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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】アンテナ構造及びその変調方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20240213BHJP
   H01P 1/18 20060101ALI20240213BHJP
   H01Q 15/24 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01P1/18
H01Q15/24
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019564469
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 CN2019081310
(87)【国際公開番号】W WO2019196725
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】201810307536.6
(32)【優先日】2018-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】507134301
【氏名又は名称】北京京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Xihuanzhonglu, BDA, Beijing, 100176, P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】武 杰
(72)【発明者】
【氏名】丁 天▲倫▼
(72)【発明者】
【氏名】孔 祥忠
(72)【発明者】
【氏名】曹 雪
(72)【発明者】
【氏名】王 瑛
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲亮▼
(72)【発明者】
【氏名】蔡 佩芝
(72)【発明者】
【氏名】▲車▼ 春城
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第7847748(US,B1)
【文献】特開平11-163954(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103730734(CN,A)
【文献】特開2001-358502(JP,A)
【文献】米国特許第3478362(US,A)
【文献】米国特許第4737793(US,A)
【文献】特表2009-538565(JP,A)
【文献】Onur Hamza KARABEY et al.,“Continuously Polarization Agile Antenna by Using Liquid Crystal-Based Tunable Variable Delay Lines”,IEEE Transactions on Antennas and Propagation,2013年01月,Vol. 61, No. 1,p.70-76
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/08
H01P 1/18
H01Q 15/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の給電点及び第2の給電点を含む放射パッチと、
無線周波数ポートと、
一端が前記第1の給電点に接続される第1の信号線と、
一端が前記第2の給電点に接続される第2の信号線と、
前記無線周波数ポート、前記第1の信号線の他端及び前記第2の信号線の他端にそれぞれ接続され、前記無線周波数ポートの電磁波を前記第1の信号線及び前記第2の信号線に割り当てるように構成されるパワースプリッタ素子と、
前記第1の信号線の電磁波の位相を変調するように構成される第1の位相変調器と、
第1の基板と、
を含み、
前記第1の位相変調器は、第2の基板、第1の液晶層、第1の共通電極及び第1の駆動電極を含み、
前記第2の基板は、前記第1の基板に対向して設けられ、
前記第1の液晶層は、前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟まれて設けられ、
前記第1の共通電極と前記第1の駆動電極のうちの一方は、前記第1の液晶層の前記第1の基板に近い側に位置し、他方は、前記第1の液晶層の前記第2の基板に近い側に位置し、
前記第1の信号線の前記第1の基板への正投影と前記第1の液晶層の前記第1の基板への正投影とは、少なくとも一部が重なり、
