(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20240213BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G03G15/16 103
G03G21/00 370
(21)【出願番号】P 2019103382
(22)【出願日】2019-05-31
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169155
【氏名又は名称】倉橋 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075638
【氏名又は名称】倉橋 暎
(72)【発明者】
【氏名】北郷 慎也
(72)【発明者】
【氏名】黒須 友樹
(72)【発明者】
【氏名】築島 悠
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-020604(JP,A)
【文献】特開2015-087714(JP,A)
【文献】特開2007-233100(JP,A)
【文献】特開2006-350254(JP,A)
【文献】特開2017-191216(JP,A)
【文献】特開2010-197774(JP,A)
【文献】特開2011-186106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する第1、第2、第3の像担持体と、
複数の支持ローラに張架され、周回移動可能な無端状のベルトであって、外周面が前記第1、第2、第3の像担持体と接触してそれぞれ第1、第2、第3の一次転写部を形成し、前記第1、第2、第3の一次転写部でそれぞれ前記第1、第2、第3の像担持体から一次転写されたトナー像を二次転写部で記録材に二次転写するために搬送するベルトと、
前記第1、第2、第3の像担持体にそれぞれ対応して設けられ、前記第1、第2、第3の一次転写部でそれぞれ前記第1、第2、第3の像担持体から前記ベルトにトナー像を一次転写させることが可能な第1、第2、第3の一次転写部材と、
前記第1、第3の一次転写部材を、前記ベルトを前記第1、第3の像担持体に接触させてそれぞれ前記第1、第3の一次転写部を形成する位置と、前記ベルトを前記第1、第3の像担持体から離間させる位置と、に移動させることが可能な離接手段と、
を有し、
前記第1、第2、第3の一次転写部材はそれぞれ、前記ベルトの移動方向に関して、前記第1、第2、第3の像担持体と前記ベルトとの接触領域と、前記第1、第2、第3の一次転写部材と前記ベルトとの接触領域と、が重ならないように、前記第1、第2、第3の像担持体よりも上流側又は下流側で前記ベルトの内周面に接触して前記第1、第2、第3の一次転写部を形成し、
前記ベルトは、前記第1、第2、第3の一次転写部が形成された第1の状態と、前記第1、第2、第3の一次転写部のうち前記第2の一次転写部のみが形成された第2の状態と、で周回移動可能である画像形成装置において、
前記第1の像担持体は、前記ベルトの移動方向に関して前記第3の像担持体よりも上流側かつ前記二次転写部よりも下流側に配置され、前記第2の像担持体は、前記ベルトの移動方向に関して前記二次転写部よりも上流側かつ前記第3の像担持体よりも下流側に配置され、前記第3の像担持体は、前記ベルトの移動方向に関して前記第2の像担持体の上流側に隣接して配置されており、
前記複数の支持ローラのうち前記ベルトの移動方向に関して前記第1の一次転写部材よりも上流側かつ前記二次転写部よりも下流側で前記第1の一次転写部材に隣接して配置された第1の支持ローラは、前記ベルトが周回移動している際に回転軸線が移動可能であり、
前記ベルトが前記第2の状態で周回移動している際に、前記第3の一次転写部材は前記ベルトの内周面から離間しており、前記第1の一次転写部材は前記ベルトの内周面に接触している
構成とされると共に、
前記第1の一次転写部材を回転可能に支持し、前記第1の一次転写部材を前記第1の像担持体に近付く方向及び前記第1の像担持体から離れる方向に移動させるように第1の方向に沿って移動可能な第1のホルダと、
前記第1の一次転写部材を前記第1の像担持体に近付く方向に移動させる方向に前記第1のホルダを付勢する第1の付勢部材と、
を有し、
前記第1の一次転写部材は、前記第1の一次転写部を形成する際には、前記第1のホルダが前記第1の付勢部材により付勢されて前記第1の方向に沿って移動可能な状態で、前記ベルトの内周面に向かう方向にかかる力と、前記ベルトから受ける力と、が釣り合った位置に支持され、前記ベルトが前記第2の状態で周回移動している際には、前記第1のホルダに設けられた被規制部が規制部に接触して前記第1のホルダの前記第1の方向に沿った移動が規制された状態で、前記ベルトの内周面に接触する位置に支持されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の像担持体の回転軸線方向と略平行に見て、前記ベルトと対向する側の前記第1、第2、第3の像担持体の共通の接線を直線H1としたとき、前記ベルトが前記第2の状態で周回移動している際に、前記第1の支持ローラは、前記直線H1に対して前記第1の像担持体とは反対側で前記直線H1から離れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の支持ローラは、前記第1の支持ローラと、前記ベルトの移動方向に関して前記二次転写部よりも上流側かつ前記第2の一次転写部材よりも下流側で前記第2の一次転写部材に隣接して配置された第2の支持ローラと、前記二次転写部を形成する第3の支持ローラと、からなり、
前記第1の像担持体の回転軸線方向と略平行に見たとき、前記第2、第3の支持ローラは、前記直線H1に沿う方向において前記第2の一次転写部材に対して前記第1の像担持体とは反対側に配置されており、
前記第1の像担持体の回転軸線方向と略平行に見たとき、前記複数の支持ローラに張架された前記ベルトにより囲まれる領域は、前記直線H1に沿う方向の幅の方が、前記直線H1と直交する方向に沿う方向の幅よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記離接手段は更に、前記第2の一次転写部材を、前記ベルトを前記第2の像担持体に接触させて前記第2の一次転写部を形成する位置と、前記ベルトを前記第2の像担持体から離間させる位置と、に移動させることが可能であり、
前記ベルトは更に、前記第1、第2、第3の一次転写部のいずれも形成されていない第3の状態をとることが可能であり、
前記第2の状態と前記第3の状態とで、前記第1の一次転写部材の位置は同一であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ベルト、前記複数の支持ローラ、前記第1、第2、第3の一次転写部材及び前記離接手段を含むユニットが前記画像形成装置の装置本体に対して着脱可能であり、
前記ユニットは、前記ベルトが前記第3の状態とされているときに前記装置本体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1、第2、第3の一次転写部材は、少なくとも前記ベルトと接触する表面が剛体で形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1、第2、第3の一次転写部材は、金属ローラであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2の一次転写部材を回転可能に支持し、前記第2の一次転写部材を前記第2の像担持体に近付く方向及び前記第2の像担持体から離れる方向に移動させるように第2の方向に沿って移動可能な第2のホルダと、
前記第2の一次転写部材を前記第2の像担持体に近付く方向に移動させる方向に前記第2のホルダを付勢する第2の付勢部材と、
を有し、
前記第2の一次転写部材は、前記第2の一次転写部を形成する際には、前記第2のホルダが前記第2の付勢部材により付勢されて前記第2の方向に沿って移動可能な状態で、前記ベルトの内周面に向かう方向にかかる力と、前記ベルトから受ける力と、が釣り合った位置に支持されることを特徴とする請求項
1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1の付勢部材の付勢力は、前記第2の付勢部材の付勢力よりも大きいことを特徴とする請求項
8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1の支持ローラは、前記ベルトにテンションを付与するテンションローラ、及び前記複数の支持ローラのうち前記第1の支持ローラ以外の少なくとも1つの支持ローラに対して傾動して前記ベルトの幅方向の走行位置を補正するステアリングローラのうちの少なくとも一方の機能を有することを特徴とする請求項1乃至
9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式などを用いた画像形成装置として、複数の像担持体が並べられて配置されたタンデム型のものがある。その代表的なものとして、複数の像担持体としての感光ドラムが中間転写体としての無端状のベルトで構成された中間転写ベルトの表面の移動方向(以下、「ベルト搬送方向」ともいう。)に沿って並べられて配置された中間転写方式の画像形成装置がある。複数の感光ドラムとしては、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための4つの感光ドラムが設けられることが多い。また、中間転写ベルトは、複数の支持ローラに内周面を支持され、少なくとも1つの支持ローラが中間転写ベルトの内周面側から外周面側に向けて付勢されることで所定のテンション(張力)が付与されている。この画像形成装置では、各感光ドラム上に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト上に重ね合わされるようにして順次一次転写される。その後、中間転写ベルト上に形成されたトナー像は記録材上に二次転写される。
