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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/18 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
G03G21/18 175
G03G21/18 153
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019086877
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020183984
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 卓也
(72)【発明者】
【氏名】浅沼 直哉
(72)【発明者】
【氏名】沼田 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】小松 範行
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-276138(JP,A)
【文献】特開2019-020693(JP,A)
【文献】特開平08-286489(JP,A)
【文献】特開平10-228222(JP,A)
【文献】特開2005-128414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体であって開口と、前記開口を開閉する開閉部材と、を有する装置本体に対して、前記開口を通過することで着脱可能なカートリッジであって、
第1回転軸線を中心に回転可能な感光体と、前記感光体にトナーを供給する現像ローラと、を有するプロセスユニットと、
現像剤を貯蔵する現像剤貯蔵ユニットであって、貯蔵された前記現像剤を前記プロセスユニットへ排出するための排出口と、前記排出口を閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置とに移動可能なシャッタと、を有し、前記プロセスユニットに対して着脱可能に構成された現像剤貯蔵ユニットと、
を備え、
前記現像剤貯蔵ユニットは、
前記プロセスユニットに向かって、前記第1回転軸線が延びる第1方向に交差する第2方向に移動させられることで遷移する第1姿勢と、前記第1姿勢から前記第1方向に延びる第2回転軸線を中心に回転させられることで遷移する第2姿勢と、を取り、
前記第1姿勢から前記第2姿勢に遷移する際に前記シャッタが前記閉鎖位置から前記開放位置へ移動するように構成され、
前記第2姿勢を取る場合に、前記開閉部材に設けられた識別部と係合するように設けられた被識別部を有
前記第1方向に見たときに、前記被識別部は、前記現像剤貯蔵ユニットが前記第1姿勢を取る場合において前記第2方向に関し前記プロセスユニットから遠い側の前記現像剤貯蔵ユニットの端部にあって、前記現像剤貯蔵ユニットが前記第2姿勢を取る場合において前記第1方向に直交し且つ前記第2方向と交差する方向である第3方向に関し前記感光体から遠い側にある前記現像剤貯蔵ユニットの前記端部にあり、
現像剤貯蔵ユニットの前記第1姿勢から前記第2姿勢への回転方向は、前記カートリッジが前記装置本体に装着された状態において画像形成を行う際の前記感光体の回転方向と同じ方向である、
ことを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記現像剤貯蔵ユニットは、貯蔵された現像剤を撹拌する撹拌部材を備え、
前記被識別部は、前記撹拌部材の回転軸線の方向と直交する方向において、前記撹拌部材を挟んで前記排出口と反対側に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記現像剤貯蔵ユニットは、把持されるための把持部を備え、
前記被識別部は、前記把持部と前記第1方向に並ぶように設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記被識別部は、前記把持部の前記第1方向における両側に設けられていることを特徴とする請求項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記被識別部は、前記現像剤貯蔵ユニットの外面から突起する複数の突起部で構成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記突起部の内部に前記現像剤を収容するスペースがあることを特徴とする請求項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記カートリッジの前記装置本体に対する装着方向において、
前記プロセスユニットは、上流端部にプロセスユニット把持部を有し、
前記被識別部は、前記プロセスユニット把持部よりも上流側に設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記排出口は、前記第方向において前記現像剤貯蔵ユニットの端部に設けられ、
前記現像剤貯蔵ユニットは、前記排出口まで現像剤を搬送する搬送スクリュー有し、
前記搬送スクリューは、前記第2回転軸線を中心に回転するように構成されている。
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項9】
画像形成装置の装置本体であって開口と、前記開口を開閉する開閉部材と、を有する装置本体に対して前記開口を通過することで着脱可能なカートリッジであって、
第1回転軸線を中心に回転可能な感光体と、前記感光体にトナーを供給する現像ローラと、を有するプロセスユニットと、
現像剤を貯蔵する現像剤貯蔵ユニットであって、貯蔵された前記現像剤を前記プロセスユニットへ排出するための排出口と、前記排出口を閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置を移動可能なシャッタと、を有し、前記プロセスユニットに対して着脱可能に構成された現像剤貯蔵ユニットと、
を備え、
前記現像剤貯蔵ユニットは、
前記プロセスユニットに向かって、前記第1回転軸線が延びる第1方向に交差する第2方向に移動させられることで遷移する第1姿勢と、前記第1姿勢から前記第1方向に延びる第2回転軸線を中心に回転させられることで遷移する第2姿勢と、を取り、
前記第1姿勢から前記第2姿勢に遷移する際に前記シャッタが前記閉鎖位置から前記開放位置へ移動するように構成され、
前記第2姿勢を取る時に、前記開閉部材に設けられた本体凹凸部と係合するように設けられたカートリッジ凹凸部を有
