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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】撮像装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/40 20230101AFI20240213BHJP
   H04N 25/46 20230101ALI20240213BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20240213BHJP
【FI】
H04N25/40
H04N25/46
H04N25/76
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019134013
(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公開番号】P2021019287
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 孝治
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-108286(JP,A)
【文献】特開2018-022935(JP,A)
【文献】特開2005-184689(JP,A)
【文献】特開2006-215260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/40
H04N 25/46
H04N 25/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元状に配置された複数の画素を有する撮像面を複数の領域に分割した領域ごとの画素信号を取得して、前記複数の領域のうち被写体像の変化した領域を検知する検知手段と、
(i)前記被写体像の変化した領域の数の検出及び(ii)前記領域の数と非ゼロの所定の閾値との比較に基づく第1の撮影モード又は第2の撮影モードの1つの選択に応じて、前記撮像面における全撮像領域から第1の解像度の画像信号を出力する前記第1の撮影モード、又は、前記撮像面における全撮像領域から前記第1の解像度よりも低解像度の第2の解像度の画像信号を出力する前記第2の撮影モードのいずれかで撮影を行うように制御する制御手段と、を有する、ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記複数の領域のうちの前記被写体像の変化した領域の数が前記非ゼロの所定の閾値以下である場合、前記第1の撮影モードで撮影を行うように制御し、前記複数の領域のうちの前記被写体像の変化した領域の数が前記非ゼロの所定の閾値を超える場合、前記第2の撮影モードで撮影を行うように制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記被写体像の変化した領域の数が前記非ゼロの所定の閾値を超えている場合には、前記被写体像の変化した領域のうち隣接しない領域があるかを更に判定し、前記被写体像の変化した領域のうち隣接しない領域がある場合には、前記第1の撮影モードで撮影を行うように制御する、ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の撮影モードは、画素信号の加算もしくは間引きが行われていない画素信号で構成される画像を出力する撮影モードであり、前記第2の撮影モードは、画素信号の加算もしくは間引きにより画素数が低減された画素信号で構成される画像を出力する撮影モードである、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記検知手段は、前記複数の領域に分割した領域ごとの画素信号を一定の周期で取り出して、当該一定の周期の間の画素信号の変化が所定の変化の閾値を超えたかを判定することにより、前記複数の領域のうち被写体像の変化した領域を検知する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記所定の変化の閾値は、前記撮像装置の外部からの指示に応じて変更可能である、ことを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記検知手段は、前記撮像面を複数の領域に分割した領域ごとに、各領域の画素数より少ない数の画素信号を取得して、前記複数の領域のうち被写体像の変化した領域を検知する、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記複数の領域に分割した各領域の画素数より少ない数の画素信号は、該領域の画素からの画素信号を加算する、あるいは、該領域の画素の画素信号から所定の画素列又は所定の画素行の画素信号を間引いて得られる、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
第1の半導体基板と第2の半導体基板とを含む積層構造により形成される撮像素子を有する、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1の半導体基板は、前記二次元状に配置された画素を含み、前記第2の半導体基板は、前記検知手段と前記制御手段とを含む、ことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
さらに、前記撮影された画像を記録する記録手段を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
二次元状に配置された複数の画素を有する撮像面を複数の領域に分割した領域ごとの画素信号を取得して、前記複数の領域のうち被写体像の変化した領域を検知する検知工程と、
