理ユニットが、前記予め定義した周波数及び振幅に基づいて、前記干渉信号成分及び/又は前記有効信号成分を判定するように構成されたものであり、
前記処理ユニットが、前記繰り返し判定される有効信号成分を互いに比較し、該比較に基づいて測定位置の誤差を決定するように構成されたものであり、
前記処理ユニットが、前記測定位置の誤差に基づいて、補正された位置に対応する第2の測定位置を決定するように構成されたものであり、
前記受光ユニットが、前記第2の測定位置において前記回転駆動工具によって及び/又は前記回転駆動工具の少なくとも1つの刃先によって生成される遮光に少なくともほぼ比例する信号を生成するものであることを特徴とするものである処理ユニット。
【請求項20】
前記処理ユニットが、前記フィルタリングされたデジタル信号をサンプリングするように構成された第2のデジタルインターフェース(1130)を含む光バリア装置(110)に接続可能であり、
前記フィルタリングされたアナログ信号をサンプリングするための前記変換ユニット(1120)のサンプリングレートが、前記回転駆動工具の及び/又は前記少なくとも1つの刃先の、遮断率、遮断方向、遮断深さ、遮光閾値、刃先毎の遮光時間、速度及び/又は刃先の数に基づいて設定可能であることを特徴とする請求項19に記載の処理ユニット。
【請求項21】
回転駆動工具(160)を測定及び制御するための処理ユニット(1250)であって、
前記処理ユニットは、送光ユニット(120)及び受光ユニット(130)を含む光バリア装置(110)に接続可能であり、
前記処理ユニットは、第1の測定位置における前記回転駆動工具によって及び/又は前記回転駆動工具の少なくとも1つの刃先(180)によって生成される遮光に少なくともほぼ比例するアナログ信号を前記受光ユニットから受けるように構成されたものであり、
前記光バリア装置は、さらに、
前記光バリア装置の状態情報を前記処理ユニットへ送り、前記処理ユニットからの制御信号を受けるように構成されたデジタルインターフェース(1240)と、
前記デジタルインターフェースと平行して接続され
、ローパスフィルターユニット(1210)へ前記アナログ信号を送るように構成されたアナログインターフェース(1230)と、
を含み、
前記ローパスフィルターユニットが、所定の制限周波数よりも高い、前記アナログ信号の周波数成分をフィルタリングするように構成され、変換ユニット(1220)へ、前記フィルタリングされたアナログ信号を送るように構成されたものであり、
前記変換ユニットが、前記フィルタリングされたアナログ信号を比例するフィルタリングされたデジタル信号に変換し、前記フィルタリングされたデジタル信号を前記処理ユニットに送り、前記処理ユニットから制御信号を受けるように構成されたものであり、
前記ローパスフィルターユニット(1210)及び前記変換ユニット(1220)は、前記処理ユニット(1250)に統合されており、
前記処理ユニットが、前記フィルタリングされたデジタル信号を評価し、制御信号を送るように構成されたものであり、前記フィルタリングされたデジタル信号の評価は、
受信された前記フィルタリングされたデジタル信号の、干渉信号成分及び/又は有効信号成分を判定することを、前記干渉信号成分と有効信号成分とに分離することにより、繰り返し行うステップと、
工作機械(170)の数値制御装置に転送するための、前記有効信号成分、前記干渉信号成分及び/又は受信された前記フィルタリングされたデジタル信号に関する情報を提供するステップと
を含み、
周波数及び/又は振幅が前記回転駆動工具及び/又は前記少なくとも1つの刃先(180)に対して予め定義され、前記処理ユニットが、前記予め定義した周波数及び振幅に基づいて、前記干渉信号成分及び/又は前記有効信号成分を判定するように構成されたものであり、
前記処理ユニットが、前記繰り返し判定される有効信号成分を互いに比較し、該比較に基づいて測定位置の誤差を決定するように構成されたものであり、
前記処理ユニットが、前記測定位置の誤差に基づいて、補正された位置に対応する第2の測定位置を決定するように構成されたものであり、
前記受光ユニットが、前記第2の測定位置において前記回転駆動工具によって及び/又は前記回転駆動工具の少なくとも1つの刃先によって生成される遮光に少なくともほぼ比例する信号を生成するものであることを特徴とするものである処理ユニット。
【請求項22】
前記アナログ信号をサンプリングするための前記変換ユニットのサンプリングレートが、前記回転駆動工具の及び/又は前記少なくとも1つの刃先の、遮断率、遮断方向、遮断深さ、遮光閾値、刃先毎の遮光時間、速度及び/又は刃先の数に基づいて設定可能であることを特徴とする請求項21に記載の処理ユニット。
【請求項23】
回転駆動工具(160)を測定及び制御するための処理ユニット(1350)であって、
前記処理ユニットは、送光ユニット(120)及び受光ユニット(130)を含む光バリア装置(110)に統合されており、
前記処理ユニットは、第1の測定位置における前記回転駆動工具によって及び/又は前記回転駆動工具の少なくとも1つの刃先(180)によって生成される遮光に少なくともほぼ比例する信号を前記受光ユニットから受けるように構成されたものであり、
前記光バリア装置は、さらに、
前記光バリア装置の状態情報を前記処理ユニットへ送り、前記処理ユニットからの制御信号を受けるように構成された
デジタルインターフェース(1340)と、
所定の制限周波数よりも高い、アナログ信号の周波数成分をフィルタリングし、前記フィルタリングされたアナログ信号を変換ユニット(1320)へ送るように構成されたローパスフィルターユニット(1310)と、
を含み、
前記変換ユニットが、前記フィルタリングされたアナログ信号を比例するフィルタリングされたデジタル信号に変換し、前記フィルタリングされたデジタル信号を前記処理ユニットに送り、前記処理ユニットから制御信号を受けるように構成されたものであり、
前記デジタルインターフェース(1340)、前記ローパスフィルターユニット(1210)及び前記変換ユニット(1220)は、前記光バリア装置(110)に統合されており、
前記処理ユニットが、前記フィルタリングされたデジタル信号を評価し、制御信号を送るように構成されたものであり、前記処理ユニットにより受けられた前記フィルタリングされた信号の評価は、
受信された前記フィルタリングされたデジタル信号の、干渉信号成分及び/又は有効信号成分を判定することを、前記干渉信号成分と有効信号成分とに分離することにより、繰り返し行うステップと、
工作機械(170)の数値制御装置に転送するための、前記有効信号成分、前記干渉信号成分及び/又は受信された前記フィルタリングされたデジタル信号に関する情報を提供するステップと
を含み、
周波数及び/又は振幅が前記回転駆動工具及び/又は前記少なくとも1つの刃先(180)に対して予め定義され、前記処理ユニットが、前記予め定義した周波数及び振幅に基づいて、前記干渉信号成分及び/又は前記有効信号成分を判定するように構成されたものであり、
前記処理ユニットが、前記繰り返し判定される有効信号成分を互いに比較し、該比較に基づいて測定位置の誤差を決定するように構成されたものであり、
前記処理ユニットが、前記測定位置の誤差に基づいて、補正された位置に対応する第2の測定位置を決定するように構成されたものであり、
前記受光ユニットが、前記第2の測定位置において前記回転駆動工具によって及び/又は前記回転駆動工具の少なくとも1つの刃先によって生成される遮光に少なくともほぼ比例する信号を生成するものであることを特徴とするものである処理ユニット。
【請求項24】
請求項1から請求項23のいずれか1項に記載の、回転駆動工具(160)を測定及び制御するための処理ユニット(150、1150、1250、1350)を具備することを特徴とする工作機械。
【請求項25】
回転駆動工具(160)を測定及び制御するための方法(500)であって、
第1の測定位置における前記回転駆動工具によって及び/又は前記回転駆動工具の少なくとも1つの刃先(180)によって生成された遮光を記録(510)するステップと、
前記生成された遮光に少なくともほぼ比例する信号を生成(520)するステップと、
前記信号から、干渉信号成分及び/又は有効信号成分を判定(530)することを、前記干渉信号成分と有効信号成分とに分離することにより、繰り返し行うステップであって、ここで、周波数及び/又は振幅が前記回転駆動工具及び/又は前記少なくとも1つの刃先(180)に対して予め定義され、前記予め定義した周波数及び/又は振幅に基づいて、前記干渉信号成分及び/又は前記有効信号成分を判定するステップと、
工作機械(170)の数値制御装置に転送するための前記有効信号成分、前記干渉信号成分及び/又は前記信号に関する情報を提供(540)するステップと
を有し、
前記繰り返し判定される有効信号成分、前記干渉信号成分及び/又は前記信号を比較するステップと、
前記繰り返し判定される有効信号成分、前記干渉信号成分及び/又は前記信号の比較に基づいて測定位置の誤差を決定するステップと、
前記測定位置の誤差に基づいて、補正された位置に対応する第2の測定位置を決定するステップと、
前記第2の測定位置において前記回転駆動工具によって及び/又は前記回転駆動工具の少なくとも1つの刃先によって生成された遮光に少なくともほぼ比例する信号を生成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
前記方法は、さらに、
前記繰り返し判定される有効信号成分、前記干渉信号成分及び/又は前記信号を重ね合わせるステップと、
前記重ね合わされた有効信号成分、前記干渉信号成分及び/又は前記信号にブロックフィルタを適用するステップと、
前記ブロックフィルタが適用された、前記重ね合わされた有効信号成分、前記干渉信号成分及び/又は前記信号の代表値を決定するステップと、
前記工作機械の前記数値制御装置に送る、前記重ね合わされた有効信号成分、前記干渉信号成分及び/又は前記信号の代表値に関する情報を提供するステップと
を含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ブロックフィルタが中央値フィルタ、最小値フィルタ、最大値フィルタ、平均値フィルタ又はこれらのフィルタの組み合わせであることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記方法は、さらに、
