(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】補償導線による磁気ピックアップの相殺
(51)【国際特許分類】
A61B 5/367 20210101AFI20240213BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
A61B5/367 100
A61B18/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019116992
(22)【出願日】2019-06-25
【審査請求日】2022-05-11
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シャローナ・ベン・ショシャン
(72)【発明者】
【氏名】エデン・キディシュマン
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-202905(JP,A)
【文献】特開2017-217484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/367
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルベースの磁気位置追跡システムにおける配線アセンブリであって、
前記配線アセンブリの第1の端部においてセンサから差動信号を受信するように構成された差動入力ポートと、
前記配線アセンブリの第2の端部において前記差動信号を出力するように構成された差動出力ポートと、
前記第1の端部から前記第2の端部に前記差動信号を伝送し、前記配線アセンブリによる周囲磁界のピックアップを相殺する構成で前記第1の端部において、及び前記第2の端部において相互接続される第1の対の導線及び第2の対の導線と、
前記配線アセンブリの前記第2の端部において前記出力された差動信号を受信するように結合された読出回路と、
前記第1の対の導線及び前記第2の対の導線が、同じ領域をあらかじめ設定された許容差まで包含し、前記第1の端部側から前記第2の対の導線の交差までの面積と前記第2の端部から前記第2の対の導線の交差までの面積との合計が、前記第1の端部から前記第2の端部までの前記第2の対の導線相互間の面積と比較して非常に小さくなるように、前記第2の対の導線が前記第1の端部側及び前記第2の端部側において交差し、
前記センサが、磁気センサを備える、配線アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の対の導線及び前記第2の対の導線が、フレキシブルプリント基板(PCB)にパターニングされている、請求項1に記載の配線アセンブリ。
【請求項3】
カテーテルベースの磁気位置追跡システムにおけるアセンブリ配線方法であって、
配線アセンブリの第1の端部においてセンサから差動信号を受信するように構成された差動入力ポートを設けることと、
前記配線アセンブリの第2の端部において前記差動信号を出力するように構成された差動出力ポートを設けることと、
第1の対の導線及び第2の対の導線を配線して、前記第1の対の導線及び前記第2の対の導線が、周囲磁界により前記第1
の対の導線及び
前記第2の対
の導線によってピックアップされた干渉信号を相殺する構成で相互に配線されるように、前記配線アセンブリを作製することと、
前記配線アセンブリの前記第2の端部において前記出力された差動信号を受信するように読出回路を結合することと、
前記第1の対の導線及び前記第2の対の導線が、同じ領域をあらかじめ設定された許容差まで包含し、前記第1の端部側から前記第2の対の導線の交差までの面積と前記第2の端部から前記第2の対の導線の交差までの面積との合計が、前記第1の端部から前記第2の端部までの前記第2の対の導線相互間の面積と比較して非常に小さくなるように、前記第2の対の導線が前記第1の端部側及び前記第2の端部側において交差することと、を含み、
前記センサが磁気センサを含む、方法。
【請求項4】
前記
第1の対の導線及び前記第2の対の導線を配線することが、前記第1の対の導線及び前記第2の対の導線をフレキシブルプリント基板(PCB)にパターニングすることを含む、請求項
3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、センサ配線スキームの改良に関し、特に、磁気位置追跡システムにおける磁気ピックアップを低減するための配線スキームに関する。
【背景技術】
【0002】
体内磁気位置センサ及びそれらの組み込みを向上させるために様々な技術が提案されている。例えば、PCT国際出願公開第2017/136599号は、近位端部及び遠位端部を有するシャフトを備える医療装置を含む、磁気環境で使用される医療装置アセンブリを記載している。装置は、シャフトの遠位端部に位置センサを更に備え、第1の導線及び第2の導線がシャフトの遠位端部からシャフトの近位端部まで延びている。装置は、第1の端部に複数の接続点を有する電気機械的コネクタを更に備える。第1の接続点及び第2の接続点は、第1のセンサ導線及び第2のセンサ導線にそれぞれ電気的に接続される。コネクタは、第3及び第4の接続点に電気的に結合されたエラーループセグメントを更に備える。エラーループセグメントは、磁気ノイズを補正するために使用され得る補償ループの形成を助ける。
