(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】献立提供システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240213BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2019189475
(22)【出願日】2019-10-16
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】597132849
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 一石
(72)【発明者】
【氏名】間々田 昌英
(72)【発明者】
【氏名】楊 曉宇
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】小佐野 拓也
(72)【発明者】
【氏名】小澤 佳子
(72)【発明者】
【氏名】田中 亜友子
(72)【発明者】
【氏名】若林 洋輔
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-250699(JP,A)
【文献】国際公開第2017/175354(WO,A1)
【文献】特開2010-061382(JP,A)
【文献】特開2016-162124(JP,A)
【文献】特開2010-191745(JP,A)
【文献】吉田 薫史 ほか,画像認識を用いた料理レシピ検索方法の提案,2019年電子情報通信学会総合大会講演論文集 情報・システム2,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2019年03月05日,p.41,ISSN 1349-1369
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
献立提供システムであって、
取得された食材の画像を解析することにより、前記食材の種類、量および状態を判定する食材画像判定部と、
前記食材画像判定部の判定結果に基づいて、前記食材を用いて調理可能な献立候補を検索する献立候補検索部と、
を備え、
前記食材の状態には、前記食材の状態に適した献立を検索するために、通常状態の食材との形状の差異が含まれており、
前記献立候補には、複数の料理が含まれており、前記複数の料理は所定の料理ジャンルに属し、
前記複数の料理には、主菜と少なくとも一つの副菜とが含まれており、前記主菜の料理ジャンルと同一の料理ジャンルに属する副菜が候補として選択され、
前記検索された献立候補をユーザへ提供する献立提供システム。
【請求項2】
前記献立候補検索部は、ユーザの食事履歴と栄養に関する情報も考慮して、前記食材を用いて調理可能な献立候補を検索する、
請求項1に記載の献立提供システム。
【請求項3】
前記食材画像判定部は、複数の食材が含まれる食材画像を解析することにより、前記各食材の種類、量および状態を判定する、
請求項1に記載の献立提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、献立提供システムおよびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの健康に関する要望、嗜好、目的に合致した献立を在庫食材の中から選択し安全にユーザに配送することを管理するシステムは知られている(特許文献1)。
【0003】
また、日々発信される特売情報やレシピ情報を加工し格納し、これら情報と個人情報、店舗情報とを段階的につき合わせることで、サービス利用者に最適な献立とレシピを煩わしい作業をすることなく提供するシステムも知られている(特許文献2)。
【0004】
さらに、ユーザの購入した食材のうち保存期限の近い食材を優先して使用するようにユーザに通知するシステムも知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-209382号公報
【文献】特開2010-257271号公報
【文献】特開2014-174791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、ユーザの嗜好および目的などの情報に基づいて、ユーザに最適な献立を演算し、その最適な献立を調理するための食材を用意してユーザへ送る。しかし、特許文献1では、ユーザが購入済の食材またはこれから購入予定の食材に基づいて、ユーザへ献立を提案するものではなく、そのユーザに最適な献立を実現するための食材を提供するものである。
【0007】
