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特許7433772アンテナを含むインプラント型睡眠時無呼吸処置デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】アンテナを含むインプラント型睡眠時無呼吸処置デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/378 20060101AFI20240213BHJP
   A61B 5/11 20060101ALN20240213BHJP
【FI】
A61N1/378
A61B5/11 320
【請求項の数】 2
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019044568
(22)【出願日】2019-03-12
(62)【分割の表示】P 2015523625の分割
【原出願日】2013-07-26
(65)【公開番号】P2019150581
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2019-03-12
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】61/676,327
(32)【優先日】2012-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517022061
【氏名又は名称】ニクソア エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アディ マシアーチ
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-506646(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0056858(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0283202(US,A1)
【文献】特表2011-500143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の身体の外部の場所から前記対象の前記身体の内部にあるインプラントユニットに電力を伝送するためのデバイスであって、前記デバイスは、電源と、プロセッサと、アンテナを含む回路とを備え、前記プロセッサは、前記回路への変調制御信号の送達を引き起こすことと、前記回路への前記変調制御信号の送達を通して、前記回路内に含まれる前記アンテナに、前記アンテナにより前記インプラントユニット内に刺激信号を誘発させることとを行うように構成されており、前記アンテナは、6.4~8.3MHzの伝送周波数を有し、前記インプラントユニットと前記デバイスとの間の距離は、少なくとも1cmであり、前記プロセッサは、前記アンテナと前記インプラントユニットのアンテナとの間の結合の程度を周期的に決定するように構成されており、前記プロセッサは、前記刺激信号に応答した意図した神経変調が前記刺激信号に応答して前記対象の前記身体の内部で起こらなかったときに、前記結合の程度に基づいて、前記変調制御信号のパラメータを選択するように構成されており、前記プロセッサによって選択された前記パラメータが、前記変調制御信号の新たなパラメータとして使用され、前記変調制御信号の前記パラメータは、周波数、パルス持続時間、および振幅であり、前記パルス持続時間は、交流信号がオンにされて一連のサブパルスからなる前記変調制御信号のパルスを生成する持続時間であり、1つのサブパルスは、前記交流信号の一波長部分であり、前記変調制御信号を生成する前記交流信号の前記周波数は、6.5~13.6MHzであり、前記変調制御信号の前記パルス持続時間は、50マイクロ秒よりも長く、前記変調制御信号の前記振幅は、0.05アンペアと3アンペアとの間であり、前記デバイスは、筐体を含み、前記筐体は、前記対象の前記身体に取り付けられるように構成された可撓な基材を備え、前記可撓な基材は、5~100マイクロメートルの厚さを有し、前記プロセッサはさらに、サブ変調制御信号を生成するように構成されている、デバイス。
【請求項2】
前記変調制御信号は、パルス列の形である、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮特許出願第61/676,327号(2012年7月26日出願)の利益を主張し、それによって、その開示の全体は、参照によって援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、神経を変調するために埋め込まれた睡眠時無呼吸処置デバイスおよびそれを製造するための方法に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、埋込型ユニット内のアンテナ構成要素に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
神経変調は、身体自体の本来の神経プロセスと相互作用することによって、多くの生理学的状態および障害を処置する機会を提示する。神経変調は、中枢神経系、末梢神経系、または自律神経系における、電気的または化学的な活性の阻害(例えば、遮断)、刺激、修正、調節、または処置的改変を含む。例えば、神経の刺激または神経信号の遮断を通して、神経系の活性を変調することによって、いくつかの異なる目標が達成されてもよい。運動ニューロンが、筋収縮を引き起こすように適切な時に刺激されてもよい。感覚ニューロンが、例えば、疼痛を緩和するように遮断され、または例えば、信号を対象に提供するように刺激されてもよい。他の例では、自律神経系の変調は、心拍数および血圧等の種々の不随意生理学的パラメータを調整するために使用されてもよい。
【0004】
神経変調が適用され得る状態の中には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)がある。OSAは、睡眠中の上気道の部分閉塞または完全閉塞の再発性エピソードによって特徴付けられる呼吸器疾患である。OSAがある人の睡眠の間、咽頭筋は、睡眠中に弛緩し、徐々に虚脱して気道を狭くする。気道狭窄は、睡眠者の呼吸の有効性を制限し、血液中のCOレベルの上昇を引き起こす。COの上昇は、気道を開くように咽頭筋を収縮させ、適正な呼吸を回復させる。上気道拡張に関与する咽頭筋のうち最も大きいものは、舌のいくつかの異なる筋肉のうちの1つである、オトガイ舌筋である。オトガイ舌筋は、舌の前方運動および前咽頭壁の硬化に関与する。OSAがある患者では、オトガイ舌筋の神経筋活性が、正常な個人と比較して減少させられ、正常な個人と比較して、気道を開くために不十分な応答および収縮の原因となる。この応答の欠如は、睡眠者の呼吸の有効性を有意に制限する部分閉塞または完全閉塞に寄与する。OSA患者では、しばしば、夜間に数回の気道閉塞事象がある。閉塞により、血液中の酸素レベルの段階的な減少がある(低酸素血症)。低酸素血症は、脳が睡眠の任意の段階から短い覚醒まで目覚めることを示すEEGによって記録され得る夜間覚醒につながる。覚醒中に、気道閉塞を解消する、意識的な吸息またはあえぎがある。エピネフリンおよびノルアドレナリン等のホルモンの放出を通した交感神経緊張の活動率の増加もまた、しばしば、低酸素血症への応答として起こる。交感神経緊張の増加の結果として、心臓が、より多くの血液を送出し、血圧および心拍数を増加させようとして拡大し、さらに患者を目覚めさせる。無呼吸事象の解消後、患者が睡眠に戻ると、気道が再び虚脱し、さらなる覚醒につながる。
【0005】
繰り返しの低酸素血症と組み合わせた、これらの繰り返しの覚醒は、患者を睡眠不足にし、日中の眠気につながり、認知機能を悪化させる。この周期は、重度の患者では、一夜あたり最大数百回も繰り返され得る。したがって、夜間の交感神経緊張および血圧上昇のエピソードの繰り返しの変動は、1日中の高い血圧へと進展する。後に、高い血圧および増加した心拍数は、他の疾患を引き起こし得る。
【0006】
OSAを処置するための努力は、マスクを着用するように患者に要求する持続的気道陽圧(CPAP)処置を含み、そのマスクを通して空気が鼻穴に吹き込まれることにより、気道を開いたままにする。他の処置オプションは、構造的支持を提供するために軟口蓋の中に堅い挿入物を埋め込むこと、気管切開術、または組織切除を含む。
【0007】
神経変調が適用され得る別の状態は、片頭痛の発生である。頭部の痛覚は、後頭神経、具体的には、大後頭神経、および三叉神経を介して、脳に伝達される。対象が片頭痛中等に頭痛を体験するとき、これらの神経の阻害は、痛覚を減少または排除し得る。
【0008】
神経変調はまた、高血圧に適用されてもよい。身体内の血圧は、複数のフィードバックメカニズムを介して制御される。例えば、頸動脈内の頸動脈小体の中の圧受容器は、頸動脈内の血圧の変化に敏感である。圧受容器は、血圧が上昇するときに舌咽神経を介して脳に伝導される信号を生成し、例えば、心拍数の変化、および血管拡張/血管収縮を通して、身体の調節系を活性化して血圧を下げるように、脳に信号伝送する。逆に、腎動脈の上および周囲の副交感神経線維は、血圧を上昇させる、塩類貯留およびアンジオテンシンの放出等の作用を開始するように腎臓に運ばれる信号を生成する。これらの神経を変調することが、血圧のある程度の外部制御を及ぼす能力を提供し得る。
【0009】
先述の内容は、神経変調が有益であり得る状態のいくつかの例にすぎないが、以降で説明される本発明の実施形態は、必ずしも上記の状態を処置することのみに限定されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
いくつかの実施形態は、対象の身体内に埋め込まれるように構成された可撓なキャリアを有する睡眠時無呼吸処置デバイスを含んでもよい。本デバイスはまた、可撓なキャリア上に配置された少なくとも1つの電極であって、対象の神経線維を変調するように構成された少なくとも1つの電極を含んでもよい。可撓なアンテナは、可撓なキャリア上に配置されてもよく、可撓なアンテナは、可撓なアンテナによって受信される少なくとも一部のエネルギーが少なくとも1つの電極に伝送されることを可能にする態様で、少なくとも1つの電極に電気的に接続される。可撓なアンテナは、可撓なキャリアの第1の側に配列された少なくとも第1の伝導性トレースであって、その部分間に少なくとも第1の細長い空間を画定する少なくとも第1の伝導性トレースと、可撓なキャリアの第2の側に配列された少なくとも第2の伝導性トレースであって、その部分間に少なくとも第2の細長い空間を画定する少なくとも第2の伝導性トレースとを含んでもよく、少なくとも第1の伝導性トレースは、少なくとも第2の伝導性トレースから少なくとも部分的にオフセットされ、それにより、第1の伝導性トレースの部分は、少なくとも第2の細長い空間の上にあり、第2の伝導性トレースの部分は、少なくとも第1の細長い空間の下にある。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
睡眠時無呼吸処置デバイスであって、前記睡眠時無呼吸処置デバイスは、
対象の身体内に埋め込まれるように構成された可撓なキャリアと、
前記可撓なキャリア上に配置された少なくとも1つの電極であって、前記少なくとも1つの電極は、前記対象の舌下神経線維を変調するために、前記対象の舌下神経に近接するオトガイ舌筋組織上の場所のために構成されている、少なくとも1つの電極と、
前記可撓なキャリア上に配置された可撓なアンテナであって、前記可撓なアンテナは、前記対象の舌に近接する皮膚の真下の場所のためにサイズを合わせられ、前記可撓なアンテナは、前記可撓なアンテナによって受信される少なくとも一部のエネルギーが前記少なくとも1つの電極に伝送されることを可能にする態様で前記少なくとも1つの電極に電気的に接続され、前記可撓なアンテナは、
前記可撓なキャリアの第1の側に配列された少なくとも第1の伝導性トレースであって、前記少なくとも第1の伝導性トレースは、その部分間に少なくとも第1の細長い空間を画定している、少なくとも第1の伝導性トレースと、
前記可撓なキャリアの第2の側に配列された少なくとも第2の伝導性トレースであって、前記少なくとも第2の伝導性トレースは、その部分間に少なくとも第2の細長い空間を画定している、少なくとも第2の伝導性トレースと
を含む、可撓なアンテナと
を備え、前記少なくとも第1の伝導性トレースは、前記少なくとも第2の伝導性トレースから少なくとも部分的にオフセットされ、それにより、前記第1の伝導性トレースの部分は、前記少なくとも第2の細長い空間の上にあり、前記第2の伝導性トレースの部分は、前記少なくとも第1の細長い空間の下にある、睡眠時無呼吸処置デバイス。
(項目2)
前記アンテナおよびキャリアは、可撓なポリマーコーティング内に封入されている、項目1に記載の睡眠時無呼吸処置デバイス。
(項目3)
前記第1の伝導性トレースおよび前記第2の伝導性トレースはそれぞれ、コイルを含み、前記第1の細長い空間および前記第2の細長い空間は、前記第1の伝導性トレースおよび第2の伝導性トレースの前記コイルの巻線間の区域を含む、項目1に記載の睡眠時無呼吸処置デバイス。
(項目4)
前記第1の伝導性トレースおよび第2の伝導性トレースの前記コイルは、長方形巻線を含む、項目3に記載の睡眠時無呼吸処置デバイス。
(項目5)
前記第1の伝導性トレースおよび第2の伝導性トレースの前記コイルは、オーバル形状の巻線を含む、項目3に記載の睡眠時無呼吸処置デバイス。
(項目6)
前記第1の伝導性トレースおよび第2の伝導性トレースの前記コイルは、円形巻線を含む、項目3に記載の睡眠時無呼吸処置デバイス。
(項目7)
前記第1の伝導性トレースおよび前記第2の伝導性トレースは、前記可撓なキャリアを通って延在するトレースを介して、電気的に接続されている、項目1に記載の睡眠時無呼吸処置デバイス。
(項目8)
前記第1の伝導性トレースは、第1の巻線を含み、前記第1の巻線の少なくとも一部は、第1の電気トレースステップによって、相互に接続され、前記第2の伝導性トレースは、第2の巻線を含み、前記第2の巻線の少なくとも一部は、第2の電気トレースステップによって相互に接続され、前記第1の電気トレースステップのうちの1つまたは複数は、非ゼロ角度で前記第2の電気トレースステップのうちの1つまたは複数と交差する、項目1に記載の睡眠時無呼吸処置デバイス。
