(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】画像形成装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240213BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240213BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G03G21/00 510
B41J29/38 301
B41J29/46 Z
(21)【出願番号】P 2019208914
(22)【出願日】2019-11-19
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 直人
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-248840(JP,A)
【文献】特開2007-088648(JP,A)
【文献】特開2001-094708(JP,A)
【文献】特開2002-264455(JP,A)
【文献】特開2007-164106(JP,A)
【文献】特開昭57-136668(JP,A)
【文献】特開2019-192965(JP,A)
【文献】特開2011-138394(JP,A)
【文献】特開2005-237046(JP,A)
【文献】特開2003-149883(JP,A)
【文献】特開2005-205686(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0161140(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00-29/70
G03G 13/34
15/00
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
異常を検出する検出手段と
、
前記検出手段によ
り検出された異常の原因となる故障箇所を特定する故障診断を実行する
故障診断手段と
、
前記画像形成手段と前記故障診断手段とを制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記画像形成手段が画像を形成する画像形成動作の実行中に前記検出手段によって第1のタイプの異常が検出された場合、前記故障診断手段に前記第1のタイプの異常の原因となる故障箇所を特定する第1の故障診断を実行させるために該画像形成動作を中断し、前記画像形成手段が画像を形成する画像形成動作の実行中に前記検出手段によって前記第1のタイプの異常と異なる第2のタイプの異常が検出された場合、該画像形成動作を中断せずに、該画像形成動作が完了した後に前記故障診断手段に前記第2のタイプの異常の原因となる故障箇所を特定する第2の故障診断を実行させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記画像形成動作の実行中に前記検出手段によって前記第2のタイプ
の異常が検出された場合において、実行中の画像形成動作が完了した後であっても、さらに、新たな画像形成要求がある場合は、前記画像形成要求に応じた画像形成動作が完了した後に前記
第2の故障診断を開始することを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段は、感光体と、前記感光体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記感光体上の前記静電潜像を現像する現像手段と、前記現像手段により現像された画像が転写される像担持体と、を有し、
前記第1のタイプ
の異常は、
前記感光体に対する
前記像担持
体の当接状態を切り替えるための着脱ユニットの異常
であることを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録材を収容する複数の収容部を有し、
前記第2のタイプ
の異常は、前記複数の収容部のいずれかの異常
であることを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2のタイプ
の異常は、像担持体上に生成されたトナー画
像を読み取
るセン
サの異常
であることを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記故障診断
手段により特定された故障箇所を報知する
報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、異常を検出する検出手段と、を有する画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成手段が画像を形成する画像形成動作の実行中に前記検出手段によって第1のタイプの異常が検出された場合、前記第1のタイプの異常の原因となる故障箇所を特定する第1の故障診断を実行するために該画像形成動作を中断し、前記画像形成手段が画像を形成する画像形成動作の実行中に前記検出手段によって前記第1のタイプの異常と異なる第2のタイプの異常が検出された場合、該画像形成動作を中断せずに、該画像形成動作が完了した後に前記第2のタイプの異常の原因となる故障箇所を特定する第2の故障診断を実行することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常が発生した場合に異常の原因を特定する画像形成装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置において、動作の異常を検出した場合には、画像形成装置は、エラーコードを表示したり、ネットワークを介してコールセンターへ送信したりすることで、異常の発生を報知する。例えば、
図11に示すように、検出した異常に対応するエラーコードが表示される。異常原因となる故障箇所は、電源部、基板、メカ機構等、複数あり得る。そのため、サービスマンは、エラーコードに基づいて画像形成装置を修理する際に、現場にて、エラーコードに関連した構成部品の故障の有無を逐次確認することで故障箇所を特定することから、多大な時間を要する場合がある。そこで、特許文献1は、故障箇所が高圧電源であるか帯電ワイヤ等の負荷であるかを特定する方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像形成装置において発生する故障は多岐にわたっており、発生するエラーコードも多い。エラーコードに対応して、故障箇所の特定を行うために故障診断を実行する際、関連するモータ等の動作が必要な場合は、異常発生が検出された後、画像形成装置の動作が停止してから故障診断を開始する必要がある。ところが、異常のタイプ(種別)は複数あるため、異常発生時に、異常のタイプによらず一律に同じタイミングで故障診断を開始したとすると、下記のような問題がある。
【0005】
例えば、異常のタイプのうち第1のタイプは、故障が発生すると画像出力動作を実行できないタイプである。例えば、定着装置が故障すると画像出力動作を実行することができない。第2のタイプは、故障が発生しても、代替手段を用いたり機能を一時的に無効にしたりすることで画像出力動作を実行可能なタイプである。例えば、複数の給紙装置のうち1つが故障しても、故障していない給紙装置を代替手段として用いることで画像出力動作を実行可能である。あるいは、画像濃度を検出する濃度センサユニットが故障した場合、画像濃度の補正の際に、濃度センサユニットの検出値を用いずに古い補正値を引き続き採用することで、画像出力動作を実行可能である。このように、異常のタイプには、画像出力動作ができなくなるものと、画像出力動作を維持できるものとがある。