(i)前記被写体像の変化した領域の数の検出及び(ii)前記領域の数と非ゼロの所定の閾値との比較に基づく第1の撮影モード又は第2の撮影モードの1つの選択に応じて、前記撮像面における全撮像領域から第1の解像度の画像信号を出力する前記第1の撮影モード、又は、前記撮像面における全撮像領域から前記第1の解像度よりも低解像度の第2の解像度の画像信号を出力する前記第2の撮影モードのいずれかで撮影を行うように制御する制御工程と、を有する、ことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を用いて注目対象の観測や監視を行うために撮像装置が用いられている。このような用途に用いられる撮像装置には、所定の時間間隔でフレーム画像を撮像し記録するものと、前後フレーム間での輝度値の差分から被写体像の変化を検出したことに応じて、撮像と記録を開始するものとが知られている。
【0003】
特許文献1では、撮影及び記録を行う通常撮影とは異なる駆動モードにおいて、撮像素子の分割ブロック毎に画素加算した出力を用いて被写体像の変化を検出し、検出に係る画像情報に対する情報処理量を減少させて、消費電力を低減する技術を開示している。
【0004】
また、特許文献2では、撮影中の画像から被写体像の変化を検出し、検出した変化量が所定閾値より小さい場合には画素加算または間引き処理を行うことにより、所望の変化がない場合の画像処理の処理負荷を低減する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-22935号公報
【文献】特開2006-215260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示される固体撮像素子は、被写体像の変化の前後で、複数の画素の信号を加算するモードから、画素の信号を加算せずに1画素単位で出力する通常の撮影モードに移行する。すなわち、当該固体撮像素子は、被写体像の変化後には1画素単位で構成される最も画素信号の多い画像を出力する。このため、出力される画像は(例えば被写体像が近傍に位置するなど)被写体を認識するための画像としては不要に詳細な画像となる場合がある。また、特許文献1に開示される技術では、被写体像の変化の前に消費電力を低減可能であるものの、被写体像の変化の後に消費電力を低減することは考慮されていない。
【0007】
また、特許文献2に開示される顕微鏡システムでは、被写体像の変化の検出や加算処理は、撮像部(すなわち撮像素子)の外部にある画像処理部や画素数変換部で行われる。すなわち、撮像部からは常に画素信号の多い画像が出力され、撮像部自体の消費電力を低減することについては考慮されていない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、被写体像の変化の検知に応じて撮影を行うように構成される撮像装置において、被写体像の変化の検知後の動作において消費電力を低減可能な技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するため、例えば本発明の撮像装置は以下の構成を備える。すなわち、二次元状に配置された複数の画素を有する撮像面を複数の領域に分割した領域ごとの画素信号を取得して、複数の領域のうち被写体像の変化した領域を検知する検知手段と、(i)被写体像の変化した領域の数の検出及び(ii)前記領域の数と非ゼロの所定の閾値との比較に基づく第1の撮影モード又は第2の撮影モードの1つの選択に応じて、前記撮像面における全撮像領域から第1の解像度の画像信号を出力する前記第1の撮影モード、又は、前記撮像面における全撮像領域から前記第1の解像度よりも低解像度の第2の解像度の画像信号を出力する前記第2の撮影モードのいずれかで撮影を行うように制御する制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被写体像の変化の検知に応じて撮影を行うように構成される撮像装置において、被写体像の変化の検知後の動作において消費電力を低減可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態における撮像装置の一例としてのデジタルカメラの機能構成例を示すブロック図
図2】本実施形態における撮像素子の機能構成例を示すブロック図
図3】本実施形態における画素部の構成例を示す図
図4】本実施形態における画素ブロックの構成例を示す図
図5】本実施形態におけるイベント検知部の機能構成例を示すブロック図
図6】本実施形態における撮像面における被写体像の例と、当該被写体像を撮影した場合に画素ブロック毎に出力される画像の例を模式的に示す図
図7】本実施形態における撮像面における被写体像の他の例と、当該被写体像を撮影した場合に画素ブロック毎に出力される画像の他の例を模式的に示す図
図8】本実施形態における撮像面における被写体像の更なる他の例と、当該被写体像を撮影した場合に画素ブロック毎に出力される画像の更なる他の例を模式的に示す図
図9】本実施形態における撮像素子の検知モードにおける動作例を説明するタイミングチャート
図10】本実施形態における撮像素子の4Kモードにおける動作例を説明するタイミングチャート
図11】本実施形態における撮像素子のFullHDモードにおける動作例を説明するタイミングチャート
図12】本実施形態における撮像素子における撮影モード制御に係る一連の動作を示すフローチャート
図13】本実施形態の撮像素子を積層構造で実現する例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
以下では撮像装置の一例として、被写体像の変化を検知可能な撮像素子を用いて被写体像の変化の検知後に撮影画像を記録可能なデジタルカメラを用いる例を説明する。しかし、本実施形態は、デジタルカメラに限らず、被写体像の変化を検知可能な撮像素子を用いて被写体像の変化の検知後に撮影画像を記録可能な他の機器にも適用可能である。これらの機器には、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォンを含む携帯電話機、ゲーム機、タブレット端末、医療機器、監視システムや車載用システムの機器などが含まれてよい。
【0014】
(デジタルカメラの構成)
