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  • 特許-電気集塵装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】電気集塵装置
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/64 20060101AFI20240213BHJP
   B03C 3/40 20060101ALI20240213BHJP
   B03C 3/45 20060101ALI20240213BHJP
   B03C 3/47 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
B03C3/64 Z
B03C3/40 A
B03C3/45 A
B03C3/47
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019176520
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021053536
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】596032177
【氏名又は名称】住友金属鉱山エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】阿部 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】安部 雅美
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207628582(CN,U)
【文献】特開2011-194375(JP,A)
【文献】特開2015-024380(JP,A)
【文献】実公昭32-008887(JP,Y1)
【文献】特開2001-232239(JP,A)
【文献】特開平05-317746(JP,A)
【文献】実開昭62-164952(JP,U)
【文献】実開昭63-066152(JP,U)
【文献】登録実用新案第3174506(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1460663(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電極と該放電極を取り囲む多角筒状の集塵極を有する複数の単位集塵極と、
格子状に縦横各方向に沿って3領域以上ずつ計9領域以上配列されている複数の多角筒状の単位集塵極配置領域を有する集塵極支持枠と、によって構成されていて、
前記単位集塵極は、前記集塵極が導電性繊維強化プラスチックで形成されていて、
前記集塵極支持枠は、金属材料によって形成されていて、直方体の外縁の各辺を構成する外枠部と、前記外枠部の天面と底面との間に立設されている複数の柱部と、前記外枠部の底面に平行な面内において相互に直交して架設されている複数の梁部と、によって構成されていて、
各々の前記単位集塵極配置領域は、前記柱部及び前記梁部によって他の単位集塵極配置領域と区分けされていて、
個々の前記単位集塵極は、個々の単位集塵極配置領域内に配置されていて、前記集塵極支持枠における補強部材で補強されている部分にボルト・ナットによって接合されることによって支持されている、
電気集塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気集塵装置に関する。本発明は、より詳しくは、集塵極を構成する材料として、従来の金属材料に替わって導電性の繊維強化プラスチック(FRP、Fiber Reinforced Plastic, 以下「FRP」とも言う)を採用した電気集塵装置であって、耐久性や安全性を維持したまま、従来装置よりも大型化することが可能な電気集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気集塵装置は、硫酸ミスト処理やアルミニウム精錬排ガス処理のみならず廃棄物焼却プロセス等において発生する廃ガスから、有害なダストやミストを捕集する目的で使用されている(特許文献1、2)。
【0003】
これらの電気集塵装置の集塵極を構成する材料として、従来の金属材料に替わって導電性の繊維強化プラスチック(FRP、Fiber Reinforced Plastic,以下「FRP」と呼ぶ)の採用が進んでいる。FRPを採用することで、主に耐食性が強化され、高耐食性の金属材料よりも安価に製作することが可能となるからである(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-119889号公報
【文献】特開2012-148214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特に、例えば、大型の集塵極で極室を構成する電気集塵装置において、集塵極をFRPで構成する場合、輸送上の制限により極室の分割数が増えて装置全体の機械的強度について不十分となる場合があった。一方で、極室の分割数自体も構造上制限される場合もあり、何れにしても、集塵極をFRPで構成する場合には、金属材料で形成する場合と比較して、十分な強度を維持しながら大型化することが困難な場合が多かった。 本発明は、FRP製の集塵極で極室が構成される電気集塵装置を、装置全体としての十分な強度を維持しながら大型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、大型のFRP製の集塵極を、金属製の集塵極支持枠によって支持する構成の電気集塵装置によって、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0007】
(1) 放電極と該放電極を取り囲む多角筒状の集塵極を有する複数の単位集塵極と、格子状に配列されている複数の多角筒状の単位集塵極配置領域を有する集塵極支持枠と、によって構成されていて、前記単位集塵極は、前記集塵極が導電性繊維強化プラスチックで形成されていて、前記集塵極支持枠は、金属材料によって形成されていて、直方体の外縁の各辺を構成する外枠部と、前記外枠部の天面と底面との間に立設されている複数の柱部と、前記外枠部の底面に平行な面内において相互に直交して架設されている複数の梁部と、によって構成されていて、各々の前記単位集塵極配置領域は、前記柱部及び前記梁部によって他の単位集塵極配置領域と区分けされていて、個々の前記単位集塵極は、個々の単位集塵極配置領域内に配置されていて、前記集塵極支持枠に支持されている、電気集塵装置。