(項目9)
前記可撓なアンテナは、フェライトコアを含む、項目1に記載の睡眠時無呼吸処置デバイス。
(項目10)
前記可撓なキャリアは、誘電体材料を含む、項目1に記載の睡眠時無呼吸処置デバイス。
(項目11)
前記第1の伝導性トレースおよび前記第2の伝導性トレースはそれぞれ、コイルを含み、前記第1の伝導性トレースおよび第2の伝導性トレースの前記コイルは、約0.5mmと30mmとの間の直径を有する、項目1に記載の睡眠時無呼吸処置デバイス。
(項目12)
前記可撓なアンテナは、前記対象の身体内の組織の輪郭に適合するように構成されている、項目1に記載の睡眠時無呼吸処置デバイス。
(項目13)
前記第1の伝導性トレースの実質的に全ては、前記少なくとも第2の細長い空間の上にあり、前記第2の伝導性トレースの実質的に全ては、前記少なくとも第1の細長い空間の下にある、項目1に記載の睡眠時無呼吸処置デバイス。
(項目14)
前記可撓なアンテナはさらに、絶縁層によって前記第2の伝導性トレースから離間された少なくとも第3の伝導性トレースを含む、項目1に記載の睡眠時無呼吸処置デバイス。
(項目15)
前記可撓なキャリア、前記少なくとも1つの電極、および前記可撓なアンテナの少なくとも一部は、パリレンの層およびシリコーンの層を含む封入構造で被覆されている、項目1に記載の睡眠時無呼吸処置デバイス。
(項目16)
睡眠時無呼吸処置デバイスを備える頭痛管理デバイスであって、前記睡眠時無呼吸処置デバイスは、
可撓なキャリアであって、前記可撓なキャリアは、前記可撓なキャリアの第1の部分が対象の頭部の実質的に毛のない領域の下にある状態で、前記対象の身体内に埋め込まれるように構成されている、可撓なキャリアと、
前記可撓なキャリア上に配置された少なくとも1つの電極であって、前記少なくとも1つの電極は、前記対象の皮膚の下および前記頭部の実質的に毛のある領域の少なくとも後頭神経および三叉神経の近傍における前記可撓なキャリアの第2の部分上の場所のために構成され、前記対象の少なくとも1つの後頭神経および三叉神経を変調するように構成されている、少なくとも1つの電極と、
前記可撓なキャリア上に配置される可撓なアンテナであって、前記可撓なアンテナは、前記可撓なアンテナによって受信される少なくとも一部のエネルギーが前記少なくとも1つの電極に伝送されることを可能にする態様で、前記少なくとも1つの電極に電気的に接続され、前記可撓なアンテナは、
前記可撓なキャリアの第1の側に配列された少なくとも第1の伝導性トレースであって、前記少なくとも第1の伝導性トレースは、その部分間に少なくとも第1の細長い空間を画定している、少なくとも第1の伝導性トレースと、
前記可撓なキャリアの第2の側に配列された少なくとも第2の伝導性トレースであって、前記少なくとも第2の伝導性トレースは、その部分間に少なくとも第2の細長い空間を画定している、少なくとも第2の伝導性トレースと
を含む、可撓なアンテナと
を備え、前記少なくとも第1の伝導性トレースは、前記少なくとも第2の伝導性トレースから少なくとも部分的にオフセットされ、それにより、前記第1の伝導性トレースの部分は、前記少なくとも第2の細長い空間の上にあり、前記第2の伝導性トレースの部分は、前記少なくとも第1の細長い空間の下にある、頭痛管理デバイス。
(項目17)
血圧に影響を及ぼすための高血圧処置デバイスであって、前記高血圧処置デバイスは、睡眠時無呼吸処置デバイスを備え、前記睡眠時無呼吸処置デバイスは、
腎神経、圧受容器、および舌咽神経のうちの少なくとも1つに近接して、対象の血管に埋め込むために構成されたインプラントであって、埋込型デバイスは、少なくとも1対の変調電極を含む、インプラントと、
前記インプラント上に配置された少なくとも1つの電極であって、前記少なくとも1つの電極は、前記対象の神経線維を変調するように構成されている、少なくとも1つの電極と、
前記インプラントと関連付けられた基材と、
前記基材上に配置された可撓なアンテナであって、前記可撓なアンテナは、前記可撓なアンテナによって受信される少なくとも一部のエネルギーが前記少なくとも1つの電極に伝送されることを可能にする態様で、前記少なくとも1つの電極に電気的に接続され、前記可撓なアンテナは、
前記基材の第1の側に配列された少なくとも第1の伝導性トレースであって、前記少なくとも第1の伝導性トレースは、その部分間に少なくとも第1の細長い空間を画定している、少なくとも第1の伝導性トレースと、
前記基材の第2の側に配列された少なくとも第2の伝導性トレースであって、前記少なくとも第2の伝導性トレースは、その部分間に少なくとも第2の細長い空間を画定している、少なくとも第2の伝導性トレースと
を含む、可撓なアンテナと
を備え、前記少なくとも第1の伝導性トレースは、前記少なくとも第2の伝導性トレースから少なくとも部分的にオフセットされ、それにより、前記第1の伝導性トレースの部分は、前記少なくとも第2の細長い空間の上にあり、前記第2の伝導性トレースの部分は、前記少なくとも第1の細長い空間の下にある、高血圧処置デバイス。
(項目18)
医療デバイスであって、前記医療デバイスは、
対象の身体内に埋め込まれるように構成された可撓なキャリアと、
前記可撓なキャリア上に配置された少なくとも1つの電極であって、前記少なくとも1つの電極は、前記対象の神経線維を変調するように構成されている、少なくとも1つの電極と、
前記可撓なキャリア上に配置された可撓なアンテナであって、前記可撓なアンテナは、前記可撓なアンテナによって受信される少なくとも一部のエネルギーが前記少なくとも1つの電極に伝送されることを可能にする態様で、前記少なくとも1つの電極に電気的に接続され、前記可撓なアンテナは、
前記可撓なキャリアの第1の側に配列された少なくとも第1の伝導性トレースであって、前記少なくとも第1の伝導性トレースは、その部分間に少なくとも第1の細長い空間を画定している、少なくとも第1の伝導性トレースと、
前記可撓なキャリアの第2の側に配列された少なくとも第2の伝導性トレースであって、前記少なくとも第2の伝導性トレースは、その部分間に少なくとも第2の細長い空間を画定している、少なくとも第2の伝導性トレースと
を含む、可撓なアンテナと
を備え、前記少なくとも第1の伝導性トレースは、前記少なくとも第2の伝導性トレースから少なくとも部分的にオフセットされ、それにより、前記第1の伝導性トレースの部分は、前記少なくとも第2の細長い空間の上にあり、前記第2の伝導性トレースの部分は、前記少なくとも第1の細長い空間の下にある、医療デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示のいくつかの実施形態を図示し、説明とともに、本明細書で開示される実施形態の原理を説明する働きをする。
図1図1は、本開示の例示的実施形態による、インプラントユニットおよび外部ユニットを概略的に図示する。
図2図2は、本開示の例示的実施形態による、インプラントユニットおよび外部ユニットを伴う対象の部分断面側面図である。
図3図3は、本開示の例示的実施形態による、インプラントユニットおよび外部ユニットを含むシステムを概略的に図示する。
図4図4は、本開示の例示的実施形態による、インプラントユニットの上面図である。
図5図5は、本開示の例示的実施形態による、インプラントユニットの代替実施形態の上面図である。
図6図6は、本開示の例示的実施形態による、インプラントユニットおよび外部ユニットの回路を図示する。
図7図7は、例示的な開示された実施形態による、結合の関数としてエネルギー送達を決定する際に使用され得る数量のグラフを図示する。
図8図8は、非線形高調波を図示するグラフを描写する。
図9図9は、例示的な開示された実施形態による、結合の関数としてエネルギー送達を決定する際に使用され得る数量のグラフを描写する。
図10図10は、インプラントユニット110の一実施形態の付加的な特徴を図示する。
図11図11aおよび図11bは、二重層交差アンテナを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(詳細な説明)
ここで、本開示の例示的実施形態を詳細に参照し、その例が、添付図面で図示される。可能な限り、同一または類似部品を参照するために、同一の参照番号が複数の図面の全体を通して使用される。
【0013】
本開示の実施形態は、概して、エネルギーの送達を通して神経を変調するためのデバイスに関する。神経変調は、神経が活性化されまたは各自の電気信号を伝搬するために十分な電圧変化を生成するように、エネルギーを神経に提供することを含み得る神経刺激の形態を成してもよい。神経変調はまた、神経が電気信号を伝搬することを防止するのに十分なエネルギーを神経に提供することを含み得る神経阻害の形態を成してもよい。神経阻害は、エネルギーの一定の印加を通して行われてもよく、また、印加後のしばらくの間神経の機能を阻害するのに十分なエネルギーの印加を通して行われてもよい。神経変調の他の形態は、神経の機能を修正し、高められた感度または低減された感度をもたらす。本明細書で参照されるように、神経の変調は、神経全体の変調および/または神経の一部分の変調を含んでもよい。例えば、運動ニューロンの変調は、エネルギーが印加される場所の遠位にあるニューロンの部分のみに影響を及ぼすように行われてもよい。
【0014】
OSAがある患者では、例えば、神経刺激の一次標的応答は、患者の気道を遮断しない位置まで舌を移動させるために、舌筋(例えば、筋肉)の収縮を含んでもよい。片頭痛の処置では、神経阻害が、痛覚を低減または排除するために使用されてもよい。高血圧の処置では、神経変調が、身体によって生成される神経信号を増加、減少、排除、または別様に改変して、血圧を調節するために使用されてもよい。
【0015】
本開示は、最初に、神経を変調することを通したOSAの処置の文脈において説明されるが、本睡眠時無呼吸処置デバイスは、神経変調が所望され得る任意の患者/身体部分において採用されてもよい。つまり、片頭痛、または高血圧がある患者での使用に加えて、本開示の実施形態は、脳深部刺激(例えば、てんかん、パーキンソン病、およびうつ病の処置)、心臓ペースメーキング、胃の筋肉刺激(例えば、肥満の処置)、背部痛、失禁、月経痛、および/または神経変調による影響を受け得る任意の他の状態を含むが、それに限定されない、多くの他の分野で使用されてもよい。
【0016】
神経変調のために、エネルギーをインプラント型睡眠時無呼吸処置デバイスに伝送する医療システムは、インプラント型睡眠時無呼吸処置デバイスと、外部睡眠時無呼吸処置デバイスとを含んでもよい。例えば、図1は、本開示の例示的実施形態による、インプラントユニット110および外部ユニット120を図示する。インプラントユニット110は、対象において神経115を変調することを可能にする場所に埋め込むために構成されてもよい。インプラントユニット110は、介在組織111がインプラントユニット110と神経115との間に存在するように、対象の中に位置してもよい。介在組織は、筋組織、結合組織、臓器組織、または任意の他の種類の生物組織を含んでもよい。したがって、インプラントユニット110の場所は、効果的な神経変調のために神経115との接触を必要としない。インプラントユニット110はまた、いかなる介在組織111も存在しないように、神経115に直接隣接して位置してもよい。
【0017】
OSAを処置する際に、インプラントユニット110は、患者のオトガイ舌筋の上に位置してもよい。そのような場所は、舌下神経の変調に好適であり、舌下神経の枝は、オトガイ舌筋の内側に及ぶ。インプラントユニット110はまた、他の場所に配置するために構成されてもよい。例えば、片頭痛処置は、大後頭神経および/または三叉神経を変調するために、首の後ろ、対象の髪の生え際付近、または対象の耳の後ろに皮下埋込を必要とし得る。高血圧の処置は、(頸動脈圧受容器を通して舌咽神経を変調するように)頸動脈または頸静脈の内側で、一方向または双方向からのいずれかで、(副交感腎神経を変調するために)腎動脈または腎静脈の内側で血管内に神経変調インプラントの埋込を必要とし得る。代替として、または加えて、高血圧の処置は、例えば、舌咽神経を直接変調するように、耳の後ろまたは頸部で皮下に、神経変調インプラントの埋込を必要とし得る。
【0018】
外部ユニット120は、患者の皮膚112に直接接触するか、またはその近くのいずれかである、患者の外部の場所のために構成されてもよい。外部ユニット120は、例えば、患者の皮膚112に付着することによって、または外部ユニット120を定位置で保持するように構成されるバンドあるいは他のデバイスを通して、患者に添着されるように構成されてもよい。外部ユニット120の皮膚への付着は、インプラントユニット110の場所の近傍にあるように行われてもよい。
【0019】
インプラントユニット110は、対象の身体内に埋め込まれるように構成される可撓なキャリアを含んでもよい。インプラントユニット110はさらに、対象の身体内の組織に適合および固着するように構成されてもよい。インプラントユニット110は、例えば、可撓なキャリア、可撓なキャリア上に配置され、対象の身体内の神経を変調するように構成される少なくとも1つの電極、ならびに可撓なキャリアの第1および第2の側に配置される第1および第2の伝導性トレースを備える可撓なアンテナ等の種々の構成要素を含んでもよい。
【0020】
図4は、本開示の例示的実施形態による、インプラントユニットの上面図である。インプラントユニット110は、可撓なキャリア161と、電極158aおよび158bと、可撓なアンテナ152とを含む。用語「可撓な」は、その所望の機能性を維持しながら、その物理的形状を変化させる(例えば、折り曲げる、曲げる、変形させる等)構成要素の能力を指す。いくつかの実施形態では、可撓なアンテナ152は、例えば、対象の身体内の組織(例えば、骨、筋肉、脂肪、結合組織等)に適合するように構成されてもよい。
【0021】
