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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】梱包体
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/18 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
G03G21/18 110
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019234721
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021103249
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 秀人
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 泰史
(72)【発明者】
【氏名】松本 一樹
(72)【発明者】
【氏名】川村 知史
(72)【発明者】
【氏名】原田 達朗
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-271759(JP,A)
【文献】特開2007-093833(JP,A)
【文献】特開2019-045588(JP,A)
【文献】特開2003-156987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、前記感光体の一部が露出されるように前記感光体を覆う枠体と、を有するカートリッジと、
前記感光体の露出部を覆う第1の部分と、前記第1の部分の一端側に設けられた第2の部分と、前記第1の部分の他端側に設けられた第3の部分と、を有し、前記第2の部分と前記第3の部分が分離可能に重ねられた重畳部が形成されるように前記カートリッジの周囲に巻かれたシートと、
を有し、
前記露出部が前記カートリッジの下側を向き、かつ前記第1の部分が前記露出部の下側に位置させたとき、前記重畳部が鉛直方向についての前記カートリッジの中央部よりも上側の部分と重なるように、前記シートが前記カートリッジに巻かれており、
前記カートリッジは、現像ローラを有するプロセスカートリッジであることを特徴とする梱包体。
【請求項2】
前記シートの一部が、前記現像ローラと前記感光体の間に挟まれることを特徴とする請求項に記載の梱包体。
【請求項3】
現像ローラと、前記現像ローラの一部が露出されるように前記現像ローラの一部を覆う枠体と、を有するカートリッジと、
前記現像ローラの露出部を覆う第1の部分と、前記第1の部分の一端側に設けられた第2の部分と、前記第1の部分の他端側に設けられた第3の部分と、を有し、前記第2の部分と前記第3の部分が分離可能に重ねられた重畳部が形成されるように前記カートリッジの周囲に巻かれたシートと、
を有し、
前記露出部が前記カートリッジの下側に向き、かつ前記第1の部分が前記露出部の下側に位置させたとき、前記重畳部が鉛直方向についての前記カートリッジの中央部よりも上側の部分と重なるように、前記シートが前記カートリッジに巻かれていることを特徴とする梱包体。
【請求項4】
前記シートが前記カートリッジに巻かれる方向を周方向としたときに、前記周方向に対して直交する直交方向について、前記シートが前記カートリッジの側面を覆うように、前記シートの端部が折り曲げられることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の梱包体。
【請求項5】
前記端部が折り曲げられた状態が維持されるように、前記シートを押さえる梱包部材をさらに有することを特徴とする請求項に記載の梱包体。
【請求項6】
感光体と、前記感光体の一部が露出されるように前記感光体を覆う枠体と、を有するカートリッジと、
前記感光体の露出部を覆う第1の部分と、前記第1の部分の一端側に設けられた第2の部分と、前記第1の部分の他端側に設けられた第3の部分と、を有し、前記第2の部分と前記第3の部分が分離可能に重ねられた重畳部が形成されるように前記カートリッジの周囲に巻かれたシートと、
を有し、
前記露出部が前記カートリッジの下側を向き、かつ前記第1の部分が前記露出部の下側に位置させたとき、前記重畳部が鉛直方向についての前記カートリッジの中央部よりも上側の部分と重なるように、前記シートが前記カートリッジに巻かれており、
前記シートが前記カートリッジに巻かれる方向を周方向としたときに、前記周方向に対して直交する直交方向について、前記シートが前記カートリッジの側面を覆うように、前記シートの端部が折り曲げられることを特徴とする梱包体。
【請求項7】
前記端部が折り曲げられた状態が維持されるように、前記シートを押さえる梱包部材をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の梱包体。
【請求項8】
前記カートリッジは、現像ローラを備える装置本体に対して着脱可能に構成されたドラムカートリッジであることを特徴とする請求項6または7に記載の梱包体。
【請求項9】
前記カートリッジは、凹部または凸部の少なくともいずれか一方を有する把手を備え、
前記重畳部が鉛直方向についての前記中央部よりも上側に位置された場合に、前記把手が前記中央部よりも上側に位置するように、前記把手が配置されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の梱包体。
【請求項10】
前記第2の部分と前記第3の部分が分離することを規制する分離規制部を有することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の梱包体。
【請求項11】
前記カートリッジはピン挿入部を有し、
