(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240213BHJP
G01S 5/12 20060101ALI20240213BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240213BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240213BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240213BHJP
H01Q 21/12 20060101ALI20240213BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20240213BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20240213BHJP
H01Q 1/42 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
H04N1/00 519
G01S5/12
B41J29/38 104
B41J29/38 203
G03G21/16 104
G03G21/00 398
G03G21/00 386
H01Q21/12
H01Q1/38
H01Q1/24 A
H01Q1/42
H04N1/00 127B
H04N1/00 885
(21)【出願番号】P 2019176277
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】戸田 好造
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-028477(JP,A)
【文献】特開2009-038606(JP,A)
【文献】特開2005-045384(JP,A)
【文献】特開2015-189107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
G03G 21/00
G03G 21/16
G06F 3/12
H01Q 1/00- 1/52
H01Q 21/08-21/18
G01S 5/02- 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成手段を内部に有する画像形成装置であって、
前記画像形成装置の前後方向において前面側に設けられ、ユーザによって操作可能な操作部と、
前記画像形成装置の前記前後方向において前記画像形成手段よりも前面側に設けられ、電波の到来方向を検出するためのアンテナを複数有する通信基板であって、水平方向に沿って前記複数のアンテナが配置された通信基板と、を備え、
前記通信基板は
、鉛直方向において前記画像形成手段よりも上方かつ前記操作部よりも下方の位置に設けられる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数のアンテナは、Bluetooth規格に従ってBLE通信を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数のアンテナの少なくとも2つのアンテナによって通信端末から出力された電波を受信した場合、前記複数のアンテナで受信する電波の到来方向に基づき検出される通信端末の位置する方向に基づいて前記画像形成装置を制御する制御手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記画像形成手段による画像形成が可能な起動状態と、前記起動状態よりも消費電力が少ない省電力状態とに前記画像形成装置の状態を移行可能であって、
前記制御手段は、通信端末が一定の方向から接近する場合であって前記画像形成装置に対する前記通信端末の位置が所定の距離以内である場合に、前記画像形成装置を前記省電力状態から前記起動状態へ移行する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記画像形成装置を前記省電力状態から前記起動状態へ移行する場合、前記画像形成手段の立ち上げ制御を実行する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
認証可能なユーザのIDリストを格納する格納手段をさらに備え、
前記制御手段は、通信端末が一定の方向から接近する場合であって前記画像形成装置に対する前記通信端末の位置が所定の距離以内である場合に、前記格納手段に格納された前記IDリストに基づいて、前記複数のアンテナの少なくともいずれかのアンテナによって検出された通信端末のユーザIDに対するユーザ認証処理を実行する、
ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記操作部は、前記画像形成装置に関する情報を表示可能な表示部を有し、
前記制御手段は、前記画像形成装置を前記省電力状態から前記起動状態へ移行する場合、前記表示部の表示画面を起動状態の画面へ遷移させる、
ことを特徴とする請求項
4または5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記操作部は、前記画像形成装置に関する情報を表示可能な表示部を有し
前記制
御手段は、前記格納手段に格納された前記IDリストのユーザIDと前記通信端末のユーザIDとが一致する場合、当該一致したユーザIDに対応する操作画面を前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
金属板金を含み、前記画像形成手段を支持する支持枠体と、
前記画像形成装置の外観を構成するカバー部材と、をさらに備え、
前記通信基板は、前記支持枠体に固定され、前記カバー部材によって覆われる、
ことを特徴とする請求項1乃至8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記カバー部材は、前記支
持枠体と対向する内面側において、前記通信基板と対向する領域以外の領域に、当該カバー部材を補強するための補強リブを有する、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記通信基板は、前記支持枠体の前記金属板金に対して前記複数のアンテナのそれぞれが等間隔に配置されるように前記支持枠体に固定される、
ことを特徴とする請求項9または10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
金属部材からなる第1支持部材と、
樹脂部材からなる第2支持部材と、をさらに備え、
前記通信基板は、前記第1支持部材と前記第2支持部材を介して前記支持枠体に固定される、
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記画像形成手段を内部に有する装置本体と、
前記鉛直方向において前記装置本体よりも上方に設けられ、原稿画像を読み取る読取装置と、
前記鉛直方向において前記読取装置と前記画像形成手段との間に設けられ、前記画像形成手段によって画像が形成されたシートが排出される排出トレイと、をさらに備え、
前記通信基板は、前記鉛直方向において前記排出トレイよりも上方かつ前記操作部よりも下方の位置に設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記画像形成装置の前記前後方向における前面側に設けられ、前記画像形成手段にアクセスする際に開放されるフロントカバーをさらに備え、
前記通信基板は、前記鉛直方向において前記フロントカバーよりも上方の位置に設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末との間で無線通信可能な無線通信機能を備えたプリンタ、複写機、ファクシミリあるいは複合機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット端末などの通信端末のビジネス用途での使用の拡大に伴い、画像形成装置においても通信端末との連携機能の拡充が求められている。このため、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信機能を画像形成装置に備え、画像形成装置の利便性を向上させる動きがある。