インプラントユニット110は、患者の身体内に埋め込むために好適な任意の材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、インプラントユニット110は、可撓な生体適合性材料を含む可撓なキャリア161(図4)を含んでもよい。そのような材料として、例えば、シリコーン、ポリイミド、フェニルトリメトキシシラン(PTMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、パリレンC、ポリイミド、液体ポリイミド、積層ポリイミド、ブラックエポキシ、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、Kapton等が挙げられ得る。インプラントユニット110はさらに、金、白金、チタン、または任意の他の生体適合性伝導性材料または材料の組み合わせ等の伝導性材料を含む回路を含んでもよい。インプラントユニット110および可撓なキャリア161はまた、患者の皮膚の下に埋め込むために好適な厚さで加工されてもよい。インプラント110は、約4mm未満または約2mm未満の厚さを有してもよい。
【0022】
インプラントユニット110は、加えて、電極が患者の身体内で電場を生成するように構成され得る限り、インプラントユニット上に任意の好適な形状および/または向きを含み得る複数の場生成インプラント電極158a、158bを含んでもよい。インプラント電極158aおよび158bはまた、任意の好適な伝導性材料(例えば、銅、銀、金、白金、イリジウム、白金-イリジウム、白金-金、伝導性ポリマー等)、または伝導性(かつ/または貴金属)材料の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、電極は、短線電極、円形電極、および/または円形対の電極を含んでもよい。図4に示されるように、電極158aおよび158bは、細長いアーム162の第1の延在部162aの端部上に位置してもよい。しかしながら、電極は、インプラントユニット110の任意の部分の上に位置してもよい。加えて、インプラントユニット110は、例えば、図5で図示されるように、例えば、細長いアーム162の第1の延在部162aおよび第2の延在部162bの両方の端部上で、複数の場所に位置する電極を含んでもよい。インプラント電極は、約200ナノメートルから1ミリメートルの厚さを有してもよい。陽極および陰極電極対が、約0.2mm~25mmの距離だけ離間されてもよい。付加的な実施形態では、陽極および陰極電極対は、約1mm~10mm、または4mm~7mmの距離だけ離間されてもよい。隣接陽極または隣接陰極は、0.001mm以下または25mm以上の距離だけ離間されてもよい。いくつかの実施形態では、隣接陽極または隣接陰極は、約0.2mm~1mmの距離だけ離間されてもよい。
【0023】
図4で図示されるように、一実施形態では、場生成電極158aおよび158bは、一組の電極が陽極を提供し、他方の一組の電極が陰極を提供する、可撓なキャリア161の上に提供される、2組の4つの円形電極を含んでもよい。インプラントユニット110は、患者の身体内へのインプラントユニット110の埋込を容易にするように、1つ以上の構造要素を含んでもよい。そのような要素は、例えば、患者の身体内で所望の向きでのインプラントユニット110の整合を容易にして身体内でインプラントユニット110を固定するための取付点を提供する、細長いアーム、縫合穴、ポリマー外科用メッシュ、生物学的な糊、組織に固着するように突出する可撓なキャリアのスパイク、同一の目的のための付加的な生体適合性材料のスパイク等を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、インプラントユニット110は、第1の延在部162aと、随意に第2の延在部162bとを有する細長いアーム162を含んでもよい。延在部162aおよび162bは、特定の筋肉(例えば、オトガイ舌筋)、患者の身体内の神経または神経上方の身体内の表面に対してインプラントユニット110の向きを定めるのに役立ち得る。例えば、第1および第2の延在部162a、162bは、インプラントユニットが、患者の皮膚の下の軟組織または硬組織(例えば、神経、骨、または筋肉等)の周囲に少なくとも部分的に適合することを可能にするように構成されてもよい。さらに、インプラントユニット110はまた、可撓なキャリア161上のいずれかの場所に位置する1つ以上の縫合穴160を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、縫合穴160は、細長いアーム162の第2の延在部162bおよび/または細長いアーム162の第1の延在部162aの上に配置されてもよい。インプラントユニット110は、種々の形状で構築されてもよい。加えて、または代替として、インプラントユニット110は、図10に関連して以下により詳細に説明される外科手術メッシュ1050または他の穴あき材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、インプラントユニットは、実質的に図4で図示されるような外見であってもよい。他の実施形態では、インプラントユニット110は、第2の延在部162b等の図示した構造が欠如していてもよく、または異なる向きで付加的あるいは異なる構造を有してもよい。加えて、インプラントユニット110は、図4に示される翼付形状の代替案として、略三角形、円形、または長方形形状で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、(例えば、図4に示されるような)インプラントユニット110の形状は、変調される特定の神経に対するインプラントユニット110の向き決めを容易にし得る。したがって、身体の異なる部分への埋込を容易にするために、他の規則的または不規則的な形状が採用されてもよい。
【0024】
図4で図示されるように、二次アンテナ152および電極158a、158bは、可撓なキャリア161の上に配置されてもよく、または可撓なキャリア161と一体化してもよい。種々の回路構成要素および接続ワイヤ(以下でさらに議論される)は、アンテナがアンテナで受信されたエネルギーの少なくとも一部を(例えば、対象の身体の外部に位置する一次アンテナを含むユニットから)電極158a、158bのうちの1つ以上に伝達することを可能にする態様で、二次アンテナをインプラント電極158aおよび158bと接続するために使用されてもよい。二次アンテナ152と電極158aおよび158bとを接続する回路内に含まれる、または別様にそれと関連付けられ得る他の構成要素として、例えば、修正回路154、ダイオード156、センサ(図示せず)等が挙げられ得る。
【0025】
アンテナ、電極、回路構成要素、および接続ワイヤを患者の身体内の環境から保護するために、インプラントユニット110は、インプラントユニット110を封入する保護コーティングを含んでもよい。いくつかの実施形態では、保護コーティングは、可撓なキャリア161とともに折曲可能である可撓な材料から作製されてもよい。保護コーティングの封入材料はまた、湿度浸透に抵抗し、腐食から保護してもよい。いくつかの実施形態では、保護コーティングは、異なる層内の異なる材料または材料の組み合わせを含む複数の層を含んでもよい。
【0026】
図5は、本開示の例示的実施形態による、インプラントユニット110の代替実施形態の斜視図である。図5で図示されるように、インプラントユニット110は、例えば、第1の延在部162aおよび第2の延在部162bの端部に位置する複数の電極を含んでもよい。図5は、インプラント電極158aおよび158bが短線電極を含む実施形態を図示する。
【0027】
本開示のいくつかの実施形態では、二次アンテナ152は、可撓なキャリア161上に配置されてもよく、二重層トレース構成を含んでもよい。用語「アンテナ」は、ここでは、かつ本明細書全体を通して、電気エネルギーをワイヤレスに伝送および/または受信するように構成される任意の構成要素を指す。用語「トレース」または「伝導性トレース」は、ここで使用され、かつ本明細書全体を通して使用される場合、コイル等を介した任意の電気伝導性ラインを含んでもよい。
【0028】
アンテナコイルを二重層に配列することは、アンテナのサイズを増加させずに、アンテナの伝送範囲を増加させる働きをし得る。しかしながら、そのような配列はまた、各コイルのワイヤ間の静電容量を増加させる役割も果たし得る。各ワイヤコイルでは、ワイヤ間の寄生静電容量の量は、各ワイヤのその隣のワイヤからの距離に依存し得る。単一層コイルでは、静電容量は、コイルの各ループとその両隣のワイヤとの間に生成され得る。したがって、よりコンパクトなコイルは、より多くの寄生静電容量を生成し得る。第2の層コイルが追加されると、付加的静電容量が、次いで、第1のコイルのワイヤと第2のコイルのワイヤとの間に生成され得る。本付加的静電容量は、第1および第2のコイルの対応するループが、同一または類似の直径を有する場合、および/またはループを分離する可撓な誘電体キャリアが、非常に薄く作製される場合、さらに増加され得る。アンテナ内の寄生静電容量の増加は、製造仕様に基づいて予測不能な量において、アンテナの共鳴周波数等の特性を改変する働きをし得る。加えて、例えば、湿気の侵入またはアンテナ湾曲によって生じる共鳴周波数ドリフトは、増加した寄生静電容量の存在によって増加され得る。したがって、製造される製品のばらつきを減少させるために、二重層アンテナ内の寄生静電容量のレベルを低下させることが有利となり得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、例えば、二次アンテナ152は、任意の好適な形状を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アンテナ152は、長方形巻線(例えば、伝導性トレースの1巻以上)、円形巻線、オーバル形状の巻線、ウェブ形状の巻線等を有する伝導性トレースを含むように構成されるコイルアンテナを含んでもよい。アンテナ152はまた、任意の好適な伝導性材料から作製されてもよく、任意の好適な直径、コイルの数、コイルのレイアウト等を含むように構成されてもよい。例えば、二次アンテナ152として使用するために好適なコイルアンテナは、約0.5mm~30mmの直径を有してもよく、円形またはオーバル形状あるいは任意の他の好適な形状であってもよい。二次アンテナ152として使用するために好適なコイルアンテナは、任意の数、例えば、4、15、20、30、または50本の巻線を有してもよい。二次アンテナ152として使用するために好適なコイルアンテナは、ワイヤ直径約0.001mm~約1mmを有してもよい。いくつかの実施形態では、二次アンテナ152は、アンテナが患者の身体の内側の組織の輪郭に適合することを可能にする可撓なコイルを含んでもよい。これらのアンテナパラメータは、例示にすぎず、好適な結果を達成するように挙げられる範囲以上または以下に調整されてもよい。特定の実施形態では、上述のように、巻線は、伝導性トレースの1巻以上を指し得る。アンテナ152内のそのような巻線は、楕円形形状または円形、オーバル、長方形、三角形、正方形、ウェブ形状、メッシュ形状等の任意の他の形状に配列されてもよい。本開示のいくつかの実施形態では、アンテナ152は、可撓な巻線を含んでもよい。
【0030】
アンテナ152または本明細書に開示される任意の他のアンテナの伝導性トレースは、前述の形状および構成を有することに加え、アンテナを提供するために好適な任意の他の構成に配列されてもよい。例えば、伝導性トレースは、線形区画、アーチ状区画、多面区画、波状パターン等に配列されてもよい。各実施形態は、アンテナのトレース間に形成される少なくとも1つの細長い空間を含んでもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、アンテナ152は、可撓な誘電体キャリアの第1の側に配列される第1の電気伝導性トレースを有する二重層交差アンテナを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の電気伝導性トレースは、その部分間に第1の細長い空間を画定する。例えば、いくつかの実施形態では、細長い空間は、アンテナ152の中心に対して配置される一連の徐々に大きくなる巻線間の空間を含んでもよい。しかしながら、第1の細長い空間はまた、第1の電気伝導性トレースの形状または構成に応じて、任意の他の形状または構成を含んでもよい。円形巻線の場合、第1の細長い空間は、実質的同心巻線間の空間を含んでもよい。
【0032】
アンテナ152はまた、可撓な誘電体キャリア161の第2の側に配列される第2の電気伝導性トレースを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の電気伝導性トレースは、その部分間に第2の細長い空間を画定してもよい。例えば、第1の電気伝導性トレースにおけるように、第2の電気伝導性トレースによって形成される細長い空間は、少なくともいくつかの場合には、アンテナ152の中心に対して配置される一連の徐々に大きくなる巻線間の空間を含んでもよい。しかしながら、第2の細長い空間はまた、第2の電気伝導性トレースの形状または構成に応じて、任意の他の形状または構成を含んでもよい。円形巻線の場合、第2の細長い空間は、実質的同心巻線間の空間を含んでもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1の伝導性トレースは、少なくとも部分的に、第2の伝導性トレースからオフセットされてもよい。そのような実施形態では、第1の伝導性トレースの部分は、第2の伝導性トレースによって形成される第2の細長い空間の少なくとも一部の上にあってもよい。同様に、第2の伝導性トレースの部分は、第1の伝導性トレースによって形成される細長い空間の下にあってもよい。
【0034】
第1および第2の伝導性トレースは、任意の好適な量のオフセットを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1および第2の伝導性トレースは、第1の伝導性トレースのいくつかまたは第1の伝導性トレースの一部のみが、第2の伝導性トレースによって形成される少なくとも第2の細長い空間の上にあるように、部分的にオフセットされてもよく、第2の伝導性トレースの一部のみが、第1の伝導性トレースによって形成される第1の細長い空間の下にある。代替として、いくつかの実施形態では、第1および第2の伝導性トレースは、第1の伝導性トレースの実質的に全てが、第2の伝導性トレースによって形成される細長い空間の上にあり、かつ、第2の伝導性トレースの実質的に全てが、第1の伝導性トレースによって形成される細長い空間の下にあるように、完全にオフセットされてもよい。
【0035】
