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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置の室外機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/22 20110101AFI20240213BHJP
   F24F 1/36 20110101ALI20240213BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
F24F1/22
F24F1/36
F24F13/22 222
F24F13/22
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019016780
(22)【出願日】2019-02-01
(65)【公開番号】P2020125854
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-08-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 充邦
(72)【発明者】
【氏名】水頭 正一郎
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-107820(JP,A)
【文献】実開昭63-069926(JP,U)
【文献】特開2017-096575(JP,A)
【文献】特開2013-122351(JP,A)
【文献】実開昭63-103722(JP,U)
【文献】特開平06-300303(JP,A)
【文献】特開2018-207074(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02636966(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0016903(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/22
F24F 1/36
F24F 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口を有する底板と、
前記底板の上方に配置される熱交換器と、
前記熱交換器の底面の全部に接して前記熱交換器から滴下するドレン水が前記底板へ滴下する以前に受け止める板状のヒーター伝熱部材と、
前記ヒーター伝熱部材に設けられて前記ヒーター伝熱部材が受け止めた前記ドレン水を加熱する線状のヒーターと、
前記底板と前記ヒーター伝熱部材との間に設けられる断熱材と、を備え、
前記ヒーター伝熱部材は、
前記熱交換器の底面の全部に接する板状の第一部位と、
前記熱交換器で熱交換される空気の流れ方向において、前記第一部位よりも下流側に配置され、かつ前記第一部位よりも上方に配置されて前記ヒーターを前記底板から離して保持する第二部位と、を有し、
前記断熱材は、前記ヒーター伝熱部材の前記第二部位を閉じる冷凍サイクル装置の室外機。
【請求項2】
前記ヒーター伝熱部材は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製である請求項1に記載の冷凍サイクル装置の室外機。
【請求項3】
前記ヒーター伝熱部材には、アルマイト処理が施されている請求項2に記載の冷凍サイクル装置の室外機。
【請求項4】
前記第一部位は、前記熱交換器から流れ落ちる水を排水する排水口を有し、
前記第二部位は、前記第一部位を囲む請求項1からのいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置の室外機。
【請求項5】
前記熱交換器に対向して配置されるファンを有する送風機と、
前記ファンの下方に配置され、かつアルミニウム製またはアルミニウム合金製の第二ヒーター伝熱部材と、
前記第二ヒーター伝熱部材に前記ヒーターまたは第二ヒーターと、を備える請求項1からのいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、冷凍サイクル装置の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクル装置の室外機として、空気調和機の室外機やヒートポンプ式給湯器の室外機がある。冷凍サイクル装置の室外機は、屋外に設置される。室外機の内部には、冷凍サイクル機器が収納されている。冷凍サイクル装置の室外機は、底板を有する筐体と、筐体の内部に設けられる圧縮機、熱交換器、および熱交換器に通風を行う送風機と、を備えている。
【0003】
ところで、冷凍サイクル装置では、寒冷地や降雪地域のように、外気温度が低い環境の下で加熱運転(暖房運転)を継続することによって、室外機の熱交換器が着霜する場合がある。室外機の熱交換器が着霜した場合には、冷凍サイクル装置の熱交換性能は著しく低下する。
【0004】