【0003】
Bluetoothは、他のWi-Fi(登録商標)などの通信方式と同様に2.4GHz帯のISM(Industrial Scienctific and Medical)バンドを使用した無線通信方式である。そして、Bluetooth Low Energy(以下BLEと記す。)は、Bluetooth規格の一部であり、従来のBluetoothに対して低消費電力化を図った近接無線通信方式である。
【0004】
特に、BLEにおいては、位置制御を行うことにより様々な機能への応用が図られている。そこで、画像形成装置においても、BLE通信機能を搭載して、通信端末との近距離無線通信を行うものが普及している。特許文献1においては、画像形成装置から送信されるBLE通信の電波を通信端末で受信し、その電波強度から画像形成装置と通信端末との距離を検出する技術について提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、BLEにおいては、電波強度に基づいて装置間の距離を特定する方法が広く知られており、その応用がなされている。さらに、Bluetooth規格のバージョンアップにより、Bluetooth5.1によるBLE通信機能では従来の距離の特定に加えて、電波の到来方向を検出することにより装置間において装置の位置する方向を検出する機能が追加されている。この際、電波の到来方向を検出するために、複数のアンテナを配列して、その複数のアンテナ間で送受する電波の位相、時間の違いを検出することが必要である。
【0007】
しかし、従来は電波の到来方向を検出するための複数のアンテナを有する画像形成装置は考案されていなかった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、電波の到来方向を検出するための複数のアンテナを用いて画像形成装置の性能を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成手段を内部に有する画像形成装置であって、前記画像形成装置の前後方向において前面側に設けられ、ユーザによって操作可能な操作部と、前記画像形成装置の前記前後方向において前記画像形成手段よりも前面側に設けられ、電波の到来方向を検出するためのアンテナを複数有する通信基板であって、水平方向に沿って前記複数のアンテナが配置された通信基板と、を備え、前記通信基板は、鉛直方向において前記画像形成手段よりも上方かつ前記操作部よりも下方の位置に設けられる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電波の到来方向を検出するための複数のアンテナを用いて画像形成装置の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図7】BLE通信ユニットの配置について説明する図。
【
図8】BLE通信ユニットを覆う外装カバーを示す図。
【
図9】BLEによるユーザの移動軌跡検出を説明する図。
【
図10】BLE通信によるスリープ復帰の動作を説明するフローチャート。
【
図11】BLE通信によるユーザ認証の動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。尚、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれらのみに限定する主旨のものではない。
【0013】
まず、本実施形態の画像形成装置について、
図1、
図2(a)、
図2(b)を用いて説明する。
図1は、画像形成装置50の概略断面図である。
図2は、画像形成装置の構成を示す図であり、(a)は外観の斜視図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
【0014】
図1に示す画像形成装置50は、電子写真方式のタンデム型のフルカラープリンタである。画像形成装置50は、画像形成手段としての画像形成部500を内部に有する装置本体50aや、原稿画像を読み取る読取装置50bを有する。そして、画像形成装置50は、読取装置50bやコンピュータなどの外部端末、無線通信によって通信されるスマートフォン等の携帯通信端末53などから送られる画像データに基づいて、記録材Pに画像を形成することができる。
【0015】
本実施形態の場合、画像形成装置50は、装置本体50a内に記録材Pに画像形成する画像形成手段としての画像形成部500を有する。
【0016】
なお、記録材Pとしては、普通紙、厚紙、ラフ紙、凹凸紙、コート紙、光沢紙、印画紙等の用紙、プラスチックフィルム、布など、といった様々な種類のシート材が挙げられる。
【0017】
次に、画像形成部500について具体的に説明する。画像形成部500は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成可能な画像形成部10を備えている。画像形成部10は、中間転写ベルト58の周方向に沿って配列された画像形成ユニット1a、1b、1c、1dを有している。ここで、1aはイエロー色のトナーを用いて画像形成するユニットであり、1bはマゼンタ色のトナーを用いて画像を形成するユニットであり、1cはシアン色のトナーを用いて画像を形成するユニットであり、1dはブラック色のトナーを用いて画像を形成するユニットである。
【0018】
画像形成ユニット1a~1dは、回転可能な感光ドラムa~dと、帯電器80a~dと、現像器81a~dとをそれぞれ有している。感光ドラムa~dは対応する帯電器80a~dで帯電された後に、レーザスキャナ82から発せられる画像データに対応したレーザ光により露光される。
【0019】
これにより、感光ドラムa~dの表面に画像データに応じた静電潜像が形成される。そして、感光ドラムa~dに形成された静電潜像は、現像器81a~dにより各色の現像剤を用いてトナー像に現像される。
【0020】
感光ドラムa~dに形成された各トナー像は、中間転写ベルト83の内周側にて各感光ドラムa~dに対向して配置された一次転写ローラ2a~2dに一次転写バイアスが印加されることにより、それぞれの一次転写ニップ部N1で中間転写ベルト83に一次転写される。
【0021】
中間転写ベルト83は、二次転写内ローラ84と二次転写外ローラ85と張架ローラ86とによって張架されている。二次転写外ローラ85は二次転写内ローラ84と中間転写ベルト83を挟んで対向する位置に配置され、中間転写ベルト83上のトナー像を記録材Pに二次転写するための二次転写ニップ部N2を形成している。
【0022】
画像形成装置50の下部には、記録材Pが載置された給紙カセット87が配置されている。記録材Pは、給送ローラ88により給紙カセット87から1枚ずつ搬送路89に供給される。給紙カセット87から供給された記録材Pは、搬送路89を通って一対のレジストローラ90に送られる。
【0023】
レジストローラ90は、記録材Pの搬送を一旦停止させて記録材Pの斜行を補正したうえで、各画像形成ユニット1a~1dにおける中間転写ベルト83へのトナー像の形成タイミングにあわせて、記録材Pを二次転写ニップ部N2へ搬送する。
【0024】
そして、二次転写外ローラ85に二次転写バイアスが印加されることにより、中間転写ベルト83上のトナー像が二次転写ニップ部N2で記録材Pに二次転写される。その後、記録材Pは定着装置40に向けて搬送される。定着装置40では、記録材Pが定着ニップ部を形成するローラ対により挟持搬送されることに伴い、トナー像が加熱、加圧されて記録材Pに定着される。
【0025】
記録材Pの片面だけにトナー像を形成する場合、定着装置40を通過した記録材Pは、排出ローラ対91により排出トレイ92上に排出される。本実施形態では、排出ローラ対91は、画像形成装置50の左右方向において右側から左側へ向けて排出トレイ92へシートを排出する。そして、記録材Pの両面にトナー像を形成する場合、定着装置40を通過した記録材Pは排出ローラ対91により両面搬送路93に向けスイッチバック搬送される。