【0006】
第1のタイプの異常が発生した場合、画像出力動作を実行できないため、故障発生箇所を速やかに報知するためには、画像形成装置の動作を直ちに停止させ、故障診断を実行することが望ましい。一方、第2のタイプの異常が発生した場合、画像出力動作を実行できるから、ダウンタイムの削減のためには、故障診断よりも画像出力動作を優先するのが望ましい場合もある。従って、仮に、第2のタイプの異常が発生した場合に、直ちに画像形成装置を停止させて故障診断を開始すると、その時点で実行中であった画像出力動作や準備動作が中断されることで、画像出力動作の終了が遅くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、画像形成動作の遅延を適切に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、記録材に画像を形成する画像形成手段と、異常を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された異常の原因となる故障箇所を特定する故障診断を実行する故障診断手段と、前記画像形成手段と前記故障診断手段とを制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記画像形成手段が画像を形成する画像形成動作の実行中に前記検出手段によって第1のタイプの異常が検出された場合、前記故障診断手段に前記第1のタイプの異常の原因となる故障箇所を特定する第1の故障診断を実行させるために該画像形成動作を中断し、前記画像形成手段が画像を形成する画像形成動作の実行中に前記検出手段によって前記第1のタイプの異常と異なる第2のタイプの異常が検出された場合、該画像形成動作を中断せずに、該画像形成動作が完了した後に前記故障診断手段に前記第2のタイプの異常の原因となる故障箇所を特定する第2の故障診断を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成動作の遅延を適切に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】画像形成装置の制御系統のブロック図である。
【
図5】濃度センサユニットおよびその周辺の模式図である。
【
図6】画像濃度補正制御処理のフローチャートである。
【
図11】タイプデータテーブルの例を示す図である。
【
図13】メイン故障診断処理のフローチャートである。
【
図16】電気故障診断テーブルの例を示す図である。
【
図17】電気故障診断処理のフローチャートである。
【
図18】メカユニット故障診断処理のフローチャートである。
【
図19】メカユニット故障診断処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の概略断面図である。この画像形成装置2000は、例えば、電子写真方式を用いたカラー画像形成装置である。特に、画像形成装置2000は、プロセスユニット101(101y、101m、101c、101k)が並べて配置された中間転写タンデム方式の画像形成装置である。プロセスユニット101y、101m、101c、101kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色の現像剤のトナー画像を形成する。なお、色数は4色に限定されるものではなく、また色の並び順もこの限りではない。
【0013】
画像形成装置2000は、画像読取部2と画像形成部3(画像形成手段)とから構成されている。画像読取部2の上部には透明ガラス板からなる原稿台4が設けられている。原稿台4に画像面を下向きにして載置された原稿Dが原稿圧着板5で押圧固定される。原稿台4の下方には、原稿Dを照明するランプ6と、照明した原稿Dの光像を画像処理ユニット7に導くための反射ミラー8、9、10とからなる光学系が設けられている。ランプ6および反射ミラー8、9、10は所定の速度で移動して原稿Dを走査する。
【0014】
画像形成部3において、プロセスユニット101y、m、c、kは、像担持体としての中間転写ベルト108上に、一定の間隔をおいて略水平な一直線上に配置されている。プロセスユニット101y、m、c、kはそれぞれ、感光ドラム(感光体)102y、m、c、k、帯電ローラ103y、m、c、k、露光装置104y、m、c、k、現像器105y、m、c、k、および補助帯電ブラシ109y、m、c、kを備える。また、現像器105y、m、c、kのそれぞれに、トナー容器106y、m、c、kが接続されている。さらに、画像形成部3は、感光ドラム102y、m、c、kに対応して、一次転写ローラ107y、m、c、kを備える。また、画像形成部3は、中間転写ベルト108、濃度センサ112、二次転写ローラ15、転写クリーニング装置111、定着器19を備える。
【0015】
中間転写ベルト108は、駆動ローラ122によって回転駆動される。各感光ドラム102は回転駆動される。各帯電ローラ103は、対応する感光ドラム102の表面を一様に帯電させる。各露光装置104は、送られてきた画像情報の信号に基づいて、対応する感光ドラム102に対し静電潜像を形成する。各現像器105は、対応する感光ドラム102上に形成された静電潜像を現像することで、トナー画像として顕在化させる。各感光ドラム102上のトナー画像は、対応する一次転写ローラ107により、所定の加圧力および静電的負荷バイアスが与えられることで、中間転写ベルト108上(像担持体上)に転写される。
【0016】
中間転写ベルト108上で重ね合わされた各色のトナー画像は、搬送され、駆動ローラ122と二次転写ローラ15とが当接するニップ上において記録材であるシートP上に転写される。なお、上記ニップ部を通過した後の中間転写ベルト108上の転写残トナーは、転写クリーニング装置111によって回収される。シートPは、4つの収容部としての用紙カセット18(18a~18d)、または手差しトレイ50から供給される。シートPは各用紙カセット18に積載される形で収納されており、分離機構(
図7~
図9で後述)によって、画像形成タイミングに合わせて給送される。送り出されたシートPは、搬送パスを通過し、レジストローラにおいて斜行補正やタイミング補正が行われた後、上記ニップ部へと送られる。
【0017】
上記ニップ部の下流には定着器19が設けられている。定着器19は、搬送されるシートP上のトナー画像を定着する。定着器19においてトナー画像が定着されたシートPは、排出ローラ対21によって画像形成装置2000の外部へ排出される。画像形成装置2000は、操作部1000を備える。操作部1000は表示部を有する。また、画像形成部3は、冷却用のファン300を備える。前カバー125は、画像形成装置2000の前面に設置されている。ユーザは、前カバー125を開けることで、感光ドラム102や現像器105等の交換式消耗品にアクセスすることができる。前カバー125の開閉状態は、前カバーセンサ123によって検知される。
【0018】
