IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友重機械エンバイロメント株式会社の特許一覧

特許7433763破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法
<>
  • 特許-破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法 図1
  • 特許-破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法 図2
  • 特許-破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法 図3
  • 特許-破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法 図4
  • 特許-破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法 図5
  • 特許-破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法 図6
  • 特許-破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法 図7
  • 特許-破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/08 20060101AFI20240213BHJP
   B02C 13/284 20060101ALI20240213BHJP
   B02C 18/06 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
E02B5/08 101
B02C13/284
B02C18/06 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019002985
(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公開番号】P2020111945
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-09-17
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】507036050
【氏名又は名称】住友重機械エンバイロメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】萩原 有希子
【合議体】
【審判長】古屋野 浩志
【審判官】土屋 真理子
【審判官】佐藤 史彬
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-75449(JP,A)
【文献】特開平2-243812(JP,A)
【文献】特開2005-36423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B5/00-7/18,8/00
E02B8/06-8/08
E02C1/00-5/02
E03F1/00-11/00
B02C13/00-13/31
B02C9/00-11/08
B02C19/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路内の夾雑物を破砕する破砕機へ夾雑物を移送する破砕機用スクリーン装置であって、
前記夾雑物を移送する複数のスクリーン部と、
前記複数のスクリーン部の運転を制御する制御部と、を備え、
前記複数のスクリーン部は、前記夾雑物を捕捉するスクリーンと、前記スクリーンで捕捉された前記夾雑物を掻き寄せるレーキを設けた回転レーキ部からなり、
前記制御部は、前記複数のスクリーン部で過負荷を検知した際、前記複数のスクリーン部において1回転/(回転面におけるレーキの枚数)の角度以上、逆転運転を行うものであり、
前記複数のスクリーン部は、それぞれ独立して運転可能であることを特徴とする、破砕機用スクリーン装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記逆転運転を実行した後は正転運転に戻し、正転運転を所定時間実行後に過負荷を検知した場合は再度逆転運転を行い、過負荷を検知しなかった場合は正転運転を継続することを特徴とする、請求項1に記載の破砕機用スクリーン装置。
【請求項3】
前記制御部は、過負荷の検知回数が所定回数を超えた際、前記複数のスクリーン部の運転を停止することを特徴とする、請求項1又は2に記載の破砕機用スクリーン装置。
【請求項4】
水路内の夾雑物を破砕する破砕機へ夾雑物を移送する破砕機用スクリーン装置に設けられる破砕機用スクリーン装置の制御装置であって、
前記破砕機用スクリーン装置は、前記夾雑物を捕捉するスクリーンと、前記スクリーンで捕捉された前記夾雑物を掻き寄せるレーキを設けた回転レーキ部からなる前記夾雑物を移送する複数のスクリーン部を備え、
前記制御装置は、前記複数のスクリーン部の運転を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記複数のスクリーン部で過負荷を検知した際、前記複数のスクリーン部において1回転/(回転面におけるレーキの枚数)の角度以上、逆転運転を行うものであり、
前記複数のスクリーン部は、それぞれ独立して運転可能であることを特徴とする、破砕機用スクリーン装置の制御装置。
【請求項5】
水路内の夾雑物を破砕する破砕機へ夾雑物を移送する破砕機用スクリーン装置の運転方法であって、
前記破砕機用スクリーン装置は、前記夾雑物を移送する複数のスクリーン部と、前記複数のスクリーン部の運転を制御する制御部と、を備え、
前記複数のスクリーン部は、前記夾雑物を捕捉するスクリーンと、前記スクリーンで捕捉された前記夾雑物を掻き寄せるレーキを設けた回転レーキ部からなり、