【0003】
感光ドラムから中間転写ベルトへのトナー像の一次転写は、感光ドラムと中間転写ベルトとが接触する一次転写部において、中間転写ベルトの内周面側に配置された一次転写部材に一次転写電圧が印加されることで行われることが多い。また、一次転写部材としては、ローラで構成された一次転写ローラが用いられることが多い。そして、この一次転写ローラとして金属ローラが使用されることがある(特許文献1)。
【0004】
金属ローラは弾性を有していないため、一次転写部を形成するために中間転写ベルトを介して金属ローラを感光ドラムに当接させると、感光ドラムを損傷させてしまう可能性がある。そこで、金属ローラをベルト搬送方向に関して感光ドラムに対して下流側にオフセットさせて配置し、一次転写ローラが中間転写ベルトを介して感光ドラムに当接しないようにすることが行われる。この構成では、一次転写ローラにより中間転写ベルトが感光ドラムに対して押し付けられるようして、感光ドラムと中間転写ベルトとが接触する一次転写部が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、一次転写を適正に行うためには、一次転写ローラの位置の設定が重要となる。特に、上述のように一次転写ローラをオフセットさせる構成では、感光ドラムと一次転写ローラとの間の隙間の変動を抑制して、次のようなベルト接触圧やベルト距離の変動を抑制することが重要となる。ベルト接触圧は、感光ドラムに対する中間転写ベルトの接触圧である。また、ベルト距離は、ベルト搬送方向に関する、感光ドラムと中間転写ベルトとの接触領域の下流側の端部と、一次転写ローラと中間転写ベルトとの接触領域の上流側の端部と、の間の距離である。感光ドラムと一次転写ローラとの間の隙間が変動し、ベルト接触圧やベルト距離が変動すると、感光ドラムと一次転写ローラとの間の中間転写ベルトによる電気抵抗値が変動することなどにより、適正に一次転写を行えなくなる可能性がある。
【0007】
一次転写ローラの位置の設定方法としては、大別して「圧規制」と「位置規制」との2つの方法がある。「圧規制」の場合、一次転写ローラを付勢手段により付勢して、この付勢力(更に自重による加圧力が加わることがある)と、中間転写ベルトのテンションによる抗力とが釣り合った位置に一次転写ローラの位置が設定される。「位置規制」の場合、例えば中間転写ベルトを含むユニットや装置本体などに設けられた位置決め部に一次転写ローラの軸受部材などに設けられた被位置決め部が突き当てられることで、一次転写ローラの位置が設定される。
【0008】
一般に、「圧規制」と「位置規制」とを比較すると、「圧規制」の方が上記ベルト接触圧やベルト距離の精度が高い。これは、「位置規制」の場合は、一次転写ローラの軸受部材などの部品公差の影響を受けやすいのに対して、「圧規制」の場合は上記力の釣り合いにより一次転写ローラの位置が設定されることで、上記部品公差の影響が少ないことなどによる。
【0009】
そのため、ベルト搬送方向に関して複数の一次転写部の上流側及び下流側に別途「位置規制」で位置が設定される規制ローラを設け、一次転写ローラの位置を「圧規制」で設定する構成とすることが考えられる。この構成では、規制ローラによって安定して形成された中間転写ベルトの張架面(一次転写面)に対して一次転写ローラを付勢して一次転写部を形成することで、各一次転写部のベルト接触圧を略一定として、各一次転写部を安定して形成することができる。しかし、この構成では、例えば中間転写ベルトを含むユニットの断面が大きくなり、画像形成装置が大型化しやすい。
【0010】
これに対して、例えばベルト搬送方向に関して最上流に配置された一次転写ローラの位置を「位置規制」で設定して、この一次転写ローラに規制ローラとしての役割を担わせることで、一次転写面を安定させることが考えられる。ここで、上述のように、「位置規制」は、「圧規制」と比較して上記ベルト接触圧やベルト距離の精度が低い傾向がある。しかし、例えばベルト搬送方向に関して最上流に配置された感光ドラムに形成されるトナー像がイエローのトナー像である場合などには、ヒトの視覚特性などの観点から画質への影響は少ない。あるいは、例えば最上流の一次転写ローラを付勢する付勢力を他の一次転写ローラを付勢する付勢力よりも大きくすることで、一次転写面を安定させることが考えられる。また、例えば最上流の一次転写ローラのみ弾性ローラで構成し、その一次転写ローラと感光ドラムとの間で中間転写ベルトを挟持して一次転写部を形成することで、一次転写面を安定させることが考えられる。これらの構成によれば、例えば別途設けられる上流側の規制ローラを省略することで中間転写ベルトを含むユニットの断面を小さくすることが可能となり、画像形成装置の小型化を図ることができる。また、規制ローラを省略することで、画像形成装置の構成の簡易化やコストダウンを図ることができる。
【0011】
一方、タンデム型の画像形成装置では、例えば、Y、M、C、K用の全ての一次転写部が形成されるフルカラーモードと、K用の一次転写部のみが形成されるモノモードと、を切り替え可能な構成が採用されることがある。フルカラーモードでは、Y、M、C、K用の全ての感光ドラム及び一次転写ローラが中間転写ベルトと接触する。そして、従来、モノモードでは、Y、M、C、K用のうちK用の感光ドラム及び一次転写ローラのみが中間転写ベルトと接触する。この構成によれば、モノモードでトナー像を形成しないY、M、C用の感光ドラムなどの要素の長寿命化を図ることができる。
【0012】
しかしながら、ベルト搬送方向に関して最上流に配置された一次転写ローラの上流側に隣接して配置された支持ローラ(以下、「上流ローラ」ともいう。)がテンションローラやステアリングローラなどの、中間転写ベルトが周回移動している際に回転軸線が移動可能な支持ローラである場合、次のような問題がある。つまり、上述のように規制ローラが省略された構成では、モノモード時には、上記テンションローラやステアリングローラとされた上流ローラが、ベルト搬送方向に関してブラック用の一次転写ローラの上流側に隣接するローラとなる。そのため、モノモード時に上流ローラの回転軸線の位置が変動すると、一次転写ローラの中間転写ベルトに対する加圧力の抜けが発生し、安定して一次転写部を形成することができなくなることがある。なお、フルカラーモード時には、上流ローラの回転軸線の位置が変動しても、上記最上流の一次転写ローラの位置を「位置規制」する構成などにより一次転写面を安定して形成することで、各一次転写ローラの中間転写ベルトに対する加圧力の抜けは抑制される。
【0013】
したがって、本発明の目的は、簡易な構成で、モノモードで形成される一次転写部を安定して形成することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持する第1、第2、第3の像担持体と、複数の支持ローラに張架され、周回移動可能な無端状のベルトであって、外周面が前記第1、第2、第3の像担持体と接触してそれぞれ第1、第2、第3の一次転写部を形成し、前記第1、第2、第3の一次転写部でそれぞれ前記第1、第2、第3の像担持体から一次転写されたトナー像を二次転写部で記録材に二次転写するために搬送するベルトと、前記第1、第2、第3の像担持体にそれぞれ対応して設けられ、前記第1、第2、第3の一次転写部でそれぞれ前記第1、第2、第3の像担持体から前記ベルトにトナー像を一次転写させることが可能な第1、第2、第3の一次転写部材と、前記第1、第3の一次転写部材を、前記ベルトを前記第1、第3の像担持体に接触させてそれぞれ前記第1、第3の一次転写部を形成する位置と、前記ベルトを前記第1、第3の像担持体から離間させる位置と、に移動させることが可能な離接手段と、を有し、前記第1、第2、第3の一次転写部材はそれぞれ、前記ベルトの移動方向に関して、前記第1、第2、第3の像担持体と前記ベルトとの接触領域と、前記第1、第2、第3の一次転写部材と前記ベルトとの接触領域と、が重ならないように、前記第1、第2、第3の像担持体よりも上流側又は下流側で前記ベルトの内周面に接触して前記第1、第2、第3の一次転写部を形成し、前記ベルトは、前記第1、第2、第3の一次転写部が形成された第1の状態と、前記第1、第2、第3の一次転写部のうち前記第2の一次転写部のみが形成された第2の状態と、で周回移動可能である画像形成装置において、前記第1の像担持体は、前記ベルトの移動方向に関して前記第3の像担持体よりも上流側かつ前記二次転写部よりも下流側に配置され、前記第2の像担持体は、前記ベルトの移動方向に関して前記二次転写部よりも上流側かつ前記第3の像担持体よりも下流側に配置され、前記第3の像担持体は、前記ベルトの移動方向に関して前記第2の像担持体の上流側に隣接して配置されており、前記複数の支持ローラのうち前記ベルトの移動方向に関して前記第1の一次転写部材よりも上流側かつ前記二次転写部よりも下流側で前記第1の一次転写部材に隣接して配置された第1の支持ローラは、前記ベルトが周回移動している際に回転軸線が移動可能であり、前記ベルトが前記第2の状態で周回移動している際に、前記第3の一次転写部材は前記ベルトの内周面から離間しており、前記第1の一次転写部材は前記ベルトの内周面に接触している構成とされると共に、前記第1の一次転写部材を回転可能に支持し、前記第1の一次転写部材を前記第1の像担持体に近付く方向及び前記第1の像担持体から離れる方向に移動させるように第1の方向に沿って移動可能な第1のホルダと、前記第1の一次転写部材を前記第1の像担持体に近付く方向に移動させる方向に前記第1のホルダを付勢する第1の付勢部材と、を有し、前記第1の一次転写部材は、前記第1の一次転写部を形成する際には、前記第1のホルダが前記第1の付勢部材により付勢されて前記第1の方向に沿って移動可能な状態で、前記ベルトの内周面に向かう方向にかかる力と、前記ベルトから受ける力と、が釣り合った位置に支持され、前記ベルトが前記第2の状態で周回移動している際には、前記第1のホルダに設けられた被規制部が規制部に接触して前記第1のホルダの前記第1の方向に沿った移動が規制された状態で、前記ベルトの内周面に接触する位置に支持されることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な構成で、モノモードで形成される一次転写部を安定して形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】実施例1のベルトユニットの概略断面図である(第1の離接状態)。
