IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星電子株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-有機発光素子 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/12 20230101AFI20240213BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20240213BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20240213BHJP
   H10K 101/20 20230101ALN20240213BHJP
【FI】
H10K50/12
H10K85/60
C09K11/06 690
H10K101:20
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019117690
(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公開番号】P2020004967
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】10-2018-0073403
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】印 守 康
(72)【発明者】
【氏名】沈 明 善
(72)【発明者】
【氏名】鄭 多 運
(72)【発明者】
【氏名】金 鍾 秀
(72)【発明者】
【氏名】金 重 赫
(72)【発明者】
【氏名】李 河 燮
(72)【発明者】
【氏名】田 順 玉
(72)【発明者】
【氏名】鄭 ヨン 淑
(72)【発明者】
【氏名】鄭 庸 植
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03130591(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0358756(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0075524(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0123955(KR,A)
【文献】欧州特許出願公開第03072943(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0054082(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0098780(US,A1)
【文献】特開2014-141571(JP,A)
【文献】国際公開第2014/092083(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/104315(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0118601(US,A1)
【文献】特開2017-123463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H10K 50/12
H10K 85/60
C09K 11/06
H10K 101/20
DB名 CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極、前記第1電極に対向する第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に配置された発光層を有し、
前記発光層は、ホスト及び熱活性化遅延蛍光エミッタを含み、
前記ホストは、下記化学式1で表される化合物及び下記化学式2で表される化合物のうちの少なくとも一つを含み、
下記化学式1及び2で、CZは、下記化学式CZ1又はCZ2で表される基であり、
ただし、下記化合物H2、H7、H18、H21、H24、及びH27を除き、
【化1-2】
【化CZ1-CZ2】
【化H2(H7)H18(H21)H24(H27)】
前記熱活性化遅延蛍光エミッタは、下記化学式11で表される化合物を含むことを特徴とする有機発光素子。
【化11】
前記化学式1、2、CZ1、及びCZ2で、
環A、A、A、及びAは、それぞれ独立して、ベンゼン基又はジベンゾフラン基であるが、前記化学式2の環Aは、ジベンゾフラン基であり、
22 は、Oであり、
mは、0又は1であり、
nは、0又は1であり、
ないしZは、それぞれ独立して、
水素、又はシアノ基(CN);或いはシアノ基で置換されるフェニル基;であり、
b1ないしb6は、それぞれ独立して、0又は1であり、
*は、隣接する原子との結合サイトであり、
前記化学式1で表される化合物及び前記化学式2で表される化合物は、それぞれ少なくとも一つのシアノ基を含み、
前記化学式11で、
は、単一結合であり、
環A及びAは、ベンゼン基であり、
は、置換C-C60アリーレン基であり、
c3は、1であり、
は、非置換のC-C60ヘテロアリール基であり、
は、水素であり、
は、置換C-C60ヘテロアリール基であり、
a1及びa2は、1であり、
置換されたC-C60ヘテロアリール基の置換基は、
-C60アリール基である。
【請求項2】
前記化学式1で表される化合物に含まれるシアノ基の個数及び前記化学式2で表される化合物に含まれるシアノ基の個数は、それぞれ独立して、1又は2であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項3】
前記化学式1及び2で、
b1個のZ、及びb2個のZのうちの少なくとも一つがシアノ基であるか、
b3個のZ、及びb4個のZのうちの少なくとも一つがシアノ基であるか、或いは
b1個のZ、及びb2個のZのうちの少なくとも一つがシアノ基であり、b3個のZ、及びb4個のZのうちの少なくとも一つがシアノ基であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項4】
前記化学式1及び2で、
【化(1-2)a】
で表される基は、下記化学式MM4、MM8及び化学式M1で表される基のうちの一つであることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【化(MM4)MM8】
【化M1】
前記化学式MM4、及びMM8で、
10、12ないしZ15、及びZ17ないしZ19は、それぞれ独立して、
水素であり、
前記化学式M1で、Z15、Z16、Z18、及びZ19のうち一つはシアノ基で置換されたフェニル基であり、残りは水素であり、
*及び*’は、それぞれ隣接する原子との結合サイトである。
【請求項5】
前記化学式1で、
【化(1)b】
で表される基は、下記化学式1(3)で表され、
前記化学式2で、
【化(2)b】
で表される基は、下記化学式2(6)で表され、
前記化学式CZ1で表される基は、下記化学式CZ1(1)~CZ1(2)で表される基のうちから選択され、
前記化学式CZ2で表される基は、下記化学式CZ2(13)で表されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【化1(3)】
【化2(6)】
【化CZ1(1)-CZ1(2)】
【化CZ2(13)】
前記化学式1(3)、化学式2(6)、化学式CZ1(1)~CZ1(2)、及び化学式CZ2(13)で、X22、Z、Z、ZないしZ、並びにb5及びb6に関する説明は、それぞれ請求項1に記載された箇所を参照し、*は、隣接する原子との結合サイトである。
【請求項6】
前記ホストは、下記化合物H1、H22、及びH25~H26のうちから選択される少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【化H1(H22)(H25-H26)】
【請求項7】
前記熱活性化遅延蛍光エミッタの三重項エネルギーレベル(eV)と前記熱活性化遅延蛍光エミッタの一重項エネルギーレベル(eV)との差は、0eV以上0.5eV以下であり、
前記三重項エネルギーレベル及び前記一重項エネルギーレベルは、B3LYP/6-31G(d,p)レベルで構造最適化されたDFT方法を利用して評価されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記Lは、
フェニル基で置換されたフェニレン基であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項9】
前記Rは、一つのπ電子欠乏性含窒素環基を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項10】
前記π電子欠乏性含窒素環基は、トリアゾール基であることを特徴とする請求項9に記載の有機発光素子。
【請求項11】
前記Rは、
下記化学式13(1)で表される基であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【化13(1)】
前記化学式13(1)で、
11ないしX15は、それぞれ独立して、C又はNであり、X11ないしX15のうちの三つは、Nであり、
11はフェニレン基であり、
a11は、1であり、
11は、水素であり、
d14は、2であり、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【請求項12】
前記Rは、下記化学式13-8で表されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【化(13-8)】
前記化学式13-8で、
11は、請求項11と同じであり、
a11は請求項11と同じであり、
11は、請求項11と同じであり、
d12は、2であり、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【請求項13】
前記Rは、カルバゾリル基であり、
前記Rは、水素であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項14】
前記発光層は、遷移金属含有有機金属化合物を含まず、
前記発光層から放出される全体発光成分において、前記熱活性化遅延蛍光エミッタから放出される遅延蛍光成分は、20%以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項15】
前記発光層において、前記熱活性化遅延蛍光エミッタから放出される光は、青色光であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項16】
