(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】自船周辺情報記憶装置及び自船周辺情報表示装置
(51)【国際特許分類】
G08G 3/02 20060101AFI20240213BHJP
B63B 49/00 20060101ALI20240213BHJP
G01S 13/60 20060101ALI20240213BHJP
G01S 13/86 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G08G3/02
B63B49/00 Z
G01S13/60 220
G01S13/86
(21)【出願番号】P 2019135703
(22)【出願日】2019-07-23
【審査請求日】2022-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】曲渕 正敏
(72)【発明者】
【氏名】上関 栄
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-289264(JP,A)
【文献】特開平11-341487(JP,A)
【文献】特開2006-071337(JP,A)
【文献】特開2005-182539(JP,A)
【文献】特開2016-082586(JP,A)
【文献】特開2019-079443(JP,A)
【文献】特開2016-080698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G03B 35/00 - 37/06
G03B 17/56 - 17/58
H04N 5/222 - 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 - 23/76
H04N 23/90 - 23/959
G01S 7/00 - 7/42
G01S 13/00 - 13/95
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自船周辺の同時刻でのレーダ画像及びカメラ画像を取得し、前記レーダ画像及び前記カメラ画像
の重畳表示又は合成表示により、一方を用いて検出することができない物標を、他方を用いて検出することができる物標で補完することができるようにする画像取得部と、
前記レーダ画像及び前記カメラ画像に同時刻スタンプを付与する時刻付与部と、
前記レーダ画像、前記カメラ画像及び前記同時刻スタンプを関連記憶する画像記憶部と、
を備えることを特徴とする自船周辺情報記憶装置。
【請求項2】
前記時刻付与部は、前記レーダ画像及び前記カメラ画像に前記同時刻スタンプを付与する時刻を、前記レーダ画像及び前記カメラ画像が前記自船で生成される時刻に同期させる
ことを特徴とする、請求項1に記載の自船周辺情報記憶装置。
【請求項3】
前記画像取得部は、さらに前記自船周辺の前記同時刻でのAIS(Automatic Identification System)情報を取得し、前記レーダ画像、前記カメラ画像及び前記AIS情報
の重畳表示又は合成表示により、一方を用いて検出することができない物標を、他方を用いて検出することができる物標で補完することができるようにし、
前記時刻付与部は、さらに前記AIS情報に前記同時刻スタンプを付与し、
前記画像記憶部は、さらに前記AIS情報及び前記同時刻スタンプを関連記憶する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の自船周辺情報記憶装置。
【請求項4】
前記時刻付与部は、(1)前記AIS情報が前記自船で取得された時刻と、前記レーダ画像及び前記カメラ画像の時間変化に基づいて計測された他船の進行方向及び進行速度と、前記レーダ画像、前記カメラ画像及び前記AIS情報に基づいて計測された前記他船の位置の間のずれと、に基づいて、前記AIS情報が前記他船で生成された時刻を計測し、(2)前記AIS情報に付与する時刻スタンプとして、前記同時刻スタンプと比べてほぼ同時刻であるが以前の時刻である、前記AIS情報が前記他船で生成された時刻を設定する
ことを特徴とする、請求項3に記載の自船周辺情報記憶装置。
【請求項5】
前記画像取得部は、前記レーダ画像の取得先であるレーダの水平回転するアンテナに取り付けられた水平回転するカメラから、前記カメラ画像を取得する
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の自船周辺情報記憶装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の自船周辺情報記憶装置から、前記同時刻スタンプと関連記憶された前記レーダ画像及び前記カメラ画像を読み出す画像読出部と、
前記同時刻スタンプと関連記憶された前記自船周辺の前記同時刻での前記レーダ画像及び前記カメラ画像を重畳表示又は合成表示する画像表示部と、
を備えることを特徴とする自船周辺情報表示装置。
【請求項7】