【
図5】
図4におけるY用の一次転写部の近傍の模式図である(第1の離接状態)。
【
図6】実施例1のベルトユニットの概略断面図である(第2の離接状態)。
【
図7】
図6におけるY、K用の一次転写部の近傍の模式図である(第2の離接状態)。
【
図8】実施例1のベルトユニットの概略断面図である(第3の離接状態)。
【
図9】実施例1の離接機構の斜視図及び断面図である(第1の離接状態)。
【
図10】実施例1の離接機構の斜視図及び断面図である(第2の離接状態)。
【
図11】実施例2の離接機構の斜視図及び断面図である(第1の離接状態)。
【
図12】実施例2の離接機構の斜視図及び断面図である(第2の離接状態)。
【
図13】実施例3における一次転写部の近傍の模式図である(第1の離接状態)。
【
図14】実施例3のベルトユニットの概略断面図である(第1の離接状態)。
【
図15】実施例3のベルトユニットの概略断面図である(第2の離接状態)。
【
図16】実施例4のベルトユニットの概略断面図である(第1の離接状態)。
【
図17】実施例4のベルトユニットの概略断面図である(第2の離接状態)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0018】
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することのできる、中間転写方式を採用したタンデム型のレーザービームプリンタである。画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成する4つのステーションSY、SM、SC、SKを有する。各ステーションSY、SM、SC、SKにおける同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して総括的に説明することがある。本実施例では、ステーションSは、後述する感光ドラム1、帯電ローラ2、露光装置3、現像装置4、一次転写ローラ5、ドラムクリーニング装置6などを有して構成される。
【0019】
トナー像を担持する回転可能な像担持体としての、ドラム型(円筒状)の電子写真感光体(感光体)である感光ドラム1は、駆動手段(駆動源)としての駆動モータ(図示せず)からの駆動力が伝達されることで
図1中の矢印D方向に回転駆動される。本実施例では、Y、M、C、K用の感光ドラム1Y、1M、1C、1Kの回転軸線方向は略平行である。回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段としてのローラ状の帯電部材である帯電ローラ2によって、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電処理された感光ドラム1の表面は、露光手段としての露光装置(レーザースキャナー装置)3によって走査露光され、感光ドラム1上に静電潜像(静電像)が形成される。感光ドラム1上に形成された静電潜像は、現像手段としての現像装置4によって現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム1上にトナー像が形成される。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム1の帯電極性(本実施例では負極性)と同極性に帯電したトナーが付着する(反転現像方式)。本実施例では、現像時のトナーの帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。
【0020】
各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kと対向するように、ベルト搬送装置としての中間転写ベルトユニット(ここでは、単に「ベルトユニット」ともいう。)10が配置されている。ベルトユニット10は、各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kと対向するように、周回移動可能な中間転写体としての、無端状のベルトで構成された中間転写ベルト(ここでは、単に「ベルト」ともいう。)15を有する。ベルト15は、複数の支持ローラ(張架ローラ)としての駆動ローラ11、二次転写前ローラ12及びテンションローラ13に掛け渡されて張架されている。ベルト15は、駆動手段(駆動源)としての駆動モータ(図示せず)からの駆動力が伝達されて駆動ローラ11が回転駆動されることによって、
図1中の矢印E方向に周回移動(回転)する。二次転写前ローラ12及びテンションローラ13は、ベルト15の周回移動に伴って従動して回転する。テンションローラ13は、
図1中の矢印Tで示すようにベルト15の内周面側から外周面側に向けて付勢されており、これによりベルト15に所定のテンション(張力)が付与されている。ベルト15の内周面側には、各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに対応して、一次転写手段としてのローラ状の一次転写部材である一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kが配置されている。詳しくは後述するように、一次転写ローラ5は、ベルト15の内周面に接触し、ベルト15を感光ドラム1に向けて押圧するようにして、感光ドラム1の外周面とベルト15の外周面とが接触する一次転写部(一次転写ニップ部)N1を形成する。上述のように感光ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写部N1において、一次転写ローラ5の作用により、周回移動しているベルト15上に転写(一次転写)される。一次転写時に、一次転写ローラ5には、電圧印加手段としての一次転写電源(図示せず)により、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに形成された各色のトナー像がベルト15上に重ね合わされるようにして順次転写される。
【0021】
ベルト15の外周面側において、二次転写対向ローラを兼ねる駆動ローラ11と対向する位置には、二次転写手段としてのローラ状の二次転写部材である二次転写ローラ7が配置されている。二次転写ローラ7は、所定の圧力で付勢されて、ベルト15を介して駆動ローラ11に向けて押圧され、ベルト15の外周面と二次転写ローラ7の外周面とが接触する二次転写部(二次転写ニップ部)N2を形成する。上述のようにベルト15上に形成されたトナー像は、二次転写部N2において、二次転写ローラ7の作用により、ベルト15と二次転写ローラ7とに挟持されて搬送されている記録用紙などの記録材P上に転写(二次転写)される。二次転写時に、二次転写ローラ7には、電圧印加手段としての二次転写電源(図示せず)により、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、ベルト15上に4色のトナー像が重畳されて形成された多重トナー像が、二次転写部N2において一括して記録材P上に転写される。記録材Pは、給搬送装置8において、記録材カセット8aなどから給送ローラ8bなどによって送り出された後、レジストローラ8cによってベルト15上のトナー像とタイミングが合わされて二次転写部N2に搬送される。
【0022】
トナー像が転写された記録材Pは、定着手段としての定着装置9へと搬送される。定着装置9は、未定着のトナー像を担持した記録材Pを定着ローラ9aと加圧ローラ9bとの間の定着ニップ部で加熱及び加圧して、トナー像を記録材Pの表面に定着(溶融、固着)させる。その後、トナー像が定着された記録材Pは、排出部111から、画像形成装置100の装置本体110の外部に設けられた排出トレイ112へと排出(出力)される。
【0023】
一方、一次転写時にベルト15に転写されずに感光ドラム1上に残留したトナー(一次転写残トナー)は、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置6によって感光ドラム1上から除去されて回収される。ドラムクリーニング装置6は、クリーニング部材としてのクリーニングブレードによって、回転する感光ドラム1の表面からトナーを掻き取って除去する。また、ベルト15の外周面側において、テンションローラ13と対向する位置には、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置50が配置されている。二次転写時に記録材Pに転写されずにベルト15上に残留したトナー(二次転写残トナー)は、ベルトクリーニング装置50によってベルト15上から除去されて回収される。ベルトクリーニング装置50は、クリーニング部材としてのクリーニングブレードによって、周回移動するベルト15の表面からトナーを掻き取って除去する。ベルトクリーニング装置50によって回収されたトナーは、回収トナー搬送路(図示せず)を通過して回収トナー容器(図示せず)へと搬送されて収容される。
【0024】
本実施例では、各ステーションSにおいて、感光ドラム1と、これに作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置4及びドラムクリーニング装置6と、が一体的にカートリッジ化されて、プロセスカートリッジ120が構成されている。プロセスカートリッジ120は、装置本体110に対して着脱可能とされており、例えば現像装置4内のトナーが無くなった場合などに交換される。
【0025】
2.中間転写ベルトユニット
次に、本実施例におけるベルト搬送装置としての中間転写ベルトユニット(ベルトユニット)10について更に説明する。なお、画像形成装置100及びその要素について、