前記有効信号成分、前記干渉信号成分及び/又は前記信号に基づいて、前記回転駆動工具の及び/又は前記少なくとも1つの刃先の、刃先の数及び/又は形状及び/又は長さを決定するステップと、
前記回転駆動工具の及び/又は前記少なくとも1つの刃先の、刃先の数及び/又は形状及び/又は長さに関する情報を前記工作機械の前記数値制御装置に提供するステップと
を有することを特徴とする請求項25から請求項27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記回転駆動工具及び/又は前記少なくとも1つの刃先の前記形状及び/又は長さを決定するステップは、さらに、
前記回転駆動工具によって及び/又は前記少なくとも1つの刃先によって生成される遮光と、それに関連した、少なくともほぼ比例する信号の関係を規定する、予め定義された較正関数を用いることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記方法は、さらに、
前記決定した前記回転駆動工具の刃先の数及び/又は形状及び/又は長さと、既知の工具の予め定義された刃先の数及び/又は形状及び/又は長さを比較することにより前記回転駆動工具の識別を行うステップを有することを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記方法は、さらに、
前記回転駆動工具の及び/又は前記少なくとも1つの刃先の長さを決定するために、前記回転駆動工具の前記遮光の極大値を決定するステップと、
前記遮光の前記極大値に関する情報を前記工作機械の前記数値制御装置に提供するステップと
を有することを特徴とする請求項25から請求項30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記遮光の極大値を決定するステップは、さらに、
前記信号の対称的な又はほぼ対称的な信号領域を決定し、
前記対称的な又はほぼ対称的な信号領域を、正弦関数回帰、多項式回帰、ガウス回帰及び/又は指数平滑化でフィットさせ、
前記対称的に又はほぼ対称的にフィットさせた信号領域における極大値を決定することを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記極大値をピーク値検出によって決定することを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記方法は、さらに、
前記有効信号成分及び/又は前記干渉信号成分に基づいて、前記回転駆動工具の及び/又は前記少なくとも1つの刃先の汚染及び/又は不完全性を判定するステップを有し、
汚染を判定する場合は、前記回転駆動工具及び/又は前記少なくとも1つの刃先の前記汚染に関する情報を提供するステップを有し、
不完全性を判定する場合は、前記回転駆動工具及び/又は前記少なくとも1つの刃先の前記不完全性に関する情報を提供するステップを有する
ことを特徴とする請求項25から請求項33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記回転駆動工具が複数の刃先を有し、
前記方法は、さらに、
前記回転駆動工具の前記複数の刃先によって生成される光線中の遮光を記録するステップと、
前記生成された遮光に比例する信号を生成するステップと、
前記比例する信号の干渉信号成分及び/又は有効信号成分を判定するステップと
を有することを特徴とする請求項25から請求項34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記方法は、さらに、前記比例する信号の前記有効信号成分に基づいて、前記回転駆動工具の前記複数の刃先を決定するステップを有することを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記方法は、さらに、
前記比例した信号の前記有効信号成分に基づいて、前記回転駆動工具の最も短い刃先と最も長い刃先を決定するステップと、
受信された前記生成される遮光に少なくともほぼ比例する信号の有効信号成分及び/又は干渉信号成分が所定の値だけ互いにそれた場合に、前記回転駆動工具の前記決定した最も短い刃先と最も長い刃先に基づいて、同心度誤差を決定するステップと
を有することを特徴とする請求項35又は請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記有効信号成分及び/又は前記信号を、同心度解析、周波数解析、波高因子解析、単一パルス及び/又は二乗平均平方根(RMS)電力値によって評価し、前記工作機械の前記数値制御装置に対して、前記工作機械のスピンドル及び/又はスピンドル軸受けの状態に関するキー数値を提供することを特徴とする請求項25から請求項37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
基準工具を用いて、所定のスピンドル速度での比例信号を含む信号曲線を決定し、前記信号曲線を、同心度解析、周波数解析、波高因子解析、単一パルス及び/又は二乗平均平方根(RMS)電力値によって評価し、前記工作機械の前記数値制御装置に対して、前記基準工具のスピンドル及び/又はスピンドル軸受けの状態に関するキー数値を提供することを特徴とする請求項25から請求項37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記有効信号成分、前記干渉信号成分、及び/又は前記信号が、自己相関関数を適用することによって判定されることを特徴とする請求項25から請求項39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記有効信号成分及び/又は前記干渉信号成分を、前記回転駆動工具の及び/又は前記少なくとも1つの刃先の、遮断率、遮断方向、遮断深さ、遮光閾値、刃先毎の遮光時間、速度、刃先の数、環境大気湿度、回転の持続時間、受信した前記生成される遮光に少なくともほぼ比例する信号の周期性、位置及び/又は工具のタイプに基づいて、判定し、前記工作機械の前記数値制御装置に対して、前記有効信号成分及び/又は干渉信号成分に関する情報を情報として提供することを特徴とする請求項25から請求項40のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
工作工具において用いられる回転駆動工具は、しばしば、同心度誤差や損傷を示す。この同心度誤差や損傷は、工作工具を使用する前であっても存在することがあり、後に、工作工具の摩耗のために発生することもある。
【0002】
回転駆動工具の同心度誤差や損傷は、機械加工中において工具を損傷させたり破壊したりする工具内の応力につながる。許容度が小さい機械加工プロセスでは、0.01mm未満の同心度誤差が、不完全な機械加工につながり製造プロセスで不合格になり得る。
【0003】
回転駆動工具において可能性のある同心度誤差や損傷を認識するために、1つの可能なアプローチは、工作工具内でクランプされた回転駆動工具を、回転させて、光学測定システム(例えばレーザー光バリアの形式)を用いて測定することである。このプロセスでは、レーザ光バリアの光線内の回転駆動工具によって生じる遮光によって信号が生成される。この信号は、例えば回転駆動工具の半径などのパラメータを測定し、これを基準半径と比較するために処理される。可能性のある同心度誤差は、この比較に基づいて検出することができる。
【0004】
このアプローチは、回転駆動工具によって生成された光線内の遮光が、回転駆動工具によってのみ生成されたことを前提としている。これは、とりわけ回転駆動工具が使用されているときに、切屑、洗浄流体及び/又は冷却材等が、生成される光線の遮光に影響を及ぼすことがあり、結果として生じる信号、例えば不正確な半径を再現する、という欠点を有する。工作工具の動作によって発生する振動は、歪んだ信号につながる可能性があり、別の影響を与える要素である。基準半径からの偏差が多すぎると、回転駆動工具の交換又は停止になり、工作工具の停止につながることになる。工作工具の停止の結果、生産効率が低下する。
【0005】
(先行技術)
K.Rallらによる、ZWF 93、1998年、第4巻、127~130頁「HSCフライス盤の回転工具の測定」には、レーザ光バリアを用いた、工具の有効輪郭を測定する方法が記載されている。この場合、工具は回転され、レーザ光バリアの測定ビームに対して横方向に移動される。工具の光線への進入及び光線からの退出を指定する測定位置が求められる。工具の有効直径は、これらの測定位置の差から求められる。このプロセスは、関心のある有効な輪郭の全体がわかるまで、工具の各軸方向の変位に続いて繰り返される。
【0006】
DE 42 38 504 A1は、工作工具のスピンドル内の工具を測定する方法を示している。この場合、工具は、スピンドルを取り巻く主軸台と工作物テーブルとの間の相対運動によって供給される。主軸台の基準点に対する相対位置は、位置測定システムによって決定される。このとき、工具は、関連する光学測定システムで座標に対して実質的に横方向に延びる光学測定面の座標の1つの方向に搬送される。この測定システムは、工具が測定平面を遮断するかどうかを測定するための計測信号を出力する。工具による測定平面の遮断時に、主軸台の相対位置が位置測定値として測定され、工具の寸法が位置測定値と測定平面の相対位置から計算される。
【0007】
これらの公知の装置/方法の場合、工作工具の工具スピンドルにクランプされた回転工具又は固定工具は、長手方向又は横方向に、レーザビーム中に、又は、レーザビーム外に、誘導される。
【0008】