前記自船周辺の前記同時刻での前記レーダ画像及び前記カメラ画像の重畳表示又は合成表示において、前記レーダ画像及び前記カメラ画像のうちの一方で検出されたか両方で検出されたかに基づいて、物標の種類を識別する物標識別部、をさらに備える
ことを特徴とする、請求項6に記載の自船周辺情報表示装置。
【請求項8】
自船周辺の同時刻でのカメラ画像及びAIS(Automatic Identification System)情報を取得し、前記カメラ画像及び前記AIS情報
の重畳表示又は合成表示により、一方を用いて検出することができない物標を、他方を用いて検出することができる物標で補完することができるようにする画像取得部と、
前記カメラ画像及び前記AIS情報に同時刻スタンプを付与する時刻付与部と、
前記カメラ画像、前記AIS情報及び前記同時刻スタンプを関連記憶する画像記憶部と、
を備えることを特徴とする自船周辺情報記憶装置。
【請求項9】
前記時刻付与部は、前記カメラ画像に前記同時刻スタンプを付与する時刻を、前記カメラ画像が前記自船で生成される時刻に同期させる
ことを特徴とする、請求項8に記載の自船周辺情報記憶装置。
【請求項10】
前記時刻付与部は、(1)前記AIS情報が前記自船で取得された時刻と、前記カメラ画像の時間変化に基づいて計測された他船の進行方向及び進行速度と、前記カメラ画像及び前記AIS情報に基づいて計測された前記他船の位置の間のずれと、に基づいて、前記AIS情報が前記他船で生成された時刻を計測し、(2)前記AIS情報に付与する時刻スタンプとして、前記同時刻スタンプと比べてほぼ同時刻であるが以前の時刻である、前記AIS情報が前記他船で生成された時刻を設定する
ことを特徴とする、請求項8又は9に記載の自船周辺情報記憶装置。
【請求項11】
前記画像取得部は、さらに前記自船周辺の前記同時刻でのレーダ画像を取得し、前記カメラ画像、前記AIS情報及び前記レーダ画像
の重畳表示又は合成表示により、一方を用いて検出することができない物標を、他方を用いて検出することができる物標で補完することができるようにし、
前記時刻付与部は、さらに前記レーダ画像に前記同時刻スタンプを付与し、
前記画像記憶部は、さらに前記レーダ画像及び前記同時刻スタンプを関連記憶する
ことを特徴とする、請求項8から10のいずれかに記載の自船周辺情報記憶装置。
【請求項12】
前記画像取得部は、前記レーダ画像の取得先であるレーダの水平回転するアンテナに取り付けられた水平回転するカメラから、前記カメラ画像を取得する
ことを特徴とする、請求項11に記載の自船周辺情報記憶装置。
【請求項13】
請求項8から12のいずれかに記載の自船周辺情報記憶装置から、前記同時刻スタンプと関連記憶された前記カメラ画像及び前記AIS情報を読み出す画像読出部と、
前記同時刻スタンプと関連記憶された前記自船周辺の前記同時刻での前記カメラ画像及び前記AIS情報を重畳表示又は合成表示する画像表示部と、
を備えることを特徴とする自船周辺情報表示装置。
【請求項14】
前記自船周辺の前記同時刻での前記カメラ画像及び前記AIS情報の重畳表示又は合成表示において、前記カメラ画像及び前記AIS情報のうちの一方で検出されたか両方で検出されたかに基づいて、物標の種類を識別する物標識別部、をさらに備える
ことを特徴とする、請求項13に記載の自船周辺情報表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自船の周辺の物標を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自船の周辺の物標を検出する技術が、特許文献1等に開示されている。特許文献1では、レーダ画像と目視景観との重畳画像を表示し、輻輳海域での操船判断を支援する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、レーダ画像ではなく目視景観を用いて、小型船舶、木造船舶、落水者及び海洋生物等を検出することができる。しかし、特許文献1では、多数の船員による目視の負担を軽減することができないとともに、船舶用ドライブレコーダを実現することができない。
【0005】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、レーダ画像を用いて検出することができない小型船舶、木造船舶、落水者及び海洋生物等を検出するにあたり、多数の船員による目視の負担を軽減するとともに、船舶用ドライブレコーダを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、自船周辺の同時刻でのレーダ画像及びカメラ画像に同時刻スタンプを付与し、レーダ画像、カメラ画像及び同時刻スタンプを関連記憶する。
【0007】
具体的には、本開示は、自船周辺の同時刻でのレーダ画像及びカメラ画像を取得する画像取得部と、前記レーダ画像及び前記カメラ画像に同時刻スタンプを付与する時刻付与部と、前記レーダ画像、前記カメラ画像及び前記同時刻スタンプを関連記憶する画像記憶部と、を備えることを特徴とする自船周辺情報記憶装置である。
【0008】