前記熱活性化遅延蛍光エミッタの含量は、前記ホスト100重量部当たり0.01~30重量部の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子(organic light emitting device)は、自発光型素子であり、従来の素子に比べ、視野角が広くてコントラストに優れるだけではなく、応答時間が短く、輝度、駆動電圧、及び応答速度の特性に優れ、多色化が可能である。
【0003】
一例によると、有機発光素子は、アノード、カソード、及びアノードとカソードとの間に介在する発光層を有する有機層を含む。アノードと発光層との間には正孔輸送領域が具備され、発光層とカソードとの間には電子輸送領域が具備される。アノードから注入された正孔は正孔輸送領域を経由して発光層に移動し、カソードから注入された電子は電子輸送領域を経由して発光層に移動する。正孔及び電子のようなキャリアは、発光層領域で再結合されて励起子(exciton)を生成する。エキシトンが励起状態から基底状態に変わりながら光が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-041636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、高効率及び長寿命を有する有機発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による有機発光素子は、
第1電極、前記第1電極に対向する第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に配置された発光層を有し、前記発光層は、ホスト及び熱活性化遅延蛍光エミッタ(thermal activated delayed fluorescence emitter)を含み、前記ホストは、下記化学式1で表される化合物及び下記化学式2で表される化合物のうちの少なくとも一つを含み、下記化学式1及び2で、CZは、下記化学式CZ1又はCZ2で表される基である。
【化1-2】
【化CZ1-CZ2】
前記化学式1、2、CZ1、及びCZ2で、
環A、A、A、及びAは、それぞれ独立して、ベンゼン基、ナフタレン基、フルオレン基、カルバゾール基、ジベンゾシロール基、ジベンゾフラン基、又はジベンゾチオフェン基であるが、上記化学式2の環Aは、ジベンゾフラン基又はジベンゾチオフェン基であり、
22は、O又はSであり、
mは、0、1、又は2であり、
nは、0又は1であり、
ないしZは、それぞれ独立して、
水素、重水素、又はシアノ基(CN);或いは
重水素、シアノ基、C-C20アルキル基、フェニル基、及びビフェニル基のうちの少なくとも一つで置換されるか又は置換されない、C-C20アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基;であり、
b1ないしb6は、それぞれ独立して、0、1、2、又は3であり、
*は、隣接する原子との結合サイトであり、
下記化学式1で表される化合物及び下記化学式2で表される化合物は、それぞれ少なくとも一つのシアノ基を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の有機発光素子は、高効率及び長寿命を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一具現例による有機発光素子を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の有機発光素子を実施するための形態の具体例を、詳細に説明する。
【0010】
本発明の有機発光素子は、第1電極、第1電極に対向する第2電極、及び第1電極と第2電極との間に配置された発光層を有し、発光層は、ホスト及び熱活性化遅延蛍光エミッタ(thermal activated delayed fluorescence emitter)を含み、ホストは、下記化学式1で表される化合物及び下記化学式2で表される化合物のうちの少なくとも一つを含む。
【0011】
【化1-2】
【0012】
上記化学式1及び2で、CZは、下記化学式CZ1又はCZ2で表される基である。
【0013】
【化CZ1-CZ2】
【0014】
上記化学式1、2、CZ1、及びCZ2で、環A、A、A、及びAは、それぞれ独立して、ベンゼン基、ナフタレン基、フルオレン基、カルバゾール基、ジベンゾシロール基、ジベンゾフラン基、又はジベンゾチオフェン基であるが、上記化学式2の環Aは、ジベンゾフラン基又はジベンゾチオフェン基である。
【0015】
例えば、上記化学式1の環A及びA、上記化学式2の環A、並びに上記化学式CZ1及びCZ2の環A及びAは、ベンゼン基であり、上記化学式2の環Aは、ジベンゾフラン基又はジベンゾチオフェン基であるが、それらに限定されるものではない。
上記化学式1で、X22は、O又はSである。
上記化学式1及び2のmは、0、1、又は2である。
上記化学式1及び2のnは、0又は1である。
【0016】
上記化学式1及び2で、nが0である場合、上記化学式1及び2で、
【化(1-2)a】
で表される基は、単一結合になる。
【0017】
上記化学式1、2、CZ1、及びCZ2で、ZないしZは、それぞれ独立して、
水素、重水素、又はシアノ基(CN);或いは
重水素、シアノ基、C-C20アルキル基、フェニル基、及びビフェニル基のうちの少なくとも一つで置換されるか又は置換されない、C-C20アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基;である。
【0018】
一具現例によると、上記化学式1、2、CZ1、及びCZ2で、ZないしZは、それぞれ独立して、
水素、重水素、又はシアノ基;或いは
重水素、シアノ基、C-C10アルキル基、フェニル基、及びビフェニル基のうちの少なくとも一つで置換されるか又は置換されない、C-C10アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基;である。
【0019】
他の具現例によると、化学式1、2、CZ1、及びCZ2で、ZないしZは、それぞれ独立して、
水素、重水素、又はシアノ基;或いは
重水素、シアノ基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、フェニル基、及びビフェニル基のうちの少なくとも一つで置換されるか又は置換されない、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、フェニル基、ビフェニル基、又はターフェニル基;である。
【0020】
上記化学式1、2、CZ1、及びCZ2で、b1ないしb6は、それぞれZないしZの個数を示したものであり、それぞれ独立して、0、1、2、又は3である。b1ないしb6がそれぞれ2以上である場合、2以上のZないしZは、それぞれ同一であるか又は異なる。例えば、b1ないしb6は、それぞれ独立して、0、1、又は2であるが、それらに限定されるものではない。
【0021】
上記化学式CZ1及びCZ2で、*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0022】
上記化学式1で表される化合物及び上記化学式2で表される化合物は、それぞれ少なくとも一つのシアノ基を含み得る。
【0023】
例えば、上記化学式1で表される化合物に含まれるシアノ基の個数及び上記化学式2で表される化合物に含まれるシアノ基の個数は、それぞれ独立して、1、2、3、又は4(例えば、1又は2)である。
【0024】
一具現例によると、上記化学式1及び2で、
b1個のZ、及びb2個のZのうちの少なくとも一つがシアノ基であるか、
b3個のZ、及びb4個のZのうちの少なくとも一つがシアノ基であるか、
b5個のZ、及びb6個のZのうちの少なくとも一つがシアノ基であるか、
b1個のZ、及びb2個のZのうちの少なくとも一つがシアノ基であり、b3個のZ、及びb4個のZのうちの少なくとも一つがシアノ基であるか、
b1個のZ、及びb2個のZのうちの少なくとも一つがシアノ基であり、b5個のZ、及びb6個のZのうちの少なくとも一つがシアノ基であるか、
b3個のZ、及びb4個のZのうちの少なくとも一つがシアノ基であり、b5個のZ、及びb6個のZのうちの少なくとも一つがシアノ基であるか、或いは
b1個のZ、及びb2個のZのうちの少なくとも一つがシアノ基であり、b3個のZ、及びb4個のZのうちの少なくとも一つがシアノ基であり、b5個のZ、及びb6個のZのうちの少なくとも一つがシアノ基である。
【0025】
他の具現例によると、上記化学式1及び2で、CZは、上記化学式CZ2で表される基であり、上記化学式CZ2で、Zは、少なくとも一つのシアノ基で置換された、C-C20アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基であるが、それらに限定されるものではない。
【0026】
更に他の具現例によると、上記化学式1及び2で、
【化(1-2)a】
で表される基は、下記化学式PO1~PO25、化学式PM1~PM25、化学式PP1~PP18、化学式MO1~MO37、化学式MM1~MM37、化学式MP1~MP25、化学式OO1~OO37、化学式OM1~OM37、化学式OP1~OP25、化学式O1~O16、化学式M1~M16、及び化学式P1~P9で表される基のうちの一つであるが、それらに限定されるものではない。
【0027】
【化PO1-PO25】
【0028】
【化PM1-PM25】
【0029】
【化PP1-PP18】
【0030】
【化MO1-MO32】
【化MO33-MO37】
【0031】
【化MM1-MM32】
【化MM33-MM37】
【0032】
【化MP1-MP25】
【0033】
【化OO1-OO32】
【化OO33-OO37】
【0034】
【化OM1-OM32】
【化OM33-OM37】
【0035】
【化OP1-OP25】
【0036】
【化O1-O16】
【0037】
【化M1-M16】
【0038】
【化P1-P9】
【0039】
上記化学式PO1~PO25、化学式PM1~PM25、化学式PP1~PP18、化学式MO1~MO37、化学式MM1~MM37、化学式MP1~MP25、化学式OO1~OO37、化学式OM1~OM37、化学式OP1~OP25、化学式O1~O16、化学式M1~M16、及び化学式P1~P9で、Z10ないしZ19に関する説明は、それぞれ本明細書において、Z及びZに関する説明を参照し、*及び*’は、それぞれ隣接する原子との結合サイトである。
【0040】
一具現例によると、上記化学式PO1~PO25、化学式PM1~PM25、化学式PP1~PP18、化学式MO1~MO37、化学式MM1~MM37、化学式MP1~MP25、化学式OO1~OO37、化学式OM1~OM37、化学式OP1~OP25、化学式O1~O16、化学式M1~M16、及び化学式P1~P9で、Z10ないしZ19は、シアノ基ではない。
【0041】