前記複数のスクリーン部で過負荷を検知した際、前記複数のスクリーン部において1回転/(回転面におけるレーキの枚数)の角度以上、逆転運転を行う工程を備え
前記複数のスクリーン部は、それぞれ独立して運転可能であることを特徴とする、破砕機用スクリーン装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理場等の水路に設置され、水中に浮遊するし渣等の夾雑物を破砕するための破砕機に対して夾雑物を移送するスクリーン装置、スクリーン装置の制御装置及びスクリーン装置の運転方法に関するものである。更に詳しくは、水中に浮遊するし渣等の夾雑物をスクリーン部材で捕捉し、スクリーン部材に捕捉された夾雑物を回転レーキ部により破砕機に掻き寄せるスクリーン装置、スクリーン装置の制御装置及びスクリーン装置の運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水処理場等の水路には、水中に浮遊するし渣等の夾雑物を破砕するためのスクリーン付破砕機が設置されている。水路に設置されるスクリーン付破砕機は、夾雑物を破砕するための破砕機の他、夾雑物を捕捉するためのスクリーン部材と、スクリーン部材に捕捉された夾雑物を破砕機に掻き寄せるための回転レーキ部からなるスクリーン装置を備えており、水路の全幅に亘って流れる夾雑物を破砕部に掻き寄せて破砕することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、スクリーン装置と該スクリーン装置の一側方に設置された破砕機とを水路に横断設置し、水中の夾雑物を破砕機へ収集する装置が記載されている。このスクリーン装置は、垂直方向に積層された円弧状スクリーン部材と、該円弧状スクリーン部材の間を回転するレーキ群を固着している垂直方向のレーキ軸からなり、該レーキ軸をスクリーンの外周縁の中心と偏心して設置することにより、レーキの先端部がスクリーンの外周縁から出没し、スクリーンに捕捉された夾雑物が破砕機へ掻き寄せる装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-324101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようなスクリーン付破砕機では、スクリーン装置において、回転するレーキにより夾雑物を掻き寄せると、夾雑物の一部がレーキの回転に巻き込まれて破砕機に流入しないことがある。そして、レーキに巻き込まれた夾雑物は、スクリーン部材の下流側に堆積する。また、スクリーン部材の間隙に夾雑物がかみ込むこともある。このような夾雑物の堆積やかみ込みはレーキの回転に負荷を与えるため、スクリーン付破砕機の運転を停止して、原因である夾雑物を取り除いていた。しかし、スクリーン付破砕機の運転を停止することは、処理効率が低下するという問題が生じるとともに、被処理水中の夾雑物の滞留による処理負荷の増加などの問題が生じる。
したがって、スクリーン装置における夾雑物の堆積やかみ込みが生じた場合に、スクリーン付破砕機の運転をすぐに停止せずに、スクリーン装置上の夾雑物を取り除いてスクリーン装置における負荷を低減させ、破砕処理を継続可能とすることが求められている。
【0006】
本発明の課題は、被処理水中のし渣等の夾雑物を破砕する破砕機に対して夾雑物を移送するスクリーン装置において、スクリーン装置上の夾雑物を取り除く機能を有し、スクリーン装置の負荷を低減することができる破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、破砕機へ夾雑物を移送する破砕機用スクリーン装置において、スクリーン部を運転制御する制御部を備え、スクリーン部で過負荷を検知した際に、スクリーン部を特定の範囲で逆転運転させることで、スクリーン部の負荷を低減し、破砕処理を継続して行うことができることを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法である。以下、本発明に係る破砕機用スクリーン装置は、単にスクリーン装置と呼ぶこともある。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の破砕機用スクリーン装置は、水路内の夾雑物を破砕する破砕機へ夾雑物を移送する破砕機用スクリーン装置であって、夾雑物を移送するスクリーン部と、スクリーン部の運転を制御する制御部と、を備え、スクリーン部は、夾雑物を捕捉するスクリーンと、スクリーンで捕捉された夾雑物を掻き寄せるレーキを設けた回転レーキ部からなり、制御部は、スクリーン部で過負荷を検知した際、スクリーン部において1回転/(回転面におけるレーキの枚数)の角度以上、逆転運転を行うことを特徴とする。
この破砕機用スクリーン装置によれば、スクリーンと回転レーキ部を備えるスクリーン部における過負荷状態を検出し、回転レーキ部の逆転運転を所定の角度分行うことで、スクリーン部の過負荷の要因となる夾雑物を取り除き、スクリーン装置に係る負荷を低減させた状態で処理を行うことができる。
【0009】
また、本発明の破砕機用スクリーン装置の一実施態様としては、制御部は、逆転運転を実行した後は正転運転に戻し、正転運転を所定時間実行後に過負荷を検知した場合は再度逆転運転を行い、過負荷を検知しなかった場合は正転運転を継続するという特徴を有する。
この特徴によれば、スクリーン部の過負荷状態に応じて、スクリーン部における正転運転と逆転運転を切り替えることで、メンテナンスの回数や手間を低減し、スクリーン装置を安定して稼働させることができる。
【0010】
また、本発明の破砕機用スクリーン装置の一実施態様としては、制御部は、過負荷の検知回数が所定回数を超えた際、前記スクリーン部の運転を停止するという特徴を有する。
