(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像読取装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/04 20060101AFI20240213BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240213BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
B65H7/04
G03G15/00 107
H04N1/00 567Q
(21)【出願番号】P 2019215855
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三田村 哲幸
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-010319(JP,A)
【文献】特開2003-330393(JP,A)
【文献】特開2004-299907(JP,A)
【文献】特開2012-010137(JP,A)
【文献】特開2005-051559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/04
G03G 15/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装面を有する筐体と、
シートが積載される積載部と、
前記積載部に積載されたシートを検知する検知部と、
前記積載部に積載されたシートを搬送する搬送部と、
前記筐体の内部に配置され、照射方向に光を照射する照射部と、
前記照射部から照射された光を反射する反射部と、
前記外装面に配置され、前記反射部によって反射された光によって照らされる表示部と、
前記検知部が前記積載部に積載されたシートを検知したことに基づいて、前記照射部による光の照射を制御する制御部と、を備え、
前記反射部は、前記照射部から前記照射方向に延びる光軸線と交差する面を有
し、
前記表示部は、前記積載部に積載されたシートの画像面の向きを示す表示面を有する、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記面は、前記照射方向を含み且つ前記表示部を通る断面において前記照射方向と第1の角度を成す第1面と、前記照射方向において前記第1面よりも下流に配置され、前記断面において前記照射方向と第1の角度よりも大きい第2の角度を成す第2面と、少なくとも1つの曲面を有し、前記第1面と前記第2面とを接続する第3面と、を有し、
前記光軸線は、前記第3面に交差する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記光軸線と前記第3面との交差点は、前記第1面よりも前記第2面に近い、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記第1の角度は、0度以上30度以下である、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記第2の角度は、60度以上90度以下である、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記第1面、前記第2面及び前記第3面は、複数の凹凸を有している、
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記照射部は、前記照射方向において、前記表示部の上流端よりも上流に配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記照射部は、砲弾型LEDを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記筐体は、第1軸方向に延びる第1軸を中心に回動可能に支持されるベース部と、前記第1軸方向に交差する第2軸方向に延びる第2軸を中心に、前記ベース部に回動可能に支持されるカバー部と、を有し、
前記表示部は、前記カバー部に設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項10】
前記照射方向は、前記第2軸方向に平行である、
ことを特徴とする請求項9に記載のシート搬送装置。
【請求項11】
前記表示部は、前記カバー部の、前記第1軸方向において前記第2軸とは反対側の端部かつ前記第2軸方向における中央部に配置される、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載のシート搬送装置。
【請求項12】
前記カバー部は、前記照射部を収容する収容空間を画定しており、