前記第1方向に見たときに、前記カートリッジ凹凸部は、前記現像剤貯蔵ユニットが前記第1姿勢を取る場合において前記第2方向に関し前記プロセスユニットから遠い側の前記現像剤貯蔵ユニットの端部にあって、前記現像剤貯蔵ユニットが前記第2姿勢を取る場合において前記第1方向に直交し且つ前記第2方向と交差する方向である第3方向に関し前記感光体から遠い側にある前記現像剤貯蔵ユニットの前記端部にあり、
現像剤貯蔵ユニットの前記第1姿勢から前記第2姿勢への回転方向は、前記カートリッジが前記装置本体に装着された状態において画像形成を行う際の前記感光体の回転方向と同じ方向である、
ことを特徴とするカートリッジ。
【請求項10】
前記現像剤貯蔵ユニットは、把持されるための把持部を備え、
前記カートリッジ凹凸部は、前記把持部と前記第1方向に並ぶように設けられている、
ことを特徴とする請求項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記カートリッジ凹凸部は、前記把持部の前記第1方向における両側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記カートリッジの前記装置本体に対する装着方向において、
前記プロセスユニットは、上流端部にプロセスユニット把持部を有し、
前記カートリッジ凹凸部は、前記プロセスユニット把持部よりも上流側に設けられている、
ことを特徴とする請求項乃至1のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記排出口は、前記第方向において前記現像剤貯蔵ユニットの端部に設けられ、
前記現像剤貯蔵ユニットは、前記排出口まで現像剤を搬送する搬送スクリュー有し、
前記搬送スクリューは、前記第2回転軸線を中心に回転するように構成されている。
ことを特徴とする請求項乃至1のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤を貯蔵する現像剤貯蔵ユニットを備えたカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置としてのレーザビームプリンタや複写機においては、感光体上に現像剤像を形成しこの現像剤像を記録材としてのシートへ転写することで記録材に画像を形成している。
【0003】
レーザビームプリンタにおいては、メンテナンスを容易にすべく、画像形成装置の一部の部品をカートリッジに設け、カートリッジを装置本体外に取り出し、メンテナンスや交換を行う方式が広く採用されている。
【0004】
従来、このようなカートリッジとして、感光ドラムと、この感光ドラムを回転自在に支持するドラムフレームと、を有するドラムカートリッジが提案されている(特許文献1参照)。このドラムカートリッジは、ドラムフレームに現像ローラを有する現像器が取り付けられた第1状態において、トナーカートリッジを現像器に対して着脱可能に構成されている。
【0005】
また、画像形成ユニットの筐体に適合部材を取り付け、対応する画像形成装置にしか当該画像形成ユニットを装着することができないようにする構成が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-10243号公報
【文献】特開平4-156469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、上記特許文献1のようにトナーカートリッジを着脱可能なドラムカートリッジのドラムフレームに、特許文献2のように適合部材を取り付けると、この適合部材を避けるようにトナーカートリッジを設計する必要が生じる。その結果として、例えば、上記トナーカートリッジの容量が制限されてしまったりする場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、現像剤を貯蔵する現像剤貯蔵ユニットの設計自由度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、画像形成装置の装置本体であって開口と、前記開口を開閉する開閉部材と、を有する装置本体に対して、前記開口を通過することで着脱可能なカートリッジであって、第1回転軸線を中心に回転可能な感光体と、前記感光体にトナーを供給する現像ローラと、を有するプロセスユニットと、現像剤を貯蔵する現像剤貯蔵ユニットであって、貯蔵された前記現像剤を前記プロセスユニットへ排出するための排出口と、前記排出口を閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置とに移動可能なシャッタと、を有し、前記プロセスユニットに対して着脱可能に構成された現像剤貯蔵ユニットと、を備え、前記現像剤貯蔵ユニットは、前記プロセスユニットに向かって、前記第1回転軸線が延びる第1方向に交差する第2方向に移動させられることで遷移する第1姿勢と、前記第1姿勢から前記第1方向に延びる第2回転軸線を中心に回転させられることで遷移する第2姿勢と、を取り、前記第1姿勢から前記第2姿勢に遷移する際に前記シャッタが前記閉鎖位置から前記開放位置へ移動するように構成され、前記第2姿勢を取る場合に、前記開閉部材に設けられた識別部と係合するように設けられた被識別部を有前記第1方向に見たときに、前記被識別部は、前記現像剤貯蔵ユニットが前記第1姿勢を取る場合において前記第2方向に関し前記プロセスユニットから遠い側の前記現像剤貯蔵ユニットの端部にあって、前記現像剤貯蔵ユニットが前記第2姿勢を取る場合において前記第1方向に直交し且つ前記第2方向と交差する方向である第3方向に関し前記感光体から遠い側にある前記現像剤貯蔵ユニットの前記端部にあり、現像剤貯蔵ユニットの前記第1姿勢から前記第2姿勢への回転方向は、前記カートリッジが前記装置本体に装着された状態において画像形成を行う際の前記感光体の回転方向と同じ方向である、ことを特徴とするカートリッジである。