ここでは、工具とレーザビームは互いに相対的に移動する。工具によって生じるビーム遮光が測定され、定義された遮光の場合にスイッチング信号が出力される。このスイッチング信号の時に、それぞれの機械軸の位置が測定される。測定された値は、例えば、最大工具半径又は最大工具長さに相当する。回転工具を使用したこのタイプの測定では、送りと速度の比が達成可能な精度を規定するため、正確な測定のために工具をレーザビームに対して非常に小さい送り速度で移動させる必要がある。例えば、工具半径を示すスイッチング信号の最初の記録に続いて、測定が信号の確認又は平均値形成のために通常1回以上繰り返される。したがって、工具の全体としての測定プロセスは、比較的長い時間を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のアプローチから出発して、本発明の課題は、回転駆動工具を測定及び制御するためのデバイスであって、回転駆動工具に対応するスイッチング信号と、汚染又は破壊によって生じるスイッチング信号とを区別するデバイスを提供することにある。
【0010】
別の課題は、回転駆動工具の測定と制御の際にプロセスの信頼性を高めると同時に、測定プロセスに必要な測定時間を短縮することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題の解決のために、回転駆動工具を測定及び制御するための処理ユニットを提供する。この処理ユニットは、送光ユニット及び受光ユニットを含む光バリア装置に接続可能である。この処理ユニットは、第1の測定位置において、受光ユニットから、回転駆動工具によって及び/又は回転駆動工具の少なくとも1つの刃先によって生成される遮光に少なくともほぼ比例する信号を受信するように構成されている。この処理ユニットは、さらに、受信した信号を評価し、光バリア装置に制御信号を送るように構成されている。ここで、処理ユニットにより受信された信号の評価は、以下のステップを含む。すなわち、受信した信号の、干渉信号成分及び/又は有効信号成分を判定するステップと、工作工具の数値制御装置に転送するための、有効信号成分、干渉信号成分及び/又は受信した信号に関する情報を提供するステップである。
【0012】
上記信号の周波数及び/又は振幅が予め定義されてもよく、このとき、上記処理ユニットは、上記予め定義した周波数及び振幅に基づいて、干渉信号成分及び/又は有効信号成分を判定するように構成される。
【0013】
上記処理ユニットは、有効信号成分、干渉信号成分及び/又は受信した信号を繰り返し判定するように構成されたものであってもよい。
【0014】
上記処理ユニットは、より長期間にわたって、上記の繰り返し判定された有効信号成分を記録して記憶し、繰り返し判定された有効信号成分の精度及び処理信頼性を高めるために、より多くのデータ量に基づいて、有効信号成分の平均化を実行するように構成されたものであってもよい。
【0015】
上記処理ユニットは、上記の繰り返し判定される有効信号成分を互いに比較し、該比較に基づいて測定位置を決定するように構成されてもよい。処理ユニットは、さらに、測定位置の誤差に基づいて第2の測定位置を決定するように構成されてもよい。このとき、受光ユニットは、この第2の測定位置において、回転駆動工具によって及び/又は回転駆動工具の少なくとも1つの刃先によって生成される遮光に少なくともほぼ比例する信号を生成する。
【0016】
その代わりとして、処理ユニットは、上記の繰り返される有効信号成分、干渉信号成分及び/又は受信した信号を重ね合わせて、重ね合わされた有効信号成分、干渉信号成分及び/又は受信した信号に特定のタスクを行うブロックフィルタを適用し、有効信号成分、干渉信号成分及び/又は受信した信号の代表値を重ね合わせた有効信号成分、干渉信号成分及び/又は受信した信号に基づいて決定し、工作工具の数値制御装置に転送するために、有効信号成分、干渉信号成分及び/又は受信した信号の代表値に関する情報を提供するように構成されたものであってもよい。特定のタスクを行うブロックフィルタは、中央値フィルタ、最小値フィルタ、最大値フィルタ、平均値フィルタ、又はこれらのフィルタタイプの組み合わせとして実行されることができる。
【0017】
上記の処理ユニットは、有効信号成分、干渉信号成分及び/又は受信した信号に基づいて、回転駆動工具の及び/又は少なくとも1つの刃先の形状及び/又は長さを決定し、回転駆動工具の及び/又は少なくとも1つの刃先の形状及び/又は長さに関する情報を、工作工具の数値制御装置に提供するように構成されたものであってもよい。回転駆動工具の長さは、回転駆動工具の幾何学的寸法として理解されるべきである。切削工具において、幾何学的寸法は有効切削直径及び/又は有効切削長さであり、研削工具において、それは有効研削直径及び/又は有効研削長さであり、ネジ加工機において、それは有効ネジ直径及び/又は有効ネジ挿入長さであり、円筒形の基準工具において、それは回転駆動工具の有効基準直径及び/又は有効基準長さである。
【0018】
上記の形状及び/又は長さを決定するために、上記の処理ユニットは、ここで、予め定義された較正関数にアクセスすることができる。この予め定義された較正関数は、回転駆動工具によって及び/又は少なくとも1つの刃先によって生成される遮光と、それに関連した、少なくともほぼ比例する信号の関係を規定する。
【0019】
この較正関数は、測定ビームを遮る物体の生成される遮光と、受光ユニットで受信された関連する少なくともほぼ比例する信号との間の直接的な関係を記述する。この関係は、測定ビームの線形化として記載された較正プロセスによって決定され、線形化特性によって記述される。この較正プロセスは、基準物体による測定ビームの漸増的な遮断又は一定速度での測定ビームの基準物体による連続的な低速遮断のいずれかによって行うことができ、ここで、生成された遮光と、関連する少なくともほぼ比例する信号の関係が、最小の遮光と最大の遮光との間に作成される。両方の場合において、線形化特性の基準点(ゼロ値)は、理想的には、最小遮光と最大遮光との間の平均の遮光に設定される。この基準点は、定義された遮光において工具によって生成されるビーム遮光によって出力される、スイッチング信号の時の各機械軸の位置と同じである。
【0020】
測定ビームを遮断する物体の遮光と少なくともほぼ比例する信号との間の関係は、測定ビームの非理想的な特性のために測定ビームを遮る物体の方向の関数であるので、測定ビームを遮る物体の各方向について較正プロセスを実行することが推奨される。較正プロセスによって決定された線形化特性は、テーブルの形式で及び/又は多項式関数の形式で各較正方向に対して別々に処理ユニットに記憶される。
【0021】
さらに、上記の決定した回転駆動工具の形状及び/又は長さに基づいて、処理ユニットは、その決定した形状及び/又は長さと既知の工具の予め定義された形状及び/又は長さと比較することによって、工具の識別を実行することができる。
【0022】
その代わりに、上記の処理ユニットは、上記の予め定義された較正関数を用いて、回転駆動工具の及び/又は少なくとも1つの刃先の長さを決定するために、回転駆動工具の及び/又は少なくとも1つの刃先の遮光の極大値を決定し、回転駆動工具の及び/又は少なくとも1つの刃先の長さに関する情報を、工作工具の数値制御装置に転送するように構成されたものであってもよい。
【0023】
信号の対称的な又はほぼ対称的な信号領域を決定するため、処理ユニットは、対称的な又はほぼ対称的な信号領域を、正弦関数回帰、多項式回帰、ガウス回帰及び/又は指数平滑化でフィットさせ、対称的に又はほぼ対称的にフィットさせた信号領域における極大値を決定するように構成されたものとすることができる。
【0024】
処理ユニットは、極大値をピーク値検出によって決定するように構成されたものとすることができる。
【0025】
処理ユニットは、有効信号成分及び/又は干渉信号成分に基づいて、回転駆動工具の又は少なくとも1つの刃先の汚染及び/又は不完全性を判定してもよい。処理ユニットが汚染を判定する場合は、処理ユニットは、工作工具の数値制御装置に対して、汚染された回転駆動工具及び/又は少なくとも1つの刃先を清掃するための清掃信号に関する情報を転送するように構成され、処理ユニットが不完全性を判定する場合は、処理ユニットが、工作工具の数値制御装置に対して、警告信号に関する情報を提供するように構成される。
【0026】
回転駆動工具は、光線の遮光を生成する複数の刃先を有してもよい。ここで、受光ユニットは、各遮光に対して、これを再現する少なくともほぼ比例する信号を生成する。
【0027】
処理ユニットは、受信した信号の有効信号成分に基づいて最も短い刃先と最も長い刃先を特定し、工作工具の数値制御装置に対して転送するために、該特定した最も短い刃先と最も長い刃先に関する情報を提供するように構成されてもよい。
【0028】
さらに、処理ユニットは、繰り返し受信された信号の有効信号成分及び/又は干渉信号成分が所定の値だけ互いにずれている場合には、特定した最も短い刃先と最も長い刃先に基づいて、回転駆動工具の同心度誤差を決定するように構成されてもよい。
【0029】
回転駆動工具は、同様に、光線の遮光を生成するほぼ円筒形の表面及び/又はほぼ水平な前面を有することができる。ここで受光ユニットは、これらを再現する少なくともほぼ比例する信号を遮光に対して生成する。
【0030】
処理ユニットは、受信した信号の有効信号成分に基づいて、ほぼ円筒形の表面及び/又はほぼ水平な表面の最小及び最大の幾何学的寸法を特定し、上記特定された最小及び最大の幾何学的寸法に関する情報を工作工具の数値制御装置に転送するために提供するように構成されてもよい。
【0031】
さらに、処理ユニットは、繰り返し受信された信号の有効信号成分及び/又は干渉信号成分が所定の値だけ互いにずれている場合には、特定された最小及び最大の幾何学的寸法に基づいて、回転駆動工具の同心度誤差及び/又は軸方向振れ誤差を確定するように構成されてもよい。
【0032】
処理ユニットは、特定された回転駆動工具の同心度誤差及び/又は軸方向振れ誤差に基づいて、工作工具の回転デバイス(スピンドル)の同心度特性に関する情報を決定し、工作工具の数値制御装置に対する転送するためにその情報を提供するように構成されてもよい。
【0033】
