(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240213BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G03G21/00 512
G03G21/00 386
G03G21/00 384
G03G15/08 322Z
(21)【出願番号】P 2019213343
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】P 2019001415
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 正貴
(72)【発明者】
【氏名】阿部 克市
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-161645(JP,A)
【文献】特開2010-197490(JP,A)
【文献】特開2017-173458(JP,A)
【文献】特開2014-016538(JP,A)
【文献】特開2009-169003(JP,A)
【文献】特開2012-247631(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0232556(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/34
15/00
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な像担持体と、
前記像担持体に現像剤を供給し、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像剤担持体を有する現像装置と、を備え、
前記現像剤担持体が前記像担持体に対して第1の周速比で回転する第1モードと、前記現像剤担持体が前記像担持体に対して第1の周速比よりも大きい第2の周速比で回転する第2モードと、を有する画像形成装置であって、
前記第1モードに対応した前記現像装置の第1寿命閾値と、前記第2モードに対応した前記現像装置の第2寿命閾値と、を記憶する記憶手段と、
前記現像剤担持体が前記第1モードで動作したときの第1駆動量情報と、前記現像剤担持体が前記第2モードで動作したときの第2駆動量情報と、に基づいて、前記現像装置の寿命判断値に対して前記現像剤担持体の駆動量情報を累加又は初期値から累減して、前記寿命判断値を更新する制御手段と、
報知手段と、を有し、
前記制御手段は、
(i)前記第1寿命閾値と前記寿命判断値と、に基づいて、又は、(ii)前記第2寿命閾値
と前記第1寿命閾値に関する情報とを用いて算出した第3寿命閾値と前記寿命判断値と、に基づいて前記第1モードの寿命に係る第1の判断を行い、
(i)前記第2寿命閾値と前記寿命判断値と、に基づいて、又は、(ii)前記第1寿命閾値
と前記第2寿命閾値に関する情報とを用いて算出した第4寿命閾値と前記寿命判断値と、に基づいて前記第2モードの寿命に係る第2の判断を行い、
前記報知手段は、
前記制御手段による判断結果に基づく報知を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記寿命判断値を前記第1寿命閾値と比較し、前記寿命判断値が前記第1寿命閾値を超えているか又は下回っているかを判断し、
前記寿命判断値を前記第2寿命閾値と比較し、前記寿命判断値が前記第2寿命閾値を超えているか又は下回っているかを判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装
置。
【請求項3】
前記現像剤担持体に供給すべく現像剤容器に収容されている現像剤の量を取得する残量取得部を更に備え、
前記制御手段は、前記寿命判断値が前記第1寿命閾値又は前記第2寿命閾値を超えていない場合であっても、前記現像剤の残量が少ない場合に、前記現像装置が寿命に達したと判断することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
回転可能な像担持体と、
前記像担持体に現像剤を供給し、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像剤担持体を有する現像装置と、を備え、
前記現像剤担持体が前記像担持体に対して第1の周速比で回転する第1モードと、前記現像剤担持体が前記像担持体に対して第1の周速比よりも大きい第2の周速比で回転する第2モードと、を有する画像形成装置であって、
前記第1モードに対応した前記現像装置の第1寿命閾値、前記第2モードに対応した前記現像装置の第2寿命閾
値のうちの何れか一つを記憶する記憶手段と、
前記現像剤担持体が前記第1モードで動作したときの第1駆動量情報と、前記現像剤担持体が前記第2モードで動作したときの第2駆動量情報と、に基づいて、寿命判断値を算出する制御手段と、
報知手段と、を有し、
前記制御手段は、
(i)前記第1寿命閾値と前記寿命判断値と、に基づいて、又は、(ii)前記第2寿命閾値
と前記第1寿命閾値に関する情報とを用いて算出した第3寿命閾値と前記寿命判断値と、
に基づいて前記第1モードの寿命に係る第1の判断を行い、
(i)前記第2寿命閾値と前記寿命判断値と、に基づいて、又は、(ii)前記第1寿命閾値
と前記第2寿命閾値に関する情報とを用いて算出した第4寿命閾値と前記寿命判断値と、
に基づいて前記第2モードの寿命に係る第2の判断を行い、
前記報知手段は、
前記制御手段による判断結果に基づく報知を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記寿命判断値を前記第1寿命閾値又は前記第3寿命閾値と比較し、前記寿命判断値が前記第1寿命閾値又は前記第3寿命閾値を超えているか又は下回っているかを判断し、
前記寿命判断値を前記第2寿命閾値又は前記第4寿命閾値と比較し、前記寿命判断値が前記第2寿命閾値又は前記第4寿命閾値を超えているか又は下回っているかを判断することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像剤担持体に供給すべく現像剤容器に収容されている現像剤の量を取得する残量取得部を更に備え、
前記制御手段は、前記寿命判断値が前記第1寿命閾値、前記第2寿命閾値、前記第3寿命閾値又は前記第4寿命閾値を超えていない場合であっても、前記現像剤の残量が少ない場合に、前記現像装置が寿命に達したと判断することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第2の判断の判断結果に基づく報知を行った後、引き続き前記第1モードの実行を許容する請求項1から6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記記憶手段は、第1補正係数を記憶し、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記第1補正係数を読み出し、前記第1駆動量情報及び/又は前記第2駆動量情報に対して用いることで、前記現像剤担持体の同じ駆動量に対して、前記第2駆動量情報による累加又は累減する駆動量情報の大きさを、前記第1駆動量情報による累加又は累減する駆動量情報の大きさよりも大きくして、前記寿命判断値を更新することを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1補正係数は、前記現像装置の使用量に関する情報に応じた第2補正係数及び前記像担持体と前記現像剤担持体との回転周速比に応じた第3補正係数の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記記憶手段は、前記
像担持体の残寿命に応じた第4補正係数を記憶し、
前記制御手段は、前記第4補正係数で補正した前記第1補正係数を、前記第1駆動量情報及び/又は前記第2駆動量情報に対して用いることを特徴とする請求項8又は9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第2寿命閾値は、前記現像剤担持体の残寿命に応じた複数の範囲で区分され、
前記制御手段は、前記複数の範囲で区分された前記第2寿命閾値と、前記寿命判断値と、に基づいて、前記第2モードの寿命に係る第2の判断を行うことを特徴とする請求項1から10の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記記憶手段は、前記
像担持体の残寿命に応じた第5補正係数を記憶し、
前記制御手段は、前記第5補正係数で補正した前記第2寿命閾値と、前記寿命判断値と、に基づいて、前記第2の判断を行うことを特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
回転可能な像担持体と、
前記像担持体に現像剤を供給し、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像剤担持体を有する現像装置と、を備え、
前記現像剤担持体が前記像担持体に対して第1の周速比で回転する第1モードと、前記現像剤担持体が前記像担持体に対して第1の周速比よりも大きい第2の周速比で回転する第2モードと、を有する画像形成装置であって、
前記現像装置の寿命閾値を記憶する記憶手段と、
前記現像剤担持体が前記第1モードで動作したときの第1駆動量情報と、前記現像剤担持体が前記第2モードで動作したときの第2駆動量情報と、に基づいて、前記第1モードに対応した第1寿命判断値
を算出し、
前記第1駆動量情報と、前記第2駆動量情報と、に基づいて、前記第2モードに対応した第2寿命判断値を算出する制御手段と、
報知手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記寿命閾値と前記第1寿命判断値との比較に基づき、前記報知手段に、前記第1モードにおける前記現像装置の寿命に係る報知を行わせ、
前記寿命閾値と前記第2寿命判断値との比較に基づき、前記報知手段に、前記第2モードにおける前記現像装置の寿命に係る報知を行わせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
前記第1寿命閾値に関する情報とは、前記第1モードの現像剤担持体寿命補正閾値係数であって、前記第2寿命閾値に前記第1モードの現像剤担持体寿命補正閾値係数を積算することで前記第3寿命閾値を算出することを特徴とする請求項1から12の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記第1モードの現像剤担持体寿命補正閾値係数は1より大きいことを特徴とする請求
項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記第2寿命閾値に関する情報とは、前記第2モードの現像剤担持体寿命補正閾値係数であって、前記第1寿命閾値に前記第2モードの現像剤担持体寿命補正閾値係数を積算することで前記第4寿命閾値を算出することを特徴とする請求項1から12の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記第2モードの現像剤担持体寿命補正閾値係数は1より小さいことを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式等を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に備えられた現像装置の寿命を判断する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成方式(電子写真プロセス)を用いたプリンタ等の画像形成装置では、像担持体としての電子写真感光体(以下、「感光体」という。)を一様に帯電させ、帯電した感光体を選択的に露光することによって、感光体上に静電像を形成する。感光体上に形成された静電像は、現像剤としてのトナーでトナー像として顕像化される。そして、感光体上に形成されたトナー像を、記録用紙、プラスチックシート等の記録材に転写し、更に記録材上に転写されたトナー像に熱や圧力を加えることでトナー像を記録材に定着させることで画像記録を行う。
このような画像形成装置は、一般に、現像剤の補給や各種のプロセス手段のメンテナンスを必要とする。この現像剤の補給作業や各種のプロセス手段のメンテナンスを容易にするために、感光体、帯電手段、現像手段、クリーニング手段等を枠体内にまとめてカートリッジ化し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジとすることが実用化されている。プロセスカートリッジ方式によれば、ユーザビリティーに優れた画像形成装置を提供することができる。