また、本発明の一態様は、画像形成装置の装置本体であって開口と、前記開口を開閉する開閉部材と、を有する装置本体に対して前記開口を通過することで着脱可能なカートリッジであって、第1回転軸線を中心に回転可能な感光体と、前記感光体にトナーを供給する現像ローラと、を有するプロセスユニットと、現像剤を貯蔵する現像剤貯蔵ユニットであって、貯蔵された前記現像剤を前記プロセスユニットへ排出するための排出口と、前記排出口を閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置を移動可能なシャッタと、を有し、前記プロセスユニットに対して着脱可能に構成された現像剤貯蔵ユニットと、を備え、前記現像剤貯蔵ユニットは、前記プロセスユニットに向かって、前記第1回転軸線が延びる第1方向に交差する第2方向に移動させられることで遷移する第1姿勢と、前記第1姿勢から前記第1方向に延びる第2回転軸線を中心に回転させられることで遷移する第2姿勢と、を取り、前記第1姿勢から前記第2姿勢に遷移する際に前記シャッタが前記閉鎖位置から前記開放位置へ移動するように構成され、前記第2姿勢を取る時に、前記開閉部材に設けられた本体凹凸部と係合するように設けられたカートリッジ凹凸部を有前記第1方向に見たときに、前記カートリッジ凹凸部は、前記現像剤貯蔵ユニットが前記第1姿勢を取る場合において前記第2方向に関し前記プロセスユニットから遠い側の前記現像剤貯蔵ユニットの端部にあって、前記現像剤貯蔵ユニットが前記第2姿勢を取る場合において前記第1方向に直交し且つ前記第2方向と交差する方向である第3方向に関し前記感光体から遠い側にある前記現像剤貯蔵ユニットの前記端部にあり、現像剤貯蔵ユニットの前記第1姿勢から前記第2姿勢への回転方向は、前記カートリッジが前記装置本体に装着された状態において画像形成を行う際の前記感光体の回転方向と同じ方向である、ことを特徴とするカートリッジである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、現像剤貯蔵ユニットは、カートリッジを装置本体に装着した際に装置本体の開閉部材に設けられた識別部と係合するように設けられた被識別部を有している。このため、現像剤貯蔵ユニットを設計する際に被識別部を避けて設計する必要が無い。このため、現像剤貯蔵ユニットの設計自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】プロセスカートリッジを備えた第1の画像形成装置の断面図である。
図2】現像ユニットの断面図である。
図3】現像ユニットの斜視図である。
図4】現像ユニットの分解斜視図である。
図5】プロセスユニットの断面図である。
図6】現像ユニットの上視図である。
図7】プロセスユニットの斜視図である。
図8】感光体ユニットの部分斜視図である。
図9】現像ユニットと感光体ユニットの斜視図である。
図10】感光体ユニットと現像ユニットと現像ローラの左右方向の配置関係を示す上視図である。
図11】現像ユニットを下方からみた斜視図である。
図12】現像剤貯蔵ユニットの分解斜視図である。
図13】現像剤貯蔵ユニットを下方からみた斜視図である。
図14】現像剤貯蔵ユニットの断面図である。
図15】現像剤貯蔵ユニットとプロセスユニットの斜視図である。
図16】現像ユニットの受入側シャッターの開閉動作を示した図である。
図17】現像剤貯蔵ユニットの排出側シャッターの開閉動作を示した図である。
図18】現像剤貯蔵ユニットを装着する過程でのリフト機構の動作を示した図である。
図19】現像剤貯蔵ユニットをリフトアップ状態にする過程でのリフト機構の動作を示した図である。
図20】プロセスカートリッジを、適合しない第2の画像形成装置に装着した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、第1の画像形成装置である画像形成装置1Aを使用するユーザを基準にした方向を定義している。つまり、画像形成装置1Aの正面側を「前」、背面側を「後」、上面(天面)側を「上」、下面(底面)側を「下」としている。また画像形成装置1Aを正面側から見た時の画像形成装置1Aの左側を「左」、右側を「右」とする。プロセスユニット5、現像剤貯蔵ユニット9、プロセスカートリッジ10についても、画像形成装置1Aに装着された状態と同じ姿勢であるものとして画像形成装置1Aと同様に方向を定義している。各図面における各方向は図面に記される矢印によって定義されている。この矢印で示される前後方向、上下方向、左右方向は互いに直交する方向である。これらの方向は全ての図面で同じ方向を示している。上下方向は鉛直方向と平行で、左右方向及び前後方向は水平方向と平行である。また、左右方向は感光体61の回転軸線方向、及び、現像ローラ71の回転軸線方向とそれぞれ平行である。
【0013】
また、現像ユニット7を感光体ユニット6に取り付けて一体化したものをプロセスユニット5と称す。プロセスユニット5には、現像ユニット7へ現像剤を供給するための現像剤貯蔵ユニット9が着脱可能に設けられる。更に、プロセスユニット5に現像剤貯蔵ユニット9を装着して一体化したものをプロセスカートリッジ10と称する。このプロセスカートリッジ10を第1の画像形成装置本体2Aに装着する際の装着方向S1及び取り外し方向S2は、前後方向と平行であり、左右方向と上下方向とに直交する。
【0014】
[画像形成装置の全体構成]
図1はプロセスカートリッジ10が装着された画像形成装置1Aの断面図であり、その断面は上下方向及び前後方向に平行である。図1に示すように、画像形成装置1Aは、第1の画像形成装置本体2A内に用紙Sを供給するための給紙部3と、露光装置4と、用紙S上に現像剤像を転写するプロセスカートリッジ10と、転写された現像剤像を熱定着する定着装置8を主に備えている。
【0015】
給紙部3は、画像形成装置本体2A内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、給紙機構32とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、給紙機構32によってプロセスカートリッジ10(感光体61と転写ローラ63との間)に向けて供給される。
【0016】
露光装置4は、画像形成装置本体2A内の上部に配置され、図示しないレーザ発光部や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。この露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光が、感光体61の表面で高速走査されることで、感光体61の表面を露光する。
【0017】
プロセスカートリッジ10は、露光装置4の下方に配置されている。プロセスカートリッジ10は、画像形成装置本体2Aに設けられた第1の開閉部材21Aを開いたとき(図1の二点鎖線)にできる開口から装着方向S1に画像形成装置本体2Aの収容部23へと挿入され、画像形成装置本体2Aに装着される構成となっている。また、画像形成装置本体2Aの収容部23から取り外す場合は、装着方向S1とは反対の取り外し方向S2に移動させることで取り外すことができるようになっている。
【0018】