【0026】
両面搬送路93に送られた記録材Pは、搬送ローラ対94により搬送路89に戻され、片面へのトナー像形成時と同様の過程を経て、他方の面にもトナー像が形成される。そして、両面にトナー像が定着された記録材Pは、排出ローラ対91により排出トレイ92上に排出される。
【0027】
また、
図1に示すように、画像形成装置50は、ユーザによる操作指示を入力可能な操作部400を有している。本実施形態の場合、操作部400は、スイッチやボタンあるいはテンキーなどの実際の操作子の形状を模したソフトキー(不図示)などを有する例えば入力画面などの各種画面を表示可能な表示部410と、外装カバー420とを備えている。
【0028】
表示部410にソフトキーが表示されている場合、ユーザによるソフトキーに対するタッチ操作に応じて、ソフトキーに予め割り当てられている各種機能が実行される。つまり、表示部410は例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示パネルと、ユーザによるタッチ操作可能なタッチパネルなどを備えたタッチパネル式のディスプレイである。
【0029】
ユーザは、表示部410に表示されたソフトキーをタッチ操作することにより、画像形成に関する各種データの入力や画像形成動作の開始指示や終了指示などを行うことができる。また、表示部410は、表示面が露出されるように外装カバー420によって周囲が覆われている。
【0030】
操作部400は、
図2(a)に示すように、ユーザが操作時に位置する装置本体50aの前面側(正面側)に設けられている。ここで、操作部400が設けられる側面を正面とした場合、画像形成装置50を正面側から見た際の左右方向が画像形成装置50の幅方向であり、正面から背面に向かう方向が前後方向である。また、
図2(a)における上下方向が鉛直方向である。
【0031】
図2(a)に示すように、画像形成装置50の装置本体50aの正面側には、画像形成部500のメンテナンス(画像形成ユニット1a~1dや不図示のトナー収容器の交換等)等で画像形成部にアクセスする際に開放される外装カバーであるフロントカバー100が設けられている。フロントカバー100は、不図示のヒンジ機構により装置本体50aに対して開閉可能となっている。
【0032】
なお、操作部400は、例えばチルト機構やバリアングル機構などによって上下方向または左右方向に角度調整や位置調整が可能に装置本体50aに設けられている。尚、操作部400はユーザからの操作を受け付けることができるものであれば、装置本体50aに対して不動の構成であってもよい。また、本実施形態では操作部400にはタッチパネルを含む表示部410を有する構成を例示したが、タッチパネルを含まないディスプレイを有するものや、ユーザによって操作可能なハードキーを有するもの等ユーザによって操作が可能なものであれば他の形態であってもよい。
【0033】
画像形成装置50は、通信端末53とBLE(Bluetooth Low Energy)により近距離無線通信を行うBLE通信ユニット5を外装カバー65の内側に備えている。BLE通信ユニット5は、プリント基板上に構成される基板モジュールの形態で提供されるものである。
【0034】
本実施形態の場合、BLE通信ユニット5は、IEEE802.15の規格(所謂、Bluetooth(登録商標))に従って通信を行う。具体的には、Bluetooth規格の一部である低消費電力のBLE(Bluetooth Low Energy)を使用し、2.4GHz帯のISM(Industrial Scienctific and Medical)バンドを用いて無線通信を行う。なお本実施形態では、BLE通信ユニット5は、Bluetooth5.1のBLE通信方式に対応しており、BLE通信により通信端末53の方向を検出する機能に対応している。
【0035】
また、本実施形態では、BLE通信ユニット5が画像形成装置50の装置本体50aの前面部であり、かつ操作部400よりも下方に配置されており、BLE通信ユニット5は、外装カバー65に覆われている。つまり、本実施形態におけるBLE通信ユニット5は、画像形成装置50の前後方向において画像形成部500よりも正面側に位置するように設けられている。また、本実施形態におけるBLE通信ユニット5は、画像形成装置50の前後方向において排出ローラ対91よりも正面側に位置するように設けられている。また、本実施形態におけるBLE通信ユニット5は、操作部400が装置本体50aに対して回動した場合であっても、画像形成装置50を正面側から見た場合に操作部400と重ならない位置に設けられている。
【0036】
通信端末53を所持するユーザは、画像形成装置50の操作部400を操作するために、画像形成装置50の正面側から近接してくる場合が多い。詳しくは後述するが、Bluetooth5.1のBLE通信による方向検出を行うためには、画像形成装置50とユーザが所持している通信端末53との間で直線的に到達する無線電波の直接波を送受する必要がある。
【0037】
本実施形態では、BLE通信ユニット5を画像形成装置50の装置本体50aの前面側に配置することにより、ユーザの所持している通信端末53とのBLE通信において、画像形成装置50の本体等による電波の遮蔽等の影響を受けずに、無線電波の直接波を十分な電波強度で送受できる。例えば、画像形成装置50の背面側にBLE通信ユニット5を配置したとすると、画像形成装置50の内部のユニットや、読取装置50bによって電波が遮蔽されることで十分な電波強度を得ることができない恐れがある。しかしながら、本実施形態では、BLE通信ユニット5を画像形成装置50の装置本体50aの前面側に配置することで、画像形成装置50自体によって電波が遮蔽されることを抑制することができる。また、BLE通信ユニット5を操作部400の近傍に設けることにより操作部400を操作するために画像形成装置50に近づいてくる通信端末53を所持するユーザをより正確に検出することができる。
【0038】
また、BLE通信ユニット5を操作部400の近傍であり、鉛直方向において操作部400の下方という装置本体50aにおいて比較的高い位置に配置する。ここで、装置本体50aに対して比較的高い位置とは、鉛直方向において画像形成部500及びフロントカバー100より上方の位置である。また、装置本体50aに対して比較的高い位置とは、鉛直方向において排出トレイ92よりも上方の位置である。ここで0排出トレイ92よりも鉛直方向において上方の位置とは、排出トレイ92のシート積載面の少なくとも一部よりも鉛直方向において上方の位置である。また、装置本体50aに対して比較的高い位置とは、鉛直方向において給紙カセット87よりも上方の位置である。このように、BLE通信ユニット5を装置本体50aにおいて比較的高い位置に配置することにより、画像形成装置50と通信端末53との間に存在する障害物の影響を回避して無線電波の直接波を十分な電波強度で送受できる。なお、BLE通信ユニット5の各構成並びに配置関係についての詳細は後述する。
【0039】
画像形成装置50は、
図1に示すように、画像形成部500の動作を制御する制御部300を備える。本実施形態では、
図2(b)に示すように、画像形成装置50の装置本体50aの前面側に配置される一方で、
図2(b)及び
図2(c)に示すように、制御部300は装置本体50aの背面側に配置される。
【0040】
そのため、BLE通信ユニット5と制御部300とはケーブル5aにより電気的に接続される。
【0041】
ケーブル5aは、装置本体50aに設けられたケーブルガイド600を通って、装置本体50a内を前面から背面に亘って配線されるため、装置本体50a内を配線しやすくなっており、画像形成装置50を組み立てる際やメンテナンスする際の作業性の向上が図られている。
【0042】
制御部300について、
図1を参照しながら
図3を用いて説明する。ただし、制御部300には図示した以外にも画像形成部10などの画像形成部500を構成する各部や、それら各部を動作させるための駆動源(モータや電源等)などの各種機器が接続される。
【0043】