図1の紙面手前側を「正面側」とし、
図1の紙面奥側を「背面側」とする。この正面側と背面側とを結ぶ奥行方向は、感光ドラム1や、ベルト15の支持ローラ11、12、13の回転軸線方向と略平行である。また、ベルト15の表面の移動方向を「ベルト搬送方向」ともいう。
【0026】
図2は、ベルトユニット10を正面側の重力方向下方から見た斜視図である。
図2では、ベルトユニット10の内部を示すために、ベルト15の幅方向(ベルト搬送方向と略直交する方向)の中央から正面側を表示し、背面側を非表示としている。また、
図2は、ベルトユニット10が、詳しくは後述するフルカラー画像の形成が可能な第1の離接状態にあるときの様子を示している。
【0027】
本実施例では、ベルトユニット10は、画像形成装置100の装置本体110に対して着脱可能とされている。ベルトユニット10は、ベルト15を有する。ベルト15は、例えばポリイミド樹脂などの樹脂を用いて形成されている。また、ベルトユニット10は、ベルト15が巻き掛けられる複数(本実施例では3個)の支持ローラとしての、駆動ローラ11、二次転写前ローラ12及びテンションローラ13を有する。これらの支持ローラ11、12、13は、それぞれ軸受部材41、42、43を介してフレーム(フレームユニット)20に取り付けられている。
【0028】
駆動ローラ11は、その回転軸線方向の両端部において、駆動ローラ軸受部材41によって回転可能に支持されている。駆動ローラ軸受部材41は、フレーム20に取り付けられている。駆動ローラ11は、装置本体110に設けられた駆動源(図示せず)からの回転駆動力が入力されて回転する。駆動ローラ11が回転駆動されることで、ベルト15が
図2中の矢印E方向に周回搬送される。なお、駆動ローラ11の表面は、ベルト15を滑り無く搬送するために、摩擦係数の比較的高いゴム層で形成されている。
【0029】
二次転写前ローラ12は、その回転軸線方向の両端部において、二次転写前ローラ軸受部材42によって回転可能に支持されている。二次転写前ローラ12は、ベルト15の搬送に伴って従動して回転する。二次転写前ローラ軸受部材42は、揺動(回動)可能にフレーム20に取り付けられている。二次転写前ローラ軸受部材42の揺動方向は、二次転写前ローラ12の回転軸線をベルト15の内周面側から外周面側、外周面側から内周面側に移動させる方向である。そして、二次転写前ローラ12は、少なくとも画像形成中は、二次転写前ローラ軸受部材42の位置が固定されることで固定位置に配置される。すなわち、二次転写前ローラ12の位置は、少なくとも画像形成中は、「位置規制」で設定される。その位置は、二次転写前ローラ12の表面がY、M、C、K用の感光ドラム1Y、1M、1C、1Kの共通の接平面(以下、単に「共通接平面」ともいう。)Cp(
図3参照)に対して略接する位置である。なお、この共通接平面Cpは、感光ドラム1の回転軸線方向と略平行に見たときのY、M、C、K用の感光ドラム1Y、1M、1C、1Kの共通の接線である、後述する直線H1(
図3参照)に対応する。
【0030】
テンションローラ13は、ベルト搬送方向に関して二次転写部N2から見て最上流に配置されたY用の一次転写ローラ5Yよりも上流側かつ二次転写部N2よりも下流側で、Y用の一次転写ローラ5Yに隣接して配置されている。また、テンションローラ13は、共通接平面Cp(
図3参照)に対して感光ドラム1とは反対側において共通接平面Cpから離れた位置に配置されている。これは、一次転写ローラ5を感光ドラム1から離間させることによってベルト15を感光ドラム1から離間させるなどのためである。なお、テンションローラ13は、少なくともベルトユニット10が、詳しくは後述するブラック単色画像の形成が可能な第2の離接状態にあるときに、上述の共通接平面Cpに対する位置関係とされればよい。ベルトユニット10が第1の離接状態にあるときには、テンションローラ13は、例えば共通接平面Cpに対して略接する位置などに配置されてもよい。
【0031】
テンションローラ13は、その回転軸線方向の両端部において、テンションローラ軸受部材43によって回転可能に支持されている。テンションローラ13は、ベルト15の搬送に伴って従動して回転する。テンションローラ軸受部材43は、ベルト15をその内周側から外周面側に向かって押圧する方向に沿って移動可能(本実施例ではスライド移動可能)かつ揺動(回動)可能にフレーム20に取り付けられている。テンションローラ軸受部材43の揺動方向は、テンションローラ13の回転軸線を、他の支持ローラ(駆動ローラ11や二次転写前ローラ12)の回転軸線に対して傾斜させる方向である。つまり、本実施例では、テンションローラ13は、ベルト15が周回移動している際にベルト15の幅方向(ベルト搬送方向と略直交する方向)の寄りを補正するステアリングローラの機能を有している。テンションローラ13の両端部のテンションローラ軸受部材43は、それぞれ付勢手段としての付勢部材(弾性部材)である圧縮バネで構成されたテンションバネ21(
図4参照)によってベルト15の内周面側から外周面側に向かう方向に付勢されている。テンションローラ軸受部材43は、このテンションバネ21による付勢方向(
図1中の矢印T方向)に沿ってベルト15の内周面側から外周面側に移動(本実施例ではスライド移動)する。これにより、テンションローラ13は、ベルト15をその内周面側から外周面側に向けて付勢して、ベルト15にテンションを付与する。
【0032】
なお、本実施例では、上記テンションローラ13が、ベルト搬送方向に関して最上流のY用の一次転写ローラ5Yの上流側でY用の一次転写ローラ5Yに隣接して配置された、複数の支持ローラのうちの所定の支持ローラである。該所定の支持ローラは、ベルト15が周回移動している際に回転軸線が移動可能なローラである。より詳細には、該所定の支持ローラは、テンションローラ及びステアリングローラのうちの少なくとも一方(本実施例では両方)の機能を有する。テンションローラは、ベルトにテンションを付与する支持ローラであり、ステアリングローラは、複数の支持ローラのうち所定の支持ローラ以外の少なくとも1つの支持ローラに対して傾動してベルトの幅方向の走行位置を補正する支持ローラである。
【0033】
図3は、一次転写ローラ5の配置を説明するための、感光ドラム1の回転軸線方向と略平行に見た各一次転写部N1の近傍の模式図である。
図3では、便宜上、後述する一次転写ホルダ44及び加圧バネ16は、各色用とも同じ構成であるものとして示されている。また、
図4は、第1の離接状態にあるときのベルトユニット10の概略断面図(感光ドラム1の回転軸線方向と略直交する断面)である。ここでは、一次転写ローラ5の構成及び配置について、ベルトユニット10が第1の離接状態にある場合を例に説明する。ベルトユニット10の離接状態(張架状態)の変化については後述して詳しく説明する。
【0034】
各一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kは、ベルト15の内周面に接触可能なようにベルト15の内周面側に配置されている。本実施例では、各一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kは、金属ローラである。特に、本実施例では、各一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kは、全体が金属で形成されている。本実施例では、
図4に示すように、Y用の一次転写ローラ5Yは、フレーム20に揺動(回動)可能に支持された、軸受部材としてのY用の一次転写ホルダ44Yに、回転可能に軸支されている。また、本実施例では、
図4に示すように、M、C、K用の一次転写ローラ5M、5C、5Kは、フレーム20に直動(スライド移動)可能に支持された、軸受部材としてのM、C、K用の一次転写ホルダ44M、44C、44Kに、回転可能に軸支されている。Y用の一次転写ホルダ44Yは、この一次転写ホルダ44Yとフレーム20との間に設けられた付勢手段としての付勢部材である圧縮バネで構成された加圧バネ16Yにより、
図4中の反時計回り方向に付勢されている。つまり、Y用の一次転写ホルダ44Yは、加圧バネ16Yにより、Y用の一次転写ローラ5Yがベルト15を感光ドラム1に押圧する方向(
図4中の矢印F方向)に移動するように加圧されている。M、C、K用の一次転写ホルダ44M、44C、44Kは、これらの一次転写ホルダとフレーム20との間に設けられた付勢手段としての付勢部材である圧縮バネで構成された加圧バネ16M、16C、16Kにより、
図4中の下方に付勢されている。つまり、M、C、K用の一次転写ホルダ44M、44C、44Kは、加圧バネ16M、16C、16Kにより、M、C、K用の一次転写ローラ5M、5C、5Kがベルト15を感光ドラム1に押圧する方向(
図4中の矢印F方向)に移動するように加圧されている。なお、各一次転写ホルダ44は、それぞれ各一次転写ローラ5の回転軸線方向(ベルト44の幅方向)の両端部に同様の構成のものが設けられている。
【0035】
図3を参照して、感光ドラム1の回転軸線方向と略平行に見たとき、ベルト15と対向する側の複数の感光ドラム1の共通の接線を直線H1とする。また、一次転写ローラ5が一次転写部N1を形成した際の一次転写ローラ5がベルト15に接触する領域における直線H1と略平行なベルト15の接線を直線H2とする。また、一次転写ローラ5が一次転写部N1を形成した際のベルト15と直線H2との接点を通り直線H1と略直交する直線を直線V1とする。また、感光ドラム1の回転中心を通り直線H1と略直交する直線を直線V2とする。また、直線V1と直線V2との間の距離をオフセット量L1、直線H1と直線H2との間の距離を侵入量L2とする。
【0036】