このようなプロセスカートリッジでは、画像形成回数が増えるにつれ、感光体の一例である感光ドラムに現像されずに何度も回収されるトナーが発生する。そのようなトナーは、トナー像の形成が何度も繰り返されることにより、添加している外添剤がトナーの母体となる樹脂粒子から遊離したり、埋め込まれたりすることにより、劣化を生じることがある。このような場合、トナーが所望の電荷量を得られなくなり、画像上の白地部にトナーが付着する、所謂かぶりなどが発生することがある。そこで、特許文献1には、画像形成装置内におけるトナーの劣化度合いを算出し、それを積算することで現像装置が寿命に達したと判断するものが提案されている。また、特許文献2では、現像ローラ上に、トナーや外添剤が堆積していく、所謂フィルミングの度合いによる現像ローラの劣化度合いも加味してより最適な現像装置寿命を判断するものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4743273号公報
【文献】特開2016ー161645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、多岐にわたる市場要望の1つに、より豊かな画像を得ることを目的として、画像濃度の高濃度化や色味の拡大を要望されている。その目的を果たすために、以下の技術が知られている。一般的な画像濃度を得るためのモードに加え、高濃度や色味の増大を実現するための手段として、感光ドラムと現像ローラの周速比を変化させるモードを持ち、感光ドラムへのトナー供給量を増加し、記録媒体上のトナー量を増加させることで実現する技術がある。
この技術を用いて感光ドラムと現像ローラの周速比を大きくして印刷を行うと、現像ローラの劣化に影響してくることが発明者による検討により判明した。現像ローラが早期に劣化すると、体積抵抗値が高くなり、現像ローラ上のトナーの電荷が現像ローラに抜けにくくなりトナーが電荷をため込むようになる。これにより、例えば、現像ローラ上のトナーが持つ電荷が過剰になり、規制部材による規制が不十分となってしまう。そのために、
所謂規制不良が早いタイミングで発生したり、また、規制不良により現像ローラ上のトナー量が増えて現像ローラと感光ドラムのスリップによるバンディングが早いタイミングで発生したりする。つまり、ユーザに現像装置の寿命を適切なタイミングで報知することが要望される。
本発明の目的は、このような課題を解決するためである。すなわち、感光ドラムと現像ローラの回転周速比を変化させる画像形成モードを選択可能な画像形成装置において、より適切な現像装置の寿命を判断可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、
回転可能な像担持体と、
前記像担持体に現像剤を供給し、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像剤担持体を有する現像装置と、を備え、
前記現像剤担持体が前記像担持体に対して第1の周速比で回転する第1モードと、前記現像剤担持体が前記像担持体に対して第1の周速比よりも大きい第2の周速比で回転する第2モードと、を有する画像形成装置であって、
前記第1モードに対応した前記現像装置の第1寿命閾値と、前記第2モードに対応した前記現像装置の第2寿命閾値と、を記憶する記憶手段と、
前記現像剤担持体が前記第1モードで動作したときの第1駆動量情報と、前記現像剤担持体が前記第2モードで動作したときの第2駆動量情報と、に基づいて、前記現像装置の寿命判断値に対して前記現像剤担持体の駆動量情報を累加又は初期値から累減して、前記
寿命判断値を更新する制御手段と、
報知手段と、を有し、
前記制御手段は、
(i)前記第1寿命閾値と前記寿命判断値と、に基づいて、又は、(ii)前記第2寿命閾値と前記第1寿命閾値に関する情報とを用いて算出した第3寿命閾値と前記寿命判断値と、に基づいて前記第1モードの寿命に係る第1の判断を行い、
(i)前記第2寿命閾値と前記寿命判断値と、に基づいて、又は、(ii)前記第1寿命閾値と前記第2寿命閾値に関する情報とを用いて算出した第4寿命閾値と前記寿命判断値と、
に基づいて前記第2モードの寿命に係る第2の判断を行い、
前記報知手段は、
前記制御手段による判断結果に基づく報知を行うことを特徴とする。
また、上記目的を達成するため、本発明における画像形成装置は、
回転可能な像担持体と、
前記像担持体に現像剤を供給し、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像剤担持体を有する現像装置と、を備え、
前記現像剤担持体が前記像担持体に対して第1の周速比で回転する第1モードと、前記現像剤担持体が前記像担持体に対して第1の周速比よりも大きい第2の周速比で回転する第2モードと、を有する画像形成装置であって、
前記第1モードに対応した前記現像装置の第1寿命閾値、前記第2モードに対応した前記現像装置の第2寿命閾値のうちの何れか一つを記憶する記憶手段と、
前記現像剤担持体が前記第1モードで動作したときの第1駆動量情報と、前記現像剤担持体が前記第2モードで動作したときの第2駆動量情報と、に基づいて、寿命判断値を算出する制御手段と、
報知手段と、を有し、
前記制御手段は、
(i)前記第1寿命閾値と前記寿命判断値と、に基づいて、又は、(ii)前記第2寿命閾値と前記第1寿命閾値に関する情報とを用いて算出した第3寿命閾値と前記寿命判断値と、
に基づいて前記第1モードの寿命に係る第1の判断を行い、
(i)前記第2寿命閾値と前記寿命判断値と、に基づいて、又は、(ii)前記第1寿命閾値と前記第2寿命閾値に関する情報とを用いて算出した第4寿命閾値と前記寿命判断値と、
に基づいて前記第2モードの寿命に係る第2の判断を行い、
前記報知手段は、
前記制御手段による判断結果に基づく報知を行うことを特徴とする。
また、上記目的を達成するため、本発明における画像形成装置は、
回転可能な像担持体と、
前記像担持体に現像剤を供給し、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像剤担持体を有する現像装置と、を備え、
前記現像剤担持体が前記像担持体に対して第1の周速比で回転する第1モードと、前記現像剤担持体が前記像担持体に対して第1の周速比よりも大きい第2の周速比で回転する第2モードと、を有する画像形成装置であって、
前記現像装置の寿命閾値を記憶する記憶手段と、
前記現像剤担持体が前記第1モードで動作したときの第1駆動量情報と、前記現像剤担持体が前記第2モードで動作したときの第2駆動量情報と、に基づいて、前記第1モードに対応した第1寿命判断値を算出し、前記第1駆動量情報と、前記第2駆動量情報と、に基づいて、前記第2モードに対応した第2寿命判断値を算出する制御手段と、
報知手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記寿命閾値と前記第1寿命判断値との比較に基づき、前記報知手段に、前記第1モードにおける前記現像装置の寿命に係る報知を行わせ、
前記寿命閾値と前記第2寿命判断値との比較に基づき、前記報知手段に、前記第2モードにおける前記現像装置の寿命に係る報知を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば感光ドラムと現像ローラ間の回転周速比が違う複数の画像形成モードを持つ画像形成装置においても、現像装置の寿命を適切に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】現像ローラ走行距離と規制不良及びバンディングとの関係の説明図
【
図6】現像カートリッジの寿命判断シーケンスチャート
【
図7】別の現像カートリッジの寿命判断シーケンスチャート
【
図8】別の現像カートリッジの寿命判断シーケンスチャート
【
図9】別の現像カートリッジの寿命判断シーケンスチャート
【
図10】トナー残量と、現像ローラの残寿命との関係図
【
図12】現像カートリッジの寿命の報知タイミングを示す図
【
図13】高濃度モード時のバンディング発生状況を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0009】
[実施例1]
電子写真画像形成装置(画像形成装置)の一実施例の全体構成について説明する。
図1は、本実施例の画像形成装置100の断面図である。本実施例の画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザービームプリンタである。画像形成装置100は、画像情報に従って、記録材(例えば、記録用紙、プラスチックシート、布など)にフルカラー画像を形成することができる。画像情報は、画像形成装置本体に接続された画像読み取り装置、或いは画像形成装置本体に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器から、画像形成装置本体に入力される。画像形成装置100は、複数の画像形成部としてのそれぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するためのSY、SM、SC、SKを有する。本実施例では、画像形成部SY、SM、SC、SKは、鉛直方向と交差する方向に一列に配置されている。
【0010】
本実施例における画像形成装置100は、メンテナンスの簡略化などの為に、詳しくは後述するが、
図2に示す感光ドラム1、帯電ローラ2、クリーニングブレード6、ドラムカートリッジ枠体11を一体的に構成し、ドラムカートリッジ210としている。また、
図3に示す現像ローラ4、トナー供給ローラ5、トナー量規制部材8、現像室20a及び現像剤収容室20bを構成する現像剤容器22も同様に一体的に構成され、現像装置としての現像カートリッジ200としている。
前述の画像形成部は、ドラムカートリッジ210(210Y、210M、210C、210K)と現像カートリッジ200(200Y、200M、200C、200K)からなる。これらのドラムカートリッジ210及び現像カートリッジ200は、画像形成装置本体に設けられた装着ガイド、位置決め部材などの装着手段を介して、画像形成装置100に着脱可能となっている。本実施例では、各色用のドラムカートリッジ210と現像カートリッジ200は全て同一形状を有しており、各色用の現像カートリッジ200内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーが収容されている。本実施例では、ドラムカートリッジ210と現像カートリッジ200が独立に着脱可能な構成について説明するが、ドラムカートリッジ210と現像カートリッジ200が一体となって画像形成装置本体に着脱可能な構成としてもよい。
【0011】
感光ドラム1は、図示しない駆動手段(駆動源)により回転駆動される。感光ドラム1の周囲にはスキャナユニット(露光装置)30が配置されている。スキャナユニット30は、画像情報に基づきレーザを照射して感光ドラム1上に静電像(静電潜像)を形成する露光手段である。レーザ露光の書き出しは、主走査方向(記録材12の搬送方向と直交する方向)では、走査ラインごとにBDと呼ばれるポリゴンスキャナ内の位置信号から行われる。一方で、副走査方向(記録材12の搬送方向)では、記録材12搬送路内のスイッチ(不図示)を起点とするTОP信号から所定の時間だけ遅延させて行われる。これにより、4つのプロセスステーションY、M、C、Kにおいて、常に感光ドラム1上の同じ位置に対してレーザ露光を行うことができる。
【0012】
4個の感光ドラム1に対向して、感光ドラム1上のトナー像を記録材12に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト31が配置されている。中間転写体としての無端状のベルトで形成された中間転写ベルト31は、全ての感光ドラム1に当接し、図示矢印B方向(反時計方向)に循環移動(回転)する。中間転写ベルト31の内周面側には、各感光ドラム1に対向するように、一次転写手段としての、4個の一次転写ローラ32が並設されている。そして、一次転写ローラ32に、図示しない一次転写バイアス印加手段としての一次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、感光ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト31上に転写(一次転写)される。
【0013】
また、中間転写ベルト31の外周面側において二次転写手段としての二次転写ローラ3