この特徴によれば、過負荷の検知回数が所定回数を超えた際には、正転運転及び逆転運転では過負荷状態を解消できないと判断して、スクリーン部を停止することで、スクリーン装置の保護及び別の手段による過負荷状態の解消など、適切な対応を可能とするものである。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の破砕機用スクリーン装置の制御装置は、水路内の夾雑物を破砕する破砕機へ夾雑物を移送する破砕機用スクリーン装置に設けられる破砕機用スクリーン装置の制御装置であって、破砕機用スクリーン装置は、夾雑物を捕捉するスクリーンと、スクリーンで捕捉された夾雑物を掻き寄せるレーキを設けた回転レーキ部からなる夾雑物を移送するスクリーン部を備え、制御装置は、スクリーン部の運転を制御する制御部を備え、制御部は、スクリーン部で過負荷を検知した際、スクリーン部において1回転/(回転面におけるレーキの枚数)の角度以上、逆転運転を行うことを特徴とする。
この特徴によれば、スクリーンと回転レーキ部を備えるスクリーン部における過負荷状態を検出し、回転レーキ部の逆転運転を所定の角度分行うことで、スクリーン部の過負荷の要因となる夾雑物を取り除き、スクリーン装置に係る負荷を低減させた状態で処理を行う制御に係る技術を、さまざまなスクリーン装置において利用することができる。特に、既設のスクリーン付破砕機のスクリーン装置に適用することで、スクリーン付破砕機全体を更新することなく、簡素な取り付け作業によって、スクリーン装置に係る負荷を低減させた処理を可能とするスクリーン装置及びスクリーン付破砕機に更新することができる。
【0012】
上記課題を解決するための本発明の破砕機用スクリーン装置の運転方法は、水路内の夾雑物を破砕する破砕機へ夾雑物を移送する破砕機用スクリーン装置の運転方法であって、破砕機用スクリーン装置は、夾雑物を移送するスクリーン部と、スクリーン部の運転を制御する制御部と、を備え、スクリーン部は、夾雑物を捕捉するスクリーンと、スクリーンで捕捉された夾雑物を掻き寄せるレーキを設けた回転レーキ部からなり、スクリーン部で過負荷を検知した際、スクリーン部において1回転/(回転面におけるレーキの枚数)の角度以上、逆転運転を行う工程を備えることを特徴とする。
この特徴によれば、スクリーンと回転レーキ部を備えるスクリーン部における過負荷状態を検出し、回転レーキ部の逆転運転を所定の角度分行うことで、スクリーン部の過負荷の要因となる夾雑物を取り除き、スクリーン装置に係る負荷を低減させた状態で処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被処理水中のし渣等の夾雑物を破砕する破砕機に対して夾雑物を移送するスクリーン装置において、スクリーン装置上の夾雑物を取り除く機能を有し、スクリーン装置の負荷を低減することができる破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施態様の破砕機用スクリーン装置を備えるスクリーン付破砕機の構造を示す概略説明図である。
図2】本発明の第1の実施態様の破砕機用スクリーン装置の運転制御を示す概略説明図である。
図3】本発明の第1の実施態様の他の破砕機用スクリーン装置の運転制御を示す概略説明図である。
図4】本発明の第1の実施態様の破砕機用スクリーン装置の運転制御を示すフローチャートである。
図5】本発明の第2の実施態様の破砕機用スクリーン装置の構造を示す概略説明図である。
図6】本発明の第2の実施態様の破砕機用スクリーン装置におけるスクリーン部の構造を示す拡大図である。
図7】本発明の第3の実施態様の破砕機用スクリーン装置の構造を示す概略説明図である。
図8】本発明の第4の実施態様の破砕機用スクリーン装置の構造を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法の実施態様を詳細に説明する。また、本発明に係る破砕機用スクリーン装置の運転方法の説明については、本発明に係る破砕機用スクリーン装置の運転制御に係る説明に置き換えるものとする。
なお、実施態様に記載する破砕機用スクリーン装置及び破砕機用スクリーン装置の制御装置については、本発明に係る破砕機用スクリーン装置及び破砕機用スクリーン装置の制御装置を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。また、実施態様に記載する破砕機用スクリーン装置の運転方法についても、本発明に係る破砕機用スクリーン装置及び破砕機用スクリーン装置の制御装置を用いた破砕機用スクリーン装置の運転方法を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0016】
本発明の破砕機用スクリーン装置は、破砕機とともに水路に設置され、水路を流れる被処理水中の夾雑物を処理するために使用される。例えば、水路としては下水処理場等の沈砂池等であり、夾雑物としては下水等の汚水に含まれるし渣等が挙げられる。なお、実施態様に記載する水路の構造については、本発明に係る破砕機用スクリーン装置及び破砕機用スクリーン装置を備えるスクリーン付破砕機を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0017】
〔第1の実施態様〕
(スクリーン付破砕機)
図1は、本発明の第1の実施態様における破砕機用スクリーン装置を備えるスクリーン付破砕機の構造を示す概略説明図である。
【0018】
本発明の第1の実施態様のスクリーン付破砕機100は、水路Rを流れる被処理水に含まれる夾雑物Gを破砕処理するためのものである。本実施態様のスクリーン付破砕機100は、水路Rを流れる被処理水に含まれる夾雑物Gを破砕するための破砕機1と、破砕機1へ夾雑物Gを移送するスクリーン装置2Aとを備えている。破砕機1はスクリーン装置2Aの一側方に配置されている。また、破砕機1及びスクリーン装置2Aは、水路Rを横断するように互いに近接設置されている。
【0019】