この構成によれば、レーダ画像を用いて、自船から中距離及び短距離に位置するAIS搭載船舶、AIS秘匿船舶、ブイ及び養殖いかだ等を検出することができる。一方で、カメラ画像を用いて、自船から短距離に位置するAIS搭載船舶、AIS秘匿船舶、AIS非搭載船舶、ブイ、養殖いかだ、落水者及び海洋生物等を検出することができる。そして、レーダ画像及びカメラ画像を併せて、一方の短所を他方の長所で補完することができ、多数の船員による目視の負担を軽減することができる。さらに、レーダ画像及びカメラ画像に対して、同時刻スタンプを付与することにより、改竄することを防止することができ、船舶用ドライブレコーダを実現することができる。なお、AIS秘匿船舶は、軍艦及び海賊船等であり、AIS非搭載船舶は、小型船舶及び木造船舶等である。
【0009】
また、本開示は、前記時刻付与部は、前記レーダ画像及び前記カメラ画像に前記同時刻スタンプを付与する時刻を、前記レーダ画像及び前記カメラ画像が前記自船で生成される時刻に同期させることを特徴とする自船周辺情報記憶装置である。
【0010】
この構成によれば、レーダ画像及びカメラ画像に付与する時刻スタンプを、レーダ画像及びカメラ画像の自船での生成時刻と同期させるため、レーダ画像及びカメラ画像に付与する時刻スタンプの精度ひいては船舶用ドライブレコーダの精度を上げることができる。
【0011】
また、本開示は、前記画像取得部は、さらに前記自船周辺の前記同時刻でのAIS(Automatic Identification System)情報を取得し、前記時刻付与部は、さらに前記AIS情報に前記同時刻スタンプを付与し、前記画像記憶部は、さらに前記AIS情報及び前記同時刻スタンプを関連記憶することを特徴とする自船周辺情報記憶装置である。
【0012】
この構成によれば、AIS情報を用いて、自船から長距離、中距離及び短距離に位置するAIS搭載船舶を検出することができる。そして、AIS情報を併せて、一方の短所を他方の長所で補完することができ、多数の船員による目視の負担を軽減することができる。さらに、AIS情報に対して、同時刻スタンプを付与することにより、改竄することを防止することができ、船舶用ドライブレコーダを実現することができる。さらに、他船が送信したAIS情報を用いて、自船が生成したレーダ画像及びカメラ画像の物標位置精度を保証することができる。
【0013】
また、本開示は、前記時刻付与部は、(1)前記AIS情報が前記自船で取得された時刻と、前記レーダ画像及び前記カメラ画像の時間変化に基づいて計測された他船の進行方向及び進行速度と、前記レーダ画像、前記カメラ画像及び前記AIS情報に基づいて計測された前記他船の位置の間のずれと、に基づいて、前記AIS情報が前記他船で生成された時刻を計測し、(2)前記AIS情報に付与する時刻スタンプとして、前記同時刻スタンプと比べてほぼ同時刻であるが以前の時刻である、前記AIS情報が前記他船で生成された時刻を設定することを特徴とする自船周辺情報記憶装置である。
【0014】
この構成によれば、AIS情報に付与する時刻スタンプを、同時刻スタンプと比べて少々以前の時刻であるAIS情報の他船での生成時刻と同期させるため、AIS情報に付与する時刻スタンプの精度ひいては船舶用ドライブレコーダの精度を上げることができる。
【0015】
また、本開示は、前記画像取得部は、前記レーダ画像の取得先であるレーダの水平回転するアンテナに取り付けられた水平回転するカメラから、前記カメラ画像を取得することを特徴とする自船周辺情報記憶装置である。
【0016】
この構成によれば、カメラがレーダと同様に自船の高い位置に設置されるため、自船の死角が少なくなり、自船の近傍の小型船舶、木造船舶、落水者及び海洋生物等を検出することができる。
【0017】
また、本開示は、以上に記載の自船周辺情報記憶装置から、前記同時刻スタンプと関連記憶された前記レーダ画像及び前記カメラ画像を読み出す画像読出部と、前記同時刻スタンプと関連記憶された前記自船周辺の前記同時刻での前記レーダ画像及び前記カメラ画像を重畳表示又は合成表示する画像表示部と、を備えることを特徴とする自船周辺情報表示装置である。
【0018】
この構成によれば、レーダ画像及びカメラ画像を重畳表示又は合成表示することができ、多数の船員による目視の負担を軽減することができる。
【0019】
また、本開示は、前記自船周辺の前記同時刻での前記レーダ画像及び前記カメラ画像の重畳表示又は合成表示において、前記レーダ画像及び前記カメラ画像のうちの一方で検出されたか両方で検出されたかに基づいて、物標の種類を識別する物標識別部、をさらに備えることを特徴とする自船周辺情報表示装置である。
【0020】
この構成によれば、物標の種類(AIS搭載船舶、AIS秘匿船舶、AIS非搭載船舶、ブイ、養殖いかだ、落水者及び海洋生物等。)を識別することができ、特に小型船舶、木造船舶、落水者及び海洋生物等を検出することができる。
【0021】
前記課題を解決するために、自船周辺の同時刻でのカメラ画像及びAIS情報に同時刻スタンプを付与し、カメラ画像、AIS情報及び同時刻スタンプを関連記憶する。
【0022】