右カバー126は、画像形成装置2000の右側面に設置されている。ユーザは、右カバー126を開けることで、中間転写ベルト108等の交換式消耗品へアクセスできるほか、ジャム発生により残留した紙を取り除くためにアクセスすることができる。右カバー126の開閉状態は、右カバーセンサ124によって検知される。前カバー125および右カバー126には、インターロックスイッチ127が設けられており、各カバーを開く操作により、負荷動作部への電源供給が遮断される構成となっている。
【0019】
用紙カセット18の各々には、開閉を検知するカセット開閉センサ205と、格納されたシートPのサイズを検知するサイズセンサ(不図示)とが設けられている。用紙カセット18が閉じられると、サイズセンサの出力に基づいてシートサイズが自動的に検知される。また、手差しトレイ50には、トレイ上のシートPの有無を検知する手差しセンサ201が設けられている。シートPが置かれたことを手差しセンサ201が検知すると、置かれたシートPのサイズ設定をユーザに促す画面が操作部1000に表示される。ユーザが画面の指示に従いシートサイズを設定することで、画像形成装置2000はトレイに置かれたシートPのサイズを認識できる。
【0020】
図2は、画像形成装置2000の制御系統のブロック図である。
図3は、画像形成装置2000の制御回路図である。この制御系統は、電源ユニット200、制御ユニット210、ドライバユニット230および高圧ユニット240を有する。これらのユニットにより、以下に説明する電源部、信号出力部、制御部、制御回路部、負荷動作部が構成される。
【0021】
電源部の構成を説明する。電源部は主に電源ユニット200により実現される。電源ユニット200は、+24[V]の電源電圧を出力する。電源ユニット200は、電源電圧をヒューズFU1、FU2を介して分配し、各構成部品に給電する。制御ユニット210は、電源ユニット200から給電された+24[V]の電源電圧を、DCDCコンバータ211により3.3[V]の電圧に降圧して、CPU212a、ドライバユニット230(ASIC231)等へ給電する。ドライバユニット230は、電源ユニット200から給電された+24[V]の電源電圧を、ヒューズFU4によってさらに細分化し、高圧ユニット240やモータ駆動部236(第1モータ駆動部236a、第2モータ駆動部236b)へ給電する。
【0022】
制御部について説明する。制御部は、主に制御ユニット210により実現される。制御ユニット210は、CPU212aがROM212bに格納された制御プログラムを実行することで、各構成要素の動作を制御し、画像形成等に関する様々な制御シーケンスを行う。その際、RAM212cは、ワークメモリとして用いられ、書き換え可能なデータを格納する。RAM212cには、例えば高圧ユニット240への高圧設定値、着脱可能なユニットに関する駆動設定情報などが保持されている。CPU212aは、シリアル通信を通じてドライバユニット230のASIC231と接続される。CPU212aは、ASIC231内部のレジスタやRAM212cに対するリード/ライト動作をシリアル通信により行うことで、ASIC231の動作を制御する。また、CPU212aは、ユーザからの画像出力要求の実行タイミングの制御や、画像出力の要求内容に従って、使用する用紙カセット18、設定するカラーモード(モノクロ・カラー)といった、プリント画像出力に必要な情報を生成する。
【0023】
信号出力部について説明する。信号出力部は、主にASIC231により実現される。ASIC231は、AD変換器232、高圧制御部233、モータ制御部234、ソレノイド制御部235といった機能モジュールを備える。ドライバユニット230は、モノクロドラムモータ600、カラードラムモータ601、定着モータ602、着脱モータ603、リフタモータ604(604a~604d)を制御する。AD変換器232は、アナログ信号値を取り込む。高圧制御部233は、高圧ユニット240を制御する。モータ制御部234は、モータ駆動部236を制御する。ソレノイド制御部235は、ソレノイド駆動部237を制御する。ASIC231は、シリアル通信を通じてCPU212aから設定値を取得し、設定値に基づいて各機能モジュールの設定を行う。各機能モジュールは、設定値に基づいてロジック回路が動作することで、制御信号を出力する。
【0024】
着脱モータ603は、ベルト着脱ユニット118を駆動する(
図4で後述)。モノクロドラムモータ600は、感光ドラム102k、中間転写ベルト108、現像器105kを駆動する。カラードラムモータ601は、感光ドラム102y、102m、102c、現像器105y、105m、105cを駆動する。定着モータ602は、定着器19を駆動する。リフタモータ604(604a~604d)は、各用紙カセット18に対応して設けられる。リフタモータ604は、対応する用紙カセット18を駆動する(
図7、
図8で後述)。濃度センサ112の出力はASIC231に供給される。
【0025】
制御回路部を説明する。制御回路部は、主にドライバユニット230内のモータ駆動部236およびソレノイド駆動部237により実現される。
図3に示すように、ドライバユニット230はさらに、信号検知部305(第1信号検知部305a、第2信号検知部305b)、電流検知部306(第1電流検知部306a、第2電流検知部306b)を備える。ドライバユニット230はさらに、電圧検知部303(第1電圧検知部303a、第2電圧検知部303b)を備える。モータ駆動部236、信号検知部305、電流検知部306はいずれも、モータごとに設けられているが、
図3では、いずれも1つの着脱モータ603およびリフタモータ604に対応するものだけ図示している。第1モータ駆動部236aは、着脱モータ603を駆動する。第2モータ駆動部236bは、リフタモータ604を駆動する。ソレノイド駆動部237はシャッタソレノイド114を駆動する。電源部からの電源供給と信号出力部からの出力信号に基づいて制御回路部が動作する。例えば、モータ駆動部236にはモータを駆動するための回路としてドライバICが備えられており、モータを回転させるための制御信号が入力されるとドライバICはモータを回転制御する。
【0026】
負荷動作部には、主に、感光ドラム102、中間転写ベルト108、現像器105、定着器19、ベルト着脱ユニット118および用紙カセット18が含まれる。モータ駆動部236によりモータが回転されると、個々のモータに対応する負荷動作部が駆動される。
【0027】
図2に示すように、CPU212aは、操作部1000およびLAN1001に接続される。CPU212aは、操作部1000から指示等の入力信号を取得して、入力信号に応じた情報を操作部1000の画面に表示させる。CPU212aは、LAN1001を介してコンピュータ等の外部装置と通信する。上面センサ411(
図7、
図8で後述)、残量センサ416(
図10で後述)、ホームポジションセンサ(HPセンサ)242(
図4で後述)の各出力信号は、ASIC231に入力される。
【0028】
画像形成装置2000の各所における異常がセンサ等によって検出されるようになっている。異常のタイプには複数あり、そのうち第1のタイプと第2のタイプについて説明する。第1のタイプは、故障箇所が修復されないと画像形成ができない異常タイプである。第2のタイプは、故障箇所が修復されなくても画像形成が可能な異常タイプである。
【0029】
第1のタイプの一例を説明する。