3が配置されている。そして、二次転写ローラ33に、図示しない二次転写バイアス印加手段としての二次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、中間転写ベルト31上のトナー像が記録材12に転写(二次転写)される。例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが、画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて順次に行われ、中間転写ベルト31上に各色のトナー像が順次に重ね合わせて一次転写される。その後、中間転写ベルト31の移動と同期が取られて記録材12が二次転写部へと搬送される。そして、記録材12を介して中間転写ベルト31に当接している二次転写ローラ33の作用によって、中間転写ベルト31上の4色トナー像は、一括して記録材12上に二次転写される。
【0014】
トナー像が転写された記録材12は、定着手段としての定着装置34に搬送される。定着装置34において記録材12に熱および圧力を加えられることで、記録材12にトナー像が定着される。
【0015】
[ドラムカートリッジ]
本実施例の画像形成装置100に装着されるドラムカートリッジ210の構成について説明する。
図2は、感光ドラム1の長手方向(回転軸線方向)に沿って見た本実施例のドラムカートリッジ210の断面(主断面)図である。
ドラムカートリッジ210には、図示しない軸受を介して感光ドラム1が回転可能に取り付けられている。感光ドラム1は、感光ドラム駆動手段(駆動源M210)としての駆動モータの駆動力を受けることによって、画像形成動作に応じて図示矢印A方向に回転駆動される。
【0016】
感光ドラム1は、Φ30mmのアルミニウム製シリンダの外周面に機能性膜である下引き層、高抵抗層、キャリア層、キャリア移送層を順にコーティングした有機感光体を用いている。キャリア移送層は、画像形成動作により削れて消耗していくため、ドラムカートリッジ210の寿命に応じた膜厚を形成しなければならない。近年の市場要望を受け、長寿命化を達成するため、本実施例においては、25μmとした。
【0017】
また、ドラムカートリッジ210には、感光ドラム1の周面上に接触するように、帯電ローラ2と弾性体で形成されたクリーニングブレード6が配置されている。また、クリーニングブレード6によって除去された感光ドラム上1のトナーを収容する収容空間を有するドラムカートリッジ枠体11が設けられている。帯電ローラ2には、図示しない帯電バイアス印加手段としての帯電バイアス電源(高圧電源)から、感光ドラム1上に任意の電荷を載せられるのに十分なバイアスが印加される。本実施例では、感光ドラム1上の電位(帯電電位:Vd)が-500Vとなるように印加するバイアスを設定した。スキャナユニット30から画像情報に基づきレーザ35が照射され感光ドラム1上に静電像(静電潜像)を形成する。レーザ35が照射された結果、照射部は、キャリア発生層からのキャリアにより、感光ドラム1表面の電荷が消失し、電位が低下する。この結果、レーザ35の照射部は所定の明部電位(Vl)、未照射部は所定の暗部電位(Vd)となる静電潜像を形成する。
【0018】
また、ドラムカートリッジ210には、記憶手段である不揮発性メモリ(以下、Oメモリm1)が設けられている。Oメモリm1には、感光ドラム1の回転数や製造番号などの情報が記憶されており、Oメモリm1が持つ情報をもとにドラムカートリッジの使用量を把握することができる。なお、Oメモリm1は
図1で示した画像形成装置100の制御部300と非接触、または不図示の電気接点を介した接触によって通信(情報の書き込み、読取り)可能に構成されている。
【0019】
[現像カートリッジ]
次に、本実施例の画像形成装置100に装着される現像カートリッジ200の構成について説明する。
図3は、現像ローラ4の長手方向(回転軸線方向)に沿って見た本発明の現像カートリッジ200の断面(主断面)図である。
【0020】
現像カートリッジ200は、現像室20aと現像剤収容室20b、現像ローラ4、トナー供給ローラ5、現像室20aと現像剤収容室20bを構成する現像剤容器22から構成される。現像剤収容室20bは現像室20aの下方に配置されている。この現像剤収容室20bの内部には、現像剤としてのトナー9が収容されている。本実施例において、このトナー9の正規帯電極性は、負極性を用いており、以下、負帯電性トナーを用いた場合について説明する。ただし、本発明は、負帯電性トナーに限定されるものではない。
【0021】
また、現像剤収容室20bには、このトナー9を現像室20aに搬送するための現像剤搬送部材21が設けられており、図中矢印Gの方向へ回転することによってトナー9を現像室20aへと搬送している。現像剤搬送部材21はカートリッジ長手方向に伸びる弾性を持ったシート状の部材から構成される。
【0022】
現像室20aには、対応する感光ドラム1と接触し、現像駆動手段(駆動源M200)としての駆動モータの駆動力を受けることによって図示矢印D方向に回転する現像剤担持体としての現像ローラ4が設けられている。本実施例では、現像ローラ4と感光ドラム1とは、対向部(接触部)において互いの表面が同方向に移動するようにそれぞれ回転する。また、現像ローラ4は、金属芯金の周囲に所定の体積抵抗を持つ導電性弾性ゴム層を設けたものである。そして、図示しない現像バイアス印加手段としての現像バイアス電源(高圧電源)から、感光ドラム1上の静電潜像をトナー像として現像、可視化するのに十分なバイアスが印加される。
【0023】
また、現像室20aの内部には、現像剤収容室20bから搬送されたトナーを現像ローラ4に供給するトナー供給ローラ(以下、単に「供給ローラ」という。)5と、供給ローラ5によって供給された現像ローラ4上のトナーのコート量規制及び電荷付与を行うトナー量規制部材(以下、単に「規制部材」という。)8が配置されている。
【0024】
また、現像カートリッジ200には、記憶手段である不揮発性メモリ(以下、DTメモリm2)が設けられている。DTメモリm2には、現像ローラ4の総駆動量やトナー残量などが記憶されており、DTメモリm2が持つ情報をもとに現像カートリッジの使用量を把握することができる。トナー残量は、現像カートリッジ200内に収容されたトナーのうち残っているトナーの量である。なお、DTメモリm2は画像形成装置100の制御部300と非接触、または不図示の電気接点を介した接触によって通信(情報の書き込み、読取り)可能に構成されている。
【0025】
[画像形成モード]
本実施例の画像形成装置100は、2つの画像形成モードを持つ。第1モードは通常の画像濃度を得る画像形成モード(以下、通常モードとする。)である。第2モードは像担持体上の暗部電位を下げつつ、像担持体としての感光ドラム1と現像剤担持体としての現像ローラ4との回転周速比を増加し、高濃度や色味の選択範囲の増大を得るための画像形成モード(以下、高濃度モードとする。)である。このように、第1モードにおける回転周速比(第1の周速比)よりも第2モードにおける回転周速比(第2の周速比)が大きい。
本実施例における通常モードと高濃度モードの具体的な制御の違いを以下の表1に示す。
【0026】
【表1】
表1中の暗部電位Vdは、帯電ローラ2で感光ドラム1表面を帯電した後の感光ドラム1表面の電位である。また、明部電位Vlは、レーザ35が照射された後の感光ドラム1表面の電位である。現像電位Vdcは現像ローラ4に現像バイアス電源によって印加される電位である。
【0027】
本実施例における回転周速比とは、感光ドラム1の回転周速を1としたときの現像ローラ4の回転周速比である。具体的には、通常モードにおいて、感光ドラム1の回転周速を200mm/sec、現像ローラ4の回転周速を280mm/secに設定してある。一方、高濃度モードにおいては、感光ドラム1の回転周速を100mm/sec、現像ローラ4の回転周速を250mm/secに設定してある。ここで、高濃度モードで感光ドラム1の回転周速を遅くした理由は、記録材12上のトナー量を増やしたため、良好な定着性を確保するためである。定着装置34において記録材12に加える熱を上げてもよいが、消費電力が大きくなってしまうので、本実施例では感光ドラム1の回転周速を遅くしてある。
【0028】
表1に示すように通常モードに対して高濃度モードでは現像電位Vdcと明部電位Vlとの差(以下、現像コントラストという。)を大きく設定してある。これによって、通常モードに対して高濃度モードの方が、現像ローラ4上にコートされたトナーのうち感光ドラム1へと現像されるトナーの量が多くなる。また、感光ドラム1と現像ローラ4との間の回転周速比を大きく設定することによって、感光ドラム1の単位面積あたりに現像ローラ4から供給されるトナー量が多くなる。この2つの効果により、記録材12上のトナー量を増やすことができ、高濃度かつ高色域な画像を印刷できるようになる。
【0029】
[トナー残量検出方法]
ここで、本実施例で用いたビデオカウント方式によるトナー残量検出方法について説明する。
図4に、本実施例における画像形成装置のハードウェアブロック図を示す。画像形成装置100の制御部300には、各種算出処理を行い、後述する現像ローラ4の補正距離などの補正量情報を取得する補正情報取得部やトナー残量についての情報を取得する残量取得部としての役割も果たすCPU501が備えられている。また、モータ駆動部511や高圧電源512の制御に必要な情報が格納された画像形成装置本体側のメモリ502等も備えられている。さらに、ドラムカートリッジ210のOメモリm1や現像カートリッジ200のDTメモリm2に格納された情報は、メモリ通信部500を介して入出力I/F503からCPU501に入出力され、制御部300とのやり取りを行っている。また、制御部300には、画像形成動作により出力されるビデオ信号を計測するビデオカウント計測部305が接続されている。
ビデオカウントを利用したトナー残量検出の原理について説明する。制御部300の上流に不図示の別の制御装置が配置されており、その制御装置からのレーザ駆動信号(ビデオ信号)を分岐し、感光ドラム上に静電潜像を形成する期間中、ビデオ信号をサンプリングする。サンプリングしたビデオ信号を制御部300内のハードウェアカウンタに入力してビデオ信号のON/OFFのうち、ONである数をカウントして、その値をCPU501で読み取っている。この読み取られた値はトナーの消費量を示すものであり、所定の初
期値からこのカウント値を累減的に差し引いた値はトナーの残量を示す情報となる。そして、ビデオ信号のONの数を記録材上の画像が印刷される領域に仮に全て黒画像を印刷した場合に計測されるONのカウント数で割ると、静電潜像を形成するためにどれだけレーザが点灯したかの比率を求めることができる。静電潜像は、レーザが照射された部分に形成され、そこにトナーが付着するのでレーザの点灯比率に基づいてトナー残量を算出することができる。なお、ビデオカウント計測部305によるカウントは、具体的には、レーザビームを照射するONのビデオ信号のカウントに相当するが、そのサンプリング周期は、ビデオ信号のビデオクロックに同期していなくともよい。ビデオクロックよりも短い周期でサンプリングするのであれば、ビデオカウント計測部305は、ビデオクロックと非同期で、画素情報をカウントしてもよい。そして、制御部300に備えられたCPU501にて、計測されたビデオカウント値から現像カートリッジ200内のトナー9の残量を算出する。
【0030】
ビデオカウント計測部305では、出力画像の画素情報(ビデオカウント値VCn)を計測する。本実施例では、出力される記録材12の1枚分を1回のビデオカウント値VCnとした。CPU501では、以下の手順でトナー残量を算出する。まず、現像カートリッジ200のDTメモリm2に格納された現像カートリッジ200の使用開始からの累積ビデオカウント値VCrに、ビデオカウント計測部305で計測されたビデオカウント値VCnを加算し、トータルビデオカウント値VCtを算出する。
VCt=VCr+VCn
【0031】
次に、CPU501では、DTメモリm2に格納されているビデオカウント閾値VCthと、トータルビデオカウント値VCtから現像カートリッジ200内のトナー残量TPを算出する。
TP[%]=(1-VCt/VCth)×100
そして、CPU501では、トータルビデオカウント値VCtを累積ビデオカウント値VCrとして、DTメモリm2に書き込む。
ここで、トナー残量TP=100%の場合には、現像カートリッジ200内のトナー9が満タンの状態であり、現像カートリッジ200が新品であることを示している。また、トナー残量TP=0%の場合には、現像カートリッジ200内のトナー9の残量がほぼ無くなり、現像カートリッジ200が交換タイミングであることを示している。