処理ユニットは、工作工具のスピンドルの状態を解析するように構成されてもよい。このスピンドルの状態の解析では、あらかじめ定められた速度で(高精度で同心円研磨された)基準工具を使用して遮光の進行が測定される。この場合の信号処理は、基本的に、工具測定の信号処理とは異なる。この解析にはより高周波数の成分も含まれる。例えば冷却剤の液滴によって引き起こされるような個々の事象は、上記したフィルタによって排除される。決定された信号波形の解析には、同心度誤差、いくつかの周波数帯域への分割、波高因子の分析、単一パルス及び/又は二乗平均平方根(RMS)電力値の決定を含む。評価アルゴリズムによって供給されるキー数値は、経験的な値を考慮して、工作工具、特にスピンドルの初期状態のデータと比較される。所定の閾値を超えると、警告メッセージが機械制御装置に送信される。この目的は、客観的なステートメントの最適な保守を計画できるように、工作工具のスピンドルの軸受の摩耗及び/又は損傷を予測的に検出することである。したがって、機械の可用性が向上し、永続的な品質が保証される。機械の障害とそれに伴うリスクが回避される。
【0034】
処理ユニットは、自己相関関数を受信信号に適用して、有効信号成分及び/又は干渉信号成分を判定するように構成されてもよい。
【0035】
処理ユニットは、さらに、干渉信号成分及び/又は有効信号成分を、回転駆動工具の及び/又は少なくとも1つの刃先の、遮断率、遮断深さ、速度、刃先の数、環境大気湿度、回転の持続時間、受信した信号の周期性、位置及び/又は工具のタイプに基づいて、判定し、工作工具の数値制御装置に対して転送するために、干渉信号成分及び/又は有効信号成分に関する情報を提供するように構成されてもよい。
【0036】
別の解決手段として、1つの処理ユニットが提案される。この回転駆動工具を測定及び制御するための処理ユニットは、送光ユニット及び受光ユニットを含む光バリア装置に接続可能である。この処理ユニットは、第1の測定位置における回転駆動工具によって及び/又は回転駆動工具の少なくとも1つの刃先によって生成される遮光に少なくともほぼ比例するアナログ信号を受光ユニットから受けるように構成される。上記光バリア装置は、光バリア装置の状態情報(例えば、エラー、準備完了、バッテリ切れ、開始、終了)を処理ユニットへ送り、処理ユニットからの制御信号を受けるように構成された第1のデジタルインターフェースを含む。光バリア装置は、さらに、所定の制限周波数よりも高い、アナログ信号の周波数成分をフィルタリングするように構成されたローパスフィルターユニットと、フィルタリングされたアナログ信号を、比例するフィルタリングされたデジタル信号に変換するように構成された変換ユニットと、フィルタリングされたデジタル信号を、処理ユニットに送るように構成された第2のデジタルインターフェースとを含む。この処理ユニットは、フィルタリングされたデジタル信号を受信して評価し、光バリア装置の状態情報を受信し、光バリア装置へ制御信号を送るように構成される。このとき、処理ユニットによる受信された信号の評価は、以下のステップを含む。すなわち、受信した信号の、干渉信号成分及び/又は有効信号成分を判定するステップと、工作工具の数値制御装置に転送するための、有効信号成分、干渉信号成分及び/又は受信した信号に関する情報を提供するステップである。
【0037】
フィルタリングされたアナログの及びデジタル変換された信号をサンプリングするための第2のデジタルインターフェースのサンプリングレートは、回転駆動工具の及び/又は少なくとも1つの刃先の、遮断率、遮断深さ、速度及び/又は刃先の数に設定可能である。
【0038】
1つの処理ユニットがさらなる解決手段として提供される。この回転駆動工具を測定及び制御するための処理ユニットは、送光ユニット及び受光ユニットを含む光バリア装置に接続可能である。この処理ユニットは、第1の測定位置における回転駆動工具によって及び/又は回転駆動工具の少なくとも1つの刃先によって生成される遮光に少なくともほぼ比例するアナログ信号を受光ユニットから受けるように構成される。上記光バリア装置は、光バリア装置の状態情報を処理ユニットへ送り、処理ユニットからの制御信号を受けるように構成されたデジタルインターフェースと、デジタルインターフェースと平行して接続され、処理ユニットのローパスフィルターユニットへアナログ信号を送り、処理ユニットから制御信号を受けるように構成されたアナログインターフェースを含む。ローパスフィルターユニットは、所定の制限周波数よりも高い、アナログ信号の周波数成分をフィルタリングするように構成され、処理ユニットの変換ユニットへ、フィルタリングされたアナログ信号を送るように構成されたものである。変換ユニットは、フィルタリングされたアナログ信号をフィルタリングされたデジタル信号に変換し、処理ユニットにデジタル信号を送信し、処理ユニットから制御信号を受信するように構成される。処理ユニットは、デジタル信号を評価し、制御信号を送るように構成される。このとき、処理ユニットにより受信されたデジタル信号の評価は、以下のステップを含む。すなわち、デジタル信号の、干渉信号成分及び/又は有効信号成分を判定するステップと、工作工具の数値制御装置に転送するための、有効信号成分、干渉信号成分及び/又は受信した信号に関する情報を提供するステップである。
【0039】
アナログ信号をサンプリングするためのデジタルインターフェース及び/又は変換ユニットのサンプリングレートは、回転駆動工具の及び/又は少なくとも1つの刃先の、遮断率、遮断深さ、遮断方向、速度及び/又は刃先の数に設定することができる。
【0040】
1つの処理ユニットがもう1つの解決手段として提供される。この回転駆動工具を測定及び制御するための処理ユニットは、送光ユニット及び受光ユニットを含む光バリア装置に統合されている。この処理ユニットは、第1の測定位置における回転駆動工具によって及び/又は回転駆動工具の少なくとも1つの刃先によって生成される遮光に少なくともほぼ比例する信号を受光ユニットから受けるように構成される。光バリア装置は、さらに、通信ユニットと、ローパスフィルターユニットと、変換ユニットを具備する。この通信ユニットは、光バリア装置の状態情報を処理ユニットへ送り、処理ユニットからの制御信号を受けるように構成される。ローパスフィルターユニットは、所定の制限周波数よりも高い、アナログ信号の周波数成分をフィルタリングし、フィルタリングされたアナログ信号を処理ユニットの変換ユニットへ送るように構成される。変換ユニットは、フィルタリングされたアナログ信号を比例するフィルタリングされたデジタル信号に変換し、フィルタリングされたデジタル信号を処理ユニットに送り、処理ユニットから制御信号を受けるように構成される。処理ユニットは、フィルタリングされたデジタル信号を評価し、制御信号を送るように構成される。ここで、処理ユニットにより受けられたフィルタリングされたデジタル信号の評価は、以下のステップを含む。すなわち、デジタル信号の、干渉信号成分及び/又は有効信号成分を判定するステップと、工作工具の数値制御装置に転送するための、有効信号成分、干渉信号成分及び/又は受信した信号に関する情報を提供するステップである。
【0041】
上記の例示的な実施形態のローパスフィルターユニットは、バターワースフィルターユニット、サレンキーフィルターユニット、又は、n次のローパスフィルターユニットである。ここで、nは自然数である。
【0042】
上記の例示的な実施形態のインターフェースは、信号を無線又は有線で送信するように形成することができる。
【0043】
上記の例示的な実施形態のうちの1つに従った処理ユニットは、値記憶ユニットをさらに備えることができる。ここで、値記憶ユニットは、有効信号成分、干渉信号成分、受信した信号、信号の周波数及び/又は振幅、回転駆動工具の遮断率、遮断方向、刃先の数、それぞれの刃先の遮断深さ、それぞれの刃先の遮光時間、速度、形状及び/又は長さ等の工具に関する情報、さらに、特定のタスクを行う評価指示、結果状態(例えば、結果が存在/しない/、結果が無効である)並びに予め定義された較正関数を記憶するように構成されてもよい。
【0044】
さらに、上記の例示的な実施形態の1つによる回転駆動工具を測定及び制御するための処理ユニットを具備する工作工具が提供される。
【0045】
さらなる解決手段として、回転駆動工具を測定及び制御する方法が提供される。この方法は、第1の測定位置における回転駆動工具によって及び/又は回転駆動工具の少なくとも1つの刃先によって生成される遮光を記録するステップと、生成される遮光に少なくともほぼ比例する信号を生成するステップと、受信した信号から、干渉信号成分及び/又は有効信号成分を判定するステップと、工作工具の数値制御装置に転送するための有効信号成分、干渉信号成分及び/又は信号に関する情報を提供するステップとを有する。
【0046】
この方法では、信号の周波数及び/又は振幅が予め定義されてもよく、該予め定義した周波数及び/又は振幅に基づいて、干渉信号成分及び/又は有効信号成分を判定してもよい。
【0047】
この方法は、さらに、有効信号成分、干渉信号成分及び/又は信号を繰り返し判定するステップを有してもよい。
【0048】
この方法は、さらに、以下のステップ、すなわち、繰り返し判定される有効信号成分、干渉信号成分及び/又は信号を比較するステップと、繰り返し判定される有効信号成分、干渉信号成分及び/又は信号の比較に基づいて測定位置の誤差を決定するステップと、該測定位置の誤差に基づいて第2の測定位置を決定するステップと、第2の測定位置において回転駆動工具によって及び/又は回転駆動工具の少なくとも1つの刃先によって生成される遮光に少なくともほぼ比例する信号を生成するステップと、を含んでよい。
【0049】
その代わりに、この方法は、以下のステップ、すなわち、繰り返し判定される有効信号成分、干渉信号成分及び/又は信号を重ね合わせるステップと、重ね合わされた有効信号成分、干渉信号成分及び/又は信号に特定のタスクを行うブロックフィルタを適用するステップと、特定のタスクを行うブロックフィルタが適用された、重ね合わされた有効信号成分、干渉信号成分及び/又は信号の代表値を決定するステップと、工作工具の数値制御装置に送る、重ね合わされた有効信号成分、干渉信号成分及び/又は信号の代表値に関する情報を提供するステップと、を含んでよい。
【0050】
この方法は、さらに、以下のステップ、すなわち、上記の有効信号成分、干渉信号成分及び/又は信号に基づいて、回転駆動工具の及び/又は少なくとも1つの刃先の形状及び/又は長さ及び/又は刃先の数を決定するステップと、回転駆動工具の及び/又は少なくとも1つの刃先の形状及び/又は長さ及び/又は刃先の数に関する情報を工作工具の数値制御装置に提供するステップと、を含んでよい。
