IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤーマン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-サポーター器具 図1
  • 特許-サポーター器具 図2
  • 特許-サポーター器具 図3
  • 特許-サポーター器具 図4
  • 特許-サポーター器具 図5
  • 特許-サポーター器具 図6
  • 特許-サポーター器具 図7
  • 特許-サポーター器具 図8
  • 特許-サポーター器具 図9
  • 特許-サポーター器具 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】サポーター器具
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/08 20060101AFI20240213BHJP
   A63B 21/00 20060101ALI20240213BHJP
   A61H 39/00 20060101ALI20240213BHJP
   A41D 13/06 20060101ALI20240213BHJP
   A41D 13/05 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
A63B71/08 A
A63B21/00
A61H39/00 K
A41D13/06 105
A41D13/05 125
A41D13/05 162
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019212018
(22)【出願日】2019-11-25
(65)【公開番号】P2021083446
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000114628
【氏名又は名称】ヤーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】山崎 岩男
【審査官】上田 泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/093042(WO,A1)
【文献】特表2017-515515(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0064773(KR,A)
【文献】特開2009-034328(JP,A)
【文献】特開2016-093265(JP,A)
【文献】実開平06-037316(JP,U)
【文献】特開2019-163554(JP,A)
【文献】特開2005-168532(JP,A)
【文献】国際公開第2015/133479(WO,A1)
【文献】特表2017-526496(JP,A)
【文献】特開2018-143367(JP,A)
【文献】特開2019-083995(JP,A)
【文献】中国実用新案第209405492(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0163444(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/08-71/16
A63B 21/00
A63B 23/02
A63B 23/08
A61N 1/22- 1/24
A61N 1/02- 1/08
A61N 1/36
A61H 39/00
A41D 13/05-13/06
A41D 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の所定部位に巻回して保護する帯状のサポーターと、
使用者の肌面に電気的筋肉刺激を与える電気刺激装置とから成るサポーター器具であって、
該電気刺激装置は、該サポーターに着脱可能であって、該サポーターの一部には該電気刺激装置の装着部を有し、
サポーターによって保護される部位に対して電気的筋肉刺激によって筋肉トレーニングを行う構成において、
該電気刺激装置は、
中央に制御電源部と、
該制御電源部の両側に延設され一対の電極を備えた両翼の平板部と
を備え、
該平板部は可撓性のある樹脂材料で形成されると共に該電極近傍のそれぞれに面ファスナーを備え、前記面ファスナーと装着部の面ファスナーとが着脱可能に構成される
ことを特徴とするサポーター器具。
【請求項2】