破砕機1は、水路R内を流れる被処理水中の夾雑物Gを破砕するためのものである。また、破砕機1は、スクリーン装置2Aから夾雑物Gが供給されるように配置されていればよく、例えば、図1に示すように、スクリーン装置2Aと水路Rの側壁R2の間に設置されるものが挙げられる。さらに、本実施態様の破砕機1としては、どのような破砕機であってもよく、垂直型2軸破砕機、水平型の破砕機等が挙げられる。
本実施態様の破砕機1としては、垂直型の破砕機を例示しているが、これに限定されない。なお、本実施態様で例示した垂直型の破砕機は、スクリーン装置2Aの高さ方向に均等に破砕機1を設置することができるという利点がある。
【0020】
破砕機1は、図1に示すように、前面(図示上側)に被処理水を導入する導入口11が形成され、後面に被処理水を排出する排出口12が形成されている。また、破砕機1は、上下方向(紙面垂直方向)に延びる軸周りに、2個の回転破砕刃13a、13bを回転自在に支持し、その刃同士が互いに噛合するように水路R内の幅方向に並設されている。また、破砕機1は、その上部に回転破砕刃13a、13bを回転駆動する駆動部を備えている(不図示)。なお、本実施態様の駆動部としては、縦型電動機を備えている。
【0021】
そして、破砕機1は、駆動部(縦型電動機)が駆動されることで、回転破砕刃13a、13bが夾雑物Gを巻き込む方向に回転し、導入口11から被処理水を導入して被処理水中の夾雑物G及びスクリーン装置2Aから移送される夾雑物Gを、回転破砕刃13a、13bの間に挟み込んで破砕し、排出口12から下流側に放出する。なお、図1に示すように、本実施態様の破砕機1においては、駆動部が所定の出力で駆動し、回転破砕刃13aが右回りに回転し、回転破砕刃13bが左回りに回転することで、夾雑物Gを破砕するものである。
【0022】
スクリーン装置2Aは、破砕機1へ夾雑物Gを移送するためのものである。スクリーン装置2Aは、破砕機1の上流側に設けられ、被処理水中の夾雑物Gを捕捉して、破砕機1へ夾雑物Gを掻き寄せる。これにより、夾雑物Gを確実に破砕機1へ供給することができ、スクリーン付破砕機100の破砕効率が向上するものである。
以下、スクリーン装置2Aについて詳細に説明する。
【0023】
(スクリーン装置)
図2は、本発明の第1の実施態様における破砕機用スクリーン装置の構造を示す概略説明図である。なお、一点鎖線の矢印は、制御可能に接続されていることを示すものである。
【0024】
本実施態様のスクリーン装置2Aは、夾雑物Gを移送するスクリーン部3と、スクリーン部の運転を制御する制御部4を備える。また、スクリーン部3は、夾雑物Gを捕捉するスクリーン5と、スクリーン5に捕捉された夾雑物Gを破砕機1へ掻き寄せるための回転レーキ部6を備えている。
【0025】
スクリーン5は、略垂直方向に積層された複数のスクリーン部材により構成されており、各スクリーン部材は離間して設置されている。スクリーン5の上流から流れてくる被処理水は、スクリーン部材の間の間隙を通過し、このスクリーン部材の間の間隙よりも大きな夾雑物Gは、スクリーン5の上流側に捕捉される。なお、スクリーン5を構成する部材はどのようなものでもよく、例えば、複数のスリットが略水平に形成された板部材等で構成してもよい。
【0026】
スクリーン5は、他側方(破砕機1と反対側)の端が水路Rの側壁R1に固定され、一側方(破砕機1側)は、水路Rの略中央まで延設し、水路Rの略中央から下流側に向けて円弧状に湾曲した円弧部を形成している。そして、スクリーン5の一側方は、破砕機1の水路中央側のケーシング側面に固定されている。
なお、スクリーン5の形状は、夾雑物Gの捕捉及び移送効率の観点から円弧部を有することが好ましいが、これに限定されるものではない。例えば、水路Rの略中央から下流側に向けて折線で形成された弧状部を有するものであってもよい。
【0027】
スクリーン5は、上述したとおり、一側方(破砕機1側)において円弧部を形成しており、該円弧部は、前記破砕機1の上流領域まで延設されている。これにより、スクリーン5に捕捉された夾雑物Gを、破砕機1の刃が噛み合う位置にまで適切に誘導することができる。
【0028】
回転レーキ部6は、回転軸63と、回転軸63に固定された複数のレーキ61と、回転軸63を回転駆動する駆動部64で構成されている。レーキ61は、積層されたスクリーン部材の間隙を通過可能な厚みを有する平板であり、回転レーキ部6には、スクリーン5に形成された間隙と同数のレーキ61が高さ方向に並設されている。また、駆動部64によって破砕機1側に夾雑物Gを移送する方向にレーキ61が回転することを、回転レーキ部6の正転運転と呼び、特にレーキ61の回転速度が所定の範囲内にあるときを通常運転と呼ぶ。
【0029】
回転レーキ部6のレーキ61は、夾雑物Gを掻き寄せるためのものである。レーキ61の材質としては、ゴム、板バネ等の弾性体からなるものが好ましく、特に硬質ゴムからなることが好ましい。これにより、夾雑物Gとして木材等の硬いものが挟まった場合に、レーキ61が弾性変形するため、レーキ61の破損を抑制することができる。
【0030】
また、レーキ61の形状は、夾雑物Gを掻き寄せることができるものであれば特に限定されない。例えば、レーキ61の先端部は、図1に示すように、正転運転時のレーキ61の回転方向に対する表側の端部の半径方向の長さが、反対側の裏側の端部の半径方向より長くされた傾斜面62を有するものとすることが挙げられる。これにより、夾雑物Gがレーキの先端部で絡まることがなく、効率よく移送することができる。
【0031】
回転レーキ部6の回転軸63は、複数のレーキ61が固定されており、スクリーン5の円弧部の中心と偏心して設置されている。駆動部64により回転軸63を回転駆動し、回転軸63を中心にレーキ61が周回すると、スクリーン部材の間からレーキ61が突出する。そして、スクリーン5の外周面からレーキ61が突出する間に、スクリーン5に捕捉された夾雑物Gが掻き寄せられ、破砕機1へと流入する。
【0032】
