(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】正確なバルーン計算及び可視化
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
A61B18/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019235822
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-10-21
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】リオール・ザール
(72)【発明者】
【氏名】ツルゲマン・アハロン
(72)【発明者】
【氏名】ナタン・シャロン・カッツ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・コーエン
(72)【発明者】
【氏名】リモール・プロビゾール
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/191149(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0280080(US,A1)
【文献】国際公開第2018/220479(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0116550(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、前記シャフトの遠位端に装着された膨張可能バルーンと、前記膨張可能バルーン上に配置された複数の電極と、を有するバルーンカテーテルと、
ディスプレイと、
プロセッサであって、
3次元(3D)空間における前記複数の電極のそれぞれの電極位置を示す信号を受信し、
前記受信した信号に基づいて、前記複数の電極の前記それぞれの電極位置を計算し、
前記電極位置の
組み合わせによって画定される複数の仮想平面の中から、
前記仮想平面と前記電極の距離が所与の許容差内
である前記電極の数が最大
である仮想平面を選択し、
前記選択された仮想平面
上の電極位置に
適合する仮想円を生成し、
前記3D空間内の前
記仮想円の位置及び向きに基づいて、前記バルーンカテーテルの3D表現を前記ディスプレイにレンダリングするように構成された、プロセッサと、を備える、
前記プロセッサが、選択された前記仮想平面と前記電極の距離が所与の許容差内である電極位置から新たな仮想平面を計算し、
前記所与の許容差内にある前記電極位置を前記新たな仮想平面上に垂直投影し、
前記円を投影された電極位置に適合させるように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記プロセッサが、前記電極位置から選択された3つの電極位置の
組み合わせから前記複数の仮想平面を計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記電極位置のうちの1つの電極位置が、前記電極位置のうちの他の1つに対して所与の近接で配置されている場合に、前記複数の仮想平面の前記計算から及び前記仮想平面の前記選択から前記1つの電極位置を除去するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記電極位置のうちの少なくとも2つが所与の近接内にある場合、前記複数の仮想平面の前記計算及び前記仮想平面の前記選択
に前記少なくとも2つの電極位置
の平均位置を前記電極位置として使用するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記電
極のうちの1つの電極
の電気信号が
欠陥電極を示す電気信号を有する場合、前記複数の仮想平面の前記計算から及び前記仮想平面の前記選択から前記1つの電極位置を除去するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサが
前記仮想平面と前記
各電極位置
との
距離に基づく近接スコアを計算
し、最も高い近接スコアを有する前
記仮想平
面を選択するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサが、最小二
乗法を使用して、前記選択された仮想平面の前記所与の許容差内にある前記電極位置から、前記新たな仮想平面を計算するように構成されている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサが、磁気に基づく位置追跡又はインピーダンスに基づく位置追跡のうちの少なくとも1つの前記受信した信号に基づいて、前記複数の電極の前記それぞれの電極位置を計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、生体内のプローブ位置を計算することに関し、具体的には、位置測定値を改善することに関する。
【背景技術】
【0002】
挿入管、カテーテル、及びインプラントなどの体内プローブの位置を追跡することは、多くの医療処置に必要とされている。例えば、米国特許出願公開第2014/0095105号は、1つ以上の全体的な変換関数若しくは補間関数、及び/又は1つ以上の局所変換関数の決定を含むことができる、電流ベースの座標系を補正及び/又はスケーリングするためのアルゴリズムについて記載している。全体的及び局所変換関数は、全体的な計量テンソル及びいくつかの局所計量テンソルを計算することにより決定され得る。計量テンソルは、カテーテルにおける空間が近いセンサ間の所定の距離及び測定された距離に基づいて計算され得る。
【0003】
Markowitzらの米国特許出願公開第2009/0264738号は、複数の位置を識別し、マッピング器具の複数の位置を保存するように動作可能なシステムによってマッピングされる患者の体積を記載している。マッピング器具は、1つ又は2つ以上の電極を含むことができ、これらの電極は、検知又は測定時の電極の三次元位置に関連付けられ得る電圧を検知することができる。したがって、体積のマップは、他の画像化機器を用いずに、複数の点の検知に基づいて決定することができる。植込み型医療器具は、次いで、マッピングデータに関連して操作され得る。
【0004】
Jenkinsらの米国特許出願公開第2010/0317962号は、対向する遠位端部分及び近位端部分を有する、細長く柔軟性のあるシャフトを含む、MRIに適合したカテーテルを記載している。この近位端部分はハンドルに取り付けられており、このハンドルは、シャフトの遠位端部分とつながったアクチュエータを含み、このアクチュエータにより、シャフトの遠位端部分が関節運動させられるように構成されている。シャフトの遠位端部分は、アブレーション先端部を含んでいてもよく、また、MRIスキャン装置に電気的に接続されたアブレーション先端部に近接して配置された、少なくとも1つのRFトラッキングコイルを含む。この少なくとも1つのRFトラッキングコイルは、少なくとも1つのRFトラッキングコイルがMRI環境に晒される際に、カップリングを低減する回路に電気的に接続されている。各RFトラッキングコイルは、巻数が1~10のソレノイドコイルであり、カテーテルの長手方向に沿った長さが約0.25mm~約4mmである。