図1は、本実施形態の撮像装置の一例としてデジタルカメラの機能構成例を示すブロック図である。なお、図1に示す機能ブロックの1つ以上は、ASICやプログラマブルロジックアレイ(PLA)などのハードウェアによって実現されてもよいし、CPUやMPU等のプログラマブルプロセッサがソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。また、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。従って、以下の説明において、異なる機能ブロックが動作主体として記載されている場合であっても、同じハードウェアが主体として実現されうる。
【0015】
撮像レンズ101は撮影光学系を構成し、被写体からの光を撮像素子200へ集光する。撮像素子200は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含み、撮像レンズ101を通して入射した光を光電変換する。撮像素子200は、光電変換した信号を後述するAD変換回路によってアナログ・デジタル変換して、画素単位の画像信号を出力する。また、撮像素子200は、内部の画素部からの出力値の変化量および変化領域の検知結果に応じて、撮像素子200自身の駆動制御を選択・変更する制御機能を備える。撮像素子200は、その動作モードとして、例えば通常撮影モードと検知モードとを含む。
【0016】
撮像素子200は、通常撮影モードでは、画素信号を記録用の撮影画像として出力し、他方、検知モードでは、撮像素子200が被写体の変化検知から撮影モードの選択・変更を行う。詳細は後述するが、この制御機能により、撮像素子200の内部で被写体の変化を検知し、被写体の変化に応じた好適な撮影モードを制御可能である。撮影モードには、例えば、3840画素×2160画素で構成される画像信号を出力する4Kモードや、1920画素×1080画素で構成される画像信号を出力するFullHDモードが含まれる。
【0017】
画像処理部102は、撮像素子200から出力される画像信号に対して、フィルタ処理等の各種補正や圧縮等のデジタル画像処理等を行う。また、画像処理部102は、4KモードやFullHDモード等で撮影された画像信号に対して、各モードに応じたリサイズ等の画像処理を行う。
【0018】
制御部103は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの1つ以上のプロセッサを含む。制御部103は、後述する記録部105に記録されたプログラムをメモリ104に展開、実行することにより、画像処理部102や表示部106等を含むデジタルカメラ100全体の動作を統括的に制御する。また、制御部103は、撮像素子200の駆動タイミングの制御を行うほか、ユーザからの操作指示によって選択された静止画モード、FullHDモード、4Kモード等の撮影モードに応じて、デジタルカメラ100の駆動制御を行う。本実施形態では、撮像素子200が被写体の変化検知から撮影モードの選択・変更を行う検知モードを備えているため、制御部103は、撮像素子200の検知モードへの動作許可の制御も行う。
【0019】
メモリ104は、例えばSDRAMなどの揮発性メモリである。メモリ104は、画像処理部102から出力された画像信号、或いは、制御部103の処理に必要なデータ等を一時的に記憶する。記録部105は、例えば半導体メモリや磁気ディスクなどの不揮発性の記録媒体を含み、画像処理部102から出力された画像信号(すなわち撮影画像)を記録し保持する。
【0020】
表示部106は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示デバイスを含み、撮影画像や記録部105から読み出された画像を表示する。また、ユーザがデジタルカメラ100を操作したり設定したりするための操作画面や設定画面等を表示する。
【0021】
操作部107は、例えば、電源ボタン、シャッターボタン、動画の記録開始、停止を指示するボタンなどの撮影に関連する各種操作を入力するスイッチ類を含む。また、操作部107は、例えば、メニュー表示ボタン、決定ボタン、その他カーソルキー、タッチパネル等を含む。操作部107がユーザからこれらのキーやボタンに対する操作を受け付けると、制御部103は当該操作内容に応じてデジタルカメラ100の各部を制御する。
【0022】
(撮像素子200の構成)
次に、図2を参照して、本実施形態に係る撮像素子200の機能構成例について、より詳細に説明する。撮像素子200は、複数の画素が行列状(すなわち2次元状)に配置された画素部220を備えている。撮像素子200は、画素部220の画素単位で出力される画素信号からなる画像信号や、画素ブロック(画素部220の面内を所定態様で分割したブロック)単位で複数画素の信号を加算された画素信号からなる画像信号を出力する機能を有している。
【0023】
画素部220から出力される画素信号は、AD変換回路212により、画素列毎に又は後述する画素ブロック単位としたブロック列毎に、アナログ-デジタル変換される。変換された画素信号は、その後、水平走査回路213の駆動により順次、イベント検知部214へ転送される。
【0024】
イベント検知部214は、撮像素子200の駆動モード制御を行うモード制御部216の制御信号に応じて、入力された画素信号から所定イベントの検知を行ったり、入力された画素信号をそのまま信号処理部215に出力したりする。すなわち、イベント検知部214は、画素ブロック単位で入力された画素信号に対して、複数の画素ブロックのうち被写体像が変化したブロックを検知する検知手段として機能する。イベント検知部214は、画素信号の変化量を検知結果としてモード制御部216へ送信し、さらに画素ブロック単位による画素信号を積算し、積算データとして露光制御部217に供給する。また、イベント検知部214は、画素単位(すなわち画素列毎)で入力された画素信号に対しては、そのまま画素信号を信号処理部215へ出力する。
【0025】
信号処理部215は、イベント検知部214から出力された画素信号の前後の少なくともいずれかに、画素信号の変化量や撮像素子200の撮影モード等を示す付加情報を付加した画像信号を撮像素子200の外部に出力する。撮像素子200の外部に出力される画像信号は撮影画像として記録部105に記録されうる。