回転軸63に対するレーキ61の固定位置は、スクリーン5に形成された間隙と同数のレーキ61が高さ方向に並設されているように配置されるものであれば、特に限定されない。例えば、回転軸63に対して全てのレーキ61が一列に配置されるものが挙げられる。これにより、回転レーキ部6の設計、組み立てが容易となる。また、回転軸63に対してレーキ61の角度をずらして固定し、放射状や螺旋状となるように配置されるものが挙げられる。これにより、破砕機1へ移送する夾雑物Gの量を分散させ、破砕機1上で大量の夾雑物Gを一度に処理することを抑制し、破砕機1における夾雑物Gのかみ込みを抑制することができる。このとき、複数のレーキ61をレーキ群とし、レーキ群ごとに角度をずらして固定するものとしてもよい。これにより、夾雑物Gの掻き寄せ動力を低減することが可能となる。
【0033】
回転レーキ部6の駆動部64は、回転軸63を回転駆動させるものである。また、駆動部64は、破砕機1側に夾雑物Gを移送する方向に回転する正転運転に加えて、正転運転と逆方向に回転する逆転運転を行う機能を備えている。なお、駆動部64は、回転軸63を回転駆動することができるものであれば、特に限定されない。例えば、破砕機1の駆動部と同様に、縦型電動機を用いることが挙げられる。
また、回転レーキ部6の駆動部64は、レーキ61の先端の回転速度が、破砕機1の回転破砕刃13a、13bの外周の回転速度よりも遅くなるように駆動させる。例えば、レーキ61の先端の回転速度が、破砕機1の回転破砕刃13a、13bの外周の回転速度の70%以下となるようにすることが好ましい。これにより、レーキ61によって掻き寄せられた夾雑物Gが、破砕機1に引き込まれやすくなり、より一層効率的かつ確実に夾雑物Gを破砕機1に移送することができる。
【0034】
なお、本発明の回転レーキ部6は、スクリーン5に捕捉された夾雑物Gを破砕機1へ掻き寄せることができれば、どのような構成でもよく、スクリーン5の形状に合わせて適宜設計することができる。例えば、第1の実施態様の回転レーキ部6のように、回転軸63とレーキ61からなる構成のほか、後述する第3の実施態様の周回レーキ部8のように、レーキを取り付けたチェーンと、チェーンを周回するための複数のスプロケットを備えた構成等が挙げられる。
第1の実施態様の回転レーキ部6のように、回転軸63と、回転軸63から放射状に取り付けたレーキ61により構成した回転レーキ部6は、チェーンとスプロケットのように噛み合うような構造がなく、簡素な構造物であるため、回転レーキ部6に夾雑物が絡まる等のトラブルが生じにくいという利点がある。
【0035】
上述したように、回転レーキ部6を駆動部64により回転運転することにより、スクリーン5に捕捉された夾雑物Gが破砕機1に掻き寄せられ、夾雑物Gを破砕機1により破砕処理することができる。
【0036】
(制御部(破砕機用スクリーン装置の制御装置))
制御部4は、スクリーン部3の運転を制御するものである。また、制御部4は、スクリーン装置2A単体の運転を制御するものであって、破砕機1の運転制御とは独立して行われるものである。
制御部4は、スクリーン部3に対し、配線等により直接接続されるものであってもよく、無線等の通信技術を介して間接的に接続されるものであってもよい。
本実施態様の制御部4は、スクリーン部3の運転状態を判断する判断部41と、スクリーン部3の運転状態を制御するスクリーン部運転制御部42とを備えている。
【0037】
判断部41は、スクリーン部3の運転状態を判断するものであり、この判断結果をスクリーン部3の運転を制御する基準とする。スクリーン部3の運転状態とは、スクリーン5における夾雑物Gの堆積やかみ込みに起因して、回転レーキ部6が過負荷状態にあるか否かを指すものである。
判断部41がスクリーン部3の運転状態を判断する手段としては、特に限定されない。例えば、スクリーン5が夾雑物G等の異物をかみ込んだことを検出する手段、回転レーキ部6の駆動部64の出力増加を検出する手段などが挙げられる。具体的には、回転レーキ部6の駆動部64の電流値を検知する機構を設け、電流値の変化に基づきスクリーン部3の運転状態を判断することが挙げられる。電流値は短時間(1秒以下)で検知されるため、回転レーキ部6の過負荷状態を瞬時に判断することができる。
また、判断部41は、スクリーン付破砕機100またはスクリーン部3に対する外部からの運転命令を受け取る機能を備え、外部からの運転命令の内容に応じてスクリーン部3の運転状態に係る判断を行うものとしてもよい。
【0038】
スクリーン部運転制御部42は、スクリーン部3の運転状態を制御するものである。なお、スクリーン部3の運転状態の制御とは、回転レーキ部6の駆動・停止、減速・加速、回転方向の制御を指すものである。スクリーン部3の運転状態を制御する手段としては、特に限定されない。例えば、オンオフのスイッチ機構、インバータ等により、回転レーキ部6の駆動部64の出力を制御する手段が挙げられる。
【0039】
なお、制御部4に係る構成は、本発明に係る制御装置として独立したものとすることができる。この制御装置は、既設のスクリーン付破砕機におけるスクリーン装置に適用することができる。これにより、スクリーン装置を更新することなく、簡素な取り付け作業によって、本発明の破砕機用スクリーン装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法を提供することができる。
【0040】
(破砕機用スクリーン装置の運転制御)
本発明の破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法は、スクリーン部3の運転状態に応じた運転制御を行うものである。
以下、本発明に係る実施態様として、スクリーン部3の運転状態に応じた好適な運転制御について例示して説明する。なお、各運転制御における説明及びフローチャートについては、実施態様の例示に過ぎず、これに限定されるものではない。
【0041】
まず、スクリーン部3の運転状態において、過負荷を検出した際の運転制御について、図2図4を参照して説明する。