前記重畳部の上から固定用ピンを前記ピン挿入部に挿入することで前記シートを前記カートリッジに固定することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被梱包物と被梱包物を保護し梱包する際に使用する梱包体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスを用いた電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置と称す)には、プロセスカートリッジ方式を採用したものが知られている。すなわち、ユーザが画像形成装置本体からカートリッジを取り出し、新しいカートリッジと交換することができるように構成された画像形成装置である。
【0003】
ここで、出荷された新品のカートリッジは被梱包物として、輸送時の振動や衝撃からカートリッジを保護するための梱包部材に梱包されている。そして、画像形成装置本体への新品のカートリッジ装着時には、ユーザが梱包部材を開梱し、カートリッジを梱包部材から取り出し、画像形成装置本体に装着する。カートリッジを輸送する際に外部からのゴミ、ケバ、紙粉などからカートリッジを保護するための保護シートが、カートリッジに取り付けられる場合がある。特許文献1では、感光ドラム周辺に着脱できるように固定した保護シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4590909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の保護シートは、感光ドラム周辺のみを覆っているものである。本発明は、従来の技術をさらに発展させたものである。その目的は、感光ドラム周辺だけでなく、より広い範囲で防塵性を確保しつつ、かつ、開梱時の作業性及び開梱後のカートリッジの操作性を向上することのできる梱包体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明における梱包体は、
感光体と、前記感光体の一部が露出されるように前記感光体を覆う枠体と、を有するカートリッジと、
前記感光体の露出部を覆う第1の部分と、前記第1の部分の一端側に設けられた第2の
部分と、前記第1の部分の他端側に設けられた第3の部分と、を有し、前記第2の部分と前記第3の部分が分離可能に重ねられた重畳部が形成されるように前記カートリッジの周囲に巻かれたシートと、
を有し、
前記露出部が前記カートリッジの下側を向き、かつ前記第1の部分が前記露出部の下側に位置させたとき、前記重畳部が鉛直方向についての前記カートリッジの中央部よりも上側の部分と重なるように、前記シートが前記カートリッジに巻かれており、
前記カートリッジは、現像ローラを有するプロセスカートリッジであることを特徴とする。
【0007】
また、上記目的を達成するため、本発明における梱包体は、
現像ローラと、前記現像ローラの一部が露出されるように前記現像ローラの一部を覆う
枠体と、を有するカートリッジと、
前記現像ローラの露出部を覆う第1の部分と、前記第1の部分の一端側に設けられた第2の部分と、前記第1の部分の他端側に設けられた第3の部分と、を有し、前記第2の部分と前記第3の部分が分離可能に重ねられた重畳部が形成されるように前記カートリッジの周囲に巻かれたシートと、を有し、
記露出部が前記カートリッジの下側を向き、かつ前記第1の部分が前記露出部の下側に位置させたとき、前記重畳部が鉛直方向についての前記カートリッジの中央部よりも上側の部分と重なるように前記シートが前記カートリッジに巻かれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、感光ドラム周辺だけでなく、より広い範囲で防塵性を確保しつつ、かつ、開梱時の作業性及び開梱後のカートリッジの操作性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電子写真画像形成装置の側断面図
図2】カートリッジの側断面図
図3】実施例1に係るカートリッジを示す図
図4】実施例1に係る別形態のカートリッジを示す図
図5】実施例1に係る別形態のカートリッジを示す図
図6】実施例1に係る包絡線を示す図
図7】実施例1に係る保護シートを示す図
図8】実施例1に係る保護シートをカートリッジに巻き付けた状態を示す図
図9】実施例1に係る梱包部材を不図示とした場合の梱包体を示す図
図10】実施例1に係る梱包体の保護シートの両端部を折りたたんだ状態の図
図11】実施例1に係る梱包体を示す図
図12】実施例1に係る別形態のカートリッジを被梱包物とする梱包体の図
図13】実施例1に係る別形態のカートリッジを被梱包物とする梱包体の図
図14】実施例2に係るドラムカートリッジを示す図
図15】実施例2に係る梱包部材を不図示とした場合の梱包体を示す図
図16】実施例3に係る現像カートリッジを示す図
図17】実施例3に係る梱包部材を不図示とした場合の梱包体を示す図
図18】実施例4に係る梱包部材を不図示とした場合の梱包体を示す図
図19】実施例5に係る保護シートの両端部を縫い付けて閉じた状態を示す図
図20】保護シートの一部を現像ローラと感光ドラムの間に挟んだ状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0011】
(実施例1)
本発明に係る梱包体の一実施例について説明する。梱包体に梱包される被梱包物としては、画像形成装置に着脱可能なカートリッジとした場合を例に挙げ、説明する。まず初めに、画像形成装置、そしてこの画像形成装置に着脱可能とされた被梱包物となるカートリッジを説明した後、本実施例に係る梱包体の説明を行う。
【0012】
≪画像形成装置≫
図1を用いて、カートリッジが着脱される画像形成装置1について、説明を行う。画像形成装置には、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、レーザービームプリンタ、
LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置およびワードプロセッサ等が含まれる。本実施例におけるこの画像形成装置1は、画像形成に作用するプロセス手段をカートリッジとして着脱可能としたプロセスカートリッジ方式を用いたものである。画像形成装置1として、4個のカートリッジP(PY、PM、PC、PK)が着脱可能なフルカラー画像形成装置である場合を例示し、説明する。