前記収容空間は、前記第2軸方向に直交する断面において、前記第1軸方向における一端部から他端部に向かうにしたがって広くなるように形成されており、
前記照射部は、前記収容空間の前記一端部に配置される、
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項13】
前記照射部が実装される基板と、
束線と、
前記束線の端部に設けられ、前記基板に接続されるコネクタと、を更に備え、
前記コネクタは、前記収容空間の前記他端部に配置される、
ことを特徴とする請求項12に記載のシート搬送装置。
【請求項14】
前記筐体は、シートを積載する積載部を有し、
前記表示部は、シート搬送方向に交差する幅方向における前記積載部の一端部に配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項15】
前記表示面は、前記照射方向に平行である、
ことを特徴とする請求項
1乃至1
4のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項16】
前記照射部は、前記検知部によってシートが検知されている場合に光を照射し、前記検知部によってシートが検知されていない場合には光を照射しない、
ことを特徴とする請求項1乃至1
5のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項17】
前記照射部が実装される基板と、
前記基板に接続される束線と、
前記筐体に設けられる保持部材と、を備え、
前記保持部材は、前記基板を支持する支持部と、前記束線を保持する保持部と、前記反射部と、を有する1つの樹脂部材である、
ことを特徴とする請求項1乃至1
6のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項18】
請求項1乃至1
7のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、
シートの画像を読み取る読取部と、を備える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置及びこれを備える画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿が積載される原稿積載トレイを有し、原稿積載トレイに積載された原稿を原稿排紙トレイに排出する原稿給送装置が提案されている(特許文献1参照)。原稿給送装置の上部には、カバーが設けられており、該カバーには、原稿積載トレイに原稿が正しくセットされると点灯する原稿セットLEDが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の原稿セットLEDは、照度にムラがあると、ユーザに正しく視認されない虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、表示部の視認性を向上したシート搬送装置及びこれを備えた画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シート搬送装置において、外装面を有する筐体と、シートが積載される積載部と、前記積載部に積載されたシートを検知する検知部と、前記積載部に積載されたシートを搬送する搬送部と、前記筐体の内部に配置され、照射方向に光を照射する照射部と、前記照射部から照射された光を反射する反射部と、前記外装面に配置され、前記反射部によって反射された光によって照らされる表示部と、前記検知部が前記積載部に積載されたシートを検知したことに基づいて、前記照射部による光の照射を制御する制御部と、を備え、前記反射部は、前記照射部から前記照射方向に延びる光軸線と交差する面を有し、前記表示部は、前記積載部に積載されたシートの画像面の向きを示す表示面を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、表示部の視認性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施の形態に係る画像読取装置を示す全体概略図。
【
図3】カバー部を開いた状態のADFを示す斜視図。
【
図4】(a)はカバー部を閉じた状態のADFを示す断面図、(b)はカバー部を開いた状態のADFを示す断面図。
【
図11】(a)は第2の実施の形態に係る画像読取装置を示す斜視図、(b)は原稿トレイを回動させた様子を示す斜視図。
【
図12】第2の実施の形態に係る表示部の照明構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施の形態>
〔全体構成〕