このプロセスカートリッジ10はプロセスユニット5と現像剤貯蔵ユニット9からなり、プロセスユニット5は、主に感光体ユニット6と現像ユニット7を備えている。感光体ユニット6は、感光体61と、コロナ帯電器68と、前露光部69と、回収ローラ62と、転写ローラ63とを主に備えている。現像ユニット7は、感光体ユニット6に対して取り付けられている。現像ユニット7は、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、現像剤を貯蔵する第1現像剤貯蔵部74と、第1現像剤貯蔵部74内に設けられる第1撹拌部材75とを主に備えている。
【0019】
[画像形成プロセス]
次にこのプロセスユニット5を用いた画像形成プロセスについて説明する。図5はプロセスユニット5の断面図である。感光体61は、画像形成プロセス実行中に回転駆動されている。最初にコロナ帯電器68により感光体61の表面が一様に帯電され、その後、露光装置4(図1)から発せられる画像データに対応したレーザ光で露光されることで、感光体61上に画像データに対応する静電潜像が形成される。
【0020】
一方で、第1現像剤貯蔵部74内の現像剤は、第1撹拌部材75で撹拌された後、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給される。そして、現像ローラ71に供給された現像剤は、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0021】
現像ローラ71上に担持された現像剤は、感光体61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像に現像剤が付着して可視像化され、感光体61上に現像剤像が形成される。即ち、現像ローラ71によって感光体61に対してトナーが供給されてトナー像が現像される。
【0022】
上記プロセスユニット5と同期して、図1に示す給紙トレイ31からは、感光体61と転写ローラ63の間の転写ニップに向けて給紙部3により用紙Sが給送される。そして、この転写ニップにて感光体61上に形成された画像が用紙Sへと転写される。
【0023】
未定着トナー像が転写された用紙Sは、その後、定着装置8へと搬送され、加圧ローラ81及び加熱ローラ82の間の加熱ニップにより加圧及び加熱されて、トナー像が定着される。そして、トナー像が定着された用紙Sは、排紙トレイ22上に排出される。
【0024】
なお、図5を用いて上述したコロナ帯電器68は、非接触で感光体61の表面を帯電する帯電装置である。前露光部69は光源としての発光ダイオードと導光部材としてのライトガイドを備え、発光ダイオードから出射された光をライトガイドで導き、感光体61の表面に光を照射する。発光ダイオードに供給される電流は、画像形成装置本体2Aから供給される。前露光部69の光の照射により感光体61の表面が除電される。また、回収ローラ62には画像形成装置本体2Aから所定の電圧が印加され、感光体61の表面に付着した紙粉やゴミなどの異物や転写されなかった残留現像剤を回収する。
【0025】
[プロセスユニットの構成]
次にプロセスユニット5の各ユニットについて説明する。前述のように、プロセスユニット5は、感光体ユニット6と現像ユニット7を備えている。
【0026】
[現像ユニットの構成]
まず、現像ユニット7の構成について説明する。図2は、現像ユニット7の断面図であり、図3のA-A断面での断面図である。なおA-A断面は上下方向及び前後方向に平行である。図3は現像ユニット7の斜視図である。図4は、現像ユニット7の分解斜視図である。図6は、現像ユニット7の上視図であり、説明のため筐体700の天面を取り除いた状態を示している。図11は、現像ユニット7を下方から見た斜視図である。
【0027】
現像ユニット7は、図2に示すように、後方に現像ローラ71が回転可能に支持されている。以降、現像ユニット7の構成に関して、現像ローラ71の回転軸線方向を軸方向と称して説明する。
【0028】
図4図6に示すように、現像ローラ71、供給ローラ72、第1撹拌部材75は、それぞれその両端を筐体700の左側壁704と右側壁705に回転可能に支持されている。また、筐体700の左側壁704よりも左側には、現像カップリング710、現像ローラギア711、供給ローラギア712、第1撹拌ギア713、Dアイドルギア715A、715Bが設けられている。現像ローラギア711は現像ローラ71の端部に固定され、供給ローラギア712は供給ローラ72の端部に固定されている。また、第1撹拌ギア713は第1撹拌部材75の第1撹拌棒78の端部に固定されている。
【0029】
また、現像ユニット7には、現像剤を供給するための現像剤貯蔵ユニット9が装着可能であり、現像剤貯蔵ユニット9により供給された現像剤を受け入れるための現像剤受入部770が設けられている。さらに現像剤貯蔵ユニット9を保持およびリフトアップするためのリフト機構760も備えている。
【0030】
図3に示すように、現像ユニット7には、現像ローラ71に電気的に接続され、現像ローラ71に印加される電圧が供給される第1電気接点720Aが設けられる。また、供給ローラ72に電気的に接続され、供給ローラ72に印加される電圧が供給される第2電気接点720Bが設けられている。これらの電気接点が画像形成装置本体2Aに設けられた不図示の電力供給接点と接触することで、現像ローラ71、供給ローラ72に電力を供給する。
【0031】
続いて、現像ユニット7の駆動構成について図4を用いて説明する。画像形成装置本体2Aに設けられた第1の開閉部材21A(図1)を閉じる動作に連動して、画像形成装置本体2Aに設けられた不図示の現像駆動伝達部材が、現像カップリング710に係合するための位置へ移動する。逆に第1の開閉部材21A(図1)を開く動作に連動して、現像駆動伝達部材(不図示)は、現像カップリング710との係合を解除する位置へ移動する。
【0032】
第1の開閉部材21A(図1)を閉めた後、画像形成装置本体2Aが動作すると、現像駆動伝達部材(不図示)から駆動力受部材としての現像カップリング710に駆動力が伝達(入力)される。次に、現像カップリング710の周面に設けられたギアから現像ローラギア711を介して現像ローラ71が、供給ローラギア712を介して供給ローラ72が回転可能となる。現像駆動伝達部材(不図示)は、現像カップリング710の所定範囲内での位置ずれを許容して、現像カップリング710に駆動力を伝達することができる構成となっている。現像カップリング710、現像ローラギア711、供給ローラギア712は、筐体700に取り付けられたDサイドホルダ719によって、軸方向の移動を規制されている。