前記第1の信号線は、前記第2の基板と、前記第1の駆動電極又は前記第1の共通電極との間に位置し、前記放射パッチは、前記第2の基板の前記第1の液晶層から離れる側に位置し、前記放射パッチの前記第1の基板への正投影と、前記第1の液晶層の前記第1の基板への正投影とは、重ならないアンテナ構造。
【請求項2】
前記第1の信号線における電磁波の電力と前記第2の信号線における電磁波の電力との差は、前記第1の信号線における電磁波の電力と前記第2の信号線における電磁波の電力のうちの大きい方の値の50%よりも小さい
請求項1に記載のアンテナ構造。
【請求項3】
前記パワースプリッタ素子は、前記無線周波数ポートの電磁波を前記第1の信号線と前記第2の信号線に電力等分に割り当てる
請求項1又は2に記載のアンテナ構造。
【請求項4】
前記アンテナ構造は、第2の位相変調器をさらに含み、
前記第2の位相変調器は、前記第2の信号線の電磁波の位相を変調するように構成される
請求項1に記載のアンテナ構造。
【請求項5】
前記第2の位相変調器は、第3の基板、第2の液晶層、第2の共通電極及び第2の駆動電極を含み、
前記第3の基板は、前記第1の基板に対向して設けられ、
前記第2の液晶層は、前記第1の基板と前記第3の基板との間に挟まれて設けられ、
前記第2の共通電極と前記第2の駆動電極の一方は、前記第2の液晶層の前記第1の基板に近い側に位置し、他方は、前記第2の液晶層の前記第3の基板に近い側に位置し、
前記第2の信号線の前記第1の基板への正投影と前記第2の液晶層の前記第1の基板への正投影とは、少なくとも一部が重なる
請求項4に記載のアンテナ構造。
【請求項6】
前記第1の液晶層における液晶分子の誘電率の範囲は、ε||1-ε⊥2を含み、前記第1の信号線が前記第1の液晶層と重なる長さLは、以下の式を満たし、
【数1】

ε||1は前記第1の液晶層における液晶分子の平行誘電率であり、ε⊥2は前記第1の液晶層における液晶分子の垂直誘電率であり、cは光速であり、fは前記第1の信号線における電磁波の周波数である
請求項1~5のいずれか1項に記載のアンテナ構造。
【請求項7】
前記第2の液晶層における液晶分子の誘電率の範囲は、ε||3-ε⊥4を含み、前記第2の信号線が前記第2の液晶層と重なる長さLは、以下の式を満たし、
【数2】

ε||3は前記第2の液晶層における液晶分子の平行誘電率であり、ε⊥4は前記第2の液晶層における液晶分子の垂直誘電率であり、cは光速であり、fは前記第2の信号線における電磁波の周波数である
請求項5に記載のアンテナ構造。
【請求項8】
前記第2の信号線は、前記第3の基板と、前記第2の駆動電極又は前記第2の共通電極との間に位置する
請求項に記載のアンテナ構造。
【請求項9】
前記第1の信号線は、前記第1の液晶層の前記第1の共通電極から離れる側に位置し、前記第2の信号線は、前記第2の液晶層の前記第2の共通電極から離れる側に位置する
請求項8に記載のアンテナ構造。
【請求項10】
前記第2の基板と前記第3の基板とは、同一の基板であり、前記第1の液晶層と前記第2の液晶層とは、同一層に設けられ、前記第1の共通電極と前記第2の共通電極とは、同一の共通電極である
請求項5に記載のアンテナ構造。
【請求項11】
前記第1の給電点と前記放射パッチの中心との第1の連接線は、前記第2の給電点と前記放射パッチの中心との第2の連接線に対して垂直である
請求項5に記載のアンテナ構造。
【請求項12】
前記第1の位相変調器の前記第1の基板への正投影は、前記放射パッチの前記第1の基板への正投影の前記第1の給電点の所在する側に位置し、前記第2の位相変調器の前記第1の基板への正投影は、前記放射パッチの前記第1の基板への正投影の前記第2の給電点の所在する側に位置する
請求項11に記載のアンテナ構造。
【請求項13】
前記第1の位相変調器の前記第1の基板への正投影と前記放射パッチの前記第1の基板への正投影とは、離間されて設けられ、
前記第2の位相変調器の前記第1の基板への正投影と前記放射パッチの前記第1の基板への正投影とは、離間されて設けられる
請求項5に記載のアンテナ構造。
【請求項14】
前記無線周波数ポートの数は1である
請求項1~13のいずれか1項に記載のアンテナ構造。
【請求項15】
請求項1に記載のアンテナ構造を含むアンテナ構造の変調方法であって、
前記無線周波数ポートに電磁波である直線偏波を入力することと、
前記パワースプリッタ素子が前記直線偏波を前記第1の信号線と前記第2の信号線に割り当てることと、
前記第1の位相変調器が、前記第1の信号線における直線偏波の位相を変更させて前記第2の信号線における直線偏波の位相と直交するように、前記第1の信号線における直線偏波の位相を変調することと、