【0005】
Peszynskiらの米国特許第6,592,520号は、血管内画像化のための超音波システム及び方法を記載している。超音波システムは、超音波トランスデューサアレイ、送信ビーム形成器、受信ビーム形成器、及び画像生成器を有する血管内カテーテルを含む。血管内カテーテルは、血管内に挿入され、カテーテルハンドルに接続されるように作製された細長い本体を有する。カテーテルは、両方とも近位部及び遠位部を有する、操縦可能なガイドシースの内側に位置するカテーテルコアを含む。カテーテルは、検査される組織領域に対して選択された向きを有するようにトランスデューサアレイを位置決めするための位置決め装置に接続された関節運動領域を含む。トランスデューサアレイの各向きについて、送信及び受信ビーム形成器は、検査される組織領域の画像化された仮想平面にわたる超音波データを取得する。カテーテルコアは、所定の角度範囲にわたって回転又は振動するように構成及び配置された回転装置に接続され、トランスデューサアレイは、多数の画像化された仮想平面にわたって超音波データを取得する。画像生成器は、取得された超音波データに基づいて選択された組織画像を形成するように構成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で提供される開示のおかげで、本発明者らは、ナビゲーションのために医療用プローブ上に配置された実際の電極の位置のより高い精度で医師が観察するとともに、身体器官の仮想3D環境において表されるような様々な実際の電極を直接制御することを可能にすることによって、電気生理学の技術分野を進化させた。
【0007】
したがって、本開示の実施形態によれば、シャフトと、シャフトの遠位端に装着された膨張可能バルーンと、膨張可能バルーン上に配置された複数の電極と、を有するバルーンカテーテルと、ディスプレイと、プロセッサであって、3次元(3D)空間内の複数の電極のそれぞれの電極位置を示す信号を受信し、受信した信号に基づいて複数の電極のそれぞれの電極位置を計算し、電極位置の異なるそれぞれのグループによって画定される複数の仮想平面の中から、所与の許容差まで最大数の電極位置を含む仮想平面を選択し、選択された仮想平面の所与の許容差内にある電極位置に基づく点に円を適合させ、3D空間内の適合した仮想円の位置及び向きに基づいて、バルーンカテーテルの3D表現をディスプレイにレンダリングするように構成されたプロセッサとを含む、システムが提供される。
【0008】
更に、本開示の実施形態によれば、プロセッサは、電極位置から選択された3つの電極位置の異なるそれぞれのグループから複数の仮想平面を計算するように構成されている。
【0009】
また更に、本開示の実施形態によれば、プロセッサは、電極位置のうちの1つの電極位置が、電極位置のうちの他の1つに対して所与の近接性で配置されている場合に、複数の仮想平面の計算から及び仮想平面の選択から1つの電極位置を除去するように構成されている。
【0010】
更に、本開示の実施形態によれば、プロセッサは、電極位置のうちの少なくとも2つが所与の近接内にある場合、複数の仮想平面の計算及び仮想平面の選択に使用するために少なくとも2つの電極位置を融合するように構成されている。
【0011】
更に、本開示の実施形態によれば、プロセッサは、電極位置のうちの1つの電極位置が所与の値未満である関連する電気信号を有する場合、複数の仮想平面の計算から及び仮想平面の選択から1つの電極位置を除去するように構成されている。
【0012】
更に、本開示の実施形態によれば、複数の仮想平面からの多数の仮想平面は、それぞれ、所与の許容差内の最大数の電極位置を含み、プロセッサは、多数の仮想平面のうちの各1つの仮想平面について、1つの仮想平面の、1つの仮想平面との所与の許容差内の電極位置の近接スコアを計算し、選択された仮想平面として最も高い近接スコアを有する多数の仮想平面のうちの1つを選択するように構成されている。
【0013】
また更に、本開示の実施形態によれば、プロセッサは、選択された仮想平面の所与の許容差内にある電極位置から、新たな仮想平面を計算するように構成されている。
【0014】
更に、本開示の実施形態によれば、プロセッサは、最小二乗適合法を使用して、選択された仮想平面の所与の許容差内にある電極位置から、新たな仮想平面を計算するように構成されている。
【0015】
更に、本開示の実施形態によれば、プロセッサは、選択された仮想平面の所与の許容差内にある電極位置を新たな仮想平面上に投影し、円を投影された電極位置に適合させるように構成されている。
【0016】
更に、本開示の実施形態によれば、プロセッサは、新たな仮想平面に対して垂直な方向に電極位置を投影するように構成されている。
【0017】
また更に、本開示の実施形態によれば、プロセッサは、磁気に基づく位置追跡又はインピーダンスに基づく位置追跡のうちの少なくとも1つの受信した信号に基づいて、複数の電極のそれぞれの電極位置を計算するように構成されている。
【0018】
本開示の他の実施形態によれば、3次元(3D)空間における複数の電極のそれぞれの電極位置を示す信号を受信することと、受信した信号に基づいて、複数の電極のそれぞれの電極位置を計算することと、電極位置の異なるそれぞれのグループによって画定される複数の仮想平面の中から、所与の許容差内まで最大数の電極位置を含む仮想平面を選択することと、選択された仮想平面の所与の許容差内にある電極位置に基づく点に、円を適合させることと、3D空間内の適合した仮想円の位置及び向きに基づいて、バルーンカテーテルの3D表現を表示するようにレンダリングすることと、を含む、方法も提供される。
【0019】
更に、本開示の実施形態によれば、本方法は、電極位置から選択された3つの電極位置の異なるそれぞれのグループから複数の仮想平面を計算することを含む。
【0020】
更に、本開示の実施形態によれば、本方法は、電極位置のうちの1つの電極位置が、電極位置のうちの他の1つに対して所与の近接で配置されている場合に、複数の仮想平面の計算から及び仮想平面の選択から1つの電極位置を除去することを含む。
【0021】
更に、本開示の実施形態によれば、本方法は、電極位置のうちの少なくとも2つが所与の近接内にある場合、複数の仮想平面の計算及び仮想平面の選択に使用するための少なくとも2つの電極位置を融合することを含む。
【0022】
また更に、本開示の実施形態によれば、本方法は、電極位置のうちの1つの電極位置が所与の値未満である関連する電気信号を有する場合、複数の仮想平面の計算から及び仮想平面の選択から1つの電極位置を除去することを含む。