【0008】
(2) 縦横各方向に沿って3領域以上ずつ計9領域以上の単位集塵極配置領域を有する(1)に記載の電気集塵装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、FRP製の集塵極で極室が構成される電気集塵装置を、装置全体としての十分な強度を維持しながら大型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の電気集塵装置の構成概略を示す斜視図である。
図2図1の電気集塵装置を天面側から見た場合における構成概略を示す上面図である。
図3図1の電気集塵装置を構成する、単位集塵極の構成概略を示す斜視図である。
図4図3の単位集塵極を天面側から見た場合における構成概略を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[電気集塵装置の構成]
本発明の一実施形態である電気集塵装置1は、従来の電気集塵装置同様、各種の排ガス中に微粒子として含有される有害なダストやミストを捕集する目的で使用されるものである。この電気集塵装置1は、図1~4に示す通り、湿式電気集塵装置の本体部分を構成する複数の多角筒状の単位集塵極10と、個々の単位集塵極10を収納して支持する集塵極支持枠20とによって構成されている。
【0012】
(単位集塵極)
図1、2に示すように、電気集塵装置1においては、導電性のFRPからなる集塵極板によって成型される多角筒状の集塵極12の内部に放電極13(14)が配置されている単位集塵極10を構成単位とし、これらの集合体として集塵極の全体構造(本明細書では、この全体構造を、「単位集塵極」と区別して「集塵極全体」と言う)が構成されている。複数の単位集塵極10は、格子状に連続して配置されていることによって「集塵極全体」を構成する。
【0013】
個々の単位集塵極10は、図3、4に示すように、集塵極板が多角筒状に接合されてなる集塵極(極室)12を有し、各々の「極室」の内部に、放電極13、14が配置されている。
【0014】
単位集塵極10の集塵極(極室)を形成する集塵極板は、上述の通り、導電性繊維強化プラスチックである。通常、集塵極全体の構成が同様の構成である電気集塵装置においては、個々の単位集塵極10において、このFRP製の集塵極板自体が、機械的強度を担保し、火花等から内部構造を保護する外殻部としての機能を担っている。
【0015】
放電極13、14は、図3、4に示すように、各々の「極室」の内部の中央近傍域を鉛直方向に貫通して設置されている。図3、4における放電極13は電極ロッドであり、この電極ロッド13には、電源(図示せず)から供給される電圧が直接印加される。一方、同図における放電極14は放電線であり、この放電線14には、電極ロッド13及び上部グリッド11を介して電圧が印加される。
【0016】
ここで、本発明において「単位集塵極」とは、図3、4に示すように、複数の極室が格子状に接合されている構成のものであってもよいし、単一の極室(集塵極)と、単一の方電極が、単位集塵極を構成しているものであってもよい。
【0017】
(集塵極支持枠)
集塵極支持枠20は、金属材料で形成される立体格子状の枠体である。図1、2に示すように、その外縁形状は直方体であり、当該直方体の外縁の各辺を構成する外枠部21と、柱部22と、梁部23A、23Bとを有する。又、これら各部によって、多角筒状の単位集塵極配置領域24が形成されている。
【0018】
図1図2に示す通り、集塵極支持枠20においては、複数の柱部22が、外枠部21の天面と底面とを結んで鉛直方向に沿って立設されている。又、柱部22は水平方向においては略等間隔で格子状に配置されている。
【0019】
そして、同じく図1図2に示す通り、集塵極支持枠20においては、複数の梁部23A、23Bが、外枠部21の底面と天面とに平行な面内において相互に直交して外枠部に架設されている。又、梁部23A、23Bは水平方向においては、それぞれ略等間隔で配置されることによって、天面側から見た場合における格子状の開口を形成している。
【0020】
又、同じく図1図2に示す通り、集塵極支持枠20においては、上記のような立体格子状に配置されている柱部22及び梁部23A、23Bによって、単位集塵極配置領域24が形成されている。一の単位集塵極配置領域24は、柱部22及び梁部23A、23Bによって他の単位集塵極配置領域24と区分けされている。
【0021】
図1に示す通り、電気集塵装置1においては、集塵極支持枠20内に形成されている各々の単位集塵極配置領域24に、各々の単位集塵極10が配置されている。そして、各々の単位集塵極10は、集塵極支持枠2に十分な強度で接合されることによって、安定的に支持されている。この接合は、例えば、単位集塵極10(好ましくは補強部材で補強されている部分)と、集塵極支持枠2とをボルト・ナットによって接合することによって行われることが好ましい。
【0022】
電気集塵装置1の全体構成を上記構成とすることにより、FRP製の集塵極で極室が構成される電気集塵装置を、装置全体としての十分な強度を維持しながら大型化することができる。
【0023】
例えば、集塵極支持枠2の単位集塵極配置領域24を縦横各方向に沿って格子状に2領域ずつ計4領域構成することによって、十分な耐久性や安全性を維持したまま、従来にない大型の電気集塵機を建造することが可能である。又、図1に示すように、単位集塵極配置領域24を縦横各方向に沿って3領域以上ずつ計9領域以上構成することによって、十分な耐久性や安全性を維持したまま、電気集塵機を更に巨大化することも可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 電気集塵装置
10 単位集塵極
11 上部グリッド
12 集塵極
13 放電極(電極ロッド)
14 放電極(放電線)
20 集塵極支持枠
21 外枠部
22 柱部
23A、23B 梁部
24 単位集塵極配置領域
図1
図2
図3
図4