【0033】
図5に示すように、現像ユニット7は、第1撹拌部材75を採用し、第1現像剤貯蔵部74内の現像剤を撹拌し、最後まで使い切れるようにしている。第1撹拌部材75は、第1撹拌棒78と第1撹拌シート79を備える。また、第1撹拌部材75は、現像カップリング710からDアイドルギア715Aを介して、第1撹拌ギア713で駆動力を受けて回転可能に構成されている(図6参照)。第1現像剤貯蔵部74内の第1撹拌部材75の近くにある現像剤は、第1撹拌部材75で撹拌された後、供給ローラ72側へ供給され、更に供給ローラ72によって現像ローラ71に供給される。
【0034】
[感光体ユニットの構成と現像ユニットの支持]
次に、感光体ユニット6の詳細構成について説明する。図7は、プロセスユニット5の斜視図である。図8は、感光体ユニット6の部分斜視図である。図9は、現像ユニット7と感光体ユニット6の斜視図である。図10は、感光体ユニット6と現像ユニット7と現像ローラ71の左右方向の配置関係を示す上視図である。
【0035】
感光体ユニット6は、図9に示すように、一対の左側壁611と右側壁612を有するフレーム610と、フレーム610の後方に回転可能に支持された感光体61を主に備える。フレーム610の前方には、現像ユニット7が取り付け可能な取付部615とユーザが感光体ユニット6を把持する把持部617と、現像ユニット7を押圧する押圧部材640とを備えている。そして、図7に示すように、左右方向において左側壁611と右側壁612の間に取付部615に取り付けられた現像ユニット7の第1現像剤貯蔵部74が配置される。
【0036】
図9に示すように、フレーム610の左側壁611、右側壁612には、感光体61よりも前方に現像ローラ71の回転軸受け部材746A、及び746B(図7)を受ける受け部641が形成されている。受け部641は、前側が開放された略U字の凹部であり、現像ローラ71の回転軸(不図示)がその中に挿入される。受け部641は、現像ユニット7を感光体ユニット6に支持する。
【0037】
また、図10に示すように、フレーム610の底面613の左右方向で両端部に上方向に突出した突起部643を設けている。この突起部643は、図11に示す、現像ユニット7の筐体700の底部に設けられたボス718に当接することで現像ユニット7を移動可能に支持している。
【0038】
また、本実施形態の構成においては、図7に示すように、感光体ユニット6に現像ユニット7を取り付けた状態において、現像ユニット7の取り外しができないようにする押え部材650が設けられている。
【0039】
図9に示すように、押圧部材640は、フレーム610の前方の左右方向に関して両端部に設けられ、付勢部材としての圧縮バネ640A(図10)により前から後へ向かう方向へ付勢されている。このため、圧縮バネ640A(図10)の付勢力により、押圧部材640は現像ユニット7の筐体700に設けられているボス718(図11)をそれぞれ押圧する。押圧部材640によって現像ユニット7を押圧することで、現像ローラ71を感光体61に向けて付勢する。
【0040】
また、図8に示すように、感光体61の左端部には感光体ギア65と転写ギア66が固定され、感光体61と一体的に回転する構成となっている。プロセスカートリッジ10が画像形成装置本体2Aに装着されると、画像形成装置本体2Aの駆動ギア(不図示)と感光体ギア65とが噛合うことで、感光体61及び転写ギア66に駆動力が伝達されて回転可能な状態となる。更に転写ギア66は転写ローラ63の左端部に固定された転写ローラギア67に噛み合っており、転写ローラ63も回転可能な状態となる。
【0041】
[現像剤貯蔵ユニットの構成]
次に、現像剤貯蔵ユニット9の構成について説明する。図12は現像剤貯蔵ユニット9の分解斜視図であり、図13は現像剤貯蔵ユニット9を下方から見た斜視図である。また、図14は現像剤貯蔵ユニット9の断面図である。
【0042】
現像剤貯蔵ユニット9は図12及び図13に示すように、容器部材911と、底部材912と、TサイドホルダL92と、TサイドホルダR93と、排出口形成部材94と、排出側シャッター95と、搬送スクリュー96と、第2撹拌部材97とを主に備える。また、駆動を伝達するために、搬送スクリューギア980と、Tアイドルギア981と、第2撹拌ギア982とを備えている。
【0043】
本実施の形態においては、現像剤貯蔵ユニット9は、上述した容器部材911、底部材912、TサイドホルダL92及びTサイドホルダR93が組み合わされてその外面を形成する貯蔵容器920が形成されている。より詳しくは、貯蔵容器920の内、容器部材911と底部材912とが組み合わされ部分の内部において、現像剤を貯蔵する現像剤貯蔵部としての第2現像剤貯蔵部910が形成されている。第2現像剤貯蔵部910の長手方向の一端部には、排出口形成部材94が固定されている。排出口形成部材94は、外周部に排出口形成面94Cを有し、排出口形成面94Cには現像剤を外部へ排出するための現像剤排出口94Aが形成される。この現像剤排出口94Aが貯蔵容器920の排出口となっている。
【0044】
また図14に示すように、搬送スクリュー96と第2撹拌部材97は第2現像剤貯蔵部910の内部に回転可能に設けられている。搬送スクリュー96と第2撹拌部材97は、第2現像剤貯蔵部910の外部に設けられた搬送スクリューギア980と第2撹拌ギア982により駆動力を伝達されることでそれぞれ回転する(図12参照)。第2撹拌部材97は、第1撹拌部材75と同様に、第2撹拌棒98と第2撹拌シート99により構成されている。第2現像剤貯蔵部910に貯蔵された現像剤は、撹拌部材としての第2撹拌部材97により搬送スクリュー96に向けて撹拌および搬送され、次に搬送スクリュー96により図13に示す現像剤排出口94Aへ向けて搬送される。そして、この現像剤は、現像剤排出口94Aからプロセスユニット5へ、より詳しくは、後述する現像ユニット7の現像剤受入口771へと排出される。
【0045】
図12に示すように、排出口形成部材94の内部には、排出側シャッター95が回転可能に設けられている。排出側シャッター95は現像剤通過穴95Aおよび閉鎖部95Bが設けられており、この現像剤通過穴95Aと現像剤排出口94Aが一致している場合に現像剤が排出可能となる。一方で、閉鎖部95Bが現像剤排出口94Aと対向している場合には現像剤の排出を禁止し、運搬時などに内部の現像剤が漏出することを防止している。
【0046】
[現像剤貯蔵ユニットの支持]