【0023】
更に、本開示の実施形態によれば、複数の仮想平面からの多数の仮想平面は、それぞれ、所与の許容差内の最大数の電極位置を含み、本方法は、更に、多数の仮想平面のうちの各1つの仮想平面について、1つの仮想平面の、1つの仮想平面との所与の許容差内の電極位置の近接スコアを計算することと、選択された仮想平面として最も高い近接スコアを有する多数の仮想平面のうちの1つを選択することとを含む。
【0024】
更に、本開示の実施形態によれば、本方法は、選択された仮想平面の所与の許容差内にある電極位置から、新たな仮想平面を計算することを含む。
【0025】
更に、本開示の実施形態によれば、新たな仮想平面を計算することは、最小二乗適合法を使用して、選択された仮想平面の所与の許容差内にある電極位置から、新たな仮想平面を計算することを含む。
【0026】
また更に、本開示の実施形態によれば、本方法は、選択された仮想平面の所与の許容差内にある電極位置を新たな仮想平面上に投影することを含み、適合させることは、投影された電極位置に円を適合させることを含む。
【0027】
更に、本開示の実施形態によれば、投影することは、新たな仮想平面に対して垂直な方向に電極位置を投影することを含む。
【0028】
更に、本開示の実施形態によれば、それぞれの電極位置を計算することは、磁気に基づく位置追跡又はインピーダンスに基づく位置追跡のうちの少なくとも1つを使用して、それぞれの位置を計算することを含む。
【0029】
本開示の更に他の実施形態によれば、プログラム命令が格納される非一時的なコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品であって、命令が中央処理装置(CPU)によって読み取られると、CPUに、3次元(3D)空間内の複数の電極のそれぞれの電極位置を示す信号を受信させ、受信した信号に基づいて、複数の電極のそれぞれの電極位置を計算させ、電極位置の異なるそれぞれのグループによって画定される複数の仮想平面の中から、所与の許容差内まで最大数の電極位置を含む仮想平面を選択させ、選択された仮想平面の所与の許容差内にある電極位置に円を適合させ、3D空間内の適合した仮想円の位置及び向きに基づいて、バルーンカテーテルの3D表現を表示させる、ソフトウェア製品も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明は、添付の図面と併せると、以下の詳細な説明から理解されよう。
【
図1】本発明の実施形態にかかるカテーテルベースの位置追跡及び切除システムの概略図である。
【
図2】
図1のシステムで使用されるバルーンカテーテルの概略図である。
【
図3】
図2のバルーンカテーテル上の様々なデータ点の概略図である。
【
図4A】
図2のバルーンカテーテル上の様々なデータ点の代替概略図である。
【
図4B】
図2のバルーンカテーテル上の様々なデータ点の代替概略図である。
【
図5】
図1のシステムの動作方法における例示的なステップを含むフローチャートである。
【
図6A】心臓(又は任意の身体組織)内の所望の組織位置にナビゲートするために、医療提供者が見ることになる心房内のバルーンカテーテルのそれぞれの3Dレンダリング画像の概略図である。
【
図6B】心臓(又は任意の身体組織)内の所望の組織位置にナビゲートするために、医療提供者が見ることになる心房内のバルーンカテーテルのそれぞれの3Dレンダリング画像の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
概説
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、所定の実施形態を示しており、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。詳細な説明は、本発明の原理を限定ではなく一例として例証するものである。この説明により、当業者が本発明を作製し使用することが明確に可能になり、本発明を実施する最良の形態であると現時点において考えられるものを含む、本発明のいくつかの実施形態、適用例、変形例、代替例、及び使用が説明される。
【0032】
本明細書で任意の数値や数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べるその意図された目的に沿って機能することを可能とする、適当な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±10%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指し得る。更に、本明細書で使用するとき、用語「患者」、「ホスト」、「ユーザー」、及び「被験者」は、任意のヒト又は動物被験体を指し、システム又は方法をヒトにおける使用に限定することを意図していないが、ヒト患者における本発明の使用は、好ましい実施形態を代表するものである。同様に、用語「近位」は、操作者に近い方の位置を示す一方、「遠位部」は、操作者又は医師から更に遠い位置を示す。最後に、用語「仮想」は、特定のオブジェクト又は抽象幾何学的インジケータのコンピュータ生成表現を示す。
【0033】
心臓内でバルーンカテーテルの画像を正しく表示するために、バルーンの位置及び向きは、正確に知られる必要がある。バルーンの位置及び向きは、バルーン上の電極のそれぞれの位置を見出し、バルーンが実際に球体であると仮定すると、バルーンを囲む適合仮想円の中心及び半径を見出すことによって見出すことができる。位置は、任意の好適な位置測定システムを使用して見出すことができる。しかしながら、個々の電極位置のそれぞれはノイズが多いため、画像はまた、電極位置のフィルタリング及びノイズ低減後であっても、カテーテルが定常とすることができてもノイズに起因して移動するように見える。医療処置を行う医師は、その後、カテーテルの現在位置に疑いをもち、これは、医療処置を減速させることがあり、及び/又は重大な望ましくない結果をもたらすことがある。
【0034】
本発明の実施形態は、バルーンのレンダリングされた画像におけるノイズを低減するために、バルーンの位置及び向きの計算精度を改善する。適切な位置決めシステムを使用して、仮想3次元(3D)空間内のバルーン上に配置された電極のそれぞれの電極位置を示す信号が受信される。電極位置は、受信した信号から計算されることができる。任意の所与の電極は3D形態を有するが、電極は、概念的な点-位置によって表されてもよい。
【0035】
準備ステップとして、例えば欠陥電極に起因して偽であるように見える電極位置は、特定された「偽」電極位置が分析を過度に重み付けすることがあるため、以下に記載される分析の継続に使用するために除去又は融合されることができる。
【0036】