【0026】
モード制御部216は、撮像素子200内のイベント検知部214、又は撮像素子200外の制御部103からの信号を受信し、AD変換回路212、水平走査回路213、垂直走査回路211の各々に駆動タイミング制御信号を供給する。これにより、モード制御部216は、撮像素子200の撮像モード毎に応じた駆動制御を行う。また、モード制御部216は、制御部103から撮像素子200が(その動作モードを)検知モードとして動作する動作許可がなされている場合、撮像素子200を検知モードとして画素ブロック毎に画素信号を加算する駆動を開始させる。
【0027】
垂直走査回路211は、各行ごとに接続される信号線を介して、画素単位または画素ブロック単位による行選択・駆動を行う。露光制御部217は、イベント検知部214からの積算データに基づき、撮像素子200の露光制御として露光時間の算出を行い、モード制御部216へ撮像素子200の露光制御信号を供給する。
【0028】
(画素部220の構成)
更に、図3を参照して、本実施形態における画素部220の構成例について説明する。画素部220は、画素230が行列状(すなわち二次元状)に複数配置されている。またイベント検知の加算単位となる画素ブロック240は、図3の例では、例えば2×2の4つの画素230を含むように構成されている。なお、本実施形態では、簡略化して、画素ブロック240を行列2×2とした画素の配置を例に説明するが、行列数および配置については、これに限られるものではない。
【0029】
2×2の画素230で構成される画素ブロック240には、そのブロック単位の行方向に配線された複数の信号線を介して各種制御信号が供給される。すなわち、リセット制御信号RST1,RST2と、行選択制御信号SEL1,SEL2と、転送制御信号TX1,TX2と、加算信号ADD1と、加算後の信号選択制御信号ADD_SEL1が供給される。図3に示すように、各画素230にはリセット制御信号と、行選択制御信号と、転送制御信号が供給される。また、画素ブロックごとに、加算信号と、加算後の信号選択制御信号が供給される。
【0030】
列方向には、画素列ごとに1つの垂直信号線(例えば垂直信号線410-1)が配線される。同じ画素列の各画素230からの出力(すなわち画素信号)は垂直信号線410を介して、接続先のAD変換回路212に入力される。
【0031】
上述した信号線により選択的に各制御信号の供給が行われることで、撮像素子200から行単位で順次、それぞれの垂直信号線410を介して画素信号が出力される。また、動作モードが通常撮影モードである場合には、画素部220の各画素230から画素信号が順次出力される。これに対し、動作モードが検知モードである場合には後述する画素ブロック240内のFDごとの加算スイッチを動作させることで、加算結果が特定の画素から出力される。
【0032】
次に、図4を参照して、本実施形態における画素230の構成について説明する。図4は、画素230が4つ配置されている(画素230-1~230-4)例を示している。画素230-1に着目すると、フォトダイオード406-1にて発生、蓄積された電荷は、転送制御信号TX1により転送スイッチ405-1を制御してフローティングディフュージョン(以後FD)407-1に転送される。ソースフォロアアンプ408-1は、FD407-1に蓄積された電荷に基づく電圧信号を増幅して、画素信号として出力する。ソースフォロアアンプ408-1の出力は、行選択制御信号SEL1により行選択スイッチ409-1を制御して、垂直信号線410-1へ接続される。垂直信号線410-1は、垂直信号線410-1に接続された定電流源411-1と共に構成される。
【0033】
FD407-1に蓄積されている不要電荷をリセットする場合には、リセット制御信号RST1によりリセットスイッチ404-1を制御する。さらにフォトダイオード406-1の電荷をリセットする場合には、リセットスイッチ404-1と共に、転送制御信号TX1を制御して転送スイッチ405-1を制御することにより、当該リセットを実行する。転送制御信号(例えばTX1)とリセット制御信号(例えばRST1)と行選択制御信号(例えばSEL1)は、垂直走査回路211から供給され、各行においてそれぞれの制御信号値を持つ。
【0034】
撮像素子200の動作モードが通常撮影モードである場合、各画素230においてFD407(例えばFD407-1)に転送された信号は、各々の画素(例えば230-1)ごとに出力される。一方、動作モードが検知モードである場合、加算信号ADDにより加算スイッチ413を制御することにより4つの画素のFD(407-1、407-2、407-3、407-4)を短絡することで各画素のFDに転送された信号を加算平均する。
【0035】
その後、加算平均された信号を画素230-3から出力するために、加算後の信号選択制御信号ADD_SELを制御して、加算した結果を読み出す。このようにして、2×2の画素のFDで加算した結果を検知モードにおける出力とする。なお、加算する範囲は2×2に限るものではない。また、信号の加算はFDでの加算に限らず、例えば垂直出力線に複数行の画素の出力信号を同時に出力することで加算平均し、水平の加算はAD変換回路の前に加算回路を設けて実施してもよい。
【0036】
(イベント検知部214の構成)
次に、図5を参照して、本実施形態におけるイベント検知部214の構成例について説明する。出力切り換え回路260は、撮像素子200の動作モードに応じて画素出力先を撮像素子200の内部と外部とのいずれかに切り換える回路である。
【0037】
出力切り換え回路260は、モード制御部216からの制御信号を受信して、撮像素子200の動作モードが検知モードである場合、画素信号の出力先を撮像素子200の内部の積分演算回路261として被写体像の変化を検知させる。一方、撮像素子200の動作モードが通常撮影モードである場合、画素信号の出力先を撮像素子200より外部として、画素信号をイベント検知部214から信号処理部215へ出力する。
【0038】