図11aおよび図11bは、二次アンテナ152として使用するために好適な例示的二重層交差アンテナ1101を図示する。交差パターンが示されるが、他のパターンもまた、好適であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、二次アンテナ152と関連付けられたワイヤは、徐々に減少する寸法のトレースのパターンを含んでもよい。コイル内に配列されるトレースの場合、例えば、各ループは、内向きに渦巻くパターンを作成するように、徐々に減少する直径のリングを含み得る。類似アプローチは、他の形状のトレースを使用して同様に実行可能であり得る。
【0036】
図11aは、二重層交差アンテナ1101の単一コイルを図示する一方、図11bは、二重層交差アンテナ1101の2つの層を図示する。アンテナ1101は、可撓な誘電体キャリア1104(図示せず)の第1の側に配列されるワイヤの第1のコイル1102と、可撓な誘電体キャリア1104(図示せず)の第2の側のワイヤの第2のコイル1103とを含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、アンテナ152は、図11aに示されるような単一層、および図11bに示されるような二重層を含んでもよい。他の実施形態では、アンテナ152は、異なる数の層を含んでもよい。例えば、アンテナ152は、3層、4層、またはそれより多い層を含んでもよい。そのような実施形態では、種々の層上のそれぞれのトレースは、絶縁層によって分離されてもよく、前述の第1および第2の伝導性トレースの相対的構成と同様の態様で、相互に対して構成されてもよい。
【0038】
図11bは、二重層交差アンテナ1101を図示する。そのような構成は、製造されるアンテナ内の寄生静電容量を減少させる働きをし得る。図11bに図示されるように、ワイヤの第1のコイル1102は、ワイヤの第2のコイル1103から同心オフセットされてもよい。第1のコイル1102の各ループが第2のコイル1103の対応するループと同一の直径を有する構成とは対照的に、各ワイヤコイルの対応するループを同心オフセットすることは、第1のコイル1102の単一のループと第2のコイル1103の対応するループとの間の距離を増加させる働きをし得る。この距離の増加は、ひいては、第1のコイル1102のループと第2のコイル1103の対応するループとの間の寄生ワイヤ間静電容量を減少させ得る。本構成は、特に、各コイルがオフセットされる同心距離が誘電体キャリア1104の厚さと比較して比較的に大きくなるように、誘電体キャリア1104が十分に薄い状況において、寄生静電容量を減少させる際に有利であり得る。例えば、誘電体キャリアが0.5mm厚である状況では、0.5mmまたはそれよりも大きい同心オフセットは、寄生静電容量に大きな変化をもたらし得る。対照的に、誘電体キャリアが5mm厚である状況では、0.5mmの同心オフセットは、寄生静電容量により小さな変化をもたらし得る。第1のコイル1102と第2のコイル1103との間の同心オフセットは、例えば、コイルの各ループを各先行ループからオフセットする複数の電気トレースステップ1105によって達成されてもよい。誘電体キャリア1104の第1の側の電気トレースステップ1105は、誘電体キャリア1104の第2の側の電気トレースステップ1105と交差し、したがって、二重層交差アンテナ1101の交差特徴を提供する。用語「電気トレースステップ」は、本明細書において、伝導性トレースの2つの部分間に電気接続を確立し得る任意の電気接続要素(例えば、トレース、ワイヤ、ビア等)を指す。いくつかの実施形態では、第1の伝導性トレースは、第1の巻線を含んでもよく、第1の巻線の少なくともいくつかは、第1の電気トレースステップによって相互に接続されてもよい。同様に、第2の伝導性トレースは、第2の巻線を含んでもよく、第2の巻線の少なくともいくつかは、第2の電気トレースステップによって相互に接続され、第1の電気トレースステップのうちの1つ以上は、例えば、図11bに示されるように、非ゼロ角度で第2の電気トレースステップのうちの1つ以上と交差する。
【0039】
図11aに戻ると、いくつかの実施形態では、二重層交差アンテナ1101は、可撓なキャリア1104内に開口部1106を含み、第1および第2のコイル1102、1103の電気接続を容易にしてもよい。いくつかの実施形態では、第1および第2の伝導性トレース間の電気接続は、可撓なキャリアを通って延在する電気トレースステップ(例えば、伝導性ビア)を含み、第1および第2の伝導性トレース間に電気接続を提供してもよい。二重層交差アンテナ1101の第1および第2のコイル1102、1103はまた、アンテナ1101に結合され得るデバイス筐体のコネクタと電気的に接続するように構成される露出された電気部分1108を含んでもよい。露出された電気部分1108は、接続の軸の向きから独立して、デバイス筐体のコネクタと電気接触を維持するように構成されてもよい。図11aに示されるように、例えば、露出された電気部分1108は、これを達成するために、連続円形または不連続円形として構成されてもよい。不連続円形として構成される第1の露出された電気部分1108は、空間を提供し、その空間を通して電気トレースが第1の露出された電気部分に接触せずに通過することにより、例えば、第1の露出された電気部分1108の内側に位置する、第2の露出された電気部分、または第1の露出された電気部分1108の円形内に位置する他の構成要素と接続してもよい。図11aは、実質的に、楕円形コイルを有するアンテナを図示するが、円形、長方形、三角形、正方形、ウェブ形状等の他の形状もまた、異なる実施形態において使用されてもよい。いくつかの他の実施形態では、可撓なアンテナ内のコイル巻線は、フェライトコアを含んでもよい。楕円形コイルは、望ましい電気性能特性を維持しながら、特定の区域における配置を容易にし得る。
【0040】
図10は、インプラントユニット110の一実施形態の付加的な特徴を図示する。例示的実施形態は、図10に図示される特徴の一部または全部を組み込んでもよい。インプラントユニット110の保護コーティングは、一次被膜1021を含んでもよい。一次被膜1021は、インプラントユニット110を封入してもよく、インプラントユニット110の機械的保護を提供してもよい。例えば、インプラントユニット110の構成要素は、壊れやすくあり得、埋込の前にインプラントユニット110を取り扱う必要性は、インプラントユニット110の構成要素のための付加的保護を必要とし得る。一次被膜1021は、そのような保護を提供し得る。一次被膜1021は、インプラントユニット110の構成要素の全部または一部を封入してもよい。例えば、一次被膜1021は、電極158a、158bを露出させたまま残し、アンテナ152と、キャリア161と、回路180とを封入してもよい。代替実施形態では、構成要素の異なる組み合わせが、封入または露出されてもよい。一次被膜1021は、インプラントユニット110が、封入後、可撓なままであるような材料および厚さから加工されてもよい。一次被膜1021は、シリコーン、またはポリイミド、フェニルトリメトキシシラン(PTMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、パリレンC、液体ポリイミド、積層ポリイミド、ポリイミド、Kapton、ブラックエポキシ、ポリエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、または任意の他の好適な生体適合性コーティング等の任意の好適な生体適合性材料を含んでもよい。
【0041】
インプラントユニット110の保護コーティングはまた、二次被膜(図示せず)を含んでもよい。二次被膜は、身体内に埋め込まれるときのインプラントユニット110のための環境保護を提供してもよい。例えば、一次被膜1021は、シリコーンから構築されると、身体からの湿気の侵入を被り得、可能性として考えられる腐食作用のため、インプラントユニット110の寿命を制限し得る。二次被膜は、一次被膜の真下に提供され、インプラントユニット110を身体埋込の腐食作用から保護してもよい。例えば、パリレンCの層が、二次被膜としての働きをしてもよく、インプラントユニット110の構成要素の全部または一部を封入するように提供されてもよい。二次被膜は、ひいては、一次被膜1021によって封入されてもよい。二次被膜は、インプラントユニット110の湿気の侵入の作用を防止するために、例えばパリレンCまたは任意の他の好適な材料を含み得る。いくつかの実施形態では、二次被膜層は、化学蒸着によって堆積されてもよく、約1分子厚、1~5分子厚、または任意の他の好適な膜厚の厚さを有してもよい。
【0042】
シリコーンおよびパリレンC等の一次および二次被膜材料のいくつかの組み合わせは、相互に比較的に弱く結合されてもよい。そのような材料の組み合わせが使用される場合、複数の穿孔1030が、キャリア161および二次被膜の両方を貫通するように提供され、一次被膜の付着を改善してもよい。穿孔1030が提供されると、一次被膜1021の材料は、穿孔を通って流動し、一次被膜1021の材料をそれ自体の中に流動させ、それ自体に接着させ得る。キャリア161および二次被膜を通して提供される複数の穿孔1030は、多数のアンカ点を提供し、一次被膜1021材料を自己接着させ得る。穿孔1030は、一次被膜1021による封入後、穴1030が残るように提供されてもよく、または封入後、穴1030が充填されるように提供されてもよい。
【0043】
また、縫合穴1050が、図10に図示され、縫合穴1050は、その中に封入された外科手術メッシュを含み得る。縫合穴1050は、外科医が、インプラントユニット110を埋込中の定位置に縫合するときに使用するためのより大きな標的区域を提供してもよい。縫合穴1050全体が、一次被膜1021によって封入されてもよく、外科医は、インプラントユニット110の完全性を損なうことなく、縫合穴の任意の部分に針を通過させ得る。外科手術メッシュは、縫合穴1050を被覆するために使用され、外科医により大きな標的区域を提供し得るより大きな縫合穴1050をもたらしてもよい。外科手術メッシュ1050はまた、周囲組織がインプラントユニット110と結合するように促し得る。いくつかの実施形態では、外科医は、インプラントユニット110の細長いアーム162の一方の延在部162a上に位置する縫合穴160を通して、対象の組織を通して、およびインプラントユニット110の細長いアーム162の第2の延在部162b上に提供される外科手術メッシュ1050を通して外科手術用縫合針を通過させてもよい。本実施形態では、縫合穴1050によって提供されるより大きな標的区域は、縫合糸針が、最初に、延在部162a内の縫合穴を通過し、続いて、対象の身体内の組織を通過した後、より大きな縫合穴の位置を特定ことがより容易であり得るため、縫合プロセスを促進し得る。
【0044】
加えて、インプラントユニット110は、撓んだ条件下で電気接点を維持するために、蛇行電気トレース1060を含んでもよい。本明細書で使用される場合、蛇行電気トレース1060は、それが接続する点間の最短距離より長い任意の電気トレースを含んでもよい。蛇行電気トレース1060はまた、それが位置するキャリアの湾曲の間、電気伝導性を維持するように十分な長さの任意のトレースを含んでもよい。例えば、図10に示されるように、蛇行電気トレース1060は、波または同様のもののような連続曲線を有する線として構成されてもよい。電気トレースが堆積されるキャリア161の反復湾曲は、キャリア161の湾曲によって繰り返し応力がかけられるため、電気トレースの劣化を生じさせ得る。蛇行電気トレース1060は、提供される付加的たるみが、キャリア161の湾曲の間、トレース内の応力を減少させる働きをし得るため、寿命の延長をもたらし得る。蛇行電気トレース1060は、金、白金、チタン、銅、銀、イリジウム、白金-イリジウム、白金-金、伝導性ポリマー、任意の伝導性生体適合性材料、および/または伝導性(および/または貴金属)材料の組み合わせ等、任意の好適な伝導性材料を含んでもよい。
【0045】
本開示による付加的な実施形態では、蛇行トレース1060および電極158a、158b等のインプラントユニット110の伝導性電気要素は、連続金属層化方法を通して提供されてもよい。いくつかの実施形態では、可撓なキャリア161は、チタンおよび/または金等の伝導性電気要素として使用するために望ましい伝導性金属に比較的に弱く結合する、液晶ポリマー等の材料を含んでもよい。連続金属層化方法は、可撓なキャリア161により強く結合し得るニッケル等の金属を含む一時的結合層を利用してもよい。一時的結合層は、伝導性電気要素として使用するために望ましい金属で層化されて、可撓なキャリア161の材料との初期結合を提供するために使用されてもよい。一時的結合層は、次いで、溶解、侵食、または類似技法を通して、可撓なキャリア161から除去され、望ましい金属を可撓なキャリア161内の定位置に残してもよい。
【0046】
一実施形態では、連続金属層化方法は、金およびチタン伝導性要素を液晶ポリマーキャリア161上に提供するために利用されてもよい。伝導性要素は、ニッケル、金、およびチタンの連続層から構築されてもよい。次に、液晶ポリマーが、伝導性要素の周囲に成形され、ニッケル層と強く結合し、層化伝導性要素を含む陥凹を形成してもよい。最後に、ニッケルは、溶解、侵食、または類似技法を通して、液晶ポリマーから除去されてもよい。ニッケルの除去は、成形プロセスの間に作成された液晶ポリマー陥凹内に緊密に保持された金/チタン層化伝導性要素を定位置に残す。
【0047】
図2は、OSAがある患者100においてエネルギーを送達するための神経変調システムの例示的実施形態を図示する。本システムは、患者の外部の場所のために構成され得る外部ユニット120を含んでもよい。図2で図示されるように、外部ユニット120は、患者100に添着されるように構成されてもよい。図2は、OSAがある患者100において、外部ユニット120が、患者の顎の下および/または患者の首の前部に配置するために構成されてもよいことを図示する。配置場所の好適性は、以下でさらに詳細に議論されるように、外部ユニット120とインプラントユニット110との間の通信によって決定されてもよい。代替実施形態では、OSA以外の状態の処置のために、外部ユニットは、特定の用途の要件に応じて、患者の首の後ろ等の患者上の好適ないずれかの場所に、すなわち、患者の腹部の外側部分上で片頭痛処置インプラントユニットと通信するために、すなわち、患者の背部上で胃変調インプラントユニットと通信するために、すなわち、腎動脈変調インプラントユニットと通信するために、および/または患者の皮膚上の任意の他の好適な外部場所に、添着されるように構成されてもよい。