【0003】
別の例として、米国特許第6,073,043号は、基準座標系に対する遠隔オブジェクトの位置及び配向を決定するための方法及び装置を記載している。装置は、カテーテル又は内視鏡の端部の位置特定、コンピュータデータベース用のオブジェクトのデジタル化、仮想現実、及び運動追跡のために使用することができる。装置は、電磁界を発生させる複数の磁界発生要素と、相互に区別可能な複数の電磁界を発生させる信号を発生要素に供給する駆動装置と、発生した磁界を感知する1つ以上の磁界感知要素を有する遠隔センサと、感知要素の出力を発生要素の基準座標系に対する遠隔オブジェクトの位置及び配向に処理するためのプロセッサと、を含む。本明細書に提示される方法はまた、位置及び配向解の精度を向上させるために、最終的な「仕上げ」段階として、他の磁気追跡技術に適用することもできる。
【0004】
別の分野では、米国特許第6,263,229号は、磁気共鳴カテーテルコイルを作製する方法のいくつかの実施形態を記載している。電気的に相互接続された少なくとも1対の略並列導電性コイル要素が、可撓性電気絶縁ベース部材にパターニングされている。カテーテルは、コイルアセンブリにわたって設けられる。一実施形態では、直角コイルを作製するために、第2の対の略並列導電性コイル要素が設けられる。いくつかの実施形態では、同調及び整合回路並びにデカップリング回路が設けられてもよい。(a)コイル、(b)コイルアセンブリ、及び(c)これらの方法によって製造されるコイルアセンブリを含むカテーテルコイルも開示される。コイルは、プローブ又はカテーテルなどの、好適なシース内や、患者内、例えば身体の開口部への、血管への、又は身体の内部領域への挿入を容易にするように小型化することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、差動入力ポートと、差動出力ポートと、第1の対の導線及び第2の対の導線と、を含む配線アセンブリを提供する。差動入力ポートは、配線アセンブリの第1の端部においてセンサから差動信号を受信するように構成されている。差動出力ポートは、配線アセンブリの第2の端部において差動信号を出力するように構成されている。第1の対の導線及び第2の対の導線は、第1の端部から第2の端部に差動信号を伝送し、配線アセンブリによる周囲磁界のピックアップを相殺する構成で第1の端部において、及び第2の端部において相互接続されている。
【0006】
いくつかの実施形態において、配線アセンブリは読出回路を更に含み、読出回路は、配線アセンブリの第2の端部において出力された差動信号を受信するように結合されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の対の導線及び第2の対の導線は、同じ領域をあらかじめ設定された許容差まで包含する。
【0008】
一実施形態では、第2の対の導線は、第1の対の導線に逆並列接続されている。
【0009】
別の実施形態では、第2の対の導線は、第1の対の導線に直列に接続されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の対の導線及び第2の対の導線は、フレキシブルプリント基板(PCB)にパターニングされている。
【0011】
いくつかの実施形態では、センサは磁気センサを含む。
【0012】
本発明の一実施形態によると、配線アセンブリの第1の端部においてセンサから差動信号を受信するように構成された差動入力ポートを設けることを含む、アセンブリ配線方法が更に提供される。配線アセンブリの第2の端部において差動信号を出力するように構成された差動出力ポートも設けられる。第1の対の導線及び第2の対の導線を配線して、第1の対の導線及び第2の対の導線が、周囲磁界により第1及び第2の対によってピックアップされた干渉信号を相殺する構成で相互に配線されるように、配線アセンブリを作製する。
【0013】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮すると、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態による、カテーテルベースの磁気位置追跡及びアブレーションシステムの概略的な描画説明図である。
【
図2A】本発明の実施形態による、磁気ピックアップノイズを相殺するように構成された配線アセンブリの概略ブロック図である。
【
図2B】本発明の実施形態による、磁気ピックアップノイズを相殺するように構成された配線アセンブリの概略ブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態による、フレキシブルプリント基板(PCB)に実装された配線アセンブリの概略的な描図である。