特許文献2では、特売情報を利用した献立をユーザへ提案するものであり、特許文献1について述べたと同様に、ユーザの手持ちの食材または購入予定の食材に適した献立を提案するものではない。
【0008】
特許文献3では、ユーザの保存している食材の保存形態(冷凍状態かなど)および保存期限を考慮した料理をユーザへ提案する。しかし、特許文献3では、レシートの記載内容を解析して食材の種類と量を特定し、消費したはずの量を自動的に減算するため、現在の食材の量および状態と整合しない可能性がある。
【0009】
従来技術では、ユーザの手持ちの食材またはこれから購入予定の食材をコンピュータシステムへ登録するのに、レシートを印刷したり、あるいはキーワードを入力したりする必要があり、ユーザの手間がかかり、ユーザにとって使い勝手が低い。
【0010】
また、従来技術では、食材の購入時の状態はコンピュータシステムにより把握できるが、その後の食材の状態の変化を把握することができない。ユーザは、例えば、大根1本、キャベツ1玉、人参1本などの通常状態の食材を一回の調理で使い切ることは少なく、必要な量だけ消費する。さらに、例えば、人参を乱切りにして保存するなどのように、食材を通常状態とは異なる形状で保存することもある。従来技術では、このような食材の状態変化に追従することができない。したがって、従来技術では、例えば、千切りのキャベツが大量に残っている場合に、コンピュータシステムがロールキャベツを提案することも考えられるが、千切り状態のキャベツではロールキャベツを調理することはできず、ユーザにとっての利便性が低い。
【0011】
さらに、友人知人、親戚などから野菜、米、魚などの食材を譲られることがあるが、これらにレシートは付随しないため、友人知人等から譲られた食材をコンピュータシステムへ登録することができず、有効に利用することができない。仮に、ユーザがキーボードから食材の種類および量をコンピュータシステムへ登録する場合、ユーザの手間がかかり、やはりユーザにとっての使い勝手が低い。
【0012】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、ユーザにとっての使い勝手を向上できるようにした献立提供システムおよびコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決すべく、本発明の一つの観点に従う献立提供システムは、取得された食材の画像を解析することにより、食材の種類、量および状態を判定する食材画像判定部と、食材画像判定部の判定結果に基づいて、前記食材を用いて調理可能な献立候補を検索する献立候補検索部と、を備え、検索された献立候補をユーザへ提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、食材の画像からその食材の種類、量および状態を判定し、この判定された食材を用いて調理可能な献立候補を検索し、ユーザへ提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図8】食材画像を判定する処理を示すフローチャート。
【
図13】献立提供システムのさらに別の構成例を示す図。
【
図14】第2実施例に係り、食材画像の判定処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態に係る献立提供システムは、食材の画像に基づいて、その食材の種類、量および状態を判定し、その判定された食材を用いて調理可能な献立(献立の候補)を提案する。ユーザは、献立提供システムへ食材の画像を送るだけでよく、文字または音声で食材の種類などをシステムへ登録する必要がなく、ユーザにとっての使い勝手が向上する。
【0017】
本実施形態では、食材の種類と量だけでなく、その状態(例えば、通常状態の食材との形状の差異)をも判別して考慮するため、食材の状態に適した献立を検索してユーザへ提案することができる。
【0018】
さらに本実施形態では、判定された食材を用いて調理可能な、所定の料理ジャンルに属する複数の料理を含む献立をユーザへ提案することができる。すなわち、和食、洋食、中華料理といった共通の料理ジャンルに属する、まとまりのある食事をユーザへ提案することができる。
【0019】
さらに本実施形態では、判定された食材の栄養情報(どのような栄養素がどれだけ含まれているかなどの情報)とユーザの食事履歴情報も考慮して、ユーザに適した献立を提案することができる。
【実施例1】
【0020】
図1~
図13を用いて第1実施例を説明する。
図1は、献立提供システムの全体構成図である。献立提供システムは、例えば、献立提案部10と、ユーザ端末20と、レシピ管理部30とを含む。
【0021】