図2及び図3は、スクリーン装置2Aの逆転運転時の作動についての(A)逆転運転開始時及び(B)逆転運転による夾雑物の除去時を示している。なお、図2及び図3は、回転レーキ部6におけるレーキ61の配置が異なるものである。
また、図4は、本運転制御のフローチャートを示している。
【0042】
スクリーン装置2Aの運転を開始し、通常運転を行っている間に、制御部4の判断部41により、回転レーキ部6における駆動部64の出力が通常運転として設定した設定値を超え、過負荷状態にあると判断した場合、制御部4のスクリーン部運転制御部42により、回転レーキ部6のレーキ61の回転方向を逆転させた逆転運転を行う。また、このとき、破砕機1の運転は継続するものとする。
そして、図2及び図3に示すように、過負荷状態にあると判断した時点T1を基準にして、回転レーキ部6の逆転運転を行い、図2及び図3においてレーキ61を左回りに回転させる。なお、図2及び図3において、時点T1におけるレーキ61の位置を鎖線で示している。
このとき、過負荷の要因となる夾雑物Gを取り除くためには、レーキ61が正転運転時と反対方向から夾雑物Gに接触するように、回転レーキ部6を駆動することが望ましい。
例えば、図2には、回転レーキ部6において、回転軸63に対してレーキ61a~61dを、スクリーン5の間隙ごとにそれぞれ90度ずつ角度をずらして固定したものについて示している。図2(A)に示すように、夾雑物Gによりレーキ61aに負荷がかかり、判断部41により過負荷状態が検出された際、この時点T1を基準として逆転運転を開始する。また、図2(B)に示すように、レーキ61aを1回転(360度)以上回転させることで、夾雑物Gを除去することが可能となる。
一方、図3には、回転レーキ部6において、回転軸63に対してレーキ61aと61cが同一平面上に180度角度をずらして固定されており、レーキ61bと61dが、同一平面上に180度角度をずらして固定されているものであって、レーキ61a、61cとレーキ61b、61dはそれぞれ90度ずつ角度をずらして固定したものについて示している。図3(A)に示すように、夾雑物Gによりレーキ61aに負荷がかかり、判断部41により過負荷状態が検出された際、この時点T1を基準として逆転運転を開始する。また、図3(B)に示すように、レーキ61aを半回転(180度)以上回転させることで、同一平面上にあるレーキ61cにより夾雑物Gを除去することが可能となる。
【0043】
図2及び図3に示すように、回転レーキ部6の回転面Aにおけるレーキ61の枚数、すなわちスクリーン5に形成されている1つの間隙を通過するレーキ61の枚数が1枚の場合、レーキ61を1回転(360度)以上回転させることで、夾雑物Gを取り除くことができる。また、回転レーキ部6の回転面におけるレーキ61の枚数、すなわちスクリーン5に形成されている1つの間隙を通過するレーキ61の枚数が2枚の場合、レーキ61を半回転(180度)以上回転させることで、夾雑物Gを取り除くことができる。
【0044】
したがって、回転レーキ部6の逆転運転は、1回転/(回転面におけるレーキの枚数)の角度以上行うことで、過負荷の要因である夾雑物Gを取り除くことが可能となる。また、回転レーキ部6の逆転運転は少なくとも1回転/(回転面におけるレーキの枚数)の角度以上行うものであればよく、上限については特に限定されない。
【0045】
なお、回転レーキ部6の構造が、各回転面において取り付けられているレーキ61の枚数が異なるものであった場合については、夾雑物Gを確実に取り除くために、回転面におけるレーキ61枚数の最小値を用いて逆転運転の角度を算出することが好ましい。また、判断部41において、スクリーン5に堆積した夾雑物Gの位置を把握する機能を備え、過負荷の要因となった夾雑物Gの位置の回転面におけるレーキ61枚数を用いて逆転運転の角度を算出してもよい。これにより、必要最小限の逆転運転により、スクリーン部3の過負荷状態を解消することができる。
【0046】
図4に示すように、スクリーン部3の逆転運転として、回転レーキ部6の逆転運転を行い、所定角度以上の逆転運転が完了した後は正転運転に戻し、正転運転を所定時間実行する。そして、所定時間経過後に、再度判断部41によりスクリーン部3の運転状態を判断し、スクリーン部3の過負荷状態が解消したと判断した場合、スクリーン部運転制御部42によりスクリーン部3の正転運転を継続する。一方、判断部41によりスクリーン部3の過負荷状態が解消していないと判断した場合、スクリーン部運転制御部42により再度スクリーン部3の逆転運転を実行する。この操作を繰り返す。
【0047】
また、図4に示すように、判断部41により過負荷状態にあると判断された場合、判断部41に設けたカウンタを起動する。また、過負荷状態にあると判断された回数が所定回数(n回(nは任意の数))以上にあるかを判断する。このとき、n回以内である場合は、スクリーン装置2Aの通常運転に戻る。一方、n回以上である場合、逆転運転による過負荷状態の解消は困難と判断し、スクリーン部3の運転を停止する。これにより、過負荷の検知回数が所定回数以内においてはスクリーン部3の過負荷状態の解消と破砕処理の継続を図りながら、スクリーン付破砕機100の運転をすぐに停止することを回避することができる。また、過負荷の検知回数が所定回数を超えた場合は、スクリーン装置2の保護の観点からスクリーン部の運転を止めるものとする。なお、スクリーン部3の運転停止後、別の手段によりスクリーン部3の過負荷状態の解消を試みるものとしてもよい。
【0048】
また、判断部41によって過負荷状態にあると判断された回数が1回目の場合に、タイマーを起動するものとし、リセット時間が経過しない間に、再度過負荷状態と判断された場合においてもスクリーン部3の運転を停止するものとしてもよい。これにより、スクリーン装置2の不具合を早急に察知し、適切な対応が可能となる。なお、リセット時間が経過した場合は、カウンタ及びタイマーをリセットするものとする。
【0049】