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態に係る画像読取装置100は、
図1及び
図2に示すように、シートの画像を読み取る読取部1と、読取部1に支持されるADF2(Auto Document Feeder)と、を有している。
【0010】
読取部1は、プラテンガラス11と、原稿台ガラス12と、原稿の画像を読み取る不図示のスキャナと、を有している。シート搬送装置としてのADF2は、原稿が積載される積載部としての原稿トレイ6と、原稿トレイ6に載置された原稿を搬送する搬送部13と、搬送部13によって搬送された原稿が排出される排出トレイ14と、を有している。
【0011】
図3及び
図4(a)に示すように搬送部13は、原稿トレイ6に積載されたシートを給送するピックアップローラ41と、を有している。また、搬送部13は、ピックアップローラ41によって給送された原稿を搬送する搬送ローラ42と、搬送ローラ42と共に原稿を1枚ずつに分離する分離ローラ5と、を有している。
【0012】
搬送ローラ42及び分離ローラ5によって搬送された原稿は、搬送路3を通って、プラテンガラス11に案内される。プラテンガラス11を通過した原稿は、不図示の排出ローラ対によって排出トレイ14に排出される。
【0013】
画像読取装置100は、原稿トレイ6に積載された原稿をADF2により給送しながら原稿画像を走査する流し読みモードと、原稿台ガラス12に載置された原稿を走査する固定読みモードと、により、原稿から画像情報を読取る。流し読みモードは、原稿トレイ6に積載された原稿を原稿有無センサ15(
図5参照)が検出した場合、又は不図示の操作パネル等によってユーザが明示的に指示した場合に選択される。
【0014】
ADF2は、
図1及び
図2に示すように、第1軸方向AD1に延びる第1軸1aを中心に読取部1に対して回動可能に支持されている。このように、ADF2を第1軸1aを中心に開閉可能に構成することにより、原稿台ガラス12に載置された本などの厚みのある原稿を、ADF2の下面2dによって下方に押し付けることができ、多様な原稿を読み取ることができる。
【0015】
また、ADF2には、
図3乃至
図4(b)に示すように、第1軸方向AD1に直交する第2軸方向AD2に延びる第2軸2aを中心に回動可能に支持されるカバー部2cが設けられている。カバー部2cには、ピックアップローラ41及び搬送ローラ42が支持されている。なお、第2軸方向AD2は、第1軸方向AD1に交差していれば、直交していなくてもよい。
【0016】
なお、本実施の形態では、
図1に示すように、画像読取装置100の外装全体を筐体20と称し、筐体20は、カバー部2cと、カバー部2c以外の部分であるベース部21と、を有している。すなわち、カバー部2cは、第2軸2aを中心に、ベース部21に回動可能に支持されている。
【0017】
カバー部2cは、上面2uと、上面2uに設けられるロック解除部16と、斜面2sと、を有しており、ロック解除部16を上方に引くことで、カバー部2cのベース部21に対するロックが解除される。斜面2sは、カバー部2cの、第1軸方向AD1において第2軸2aとは反対側の端部に配置されている。なお、筐体20は、外装面51を有しており、外装面51は、斜面2sを含む。
【0018】
また、斜面2sの第2軸方向AD2における中央部には、表示部7が配置されている。すなわち、表示部7は、カバー部2cの、第1軸方向AD1において第2軸2aとは反対側の端部かつ第2軸方向AD2における中央部に配置されている。
【0019】
図4(a)は、カバー部2cが閉じられた様子を示す断面図であり、
図4(b)は、カバー部2cが開かれた様子を示す断面図である。
図4(a)(b)に示すように、ADF2のピックアップローラ41、搬送ローラ42及び分離ローラ5は、原稿を搬送することで摩耗し搬送力が低下してしまうため、定期的に交換する必要がある。カバー部2cが開かれると、ピックアップローラ41、搬送ローラ42及び分離ローラ5へのアクセスが容易となり、これらのローラの交換作業を容易に行うことができる。
【0020】
[制御系]
図5は、本実施の形態に係る制御系を示すブロック図である。画像読取装置100は、制御部810を有している。制御部810は、中央演算装置であるCPU800と、CPU800によって実行されるプログラムを格納するROM801と、CPU800の作業領域として使用されると共に一時データを格納するRAM802と、を有している。
【0021】