献立提案部10は、ユーザから入力された食材画像を判定することにより、その食材を利用して調理可能な献立をレシピ管理部30から取得し、取得された献立をユーザへ提案する。献立提案部10は、例えば、献立候補検索部11と、食材画像判定部12と、栄養評価部13と、ユーザ情報管理部14と、栄養情報取得部15と、情報提供部16とを備える。
【0022】
献立提案部10は、食材画像の判定結果と栄養評価部13の評価とユーザ情報管理部14からの情報とに基づいて、判定された食材から調理可能な料理を複数含む献立を提案する機能である。
【0023】
献立提案部10は、例えば、主菜候補を抽出する主菜候補抽出部111と、副菜候補を抽出する副菜候補抽出部112と、汁物候補を抽出する汁物候補抽出部113を含むことができる。少なくとも主菜候補と副菜候補とは、共通の料理ジャンルに属する。
【0024】
食材画像判定部12は、入力された食材画像から機械学習により、その食材の種類と量および状態を判定する。食材画像の判定結果の情報については、
図2で後述する。
【0025】
栄養評価部13は、栄養情報取得部15から取得される栄養情報に基づいて、食材および献立の栄養を評価する。栄養評価部13は、食材画像の判定結果に基づいて、各食材がどのような栄養素をどれだけ有するか評価する。また、栄養評価部13は、判定された食材から調理可能な料理の持つ栄養素も評価する。さらに、栄養評価部13は、ユーザ情報管理部14から取得されるユーザの食事履歴情報に基づいて、直近の所定期間にユーザが摂った食事の栄養を評価する。
【0026】
ユーザ情報管理部14は、ユーザ情報およびユーザの食事履歴を管理する。ユーザ情報の詳細は、
図3で後述する。食事履歴情報の詳細は、
図4で後述する。
【0027】
栄養情報取得部15は、食材の栄養素の情報を栄養評価部13へ供給する。栄養情報取得部15は、例えば食品成分表などに記載されている情報をあらかじめ記憶しておくこともできるし、あるいは、図示せぬ外部の情報提供装置から食材の栄養情報を必要に応じて取得してもよい。
【0028】
情報提供部16は、献立候補検索部11により検索された献立候補の情報をユーザ端末20へ提供する。情報提供部16は、ユーザ端末20からの指示または情報を受信し、献立候補検索部11に引き渡すこともできる。献立候補検索部11は、例えば、ユーザ端末20から指定された食材を中心とする主菜を含む献立候補を検索することができる。
【0029】
ユーザ端末20は、献立提供システムを利用するユーザにより使用される。ユーザ端末20は、例えば、デスクトップ型またはノートブック型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、携帯情報端末などのように構成される。VR(Virtual Reality)またはAR(Augmented Reality)などに使用されるゴーグル型端末をユーザ端末20として用いてもよい。
【0030】
ユーザ端末20は、例えば、食材画像取得部21と、常備品情報取得部22と、ユーザインターフェース部23とを備える。図中では、ユーザインターフェースをUIと略記している。
【0031】
食材画像取得部21は、調理素材としての食材の画像を取得して、献立提案部10の食材画像判定部12へ送信する。食材画像取得部21は、例えば、図示せぬカメラによって食材を撮影してもよいし、あるいは、図示せぬメモリに格納された食材画像ファイルを読み出してもよい。食材画像取得部21は、複数の食材を含む一つの画像を取得して食材画像判定部12へ送信することもできるし、あるいは、一つの食材の画像を取得して食材画像判定部12へ送信することもできる。
【0032】
常備品情報取得部22は、ユーザの使用可能な常備品の情報を取得する。常備品とは、食材の調理に使用する物品であって、ユーザがほぼ常に使用可能な物品である。常備品としては、例えば、塩、胡椒、醤油、味噌、酢、七味、バター、食用油、マヨネーズ、カレールー、シチュールーなどの調味料、米または缶詰などの食品をあげることができる。なにが常備されているかは、通常、ユーザ毎に異なる。
【0033】
ユーザインターフェース部23は、献立提案部10とユーザ端末20との間で情報を交換する。すなわち、ユーザインターフェース部23は、献立提案部10からの情報をユーザへ提示したり、あるいは、ユーザからの指示および情報を献立提案部10へ入力したりする装置である。ユーザ端末20とユーザインターフェース部23とは物理的に別体に構成されて、無線通信などで接続されてもよい。
【0034】
図2は、食材画像の判定結果を示す。一つの食材画像Img1には、野菜、魚、肉といった複数の食材が含まれている。食材画像判定部12は、機械学習の手法を用いることにより、食材画像Img1に含まれる各食材の種類、量、状態を判定する。