3D空間内の異なる仮想平面は、計算された電極位置から選択される3つの電極位置の異なる組み合わせによって画定されることができる。仮想平面のそれぞれは、分析されて仮想平面の所与の許容差内にある電極位置の数を計算することができる。許容差は、仮想平面から所与の距離(例えば、±3mm又はその絶対値)、又は仮想平面の中心からの所与の角度変位(例えば、±25度又はその絶対値)として定義されることができる。そして、最大数の電極位置を含む仮想平面は、バルーンの赤道を最も良く画定する円を含む仮想平面として選択される。
【0037】
例として、10個の電極位置では、3つの電極位置の120個の異なるセット、したがって3D空間内の120個の可能な仮想平面が存在することができる。120個の可能な仮想平面のそれぞれの残りの7つの電極位置が考慮され、3D仮想平面の所与の許容差内の最大数の電極位置を有する3D仮想平面は、バルーンの赤道を最も良く画定する円を含む仮想平面であると仮定される。
【0038】
最大数の電極位置を含む2つ以上の仮想平面が存在する場合、仮想平面のうちの1つ(仮想平面の所与の許容差内にある最大数の電極位置を有する)は、ランダムに、又は仮想平面の所与の許容差内にある仮想平面と電極位置との間の近接性を測定する近接スコアに基づいて選択されることができる。
【0039】
そして、選択された仮想平面は、バルーンの位置及び向きを計算するための基準として使用されることができる。いくつかの実施形態では、新たな仮想平面は、最小二乗法アルゴリズムなどの適合アルゴリズムを使用して、選択された仮想平面の所与の許容差内にある電極位置から計算される。そして、選択された仮想平面の所与の許容差内にある電極位置は、新たな仮想平面上に投影される。いくつかの実施形態では、電極位置は、選択された仮想平面上に投影されることができる。
【0040】
そして、システムは、投影された電極位置に仮想円を適合させることができる。仮想円は、3D空間内の中心位置、半径及び向きを有し、それによって3D空間内のバルーンの赤道の位置及び向きを提供する。
【0041】
バルーンカテーテルは、例えば、限定されるものではないが、参照により本明細書に組み込まれるZarらの米国特許出願公開第2018/0182157号に記載されている画像化方法を使用するなど、任意の好適な方法に基づいて、グラフィック処理ユニット(GPU)を使用して画像化されることができる。具体的にはZar,らの段落31~48は、電気解剖学的マップ上に二次曲面をレンダリングすることを記載している。二次曲面の例には、球体、楕円体、円筒体、円錐体、双曲放物面、放物面、及び双極面が挙げられる。画像化は、膨張可能バルーンのスプラインの機械的データを使用することを含んでもよく、膨張可能バルーンのスプライン間に物質が存在し、様々な二次曲面を組み合わせてバルーンカテーテルの画像を形成することを想定してもよい。機械的データに基づく他の画像化方法、並びに円の位置及び向きを使用してバルーンカテーテルを画像化してもよい。
【0042】
システムの説明
参照により本明細書に援用される文書は本出願の一体部分とみなされるべきであり、いずれかの用語が、それらの援用された文書内で、本明細書で明示的又は暗示的に行われる定義と相反するように定義される場合を除き、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【0043】
ここで、本発明の実施形態にかかるカテーテルベースの位置追跡及び切除システム20の概略図である
図1を参照する。本発明の一実施形態によるバルーンカテーテル40の概略図である
図2も参照する。
【0044】
位置追跡及び切除システム20は、
図1の差し込み
図25に示されかつ更に詳細に
図2に示されるバルーンカテーテル40の位置を判定するために使用される。バルーンカテーテル40は、シャフト22と、シャフト22の遠位端に装着される膨張可能バルーン45と、を含む。典型的には、バルーンカテーテル40は、例えば、左心房における心臓組織の空間的切除などの治療処置に使用される。
【0045】
位置追跡及び切除システム20は、膨張可能バルーン45の両側でシャフト22に装着された感知電極52(近位電極52a及び遠位電極52b)と、近位電極52aのすぐ近位に装着された磁気センサ50とに基づいて、バルーンカテーテル40のシャフト22の位置及び向きを判定することができる。近位電極52a、遠位電極52b、及び磁気センサ50は、シャフト22を通って延びるワイヤによって、コンソール24内の様々なドライバ回路に接続されている。いくつかの実施形態では、遠位電極52bは省略されてもよい。
【0046】
シャフト22は、長手方向軸51を画定する。軸51上の中心点58は、膨張可能バルーン45の球体形状の原点であり、膨張可能バルーン45の公称位置を画定する。複数の切除電極55は、膨張可能バルーン45の周囲に配設され、感知電極52a及び52bよりも大きな面積を占めている。心臓組織を切除するために、高周波電力が切除電極55に供給されてもよい。
【0047】
典型的には、配設された切除電極55は、膨張可能バルーン45の赤道に沿って均等に分布され、この赤道は、シャフト22の遠位端の長手方向軸51に対して略垂直に位置合わせされている。
【0048】
図2に示されている図は、単に概念を明確化する目的のために選択されている。感知電極52及び切除電極55の他の構成も可能である。磁気センサ50には、追加の機能が含まれてもよい。明確にするために、洗浄ポートなど、本発明の開示された実施形態に関連しない要素は省略されている。
【0049】
図1に示されるように、医師30は、カテーテルの近位端の近傍のマニピュレータ32を使用してシャフト22を操作すること及び/又はシース23からの偏向によって、バルーンカテーテル40を患者28の心臓26内の標的位置に誘導する。バルーンカテーテル40がシース23に挿入されている間、膨張可能バルーン45は収縮しており、バルーンカテーテル40がシース23から後退した後にのみ、膨張可能バルーン45は膨張し、意図した機能的形状に復帰する。バルーンカテーテル40を収縮構成で収容することにより、シース23は、標的位置へ向かう間の血管外傷を最小限に抑える役割を果たす。
【0050】
コンソール24は、プロセッサ41、典型的には汎用コンピュータと、ケーブル39を通って患者28の胸部及び患者の背側に延びるワイヤによって取り付けられた表面電極49において信号を生成する、及び/又は表面電極49から信号を受信する好適なフロントエンド及びインタフェース回路44と、を含む。
【0051】
コンソール24は、磁気感知サブシステムを更に備える。患者28は、磁場発生コイル42を含むパッドによって生成された磁場内に置かれ、この磁場発生コイルは、コンソール24に配設されたユニット43によって駆動される。コイル42によって発生した磁場は、磁気センサ50内に指向性信号を生成し、次いで、この信号は対応する電気入力としてプロセッサ41に供給される。
【0052】
いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、感知電極52、磁気センサ50、及び切除電極55から受信した位置信号を使用して、心室内などの器官内のバルーンカテーテル40の位置を推定する。いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、電極52、55から受信した位置信号と以前に取得した磁気位置較正位置信号と相関させて、心室内のバルーンカテーテル40の位置を推定する。感知電極52a及び52b(ここでは「52」とまとめて称される)並びに切除電極55の位置座標は、他の入力の中でも、電極52、55と表面電極49との間で測定されるインピーダンス、又は電流分布の割合に基づいて、プロセッサ41によって判定されることができる。コンソール24は、心臓26内のカテーテル位置の遠位端を示すディスプレイ27を駆動する。
【0053】
電流分布測定値及び/又は外部磁場を使用する位置感知方法は、様々な医療用途で、例えば、Biosense Webster Inc.(カリフォルニア州アーバイン)により製造されるCarto(登録商標)システムに実装されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、同第6,332,089号、同第7,756,576号、同第7,869,865号、及び同第7,848,787号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号、及び同第2004/0068178(A1)号に詳述されており、これらの開示は参照により本明細書に全文を組み込む。
【0054】
Carto(登録商標)3システムは、有効電流位置(ACL)のインピーダンスベースの位置追跡方法を適用する。いくつかの実施形態では、上述したACL法を使用して、プロセッサ41は、感知電極52及び切除電極55の位置を推定する。いくつかの実施形態では、電極52、55から受信された信号は、感知電極52、55によって測定されたインピーダンス(又は他の電気的値)を、磁気位置較正位置信号から以前に取得された位置とマッピングするマトリックスと相関させる。
【0055】
いくつかの実施形態では、磁気センサを含まないカテーテルを可視化するために、プロセッサ41は、独立電流位置(ICL)法と称される電気信号ベースの方法を適用することができる。ICL方法では、プロセッサ41は、ある体積のバルーンカテーテル40の各ボクセルについて、局所スケーリング係数を計算する。この係数は、投げなわ形状のカテーテルのような、既知の空間的関係を有する複数の電極を備えたカテーテルを使用して決定される。しかしながら、(例えば、数ミリメートルにわたる)正確な局所スケーリングをもたらすが、ICLは、そのサイズが、約数センチメートルであるバルーンカテーテルに適用されるときには、それほど正確ではないと考えられる。切除電極55によって生成された位置信号は、典型的には、粗すぎてそれら自体では有用ではない(例えば、それらは切除電極の大きな面積に起因して空間に広がっている)と考えられる。電流分布比に基づいて位置が計算されるICL方法は、電流ベースのICL空間の非線形的性質のせいで、誤差を有する可能性があり、歪んだ形状のバルーンカテーテル40を示すことができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、開示されたICL方法を適用し、投げ縄状カテーテルの電極間の既知の小スケール距離だけでなく、膨張可能バルーン45の端部における感知電極52間の既知の距離に基づく大スケール距離に基づいて、バルーンカテーテルの形状を正確な形状にスケーリングする。
【0056】
多くの場合、ICL、ACL及び/又は磁気位置方法を使用することは、ノイズを伴わずに膨張可能バルーン45の正確な位置及び向きを判定するのに十分に正確ではないことがある。したがって、本発明者らは、既存のシステムの可能な欠点を解消するための技術的解決策を考案した。
【0057】
図1は、簡潔性かつ明瞭性のため、開示技法に関連する要素のみを示す。システム20は、典型的には、開示される技術には直接関連しないために
図1及び対応する説明から意図的に省略されている、追加のモジュール及び要素を備える。
【0058】
ここでは、本発明の一実施形態による
図2のバルーンカテーテル40上の様々なデータ点の概略図である
図3を参照する。基準点の位置は、例えば、プロセッサ41に記憶された電気解剖学的マップに画定された座標系内に提示されてもよく、システム20は、バルーン40の空間内の位置を相関させる。
【0059】
図3は、実際の近位電極52aが仮想位置62aに位置する一方、実施の遠位電極52bが仮想位置62bに位置していることを示す。実際の物理的磁気センサ50は、仮想位置60aに位置する一方、上述したように、センサ50は、シャフト22の方向に平行(すなわち、軸51に平行)である仮想方向60bを示すことができる。大きな面積の実際の切除電極55にもかかわらず、空間内の電極55は、軸51に直交する仮想平面内に埋め込まれた仮想円64(膨張可能バルーン45の赤道を形成する)上の仮想電極位置65の形態で、矛盾なくかつ有用に表現することができる。換言すれば、バルーンが完全に膨張すると、仮想電極位置65は、理想的には、膨張可能バルーン45の最大横断直径を有する仮想円64上に配置されるはずである(
図2)。膨張可能バルーン45の公称位置は、理想的には円64の中心でもある中心点58によって画定される。仮想電極位置65が実際の物理的切除電極55の位置の正確かつ有意義なデータを提供すると仮定すると、それらが画定する仮想電極位置65及び仮想円64を使用して、膨張可能バルーン45の位置及び向きを計算することができる。しかしながら、個々の電極位置のそれぞれは、一般に(上述したように)ノイズが多いため、位置65は、一般に、仮想円64に好都合には当てはまらない。
【0060】
ここで
図2のバルーンカテーテル40上の様々なデータ点の代替の概略図である
図4A及び
図4Bを参照する。
図4A及び
図4Bは、仮想電極位置65が実際にノイズが多いことを示し、長手方向軸51に沿った1つの方向(矢印67)において、及び/又は長手方向軸51に沿った他の方向において、中心点58に向かって仮想円64の内側に、及び/又は中心点58から離れた、及び/又は仮想円64のいずれかの側から離れた円の外側におさまることができる。
【0061】
図4Aはまた、仮想電極位置65-10が他の仮想電極位置65として均等に離間していないことも示しており、仮想電極位置65-10に関連付けられた切除電極55が焼かれたか、又は仮想電極位置65-10が偽であることを示している。したがって、仮想電極位置65-10は、仮想円64の位置及び向きを計算する際に確実に使用されなくてもよい。
【0062】