制御手段としての制御部300は、データ通信や画像形成などの画像形成部500の各種動作を制御するものであり、例えばCPU301(Central Processing Unit)と、メモリ302とを有する。メモリ302は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などにより構成されている。
【0044】
メモリ302は、画像形成装置50を制御するための各種プログラムや、画像形成装置50と通信端末53との通信を行うための接続設定データや認証データなどの各種データが記憶される。ここで、メモリ302は、認証可能なユーザのIDリスト等の各種データを格納する格納手段の一例である。
【0045】
CPU301はメモリ302に記憶されている、例えば「通信制御処理(プログラム)」や「画像形成ジョブ処理(プログラム)」(不図示)などの各種プログラムを実行可能であり、それら各種プログラムを実行して画像形成装置50の動作を制御する。
【0046】
なお、メモリ302は、各種プログラムの実行に伴う演算処理結果や、通信端末53などから受信した端末情報や画像データなどを一時的に記憶することもできる。
【0047】
制御部300には入出力インターフェイスを介して、記憶装置303、表示制御部304、BLE通信ユニット5などが接続されている。記憶装置303はメモリ302と同様に各種プログラムや各種データなどを記憶可能であり、メモリ302との間で各種プログラムや各種データなどを送受信可能である。
【0048】
表示制御部304は、表示部410に各種画面やソフトキーなどを表示するなど表示部410に関する各種制御を行う。
【0049】
BLE通信ユニット5は、通信端末53との間でBLEに従う無線通信を行って、通信端末53と制御部300との間におけるデータ入出力制御を行う。
【0050】
通信端末53としては、例えばスマートフォンやタブレット端末、あるいはノートパソコン、デジタルカメラなどが挙げられる。通信端末53は、BLE通信基板(不図示)を有しており、画像形成装置50に配置されたBLE通信ユニット5との間で無線通信を行うことができるようになっている。ここで、通信端末53がBLEによる通信モードを有している場合は、例えばそのモード設定をONとすることで、他のBLE通信基板を有する装置とBLEによる無線通信を行うことが可能な装置である。尚、通信モードを切り替えずとも、BLEによる無線通信を行うことができる装置であってもよい。
【0051】
上記のBLE通信ユニット5の構成について、
図4、
図5を用いて説明する。
図4に示すように、BLE通信ユニット5には、ホストI/F制御部31、BLEベースバンド部32、RF制御部33、RFスイッチ34、BLEアンテナ35、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38が共通の基板39上に配設されている。
【0052】
なお、ホストI/F制御部31、BLEベースバンド部32、RF制御部33、RFスイッチ34は、それぞれの機能が集約された1つのICチップとして形成されている。
【0053】
ホストI/F制御部31は、制御部300(
図3参照)に対して有線のインターフェイスを介してデータの入出力を行う。インターフェイスとしては、例えば「USB(Universal Serial Bus)」のようなシリアル通信方式に対応するケーブル5a(
図2(b)参照)を接続可能なものが挙げられる。
【0054】
BLEベースバンド部32は、BLE通信でのデジタル信号処理を行うために、ベースバンド信号処理を行うものである。
【0055】
RF制御部33は通信端末53とBLE通信を行う際に、RF(Radio Frequency)通信のための電波の変調、復調処理を行うものである。
【0056】
RFスイッチ34は、接続されるBLEアンテナ35、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38の各BLEアンテナを切り替えて、RF制御部33に接続するための切り替え制御を行う。ここで、RFスイッチ34の切り替えスイッチとして、接点a、接点b、接点c、接点dの4個の接点があるものとする。
【0057】
BLEアンテナ35は、通信端末53と無線通信を行うために形成されたアンテナである。なお、BLEアンテナ35は、BLE通信ユニット5の基板39上にパターン配線されたパターンアンテナであり、2.4GHz帯でBLE通信を行うためにアンテナ特性を調整してある。
【0058】
BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38は、BLEアンテナ35と同様に形成されたアンテナである。BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38は、BLEアンテナ35と同等のアンテナ特性が得られるように調整してあり、これらの4本の同等の特性を有するBLEアンテナが基板39上に一様に配列されている。
【0059】
BLEアンテナ35は、RFスイッチ34の接点aに接続されおり、同様に、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38はそれぞれRFスイッチ34の接点b、接点c、接点dに接続されている。
【0060】
すなわち、BLEアンテナ35、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38の4本のBLEアンテナのうちのどのBLEアンテナをRF制御部33に接続するかをRFスイッチ34により切り替えることができるようになっている。
【0061】
図5にBLE通信ユニット5の物理形状を示す。BLE通信ユニット5の基板39上には、BLEアンテナ35、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38がパターン配線により基板の平面に並んで配列されるように形成されている。
【0062】
ICチップ41はBLE通信機能を有し、上記したように、ホストI/F制御部31、BLEベースバンド部32、RF制御部33、RFスイッチ34(
図4参照)の各機能を実現するものである。
【0063】
BLEアンテナ35、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38はICチップ41に接続されており、上記した、RFスイッチ34の接点a、接点b、接点c、接点dに対応してそれぞれ電気的に接続している。
【0064】
また、BLE通信ユニット5の基板39上には、制御部300とインターフェイス接続を行うためにケーブル5a(
図2(b)参照)を接続可能なコネクタ42が設けられている。また、BLE通信ユニット5の基板39上には、ビス穴43が設けられている。ビス穴43は、基板39上の電気回路のグランドと導通している。
【0065】
一般的に、BLE等の高周波帯の電波を使用する無線通信基板においては電気的に安定したグランドを得ることにより最大限のアンテナ特性を発揮することができる。このため、本実施形態では基板39を、電気的に安定したグランドである画像形成装置50の各ユニットを支持する支持枠体を構成する本体フレームの一部を構成する金属板金61(後述する)に、ビス穴43を介してビス止めすることによりグランド接地するように構成する。また、BLE通信ユニット5の基板39上には、通し穴44が設けられている。通し穴44はBLE通信ユニット5の位置を決めて固定するために設けられたものである。
【0066】
上記で
図4、
図5を用いて説明したように、本実施形態では、BLE通信ユニット5に、BLEアンテナ35、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38の4本のアンテナを備え配列している。これは、Bluetooth規格に従った方向検出を行うためである。
【0067】
そこで
図6を使用して、Bluetooth規格による複数のアンテナを使用した方向検出の方法の概要を説明する。
図6(a)は単一のアンテナを持つ送信側からBLE通信の無線電波を発信して、複数のアンテナを持つ受信側でそれを捕え方向を検出する方式である。
【0068】