【0035】
図2の下側に、食材画像判定部12による食材判定結果T1の例を示す。食材判定結果T1は、例えば、画像ID C11と、食材ID C12と、食材名C13と、分量C14と、第1状態C15と、第2状態C16とを管理する。
【0036】
画像ID C11は、食材画像Img1を特定する識別子である。食材ID C12は、食材画像Img1に含まれる各食材を特定する識別子である。食材名C13は、「食材の種類」に該当する。分量C14は、「食材の量」に該当する。分量C14は、全重量と可食部分の重量との2つを併記することもできる。第1状態C15は、「食材の状態」に該当し、例えば食材の形状を示す。食材の形状には、その食材の通常状態での形状と、その食材の加工後の形状とが含まれる。第2状態C16は、食材の鮮度を示す。例えば、食材が冷凍状態であるか否か、食材がラッピングされているか否かなどのように、第3の状態、第4の状態などをさらに管理することもできる。
【0037】
図2では、一つの食材画像Img1に含まれる複数の食材を判定する例を示すが、これに代えて、一つの食材画像に含まれる一つの食材を判定することもできる。例えば、ユーザが、スーパーマーケットなどで所望の食材を撮影しながら、店舗内を移動するような場合である。さらに、ユーザは、図示せぬ冷蔵庫内の食材を取り出して食卓に並べて全体を一つの食材画像として撮影し、次に、スーパーマーケットへ移動して、個別の食材の画像を一つ一つ撮影してもよい。このような実施例については、
図14で後述する。
【0038】
図3は、ユーザ情報T2の例である。ユーザ情報T2は、ユーザについての情報を管理しており、例えば、ユーザID C21と、氏名C22と、生年月日C23と、身長C24と、体重C25と、運動量C26と、血圧C27とを含むことができる。
【0039】
ユーザ情報T2は、基本情報C21~C23と、健康状態管理情報C24~C27とに大別可能である。基本情報について説明する。ユーザID C21は、献立提供システムのユーザを識別する識別子である。氏名C22は、ユーザの氏名である。生年月日C23は、ユーザの生年月日である。健康状態管理情報について説明する。本実施例では、ユーザの健康状態を管理するための情報として、例えば身長C24、体重C25、運動量C26、血圧C27を管理する。これらの各情報C24~C27の全てを常に管理する必要はなく、必要に応じて、あるいは、ユーザの希望に応じて管理可能とすればよい。なお、健康状態管理情報は上述の情報に限らず、例えば、心拍数、睡眠時間、体温、体脂肪率などを含めてもよい。
【0040】
図4は、食事履歴情報T3の例である。食事履歴情報T3は、ユーザの食事の履歴を管理しており、例えば、ユーザID C31と、日付C32と、時刻C33と、複数のレシピID C34~C37とを含む。
【0041】
ユーザID C31は、
図3中のユーザID C21と同様である。日付C32は、食事をした日付である。時刻C33は、食事をした時刻である。時刻C33は、開始時刻でもよいし、終了時刻でもよい。献立提供システムからユーザ端末20へ献立候補(レシピ群)を提供した時刻でもよい。あるいは、献立候補を提供した時刻に調理所要時間を加えた時刻でもよい。
【0042】
レシピIDは、料理を識別する識別子である。複数のレシピID C34~C37は、一回の食事でユーザが摂った料理の内容を示している。朝食、昼食、おやつ、夕食、夜食などのように、食事のタイミングによって、料理の品数は異なる場合がある。すなわち、毎回の食事には、少なくとも一つの料理(レシピID)が含まれる。献立提供システムは、一つのレシピIDのみをユーザ端末20へ送信したり、複数のレシピIDをユーザ端末20へ送信したりする。
【0043】
図5は、栄養情報T4の例を示す。栄養情報T4は、食材の栄養を管理する。栄養情報T4は、例えば、食材ID C41と食材名C42と基準単位C43とを含む基本情報と、カロリーC44と炭水化物C45とタンパク質C46と脂質C47といった栄養素情報とを含む。栄養素情報は、基準単位の食材に含まれる栄養素の量である。栄養素情報には、
図5に示すものに限らず、各種ビタミン、ミネラル、アミノ酸なども含まれる。
【0044】
図6は、常備品情報T5の例である。常備品情報T5は、ユーザが調理に関して常備している物品を管理する情報である。常備品情報T5は、例えば、常備品ID C51と常備品名と常備品の種別との基本情報と、カロリーC54と塩分C55とタンパク質C56と脂質C57といった成分情報とを含む。成分情報には、上述のカロリー等以外の情報を含むこともできる。