図4Bはまた、電極位置65-8、65-9、65-10が互いに密接に離間しており、したがって、それらの電極位置は、仮想円64の位置及び向きを計算する際に確実に使用されなくてもよいことを示している。いくつかの実施形態では、電極位置65-8、65-9、65-10は、仮想円64を計算する計算から除去されてもよい。他の実施形態では、電極位置65-8、65-9、65-10は、仮想円64を計算する計算に使用する平均電極位置を提供するために平均化されてもよい。
【0063】
ここで、当業者が汎用コンピュータ又はCPUを特殊プロセッサユニット41に変換して
図1のシステム20の動作方法を実行するようにコンピュータコードを書き込むことを可能にするための一連の例示的な命令ステップのフローチャートの形態のアルゴリズム100である
図5を参照する。プロセッサ41は、本明細書に記載されるアルゴリズムを実行するようにソフトウェアコードにおいて通常の知識を有するプログラマによって通常はプログラムされる。ソフトウェアは、例えば、ネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができるか、又は代替として、又は更には、磁気メモリ、光学メモリ若しくは電子メモリなどの、非一時的実体的媒体上で提供及び/若しくは記憶されてもよい。
図1、
図2及び
図5のアルゴリズム100を参照すると、プロセッサ41は、3次元(3D)空間内の複数の電極55のそれぞれの仮想電極位置65(
図3-
図4)を示す信号を受信する(ステップ102)ように構成又はプログラムされる。好ましい実施形態では、ステップ102は、典型的には、バルーンの拡張又は膨張後に開始される。
【0064】
プロセッサ41は、受信信号に基づいて複数の電極55のそれぞれの仮想電極位置65を計算する(ステップ104)ように構成又はプログラムされる。
図1及び
図2を参照して上述したように、仮想電極位置65は、例えば、これらに限定されるものではないが、磁気ベースの位置追跡及び/又はインピーダンスベースの位置追跡(ICL又はACLなど)を使用するなど、任意の好適な位置追跡方法に基づく任意の好適な位置追跡システムを使用して計算されることができる。
【0065】
準備ステップとして、例えば、欠陥電極(例えば、焼けた電極)に起因して偽であるように見える仮想電極位置65は、以下に記載される分析の継続において使用するために除去又は融合されることができる。特定された「偽」電極位置は、分析を過度に重み付けすることがある。
【0066】
したがって、いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、電極位置65が電極位置65のうちの他の1つに所定の近接性で配置されている場合、複数の仮想平面の計算(以下に記載する)から及び仮想平面の選択(以下に記載する)から1つ(又は複数)の電極位置65を除去する(ステップ106)ように構成又はプログラムされる。
図4Aに示される例は、仮想電極位置65-10が仮想電極位置65-9の所与の近接内にあることを示している。所与の近接性の例示的な範囲は、0-7mmである。しかしながら、所与の近接性は、膨張可能バルーン45のサイズ、切除電極55の数、仮想電極位置65がサンプリングされる頻度、及び/又は必要な精度を含む様々な要因に依存することができる。
【0067】
同様に、いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、2つ以上の仮想電極位置65が所与の近接性内にある場合、複数の仮想平面の計算及び仮想平面の選択に使用するための仮想電極位置65のうちの2つ以上(例えば、電極位置65-8、65-9、65-10)を融合する(ステップ108)ように構成されることができる。全ての融合可能な仮想電極位置65がそれらの仮想電極位置65の融合をもたらすようにおさまる所与の近接性の例示的な範囲は、0-7mmである。しかしながら、所与の近接性は、膨張可能バルーン45のサイズ、切除電極55の数、仮想電極位置65がサンプリングされる頻度、及び/又は必要な精度を含む様々な要因に依存することができる。仮想電極位置65が融合されると、以下に記載する複数の仮想平面の計算及び仮想平面の選択には、融合された仮想電極位置65の平均位置が使用される。
【0068】
いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、仮想電極位置65が場合によっては欠陥(例えば、焼けた)電極65を示す所与の値未満の関連する電気信号を有する場合、複数の仮想平面の計算及び仮想平面の選択から仮想電極位置65を除去するようにプログラムされる。所与の値は、任意の好適な範囲、例えば、他の切除電極55から測定される平均電気信号の30%から70%未満とすることができる。
【0069】
3D空間内の異なる仮想平面は、計算された電極位置65から選択される3つの電極位置の異なる組み合わせによって画定されることができる。仮想平面のそれぞれは、分析されて仮想平面の所与の許容差内にある電極位置の数を計算することができる。許容差は、仮想平面から所与の距離(例えば、±3mm又はその値の絶対値)、又は仮想平面の中心からの所与の角度変位(例えば、±25度又はその値の絶対値)として定義されることができる。仮想平面の中心は、仮想電極位置65の平均位置から、又はシャフト22上の既知の若しくは予想位置60a、62a、及び/又は62b(
図3)に基づいて計算又は推定されることができる。
【0070】
したがって、プロセッサ41は、電極位置65から選択された3つの仮想電極位置65の異なるそれぞれのグループから、複数の仮想平面(図示せず)を計算する(ステップ110)ように構成されることができる。そして、プロセッサ41は、各仮想平面について、仮想平面の所与の許容差内の仮想電極位置65の数を計算することができる。プロセッサ41はまた、各仮想平面について、その仮想平面の所与の許容差内で仮想電極位置65の近接スコアを計算することができる。近接スコアは、例えば、限定されるものではないが、仮想平面からの仮想電極位置65の距離の二乗又は二乗平均平方根近接法などの近接性の任意の好適な値に基づいて計算されることができる。
【0071】
詳細に記載された実施形態は、仮想平面を画定するために3つの仮想電極位置65のグループを使用するが、仮想平面は、代替的に、4つ以上の電極のグループによって画定されることもできる。
【0072】
プロセッサ41は、電極位置65の異なるそれぞれのグループによって画定される複数の仮想平面の中から、所与の許容差内まで最大数の仮想電極位置65を含む仮想平面を選択する(ステップ112)ように構成又はプログラムされる。
【0073】
所与の許容差内まで最大数の仮想電極位置65を含む2つ以上の「最大」仮想平面がある場合、プロセッサ41は、選択された仮想平面として最も高い近接スコアを有する「最大」仮想平面のうちの1つを選択するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、「最大」仮想平面をランダムに選択するように構成されてもよい。