制御部810の入力側には、原稿有無センサ15と、搬送センサ17と、が接続されている。検知部としての原稿有無センサ15は、原稿トレイ6に積載された原稿を検知し、搬送センサ17は、搬送路3を通過する原稿の位置を検知する。制御部810の出力側には、ADF2の各ローラを駆動するための駆動モータMと、LED9と、が接続されている。照射部としてのLED9は、詳しくは後述するが、筐体20の内部に配置され、表示部7を照明する。制御部810は、シリアル通信からユーザによるスキャン開始コマンドを受けて、駆動モータMを駆動する。
【0022】
[LEDの点灯制御]
次に、
図6に示すフローチャートを参照して、LED9の点灯制御について説明する。まず、制御部810は、原稿有無センサ15によって原稿トレイ6に原稿がセットされたか否かを判断する(ステップS1)。原稿トレイ6に原稿がセットされていない場合(ステップS1:NO)、LED9を消灯させ(ステップS2)、ステップS1に戻る。
【0023】
原稿トレイ6に原稿がセットされている場合(ステップS1:YES)、制御部810は、LED9を点灯させる(ステップS3)。例えば、原稿トレイ6に原稿がセットされてLED9が点灯した後、原稿トレイ6から原稿が取り出された場合には、LED9は消灯する。
【0024】
次に、制御部810は、ユーザによるスキャン開始のコマンドが入力されたか否かを判断する(ステップS4)。スキャン開始のコマンドが入力されていない場合(ステップS4:NO)、ステップS1に戻る。
【0025】
スキャン開始のコマンドが入力された場合(ステップS4:YES)、制御部810は、ADF2によって原稿が給送されるように駆動モータMを制御する原稿給送動作を行う(ステップS5)。そして、制御部810は、原稿有無センサ15によって、原稿トレイ6に原稿が積載されているか否かを判断する(ステップS6)。原稿トレイ6に原稿がある場合(ステップS6:YES)、ステップS5に戻り、当該ジョブが終了するまで原稿を搬送する。
【0026】
原稿トレイ6に原稿が積載されていない場合(ステップS6:NO)、制御部810は、原稿給送動作を停止し、LED9を消灯させる(ステップS7,S8)。以上により、LED9の点灯制御を終了する。このように、LED9は、原稿有無センサ15によって原稿が検知されている場合に光を照射し、原稿有無センサ15によって原稿が検知されていない場合に光を照射しない。そして、LED9が点灯して表示部7が照明している際に、ユーザは、原稿トレイ6に原稿が正しくセットされていること、又はスキャンジョブが行われていることを認知することができる。
【0027】
[表示部の照明構成]
次に、表示部7を照明するための構成について詳述する。
図1及び
図7に示すように、ADF2は、カバー部2cの内方に保持部材8を有している。保持部材8は、制御部810に接続される束線102を保持する保持部85と、LED9が実装される基板92を支持する支持部84と、LED9から照射された光を反射して拡散する反射部10と、を有している。保持部材8は、これら保持部85、支持部84及び反射部10を有する1つの樹脂部材であり、部品点数を減らしてコストダウンできると共に、組付け性を向上することができる。
【0028】
本実施の形態のLED9は、不図示のLED素子と、LED素子を封入する砲弾形状の樹脂部と、を有する砲弾型LEDであり、フラックスタイプやチップタイプのLEDに比して安価に構成することができる。
【0029】
カバー部2cは、
図4(a)に示すように、斜面2sの近傍に収容空間SPを画定しており、収容空間SPは、第2軸方向AD2に直交する断面において、第1軸方向AD1における一端部2mから他端部2nに向かうにしたがって広くなるように形成される。そして、
図4(a)及び
図8に示すように、LED9は、収容空間SPの一端部2mに配置されており、収容空間SPの他端部2nには、束線102の端部に設けられ基板92に接続されるコネクタ101が配置されている。基板92には、束線102及びコネクタ101を介して給電される。
【0030】
このように、LED9を、収容空間SPの狭い箇所に配置することで、LED9の直下に位置する後述する反射部10の第1面81にも光が届き、第1面81をより均一な照度で照らすことができる。また、収容空間SPの広い箇所にコネクタ101を配置することで、コネクタ101を大きくでき、収容空間SPを有効利用することができる。
【0031】
図8は、表示部7の照明構成を示す斜視図であり、
図9は、表示部7の照明構成を示す断面図である。
図9は、LED9の照射方向IDを含み且つ表示部7を通る断面を示しており、以下、この断面を断面CSと呼称する。
図8の破線は、表示部7が配置される位置を示している。照射方向IDは、第2軸方向AD2(
図1参照)に平行な方向である。
【0032】
表示部7は、
図8及び
図9に示すように原稿トレイ6に積載された原稿の画像面の向きを示す表示面7aを有している。本実施の形態では、表示面7aは、画像面が上向きの状態で原稿を積載すべきことを示している。