を含むアンテナ構造の変調方法。
【請求項16】
前記第1の信号線における電磁波の電力と前記第2の信号線における電磁波の電力との差は、前記第1の信号線における電磁波の電力と前記第2の信号線における電磁波の電力のうちの大きい方の値の50%よりも小さい
請求項15に記載のアンテナ構造の変調方法。
【請求項17】
前記パワースプリッタ素子が前記直線偏波を前記第1の信号線及び前記第2の信号線に割り当てることは、
前記パワースプリッタ素子が前記無線周波数ポートの電磁波を前記第1の信号線と前記第2の信号線に電力等分に割り当てることを含む
請求項15又は16に記載のアンテナ構造の変調方法。
【請求項18】
前記アンテナ構造は、さらに、第2の位相変調器を含み、
前記第2の位相変調器は、前記第2の信号線の電磁波の位相を変調するように構成され、
前記第1の位相変調器が、前記第1の信号線における直線偏波の位相を変更させて前記第2の信号線における直線偏波の位相と直交するように、前記第1の信号線の直線偏波の位相を変調することは、さらに、
前記第2の位相変調器が、前記第2の信号線における直線偏波の位相を変更させるよう
に、前記第2の信号線の直線偏波の位相を変調することを含む
請求項15~17のいずれか1項に記載のアンテナ構造の変調方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年4月8日に出願された中国特許出願第201810307536.6号の優先権を主張し、その全体が本願の一部として引用される。
【0002】
本願の実施例は、アンテナ構造及びその変調方法に関する。
【背景技術】
【0003】
通信技術の発展に伴い、アンテナの小型化、広帯域化、マルチバンド化、高利得化が進んでいる。液晶アンテナは、従来のホーンアンテナ、ヘリカルアンテナ、アレーアンテナ等と比較して、現在の技術の発展傾向に適したアンテナである。
【0004】
なお、アンテナの偏波特性は、アンテナから放射される電磁波の最大放射方向における電界強度ベクトルの空間的な向きで定義される。偏波の種類は、電界強度ベクトル端の運動軌跡によって分けられる。アンテナの偏波特性は、直線偏波、円偏波、楕円偏波に分けられる。直線偏波は、水平偏波と垂直偏波とにさらに分類され、円偏波は、左旋円偏波と右旋円偏波とに分けられる。
【0005】
アンテナから放射される電磁波の偏波面と接地法線面とのなす角度が0~360°周期で変化し、すなわち電界の大きさが一定で方向が時間的に変化し、電界ベクトルの末端の軌跡の伝播方向に垂直な平面への投影が円である場合、円偏波と呼ぶ。電界の水平成分と垂直成分が振幅が等しく、位相差が90°または270°である場合には、円偏波が得られる。円偏波は、時間と共に偏波面が回転し、電磁波の伝播方向に対して右ネジの関係になれば、右旋円偏波と呼ばれ、逆に、左ネジの関係にあれば、左旋円偏波と呼ぶ。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の実施例は、アンテナ構造及びその変調方法を提供する。当該アンテナ構造は、放射パッチ、無線周波数ポート、第1の信号線、第2の信号線、パワースプリッタ素子以及第1の位相変調器を含む。放射パッチは、第1の給電点及び第2の給電点を含み、第1の信号線の一端は第1の給電点に接続され、第2の信号線の一端は第2の給電点に接続され、パワースプリッタ素子は、無線周波数ポート、第1の信号線の他端及び第2の信号線の他端にそれぞれ接続され、無線周波数ポートの電磁波を第1の信号線と第2の信号線に割り当てるように構成され、第1の位相変調器は、第1の信号線の電磁波の位相を変調するように構成される。
【0007】
本願の少なくとも1つの実施例は、放射パッチ、無線周波数ポート、第1の信号線、第2の信号線、パワースプリッタ素子及び第1の位相変調器を含むアンテナ構造を提供し、放射パッチが第1の給電点及び第2の給電点を含み、第1の信号線の一端が第1の給電点に接続され、第2の信号線の一端が第2の給電点に接続され、パワースプリッタ素子が、無線周波数ポート、第1の信号線の他端及び第2の信号線の他端にそれぞれ接続され、無線周波数ポートの電磁波を第1の信号線と第2の信号線に割り当てるように構成され、第1の位相変調器が、第1の信号線の電磁波の位相を変調するように構成される。
【0008】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造において、第1の信号線における電磁波の電力と第2の信号線における電磁波の電力との差は、第1の信号線における電磁波の電力と第2の信号線における電磁波の電力のうちの大きい方の値の50%よりも小さい。