【
図4A】
図2Aに示す実施形態による、ノイズ相殺配線アセンブリを用いた場合と、用いなかった場合との磁気ピックアップノイズを比較するグラフである。
【
図4B】
図2Aに示す実施形態による、ノイズ相殺配線アセンブリを用いた場合と、用いなかった場合との磁気ピックアップノイズを比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
概論
本明細書に記載される本発明の実施形態は、磁界内の電気配線によってピックアップされる干渉を低減するための改良されたアセンブリ配線方法及び配線アセンブリを提供する。本明細書に記載される実施形態は主に、カテーテルの遠位端のセンサから近位端の読出回路までカテーテルを通って延びる配線を指す。しかしながら、開示されるアセンブリ配線技術は、様々な他のシステム及び用途にも適用可能である。
【0016】
いくつかの実施形態では、カテーテルベースの位置追跡システムに含まれるコイルセンサが、交番磁界に応答して差動信号を発生させる。信号は、配線アセンブリの第1の端部において差動入力ポートに送られ、次いで配線アセンブリによって配線アセンブリの第2の端部において差動出力ポートに伝送される。いくつかの実施形態では、増幅器が、配線アセンブリの第2の端部において出力された差動信号を受信するように結合される。
【0017】
一般に、配線アセンブリは、例えば、アセンブリに含まれる1対の導線によって包含された領域を横断する交番磁界に応答して、干渉電位を発生することがある(この対は本質的には、非ゼロ領域を有する単一の巻線コイルとして作用する)。干渉信号は、例えば、磁気センサによって生成される位置信号を利用するカテーテルベースの位置追跡システムなどにおいて、センサ信号を歪ませ、信号を利用するシステム全体の性能を低下させる場合がある。
【0018】
以下に説明する本発明の実施形態は、第1の端部から第2の端部に差動信号を伝送する第1の対の導線及び第2の対の導線が、配線アセンブリによる周囲磁界のピックアップを相殺する構成で第1の端部において、及び第2の端部において相互接続される配線構成を提供する。上述したように、このような配線アセンブリは、例えばセンサを電気読出回路に接続するために使用することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、配線アセンブリは、磁気センサのコイルに接続された第1の対の導線を備える。第1の対の導線は、導線によって包含された領域を横断する周囲磁界から干渉信号をピックアップしてもよい。第1の対と同様の幾何学的配置を有する配線アセンブリの第2の対の導線(例えば、同じ領域を既定の許容差まで包含する)は、第1の導線対によって発生する干渉信号を補償するため、第1の対の導線に逆並列構成で接続される。
【0020】
開示される逆並列接続構成では、以下に更に記載するように、2対の導線は並列に接続されているが、極性は逆である。第2の導線対によって発生する干渉信号は、第1の導線対によって発生する干渉信号と本質的に同じであるが、逆極性であるため、読出回路に入力された干渉信号を相殺するために使用することができる。2対の導線(すなわち、4本の導線)は、開示された配線構成では、例えば単一の増幅器を含む読出回路にセンサ信号を供給する2本の導線に低減されており、干渉信号は増幅器の入力において既に相殺されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、配線アセンブリは、直列に接続されて単一の増幅器に信号供給する第1の導線対と第2の導線対とを備える。第1の対によって発生された干渉信号を補償するために、第1の対と同様の幾何学的配置を有する第2の対の導線が、増幅器の入力において誘導干渉信号を相殺するように直列に組み込まれる。ここでも、第2の導線対で発生された干渉信号は、第1の導線対によって発生される干渉信号と本質的に同じであるが、逆極性であるため、2対の導線の直列の相互接続が干渉信号を相殺する。
【0022】
発見的に、開示される逆並列接続構成は干渉電圧を相殺するものとして扱い、直列接続構成は干渉電流を相殺するものとして扱うことができる。2つの接続スキームのうちのいずれを特に選択するかは、増幅器の種類などの読出回路の詳細に左右され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、フレキシブルプリント基板(PCB)は、2対の導線でパターニングされている。2対の導線は、第1の対及び第2の対が逆並列構成又は直列構成で接続されて、単一の増幅器に信号供給するようにパターニングされる。他の実施形態では、開示された接続スキームは、1つ又は2つ以上のセンサを、複数の増幅器を含む読出回路に結合するために使用される。このような多増幅器回路には典型的に、当業者に想到されるように、開示されたピックアップノイズ相殺スキームを必要とする多数の信号が供給される。