上記した通り、本実施形態では、画像形成装置50のBLE通信ユニット5に複数のアンテナを備えて配列しており、この方式では、送信側は通信端末53に相当し、受信側は画像形成装置50に相当する。
【0069】
図6(a)において、送信側の単一アンテナから送信されたBLE通信の無線電波は受信側に到達する。受信側において、アンテナ1、アンテナ2の2本のアンテナに着目すると、送信側から発信された無線電波がアンテナ1に到達するまでの距離とアンテナ2に到達するまでの距離が異なる。このため、アンテナ1に到達する無線電波とアンテナ2に到達する無線電波では位相差が発生する。
【0070】
ここで、アンテナ1とアンテナ2の間隔をd、アンテナ1、アンテナ2に到来する無線電波の到来角度をθ1、無線電波の波長をλとする。
【0071】
この際の上記した位相差をψとすると、以下の関係が成立する。
ψ=(2πd*cos(θ1))/λ
【0072】
従って、電波の到来角度は以下となる。
θ1=arccos((ψλ)/(2πd))
【0073】
すなわち、上記によれば、受信側のアンテナ1とアンテナ2の2本のアンテナを用いることにより、受信側に到来する電波の到来角度を求めることができる。これにより、電波の到来方向を検出することができる。なお、上記によれば、アンテナ1とアンテナ2に到来する無線電波を使用してその位相差を求めているため、アンテナ1とアンテナ2は同等の電波特性を備えている必要がある。
【0074】
また、アンテナ1とアンテナ2で受信される電波は、送信側から発信され同じ伝搬経路で直線的に受信側に到来する直接波である必要がある。本実施形態では、受信側の画像形成装置50のBLE通信ユニット5には、BLEアンテナ35、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38の4本のアンテナが配列されている。
【0075】
図4の説明で上記した通り、BLEアンテナ35、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38は同等の電波特性を有している。これらのBLEアンテナは、RFスイッチ34で切り替えられながら、上記したように2本のBLEアンテナに着目して受信した無線電波により、無線電波の到来角度を算出する。
【0076】
従って、画像形成装置50はBLE通信ユニット5により、通信端末53の方向を無線電波の到来角度θ1(到来方向)として検出することができる。
【0077】
図6(b)は複数のアンテナを持つ送信側からBLE通信の無線電波を発信して、単一のアンテナを持つ受信側でそれを捕え方向を検出する方式である。
【0078】
上記した通り、本実施形態では、画像形成装置50のBLE通信ユニット5に複数のアンテナを備えて配列しており、この方式では、受信側は通信端末53に相当し、送信側は画像形成装置50に相当する。
【0079】
図6(b)において、送信側のアンテナから送信されたBLE通信の無線電波は受信側に到達する。ここで、送信側においては、アンテナ1、アンテナ2を順次切り替えて順次無線電波を発信するようにする。
【0080】
従って、アンテナ1、アンテナ2の2本のアンテナに着目すると、送信側のアンテナ1から発信された無線電波が受信側に到達するまでの距離と、送信側のアンテナ2から発信された無線電波が受信側に到達するまでの距離が異なる。このため、受信側がアンテナ1からの受信する無線電波とアンテナ2から受信する無線電波では位相差が発生する。
【0081】
ここで、アンテナ1とアンテナ2の間隔をd、アンテナ1、アンテナ2から発信される無線電波の発信角度をθ2、無線電波の波長をλとする。この際の上記した位相差をψとすると、以下の関係が成立する。
ψ=(2πd*cos(θ2))/λ
【0082】
従って、電波の発信角度は以下となる。
θ2=arccos((ψλ)/(2πd))
【0083】
すなわち、上記によれば、送信側のアンテナ1とアンテナ2の2本のアンテナを用い、受信側の単一アンテナでこれを受信することにより、送信側の無線電波の発信角度を求めることができる。
【0084】
なお、上記によれば、アンテナ1とアンテナ2から発信する無線電波を使用してその位相差を求めているため、アンテナ1とアンテナ2は同等の電波特性を備えている必要がある。また、アンテナ1とアンテナ2から発信され、同じ伝搬経路で直線的に受信側の単一アンテナに到来する直接波である必要がある。
【0085】
本実施形態では、送信側の画像形成装置50のBLE通信ユニット5には、BLEアンテナ35、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38の4本のアンテナが配列されている。上述したように、BLEアンテナ35、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38は同等の電波特性を有している。これらのBLEアンテナは、RFスイッチ34で切り替えられながら、無線電波を発信する。
【0086】
一方、受信側の通信端末53ではこれを受信して、2本のBLEアンテナから発信される無線電波信号に着目して無線電波の発信角度を算出する。従って、通信端末53が上記の電波の発信角度を算出するためには、送信側のアンテナ1とアンテナ2の間隔d、無線電波の波長λを事前に送信側の画像形成装置50から取得しておく必要がある。
【0087】
本実施形態ではこれら間隔d、波長λの情報は事前にBLE通信により、画像形成装置50から通信端末53に事前に伝達されている。また、通信端末53により算出された無線電波の発信角度は、算出後にBLE通信により画像形成装置50に伝達される。
【0088】
従って、画像形成装置50は、端末装置53の方向を無線電波の発信角度θ2(到来方向)として検出することができる。このように、
図6で示した方法によって、画像形成装置50はBLE通信ユニット5を用いることで、電波の到来方向を検出することができるため、通信端末53を所持するユーザの位置を座標で捉えることができる。
【0089】
本実施形態では、
図2(a)により上記したように、BLE通信ユニット5が装置本体50aの前面部であって、操作部400の近傍、かつ操作部400よりも下方に配置されている。
【0090】
ここでは、BLE通信ユニット5を装置本体50aに固定して配置する方法について
図7を用いて説明する。
図7(a)は、装置本体50aに固定されたBLE通信ユニット5を画像形成装置50の正面(表示部410が配置されている側)から見た図であり、BLE通信ユニット5を基板の板厚方向から見た図である。従って
図7(a)の横方向が、画像形成装置50が設置されている水平方向になる。また、
図7(b)はこれを、画像形成装置50の上面から見た図である。
【0091】
金属板金61は、上述したように装置本体50aの支持枠体を構成するフレーム板金の一部である。尚、支持枠体は、画像形成部500の各ユニットを支持する枠体である。また、支持枠体は、読取装置50bを支持する支持枠体である。ここで、金属板金61は、画像形成部500の各ユニットを支持する板金と一体に形成される板金であってもよいし、別体で形成される板金であってもよい。
【0092】
金属板金61は、装置本体50aにおいて電気回路のフレームグランドをなしており、グランド線などを介してグランド接地される。
【0093】
金属スペーサ62は、金属で形成された金属部材からなり、BLE通信ユニット5を金属板金61に固定するためのスペーサであり、金属板金61に固定されている。
【0094】
樹脂スペーサ64は、プラスチック樹脂で形成された樹脂部材からなり、BLE通信ユニット5を金属板金61に固定するためのスペーサであり、金属板金61に固定されている。
【0095】
ビス63は、BLE通信ユニット5を金属スペーサ62に固定するための金属ビスであり、BLE通信ユニット5に設けられたビス穴43を通して、金属スペーサ62に形成されたタップにより締結されて、BLE通信ユニット5を固定する。上記したとおり、BLE通信ユニット5に設けられたビス穴43は、BLE通信ユニット5の電気回路のグランドと接続されている。
【0096】