【0009】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造において、パワースプリッタ素子は、無線周波数ポートの電磁波を第1の信号線と第2の信号線に電力等分に割り当てるように構成される。
【0010】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造において、アンテナ構造は、さらに、第1の基板を含み、第1の位相変調器は、第2の基板、第1の液晶層、第1の共通電極及び第1の駆動電極を含み、
【0011】
第2の基板は、第1の基板に対向して設けられ、
【0012】
第1の液晶層は、第1の基板と第2の基板との間に挟まれて設けられ、
【0013】
第1の共通電極と第1の駆動電極の一方は、第1の液晶層の第1の基板に近い側に位置し、他方は、第1の液晶層の第2の基板に近い側に位置し、
【0014】
ここで、第1の信号線の第1の基板への正投影と第1の液晶層の第1の基板への正投影は、少なくとも一部が重なる。
【0015】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造において、アンテナ構造は、さらに、第2の位相変調器を含み、
【0016】
第2の位相変調器は、第2の信号線の電磁波の位相を変調するように構成される。
【0017】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造において、第2の位相変調器は、第3の基板、第2の液晶層、第2の共通電極及び第2の駆動電極を含み、
【0018】
第3の基板は、第1の基板に対向して設けられ、
【0019】
第2の液晶層は、第1の基板と第3の基板との間に挟まれて設けられ、
【0020】
第2の共通電極と第2の駆動電極のうちの一方は、第2の液晶層の第1の基板に近い側に位置し、他方は、第2の液晶層の第3の基板に近い側に位置し、
【0021】
ここで、第2の信号線の第1の基板への正投影と第2の液晶層の第1の基板への正投影とは、少なくとも一部が重なる。
【0022】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造において、第1の液晶層における液晶分子の誘電率の範囲は、ε||1-ε⊥2を含み、第1の信号線が第1の液晶層と重なる長さLは、以下の式を満たし、
【0023】
【数1】
【0024】
ここで、ε||1は第1の液晶層における液晶分子の平行誘電率であり、ε⊥2は第1の液晶層における液晶分子の垂直誘電率であり、cは光速であり、fは第1の信号線における電磁波の周波数である。
【0025】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造において、第2の液晶層における液晶分子の誘電率の範囲は、ε||3-ε⊥4を含み、第2の信号線が第2の液晶層と重なる長さLは、以下の式を満たし、
【0026】
【数2】
【0027】
ここで、ε||2は第2の液晶層における液晶分子の平行誘電率であり、ε⊥2は第2の液晶層における液晶分子の垂直誘電率であり、cは光速であり、fは第2の信号線における電磁波の周波数である。
【0028】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造において、第1の信号線は、第2の基板と、第1の駆動電極又は第1の共通電極との間に位置する。
【0029】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造において、第2の信号線は、第3の基板と、第2の駆動電極又は第2の共通電極との間に位置する。
【0030】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造において、第1の信号線は、第1の液晶層の第1の共通電極から離れる側に位置し、第2の信号線は、第2の液晶層の第2の共通電極から離れる側に位置する。
【0031】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造において、第2の基板と第3の基板とは、同一の基板であり、第1の液晶層と第2の液晶層とは、同一の層に設けられ、第1の共通電極と第2の共通電極とは、同一の共通電極である。
【0032】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造において、放射パッチは、第2の基板の第1の液晶層から離れる側に位置する。
【0033】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造において、放射パッチは、第2の基板の第1の液晶層に近い側に位置し、第1の信号線と同一層に設けられる。