【0045】
図7は、レシピ応答情報T6の例である。レシピ応答情報T6は、献立提案部10からの要求に対して返信される。レシピ応答情報T6は、例えば、応答ID C61と、料理名C62と、食材C63と、使用量C64と、調理法C65と、主菜C66と、第1副菜C67と、第2副菜C68と、汁物C69と、栄養C6Aと、ジャンルC6Bとを含んでいる。
【0046】
応答ID C61は、レシピ応答情報T6を識別する識別子である。料理名C62は、一つまたは複数のレシピから構成される料理の名称である。食材ID C63は、料理に使用される一つまたは複数の食材を特定する情報である。使用量C64は、調理に際して使用される食材の量である。調理法C65は、主菜、各副菜、汁物の調理方法を示す情報である。調理法C65の情報は、テキスト、静止画像、イラスト、動画像、音声などを組み合わせて構成することができる。
【0047】
主菜ID C66は、主菜を特定する識別子である。第1副菜ID C67は第1副菜を特定する識別子である。第2副菜ID C68は、第2副菜を特定する識別子である。汁物ID C69は、汁物を特定する識別子である。栄養C6Aは、一食分の料理に含まれる栄養素の種類と栄養素ごとの量を示す。ジャンルC6Bは、料理名C62で特定される一食の料理が属するジャンルを示す。
【0048】
レシピ応答情報T6は、
図7の構成に限らない。要するに共通のジャンルに属する一食分の料理をユーザが調理することができる情報が含まれていればよい。
【0049】
図8は、食材画像判定処理のフローチャートである。食材画像判定部12は、食材画像取得部21から食材画像を取り込み(S11)、機械学習の手法を用いて食材画像に含まれる食材の種類、量、状態を判定する(S12)。そして、食材画像判定部12は、その判定結果を献立候補検索部11などへ出力する(S13)。
【0050】
図9は、献立提案部10による献立提案処理のフローチャートである。献立提案部10は、食材画像判定部12の判定結果T1と、ユーザ情報T2と、食事履歴情報T3と、栄養情報T4と、栄養情報T4と、常備品情報T5とを取得する(S21)。
【0051】
献立提案部10の栄養評価部13は、取得した情報に基づいて、所定期間における献立の栄養素の合計と、食材画像の判定結果から得られる食材の栄養素の合計とをそれぞれ算出し、献立の栄養を評価する(S22)。
【0052】
所定期間とは、例えば、現在から所定日数だけ前の期間であり、栄養のバランスが取れているか判定するための期間である。所定期間は、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。栄養評価部13は、栄養の評価に際して、栄養情報T4に登録された各食材の栄養素をその食材の使用量に応じて利用する。評価対象の栄養素は、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。例えば、糖質制限ダイエットをしているユーザの場合、炭水化物、タンパク質、脂質を中心に献立の栄養を評価してもよい。
【0053】
献立提案部10は、ユーザの食事履歴情報T3と食材画像の判定結果から得られる食材の栄養素とに基づいて、ユーザに不足している栄養素を検出すると、その不足している栄養素を補うことのできる食材を抽出する(S23)。例えば、ユーザにより指定された栄養素について閾値を設定し、所定期間内に摂取された栄養素の合計値が閾値以下の場合に、不足している栄養素であると判定することができる。判定対象の栄養素は複数設定することができる。ユーザが全て設定してもよいし、幾つかの栄養素については、献立提案部10が自動的に設定してもよい。閾値は、ユーザが設定してもよいし、公的機関などで推奨された値を用いてもよい。
【0054】
献立提案部10は、食材画像から判定された食材を用いて調理可能な献立を検索するか判定する(S24)。献立提案部10は、食材画像から判定された食材だけでは栄養素の合計が閾値に達しない場合(S24:NO)、追加すべき食材をユーザ端末20へ送信し、ユーザにその追加食材の購入を提案する(S25)。
【0055】
例えば、食材画像から判定された食材が緑黄色野菜ばかりであり、魚または肉などのタンパク質を多く含む食材が全く含まれておらず、しかもユーザのタンパク質摂取量が閾値よりも低い場合、献立提案部10は、判定された食材だけでは栄養素の面で適切な献立を提案できないと判定することができる。
【0056】
これに対し、判定された食材だけで献立候補を検索可能な場合(S24:YES)、献立提案部10は、以下に詳述するように、主菜の候補と複数の副菜の候補と汁物の候補とをレシピ管理部30から取得し(S26~S34)、ユーザ端末20を介してユーザへ提示する(S35)。