前記装着部が、前記サポーターの身体側の面に設けられると共に、
前記サポーターには前記電気刺激装置を外側から操作可能に露出させる窓部を備えた
請求項1に記載のサポーター器具。
【請求項3】
前記サポーター器具が腰用であって、前記サポーターは、
腰部位に当接すると共に前記装着部を有する背当て部と、
該背当て部の左右両側に連設され背側から腹側に巻回する左巻回部及び右巻回部と、
該装着部の左右両側をそれぞれ基端として左右側方に伸縮可能に延設された左バンド部及び右バンド部とを備え、
該左巻回部と該右バンド部とを締結し、該右巻回部と該左バンド部とを締結して該背当て部を固定する
請求項1又は2に記載のサポーター器具。
【請求項4】
前記サポーター器具が膝用であって、前記サポーターは、
膝部位に当接すると共に前記装着部を有する膝当て部と、
該膝当て部の上端及び下端から左右両側に延設された上バンド部及び下バンド部と、
該膝当て部の左端近傍を基端として右上方に斜めに延設された右傾斜バンド部と、
該膝当て部の右端近傍を基端として左上方に斜めに延設された左傾斜バンド部とを備え、
該右傾斜バンド部及び該左傾斜バンド部を、それぞれ該上バンド部と締結して該膝当て部を固定する
請求項1又は2に記載のサポーター器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の所定部位に巻回して保護する帯状のサポーターを備え、特に保護をしながらトレーニングやマッサージを行うことのできるサポーター器具を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
従来から、負傷したり痛みがある部位に伸縮性のある素材からなるサポーターを巻回して保護することが良く知られている。サポーターを巻くことによって衝撃から保護したり、筋肉や靱帯、腱、関節などの可動部を適切な範囲で動くようにする効果がある。
【0003】
また、所定の周波数の電流を身体に印加するEMS(Electrical Muscle Stimulation)と呼ばれる電気的筋肉刺激を与える美容器が知られている。EMSでは数Hzから数kHzの周波数で電気刺激を肌に与えることで筋収縮を起こして筋肉運動をさせることができる。
【0004】
特許文献1には、所定の電気パルスを発生するパルス発生手段が形成された基板を収納可能な基板ケースを収納するための基板ケース入れと、パルス発生手段に電源を供給する電池を収納可能な電池ケースを収納するための電池ケース入れと、パルス発生手段からの電気パルスによって足三里に電気的な刺激を与えるために電極ピンとを備えた足首用サポータが開示されている。
【0005】
本文献は骨盤底筋などの陰部神経領域や足三里のツボなどに電気的な刺激を与え、骨盤神経へ刺激を与え、不随意な排尿筋収縮を抑制して畜尿機能の維持を図る発明であり、サポータはパルス発生手段等を収納することを目的としたもので身体を保護する機能は有していない。
【0006】
また、特許文献2に開示される導電性シリコーン付きマッサージ具は、電流制御器と導電性シリコーンシートを採用することによって人体にマッサージ効果を提供すると共に、弾力性帯にて身体の各部位に適用される導電性シリコーン付きマッサージ具であって、ベルト状に図示される弾力性帯によってマッサージ本体と電流制御器をマッサージしようとする部位に固定することが記載されている。
【0007】
本文献において、弾力性帯を調整して、その対応する結合部によりマッサージ本体と電流制御器をマッサージしようとする部位に固定することが記載されている。従って、本文献に係る弾力性帯も、特許文献1と同じく身体を保護する機能は有していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第3527677号
【文献】登録実用新案公報第3157090号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来技術に示されるように、従来電気的な刺激を与える機器を肌面に当接させるためにベルト状の部材を用いる構成は公知であったが、いずれも身体の所望の部位を保護する機能を有するものではなく、単に機器を保持するだけに留まっていた。
【0010】