【0033】
表示部7は、透明部材から構成されているが、LED9の消灯時には白色又は黒色に見えるようにスモークがかけられている。本実施の形態では、LED9は、青みの強い緑(色相164度、RGB(0、158、115))、青(色相202度、RGB(0、114、178))、水色(色相202度、RGB(86、180、233))に光るように構成されている。これは、筐体20の外装面51が白色なのに対して、LED9の点灯時に色弱のユーザにもLED9を認識し易くすることで、原稿トレイ6に原稿を正しくセットできているという安心感を与えるためである。反射部10は、白色に設定されており、ユーザは、LED9から照射され、反射部10で反射することによって拡散された光の色を、表示部7越しで見ることで認識する。
【0034】
反射部10は、第1面81と、照射方向IDにおいて第1面81よりも下流に配置される第2面82と、第1面81と第2面82とを接続する第3面83と、を有している。第1面81及び第2面82は、平面から構成されており、第1面81は、
図9に示すように、断面CSにおいて照射方向IDと第1の角度Θ
81を成している。第2面82は、断面CSにおいて照射方向IDと第1の角度Θ
81よりも大きい第2の角度Θ
82を成している。
【0035】
第1の角度Θ
81は、0度以上30度以下の角度であると好適である。第1面81は、LED9に対して所定の距離(4.0mm~5.0mm)を開けて配置されている。なお、本実施の形態では、第1面81はLED9に対して4.3mmだけ開いている。第1面81とLED9の光軸線9aとが隣接していると、第1面81における照度分布は、
図10に示すようなLED9の指向特性とほぼ同等となり、均一性に課題がある。しかしながら、本実施の形態では、第1面81とLED9との間に所定の距離が開いていることで、LED9から発せられ、所定の距離の分だけある程度拡散した光で第1面81を照らすことができるので、照度の均一性を向上することができる。
【0036】
また、第2の角度Θ82は、60度以上90℃以下であると好適であり、第2面82の上端は、外装面51の斜面2sに迫るように伸びている。このような構成とすることで、第2面82においてLED9による照度が高くなり、斜め上から表示部7を覗いた際にも、視線IEの先が第2面82となることから、LED9から照射された光を良く認識することができる。
【0037】
また、外装面51と第2面82との間隔が開いていると、斜め上から表示部7を覗いた際に、外装面51と第2面82との間の隙間に対応する箇所が暗くなり、照度ムラとなってしまう。しかしながら、本実施の形態のように第2面82を外装面51に迫るように設けて上記隙間を低減することで、照度ムラを低減することができる。
【0038】
第3面83は、第1面81と連続的に接続する曲面831と、第2面82と連続的に接続する曲面832と、曲面831,832と連続的に接続される平面833と、を有している。すなわち、第3面83は、少なくとも1つの曲面を有して構成される面である。このように、第1面81及び第2面82を、それぞれ曲面831,832で接続することで、第1面81、第2面82及び第3面83の接続箇所等に部分的な暗所を作ることなく、照度を均一にすることができる。なお、第3面83は、1つの曲面のみによって形成されてもよく、また3つ以上の曲面を有していてもよい。
【0039】
図9に示すように、LED9の光軸線9aは、第3面83の曲面832に交差している。言い換えれば、光軸線9aと第3面83との交差点89は、第1面81よりも第2面82に近い位置に位置している。このように、LED9から発せられた光を、なるべくLED9から遠い位置で反射させることで、反射部10での照度の均一性を向上し、表示部7の視認性を向上している。
【0040】
また、第1面81、第2面82及び第3面83は、いずれもシボ加工されている。すなわち、これら第1面81、第2面82及び第3面83は、複数の凹凸を有し、これらの凹凸により、光の拡散性を向上している。
【0041】
また、LED9は、照射方向IDにおける表示部7の上流端よりも上流に配置されており、外装面51に隠れてユーザからは直接見えないように配置されている。これにより、ユーザからはLED9は直接視認できず、ユーザは反射部10で反射し拡散した光によって照らされた表示部7を視認するので、表示部7の視認性を向上できる。また、LED9の照射方向IDは、表示部7の表示面7aの面方向に平行な方向であるので、LED9から照射された光は、ユーザからは直接視認されにくくなっている。
【0042】