積分演算回路261は、出力切り替え回路260からの画素信号の出力を受けて出力値を積算し、露光制御部217へ積算データを供給する。また、積分演算回路261は、画素ブロック単位による画素出力を保持するメモリ262へ出力する。メモリ262は、一定の周期で(例えば1フレームごと)取得される画素ブロック単位による画素信号と、当該信号の出力元の撮像素子の面内における行列2次元の分割位置を示す情報とを過去データとして記憶、保持する。
【0039】
差分検出回路263は、同一の分割位置の直近にて読み出された画素ブロック単位による画素信号の信号値と、メモリ262にて保持されている過去データの画素信号の信号値とを比較して、差分データを作成する。差分検出回路263は、作成した差分データを比較回路264に供給する。比較回路264は、供給された各差分データと所定の閾値とを比較し、得られた比較結果データを、モード制御部216に送信する。
【0040】
図6(a)は、撮影される被写体像の一例を示しており、この例では、撮像面を4×4に分割された各画素ブロックに対して、被写体である家屋が右下の2×2ブロックに位置することを示している。図中の破線は各画素ブロックの領域を示している。以降の説明では、面上の画素ブロックの位置について、左上から00、その右隣を01、以降右下33まで、行を左側の数字、列を右側の数字として表して説明する。
【0041】
図6(b)は、図6(a)に示した被写体像に対する、画素部220の画素ブロック240毎の出力を模式的に表している。図6(a)の家屋部分に対応する位置の画素ブロック22、23、32、33からの出力は、家屋およびその背景から画素加算された出力となる。なお、図6(a)に示す例は、家屋に対して背景が明るい場合を示している。したがって、画素ブロック22、23の出力は、家屋と背景の占める割合から、画素ブロック32、33の出力より高い信号値となる。
【0042】
図7(a)および図8(a)は、図6(a)と同様に、被写体像の一例を示している。図6と比べて、被写体像の変化として、図8では人物が左下の1つのブロックに加わり、図8(a)では人物が左の3つのブロックに加わる例を示している。
【0043】
図7(b)は、図7(a)での被写体像に対する画素ブロック毎の出力を模式的に示し、また、図8(b)は図8(a)での被写体像に対する画素ブロック毎の出力を模式的に示している。例えば、図6(a)に示す被写体像から図7(a)に示す被写体像へと変化した場合を考える。差分検出回路263は、メモリ262に過去データとして保持された図6(b)に示す画素ブロック単位の画素信号と、直近で読み出された図7(b)に示す画素ブロック単位の画素信号から、画素ブロック毎での同一の分割位置における差分データを算出する。
【0044】
次に、比較回路264は、算出された差分データと所定の閾値とを比較する。すなわち、比較263は、算出された差分データと所定の閾値(閾値については後述する)とに基づいて、被写体像の変化が生じたかを判定する。その結果、図7(a)および(b)に示す例では、1つの画素ブロック30の差分データにより被写体像の変化が検知される。
【0045】
モード制御部216では、1つの画素ブロックにおいて被写体像の変化が検知された場合、詳細画像の撮影モードへと駆動制御の変更・選択を行う。例えば、本実施形態では、モード制御部216は、撮影モードとして4Kモードを選択する。
【0046】
同様に、図8(a)に示す被写体像の変化を検知した場合、図6(b)と図8(b)に示した画素ブロック単位の画素信号に基づき、差分検出回路263による差分データから、3つの画素ブロック10、20、30において被写体像の変化が検知される。モード制御部216は、2つの画素ブロックを超えて被写体像の変化を検知した場合には、低解像度、省電である撮影モードへと駆動制御の変更・選択を行う。例えば、本実施形態では、モード制御部216は、撮影モードとしてFullHDモードを選択する。このように、モード制御部216は、撮影モードを決定する決定手段として機能する。また、上記決定した撮影モードで撮影を行って、撮影された画像を出力させる制御手段としても機能する。
【0047】
次に、図9を参照して、検知モードで動作する際の、画素ブロック単位による画素信号の読み出し動作について説明する。
【0048】
タイミングT0において、イベントが検知されて(例えば制御部103から撮像素子200が検知モードとして動作する動作許可がなされる)検知モードが設定されたものとする。垂直走査回路211は、加算信号ADD、ADD_SELをハイレベルにすることで、ブロック単位で加算平均された画素信号が垂直信号線に出力されるようになる。
【0049】
同じT0のタイミングにおいて、垂直走査回路211は、リセット制御信号RST1、RST2、転送制御信号TX1、TX2をハイレベルに制御する。これにより、加算信号ADDにより接続状態となったFD407-1~407-4、およびブロック内の各フォトダイオード406-1~406-4が電源電位にリセットされる。
【0050】
タイミングT1において、リセット制御信号RST1、RST2、転送制御信号TX1、TX2がローレベルに復帰して、1行目のブロック単位の画素に対する露光が開始される。タイミングT2において、一定の露光時間経過後、垂直走査回路211は、1行目のブロック単位に対応する転送制御信号TX1、TX2を、ハイレベルに制御して転送スイッチ405-1~405-4をオン状態とする。これにより、各フォトダイオード406-1~406-4に蓄積された電荷をFD(フローティングディフュージョン)に転送する。このようにして、電荷が混合されたブロック単位の露光が終了する。
【0051】
FDに転送されたブロック単位の電荷は、ソースフォロアアンプ408-3にて電圧信号として増幅され、画素出力として垂直出力線より出力される。各垂直出力線に出力された画素出力はAD変換回路にてデジタル信号に変換されることになる。タイミングT3以降は、同様に順次ブロック行単位にて露光および読み出しが行われることで、全ブロック行の読み出しが完了する。また全ブロック行の読み出しは、垂直同期信号に従って複数回に亘って実行される。
【0052】
次に、図10を参照して、4Kモードで動作する際の、画素単位による画素信号の読み出し動作について説明する。
【0053】