そこで、冷凍サイクル装置は、室外機の熱交換器に付着した霜を溶かす霜取り運転(いわゆる除霜運転)を定期的に行う。除霜運転では、室外機の熱交換器に高温の冷媒を流通させることで熱交換器に付着した霜を溶かす。溶けた霜、つまりドレン水(排水、溶けた霜)は、底板に滴下する。この除霜運転によって生じるドレン水は、室外機の底板に設けられた排水口を通じて外部に排水される。
【0005】
しかしながら、外気温度が氷点下以下の環境下では、除霜運転によって生じるドレン水が、室外機の外部に排水される前に底板上で凍結する場合がある。ドレン水が排水口に達する前に凍結してしまった場合には、ドレン水は、正常に排水されない。
【0006】
そこで、従来の冷凍サイクル装置の室外機は、底板の上面に設けられた電熱装置を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2015-55455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の室外機の電熱装置は、電熱装置として、多少曲げることができるものの自由な経路で敷設することが難しいシーズヒーターを備えている。つまり、従来の室外機の電熱装置は、予め敷設経路に適合する形状で製作される必要がある。
【0009】
そこで、可撓性を有して自由に曲げることが可能であり、そのため敷設経路を柔軟に設定することが可能なヒーター(いわゆるコードヒーター)が、室外機の電熱装置に適用される場合がある。
【0010】
しかしながら、一般に、可撓なヒーターの単位面積あたりの発熱能力は、従来のシーズヒーターの単位面積あたりの発熱能力よりも劣る。つまり、ヒーターの敷設経路の自由度と、ヒーターの単位面積あたりの発熱能力とは、二律背反(トレードオフ)の関係にある。
【0011】
ところで、従来の室外機のように電熱装置で底板を加熱する場合には、電熱装置の熱量は、底板に広く伝わる。そのため、ドレン水が底板の排水口に達する前に凍結することを防ぐためには、相当の熱量が必要である。換言すると、電熱装置の発熱量が不十分であれば、底板上に滴下したドレン水の凍結を防ぐために必要な熱量が不足する。つまり、従来の室外機のように電熱装置で底板を加熱する場合には、底板上のドレン水は、排水口に達する前に凍結する虞が生じる。
【0012】
そこで、本発明は、従来の室外機のようにシーズヒーターを用いる場合であっても、シーズヒーターに比べて単位面積あたりの発熱能力が劣るヒーターを用いる場合であっても、除霜運転によって生じるドレン水を確実に排水可能な冷凍サイクル装置の室外機を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る冷凍サイクル装置の室外機は、排水口を有する底板と、前記底板の上方に配置される熱交換器と、前記熱交換器の底面の全部に接して前記熱交換器から滴下するドレン水が前記底板へ滴下する以前に受け止める板状のヒーター伝熱部材と、前記ヒーター伝熱部材に設けられて前記ヒーター伝熱部材が受け止めた前記ドレン水を加熱する線状のヒーターと、前記底板と前記ヒーター伝熱部材との間に設けられる断熱材と、を備え、前記ヒーター伝熱部材は、前記熱交換器の底面の全部に接する板状の第一部位と、前記熱交換器で熱交換される空気の流れ方向において、前記第一部位よりも下流側に配置され、かつ前記第一部位よりも上方に配置されて前記ヒーターを前記底板から離して保持する第二部位と、を有し、前記断熱材は、前記ヒーター伝熱部材の前記第二部位を閉じている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る冷凍サイクル装置の室外機の一例の分解斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る室外機の内部の斜視図。
図3】本発明の実施形態に係る室外機の底板および電熱装置の斜視図。
図4】本発明の実施形態に係る室外機の底板および第一電熱装置の部分的な断面図。
図5】本発明の実施形態に係る室外機の底板および第二電熱装置の部分的な断面図。
図6】本発明の実施形態に係る室外機の第一電熱装置の他の例の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る冷凍サイクル装置の室外機の実施形態について、図1から図6を参照して説明する。なお、複数の図面中、同一または相当する構成には同一の符号が付されている。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る冷凍サイクル装置の室外機の一例の分解斜視図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る冷凍サイクル装置の室外機1は、空気取入口11と空気吹出口12とを有する筐体13と、筐体13内に配置される圧縮機15と、筐体13内に配置される送風機16と、筐体13内に配置される熱交換器17と、筐体13内に配置される電気部品箱18と、を備えている。
【0018】
筐体13は、直方体形状を有している。筐体13の幅寸法(左右方向の寸法)は、筐体13の奥行き寸法(前後方向の寸法)よりも大きい。筐体13は、底板21と、左側面を覆う左側板22aと、右側面を覆う右側板22bと、正面を覆う前板25と、背面を覆うフィンガード26と、天面を覆う天板27と、底板21に立てて設けられて筐体13内を左右に仕切る仕切板28と、を備えている。