他の具現例によると、上記化学式PO1~PO25、化学式PM1~PM25、化学式PP1~PP18、化学式MO1~MO37、化学式MM1~MM37、化学式MP1~MP25、化学式OO1~OO37、化学式OM1~OM37、化学式OP1~OP25、化学式O1~O16、化学式M1~M16、及び化学式P1~P9で、Z10ないしZ19は、それぞれ独立して、
水素、重水素又はシアノ基;或いは
重水素、シアノ基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、フェニル基、及びビフェニル基のうちの少なくとも一つで置換されるか又は置換されない、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、フェニル基、ビフェニル基、又はターフェニル基;である。
【0042】
更に他の具現例によると、上記化学式1で、
【化(1)b】
で表される基は、下記化学式1(1)~1(4)で表される基のうちから選択され(選択されるか)、
上記化学式2で、
【化(2)b】
で表される基は、下記化学式2(1)~2(12)で表される基のうちから選択され(選択されるか)、
上記化学式CZ1で表される基は、下記化学式CZ1(1)~CZ1(3)で表される基のうちから選択され(選択されるか)、
上記化学式CZ2で表される基は、下記化学式CZ2(1)~CZ2(14)で表される基のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0043】
【化1(1)-1(4)】
【0044】
【化2(1)-2(12)】
【0045】
【化CZ1(1)-CZ1(3)】
【0046】
【化CZ2(1)-CZ2(14)】
【0047】
上記化学式1(1)~1(4)、化学式2(1)~2(12)、化学式CZ1(1)~CZ1(3)、及び化学式CZ2(1)~CZ2(14)で、X22、Z、Z、ZないしZ、並びにb5及びb6に関する説明は、それぞれ本明細書に記載された箇所を参照し、*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0048】
例えば、上記化学式1(1)~1(4)、化学式2(1)~2(12)、化学式CZ1(1)~CZ1(3)、及び化学式CZ2(1)~CZ2(14)で、Z、Z、及びZないしZは、シアノ基ではない。
【0049】
更に他の例として、上記化学式CZ2(1)~CZ2(14)で、Zは、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、少なくとも一つのシアノ基で置換されたフェニル基、少なくとも一つのシアノ基で置換されたビフェニル基、又は少なくとも一つのシアノ基で置換されたターフェニル基であるが、それらに限定されるものではない。
【0050】
例えば、ホストは、下記化合物H1~H28のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0051】
【化H1-H23】
【化H24-H28】
【0052】
上記化学式1で、X22は、O又はSであり、上記化学式2で、環Aは、ジベンゾフラン基又はジベンゾチオフェン基である。それにより、上記化学式1及び2は、それぞれCZで表されるカルバゾール系基以外に、ジベンゾフラン基又はジベンゾチオフェン基(或いは、ジベンゾフラン基又はジベンゾチオフェン基を含む縮合環基である)を必ず含む非対称構造を有するが、高い双極子モーメント(dipole moment)を有する。それにより、上記化学式1で表される化合物及び上記化学式2で表される化合物のうちの少なくとも一つを含む電子素子、例えば有機発光素子は、優秀な発光効率を有することができる。
【0053】
例えば、上記化学式1で表される化合物及び上記化学式2で表される化合物の双極子モーメントは、3.41debye以上、例えば3.41debye~10debyeの範囲であるが、それに限定されるものではない。
【0054】
双極子モーメントは、GaussianプログラムのDFT方法を利用(B3LYP,6-31G(d,p)レベルで構造最適化する)し、当該化合物の各原子の部分電荷(mulliken charge)及び原子間距離を求めた後、そこから当該化合物の双極子モーメントを計算することによって評価される。
【0055】
上述のように、上記化学式1及び2は、上述のような非対称構造を有するが、
で表される基(ここで、*は、隣接する任意の原子との結合サイトである)を含まないため(例えば、ホスフィンオキサイド基含有化合物は、
で表される基を含む)、高発光効率を達成することができつつも、有機発光素子の保管時及び/又は駆動時、
で表される基による発光層材料の分解などが実質的に防止されるが、高発光効率及び長寿命を「同時に」達成することができる。
【0056】
ホストの三重項エネルギーレベル(eV)と熱活性化遅延蛍光エミッタの三重項エネルギーレベル(eV)との差は、0.2eV以上及び0.5eV以下である。ホストの三重項エネルギーレベル(eV)と熱活性化遅延蛍光エミッタの三重項エネルギーレベル(eV)との差が上述のような範囲を満足することにより、熱活性化遅延蛍光エミッタで生成された三重項励起子のエネルギーが発光層においてホストに漏れることが防止され、効率的な発光が実現され、ホストの活性化励起エネルギーレベルが抑制され、有機発光素子の長寿命駆動が実現される。
【0057】
三重項エネルギーレベルは、B3LYP/6-31G(d,p)レベルにおいて構造が最適化されたGaussianプログラムのDFT方法を利用して評価したものである。
【0058】
熱活性化遅延蛍光エミッタは、熱活性化遅延蛍光放出メカニズムにより、遅延蛍光を放出することができる任意の化合物のうちから選択される。
【0059】
一具現例によると、熱活性化遅延蛍光エミッタの三重項エネルギーレベル(eV)と熱活性化遅延蛍光エミッタの一重項エネルギーレベル(eV)との差は、0eV以上及び0.5eV以下である。熱活性化遅延蛍光エミッタの三重項エネルギーレベル(eV)と熱活性化遅延蛍光エミッタの一重項エネルギーレベル(eV)との差が上述のような範囲を満足することにより、三重項状態から一重項状態への逆エネルギー移動(up-conversion)が効果的になされ、蛍光ドーパントは、高効率遅延蛍光を放出することができるようになる。
【0060】
三重項エネルギーレベル及び一重項エネルギーレベルは、B3LYP/6-31G(d,p)レベルで構造が最適化されたGaussianプログラムのDFT方法を利用して評価されたものである。
【0061】
一具現例によると、熱活性化遅延蛍光エミッタは、下記化学式11で表される化合物を含み得る。
【0062】
【化11】
【0063】
上記化学式11で、Xは、単一結合、N-[(Lc4-R]、C(R)(R)、O、又はSである。
【0064】
例えば、Xは、単一結合であるが、それに限定されるものではない。
【0065】
上記化学式11で、環A及び環Aは、互いに独立して、ベンゼン基、ナフタレン基、インデン基、インドール基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、ベンゾシロール基、フルオレン基、カルバゾール基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、又はジベンゾシロール基である。
【0066】
例えば、環A及び環Aは、互いに独立して、ベンゼン基、フルオレン基、カルバゾール基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、又はジベンゾシロール基であり、環A及び環Aのうちの少なくとも一つは、ベンゼン基であるが、それらに限定されるものではない。
【0067】
及びLは、互いに独立して、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルキルレンギ、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキレン基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルケニレン基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルケニレン基、置換若しくは非置換のC-C60アリーレン基、置換若しくは非置換のC-C60ヘテロアリーレン基、置換若しくは非置換の二価非芳香族縮合多環基(non-aromatic condensed polycyclic group)、及び置換若しくは非置換の二価非芳香族ヘテロ縮合多環基(non-aromatic condensed heteropolycyclic group)のうちから選択される。
【0068】
例えば、L及びLは、互いに独立して、
フェニレン基、ナフチレン基、フルオレニレン基、ピリジニレン基、ピリミジニレン基、ピラジニレン基、ピリダジニレン基、トリアジニレン基、キノリニレン基、イソキノリニレン基、カルバゾリレン基、ジベンゾフラニレン基、ジベンゾチオフェニレン基、及びインドロカルバゾリレン基;並びに
重水素、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、インドロカルバゾリル基、-Si(Q31)(Q32)(Q33)、及び-N(Q34)(Q35)のうちから選択される少なくとも一つで置換された、フェニレン基、ナフチレン基、フルオレニレン基、ピリジニレン基、ピリミジニレン基、ピラジニレン基、ピリダジニレン基、トリアジニレン基、キノリニレン基、イソキノリニレン基、カルバゾリレン基、ジベンゾフラニレン基、ジベンゾチオフェニレン基、及びインドロカルバゾリレン基;のうちから選択され、
31ないしQ35は、それぞれ独立して、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、及びナフチル基のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0069】
c3及びc4は、それぞれL及びLの個数を示したものであり、互いに独立して、0~4のうちから選択される整数である。c3が2以上である場合、2以上のLは、それぞれ異なるか又は同一であり、c4が2以上である場合、2以上のLは、それぞれ同一であるか又は異なる。例えば、c3及びc4は、互いに独立して、0、1、又は2であるが、それらに限定されるものではない。c3が0である場合、*-(Lc3-*’は、単一結合になり、c4が0である場合、*-(Lc4-*’は、単一結合になる。
【0070】