本実施例において、トナー残量TP=0%の場合のビデオカウント閾値VCthは、ベタ画像のような高印字画像の印刷を行ったときにも、供給ローラ5から現像ローラ4へのトナー供給不足が起こらないトナー9の残量を基に設定した。従って、実際のトナー残量として例えばTP=5%などとしてもよい。
【0032】
[現像ローラ寿命算出方法]
次に、現像ローラ4の寿命算出方法について説明する。現像ローラ4の寿命は、現像ローラ4の走行距離Wuに応じて決められる。尚、以後、走行距離Wuを現像ローラ4がどれだけ駆動したかを示す駆動量情報の一例として用い説明を行っていくが、駆動量情報は、現像ローラ4がどれだけ駆動したかを示せば、様々なパラメータを用いることができる。例えば、現像カートリッジ200の総駆動時間でもよいし、現像ローラ4の総回転数でもよい。或いは、現像カートリッジ200を用いて形成された印刷枚数でもよい。
画像形成装置100には、現像ローラ4の走行距離Wuを計測する現像ローラ走行距離計測部302が備えられており、CPU501にて、現像ローラ走行距離補正係数kを用いて計測した現像ローラ4の走行距離Wuの補正を行っている。
【0033】
現像ローラ走行距離計測部302は、現像カートリッジ200の駆動時間Tdと、画像形成装置100のプロセススピードPs、現像ローラ4の感光ドラム1に対する周速比Sr、から走行距離Wuを計測する。
Wu=Td×Ps×Sr
ここで、走行距離Wuとは、現像ローラ4の表面上のある1点が現像ローラ4の回転によってどれだけ進んだかを表している。また、画像形成装置100のプロセススピードPsとは、感光ドラム1の回転速度である。
【0034】
CPU501は、DTメモリm2に格納されている第1補正係数である現像ローラ走行距離補正係数kを読み込む。CPU501は、現像カートリッジ200の使用量に関する情報に応じた現像ローラ走行距離補正係数k(第2補正係数)を読み込んでもよい。現像カートリッジ200の使用量に関する情報は、現像ローラ4の累積回転数、現像ローラ4の累積回転時間、トナー使用量、トナー残量TPなどの情報を含んでもよい。トナー使用量は、現像カートリッジ200内に収容されたトナー9のうち使用されたトナー9の量である。トナー残量TPは、現像カートリッジ200内に収容されたトナー9のうち残っているトナー9の量である。使用開始前の現像カートリッジ200内のトナー量からトナー残量TPを減算することにより、トナー使用量を求めてもよい。使用開始前の現像カートリッジ200内のトナー量からトナー使用量を減算することにより、トナー残量TPを求めてもよい。現像カートリッジ200の使用量に関する情報は、現像ローラ4の累積回転数又は累積回転時間を現像ローラ4に関する第1所定値で割った値であってもよい。現像ローラ4に関する第1所定値は、現像ローラ4の回転数又は回転時間であって、現像ローラ4の寿命に基づいて設定された値である。現像カートリッジ200の使用量に関する情報は、トナー使用量を使用開始前の現像カートリッジ200内のトナー量で割った値であってもよい。現像カートリッジ200の使用量に関する情報は、トナー残量TPを使用開始前の現像カートリッジ200内のトナー量で割った値であってもよい。CPU501は、DTメモリm2に保持された情報をもとに現像カートリッジ200の使用量に関する情報を取得することができる。
CPU501は、画像形成モードに応じた現像ローラ走行距離補正係数k(第3補正係数)を読み込んでもよい。具体的には、CPU501は、感光ドラム1と現像ローラ4の回転周速比に応じて、現像ローラ走行距離補正係数kを読み出す。例えば、CPU501により読み取られる現像ローラ走行距離補正係数kを、通常モードでk=1、高濃度モードでk=1.5とできる。また、CPU501は、現像カートリッジ200の使用量に関する情報に応じた補正係数k1に画像形成モードに応じた補正係数k2を掛けて算出した現像ローラ走行距離補正係数kを読み込んでもよい。補正係数k1及びk2は、DTメモリm2に格納されている。
そして、CPU501は、補正距離取得部として、所定の走行距離Wuに、現像ローラ走行距離補正係数kを掛けて、補正後現像ローラ走行距離Huを算出する。
Hu=Wu×k
【0035】
次に、CPU501は、DTメモリm2に格納されている現像カートリッジ200の使用開始からの累加後現像ローラ走行距離HTn-1に、補正後現像ローラ走行距離Huを累加する。そうすることで、CPU501は、通算補正距離となるトータル補正後現像ローラ走行距離HTn(n=1、2・・・・n、HT0=0)、すなわち最新の累加後現像ローラ走行距離HTnを算出する。
HTn=HTn-1+Hu
【0036】
そして、CPU501は、DTメモリm2に格納されている通常モードの現像ローラ走行距離閾値Wth1と、最新の累加後現像ローラ走行距離HTnから、以下の計算式で通常モードの現像ローラ残寿命DP1を計算する。
DP1[%]=(1-HTn/Wth1)×100
また、CPU501は、DTメモリm2に格納されている高濃度モードの現像ローラ走行距離閾値Wth2と、最新の累加後現像ローラ走行距離HTnから、以下の計算式で通常モードの現像ローラ残寿命DP2を計算する。
DP2[%]=(1-HTn/Wth2)×100
通常モードの現像ローラ走行距離閾値Wth1(以下、走行距離閾値Wth1と呼ぶ。)は、現像ローラ4の寿命に関する第1寿命閾値の一例である。高濃度モードの現像ローラ走行距離閾値Wth2(以下、走行距離閾値Wth2と呼ぶ。)は、現像ローラ4の寿命に関する第2寿命閾値の一例である。
【0037】
そして、最新の累加後現像ローラ走行距離HTn(寿命判断値)を、次回の寿命判断時における累加後現像ローラ走行距離HTn-1として、DTメモリm2に書き込み、更新する。
ここで、現像ローラ残寿命DP1又はDP2=100%の場合には、現像カートリッジ200が新品であることを表している。また、現像ローラ残寿命DP1又はDP2≦0%の場合には、現像カートリッジ200が交換タイミングであることを示している。
【0038】
本実施例において通常モードの走行距離閾値Wth1は、現像ローラ4上のトナーコート量が規制部材8によって十分に規制されなくなり、通常モードで規制不良による白地部へのトナーかぶりが発生する現像ローラ走行距離を基に設定した。高濃度モードの走行距離閾値Wth2は、所定状態で感光ドラム1と現像ローラ4の周速比を大きく設定した時に、感光ドラム1と現像ローラ4のスリップによってバンディングによる濃度ムラが発生する現像ローラ走行距離を基に設定した。所定状態は、白地部へのトナーかぶりが発生するほどの規制不良ではなくとも、現像ローラ4の寿命後半に軽微な規制不良が発生している状態である。
【0039】
ここで、現像ローラ走行距離と規制不良及びバンディングとの関係について説明する。現像ローラ4に対して、供給ローラ5、規制部材8及び感光ドラム1表面が接触しており、現像ローラ4と、供給ローラ5、規制部材8及び感光ドラム1の表面との間に所定の電位差が発生している。このとき、現像ローラ4に電流が流れ、現像ローラ4の抵抗値が上昇する(通電劣化)。現像ローラ4の抵抗値が上昇すると、現像ローラ4上のトナー9が保持する電荷が抜けにくくなり、トナー9の帯電量が上昇する。現像ローラ4へのトナー9の付着力が高まり、トナー9の付着力が規制部材8の規制力を上回ると、規制部材8でトナー9を十分に規制できなくなり、規制不良が発生する。
通電劣化は、現像ローラ4に流れる電流の大きさで変わる。
図5(A)は、現像ローラ4と感光ドラム1との回転周速比と、感光ドラム1から現像ローラ4に流れる電流値との関係を示すグラフである。感光ドラム1と現像ローラ4との回転周速比が変わった場合、
図5(A)に示すように回転周速比が大きくなるほど現像ローラ4に流れる電流値が大きくなる。すなわち、回転周速比が大きいほど通電劣化が進んでしまう。回転周速比の違うモードがある場合には、それを補正する必要がある。
【0040】
図5(B)を参照して、高濃度モードが設定された場合について、現像ローラ4の寿命後半に規制不良により現像ローラ4上のトナー量が増えた時に発生するバンディングについて説明する。規制不良により、
図5(B)の矢印G1に示す箇所において、現像ローラ4上のトナー量が増加し、且つ現像ローラ4と感光ドラム1との周速比が大きくなると、ニップ部41において現像ローラ4が感光ドラム1の回転に追従できなくなる。これにより、現像ローラ4がスリップし、現像ローラ4に速度ムラが発生することで、
図5(B)の矢印G2に示す箇所において、感光ドラム1上に現像されたトナー量にムラが生じる。この結果、
図5(C)に示すように、記録材12に印字される画像一面に濃度ムラ(バンディング)が発生する。通常モードや高濃度モードのように、感光ドラム1と現像ローラ4の周速比が違うモードがある場合、規制不良が発生するタイミングが異なる。また、高濃度モードで発生するバンディングについては、周速比が大きいほどバンディングが発生するタイミングが早くなるため、現像ローラ走行距離閾値を画像形成モード毎に設定する必要がある。また、通電劣化の進行の度合いは現像ローラ4の特性によって変化する。現
像ローラ4の仕様は変わる可能性があるので、現像カートリッジ200に搭載のDTメモリM2内に各々の画像形成モードにおける現像ローラ走行距離閾値を格納しておくのが好ましい。しかし、これに限定されるわけではなく、画像形成装置本体のメモリに格納されていてもよい。
【0041】
[現像カートリッジ寿命判断シーケンス]
図6は実施例1での現像カートリッジ200の寿命を判断するシーケンスチャートである。現像カートリッジ200に搭載のDTメモリm2の情報を基に、制御部300に内蔵されたCPU501が制御手段又は判断手段として
図6のフローチャートに示す処理を行うことで、現像カートリッジ200の寿命を判断し、その判断結果をユーザに報知する。
【0042】
図6に示すフローチャートについて説明する。まず、画像形成装置100が、外部I/F504を通じて外部のコンピュータで作成されたドキュメントに基づくプリントデータを受信する(S501)。
CPU501は、プリントデータに含まれる設定情報に例えば「0」が設定されていれば通常モードを、設定情報に「1」が設定されていれば高濃度モードを選択し、以後の処理を実行する(S502)。
【0043】
次に、CPU501は、現像カートリッジ200を含む画像形成装置100の画像形成動作を開始する(S503)。ここでの画像形成動作には、表1で説明した、帯電ローラ2の帯電電位、現像ローラ4の現像電位設定、所定の回転周速比を持った感光ドラム1及び現像ローラ4の回転駆動等、画像形成に必要な全ての動作を含む。なお、現像ローラ4の駆動が開始されると、CPU501により、走行距離Wuが計測されるが、このような計測処理も、ここでは、画像形成動作に含まれるものとする。そして、S501で通常モードが選択された場合に計測された走行距離Wuが第1モードの第1駆動量情報に相当し、高濃度モードが選択された場合に計測された走行距離Wuが第2モードの第2駆動量情報に相当する。
【0044】
次に、CPU501は、現像ローラ走行距離補正係数kをDTメモリm2から読み取る(S504)。上記のように、CPU501は、現像カートリッジ200の使用量に関する情報に応じた現像ローラ走行距離補正係数k及び/又は画像形成モードに応じた現像ローラ走行距離補正係数kを読み込む。CPU501が、画像形成モードに応じた現像ローラ走行距離補正係数kを読み取る場合、例えば、画像形成モードが高濃度モードであればk=1.5を、或いは、通常モードであればk=1を、CPU501は読み取る。なお、選択された画像形成モードの補正係数が1の場合には、補正をする必要がないので、このS102の処理をCPU501にスキップさせてもよい。
【0045】
次に、CPU501は、読み取られた現像ローラ走行距離補正係数kを用いて、補正後現像ローラ走行距離Huを算出する(S505)。なお、CPU501が補正後現像ローラ走行距離Huを算出するタイミングは、印刷終了後でもよいし、所定間隔でもよい。いずれにおいても、算出対象は、未演算の走行距離Wuとなる。
【0046】
そして、CPU501は、補正後現像ローラ走行距離Huと、DTメモリm2内に格納されている、前回の累加後現像ローラ走行距離HTn-1から、寿命判断値としての最新の累加後現像ローラ走行距離HTnを算出する(S506)。