【0057】
主菜の候補を算出する処理を説明する。献立提案部10は、主菜の候補(あるいは、主食および主菜の候補)を取得する。すなわち、献立提案部10は、主菜の候補について、それに使用される食材の種類、量、料理名、ジャンルなどを取得する(S26)。料理のジャンルとは、上述の通り、料理の種類および調理方法などを分類する情報である。料理のジャンルの例として、和食、洋食、中華、揚げ物、煮込みなどがある。
【0058】
献立提案部10は、食材画像の判定結果(食材名、量、状態)T1と常備品情報T5とに基づいて、レシピ管理部30から主菜候補を取得する。
【0059】
献立提案部10は、次の全ての条件を満たす料理を主菜候補を選択する。第1に必要な食材は判定結果の食材に含まれていること、第2に常備品または判定結果の食材以外に必要な食材がないこと、第3に必要な食材の量は判定結果の食材の量以下であること、第4に判定結果の食材の状態に適合していること、である。例えば、判定結果の食材が「千切り状態のキャベツ」である場合、その食材からロールキャベツを作ることはできないため、判定結果の食材の状態と適合していないと判定される。
【0060】
献立提案部10は、ステップS26で取得された主菜候補の中から、過去にユーザに提案された主菜候補およびそれに類似する主菜候補を除外する(S27)。
【0061】
例えば、ステップS26で取得された主菜候補の中に「とんかつ」が含まれており、食事履歴情報T3には2日前の夕食として「ピカタ」が記録されている場合、献立提案部10は、ステップS26で取得された主菜候補から「とんかつ」を除外する。「とんかつ」と「ピカタ」とは共に豚肉を中心とする料理であり、類似するためである。過去にユーザへ提案された主菜候補と同一または類似する主菜候補を除外するのは、単調な献立が続いてユーザに飽きられるのを防止し、食事の楽しみを増加させると共に、栄養の偏りを防止するためである。
【0062】
除外方法としては、(1)例えば、過去の料理を除外する、(2)類似料理を除外するに分けることができる。例えば、(1)ユーザに過去X日以内に提案した主菜候補は、既にユーザが食べていると推測し、除外する。また例えば、(2)ユーザに過去Y日以内に提案した主菜候補に類似する主菜候補は除外する。所定日数X,Yの値および単位は任意に設定することができる。
【0063】
献立提案部10は、一つ目の副菜の候補に使用可能な食材(食材名、量、状態)を計算する(S28)。すなわち、献立提案部10は、食材画像の判定結果(食材名、量)から、ステップS26,S27で抽出された主菜候補で使用する食材を除く。主菜候補で使用予定の食材の量も考慮する。
【0064】
献立提案部10は、ステップS28の結果に基づいてレシピ管理部30を検索することにより、一つ目の副菜候補(第1副菜候補)について、使用する食材およびその量と、料理名とを取得する(S29)。
【0065】
第1副菜候補の取得方法を説明する。例えば、献立提案部10は、第1副菜候補に使用可能な食材(食材名、量、状態)と常備品との情報とを用いて、レシピ管理部30(レシピデータベースへのAPI(Application Programming Interface))を検索し、第1副菜候補を取得する。
【0066】
献立提案部10は、主菜候補を取得する場合と同様に、以下の条件を全て満たす料理を第1副菜候補として選択する。すなわち、第1に必要な食材は判定結果の食材に含まれていること、第2に常備品または判定結果の食材以外に必要な食材がないこと、第3に必要な食材の量は判定結果の食材の量以下であること、第4に判定結果の食材の状態に適合していること、第5に副菜であること、第6に主菜候補と同一の料理ジャンルに属すること、である。
【0067】
これにより、献立提案部10は、主菜候補で使用されているメインの食材とは異なる食材を用いた副菜であって、かつ、主菜候補と同じジャンルに属する副菜を第1副菜候補として取得することができる。
【0068】
続いて、献立提案部10は、二つ目の副菜候補(第2副菜候補)に使用可能な食材(食材名、量、状態)を計算する(S30)。献立提案部10は、各食材の量について、第1副菜候補に使用される量を差し引く。献立提案部10は、第1副菜候補の取得方法(選択方法)と同様に、以下の全ての条件を満たす第2副菜候補を選択する(S31)。第1に必要な食材は判定結果の食材に含まれていること、第2に常備品または判定結果の食材以外に必要な食材がないこと、第3に必要な食材の量は判定結果の食材の量以下であること、第4に判定結果の食材の状態に適合していること、第5に副菜であること、第6に主菜候補と同一の料理ジャンルに属すること、である。