【0013】
画像形成装置1は、カートリッジPを装置本体2に取り外し可能に装着して、記録媒体Sにカラー画像形成を行う。記録媒体Sの一例としては、記録紙、ラベル紙、OHPシート、布等が挙げられる。より具体的には、画像形成装置1は、第1のカートリッジPY、第2のカートリッジPM、第3のカートリッジPC、第4のカートリッジPKの4つのカートリッジP(PY・PM・PC・PK)が装置本体2の内部で水平方向に配置され、構成されている。画像形成装置1のうちカートリッジPを除いた装置本体2は、光学手段LB、転写ローラ10等の転写手段、定着手段11の他、記録媒体Sの給送手段14等を有する。
【0014】
第1~第4の各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)は、ドラムユニット8と現像装置9が互いに結合され、構成されており、それぞれ同様の電子写真プロセス機構を有している(図2)。ドラムユニット8は、感光ドラム(電子写真感光体)4(4Y・4M・4C・4K)を備えている。感光ドラム4は回転可能に構成される。ドラムユニット8は、さらに感光ドラム4に作用するプロセス手段として、帯電ローラ5(5Y・5M・5C・5K)等の帯電手段や、クリーニングブレード7(7Y・7M・7C・7K)等のクリーニング手段を備えている。一方、現像装置9は、感光ドラム4に作用するプロセス手段として現像ローラ(現像剤担持体)6等の現像手段と、この現像手段を支持する現像枠体13と、を有する。現像ローラ6は回転可能に構成される。現像枠体13内に、第1のカートリッジPYはイエロー(Y)、第2のカートリッジPMはマゼンタ(M)、第3のカートリッジPCはシアン(C)、そして、第4のカートリッジPKはブラック(K)のトナー(現像剤)が収容されている。
【0015】
感光ドラム4は、装置本体2からの電圧印加によって、帯電ローラ5で感光ドラム4の表面を一様に帯電する。そして、光学手段LBは、帯電した感光ドラム4に画像情報に応じたレーザー光Lを照射し、感光ドラム4に画像情報に応じた静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像手段によってトナーで現像され、感光ドラム4の表面に現像剤像が形成される。ここで、現像ローラ6の表面からトナーが感光ドラム4の表面に現像される箇所を現像部GZとする。第1~第4の各カートリッジPにおいて感光ドラム4の表面に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色からなる現像剤像は、順次、中間転写ベルト3に一次転写され、中間転写ベルト3上にカラーの現像剤像が形成される。ここで、現像剤像が中間転写ベルト3に転写される箇所を転写部TS(TSY・TSM・TSC・TSK)とする。
【0016】
一方、記録媒体Sは、現像剤像の形成と同期して、一枚ずつ分離給送される。そして、記録媒体Sは、転写手段としての転写ローラ10へと搬送される。転写ローラ10は、中間転写ベルト3の表面に接触するように付勢される。そして、記録媒体Sは、中間転写ベルト3と転写ローラ10とで形成されたニップ部を通される。このとき、転写ローラ10に現像剤像と逆極性の電圧を印加することで、中間転写ベルト3上に形成されたカラーの現像剤像が、記録媒体Sに転写される。現像剤像が転写された記録媒体Sは、定着手段11へ搬送される。そして、記録媒体Sは、定着手段11で熱及び圧力が加えられ、記録媒体Sに転写された現像剤像が定着される。これによって、記録媒体Sに画像が形成される。その後、記録媒体Sは、搬送され、排出部12へ排出される。
【0017】
なお、転写後の感光ドラム4の表面は、クリーニングブレード7によって、清掃され、
再度、帯電ローラ5で表面が一様に帯電されることにより、画像形成可能とされる。
【0018】
また、図3(a)はカートリッジPの斜視図であり、図3(b)は図3(a)を逆方向から見た斜視図である。図3(c)は図3(a)におけるカートリッジPを側面から見た図であり、図3(d)はカートリッジPを正面から見た図である。
【0019】
図3(c)に示すように、感光ドラム4がカートリッジPの枠体から露出している箇所を露出部4R、カートリッジPの下側を下側PL、カートリッジPの上半分の領域を上半分UpHfとする。上半分UpHfは、カートリッジPの高さをLPhとした場合、高さLPhの半分(LPH/2)より上方に位置する。また、カートリッジPの装置本体2への装着方向をW2とし、ユーザがカートリッジPを移動させる際に操作し易くするため、現像装置9にカートリッジPの長手方向と直交する方向に向かう凸部を有する把手TEを設けている。
【0020】
ここで、カートリッジPの長手方向とは、感光ドラム4の回転軸線方向や、現像ローラ6の回転軸線方向と同じ方向である。また、現像装置9は、ドラムユニット8に対して揺動軸Jの周りに揺動可能に結合されている。揺動軸Jの方向は、カートリッジPの長手方向と同じである。
【0021】
また、カートリッジの別の形態としては、図4(b)で示すように、感光ドラム4がカートリッジPeの略中央部で露出している場合もある。図4(a)は図4(b)を逆方向から見た斜視図である。図4(c)は図4(a)におけるカートリッジPeを側面から見た図であり、図4(d)はカートリッジPeを正面から見た図である。
【0022】
図4(c)に示すように、感光ドラム4がカートリッジPeの枠体から露出している箇所を露出部4Re、カートリッジPeの下側を下側PLe、カートリッジPeの上半分の領域を上半分UpHfeとする。上半分UpHfeは、カートリッジPeの高さをLPheとした場合、高さLPheの半分(LPhe/2)より上方に位置する。また、カートリッジPeの装置本体2への装着方向W3とし、ユーザがカートリッジPを移動させる際に操作し易くするため、図4(d)に示すように、把持用凹形状HJeとグリップGPeが形成されている。
【0023】