図4(a)~(c)は、ベルト着脱ユニット118の模式図である。ベルト着脱ユニット118は、ステッピングモータである着脱モータ603の回転によって、感光ドラム102に対する中間転写ベルト108および一次転写ローラ107の当接状態/離間状態を切り替える。ホームポジションフラグ(HPフラグ)243は、着脱モータ603の回転に連動して動作する。HPセンサ242によって、中間転写ベルト108の3つの着脱位置が検出される。
【0030】
図4(a)は、HPセンサ242がHPフラグ243を検知してON(オン)を出力している状態を示している。この状態は、一次転写ローラ107kと感光ドラム102kとが当接し、一次転写ローラ107y、m、cと感光ドラム102y、102m、102cとが当接していないモノクロ着位置に該当する。
【0031】
図4(b)は、HPセンサ242がHPフラグ243を検知しなくなった位置(OFF位置)からHPフラグ243が第1の所定パルスだけ進んだ状態を示している。この状態は、全色の一次転写ローラ107と感光ドラム102とが当接している全色着位置に該当する。
【0032】
図4(c)は、HPフラグ243の上記OFF位置からHPフラグ243が第2の所定パルスだけ進んだ状態を示している。この状態は、全色の一次転写ローラ107と感光ドラム102とが当接していない全色脱位置に該当する。
【0033】
画像形成装置2000の起動時には、ベルト着脱ユニット118は初期化動作としてモノクロ着位置へ移動する。画像形成開始の際、ベルト着脱ユニット118は、モノクロ画像を形成する場合はモノクロ着位置へ移動し、カラー画像を形成する場合は全色着位置へ移動する。また、右カバー126が開けられたときは、ベルト着脱ユニット118は、中間転写ベルト108が交換される可能性があるため全色脱位置へ移動する。
【0034】
濃度センサ112は、中間転写ベルト108上で重ね合わされた各色のトナー画像を読み取る。濃度センサ112は、全色脱位置(
図4(c))では中間転写ベルト108から離れた状態となり、モノクロ着位置(
図4(a))または全色着位置(
図4(b))では中間転写ベルト108に当接または近接する状態となる。
【0035】
ベルト着脱ユニット118の異常検出は次のようになされる。CPU212aは、ベルト着脱ユニット118が全色着位置または全色脱位置からモノクロ着位置へ遷移する際、第1の所定時間以内にHPセンサ242のONが検知されない場合は、ベルト着脱ユニット118に異常が発生したと判定する。また、CPU212aは、ベルト着脱ユニット118がモノクロ着位置から全色着位置または全色脱位置へ遷移する際、第2の所定時間以内にHPセンサ242のOFFが検知されない場合は、ベルト着脱ユニット118に異常が発生したと判定する。ベルト着脱ユニット118に異常が発生すると、画像形成部3を正常に動作させることができない。従って、ベルト着脱ユニット118の異常は、プリント画像出力動作が実行できない第1のタイプに含まれる。このほかにも、モノクロドラムモータ600、カラードラムモータ601、定着モータ602の回転異常も、第1のタイプに含まれる。
【0036】
次に、第2のタイプの例を
図5~
図10で説明する。
図5(a)、(b)は、濃度センサユニット115およびその周辺の模式図である。濃度センサユニット115は、センサシャッタ113およびシャッタソレノイド114を有する。センサシャッタ113は、中間転写ベルト108上の読み取り面のトナー付着による汚れを防止するために設けられる。シャッタソレノイド114はセンサシャッタ113を駆動する。
【0037】
特に、
図5(a)は、センサシャッタ113が読み取り面を覆った状態を示し、
図5(b)は、センサシャッタ113が読み取り面を解放した状態を示している。シャッタソレノイド114がオン・オフされることでセンサシャッタ113の位置が切り替わる。濃度センサユニット115は、適切な画像濃度となる画像形成条件を決定する画像濃度補正制御を実行する際に使用される。
【0038】
図6は、画像濃度補正制御処理のフローチャートである。この処理は、ROM212bに格納されたプログラムをCPU212aがRAM212cに展開して実行することにより実現される。この処理は、例えば、装置電源がオンにされた後、一定時間間隔で実行される。あるいは、この処理は、ユーザからの画像濃度補正制御の開始指示によって開始される。
【0039】
まず、ステップS101では、CPU212aは、センサシャッタ113を開く。ステップS102では、CPU212aは、濃度補正用画像を中間転写ベルト108上に作像する。ステップS103では、CPU212aは、中間転写ベルト108上の濃度補正用画像を濃度センサ112で読み取る。ステップS104では、CPU212aは、濃度センサ112による読み取り値が所定範囲内であるか否かを判別する。そして、読み取り値が所定範囲内である場合は、ステップS105で、CPU212aは、今回の読み取り値に基づいて濃度補正値を算出すると共に、算出した濃度補正値で、画像形成条件を更新する。
【0040】
一方、読み取り値が所定範囲内でない場合は、CPU212aは、ステップS106で、濃度センサユニット115に異常が発生したと判定する。この場合、濃度補正値の算出は行われない。従って、画像形成条件は更新されず、今回の画像濃度補正制御処理を実行する前の画像形成条件が維持される。ステップS105またはステップS106の後、CPU212aは、ステップS107で、センサシャッタ113を閉じ、
図6に示す処理を終了する。
【0041】
このように、仮に、濃度センサユニット115が故障したとしても、今回の濃度センサユニット115の機能を無効にする代わりに、前回までの画像形成条件を引き続き採用することで画像出力動作を実行できる。そのため濃度センサユニット115の異常は第2のタイプに含まれる。
【0042】
次に、第2のタイプの他の具体例として、用紙カセット18に関する例を
図7~
図10で説明する。なお、4つある用紙カセット18の構成は互いに共通するため、
図7~
図10では、1つの用紙カセット18について図示する。
【0043】
図7は、用紙カセット18の模式的断面図である。用紙カセット18には、シートPを積載する積載トレイ401が設けられる。
図8は、積載トレイ401およびその周辺の模式図である。
図9は、用紙カセット18の上面図である。積載トレイ401は、支持軸403を中心に上下方向に回動可能(昇降可能)に支持される。用紙カセット18の上方に配置されたピックアップローラ405は、積載トレイ401に積載されたシートPと当接し、シートPを給送する。用紙カセット18は、ピックアップローラ405と同方向に回転するフィードローラ406と、フィードローラ406に所定の強さで圧接するリタードローラ407とを備えている。リタードローラ407には、不図示のトルクリミッタを介してシート搬送方向に対応する正回転方向とは反対の逆回転方向に一定のトルクで回転駆動が付与されている。従って、リタードローラ407はいずれの方向にも回転可能である。
【0044】
アーム409は、フィードローラ406の不図示の軸を中心に上下方向に回動する。ピックアップローラ405は、アーム409により回転自在に支持されている。ピックアップローラ405により給送された最上位のシートP1は、フィードローラ406とリタードローラ407とからなるリタード分離方式の分離機構により、2枚目以降のシートPから分離されて搬送される。分離されたシートP1は、引き抜きローラ408により下流側に搬送される。なお、分離された2枚目以降のシートPは、リタードローラ407により用紙カセット18側へ戻される。