一方、身体を保護するサポーターを巻回した場合、保護された部位は使用中に筋肉が弱ってしまう問題があり、回復を遅らせる原因ともなっていた。本発明はこのような問題点に鑑みて創出されたものであり、サポーターによって保護される部位に対して電気的筋肉刺激によって筋肉トレーニングを行うことのできるサポーター器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は次のようなサポーター器具を提供する。
すなわち、本発明の第1の実施態様によると、身体の所定部位に巻回して保護する帯状のサポーターと、使用者の肌面に電気的筋肉刺激を与える電気刺激装置とから成るサポーター器具であって、電気刺激装置は、サポーターに着脱可能であって、サポーターの一部には電気刺激装置の装着部を有し、サポーターによって保護される部位に対して電気的筋肉刺激によって筋肉トレーニングを行うように構成したことを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の実施態様によると、上記の装着部が、サポーターの身体側の面に設けられると共に、サポーターには電気刺激装置を外側から操作可能に露出させる窓部を備える構成でもよい。
【0013】
本発明の第3の実施態様によると、上記の電気刺激装置は、中央に制御電源部と、制御電源部の両側に延設され一対の電極を備えた両翼の平板部とを備える構成でもよい。
【0014】
本発明の第4の実施態様によると、上記の平板部は可撓性のある樹脂材料で形成される構成でもよい。
【0015】
本発明の第5の実施態様によると、上記の平板部と、上記の装着部が互いに面ファスナーで着脱可能に構成される構成でもよい。
【0016】
本発明の第6の実施態様によると、上記のサポーター器具が腰用であって、サポーターには、腰部位に当接すると共に上記の装着部を有する背当て部と、背当て部の左右両側に連設され背側から腹側に巻回する左巻回部及び右巻回部と、装着部の左右両側をそれぞれ基端として左右側方に伸縮可能に延設された左バンド部及び右バンド部とを備え、左巻回部と右バンド部とを締結し、右巻回部と左バンド部とを締結して該背当て部を固定するように構成してもよい。
【0017】
本発明の第7の実施態様によると、上記のサポーター器具が膝用であって、サポーターには、膝部位に当接すると共に上記の装着部を有する膝当て部と、膝当て部の上端及び下端から左右両側に延設された上バンド部及び下バンド部と、膝当て部の左端近傍を基端として右上方に斜めに延設された右傾斜バンド部と、膝当て部の右端近傍を基端として左上方に斜めに延設された左傾斜バンド部とを備え、右傾斜バンド部及び左傾斜バンド部を、それぞれ上バンド部と締結して該膝当て部を固定するするように構成してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、サポーターを身体の所定部位に巻回して保護すると共に、電気刺激装置を備え、サポーターによって保護される部位に対して電気的筋肉刺激を与えることで、サポーターによる保護と筋肉のマッサージ及びトレーニングを同時に行うことができる。
【0019】
特に、サポーター器具を着脱可能としているので、サポーターの選択や、電気刺激装置の充電、清掃などが行いやすく、実用性の高いサポーター器具を提供する。
【0020】
電気刺激装置の中央に制御電源部、制御電源部の両側に平板部を備える構成は、左右の広い面でサポーターと固定することができるので位置がずれにくく、また広範囲に電気刺激を付与することができる。同時に、制御電源部が中央にあるため左右対称のバランスのよいサポーター器具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る腰用サポーター器具の身体側面を示す図。
図2】本発明に係る腰用サポーター器具の外側面を示す図。
図3】腰用サポーター器具に備える電気刺激装置の正面図。
図4】腰用サポーター器具に備える電気刺激装置の底面図。
図5】本発明に係る膝用サポーター器具の身体側面を示す図。
図6】本発明に係る膝用サポーター器具の外側面を示す図。
図7】膝用サポーター器具に備える電気刺激装置の正面図。
図8】膝用サポーター器具に備える電気刺激装置の背面図。
図9】膝用サポーター器具に備える電気刺激装置の底面図。
図10】膝用サポーター器具を装着した状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を、図面に示す実施例を基に説明する。なお、実施形態は下記に限定されるものではない。