【0019】
底板21は、平面視において長方形状を有している。底板21の幅寸法は、底板21の奥行き寸法よりも大きい。底板21は、室外機1の接地面に対して実質的に平行する。底板21は、例えば鉄系合金製の板金の加工品である。底板21は、室外機1に内蔵される各部品を支持するため、前板25、左側板22a、右側板22b、および天板27に比べて厚みを有している。底板21には、圧縮機15、送風機16、および熱交換器17が固定され、支持されている。
【0020】
前板25は板金の加工品である。前板25は底板21に比べて薄い。前板25は、中央に円形の空気吹出口12を有している。空気吹出口12には、ファンガード29が設けられている。
【0021】
ファンガード29は、細かいマス目状の多数の開口を有している。フィンガード26は、熱交換器17を覆い隠している。
【0022】
仕切板28は板金の加工品である。仕切板28は、上下方向に伸びる板状部材である。仕切板28は、底板21に、例えばネジ止めのような固定方法で固定されている。仕切板28は、筐体13内を筐体13の幅方向(左右方向)に二分している。仕切板28によって仕切られた筐体13内の右側の空間は、機械室31である。仕切板28によって仕切られた筐体13内の左側の空間は、送風機室32である。
【0023】
圧縮機15は、機械室31に配置されている。圧縮機15は、冷凍サイクルを循環する冷媒を圧縮して送り出す圧縮機構(図示省略)と、圧縮機構を駆動させる電動機(図示省略)と、を内蔵している。圧縮機15は、冷凍サイクルを循環する冷媒を流通させる冷媒配管33に接続されている。なお、図1の冷媒配管33は、冷凍サイクル全体の冷媒配管の一部である。
【0024】
送風機16および熱交換器17は送風機室32に配置されている。
【0025】
熱交換器17は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製のフィンドチューブタイプである。熱交換器17は、筐体13の背面の内面、および左側面の内面に沿って拡がり、平面視においてL字形を有している。送風機16は、プロペラファン35と、プロペラファン35を回転駆動させる電動機36と、を備えている。送風機16は、プロペラファン35の回転中心線を筐体13の前後方向へ向けて、筐体13の前板25と熱交換器17との間に配置されている。送風機16は、底板21の上方に配置されている。送風機16は、熱交換器17に対向している。つまり、プロペラファン35は、底板21の上方に配置されている。プロペラファン35は、熱交換器17に対向している。電動機36によって回転駆動するプロペラファン35は、室外機1の背面側から空気を吸い込んで、室外機1の正面側へ空気を吹き出させる。つまり、プロペラファン35は、フィンガード26側から空気を吸い込んで、前板25の空気吹出口12へ空気を吹き出させる。したがって、熱交換器17によって熱交換される空気、つまり室外機1の周囲の雰囲気は、熱交換器17の背面側から正面側へ向かって流れる。
【0026】
寒冷地や、降雪地域のように外気温度が低い環境下で暖房運転(加熱運転)を継続すると、室外機1の熱交換器17は着霜する。そこで、冷凍サイクル装置は、熱交換器17に付着した霜を溶かす除霜運転を定期的に、もしくは着霜を検知した時に実行する。除霜運転は、冷凍サイクル中の冷媒の流れを切り換ええる四方弁(図示省略)を駆動させ、冷凍サイクルを冷房運転(冷却運転)へ切り替えた状態で行われる。四方弁の切り換えによって、暖房運転中は蒸発器として機能していた熱交換器17が凝縮器として機能する。そして、高温冷媒が熱交換器17内を流通する。その結果、熱交換器17の温度が上昇し、熱交換器17を構成するフィンやパイプに付着した霜が溶け、溶けた水が熱交換器17の下方へ流れ落ちる。また、除霜運転時は、送風機16は停止している。除霜運転によって溶けた霜の一部は湯気(水蒸気)となり、送風機16のプロペラファン35で結露する。プロペラファン35で結露した水はプロペラファン35の下方に流れ落ちる。除霜運転によって熱交換器17やプロペラファン35から流れ落ちる水を、以下、ドレン水、または排水と言う。
【0027】
そこで、底板21は、ドレン水を室外機1の外部に排水するために、熱交換器17の下方、主に熱交換器17の真下に、適宜の排水口(排水孔)を有している。
【0028】
しかしながら、外気温度が氷点下以下の場合には、除霜運転によって熱交換器17から底板21へ流れ落ちる水が、底板21の排水口に達する前、換言すると室外機1の外部に排水される前に凍結してしまう虞がある。
【0029】
そこで、本実施形態に係る室外機1は、ドレン水の凍結を防止する電熱装置を備えている。本実施形態に係る室外機1の電熱装置について説明する。
【0030】
図2は、本発明の実施形態に係る室外機の内部の斜視図である。
【0031】
図3は、本発明の実施形態に係る室外機の底板および電熱装置の斜視図である。
【0032】
なお、図2では、室外機1の前板25、フィンガード26、左側板22a、右側板22b、および天板27は省略されている。
【0033】