従って、BLE通信ユニット5の電気回路のグランドは、金属スペーサ62、ビス63を通じて金属板金61に接続され、すなわち、装置本体50aの電気回路のフレームグランドに接続されることになる。
【0097】
樹脂スペーサ64は先端部がBLE通信ユニット5の通し穴44を貫通するように形成されている。従って、樹脂スペーサ64は、BLE通信ユニット5を金属板金61に固定する際に、BLE通信ユニット5が金属スペーサ62を中心に回転するのを防止する。
【0098】
外装カバー65は、装置本体50aの外面を囲う外装部品であり、プラスチック樹脂により形成されている。外装カバー65は、BLE通信ユニット5の前面を覆うように配置され、従って、BLE通信ユニット5のBLEアンテナ35、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38は、外装カバー65に覆われる。ここで、外装カバー65は、金属板金61に固定されるBLE通信ユニット5を覆うカバー部材の一例である。
【0099】
図7(a)により上記したように、BLE通信ユニット5は、金属スペーサ62と、樹脂スペーサ64を介して金属板金61に固定される。この際に、BLE通信ユニット5のBLEアンテナ35、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38の各アンテナが、画像形成装置50の設置面における水平方向に配列するように金属板金61に配置、固定されている。ここで、金属スペーサ62は第1支持部材の一例であり、樹脂スペーサ64は第2支持部材の一例である。
【0100】
これは、
図6(a)、
図6(b)を用いて上記したように、画像形成装置50、及び携帯通信端末53の間で方向検出を行う際に、2本のアンテナを使用して、無線電波の到来角度、発信角度を検出するためである。
【0101】
すなわち、画像形成装置50と、画像形成装置50の設置水平面に存在する携帯通信端末53の間の方向検出を行うためには、各BLEアンテナを水平方向に配列されることにより全方向の検出が無駄なく行える。
【0102】
なお、
図7(b)に示すように、BLE通信ユニット5は、金属板金61に対して平行となるように、金属スペーサ62及び樹脂スペーサ64によって金属板金61に対して距離eだけ間隔を開けて固定される。このときBLE通信ユニット5は、基板39の平面に位置するBLEアンテナ35~38のそれぞれの金属板金61に対する距離が等間隔となるように金属板金61に固定されている。
【0103】
これは、BLE通信ユニット5に形成されているBLEアンテナ35~38と金属板金61との距離を均一に保ち、金属板金61によりBLEアンテナ35~38のアンテナの特性に差が生じるのを防ぐためである。
【0104】
これにより、各アンテナで同一の特性条件で無線電波の送受が行えるようになり、前述した無線電波による方向検出において、アンテナ間での無線電波の位相差を正しく検出し、正確に通信対象である通信端末53の位置する方向を算出することが可能になる。
【0105】
図8は、外装カバー65を示す図である。
図2(a)に示したように、外装カバー65は、装置本体50aにおいて、表示部410の下部部分に装着される外装部品であり、BLE通信ユニット5を覆うものである。また、外装カバー65は、フロントカバー100より上方に装着される外装部品であり、不図示のビス等によって装置本体50aの支持枠体に固定されている。
【0106】
図8(a)は、外装カバー65を内面65a側から見た斜視図である。
図8(b)は、外装カバー65の内面65aの詳細な構成を示す平面図である。ここで、外装カバー65において、画像形成装置50に対して内側であり、装置本体50aに外装カバー65が装着された状態において装置本体50aの内部を向く面を内面65aとしている。また、外装カバー65において、装置本体50aに外装カバー65が装着された状態において、画像形成装置50に対して内側であり支持枠体(金属板金61及びBLE通信ユニット5)に対向する面を内面65aとする。そして、外装カバー65において画像形成装置50の外観を形成する面を外面65bとする。
【0107】
ここで、外装カバー65は樹脂によって成形されている。一般的に、樹脂材料を用いて形成されるカバー部材は、内面65aに強度を確保するためにリブやボス等が形成される。
【0108】
本実施形態の外装カバー65においては、
図8(b)に示すように、その内面65aに補強リブとしてのリブ66やボス67が形成されている。このように、リブ66及びボス67によって、外装カバー65補強し、カバー自体が変形することを抑制している。しかし、外装カバー65の内面65aであっても、領域68においてはリブ66やボス67が形成されない一様な面を有する。つまり、リブ66及びボス67は領域68以外の領域に設けられているため、領域68は外装カバー65の内面65aにおいて他の領域と比べて凹凸が少ない構成となっている。
【0109】
この領域68は、
図2(a)において、外装カバー65が装置本体50aに装着されたとき、BLE通信部5が配置された部分を覆う位置に配置されている。つまり、領域68は、外装カバー65の内面65aにおいてBLE通信部5と対向する領域であり、BLEアンテナ35~38と対向する領域である。
【0110】
また、
図7(b)に示すように、BLE通信ユニット5を覆う、外装カバー65の領域68の部分は、モールド材の肉厚fが一様になるように成形されている。
【0111】
すなわち、BLE通信ユニット5のBLEアンテナ35、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38を覆う外装カバー65の領域68の部分にはリブ、ボスが存在せず、肉厚fが一様となるように樹脂を成形して作られている。
【0112】
これは、BLE通信ユニット5のBLEアンテナ35、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38の前方に配置される部材の電波特性を均一に保つためである。
【0113】
すなわち、外装カバー65を通過してBLEアンテナ35、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38により送受する無線電波の特性の差が生じるのを避け、各アンテナで同一の特性条件で無線電波の送受が行えるようにするためである。
【0114】
これにより、無線電波による通信端末53の方向検出において、アンテナ間での無線電波の位相差を正しく検出し、正確に通信端末53の位置する方向を算出することが可能になる。
【0115】
上述した実施形態では、BLE通信ユニット5は、BLEアンテナ35、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38は、BLE通信ユニット5の基板39上に基板パターンによって形成されるパターンアンテナである構成とした。しかし、本実施形態の主旨は、複数のアンテナを有するBLE通信ユニット5を画像形成装置50の前面側の位置に配置することについてである。
【0116】
従って、これらのアンテナは同等の特性を持つアンテナ部品(いわゆるチップアンテナ)を基板39上に実装して配列してもよい。また、これらのアンテナは基板39上に配置することは必然ではなく、ICチップ41のアンテナ端子a、b、c、dに端子コネクタを設けて、外付けのアンテナを同軸ケーブル等で接続してこれらの複数のアンテナを固定して配列してもよい。
【0117】
また、本実施形態では、BLEアンテナ35、BLEアンテナ36、BLEアンテナ37、BLEアンテナ38の4本のアンテナを備えるとした。
【0118】
しかし、
図6に示したように2本以上のアンテナがあればこれらを切り替えることにより方向が検出できるのであり、求める方向検出の精度、検出速度等の要求によりアンテナの数は2つ以上であれば適宜変更可能である。
【0119】
以下に、これまでの説明を踏まえて、画像形成装置50と通信端末53の間で方向を検出してユーザの移動軌跡を特定する方法について説明する。
【0120】
なお上記において、
図6(a)により通信端末53が送信側、画像形成装置50が受信側になる方向検出の方式と、