化学式11で、RないしRは、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、置換若しくは非置換のC-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC-C60アルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルキニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルコキシ基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アリール基、置換若しくは非置換のC-C60アリールオキシ基、置換若しくは非置換のC-C60アリールチオ基、置換若しくは非置換のC-C60ヘテロアリール基、置換若しくは非置換の一価非芳香族縮合多環基、置換若しくは非置換の一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-Si(Q)(Q)(Q)、-N(Q)(Q)、及び-B(Q)(Q)のうちから選択される。ここで、QないしQに関する説明は、本明細書に記載された箇所を参照する。
【0071】
一具現例によると、上記化学式11で、Rは、少なくとも一つのπ電子欠乏性含窒素環基を含み得る。
【0072】
本明細書において、「π電子欠乏性含窒素環基」とは、少なくとも一つの*-N=*’モイエティを有する環基を含む基を意味するものであり、例えばπ電子欠乏性含窒素環基は、イミダゾール基、ピラゾール基、チアゾール基、イソチアゾール基、オキサゾール基、イソオキサゾール基、ピリジン基、ピラジン基、ピリダジン基、ピリミジン基、インダゾール基、プリン基、キノリン基、イソキノリン基、ベンゾキノリン基、ベンゾイソキノリン基、フタラジン基、ナフチリジン基、キノキサリン基、ベンゾキノキサリン基、キナゾリン基、シンノリン基、フェナントリジン基、アクリジン基、フェナントロリン基、フェナジン基、ベンゾイミダゾール基、イソベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、イソベンゾオキサゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基、オキサジアゾール基、トリアジン基、チアジアゾール基、イミダゾピリジン基、イミダゾピリミジン基、アザインデン基、アザインドール基、アザベンゾフラン基、アザベンゾチオフェン基、アザベンゾシロール基、アザフルオレン基、アザカルバゾール基、アザジベンゾフラン基、アザジベンゾチオフェン基、又はアザジベンゾシロール基である。
【0073】
更に他の具現例によると、上記化学式11で、Rは、
重水素、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、フェニル基、(C-C10アルキル)フェニル基、ジ(C-C10アルキル)フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ジ(フェニル)フェニル基、ジ(ビフェニル)フェニル基、(ピリジニル)フェニル基、ジ(ピリジニル)フェニル基、(ピリミジニル)フェニル基、ジ(ピリミジニル)フェニル基、(トリアジニル)フェニル基、ジ(トリアジニル)フェニル基、ピリジニル基、(C-C10アルキル)ピリジニル基、ジ(C-C10アルキル)ピリジニル基、(フェニル)ピリジニル基、ジ(フェニル)ピリジニル基、(ビフェニル)ピリジニル基、ジ(ビフェニル)ピリジニル基、(ターフェニル)ピリジニル基、ビ(ターフェニル)ピリジニル基、(ピリジニル)ピリジニル基、ジ(ピリジニル)ピリジニル基、(ピリミジニル)ピリジニル基、ジ(ピリミジニル)ピリジニル基、(トリアジニル)ピリジニル基、ジ(トリアジニル)ピリジニル基、ピリミジニル基、(C-C10アルキル)ピリミジニル基、ジ(C-C10アルキル)ピリミジニル基、(フェニル)ピリミジニル基、ジ(フェニル)ピリミジニル基、(ビフェニル)ピリミジニル基、ジ(ビフェニル)ピリミジニル基、(ターフェニル)ピリミジニル基、ビ(ターフェニル)ピリミジニル基、(ピリジニル)ピリミジニル基、ジ(ピリジニル)ピリミジニル基、(ピリミジニル)ピリミジニル基、ジ(ピリミジニル)ピリミジニル基、(トリアジニル)ピリミジニル基、ジ(トリアジニル)ピリミジニル基、トリアジニル基、(C-C10アルキル)トリアジニル基、ジ(C-C10アルキル)トリアジニル基、(フェニル)トリアジニル基、ジ(フェニル)トリアジニル基、(ビフェニル)トリアジニル基、ジ(ビフェニル)トリアジニル基、(ターフェニル)トリアジニル基、ビ(ターフェニル)トリアジニル基、(ピリジニル)トリアジニル基、ジ(ピリジニル)トリアジニル基、(ピリミジニル)トリアジニル基、ジ(ピリミジニル)トリアジニル基、(トリアジニル)トリアジニル基、ジ(トリアジニル)トリアジニル基、フルオレニル基、ジ(C-C10アルキル)フルオレニル基、ジ(フェニル)フルオレニル基、ジ(ビフェニル)フルオレニル基、カルバゾリル基、(C-C10アルキル)カルバゾリル基、(フェニル)カルバゾリル基、(ビフェニル)カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、(C-C10アルキル)ジベンゾフラニル基、(フェニル)ジベンゾフラニル基、(ビフェニル)ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、(C-C10アルキル)ジベンゾチオフェニル基、(フェニル)ジベンゾチオフェニル基、及び(ビフェニル)ジベゾチオフェニル基のうちの少なくとも一つで置換されるか又は置換されない、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、フルオレニル基、スピロ-ビフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ピロリル基、イソインドリル基、インドリル基、フラニル基、チオフェニル基、シロリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾシロリル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、ジベンゾシロリル基、インデノカルバゾリル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフラカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ベンゾシロロカルバゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ベンゾキノリニル基、ベンゾイソキノリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、ベンゾキノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、ベンゾイミダゾリル基、イソベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサジリル基、イソベンゾオキサゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアジニル基、チアジアゾリル基、イミダゾピリジニル基、イミダゾピリミジニル基、アザインデニル基、アザインドリル基、アザベンゾフラニル基、アザベンゾチオフェニル基、アザベンゾシロリル基、アザフルオレニル基、アザカルバゾリル基、アザジベンゾフラニル基、アザジベンゾチオフェニル基、及びアザジベンゾシロリル基のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0074】
更に他の具現例によると、上記化学式11で、Rは、
下記化学式13(1)又は13(2)で表される基;
フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、及びインドロカルバゾリル基;並びに
重水素、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、インドロカルバゾリル基、及び-Si(Q31)(Q32)(Q33)のうちから選択される少なくとも一つで置換された、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、及びインドロカルバゾリル基;のうちから選択され、
31ないしQ33は、それぞれ独立して、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、及びナフチル基のうちから選択される。
【0075】
【化13(1)-13(2)】
【0076】
上記化学式13(1)で、X11ないしX15は、それぞれ独立して、C又はNであり、X11ないしX15のうちの少なくとも一つは、Nである。
【0077】
例えば、X11ないしX15において、2個又は3個がNである。
【0078】
上記化学式13(2)で、環A11及び環A12は、互いに独立して、ベンゼン基、ナフタレン基、ピリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピリダジン基、キノリン基、イソキノリン基、キノキサリン基、又はキナゾリン基であり、環A11及び環A12のうちの少なくとも一つは、それぞれ独立して、ピリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピリダジン基、キノリン基、イソキノリン基、キノキサリン基、又はキナゾリン基である。
【0079】
例えば、環A11は、ピリジン基、ピリミジン基、キノリン基、イソキノリン基、キノキサリン基、又はキナゾリン基であり、環A12は、ベンゼン基又はナフタレン基であるが、それらに限定されるものではない。
【0080】
上記化学式13(2)で、X16は、N-[(L12a12-R12]、C(R14)(R15)、O、又はSであり、X17は、単一結合、N-[(L13a13-R13]、C(R16)(R17)、O、又はSである。
【0081】
例えば、X16は、O又はSであり、X17は、単一結合であるが、それらに限定されるものではない。
【0082】
上記化学式13(1)及び13(2)で、L11ないしL13に関する説明は、それぞれ本明細書において、Lに関する説明を参照し、a11ないしa13に関する説明は、それぞれ本明細書において、c3に関する説明を参照し、R11ないしR17に関する説明は、それぞれ本明細書において、Rに関する説明を参照する。
【0083】
上記化学式13(2)で、d16は、0~6の整数のうちから選択され、化学式13(1)で、d14は、0~4の整数のうちから選択される。
【0084】
上記化学式13(1)及び13(2)で、*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0085】
一具現例によると、上記化学式11で、Rは、下記化学式13-1~13-20で表される基のうちの一つで表されるが、それらに限定されるものではない。
【0086】
【化(13-1)-(13-20)】