本実施例では、一次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5K)は、オフセット量L1>0mmとなるように、直線H1に沿って感光ドラム1に対してベルト搬送方向の下流側にオフセットされて配置されている。そして、本実施例では、一次転写ローラ5は、ベルト搬送方向に関して、感光ドラム1とベルト15との接触領域と、一次転写ローラ5とベルト15との接触領域と、が重ならないようにして一次転写部N1を形成する。なお、剛体のローラで構成された一次転写ローラ5がベルト15を介して感光ドラム1に当接しないようにするために、感光ドラム1とベルト15との接触領域と、一次転写ローラ5とベルト15との接触領域と、が重ならないようにすることが重要である。そのため、一次転写ローラ5の感光ドラム1に対するベルト搬送方向のオフセット方向は、下流側に限られず、上流側であってもよい。
【0037】
また、本実施例では、一次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5K)は、侵入量L2>0mmとなるように、直線V1に沿って直線H1(共通接平面Cp)に対して感光ドラム1側に侵入した位置に配置されて一次転写部N1を形成する。より詳細には、感光ドラム1の回転軸線方向と略平行に見たとき、ベルト搬送方向に関して感光ドラム1よりも上流側で感光ドラム1に隣接して配置されて、ベルト15の内周面側に接触している部材(ここでは、「上流部材」ともいう。)と、感光ドラム1と、の間のベルト15の張架面を、基準線H3とする。このとき、本実施例では、一次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5K)は、直線V1に沿って基準線H3に対して感光ドラム側に侵入した位置に配置されて一次転写部N1を形成する。なお、ベルトユニット10が第1の離接状態にあるときには、上記上流部材は、Y用の一次転写部N1Yに関してはテンションローラ13となる。同様に、M用の一次転写部N1Mに関してはY用の一次転写ローラ5Y、C用の一次転写部N1Cに関してはM用の一次転写ローラ5M、K用の一次転写部N1Kに関してはC用の一次転写ローラ5Cとなる。また、本実施例では、詳しくは後述するように、ベルトユニット10が第2の離接状態にあるときには、K用の一次転写部N1Kに関して、上記上流部材はY用の一次転写ローラ5Yとなる。一次転写部N1を安定して形成するためには、侵入量(より詳細には基準線H3を基準とした侵入量)は0mmより大きいことが好ましいが、この侵入量が0mmとなるように一次転写ローラ5がベルト11の内周面に接触する構成であってもよい。
【0038】
つまり、本実施例では、一次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5K)は、ベルト15を介して感光ドラム1に当接しない位置でベルト15を感光ドラム1に押圧するようにして一次転写部N1を形成する。一次転写ローラ5がこのような位置に配置される場合、一次転写ローラ5の回転中心と感光ドラム1の回転中心との間の距離は、一次転写ローラ5の半径と感光ドラム1の半径との和よりも大きい。そのため、これら回転中心を結ぶ直線上において感光ドラム1と一次転写ローラ5との間には隙間tが設けられる。
【0039】
また、本実施例では、一次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5K)の位置は、加圧バネ16の付勢力(及び自重による加圧力)と、ベルト15のテンションにより生じる抗力と、が釣り合った位置に設定される。つまり、本実施例では、一次転写ローラ5の位置は、「圧規制」で設定される。
【0040】
なお、ベルトユニット10は、装置本体110の枠体に設けられた、装着部としてのレール(図示せず)を介して、装置本体110に装着される。ベルトユニット10の装置本体110内での位置決めは、装置本体110の枠体に対して位置決めされて固定された上記レールによって行われる。
【0041】
3.ベルト張架形態
次に、ベルトユニット10の離接状態(張架形態)の変化について説明する。本実施例では、ベルトユニット10は、ベルト15と各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kとの離接状態が異なる第1、第2、第3の離接状態(張架形態)をとり得るように構成されている。
図4、
図6、
図8は、それぞれ第1、第2、第3の離接状態にあるときのベルトユニット10の概略断面図(感光ドラム1の回転軸線方向と略直交する断面)である。
【0042】
図4に示すように、第1の離接状態では、Y、M、C、K用の全ての感光ドラム1Y、1M、1C、1Kにベルト15が接触して一次転写部N1を形成する。
図6に示すように、第2の離接状態では、Y、M、C用の感光ドラム1Y、1M、1Cからベルト15が離間し、K用の感光ドラム1Kにのみベルト15が接触する。
図8に示すように、第3の離接状態では、Y、M、C、K用の全ての感光ドラム1Y、1M、1C、1Kからベルト15が離間する。
【0043】
第1の離接状態(
図4)は、Y、M、C、K用の全ての感光ドラム1Y、1M、1C、1Kにトナー像を形成し得るフルカラーモード時のベルトユニット10の離接状態である。また、第2の離接状態(
図6)は、K用の感光ドラム1Kにのみトナー像を形成し得るモノモード時のベルトユニット10の離接状態である。モノモード時には、トナー像の形成を行わないY、M、C用のステーションSの感光ドラム1、現像装置4などの動作は停止される。また、第3の離接状態(
図8)は、ベルトユニット10の装置本体110に対する着脱時のベルトユニット10の離接状態である。画像形成装置100がプリントジョブを待機しているときのベルトユニット10の離接状態は、例えば第1の離接状態とすることができるが、第1~第3の離接状態のいずれであってもよい。
【0044】
このように、本実施例では、ベルト15は、ブラック単色画像の出力の際やベルトユニット10の装置本体110に対する着脱の際に、適宜感光ドラム1から離間可能とされている。モノモードの時は、4個のステーションSY、SM、SC、SKのうちK用のステーションSKのみが動作するため、Y、M、C用のステーションSY、SM、SCの感光ドラム1などの要素の寿命の向上を図ることができる。また、ベルトユニット10の着脱の際にベルト15から全ての感光ドラム1を離間させることで、感光ドラム1と摺擦することなどによるベルト15の損傷を抑制することができる。
【0045】
本実施例では、上記第1、第2、第3の離接状態は、詳しくは後述する離接機構18によって一次転写ローラ5や二次転写前ローラ12が移動させられることで切り替えられる。なお、本実施例では、ベルトユニット10は、第1、第2、第3の離接状態をとり得るように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1、第2の離接状態をとり得るように構成されていればよい。以下、第1、第2の離接状態について更に説明する。
【0046】
まず、第1の離接状態について説明する。
図4に示すように、第1の離接状態では、全ての一次転写部N1Y、N1M、N1C、N1Kが形成される。
図5は、ベルトユニット10が第1の離接状態にあるときのY用の一次転写部N1Yの近傍の模式的な断面図(感光ドラム1の回転軸線方向と略直交する断面)である。
図5に示すように、本実施例では、第1の離接状態において、ベルト搬送方向に関して最上流に配置されたY用の一次転写ローラ5Yは、Y用の感光ドラム1Yとの間に隙間tを有して配置されてY用の一次転写部N1Yを形成する。また、本実施例では、第1の離接状態において、Y用の一次転写ローラ5Nの位置は、「圧規制」で設定される。さらに、本実施例では、Y用の一次転写ローラ5Yを付勢する加圧バネ16Yの付勢力は、その他の一次転写ローラ5M、5C、5Kを付勢する加圧バネ16M、16C、16Kの付勢力よりも大きい。なお、詳しくは後述するように、二次転写前ローラ12の位置は、「位置規制」で設定される。
【0047】
これにより、本実施例では、ベルトユニット10が第1の離接状態にあるときに、規制ローラとして機能するY用の一次転写ローラ5Yと二次転写前ローラ12とで安定して一次転写面が形成される。この一次転写面は、Y用の一次転写ローラ5Yと二次転写前ローラ12とで形成される、感光ドラム1M、1C、1Kと対向するベルト15の張架面である。このように、本実施例では、Y用の一次転写ローラ5Yが、一次転写面を形成する規制ローラを兼ねる。これにより、ベルトユニット10の断面を小さくすることで、画像形成装置100の小型化を図ることができる。また、規制ローラを省略することで、画像形成装置100の構成の簡易化やコストダウンを図ることができる。
【0048】
なお、本実施例では、第1、第2の離接状態のいずれにおいても、二次転写前ローラ12と駆動ローラ11とで二次転写面が形成される。二次転写面は、二次転写前ローラ12と駆動ローラ11とで形成される、二次転写部N2へと搬送される記録材Pと対向するベルト15の張架面である。
【0049】
ここで、本実施例では、ベルト搬送方向に関して最上流に配置されたY用の一次転写ローラ5Yの上流側に隣接して配置された支持ローラである上流ローラは、共通接線H1(共通接平面Cp)に対して感光ドラム1とは反対側において共通接線H1(共通接平面Cp)から離れた位置に配置されている。この場合、Y用の一次転写ローラ5Yに対するベルト15の巻付き角度θが比較的大きい。また、本実施例では、上記上流ローラは、ベルト15が周回移動している際に回転軸線が移動可能なテンションローラ13である。この場合、テンションローラ13の回転軸線の位置変動により、Y用の一次転写ローラ5Yに対するベルト15の巻付き角度θが変動し、該一次転写ローラ5Yのベルト15に対する加圧方向Fに沿う方向における位置が変動する可能性がある。これにより、Y用の一次転写ローラ5Yのベルト15に対する加圧力が抜け、隙間tが変動し、ベルト接触圧やベルト距離に影響を与えて、Y用の一次転写部材N1Yや一次転写面の形成に影響を与える可能性がある。これに対して、本実施例では、Y用の一次転写ローラ5Yを付勢する加圧バネ16Yの付勢力をその他の一次転写ローラ5M、5C、5Kを付勢する加圧バネ16M、16C、16Kの付勢力よりも大きくしている。これにより、テンションローラ13の回転軸線の位置が変動した場合でも、Y用の一次転写ローラ5Yのベルト15に対する加圧力の抜けを抑制し、Y用の一次転写ローラ5Yと感光ドラム1Yとの間の隙間tの変動を抑制することができる。したがって、安定してY用の一次転写部N1Yを形成することができると共に、安定して一次転写面を形成して他の一次転写部N1M、N1C、N1Kも安定して形成することができる。