【0074】
例として、10個の仮想電極位置65では、3つの電極位置65の120個の異なるセット、したがって3D空間内の120個の可能な仮想平面が存在することができる。120個の可能な仮想平面のそれぞれの残りの7つの仮想電極位置65が考慮され、3D仮想平面の所与の許容差内の最大数の仮想電極位置65を有する3D仮想平面は、膨張可能バルーン45の赤道を最も良く画定する仮想円64を含む仮想平面であると仮定される。
【0075】
そして、選択された仮想平面は、膨張可能バルーン45の位置及び向きを計算するための基準として使用されることができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、選択された仮想平面の所与の許容差内にある仮想電極位置65から新たな仮想平面を計算する(ステップ114)ように構成又はプログラムされる。いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、最小二乗適合法又は任意の他の好適な仮想平面適合アルゴリズムを使用して、選択された仮想平面の所与の許容差内にある電極位置から、新たな仮想平面を計算するように構成又はプログラムされる。新たな仮想平面を計算することは、計算が選択された仮想平面の所与の許容差内にある仮想電極位置65を使用する(及び所与の許容差外の仮想電極位置65ではない)ため、より正確な結果を提供することができる。
【0076】
新たな仮想平面が計算される実施形態では、プロセッサ41は、選択された仮想平面の所与の許容差内にある仮想電極位置65を新たな仮想平面上に投影する(ステップ116)ように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、仮想電極位置65を新たな仮想平面に対して垂直な方向に投影するように構成又はプログラムされる。
【0077】
他の実施形態では、ステップ114及び116のステップは、選択された仮想平面の所与の許容差内にある仮想電極位置65を選択された仮想平面上に投影するプロセッサ41によって置き換えられる。
【0078】
プロセッサ41は、選択された仮想平面の所与の許容差内にある仮想電極位置65に基づいて、仮想円(電極位置65の精度により偏差の計算を受ける仮想円64にほぼ対応する)を適合させる(ステップ118)ように構成又はプログラムされる。いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、(選択された仮想平面上又は新たな仮想平面上に投影された)投影された電極位置に円を適合させるように構成又はプログラムされる。適合された仮想円は、3D空間内の中心位置、半径及び向きを有し、それによって、3D空間内の膨張可能バルーン45の赤道の位置及び向きを提供する。
【0079】
プロセッサ41は、3D空間内の適合された仮想円の位置及び向きに基づいて、バルーンカテーテル40の仮想3D表現をディスプレイ27にレンダリングする(ステップ120)ように構成又はプログラムされる。ここで、
図6A及び
図6Bを参照して、バルーンカテーテル40の3D表現のレンダリングについてより詳細に以下に説明する。
【0080】
ここで、ディスプレイ27上の心房26内のバルーンカテーテル40のそれぞれの3Dレンダリング画像の概略図である
図6A及び
図6Bを参照する。バルーンカテーテル40は、例えば、限定されるものではないが、Zarらの米国特許出願公開第2018/0182157号に記載されている画像化方法を使用して、任意の好適な方法に基づいて、グラフィック処理ユニット(GPU)を使用して画像化されることができる。具体的には、Zarらの引用文献の段落31から48は、電気解剖学的マップ上に二次曲面をレンダリングすることを記載している。二次曲面の例には、球体、楕円体、円筒体、円錐体、双曲放物面、放物面、及び双極面が挙げられる。画像化は、膨張可能バルーン45のスプラインの機械的データを使用することを含んでもよく、膨張可能バルーン45のスプライン間に物質が存在し、様々な二次曲面を組み合わせてバルーンカテーテルの画像を形成することを想定してもよい。機械的データに基づく他の画像化方法、並びに円の位置及び向きを使用してバルーンカテーテル40を画像化してもよい。
【0081】
本発明の様々に異なる特徴が、明確性のために複数の別個の実施形態として記載されているが、これらが単一の実施形態中に組み合わせて提示されてもよい。逆に、説明を簡単にするために単一の実施形態として記載されている本発明の様々に異なる特徴が、別々に又は任意の適切な部分的組み合わせとして提示されてもよい。
【0082】
上述の実施形態は、例として引用されており、本発明は、上述に特に示され、記載されたものによって限定されない。むしろ、本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組み合わせ及び副組み合わせの両方、並びに前述の記載を読むと当業者が思い付くであろう先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【0083】
〔実施の態様〕
(1) シャフトと、前記シャフトの遠位端に装着された膨張可能バルーンと、前記膨張可能バルーン上に配置された複数の電極と、を有するバルーンカテーテルと、
ディスプレイと、
プロセッサであって、
3次元(3D)空間における前記複数の電極のそれぞれの電極位置を示す信号を受信し、
前記受信した信号に基づいて、前記複数の電極の前記それぞれの電極位置を計算し、
前記電極位置の異なるそれぞれのグループによって画定される複数の仮想平面の中から、所与の許容差内まで最大数の前記電極位置を含む仮想平面を選択し、
前記選択された仮想平面の前記所与の許容差内にある前記電極位置に基づく点に、円を適合させ、
前記3D空間内の前記適合した仮想円の位置及び向きに基づいて、前記バルーンカテーテルの3D表現を前記ディスプレイにレンダリングするように構成された、プロセッサと、を備える、システム。
(2) 前記プロセッサが、前記電極位置から選択された3つの電極位置の異なるそれぞれのグループから前記複数の仮想平面を計算するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記プロセッサは、前記電極位置のうちの1つの電極位置が、前記電極位置のうちの他の1つに対して所与の近接で配置されている場合に、前記複数の仮想平面の前記計算から及び前記仮想平面の前記選択から前記1つの電極位置を除去するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記プロセッサは、前記電極位置のうちの少なくとも2つが所与の近接内にある場合、前記複数の仮想平面の前記計算及び前記仮想平面の前記選択に使用するために前記少なくとも2つの電極位置を融合するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記プロセッサは、前記電極位置のうちの1つの電極位置が所与の値未満である関連する電気信号を有する場合、前記複数の仮想平面の前記計算から及び前記仮想平面の前記選択から前記1つの電極位置を除去するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0084】