【0034】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造において、放射パッチの第1の基板への正投影と、第1の液晶層又は第2の液晶層の第1の基板への正投影とは、一部が重なる。
【0035】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造において、第1の給電点と放射パッチの中心との第1の連接線は、第2の給電点と放射パッチの中心との第2の連接線に対して垂直である。
【0036】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造において、第1の位相変調器の第1の基板への正投影は、放射パッチの第1の基板への正投影の第1の給電点の所在する側に位置し、第2の位相変調器の第1の基板への正投影は、放射パッチの第1の基板への正投影の第2の給電点の所在する側に位置する。
【0037】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造において、第1の位相変調器の第1の基板への正投影と放射パッチの第1の基板への正投影とは、離間されて設けられ、第2の位相変調器の第1の基板への正投影と放射パッチの第1の基板への正投影とは、離間されて設けられる。
【0038】
例えば、無線周波数ポートの数は1つである。
【0039】
本願の少なくとも1つの実施例は、アンテナ構造の変調方法をさらに提供し、アンテナ構造は、上記のアンテナ構造を含み、変調方法は、無線周波数ポートに電磁波である直線偏波を入力することと、パワースプリッタ素子が直線偏波を第1の信号線と第2の信号線に割り当てることと、第1の位相変調器が、第1の信号線における直線偏波の位相を変更させて第2の信号線における直線偏波の位相に直交するように、第1の信号線の直線偏波の位相を変調することとを含む。
【0040】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造の変調方法において、第1の信号線における電磁波の電力と第2の信号線における電磁波の電力の差は、第1の信号線における電磁波の電力と第2の信号線における電磁波の電力のうちの大きい方の値の50%よりも小さい。
【0041】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造の変調方法において、パワースプリッタ素子が直線偏波を第1の信号線と第2の信号線に割り当てることは、パワースプリッタ素子が無線周波数ポートの電磁波を第1の信号線と第2の信号線に電力等分に割り当てることを含む。
【0042】
例えば、本願の一実施例におけるアンテナ構造の変調方法において、アンテナ構造は、第2の位相変調器をさらに含み、第2の位相変調器は、第2の信号線の電磁波の位相を変調するように構成され、第1の位相変調器が、第1の信号線における直線偏波の位相を変更させて第2の信号線における直線偏波の位相と直交するように、第1の信号線の直線偏波の位相を変調することは、第2の位相変調器が、さらに、第2の信号線における直線偏波の位相を変更させるように、第2の信号線の直線偏波の位相を変調することを含む。
【0043】
本発明の実施形態の技術案をより明確に説明するために、以下の実施形態の図面を簡単に説明するが、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施形態に関するものに過ぎず、本発明を限定するものではないことが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本願の実施例におけるアンテナ構造の平面模式図である
図2A】本願の実施例におけるアンテナ構造における第1の位相変調器の断面模式図である。
図2B】本願の実施例における他のアンテナ構造における第1の位相変調器の断面模式図である。
図3】本願の実施例における他のアンテナ構造の平面模式図である。
図4】本願の実施例におけるアンテナ構造の動作の模式図である。
図5】本願の実施例における他のアンテナ構造の動作の模式図である。
図6】本願の実施例における他のアンテナ構造の動作の模式図である。
図7A】本願の実施例におけるアンテナ構造における第2の位相変調器の断面模式図である。
図7B】本願の実施例における他のアンテナ構造における第2の位相変調器の断面模式図である。
図7C】本願の実施例におけるアンテナ構造における第1の位相変調器と第2の位相変調器の断面模式図である。