図6(b)により通信端末53が受信側、画像形成装置50が送信側になる方向検出の方式を説明した。
【0121】
これらのいずれの方式であっても、画像形成装置50はBLE通信ユニット5を用いて通信端末53の方向を検出することができるのは説明した通りである。
【0122】
従って、以下の説明では、画像形成装置50は上記のいずれかの方式を使用して携帯通信端末53の方向検出を行うものとする。
【0123】
図9(a)は通信端末53を所持したユーザが、画像形成装置50の前方付近で移動している際の事例を示している。以下において、画像形成装置50と通信端末53との距離は、従来から用いられている方法のように、BLE通信ユニット5の複数のアンテナの少なくとも何れかによって検出する電波強度に基づいて検出をするものとする。
【0124】
まず、ユーザが位置Aにいる時の通信端末53の画像形成装置50に対する位置は、画像形成装置50により角度αの方向であると検出される。またその時の距離は距離pであると検出される。
【0125】
その後、ユーザが画像形成装置50に向かって近づいて、位置Bに移動した場合、通信端末53の画像形成装置50に対する位置は、角度αの方向であると検出される。またその時の距離は距離qとなる。
【0126】
すなわち、通信端末53を所持したユーザが、画像形成装置50に向かって位置Aから位置Bに移動して近接してくる場合は、画像形成装置50に対して通信端末53の位置する角度は角度αのまま変化せず、画像形成装置50に対する通信端末53の距離が距離pから距離qに近づくことになる。
【0127】
一方、
図9(b)は通信端末53を所持したユーザが、画像形成装置50の前方付近で移動している際の別の事例を示している。
【0128】
まず、ユーザが位置Aにいる時の通信端末53の位置は、画像形成装置50に対して角度αの方向であると検出される。またその時の距離は距離pであると検出される。
【0129】
その後、ユーザが画像形成装置50の前方、横方向の位置Cに移動した場合、通信端末53の位置は画像形成装置50に対して角度βの方向であると検出される。またその時の距離は距離rとなる。
【0130】
すなわち、通信端末53を所持したユーザが、画像形成装置50に向かって近づいてきていない場合は、画像形成装置50に対して通信端末53が位置する角度は角度αから角度βに任意に変化し、画像形成装置50に対する通信端末53の距離は距離pから距離qに任意に変化する。
【0131】
従って、画像形成装置50は、通信端末53の方向を示す角度と、通信端末53との距離を検出して移動軌跡を検出することで、通信端末53を所持したユーザが画像形成装置50を操作するために近づいてくるのか、あるいは、画像形成装置50の付近を通過するのかを特定することができる。
【0132】
尚、
図9では、通信端末53を所持するユーザが画像形成装置50の前方近傍で移動している例を示したが、BLE通信ユニット5の通信領域内であれば、画像形成装置50に対して側方から接近してくるユーザを検出することもできる。
【0133】
次に、
図10のフローチャートを用いて、
図9(a)、
図9(b)で説明した通信端末53を所持したユーザの移動軌跡を検出することにより、画像形成装置50がスリープ状態からスタンバイ状態への復帰を行う動作を説明する。ここで、スタンバイ状態とは、画像形成装置50が起動した状態であり、画像形成ジョブを受け付けることでシートに対して画像形成可能な状態のことである。また、スタンバイ状態とは、ユーザからの指示を受け付けることで画像形成装置50の読取装置50bによって現行の画像を読み取り可能な状態のことである。また、スリープ状態とは、スタンバイ状態に比べて消費電力が低い省電力状態であって、所定の電源電圧が印加された状態のことであり、復帰動作を行うことでスタンバイ状態へと移行可能な状態である。
【0134】
S1001では、制御部300は、BLE通信ユニット5により、通信端末53を検出したか否かを判定する。ここでは、
図6で説明した方法を用い、BLE通信ユニット5が電波を受信したことに基づいて通信端末53を検出する。
【0135】
そして、通信端末53を検出している場合(S1001YES)、S1002へ移行する。S1002では、S1001で検出した通信端末53の位置する方向を
図9で説明した方法を用いて検出し、通信端末53の位置する角度の変化を検出することにより、方向が一定であるか否かを判定する。つまり、S1002では、所定時間ごとに通信端末53の位置を検出することで、通信端末53の画像形成装置50に対する角度が一定であるかもしくは角度が変化したかを検出する。
【0136】
方向が一定であれば(S1002YES)、S1003に移行する。方向が一定でなければ(S1002NO)、S1001に移行する。
【0137】
S1003では、制御部300は、BLE通信ユニット5により、通信端末53の距離を検出し、その距離が所定の距離以内であるか否かを判定する。つまり、S1003では、制御部300は、通信端末53が画像形成装置50に対して一定距離まで近づいたか否かを判定する。
【0138】
通信端末53との距離が所定の距離以内である場合(S1003YES)、S1004に移行する。通信端末53との距離が所定の距離以内でなければ(S1003NO)、S1001に移行する。
【0139】
S1004では、制御部300は、画像形成装置50の各部をスリープ状態からスタンバイ状態へ復帰させるスリープ復帰処理を行う。
【0140】
具体的には、制御部300は、スリープ復帰処理として、表示制御部304により、表示部410にユーザ操作に必要な操作画面を表示する。つまり、制御部300は、スリープ復帰処理として表示部410の表示画面を起動状態の画面へ遷移させる制御もしくは表示部410の表示を点灯する制御を行う。また、制御部300は、スリープ復帰処理として、スリープ状態にある装置本体50aや原稿読取装置50bの各部を起動制御して、各種の機能が動作可能な状態に復帰させる。ここで、各部の起動制御とは、モータ等の立ち上げ制御や、定着装置の温調制御等の画像形成動作や読取動作を行うためのウォームアップ動作を行う制御である。
【0141】
このように、
図10においては、通信端末53の位置する方向と距離を検出することで、画像形成装置50の操作のために近づいてくるユーザと、画像形成装置50を通過するユーザを正確に特定して、ユーザが画像形成装置50に向かって近づいてきた場合にのみスリープ復帰処理を行うことができる。
【0142】
尚、通信端末53の位置が同一方向から接近していることに基づいて画像形成装置50にユーザが接近してきていると判定することで、S1003のステップを省略してスリープ復帰処理を行う構成であってもよい。これによっても、画像形成装置50の操作のためにユーザが近づいてくる場合のみにスリープ復帰処理を行うことができる。
【0143】
よって、画像形成装置50は無駄なスリープ復帰を回避してより一層の省電力を計ることができる。また、画像形成装置50の操作のために近づいてくるユーザの方向、距離をBLE通信ユニット5を用いて検出することができるので、ユーザの位置によるスリープ復帰のタイミングをより正確に制御することが可能になる。よって、画像形成装置50は、ユーザに動きに合わせた高速でストレスのないスリープ復帰を提供でき、ユーザビリティを向上することができる。
【0144】
尚、S1002で判定した方向が一定か否かについては、完全に同一角度の場合に方向が一定と判定してもよいが、角度の変化が所定の範囲内に収まる場合を方向が一定と判定してもよい。例えば、角度の変化が±20°以内である場合を一定の方向であると判定してもよい。
【0145】
次に、
図11のフローチャートを用いて、
図9(a)、
図9(b)で説明した通信端末53を所持したユーザの移動軌跡を特定する方法により、画像形成装置50がユーザ認証を行う動作を説明する。
【0146】
S1101では、制御部300は、BLE通信ユニット5により、通信端末53を検出したか否かを判定する。ここでは、
図6で説明した方法を用い、BLE通信ユニット5が電波を受信したことに基づいて通信端末53を検出する。
【0147】