本発明は、身体の所定部位に巻回して保護する帯状のサポーターと、使用者の肌面に電気的筋肉刺激を与える電気刺激装置とから成るサポーター器具である。以下の実施例では腰用や膝用のサポーターを例として挙げるが、身体のどのような部分に適用してもよい。
【0023】
電気刺激装置は、サポーターに着脱可能であって、サポーターの一部には電気刺激装置の装着部を有し、サポーターによって保護される部位に対して電気的筋肉刺激によって筋肉トレーニングを行う点に重要な特徴がある。
【0024】
(腰用サポーター器具)
図1は、本発明に係る腰用サポーター器具(1)の身体側面を示す図であり、図2は本器具(1)の外側面、すなわち装着時の表面側を示す図である。
本器具(1)は、腰に巻回して保護する帯状のサポーター(10)と、EMSを作用する電気刺激装置(20)とから成る。
【0025】
サポーター(10)は、腰部位に当接すると共に電気刺激装置(20)の装着部を有する背当て部(11)と、背当て部(11)の左右両側に連設され背側から腹側に巻回する左巻回部(12)及び右巻回部(13)を備えている。
左巻回部(12)は、伸縮性のある伸縮部分(120)と伸縮性のない端部分(121)とから成り、同様に右巻回部(13)も伸縮部分(130)と端部分(131)とから成る。端部分(121)(131)のそれぞれ裏、つまり外側面には面ファスナー(122)(132)が形成されている。
【0026】
サポーター(10)の外側面(図2)に説明を移す。背当て部(11)の左右両側をそれぞれ基端として左右側方に延設された左バンド部(14)と右バンド部(15)とを備える。
左バンド部(14)は、両端を上記基端の上下で固定し、図上で三角形の2辺を構成する傾斜ベルト(141)(142)と、連結具(143)、端部に面ファスナー(145)を備える左装着ベルト(144)とから構成されている。
【0027】
同様に、右バンド部(15)は、両端を上記基端の上下で固定し、図上で三角形の2辺を構成する傾斜ベルト(151)(152)と、連結具(153)、端部に面ファスナー(155)を備える右装着ベルト(154)とから構成されている。
左バンド部(14)及び右バンド部(15)は伸縮可能である。各バンド部における一部のベルトを伸縮可能としてもよいが、本実施例では全てのベルトが伸縮する構成としている。
【0028】
そして、腰用サポーター器具(1)を腰に巻回した状態で、左巻回部(12)の面ファスナー(122)と、右装着ベルト(154)の面ファスナー(155)を締結し、右巻回部(13)の面ファスナー(132)と、左装着ベルト(144)の面ファスナー(145)を締結し、背当て部(11)を腰に固定する。
【0029】
左バンド部(14)及び右バンド部(15)の構成は上記実施例に限定されない。傾斜ベルトではなく、基端から1本のベルトを延設してもよいし、基端から2本以上の平行なベルトを延設してもよい。最大で各バンド部と同様の幅を有する太いバンドで構成してもよい。さらに、本発明ではバンド部を備えず、サポーターの左右を互いに面ファスナー等で締結する構成でもよい。
【0030】
本実施例において、サポーター(10)には、電気刺激装置(20)を外側から操作可能に露出させる窓部を複数備える。
第1に、背当て部(11)の中央に第1窓部(110)、背当て部(11)の左右両端にそれぞれ第2窓部(140)、第3窓部(150)を開口している。各窓部を通して、本器具(1)を装着した状態でも、身体側に付属した電気刺激装置(20)の操作を行うことができる。
【0031】
窓部は本構成に限らず、第1窓部(110)のみ、あるいは第2窓部(140)と第3窓部(150)の2つ、など位置や数は任意に変更可能である。
また、窓は周囲を囲まれた態様でなく、サポーター(10)の縁部から切り欠いて操作部が露出されるような構成でもよい。
【0032】
上記の通り、傾斜ベルト(141)(142)(151)(152)が三角形に形成されていることにより、三角形の内側に位置する第2窓部(140)、第3窓部(150)の操作を容易にしている。左右に大きく離して2つの操作部分があることで、装着時にボタンが見えにくくても手探りの操作が可能となり使用性が向上する。
【0033】
図3は、腰用サポーター器具に備える電気刺激装置(20)の正面図であり、図4は同底面図である。以下、図1も合わせて参照しながら電気刺激装置(20)の構成を説明する。
電気刺激装置(20)は、中央に制御電源部(21)と、制御電源部(21)の両側に延設され一対の電極を備えた両翼の左平板部(22)、右平板部(23)からなる。