【0024】
信号と共にピックアップノイズが読出回路へ入力されることを回避する、磁気ピックアップノイズ相殺のための開示された配線構成は、「ツイストペア」絶縁線などの嵩張るソリューションを使用するのと比較して、読出回路からより高品質な出力信号をもたらす。PCB上に導線をパターニングすることによって、開示された技術は、カテーテルの遠位端に複数のセンサを装着するうえで必要であるような、コンパクトな電気的レイアウトに有利であり得る。したがって、開示された導線のアーキテクチャ及びパターニング技術は、カテーテルなどの器具の小型化及び費用対効果の向上を可能にし得る。
【0025】
本開示の実施形態は高周波交番磁界に特に適合されているため、開示された技術は、低ピックアップノイズを確保できるように配線の「ツイストピッチ」を十分に締め付けねばならない、あまりコンパクトでないソリューション(例えば、ツイストペア)に比べて有利である。導線を十分にツイストさせることは、労力と費用がかかる工程であるが、開示されたパターニング技術は、そのような要件にもっと容易に適応する。
【0026】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、カテーテルベースの磁気位置追跡及びアブレーションシステム20の概略的な描画説明図である。システム20は、医師30によって血管系を介して患者28の心臓26に誘導される、シャフト遠位端22を有するカテーテル21を備える。図示される例では、医師30は、カテーテルの近位端近傍のマニピュレータ32を使用して、シャフト遠位端22の遠位端を操作しながら、シース23を通してシャフト遠位端22を挿入する。挿入
図25に示されるように、シャフト遠位端22は、シャフト遠位端22内に収容される磁気センサ51とアブレーションカテーテル50とを備える。
【0027】
本明細書に記載されている実施形態において、カテーテル21は、心臓26の組織のアブレーションに使用される。図示される実施形態は、特に心臓組織のアブレーション用のアブレーションカテーテル50の使用に関するが、本明細書に記載されるシステム20の要素及び方法は、代替的に、電気生理学的マッピングカテーテルなどの他のカテーテルタイプの位置追跡に適用することもできる。更に、開示されるアセンブリ配線技術は、接触力センサ及び電気生理学的活動センサなどの、遠位端22に装着された他のセンサから受信される信号品質を改善するために使用されてもよい。
【0028】
カテーテル21の近位端は、制御コンソール24に接続されている。コンソール24は、カテーテル21からの信号を受信するとともに、カテーテル21を介してエネルギーを加えて心臓26内の組織をアブレーションし、システム20の他の構成要素を制御するために、好適なフロントエンド及びインターフェース回路38を備えたプロセッサ39、典型的には汎用コンピュータを備える。コンソール24は、磁界発生器36を駆動するように構成された駆動回路34を更に備える。
【0029】
シャフト遠位端22の心臓26内での誘導中、コンソール24は、例えば、心臓内のアブレーションカテーテル50の位置を測定し、任意選択的に、追跡位置をディスプレイ27に提示するために、外部磁界発生器36からの磁界に応答して磁気センサ51から信号を受信する。磁界発生器36は、例えば、患者台29の下など、患者28の外部の既知の位置に配置される。これらの位置信号は、位置追跡システムの座標系におけるアブレーションカテーテル50の位置を示す。いくつかの実施形態では、センサ51からコンソール24に信号を伝送する配線アセンブリ(図示せず)は、開示されるアセンブリ配線方法のうちの1つにより、発生器36から放射される磁界によるピックアップノイズを相殺するように構成されている。
【0030】
外部磁界を使用するこの位置感知方法は、様々な医療用途、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,California)製のCARTO(商標)システムに実装されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、PCT国際公開第96/05768号、米国特許出願公開第2002/0065455A1号、同第2003/0120150A1号、及び同第2004/0068178A1号に詳細に記載されており、それらの開示は参照により本明細書に組み込む。
【0031】
典型的には、プロセッサ39は、本明細書に記載する機能を実行するソフトウェアがプログラムされた汎用コンピュータである。ソフトウェアは、例えばネットワークを通じて、電子的形態でコンピュータにダウンロードすることができ、又は代替的若しくは追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、又は電子メモリなどの、非一時的有形媒体に提供及び/又は記憶することができる。
【0032】
補償導線による磁気ピックアップの相殺
図2A及び