【0087】
上記化学式13-1~13-20で、
16は、N-[(L12a12-R12]、C(R14)(R15)、O、又はSであり、
11及びL12に関する説明は、それぞれ本明細書において、Lに関する説明を参照し、
a11及びa12に関する説明は、それぞれ本明細書において、c3に関する説明を参照し、
11、R12、R14、及びR15に関する説明は、それぞれ本明細書において、Rに関する説明を参照し、
d16は、0~6の整数のうちから選択され、
d15は、0~5の整数のうちから選択され、
d14は、0~4の整数のうちから選択され、
d13は、0~3の整数のうちから選択され、
d12は、0~2の整数のうちから選択され、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0088】
一具現例によると、上記化学式11で、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、重水素、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、インドロカルバゾリル基、-Si(Q)(Q)(Q)、及び-N(Q)(Q)のうちから選択され、
ないしQは、それぞれ独立して、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、及びナフチル基のうちから選択される。
【0089】
上記化学式11で、a1及びa2は、それぞれR及びRの個数を示したものであり、互いに独立して、0~10の整数のうちから選択される。a1が2以上である場合、2以上のRは、それぞれ同一であるか又は異なり、a2が2以上である場合、2以上のRは、それぞれ同一であるか又は異なる。
【0090】
一具現例によると、熱活性化遅延蛍光エミッタは、下記化学式11-1~11-7のうちの一つで表される化合物を含み得るが、それらに限定されるものではない。
【0091】
【化(11-1)-(11-7)】
【0092】
上記化学式11-1~11-7で、
、L3、c3、及びRないしRに関する説明は、それぞれ本明細書に記載された箇所を参照し、
は、N-[(Lc5-R]、C(R)(R)、O、又はSであり、
及びc5に関する説明は、それぞれ本明細書において、L及びc3に関する説明を参照し、
に関する説明は、本明細書において、Rに関する説明を参照し、
及びRに関する説明は、それぞれ本明細書において、R及びRに関する説明を参照し、
a16は、0~6の整数のうちから選択され、
a14及びa24は、互いに独立して、0~4の整数のうちから選択される。
【0093】
一具現例によると、上記化学式11-1~11-17で、1)Xが、C(R)(R)、O、又はSである場合、R、及び2)Xが、N-[(Lc5-R]である場合、R及びRのうちの少なくとも一つは、互いに独立して、本明細書に記載されたようなπ電子欠乏性含窒素環基を少なくとも一つ含み得る。
【0094】
他の具現例によると、上記化学式11-1~11-17で、1)Xが、C(R)(R)、O、又はSである場合、R3、及び2)Xが、N-[(Lc5-R]である場合、R及びRは、互いに独立して、
上記化学式13(1)又は13(2)で表される基(例えば、上記化学式13-1~13-20で表される基のうちの一つ);
フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、及びインドロカルバゾリル基;並びに
重水素、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、インドロカルバゾリル基、及び-Si(Q31)(Q32)(Q33)のうちから選択される少なくとも一つで置換された、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、及びインドロカルバゾリル基;のうちから選択されるが、
1)Xが、C(R)(R)、O、又はSである場合、R、及び2)Xが、N-[(Lc5-R]である場合、R及びRのうちの少なくとも一つは、互いに独立して、上記化学式13(1)又は13(2)で表される基(例えば、上記化学式13-1~13-20で表される基のうちの一つ)である。
【0095】
一方、熱活性化遅延蛍光エミッタは、下記化学式14Aで表される化合物を含み得る。
【0096】
【化14A】
【0097】
上記化学式14Aで、R21ないしR25は、それぞれ独立して、水素、重水素、シアノ基、C-C10アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、又はターフェニル基である。
【0098】
一具現例によると、熱活性化遅延蛍光エミッタは、シアノ基を含まない。
【0099】
熱活性化遅延蛍光エミッタは、下記化合物D1-1~D1-83、D2-1~D2-81、D3-1~D3-81、及びD201~D211のうちから選択される少なくとも一つの化合物を含み得るが、それらに限定されるものではない。
【0100】
【化(D1-1)-(D1-12)】
【化(D1-13)-(D1-27)】
【化(D1-28)-(D1-39)】
【化(D1-40)-(D1-51)】
【化(D1-52)-(D1-66)】
【化(D1-67)-(D1-78)】
【化(D1-79)-(D1-83)】
【0101】
【化(D2-1)-(D2-12)】
【化(D2-13)-(D2-27)】
【化(D2-28)-(D2-39)】
【化(D2-40)-(D2-51)】
【化(D2-52)-(D2-66)】
【化(D2-67)-(D2-81)】
【0102】
【化(D3-1)-(D3-12)】
【化(D3-13)-(D3-27)】
【化(D3-28)-(D3-39)】
【化(D3-40)-(D3-51)】
【化(D3-52)-(D3-66)】
【化(D3-67)-(D3-81)】
【0103】
【化D201-D211】
【0104】
上述のようなホストと熱活性化遅延蛍光エミッタとを含む発光層は、遷移金属含有有機金属化合物を含まない。即ち、発光層は、遷移金属含有有機金属化合物を含み、遷移金属含有有機金属化合物からのリン光を放出するリン光発光層とは、明らかに区分される。
【0105】
上述のようなホストと熱活性化遅延蛍光エミッタとを含む発光層から放出される全体発光成分のうち、熱活性化遅延蛍光エミッタから放出される遅延蛍光成分は、20%以上、26.7%以上、90%以上、92%以上、94%以上、96%以上、又は98%以上である。
【0106】
発光層は、熱活性化遅延蛍光エミッタの最大発光波長によって、赤色、緑色、及び青色の光を多様に放出することができる。
【0107】
一具現例によると、発光層において、熱活性化遅延蛍光エミッタから放出される光は、青色光であるが、それに限定されるものではない。
【0108】
発光層において、熱活性化遅延蛍光エミッタの含量は、ホスト100重量部当たり0.01~30重量部の範囲であるが、それに限定されるものではない。熱活性化遅延蛍光エミッタの含量が上述のような範囲を満足する場合、濃度消光現象のない高品質の有機発光素子を具現することができる。
【0109】
一具現例によると、発光層は、上述のようなホスト及び熱活性化遅延蛍光エミッタを含むが、リン光化合物(例えば、遷移金属含有有機金属化合物)を含まないため、発光層を含む有機発光素子は、リン光ではない遅延蛍光を放出しながら、高効率及び長寿命を同時に有することができる。
【0110】
図1は、本発明の一具現例による有機発光素子10の断面図を概略的に示したものである。以下、図1を参照し、本発明の一具現例による有機発光素子の構造及び製造方法について説明すると、次の通りである。有機発光素子10は、第1電極11、有機層15、及び第2電極19が順に積層された構造を有する。
【0111】
第1電極11の下部又は第2電極19の上部には、基板が追加して配置される。基板としては、一般的な有機発光素子で使用される基板を使用することができるが、機械的強度、熱安定性、透明性、表面平滑性、取り扱い容易性、及び防水性に優れるガラス基板又は透明プラスチック基板を使用することができる。
【0112】
第1電極11は、例えば基板上部に第1電極用物質を蒸着法又はスパッタリング法などを利用して提供することによって形成される。第1電極11は、アノードである。第1電極用物質は、正孔注入が容易であるように高い仕事関数を有する物質のうちから選択される。第1電極11は、反射型電極、半透過型電極、又は透過型電極である。第1電極用物質としては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などを利用することができる。或いは、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム-リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)のような金属を利用することができる。
【0113】
第1電極11は、単一層構造又は2以上の層を含む多層構造を有することができる。例えば、第1電極11は、ITO/Ag/ITOの3層構造を有することができるが、それに限定されるものではない。
【0114】
第1電極11上部には、有機層15が配置される。
【0115】
有機層15は、正孔輸送領域(hole transport region)、発光層(emission layer)、及び電子輸送領域(electron transport region)を含む。
【0116】
正孔輸送領域は、第1電極11と発光層との間に配置される。
【0117】
正孔輸送領域は、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、及びバッファ層のうちの少なくとも1層を含む。
【0118】
正孔輸送領域は、正孔注入層のみを含むか又は正孔輸送層のみを含む。或いは、正孔輸送領域は、第1電極11から順に積層された正孔注入層/正孔輸送層、又は正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層の構造を有することができる。
【0119】
正孔輸送領域が正孔注入層を含む場合、正孔注入層(HIL)は、第1電極11上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB(Langmuir-Blodgett)法のような多様な方法を利用して形成される。
【0120】
真空蒸着法によって正孔注入層を形成する場合、その蒸着条件は、正孔注入層材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造、及び熱的特性などによって異なるが、例えば、蒸着温度約100~約500℃、真空度約10-8~約10-3torr、蒸着速度約0.01~約100Å/secの範囲で選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0121】