タイミングT10において、イベントが検知されて(例えばイベント検知部214において図7(b)に示した被写体像の変化が検知される)撮影モードとして4Kモードが設定されたものとする。
【0054】
垂直走査回路211は、1行目の画素行の画素信号を読み出すため、行選択制御信号SEL_1をハイレベルに制御するとともに、リセット制御信号RST1を所定のパルス期間に旦ってハイレベルに制御する。
【0055】
また、同じT10のタイミングにおいて、垂直走査回路211は、リセット制御信号RST1、転送制御信号TX1をハイレベルに制御する。これにより、1行目の画素におけるFD407-1、FD407-2およびフォトダイオード406-1、406-2が電源電位にリセットされる。また、FD407-3はFD407-1と、FD407-4はFD407-2と各々結線されているため、同様にリセットされる。なお、垂直走査回路211は、4Kモードではブロック単位で画素信号の読み出しを行わないため、加算信号ADD、ADD_SELはハイレベルならない。
【0056】
タイミングT11において、垂直走査回路211の制御により、リセット制御信号RST1、転送制御信号TX1がローレベルに復帰して、1行目の画素行に対する露光が開始される。そして、タイミングT12において、一定の露光時間の経過後、垂直走査回路211は、転送制御信号TX1をハイレベルに制御して転送スイッチ405-1、転送スイッチ405-2をオン状態とする。これにより、フォトダイオード406-1に蓄積された電荷はFD407-1とFD407-3に、フォトダイオード406-2に蓄積された電荷はFD407-2とFD407-4に転送され、画素単位の露光が終了する。
【0057】
FDに転送された電荷は、接続先となる各ソースフォロアアンプ408-1、408-2によって電圧信号として増幅され、画素信号として各列の垂直出力線より出力される。各垂直出力線に出力された画素信号は、各列のAD変換回路にて読み出されることになる。
【0058】
次のタイミングT14からT17では、2行目の画素における信号読み出し動作が行われる。信号の読み出しは、2行目の画素に対応する行選制御択信号SEL_2、リセット制御信号RST2、転送制御信号TX2が、1行目の画素における同信号と同様に駆動制御される。これにより、フォトダイオード406-3に蓄積された電荷がFD407-3と407-1に、フォトダイオード406-4に蓄積された電荷がFD407-4と407-2に転送されて、2行目の画素における画素単位の露光が終了する。
【0059】
FDに転送された電荷は、接続先となる各ソースフォロアアンプ408-3および408-4にて電圧信号として増幅され、画素信号として各列の垂直出力線より出力される。
【0060】
以降の画素行については同様に、画素行単位で露光および読み出しが行われ、その後、全行分の読み出しが完了する。また全行の読み出しは、垂直同期信号に従って複数回に亘って実行される。
【0061】
更に、図11を参照して、FullHDモードで動作する際の、画素単位による画素信号の読み出し動作について説明する。
【0062】
本実施形態におけるFullHDモードでは、撮像素子200は、2行の画素毎に加算した画素信号を読み出す。1画素単位で画素信号を読み出す4Kモードと比較すると、出力する画素数が少なくなるため解像度は低下する。しかし、読み出し期間およびデータ処理に要する時間が短縮されるため、消費電力の低減を図ることができる。
【0063】
タイミングT20において、イベントが検知されて(例えばイベント検知部214において図8(b)に示した被写体像の変化が検知される)撮影モードとしてFullHDモードが設定されたものとする。
【0064】
垂直走査回路211は、FullHDモードとして1行目となる画素2行分に対応するリセット制御信号RST1、RST2、および行選択制御信号SEL_1を所定のパルス期間に旦ってハイレベルに制御する。
また、同じT20のタイミングにおいて、垂直走査回路211は、転送制御信号TX1とTX2をハイレベルに制御する。これにより、FullHDモードとして1行分となる画素2行分のFD407-1、FD407-2、FD407-3、FD407-4、およびフォトダイオード406-1、406-2、406-3、406-4が電源電位にリセットされる。なお、垂直走査回路211は、FullHDモードではブロック単位で画素信号の読み出しを行わないため、加算信号ADD、ADD_SELはハイレベルにならない。
【0065】
タイミングT21において、垂直走査回路211の制御により、リセット制御信号RST1、RST2、転送制御信号TX1、TX2がローレベルに復帰して、FullHDモードの1行目である画素2行分に対する露光が開始される。そして、タイミングT22において、一定の露光時間後、垂直走査回路211は、転送制御信号TX1とTX2をハイレベルに制御して、転送スイッチ405-1、転送スイッチ405-2、転送スイッチ405-3、転送スイッチ405-4をオン状態とする。これにより、フォトダイオード406-1、406-2、406-3、406-4の各々に蓄積された電荷は各FDに転送され、FullHDモードの1行目である画素2行分に対する露光が終了する。
【0066】
FDに転送された電荷は、各列単位にて、ソースフォロアアンプ408-1および408-2によって電圧信号として増幅され、画素信号として各列の垂直出力線より出力される。各垂直出力線に出力された画素信号は、AD変換回路にて読み出されることになる。タイミングT23以降は、同様にFullHDモードとして1行分となる画素2行分単位にて順次露光および読み出しが行われることで、全行の読み出しが完了する。また全行の読み出しは、垂直同期信号に従って複数回に亘って実行される。
【0067】
(撮像素子における撮影モード制御に係る一連の動作)
次に、図12を参照して、撮像素子200における撮影モード制御に係る一連の動作について説明する。本処理において、制御部103の動作は、制御部103が記録部105に格納されたプログラムをメモリ104に展開、実行することにより実現される。また、特に言及しない限り、各ステップの動作は撮像素子200において実行される。