図2および図3に示すように、本実施形態の係る室外機1は、除霜運転時に熱交換器17から滴下するドレン水の凍結を防止する第一電熱装置41と、プロペラファン35から滴下するドレン水が凍結して送風機16の回転を阻害するまで堆積することを防ぐ第二電熱装置42と、を備えている。第一電熱装置41は、熱交換器17の底部に設けられている。第二電熱装置42は、送風機16のプロペラファン35の真下に設けられている。
【0034】
ここで先ず、熱交換器17に関し、室外機1の背面の内面に沿っている部位を背面部17aと呼び、室外機1の左側面の内面に沿っている部位を側面部17bと呼ぶ。
【0035】
筐体13の底板21は、熱交換器17から滴下するドレン水を室外機1の外部(外側)へ排水する複数の排水口43を有している。
【0036】
複数の排水口43は、熱交換器17から滴下するドレン水を室外機1の外部へ円滑に排水できるように、熱交換器17の真下に配置されているものを含んでいる。具体的には、複数の排水口43は、室外機1の背面に沿って配置される第一排水口43a、第二排水口43b、および第三排水口43cと、室外機1の左奥側の角部(隅部)に配置される第四排水口43dと、室外機1の左側面に沿って配置される第五排水口43eと、を含んでいる。
【0037】
第二排水口43bは、第一排水口43aと第三排水口43cとの間に挟まれている。第二排水口43bは円形を有している。第二排水口43bは、平面視において、送風機16の真後ろに配置されている。第二排水口43bは、熱交換器17の背面部17aのほぼ中央の真下に配置されている。
【0038】
第一排水口43aは第二排水口43bの右側方に配置され、第三排水口43cは第二排水口43bの左側方に配置されている。第三排水口43cは、第二排水口43bよりも室外機1の左奥側の角部(隅部)に近い。第三排水口43cは、室外機1の左奥側の角部の近くに配置されている。
【0039】
第一排水口43a、第二排水口43b、および第三排水口43cは、主として熱交換器17の背面部17aから滴下したドレン水を室外機1の外部へ排水する。
【0040】
第四排水口43dは、L字形の熱交換器17の屈曲部位の真下に配置されている。第四排水口43dは、主として熱交換器17の屈曲部位から滴下したドレン水を室外機1の外部へ排水する。
【0041】
第五排水口43eは、熱交換器17の側面部17bの真下に配置されている。第五排水口43eは、主として熱交換器17の側面部17bから滴下したドレン水を室外機1の外部へ排水する。
【0042】
また、筐体13の底板21は、プロペラファン35から滴下したドレン水を室外機1の外部(外側)へ排水する排水口45を有している。
【0043】
そして、第一電熱装置41は、熱交換器17に接する第一ヒーター伝熱部材51と、第一ヒーター伝熱部材51に設けられる線状のヒーター52と、を備えている。第二電熱装置42は、プロペラファン35の真下に配置される第二ヒーター伝熱部材55と、第二ヒーター伝熱部材55に設けられる線状のヒーター52と、を備えている。つまり、ヒーター52は、第一電熱装置41および第二電熱装置42で共有されている。
【0044】
なお、第一電熱装置41および第二電熱装置42は、別個のヒーターをそれぞれに占有していても良い。この場合には、第一電熱装置41は、第一ヒーターを占有し、第二電熱装置42は、第二ヒーターを占有する。換言すると、第一ヒーター伝熱部材51が第一ヒーターを保持し、第二ヒーター伝熱部材55が第二ヒーターを保持する。
【0045】
図4は、本発明の実施形態に係る室外機の底板および第一電熱装置の部分的な断面図である。図4は、図3におけるIV-IV線における断面図である。
【0046】
図2および図3に加えて、図4に示すように、本実施形態の係る室外機1の第一電熱装置41は、第一ヒーター伝熱部材51、およびヒーター52に加えて、底板21と第一ヒーター伝熱部材51との間に挟まれる第一断熱材58を備えている。
【0047】
ここで先ず、熱交換器17に関し、筐体13の左側板22aおよびフィンガード26を臨む熱交換器17の面を、便宜的に熱交換器17の上流側の面17cと呼び、送風機16を臨む熱交換器17の面を、便宜的に熱交換器17の下流側の面17dと呼ぶ。
【0048】
電熱装置41、42で共有されるヒーター52は、いわゆるコードヒーターである。ヒーター52は、可撓性を有している。つまり、ヒーター52は、容易に曲げることができる。電熱装置41、42は、1本の線状のヒーター52を適宜の経路で這わせている。コードヒーターは、シーズヒーターに比べ安価であるが発熱量が小さい。
【0049】
ヒーター52は、並走する2本の配線61と、2本の配線の周囲を覆う被覆62と、を有している。被覆62は、例えばシリコンゴム製である。ヒーター52の一方の端52a(始端)は、電源に接続のための電気入力端である。ヒーター52の他方の端52b(終端)において、内部の2本の配線61は、圧着などによって電気的に接続されている。2本の配線61の一方は熱線であり、他方は熱線に電気を流す電線である。
【0050】
ヒーター52は、第一ヒーター伝熱部材51および第二ヒーター伝熱部材55に保持された状態で筐体13の底板21の上面に敷設される。つまり、ヒーター52は、第一ヒーター伝熱部材51および第二ヒーター伝熱部材55上に敷設された後、その敷設経路を保ったまま、第二ヒーター伝熱部材55と一体で筐体13の底板21に敷設される。