(6) 前記複数の仮想平面からの多数の仮想平面が、それぞれ、前記所与の許容差内の前記最大数の電極位置を含み、前記プロセッサが、前記多数の仮想平面のうちの各1つの仮想平面について、前記1つの仮想平面の、前記1つの仮想平面との前記所与の許容差内の前記電極位置の近接スコアを計算し、選択された仮想平面として最も高い近接スコアを有する前記多数の仮想平面のうちの1つを選択するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記プロセッサが、前記選択された仮想平面の前記所与の許容差内にある前記電極位置から、新たな仮想平面を計算するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記プロセッサが、最小二乗適合法を使用して、前記選択された仮想平面の前記所与の許容差内にある前記電極位置から、前記新たな仮想平面を計算するように構成されている、実施態様7に記載のシステム。
(9) 前記プロセッサが、
前記選択された仮想平面の前記所与の許容差内にある前記電極位置を前記新たな仮想平面上に投影し、
前記円を前記投影された電極位置に適合させるように構成されている、実施態様7に記載のシステム。
(10) 前記プロセッサが、前記新たな仮想平面に対して垂直な方向に前記電極位置を投影するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0085】
(11) 前記プロセッサが、磁気に基づく位置追跡又はインピーダンスに基づく位置追跡のうちの少なくとも1つの前記受信した信号に基づいて、前記複数の電極の前記それぞれの電極位置を計算するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(12) 身体組織内の拡張可能な医療用プローブの表現を表示する方法であって、前記医療用プローブが、遠位端に装着された膨張可能バルーンを有するシャフトと、前記膨張可能バルーン上に配置された複数の電極とを有するバルーンカテーテルを含み、前記方法が、
3次元(3D)空間における前記複数の電極のそれぞれの電極位置を示す信号を受信することと、
前記受信した信号に基づいて、前記複数の電極の前記それぞれの電極位置を計算することと、
前記電極位置の異なるそれぞれのグループによって画定される複数の仮想平面の中から、所与の許容差内まで最大数の前記電極位置を含む仮想平面を選択することと、
前記選択された仮想平面の前記所与の許容差内にある前記電極位置に基づく点に、円を適合させることと、
前記3D空間内の前記適合した仮想円の位置及び向きに基づいて、前記バルーンカテーテルの3D表現を表示することと、を含む、方法。
(13) 前記電極位置から選択された3つの電極位置の異なるそれぞれのグループから前記複数の仮想平面を計算することを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記電極位置のうちの1つの電極位置が、前記電極位置のうちの他の1つに対して所与の近接で配置されている場合に、前記複数の仮想平面の前記計算から及び前記仮想平面の前記選択から前記1つの電極位置を除去することを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記電極位置のうちの少なくとも2つが所与の近接内にある場合、前記複数の仮想平面の前記計算及び前記仮想平面の前記選択に使用するために前記少なくとも2つの電極位置を融合することを更に含む、実施態様12に記載の方法。
【0086】
(16) 前記電極位置のうちの1つの電極位置が、所与の値未満である関連する電気信号を有する場合に、前記複数の仮想平面の前記計算から及び前記仮想平面の前記選択から前記1つの電極位置を除去することを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(17) 前記複数の仮想平面からの多数の仮想平面が、それぞれ、前記所与の許容差内の前記最大数の電極位置を含み、前記方法が、前記多数の仮想平面のうちの各1つの仮想平面について、前記1つの仮想平面の、前記1つの仮想平面との前記所与の許容差内の前記電極位置の近接スコアを計算することと、選択された仮想平面として最も高い近接スコアを有する前記多数の仮想平面のうちの1つを選択することとを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(18) 前記選択された仮想平面の前記所与の許容差内にある前記電極位置から、新たな仮想平面を計算することを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(19) 前記新たな仮想平面を計算することが、最小二乗適合法を使用して、前記選択された仮想平面の前記所与の許容差内にある前記電極位置から、前記新たな仮想平面を計算することを含む、実施態様12に記載の方法。
(20) 前記選択された仮想平面の前記所与の許容差内にある前記電極位置を前記新たな仮想平面上に投影することを更に含み、前記適合させることが、前記投影された電極位置に前記円を適合させることを含む、実施態様12に記載の方法。
【0087】
(21) 前記投影することが、前記新たな仮想平面に対して垂直な方向に前記電極位置を投影することを含む、実施態様20に記載の方法。
(22) 前記それぞれの電極位置を計算することが、磁気に基づく位置追跡又はインピーダンスに基づく位置追跡のうちの少なくとも1つを使用して、前記それぞれの位置を計算することを含む、実施態様12に記載の方法。
(23) プログラム命令が格納される非一時的なコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品であって、前記命令が中央処理装置(CPU)によって読み取られると、前記CPUに、
3次元(3D)空間内に配置された医療用プローブの複数の電極のそれぞれの電極位置を示す信号を受信させ、
前記受信した信号に基づいて、前記複数の電極の前記それぞれの電極位置を計算させ、
前記電極位置の異なるそれぞれのグループによって画定される複数の仮想平面の中から、所与の許容差内まで前記医療用プローブの最大数の前記電極位置を含む仮想平面を選択させ、
前記選択された仮想平面の前記所与の許容差内にある前記医療用プローブの前記電極位置に円を適合させ、
前記3D空間内の前記適合した仮想円の位置及び向きに基づいて、前記医療用プローブの3D表現を表示させる、ソフトウェア製品。