次に、現像剤貯蔵ユニット9の支持構成について説明する。図15は現像剤貯蔵ユニット9とプロセスユニット5の斜視図であり、(a)は現像剤貯蔵ユニット9の装着前の状態を、(b)は現像剤貯蔵ユニット9の装着過程の状態を、(c)は現像剤貯蔵ユニット9の装着完了の状態を示している。
【0047】
図15に示すように、現像剤貯蔵ユニット9はプロセスユニット5に対して着脱可能な構成となっている。まず、現像剤貯蔵ユニット9の前方には容器部材911と底部材912で形成された把持部910Aが備えられている。現像剤貯蔵ユニット9の長手方向の両端部には、TサイドホルダL92およびTサイドホルダR93が固定されている。TサイドホルダL92およびTサイドホルダR93は、現像ユニット7に支持されるための被支持突起L92Aおよび被支持突起R93Aをそれぞれ備えている。また、現像ユニット7には、被支持突起L92Aおよび被支持突起R93Aを支持するための、支持部L730および支持部R731が設けられている。
【0048】
現像剤貯蔵ユニット9をプロセスユニット5に装着する際は、図15(a)に示すように、プロセスユニット5に対して上方から、把持部910Aを把持しながら現像剤貯蔵ユニット9を矢印S3方向へ移動させる。矢印S3方向へ移動された現像剤貯蔵ユニット9は、図15(b)に示すように、被支持突起L92Aおよび被支持突起R93Aが支持部L730および支持部R731に支持された状態となる。この状態から現像剤貯蔵ユニット9を被支持突起L92Aおよび被支持突起R93Aを回転中心として回動させることで、図15(c)に示すように装着が完了し、プロセスカートリッジ10となる。
【0049】
また、装着完了状態において、現像剤貯蔵ユニット9の搬送スクリューギア980が現像ユニット7のDアイドルギア715Bと噛合うことができる。これにより、現像ユニット7の駆動力を現像剤貯蔵ユニット9へと伝達している。
【0050】
現像剤貯蔵ユニット9に収納される現像剤量から決まる現像剤貯蔵ユニット9の寿命は、感光体61の寿命および現像ローラ71の寿命から決まるプロセスユニット5の寿命に比べて短く設定されている。従って、寿命に到達した現像剤貯蔵ユニット9だけをプロセスユニット5とは別に交換する必要がある。この場合に、第1の開閉部材21A(図1)を開くだけで現像剤貯蔵ユニット9の交換が可能となっており、ユーザはプロセスユニット5を画像形成装置本体2A内から取り出すことなく交換作業を行うことができる。
【0051】
[受入側シャッターの開閉動作]
次に、受入側シャッターの開閉動作について説明する。図16は現像ユニット7の受入側シャッター773の開閉動作を示した図であり、(a)は受入側シャッター773が閉じた状態を、(b)は受入側シャッター773が開いた状態を表している。
【0052】
まず図4に示すように、現像ユニット7の現像剤受入部770は、筐体700の上面に設けられた現像剤受入口771、受入側シャッターシール772、受入側シャッター773、受入口カバー774、連結シール775により構成される。各部品にはそれぞれ穴部772A、773A、774A、775Aが設けられている。受入側シャッターシール772、受入口カバー774、連結シール775の穴部772A、774A、775Aは現像剤受入口771と一致した状態で組み付けられている。また、受入側シャッター773は穴部773Aのほかに遮蔽部773Bを備え、スライド移動が可能な状態で組み付けられている。このスライド移動によって現像剤受入口771の開閉を行う。
【0053】
受入側シャッター773の開閉動作は、図16に示すように、現像剤貯蔵ユニット9の装着・離脱動作に連動して行われる。ここで、現像剤貯蔵ユニット9の排出口形成部材94の外周面には、駆動突起群94Bが配置されている。また、受入側シャッター773には被駆動突起群773Cが配置されている。
【0054】
前述した通り、現像剤貯蔵ユニット9は現像ユニット7への装着過程において、回動動作を行うことで装着完了状態へと移行する。図16(a)は装着過程において回動動作を行う前の状態であり、この状態では受入側シャッター773の遮蔽部773Bが現像剤受入口771と対向しており、現像剤受入口771が閉じられた状態となっている。このとき、駆動突起群94Bと被駆動突起群773Cは係合した状態となっている。
【0055】
続いて、現像剤貯蔵ユニット9を回動させて装着完了状態となっているのが図16(b)である。このとき、駆動突起群94Bと被駆動突起群773Cが係合を維持した状態で現像剤貯蔵ユニット9の回動動作を行うため、現像剤貯蔵ユニット9の回動動作に連動して受入側シャッター773がスライド移動する。これにより、受入側シャッター773の穴部773Aと現像剤受入口771の位置が一致し、現像剤受入口771が開かれた状態となる。
【0056】
現像剤貯蔵ユニット9が現像ユニット7から離脱する際も同様に、現像剤貯蔵ユニット9の回動動作に連動して受入側シャッター773がスライド移動し、現像剤受入口771が閉じた状態となる。
【0057】
以上のように、現像ユニット7に現像剤貯蔵ユニット9が装着された状態においては、現像剤受入口771が開いた状態となり、現像ユニット7の内部への現像剤の受入が可能となる。一方で、現像ユニット7に現像剤貯蔵ユニット9が装着されていない状態においては、現像剤受入口771が閉じた状態となり、現像ユニット7の内部への異物の混入や、外部への現像剤の漏出を防止している。
【0058】
[排出側シャッターの開閉動作]
次に、排出側シャッター95の開閉動作について説明する。図17は現像剤貯蔵ユニット9の排出側シャッター95の開閉動作を示した図であり、(a)は排出側シャッター95が閉じた状態を、(b)は排出側シャッター95が開いた状態を表している。
【0059】
前述の通り、図12で示した排出口形成部材94の現像剤排出口94Aと、排出側シャッター95の現像剤通過穴95Aの位置が一致している場合に現像剤排出口94Aが開いた状態となる。また、排出側シャッター95の閉鎖部95Bが現像剤排出口94Aと対向している場合には現像剤排出口94Aが閉じた状態となる。排出側シャッター95の開閉動作も、前述した受入側シャッター773の開閉動作と同様に、現像剤貯蔵ユニット9の装着・離脱時の回動動作に連動して行われる。
【0060】
図17に示すように、排出側シャッター95には被係止突起95Cが設けられており、被支持突起R93Aの半径方向内側に配置されている。また、現像ユニット7の支持部R731には係止部731Aおよび切欠部731Bが設けられている。
【0061】