【0051】
第一ヒーター伝熱部材51は、平面視においてL字に屈曲する熱交換器17に倣い、熱交換器17と同様のL字形を有している。第一ヒーター伝熱部材51は、熱交換器17の底面17eの全部または一部に接する板状の第一部位65と、第一部位65に連接され、かつヒーター52を保持する第二部位66と、を備えている。
【0052】
第一部位65は、平面視においてL字に屈曲する熱交換器17に倣い、熱交換器17と同様のL字形を有している。第一部位65は、熱交換器17の底面に滴下するドレン水を、底板21へ滴下する以前に受け止め、第二部位66から伝わるヒーター52の熱で加熱する。換言すると、第一部位65は、ドレン水の加熱プレートである。
【0053】
第一部位65は、熱交換器17の上流側の面17cに近い外側辺部65aと、熱交換器17の下流側の面17dに近い内側辺部65bと、を有している。
【0054】
第二部位66は、熱交換器17で熱交換される空気の流れ方向(図4中の実線矢印f)において、第一部位65よりも下流側に配置されている。換言すると、第二部位66は、第一部位65の内側辺部65bに連接している。第二部位66は、熱交換器17から第一部位65へ流れ落ちる水が、熱交換器17の下流方向、つまり送風機16の方へ流れ出したり、飛散したりすることを防ぐ。
【0055】
第二部位66は、下方へ開放される凹形状を有している。第二部位66は、凹形状の窪みにヒーター52を囲い込んで、これを保持している。第二部位66は、ヒーター52が二重に敷設される二重敷設部68を、一括して保持している。
【0056】
第一ヒーター伝熱部材51は、第二部位66から底板21へ向かって延びる固定フランジ71を備えている。固定フランジ71は複数あって、底板21の第三排水口43cの近傍、および底板21の第五排水口43eの近傍で、第一ヒーター伝熱部材51を底板21に固定している。固定フランジ71は、ネジ穴(図示省略)を有している。第一ヒーター伝熱部材51は、ネジ穴を通って底板21締め込まれるネジ72によって底板21に固定されている。換言すると、ネジ72は、第一ヒーター伝熱部材51を底板21に固定する固定部材である。
【0057】
また、第一ヒーター伝熱部材51は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の板体の加工品である。第一ヒーター伝熱部材51は、0.8ミリメートル(mm)以上の厚みを有する板材を板金加工したものであることが好ましい。
【0058】
さらに、第一ヒーター伝熱部材51は、熱交換器17から流れ落ちるドレン水で腐食することのないよう適宜の表面処理が施され、かつヒーター52からドレン水への熱伝導を妨げないことが望ましい。そこで、第一ヒーター伝熱部材51にはアルマイト処理が施されている。
【0059】
なお、第一ヒーター伝熱部材51は、熱交換器17へヒーター52の熱を効率的に伝えられるよう、熱交換器17に接していれば良く、底板21に接している必要は無い。また、第一ヒーター伝熱部材51は、銅製、銅合金製または鉄系合金製の板体の加工品であっても良い。
【0060】
第一断熱材58は、第一ヒーター伝熱部材51およびヒーター52を底板21から熱的に絶縁している。第一断熱材58は、鉄系合金製の底板21およびアルミニウム製またはアルミニウム合金製の第一ヒーター伝熱部材51よりも熱伝導率が低い。第一断熱材58は、例えばポリエチレンフォーム製である。第一断熱材58は、1ミリメートル(mm)以上の厚みを有することが好ましい。第一断熱材58は、鉄系合金製の底板21とアルミニウム製またはアルミニウム合金製の第一ヒーター伝熱部材51との間に挟まり、両者の間における異種金属接触腐食の発生を妨げる。
【0061】
第一断熱材58は、図4における断面視においてL字形を有している。第一断熱材58は、第一板状部位75と、第一板状部位75に連接する第二板状部位76と、を備えている。
【0062】
第一板状部位75は、第一板状部位75と底板21との間に挟まり、かつ下方へ開放された第二部位66に配置されるヒーター52の二重敷設部68を底板21から遮っている。
【0063】
第二板状部位76は、第一板状部位75の縁から上方へ立上り、第二部位66を閉じるように第一ヒーター伝熱部材51の端面に達している。
【0064】
第一断熱材58は、除霜運転時に高温冷媒が流れる熱交換器17、およびヒーター52で加熱される第一ヒーター伝熱部材51よりも低温な底板21へ、熱交換器17およびヒーター52の熱が伝わることを防ぐ。そのため、除霜運転時に熱交換器17から第一ヒーター伝熱部材51へ流れ落ちるドレン水は、従来の室外機のように底板をヒーターで加熱する場合に比べて、より高温に加熱される。
【0065】
第一電熱装置41は、ヒーター52で加熱される第一ヒーター伝熱部材51によって、除霜運転によって熱交換器17から流れ落ちるドレン水を保温または昇温させる。この保温されたドレン水、またはより高温に加熱されたドレン水は、第一ヒーター伝熱部材51の外側辺部65aから底板21へ流れ落ちる(図4中の実線矢印d)。