図8】本願の実施例におけるアンテナ構造の変調方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施形態の目的、技術案、及び利点をより明確にするために、本発明の実施形態の技術案を、本発明の実施形態の図面と併せて、明確かつ完全にに説明する。明らかに、記載された実施形態は、本開示の一部の実施形態であり、全ての実施形態ではない。本開示の記載された実施形態に基づいて、当業者が創造的な労力を必要とせずに取得した全ての他の実施形態は、本開示の保護範囲に含まれる。
【0046】
特に定義されない限り、本開示で使用される技術用語または科学用語は、本開示が属する技術分野における通常の技能を有する者によって理解される通常の意味である。本開示で使用される「第1の」、「第2の」及び類似の用語は、順序、数、又は重要性を示すものではなく、異なる構成要素を区別するために使用されるだけである。「含む」または「備える」などの類似の単語は、その単語の前に存在する要素または物品が、その単語の後に例示する要素または物品およびその均等物を包含することを意味し、その他の要素または物品を排除するものではない。「接続され」または「接され」などの類似の用語は、物理的または機械的接続に限定されず、直接的または間接的を問わず、電気的接続を含み得る。
【0047】
本願発明者は、通信技術の発展に伴い、無線通信の応用シーンが益々多くなり、ある通信装置が直線偏波の信号を送受信する必要があり、ある通信装置が左旋円偏波の信号を送受信する必要があり、ある通信装置が右旋円偏波の信号を送受信する必要があることに着目した。しかしながら、現在、いくつかの応用シーンや装置は、アンテナの寸法に対する要求が厳しいため、同時に、単一偏波のアンテナを複数種類実装することはできない。
【0048】
そして、本願の実施例は、アンテナ構造及びその変調方法を提供する。当該アンテナ構造は、放射パッチ、無線周波数ポート、第1の信号線、第2の信号線、パワースプリッタ素子及び第1の位相変調器を含む。放射パッチは、第1の給電点と第2の給電点を含み、第1の信号線の一端は、第1の給電点に接続され、第2の信号線の一端は、第2の給電点に接続され、パワースプリッタ素子は、無線周波数ポート、第1の信号線の他端及び第2の信号線の他端にそれぞれ接続され、無線周波数ポートの電磁波を第1の信号線と第2の信号線に割り当てるように構成され、第1の位相変調器は、第1の信号線の電磁波の位相を変調するように構成される。このように、当該アンテナ構造は、パワースプリッタ素子を利用して同一の無線周波数ポートからの電磁波を第1の信号線と第2の信号線に割り当て、さらに、第1の位相変調器を利用して第1の信号線における電磁波の位相を変調することで、単一の無線周波数ポートを利用して左旋円偏波、右旋円偏波、及び直線偏波を送受信することができるようにする。
【0049】
以下、図面を参照し、本願の実施例におけるアンテナ構造及びその変調方法を詳しく説明する。
【0050】
図1は本願の実施例におけるアンテナ構造の平面模式図である。図1に示すように、当該アンテナ構造100は、第1の基板110、放射パッチ120、無線周波数ポート130、第1の信号線140、第2の信号線150、パワースプリッタ素子160及び第1の位相変調器170を含み、放射パッチ120は、第1の給電点121及び第2の給電点122を含み、第1の信号線140の一端は、第1の給電点121に接続され、第2の信号線150の一端は、第2の給電点122に接続され、パワースプリッタ素子160は、無線周波数ポート130、第1の信号線140の他端及び第2の信号線150の他端にそれぞれ接続され、無線周波数ポート130の電磁波を第1の信号線140と第2の信号線150に割り当て、第1の位相変調器170は、第1の信号線140の電磁波の位相を変調する。例えば、第1の位相変調器170の第1の基板110への正投影と第1の信号線140の第1の基板110への正投影とは、少なくとも一部が重なることで、第1の位相変調器170は第1の信号線140における電磁波の位相を変調することができる。なお、第1の信号線と第1の給電点との接続は、電気的接続であっても結合接続であってもよく、第2の信号線と第2の給電点との接続は、電気的接続であっても結合接続であってもよい。ここで、パワースプリッタ素子とは、一般的な電力分配器であってもよく、1つの入力信号エネルギーを少なくとも2つに分配して、等しいエネルギー又は等しくないエネルギーを出力する装置である。
【0051】