【0051】
この場合、回転駆動工具の及び/又は少なくとも1つの刃先の形状及び/又は長さ及び/又は刃先の数を決定するステップは、さらに、回転駆動工具によって及び/又は少なくとも1つの刃先によって生成される遮光と、それに関連した、少なくともほぼ比例する信号の関係を規定する、予め定義された較正関数を用いることを含んでよい。
【0052】
この方法は、さらに、決定した回転駆動工具の形状及び/又は長さ及び/又は刃先の数と、既知の工具の予め定義された形状及び/又は長さ及び/又は刃先の数を比較することにより回転駆動工具の識別を行うステップを含んでもよい。
【0053】
この方法は、さらに、以下のステップ、すなわち、回転駆動工具の及び/又は少なくとも1つの刃先の長さを決定するために、回転駆動工具の遮光の極大値を決定するステップと、該遮光の極大値に関する情報を工作工具の数値制御装置に提供するステップと、を含んでよい。
【0054】
この遮光の極大値を決定するステップは、さらに、以下のステップ、すなわち、信号の対称的な又はほぼ対称的な信号領域を決定するステップと、対称的な又はほぼ対称的な信号領域を、正弦関数回帰、多項式回帰、ガウス回帰及び/又は指数平滑化でフィットさせるステップと、対称的に又はほぼ対称的にフィットさせた信号領域における極大値を決定するステップと、を含んでよい。
【0055】
その代わりに、極大値はピーク値検出によって決定されてもよい。
【0056】
この方法は、さらに、以下のステップを含んでよい。すなわち、有効信号成分及び/又は干渉信号成分に基づいて、回転駆動工具の及び/又は少なくとも1つの刃先の汚染及び/又は不完全性を判定するステップを含んでよく、汚染を判定する場合は、回転駆動工具及び/又は少なくとも1つの刃先の汚染に関する情報を提供するステップを有し、不完全性を判定する場合は、警告信号に関する情報を提供するステップを有する。
【0057】
回転駆動工具が複数の刃先を有する場合、この方法は、さらに、以下のステップ、すなわち、回転駆動工具の複数の刃先によって生成される光線中の遮光を記録するステップと、生成された遮光に比例する信号を生成するステップと、比例する信号の干渉信号成分及び/又は有効信号成分を判定するステップと、を含んでよい。
【0058】
回転駆動工具が複数の刃先を有する場合、この方法は、さらに、以下のステップ、すなわち、上記の比例した信号の有効信号成分に基づいて、回転駆動工具の最も短い刃先と最も長い刃先を決定するステップと、繰り返して受信された信号の有効信号成分及び/又は干渉信号成分が所定の値だけ互いにずれた場合に、回転駆動工具の決定した最も短い刃先と最も長い刃先に基づいて、同心度誤差を決定するステップと、を含んでよい。
【0059】
この方法において、有効信号成分、干渉信号成分、及び/又は信号は、自己相関関数を適用することによって判定されてよい。
【0060】
さらに、この方法において、有効信号成分及び/又は干渉信号成分を、回転駆動工具の及び/又は少なくとも1つの刃先の、遮断率、遮断方向、遮断深さ、遮光閾値、刃先毎の遮光時間、速度、刃先の数、環境大気湿度、回転の持続時間、受信した信号の周期性、位置及び/又は工具のタイプに基づいて、判定してもよく、工作工具の数値制御装置に対して、有効信号成分及び/又は干渉信号成分に関する情報を情報として提供してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
本明細書に記載の方法及びデバイスのさらなる詳細、特徴、利点及び効果は、一般に好ましい変形例の以下の説明及び図面の結果として生じる。
【
図1】第1の実施形態による回転駆動工具を測定及び制御するための処理ユニットの概略図である。
【
図2】第1の処理ユニットの変形例の動作における信号波形図の概略図である。
【
図3】第1の処理ユニットの変形例の動作における信号波形図の概略図である。
【
図4】第1の処理ユニットの変形例の動作における信号波形図の概略図である。
【
図5】回転駆動工具を測定及び制御するための方法のブロック図である。
【
図6】第1の処理ユニットの変形例の動作における信号波形図及び信号の重ね合わせの概略図である。
【
図8】第1の処理ユニットの変形例の動作における信号波形図及び信号波形図のフィッティングの概略図である。
【
図9】第2の実施形態に係る回転駆動工具を測定及び制御する処理ユニットの概略図である。
【
図10】第3の実施形態に係る回転駆動工具を測定及び制御する処理ユニットの概略図である。
【
図11】第4の実施形態に係る回転駆動工具を測定及び制御する処理ユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
(図面の詳細な説明)
図1には、第1の実施形態による回転駆動工具160を測定及び制御するための処理ユニット150が概略的に示されている。回転駆動工具160は、工作工具170内にクランプされ、これによって第1の測定位置に移動させることができる。ここで、回転駆動工具160は、好ましくは、工具160の少なくとも一部又は工具の少なくとも刃先180が少なくとも部分的に、光バリア装置110の光線140内に突出するように位置決めされる。工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180は、少なくとも部分的に光線140内に突出するので、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180は、光線140の一部分を遮蔽する。これは、それゆえ一点鎖線で示されている。
【0063】
光バリア装置110は、送光ユニット120と受光ユニット130とを具備する。ここで、送光ユニット120は、光線140を送るように構成され、受光ユニット130は、光線140を受けるように構成される。送光ユニット120によって送られる光は、ここではレーザー光である。さらに、受光ユニット130は、処理ユニット150に接続されているので、処理ユニット150は、第1の測定位置において、回転駆動工具160及び/又は回転駆動工具160の刃先180によって生成された遮光に少なくともほぼ比例する信号を受け取る。
【0064】
処理ユニット150は、受信した信号の干渉信号成分及び/又は有効信号成分を判定する点で、受信した信号を評価する。処理ユニット150は、さらに、ここではこれ以上図示されていない工作工具170の数値制御装置にさらに接続されることができ、干渉信号成分、有効信号成分及び/又は受信した信号に関する情報を提供することができる。
【0065】
受光ユニット130と処理ユニット150の間の通信は、処理ユニットと工作工具170の数値制御装置の間の通信とともに、ここでは有線で行われるが、無線で行うこともできる。さらに、処理ユニットは、工作工具170の数値制御装置から信号を受信し、これらを処理することができる。処理ユニット150は、ここで、さらに、受光ユニット130及び/又は送光ユニット120へ、これらを制御するために、制御信号を送信するように構成されている。これに代えて又はこれに加えて、受光ユニット130及び/又は送光ユニット120は、工作工具の数値制御装置に接続され、これによって制御されることができる。
【0066】
受信された信号の干渉信号成分及び/又は有効信号成分の判定をよりよく説明するために、図式的な信号波形図が
図2~
図4、
図6及び
図7に示されている。
【0067】
図2では、視覚化の向上のために、拡大された光線140が示されている。少なくとも1つの刃先180を有する回転駆動工具160は、部分的に光線140内に配置され、工作工具170によって、光線140に垂直な回転軸を中心に回転される。工具160の内側に示されている矢印は、ここでは時計回りの回転方向を示すものとする。
【0068】
図2には、信号波形
図200も示されており、x軸は時間を示し、y軸は電圧を示す。電圧信号は、この場合、受光ユニット130によって生成され、遮光に比例した信号である。光吸収粒子若しくは光散乱粒子(例えば、冷却材の液滴、切屑又は破片)、回転駆動工具160又は少なくとも1つの刃先180が光線140内に位置していない場合、受光ユニット130は光線140に比例する電圧信号U
offを生成し、この場合には0%の遮光を再現する。
【0069】
工具160が
図2に示された位置に配置され、少なくとも1つの刃先180が光線140内に突出することなく、工具160が光線140内に少なくとも部分的に突き出ている場合、受光ユニット130は、電圧信号U
160(t
0)を生成する。工具160によって生成された遮光に対応して、電圧信号U
160は電圧信号U
offよりも低い。工具160によって生成された遮光と光線160の断面との比は、少なくともおよそ電圧信号U
offと電圧信号U
160との比に対応する。
図2以降に示す信号波形図は明瞭性の目的のために用いられるため、真の記録された信号波形図からずれ得る。
【0070】
工具160の回転により、少なくとも1つの刃先180は、時間t
1で光線140を遮り、最初に頂点まで増加する遮光を生成し、受光ユニット130によって電圧信号U
180が生成される。工具160の連続的に進行する回転のために、少なくとも1つの刃先180の遮光は、その後、少なくとも1つの刃先180がもはや時間t
2から光線140内に遮光を生成しなくなるまで減少し、工具160からの信号U
160のみが依然として受光ユニット130によって生成される。信号波形
図200は、回転軸の周りの工具160の完全な回転のための電圧-時間曲線を再現する。
【0071】
光吸収粒子又は光散乱粒子のような、いかなる種類の干渉因子も光線140内に位置しないので、受光ユニット130によって生成された信号は、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180の遮光にのみ対応する。1つの関係、例えば工具160の電圧信号U160と少なくとも1つの刃先180の電圧信号U180との間の差に基づいて、処理ユニット150は、少なくとも1つの刃先の長さを決定する。遮光とその遮光を生成する工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180の関連する長さの間の関係のような回転速度は、処理ユニット150に知られているので、処理ユニット150は、少なくとも1つの刃先180の形状を、上記に加えて又はこれに変えて決定することができる。