【0069】
さらに、献立提案部10は、汁物の候補に使用可能な食材(食材名、量、状態)を計算する(S32)。献立提案部10は、各副菜候補での食材の算出と同様に、第2副菜候補で使用予定の食材の種類および量を考慮する。例えば、主菜が「とんかつ」の場合に、汁物として「豚汁」が選択されないよう、食材のだぶりを防止するためである。
【0070】
献立提案部10は、レシピ管理部30から汁物候補を取得する(S33)。献立提案部10は、以下の条件を全て満たす料理を第1副菜候補として選択する。すなわち、第1に必要な食材は判定結果の食材に含まれていること、第2に常備品または判定結果の食材以外に必要な食材がないこと、第3に必要な食材の量は判定結果の食材の量以下であること、第4に判定結果の食材の状態に適合していること、第5に汁物であること、第6に主菜候補と同一の料理ジャンルに属すること、である。なお、汁物を付けるか否かはユーザが任意に設定可能である。
【0071】
献立提案部10は、取得された主菜候補、各副菜候補および汁物候補を調理するためのレシピをレシピ管理部30から取得し(S34)、情報提供部16からユーザ端末20のユーザインターフェース部23を介して、ユーザへ提案する(S35)。
【0072】
図10の献立提案画面G1を用いて、献立提案部10からユーザ端末20へ送られる提案情報を説明する。
【0073】
献立提案画面G1は、例えば、食材情報欄GP11と、献立候補欄GP12と、OKボタンGP13と、取り消しボタンGP14を含む。献立提案画面G1は、単品料理の提案ではなく、ジャンルを共通にする一食分の献立候補について、料理名、作り方、栄養情報(調理後の栄養情報)を提案する。
【0074】
栄養予測情報は、調理後の栄養情報に基づいて、主菜、各副菜、汁物のそれぞれの料理の栄養素を合算したものをユーザへ提示する。栄養予測情報とは、提案された一食分の候補を食べたときの各栄養素を予測した情報である。一食分の献立候補についての栄養情報T4と、ユーザの食事履歴情報T3とから栄養情報を予測することができる。
【0075】
なお、献立候補を提案するに際して、その献立の特徴、または評価値などを合わせて表示してもよい。例えば、「この献立は、あなたのパワー回復に有効なビタミン群を多く含んでいます。お勧め度:4点」、「この献立は、睡眠時間の短いあなたの肌を守るコラーゲンやミネラルをたっぷり含みます。お勧め度:3.5点」のようなメッセージを添えてもよい。
【0076】
図11~
図13を用いて、献立提案システムをコンピュータシステムとして実現する場合の例を幾つか説明する。
【0077】
図11は、献立提案サーバ100と、ユーザ端末200と、レシピ提供サーバ300とを通信ネットワークCNで接続した例を示す。献立提案サーバ100は、
図1の献立提案部10としての役割を果たす。すなわち献立提案サーバ100は、食材画像判定部12と、ユーザ情報管理部14と、栄養情報取得部15と、栄養評価部13と、献立候補検索部11と、情報提供部16とを備える。
【0078】
献立提案サーバ100は、例えば、マイクロプロセッサ(図中CPU(Central Processing Unit))101と、メモリ102と、図示せぬ通信インターフェース部などを備えており、記憶媒体103との間で情報を読み書き可能である。マイクロプロセッサ101がメモリ102に格納された所定のコンピュータプログラムを読み込んで実行することにより、上述した各機能11~16が実現される。なお、ユーザ端末200およびレシピ提供サーバ300も同様に、マイクロプロセッサとメモリおよび通信インターフェース部(いずれも図示せず)を備えたコンピュータとして実現される。
【0079】
本実施例の献立提案部10を実現する所定のコンピュータプログラムの一部または全部は、記憶媒体103に固定させて流通させることができる。あるいは、所定のコンピュータプログラムを通信媒体を介してコンピュータにダウンロードさせることもできる。
【0080】
ユーザ端末200は、
図1のユーザ端末20としての役割を果たす。すなわち、ユーザ端末200は、食材画像取得部21と、常備品情報取得部22と、ユーザインターフェース部23とを備える。
【0081】
レシピ提供サーバ300は、レシピ管理部30を実現するコンピュータである。
【0082】
図12は、献立提案システムを実現するコンピュータシステムの他の例である。
図12の構成例では、食材画像判定サーバ400が献立提案サーバ100Aから切り離されて、別体のコンピュータとして設けられている。献立提案サーバ100Aと、ユーザ端末200と、レシピ提供サーバ300と、食材画像判定サーバ400とは、通信ネットワークCNを介して接続されている。