【0045】
また、
図8に示すように、用紙カセット18の上方に、シート有無センサ410、上面センサ411が配置されている。シート有無センサ410は、積載トレイ401上のシートPの有無を検知する反射型フォトセンサである。上面センサ411は、ピックアップローラ405の高さを検知する。積載トレイ401が上昇し、最上位のシートP1がピックアップローラ405を押し上げ、ピックアップローラ405が所定の高さ位置となると、上面センサ411はピックアップローラ405を検知することでON(オン)信号を出力する。また、上面センサ411は、シートPが順次給送されることでシートPの上面高さが所定高さまで低下するとOFF(オフ)信号を出力する。
【0046】
CPU212aは、上面センサ411のOFF信号に基づいてリフタモータ604を駆動し、上面センサ411の出力がONとなるまで積載トレイ401を上昇させる。なお、本実施の形態では、センサがONになるとは、フォトセンサの検知部に遮光のためのフラグが進入している状態を示し、OFFになるとは、フラグがフォトセンサの検知部から外れて遮光しない状態を示す。
【0047】
また、
図7において、積載トレイ401の下方にはアーム板402が配置されている。アーム板402は、回動軸404を中心に回動可能な回動部材であり、積載トレイ401を昇降させる。回動軸404は、用紙カセット18に設けられた不図示の軸受けに回動可能に支持されている。
【0048】
図9に示すように、アーム板402は、用紙カセット18における、シート搬送方向と直交する装着方向(幅方向)の奥側(
図9の上側)に配置された扇ギア412に対して、回動軸404を介して連結されている。サイド規制板413、414は、積載トレイ401上に積載されたシートPの装着方向の位置を規制する。用紙カセット18は画像形成装置2000に着脱可能である。
【0049】
図10は、扇ギア412周辺を手前側(
図9の下側)から見た図である。用紙カセット18が画像形成装置2000に装着されると、扇ギア412は、画像形成装置2000に配置されたリフタギア415と噛合する。リフタギア415は、リフタモータ604に駆動されて回転する。リフタギア415の回転は、扇ギア412、回動軸404を介してアーム板402に伝達されてアーム板402が上方に回動し、これにより積載トレイ401が上昇する。なお、積載トレイ401はリフタモータ604によって下降させることはできない。ユーザが用紙カセット18を画像形成装置2000から抜くことによって、扇ギア412とリフタギア415の噛合が解除され、積載トレイ401は自重によって最下位置に下降する。
【0050】
また、残量センサ416は、リフタモータ604からの駆動を伝達するリフタギア415の回転を検知することにより、積載トレイ401が最下位置から一定量、上昇したことを検知するセンサである。残量センサ416は、フォトセンサ部(図示せず)と残量検知フラグ417とから構成される。残量検知フラグ417は、扇ギア412と同心に回動自在であり、フォトセンサ部の光軸を遮る遮光部を備えている。CPU212aは、残量センサ416からの信号に基づいて、積載トレイ401上に載置されているシートPの残量を推定する。
【0051】
次に、積載トレイ401の上昇動作の異常の検出について説明する。上述のように、積載トレイ401は、用紙カセット18が開閉操作により最下位置に下降すると上面センサ411がOFFとなる。あるいは、画像形成動作の実行によりシートPが消費されることで上面センサ411がOFFとなる。上面センサ411がOFFとなると、積載トレイ401は、上面センサ411がONとなるまでリフタモータ604により上昇動作を開始する。この上昇動作を開始してから第3の所定時間経過しても上面センサ411がONとならないと、CPU212aは、積載トレイ401の上昇動作の異常が発生したと判定する。
【0052】
積載トレイ401の上昇動作の異常が発生すると、その積載トレイ401を含む用紙カセット18は使用できない状態になる。しかし、本実施の形態では、複数の用紙カセット18が存在するので、他の用紙カセット18を代替手段として用い、画像出力動作を実行することができる。従って、積載トレイ401の上昇動作の異常(リフトアップ異常)、すなわち、用紙カセット18の異常は第2のタイプに含まれる。
【0053】
なお、HPセンサ242、濃度センサ112、上面センサ411は、CPU212aと協働して、画像形成装置2000に異常が発生したことを検出するので、本発明における検出手段としての役割を果たす。
【0054】
図11は、タイプデータテーブルの例を示す図である。このタイプデータテーブルは、エラーコードと異常のタイプと異常の内容との関係を規定するテーブルであり、予めROM212bに格納されている。
【0055】
動作制御が正常に終了しない場合等、画像形成装置2000内で何らかの異常が検出されると、CPU212aはエラーコードを発行する。CPU212aは、そのエラーコードを、操作部1000の画面に表示したり、LAN1001を介してコールセンターへ送信したりすることで報知する。例えば、ベルト着脱ユニット118の異常が検出されると、「E006」というエラーコードが報知される。
【0056】
図11に示すように、各エラーコードには、異常のタイプを示す情報として‘1’または‘2’が対応付けられている。例えば、ベルト着脱ユニット118の異常を示す「E006」には、第1のタイプ‘1’が対応付けられている。また、用紙カセット18の異常(カセットリフトアップ異常)を示す「E011」~「E014」や、濃度センサユニット115の異常を示す「E015」には、第2のタイプ‘2’が対応付けられている。
【0057】
なお、タイプデータテーブルにおける異常検出内容の項目は、エラーコードの内容を理解しやすいように記載されているものである。従って、実際にROM212bに記憶されるのは、エラーコードと異常タイプを示す情報のみであってもよい。
【0058】
図12は、異常発生時処理のフローチャートである。この処理は、ROM212bに格納されたプログラムをCPU212aがRAM212cに展開して実行することにより実現される。この処理は、例えば、新たなエラーコードが発行されたときに開始される。この処理において、CPU212aは、本発明における判定手段、制御手段としての役割を果たす。
【0059】
まず、ステップS201では、CPU212aは、タイプデータテーブル(
図11)を参照し、発行されたエラーコードから、今回発生した異常のタイプが第1のタイプであるか否かを判別する。例えば、エラーコードが「E006」であれば、CPU212aは、異常タイプは第1のタイプであると判別する。
【0060】
そして、今回発生した異常のタイプが第1のタイプである場合は、画像出力動作ができないので、CPU212aは、ステップS202で、画像形成装置2000全体の緊急停止を開始する。従って、実行中の画像形成動作があった場合は、その画像形成動作も停止される。その後、ステップS203で、CPU212aは、画像形成装置2000全体の緊急停止が完了するまで待ち、緊急停止が完了すると、処理をステップS204に進める。
【0061】