具体的には、本開示は、自船周辺の同時刻でのカメラ画像及びAIS(Automatic Identification System)情報を取得する画像取得部と、前記カメラ画像及び前記AIS情報に同時刻スタンプを付与する時刻付与部と、前記カメラ画像、前記AIS情報及び前記同時刻スタンプを関連記憶する画像記憶部と、を備えることを特徴とする自船周辺情報記憶装置である。
【0023】
この構成によれば、カメラ画像を用いて、自船から短距離に位置するAIS搭載船舶、AIS秘匿船舶、AIS非搭載船舶、ブイ、養殖いかだ、落水者及び海洋生物等を検出することができる。一方で、AIS情報を用いて、自船から長距離、中距離及び短距離に位置するAIS搭載船舶を検出することができる。そして、カメラ画像及びAIS情報を併せて、一方の短所を他方の長所で補完することができ、多数の船員による目視の負担を軽減することができる。さらに、カメラ画像及びAIS情報に対して、同時刻スタンプを付与することにより、改竄することを防止することができ、船舶用ドライブレコーダを実現することができる。さらに、他船が送信したAIS情報を用いて、自船が生成したカメラ画像(レーダ画像を含めてもよい。)の物標位置精度を保証することができる。なお、AIS秘匿船舶は、軍艦及び海賊船等であり、AIS非搭載船舶は、小型船舶及び木造船舶等である。
【0024】
また、本開示は、前記時刻付与部は、前記カメラ画像に前記同時刻スタンプを付与する時刻を、前記カメラ画像が前記自船で生成される時刻に同期させることを特徴とする自船周辺情報記憶装置である。
【0025】
この構成によれば、カメラ画像に付与する時刻スタンプを、カメラ画像の自船での生成時刻と同期させるため、カメラ画像に付与する時刻スタンプの精度ひいては船舶用ドライブレコーダの精度を上げることができる。
【0026】
また、本開示は、前記時刻付与部は、(1)前記AIS情報が前記自船で取得された時刻と、前記カメラ画像の時間変化に基づいて計測された他船の進行方向及び進行速度と、前記カメラ画像及び前記AIS情報に基づいて計測された前記他船の位置の間のずれと、に基づいて、前記AIS情報が前記他船で生成された時刻を計測し、(2)前記AIS情報に付与する時刻スタンプとして、前記同時刻スタンプと比べてほぼ同時刻であるが以前の時刻である、前記AIS情報が前記他船で生成された時刻を設定することを特徴とする自船周辺情報記憶装置である。
【0027】
この構成によれば、AIS情報に付与する時刻スタンプを、同時刻スタンプと比べて少々以前の時刻であるAIS情報の他船での生成時刻と同期させるため、AIS情報に付与する時刻スタンプの精度ひいては船舶用ドライブレコーダの精度を上げることができる。
【0028】
また、本開示は、前記画像取得部は、さらに前記自船周辺の前記同時刻でのレーダ画像を取得し、前記時刻付与部は、さらに前記レーダ画像に前記同時刻スタンプを付与し、前記画像記憶部は、さらに前記レーダ画像及び前記同時刻スタンプを関連記憶することを特徴とする自船周辺情報記憶装置である。
【0029】
この構成によれば、レーダ画像を用いて、自船から中距離及び短距離に位置するAIS搭載船舶、AIS秘匿船舶、ブイ及び養殖いかだ等を検出することができる。そして、レーダ画像を併せて、一方の短所を他方の長所で補完することができ、多数の船員による目視の負担を軽減することができる。さらに、レーダ画像に対して、同時刻スタンプを付与することにより、改竄することを防止することができ、船舶用ドライブレコーダを実現することができる。
【0030】
また、本開示は、前記画像取得部は、前記レーダ画像の取得先であるレーダの水平回転するアンテナに取り付けられた水平回転するカメラから、前記カメラ画像を取得することを特徴とする自船周辺情報記憶装置である。
【0031】
この構成によれば、カメラがレーダと同様に自船の高い位置に設置されるため、自船の死角が少なくなり、自船の近傍の小型船舶、木造船舶、落水者及び海洋生物等を検出することができる。
【0032】
また、本開示は、以上に記載の自船周辺情報記憶装置から、前記同時刻スタンプと関連記憶された前記カメラ画像及び前記AIS情報を読み出す画像読出部と、前記同時刻スタンプと関連記憶された前記自船周辺の前記同時刻での前記カメラ画像及び前記AIS情報を重畳表示又は合成表示する画像表示部と、を備えることを特徴とする自船周辺情報表示装置である。
【0033】
この構成によれば、カメラ画像及びAIS情報を重畳表示又は合成表示することができ、多数の船員による目視の負担を軽減することができる。
【0034】
また、本開示は、前記自船周辺の前記同時刻での前記カメラ画像及び前記AIS情報の重畳表示又は合成表示において、前記カメラ画像及び前記AIS情報のうちの一方で検出されたか両方で検出されたかに基づいて、物標の種類を識別する物標識別部、をさらに備えることを特徴とする自船周辺情報表示装置である。
【0035】
この構成によれば、物標の種類(AIS搭載船舶、AIS秘匿船舶、AIS非搭載船舶、ブイ、養殖いかだ、落水者及び海洋生物等。)を識別することができ、特に小型船舶、木造船舶、落水者及び海洋生物等を検出することができる。