現像装置9は、ドラムユニット8に対して揺動軸Jeの周りに揺動可能に結合されている。揺動軸Jeの方向は、カートリッジPeの長手方向と同じである。
【0024】
また、カートリッジの別の形態としては、図5(e)で示すように、ユーザがカートリッジPfを装置本体2に挿入する際、装着方向W4に移動させる場合もある。一方、図5(a)、図5(b)、図5(c)、図5(d)は、図5(e)のカートリッジPfの姿勢を上下反転させた状態を示している。(後述するが、この姿勢で保護シートHSを巻き付ける。)図5(a)はカートリッジPfの斜視図であり、図5(b)は図5(a)のカートリッジPfを逆方向から見た斜視図である。図5(c)は図5(a)におけるカートリッジPfを側面から見た図であり、図5(d)はカートリッジPfを正面から見た図である。
【0025】
図5(b)、図5(c)に示すように、感光ドラム4がカートリッジPfの枠体から露出している箇所を露出部4Rf、カートリッジPfの下側を下側PLf、カートリッジPfの上半分の領域を上半分UpHffとする。上半分UpHffは、カートリッジPfの高さをLPhfとした場合、高さLPhfの半分(LPhf/2)より上方に位置する。また、ユーザがカートリッジPfを把持し易い形状として、カートリッジの長手方向に沿って凹部と凸部が組み合わさって構成されるグリップGPfc、GPfdが形成されてい
る。
【0026】
現像装置9は、ドラムユニット8に対して揺動軸Jfの周りに揺動可能に結合されている。揺動軸Jfの方向は、カートリッジPfの長手方向と同じである。
【0027】
なお、画像形成装置の構成としては、上述したプロセスカートリッジ方式の構成に限られない。例えば、ドラムユニット8がドラムカートリッジとして現像ローラ6を備える装置本体に対して着脱可能に構成されたものでもよい。この場合、現像装置9は、装置本体に一体的に設けられるか、現像装置9が現像カートリッジとして、ドラムカートリッジとは独立して、装置本体に対して着脱可能に構成される。
【0028】
≪保護シート≫
本実施例における保護シートHSについて説明する。保護シートHSは、カートリッジPの輸送時における感光ドラム4または現像ローラ6の傷発生と、ゴミ、ケバ、紙粉などの付着または侵入を防止する。それにより、画像形成プロセスにおいて、異常な画像が発生することが防止される。
【0029】
保護シートHSの構成について、図6及び図7を使って説明する。図6及び図7に示すように、保護シートHSの周長方向WLの周長Aは、カートリッジPの包絡線αの包絡線周長αLよりも長い(A>αL)。
【0030】
ここで、包絡線周長とは、以下のように定義される。図6に示すように、紐を、カートリッジPの外周に巻き付けたとする。具体的には、カートリッジPの外周の全てに密着させて巻き付けるのではなく、カートリッジPの出っ張った角部と角部との間では、張った状態となるように巻き付ける。このとき、角部と角部の間では、紐とカートリッジPは離れている。包絡線周長とは、上記のように巻き付けた紐の長さと等しい。
【0031】
なお、本実施例においては、上記紐の長さは、感光ドラム4などの回転軸線方向に直交する方向に紐を巻き付けた際の紐の長さである。言い換えれば、感光ドラム4の回転軸線方向に見た時の、当該紐の長さである。
【0032】
保護シートHSは、保護シートHSがカートリッジPに巻かれる方向について、カートリッジPを露出させずに、カートリッジPの周囲に一周以上巻かれることができる長さ(周長)Aを有する。
【0033】
また、保護シートHSの幅方向WWの幅Bはカートリッジ幅βよりも広い(B>β)。保護シートHSは、保護シートHSがカートリッジPに巻かれる方向と直交する方向(幅方向)について、カートリッジPを露出させずに両端を折り込むことが可能な幅Bを有することが好ましい。
【0034】
また、保護シートHSは後述するカートリッジPに巻き付けた際に露出部4Rを覆う第1の部分HSK1を有する。保護シートHSがカートリッジPに巻かれる方向について、保護シートHSは、第1の部分HSK1の一端側に設けられた第2の部分HSK2と、前記第1の部分HSK1の他端側に設けられた第3の部分HSK3とを有する。
【0035】
保護シートHSの材質は、例えば、樹脂、セルロース不織布、セロファン、紙などで構成してよい。
【0036】
≪梱包体の構成≫
本実施例における梱包体Uの構成方法について説明する。
梱包体Uは図10に示すように、カートリッジPと、カートリッジPを覆う保護シートHSを含む。また、本実施例における梱包体Uは、保護シートHSを固定するための貼り付け部材STと、保護シートHSを外側から押さえる梱包部材Kを含む。
【0037】
保護シートHSの外側からカートリッジPの両端に梱包部材Kを装着し、保護シートHSを押さえ込んでいる状態をカートリッジPの長手方向と直交する方向から見た場合の図を、図11に示す。
【0038】
本実施例における梱包部材Kは、カートリッジPの長手方向に沿った対向する2方向からカートリッジPを挟み込むように設けられた梱包部材であり、保護シートHSを介してカートリッジPの長手方向の一端部と他端部にそれぞれ取り付けられている。
【0039】
梱包部材Kにおいて、カートリッジPの一端側に取り付けられる部分と、他端側に取り付けられる部分とは、それぞれ保護シートHSの一部とカートリッジPの端部を収容する凹状の収容部を備えている。該収容部は、カートリッジPの端部に対して、上記長手方向に当接する長手当接部と、長手方向と直交する少なくとも2方向において互いに向き合った方向で当接する少なくとも二対の当接部と、を備えている。カートリッジPの一端側の端部が収容される収容部の長手当接部と、カートリッジPの他端側の端部が収容される収容部の長手当接部は、それぞれ互いに対向する方向にカートリッジPの端部と当接する構成となっている。
【0040】
カートリッジPの長手方向の両端に梱包部材Kを装着した状態で、箱などに収容することで、収容された箱の内部におけるカートリッジPの梱包部材Kの装着方向や装着方向と直交する方向への移動が規制される。さらに、輸送時に外部から振動や衝撃が加わった際には、カートリッジPよりも先に梱包部材Kに振動や衝撃が伝わるため、被梱包物であるカートリッジP自体に振動や衝撃が伝わるのが軽減され、カートリッジPを輸送時の振動や衝撃から保護することができる。