【0072】
従来の回転駆動工具を制御するための測定では、軸方向移動中に測定が行われた。これは、回転駆動工具が回転している間に、工具が光バリア装置の光線内に移動したことを意味する。測定位置は、スイッチング信号のために読み出され、ここで、スイッチング信号は、光バリア装置の光線の所定の部分的遮光又は完全遮光に対応する。次に、較正値を使用してスイッチング信号における測定位置を計算し、いわゆる飛行測定を行った。スイッチング時の測定位置から、所定の遮光(較正値)の程度での既知の光線位置を引くことによって、工具の長さは決定された。
【0073】
この手順とは対照的に、本出願は、静的な軸を用いて測定を行うことを開示している。この目的のために、工具160は、まず、光バリア装置110の光線140に対して所定の位置にセットされる。セット位置において、工具160は、
図2の光バリア装置110の光線140内に既に部分的に配置されている。あるいは、工具160を光線140の外側に配置することもできる。従って、工具160の現在の測定位置及び遮断深さが追加される。工具及び/又は工具の少なくとも1つの刃先の長さを決定するために、所定の遮光(較正値)程度における既知の光線位置が、この合計から減算される。
【0074】
処理ユニット150は、さらに、工作工具170の数値制御装置に、受信した信号、少なくとも1つの刃先180の長さ又は形状に関する情報を転送するように構成される。
【0075】
図2に示す手順を参照して、少なくとも1つの刃先180の長さ及び/又は形状が決定される。工具160が光線140内に完全に配置されるか、又は光線140の完全な遮光を引き起こすまで、工具160が光線140に垂直に走る第1の方向に光線140内に移動されると、同様に、工具160の長さ及び/又は形状が決定される。次いで、工具160は、光線140から第1の方向とは反対の第2の方向に移動される。処理ユニット150は、受光ユニット130によって生成された信号に基づいて、工具160の長さ及び/又は形状を決定する。
図2において、工具160の長さは、光線140に対して直交する工具160の直径として理解されるべきである。
【0076】
これに代えて又は加えて、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先の長さ及び/又は形状が予め規定される。処理ユニット150は、信号U180に基づいて決定された長さ及び/又は形状と、以前の測定及び/又は予め定められた長さ及び/又は形状から決定された長さ及び/又は形状との比較を参照して、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180の不完全性が存在するかどうかを判定するように構成される。不完全性は、破損した又は曲がった刃先180及び/又は曲がった工具160であり得る。新たに製造された元の状態からの少なくとも1つの刃先180及び/又は工具160の実際の状態の任意の逸脱は、不完全性として定義され、処理ユニット150によって判定されることができる。それに代えて、逸脱度の閾値を設定することができる。逸脱が閾値を下回る場合、まだ許容可能な逸脱が想定されるので、製造される製品に対する要求を満たすことができる。逸脱が閾値を超える場合、工具160を修理又は交換しなければならない。処理ユニット150は、工作工具170の数値制御装置に不完全性に関する情報を提供し、その情報に基づいて工作工具を停止させる。
【0077】
処理ユニット150はさらに、予め定められた工具の刃先の長さ及び/又は形状及び/又は刃先の数と比較し、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180の決定された長さ及び/若しくは形状、並びに/又は複数の刃先の場合の刃先の数に基づいて、工具160を識別するように構成される。
【0078】
図3に示される状況は、
図2に示された状況と同様であり、信号波形
図300の測定時に、液滴310が光線140内に位置するという違いがある。ここでは、液体310の液滴に関しては、例えば油の液滴であると仮定され、これは、実質的に光不透過性である。ここで液滴310から出ている矢印は、光線140内の液滴310の移動方向を表し、移動方向はこの場合光線140に垂直に走る。液滴310は、
図3において円形として理想化された様式で表され、その形状は、光線140を通過するときに変化し得る。液滴310の液滴は、さらに、光線140内にt
1とt
2との間の時間に位置する。
【0079】
信号波形
図300で認識されるように、少なくとも1つの刃先180の電圧信号U
180(点線の信号波形を参照)は、液滴310の電圧信号U
310によって重ね合わされる。有効信号成分と干渉信号成分とを区別することなく、処理ユニット150が電圧信号U310に基づいて少なくとも1つの刃先180の最大長さ及び/又は形状を決定する場合、これは、電圧信号U
180に基づいて予め決定された、又は予め規定された最大の長さ及び/又は形状に関して著しくずれることになる。したがって、例えば同心度誤差が時期尚早に想定され得、工作工具170の停止又は工具160の交換につながる可能性がある。
【0080】
液滴310が移動する速度は、重力加速度のため、液滴距離に比例して増加する。ここでの液滴310の移動速度の典型的な値は、0.1mの滴下距離で80m/分であり、0.2mの滴下距離で118m/分である。処理ユニット150は、さらに、電圧信号U180に基づいて、回転速度と比例的に増加又は減少する遮光との間の関係をさらに決定する。液滴310によって生成された遮光は、工具160及び少なくとも1つの刃先180によって生成された遮光よりも、単位時間当たりに速く又は遅く増加し又は減少する。したがって、処理ユニット150は、電圧信号U180の有効信号成分及び干渉信号成分を判定するように構成される。有効信号成分U180を参照して、処理ユニット150は、少なくとも1つの刃先180の形状及び/若しくは長さ、並びに/又は回転駆動工具160の刃先の数を決定する。
【0081】
それに代えて又はそれに加えて、信号波形の測定が数回繰り返される。液滴310の流入は独特の事象であり得るので、処理ユニット150は、複数の信号波形図を互いに比較し、液滴160が光線140内に存在する信号波形図を、工具160及び少なくとも1つの刃先180を測定及び制御するために使用しないように構成される。
【0082】
処理ユニット150は、さらに、判定された1つの有効信号成分又は判定された複数の有効信号成分に基づいて工具160の同心度誤差を決定するように構成される。有効信号成分又は決定された長さが、繰り返し測定において一定の制限値だけ互いから逸脱する場合、処理ユニット150は、工作工具170の数値制御装置に同心度誤差に関する情報を提供するように構成される。
【0083】
工具160が複数の刃先180を有する場合、処理ユニット150は、複数の刃先180のそれぞれについて、関連する有効信号成分に基づいて長さ及び/又は形状を決定するように構成される。処理ユニット150は、さらに、有効信号成分に基づいて最も短い刃先180及び最も長い刃先180を決定するように構成される。
【0084】
既に言及したように、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180は、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先を測定及び制御するために、第1の位置に配置される。処理ユニット150は、繰り返し実行される測定に基づいて、繰り返し判定された有効信号成分、干渉信号成分、及び/又は受信した信号に基づいた測定位置誤差を決定するように構成される。工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180が光線140内に誤って位置決めされていると、測定位置の誤差は欠陥のある受信信号につながる。例えば、測定位置の誤差の場合には、電圧信号のその他の連続的な湾曲した進行は、汚染が存在する必要なしに、二重の先端、ひいては電圧信号の頂点に平行な2つの最大値を有し得る。このような電圧信号の進行は、処理ユニット150によって検出される。光線140並びに工具160の及び/又は少なくとも1つの刃先180の位置は、処理ユニット150に既に知られているか、又はこれによって決定することができる。確認された不良の電圧信号に基づいて、処理ユニット150は、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180が移動する第2の測定位置を決定する。この場合、第2の測定位置は、二重の先端がもはや発生しない補正された位置に対応する。これに代えて、半径方向の測定、すなわち光線140の内側(例えば、光線140の中心)から外側(エッジ)への測定を行うことができ、二重先端の代わりにきれいな信号の進行(例えば、正弦波進行)が検出された場合にのみスイッチング点が生成される。
【0085】
測定位置誤差を検出するために、新しい状態(乾いた、きれいな)の工具の信号形状を追加的に又は別の方法で記録し記憶することができる。工具160の後の測定における信号形状が、記憶された信号形状から所定の閾値分だけ逸脱する場合、清掃プロセスが実行される。空気による清掃では、工具160の少なくとも1つの刃先180又は工具160自体に混入物が残る可能性がある。このような場合、空気で清掃する時間の延長は効果がない。したがって、干渉信号成分は、有効信号からのみ得られる有効信号成分及びスイッチング点/測定値からフィルタリング/分離されなければならない。
【0086】