次に、CPU501は、画像形成モードが通常モードであるか高濃度モードであるかを判断する(S507)。画像形成モードが通常モードである場合、CPU501は、通常モードの走行距離閾値Wth1をDTメモリM2から読み取る(S508)。その後、CPU501は、最新の累加後現像ローラ走行距離HTnを通常モードの走行距離閾値Wth1と比較し、最新の累加後現像ローラ走行距離HTnが通常モードの走行距離閾値Wt
h1を超えたかどうかを判断する(S509)。そして、CPU501は、最新の累加後現像ローラ走行距離HTnが通常モードの走行距離閾値Wth1を超えていれば、最新の累加後現像ローラ走行距離HTnをDTメモリm2に書き込む(S511)。その後、外部I/F504を通じ、報知手段を用いて、ユーザに現像カートリッジ200が寿命に到達したことを報知する(S512)。なお、報知手段としては、モニタなどの本体表示手段や音声スピーカーなどが考えられるが、これらに限定されないし、例えば画像形成装置に接続しているPCなどの外部装置にメッセージを送るなどしてもよい。
【0047】
S509では、DTメモリm2に格納されている通常モードの走行距離閾値Wth
1を用いて、現像ローラ4の寿命を判断してきたが、これに限定されない。高濃度モードの走行距離閾値Wth
2及び通常モードの現像ローラ寿命閾値補正係数C1がDTメモリm2に格納されていてもよい。S508にて、CPU501は、高濃度モードの走行距離閾値Wth
2及び通常モードの現像ローラ寿命閾値補正係数C1を読み取り、通常モードの走行距離閾値Wth
1-1を以下の計算式を用いて求めてもよい。
Wth
1-1=Wth
2×C1
そして、S509にて、CPU501は、最新の累加後現像ローラ走行距離HT
nを通常モードの走行距離閾値Wth
1-1と比較し、最新の累加後現像ローラ走行距離HT
nが通常モードの走行距離閾値Wth
1-1を超えたかどうかを判断してもよい。通常モードの走行距離閾値Wth
1-1は、現像ローラ4の寿命に関する第3寿命閾値の一例である。なお、通常モードの現像ローラ寿命閾値補正係数C1を用いて通常モードの走行距離閾値Wth
1-1を算出する方法は、後述の
図7乃至
図9でも同様である。
下記の表2に、高濃度モードの走行距離閾値Wth
2及び通常モードの現像ローラ寿命閾値補正係数C1を示す。ただし、表2に示す数値は一例であり、これらの数値に限定されない。
【表2】
【0048】
上記にて、CPU501は、最新の累加後現像ローラ走行距離HT
nが通常モードの走行距離閾値Wth
1を超えたかどうかで現像ローラ4の寿命を判断しているが、これに限定されない。すなわち、S509にて、CPU501は、通常モードの現像ローラ残寿命DP1を以下の計算式を用いて求め、通常モードの現像ローラ残寿命DP1が0または所定の値を下回ったかどうかで、現像ローラ4の寿命を判断してもよい。
DP1[%]=(1-HT
n/Wth
1)×100
また、通常モードの走行距離閾値Wth
1-1を用いて現像ローラ残寿命DP1を算出してもよい。なお、この通常モードの現像ローラ残寿命DP1を用いたやり方は、後述の
図8でも同様である。
【0049】
S509にて、最新の累加後現像ローラ走行距離HTnが通常モードの走行距離閾値Wth1を超えていない場合、CPU501は、最新の累加後現像ローラ走行距離HTnをDTメモリm2に書き込み、更新する(S510)。そして画像形成装置100は次の画像形成に備えた準備を行う。なお、S509及びS510にてWth1-1が用いられる場合、CPU501は、Wth1を用いる場合と同様の処理を行う。
【0050】
画像形成モードが高濃度モードである場合、CPU501は、高濃度モードの走行距離閾値Wth2をDTメモリM2から読み取る(S513)。その後、CPU501は、最新の累加後現像ローラ走行距離HTnを高濃度モードの走行距離閾値Wth2と比較し、最新の累加後現像ローラ走行距離HTnが高濃度モードの走行距離閾値Wth2を超えたかどうかを判断する(S514)。そして、CPU501は、最新の累加後現像ローラ走
行距離HTnが高濃度モードの走行距離閾値Wth2を超えていれば、最新の累加後現像ローラ走行距離HTnをDTメモリm2に書き込む(S516)。その後、外部I/F504を通じ、報知手段を用いて、ユーザに現像カートリッジ200が寿命に到達したことを報知する(S512)。S512の報知処理を行った後、CPU501は、ユーザからの指示に応じて、通常モードにおける画像形成装置100の画像形成動作を許容又は禁止してもよい。また、S512の報知処理を行った後、CPU501は、ユーザからの指示に係らず、通常モードにおける画像形成装置100の画像形成動作を許容又は禁止してもよい。
【0051】
上記では、DTメモリm2に格納されている高濃度モードの走行距離閾値Wth
2を用いて、現像ローラ4の寿命を判断してきたが、これに限定されない。通常モードの走行距離閾値Wth
1及び高濃度モードの現像ローラ寿命閾値補正係数C2がDTメモリm2に格納されていてもよい。S513にて、CPU501は、通常モードの走行距離閾値Wth
1及び高濃度モードの現像ローラ寿命閾値補正係数C2を読み取り、高濃度モードの走行距離閾値Wth
2-1を以下の計算式を用いて求めてもよい。
Wth
2-1=Wth
1×C2
そして、S514にて、CPU501は、最新の累加後現像ローラ走行距離HT
nを高濃度モードの走行距離閾値Wth
2-1と比較し、最新の累加後現像ローラ走行距離HT
nが高濃度モードの走行距離閾値Wth
2-1を超えたかどうかを判断してもよい。高濃度モードの走行距離閾値Wth
2-1は、現像ローラ4の寿命に関する第4寿命閾値の一例である。なお、高濃度モードの現像ローラ寿命閾値補正係数C2を用いて高濃度モードの走行距離閾値Wth
2-1を算出する方法は、後述の
図7乃至
図9でも同様である。
下記の表3に、通常モードの走行距離閾値Wth
1及び高濃度モードの現像ローラ寿命閾値補正係数C2を示す。ただし、表3に示す数値は一例であり、これらの数値に限定されない。
【表3】
【0052】
上記にて、CPU501は、最新の累加後現像ローラ走行距離HT
nが高濃度モードの走行距離閾値Wth
2を超えたかどうかで現像ローラ4の寿命を判断してきたが、これに限定されない。すなわち、S514にて、CPU501は、現像ローラ残寿命DP2を以下の計算式を用いて求め、現像ローラ残寿命DP2が0または所定の値を下回ったかどうかで、現像ローラ4の寿命を判断してもよい。
DP2[%]=(1-HT
n/Wth
2)×100
また、高濃度モードの走行距離閾値Wth
2-1を用いて現像ローラ残寿命DP2を算出してもよい。なお、この高濃度モードの現像ローラ残寿命DP2を用いたやり方は、後述の
図8でも同様である。
【0053】
また、基準走行距離閾値Wth
R、通常モードの現像ローラ寿命閾値補正係数C1及び高濃度モードの現像ローラ寿命閾値補正係数C2がDTメモリm2に格納されていてもよい。基準走行距離閾値Wth
Rは、現像ローラ4の寿命に関する基準寿命閾値の一例である。
S508にて、CPU501は、基準走行距離閾値Wth
R及び通常モードの現像ローラ寿命閾値補正係数C1を読み取り、通常モードの走行距離閾値Wth
1-2を以下の計算式を用いて求めてもよい。
Wth
1-2=Wth
R×C1
そして、S509にて、CPU501は、最新の累加後現像ローラ走行距離HT
nを通常モードの走行距離閾値Wth
1-2と比較し、最新の累加後現像ローラ走行距離HT
n
が通常モードの走行距離閾値Wth
1-2を超えたかどうかを判断してもよい。通常モードの走行距離閾値Wth
1-2は、現像ローラ4の寿命に関する第3寿命閾値の一例である。なお、通常モードの走行距離閾値Wth
1-2を用いるやり方は、後述の
図7乃至
図9でも同様である。
S513にて、CPU501は、基準走行距離閾値Wth
R及び高濃度モードの現像ローラ寿命閾値補正係数C2を読み取り、高濃度モードの走行距離閾値Wth
2-2を以下の計算式を用いて求めてもよい。
Wth
2-2=Wth
R×C2
そして、S514にて、CPU501は、最新の累加後現像ローラ走行距離HT
nを高濃度モードの走行距離閾値Wth
2-2と比較し、最新の累加後現像ローラ走行距離HT
nが高濃度モードの走行距離閾値Wth
2-2を超えたかどうかを判断してもよい。高濃度モードの走行距離閾値Wth
2-2は、現像ローラ4の寿命に関する第4寿命閾値の一例である。なお、高濃度モードの走行距離閾値Wth
2-2を用いるやり方は、後述の
図7乃至
図9でも同様である。
【0054】
S514にて、トータル補正後現像ローラ走行距離である最新の累加後現像ローラ走行距離HTnが走行距離閾値Wth2を超えていない場合、CPU501は、最新の累加後現像ローラ走行距離HTnをDTメモリm2に書き込み、更新する(S515)。そして画像形成装置100は次の画像形成に備えた準備を行う。
【0055】
一方、CPU501は、プリントデータに基づく画像情報を受け取った後(S517)、ビデオカウント計測部305でビデオカウント値VCを計測し、トータルビデオカウント値VCtを算出する(S518)。その後、CPU501は、トナー残量TPを算出(S519)し、トナー残量が少ない場合か否か、即ちトナー残量TPが0%以下かどうか(所定の閾値残量以下かどうか)を判断する(S520)。トナー残量TPが0%以下に達していれば、CPU501は累積ビデオカウント値VCrをDTメモリm2に書き込み(S522)、ユーザに対して現像カートリッジ200が寿命に到達したことを報知する(S512)。一方、トナー残量TPが0%以下に達していない場合には、CPU501は累積ビデオカウント値VCrをDTメモリm2に書き込む(S521)。そして画像形成装置100は次の画像形成に備えた準備を行う。
【0056】
なお、トナー残量が少ない場合か否かを判断する手法として、トナー残量TPを算出することを説明したが、これに限定されない。例えば、トータルビデオカウント値VCtはトナー消費量自体を示すので、トータルビデオカウント値Vctが、予め定められた所定の閾値を超えているかどうかをCPU501が判断し、トナー残量が少ない場合か否かを判断してもよい。また、ビデオカウント方式によるトナー残量検出方法を例に説明したが、これに限るものではない。例えば、静電容量による残量検出方式や、光透過方式の残量検知方式を用いてもよいし、これらと併用してもよい。具体的には、ビデオカウント方式により取得されるトナー残量が所定の残量以下となった場合に、静電容量方式や光透過方式のいずれかを用いるようにしてもよい。すなわち、トナーの残量の程度に応じて、より適した残量取得方法を選択する構成としてよい。なお、静電容量方式とは、現像剤収容室内部におけるトナー9の状態の変化に応じて検出される静電容量が変化する電極を用い(例えば、収容室内壁に導電部材を貼り付ける)、検出される静電容量の変化に基づいてトナー9の量を取得する方法である。従来周知の方法であり詳細な説明は省略する。また、光透過方式とは、現像剤収容室の内部に光を照射させる光源と、収容室内を通過した光を受光する受光部と、を用い、受光部の受光状態の変化に基づいてトナー9の量を取得する方法である。この方法も、従来周知の方法であり詳細な説明は省略する。これらのことは後述するフローチャートでも同様である。
【0057】
この一連のフローチャートを実行する実施例1では、現像ローラ4の走行距離閾値Wt
を、画像形成モードに応じて設定する。このようにすることで、現像カートリッジ200の寿命を適正に判断し、ユーザに報知できるようになる。また、トナー残量の検出結果も併用し、現像カートリッジ200内のトナー量がほぼ無くなったことを併せて検知している。これによって、現像ローラ4の通電劣化による寿命だけではなく、トナー9の残量による現像カートリッジ200の寿命も併せて報知することができ、より適正に現像カートリッジ200の寿命をユーザに報知できる。
【0058】
[第1の別の現像カートリッジ寿命判断シーケンス]
図6の説明では、前回のトータル補正後現像ローラ走行距離に相当するHT
n-1に、補正後現像ローラ走行距離Huを累加し、最新の累加後現像ローラ走行距離(トータル走行距離)HT
nを随時求めて、現像ローラ4の寿命を判断する方法を説明してきた。しかし、これに限定されない。例えばDTメモリm2に格納されている現像カートリッジ200の使用開始時における初期値としての現像ローラ走行可能距離TD(Total Distance)から、補正後現像ローラ走行距離Huを累減する。このようにすることで、現像ローラ4の寿命を判断する寿命判断値としての走行可能距離HT’
nを算出してもよい。なお、HT
0は、初期値としての現像ローラ走行可能距離TDと一致する。
HT’
n=HT’
n-1-Hu
【0059】
以下、