【0034】
左平板部(22)の端部には面ファスナー(24)が、右平板部(23)の端部には面ファスナー(25)がそれぞれ付設されており、これらの面ファスナー(24)(25)と、背当て部(11)の身体側に設けられた面ファスナー(111)(112)が互いに貼着することで、電気刺激装置(20)がサポーター(10)に装着される。
なお、装着態様はその他の部分で面ファスナーで固定してもよいし、スナップボタン等の公知の装着手段を選択することができる。
【0035】
各平板部は可撓性のある樹脂材料、例えばシリコン製で構成することが好ましい。すなわち布製の柔らかなサポーター(10)によって身体の形状に柔軟に適合しながら、相対的には面積の小さな電気刺激装置(20)が適度な剛性を保つ上で、可撓性のある樹脂材料が最もバランスよく、快適な使用感を与えることができる。
【0036】
特に腰用サポーター器具(1)において、本実施例の構造は非常に好ましい。
身長方向に細長の制御電源部(21)を配し、この部分は内部を保護する必要があることから上下左右とも撓むことはないが、背骨に沿っていることから違和感がない。同時に、両翼の平板部は身体の丸みに沿う向きに可撓性を備えることで、機器が当たる痛みを感じることなく、むしろ腰をしっかりと支えるサポーター機能を実現する。
【0037】
電気刺激装置(20)の動作を説明する。
制御電源部(21)には第1窓部(110)から外側に露出して操作が可能な中央操作部(210)が設けられており、電源ボタン(211)や温度調整ボタン(212)等の各種のボタンや、動作状態を表す表示ランプ等が備えられている。
【0038】
また、左平板部(22)の端部に左ボタン(26)、右平板部(23)の端部に右ボタン(27)を配置している。左ボタン(26)は上記第2窓部(140)から外部に露出し、右ボタン(27)は上記第3窓部(150)から外側に露出する。本実施例において、左ボタン(26)はEMSのレベルを下げるマイナスボタン、右ボタン(27)はEMSのレベルを上げるプラスボタンである。
【0039】
電気刺激装置(20)の身体側面(背面)には、左右にそれぞれ1対の電極部(220)(221)、(230)(231)を備え、各対の間に制御電源部(21)からEMSのための電力を通電する。EMSについては公知であるので説明を省略するが、数Hzから数kHzの範囲の交流電流を、電気刺激装置(20)に内蔵するバッテリーと、制御回路から出力し、電極間に印加する。
【0040】
電極は左右それぞれ1対に限らず、それぞれに2対、3対と複数設けても良いし、左に一極、右に一極の1対でもよい。
【0041】
本発明は、単に腰にEMSによる刺激を与えるものではなく、サポーター器具の一部であることに重要な発明の要素がある。
すなわち、腰痛などで腰を保護するためサポーターを装着した場合、逆に当該部分の筋肉を使わなくなることで衰えをさらに加速してしまう問題がある。本発明ではサポーターで保護すると共に、その保護された部分をEMSによって筋肉をトレーニングできる点に特徴的な効果を有するものである。
【0042】
上記のように比較的大きな電極部(220)(221)(230)(231)から低周波や中周波の電流を通電し、腰回りの大腰筋、腰方形筋、腸骨筋などの範囲をカバーすることができる。その際、サポーター(10)を適切に装着することで自然に電気刺激装置(20)も的確な位置に位置合わせされ、適正な部位の筋肉を身体に負担なくトレーニングすることが可能である。
【0043】
本実施例のように、各種のボタンは制御電源部から窓部を通してサポーター器具(1)の外側から操作が可能なように構成することが最適であるが、装着する部位が手の届きにくい場所、例えば背中側や手足の裏側などの場合には操作部分を有線又は無線のリモコンとして、別に備えてもよい。
【0044】
本実施例では、さらに電気刺激装置(20)の背面中央部にヒーター(213)を備えている。温度は概ね40度程度が好ましいが、温度調整ボタン(212)によって温度調整が可能である。
ヒーター(213)によって肌温度を上昇させることで代謝効率を向上させ、EMSによる筋肉トレーニングの効果を高めることができる。
また、筋肉を予め温めることで、負担の軽減を図ることもできる。
【0045】
EMSの作動時間は例えば10分程度として、制御電源部(21)にタイマーを備えて所定時間で終了させることができる。加えて、本器具(1)は長時間にわたって装着することもあるので、例えば1時間に1回、10分程度を繰り返し自動的に作動させることもできる。