【0050】
次に、第2の離接状態について説明する。
図6に示すように、第2の離接状態では、ベルト搬送方向に関して最下流のK用の一次転写部N1Kのみが形成される。そして、本実施例では、第2の離接状態では、ベルト搬送方向に関して最上流に配置されたY用の一次転写ローラ5Yは、ベルト15をY用の感光ドラム1Yから離間させる位置で、かつ、ベルト15の内周面に接触する位置に配置される。また、本実施例では、第2の離接状態では、M、C用の一次転写ローラ5M、5Cは、ベルト15をM、C用の感光ドラム1M、1Cから離間させる位置で、かつ、ベルト15の内周面から離間した位置に配置される。さらに、第2の離接状態では、詳しくは後述するように、Y用の一次転写ローラ5Yは離接機構18により位置決めされる。なお、二次転写前ローラ12は、第1の離接状態と同様、位置決めされている。
【0051】
このように、本実施例では、第2の離接状態において、Y用の一次転写ローラ5Yがベルト15の内周面と接触している。そのため、このY用の一次転写ローラ5Yが、K用の一次転写ローラ5Kとテンションローラ13との間で規制ローラとしての役割を担う。つまり、本実施例では、ベルトユニット10が第2の離接状態にあるときにも、Y用の一次転写ローラ5Yが規制ローラとして機能し、Y用の一次転写ローラ5Yと二次転写前ローラ12とで一次転写面が形成される。この一次転写面は、Y用の一次転写ローラ5Yと二次転写前ローラ12とで形成される、感光ドラム1Kと対向するベルト15の面である。
【0052】
ここで、
図7は、ベルトユニット10が第2の離接状態にあるときのY、K用の一次転写部N1Y、N1Kの近傍の模式的な断面図(感光ドラム1の回転軸線方向と略直交する断面)である。テンションローラ13の回転軸線の位置変動が発生した場合、ベルト搬送方向に関してテンションローラ13の下流側に隣接して配置されたY用の一次転写ローラ5Yに対するベルト15の巻付き角度θが変動する。しかし、このY用の一次転写ローラ5Yは規制ローラとしての役割を担うため、テンションローラ13の回転軸線の位置が変動した場合でも、K用の一次転写ローラ5Kのベルト15に対する加圧方向Fに沿う方向における位置変動を抑制することができる。これにより、K用の一次転写ローラ5Kのベルト15に対する加圧力の抜けを抑制して、隙間tの変動を抑制することができる。したがって、安定してK用の一次転写部N1Kを形成することができる。
【0053】
また、本実施例では、Y用の一次転写ローラ5Yは金属ローラである。そのため、第2の離接状態でY用の一次転写ローラ5Yがベルト15の内周面に接触しても、ベルトユニット10の使用に伴うベルト15の内周面との摺擦による該一次転写ローラ5Yの摩耗や変形が少ない(実質的にほとんど無い)。したがって、Y用の一次転写部N1Yが形成される第1の離接状態においても、安定してY用の一次転写部N1Yを形成することができる。
【0054】
4.離接機構
次に、
図2、
図9及び
図10を参照して、ベルトユニット10の離接状態を切り替える離接手段としての離接機構18について説明する。
図9(a)、(b)は、それぞれ第1の離接状態における離接機構18の斜視図、断面図(感光ドラム1の回転軸線方向と略直交する断面)である。また、
図10(a)、(b)は、それぞれ第2の離接状態における離接機構18の斜視図、断面図(感光ドラム1の回転軸線方向と略直交する断面)である。本実施例では、離接機構18は、後述するカップリング22、離接軸23、カム24、第1、第2のスライダ25、26などを有して構成される。
図9、
図10には、ベルトユニット10の背面側に設けられた離接機構18の構成が示されているが、ベルトユニット10の正面側にも
図9、
図10に示すものと同様のカム24、第1、第2のスライダ25、26が設けられている。
【0055】
ベルトユニット10の背面側に、装置本体110に設けられた駆動手段(駆動源)からの回転駆動が入力される駆動連結部材としてのカップリング22が設けられている。カップリング22は、駆動伝達部材としての離接軸
23の背面側の端部に固定されており、この離接軸
23の背面側及び正面側の端部近傍に切替部材としてのカム24が固定されている。離接軸23及びカム24は、カップリング22の回転に連動して回転する。離接軸23の回転軸線方向は、ベルト15の支持ローラ11、12、13の回転軸線方向と略平行である。また、ベルトユニット10の背面側及び正面側の端部近傍には、カム24と接触するように第1、第2のスライダ25、26が設けられている。第1、第2のスライダ25、26は、フレーム20にスライド移動可能に取り付けられており、カム24が回転することによってフレーム20にガイドされて共通接線H1(共通接平面Cp)と略平行(
図9、
図10中の矢印Sに沿う方向)に移動する。第1のスライダ25は、Y、M、C用の一次転写ローラ5Y、5M、5Cを移動させるためのものであり、第2のスライダ26は、K用の一次転写ローラ5K及び二次転写前ローラ12を移動させるためのものである。
【0056】
各一次転写ホルダ44には、ホルダ側係合部として、ベルト15の幅方向の中央側から外側に向けて突出した突起部44aが設けられている。第1のスライダ25には、Y、M、C用の一次転写ホルダ44Y、44M、44Cの突起部44aに対応するスライダ側係合部として、斜面27Y、27M、27Cが設けられている。また、第2のスライダ26には、K用の一次転写ホルダ44Kの突起部44aに対応するスライダ側係合部として、斜面27Kが設けられている。各突起部44aと各斜面27とは、第1、第2のスライダ25、26が移動することによって当接及び離間が可能とされている。
【0057】
図9に示すように、カム24によって駆動されて第1、第2のスライダ25、26が+S方向(
図9中の左方向)に移動すると、各突起部44aが各斜面27から離間する。そして、Y用の一次転写ホルダ44Yは、加圧バネ16Yの付勢力により回動軸44bの周りを
図9中の反時計回り方向に回動する。また、このとき、M、C、K用の一次転写ホルダ44M、44C、44Kは、加圧バネ16M、16C、16Kの付勢力により、感光ドラム1M、1C、1Kに近付く方向にスライド移動する。これにより、Y、M、C、K用の一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kが感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに近付く+F方向に移動して、ベルト15を感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに押圧する。こうして、Y、M、C、K用の一次転写部N1Y、N1M、N1C、N1Kが形成されて、ベルトユニット10は第1の離接状態となる。また、このとき、二次転写前ローラ軸受部材42は、ベルト15のテンションにより第2のスライダ26の位置決め部28へ突き当てられ、押し付けられることで、位置決めされる。
【0058】
図10に示すように、カム24によって駆動されて第1のスライダ25が-S方向(
図10中の右方向)に移動すると、Y、M、C用の一次転写ホルダ44Y、44M、44Cの突起部
(被規制部)44aが斜面
(規制部)27Y、27M、27Kに当接し、該斜面を摺動する。このとき、Y用の一次転写ホルダ44Yは、加圧バネ16Yの付勢力に抗して回動軸44bの周りを
図10中の時計回り方向に回動する。そして、加圧バネ16Yの付勢力が斜面27Yによって規制され、Y用の一次転写ローラ5Yは位置決めされる。また、このとき、M、C用の一次転写ホルダ44M、44Cは、加圧バネ16M、16Cの付勢力に抗して感光ドラム1M、1Cから離れる方向にスライド移動する。これにより、Y、M、C用の一次転写ローラ5Y、5M、5Cが感光ドラム1Y、1M、1Cから離れる-F方向に移動して、ベルト15が感光ドラム1Y、1M、1Cから離間する。なお、第2のスライダ26は、
図9の場合と同様に+S方向(
図10中の左方向)に移動させられたままである。こうして、K用の一次転写部N1Kのみが形成されて、ベルトユニット10は第2の離接状態となる。
【0059】
ここで、本実施例では、第2の離接状態では、Y用の一次転写ローラ5Yはベルト15の内周面と接触する位置となり、M、C用の一次転写ローラ5M、5Cはベルト15の内周面から離間した位置となる。第1の離接状態と第2の離接状態とを切り替える際のY、M、C用の一次転写ローラ5Y、5M、5Cの移動量は、カム24による第1のスライダ25の移動量、各斜面27Y、27M、27Cの形状などによって設定されている。
【0060】
なお、カム24によって駆動されて第2のスライダ26が
図10に示す状態から-S方向(
図10中の右方向)に移動することで、ベルトユニット10は第3の離接状態となる。このとき、第1の離接状態から第2の離接状態へ切り替える際のM、C用の一次転写ローラ5M、5Cと同様にしてK用の一次転写ローラ5Kが感光ドラム1Kから離れる方向に移動し、ベルト15がK用の感光ドラム1Kから離間する。また、このとき、二次転写前ローラ軸受部材42が第2のスライダの斜面29上を摺動することで、二次転写前ローラ12がベルト15の外周面側から内周面側に退避するように移動する。
【0061】
このように、離接機構18は、カップリング22に回転駆動力が入力され、カム22によって第1、第2のスライダ25、26が移動させられることで、第1、第2、第3の離接状態を相互に切り替えることが可能である。
【0062】