スピンコーティング法によって正孔注入層を形成する場合、コーティング条件は、正孔注入層材料として使用する化合物、目的とするする正孔注入層の構造、及び熱的特性によっても異なるが、約2,000rpm~約5,000rpmのコーティング速度で形成され、コーティング後の溶媒除去のための熱処理温度は、約80℃~200℃の温度範囲で選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0122】
正孔輸送層及び電子阻止層形成条件は、正孔注入層形成条件を参照する。
【0123】
正孔輸送領域は、例えば、m-MTDATA、TDATA、2-TNATA、NPB、β-NPB、TPD、spiro-TPD、spiro-NPB、methylated-NPB、TAPC、HMTPD、4,4’,4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、ポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PANI/PSS)、下記化学式201で表される化合物、及び下記化学式202で表される化合物のうちの少なくとも一つを含む。
【0124】
【化(m-MTDATA)-(HMTPD)】
【0125】
【化201】
【化202】
【0126】
上記化学式201で、Ar101及びAr102は、互いに独立して、
フェニレン基、ペンタレニレン基、インデニレン基、ナフチレン基、アズレニレン基、ヘプタレニレン基、アセナフチレン基、フルオレニレン基、フェナレニレン基、フェナントレニレン基、アントラセニレン基、フルオランテニレン基、トリフェニレニレン基、ピレニレン基、クリセニレニレン基、ナフタセニレン基、ピセニレン基、ペリレニレン基、及びペンタセニレン基;並びに
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、C-C60アルコキシ基、C-C10シクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60アリールオキシ基、C-C60アリールチオ基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、フェニレン基、ペンタレニレン基、インデニレン基、ナフチレン基、アズレニレン基、ヘプタレニレン基、アセナフチレン基、フルオレニレン基、フェナレニレン基、フェナントレニレン基、アントラセニレン基、フルオランテニレン基、トリフェニレニレン基、ピレニレン基、クリセニレニレン基、ナフタセニレン基、ピセニレン基、ペリレニレン基、及びペンタセニレン基;のうちから選択される。
【0127】
上記化学式201で、xa及びxbは、互いに独立して、0~5の整数、又は0、1、又は2である。例えば、xaは、1であり、xbは、0であるが、それらに限定されるものではない。
【0128】
上記化学式201及び202で、R101ないしR108、R111ないしR119、及びR121ないしR124は、それぞれ独立して、
水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C10アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など)、及びC-C10アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基など);
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、及びリン酸基又はその塩のうちの1以上で置換された、C-C10アルキル基及びC-C10アルコキシ基;
フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、及びピレニル基;並びに
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C10アルキル基、及びC-C10アルコキシ基のうちの1以上で置換された、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、及びピレニル基;のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0129】
上記化学式201で、R109は、
フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、及びピリジニル基;並びに
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C20アルキル基、C-C20アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、及びピリジニル基のうちの1以上で置換された、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、及びピリジニル基;のうちから選択される。
【0130】
一具現例によると、上記化学式201で表される化合物は、下記化学式201Aで表されるが、それに限定されるものではない。
【0131】
【化201A】
【0132】
上記化学式201Aで、R101、R111、R112、及びR109に関する詳細な説明は、上述の箇所を参照する。
【0133】
例えば、上記化学式201で表される化合物及び上記化学式202で表される化合物は、下記化合物HT1~HT20を含むが、それらに限定されるものではない。
【0134】
【化HT1-HT12】
【化HT13-HT20】
【0135】
正孔輸送領域の厚みは、約100Å~約10,000Å、例えば約100Å~約1,000Åである。正孔輸送領域が正孔注入層及び正孔輸送層をいずれも含む場合、正孔注入層の厚みは、約100Å~約10,000Å、例えば約100Å~約1,000Åであり、正孔輸送層の厚みは、約50Å~約2,000Å、例えば約100Å~約1,500Åである。正孔輸送領域、正孔注入層、及び正孔輸送層の厚みが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき正孔輸送特性を得ることができる。
【0136】
正孔輸送領域は、上述のような物質以外に、導電性向上のために電荷生成物質を更に含む。電荷生成物質は、正孔輸送領域内に均一又は不均一に分散される。
【0137】
電荷生成物質は、例えばp-ドーパントである。p-ドーパントは、キノン誘導体、金属酸化物、及びシアノ基含有化合物のうちの一つであるが、それらに限定されるものではない。例えば、p-ドーパントの非制限的な例としては、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)及び2,3,5,6-テトラフルオロ-テトラシアノ-1,4-ベンゾキノンジメタン(F4-TCNQ)のようなキノン誘導体;タングステン酸化物及びモリブデン酸化物のような金属酸化物;並びに下記化合物HT-D1、HT-D2のようなシアノ基含有化合物などを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
【0138】
【化(F4-TCNQ)-(HT-D2)】
【0139】
正孔輸送領域は、バッファ層を更に含む。
【0140】
バッファ層は、発光層から放出される光の波長による光学的共振距離を補償し、効率を上昇させる役割を行う。
【0141】
正孔輸送領域は、電子阻止層を更に含む。電子阻止層は、公知の物質、例えばmCPを含み得るが、それに限定されるものではない。
【0142】
【化mCP】
【0143】
正孔輸送領域上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような方法を利用して発光層(EML)を形成する。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって発光層を形成する場合、その蒸着条件及びコーティング条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に正孔注入層の形成と略同一条件範囲内から選択される。
【0144】
有機発光素子がフルカラー有機発光素子である場合、発光層は、赤色発光層、緑色発光層、及び青色発光層にパターニングされる。或いは、発光層は、赤色発光層、緑色発光層、及び/又は青色発光層が積層された構造を有することにより白色光を放出することができるというように、多様な変形例が可能である。
【0145】
発光層は、ホスト及び熱活性化遅延蛍光エミッタを含み、ホスト及び熱活性化遅延蛍光エミッタについての説明は、本明細書に記載された箇所を参照する。
【0146】
発光層の厚みは、約100Å~約1,000Å、例えば約200Å~約600Åである。発光層の厚みが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優秀な発光特性を示すことができる。
【0147】
次に、発光層上部に電子輸送領域が配置される。
【0148】
電子輸送領域は、正孔阻止層、電子輸送層、及び電子注入層のうちから選択される少なくとも1層を含む。
【0149】
例えば、電子輸送領域は、正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層、又は電子輸送層/電子注入層の構造を有するが、それらに限定されるものではない。電子輸送層は、単一層構造又は2以上の互いに異なる物質を含む多層構造を有することができる。
【0150】
電子輸送領域の正孔阻止層、電子輸送層、及び電子注入層の形成条件は、正孔注入層の形成条件を参照する。
【0151】
電子輸送領域が正孔阻止層を含む場合、正孔阻止層は、例えば下記のBCP及びBphenのうちの少なくとも一つを含み得るが、それらに限定されるものではない。
【0152】
【化BCP-Bphen】
【0153】
正孔阻止層の厚みは、約20Å~約1,000Å、例えば約30Å~約300Åである。正孔阻止層の厚みが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優秀な正孔阻止特性を得ることができる。
【0154】
電子輸送層は、上記BCP、Bphen、及び下記Alq3、Balq、TAZ、及びNTAZのうちの少なくとも一つを更に含み得る。
【0155】
【化Alq3-NTAZ】
【0156】
或いは、電子輸送層は、下記化合物ET1~ET25のうちの少なくとも一つを含み得るが、それらに限定されるものではない。
【0157】
【化ET1-ET12】
【化ET13-ET25】
【0158】
電子輸送層の厚みは、約100Å~約1,000Å、例えば約150Å~約500Åである。電子輸送層の厚みが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき電子輸送特性を得ることができる。