図7のフローチャートを用いて、CPU501の累減処理による現像カートリッジ寿命判断シーケンスについて詳しく説明する。まず、
図7のS601乃至S605の処理については、
図6で説明したS501乃至S505の処理と同様なので詳しい説明を省略する。次に、補正後現像ローラ走行距離HuをDTメモリm2に格納された初期値(現像ローラ走行可能距離TD)又は前回の走行可能距離HT’
n-1から累減して、最新の走行可能距離HT’
nを算出する(S606)。なお、この最新の走行可能距離HT’
nが寿命判断値に相当する。
図7のS607及びS608の処理については、
図6で説明したS507及びS508の処理と同様なので詳しい説明を省略する。そして、CPU501は、最新の走行可能距離HT’
nを通常モードの走行距離閾値Wth
1と比較して、最新の走行可能距離HT’
nが通常モードの走行距離閾値Wth
1を下回ったか否かを判断する(S609)。S609のCPU501による判断で、走行可能距離HT’
nが、通常モードの走行距離閾値Wth
1を下回っていれば、CPU501は、累減後の走行可能距離HT’
nをDTメモリm2に書き込む(S611)。その後、外部I/F504を通じ、報知手段を用いて、ユーザに現像カートリッジ200が寿命に到達したことを報知する(S612)。
【0060】
S609にて、CPU501は、走行可能距離HT’
nが通常モードの走行距離閾値Wth
1を下回ったかどうかで現像ローラ4の寿命を判断しているが、これに限定されない。すなわち、S609にて、CPU501は、通常モードの現像ローラ残寿命DP1’を以下の計算式を用いて求め、通常モードの現像ローラ残寿命DP1’が0か所定の値を下回ったかどうかで、現像ローラ4の寿命を判断してもよい。
DP1’[%]=(HT’
n/Wth
1)×100
なお、この通常モードの現像ローラ残寿命DP1’を用いたやり方は、後述の
図9でも同様である。
【0061】
S609にて、最新の走行可能距離HT’nが、通常モードの走行距離閾値Wth1を下回っていない場合、CPU501は、最新の走行可能距離HT’nをDTメモリm2に書き込んで、更新する(S610)。そして画像形成装置100は次の画像形成に備えた準備を行う。
【0062】
図7のS613の処理については、
図6で説明したS513の処理と同様なので詳しい説明を省略する。そして、CPU501は、最新の走行可能距離HT’
nを高濃度モード
の走行距離閾値Wth
2と比較して、最新の走行可能距離HT’
nが高濃度モードの走行距離閾値Wth
2を下回ったか否かを判断する(S614)。S614のCPU501による判断で、走行可能距離HT’
nが、高濃度モードの走行距離閾値Wth
2を下回っていれば、CPU501は、累減後の走行可能距離HT’
nをDTメモリm2に書き込む(S616)。その後、外部I/F504を通じ、報知手段を用いて、ユーザに現像カートリッジ200が寿命に到達したことを報知する(S612)。S612の報知処理を行った後、CPU501は、ユーザからの指示に応じて、通常モードにおける画像形成装置100の画像形成動作を許容又は禁止してもよい。また、S612の報知処理を行った後、CPU501は、ユーザからの指示に係らず、通常モードにおける画像形成装置100の画像形成動作を許容又は禁止してもよい。
【0063】
S614にて、最新の走行可能距離HT’
nが、高濃度モードの走行距離閾値Wth
2を下回っていない場合、CPU501は、最新の走行可能距離HT’
nをDTメモリm2に書き込んで、更新する(S615)。そして画像形成装置100は次の画像形成に備えた準備を行う。その他の処理については、
図6に示すフローチャートと同様なので詳しい説明を省略する。
なお、S614にて、CPU501は、走行可能距離HT’
nが高濃度モードの走行距離閾値Wth
2を下回ったかどうかで現像ローラ4の寿命を判断しているが、これに限定されない。すなわち、S614にて、CPU501は、高濃度モードの現像ローラ残寿命DP2’を以下の計算式を用いて求め、高濃度モードの現像ローラ残寿命DP2’が0か所定の値を下回ったかどうかで、現像ローラ4の寿命を判断してもよい。
DP2’[%]=(HT’
n/Wth
2)×100
なお、この高濃度モードの現像ローラ残寿命DP2’を用いたやり方は、後述の
図9でも同様である。
【0064】
なお、S604乃至S616の処理をどのような頻度で実行するかは、特定の頻度に限定されることはない。例えば、1秒毎に、CPU501により随時計測される走行距離Wuに対してS604乃至S616の処理を行ってもよい。若しくは、プリントジョブが完了するごとに、プリントジョブ開始から計測された走行距離Wuに対してS604乃至S616の処理を行ってもよい。さらには、所定数の複数のプリントジョブが完了するごとにS604乃至616の処理を行ってもよい。また上で説明した
図6のS504乃至S516の処理についても同様である。
【0065】
[第2の別の現像カートリッジ寿命判断シーケンス]
上の
図6、
図7の説明では、CPU501が、所定の頻度で、随時、累加後現像ローラ走行距離HT
nや走行可能距離HT’
nの更新を行い、現像カートリッジ200が寿命に達したか否かを判断するよう説明した。しかし、別の寿命判断シーケンスでも、同様の効果を得ることができる。
例えば、通常モードの現像ローラ総走行距離Wt
0と、高濃度モードの現像ローラ総走行距離Wt
1とをそれぞれ記憶しておき、CPU501が、記憶されたWt
0、Wt
1に基づき、現像カートリッジ200の寿命を判断してもよい。なお、Wtの添え字で、「0」は通常モードを、「1」は高濃度モードを意味している。以下、
図8のフローチャートを用いて、その形態について詳しく説明する。
【0066】
まず
図8のS701乃至S703の処理については、
図6で説明したS101乃至S103の処理と同様なので詳しい説明を省略する。次に、CPU501は、S702で選択された画像形成モードと、S703で計測された走行距離Wuと、に基づき、Wt
0又はWt
1を更新する(S704)。例えば、S702で選択された画像形成モードが、高濃度モードの場合には、S703で計測された走行距離Wuを、現像ローラ総走行距離Wt
1に加算し、CPU301は、最新のWt
0及びWt
1を取得する。ここで、Wt
0が通
常モードで計測された走行距離Wuである第1駆動量情報を累加した第1合計値、Wt
1が高濃度モードで計測された走行距離Wuである第2駆動量情報を累加した第2合計値に夫々相当し、以下この用語により説明する。
【0067】
次に、CPU501は、画像形成モードに応じた現像ローラ走行距離補正係数kをDTメモリm2から読み取る(S705)。そして、CPU501は、通常モードの補正後現像ローラ走行距離Hu
0及び高濃度モードの補正後現像ローラ走行距離Hu
1を、それぞれS705で読み取った現像ローラ走行距離補正係数kに基づき算出する(S706)。例えば、通常モードに対する現像ローラ走行距離補正係数kが1、高濃度モードに対する現像ローラ走行距離補正係数kが1.5の場合に、CPU501は、Hu
0=Wt
0×1、Hu
1=Wt
1×1.5というように、Hu
0及びHu
1を算出する。
そして、CPU501は、算出されたHu
0及びHu
1を用い、Ht=Hu
0+Hu
1の演算式により、トータル走行距離Htを算出する(S707)。
図8のS708及びS709の処理については、
図6で説明したS507及びS508の処理と同様なので詳しい説明を省略する。その後、CPU501は、算出されたトータル走行距離Htが通常モードの走行距離閾値Wth
1を超えているかを判断する(S710)。S711、S712では、CPU501は、S704で更新した第1合計値Wt
0及び第2合計値Wt
1をDTメモリm2に書き込む。
図8のS713及びS714の処理については、
図6で説明したS512及びS513の処理と同様なので詳しい説明を省略する。次に、CPU501は、算出されたトータル走行距離Htが高濃度モードの走行距離閾値Wth
2を超えているかを判断する(S715)。S716、S717では、CPU501は、S704で更新した第1合計値Wt
0及び第2合計値Wt
1をDTメモリm2に書き込む。なお、その他の各ステップの処理は
図6で説明した通りなのでここでの詳しい説明を省略する。
【0068】
[第3の別の現像カートリッジ寿命判断シーケンス]
更に
図8で説明したフローチャートを変更し、初期値としての現像ローラ走行可能距離TDから、第1合計値Wt
0及び高濃度モードの第2合計値Wt
1を減算し、現像カートリッジ200の寿命を判断してもよい。以下、
図9のフローチャートを用いて、その形態について詳しく説明する。
図9のS801乃至S806の処理については、
図8で説明したS701乃至S706の処理と同様なので詳しい説明を省略する。次に、CPU501は、初期値としての現像ローラ走行可能距離TDから、第1合計値Wt
0及び第2合計値Wt
1を減算し、走行可能距離Ht’を算出する(S807)。
Ht’=TD-(Hu
0+Hu
1)
図9のS808、S809の処理については、
図6で説明したS507及びS508の処理と同様なので詳しい説明を省略する。
次に、CPU501は、算出された走行可能距離Ht’が通常モードの走行距離閾値Wth
1を下回っているかを判断する(S810)。S811及びS812では、CPU501は、S804で更新した第1合計値Wt
0及び第2合計値Wt
1をDTメモリm2に書き込む。
図9のS813及びS814の処理については、
図6で説明したS512及びS513の処理と同様なので詳しい説明を省略する。次に、CPU501は、算出された走行可能距離Ht’が高濃度モードの走行距離閾値Wth
2を下回っているかを判断する(S815)。S816、S817では、CPU501は、S804で更新した第1合計値Wt
0及び第2合計値Wt
1をDTメモリm2に書き込む。なお、その他の各ステップの処理は
図6で説明した通りなのでここでの詳しい説明を省略する。
【0069】
上述の例えば
図6で、CPU501は、通常モードの走行距離閾値Wth1(第1寿命閾値)及び高濃度モードの走行距離閾値Wth2(第2寿命閾値)の夫々を、補正後のト
ータル現像ローラ走行距離HTnと比較した。そして、CPU501は、その比較結果に基づき、各モードにおける現像カートリッジ200の寿命を判断した。また、例えば
図8のフローチャートで、CPU501は、通常モードの走行距離閾値Wth1(第1寿命閾値)及び高濃度モードの走行距離閾値Wth2(第2寿命閾値)の夫々をトータル走行距離Htと比較した。そして、CPU501は、その比較結果に基づき、各モードにおける現像カートリッジ200の寿命を判断した。いずれのフローチャートでも、各モードの走行距離閾値(寿命閾値)が用いられている。しかしながら、この形態に限定されない。
例えば、寿命閾値Wthを一通りとし、その寿命閾値をCPU501がDTメモリm2から読み出し、且つCPU501がトータル走行距離を、通常モード用と、高濃度モード用との夫々で算出し用意しても良い。以下、CPU501が、一通りの走行距離閾値Wthを、DTメモリm2から読み出す場合を説明する。
まず、CPU501は、ステップS506の算出結果である、トータル現像ローラ走行距離HTn(第1寿命判断値)を獲得する。そして、そのトータル現像ローラ走行距離HTn(第1寿命判断値)に補正係数D1を乗じたトータル現像ローラ走行距離HTn‘(第2寿命判断値)を高濃度のトータル現像ローラ走行距離とする。例えば、Wth=3000000[mm]、HTn=2500000[mm]、D1=1.25とすると、高濃度のトータル現像ローラ走行距離HTn‘=HTn×D1=2500000[mm]×1.25=3125000[mm]となる。即ち、Wth<3125000[mm]で、高濃度モードに対して、現像カートリッジ200が寿命に達したとCPU501は判断する。
図8のフローチャートの場合も、ステップS707でCPU501により算出されたHtにD1を乗算することで同様の作用を得ることができる。
即ち、DTメモリm2は、寿命閾値Wth(走行距離閾値Wth)を記憶する。そして、CPU501は、
図6のS506の累加処理により求められた寿命判断値としての現像ローラ走行距離HTnから、通常モード(第1モード)の第1寿命判断値と、高濃度モード(第2モード)の第2寿命判断値を求める。なお、現像ローラ走行距離HTnそのものを第1寿命判断値としても良い。そして、CPU501は、DTメモリm2に記憶された寿命閾値Wthと、この第1寿命判断値を比較し、最新の第1寿命判断値が、寿命閾値Wthを超えたかどうかを判断する。また、CPU501は、DTメモリm2に記憶された寿命閾値Wthと、この第2寿命判断値を比較し、最新の第2寿命判断値が、寿命閾値Wthを超えたかどうかを判断する。なお、CPU501が各寿命判断値が寿命閾値Wthを超えていると判断した後の各種処理は、上述と同様とし、ここでの詳しい説明を省略する。