以上説明したように、本実施例では、ベルトユニット10は、第2の離接状態において、Y用の一次転写ローラ5Yが、ベルト51を感光ドラム1Yから離間させる位置で、かつ、ベルト15の内周面と接触する位置に配置されるように構成される。このY用の一次転写ローラ5Yは、第1、第2の離接状態のうち第1の離接状態においてのみ一次転写部N1を形成する、第2の離接状態で一次転写部N1Kを形成するK用の一次転写ローラ5Kよりもベルト搬送方向に関して上流に配置された一次転写部材のうちの少なくとも一つの一次転写部材の一例である。これにより、テンションローラ13の回転軸線の位置変動が発生した場合でも、K用の一次転写ローラ5Kのベルト15に対する加圧力の抜けを抑制して、安定してK用の一次転写部N1Kを形成することができる。したがって、本実施例によれば、簡易な構成で、モノモードで形成される一次転写部N1Kを安定して形成することができる。
【0063】
なお、本実施例では、ベルト搬送方向に関して最上流に配置されたY用の一次転写ローラ5Yが、第2の離接状態においてベルト15の内周面と接触して規制ローラとして機能するが、本発明はこれに限定されるものではない。該規制ローラとして機能する一次転写ローラ5は、第2の離接状態で一次転写部N1を形成する一次転写ローラ5よりもベルト搬送方向に関して上流に配置される一次転写ローラ5Y、5M、5Cのうちの少なくとも一つであればよい。したがって、該規制ローラとして機能する一次転写ローラ5は、それらの一次転写ローラ5Y、5M、5Cのうちいずれか一つであってもよいし、それらの一次転写ローラ5Y、5M、5Cのうちの複数であってもよい(実施例3、4参照)。
【0064】
また、本実施例では、第2の離接状態でベルト15の内周面と接触して規制ローラとして機能する一次転写部材は金属ローラで構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。該規制ローラとして機能する一次転写部材は、少なくともベルト15に接触する表面が剛体で形成されることが望まれる。例えば、該規制ローラとして機能する一次転写部材は、樹脂材料で構成されたローラ、スポンジやゴムなどの弾性体で形成されたローラの表層に樹脂や金属などの剛体をコーティングしたローラであってもよい。なお、一次転写部材としては、回転可能なローラ状の部材の他、回転不可能なローラ状、ブラシ状、パッド状、シート状の部材などを用いることもできる。また、一次転写部材は、一次転写手段として適した導電性を有する導電性部材で構成されている必要がある。ここで、金属ローラには、全体が金属で形成されたものの他、例えば表面に樹脂製の薄層がコーティングされたものなどが含まれるものとする。ただし、上述のように、第2の離接状態でベルト15の内周面と接触して規制ローラとして機能する一次転写部材は、少なくともベルト15に接触する表面が剛体で形成されていることが望まれる。ここで、一次転写部材に関して、剛体は、ベルトを押圧して一次転写部を形成する際に実質的に変形しない程度に十分な剛性を有するものであればよい。
【0065】
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して詳しい説明は省略する。後述する実施例3、実施例4についても同様である。
【0066】
本実施例では、ベルト搬送方向に関して最上流に配置されたY用の一次転写ローラ5Yの位置の設定方法が実施例1とは異なる。実施例1では、Y用の一次転写ローラ5の位置は、「圧規制」で設定された。テンションローラ13の配置やテンションローラ13を付勢する付勢力の設定によっては、該一次転写ローラ5Yの位置を位置規制で設定する方が、圧規制で設定するよりも、該一次転写ローラ5Yの感光ドラム1Yに対する位置変動を抑制できることがある。本実施例では、Y用の一次転写ローラ5Yの位置が「位置規制」で設定される場合について説明する。
【0067】
図11及び
図12を参照して、本実施例における離接機構18について説明する。
図11(a)、(b)は、それぞれ第1の離接状態における離接機構18の斜視図、断面図(感光ドラム1の回転軸線方向と略直交する断面)である。また、
図10(a)、(b)は、それぞれ第2の離接状態における離接機構18の斜視図、断面図(感光ドラム1の回転軸線方向と略直交する断面)である。本実施例では、実施例1と同様に、離接機構19は、カップリング22、離接軸23、カム24、第1、第2のスライダ25、26などを有して構成される。
図11、
図12には、ベルトユニット10の背面側に設けられた離接機構18の構成が示されているが、ベルトユニット10の正面側にも
図11、
図12に示すものと同様のカム24、第1、第2のスライダ25、26が設けられている。
【0068】
図11及び
図12に示すように、本実施例におけるY用の一次転写ホルダ44Yは、
図9及び
図10に示す実施例1におけるY用の一次転写ホルダ44Yと同様の構成であるが、実施例1とは異なり加圧バネ16Yによっては付勢されていない。また、本実施例における離接機構18は、
図9及び
図10に示す実施例1における離接機構18と概略同様の構成であるが、Y用の一次転写ローラ5Yを移動させるための構成が異なる。本実施例では、第1のスライダ25には、Y用の一次転写ホルダ44Yに設けられたホルダ側係合部としての突起部44aに対応するスライダ側係合部として、案内溝30が設けられている。案内溝30には、第1の案内部30aと第2の案内部30bとが設けられている。Y用の一次転写ホルダ44Yの突起部44aは、案内溝30に移動可能に収納され、第1のスライダ25が移動することによって第1の案内部30aと第2の案内部30bとの間を案内溝30に案内されて移動する。これにより、Y用の一次転写ホルダ44Yは、回動軸44bの周りを
図11及び
図12中の反時計回り及び時計回りに回動する。なお、本実施例の離接機構18における、M、C、K用の一次転写ローラ5M、5C、5K及び二次転写前ローラ12を移動させるための構成は実施例1と同じであるので詳しい説明は省略する。
【0069】
図11に示すように、カム24によって駆動されて第1のスライダ25が+S方向(
図11中の左方向)に移動すると、Y用の一次転写ホルダ44Yの突起部44aは案内溝30に案内されて第1の案内部30aに向かって移動させられる。そして、Y用の一次転写ホルダ44Yは回動軸44bの周りを
図11中の反時計回り方向に回動する。これにより、Y用の一次転写ローラ5Yが感光ドラム1Yに近付く+F方向に移動して、ベルト15を感光ドラム1Yに押圧する。こうして、Y用の一次転写部N1Yが形成され、また実施例1と同様にしてM、C、K用の一次転写部N1M、N1C、N1Kが形成されて、ベルトユニット10は第1の離接状態となる。そして、第1のスライダ25が停止すると、Y用の一次転写ホルダ44Yの突起部44aが第1の案内部30a内の所定の位置に位置決めされるため、Y用の一次転写ローラ5Yが位置決めされる。
【0070】
図12に示すように、カム24によって駆動されて第1のスライダ25が-S方向(
図12中の右方向)に移動すると、Y用の一次転写ホルダ44Yの突起部44aは案内溝30に案内されて第2の案内部30bに向かって移動させられる。そして、Y用の一次転写ホルダ44Yは回動軸44bの周りを
図12中の時計回り方向に回動する。これにより、Y用の一次転写ローラ5Yが感光ドラム1Yから離れる-F方向に移動して、ベルト15が感光ドラム1Yから離間する。こうして、Y用の感光ドラム1Yからベルト15が離間させられ、また実施例1と同様にしてM、C用の感光ドラム1M、1Cからベルト15が離間させられ、K用の一次転写部N1Kのみが形成されて、ベルトユニット10は第2の離接状態となる。そして、第1のスライダ25が停止すると、Y用の一次転写ホルダ44Yの突起部44aが第2の案内部30b内の所定の位置に位置決めされるため、Y用の一次転写ローラ5Yが位置決めされる。
【0071】
ここで、本実施例では、実施例1と同様に、第2の離接状態では、Y用の一次転写ローラ5Yはベルト15の内周面と接触位置となり、M、C用の一次転写ローラ5M、5Cはベルト15の内周面から離間した位置となる。第1の離接状態と第2の離接状態とを切り替える際のY、M、C用の一次転写ローラ5Y、5M、5Cの移動量は、カム24による第1のスライダ25の移動量、案内溝30及び各斜面27の形状などによって設定されている。
【0072】
以上説明したように、本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られる。また、本実施例によれば、テンションローラ13の配置やテンションローラ13を付勢する付勢力の設定によっては、実施例1よりもY用の一次転写ローラ5Yの感光ドラム1Yに対する位置変動を抑制し、より安定して一次転写面を形成することができる。
【0073】
[実施例3]
次に、本発明の更に他の実施例について説明する。本実施例では、ベルト搬送方向に関して最上流に配置されたY用の一次転写ローラ5Yの構成が実施例1とは異なる。また、本実施例では、第2の離接状態でベルト15の内周面と接触して規制ローラとして機能する一次転写ローラ5がY用の一次転写ローラ5YではなくC用の一次転写ローラ5Cであることが実施例1とは異なる。
【0074】
図13は、本実施例におけるベルトユニット10が第1の離接状態にあるときのY用の一次転写部N1Yの近傍の模式的な断面図(感光ドラム1の回転軸線方向と略直交する断面)である。本実施例では、ベルト搬送方向に関して最上流に配置されたY用の一次転写ローラ5Yは、芯金(芯材)5aの周囲に、表層としてスポンジやゴムなどの弾性体で形成された弾性層5bが設けられた、弾性ローラである。
【0075】
実施例1では、Y用の一次転写ローラ5Yは、金属ローラ、すなわち、剛体のローラであるため、ベルト15を介して感光ドラム1Yに当接しない位置でベルト15を感光ドラム1Yに向けて押圧するように設けられていた。この構成では、テンションローラ13の配置やテンションローラ13を付勢する付勢力の設定によっては、一次転写面を安定して形成することが難しいことがある。そこで、本実施例では、Y用の一次転写ローラ5Yは弾性体のローラで構成される。そして、本実施例では、