本願の実施例におけるアンテナ構造において、無線周波数ポート130の電磁波が直線偏波である場合、パワースプリッタ素子160は、無線周波数ポート130からの直線偏波を第1の信号線140と第2の信号線150に割り当て、つまり、第1の信号線140と第2の信号線150における電磁波が直線偏波であり、そして、第1の位相変調器170は、第1の信号線140における電磁波の位相を変調する。例えば、無線周波数ポート130の数は1つである。第1の位相変調器170により変調された第1の信号線140における第1の直線偏波と第2の信号線150における第2の直線偏波との位相差が例えば±90度である場合、第1の信号線140における第1の直線偏波と第2の信号線150における第2の直線偏波は、放射パッチ120で円偏波が形成され、放射パッチ120で送受信される。第1の位相変調器170により変調された第1の信号線140における第1の直線偏波と第2の信号線150における第2の直線偏波との位相差が0度である場合、第1の信号線140における第1の直線偏波と第2の信号線150における第2の直線偏波は、放射パッチ120で直線偏波が形成され、放射パッチ120で送受信される。本願の実施例におけるアンテナ構造が円偏波(左旋円偏波と右旋円偏波を含む)を受信する場合、円偏波は、放射パッチ120で2つの直交する直線偏波に分け、第1の信号線140及び第2の信号線150を介して無線周波数ポート130に伝送される。このように、第1の位相変調器170を制御することで、当該アンテナ構造は、単一の無線周波数ポート(例えば、1つの無線周波数ポート)で左旋円偏波、右旋円偏波、及び直線偏波の送受信を行うことができるようにする。なお、上記の円偏波は、真円偏波及び楕円偏波を含み、円偏波の軸比が1である場合、真円偏波となり、円偏波の軸比が1よりも大きい場合、楕円偏波となる。
【0052】
なお、第1の信号線140における第1の直線偏波と第2の信号線150における第2の直線偏波との位相差が±90度ではなく、且つ0度ではない場合、放射パッチ120で楕円偏波が形成される。第1の信号線140における第1の直線偏波と第2の信号線150における第2の直線偏波の電力とが等しくない場合、放射パッチ120で形成されたのが楕円偏波でる。第1の信号線140における第1の直線偏波と第2の信号線150における第2の直線偏波の電力とが等しく、位相差が±90度である場合、放射パッチ12で形成されたのが真円偏波である。
【0053】
例えば、いくつかの例において、第1の信号線における電磁波の電力と第2の信号線における電磁波の電力との差は、第1の信号線における電磁波の電力と第2の信号線における電磁波の電力のうちの大きい方の値の50%よりも小さい。このように、形成された円偏波の軸が小さいことを確保し、情報の伝送や受信により有利である。
【0054】
例えば、いくつかの例において、パワースプリッタ素子は、無線周波数ポートの電磁波を第1の信号線と第2の信号線に電力等分に割り当てる。即ち、第1の信号線における第1の直線偏波と第2の信号線における第2の直線偏波とは、同じ電力の直線偏波であるため、形成された円偏波が真円偏波になり、それで、情報の伝送や受信により有利である。なお、上記の「電力等分に割り当てる」とは、無線周波数ポートの電磁波信号を2つの電磁波信号に分け、且つ、この2つの電磁波信号の電力が等しい。
【0055】
例えば、いくつかの例において、図1に示すように、第1の給電点121と放射パッチ120の中心1200との第1の連接線1201は、第2の給電点122と放射パッチ120の中心1200との第2の連接線1202に対して垂直である。このように、第1の給電点121が第2の給電点122の直線偏波と直交することを確保し、円偏波を形成しやすくなる。
【0056】
図2Aは本願の実施例におけるアンテナ構造における第1の位相変調器の断面模式図である。図2A図1のAB線に沿う断面模式図である。図2Aに示すように、第1の位相変調器170は、第1の基板110に対向して設けられた第2の基板171と、第1の基板110と第2の基板171との間に挟まれて設けられた第1の液晶層172、第1の共通電極173、及び第1の駆動電極174とを含み、第1の共通電極173と第1の駆動電極174のうちの一方は、第1の基板110の第1の液晶層172に近い側に設けられ、第1の共通電極173と第1の駆動電極174のうちの他方は、第2の基板171の第1の液晶層172に近い側に設けられる。第1の信号線140の第1の基板110への正投影と第1の液晶層172の第1の基板110への正投影とは、少なくとも一部が重なる。第1の位相変調器170は、第1の共通電極173及び第1の駆動電極174上の電圧によって、第1の液晶層172における液晶分子の配向を調整し、第1の液晶層172の実効誘電率を変更することで、第1の信号線140における電磁波の位相を変調することができる。さらに、液晶アンテナ構造の第1の位相変調器を採用することは、体積が小さくなり、軽薄等の利点があるため、本願の実施例におけるアンテナ構造の小型化により有利である。なお、図2Aには、放射パッチ120も示されており(図中破線枠で示す)、放射パッチ120は、第1の液晶層172と重ならないため、破線枠で示されている。