【発明の効果】
【0036】
このように、本開示は、レーダ画像を用いて検出することができない小型船舶、木造船舶、落水者及び海洋生物等を検出するにあたり、多数の船員による目視の負担を軽減するとともに、船舶用ドライブレコーダを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本開示の自船周辺情報表示システムの概要を示す図である。
【
図2】本開示の自船周辺情報表示システムの構成を示す図である。
【
図3】本開示の自船周辺情報記憶・表示処理の手順を示す図である。
【
図4】本開示の自船周辺情報記憶処理の内容を示す図である。
【
図5】本開示の自船周辺情報表示処理の内容を示す図である。
【
図6】本開示の自船周辺物標識別処理の概要を示す図である。
【
図7】本開示の自船周辺物標識別処理の内容を示す図である。
【
図8】本開示の自船周辺物標識別処理の効果を示す図である。
【
図9】本開示のレーダ画像及びカメラ画像の時刻スタンプの高精度化を示す図である。
【
図10】本開示のAIS情報の時刻スタンプの高精度化を示す図である。
【
図11】本開示の自船周辺情報表示システムの具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0039】
本開示の自船周辺情報表示システムの概要を
図1に示す。自船Sの操舵室には、自船周辺情報表示システムDが設置される。自船Sの高い位置には、レーダRの水平回転アンテナが設置される。レーダRの水平回転アンテナには、複数のカメラCが設置される。
【0040】
複数のカメラCは自船Sの高い位置に設置されるため、自船Sの死角が少なくなり、自船Sの近傍の物標T(特に、小型船舶、木造船舶、落水者及び海洋生物等。)を検出することができる。複数のカメラCが可視光カメラであれば、昼間に自船Sの周辺の物標Tを検出することができる。複数のカメラCが赤外線カメラであれば、夜間に自船Sの周辺の物標Tを検出することができ、温度測定で自船Sの周辺の生物(特に、落水者及び海洋生物等。)を検出することもできる。
【0041】
本開示の自船周辺情報表示システムの構成を
図2に示す。自船周辺情報表示システムDは、自船周辺情報記憶装置1及び自船周辺情報表示装置2を備える。自船周辺情報記憶装置1は、画像取得部11、時刻付与部12及び画像記憶部13を備える。自船周辺情報表示装置2は、画像読出部21、画像表示部22及び物標識別部23を備える。
【0042】
本開示の自船周辺情報記憶・表示処理の手順を
図3に示す。本開示の自船周辺情報記憶処理の内容を
図4に示す。本開示の自船周辺情報表示処理の内容を
図5に示す。
【0043】
まず、自船周辺情報記憶装置1について説明する。画像取得部11は、自船S周辺の同時刻でのレーダ画像、カメラ画像及びAIS情報を取得する(ステップS1)。時刻付与部12は、自船S周辺の同時刻でのレーダ画像、カメラ画像及びAIS情報に同時刻スタンプを付与する(ステップS2)。画像記憶部13は、自船S周辺の同時刻でのレーダ画像、カメラ画像及びAIS情報並びに同時刻スタンプを関連記憶する(ステップS3)。
【0044】
図4の上段では、時刻T1での記憶データM1を示す。時刻T1での記憶データM1は、時刻T1でのレーダ画像R1、カメラ画像C1及びAIS情報A1を備える。時刻T1でのレーダ画像R1は、時刻T1での画像情報及び時刻スタンプを備える。時刻T1でのカメラ画像C1は、時刻T1での画像情報、撮像方向(船首方向、右舷方向、船尾方向及び左舷方向等。)及び時刻スタンプを備える。時刻T1でのAIS情報A1は、時刻T1での複数の他船固有情報、複数の他船位置情報及び時刻スタンプを備える。
【0045】
図4の下段では、時刻Tnでの記憶データMnを示す。時刻Tnでの記憶データMnは、時刻Tnでのレーダ画像Rn、カメラ画像Cn及びAIS情報Anを備える。時刻Tnでのレーダ画像Rnは、時刻Tnでの画像情報及び時刻スタンプを備える。時刻Tnでのカメラ画像Cnは、時刻Tnでの画像情報、撮像方向(船首方向、右舷方向、船尾方向及び左舷方向等。)及び時刻スタンプを備える。時刻TnでのAIS情報Anは、時刻Tnでの複数の他船固有情報、複数の他船位置情報及び時刻スタンプを備える。
【0046】
時刻スタンプは、GPS(Global Positioning System)の時計、自船Sの時計又は時刻認証局等によるものである。このように、レーダ画像、カメラ画像及びAIS情報に対して、同時刻スタンプを付与することにより、改竄することを防止することができ、船舶用ドライブレコーダを実現することができる。
【0047】
次に、自船周辺情報表示装置2について説明する。画像読出部21は、自船周辺情報記憶装置1から、同時刻スタンプと関連記憶された、自船S周辺の同時刻でのレーダ画像、カメラ画像及びAIS情報を読み出す(ステップS4)。画像表示部22は、同時刻スタンプと関連記憶された、自船S周辺の同時刻でのレーダ画像、カメラ画像及びAIS情報を重畳表示又は合成表示する(ステップS5)。物標識別部23については、後述する。