【0048】
外部ユニット120はさらに、患者に近接する代替的な場所に添着されるように構成されてもよい。例えば、一実施形態では、外部ユニットは、患者の身体の一部に巻きつくように構成され得るストラップまたはバンドに、固定してまたは取り外し可能に付着するように構成されてもよい。代替として、または加えて、外部ユニットは、患者の身体の外部の所望の場所にその場所に付着することなくとどまるように構成されてもよい。
【0049】
外部ユニット120は、筐体を含んでもよい。筐体は、構成要素を保持するために構成される任意の好適なコンテナを含んでもよい。加えて、外部ユニットが図2で概略的に図示されているが、筐体は、任意の好適なサイズおよび/または形状であってもよく、堅いかまたは可撓であり得る。外部ユニット120用の筐体の非限定的な例は、パッチ、ボタン、または他の容器のうちの1つ以上を含み、それらは、様々な形状および寸法を有し、任意の好適な材料で構築される。一実施形態では、例えば、筐体は、外部ユニットが所望の場所に適合するように構成され得るように、可撓な材料を含んでもよい。例えば、図2で図示されるように、外部ユニットは、皮膚パッチを含んでもよく、皮膚パッチは、同様に、可撓な基材を含み得る。可撓な基材の材料は、プラスチック、シリコーン、織物天然繊維、および他の好適なポリマー、共重合体、ならびにそれらの組み合わせを含んでもよいが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、例えば、可撓な基材は、5~100マイクロメートル(例えば、5、15、50、100マイクロメートル)の厚さを有してもよい。外部ユニット120の任意の部分は、特定の用途の要件に応じて、可撓であるかまたは堅くあり得る。例えば、OSAを処置する際、可撓な基材は、約18mmの最大長さを有する、対向する下顎角およびオトガイ結節によって境界される区域内に実質的にあるようにサイズを合わせられるパッチ内に含まれてもよい。
【0050】
以前に議論されたように、いくつかの実施形態では、外部ユニット120は、所望の場所に付着するように構成されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、可撓な基材の少なくとも1つの表面は、接着材料を含んでもよい。接着材料は、生体適合性材料を含んでもよく、患者が外部ユニットを所望の場所に付着させ、使用の完了時に外部ユニットを取り外すことを可能にしてもよい。接着剤が、外部ユニットの単回または複数回の使用のために構成されてもよい。好適な接着材料は、生体適合性の糊、デンプン、エラストマー、熱可塑性プラスチック、および乳剤を含んでもよいが、それらに限定されない。
【0051】
図3を参照すると、内部ユニット110は、患者の身体内に埋め込まれるユニットとして構成されてもよく、外部ユニット120は、インプラントユニット110に信号を送信し、かつ/またはインプラントユニット110から信号を受信するように構成されてもよい。図3に示されるように、種々の構成要素が、外部ユニット120の筐体内に含まれてもよく、または別様に外部ユニット120と関連付けられてもよい。図3で図示されるように、少なくとも1つのプロセッサ144が、外部ユニット120と関連付けられてもよい。例えば、少なくとも1つのプロセッサ144は、外部ユニット120の筐体内に位置してもよい。代替実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、筐体の外部の場所から外部ユニットと有線またはワイヤレス通信するために構成されてもよい。
【0052】
少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの入力変数に対して論理演算を行うように構成され得る任意の電子回路を含んでもよい。したがって、少なくとも1つのプロセッサは、命令を実行しまたは論理演算を行うために好適であり得る中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または当業者に公知である任意の他の回路の全体または一部であり得る1つ以上の集積回路、マイクロチップ、マイクロコントローラ、およびマイクロプロセッサを含んでもよい。
【0053】
図3は、外部ユニット120がさらに、電源140と関連付けられてもよいことを図示する。電源は、外部ユニットに対する外部の場所において外部ユニットに取り外し可能に結合されてもよい。代替として、図3に示されるように、電源140は、外部ユニット120内の場所に永久的または取り外し可能に結合されてもよい。電源はさらに、プロセッサと電気的に通信するように構成される任意の好適な電源を含んでもよい。一実施形態では、例えば、電源140は、バッテリを含んでもよい。
【0054】
電源は、外部ユニット内の種々の構成要素に電力供給するように構成されてもよい。図3で図示されるように、電源140は、電力をプロセッサ144に提供するように構成されてもよい。加えて、電源140は、電力を信号源142に提供するように構成されてもよい。信号源142は、プロセッサ144と通信してもよく、信号(例えば、正弦波信号、方形波、三角波、マイクロ波、無線周波数(RF)信号、または任意の他の種類の電磁信号)を生成するように構成される任意のデバイスを含んでもよい。信号源142は、交流(AC)信号および/または直流(DC)信号を生成するように構成され得る波形発生器を含んでもよいが、それに限定されない。一実施形態では、例えば、信号源142は、1つ以上の他の構成要素に伝送するためのAC信号を生成するように構成され得る。信号源142は、任意の好適な周波数の信号を生成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、信号源142は、約6.4MHzから約13.6MHzの周波数を有する信号を生成するように構成されてもよい。付加的な実施形態では、信号源142は、約7.4から約8.8MHzの周波数を有する信号を生成するように構成されてもよい。さらなる実施形態では、信号源142は、90kHzほども低い、または28MHzほども高い周波数を有する信号を生成してもよい。
【0055】
信号源142は、増幅器146と直接または間接的に電気通信するために構成されてもよい。増幅器は、信号源142から生成される1つ以上の信号を増幅するように構成される任意の好適なデバイスを含んでもよい。増幅器146は、例えば、トランジスタベースのデバイス、演算増幅器、RF増幅器、電力増幅器、または信号の1つ以上の側面と関連付けられる利得を増加させることができる任意の他の種類のデバイスを含む、種々の種類の増幅デバイスのうちの1つ以上を含んでもよい。増幅器はさらに、増幅された信号を外部ユニット120内の1つ以上の構成要素に出力するように構成されてもよい。
【0056】
外部ユニットは、加えて、可撓な一次アンテナ150を含んでもよい。一次アンテナは、外部ユニット120内の回路の一部として構成されてもよく、外部ユニット120の中の種々の構成要素に、直接的または間接的のいずれかで結合されてもよい。例えば、図3に示されるように、一次アンテナ150は、増幅器146と通信するために構成されてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、一次アンテナ150は、電磁場を生成するように構成され得る任意の伝導性構造を含んでもよい。一次アンテナはさらに、任意の好適なサイズ、形状、および/または構成であってもよい。サイズ、形状、および/または構成は、患者のサイズ、インプラントユニットの配置場所、インプラントユニットのサイズおよび/または形状、神経を変調するために必要とされるエネルギーの量、変調される神経の場所、インプラントユニット上に存在する受信電子機器の種類等によって決定されてもよい。いくつかの他の実施形態では、一次アンテナは、信号を送信および/または受信するように構成され得る、当業者に公知である任意の好適なアンテナを含んでもよい。例えば、一次アンテナ150は、二次アンテナ152に関して上記に説明された構造および構成のいずれかに従って形成されてもよい。好適なアンテナは、限定ではないが、単一層アンテナ、図11bに図示されるような二重層を含んでもよく、または3つ以上の層を含んでもよい。アンテナ150はまた、コイルアンテナ、長導線アンテナ、パッチアンテナ、螺旋アンテナ等を含んでもよい。本開示のいくつかの実施形態では、一次アンテナ150は、6.4~8.3MHzの伝送周波数を有してもよく、患者の身体内に少なくとも1cmの浸透深度までエネルギーを伝送するように構成されてもよい。
【0058】
一実施形態では、例えば、図3に図示されるように、一次アンテナ150は、コイルアンテナを含んでもよい。そのようなコイルアンテナは、任意の好適な伝導性材料から作製されてもよく、伝導性コイルの任意の好適な配列(例えば、直径、コイルの数、コイルのレイアウト等)を含むように構成されてもよい。一次アンテナ150として使用するために好適なコイルアンテナは、約0.5cm~15cmの直径を有してもよく、円形形状またはオーバル形状あるいは任意の他の好適な形状であり得る。いくつかの実施形態では、コイルアンテナは、5cm~7cmの直径を有してもよく、オーバル形状であってもよい。一次アンテナ150として使用するために好適なコイルアンテナは、任意の数、例えば、4、8、10、12、15本またはそれよりも多い巻線を有してもよい。一次アンテナ150として使用するために好適なコイルアンテナは、約0.01mm~2mmのワイヤ直径を有してもよい。これらのアンテナパラメータは、例示にすぎず、好適な結果を達成するように挙げられる範囲以上または以下に調整されてもよい。
【0059】
前述のように、一次アンテナ150として使用するために好適なアンテナは、アンテナ152と同様に構築されるアンテナを含んでもよく、例えば、図11aおよび/または図11bに図示されるような構造を含むように構成されてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、一次アンテナ150は、10~500ミクロン(例えば、20、30、55、70、110ミクロン等)の巻線高さを含んでもよく、10~500ミクロン(例えば、20、30、65、110ミクロン等)の幅を有してもよい。さらに、一次アンテナ150内の巻線間の距離は、いくつかの実施形態では、0.01~1mm(例えば、0.1、0.4、0.7mm等)であってもよい。
【0061】
図2および図3に戻ると、外部ユニット120は、インプラントユニット110と通信するように構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、一次信号は、例えば、プロセッサ144、信号源142、および増幅器146を使用して、一次アンテナ150上で生成されてもよい。より具体的には、一実施形態では、電源140は、電力をプロセッサ144および信号源142の一方または両方に提供するように構成されてもよい。プロセッサ144は、信号源142に信号(例えば、RFエネルギー信号)を生成させるように構成されてもよい。信号源142は、生成された信号を増幅器146に出力するように構成されてもよく、増幅器146は、信号源142によって生成された信号を増幅し得る。増幅の量、したがって、信号の振幅は、例えば、プロセッサ144によって制御されてもよい。プロセッサ144が、増幅器146に、信号へ印加させる利得または増幅の量は、一次アンテナ150の形状、サイズ、および/または構成、患者のサイズ、患者内のインプラントユニット110の場所、二次アンテナ152の形状、サイズ、および/または構成、(以下でさらに議論される)一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度、インプラント電極158a、158b等によって生成される電場の所望の大きさ等を含むが、それらに限定されない、種々の要因に依存し得る。増幅器146は、増幅された信号を一次アンテナ150に出力してもよい。
【0062】
外部ユニット120は、アンテナ上の一次信号をインプラントユニット110のアンテナ152に通信してもよい。この通信は、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合に起因し得る。一次アンテナおよび二次アンテナのそのような結合は、一次アンテナに印加される信号に応答して二次アンテナ上で信号を引き起こす、一次アンテナと二次アンテナとの間の任意の相互作用を含んでもよい。いくつかの実施形態では、一次および二次アンテナの間の結合は、容量結合、誘導結合、無線周波数結合等、およびそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0063】
一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合は、二次アンテナに対する一次アンテナの近接性に依存し得る。つまり、いくつかの実施形態では、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の効率または結合の程度は、二次アンテナへの一次アンテナの近接性に依存し得る。一次および二次アンテナの近接性は、同軸オフセット(例えば、一次および二次アンテナの中心軸が共に整合させられたときの一次および二次アンテナの間の距離)、側方オフセット(例えば、一次アンテナの中心軸と二次アンテナの中心軸との間の距離)、および/または角度オフセット(例えば、一次および二次アンテナの中心軸の間の角度差)に関して表されてもよい。いくつかの実施形態では、同軸オフセット、側方オフセット、および角度オフセットのすべてがゼロであるときに、結合の理論的な最大効率が、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間に存在し得る。同軸オフセット、側方オフセット、および角度オフセットのうちのいずれかを増加させることは、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の効率または結合の程度を低減させる効果を及ぼし得る。