一方、今回発生した異常のタイプが第1のタイプでない場合は、第2のタイプであり、代替手段等によって画像出力動作が可能である。そこでCPU212aは、ステップS205で、異常発生箇所、つまり故障が検出されたユニットの停止処理を実行する。しかし、CPU212aは、画像形成動作(準備動作を含む)が実行中であった場合は、その画像形成動作を継続する。ここでは、実行中の画像形成動作や電源起動時の画像形成準備動作などは停止されない。
【0062】
その後、ステップS206で、CPU212aは、実行中の画像形成動作が完了するまで待ち、実行中の画像形成動作が完了すると、処理をステップS207に進める。ステップS207では、CPU212aは、未実行のプリント要求、すなわち、新たな画像形成要求があるか否かを判別する。画像形成動作の実行中に次の画像形成要求が投入される場合があるからである。そして、CPU212aは、新たな画像形成要求がある場合は、ステップS208で、新たな画像形成要求に対応する画像形成動作を開始し、処理をステップS206に戻す。
【0063】
一方、新たな画像形成要求がない場合は、処理をステップS204に進める。ステップS204では、CPU212aは、メイン故障診断処理(
図13で後述)を実行して、
図12に示す処理を終了する。
【0064】
図13は、
図12のステップS204で実行されるメイン故障診断処理のフローチャートである。この処理は、検出された異常の箇所ごと(エラーコードごと)に実行される。まず、ステップS301で、CPU212aは、電気故障診断処理(
図17で後述)を実行する。ステップS302で、CPU212aは、電気故障診断処理の結果、電気部品の故障が未確定(電気部品が故障していると特定できなかった場合)であるか否かを判別する。そしてCPU212aは、電気部品の故障が未確定である場合は処理をステップS303に進め、電気部品の故障が確定している場合は処理をステップS306に進める。
【0065】
ステップS303では、CPU212aは、メカユニット故障診断の実施が必要か否かを判別する。メカユニット故障診断は、モータ等によって駆動されるギア等で構成されるメカ機構における故障箇所を特定する処理である。CPU212aは、タイプデータテーブル(
図11)を参照し、発行されたエラーコードから、メカユニット故障診断の実施が必要か否かを判別する。例えば、モータで駆動されるファン300(
図1)などは、ギア等で構成されるメカ機構を持たないため、メカ機構の故障診断が不要である。従って、エラーコードが「E005」であれば、メカユニット故障診断の実施が不要と判別される。しかし、ベルト着脱ユニット118はメカ機構を有するため、エラーコードが「E006」であれば、メカユニット故障診断の実施が必要と判別される。
【0066】
そして、CPU212aは、メカユニット故障診断の実施が不要と判別した場合は、処理をステップS307に進める。一方、CPU212aは、メカユニット故障診断の実施が必要と判別した場合は、ステップS304で、メカユニット故障診断処理を実行する。このメカユニット故障診断は、今回のエラーコードに対応して実行され、例示として、
図18、
図19にメカユニット故障診断処理が示されている(後述する)。
【0067】
ステップS304の後、ステップS305で、CPU212aは、ユニット故障診断処理を実行した結果、メカユニットの故障が確定した(メカユニットに故障があると特定された)か否かを判別する。そしてCPU212aは、メカユニットの故障が確定した場合は、処理をステップS306に進め、メカユニットの故障が確定しない場合は処理をステップS307に進める。
【0068】
図14(a)、(b)、
図15(a)、(b)は、操作部1000に表示される報知画面の例を示す図である。ステップS305を経由してステップS306に遷移した場合は、CPU212aは、
図14(a)または
図15(a)に示すように、特定された故障箇所を報知する。その際、エラーコードや故障箇所の具体的名称も表示される。特に、異常のタイプが第1のタイプである場合には
図14(a)、異常のタイプが第2のタイプである場合には
図15(a)に示す態様で報知が実行される。
図14(a)の表示例では、プリント動作が実行できない旨も表示される。
図15(a)の表示例では、プリント動作は実行可能である旨も表示される。なお、以降の場合も含め、報知は音声によってもよい。また、ステップS302から直接、ステップS306に遷移した場合、CPU212aは、電気故障診断処理(
図17)で特定された故障箇所を、
図14(a)または
図15(a)と同様の態様で報知する。
【0069】
ステップS305を経由してステップS307に遷移した場合は、CPU212aは、
図14(b)または
図15(b)に示すように、エラーコードと、故障箇所を特定できなかったことを意味する「-」とを報知する。ユーザは、エラーコードにより、異常は検出されたが、具体的な故障箇所は特定できなかったことがわかる。特に、異常のタイプが第1のタイプである場合には
図14(b)、異常のタイプが第2のタイプである場合には
図15(b)に示す態様で報知が実行される。
図14(b)の表示例では、プリント動作が実行できない旨も表示される。
図15(b)の表示例では、プリント動作は実行可能である旨も表示される。ステップS306またはステップS307の後、CPU212aは、
図13に示す処理を終了する。
【0070】
画像形成装置2000が設置される環境の一時的な変動要因、例えば電源電圧の一時的な変動、装置内の結露や昇温などが起因となって異常が検出されてしまった場合が考えられる。このような場合は、一時的な要因が解消すれば正常状態に復帰する可能性がある。そのため、
図14(a)、(b)、
図15(a)、(b)の各画面では、電源の再起動をユーザに促すメッセージも表示される。
【0071】
図16は、電気故障診断テーブルの例を示す図である。電気故障診断テーブルは、ROM212bに格納されている。電気故障診断テーブルにおいては、モータやソレノイドといった診断対象と、それに対応する電源部、信号出力部、制御回路部、負荷動作部が規定されている。
【0072】
図17は、
図13のステップS301で実行される電気故障診断処理のフローチャートである。なお、着脱モータ603の駆動に関連する電気部品を例にとって説明する。
【0073】
まず、CPU212aは、ステップS401で、電源部の故障判定を行い、ステップS402で、電源部が故障しているか否かを判別する。そして、CPU212aは、電源部が故障している場合は、処理をステップS403に進め、電源部が故障していない場合は、処理をステップS406に進める。ステップS403では、CPU212aは、電源ユニット200が故障しているか否かを判別し、電源ユニット200が故障している場合は、処理をステップS404に進め、電源ユニット200が故障していない場合は、処理をステップS405に進める。
【0074】
具体的には、ステップS401~S403で、CPU212aは、以下のようにして電源部の故障判定を行う。電気故障診断テーブル(
図16)によれば、着脱モータ603に電源供給する電源部は+24V_B_FUであるので、CPU212aは、+24V_B_FU電源の出力チェックを行う。そのために、ドライバユニット230の第1電圧検知部303aは、ヒューズFU4を通過する前の+24V_Bの電圧が第1閾値th1以上であるか否かを検知する。ここでは、第1閾値th1は18[V]であるとする。
【0075】