【0048】
図5の上段では、自船Sの周辺の時刻T1でのレーダ画像、カメラ画像及びAIS情報の重畳表示を示す。重畳画面DSは、レーダRのPPI(Plan Position Indicator)画面を用いて、レーダ画像で検出された物標位置P2、P3、P4、P5を丸印で示し、カメラ画像で検出された物標位置P4、P5、P6を三角印で示し、AIS情報で検出された物標位置P1、P2、P4を四角印で示す。
【0049】
図5の下段では、自船Sの周辺の時刻T1でのレーダ画像、カメラ画像及びAIS情報の合成表示を示す。重畳画面DSは、レーダRのPPI画面を用いて、レーダ画像で検出された物標位置P2、P3、P4、P5を丸印で示し、AIS情報で検出された物標位置P1、P2、P4を四角印で示す。アラウンドビュー画面DA1、DA2、DA3、DA4は、レーダRのPPI画面の周囲に、船首方向、右舷方向、船尾方向、左舷方向のカメラ画像を示し、カメラ画像で検出された物標位置P4、P5、P6を三角印で示す。
【0050】
カメラ画像で検出された物標位置P4、P5、P6は、各々のカメラCから自船Sの所定位置(自船Sの船首、右舷、船尾及び左舷等。)への距離及び方向と、各々のカメラCから物標位置P4、P5、P6への方向と、に基づいて、測定される。このように、レーダ画像、カメラ画像及びAIS情報を併せて、一方の短所を他方の長所で補完することができ(
図6から
図8までを参照。)、多数の船員による目視の負担を軽減することができる。
【0051】
本開示の自船周辺物標識別処理の概要を
図6に示す。本開示の自船周辺物標識別処理の内容を
図7に示す。本開示の自船周辺物標識別処理の効果を
図8に示す。
【0052】
物標識別部23は、自船S周辺の同時刻でのレーダ画像、カメラ画像及びAIS情報の重畳表示又は合成表示において、レーダ画像、カメラ画像及びAIS情報のうちの一つ、二つ又は全てで検出されたかに基づいて、物標Tの種類を識別する。
【0053】
図6では、自船Sの周辺の物標Tの識別の方針を示す。レーダ画像を用いて、自船Sから相対的に中距離及び短距離に位置する、AIS搭載船舶、AIS秘匿船舶、ブイ及び養殖いかだ等を検出することができる。カメラ画像を用いて、自船Sから相対的に短距離に位置する、AIS搭載船舶、AIS秘匿船舶、AIS非搭載船舶、ブイ、養殖いかだ、落水者及び海洋生物等を検出することができる。AIS情報を用いて、自船Sから相対的に長距離、中距離及び短距離に位置する、AIS搭載船舶を検出することができる。なお、AIS秘匿船舶は、軍艦及び海賊船等であり、AIS非搭載船舶は、小型船舶及び木造船舶等である。
【0054】
図7から
図10まででは、説明を簡潔にするため、(1)レーダ画像を用いて、自船Sから相対的に中距離及び短距離に位置する、AIS搭載船舶及びAIS秘匿船舶を検出し、(2)カメラ画像を用いて、自船Sから相対的に短距離に位置する、AIS搭載船舶、AIS秘匿船舶及びAIS非搭載船舶を検出し、(3)AIS情報を用いて、自船Sから相対的に長距離、中距離及び短距離に位置する、AIS搭載船舶を検出する、とする。
【0055】
図7の上段では、自船Sの周辺の時刻T1での物標Tの識別の結果を示す。重畳画面DSは、レーダRのPPI画面を用いて、レーダ画像で検出された物標位置P2、P3、P4、P5を丸印で示し、カメラ画像で検出された物標位置P4、P5、P6を三角印で示し、AIS情報で検出された物標位置P1、P2、P4を四角印で示す。
【0056】
物標位置P1は、自船Sから相対的に長距離に位置し、AIS情報のみで検出され、AIS搭載船舶の位置と識別される。物標位置P2は、自船Sから相対的に中距離に位置し、レーダ画像及びAIS情報のみで検出され、AIS搭載船舶の位置と識別される。物標位置P3は、自船Sから相対的に中距離に位置し、レーダ画像のみで検出され、AIS秘匿船舶の位置と識別される。物標位置P4は、自船Sから相対的に短距離に位置し、レーダ画像、カメラ画像及びAIS情報全てで検出され、AIS搭載船舶の位置と識別される。物標位置P5は、自船Sから相対的に短距離に位置し、レーダ画像及びカメラ画像のみで検出され、AIS秘匿船舶の位置と識別される。物標位置P6は、自船Sから相対的に短距離に位置し、カメラ画像のみで検出され、AIS非搭載船舶の位置と識別される。
【0057】
図7の下段では、自船Sの周辺の時刻Tnでの物標Tの識別の結果を示す。重畳画面DSは、レーダRのPPI画面を用いて、レーダ画像で検出された物標位置P2’、P3’、P4’、P5’を丸印で示し、カメラ画像で検出された物標位置P6’を三角印で示し、AIS情報で検出された物標位置P1’、P2’、P4’を四角印で示す。
【0058】