以上のように、本実施の形態において、原稿の画像面の向き及び原稿がセットされたか否かを示す表示部7は、カバー部2cに設けられている。より詳しくは、表示部7は、カバー部2cの、第1軸方向AD1において第2軸2aとは反対側の端部かつ第2軸方向AD2における中央部に配置されている。この表示部7の位置は、原稿トレイ6にセットされた原稿の直上であるため、ユーザは、原稿をセットする際に表示部7を視認しやすく、原稿の正しいセットをユーザに促すことができる。また、原稿の画像面の向き及び原稿がセットされたか否か1つの表示部7によって表現できるので、ユーザの視線を散らすことなく、表示部7の視認性を向上できる。
【0043】
また、表示部7の近傍には、ピックアップローラ41や搬送ローラ42が配置されているため、カバー部2cにおける表示部7の下方には、十分な空間がない。例えば、表示部7に対して、LED9の照射方向を向けた場合、表示部7を均一に照明するためには、表示部7の下方に十分な空間が必要となる。
【0044】
そこで、本実施の形態では、安価な砲弾型LEDから構成されるLED9と、LED9から照射された光を反射して拡散する反射部10を設けている。そして、反射部10は、表示部7に対向する位置に配置した一方、LED9は、反射部10から離れた位置に配置し、LED9から照射された光は、ある程度拡散した状態で反射部10にて反射される。これにより、反射部10を均一に照らして照度ムラを低減し、表示部7の視認性を向上できる。
【0045】
<第2の実施の形態>
〔全体構成〕
次いで、本発明の第2の実施の形態について説明するが、第2の実施の形態は、第1の実施の形態の表示部7を異なる位置に配置して構成したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0046】
本実施の形態に係る画像読取装置200は、
図11(a)に示すように、シートの画像を読み取る読取部1と、読取部1に支持されるADF22(Auto Document Feeder)と、を有している。
【0047】
シート搬送装置としてのADF22は、原稿が積載される原稿トレイ62と、原稿トレイ62に積載された原稿を搬送する搬送部13と、搬送部13によって搬送された原稿が排出される排出トレイ14と、を有している。原稿トレイ62は、原稿が積載される積載面62aと、積載面62aに積載された原稿のシート搬送方向に交差する幅方向における一端の位置を規制する一端部としての規制部62fと、を有している。
【0048】
規制部62fには、幅方向における外側に向かうにしたがって下方に延びる斜面62sが形成されており、斜面62sには、表示部7が設けられている。規制部62fは、ユーザに臨む装置手前側に設けられており、ユーザは、どのようなサイズの原稿でも、また異なるサイズが組み合わせられた複数の原稿でも、規制部62fに寄せてセットする。このため、ユーザの視線を規制部62fに設けられた表示部7に集めることができ、表示部7の視認性を向上できる。
【0049】
また、原稿トレイ62は、
図11(b)に示すように、第2軸方向AD2に平行な方向に延びるトレイ軸62bを中心に回動可能に支持されている。これにより、原稿トレイ62を上方に回動することで、排出トレイ14に排出された原稿を容易に取り出すことができる。
【0050】
[表示部の照明構成]
次に、表示部7を照明するための構成について詳述する。
図12は、規制部62fの内部を示す断面図である。
図12は、LED9の照射方向IDを含み且つ表示部7を通る断面を示しており、以下、この断面を断面CSと呼称する。規制部62fの内部には、
図12に示すように、1つの樹脂部材から構成される保持部材182が設けられている。
【0051】
保持部材182は、制御部810(
図5参照)に接続される束線102を保持する保持部825と、LED9が実装される基板92を支持する支持部824と、LED9から照射された光を反射して拡散する反射部210と、を有している。保持部825は、原稿トレイ62の奥側の端部62r(
図11(a)参照)に束線102を案内しており、基板92には、束線102を介して電源が供給される。
【0052】
反射部210は、第1面821と、照射方向IDにおいて第1面821よりも下流に配置される第2面822と、第1面821と第2面822とを接続する第3面823と、を有している。第1面821及び第2面822は、平面から構成されている。
【0053】
第1面821は、LED9に対して所定の距離(4.0mm~5.0mm)を開けて配置されている。なお、本実施の形態では、第1面821はLED9に対して4.3mmだけ開いている。第1面821とLED9の光軸線9aとが隣接していると、第1面821における照度分布は、