位置誤差を測定しないようにする別の可能性は、工具160の1点だけでなく、工具160の短い部分にわたって(例えば、ボーリング方向に走る工具160の長さに沿って)測定を行うことである。記録位置が工具160の少なくとも1つの刃先180に沿って移動されている間に、工具160の少なくとも1つの刃先180の遮光が変化する場合、以下の3つのケースの少なくとも1つが関与する。これは、汚染(例えば、汚れ粒子)であり、短い領域にわたって工具160の少なくとも1つの刃先180のより強い遮光をもたらす。それはまた、破損でもあり得、これは、短い領域にわたって工具160の少なくとも1つの刃先180のより弱い遮光をもたらす。また、曲率半径でもあり得、長さ測定のために正確な測定位置が残される。
【0087】
信号波形図の測定において、他の影響は、複数回発生する光バリア装置110又は工作工具170の振動又は衝撃があり得る。これは、
図4に示されており、ここでは、振動又は衝撃は、方向交差410によって例として示されるように、いくつかの空間方向であり得る。点線は、遮断されていない信号(それは干渉信号410によって重ね合わされる)を表す。
【0088】
遮断410により、信号の進行に著しい変動を有する信号波形
図400が、受光ユニット130によって出力される。これらの変動は、信号が有効信号成分と干渉信号成分とに分割されない限り、工具及び/又は少なくとも1つの刃先180の明確な長さ及び/又は形状の決定が不可能であるので、干渉信号成分に対応する。工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180の周波数及び/又は振幅は、予め規定することができる。処理ユニット150は、所定の周波数及び/又は振幅に基づいて、信号から有効信号成分及び/又は干渉信号成分を判定するように構成される。言い換えれば、処理ユニット150は、受光ユニット130から受信された信号を、電圧信号成分U
160に少なくともほぼ対応する有効信号成分と、電圧信号成分U
410に少なくともほぼ対応する干渉信号成分とに分離する。有効信号成分に基づいて、処理ユニット150は、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180の形状及び/又は長さを決定する。
【0089】
処理ユニット150は、有効号成分及び/又は干渉信号成分に基づいて、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180の汚染及び/又は不完全性を判定するように構成される。
【0090】
少なくとも1つの刃先180を備えた工作工具170及び工具160の使用中に、例えば、機械加工される材料に穴を開けるときに切り屑が発生し、その切り屑は、工作工具170、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180に付着しうる。工作工具170、工具160、少なくとも1つの刃先180、加工される材料上において望ましくない切り屑又は他の残留物を除去するために、圧縮空気や、冷却材や洗浄流体等の流体を用いることができる。さらに、冷却剤は、工作工具170、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先を冷却するために、汚染とは独立して使用することもできる。
【0091】
図3に示すように、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180の測定における光線140中の液滴310は、電圧信号U
310をもたらし、これは電圧信号U
180から急激にずれ、したがって受光ユニット130によって受信された信号を乱す。例えば、切り屑などが工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180に付着すると、同様に、受光ユニット130によって受信された信号の破壊につながることになるので、同様の状況である。
【0092】
既に説明したように、処理ユニット150は、受信された信号の有効信号成分及び干渉信号成分を判定するように構成される。処理ユニット150が、例えば、少なくとも1つの刃先180の有効信号成分が少なくとも1つの刃先180の所定の長さに対応することを確立した場合、少なくとも1つの刃先180が完全な状態にあると結論付ける。逆に言えば、電圧信号U310は、切り屑又は液滴310のような汚染のために発生したことを意味する。処理ユニット150は、干渉信号成分に基づいて工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180の汚染を判定し、工作工具170の数値制御装置に清掃信号を提供するように構成される。工作工具170の数値制御装置は、加工ユニット150によって提供される清掃信号に基づいて、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先又は工作工具170の完全な構成の清掃を開始するように構成される。この清掃は、例えば、別の清掃ユニットによって提供される圧縮空気、洗浄流体(例えば、水)及び/又は冷却材によって実行される。工作工具170の数値制御装置は、処理ユニット150を介して、又は工作工具170及び/又は光バリア装置110に直接、洗浄プロセス中の測定を中断させる停止信号を送信することができ、工作工具170及び/又は光バリア装置110を再始動するための開始信号を送信することができる。
【0093】
処理ユニットは、さらに、有効信号成分及び干渉信号成分に基づいて、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180の不完全性を判定するように構成される。この不完全性は、壊れた、短くなった及び/若しくは曲がった刃先180又は変形した工具であり得る。不完全な工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180は、工作工具170でのさらなる使用中に欠陥のある製造物及び不合格品をもたらす可能性がある。
【0094】
例えば、少なくとも1つの刃先180の先端部が破断した場合、受光ユニット130によって受信される信号の有効信号成分はより小さく、したがって少なくとも1つの刃先180の決定された長さも小さくなる。加工ユニット150が工具及び/又は少なくとも1つの刃先180の不完全性を判断する場合、加工ユニットは工作工具170の数値制御装置に警告信号を提供する。欠陥のある製造物及び不合格品を防止するため、警告信号に基づいて工作工具170の数値制御装置は、工作工具170及び/又は光バリア装置110を停止させるか、又は工作工具170及び/又は光バリア装置110の加工停止を開始する。
【0095】
図5は、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180を制御する方法500を示す。この方法は、光バリア装置110、工具160及び少なくとも1つの刃先180を備えた工作工具170並びに処理ユニット150の
図1に示された構成をより良く視覚化するために以下に説明されるが、特定のユニットと方法ステップの配置又は関連付けに限定されない。
【0096】
第1のステップ510では、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180によって生成された光線140の遮光が、受光ユニット130によって第1の測定位置に記録される。次のステップ520において、処理ユニット150は、遮光に少なくともほぼ比例する受光ユニット130によって生成された信号を受け取る。次いで、ステップ530において、受信された信号の干渉信号成分及び/又は有効信号成分が、処理ユニット150によって判定され、工程540において、有効信号成分、干渉信号成分及び受信した信号に関する情報の形で工作工具170の数値制御装置に提供される。
【0097】
有効信号成分及び/又は干渉信号成分を判定するステップ530は、既に説明したように、又は以下で処理ユニット150について説明する中間ステップを含むことができる。
【0098】
図6は、少なくとも1つの刃先180の電圧信号U
180の複数の測定の信号波形
図600を示し、ここで、例えば、振動又は衝撃のような干渉410は、測定を中断し、電圧信号U
410につながる。電圧信号の中断を最小にするために、処理ユニット150は、複数回記録された電圧信号を重ね合わせるように構成される。処理ユニット150は、信号波形
図700に示されるように、干渉を最小にするために、重ね合わされた電圧信号に適切なブロックフィルタを適用するようにさらに構成される。適切なブロックフィルタを使用して処理された重畳電圧信号に基づいて、処理ユニット150は、適切なブロックフィルタを用いて処理された重畳電圧信号の有効信号成分及び/又は干渉信号成分を判定する。
【0099】
これに代えて又はこれに加えて、処理ユニット150は、信号波形
図600の電圧信号を参照して、電圧信号の有効信号成分及び/又は干渉信号成分をそれぞれ既に判定する。有効信号成分及び/又は干渉信号成分は、その後、処理ユニット150によって重ね合わされ、適切なブロックフィルタが適用される。
【0100】
受光ユニット130は、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180の遮光に対する比例信号を生成する。ここでは、最初に光線140が少なくともほぼ円形であると仮定されているので、光線を遮る波形部分及びこれに関連する遮光に関して差異はない。しかしながら、実際には、ほぼ円形の光線140が必ずしも想定されるとは限らない。
図7では、x方向がy方向よりも大きい楕円形の光線140が示されている。さらに、2つの信号波形図が
図7に示されている。光線140の楕円形状のために、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180がx軸上でのみ、又はy軸上でのみ光線140の中心に移動される場合、信号曲線は明らかに異なる。
【0101】
図7の光線の直径は、x方向の直径よりもy方向において小さいので、光線140は、x
1=y
1であるとき、x方向の距離x
1においてよりもy方向の距離y
1においてより多く遮られる。言い換えれば、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180は、同じ大きさの遮光、従って受光ユニット130によって少なくともほぼ比例する等価の信号、を生成するために、y方向よりもx方向にさらに移動されなければならない。