物標位置P1’は、自船Sから相対的に長距離に位置し、AIS情報のみで検出され、AIS搭載船舶の位置と識別される。物標位置P2’は、自船Sから相対的に中距離に位置し、レーダ画像及びAIS情報のみで検出され、AIS搭載船舶の位置と識別される。物標位置P3’は、自船Sから相対的に中距離に位置し、レーダ画像のみで検出され、AIS秘匿船舶の位置と識別される。物標位置P4’は、自船Sから相対的に中距離に位置し、レーダ画像及びAIS情報のみで検出され、AIS搭載船舶の位置と識別される。物標位置P5’は、自船Sから相対的に中距離に位置し、レーダ画像のみで検出され、AIS秘匿船舶の位置と識別される。物標位置P6’は、自船Sから相対的に短距離に位置し、カメラ画像のみで検出され、AIS非搭載船舶の位置と識別される。
【0059】
自船Sの周辺の時刻T1、Tnでの物標Tの識別の結果が比較され、物標位置P1、P2、P3、P4、P5、P6がそれぞれ、物標位置P1’、P2’、P3’、P4’、P5’、P6’へ移動したことが、矢印で示した追尾ベクトルにより示される。このように、レーダ画像、カメラ画像及びAIS情報を併せて、一方の短所を他方の長所で補完することができ、多数の船員による目視の負担を軽減することができる。
【0060】
なお、自船周辺情報表示システムDにおいて、AIS秘匿船舶及びAIS非搭載船舶を検出したときには、これらの船舶をしばらく追尾・撮影し、これらの船舶の画像を長期間記憶し、これらの船舶のうちの特にAIS秘匿船舶を画像認識で判別・推測してもよい。
【0061】
図8の上段では、AIS情報が重畳されていない重畳表示を示す。重畳画面DSは、レーダRのPPI画面を用いて、レーダ画像で検出された物標位置P2、P3、P4、P5を丸印で示し、カメラ画像で検出された物標位置P4、P5、P6を三角印で示す。
【0062】
物標位置P2は、自船Sから相対的に中距離に位置し、レーダ画像で検出され、AIS非搭載船舶でない船舶の位置と識別される。物標位置P3は、自船Sから相対的に中距離に位置し、レーダ画像で検出され、AIS非搭載船舶でない船舶の位置と識別される。物標位置P4は、自船Sから相対的に短距離に位置し、レーダ画像及びカメラ画像で検出され、AIS非搭載船舶でない船舶の位置と識別される。物標位置P5は、自船Sから相対的に短距離に位置し、レーダ画像及びカメラ画像で検出され、AIS非搭載船舶でない船舶の位置と識別される。物標位置P6は、自船Sから相対的に短距離に位置し、カメラ画像で検出され、AIS非搭載船舶である船舶の位置と識別される。
【0063】
図8の下段では、AIS情報が重畳されている重畳表示を示す。重畳画面DSは、レーダRのPPI画面を用いて、レーダ画像で検出された物標位置P2、P3、P4、P5を丸印で示し、カメラ画像で検出された物標位置P4、P5、P6を三角印で示し、AIS情報で検出された物標位置P1、P2、P4を四角印で示す。
【0064】
物標位置P1は、
図7の上段と同様に、AIS搭載船舶の位置と識別される。物標位置P2は、AIS非搭載船舶でない船舶のうちAIS搭載船舶の位置と識別される。物標位置P3は、AIS非搭載船舶でない船舶のうちAIS秘匿船舶の位置と識別される。物標位置P4は、AIS非搭載船舶でない船舶のうちAIS搭載船舶の位置と識別される。物標位置P5は、AIS非搭載船舶でない船舶のうちAIS秘匿船舶の位置と識別される。物標位置P6は、
図8の上段と同様に、AIS非搭載船舶の位置と識別される。
【0065】
このように、レーダ画像及びカメラ画像に対して、AIS情報を併せて、物標Tの種類を絞り込んで識別することができる。そして、他船が送信したAIS情報を用いて、自船Sが生成したレーダ画像及びカメラ画像の物標位置精度を保証することができる。
【0066】
本開示のレーダ画像及びカメラ画像の時刻スタンプの高精度化を
図9に示す。レーダRの水平回転アンテナには、複数のカメラCが設置されるため、画像取得部11は、レーダ画像及びカメラ画像をほぼ同時刻に取得することができる。
【0067】
ここで、レーダ画像及びカメラ画像の時刻スタンプtS,RCが、レーダ画像及びカメラ画像の生成時刻tG,RCと同期していなければ、当該時刻スタンプtS,RCでの他船の真位置は、当該生成時刻tG,RCでの他船の計測位置の前方になってしまう。
【0068】
しかし、レーダ画像及びカメラ画像の時刻スタンプtS,RCが、レーダ画像及びカメラ画像の生成時刻tG,RCと同期していれば、当該時刻スタンプtS,RCでの他船の真位置は、当該生成時刻tG,RCでの他船の計測位置とほぼ一致させることができる。
【0069】
そこで、時刻付与部12は、レーダ画像及びカメラ画像に同時刻スタンプを付与する時刻tS,RCを、レーダ画像及びカメラ画像が自船で生成される時刻tG,RCに同期させる。
【0070】
このように、レーダ画像及びカメラ画像に付与する時刻スタンプを、レーダ画像及びカメラ画像の自船での生成時刻と同期させるため、レーダ画像及びカメラ画像に付与する時刻スタンプの精度ひいては船舶用ドライブレコーダの精度を上げることができる。
【0071】
本開示のAIS情報の時刻スタンプの高精度化を
図10に示す。AIS情報の受信時刻が、レーダ画像及びカメラ画像の生成時刻とほぼ一致していれば、画像取得部11は、AIS情報をレーダ画像及びカメラ画像とほぼ同時刻に取得することができる。ここで、レーダ画像及びカメラ画像の取得時刻は、レーダ画像及びカメラ画像の生成時刻とほぼ一致するが、AIS情報の受信時刻は、AIS情報の生成時刻より後の時刻である。