また、
図7のフローチャートの場合は、ステップS606で算出される走行可能距離HT‘nを、通常モード用として、それに基づき高濃度の走行可能距離(HT’n)‘をCPU501が算出する。より具体的には、補正係数をE1とし、走行可能距離HT‘nからE1を減算した値を高濃度の走行可能距離(HT’n)‘とすればよい。そして、この場合、走行可能距離と比較される走行距離閾値Wth(寿命閾値Wth)を一通りとする。
例えば、E1=600000[mm],走行距離閾値Wth(寿命閾値)=0[mm]、ステップS606で算出される走行可能距離HT‘n(第1走行可能距離)を500000[mm]とする。その場合、高濃度モードでの走行可能距離(HT’n)(第2走行可能距離)‘は、(HT’n)‘=500000[mm]―600000[mm]=-100000<0(寿命閾値Wth)となり、高濃度モードに対して、現像カートリッジ200が寿命に達したとCPU501は判断する。一方、走行可能距離HT‘n(500000[mm])>0(寿命閾値Wth)となり、CPU501は通常モードに対しては現像カートリッジ200が寿命に達しているとは判断しない。なお、CPU501が各寿命判断値が寿命閾値を超えていると判断した後の各種処理は、上述と同様としここでは、詳しい説明を省略する。
更に、
図9のフローチャートの場合も、ステップS807でCPU501により算出された走行可能距離Ht’からE1を減ずることで同様の作用を得ることができる。
即ち、DTメモリm2は、寿命閾値Wth(走行距離閾値Wth)を記憶する。そして、CPU501は、
図7のS606や、
図9のS807で求められた走行可能距離Ht’nや走行可能距離Ht’に基づき、通常モードに対応した第1走行可能距離(第1寿命判断値)や、高濃度モードに対応した第2走行可能距離(第2寿命判断値)を算出する。CPU501は、第1走行可能距離(第1寿命判断値)から例えばE1を減算することで第2走行可能距離(第2寿命判断値)を求める。また、第1走行可能距離(第1寿命判断値)は、
図7のS606や、
図9のS807で求められた走行可能距離Ht’nや走行可能距離Ht’そのものでも良い。
そして、CPU501は、各走行可能距離と、DTメモリm2に格納された一通りの走行距離閾値Wth(寿命閾値Wth)とを比較し、各走行可能距離(各寿命判断値)が、走行距離閾値Wthを下回ったか否かを判断する。走行距離閾値Wthは例えばWth=0とすることが出来る。なお、CPU501が各寿命判断値(各走行可能距離)が寿命閾値Wthを下回っていると判断した後の各種処理は、上述と同様とし、ここでの詳しい説明を省略する。
<具体例>
本実施例では、トナー残量TPに応じて、現像ローラ走行距離補正係数kを変更している。すなわち、表4に示すように、トナー残量TPの範囲に応じて現像ローラ走行距離補正係数kを複数の補正係数(k1~k3)に区分する。そして、CPU501が、現像ローラ走行距離補正係数kを、トナー残量TPに応じて区分された補正係数を用いることも可能である。これら複数の補正係数は例えばDTメモリm2に記憶され、適宜CPU501により読み取られる。そして、表4のトナー残量TPに応じて区分された補正係数は、通常モード又は高濃度モードのみに適用してもよいし、双方のモードに適用してもよい。なお、トナー残量TPの区分の仕方は表4では3つだがこれに限定されない。例えばより詳細に5つの区分に分けてもよい。またトナー残量TPの値の大きさに応じて連像的に補正係数を計算し用いてもよい。またトナー残量TPを累積トナー使用量に置き換えても同様に区分できる。
【表4】
また、表4では、トナー残量TPに応じて現像ローラ走行距離補正係数kを変える場合について説明したが、これに限るものではない。現像ローラ4の累積回転数、現像ローラ4の累積回転時間又はトナー使用量に応じて替えてもよいし、これらを組み合わせて用いてもよい。用いる現像ローラ4の劣化に寄与するパラメータの変化に応じて適正に現像ローラ走行距離補正係数kが決められるようにすればよい。
【0070】
図10(A)、(B)、(C)は、1枚の記録材12に印字される印字面積(印字率:1枚当たりのトナー9の消費量)を変えて、画像形成装置100を用いてプリントを行う場合のトナー残量TPと、現像ローラ4の残寿命との関係を示す図である。各図において、縦軸はトナー残量TP[%]、横軸は現像ローラ残寿命DP[%]である。各図において、Zone1は、現像ローラ走行距離補正係数k1が適用される領域、Zone2は、現像ローラ走行距離補正係数k2が適用される領域、Zone3は、現像ローラ走行距離補正係数k3が適用される領域を示している。補正後現像ローラ走行距離Huを算出する際に、トナー残量TPがどのZoneであるかによって、どの現像ローラ走行距離補正係数kを使用するか判断される。また、各図において、実線は現像ローラ4の走行距離の補正を行った場合の現像ローラ残寿命DPの推移、波線は現像ローラ走行距離の補正を行わ
なかった場合の現像ローラ残寿命DPの推移を示している。
【0071】
図10(A)は、約1%の一定印字率でプリントを行った場合を示している。
図10(A)のケースの場合、実線及び破線が、常にZone1内に存在しているため、現像ローラ走行距離補正係数k1=1.0が適用される。よって、実線で示す現像ローラ残寿命DPと、破線で示す補正を行わなかった現像ローラ残寿命DPとが重なっている。そして、現像ローラ残寿命DPが0%に到達した時点(点A1)で、現像カートリッジ200の寿命の報知が行われる。
【0072】
図10(B)は、約1~2%の一定印字率でプリントを行った場合を示している。
図10(B)のケースの場合、トナー残量TPが40%に到達するまで、実線及び破線がZone1内に存在するため、現像ローラ走行距離補正係数k1=1.0が適用される。トナー残量TPが40%~21%の範囲では、実線及び破線がZone2内に存在するため、現像ローラ走行距離補正係数k2=1.3が適用される。実線の傾きが、点B1(トナー残量TP=40%)から変化している。つまり、現像ローラ4の走行距離Wの補正を行った場合、トナー残量TPが40%~21%の範囲において、現像ローラ4の走行距離の増加が大きくなる。そして、現像ローラ4の走行距離の補正を行った場合、トナー残量TPが20%に到達した時点(点A2)で、現像ローラ残寿命DPが0%に到達し、現像カートリッジ200の寿命の報知が行合われる。一方、破線の傾きは変化していない。つまり、現像ローラ4の走行距離の補正を行わなかった場合、トナー残量TPに関わらず、現像ローラ4の走行距離の増加が一定である。
【0073】
図10(C)は、約7~8%の一定印字率でプリントを行った場合を示している。
図10(C)ののケースの場合、トナー残量TPが41%に到達するまで、実線及び破線がZone1内に存在するため、現像ローラ走行距離補正係数k1=1.0が適用される。トナー残量TPが41%よりも低くなると、実線及び破線がZone2内に存在するため、現像ローラ走行距離補正係数k2=1.3が適用される。トナー残量TPが21%よりも低くなると、実線及び破線がZone3内に存在するため、現像ローラ走行距離補正係数k3=5.0が適用される。実線の傾きが、点B6(トナー残量TP=40%)及び点B7(トナー残量TP=20%)から変化している。つまり、現像ローラ4の走行距離の補正を行った場合、トナー残量TPが40%~21%の範囲において、現像ローラ4の走行距離の増加が大きくなり、トナー残量TPが20%~0%の範囲において、現像ローラ4の走行距離の増加が更に大きくなる。そして、現像ローラ4の走行距離の補正を行った場合、トナー残量TPが0%に到達した時点(点B8)で、現像カートリッジ200の寿命の報知が行われる。
【0074】
ここで、
図10(A)、(B)、(C)の各ケースの具体例を整理する。
図10(A)の点A1と、
図10(B)の点B2と、
図10(C)の点B5とを直線で結んだ現像ローラ寿命ラインαを
図11に示す。現像ローラ寿命ラインαは、現像ローラ4の走行距離の補正を行わなかった場合における現像カートリッジ200の寿命を示すラインである。
図11に示すように、現像ローラ4の残寿命が少なく(現像ローラ4の走行距離が長く)、かつトナー残量TPが少ないところ、つまり現像ローラ4の残寿命が0%に到達する手前に、現像ローラ寿命ラインαが引かれている。それは、現像ローラ4の走行距離が長く、かつトナー9の残量が少なくなってくると、現像ローラ4へのトナー9の付着力が高くなり、
図11の領域βで規制不良が発生する。よって、現像ローラ4の走行距離の補正を行うことで、この領域βに到達する前に、現像カートリッジ200の寿命とすることができる。
【0075】
例えば、通常モードの走行距離閾値Wth
1及び高濃度モードの走行距離閾値Wth
2を表5に示す値に設定してもよい。
【表5】
通常モードの走行距離閾値Wth
1よりも高濃度モードの走行距離閾値Wth
2を低く設定する理由は、先述したように高濃度モードにおいて、バンディングによる濃度ムラが発生しやすいためである。
【0076】
図12は、通常モードと高濃度モードでの現像カートリッジ200の寿命が報知されるタイミングを示している。
図12中の実線で示す現像ローラ寿命ラインαが通常モード時の寿命ラインであり、領域βで規制不良が発生する。
図12中の破線で示す現像ローラ寿命ラインZ(波線)が高濃度モード時の寿命ラインであり、領域γ及び領域βでバンディングによる濃度ムラが発生する。すなわち、現像カートリッジ200は、通常モードでは現像ローラ寿命ラインα(実線)まで使用することが可能であり、高濃度モードでは現像ローラ寿命ラインZ(波線)まで使用することが可能である。そして、画像形成モードに応じて最適なタイミングで現像カートリッジ200の寿命報知が行われる。
以上のように、画像形成モードに応じて走行距離閾値を各々設定することで、モード毎に発生する画像不良タイミングにあった寿命報知を行うことができ、各モードで画像弊害を発生させることなく、現像カートリッジ200の寿命を報知することができる。
カートリッジ構成として、現像カートリッジ200とドラムカートリッジ210に分けて説明したが、現像カートリッジ200とドラムカートリッジ210が一体化されたAIOカートリッジである等、本実施例に限定されるものではない。
寿命に関する情報を格納する機能をカートリッジの不揮発性メモリに設けて説明したが、画像形成装置100に情報を格納する等、本実施例に限定されるものではない。画像形成モードとして、通常モード、高濃度モード2つのモードについて説明したが、画像形成装置100がさらに複数のモードを持つ等、本実施例に限定されるものではない。
【0077】
[現像ローラ走行距離補正係数kの用い方の変形例]
なお、
図6乃至
図9の説明では、通常モードの現像ローラ走行距離補正係数kを1、高濃度モードの現像ローラ走行距離補正係数kを1.5として説明してきたがこれに限定されない。各モードの現像ローラ走行距離補正係数値と、通常モードの走行距離閾値Wth1及び高濃度モードの走行距離閾値Wth
2と、の比の関係が保たれていれば、各モードに別の補正係数を割り当ててもよい。以下、一例を表6、7に示す。
【表6】
また、各モードの現像ローラ走行距離補正係数と、現像ローラ走行可能距離TDとの関係についても同様である。
【表7】
このように、各モードに対する現像ローラ走行距離補正係数及び走行距離閾値Wthの組み合わせは様々な形態が想定されるが、何れでも同様の効果を得られる。即ち、現像ローラ4の同じ駆動量に対して、通常モードにおいて累加又は累減する駆動量情報の大きさを、高濃度モードにおける累加又は累減する駆動量情報の大きさよりも大きくし、寿命判断値を更新できる。
【0078】
また、現像ローラ走行距離補正係数kが1の場合には、CPU501による補正係数の読取をスキップしてもよいことは上述した通りであるが、1以外の補正係数が割り当てられている場合にはCPU501は補正係数を読み取る必要がある。即ち、CPU501は、各モードにどのような補正係数が割り当てられているかで、通常モード又は高濃度モードで計測された走行距離Wuのみに補正係数を用いたり、各モードで計測された走行距離Wu双方に対して補正係数を用いたりする。また、
図8、9の場合には、第1合計値Wt
0又は第2合計値Wt
1のみに補正係数を用いたり、各モードの各々で累加された第1合計値Wt
0及び第2合計値Wt