【0066】
そして、底板21へ流れ落ちたドレン水は、複数の排水口43から室外機1の外部へ排水される。
【0067】
このとき、底板自体をヒーターで温める、従来の室外機では、ヒーターの熱は底板の広範囲に拡散してしまい、熱交換器17から流れ落ちるドレン水を保温したり昇温したりすることが難しい。鉄系合金製の底板は、ヒーターの熱を、放熱板のように室外機の周囲へ放熱してしまい、ドレン水の本や昇温が不十分になって、排水口に達する以前にドレン水を凍結させてしまう虞があった。
【0068】
そこで、本実施形態に係る室外機1は、高温冷媒で加熱される熱交換器17に接触する第一電熱装置41にヒーター52を設け、ドレン水を保温し、より高温に昇温させて底板21へ排水する。そのため、底板21に流れ落ちるドレン水は、排水口43により確実に達して室外機1の外部へ排水される。
【0069】
図5は、本発明の実施形態に係る室外機の底板および第二電熱装置の部分的な断面図である。図5は、図3におけるV-V線における断面図である。
【0070】
図2および図3に加えて、図5に示すように、本実施形態の係る室外機1の第二電熱装置42は、第二ヒーター伝熱部材55、およびヒーター52に加えて、底板21と第二ヒーター伝熱部材55との間に挟まれる第二断熱材78を備えている。
【0071】
第二ヒーター伝熱部材55は、送風機16の下方領域を左右方向(室外機1の幅方向)へ直線状に延びている。第二ヒーター伝熱部材55は、プロペラファン35の真下に配置される板状の第一部位85と、第一部位85に連接され、かつヒーター52を保持する一対の第二部位86と、を備えている。
【0072】
第一部位85は、室外機1の幅方向に長い長方形状を有している。第一部位85は、プロペラファン35から滴下したドレン水が凍結してプロペラファン35の回転を阻害するまで堆積することを防ぐため、第二部位86から伝わるヒーター52の熱でプロペラファン35の真下に滴下したドレン水を保温または昇温させる。この保温されたドレン水、またはより高温に加熱されたドレン水は、第二ヒーター伝熱部材55の一方の短辺部に隣接する排水口45から室外機1の外部へ排水される。
【0073】
一対の第二部位86は、第一部位85の一対の長辺のそれぞれに連接している。換言すると、一対の第二部位86は、第一部位85の熱交換器17に近い長辺部に設けられる第二部位86aと、第一部位85の熱交換器17から遠い長辺部に設けられる第二部位86bと、を含んでいる。
【0074】
それぞれの第二部位86は、下方へ開放される凹形状を有している。それぞれの第二部位86は、凹形状の窪みにヒーター52を囲い込んで、これを保持している。
【0075】
第二ヒーター伝熱部材55は、第一部位85にネジ穴(図示省略)を有している。第二ヒーター伝熱部材55は、ネジ穴を通って底板21締め込まれるネジ72によって底板21に固定されている。換言すると、ネジ72は、第二ヒーター伝熱部材55を底板21に固定する固定部材である。
【0076】
また、第二ヒーター伝熱部材55は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の板体の加工品である。第二ヒーター伝熱部材55は、0.8ミリメートル(mm)以上の厚みを有する板材を板金加工したものであることが好ましい。
【0077】
さらに、第二ヒーター伝熱部材55は、プロペラファン35から流れ落ちたドレン水で腐食することのないよう適宜の表面処理が施され、かつヒーター52からドレン水への熱伝導を妨げないことが望ましい。そこで、第二ヒーター伝熱部材55にはアルマイト処理が施されている。
【0078】
なお、第二ヒーター伝熱部材55は、銅製、銅合金製または鉄系合金製の板体の加工品であっても良い。
【0079】
第二断熱材78は、第二ヒーター伝熱部材55およびヒーター52を底板21から熱的に絶縁している。第二断熱材78は、鉄系合金製の底板21、およびアルミニウム製またはアルミニウム合金製の第二ヒーター伝熱部材55よりも熱伝導率が低い。第二断熱材78は、例えばポリエチレンフォーム製である。第二断熱材78は、1ミリメートル(mm)以上の厚みを有することが好ましい。第二断熱材78は、鉄系合金製の底板21とアルミニウム製またはアルミニウム合金製の第二ヒーター伝熱部材55との間に挟まり、両者の間における異種金属接触腐食の発生を妨げる。
【0080】
また、第二断熱材78は、図5における断面視において凹形状を有している。第二断熱材78は、第一板状部位95と、第一板状部位95に連接する一対の第二板状部位96と、を備えている。
【0081】
第一板状部位95は、第一板状部位95と底板21との間に挟まり、かつ下方へ開放された第二部位86に配置されるヒーター52を底板21から遮っている。
【0082】
一方の第二板状部位96は、第一板状部位95の熱交換器17に近い縁から上方へ立上り、第二部位86aを閉じるように第二ヒーター伝熱部材55の一方の端面に達している。他方の第二板状部位96は、第一板状部位95の熱交換器17から遠い縁から上方へ立上り、第二部位86bを閉じるように第二ヒーター伝熱部材55の他方の端面に達している。
【0083】