以上のように、スクリーン部3の運転状態が過負荷状態となった場合に、スクリーン部3の回転レーキ部6の逆転運転を、1回転/(回転面におけるレーキの枚数)の角度以上行うことで、過負荷の要因である夾雑物Gを取り除くことが可能となる。また、一定時間経過後、スクリーン部3の運転状態を判断し、スクリーン部3の過負荷状態が解消した場合には、スクリーン部3の運転を通常運転に戻して破砕処理を継続することができる。一方、スクリーン部3の過負荷状態が解消しない場合には、再度逆転運転を行うものとする。さらに、所定回数以上の過負荷状態を検知した際には、スクリーン部3の運転を止めることで適切な対応を可能とするものである。
【0050】
また、スクリーン装置2Aを独立して運転制御することで、破砕機1の運転は継続したままとすることができ、スクリーン付破砕機100としての処理効率を低下させることなく夾雑物Gの破砕処理を行うことが可能となる。
【0051】
上述した運転制御は、制御プログラムとして制御部4により全て自動で実行されるものであってもよく、作業員の手動操作を含むものであってもよい。なお、作業員の労力を低減する観点から、制御プログラムによる自動制御とすることがより好ましい。これにより、メンテナンスに係る回数及び時間を大幅に低減させることができる。
【0052】
〔第2の実施態様〕
図5は、本発明の第2の実施態様の破砕機用スクリーン装置の構成を示す概略説明図である。
第2の実施態様の破砕機用スクリーン装置2Bは、第1の実施態様の破砕機用スクリーン装置2Aのレーキ61を、第1傾斜部66a及び第2傾斜部66bを備えるレーキ65に代えるものである。なお、本実施態様における破砕機用スクリーン装置2Bの構成のうち、第1の実施態様の破砕機用スクリーン装置2Aの構成と同じものについては、説明を省略する。
【0053】
回転レーキ部6を逆転運転する際、レーキ65がスクリーン5の内部に収容される際に、レーキ65に引っかかり、夾雑物Gがスクリーン部3の内部へ引き込まれることがある。
そのため、図5に示すように、レーキ65の形状は、逆転運転時の前面部(正転運転時の背面)に、スクリーン5の外周面と鋭角に交差する第1傾斜部66a及び第2傾斜部66bを備えているものとすることが好ましい。すなわち、逆転運転するレーキ65がスクリーン5の外周面から突出する際には、傾斜部66a、66bは進行方向後方に向かって傾斜した状態となる。
【0054】
レーキ65がスクリーン部3の内部に収容される際に、先端において夾雑物Gが引っかかりやすく、スクリーン部3の内部へ引き込む作用が強い。したがって、傾斜部66a、66bの傾斜角を小さくすることが好ましいが、一方で夾雑物Gを絡め取る作用も小さくなる。そこで、レーキ65の先端に形成された第1傾斜部66aの傾斜角は小さくし、第1傾斜部66aに隣接して形成された第2傾斜部66bの傾斜角は第1傾斜部より大きくすることが望ましい。これにより、第1傾斜部66aでは、夾雑物Gの引っかかりを抑制し、第2傾斜部66bでは、夾雑物Gを絡め取る性能を高めることができる。
【0055】
図6は、本実施態様の破砕機用スクリーン装置2Bの拡大図である。図6を参照して、傾斜部66a、66bについて詳細に説明する。図6に示すように、レーキ65は、スクリーン部3の外周面に対する傾斜角が異なる第1傾斜部66aと第2傾斜部66bを有している。なお、本発明において、スクリーン部3の外周面が湾曲している場合には、スクリーン部3の外周面と傾斜部のなす角(傾斜角)は、スクリーン部3の接線Tと傾斜部のなす角をいう。
【0056】
第1傾斜部66aの傾斜角(α)は、特に限定されないが、1~60°が好ましく、3~50°が特に好ましい。1°未満の場合には、第2傾斜部66bとのなす角(γ)が小さくなるため、第2傾斜部66bとの角において夾雑物Gが引っかかりやすくなり、60°を超える場合には、傾斜角が大きくなるため、レーキ65の先端において夾雑物Gが引っかかりやすい。
【0057】
第2傾斜部66bの傾斜角(β)は、特に限定されないが、20~89°が好ましく、30~70°が特に好ましい。20°未満の場合には、夾雑物Gを絡め取る作用が小さく、夾雑物Gを取り除けないことがある。一方、89°を超える場合には、夾雑物Gをスクリーン部2の内部へ引き込む作用が高まり、夾雑物Gがスクリーン部3の内部に流入する恐れがある。
【0058】
また、第1傾斜部66aと第2傾斜部66bのなす角(γ)は、特に限定されないが、95~175°が好ましく、110~165°が特に好ましい。95°未満の場合には、第1傾斜部66aと第2傾斜部66bのなす角に夾雑物Gが引っかかりやすくなり、175°を超える場合には、第1傾斜部66aと第2傾斜部66bの各傾斜部がほぼ同等の傾斜角となるため、第1傾斜部66aと第2傾斜部66bを設けた効果が小さくなる。
【0059】
なお、本発明において、回転レーキ部6のレーキ65には、3つ以上の傾斜部を設けてもよい。夾雑物Gを絡め取り、スクリーン5の上流側へ移送する作用、スクリーン部3の内部への夾雑物Gの引き込み防止作用等を鑑みれば、異なる傾斜角を有する2以上の傾斜部を設けることが好ましい。
【0060】
さらに、レーキ65の傾斜部66a、66bは、逆転運転時のレーキ65の前面部において、スクリーン部3の外周面から突出する領域すべてに形成されていることが好ましい。これにより、夾雑物Gのスクリーン部3の内部への引き込みがより防止される。
【0061】
なお、本実施態様の破砕機用スクリーン装置2Bにおいては、第1の実施態様と同様の運転制御を行うものとする。
【0062】
本発明に係る破砕機用スクリーン装置において、スクリーン部の構造や、スクリーン付破砕機へ適用した際の設置については、水路中の夾雑物を捕捉及び移送できるような構造、及び、配置となっているものであれば、特に限定されない。例えば、図7及び図8に、本発明に係るスクリーン付破砕機の他の態様を示す。
【0063】
〔第3の実施態様〕
図7は、本発明の第3の実施態様の破砕機用スクリーン装置の構成を示す概略説明図である。