【0046】
上記から明らかなように電気刺激装置(20)はサポーター(10)から着脱自在であり、サポーター(10)は洗濯することもできる。
同時に、電気刺激装置(20)はバッテリーとして充電池を内蔵することが可能であり、取り外して簡単に充電することもできる。
【0047】
本発明の実施例として腰用サポーター器具(1)の構成は以上の通りである。
次に、膝用として適用する例について説明する。
【0048】
(膝用サポーター器具)
図5は、本発明に係る膝用サポーター器具(3)の身体側面を示す図であり、図6は本器具(3)の外側面、すなわち装着時の表面側を示す図である。
本器具(3)は、膝に巻回して保護する帯状のサポーター(30)と、EMSを作用する電気刺激装置(40)とから成る。
【0049】
サポーター(30)は、膝部位に当接すると共に電気刺激装置(40)の装着部を有する膝当て部(31)と、膝当て部(31)の上端から左右両側に延設された左上バンド部(33)と右上バンド部(34)、下端から左右両側に延設された左下バンド部(35)と右下バンド部(36)をまず備える。
【0050】
さらに、膝当て部(31)の左端近傍を基端として右上方に斜めに延設(図6参照)された右傾斜バンド部(37)と、膝当て部(31)の右端近傍を基端として左上方に斜めに延設された左傾斜バンド部(38)とを外側面に備える。
【0051】
そして、膝当て部(31)を膝に巻回した上で、右上バンド部(34)の身体側面の端部に設ける面ファスナー(340)と、左上バンド部(33)の外側面の面ファスナー(330)とを締結する。また、右下バンド部(36)の身体側面の端部に設ける面ファスナー(360)と、左下バンド部(35)の外側面の面ファスナー(350)とを締結する。
【0052】
さらに図10に示すように、右傾斜バンド部(37)と左傾斜バンド部(38)とをたすき掛けするように固定する。すなわち、右傾斜バンド部(37)の端部に備えた面ファスナー(370)を、右上バンド部(34)の外側面に形成される面ファスナー(341)と締結する。同様に、左傾斜バンド部(38)の端部に備えた面ファスナー(380)を、左傾斜バンド部(33)の外側面に形成される面ファスナー(330)と締結する。
【0053】
このような各バンドの構成により、従来のEMSベルトや、貼り付けるタイプのEMS機器では難しかった、本格的なサポーター器具を提供することができる。
左上バンド(33)と右上バンド(34)、左下バンド(35)と右下バンド(36)をそれぞれ面ファスナーで締結した上で、さらに右傾斜バンド部(37)と左傾斜バンド部(38)を伸長させながら交差し、膝を持ち上げるように絞り込むことで、さらにサポート力を強化している。
【0054】
各バンドの構成は上記実施例に限定されない。上下のベルト部でなく、膝全体を覆うような幅広のバンドを用いてもよい。傾斜バンド部だけで固定してもよい。さらに、本発明ではバンド部を備えず、サポーターの左右を互いに面ファスナー等で締結する構成でもよい。
【0055】
本実施例において、膝当て部(31)の上部に位置する装着部(32)に、電気刺激装置(40)を外側から操作可能に露出させる窓部(320)を開口している。窓部(320)を通して、本器具(3)を膝に装着した状態でも、身体側に付属した電気刺激装置(40)の操作を行うことができる。
【0056】
図7は、膝用サポーター器具(3)に備える電気刺激装置(40)の正面図であり、図8は同背面図、図9は同底面図である。
電気刺激装置(40)は、中央に制御電源部(41)と、制御電源部(41)の両側に延設され一対の電極を備えた両翼の左平板部(42)、右平板部(43)からなる。
【0057】
膝用サポーター器具(3)では電気刺激装置(40)をサポーター(30)に固定せずに膝との間に挟んで保持することもできる。
あるいは、左平板部(42)、右平板部(43)の外側面に面ファスナーを備えて装着部(32)の面ファスナーと貼り合わせる構成でもよい。
【0058】
左平板部(42)、右平板部(43)は可撓性のある樹脂材料、例えばシリコン製で構成することが好ましい。布製の柔らかなサポーター(30)によって膝周辺の複雑な形状に柔軟に適合しながら、小型の電気刺激装置(40)が膝上の動きの少ないエリアに適切に当たるように保持する。
【0059】
特に膝用サポーター器具(3)において、本実施例の構造は非常に好ましい。