【0041】
なお、本実施例における梱包部材Kは、一端に装着される部分と、他端に装着される部分とが分離した構成となっているが、かかる構成に限定されず、両部分が連結されたような構成であってもよい。
【0042】
保護シートHSをカートリッジPに巻き付けて筒状にした状態を図8(a)に示す。図8(b)は図8(a)の側面方向から見たものである。図8(a)と図8(b)に示すように、保護シートHSの周長方向WLと、カートリッジPの周方向を合わせて、保護シートHSをカートリッジPの周囲に巻き付ける。ここで、カートリッジPの周方向とは、カートリッジPの長手方向に交差する方向である。その際、露出部4Rを第1の部分HSK1が覆い、第2の部分HSK2と第3の部分HSK3が分離可能に重ねられた重畳部HSTを形成するように、保護シートHSはカートリッジPに巻き付けられ、筒状になる。保護シートHSによって形成される筒の周方向が、保護シートHSがカートリッジPに巻かれる方向である。このとき、重畳部HSTが、鉛直方向におけるカートリッジPの上半分UpHfに位置される。
【0043】
次に、図9に示すように、重畳部HSTに貼り付け部材STを貼り、保護シートHSが周方向に開かないように固定し、第2の部分HSK2と第3の部分HSK3が分離することを規制する。ここで、幅方向WWの両端部は開放された開放口HSM1、HSM2をなしている。さらに、開放口HSM1、HSM2をそれぞれ、保護シートHSがカートリッジPに巻かれる周方向に対して直交する直交方向である折り畳み方向WH1、WH2の方向へ折り畳むことで、図10に示すようにカートリッジP全体を保護シートHSで覆う。
【0044】
なお、図9では、保護シートHSの幅方向WWの長さを実際の長さよりも短く図示している。カートリッジ幅βに対する保護シートHSの幅方向WWの長さは、図10に示すようにカートリッジPの端部を露出させずに両端を折り込むことができる程度に十分な長さが確保されることが好ましい。
【0045】
さらに、図11に示すように、保護シートHSの外側から梱包部材Kを装着して、梱包部材Kにより保護シートHSを押さえ込むことにより、カートリッジPと梱包部材Kの間で保護シートHSがカートリッジP全体を覆う状態を維持することができる。
【0046】
ここで、開放口HSM1、HSM2を形成する端部を折り畳む方向は、折り畳み方向WH1、WH2の限りではない。現像装置9側に折り畳むのでも、ドラムユニット8側に折り畳むのでも良い。
【0047】
また、本実施例では、図10のように、保護シートHSをWH1、WH2方向で折り畳むことで、カートリッジP全体を覆うようにしているが、これに限られない。すなわち、少なくともカートリッジPの露出部4Rが保護シートHSで覆われ保護されていればよい。そのため、図9に示すように、カートリッジPの長手方向におけるカートリッジPの両端が開放された状態で、梱包部材Kを取り付ける包装態様であってもよい。
【0048】
本実施例における梱包部材Kは、上述のようにパルプモールド製でカートリッジPを保護シートHSごとカートリッジPの揺動軸J方向の両端から挟み込む形態のものを採用している。しかし梱包部材としてはこれだけに限られるのではなく、段ボール製でカートリッジP全体を巻き付ける形の形態のものでもよい。なお、貼り付け部材STについて、本実施例では形状が丸型の粘着シールを採用しているが、これだけに限られるのではなく、形状としては多角形や星型などでもよい。さらには、粘着シールではなく、粘着テープなどでもよい。貼り付け部材STは、ユーザが開梱時に開けた箇所として認識し易いように、保護シートHSと異なる色(コントラストの高い色)とすることが望ましい。
【0049】
上記のように梱包体Uを構成することにより、カートリッジPの輸送時において感光ドラム4の汚れまたは傷発生防止と、カートリッジPへのゴミ、ケバ、紙粉などの付着防止または侵入防止が可能となり防塵性を持たせることが可能となる。
【0050】
ユーザが梱包体Uを開梱する際には、梱包部材Kを外して、折り畳まれた開放口HSM1、HSM2を元の状態に戻す。そして、重畳部HSTを分離するために、重畳部HSTがカートリッジPの中央部よりも上側に位置される(図9に示す状態)で作業場に置かれることになる。このとき、重畳部HSTは、カートリッジPの上半分UpHfに重なるように位置される。
【0051】
このとき、露出部4RはカートリッジPの下側PLに位置し、保護シートHSの第1の部分HSK1で覆われた状態となる。言い換えれば、ユーザから見た時、露出部4RはカートリッジPの枠体によって覆い隠された状態となっている。そのため、重畳部HSTを分離した際に、ユーザが露出部4Rを誤って触ることを防止することができる。
【0052】
一方、上述のように、重畳部HSTが、鉛直方向においてカートリッジPの中央部よりも上側に相当する上半分UpHfに重なった状態となる。そのため、貼り付け部材STを取り外してカートリッジPを露出させると、把手TEがカートリッジの上側に位置する状態で露出することになる。上半分UpHfを把持する箇所として、把手TEにユーザを誘導し易くなる。その結果、ユーザは、露出した把手TEをそのまま掴むことができるし、露出部4Rは保護シートHSで覆われたままなので、露出部4Rを避けるような慎重な操作も要求されない。よって、露出部4Rを把持することによる汚れまたは傷発生のリスク
を低減することができる。また、従来のように、カートリッジPを収容袋から取り出し、カートリッジPから保護シートまたは感光ドラムカバーの双方を取り外す作業が必要なくなるため、作業性を向上することができる。
【0053】