【0064】
一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の結果として、一次信号が一次アンテナ150上に存在するときに、二次信号が二次アンテナ152上で生じてもよい。そのような結合は、誘導/磁気結合、RF結合/伝送、容量結合、または一次アンテナ150上で生成される一次信号に応答して二次信号が二次アンテナ152上で生成され得る任意の他のメカニズムを含んでもよい。結合は、一次アンテナと二次アンテナとの間の任意の相互作用を指してもよい。一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合に加えて、インプラントユニット110と関連付けられる回路構成要素はまた、二次アンテナ152上の二次信号に影響を及ぼしてもよい。したがって、二次アンテナ152上の二次信号は、信号源にかかわらず、二次アンテナ152上に存在する、ありとあらゆる信号および信号成分を指してもよい。
【0065】
一次アンテナ150上の一次信号の存在が、二次アンテナ152上で二次信号を引き起こし、または誘発し得る一方で、2つのアンテナ間の結合はまた、二次アンテナ152上に存在する二次信号の結果として、一次アンテナ150上の結合信号または信号成分につながり得る。二次アンテナ152上の二次信号によって誘発される一次アンテナ150上の信号は、一次結合信号成分と呼ばれてもよい。一次信号は、信号源にかかわらず、一次アンテナ150上に存在する、ありとあらゆる信号または信号成分を指してもよく、一次結合信号成分は、二次アンテナ152上に存在する信号との結合の結果として一次アンテナ上で生じる、任意の信号または信号成分を指してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、一次結合信号成分は、一次アンテナ150上の一次信号に寄与し得る。
【0066】
インプラントユニット110は、外部ユニット120に応答するように構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、一次コイル150上で生成される一次信号は、二次アンテナ152上で二次信号を引き起こしてもよく、ひいては、インプラントユニット110による1つ以上の応答を引き起こしてもよい。いくつかの実施形態では、インプラントユニット110の応答は、インプラント電極158aおよび158bの間の電場の生成を含んでもよい。
【0067】
図6は、外部ユニット120に含まれ得る回路170およびインプラントユニット110に含まれ得る回路180を図示する。付加的な、異なる、またはより少ない回路構成要素が、回路170および回路180のいずれか一方または両方に含まれてもよい。図6に示されるように、二次アンテナ152は、インプラント電極158a、158bと電気通信するように配列されてもよい。いくつかの実施形態では、二次アンテナ152をインプラント電極158aおよび158bと接続する回路は、二次アンテナ152上の二次信号の存在下で、インプラント電極158aおよび158bの間に電圧電位を引き起こしてもよい。この電圧電位が、インプラント電極158aおよび158bの間に電場を生成し得るため、この電圧電位は、場誘発信号と呼ばれて得る。より広範に、場誘発信号は、電極間に生成される電場をもたらし得る、インプラントユニットと関連付けられる電極に印加される任意の信号(例えば、電圧電位)を含んでもよい。
【0068】
場誘発信号は、回路180による二次信号の調節の結果として生成されてもよい。図6に示されるように、外部ユニット120の回路170は、二次アンテナ152上でAC二次信号を引き起こし得るAC一次信号を一次アンテナ150上で生成するように構成されてもよい。しかしながら、特定の実施形態では、(例えば、神経の変調のための一方向性電場を生成するために)インプラント電極158aおよび158bにおいてDC場誘発信号を提供することが有利であり得る。二次アンテナ152上のAC二次信号をDC場誘発信号に変換するために、インプラントユニット110の中の回路180は、AC-DC変換器を含んでもよい。AC-DC変換器は、当業者に公知である任意の好適な変換器を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、AC-DC変換器は、例えば、ダイオード156ならびに適切なコンデンサおよび抵抗器を含む整流回路構成要素を含んでもよい。代替実施形態では、インプラントユニット110は、インプラント電極158aおよび158bにおいてAC場誘発信号を提供するために、AC-AC変換器を含んでもよく、またはいかなる変換器も含まなくてもよい。
【0069】
上述のように、場誘発信号は、インプラント電極158aおよび158bの間に電場を生成するように構成されてもよい。場合によっては、場誘発信号に起因する生成された電場の大きさおよび/または持続時間は、電極158aおよび158bの近傍で1つ以上の神経を変調するのに十分であり得る。そのような場合において、場誘発信号は、変調信号と呼ばれてもよい。他の場合において、場誘発信号の大きさおよび/または持続時間は、神経変調をもたらさない電場を生成してもよい。そのような場合において、場誘発信号は、サブ変調信号と呼ばれてもよい。
【0070】
種々の種類の場誘発信号が、変調信号を構成してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、変調信号が、中程度の振幅および中程度の持続時間を含んでもよい一方で、他の実施形態では、変調信号は、より高い振幅およびより短い持続時間を含んでもよい。電極158a、158bを横切る場誘発信号の種々の振幅および/または持続時間が、変調信号をもたらしてもよく、場誘発信号が変調信号のレベルまで上昇するかどうかは、多くの要因(例えば、刺激される特定の神経からの距離、神経が分岐しているかどうか、神経に対する誘発された電場の向き、電極と神経との間に存在する組織の種類等)に依存し得る。
【0071】
場誘発信号が変調信号(神経変調を引き起こし得る電場をもたらす)を構成するか、またはサブ変調信号(神経変調を引き起こすことを目的としていない電場をもたらす)を構成するかは、最終的に外部ユニット120のプロセッサ144によって制御されてもよい。例えば、特定の状況では、プロセッサ144は、神経変調が適切であると決定してもよい。これらの条件下で、プロセッサ144は、信号源144および増幅器146に一次アンテナ150上で変調制御信号(すなわち、結果として二次アンテナ152上で生じる二次信号が、インプラント電極158aおよび158bにおいて変調信号を提供するように選択される振幅および/または持続時間を有する信号)を生成させてもよい。
【0072】
プロセッサ144は、外部ユニット120からインプラントユニット110へ伝送されるエネルギーの量を制限するように構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、インプラントユニット110は、患者および/またはインプラントと関連付けられる複数の要因を考慮し得る閾値エネルギー限度と関連付けられてもよい。例えば、場合によっては、患者の特定の神経は、神経および/または周辺組織を損傷するリスクを最小にするように、所定の最大量に満たないエネルギーを受信するべきである。加えて、インプラントユニット110の回路180は、インプラントユニット110の実用的な閾値エネルギー限度に寄与し得る、最大動作電圧または電力レベルを有する構成要素を含んでもよい。プロセッサ144は、一次アンテナ150に印加される一次信号の大きさおよび/または持続時間を設定するときに、そのような制限に対処するように構成されてもよい。
【0073】
インプラントユニット110に送達され得る電力の上限を決定することに加えて、プロセッサ144はまた、送達される電力の有効性に少なくとも部分的に基づいて、低電力閾値を決定してもよい。低電力閾値は、神経変調を可能にする最小量の電力に基づいて計算されてもよい(例えば、低電力閾値を上回る電力レベルを有する信号が、変調信号を構成してもよい一方で、低電力閾値を下回る電力レベルを有する信号は、サブ変調信号を構成してもよい)。
【0074】
低電力閾値はまた、代替的な方法で測定または提供されてもよい。例えば、インプラントユニット110の中の適切な回路またはセンサが、低電力閾値を測定してもよい。低電力閾値は、付加的な外部デバイスによって計算または感知され、後に、プロセッサ144にプログラムされ、またはインプラントユニット110にプログラムされてもよい。代替として、インプラントユニット110は、少なくとも低電力閾値の電極において信号を生成するように特に選択された回路180を伴って構築されてもよい。なおも別の実施形態では、外部ユニット120のアンテナは、特定の低電力閾値に対応する信号に適応するか、またはその信号を生じるように調整されてもよい。低電力閾値は、患者によって異なってもよく、例えば、特定の患者の神経線維の変調特性、埋込後のインプラントユニット110と外部ユニット120との間の距離、インプラントユニット構成要素(例えば、アンテナおよびインプラント電極)のサイズおよび構成等の複数の要因を考慮してもよい。
【0075】
プロセッサ144はまた、一次アンテナ150へのサブ変調制御信号の印加を引き起こすように構成されてもよい。そのようなサブ変調制御信号は、電極158a、158bにおいてサブ変調信号をもたらす振幅および/または持続時間を含んでもよい。そのようなサブ変調制御信号は、神経変調をもたらさなくてもよいが、そのようなサブ変調制御信号は、神経変調システムのフィードバックベースの制御を可能にしてもよい。つまり、いくつかの実施形態では、プロセッサ144は、一次アンテナ150へのサブ変調制御信号の印加を引き起こすように構成されてもよい。この信号は、二次アンテナ152上で二次信号を誘発してもよく、ひいては、一次アンテナ150上で一次結合信号成分を誘発する。
【0076】
一次アンテナ150上で誘発される一次結合信号成分を分析するために、外部ユニット120は、一次アンテナ150およびプロセッサ144と直接または間接的に通信するように配置され得るフィードバック回路148(例えば、信号分析器または検出器等)を含んでもよい。サブ変調制御信号は、任意の所望の周期性で一次アンテナ150に印加されてもよい。いくつかの実施形態では、サブ変調制御信号は、5秒(またはそれより長い)毎に1回の割合で一次アンテナ150に印加されてもよい。他の実施形態では、サブ変調制御信号は、より頻繁に(例えば、2秒毎に1回、1秒につき1回、1ミリ秒につき1回、1ナノ秒につき1回、または1秒につき複数回)印加されてもよい。さらに、フィードバックはまた、一次アンテナ150への変調制御信号(すなわち、神経変調をもたらすもの)の印加時に受信されてもよく、そのような場合、変調制御信号はまた、一次アンテナ150上で一次結合信号成分の生成をもたらし得ることに留意されたい。
【0077】
一次結合信号成分は、フィードバック回路148によってプロセッサ144に送給されてもよく、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を決定するための基準として使用されてもよい。結合の程度は、2つのアンテナ間のエネルギー伝送の有効性の決定を可能にしてもよい。プロセッサ144はまた、インプラントユニット110への電力の送達を調節する際に、決定された結合の程度を使用してもよい。
【0078】
プロセッサ144は、決定された結合の程度に基づいてインプラントユニット110への電力伝達を調節する方法を決定するための任意の好適な論理を伴って構成されてもよい。例えば、結合の程度が基準結合レベルから変化したことを一次結合信号成分が示す場合、プロセッサ144は、二次アンテナ152が一次アンテナ150に対して(同軸オフセット、側方オフセット、または角度オフセット、あるいは任意の組み合わせのいずれかで)移動したことを決定してもよい。そのような移動は、例えば、インプラントユニット110の移動、およびインプラントユニットの埋込場所に基づいてインプラントユニットが関連付けられる組織と関連付けられてもよい。したがって、そのような状況では、プロセッサ144は、患者の身体内の神経の変調が適切であると決定してもよい。より具体的には、結合の変化を示すことに応答して、プロセッサ144は、いくつかの実施形態では、例えば、患者の神経の変調を引き起こすために、インプラント電極158a、158bにおいて変調信号を生成するために、一次アンテナ150への変調制御信号の印加を引き起こしてもよい。
【0079】
OSAの処置のための実施形態では、インプラントユニット110の移動は、睡眠時無呼吸事象の発生または睡眠時無呼吸の前兆を示し得る、舌の運動と関連付けられてもよい。睡眠時無呼吸事象の発生または睡眠時無呼吸の前兆は、事象を緩和または回避するために、患者のオトガイ舌筋の刺激を必要とし得る。そのような刺激は、筋肉の収縮および患者の気道から離れる方への患者の舌の運動をもたらし得る。
【0080】
片頭痛を含む頭痛の処置のための実施形態では、プロセッサ144は、例えば、ユーザからの信号、または頭痛と関連付けられる感覚ニューロン(例えば、大後頭神経または三叉神経)における検出された神経活性のレベルに基づいて、変調制御信号を生成するように構成されてもよい。プロセッサによって生成され、一次アンテナ150に印加される変調制御信号は、例えば、患者の感覚神経の阻害または遮断を引き起こすように、インプラント電極158a、158bにおいて変調信号を生成してもよい。そのような阻害または遮断は、患者の痛覚を減少または排除してもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、睡眠時無呼吸処置デバイスを含む、頭痛管理は、第1の部分162aが実質的に対象の頭部の毛のない領域の真下に配置される状態で対象の身体内に埋め込まれるように構成されるキャリア161を含んでもよい。電極158a、158bは、対象の皮膚の下および患者の頭部の実質的に毛のある領域の少なくとも後頭神経および三叉神経の近傍において、キャリア161内に配置されてもよい。電極158a、158bは、対象の後頭神経および三叉神経を変調することにより、痛覚を減少または排除するように構成されてもよい。
【0082】