第二断熱材78は、ヒーター52で加熱される第二ヒーター伝熱部材55よりも低温な底板21へ、ヒーター52の熱が伝わることを防ぐ。そのため、除霜運転時にプロペラファン35から第二ヒーター伝熱部材52へ流れ落ちるドレン水は、従来の室外機のように底板をヒーターで加熱する場合に比べて、より高温に加熱される。
【0084】
図3に戻って、以下、線状の単一のヒーター52の配置について、一方の端52a(始端)から他方の端52b(終端)に至る敷設経路を説明する。
【0085】
ヒーター52の一方の端52aは、室外機1の機械室31に設けられた電気部品箱18内で交流電源に接続されている。ヒーター52は、一方の端52aから延びて底板21の正面側の縁の内側を経て送風機室32内へ入り込む。
【0086】
送風機室32内に入り込んだヒーター52は、プロペラファン35下方の排水口45の正面を右側から左側へ横切って第二ヒーター伝熱部材55に達する(図3中の52c部分)。
【0087】
第二ヒーター伝熱部材55に達したヒーター52は、熱交換器17から遠い方の第二部位86bを通ってプロペラファン35下方を右側から左側へ横切る。次いで、ヒーター52は、第二ヒーター伝熱部材55の左側方を迂回して、再度、第二ヒーター伝熱部材55に達する(図3中の52d部分)。再度、第二ヒーター伝熱部材55に達したヒーター52は、熱交換器17に近い方の第二部位86aを通ってプロペラファン35下方を左側から右側へ横切る。
【0088】
次いで、ヒーター52は、第二ヒーター伝熱部材55の右側方を底板21の後方へ延び、第一排水口43aの近傍を経て第一ヒーター伝熱部材51の第二部位66の右端部に達する(図3中の52e部分)。第一ヒーター伝熱部材51の第二部位66の右端部に達したヒーター52は、第二部位66を往復する。このヒーター52の往復部分は、二重敷設部68である。二重敷設部68を経て第一ヒーター伝熱部材51の第二部位66の右端部に戻ったヒーター52は、他方の端52bに達する。
【0089】
なお、第一ヒーター伝熱部材51は、複数の部品に分割されていても良い。例えば、第一ヒーター伝熱部材51は、熱交換器17の背面部17aの真下に設けられる部品と、熱交換器17の側面部17bの真下に設けられる部品と、熱交換器17の背面部17aと側面部17bとを繋ぐ屈曲部の真下に設けられる部品と、に分割されていても良い。
【0090】
図6は、本発明の実施形態に係る室外機の第一電熱装置の他の例の斜視図である。
【0091】
図6に示すように、第一電熱装置41Aは、熱交換器17に接する第一ヒーター伝熱部材51Aを備えている。
【0092】
第一ヒーター伝熱部材51Aは、平面視においてL字に屈曲する熱交換器17に倣い、熱交換器17と同様のL字形を有している。第一ヒーター伝熱部材51Aは、熱交換器17の底面17eの全部または一部に接する板状の第一部位65Aと、第一部位65Aを囲み、かつ第一部位65Aよりも上方に配置される第二部位66Aと、を備えている。
【0093】
第一部位65Aは、平面視においてL字に屈曲する熱交換器17に倣い、熱交換器17と同様のL字形を有している。第一部位65Aは、熱交換器17の底面に滴下するドレン水を、底板21へ滴下する以前に受け止め、第二部位66Aから伝わるヒーター52の熱で加熱する。換言すると、第一部位65Aは、ドレン水の加熱プレートである。
【0094】
また、第一部位65Aは、熱交換器17から流れ落ちる水を排水する排水口101を有している。なお、第一断熱材58も、第一ヒーター伝熱部材51Aの排水口101の真下に配置される排水口(図示省略)を有している。
【0095】
第二部位66Aは、第一部位65Aの縁を囲む堤に相当する。また、第二部位66Aは、第一部位65Aを囲むように配置されるヒーター52を保持している。第二部位66Aは、熱交換器17から第一部位65Aへ流れ落ちる水が、第一部位65Aの排水口101以外の箇所から流れ出したり、飛散したりすることを防ぐ。
【0096】
第二部位66Aは、下方へ開放される凹形状を有している。第二部位66Aは、凹形状の窪みにヒーター52を囲い込んで、これを保持している。ヒーター52は、第一部位65Aの縁を少なくとも1周、好ましくは2周回っている。2周回っている場合には、第二部位66Aに二重敷設部68が構成される。第二部位66は、ヒーター52が二重に敷設される二重敷設部68を、一括して保持している。
【0097】
また、第一ヒーター伝熱部材51Aは、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の板体の加工品である。第一ヒーター伝熱部材51Aは、0.8ミリメートル(mm)以上の厚みを有する板材を板金加工したものであることが好ましい。第一ヒーター伝熱部材51Aの第一部位65Aはドレン水に晒されるため、第一ヒーター伝熱部材51Aにはアルマイト処理が施されている。
【0098】
なお、第一ヒーター伝熱部材51Aは、熱交換器17へヒーター52の熱を効率的に伝えられるよう、熱交換器17に接していれば良く、底板21に接している必要は無い。
【0099】