また、本実施例において、保護シートHSは、不透明な材質で構成される。保護シートHSの材質が不透明な材質であった場合、カートリッジP全体を覆うと視認性が悪くなり、前述の露出部や把手の位置に気付きにくくなるおそれがある。しかし、上述のように保護シートHSの重畳部HSTの位置が、カートリッジPの中央部よりも上側に相当する位置にあることにより、重畳部HSTが露出部4Rや把手TEの位置を把握する目印となる。そのため、露出部4Rや把手TEの位置を気にしなくても、重畳部HSTを開きやすいように梱包体Uを置くだけで、露出部4Rや把手TEをユーザに好適な位置に配置することができる。
【0054】
また、保護シートHSでカートリッジPの全体を覆うことで、カートリッジPを収納袋に入れる必要がなくなる。また、重畳部HSTを分離するだけで、カートリッジPを取り外すことが可能な状態になる。したがって、カートリッジPを収容袋から取り出す作業が必要なくなるため、作業性を向上することができる。
【0055】
以上のように、カートリッジPに対する梱包体Uの構成について述べてきたが、カートリッジの別形態であるカートリッジPe、カートリッジPfに対しても、梱包体Uは同様の構成をなすことができる。例えば、保護シートHSをカートリッジPe、カートリッジPfに巻き付けて筒状にし、貼り付け部材STを貼り付けた状態をそれぞれ図12図13に示す。
【0056】
図12(a)は、保護シートHSをカートリッジPeに巻き付け筒状にし、貼り付け部材STを貼り付けた状態の斜視図であり、図12(b)は図12(a)を側面から見た図である。
【0057】
図12の状態から開放口HSMe1、HSMe2を形成する両端部を折り畳み、梱包部材Kを装着することで梱包体Ueの形態とすることができる。なお、ここでは、保護シートHSがカートリッジPeに巻き付いた状態をわかりやすくするため、梱包部材Kを不図示としている。このように梱包体Ueを構成することで、カートリッジPの場合と同様に、カートリッジPeの輸送時において感光ドラム4の汚れまたは傷の発生や、カートリッジPeへのゴミ、ケバ、紙粉などの付着または侵入を防止することが可能となる。また、防塵性を持たせることが可能となる。
【0058】
ユーザが梱包体Ueを開梱する際、図12(b)に示すように、重畳部HSTが、カートリッジPeの中央部よりも上側に相当する上半分UpHfeに重なるように位置される。この状態において、露出部4ReがカートリッジPeの下側PLeに位置し、保護シートHSの第1の部分HSK1で覆われた状態となる。
【0059】
さらに、貼り付け部材STを取り外してカートリッジPeを露出させると、把持用凹形状HJeとグリップGPeがカートリッジの上側に位置する状態で露出することになる。すると、カートリッジPeを把持する箇所として、把持用凹形状HJeやグリップGPeにユーザを誘導し易くなる。よって、露出部4Reを把持することによる汚れまたは傷発生のリスクを低減することができる。
【0060】
図13(a)は、保護シートHSをカートリッジPfに巻き付け筒状にし、貼り付け部材STを貼り付けた状態の斜視図であり、図13(b)は図13(a)を側面から見た図である。
【0061】
図13の状態から開放口HSMf1、HSMf2を形成する端部を折り畳み、梱包部材Kを装着することで梱包体Ufの形態とすることができる。なお、図10図12と同様に、保護シートHSがカートリッジPfに巻き付いた状態をわかりやすくするため、梱包部材Kを不図示としている。
【0062】
このように梱包体Ufを構成することにより、カートリッジPの場合と同様に、カートリッジPfの輸送時において感光ドラム4の汚れまたは傷発生防止と、カートリッジPfへのゴミ、ケバ、紙粉などの付着防止または侵入防止が可能となる。また、防塵性を持たせることが可能となる。
【0063】
ユーザが梱包体Ufを開梱する際、図13(b)に示すように、重畳部HSTが、カートリッジPfの中央部よりも上側に相当する上半分UpHffに重なるように位置される。このとき、露出部4RfがカートリッジPfの下側PLfに位置し、保護シートHSの第1の部分HSK1で覆われた状態となる。そのため、貼り付け部材STを取り外してカートリッジPfを露出させると、グリップGPfdとグリップGPfcがカートリッジの上側に位置する状態で露出することになる。すると、カートリッジPfを把持する箇所として、グリップGPfd、GPfcにユーザを誘導し易くなる。よって、露出部4Rfを把持することによる汚れまたは傷発生のリスクを低減することができる。
【0064】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2として、画像形成装置の画像形成動作において前述の現像ローラ6とともに用いられるドラムカートリッジPcに対して梱包体Ucを構成する方法について、図14、15を用いて説明する。
【0065】
まず、カートリッジの別の形態として、図14(a)に示すように、感光ドラム4を備えたドラムユニット8を、カートリッジ化したドラムカートリッジPcとして装置本体2に着脱可能なものにする場合もある。図14(b)は図14(a)を逆方向から見た斜視図である。図14(c)は図14(a)におけるカートリッジPcを側面から見た図であり、図14(d)はカートリッジPcを正面から見た図である。
【0066】
図14(c)に示すように、カートリッジPcの下側を下側PLc、カートリッジPcの中央部よりも上側に相当する上半分の領域を上半分UpHfcとし、感光ドラム4の露出部としての転写部TSは下側PLcの範囲にある。上半分UpHfcは、カートリッジPcの高さをLPhcとした場合、高さLPhcの半分(LPhc/2)より上方に位置する。また、カートリッジPcの装置本体2への装着方向をW2とし、ユーザがカートリッジPcを移動させる際に操作し易くするため、カートリッジPと同様に把手TEcが形成されている。
【0067】
図15(a)は、保護シートHSをカートリッジPcに巻き付け筒状にし、貼り付け部材STを貼り付けた状態の斜視図であり、図15(b)は図15(a)を側面から見た図である。
【0068】
図15の状態から開放口HSMc1、HSMc2(図15(a))を形成する端部を折り畳み、梱包部材Kを装着することで梱包体Ucの形態とすることができる。なお、実施例1と同様に、保護シートHSがカートリッジPcに巻き付いた状態をわかりやすくするため、梱包部材Kを不図示としている。