第1電圧検知部303aによる検知結果は、ASIC231を介してCPU212aへ送信される。CPU212aは、第1電圧検知部303aの検知結果に応じて、故障箇所を判定する。CPU212aは、+24V_Bの電圧が第1閾値th1未満であることを検知結果が示す場合に、電源部(電源ユニット200)の出力が異常であると判定する。すなわち、CPU212aは、電源ユニット200の+24V_Bの電圧を出力する経路(ヒューズFU2)が故障箇所であると判定する。この場合、CPU212aは、故障部品が電源ユニット200であると特定する(電源出力異常)。
【0076】
+24V_Bの電圧が正常である場合、ドライバユニット230の第2電圧検知部303bは、ヒューズFU4を通過した+24V_B_FUの電圧が第2閾値th2以上であるか否かを検知する。第2閾値th2は、例えば第1閾値th1と同じ値である。第2電圧検知部303bは、第1電圧検知部303aと同様に検知処理を行い、ASIC231を介して検知結果をCPU212aへ送信する。CPU212aは、第2電圧検知部303bの検知結果に応じて、+24V_B_FUの電圧が正常であるか否かを判定する。すなわち、CPU212aは、+24V_B_FUの電圧が第2閾値th2未満である場合に、+24V_B_FUの電圧が異常であると判定する。CPU212aは、+24V_B_FUの電圧が異常であると判定した場合に、故障箇所がヒューズFU4であると判定する。この場合、CPU212aは、故障部品がドライバユニット230であると特定する。CPU212aは、+24V_Bおよび+24V_B_FUの電圧が共に正常である(+24V_Bの電圧≧第1閾値th1が成立し、且つ+24V_B_FUの電圧≧第2閾値th2が成立する)と判定した場合に、電源部が正常であると判定する。
【0077】
以上をまとめると次のようになる。CPU212aは、ステップS402での判別の結果、+24V_Bの電圧≧第1閾値th1、または、+24V_B_FUの電圧≧第2閾値th2のいずれかが成立しない場合は、処理をステップS403に進める。CPU212aは、+24V_Bの電圧≧第1閾値th1が成立し、且つ+24V_B_FUの電圧≧第2閾値th2が成立する場合は、電源部が正常であると判定し、処理をステップS406に進める。
【0078】
ステップS403では、CPU212aは、電源ユニット200が故障しているか否かを判別する。CPU212aは、+24V_Bの電圧<第1閾値th1が成立する場合は、ステップS404に進み、故障箇所が電源ユニット200であると特定する。また、CPU212aは、+24V_Bの電圧≧第1閾値th1が成立し、且つ+24V_B_FUの電圧<第2閾値th2が成立する場合は、ステップS405に進み、故障箇所がドライバユニット230であると特定する。
【0079】
次に、CPU212aは、ステップS406で、信号出力部の故障判定を行い、ステップS407で、信号出力部が故障しているか否かを判別する。そしてCPU212aは、信号出力部が故障している場合は、処理をステップS405に進め、信号出力部が故障していない場合は、処理をステップS408に進める。
【0080】
具体的には、ステップS406、S407では、CPU212aは、以下のようにして信号出力部の故障判定を行う。CPU212aは、信号出力部の故障箇所の確認のために、ASIC231のモータ制御部234から第1モータ駆動部236aへ送信されるモータ制御信号をチェックする。モータ制御信号には、モータの回転方向や速度、駆動モードといった信号が含まれる。CPU212aは、電気故障診断テーブル(
図16)から、着脱モータ603の信号出力部のモータ制御信号は着脱モータ制御信号であることを取得する。CPU212aはASIC231に対して、着脱モータ制御信号がハイ(High)レベルで出力されるように設定する。
【0081】
ドライバユニット230の第1信号検知部305aは、着脱モータ制御信号を第3閾値th3と比較する。第3閾値th3は2.8[V]とする。第1信号検知部305aによる比較結果は、ASIC231を介してCPU212aへ送信される。CPU212aは、第1信号検知部305aによる比較結果に応じて、出力状態を確認する。CPU212aは、比較結果が、着脱モータ制御信号が第3閾値th3以上であることを示す場合に、着脱モータ制御信号が異常でないと仮判定する。CPU212aは、比較結果が、着脱モータ制御信号が第3閾値th3未満であることを示す場合に、着脱モータ制御信号が異常であると判定する。CPU212aは、着脱モータ制御信号が異常であると判定した場合、故障箇所がモータ制御部234であると特定する。この場合、CPU212aは、故障部品がドライバユニット230であると特定する。
【0082】
次いでCPU212aは、ASIC231に対して、着脱モータ制御信号がロー(Low)レベルで出力されるように設定する。第1信号検知部305aは、着脱モータ制御信号を第4閾値th4と比較することで、着脱モータ制御信号をチェックする。第4閾値th4は0.8[V]とする。第1信号検知部305aによる比較結果は、ASIC231を介してCPU212aへ送信される。CPU212aは、第1信号検知部305aによる比較結果に応じて、出力状態を確認する。CPU212aは、比較結果が、着脱モータ制御信号が第4閾値th4未満であることを示す場合に、着脱モータ制御信号が異常でないと仮判定する。CPU212aは、比較結果が、着脱モータ制御信号が第4閾値th4以上であることを示す場合に、着脱モータ制御信号が異常であると判定する。CPU212aは、着脱モータ制御信号が異常であると判定した場合、故障箇所がモータ制御部234であると特定する。この場合、CPU212aは、故障部品がドライバユニット230であると特定する。
【0083】
CPU212aは、ハイレベルの着脱モータ制御信号を出力した場合と、ローレベルの着脱モータ制御信号を出力した場合のいずれにおいても、着脱モータ制御信号が異常でないと仮判定したとき、着脱モータ制御信号が正常であると判定する。
【0084】
以上をまとめると次のようになる。CPU212aは、ステップS407での判別の結果、ハイレベルの着脱モータ制御信号<th3、または、ローレベルの着脱モータ制御信号≧th4が成立する場合は、着脱モータ制御信号が異常であると判定する。従って、CPU212aは、ステップS405で、故障箇所がモータ制御部234であり、故障箇所がドライバユニット230であると特定する(S405)。一方、ハイレベルの着脱モータ制御信号≧th3、且つ、ローレベルの着脱モータ制御信号<th4が成立する場合は、CPU212aは、着脱モータ制御信号が正常であり、信号出力部が故障していないと判定する。この場合、CPU212aは、処理をステップS408に進める。
【0085】
次に、CPU212aは、ステップS408で、制御回路部の故障確認を行い、ステップS409で、制御回路部が故障しているか否かを判別する。そして、CPU212aは、制御回路部が故障している場合は、処理をステップS405に進め、制御回路部が故障していない場合は、処理をステップS410に進める。
【0086】
制御回路部の故障確認(S408)において、CPU212aは、電気故障診断テーブル(
図16)から、着脱モータ603の制御回路部はモータ駆動部236であることを取得する。CPU212aはASIC231の第1モータ駆動部236aに対して、着脱モータ603を動作させるように設定を行う。信号出力部よりモータ制御信号が出力され、第1モータ駆動部236aへ入力される。このように電源と信号が制御回路部に入力されている状態で、第1電流検知部306aは、制御回路部からの出力電流を検知する。