第一電熱装置41Aは、ヒーター52で加熱される第一ヒーター伝熱部材51Aによって、除霜運転によって熱交換器17から流れ落ちるドレン水を保温または昇温させる。この保温されたドレン水、またはより高温に加熱されたドレン水は、第一ヒーター伝熱部材51Aの排水口101および第一断熱材58の排水口を通じて流れ落ちる。
【0100】
そして、第一ヒーター伝熱部材51Aの排水口101および第一断熱材58の排水口を通じて流れ落ちたドレン水は、底板21の排水口43から室外機1の外部へ排水される。第一ヒーター伝熱部材51Aの排水口101は、底板21の排水口43の真上に配置されていることが好ましい。その場合には、第一ヒーター伝熱部材51Aの排水口101から流れ落ちるドレン水は、底板21上に留まることなく、直接的に室外機1の外部へ排水される。
【0101】
本実施形態に係る冷凍サイクル装置の室外機1は、熱交換器17の底面の全部または一部に接する板状の第一部位65を有し、かつアルミニウム製またはアルミニウム合金製の第一ヒーター伝熱部材51と、第一ヒーター伝熱部材51に設けられる線状のヒーター52と、を備えている。そのため、室外機1は、従来のシーズヒーターよりも単位面積あたりの発熱能力が劣るヒーター52、例えばコードヒーターを採用する場合であっても、熱交換器17から流れ落ちるドレン水を保温、または昇温させることができる。より高温なドレン水は、底板21における凍結を免れて、室外機1の外部へ確実に排水される。
【0102】
なお、ヒーター52を冷凍サイクル装置に冷媒を循環させる冷媒配管33のうち、摂氏零度以上の冷媒が流れる部分で代用しても良い。
【0103】
また、本実施形態に係る冷凍サイクル装置の室外機1は、アルマイト処理が施された第一ヒーター伝熱部材51を備えている。そのため、室外機1は、熱交換器17から流れ落ちるドレン水によって第一ヒーター伝熱部材51が腐食することを防ぎ、除霜運転時の排水性能をより長期間維持できる。
【0104】
さらに、本実施形態に係る冷凍サイクル装置の室外機1は、底板21と第一ヒーター伝熱部材51との間に挟まれる第一断熱材58を備えている。そのため、室外機1は、第一ヒーター伝熱部材51から底板21へヒーター52の熱が伝わって熱交換器17のドレン水を保温し、または昇温する機能が低下することを容易に防ぐことができる。
【0105】
また、本実施形態に係る冷凍サイクル装置の室外機1は、熱交換器17から流れ落ちる水を排水する排水口101を有する第一部位65Aと、第一部位65を囲み、第一部位65よりも上方に配置されてヒーター52を保持する第二部位66Aと、を有する第一ヒーター伝熱部材51Aを備えている。そのため、室外機1は、第一部位65Aで保温または昇温したドレン水を、第一部位65Aの排水口101から集中的に底板21上へ排水できる。つまり、第一部位65Aの排水口101を底板21の排水口43の真上に配置しておけば、ドレン水を室外機1の外部へ直接的に排水して、ドレン水が底板21上で凍結するリスクを排除できる。
【0106】
さらに、本実施形態に係る冷凍サイクル装置の室外機1は、プロペラファン35の下方に配置され、かつアルミニウム製またはアルミニウム合金製の第二ヒーター伝熱部材55と、第二ヒーター伝熱部材55にヒーター52またはヒーター52と異なる第二ヒーターと、を備えている。そのため、室外機1は、除霜運転時のドレン水の排水を円滑に可能であり、かつプロペラファン35から流れ落ちたドレン水が凍結することによって送風機16の運転が妨げられることを抑制できる。
【0107】
したがって、本実施形態に係る冷凍サイクル装置の室外機1によれば、従来の室外機のようにシーズヒーターを用いる場合であっても、シーズヒーターに比べて単位面積あたりの発熱能力が劣るヒーターを用いる場合であっても、除霜運転によって生じるドレン水を確実に排水することができる。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
1…室外機、11…空気取入口、12…空気吹出口、13…筐体、15…圧縮機、16…送風機、17…熱交換器、17a…背面部、17b…側面部、17c…上流側の面、17d…下流側の面、17e…底面、18…電気部品箱、21…底板、22a…左側板、22b…右側板、25…前板、26…フィンガード、27…天板、28…仕切板、29…ファンガード、31…機械室、32…送風機室、33…冷媒配管、35…プロペラファン、36…電動機、41、41A…第一電熱装置、42…第二電熱装置、43…排水口、43a…第一排水口、43b…第二排水口、43c…第三排水口、43d…第四排水口、43e…第五排水口、45…排水口、51、51A…第一ヒーター伝熱部材、52…ヒーター、52a…ヒーターの一方の端、52b…ヒーターの他方の端、55…第二ヒーター伝熱部材、58…第一断熱材、61…配線、62…被覆、65、65A…第一部位、65a…外側辺部、65b…内側辺部、66、66A…第二部位、68…二重敷設部、71…固定フランジ、72…ネジ、75…第一板状部位、76…第二板状部位、78…第二断熱材、85…第一部位、86、86a、86b…第二部位、95…第一板状部位、96…第二板状部位、101…排水口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6