図2Bは、本発明の実施形態による、磁気ピックアップノイズを相殺するように構成された配線アセンブリ111及び222の概略ブロック図である。図示される配線構成はそれぞれ、磁気ピックアップノイズを相殺するように相互接続された2対の導線を含む。
【0033】
図2A及び
図2Bに示される両方の実施形態では、第1の導線対54及び第2の導線対55は、両方とも単一の巻線コイルとみなすことができ、同じ領域をあらかじめ設定された許容差まで包含する。したがって、周囲交番磁力線48は、両方の導線対において非常に類似した干渉信号を誘発する。なお、
図2Aでは、導線対55の交差ゾーンは、包含される総面積と比較して非常に小さい面積を包含するため、誘発されたピックアップ信号の値にごくわずかの影響しか及ぼさないことに留意されたい。
【0034】
図2Aに見られるように、導線対54は、磁気センサ51を電気読出回路52、本質的には単一の増幅器に結合する。第2の対の導線、つまり導線対55は、増幅器の入力60aと入力60bとの間で導線対54に逆並列構成で接続される。開示される結合は、配線アセンブリ111の第1の端部における差動入力ポート100と、配線アセンブリ111の第2の端部における差動出力ポート101とをそれぞれ使用して実現される。
【0035】
第2の端部において、導線対55は、センサ51の出力点60c及び60dで、それぞれの導線対54に電気的に短絡される。したがって、導線対55で発生する干渉信号は、導線対54で発生する干渉信号と本質的に同じであるが、逆極性である。このようにして、入力60aと入力60bとの間の干渉信号(すなわち、電圧)が相殺される。
【0036】
図2Bは、第2の導線対55が、点60eで導線対54に直列に接続され、2対の導線が、センサ51と電気読出回路52の入力60a及び60bとの間の直列相互接続を形成する実施形態を示す。導線対55で誘導される干渉電流は、導線対54で誘導される干渉電流と本質的に同じであるが、逆極性であるため、対向する干渉電流を相殺する結果、増幅器の入力60aと入力60bとの間の干渉信号がゼロになる。開示される結合は、配線アセンブリ222の第1の端部における差動入力ポート200と、配線アセンブリ222の第2の端部における差動出力ポート201とをそれぞれ使用して実現される。
【0037】
図2A及び
図2Bに示される概略図は、単に概念を明確化するために選択されている。同様の有効面積を包含することによって干渉信号の相殺を達成することを目的とした、導線対を接続する概略的な幾何学的スキームを例として示す。他の設計も可能であり、例えば、1対の導線を他の対の導線に重ね合わせることもできる。例えば、ファラデー効果を利用するコイルに基づくセンサや、ローレンツ力を利用する微小電気機械デバイスに基づくセンサなど、様々な種類の磁気センサを使用することができる。
【0038】
図3は、本発明の実施形態による、フレキシブルプリント基板(PCB)53に実装された配線アセンブリの概略的な描図である。PCB53は、2対の導線でパターニングされる。磁気センサのコイル51は、パターニングされた第1の導線対54に接続される。見られるように、導線対54及び導線対55の両方が、周囲磁力線48が貫通する領域を包含する。第2の対の導線(すなわち、導線対55)は、導線対54及び導線対55が、同じ面積をあらかじめ設定された許容差まで包含するように、PCB53上にパターニングされる。
【0039】
一実施形態では、2対の導線によって発生され得る磁気ピックアップノイズによる干渉なくセンサ51から信号を受信するために、電気読出回路52は、PCB53上で導線対54及び55に逆並列構成で接続される。別の実施形態では、電気読出回路52の入力において2対の導線によって発生され得る磁気ピックアップノイズを相殺するように、電気読出回路52は、PCB53上で導線対54及び55に直列構成により接続される。いくつかの実施形態では、PCB53は、位置追跡のために使用されるカテーテル21の遠位端に装着される。
【0040】
図3に示される例は、単に概念を明確化するために選択されている。別の実施形態では、PCB53上にパターニング又は配置される構成要素の配置、独自性、及び数は変化し得る。PCB53並びに導線対54及び55の形状は、当業者により想到されるように異なっていてもよい。例えば、2対の導線の短絡を防止するために、2対の導線は、導線間にパターニングされた絶縁層を用いて、他の対の導線に重ね合わせるようにパターニングすることができる。
【0041】
図4A及び
図4Bは、
図2Aに示す実施形態による、ノイズ相殺配線アセンブリを用いた場合と、用いなかった場合との磁気ピックアップノイズを比較するグラフである。具体的には、これらの図は、第1の対の導線に逆並列構成で接続された第2の対の導線を含まない場合と、含む場合とのピックアップノイズを示す。
【0042】
図4Aは、導線対54によって発生した入力ノイズのスペクトルを示す。見られるように、入力ノイズは、ほとんど白色ノイズである。ピックアップノイズピークは、約18kHzの周波数で見られる。