【0159】
電子輸送層は、上述のような物質以外に金属含有物質を更に含み得る。
【0160】
金属含有物質はLi錯体を含み得る。Li錯体は、例えば下記化合物ET-D1(リチウムキノレート(LiQ))又はET-D2を含み得る。
【0161】
【化(ET-D1)-(ET-D2)】
【0162】
また、電子輸送領域は、第2電極19から電子の注入を容易にする電子注入層(EIL)を含み得る。
【0163】
電子注入層は、LiF、NaCl、CsF、LiO、及びBaOのうちから選択される少なくとも一つを含み得る。
【0164】
電子注入層の厚みは、約1Å~約100Å、約3Å~約90Åである。電子注入層の厚みが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき電子注入特性を得ることができる。
【0165】
有機層15の上部には、第2電極19が具備される。第2電極19は、カソードである。第2電極19用物質としては、相対的に低い仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物、及びそれらの組み合わせを使用することができる。具体的な例としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム-リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)などを、第2電極19形成用物質として使用することができる。或いは、前面発光素子を得るために、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)を利用して透過型第2電極19を形成することができるというように、多様な変形が可能である。
【0166】
以上、有機発光素子について、図1を参照して説明したが、それらに限定されるものではない。
【0167】
本明細書において、C-C60アルキル基は、炭素数1~60の線状又は分枝状の脂肪族炭化水素一価基を意味し、具体的な例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ter-ブチル基、ペンチル基、iso-アミル基、ヘキシル基などが含まれる。本明細書において、C-C60アルキレン基は、C-C60アルキル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0168】
本明細書において、C-C60アルコキシ基は、-OA101(ここで、A101は、C-C60アルキル基である)の化学式を有する一価基を意味し、その具体的な例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基などが含まれる。
【0169】
本明細書において、C-C60アルケニル基は、C-C60アルキル基の中間又は末端に1以上の炭素二重結合を含む構造を有し、その具体的な例には、エテニル基、プロぺニル基、ブテニル基などが含まれる。本明細書において、C-C60アルケニレン基は、C-C60アルケニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0170】
本明細書において、C-C60アルキニル基は、C-C60アルキル基の中間又は末端に1以上の炭素三重結合を含む構造を有し、その具体的な例には、エチニル基、プロピニル基などが含まれる。本明細書において、C-C60アルキニレン基は、C-C60アルキニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0171】
本明細書において、C-C10シクロアルキル基は、C-C10一価飽和炭化水素単環基を意味し、その具体例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などを含む。本明細書において、C-C10シクロアルキレン基は、C-C10シクロアルキル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0172】
本明細書において、C-C10ヘテロシクロアルキル基は、N、O、P、Si、及びSのうちから選択される少なくとも一つのヘテロ原子を環形成原子として含むC-C10一価単環基を意味し、その具体例は、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフェニル基などを含む。本明細書において、C-C10ヘテロシクロアルキレン基は、C-C10ヘテロシクロアルキル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0173】
本明細書において、C-C10シクロアルケニル基は、C-C10一価単環基として、環内に少なくとも一つの二重結合を有するが、芳香族性(aromaticity)を有さない基を意味し、その具体例は、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基などを含む。本明細書において、C-C10シクロアルケニレン基は、C-C10シクロアルケニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0174】
本明細書において、C-C10ヘテロシクロアルケニル基は、N、O、P、Si、及びSのうちから選択される少なくとも一つのヘテロ原子を環形成原子として含むC-C10一価単環基として、環内に少なくとも一つの二重結合を有する。C-C10ヘテロシクロアルケニル基の具体例は、2,3-ヒドロフラニル基、2,3-ヒドロチオフェニル基などを含む。本明細書において、C-C10ヘテロシクロアルケニレン基は、C-C10ヘテロシクロアルケニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0175】
本明細書において、C-C60アリール基は、C-C60炭素環式芳香族系を有する一価基を意味し、C-C60アリーレン基は、C-C60炭素環式芳香族系を有する二価基を意味する。C-C60アリール基の具体例は、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、クリセニル基などを含む。C-C60アリール基及びC-C60アリーレン基が2以上の環を含む場合、2以上の環は、互いに融合される。
【0176】
本明細書において、C-C60ヘテロアリール基は、N、O、P、Si、及びSのうちから選択される少なくとも一つのヘテロ原子を環形成原子として含み、C-C60炭素環式芳香族系を有する一価基を意味し、C-C60ヘテロアリーレン基は、N、O、P、Si、及びSのうちから選択される少なくとも一つのヘテロ原子を環形成原子として含み、C-C60炭素環式芳香族系を有する二価基を意味する。C-C60ヘテロアリール基の具体例は、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基などを含む。C-C60ヘテロアリール基、及びC-C60ヘテロアリーレン基が2以上の環を含む場合、2以上の環は互いに融合される。
【0177】
本明細書において、C-C60アリールオキシ基は、-OA102(ここで、A102は、C-C60アリール基である)を示し、C-C60アリールチオ基は、-SA103(ここで、A103は、C-C60アリール基である)を示す。
【0178】
本明細書において、一価非芳香族縮合多環基は、2以上の環が互いに縮合され、環形成原子として炭素のみを含み(例えば、炭素数は、8~60である)、分子全体が非芳香族性(non-aromacity)を有する一価基を意味する。非芳香族縮合多環基の具体例は、フルオレニル基などを含む。本明細書において、二価非芳香族縮合多環基は、一価非芳香族縮合多環基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0179】
本明細書において、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基は、2以上の環が互いに縮合され、環形成原子として炭素(例えば、炭素数は、2~60である)以外に、N、O、P、Si、及びSのうちから選択されるヘテロ原子を含み、分子全体が非芳香族性を有する一価基を意味する。一価非芳香族ヘテロ縮合多環基は、カルバゾリル基などを含む。本明細書において、二価非芳香族ヘテロ縮合多環基は、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0180】
本明細書において、置換されたC-C60アルキル基、置換されたC-C60アルケニル基、置換されたC-C60アルキニル基、置換されたC-C60アルコキシ基、置換されたC-C10シクロアルキル基、置換されたC-C10ヘテロシクロアルキル基、置換されたC-C10シクロアルケニル基、置換されたC-C10ヘテロシクロアルケニル基、置換されたC-C60アリール基、置換されたC-C60アリールオキシ基、置換されたC-C60アリールチオ基、置換されたC-C60ヘテロアリール基、置換された一価非芳香族縮合多環基、及び置換された一価非芳香族ヘテロ縮合多環基の置換基のうちの少なくとも一つは、
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、及びC-C60アルコキシ基;
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60アリールオキシ基、C-C60アリールチオ基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-Si(Q11)(Q12)(Q13)、-N(Q14)(Q15)、及び-B(Q16)(Q17)のうちの少なくとも一つで置換された、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、及びC-C60アルコキシ基;
-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60アリールオキシ基、C-C60アリールチオ基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基;
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、C-C60アルコキシ基、C-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60アリールオキシ基、C-C60アリールチオ基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-Si(Q21)(Q22)(Q23)、-N(Q24)(Q25)、及び-B(Q26)(Q27)のうちの少なくとも一つで置換された、C-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60アリールオキシ基、C-C60アリールチオ基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基;並びに