【0102】
工具160及び/又は少なくとも1つの刃先の測定及び制御中に理想的に対称な光線140を考慮しないために、処理ユニット150は、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180の長さ及び/又は形状を決定する際に較正関数を使用するように構成される。較正関数は、初期化フェーズの間に処理ユニット150によって決定されるか、又は予め規定されている。
【0103】
工具160を方向810から光線140内に移動させると、較正関数無しでは、工具及び/又は少なくとも1つの刃先の決定された長さ及び/又は形状は、例えば工具160の予め規定された形状及び/又は長さに一致せず、処理ユニット150は、不完全性又は長さ測定誤差を誤って決定する可能性がある。工具160及び/又は少なくとも1つの刃先によって生成された遮光と、それ関連するほぼ比例する信号の間の関係を再現する較正関数の処理ユニット150による使用により、理想的に対称ではない光線140の場合の不完全性又は長さ測定誤差の誤った決定が回避される。
【0104】
工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180の長さを決定するため、処理ユニット150は、電圧信号の最大値を決定するために受光ユニット130によって受信された電圧信号の対称的又はほぼ対称的な領域を決定するように構成される。
図8に示す信号波形
図900に見られるように、電圧信号は対称ではない。処理ユニット150は、例えば、信号波形
図900の破線の矩形によって示されるように、ほぼ対称的な電圧信号の領域を確立する。信号波形
図1000は、破線の矩形の領域に対応する信号波形
図900からの抽出を示す。
【0105】
信号波形
図1000に示すように、電圧信号のこの領域は対称的又はほぼ対称的であり、処理ユニット150はこの領域内の最大値を決定する。決定された最大値に基づいて、処理ユニット150は、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180の長さを決定する。
【0106】
それに代えて、処理ユニット150は、最大値を決定するために、電圧信号の対称又はほぼ対称な領域をフィッティング1010にフィッティングさせる。フィッティング1010は、正弦関数回帰、多項式回帰、ガウス回帰及び/又は指数平滑化である。
【0107】
図9は、処理ユニット1150を有する別の実施形態を示し、ここでは、処理ユニット1150は、第1のデジタルインターフェース1140を介して光バリア装置110に接続される。第1のデジタルインターフェース1140は、光バリア装置の状態情報を処理ユニットに送信し、処理ユニットから制御信号を受信するように構成されている。第1のデジタルインターフェース1140と並行して、処理ユニット1150は、変換ユニット1120及びローパスフィルターユニット1110を介して、第2のデジタルインターフェース1130を介して受光ユニット130に接続される。第1のデジタルインターフェース1140、第2のデジタルインターフェース1130、変換ユニット1120及びローパスフィルターユニット1110は、破線で示すように光バリア装置110に組み込まれ、第1のデジタルインターフェース1140及び/又は第2のデジタルインターフェース1130は、ケーブルによって処理ユニット1150に接続されるが、これに無線で接続することもできる。受光ユニット130が送信するアナログ信号の、特定の制限周波数より高い周波数は、ローパスフィルターユニット1110によってフィルタリングされ、高周波干渉信号の除去されたアナログ信号は、フィルタリングされたアナログ信号を比例するフィルタリングされたデジタル信号に変換するように構成された変換ユニット1120に転送される。フィルタリングされたデジタル信号は、変換ユニット1120によって第2のデジタルインターフェース1130に伝導される。デジタルインターフェース1130は、ケーブルによって処理ユニット1150に接続されるが、これに無線で接続することもできる。処理ユニット1150は、既に説明したように、デジタル信号の有効信号成分及び干渉信号成分を判定し、有効信号成分、干渉信号成分及び/又はデジタル信号に関する情報を工作工具170の数値制御装置に提供するように構成される。
【0108】
フィルタリングされたアナログ信号をサンプリングするための変換ユニット1120のサンプリングレートは、工具160の及び/又は少なくとも1つの刃先の、光線140の遮断率、遮断深さ、遮断方向、速度及び/又は刃先の数に設定される。
【0109】
図10は、処理ユニット1250を有する別の実施形態を示し、処理ユニット1250は、デジタルインターフェース1240及びアナログインターフェース1230を介して光バリア装置110に接続される。デジタルインターフェース1240は、光バリア装置110の状態情報を処理ユニット1250に送信し、処理ユニット1250から制御信号を受信するように構成される。この実施形態では、遮光に少なくともほぼ比例する、受光ユニット130によって生成されたアナログ信号は、アナログインターフェース1230に転送される。アナログインターフェース1230は、アナログ信号をアナログ差分信号として、所定の制限周波数より高い周波数成分をフィルタリングするように構成されたローパスフィルターユニット1210に送信する。フィルタリングされたアナログ信号は、ローパスフィルターユニット1210によって、フィルタリングされたアナログ信号をフィルタリングされたデジタル信号に順に変換する変換ユニット1220に送信される。変換ユニット1220は、フィルタリングされたデジタル信号を処理ユニット1250に伝送する。
図10に示す実施形態では、破線で示すように、デジタルインターフェース1240及びアナログインターフェース1230は、光バリア装置110に統合されている。ローパスフィルターユニット1210と変換ユニット1220とは、点線で示すように、処理ユニット1250に統合されている。
【0110】
図11は、処理ユニット1350を有する別の実施形態を示し、ここで、処理ユニット1350は光バリア装置110に統合されている。処理ユニット1350は、光バリア装置110の状態情報を処理ユニット1350に送信し、処理ユニット1350からの制御信号を光バリア装置110に受け取るように構成されたデジタルインターフェース1340を介して接続される。この実施形態では、遮光に少なくともほぼ比例する受光ユニット130によって生成されたアナログ信号は、ローパスフィルターユニット1310に直接転送され、ここで、ローパスフィルターユニット1310は、アナログ信号の所定の制限周波数よりも高い周波数成分をフィルタリングするように構成されている。フィルタリングされたアナログ信号は、ローパスフィルターユニット1310によって変換ユニット1320に送信され、変換ユニット1320は、フィルタリングされたアナログ信号をフィルタリングされたデジタル信号に順に変換する。変換ユニット1320は、フィルタリングされたデジタル信号を処理ユニット1350に伝送する。
図11に示す実施形態では、処理ユニット1350、デジタルインターフェース1340、ローパスフィルターユニット1310、及び変換ユニット1320は、破線で示すように、光バリア装置110に統合されている。
【0111】
処理ユニット1150、1250、1350は、処理ユニット150と同じ特徴を有することができる。処理ユニット1150、1250及び1350については追加の補足的な特徴のみを記載した。
【0112】
上述した実施形態の処理ユニット150、1150、1250、1350は、付加的に値記憶ユニットに接続することができる。値記憶ユニットは、受光ユニット130によって受信された信号の有効信号成分及び/又は干渉信号成分を記憶及び再現するように構成される。さらに、値記憶ユニットは、処理ユニット150、1150、1250、1350によって決定された工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180の長さ及び/若しくは形状、それぞれの刃先の遮断深さ、それぞれの刃先の遮光時間並びに較正関数を、フィッティングされた信号波形図とともに記憶するように構成することができる。さらに、値記憶ユニットは、工作工具170の数値制御装置によって受け取られた工具に関する情報、例えば、回転駆動工具の遮断率、遮断方向、刃先の数、速度、形状及び/又は長さを、特定のタスクを行う評価指示とともに記憶するように構成することができる。
【0113】
アナログ信号/フィルタリングされたアナログ差分信号をサンプリングするための変換ユニット1120及び/又は変換ユニット1220、1320のサンプリングレートは、工具160及び/又は少なくとも1つの刃先180の、光線140内の遮断率、遮断深さ、遮断方向、速度及び/又は刃先の数に設定される。
【0114】
前述の方法又は装置の変形例、並びにそれらの機能的及び動作的側面は、構造、機能モード及び特性のより良い理解のためにのみ役立つ。例えば、開示を例示的な実施形態に限定するものではない。図は、機能、動作原理、技術的構成及び特徴を明確にするために、実質的な特性及び効果がかなり拡大されている部分的な概略図である。ここでは、図中又は文中で開示された各機能形態、各原理、各技術的構成及び各特徴は、自由に任意の方法で、本開示又はそこから得られる結果の全ての請求項、文中及び他の図中の各特徴、他の機能形態、原理、技術的構成及び特徴と結合することができ、全ての考えられる組み合わせは、記載された方法及び装置に関連するものとする。ここで、組み合わせは、文中、すなわち、明細書の各項目、特許請求の範囲の全ての個々の実施形態でもあり、文中、特許請求の範囲及び図の異なる変形例の間の組み合わせでもある。ここで引用した値域については、全ての数値中間値が開示されている場合がある。
【0115】
特許請求の範囲は、開示を限定するものではなく、互いに示された全ての特徴の組合せ選択物を限定するものでもない。開示されたすべての特徴は、ここでは個別に、及び他の全ての特徴と組み合わせて明示的に開示されている。