図4Aに見られるように、(例えば、
図2Aに見られる実施形態によって)補償されないとき、18kHzにおけるピックアップノイズ振幅70aは-35dBVの値を有し、白色ノイズよりも約40dBV高い。
図4Bは、逆並列構成で相互接続された導線対54及び55によって発生する入力ノイズのスペクトルを示す。
図4Bは、逆並列接続スキームから生じるピックアップノイズ振幅70bを示す。見られるように、ピックアップノイズ振幅70bは-54dBVの値を有し、これは補償されていないピックアップノイズ振幅70aよりも約20dbV低い。
【0043】
図4A及び
図4Bに示されるグラフは、例えば、逆並列接続スキームによるピックアップ相殺効果を経験的に実証するために提示される。
図2A及び
図2Bに示される2つの接続スキームのうちのいずれか1つの有効性を実証するために、適用される他の分析方法と同様に他の測定を行うことができる。
【0044】
本明細書に記述される実施形態は、主に心臓カテーテルに関するものであるが、本明細書に記載される方法及びシステムは、神経や耳鼻咽喉などの他の用途で用いることもできる。一般に、本明細書に記載される方法及びスキームはまた、磁気センサを利用する任意のシステム、特にナビゲーションシステムと共に使用することができる。
【0045】
したがって、上記に述べた実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上記に具体的に示し説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組み合わせ及びその一部の組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者により想到されるであろう、また従来技術において開示されていないそれらの変形形態及び修正形態を含むものである。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0046】
〔実施の態様〕
(1) 配線アセンブリであって、
前記配線アセンブリの第1の端部においてセンサから差動信号を受信するように構成された差動入力ポートと、
前記配線アセンブリの第2の端部において前記差動信号を出力するように構成された差動出力ポートと、
前記第1の端部から前記第2の端部に前記差動信号を伝送し、前記配線アセンブリによる周囲磁界のピックアップを相殺する構成で前記第1の端部において、及び前記第2の端部において相互接続される第1の対の導線及び第2の対の導線と、
を備える、配線アセンブリ。
(2) 前記配線アセンブリの前記第2の端部において前記出力された差動信号を受信するように結合された読出回路を備える、実施態様1に記載の配線アセンブリ。
(3) 前記第1の対の導線及び前記第2の対の導線が、同じ領域をあらかじめ設定された許容差まで包含する、実施態様1に記載の配線アセンブリ。
(4) 前記第2の対の導線が、前記第1の対の導線に逆並列接続されている、実施態様1に記載の配線アセンブリ。
(5) 前記第2の対の導線が、前記第1の対の導線に直列に接続されている、実施態様1に記載の配線アセンブリ。
【0047】
(6) 前記第1の対の導線及び前記第2の対の導線が、フレキシブルプリント基板(PCB)にパターニングされている、実施態様1に記載の配線アセンブリ。
(7) 前記センサが、磁気センサを備える、実施態様1に記載の配線アセンブリ。
(8) アセンブリ配線方法であって、
配線アセンブリの第1の端部においてセンサから差動信号を受信するように構成された差動入力ポートを設けることと、
前記配線アセンブリの第2の端部において前記差動信号を出力するように構成された差動出力ポートを設けることと、
第1の対の導線及び第2の対の導線を配線して、前記第1の対の導線及び前記第2の対の導線が、周囲磁界により前記第1及び第2の対によってピックアップされた干渉信号を相殺する構成で相互に配線されるように、前記配線アセンブリを作製することと、
を含む、方法。
(9) 前記配線アセンブリの前記第2の端部において前記出力された差動信号を受信するように読出回路を結合することを含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記対の導線を配線することが、同じ領域をあらかじめ設定された許容差まで包含するように前記第1の対の導線及び前記第2の対の導線を配線することを含む、実施態様8に記載の方法。
【0048】
(11) 前記対の導線を配線することが、前記第2の対の導線を前記第1の対の導線に逆並列接続することを含む、実施態様8に記載の方法。
(12) 前記対の導線を配線することが、前記第2の対の導線を前記第1の対の導線に直列に接続することを含む、実施態様8に記載の方法。
(13) 前記対の導線を配線することが、前記第1の対の導線及び前記第2の対の導線をフレキシブルプリント基板(PCB)にパターニングすることを含む、実施態様8に記載の方法。
(14) 前記センサが磁気センサを含む、実施態様8に記載の方法。