【0072】
すると、AIS情報の時刻スタンプtS,Aが、レーダ画像及びカメラ画像の時刻スタンプtS,RCと同一の時刻であれば、当該時刻スタンプtS,Aでの他船の計測位置は、当該時刻スタンプtS,RCでの他船の計測位置の後方になってしまう。
【0073】
しかし、AIS情報の時刻スタンプtS,Aが、レーダ画像及びカメラ画像の時刻スタンプtS,RCより以前の時刻であれば、当該時刻スタンプtS,Aでの他船の計測位置は、当該時刻スタンプtS,RCでの他船の計測位置とほぼ一致させることができる。
【0074】
そこで、時刻付与部12は、AIS情報が自船で取得された時刻tR,Aと、レーダ画像及びカメラ画像の時間変化に基づいて計測された他船の進行方向及び進行速度vと、レーダ画像、カメラ画像及びAIS情報に基づいて計測された他船の位置の間のずれΔdと、に基づいて、AIS情報が他船で生成された時刻tG,AをtR,A-Δd/vと計測する。なお、レーダ画像、カメラ画像及びAIS情報に基づいて計測された他船の位置の間のずれΔdは、小さいと考えられるため、レーダ画像、カメラ画像及びAIS情報に基づいて計測された他船の位置(丸印、三角印及び四角印)は、同一の他船の位置と考えられる。
【0075】
そして、時刻付与部12は、AIS情報に付与する時刻スタンプtS,Aとして、レーダ画像及びカメラ画像の同時刻スタンプtS,RCと比べてほぼ同時刻であるが以前の時刻tS,RC-Δtである、AIS情報が他船で生成された時刻tG,Aを設定する。
【0076】
このように、AIS情報に付与する時刻スタンプを、同時刻スタンプと比べて少々以前の時刻であるAIS情報の他船での生成時刻と同期させるため、AIS情報に付与する時刻スタンプの精度ひいては船舶用ドライブレコーダの精度を上げることができる。
【0077】
本開示の自船周辺情報表示システムの具体例を
図11に示す。
図1では、自船Sを舷側から見ているが、
図11では、自船Sを上側から見ている。
【0078】
図11の上段では、自船Sの船尾付近にブリッジが設置され、ブリッジの上部にレーダRが設置され、レーダRの水平回転アンテナに複数のカメラCが設置される。しかし、レーダRの水平回転アンテナに設置される複数のカメラCのみでは、長い船体を有する自船Sの船首付近には死角が生ずる。そこで、自船Sの船首付近の右舷左舷に設置される補助のカメラCにより、長い船体を有する自船Sの船首付近でも死角が生じない。そして、画像取得部11は、レーダRの水平回転アンテナに設置される複数のカメラCと、自船Sの船首付近の右舷左舷に設置される補助のカメラCと、からカメラ画像を取得すればよい。
【0079】
図11の下段では、自船Sの船首付近にブリッジが設置され、ブリッジの上部にレーダRが設置され、レーダRの水平回転アンテナに複数のカメラCが設置される。しかし、レーダRの水平回転アンテナに設置される複数のカメラCのみでは、長い船体を有する自船Sの船尾付近には死角が生ずる。そこで、自船Sの船尾付近の右舷左舷に設置される補助のカメラCにより、長い船体を有する自船Sの船尾付近でも死角が生じない。そして、画像取得部11は、レーダRの水平回転アンテナに設置される複数のカメラCと、自船Sの船尾付近の右舷左舷に設置される補助のカメラCと、からカメラ画像を取得すればよい。
【0080】
本実施形態では、レーダ画像、カメラ画像及びAIS情報に同時刻スタンプを付与し、レーダ画像、カメラ画像及びAIS情報並びに同時刻スタンプを関連記憶し、同時刻スタンプと関連記憶されたレーダ画像、カメラ画像及びAIS情報を表示する。
【0081】
第1の変形例として、レーダ画像及びカメラ画像に同時刻スタンプを付与し、レーダ画像、カメラ画像及び同時刻スタンプを関連記憶し、同時刻スタンプと関連記憶されたレーダ画像及びカメラ画像を表示してもよい。第2の変形例として、カメラ画像及びAIS情報に同時刻スタンプを付与し、カメラ画像、AIS情報及び同時刻スタンプを関連記憶し、同時刻スタンプと関連記憶されたカメラ画像及びAIS情報を表示してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本開示の自船周辺情報記憶装置及び自船周辺情報表示装置は、レーダ画像を用いて検出することができない小型船舶、木造船舶、落水者及び海洋生物等を検出するにあたり、多数の船員による目視の負担を軽減するとともに、船舶用ドライブレコーダを実現することができる。
【符号の説明】
【0083】
S:自船
T:物標
D:自船周辺情報表示システム
R:レーダ
C:カメラ
M1、Mn:記憶データ
R1、Rn:レーダ画像
C1、Cn:カメラ画像
A1、An:AIS情報
DS:重畳画面
DA1、DA2、DA3、DA4:アラウンドビュー画面
P1、P2、P3、P4、P5、P6:物標位置
P1’、P2’、P3’、P4’、P5’、P6’:物標位置
1:自船周辺情報記憶装置
2:自船周辺情報表示装置
11:画像取得部
12:時刻付与部
13:画像記憶部
21:画像読出部
22:画像表示部
23:物標識別部