第3の実施態様の破砕機用スクリーン装置2Cは、スクリーン部30として、下流方向に傾斜して設置された長い直線部と湾曲した円弧部を有するスクリーン7、及び、レーキ83が取り付けられたチェーン82と、チェーン82を駆動するための2つのスプロケット81a、81b及び駆動部84を有する周回レーキ部8を備えた構成とするものである。なお、本実施態様における破砕機用スクリーン装置2Cの構成のうち、第1の実施態様の破砕機用スクリーン装置2Aの構成と同じものについては、説明を省略する。
【0064】
第3の実施態様のように、スクリーン部30としてチェーンと複数のスプロケットを使用した周回レーキ部8を備えたスクリーン装置2Cを備えるスクリーン付破砕機100は、水路Rの幅の大きさを問わず設置することができる。そのため、幅が大きい水路Rに設置する場合に適した破砕機用スクリーン装置である。
【0065】
第3の実施態様のスクリーン装置2Cに係る運転制御については、第1の実施態様と同様の運転制御を行うことができる。
【0066】
〔第4の実施態様〕
図8は、本発明の第4の実施態様の破砕機用スクリーン装置の構成を示す概略説明図である。
第4の実施態様の破砕機用スクリーン装置2Dは、破砕機1と一つの筐体9の内部に設置した構成である。また、この筐体9には、水路Rに簡易的に設置することが可能な嵌合機構91として、凹状嵌合片を備えている。なお、図8においては、第4の実施態様におけるスクリーン部3に係る構造として、第1の実施態様におけるスクリーン装置2Aと同様のものを示しているが、これに限定されない。例えば、第2の実施態様におけるスクリーン部3に係る構造と同じものとしてもよい。また、図8に示した本実施態様における破砕機用スクリーン装置2Dの構成のうち、第1の実施態様の破砕機用スクリーン装置2Aの構成と同じものについては、説明を省略する。
【0067】
第4の実施態様のように、嵌合機構91を設けた筐体9に配置されたスクリーン装置2Dは、凹状嵌合片と、水路Rの側壁に設けられた凸状嵌合片と嵌合することにより、簡易的にスクリーン付破砕機100として水路Rに設置することができる。
【0068】
第4の実施態様のスクリーン装置2Dに係る運転制御については、第1の実施態様と同様の運転制御を行うことができる。
【0069】
なお、上述した実施態様は破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法の一例を示すものである。本発明に係る破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法は、上述した実施態様に限られるものではなく、請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、上述した実施態様に係る破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法を変形してもよい。
【0070】
例えば、本実施態様の破砕機用スクリーン装置において、スクリーン部における被処理水の流れを形成するための構造を設けるものとしてもよい。例えば、水路の側壁に斜面を設けるものが挙げられる。これにより、スクリーン部に対して被処理水の流れを形成するとともに、水路の側壁側の底に夾雑物が堆積することを防止することができる。また、レーキに水流案内板を設け、回転軸と共に回転するものが挙げられる。これにより、回転レーキ部からスクリーン側に向けて水流を形成することができ、スクリーンに捕捉された夾雑物がスクリーンの外周縁から剥離しやすくなる。
以上のような構造を設けることにより、スクリーン装置で捕捉した夾雑物を効率的に破砕機に移送し、夾雑物の破砕処理をより確実に行うことができる。
【0071】
また、例えば、本実施態様の破砕機用スクリーン装置において、スクリーン部を複数設けるものとしてもよい。また、スクリーン部を複数設ける場合、それぞれのスクリーン部は独立して運転可能とすることが好ましい。これにより、スクリーン部同士を時間差で運転することができ、夾雑物を分散して破砕機に移送し、破砕機の負荷を低減させることができる。
【0072】
また、例えば、本実施態様の破砕機用スクリーン装置の運転制御は、破砕機の運転制御とは独立して行われるが、破砕機の運転状態を基準としたスクリーン装置の運転制御を行うものとしてもよい。これにより、破砕機の運転状態に異常があった際に、スクリーン装置の運転制御を行うことによる対応も可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の破砕機用スクリーン装置、破砕機用スクリーン装置の制御装置及び破砕機用スクリーン装置の運転方法は、水路を流れる被処理水中の夾雑物を処理するために利用することができる。具体的には、下水処理場の沈砂池において、し渣等の夾雑物を捕捉、破砕するために利用することができる。
【0074】
また、本発明の破砕機用スクリーン装置の制御装置は、既設のスクリーン付破砕機のスクリーン装置に設けることにより、装置全体を更新することなく、簡素な取り付け作業によって本発明の破砕機用スクリーン装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0075】
100 スクリーン付破砕機、1 破砕機、11 導入口、12 排出口、13a,13b 回転破砕刃、2A,2B,2C,2D スクリーン装置、3,30 スクリーン部、4 制御部、41 判断部、42 スクリーン部運転制御部、5 スクリーン、6 回転レーキ部、61,61a,61b,61c,61d レーキ、62 傾斜面、63 回転軸、64 駆動部、65 レーキ、66a 第1傾斜面、66b 第2傾斜面、7 スクリーン、8 周回レーキ部、81a,81b スプロケット、82 チェーン、83 レーキ、84 駆動部、9 筐体、91 嵌合機構、G 夾雑物、R 水路、R1,R2 側壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8