高血圧の処置のための実施形態では、プロセッサ144は、例えば、事前にプログラムされた命令、および/または、血圧を示すインプラントからの信号に基づいて、変調制御信号を生成するように構成されてもよい。プロセッサによって生成され、一次アンテナ150に印加される変調制御信号は、要件に応じて、例えば、患者の神経の阻害または刺激のいずれか一方を引き起こすように、インプラント電極158a、158bにおいて変調信号を生成してもよい。例えば、処置デバイスは、対象の血圧に影響を及ぼすために、対象の少なくとも腎神経、圧受容器、および舌咽神経に近接して血管に埋め込むために構成される。一実施形態では、頸動脈または頸部動脈に(すなわち、頸動脈圧受容器の近傍に)配置される神経変調器が、電極において刺激信号を誘発するように調節された変調制御信号を受信し、それにより、血圧を下げるように脳に信号伝送するために、頸動脈圧受容器と関連付けられる舌咽神経を増加した割合で興奮させてもよい。舌咽神経の類似変調が、患者の頸部内または患者の耳の後ろの皮下の場所に埋め込まれた神経変調器を用いて達成されてもよい。腎動脈に配置された神経変調器は、電極において阻害または遮断信号を引き起こすように調節された変調制御信号を受信し、それにより、腎神経から腎臓に運ばれる、血圧を上昇させる信号を阻害してもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、血圧に影響を及ぼすための高血圧処置デバイスは、少なくとも腎神経、圧受容器、および舌咽神経に近接して対象の血管に埋め込まれるように構成される睡眠時無呼吸処置インプラントを含んでもよい。電極158a、158bは、インプラント上に配置され、対象の神経線維を変調するように構成されてもよい。加えてアンテナ150、152は、インプラント上の基材の上に配置されてもよい。
【0084】
変調制御信号は、刺激制御信号を含んでもよく、サブ変調制御信号は、サブ刺激制御信号を含んでもよい。刺激制御信号は、電極158a、158bにおいて刺激信号をもたらす、任意の振幅、パルス持続時間、または周波数の組み合わせを有してもよい。(例えば、約6.5~13.6MHzの周波数における)いくつかの実施形態では、刺激制御信号は、約50マイクロ秒よりも長いパルス持続時間、および/または約0.5アンペア、あるいは0.1アンペア~1アンペア、あるいは0.05アンペア~3アンペアの振幅を含んでもよい。サブ刺激制御信号は、約500未満または約200ナノ秒未満のパルス持続時間、および/または約1アンペア、0.5アンペア、0.1アンペア、0.05アンペア、あるいは0.01アンペア未満の振幅を有してもよい。当然ながら、提供される例示的な指針よりも高いまたは低い値の種々の組み合わせが、神経刺激をもたらしてもよく、またはもたらさなくてもよいため、これらの値は、一般的な参考のみを提供するように意図されている。
【0085】
いくつかの実施形態では、刺激制御信号は、パルス列を含んでもよく、各パルスは、複数のサブパルスを含む。交流信号(例えば、約6.5~13.6MHzの周波数)が、以下のように、パルス列を生成するために使用されてもよい。サブパルスは、50~250マイクロ秒のパルス持続時間、または1マイクロ秒~2ミリ秒のパルス持続時間を有してもよく、その間に交流信号がオンにされる。例えば、10MHz交流信号の200マイクロ秒サブパルスは、約2000の周期を含む。各パルスは、ひいては、100~500ミリ秒の持続時間を有してもよく、その間にサブパルスが25~100Hzの周波数で生じる。例えば、50Hzサブパルスの200ミリ秒パルスは、約10サブパルスを含む。最後に、パルス列では、各パルスは、0.2~2秒の持続時間だけ次のパルスから分離されてもよい。例えば、200ミリ秒パルスのパルス列では、それぞれ、次のパルスから1.3秒だけ分離され、新しいパルスが、1.5秒毎に生じる。本実施形態のパルス列は、例えば、処置セッション中に継続的な刺激を提供するために利用されてもよい。OSAの文脈では、処置セッションは、その間に対象が眠っており、OSAを防止するために処置を必要としている期間であってもよい。そのような処置セッションは、概して約3~10時間持続してもよい。本開示の神経変調器が適用される他の状態との関連で、処置セッションは、処置される状態の持続時間に従って、様々な長さであってもよい。
【0086】
プロセッサ144は、フィードバック回路148を通して受信される一次結合信号成分の1つ以上の側面を監視することによって、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を決定するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ144は、一次結合信号成分と関連付けられる電圧レベル、電流レベル、または一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度に依存し得る任意の他の属性を監視することによって、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を決定してもよい。例えば、一次アンテナ150に印加される周期的サブ変調信号に応答して、プロセッサ144は、一次結合信号成分と関連付けられる基準電圧レベルまたは電流レベルを決定してもよい。この基準電圧レベルは、例えば、睡眠時無呼吸事象またはその前兆が起こっていないとき、例えば、正常な呼吸中の患者の舌の移動範囲と関連付けられてもよい。患者の舌が睡眠時無呼吸事象またはその前兆と関連付けられる位置に向かって移動するにつれて、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の同軸オフセット、側方オフセット、または角度オフセットが変化してもよい。結果として、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度が変化してもよく、一次アンテナ150上の一次結合信号成分の電圧レベルまたは電流レベルも変化してもよい。プロセッサ144は、一次結合信号成分と関連付けられる電圧レベル、電流レベル、または他の電気的特性が、所定量だけ変化するか、または所定の絶対値に到達するときに、睡眠時無呼吸事象またはその前兆を認識するように構成されてもよい。
【0087】
図7は、この原理をさらに詳細に図示するグラフを提供する。1つのコイルが無線周波数(RF)駆動信号を受信する2コイルシステムについて、グラフ200は、コイル間の同軸距離の関数として受信コイルにおける誘導電流の変化率をプロットする。種々のコイル直径および初期変位について、グラフ200は、コイル間のさらなる変位(コイルをより近づくように移動させるか、またはさらに離れるように移動させるかのいずれか)に対する誘導電流の感度を図示する。それはまた、全体的に、二次コイルが一次駆動コイルから離されるにつれて、二次コイルにおける誘導電流が減少する、すなわち、mA/mm単位の誘導電流の変化率が常に負であることも示す。コイル間のさらなる変位に対する誘導電流の感度は、距離に伴って変化する。例えば、10mmの分離距離で、14mmコイルにおける付加的な変位の関数としての電流の変化率は、約-6mA/mmである。コイルの変位が約22mmである場合、付加的な変位に応答した誘導電流の変化率は、約-11mA/mmであり、誘導電流の変化率の極大値に対応する。22mmを超えて分離距離を増加させることにより、二次コイルにおける誘導電流の減少をもたらし続けるが、変化率は減少する。例えば、約30mmの分離距離で、14mmコイルは、付加的な変位に応答して、約-8mA/mmの誘導電流の変化率を受ける。この種類の情報を用いて、プロセッサ144は、一次アンテナ150上の一次結合信号成分と関連付けられる電流の大きさおよび/または大きさの変化率を観察することによって、所与の時に、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の特定の結合の程度を決定することができ得る。
【0088】
プロセッサ144は、一次結合信号成分の他の側面を監視することによって、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を決定するように構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、インプラントユニット110の中の回路180の非線形挙動が、結合の程度を決定するために監視されてもよい。例えば、一次アンテナ150上の一次結合信号成分の中の高調波成分の存在、欠如、大きさ、低減、および/または発生が、種々の制御信号(サブ変調制御信号または変調制御信号のいずれか一方)に応答して回路180の挙動を反映してもよく、したがって、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を決定するために使用されてもよい。
【0089】
図6に示されるように、インプラントユニット110の中の回路180は、例えば、ダイオード156等の非線形回路構成要素の存在により、非線形回路を構成してもよい。そのような非線形回路構成要素は、特定の動作条件下で非線形電圧応答を誘発してもよい。非線形動作条件は、ダイオード156を横断する電圧電位がダイオード156の活性化閾値を超えるときに誘発されてもよい。したがって、インプラント回路180が特定の周波数で励起されたとき、この回路は複数の周波数で振動してもよい。したがって、二次アンテナ152上の二次信号のスペクトル分析は、励起周波数の特定の倍数で出現する、高調波と呼ばれる1つ以上の振動を明らかにし得る。一次アンテナ150および二次アンテナ152の結合を通して、インプラント回路180によって生成され、二次アンテナ152上で出現する任意の高調波はまた、一次アンテナ150上に存在する一次結合信号成分において出現し得る。
【0090】
特定の実施形態では、回路180は、特定の遷移点以上で回路180において生成される高調波の特性を改変する付加的な回路構成要素を含んでもよい。これらの非線形高調波が遷移点より上または下でどのように挙動するかを監視することにより、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度の決定を可能にし得る。例えば、図6に示されるように、回路180は、回路180において生成される高調波を非線形的に改変する任意の電気的構成要素を含み得る高調波修正回路154を含んでもよい。いくつかの実施形態では、高調波修正回路154は、一対のツェナーダイオードを含んでもよい。特定の電圧レベルより下で、これらのツェナーダイオードは、いかなる電流もいずれか一方のダイオードを通って流れないように、順方向バイアスをかけられたままである。しかしながら、ツェナーダイオードの破壊電圧より上で、これらのデバイスは、逆バイアス方向で伝導性となり、電流が高調波修正回路154を通って流れることを可能にする。いったんツェナーダイオードが伝導性になると、それらは回路180の振動挙動に影響を及ぼし始め、結果として、特定の調和振動周波数が影響を受け得る(例えば、大きさが低減され得る)。
【0091】
図8および図9は、この効果を図示する。例えば、図8は、約10ナノアンペア~約20マイクロアンペアに及ぶいくつかの振幅における回路180の振動挙動を示すグラフ300aを図示する。示されるように、一次励起周波数は、約6.7MHzで生じ、高調波は、一次励起周波数の偶数および奇数の倍数の両方で出現する。例えば、偶数の倍数は、励起周波数の2倍(ピーク302a)、励起周波数の4倍(ピーク304a)、および励起周波数の6倍(ピーク306a)で出現する。励起信号の振幅が10ナノアンペア~40マイクロアンペアの間で上昇すると、ピーク302a、304a、および306aの振幅は、全て増加する。
【0092】
図9は、高調波修正回路154によって引き起こされる回路180の偶数の高調波応答への効果を図示する。図9は、約30マイクロアンペア~約100マイクロアンペアに及ぶいくつかの振幅における回路180の振動挙動を示すグラフ300bを図示する。図8と同様に、図9は、約6.7MHzにおける一次励起周波数を示し、二次、四次、および六次高調波(それぞれ、ピーク302b、304b、および306b)が、励起周波数の偶数の倍数において出現する。しかしながら、励起信号の振幅が、約30マイクロアンペア~約100マイクロアンペアの間で上昇すると、ピーク302b、304b、および306bの振幅は、連続的に増加しない。むしろ、二次高調波の振幅は、特定の遷移レベル(例えば、図8では約80マイクロアンペア)より上で急速に減少する。この遷移レベルは、ツェナーダイオードが逆バイアス方向で伝導性となり、回路180の振動挙動に影響を及ぼし始めるレベルに対応する。
【0093】
この遷移が起こるレベルを監視することにより、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度の決定を可能にし得る。例えば、いくつかの実施形態では、患者は、下にインプラントユニット110が存在する皮膚の領域を覆って、外部ユニット120を取り付けてもよい。プロセッサ144は、続けて一連のサブ変調制御信号を一次アンテナ150に印加させることができ、ひいては、二次アンテナ152上で二次信号を引き起こす。これらのサブ変調制御信号は、種々の信号振幅レベルの掃引または走査の間に発達してもよい。(二次アンテナ152上の二次信号との結合を通して生成される)一次アンテナ150上の結果として生じる一次結合信号成分を監視することによって、プロセッサ144は、高調波修正回路154を起動するのに十分な大きさの二次信号をもたらす(サブ変調制御信号と他の信号と)一次信号の振幅を決定することができる。つまり、プロセッサ144は、二次、四次、または六次高調波の振幅を監視し、偶数の高調波のうちのいずれかの振幅が降下する、一次信号の振幅を決定することができる。図8および図9は、非線形高調波の測定を通して結合を検出するという原理を図示する。これらの図は、6.7MHz励起周波数に基づくデータを図示する。しかしながら、これらの原理は、図示される6.7MHz励起周波数に限定されず、任意の好適な周波数の一次信号とともに使用されてもよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、(一次信号遷移振幅と呼ばれ得る)ツェナーダイオードの遷移レベルに対応する一次信号の決定された振幅は、患者が外部ユニット120を皮膚に取り付けるときの基準範囲を確立してもよい。推定上、患者が目覚めている間に、舌は、患者の気道を遮断しておらず、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合が基準結合範囲内であり得る自然な範囲で、患者の呼吸に伴って移動する。基準結合範囲は、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の最大結合を包含してもよい。基準結合範囲は、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の最大結合を包含してもよい。基準結合範囲はまた、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の最大結合レベルを含まない範囲を包含してもよい。したがって、最初に決定された一次信号遷移振幅は、非睡眠時無呼吸状態を正しく表し得、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を決定する際に基準としてプロセッサ144によって使用されてもよい。随意に、最小値が、正常な呼吸状態中の一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の最大結合の状態に対応し得るため、プロセッサ144はまた、一連の走査にわたって一次信号遷移振幅を監視し、基準としてその最小値を選択するように構成されてもよい。