【0068】
以下の説明では、撮像素子200のイベント検知部214等の各部によって実行される動作をまとめて撮像素子200による動作として説明する。なお、本処理は、例えば、デジタルカメラ100の操作部107を介して、撮像素子200の動作モードを検知モードへ変更させるための直接的又は間接的な所定の操作指示を受けた場合に開始される。
【0069】
S1201において、制御部103は、撮像素子200に対して、検知モードで動作するように制御し、撮像素子200の動作モードを検知モードに移行させる。撮像素子200は、制御部103から検知モードとして動作する指示を受け付けたことに応じて、撮像素子200の動作モードを検知モードに設定して、撮像素子200内の画素ブロック毎に加算された画素信号を出力する。
【0070】
S1202において、撮像素子200は、画素部220から画素ブロック毎に加算された画素信号を取得する。撮像素子200は、取得した画素信号をメモリ262に一時的に格納する。
【0071】
S1203において、撮像素子200は、取得した画素ブロック毎の画素信号が検知モードとしての動作開始から1枚目の画像の信号であるかを判定する。撮像素子200は、当該画素信号が動作開始から1枚目の画像の信号であると判定した場合、被写体像の変化を検知するための過去データとの差分が得られないため、処理をS1202に戻す。撮像素子200は、処理対象の画素信号が動作開始から1枚目の画像の信号でない(この場合過去データが存在する)と判定した場合、S1204に処理を進める。
【0072】
S1204において、撮像素子200は、画素ブロック毎の画素信号について、S1202において取得した(n枚目の画像の)画素信号と、メモリ262に格納された過去データの(n-1枚目の画像の)画素信号とを比較して、差分データを作成する。このとき、撮像素子200は、得られた差分データが所定の閾値以上であるか否かを判定したうえで、更に差分データが所定の閾値以上である画素ブロック数をカウントする。
【0073】
すなわち、撮像素子200は、イベント(すなわち被写体像の変化)を検知したブロックがあるかを画素ブロックごとに判定し、かつ、イベントを検知したブロック数をカウントする。なお、上述の例では、差分データを判定する所定の閾値が固定である場合を例に説明しているが、当該所定の閾値を被写体の種別、撮影条件、或いはユーザ操作に応じて変更可能にしてもよい。
【0074】
例えば、被写体の変化として検知すべき対象ではないが監視対象が小刻みに揺れたりして変化するような場合には、上記所定の閾値の値を上昇させて、被写体像の変化の誤検出を低下させる(検出精度を調節する)ことができる。
【0075】
S1205において、撮像素子200は、差分データが所定の閾値以上である(すなわちイベントが検知された)画素ブロックの数を判定する。撮像素子200は、差分データが所定の閾値以上である画素ブロックの数がカウントなし(=0)であると判定した場合、イベントは検知されていないため、S1202に処理を戻す。この場合、上述したS1204までの被写体像の変化を検知する動作を繰り返す。一方、撮像素子200は、カウントが0より大きい場合(すなわちイベントが検知された場合)には、イベントを検知したと判定して、S1206に処理を進める。
【0076】
S1206において、撮像素子200は、S1204で得られたカウント数が所定のカウント閾値(例えば2)を超えているか否かを判定する。撮像素子200は、カウント数が所定のカウント閾値以下であると判定した場合、変化領域範囲は狭く、対象となる被写体像の変化も小さいため、処理をS1207に進める。一方、撮像素子200は、カウント数が所定のカウント閾値を超えていると判定した場合、S1208に処理を進める。
【0077】
なお、S1206の処理の例では、カウント閾値が2である場合を例に説明したが、カウント数は2に限定されるものでなく、撮影条件や、ユーザの意図により変更可能にしてもよい。
【0078】
S1207において、撮像素子200は、撮像素子200の動作モードを検知モードから通常撮影モードに変更したうえで、その撮影モードを、詳細画像を取得可能な撮影モードにする。例えば、画素加算を行わずに1画素単位にて画素信号を読み出す4Kモードに移行する。この4Kモードは、上述のように、S1209において移行する撮影モード(FullHDモード)で出力する画像よりも、画素数の多い画像を出力する撮影モードである。
【0079】
S1208において、撮像素子200は、イベントが検知されたと判定した画素ブロックの分散度を判定する。撮像素子200は、イベントが検知されたと判定した画素ブロックが面内で離散的である(例えば隣接していないブロックがある)と判定した場合、複数の被写体像が存在するものとして、詳細画像を取得するS1207へ進む。換言すれば、本ステップでは、撮像素子200は、変化領域範囲が広く対象被写体が分散しているのか、若しくは被写体像が大であるかを判定し、前者である場合には詳細画像を取得するように撮影モードを制御する。一方、撮像素子200は、イベントが検知されたと判定した画素ブロックが離散的でないと判定した場合、対象となる被写体像の大きさが大きいものとして、S1209に処理を進める。
【0080】
S1209では、撮像素子200は、撮像素子200の動作モードを検知モードから通常撮影モードに変更したうえで、その撮影モードを、読み出し画素数が4Kモードより少なく、低解像度、省電力となるFullHDモードにする。撮像素子200は、画面内の対象被写体の大きさが大きいと判定した場合、被写体がデジタルカメラ近傍に位置する可能性があり、被写体を認識するための画像としては低解像度で十分であると判定することができる。
【0081】
S1210において、撮像素子200は、各撮影モードに移行して撮影動作(すなわち撮影した画像を記録部105に記録する)を開始する際に、各撮影モードでの画像データをカウントするカウント値CNTを0にリセットする。S1211において、撮像素子200は、画像データが取得される度にカウント値CNTをインクリメントし、更に、S1212において、カウント値CNTが、予め決められた数(N)以上であるか否かを判定する。