【0087】
第1電流検知部306aは、第1モータ駆動部236aから着脱モータ603へ流れる電流が第5閾値th5以上であるか否かを検知する。第5閾値th5は100[mA]とする。第1電流検知部306aによる検知結果は、ASIC231を介してCPU212aへ送信される。CPU212aは、第1電流検知部306aによる検知結果に応じて故障箇所を判定する。CPU212aは、検知結果が、着脱モータ603に流れる電流が第5閾値th5以上であることを示す場合に、第1モータ駆動部236aが正常であると判定する。CPU212aは、検知結果が、着脱モータ603に流れる電流が第5閾値th5未満であることを示す場合に、第1モータ駆動部236aが異常であると判定する。CPU212aは、第1モータ駆動部236aが異常である判定した場合、故障箇所が制御回路部であると特定する。すなわち、CPU212aは、着脱モータ603に流れる電流が第5閾値th5未満であることを示す場合、故障部品がドライバユニット230であると特定する(S405)。制御回路部が正常である場合、CPU212aは、診断対象の電気部品は故障していないと判定する(S410)。
【0088】
このほか、モノクロドラムモータ600、カラードラムモータ601、定着モータ602、リフタモータ604の電気故障診断についても、着脱モータ603と同様に実行される。その際、CPU212aは、電気故障診断テーブル(
図16)から、診断対象の電源部、信号出力部、制御回路部を取得する。
【0089】
このように、CPU212aは、
図17のステップS404では、故障部品は電源ユニット200であると特定し、ステップS405では、故障部品はドライバユニット230であると特定する。ステップS410では、CPU212aは、診断対象の電気部品の故障は無いと判定する。CPU212aは、ステップS404、S405、S410の後、
図17に示す処理を終了する。
【0090】
図18、
図19は、
図13のステップS304で実行されるメカユニット故障診断処理のフローチャートである。
図18に示す処理は、ベルト着脱ユニット118の異常が検出された場合に実行される。
図19に示す処理は、用紙カセット18の異常が検出された場合に実行される。
【0091】
まず、CPU212aは、
図18のステップS501で、着脱モータ603の駆動を開始し、ステップS502で、濃度センサ112による読み取りを開始する。ステップS503では、CPU212aは、濃度センサ112による読み取り値に変化があるかを判定する。ここで、着脱モータ603の駆動を開始することで着脱位置は変わるが、着脱位置が変わることで中間転写ベルト108に対する濃度センサ112の位置関係も変わる。そのため、着脱位置が正常に切り替わっているならば、全色脱位置とモノクロ着位置・全色着位とでは、濃度センサ112の読み取り値に差が生じる。そこでCPU212aは、濃度センサ112の読み取り値を第4の所定時間サンプリングし、読み取り値が所定値以上に変化したか否かを判別する。
【0092】
読み取り値に変化がある場合は、着脱動作は行われているがHPセンサ242が反応しないと判断できるため、CPU212aは、ステップS504で、故障箇所はHPセンサ242であると特定する。一方、読み取り値に変化がない場合は、着脱動作が行われていないと判断できるので、CPU212aは、ステップS505で、故障箇所は、ベルト着脱ユニット118に関するギア等の駆動伝達メカ機構であると特定する。ステップS504、S505の後、CPU212aは、
図18に示す処理を終了する。
【0093】
図19のステップS601で、CPU212aは、用紙カセット18の積載トレイ401を下限位置から上昇させる動作を実行するため、
図20に示すような報知画面を表示して、用紙カセット18の操作をユーザに指示する。ステップS602では、CPU212aは、ユーザによる用紙カセット18の開閉操作(開操作とその後の閉操作)が完了するまで待つ。なお、用紙カセット18の開閉操作は、不図示のセンサによって検知される。用紙カセット18の開閉操作が完了すると、CPU212aは、ステップS603で、リフタモータ604の駆動を開始し、積載トレイ401が上面センサ411の位置まで到達するのに十分な時間だけ積載トレイ401を上昇動作させる。
【0094】
ステップS604では、CPU212aは、残量センサ416の出力を監視し、上記十分な時間だけ積載トレイ401を上昇動作している間に、残量センサ416の出力に変化があったか否かを判別する。そして、残量センサ416の出力に変化があった場合は、積載トレイ401が上昇動作をしていると判断できるため、CPU212aは、ステップS605で、上昇動作が完了しない原因となる故障箇所は上面センサ411であると特定する。一方、残量センサ416が変化しなかった場合は、積載トレイ401が上昇動作をしていないと判断できる。ここで、既に実行した電気故障診断処理(
図17)により、リフタモータ604の異常が検出されていない。そのため、CPU212aは、ステップS606で、上昇動作が完了しない原因となる故障箇所は、リフタモータ604の駆動を伝えるギア等のリフタメカ機構であると特定する。ステップS605、S606の後、CPU212aは、
図19に示す処理を終了する。
【0095】
メイン故障診断処理(
図13)では、実際に電気部品とメカ機構で構成されたユニットを駆動するため、診断内容によっては故障診断が完了するのに数秒単位の時間を要する。従って、異常が検出された場合に、一律に、実行中であった画像出力動作を中断すると、画像出力動作の終了が遅くなるおそれがある。
【0096】
そこで、CPU212aは、異常のタイプに応じて故障診断処理(
図13)の開始タイミングを制御する。すなわち、CPU212aは、画像出力動作ができなくなる第1のタイプの異常が発生した場合に画像形成動作の実行中であるときは、その画像形成動作を停止させた後にメイン故障診断処理を開始する(S202以降)。これにより、第1のタイプの異常発生時には故障診断を優先することで、故障発生箇所の速やかな報知に寄与する。一方、CPU212aは、画像出力動作が可能な第2のタイプの異常が発生した場合に画像形成動作の実行中であるときは、その画像形成動作が完了してからメイン故障診断処理(
図13)を開始する(S205以降)。これにより、実行中の画像形成動作の継続を優先することで、ダウンタイムを削減することができる。
【0097】
よって、本実施の形態によれば、画像形成動作の遅延を適切に防止しつつ故障箇所を特定することができる。
【0098】
また、CPU212aは、第2のタイプの異常が発生した場合において、実行中の画像形成動作が完了した後であっても、新たな画像形成要求がある場合は、その画像形成要求に応じた画像形成動作が完了した後に故障診断処理を開始する(S208)。これにより、投入された画像形成要求に応じた画像形成動作を優先し、ダウンタイムを削減することができる。
【0099】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0100】
3 画像形成部
112 濃度センサ
212a CPU
242 HPセンサ
411 上面センサ
2000 画像形成装置