身長方向に細長の制御電源部(41)を配し、この部分は内部を保護する必要があることから上下左右とも撓むことはないが、大腿骨に沿っていることから違和感がない。同時に、両翼の平板部は腿の丸みに沿う向きに可撓性を備えることで、機器が当たる痛みを感じることなく、電極が皮膚にしっかりと当たることをサポートする。
【0060】
電気刺激装置(40)の動作を説明する。
制御電源部(41)には窓部(320)から外側に露出して操作が可能な操作部(410)が設けられており、電源ボタン(411)やEMSのレベル調整ボタン(412)(413)の各種のボタンや、動作状態を表す表示ランプ等が備えられている。
【0061】
電気刺激装置(40)の身体側面(背面)には、左右1対の電極部(420)(430)を備え、左右の電極部(420)(430)の間に制御電源部(41)からEMSのための電力を通電する。本実施例でも同様に、電気刺激装置(40)に内蔵するバッテリーと、制御回路から出力し、電極間に交流電流を印加する。
【0062】
本発明は、単に膝にEMSによる刺激を与えるものではなく、サポーター器具の一部であることが重要である。
腰用と同様に、膝サポーターを用いると、当該部分の筋肉を使わなくなることで衰えをさらに加速してしまう問題がある。本発明ではサポーターで保護すると共に、その保護された部分をEMSによって筋肉をトレーニングできる点に特徴的な効果を有するものである。
【0063】
電極部(420)(430)から低周波の電流を通電し、膝上方の大腿四頭筋などの筋肉をトレーニングする。従来、膝のまわりの筋肉をトレーニングしようとすると、シットアップや階段昇降など負荷の強いトレーニングが一般的で、適切に行わないとかえって膝を痛める原因にもなる。
【0064】
本発明のサポーター器具(3)はサポーター(30)を適切に装着すると、電気刺激装置(40)が位置合わせされ、大腿四頭筋にフィットする。
そして、サポーター(30)によって逆に使わなくなる筋肉を身体に負担なくトレーニングすることが可能である。
【0065】
本実施例では、さらに電気刺激装置(40)の背面中央部にヒーター(414)を備えている。温度は概ね40度程度が好ましいが、電源ボタン(411)やレベル調整ボタン(412)(413)によってヒーターのオンオフ、温度調整が可能である。
ヒーター(414)によって肌温度を上昇させることで代謝効率を向上させ、EMSによる筋肉トレーニングの効果を高めることができる。
また、筋肉を予め温めることで、負担の軽減を図ることもできる。
【0066】
上記から明らかなように電気刺激装置(40)はサポーター(30)から着脱自在であり、サポーター(30)は洗濯することもできる。
同時に、電気刺激装置(40)はバッテリーとして充電池を内蔵することが可能であり、取り外して簡単に充電することもできる。
【符号の説明】
【0067】
1 腰用サポーター器具
10 サポーター
11 背当て部
12 左巻回部
13 右巻回部
14 左バンド部
15 右バンド部
20 電気刺激装置
21 制御電源部
22 左平板部
23 右平板部
24 面ファスナー
25 面ファスナー
26 左ボタン
27 右ボタン
3 膝用サポーター器具
30 サポーター
31 膝当て部
32 装着部
32 備えて装着部
33 左上バンド部
33 左傾斜バンド部
34 右上バンド部
35 左下バンド部
36 右下バンド部
37 右傾斜バンド部
38 左傾斜バンド部
40 電気刺激装置
41 制御電源部
42 左平板部
43 右平板部
110 第1窓部
111、112 面ファスナー
120 伸縮部分
121 端部分
122 面ファスナー
130 伸縮部分
131 端部分
132 面ファスナー
140 第2窓部
141、142 傾斜ベルト
143 連結具
144 左装着ベルト
145 面ファスナー
150 第3窓部
151、152 傾斜ベルト
153 連結具
154 右装着ベルト
155 面ファスナー
210 中央操作部
211 電源ボタン
212 温度調整ボタン
213 ヒーター
320 窓部
220、221 電極部
330、340、341、350、360、370、380 面ファスナー
410 操作部
411 電源ボタン
412、413 レベル調整ボタン
414 ヒーター
420、430 電極部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10