【0069】
また、このように梱包体Ucを構成することにより、カートリッジPcの輸送時において、感光ドラム4の汚れまたは傷発生防止と、カートリッジPcへのゴミ、ケバ、紙粉な
どの付着防止または侵入防止が可能となる。また、防塵性を持たせることが可能となる。
【0070】
ユーザが梱包体Ucを開梱する際、図15(b)に示すように、重畳部HSTが、カートリッジPcの中央部よりも上側に相当する上半分UpHfcに重なるように位置される。このとき、転写部TSがカートリッジPcの下側PLcに位置し、保護シートHSの第1の部分HSK1で覆われた状態となる。
【0071】
そのため、貼り付け部材STを取り外してカートリッジPcを露出させると、把手TEcがカートリッジの上側に位置する状態で露出することになるので、カートリッジPcを把持する箇所として、把手TEcにユーザを誘導し易くなる。よって、ユーザが梱包体Ucを開梱する際、感光ドラム4を把持することによる汚れまたは傷発生のリスクを低減することができる。
【0072】
さらに、実施例1と同様に、重畳部HSTが露出部や把手TEcの位置を把握する目印となる。そのため、露出部や把手TEcの位置を気にしなくても、重畳部HSTを開きやすいように梱包体Ucを置くだけで、露出部や把手TEcをユーザに好適な位置に配置することができる。
【0073】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3として、現像カートリッジPdに対して梱包体Udを構成する方法について、図16、17を用いて説明する。
【0074】
まず、カートリッジの別の形態として、図16(a)に示すように、現像装置9を、カートリッジ化した現像カートリッジPdとして装置本体2に着脱可能なものにする場合もある。図16(b)は図16(a)を逆方向から見た斜視図である。図16(c)は図16(a)におけるカートリッジPdを側面から見た図であり、図16(d)はカートリッジPdを正面から見た図である。
【0075】
図16(c)に示すように、カートリッジPdの下側を下側PLd、カートリッジPdの中央部よりも上側に相当する上半分の領域を上半分UpHfdとし、現像ローラ6の露出部としての現像部GZは下側PLdの範囲にある。上半分UpHfdは、カートリッジPdの高さをLPhdとした場合、高さLPhdの半分(LPhd/2)より上方に位置する。また、カートリッジPdの装置本体2への装着方向をW3とし、ユーザがカートリッジPdを移動させる際に操作し易くするため、把手TEdが形成されている。
【0076】
図17(a)は、保護シートHSをカートリッジPdに巻き付け筒状にし、貼り付け部材STを貼り付けた状態の斜視図であり、図17(b)は図17(a)を側面から見た図である。
【0077】
図17の状態から開放口HSMd1、HSMd2(図17(a))を形成する端部を折り畳み、梱包部材Kを装着することで梱包体Udの形態とすることができる。なお、実施例1、2と同様に、保護シートHSがカートリッジPdに巻き付いた状態をわかりやすくするため、梱包部材Kを不図示としている。
【0078】
このように梱包体Udを構成することにより、カートリッジPdの輸送時において、現像ローラ6の汚れまたは傷発生防止と、カートリッジPdへのゴミ、ケバ、紙粉などの付着防止または侵入防止が可能となる。
【0079】
ユーザが梱包体Udを開梱する際、図17(b)に示すように、重畳部HSTが、カートリッジPdの中央部よりも上側に相当する上半分UPHfdに重なるように位置される
。このとき、現像部GZがカートリッジPdの下側PLdに位置する。
【0080】
そのため、貼り付け部材STを取り外してカートリッジPdを露出させると、把手TEdがカートリッジの上側に位置する状態で露出することになるので、カートリッジPdを把持する箇所として、把手TEdにユーザを誘導し易くなる。よって、ユーザは梱包体Udを開梱する際、現像ローラ6を把持することによる汚れまたは傷発生のリスクを低減することができる。
【0081】
さらに、実施例1と同様に、重畳部HSTが露出部や把手TEdの位置を把握する目印となる。そのため、露出部や把手TEdの位置を気にしなくても、重畳部HSTを開きやすいように梱包体Udを置くだけで、露出部や把手TEdをユーザに好適な位置に配置することができる。
【0082】
(実施例4)
次に、本発明の実施例4として、重畳部HSTの固定をシールSTではなく、シート固定用ピンPNを用いてカートリッジに固定する方法について図18を用いて説明する。
【0083】
図18(a)はカートリッジPgの斜視図であり、実施例1のカートリッジPに対して、シート固定用ピンPNを挿入して固定するためのピン挿入部PHをドラムユニット8の略中央部に設けている。図18(b)はカートリッジPgを側面方向から見たものである。図18(c)はシート固定用ピンPNの斜視図であり、図18(d)は図18(c)における矢視Xを示すものである。カートリッジPgに保護シートHSを巻き付け、シート固定用ピンPNを挿入して固定した状態を図18(e)に示す。また、図18(f)は図18(e)のAA断面図であり、シート固定用ピンPNとカートリッジPgの間に重畳部HSTが位置している状態を示している。図18(g)は図18(e)の側面方向から見たものである。
【0084】
図18(b)に示すように、感光ドラム4がカートリッジPgの枠体から露出している箇所を露出部4Rg、カートリッジPgの下側を下側PLg、カートリッジPgの中央部よりも上側に相当する上半分の領域を上半分UpHfgとする。上半分UpHfgは、カートリッジPgの高さをLPhgとした場合、高さLPhgの半分(LPhg/2)より上方に位置する。また、カートリッジPgの装置本体2への装着方向をW2とし、ユーザがカートリッジPを移動させる際に操作し易くするため、現像装置9に把手TEgを設けている。
【0085】