そして、通信端末53を検出している場合(S1101YES)、S1102へ移行する。S1102では、S1101で検出した53の位置する方向を検出し、その通信端末53の位置する角度の変化を検出することにより、方向が一定であるか否かを判定する。つまり、S1102では、所定時間ごとに通信端末53の位置を検出することで、通信端末53の画像形成装置50に対する角度が一定であるかもしくは角度が変化したかを検出する。
【0148】
方向が一定であれば(S1102YES)、S1103に移行する。方向が一定でなければ(S1102NO)S1101へ移行する。
【0149】
S1103では、制御部300は、BLE通信ユニット5により、通信端末53の距離を検出し、その距離が所定の距離以内であるか否かを判定する。つまり、S1103では、制御部300は、通信端末53が画像形成装置50に対して一定距離まで近づいたか否かを判定する。
【0150】
通信端末53との距離が所定の距離以内である場合(S1103YES)、S1104に移行する。通信端末53との距離が所定の距離以内でなければ、S1101に移行する。
【0151】
S1104では、制御部300は、BLE通信ユニット5により、通信端末53とのBLE通信によりユーザ認証処理を行う。
【0152】
ここでは、通信端末53にはユーザと紐づけられたユーザIDが登録されおり、また画像形成装置50の記憶装置303には、認証可能なユーザのIDリストが予め格納されている。
【0153】
すなわち、制御部300は、通信端末53とのBLE通信により、通信端末53に紐づけられたユーザIDを取得して、これを記憶装置303の認証可能なユーザのIDリストと照合して、IDリストと取得したユーザIDとが一致するか否かによってユーザ認証を行う。
【0154】
そして、S1105では、制御部300は、S1104によるユーザ認証処理により携帯端末53の認証がされたか否かを判定する。
【0155】
認証された場合は(S1105YES)、S1106に移行する。認証されない場合はS1101に移行する。
【0156】
S1106では、制御部300は、認証されたユーザのログイン処理を行う。具体的には、制御部300は、表示制御部304により、表示部410にユーザ操作に必要な操作画面を表示する。この際、制御部300は、記憶装置303に記憶されている、認証されたユーザの各種設定を読み出し、ユーザ用にカスタマイズされたスタンバイ操作画面を表示部410に表示する。これにより、認証されたユーザは画像形成装置50にログインして、画像形成装置50の操作を容易に行うことができる。
【0157】
図11においては、通信端末53の位置する方向と距離を検出することで、画像形成装置50の操作のために近づいてくるユーザと、画像形成装置50を通過するユーザを正確に特定して、ユーザが画像形成装置50に向かって近づいてきた場合にのみログイン処理を行うことができる。
【0158】
尚、通信端末53の位置が同一方向から接近していることに基づいて画像形成装置50にユーザが接近してきていると判定することで、S1103のステップを省略してユーザ認証処理を行う構成であってもよい。これによっても、画像形成装置50の操作のためにユーザが近づいてくる場合のみにログイン処理を行うことができる。
【0159】
このため、画像形成装置50を通過するユーザに対して不要な認証、ログイン処理を行うことを抑制することができる。また、画像形成装置50の操作のために近づいてくるユーザの方向、距離を検出することができるので、ユーザの位置による認証処理のタイミングをより適切に制御することが可能になる。よって、ユーザの画像形成装置50への到着に合わせて認証、ログイン処理を行うことにより、ユーザにとって高速でストレスのない認証及びログイン処理ができるため、ユーザビリティを向上することができる。
【0160】
尚、上述した実施形態では、通信端末53の位置する方向と距離を検出することで、スリープ復帰処理やユーザのログイン処理をそれぞれ行う例を説明したが、スリープ復帰処理とログイン処理の両方を行ってもよい。例えば、同一方向から近づいてきた通信端末53と画像形成絵装置50との距離が所定の距離となった場合にスリープ復帰処理とユーザ認証処理を行う構成であってもよい。
【0161】
また、S1102で判定した方向が一定か否かについては、完全に同一角度の場合に方向が一定と判定してもよいが、角度の変化が所定の範囲内に収まる場合を方向が一定と判定してもよい。例えば、角度の変化が±20°以内である場合を一定の方向であると判定してもよい。
【0162】
また、上述した実施形態では、通信端末53が1つだけ近づいてくる例を示したが、BLE通信ユニット5の通信領域内に複数の通信端末53が検出される場合は、端末のデータに基づいて、それぞれの通信端末53の位置する方向と距離をそれぞれ検出してもよい。この場合、複数の通信端末53のうち、いずれか1つの端末が同一方向から所定距離だけ近づいてきた場合に、スリープ復帰処理や同一方向から所定距離だけ近づいてきた通信端末53に対するユーザ認証処理を行えばよい。尚、BLE通信ユニット5の通信領域内に位置する複数の通信端末53のうち、2つ以上の複数の端末が同一方向から近づいていることが検出される場合は、先に所定距離近づいた通信端末53とユーザ認証処理を行う構成であってもよい。尚、複数のBLEアンテナ35~38を用いて通信端末の位置する方向や距離に基づいて行う制御であれば、スリープ復帰処理やユーザ認証処理以外の制御を行う構成であってもよい。このように、複数のBLEアンテナ35~38を画像形成装置50に搭載することにより、画像形成装置50の性能を向上することが可能となる。
【0163】
また、上述した実施形態では、排出ローラ対91は、画像形成装置50の左右方向において右側から左側へ向けて排出トレイ92へシートを排出する構成を示したが、左右方向において左側から右側へ向けてシートを排出する構成であってもよい。また、画像形成装置50の背面側から正面側へ向けて排出ローラ対91によってシートを排出する構成であってもよい。
【0164】
また、上述した実施形態では、排出トレイ92は鉛直方向において読取装置50bの下方であって画像形成部500よりも上方の位置に設ける所謂胴内排紙の構成を示したが、装置本体50aの外側(左右方向において読み取り装置50bよりも外側)に排出トレイを有する構成であってもよい。尚、不図示のシート処理装置がシート搬送方向下流側に連結される画像形成装置50に対して本実施形態のようにBLE通信ユニット5を配置するものであってもよい。
【0165】
上述したように、本実施形態においては、画像形成装置50の装置本体50aの前面(正面)側に配置した。これにより、ユーザの所持している通信端末53とのBLE通信を行う際に、画像形成装置50の装置本体50aや読取装置50b等によって電波が遮蔽されることを抑制でき、BLE通信を用いて通信端末53の位置する方向を良好に検出することができる。また、操作部400の近傍にBLE通信ユニット5を配置することにより、操作部400を操作するために画像形成装置50に近づいてくる通信端末53を所持するユーザをより正確に検出することができる。
【0166】
また、BLE通信ユニット5を操作部400の近傍であり、鉛直方向において操作部400の下方かつ画像形成部500の上方という装置本体50aにおいて比較的高い位置に配置することにより、画像形成装置50と通信端末53との間に存在する障害物の影響を回避して到来する無線電波の直接波を十分な電波強度で送受できる。これにより、通信端末53の位置する方向を良好に検出することができる。
【0167】
以上のようにして、電波の到来方向を検出するための複数のBLEアンテナ35~38を用いて画像形成装置50の性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0168】
5 BLE通信ユニット
34 RFスイッチ
35 BLEアンテナ
36 BLEアンテナ
37 BLEアンテナ
38 BLEアンテナ
39 基板
50 画像形成装置
53 通信端末
61 金属板金
62 金属スペーサ
64 樹脂スペーサ
65 外装カバー
92 排出トレイ
300 制御部
400 操作部
500 画像形成部