図17(a)は現像剤貯蔵ユニット9の装着過程において回動動作を行う前の状態である。この状態では排出側シャッター95の閉鎖部95Bと現像剤排出口94Aが対向しているため、現像剤排出口94Aは閉じられた状態となっている(図12も併せて参照)。このとき、被係止突起95Cは係止部731Aに挟まれた状態となり、排出側シャッター95の現像ユニット7に対する回動動作を規制された状態となる。
【0062】
続いて、現像剤貯蔵ユニット9を回動させて装着完了状態となっているのが図17(b)である。このとき、排出側シャッター95の回動動作が規制されている状態で現像剤貯蔵ユニット9を現像ユニット7に対して回動させることとなる。ここで、被支持突起R93Aは切欠部731Bに入り込むことができるため、現像剤貯蔵ユニット9の、排出側シャッター95以外の回動が阻害されることはない。
【0063】
以上より、現像剤貯蔵ユニット9の装着過程における回動動作により、相対的に、現像剤貯蔵ユニット9の内部で排出側シャッター95が回動することとなる。これにより排出側シャッター95の現像剤通過穴95A(図12)と現像剤排出口94A(図12)の位置が一致し、現像剤排出口94A(図12)が開かれた状態となる。
【0064】
現像剤貯蔵ユニット9が現像ユニット7から離脱する際も同様に、現像剤貯蔵ユニット9の回動動作に連動して排出側シャッター95が回動し、現像剤排出口94A(図12)が閉じられた状態となる。
【0065】
[現像剤貯蔵ユニットのリフト機構]
続いて、現像剤貯蔵ユニット9のリフト機構760について説明する。図18は現像剤貯蔵ユニット9を装着する過程でのリフト機構760の動作を示しており、(a)は現像剤貯蔵ユニット9が装着過程でリフト機構760に載った状態を示している。(b)は現像剤貯蔵ユニット9が装着過程でリフト機構760を開く状態を示している。(c)は現像剤貯蔵ユニット9が装着完了した状態を示している。
【0066】
図19は装着状態の現像剤貯蔵ユニット9をリフト機構760によりリフトアップ状態に移行する動作を示している。(a)は現像剤貯蔵ユニット9が装着完了した状態を示している。(b)はリフト機構760により現像剤貯蔵ユニット9をリフトアップする様子を示している。(c)は現像剤貯蔵ユニット9がリフトアップ状態になった様子を示している。なお、図19は説明のために現像ユニット7のDサイドホルダ719を省略している。
【0067】
図19に示すように、現像剤貯蔵ユニット9のTサイドホルダL92には突出部92Bが設けられており、突出部92Bは当接面92C、保持面92D、受け面92Eを備えている。また、図5に示すように、リフト機構760は現像ユニット7のDサイドホルダ719に設けられたボス719A、リフト部材761、ねじりコイルばね762からなる。リフト部材761とねじりコイルばね762はボス719Aに取り付けられており、ボス719Aを中心として回動可能となっている。リフト部材761は当接部761A、操作部761B、持上部761Cを有する。また、リフト部材761はねじりコイルばね762によって、矢印R1方向に付勢されている。
【0068】
まず、現像剤貯蔵ユニット9の装着過程におけるリフト機構760の動きについて図18を用いて説明する。現像剤貯蔵ユニット9の装着過程で回動動作をしていくと、図18(a)に示すように、当接面92Cと当接部761Aが当接し、現像剤貯蔵ユニット9はリフト機構760に載った状態となる。次に、さらに現像剤貯蔵ユニット9の回動動作を続けると、図18(b)に示すように、当接面92Cに押されることによってリフト部材761が矢印R2方向に回動し、現像剤貯蔵ユニット9の回動動作を許容する。そして、さらに回動動作を続け現像剤貯蔵ユニット9の装着が完了すると、図18(c)に示すように、当接部761Aは当接面92Cから脱落する。ねじりコイルばね762の付勢力によってリフト部材761が矢印R1方向に回動し、当接部761Aは保持面92Dと接触することとなる。このようにリフト部材761により現像剤貯蔵ユニット9を装着完了状態に保持しておくことができる。
【0069】
次に、現像剤貯蔵ユニット9を装着完了状態からリフトアップ状態に移行させる動きについて図19を用いて説明する。図19(a)に示すように、現像剤貯蔵ユニット9の装着完了状態においてはリフト部材761の当接部761Aは保持面92Dと当接しており、現像剤貯蔵ユニット9を取り外すことはできない。現像剤貯蔵ユニット9を取り外すためには、図19(b)に示すように、リフト部材761の操作部761Bを操作して、リフト部材761を矢印R2方向に回動させる。これにより、リフト部材761の持上部761Cが受け面92Eと当接し、現像剤貯蔵ユニット9を回動させることができる。その後、操作部761Bを開放すると、図19(c)に示すように、リフト部材761はねじりコイルばね762の付勢力により矢印R1方向に回動する。当接面92Cと当接部761Aが当接した状態となり、現像剤貯蔵ユニット9がリフト機構760に載ったリフトアップ状態となる。これにより、現像剤貯蔵ユニット9を取り外すことが可能となる。
【0070】
[適合部]
次に適合部9Aについて説明する。図20はプロセスカートリッジ10を、プロセスカートリッジ10と適合しない第2の画像形成装置1Bに装着した状態を示す断面図である。図14乃至図16に示すように、現像剤貯蔵ユニット9の前方には、現像剤貯蔵ユニット9の外形に形成された突起である適合部9Aが、貯蔵容器920の容器部材911と一体的に形成されている。
【0071】
より詳しくは、貯蔵容器920は、第2撹拌部材97の回転軸線方向と直交する方向において、第2撹拌部材97を挟んで現像剤排出口94Aと反対側の縁部920Fにおいて、容器部材911と底部材912との合わせ面がフランジ状に形成されている。この前端縁920Fには、図15(c)に示すように、その中央部に把持部910Aが形成されている。そして、適合部9Aは、前端縁920Fの内、容器部材911のフランジ部911Fの上面から櫛歯状に回転軸線方向に並んだ複数の突起部9A1によって形成されている。
即ち、適合部(被識別部)9Aは、第2撹拌部材(撹拌部材)97の回転軸線方向と直交する方向において、第2撹拌部材97を挟んで現像剤排出口(排出口)94Aと反対側に設けられている。また、適合部9Aは、感光体の回転軸線に直交する方向において前記感光体61と対向する現像剤貯蔵ユニット9の外面と反対側にある現像剤貯蔵ユニット9の外面に設けられているといえる。
なお、これら複数の突起部9A1は、上記回転軸線方向において、把持部910Aを挟んでフランジ部911Fの両側に配置されている。また、把持部910Aと並設された複数の突起部9A1の内の一部は、隣接する突起との間の間隔が一定では無い。
【0072】