【0095】
患者が外部ユニット120を装着すると、プロセッサ144は、一次信号遷移振幅の現在の値を決定するように、一次信号振幅の範囲にわたって周期的に走査してもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ144が走査のために選択する振幅の範囲は、基準一次信号遷移振幅のレベル(例えば、その付近)に基づいてもよい。周期的走査が、基準一次信号遷移振幅とは異なる一次信号遷移振幅の決定をもたらす場合、プロセッサ144は、基準初期条件からの変化があったことを決定し得る。例えば、いくつかの実施形態では、基準値を超える一次信号遷移振幅の増加は、(例えば、インプラントが移動したため、またはインプラントの内部状態が変化したため)一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度の低減があったことを示し得る。
【0096】
結合の程度の変化が起こったかどうかを決定することに加えて、プロセッサ144はまた、観察された一次信号遷移振幅に基づいて特定の結合の程度を決定するように構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、プロセッサ144は、種々の一次信号遷移振幅を一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の距離(または結合の程度を示す任意の他の数量)と相関させるデータを記憶するルックアップテーブルまたはメモリにアクセスしてもよい。他の実施形態では、プロセッサ144は、既知の回路構成要素の性能特性に基づいて結合の程度を計算するように構成されてもよい。
【0097】
結合の程度の値を周期的に決定することによって、プロセッサ144は、最終的に神経変調をもたらす、変調制御信号の適切なパラメータ値を原位置で決定するように構成されてもよい。例えば、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を決定することによって、プロセッサ144は、決定された結合の程度に比例して、または別様に関連して、電極158a、158bにおいて変調信号を提供し得る変調制御信号の特性(例えば、振幅、パルス持続時間、周波数等)を選択するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ144は、変調制御信号パラメータ値を結合の程度と相関させる、メモリに記憶されたルックアップテーブルまたは他のデータにアクセスしてもよい。このようにして、プロセッサ144は、観察された結合の程度に応答して、印加された変調制御信号を調整してもよい。
【0098】
加えて、または代替として、プロセッサ144は、変調中に一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を決定するように構成されてもよい。舌または他の構造(その上あるいは付近にインプラントが位置する)、したがって、インプラントユニット110が、変調の結果として移動し得る。したがって、結合の程度は、変調中に変化し得る。プロセッサ144は、変化する結合の程度に従って変調制御信号の特性を動的に調整するために、変調中に変化する結合の程度を決定するように構成されてもよい。この調整は、プロセッサ144が、インプラントユニット110に変調事象の全体を通して電極158a、158bにおいて適切な変調信号を提供させることを可能にし得る。例えば、プロセッサ144は、一定の変調信号を維持するために、または患者の必要性に従って制御された様式で変調信号を低減させるために、変化する結合の程度に従って一次信号を改変してもよい。
【0099】
より具体的には、プロセッサ144の応答は、決定された結合の程度に相関し得る。一次アンテナ150と二次アンテナとの間の結合の程度が、(例えば、いびきをかいている間に、または舌のわずかな振動あるいは他の睡眠時無呼吸事象の前兆中に)所定の結合閾値をわずかにのみ下回ったことをプロセッサ144が決定する状況で、プロセッサ144は、わずかな応答のみが必要であることを決定し得る。したがって、プロセッサ144は、比較的わずかな応答(例えば、神経の短い刺激、またはわずかな筋肉収縮等)をもたらす、変調制御信号パラメータを選択してもよい。しかしながら、結合の程度が所定の結合閾値を実質的に下回ったことをプロセッサ144が決定する場合(例えば、舌が睡眠時無呼吸事象を引き起こすほど十分に移動した場合)、プロセッサ144は、より大きい応答が必要とされることを決定し得る。結果として、プロセッサ144は、より大きい応答をもたらす、変調制御信号パラメータを選択してもよい。いくつかの実施形態では、十分なエネルギーのみが、所望のレベルの応答を引き起こすようにインプラントユニット110に伝送されてもよい。換言すれば、プロセッサ144は、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の決定された結合の程度に基づいて、定量応答を引き起こすように構成されてもよい。決定された結合の程度が減少するにつれて、プロセッサ144は、増加する量でのエネルギーの伝送を引き起こし得る。そのようなアプローチは、外部ユニット120におけるバッテリ寿命を保ち得、回路170および回路180を保護し得、検出された状態の種類(例えば、睡眠時無呼吸、いびき、舌運動等)に対処する有効性を増加させ得、かつ患者にとってより快適であり得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、プロセッサ144は、所望の応答レベルをもたらす変調制御信号パラメータを選択するために、反復プロセスを採用してもよい。例えば、変調制御信号が生成されるべきであることを決定すると、プロセッサ144は、一式の所定のパラメータ値に基づいて初期変調制御信号の生成を引き起こしてもよい。神経が変調されたことをフィードバック回路148からのフィードバックが示す場合(例えば、結合の程度の増加が観察される場合)には、プロセッサ144は、サブ変調制御信号を発行することによって監視モードに戻ってもよい。一方で、意図した神経変調が意図した変調制御信号の結果として起こらなかった、または神経の変調が起こったが、部分的にしか所望の結果を提供しなかったこと(例えば、気道から部分的にのみ離れる方向への舌の運動)をフィードバックが示唆する場合、プロセッサ144は、変調制御信号と関連付けられる1つ以上のパラメータ値(例えば、振幅、パルス持続時間等)を変更してもよい。
【0101】
いかなる神経変調も起こらなかった場合、神経変調が起こったことをフィードバックが示すまで、プロセッサ144は、変調制御信号の1つ以上のパラメータを周期的に増加させてもよい。神経変調が起こったが、所望の結果を生じなかった場合、プロセッサ144は、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を再評価し、所望の結果を達成することを標的にした変調制御信号の新しいパラメータを選択してもよい。例えば、神経の刺激が舌を患者の気道から部分的にのみ離す場合、付加的な刺激が所望され得る。しかしながら、舌が気道から離れたため、インプラントユニット110は、外部ユニット120により近づき、したがって、結合の程度が増加し得る。結果として、舌を移動させるために、所望の場所への残りの距離は、舌の最後の刺激誘発運動の前に供給されたものよりも少ない量のエネルギーのインプラントユニット110への伝達を必要とし得る。したがって、新たに決定された結合の程度に基づいて、プロセッサ144は、所望の場所への残りの距離だけ舌を移動させることを目的としている刺激制御信号の新しいパラメータを選択することができる。
【0102】
1つの動作モードでは、プロセッサ144は、神経変調が達成されるまで、パラメータ値の範囲にわたって掃引するように構成されてもよい。例えば、印加されたサブ変調制御信号が、神経変調が適切であることを示すフィードバックをもたらす状況で、プロセッサ144は、変調制御信号の生成のための開始点として、最後に印加されたサブ変調制御信号を使用してもよい。一次アンテナ150に印加される信号と関連付けられる振幅および/またはパルス持続時間(または他のパラメータ)は、神経変調が起こったことをフィードバックが示すまで、所定の割合で所定量だけ反復して増加させられてもよい。
【0103】
プロセッサ144は、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の決定された結合の程度に基づいて、種々の生理学的データを決定または導出するように構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、結合の程度は、外部ユニット120の位置または患者の舌の相対位置を決定するためにプロセッサ144が使用し得る、外部ユニット120とインプラントユニット110との間の距離を示し得る。結合の程度を監視することはまた、どれだけ舌が移動または振動しているか、舌の運動の方向、舌の運動の速度等によって、患者の舌が移動または振動しているかどうか(例えば、患者がいびきをかいているかどうか)等の生理学的データを提供することもできる。
【0104】
これらの決定された生理学的データのうちのいずれかに応答して、プロセッサ144は、決定された生理学的データに基づいて、インプラントユニット110へのエネルギーの送達を調節してもよい。例えば、プロセッサ144は、決定された生理学的データに関する特定の状態に対処するための特定の変調制御信号または一連の変調制御信号のためのパラメータを選択してもよい。舌が振動していることを生理学的データが示す場合、例えば、プロセッサ144は、睡眠時無呼吸事象が起こる可能性が高いことを決定してもよく、特定の状況に対処するように選択される量でエネルギーをインプラントユニット110に送達することによって、応答を発してもよい。舌が患者の気道を遮断する(または患者の気道を部分的に遮断する)位置にあるが、舌が気道から離れる方向に動いていることを生理学的データが示す場合、プロセッサ144は、エネルギーを送達せず、舌が自然に妨害を取り除く場合を決定するように待つことを選んでもよい。代替として、プロセッサ144は、患者の気道から離れ続けるよう舌を促すか、または気道から離れる方向の舌の進行を加速するように、少量のエネルギーをインプラントユニット110に送達してもよい(例えば、特に、舌が患者の気道からゆっくり離れる方向に動いていることを、決定された移動速度が示す場合)。説明されるシナリオは、例示的にすぎない。プロセッサ144は、種々の異なる生理学的シナリオに詳細に対処することを可能にするソフトウェアおよび/または論理を伴って構成されてもよい。それぞれの場合において、プロセッサ144は、舌と関連付けられる神経を適切な量のエネルギーで変調するためにインプラントユニット110に送達される、エネルギーの量を決定するために、生理学的データを使用するように構成されてもよい。
【0105】
開示された実施形態は、インプラントユニットへのエネルギーの送達を調節するための方法と併せて使用されてもよい。本方法は、外部ユニット120と関連付けられる一次アンテナ150と、患者の身体内に埋め込まれるインプラントユニット110と関連付けられる二次アンテナ152との間の結合の程度を決定することを含んでもよい。結合の程度を決定することは、インプラントユニット110の外部に位置しかつ外部ユニット120と関連付けられ得るプロセッサ144によって達成されてもよい。プロセッサ144は、決定された結合の程度に基づいて、外部ユニットからインプラントユニットへのエネルギーの送達を調節するように構成されてもよい。
【0106】
前述で議論されたように、結合の程度の決定は、プロセッサがインプラントユニットの場所をさらに決定することを可能にしてもよい。インプラントユニットの運動は、インプラントユニットが取り付けられ得る身体部分の運動に対応してもよい。これは、プロセッサによって受信される生理学的データと見なされてもよい。したがって、プロセッサは、生理学的データに基づいて、電源からインプラントユニットへの電力の送達を調節するように構成されてもよい。代替実施形態では、結合の程度の決定は、プロセッサがインプラントユニットの状態に関する情報を決定することを可能にしてもよい。そのような状態は、場所ならびにインプラントユニットの内部状態に関する情報を含んでもよい。プロセッサは、インプラントユニットの状態に従って、状態データに基づいて電源からインプラントユニットへの電力の送達を調節するように構成されてもよい。
【0107】
本開示の他の実施形態は、本開示の明細書および実施を考慮することから、当業者に明白となる。
図1
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