図18(e)、図18(f)、図18(g)に示すように、シート固定用ピンPNとカートリッジPgの間に重畳部HSTを固定することができる。このように保護シートHSをカートリッジPgに直接固定することにより、第2の部分HSK2と第3の部分HSK3が分離することを規制し、重畳部HSTの位置を安定させることができる。
【0086】
図18(e)の状態から開放口HSMg1、HSMg2を形成する端部を折り畳み、梱包部材Kを装着することで梱包体Ugの形態とすることができる。なお、他の実施例と同様に、保護シートHSがカートリッジPgに巻き付いた状態をわかりやすくするため、梱包部材Kを不図示としている。また、このように梱包体Ugを構成することにより、カートリッジPgの輸送時において、感光ドラム4の汚れまたは傷発生防止と、カートリッジPgへのゴミ、ケバ、紙粉などの付着防止または侵入防止が可能となる。また、防塵性を持たせることが可能となる。
【0087】
さらに、ユーザが梱包体Ugを開梱する際、重畳部HSTが、カートリッジPgの中央部よりも上側に相当する上半分UpHfgに重なるように位置される。そして、露出部4
RgがカートリッジPgの下側PLgに位置される。
【0088】
そのため、シート固定用ピンPNを取り外してカートリッジPgを露出させると、把手TEgと上半分UPHgがカートリッジの上側に位置する状態で露出することになるので、カートリッジPgを把持する箇所として、把手TEgにユーザを誘導し易くなる。そのため、ユーザが梱包体Ugを開梱する際、露出部4Rgを把持することによる汚れまたは傷発生のリスクを低減することができる。
【0089】
さらに、貼り付け部材STの場合と同様に、重畳部HSTの位置にシート固定用ピンPNがあることで、露出部4Rgや把手TEgの位置を把握する目印となる。そのため、露出部4Rgや把手TEgの位置を気にしなくても、重畳部HSTを開きやすいように梱包体Ugを置くだけで、露出部4Rgや把手TEgをユーザに好適な位置に配置することができる。
【0090】
尚、ピン挿入部PHについては、本実施例ではドラムユニット8の中央に一つ設けられているが、これに限らず、ドラムユニット8の両端にそれぞれ一つ設けてもよい。また、ピン挿入部PHは現像装置9に設けてもよい。また、感光ドラム4と現像ローラ6の間、または、ドラムユニット8と現像装置9の間にピン挿入部PHを設けて、シート固定用ピンPNを挿入して固定することで、感光ドラム4と現像ローラ6を離間させた状態で梱包体Ugを形成することも可能である。その場合、輸送中の振動や衝撃などにより、感光ドラム4と現像ローラ6の衝突による傷発生を低減することもできる。
【0091】
(実施例5)
次に、本発明の実施例5として、ユーザが開梱時にカートリッジPを開放口HSM1、HSM2(図10)から滑り落とすことを防止する方法について、図19を用いて説明する。
【0092】
図19(a)は、図9のようにカートリッジPに保護シートHSを巻き付け、貼り付け部材STで重畳部HSTを固定した状態の後、開放口HSM1、HSM2の略中央を糸で縫い付けたものを示す。開放口HSM1を縫い付けた部分を縫い付け部NTB1とし、開放口HSM2を縫い付けた部分を縫い付け部NTB2とする。また、図19(b)は図19(a)を側面方向から見たものであり、開放口HSM1、HSM2の略中央の一部が縫い付け部NTB1、NTB2により閉じた状態を示す。これにより、カートリッジPは保護シートHSの幅方向WWへの移動が規制され、ユーザが開梱時にカートリッジPを幅方向WWから滑り落としてしまうことを防止することができる。
【0093】
ここで、糸の材質は、例えば、コットン、またはウール、またはシルク、または麻、またはセルロースなどがある。尚、開放口HSM1、HSM2を閉じる方法については糸で縫うことに限らない。例えば、溶着や、両面テープまたはデンプン糊による接着や、針なしステープラーなどで閉じる方法でもよい。
【0094】
(実施例6)
次に、本発明の実施例6として、保護シートHSの一部HSaを感光ドラム4と現像ローラ6の間に挟み込んだ状態の梱包体Uhについて図20を用いて説明する。
【0095】
図20(a)は保護シートHSの一部HSaを感光ドラム4と現像ローラ6の間に挟み込んだ梱包体Uh(梱包部材Kは不図示)であり、図20(b)は図20(a)のBB断面を示すものである。保護シートHSの周長Aを実施例1~5の場合よりも長く設定し、図20(b)に示すように、保護シートHSの一部HSaが感光ドラム4と現像ローラ6の間に挟み込んだ状態で、重畳部HSTを貼り付け部材STで固定している。
【0096】
このように、感光ドラム4と現像ローラ6の間に保護シートHSの一部HSaを挟むことにより、輸送中の振動や衝撃による感光ドラム4と現像ローラ6の衝突が緩和され、感光ドラム4と現像ローラ6の傷発生を低減することができる。
【0097】
また、従来のドラムカバーの中には感光ドラム4と現像ローラ6を離間させて、感光ドラム4と現像ローラ6の傷発生を低減させる機能を持たせている場合がある。そのため、上述した梱包体Uhにより、従来の離間機能のあるドラムカバーをも不要とした構成を成すことができる。よって、ユーザは梱包物を開梱する際、収容袋とドラムカバーの双方を取り外す必要がなくなり、作業性を向上することができる。
【符号の説明】
【0098】
P、Pe、Pf、Pg…カ-トリッジ、PY…第1のカ-トリッジ、PM…第2のカ-トリッジ、PC…第3のカ-トリッジ、PK…第4のカ-トリッジ、Pd…現像カートリッジ、Pc…ドラムカートリッジ、UpHf、UpHfc、UpHfd、UpHfe…上半分、UpHff、UpHfg…上半分、4R、4Re、4Rf…露出部、GZ…現像部、HS…保護シート、HST…重畳部、HSK1…第1の部分、HSK2…第2の部分、HSK3…第3の部分、U、Uc、Ud、Ue、Uf、Ug…梱包体
図1
図2
図3
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図5
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図7
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