【0083】
ユーザ端末200で取得された食事画像は、通信ネットワークCNを介して食材画像判定サーバ400へ送信され、食材画像判定部12により判定される。その判定結果は、食材画像判定サーバ400から献立提案サーバ100Aへ通信ネットワークCNを介して送信される。献立提案サーバ100Aは、献立候補のレシピをレシピ提供サーバ300から通信ネットワークCNを介して取得する。そして、献立提案サーバ100Aは、ユーザ端末200へ提案情報を通信ネットワークCNを介して送信する。
【0084】
図13は、献立提案システムを実現するためのコンピュータシステムのさらに別の例を示す。この構成例では、食材画像判定部12をユーザ端末200Bに設ける。ユーザ端末200Bは、食材画像取得部21で取得した食材画像を食材画像判定部12により判定し、その判定結果および常備品情報を献立提案サーバ100へ通信ネットワークCNを介して送信する。以下の動作は同様であるため割愛する。
【0085】
なお、ユーザは、食材画像判定部12の判定結果が間違っている場合には、ユーザ端末200Bのユーザインターフェース部23を介して訂正することができる。さらに、図示を省略するが、
図12で述べた食材画像判定サーバ400へ食材画像を送信し、その判定を依頼することもできる。ユーザ端末200Bは、食材画像判定サーバ400からの判定結果を受信すると、献立提案サーバ100へ送信する。
【0086】
このように構成される本実施例によれば、ユーザは、食材の画像をカメラ撮影などで取得するだけで、その食材画像に含まれる食材の種類(食材名)、量、状態に適した献立候補を得ることができ、ユーザにとっての使い勝手が向上する。
【0087】
ユーザは、食材を購入したときのレシートを撮影したり、食材の名称と量をキーボードから入力したり、食材の名称と量を音声で読み上げたりする必要がない。
【0088】
さらに、本実施例では、食材の種類と量だけでなく、食材の状態も考慮することができるため、その食材の状態に適した献立候補をユーザへ提案することができる。
【0089】
さらに、本実施例では、主菜候補と各副菜候補(および汁物)の属する料理ジャンルを同一または類似にすることができるため、単品料理のレシピを個別に選択する場合に比べて、統一感のある一食分の献立のレシピを簡単に得ることができ、ユーザにとっての使い勝手が向上する。
【実施例2】
【0090】
図14を用いて第2実施例を説明する。本実施例では、第1実施例との相違を中心に述べる。第1実施例では、一つの食材画像に複数の食材が含まれている場合を述べた。これに代えて、本実施例では、食材を一つずつ取り込んで判定させることができ、さらに、食材を加えながら献立候補を取得できるようにしている。
【0091】
本実施例の食材画像判定部12は、食材画像取得部21から食材画像を取り込み(S11)、その取り込んだ食材画像を判定させるか決定する(S14)。取り込んだ食材画像を判定させる場合(S14:YES)、食材画像を判定する(S12)。判定しない場合(S14:NO)、ステップS11へ戻り、別の食材を取り込む。
【0092】
食材画像判定部12は、判定結果に基づく献立候補の提案を献立提案部10へ依頼するか判定する(S15)。提案を依頼する場合(S15:YES)、食材画像判定部12の判定結果(食材の種類、量、状態)は献立提案部10へ送られる(S13)。
【0093】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに、本実施例では、食材の画像を個別に取得して判定させることができる。したがって、ユーザは、例えば、スーパーマーケットなどで食材を物色しながら、その食材を購入した場合の献立候補を確認することができる。
【0094】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。上述の実施形態において、添付図面に図示した構成例に限定されない。本発明の目的を達成する範囲内で、実施形態の構成や処理方法は適宜変更することが可能である。
【0095】
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれる。さらに特許請求の範囲に記載された構成は、特許請求の範囲で明示している組合せ以外にも組合せることができる。
【符号の説明】
【0096】
10:献立提案部、11:献立候補検索部、12:食材画像判定部、13:栄養評価部、14:ユーザ情報管理部、栄養情報取得部15,情報提供部16、20:ユーザ端末、21:食材画像取得部、22:常備品情報取得部、23:ユーザインターフェース部、30:レシピ管理部