この適合部9Aは、プロセスユニット5と現像剤貯蔵ユニット9とが一体となったプロセスカートリッジ10が装着される画像形成装置本体に設けられた本体側適合部と係合して、画像形成装置本体に対する組み合わせの適合性を確保する。例えば、図1に示す第1の画像形成装置1Aの場合、本体側適合部21A1は、プロセスカートリッジ10が装着される装着空間2Sを覆う開閉可能なカバー部材としての第1開閉部材21Aに設けられている。より詳しくは、第1開閉部材21Aの内、閉状態においてプロセスカートリッジ10に臨む内面に設けられている。画像形成装置1Aは、現像剤貯蔵ユニット9が装着される組み合わせとして正規の組み合わせであるため、第1開閉部材21Aが閉じられたとしても、適合部9Aは対応した本体側適合部21A1と係合し、そのまま閉状態となる。
【0073】
一方で、図20に示すように、第2の画像形成装置1Bの場合、第2開閉部材21Bを閉じようとした場合、その途中で適合部9Aが第2開閉部材21Bと干渉し、第2開閉部材21Bは閉状態となるまで閉じられない。これにより、ユーザは現像剤貯蔵ユニット9と第2の画像形成装置本体2Bとの組み合わせが正規の組み合わせでないことを認識することができる。特に、第2開閉部材21Bが物理的に閉まらないため、ユーザは誤った現像剤貯蔵ユニット/プロセスカートリッジを装着していることを視覚的に識別できる。また、これに加えて、第2の画像形成装置1Bは第2の開閉部材21Bが閉まらない状態では画像形成動作を行えないように設定している。このことでもユーザは誤って装着したことを識別できる。
【0074】
更に、図16(b)に示すように適合部9Aは、現像剤貯蔵ユニット9をプロセスユニット5に装着した状態で、感光体61の回転軸線と直交する方向において、感光体61と適合部9Aの間に現像剤貯蔵部910が位置するように設置している。別の言い方をすれば、適合部9Aは、現像剤貯蔵ユニット9がプロセスユニット5に装着された際に、第2撹拌部材97の回転軸線方向と直交する方向において感光体61と反対側に位置する上述した貯蔵容器920の縁部920Fに設けられている。このように設置することで、プロセスカートリッジ10の装着方向S1(図1)の上流側であって、プロセスカートリッジ10のユーザから近い位置に、適合部9Aを設けることになる。このようにユーザから近い位置に適合部9Aがあることで、ユーザは誤って装着したことを識別しやすくなる。
【0075】
本実施の形態のように、プロセスカートリッジ10を感光体61の回転軸線の直交方向である装着方向S1に沿って画像形成装置1Aの装置本体2Aに装着し、装着方向S1の上流側に現像剤貯蔵ユニット9を設けるような形態をとることがある。このような形態においては、適合部を本実施の形態と異なるように構成し、適合部を感光体ユニット6や現像ユニット7を構成する枠体に設けることが考えられる。しかし適合部を感光体ユニット6や現像ユニット7を構成する枠体に設けた場合、現像剤貯蔵ユニット9は適合部を避けて構成する必要が生じる。その結果、現像剤貯蔵ユニット9の形状自由度の制約となる虞や、現像剤貯蔵ユニット9の大容量化の制約となる虞がある。
【0076】
それに対し、本実施の形態のように現像剤貯蔵ユニット9に適合部9Aを設けることで、現像剤貯蔵ユニット9の形状自由度を向上できる。また、この結果として現像剤貯蔵ユニット9の大容量化が可能となる。別の言い方をすれば、現像剤貯蔵ユニット9は、貯蔵された現像剤をプロセスユニット5へ排出するための排出口94aを有し、プロセスユニット5に対して着脱可能に構成された現像剤貯蔵ユニットといえる。また、画像形成装置1Aの第1開閉部材21Aは、プロセスカートリッジ(カートリッジ)10を画像形成装置本体2Aに着脱する時にプロセスカートリッジ10が通過する開口部2S1を開閉するための開閉部材といえる。更に、本体側適合部21A1は、この開閉部材21Aに設けられた識別部ということができ、適合部9Aは、プロセスカートリッジ10を画像形成装置本体2Aに装着した時に上記識別部と係合する被識別部ということができる。そして、現像剤貯蔵ユニット9が上記被識別部9Aを有しているため、現像剤貯蔵ユニット9を設計する際にこの被識別部9Aを避ける必要が無く、現像剤貯蔵ユニット9の設計自由度が向上する。
【0077】
加えて、適合部9Aを形成する複数の突起部9A1のそれぞれは、現像剤貯蔵ユニット9の外面から突起し、内部が中空状に形成されている。そして、各突起部9A1の中空状のスペースは、現像剤貯蔵部910と連結していると共に、現像剤を収容するスペースとなっている。このため、現像剤貯蔵ユニット9が収容できる現像剤量をより大きくすることができるようになっている。
【0078】
更に、画像形成装置の種類に応じてプロセスカートリッジ10の仕様を変更する場合、現像剤貯蔵ユニット9に貯蔵する現像剤の種類を変更したり、現像剤貯蔵ユニット9の形状を変更して現像剤の貯蔵量を変更することがある。このとき適合部を本実施の形態と異なるように構成し、感光体ユニット6や現像ユニット7を構成する枠体に設けると、変更対象が現像剤貯蔵ユニット9だけでなく感光体ユニット6や現像ユニット7にも及ぶ。従って、プロセスカートリッジの生産工程が複雑になる可能性がある。
【0079】
それに対し、本実施の形態のように現像剤貯蔵ユニット9に適合部9Aを設けることで、プロセスカートリッジ10の生産工程の複雑化を抑制できる。
【0080】
なお、本実施の形態では適合部9Aを容器部材911と一体的に形成した例を示したが、現像剤貯蔵ユニットを構成する他の部品(例えば底部材912、TサイドホルダR93、等)と一体的に形成しても良い。また適合部9Aを単体の部品とし、現像剤貯蔵ユニットを構成する部品(例えば容器部材911、底部材912、TサイドホルダR93、等)に固定しても良い。即ち、適合部9Aは、現像剤貯蔵ユニット9の外形に設けられれば良く、一体的だろうと、別部品を取り付ける形であろうと現像剤貯蔵ユニット9の外形を形成する貯蔵容器920に設けられていれば良い。
【0081】
更に、本実施の形態に記載されている構成部品の機能、材質、形状その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【符号の説明】
【0082】
2A:装置本体(画像形成装置本体)/5:プロセスユニット/9:現像剤貯蔵ユニット/9A:被識別部(適合部)/10:カートリッジ(プロセスカートリッジ)/21A1:識別部(本体側適合部)/61:感光体/71:現像ローラ/94a:排出口(現像剤排出口)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20