1の双方に対して補正係数を用いたりする。このように、本実施例においては、様々な補正係数の用い方によって、現像カートリッジ200の適切な寿命判断を行うことができる。
【0079】
本実施例では、現像ローラ残寿命DPに応じて、現像ローラ走行距離補正係数kを変更するようにしてもよい。すなわち、まず表8に示すように、現像ローラ残寿命DPの範囲に応じて現像ローラ走行距離補正係数kを複数の補正係数(k1~k3)に区分する。そして、CPU501が、前述の現像ローラ走行距離補正係数kを、現像ローラ残寿命DPに応じて区分された補正係数を用いることも可能である。これら複数の補正係数は例えばDTメモリm2に記憶され、適宜CPU501により読み取られる。なお、現像ローラ残寿命DPの区分の仕方は表8では3つだがこれに限定されない。例えばより詳細に5つの区分に分けてもよい。また現像ローラ残寿命DPの値の大きさに応じて連像的に補正係数を計算し用いてもよい。また現像ローラ残寿命DPを現像ローラ累積駆動量に置き換えても同様に区分できる。
【表8】
【0080】
そして、表8の現像ローラ残寿命DPに応じて区分された補正係数は、通常モード又は高濃度モードのみに適用してもよいし、双方のモードに適用してもよい。また、表8では、現像ローラ残寿命DPに応じて現像ローラ走行距離補正係数kを変える場合について説明したが、これに限るものではない。現像ローラ残寿命DPと現像カートリッジ200の使用量に関する情報とを併用してもよい。用いる現像ローラ4の劣化に寄与するパラメータの変化に応じて適正に現像ローラ走行距離補正係数kが決められるようにさえしてればよい。
【0081】
[実施例2]
本実施例では、ドラムカートリッジ210に搭載のOメモリm1内にも補正係数を格納しておき、現像カートリッジ200に搭載のDTメモリm2内に格納されている補正係数と合わせて補正係数を決定するものである。
図13に示すように、ドラムカートリッジ210の残寿命と現像カートリッジ200の残寿命との組合せによって、高濃度モード時に
おけるバンディングによる濃度ムラの発生状況が異なる。これは、ドラムカートリッジ210の残寿命が少なくなると、感光ドラム1の表面粗さが増大し、現像ローラ4と感光ドラム1との間に生じる摩擦係数が低下するためである。すなわち、現像ローラ4のスリップが抑制され、感光ドラム1に対する速度ムラの発生が抑制される。つまり、ドラムカートリッジ210の寿命に応じて、高濃度モード時における現像カートリッジ200の寿命が変化する。そこで、ドラムカートリッジ210に搭載のOメモリm1内に、表9に示すような、ドラムカートリッジの残寿命に応じて複数に区分された補正係数(第4補正係数)を格納しておく。そして、前述の現像ローラ走行距離補正係数と合わせて最終的な現像ローラ走行距離補正係数kを決定することによって、より正確な寿命報知をユーザに対して行うことができる。なお、ドラムカートリッジ残寿命の区分の仕方は表9では3つだがこれに限定されない。例えばより詳細に5つの区分に分けてもよい。またドラムカートリッジ残寿命の値の大きさに応じて連像的に補正係数を計算し用いてもよい。またドラムカートリッジ残寿命を累積ドラムカートリッジ駆動量に置き換えても同様に区分できる。
また、本実施例ではドラムカートリッジ210に搭載のOメモリm1内に、補正係数を格納しているが、ドラムカートリッジ210の残寿命と補正係数との関係を正しく判断できる方法であれば、これに限定されない。例えば、画像形成装置本体側にドラムカートリッジ210の使用状況と補正係数との関係を示す情報を格納し、CPU501が、ドラムカートリッジ210の使用状況をOメモリm1から認識できるようにしてもよい。
【表9】
【0082】
[本実施例における現像ローラ寿命算出シーケンス]
本実施例における現像ローラ走行距離を算出するシーケンスについて説明する。なお、実施例1と重複する部分についてはその説明を省略する。ドラムカートリッジ残寿命は、感光ドラム1の回転数、Oメモリm1内に格納された初期状態での感光ドラム1のキャリア移送層の膜厚やキャリア移送層の削れ速度などから求められる感光ドラム1の消耗度合いを用いて求められる。表4と表9のテーブルを用い、補正後現像ローラ走行距離Huは、所定の走行距離Wuに、DTメモリm2内に格納された現像ローラ走行距離補正係数knと、Oメモリm1内に格納された現像ローラ走行距離補正係数onを掛けて求められる。また
図8、
図9で説明した補正後現像ローラ走行距離Hu
0やHu
1についても同様である。
Hu=Wu×kn×on (n=1,2,3)
例えば、トナー残量TPが30%、ドラムカートリッジ残寿命が20%である場合の現像ローラ走行距離補正係数kは、k=k1×o3=1.3×0.85=1.105、となる。このように、補正後現像ローラ走行距離Huを求める際、現像ローラ走行距離補正係数onで補正した現像ローラ走行距離補正係数kn(補正後の現像ローラ走行距離補正係数k)を用いてもよい。
本実施例によれば、ドラムカートリッジ残寿命に応じた現像ローラ走行距離補正係数を各々設定することにより、画像不良発生タイミングにあった寿命報知を行うことができる。したがって、各画像形成モードで画像弊害を発生させることなく、現像カートリッジ200の寿命を報知することができる。
【0083】
[実施例3]
本実施例は、ドラムカートリッジ210に搭載のOメモリm1内に現像ローラ走行距離閾値を格納するものである。ドラムカートリッジ210に搭載のOメモリm1内に、表10に示すような現像ローラ走行距離閾値を格納しておき、CPU501は、それに応じて現像ローラ残寿命DPを算出する。これにより、より正確な寿命報知をユーザに対して行うことができる。例えば、ドラムカートリッジ210に搭載のOメモリm1内に、表10に示すような、ドラムカートリッジの残寿命に応じて複数に区分された高濃度モードの走行距離閾値Wth
2、Wth
3、Wth
4を格納しておく。なお、ドラムカートリッジ残寿命の区分の仕方は表10では3つだがこれに限定されない。例えばより詳細に5つの区分に分けてもよい。またドラムカートリッジ残寿命の値に応じて連像的に閾値を計算し用いてもよい。またドラムカートリッジ残寿命を累積ドラムカートリッジ駆動量に置き換えても同様に区分できる。
また、本実施例ではドラムカートリッジ210に搭載のOメモリm1内に、現像ローラ走行距離閾値を格納しているが、ドラムカートリッジ210の残寿命と現像ローラ走行距離閾値との関係を正しく判断できる方法であれば、これに限定されない。例えば、画像形成装置本体側にドラムカートリッジ210の使用状況と現像ローラ走行距離閾値との関係を示す情報を格納し、CPU501が、ドラムカートリッジ210の使用状況をOメモリm1から認識できるようにしてもよい。
【表10】
【0084】
[本実施例における現像ローラ走行距離算出シーケンス]
本実施例における現像ローラの走行距離を算出するシーケンスについて説明する。なお、実施例1や実施例2と重複する部分についてはその説明を省略する。
例えば、実施例2によって求めたドラムカートリッジ残寿命と、表10のテーブルとを用いて、CPU501は、高濃度モードの走行距離閾値Wth
L(L=2,3,4)を決定する。CPU501は、トータル補正後現像ローラ走行距離HT
nと、通常モードの走行距離閾値Wth
1とから、通常モードの現像ローラ残寿命DP1を算出する。また、CPU501は、トータル補正後現像ローラ走行距離HT
nと、高濃度モードの走行距離閾値Wth
Lとから、高濃度モードの現像ローラ残寿命DP2を算出する。
DP1[%]=(1-HT
n/Wth
1)×100
DP2[%]=(1-HT
n/Wth
L)×100 (L=2,3,4)
例えば、ドラムカートリッジ残寿命が20%である場合、通常モードの走行距離閾値Wth
1=3000000、高濃度モードの走行距離閾値Wth
L=Wth
4=2700000となる。そして、通常モードの現像ローラ残寿命DP1及び高濃度モードの現像ローラ残寿命DP1は以下の通りとなる。
DP1[%]=(1-HT
n/3000000)×100
DP2[%]=(1-HT
n/2700000)×100
また、
図8で説明した通常モードの現像ローラ残寿命DP1’や高濃度モードの現像ローラ残寿命DP2’についても同様である。すなわち、CPU501は、走行可能距離HT’
nと、通常モードの走行距離閾値Wth
1とから、通常モードの現像ローラ残寿命DP1’を算出する。また、CPU501は、走行可能距離HT’
nと、高濃度モードの走行距離閾値Wth
Lとから、高濃度モードの現像ローラ残寿命DP2’を算出する。
DP1’[%]=(HT’
n/Wth
1)×100
DP2’[%]=(HT’
n/Wth
L)×100 (L=2,3,4)
以上のように、ドラムカートリッジ寿命に応じた現像ローラ走行距離閾値を各々設定することにより、画像不良発生タイミングにあった寿命報知を行うことができる。これにより、各画像形成モードで画像弊害を発生させることなく、現像カートリッジ200の寿命を報知することができる。
【0085】
[実施例4]
本実施例では、ドラムカートリッジ210に搭載のOメモリm1内に、高濃度モードの現像ローラ寿命閾値補正係数pk(k=2、3、4)を格納するものである。
ドラムカートリッジ210に搭載のOメモリm1内に、表11に示すようなドラムカートリッジの残寿命に応じた高濃度モードの現像ローラ寿命閾値補正係数pk(第5補正係数)を格納し、CPU501は、それに応じて現像ローラ残寿命DPを算出する。なお、ドラムカートリッジ残寿命の区分の仕方は表11では3つだがこれに限定されない。例えばより詳細に5つの区分に分けてもよい。またドラムカートリッジ残寿命の値に応じて連像的に閾値を計算し用いてもよい。またドラムカートリッジ残寿命を累積ドラムカートリッジ駆動量に置き換えても同様に区分できる。
【表11】
表11に示すように、ドラムカートリッジの残寿命が少なくなるほど、高濃度モードの現像ローラ寿命閾値補正係数pkに割り当てられた数値が大きくなる。本実施例ではドラムカートリッジ210に搭載のOメモリm1内に、ドラムカートリッジの残寿命に応じた高濃度モードの現像ローラ寿命閾値補正係数pkを格納している。しかし、ドラムカートリッジ210の残寿命と高濃度モードの現像ローラ寿命閾値補正係数pkとの関係を正しく判断できる方法であれば、これに限定されない。例えば、画像形成装置本体側にドラムカートリッジ210の使用状況と高濃度モードの現像ローラ寿命閾値補正係数pkとの関係を示す情報を格納し、CPU501が、ドラムカートリッジ210の使用状況をOメモリm1から認識できるようにしてもよい。
【0086】
[本実施例における現像ローラ走行距離判断シーケンス]
本実施例における現像ローラの走行距離を判断するシーケンスについて説明する。なお、実施例1乃至実施例3と重複する部分についてはその説明を省略する。
ドラムカートリッジの残寿命と、表11のテーブルとを用いて、CPU501は、高濃度モードの現像ローラ寿命閾値補正係数pkを決定する。そして、CPU501は、以下の式を用いて、高濃度モードの走行距離閾値Wth
kを決定する。
Wth
k=Wth
1×pk (k=2,3,4)
CPU501は、トータル補正後現像ローラ走行距離HT
nと、通常モードの走行距離閾値Wth
1とから、通常モードの現像ローラ残寿命DP1を算出する。また、CPU501は、トータル補正後現像ローラ走行距離HT
nと、高濃度モードの走行距離閾値Wthkとから、高濃度モードの現像ローラ残寿命DP2を算出する。
DP1[%]=(1-HT
n/Wth
1)×100
DP2[%]=(1-HT
n/Wth
k)×100 (k=2,3,4)
例えば、ドラムカートリッジ残寿命が20%である場合、高濃度モードの走行距離閾値Wth
kは2700000(Wth
3=3000000×0.9)であり、通常モード及び高濃度モードの現像ローラ残寿命DP1、DP2は以下の通りである。
DP1[%]=(1-HT
n/3000000)×100
DP2[%]=(1-HT
n/2700000)×100
また、
図8で説明した通常モードの現像ローラ残寿命DP1’や高濃度モードの現像ローラ残寿命DP2’についても同様であり、算出方法は実施例3と同様である。
以上のように、高濃度モード時の現像ローラ寿命閾値補正係数をドラムカートリッジ寿命に応じて設定することにより、画像不良発生タイミングにあった寿命報知を行うことができる。したがって、各画像形成モードで画像弊害を発生させることなく、現像カートリッジ200の寿命を報知することができる。
【符号の説明】
【0087】
1…感光ドラム、4…現像ローラ、100…画像形成装置、300…制御部、501…CPU、m1…Oメモリ、m2…DTメモリ