【0082】
撮像素子200は、カウンタ値CNTがN未満であると判定した場合には、処理をS1211に戻してS1211以降の処理を繰り返し、撮影モードを継続する。一方、撮像素子200は、カウンタ値CNTがN以上であると判定した場合には、本一連の処理を終了する。なお、撮像素子200は、カウンタ値CNTがN以上であると判定した場合に、更に処理を繰り返すために、動作モードを検知モードに戻してもよい。この場合、処理をS1201に戻す。
【0083】
以上説明したように、本実施形態では、撮像素子200は、検知モードにおいて、画素ブロック毎に画素加算された画素信号を用いて被写体像の変化を検知するようにした。このようにすることで、イベント検知までの撮像素子200の動作消費電力を低減することができる。加えて、撮像素子200は、検知した被写体像の変化したブロックに基づいて、適切な撮影モードを決定するようにした。
【0084】
例えば、被写体像の変化を検知したブロックに応じて、詳細な画像の撮影モード、又は低解像度となる画像の撮影モードを選択する。このようにすることで、被写体撮影に対して必要十分な解像度が得られる画素の読み出し方を選択することができ、好適な撮影画像を得ることができるようになる。
また、低解像度の画像が得られるように画素加算を行う撮影モードを選択可能にすることで、撮影モードの選択により消費電力の低減が可能となる。換言すれば、被写体像の変化の検知に応じて撮影を行うように構成される撮像装置において、被写体像の変化の検知後の動作において消費電力を低減可能になる。
【0085】
なお、上述の例では、FullHDモードは、FDを共有する近接する2行による画素信号加算により出力画素数を低減するものとして説明したが、これに限るものではなく、列方向による画素信号加算や、必要とする解像度の範囲において画素信号加算数を変更してもよい。
【0086】
また、上述の実施形態を、撮像素子200の画素群にカラーフィルタ等が配され、色別の画素信号が出力される場合に適用してもよい。この場合、同色の出力画素が配される行または列により同色の画素信号加算を行うようにしてもよい。
【0087】
更に、画素信号加算によって出力する画素信号の数を減らす以外に、読み出す画素行または列を間引いて読み出すようにしてもよい。加えて、上述の例では、検知モードにおいて、画素加算した画素ブロック毎による画素信号を用いて被写体像の変化を検知する例を説明したが、画素ブロック内の画素を所定間隔で間引いたうえで画素信号加算を行ってもよい。
【0088】
また、上述の例では、詳細な画像を用いる撮影モードの一例として4K撮影モードを例に説明し、低解像、省電力となる撮影モードの一例としてFullHDモードを例に説明した。しかし、撮影モードはこれに限るものではなく、デジタルカメラ100に設定可能な撮影モードのうち、画素数の異なる画像を撮影する2以上の撮影モードを選択するようにしてもよい。
【0089】
更に、上述の例では、被写体像の変化に応じて、解像度、省電力の観点から、撮影モードの選択、切り替えを行ったが、更に、被写体に対する撮影の追従性を加えた優先度により、撮影モードにフレームレートを加えて選択、切り替えをしてもよい。例えば、FullHDモードによる撮影は、被写体像が大でありデジタルカメラの近傍である可能性である。このことから、画面内における移動速度も速い可能性があるものとして、撮像素子200が撮影のフレームレートをより高く設定して撮影してもよい。この場合には、デジタルカメラにおける電力状況やユーザの任意選択によって、各優先度に対する度合いを変更可能にしてもよい。
【0090】
(撮像素子を積層構造により実現する例について)
また、上述の撮像素子200は、図13(a)~(c)に示すような積層構造を有する撮像素子として実現されてもよい。撮像素子200は、図13(b)および図13(c)に示す半導体基板1201と、半導体基板1202とを含むように構成されてよい。半導体基板1201と半導体基板1202とは、重畳された状態で封止され、モジュール化(一体化)される。つまり、図13(c)に示すように、半導体基板1201および半導体基板1202は、多層構造(積層構造)を形成する。半導体基板1201に形成される回路と半導体基板1202に形成される回路とは、ビア(VIA)等により互いに接続される。
【0091】
このように、撮像素子200は、第1の半導体基板1201と第2の半導体基板1202が多層構造を形成するように一体化されたモジュール(LSI(Large Scale Integration)チップとも称する)であってよい。モジュール内部において第1の半導体基板1201と第2の半導体基板1202がこのように多層構造を形成することにより、撮像素子200は、半導体基板のサイズを増大させずに、より大規模な回路の実装を実現することができる。すなわち、撮像素子200は、コストの増大を抑制しながら、より大規模な回路を実装することができる。
【0092】
例えば、上述した撮像素子200に含まれる各部は、以下のようにそれぞれ第1の半導体基板1201と、第2の半導体基板1202とのいずれかに形成される。例えば、図13(a)に示すように、第1の半導体基板1201には、上述した画素部220、垂直走査回路211、AD変換回路212、水平走査回路213が形成される。また、第2の半導体基板1202には、イベント検知部214、信号処理部215、モード制御部216、露光制御部217が形成される。なお、図13に示した配置は一例にすぎず、第1の半導体基板1201および第2の半導体基板1202への各部の配置は、これらに限定されるものではない。
【0093】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0094】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0095】
102…画像処理部、200…撮像素子、220…画素部、216…モード制御部、214…イベント検知部、215…信号処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13