図10に示すようなLED9の指向特性とほぼ同等となり、均一性に課題がある。しかしながら、本実施の形態では、第1面821とLED9との間に所定の距離が開いていることで、LED9から発せられ、所定の距離の分だけある程度拡散した光で第1面821を照らすことができるので、照度の均一性を向上することができる。
【0054】
また、断面CSにおいて照射方向IDと第2面822とが成す第2の角度Θ82は、60度以上90度以下であると好適であり、第2面822の上端は、筐体20の外装面51の斜面62sに迫るように伸びている。このような構成とすることで、第2面822においてLED9による照度が高くなり、斜め上から表示部7を覗いた際にも、視線の先が第2面822となることから、LED9から照射された光を良く認識することができる。
【0055】
また、外装面51と第2面822との間隔が開いていると、斜め上から表示部7を覗いた際に、外装面51と第2面822との間の隙間に対応する箇所が暗くなり、照度ムラとなってしまう。しかしながら、本実施の形態のように第2面822を外装面51に迫るように設けて上記隙間を低減することで、照度ムラを低減することができる。
【0056】
第3面823は、第1の実施の形態の第3面83と同様の構成であり、第1面821、第2面822及び第3面823の接続箇所等に部分的な暗所を作ることなく、照度を均一にすることができる。
【0057】
LED9の光軸線9aは、第3面823に交差している。言い換えれば、光軸線9aと第3面823との交差点829は、第1面821よりも第2面822に近い位置に位置している。このように、LED9から発せられた光を、なるべくLED9から遠い位置で反射させることで、反射部210での照度の均一性を向上し、表示部7の視認性を向上している。
【0058】
また、第1面821、第2面822及び第3面823は、いずれもシボ加工されている。すなわち、これら第1面821、第2面822及び第3面823は、複数の凹凸を有し、これらの凹凸により、光の拡散性を向上している。
【0059】
以上のように、本実施の形態において、原稿の画像面の向き及び原稿のセット状態を示す表示部7は、原稿トレイ62の手前側に設けられた規制部62fに設けられている。この表示部7の位置は、規制部62fに合わせて原稿をセットするユーザにとって視認しやすく、表示部7の視認性を向上できる。また、LED9から照射された光を反射部210によって反射して拡散することで、表示部7の照度ムラを低減し、表示部7の視認性を向上できる。
【0060】
<その他の実施形態>
なお、第1の実施の形態において表示部7は斜面2sに配置され、第2の実施の形態において表示部7は規制部62fに配置されているが、これに限定されない。すなわち、表示部7は、筐体20の外装面51上であればどこに配置してもよい。
【0061】
また、既述のいずれの形態においても、LED9によって表示部7を照明していたが、これに限定されない。例えば、LED9に代えて、白熱灯、ハロゲンランプ及び蛍光灯等の他の光源を用いてもよい。また、LED9を、砲弾型LEDではなく、フラックスタイプやチップタイプのLEDに代えてもよい。
【0062】
また、既述のいずれの形態においても、LED9の光軸線9aは、第3面83,823に交差していたが、これに限定されない。例えば、LED9の光軸線9aは、第1面81,821や第2面82,822に交差してもよい。
【0063】
また、既述のいずれの形態においても、表示部7は、原稿の画像面の向きを示していたが、これに限定されない。すなわち、表示部7は、原稿のセット方法に関することであれば何を示してもよく、例えば、表示部7は、原稿の縦置き又は横置きのいずれかを示してもよい。
【0064】
また、既述のいずれの形態においても、LED9は、照射方向IDにおいて表示部7の上流端7bよりも上流に配置されていたが、これに限定されず、上流端7bよりも下流に配置されていてもよい。
【0065】
本発明は上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0066】
1:読取部/1a:第2軸/2,22:シート搬送装置(ADF)/2a:第2軸/2c:カバー部/2m:一端部/2n:他端部/6:積載部(原稿トレイ)/7:表示部/7a:表示面/7b:上流端/8,182:保持部材/9:照射部(LED)/9a:光軸線/10,210:反射部/13:搬送部/15:検知部(原稿有無センサ)/20:筐体/21:ベース部/51:外装面/62f:一端部/81:第1面/82:第2面/83:第3面/84,824:支持部/85,825:保持部/89,829:交差点/92:基板/100,200:画像読取装置/101:コネクタ/102:束線/AD1:第1軸方向/AD2:第2軸方向/CS:断面/ID:照射方向/SP:収容空間/Θ81:第1の角度/Θ82:第2の角度