-Si(Q31)(Q32)(Q33)、-N(Q34)(Q35)、及び-B(Q6)(Q37);のうちから選択され、
ないしQ、Q11ないしQ17、Q21ないしQ27、及びQ31ないしQ37は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC-C60アルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルキニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルコキシ基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アリール基、置換若しくは非置換のC-C60アリールオキシ基、置換若しくは非置換のC-C60アリールチオ基、置換若しくは非置換のC-C60ヘテロアリール基、置換若しくは非置換の一価非芳香族縮合多環基、及び置換若しくは非置換の一価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択される。
【0181】
本明細書において、「常温」とは、約25℃の温度を示す。
【0182】
本明細書において、「ビフェニル基及びターフェニル基」は、2個又は3個のベンゼン基が単一結合によって互いに結合された一価基を示す。
【0183】
以下、合成例及び実施例を挙げ、本発明の一具現例による化合物及び有機発光素子について更に具体的に説明するが、本発明は、下記の合成例及び実施例に限定されるものではない。下記合成例において、「『A』の代わりに『B』を使用した」という表現において、「B」の使用量と「A」の使用量は、モル当量基準で同一である。
【0184】
[実施例]
【0185】
<合成例1:化合物H1の合成>
【0186】
下記反応式によって化合物H1を合成した。
【0187】
【化cH1】
【0188】
<中間体(1)の合成>
【0189】
ジベンゾフラン-2-イルボロン酸(dibenzofuran-2-yl boronicacid)(10g、47.2mmol)、3-ブロモ-2-フルオロベンゾニトリル(3-bromo-2-fluorobenzonitrile)(9.43g、47.2mmol)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(Pd(PPh(10.9g、9.4mmol)、炭酸カリウム(KCO、19.6g、141.5mmol)を、テトラヒドロフラン100mlと蒸溜水70mlとに入れ、加熱して還流させた。反応終了後、室温に冷却させ、有機層を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム(NaSO)で乾燥させて濃縮させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン/ヘキサン)で分離した。そこから生成された固体を再結晶(ジクロロメタン/メタノール)させ、白色固体である中間体(1)を合成した。
【0190】
<化合物H1の合成>
【0191】
0℃で、水素化ナトリウム(NaH、60%(ミネラルオイル内))(1.9g、47.8mmol)に、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)20mlを徐々に加えて10分間撹拌した。次に、カルバゾール(8g、47.8mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド30mlに溶解させた後、反応溶液に徐々に添加して2時間室温で撹拌した後、N,N-ジメチルホルムアミド90mlと中間体(1)(10.9g、38.0mmol)との混合物を反応溶液に添加した。その後、120℃に加熱して還流させた。反応終了後、メタノール/水に反応物を注いで生成された沈殿物を濾過した後、メタノールで洗浄して得られた結果物を熱いトルエンに溶かし、シリカゲルを利用して濾過した。そこから得られた濾過液を濃縮させて得られた固体に対して、再結晶を2回(ジクロロメタン/メタノール、酢酸エチル)行い、化合物H1を合成した(収率52%)。
MALDI-TOF mass(計算値:434.49g/mol、測定値:434.15g/mol)
【0192】
<評価例1:双極子モーメント測定>
【0193】
GaussianプログラムのDFT方法を利用(B3LYP,6-31G(d,p)レベルで構造を最適化させる)し、化合物H1及びH21~H28のそれぞれの各原子の部分電荷(mulliken charge)及び原子間距離を求めた後、そこから下記化合物の双極子モーメントを計算し、その結果を表1に記載した。
【0194】
【表1】
【0195】
【化H1-H28】
【0196】
上記表1から、化合物H1及びH21~H28は、相対的に高い双極子モーメントを有するということを確認することができる。
【0197】
<評価例2:減衰時間及び遅延蛍光成分の比率評価>
【0198】
クロロホルムと純水とによって洗浄された石英(quartz)基板を準備した後、下記表2に記載された所定物質を、10-7torrの真空度で真空共蒸着し、50nm厚のフィルムH1、H21、H24、H25、H26、及びBをそれぞれ準備した。
【0199】
【表2】
【0200】
次に、上述のように準備したフィルムH1、H21、H24、H25、H26、及びBのそれぞれに対して、PicoQuant社のTRPL測定計であるFluoTime300と、PicoQuant社のpumping sourceであるPLS340(励起波長=340nm、spectral width=20nm)を利用し、PLスペクトルを常温で評価した後、スペクトルの主ピークの波長を決定し、PLS340が上述のそれぞれのフィルムに加えるphoton pulse(pulse width=500ps)により、それぞれのフィルムから主ピークの波長で放出されるphotonの個数をTCSPC(Time-Correlated Single Photon Counting)を基に経時的に測定することを反復し、fittingが十分に可能なTRPLカーブを求めた。そこから得られた結果に、2或いはそれ以上のexponential decay functionをfittingし、フィルムH1、H21、H24、H25、H26、及びBのTdecay(Ex)(減衰時間)を求めた。Fittingに使用されるfunctionは、下記数式1の通りであり、fittingに使用された各exponential decay functionから得られたTdecayのうちの最大値をTdecay(Ex)として取って表3に示した。残りのTdecay値は、一般fluorescenceのdecayのlife timeを決定するために使用される。このとき、TRPLカーブを求めるための測定時間と同一測定時間の間、同一測定をdark状態(所定のフィルムに入射するpumping signalを遮断した状態)で更に1回反復し、baseline又はbackground signalカーブを得て、fittingにbaselineとして使用した。
【0201】
次に、経時的な全体発光強度(intensity)の積分値に対するTdecay(Ex)として決定されるexponential decay curve(=経時的なintensity変化)を経時的に積分した値の比を計算することにより、全体発光成分に対する遅延蛍光成分の比率を評価して表3に示した。
【0202】
【数1】
【0203】
【表3】
【0204】
【化H1-D205】
【0205】
上記表3から、フィルムBは、フィルムH1、H21、H24、H25、及びH26に比べて、短い減衰時間及び小さい遅延蛍光成分の比率を有するということを確認することができる。
【0206】
<実施例1>
【0207】
1,500Å厚のITO(indium tin oxide)電極(第1電極、アノード)が形成されたガラス基板を蒸溜水超音波で洗浄した。蒸溜水洗浄が終わると、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノールなどの溶剤で超音波洗浄を行って乾燥させた後、プラズマ洗浄機に移送させた後に酸素プラズマを利用し、基板を5分間洗浄した後、真空蒸着機に基板を移送した。
【0208】
ガラス基板のITO電極上に、化合物HT3と化合物HT-D2とを共蒸着し、100Å厚の正孔注入層を形成した後、正孔注入層上に化合物HT3を蒸着し、1,350Å厚の正孔輸送層を形成し、正孔輸送層上にmCPを蒸着し、100Å厚の電子阻止層を形成し、正孔輸送領域を形成した。
【0209】
正孔輸送領域上に、上記化合物H1(ホスト)及び化合物D205(遅延蛍光エミッタ)を、85:15の体積比で共蒸着し、300Å厚の発光層を形成した。
【0210】
発光層上に化合物BCPを真空蒸着して100Å厚の正孔阻止層を形成し、正孔阻止層上に化合物ET3とLiqとを共に真空蒸着し、300Å厚の電子輸送層を形成した後、電子輸送層上にLiqを蒸着して10Å厚の電子注入層を形成し、電子注入層上に1,000Å厚のAl第2電極(カソード)を形成することにより、有機発光素子を作製した。
【0211】
【化HT3-ET3】
【0212】
<比較例A及びB>
【0213】
発光層において、ホストを下記表4のように変更したという点を除いては、実施例1と同一方法を利用して素子を作製した。
【0214】
<評価例3:素子データ評価>
【0215】
実施例1並びに比較例A及びBのそれぞれの最大外部量子効率(EQEmax)、500cd/mでの外部量子効率(500cd/mにおけるEQE)、及び寿命(T80)を、電流・電圧計(Keithley 2400)及び輝度計(Minolta Cs-1000A)を利用して測定し、その結果を表4に整理した。表4の寿命(T80)(500cd/m)データは、初期輝度100%基準で80%輝度になるのにかかる時間(hr)を評価したものである。
【0216】
【表4】
【0217】
【0218】
上記表4から、実施例1の有機発光素子は、比較例A及びBの有機発光素子に比べて、向上した発光効率及び寿命特性を「同時に」有するということを確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0219】
本発明の有機発光素子は、例えば発光関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【0220】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0221】
10 有機発光素子
11 第1電極
15 有機層
19 第2電極

図1