図13に示すように、Y用の一次転写ローラ5は、ベルト15を介して感光ドラム1Yに当接し、物理ニップにより一次転写部N1Yを形成するように配置される。物理ニップは、ベルト搬送方向に関する、感光ドラム1Yとベルト15との接触領域と、一次転写ローラ5Yとベルト15との接触領域と、が重なる領域である。物理ニップは、弾性体のローラで構成された一次転写ローラ5Yが感光ドラム1Yによって変形させられて形成される。そのため、感光ドラム1Yに対する一次転写ローラ5Yの位置ずれが発生しても、安定して一次転写部N1Yを形成することができる。そのため、一次転写ローラ5Yが金属ローラなどの剛体のローラである場合と比較して、感光ドラム1Yに対する一次転写ローラ5Yの位置精度のラチチュードを大きくすることができる。そして、本実施例では、このようにY用の一次転写ローラ5Yと感光ドラム1Yとの間でベルト15を挟持するため、ベルトユニット10が第1の離接状態にあるときに、より安定して一次転写面を形成することができる。
【0076】
図14、
図15は、それぞれ第1、第2の離接状態にあるときの本実施例におけるベルトユニット10の概略断面図(感光ドラム1の回転軸線方向と略直交する断面)である。
図14に示すように、第1の離接状態では、Y、M、C、K用の全ての一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kがベルト15の内周面に接触し、かつ、Y、M、C、K用の全ての一次転写部N1Y、N1M、N1C、N1Kが形成される。
図15に示すように、第2の離接状態では、K用の一次転写部N1Kのみが形成される。そして、本実施例では、第2の離接状態では、Y、M用の一次転写ローラ5Y、5Mはベルト15の内周面から離間し、C用の一次転写ローラ5Cはベルト15の内周面に接触する。つまり、本実施例では、実施例1におけるY用の一次転写ローラ5Yに代えて、C用の一次転写ローラ5Cが第2の離接状態においてベルト15の内周面と接触して規制ローラとして機能する。
【0077】
ここで、本実施例では、Y用の一次転写ローラ5Yは弾性ローラである。そのため、この一次転写ローラ5Yは、第2の離接状態でベルト15の内周面と接触すると、ベルトユニット10の使用に伴う該一次転写ローラ5Yの外周面とベルト15の内周面との摺擦による該一次転写ローラ5Yの表層の摩耗や変形が発生する。Y用の一次転写ローラ5Yの表層に摩耗や変形が発生すると、Y用の一次転写部N1Yが形成される第1の離接状態において、Y用の一次転写部N1Yの形成に影響を与えて、画像不良が発生する可能性がある。一方、C用の一次転写ローラ5Cは金属ローラ、すなわち、剛体のローラである。そのため、第2の離接状態でC用の一次転写ローラ5Cがベルト15の内周面に接触しても、ベルトユニット10の使用に伴うベルト15の内周面との摺擦による該一次転写ローラ5Cの摩耗や変形が少ない(実質的にほとんど無い)。したがって、C用の一次転写部N1Cが形成される第1の離接状態においても、安定してC用の一次転写部N1Cを形成することができるため、画像に対する影響が少ない。
【0078】
なお、本実施例における第1の離接状態と第2の離接状態との切り替えは、実施例1と同様の離接機構18によって行うことができる。このとき、本実施例では、上述の第2の離接状態となるように、Y、M、C用の一次転写ローラ5Y、5M、5Cの移動量が第1のスライダ25の斜面の形状などによって設定される。
【0079】
以上説明したように、本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られる。また、本実施例によれば、テンションローラ13の配置やテンションローラ13を付勢する付勢力の設定によっては、第1の離接状態での一次転写面を実施例1よりも安定して形成することができる。
【0080】
なお、本実施例では、ベルト搬送方向に関してK用の一次転写ローラ5Kの上流側に隣接して配置されたC用の一次転写ローラ5Cが、第2の離接状態においてベルト15の内周面と接触して規制ローラとして機能するが、これに限定されるものではない。該規制ローラとして機能する一次転写ローラ5は、ベルト搬送方向に関して、最上流に配置される一次転写ローラ5Yと、第2の離接状態で一次転写部N1Kを形成する一次転写ローラ5Kと、の間に配置される一次転写ローラ5M、5Cのうち少なくとも一つであればよい。したがって、該規制ローラとして機能する一次転写ローラ5は、それらの一次転写ローラ5M、5Cのうちいずれか一つであってもよいし、それらの一次転写ローラ5M、5Cのうち複数であってもよい。
【0081】
また、本実施例では、第2の離接状態でベルト15の内周面と接触して規制ローラとして機能する一次転写部材は金属ローラで構成されているが、実施例1で説明したのと同様、本発明はこれに限定されるものではない。
【0082】
また、本実施例では、Y用の一次転写ローラ5Yの位置は、実施例1と同様に「圧規制」で設定されるが、実施例2と同様に「位置規制」で設定されてもよい。
【0083】
[実施例4]
次に、本発明の更に他の実施例について説明する。本実施例では、一次転写ローラ5、特に、第2の離接状態でベルト15の内周面と接触して規制ローラとして機能する一次転写ローラ5の第1、第2の離接状態間での移動方向が実施例1とは異なる。また、本実施例では、実施例3と同様に、該規制ローラとして機能する一次転写ローラ5がY用の一次転写ローラ5YではなくC用の一次転写ローラ5Cであることが実施例1とは異なる。
【0084】
図16、
図17は、それぞれ第1、第2の離接状態にあるときのベルトユニット10の概略断面図(感光ドラム1の回転軸線方向と略直交する断面)である。
図16に示すように、第1の離接状態では、Y、M、C、K用の全ての一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kがベルト15の内周面に接触し、かつ、Y、M、C、K用の全ての一次転写部N1Y、N1M、N1C、N1Kが形成される。
図17に示すように、第2の離接状態では、K用の一次転写部N1Kのみが形成される。そして、本実施例では、第2の離接状態では、Y、M用の一次転写ローラ5Y、5Mはベルト15の内周面から離間し、C用の一次転写ローラ5Cはベルト15の内周面に接触する。つまり、本実施例では、実施例3と同様に、実施例1におけるY用の一次転写ローラ5Yに代えて、C用の一次転写ローラ5Cが第2の離接状態においてベルト15の内周面と接触して規制ローラとして機能する。
【0085】
ここで、本実施例では、第1の離接状態と第2の離接状態とが切り替わる際のC用の一次転写ローラ5Cの移動方向は、共通接線H1(共通接平面Cp)と略平行(
図16、
図17中の矢印R方向に沿う方向)である。つまり、ベルトユニット10が第1の離接状態から第2の離接状態に切り替わる際には、C用の一次転写ローラ5Cは、共通接線H1(共通接平面Cp)と略平行にK用の一次転写ローラ5Kに近付く+R方向に移動する。また、ベルトユニット10が第2の離接状態から第1の離接状態に切り替わる際には、C用の一次転写ローラ5Cは、共通接線H1(共通接平面Cp)と略平行にK用の一次転写ローラ5Kから離れる-R方向に移動する。
【0086】
第2の離接状態においてベルト搬送方向に関しK用の一次転写ローラ5Kの上流に隣接して配置される規制ローラの位置がK用の一次転写ローラ5Kに近いほど、それらのローラ間のベルト15の張架面の動的変動を抑制する効果が大きくなる。そこで、本実施例では、ベルト搬送方向に関しK用の一次転写ローラ5Kの上流に隣接して配置されるC用の一次転写ローラ5Cを第2の離接状態でベルト15の内周面に接触する規制ローラとして利用する。また、第1の離接状態から第2の離接状態に切り替わる際に、このC用の一次転写ローラ5CがK用の一次転写ローラ5Kに近付く方向に移動するようにする。これにより、K用の一次転写ローラ5Kよりもベルト搬送方向の上流側におけるベルト15の挙動が安定し、より安定してK用の一次転写部N1Kを形成することができる。
【0087】
なお、本実施例における第1の離接状態と第2の離接状態との切り替えは、実施例1と同様の離接機構18によって行うことができる。このとき、本実施例では、上述の第2の離接状態となるように、Y、M、C用の一次転写ローラ5Y、5M、5Cの移動量や移動方向が、第1のスライダ25の斜面の形状などによって設定される。
【0088】
以上説明したように、本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られる。また、本実施例によれば、第2の離接状態でのK用の一次転写部N1Kを実施例3よりも安定して形成することができる。
【0089】
なお、第1の離接状態と第2の離接状態とが切り替わる際の一次転写部材の移動方向は、上述の実施例における方向に限定されるものではなく、感光ドラム1からベルト15を離間させることができる方向であれば任意である。
【0090】
また、本実施例では、実施例1と同様にY用の一次転写ローラ5Yは金属ローラであり、感光ドラム1Yに対してベルト搬送方向の下流側へオフセットされて配置され、「圧規制」で位置が設定されているが、これに限定されるものではない。例えば、Y用の一次転写ローラ5Yの位置は、実施例2と同様に「位置規制」で設定されてもよい。また、例えば、実施例3と同様にY用の一次転写ローラ5Yを弾性ローラで構成してベルト15を介して感光ドラム1Yに当接するように配置してもよく、その場合「位置規制」、「圧規制」のいずれで位置を設定してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 感光ドラム
5 一次転写ローラ
7 二次転写ローラ
10 中間転写ベルトユニット
11 駆動ローラ
12 二次転写前ローラ
13 テンションローラ
15 中間転写ベルト
18 離接機構
100 画像形成装置