【0057】
例えば、図2Aに示すように、第1の共通電極173は、第1の基板110の第1の液晶層172に近い側に設けられ、第1の駆動電極174は、第2の基板171の第1の液晶層172に近い側に設けられる。勿論、本願の実施例はこれに限定されず、第1の駆動電極174は、第1の基板110の第1の液晶層172に近い側に設けられ、第1の共通電極173は、第2の基板171の第1の液晶層172に近い側に設けられても良い。
【0058】
例えば、いくつかの例において、図2Aに示すように、第1の信号線140は、第2の基板171と第1の駆動電極174との間に位置する。勿論、本願の実施例はこれに限定されず、第1の共通電極が第2の基板の第1の液晶層に近い側に位置する場合、第1の信号線が第1の液晶層の第1の共通電極から離れる側に位置することで、第1の信号線と第1の共通電極との間に第1の液晶層が設けられていることを保証し、第1の液晶層が第1の信号線における電磁波の位相を変調することができるようにする。
【0059】
例えば、いくつかの例において、図2Aに示すように、第1の位相変調器170は、さらに第1の枠ゴム177を含み、当該第1の枠ゴム177は、第1の基板110と第2の基板171との間に位置し、第1の液晶層172を限定するように構成される。このように、第1の基板110と第2の基板171と第1の枠ゴム177とは、第1の液晶層172を形成する液晶分子を収容する液晶セルを形成する。
【0060】
例えば、いくつかの例において、図2Aに示すように、放射パッチ120は、第2の基板171の第1の液晶層172から離れる側に位置する。勿論、本願の実施例はこれに限定されない。
【0061】
図2Bは本願の実施例における他のアンテナ構造における第1の位相変調器の断面模式図である。図2Bに示すように、放射パッチ120は、第2の基板171の第1の液晶層172に近い側に位置し、第1の信号線140と同一層に設けられる。
【0062】
なお、図2Bに示す方案では、放射パッチ120が第1の液晶層172と重なってもよい。この時、放射パッチ120が第1の液晶層172と重なるため、当該アンテナ構造の占用面積をさらに低減させることができる。
【0063】
図3は本願の実施例における他のアンテナ構造の模式図である。図3に示すように、当該アンテナ構造は、さらに、第2の位相変調器180を含む。第2の位相変調器180は、第2の信号線150における電磁波の位相を変調することができる。このように、第1の位相変調器170は、第1の信号線140における電磁波の位相を変調し、第2の位相変調器180は、第2の信号線150における電磁波の位相を変調し、第1の位相変調器170により変調された第1の信号線140における第1の直線偏波と第2の位相変調器180により変調された第2の信号線150における第2の直線偏波との位相差が±90度である場合、第1の信号線140における第1の直線偏波と第2の信号線150における第2の直線偏波とは、放射パッチ120で円偏波が形成され、放射パッチ120で送受信される。第1の位相変調器170により変調された第1の信号線140における第1の直線偏波と第2の位相変調器180により変調された第2の信号線150における第2の直線偏波との位相差が0度である場合、第1の信号線140における第1の直線偏波と第2の信号線150における第2の直線偏波とは、放射パッチ120で直線偏波が形成され、放射パッチ120で送受信される。本願の実施例におけるアンテナ構造が円偏波(左旋円偏波及び右旋円偏波を含む)を受信する場合、円偏波は、放射パッチ120で2つの直交する直線偏波に分け、第1の信号線140及び第2の信号線150を介して無線周波数ポート130に伝送する。このように、第1の位相変調器170及び第2の位相変調器180を制御することで、当該アンテナ構造が単一の無線周波数ポートを利用して左旋円偏波、右旋円偏波、及び直線偏波を送受信することができるようにする。
【0064】
例えば、いくつかの例において、図3に示すように、第1の給電点121と放射パッチ120の中心との第1の連接線は、第2の給電点122と放射パッチ120の中心との第2の連接線に対して垂直である。このように、第1の給電点121と第2の給電点122との直線偏波の直交を保証し、円偏波を形成しやすくなる。
【0065】
例えば、いくつかの例において、図3に示すように、第1の位相変調器170の第1の基板110への正投影は、放射パッチ120の第1の基板110への正投影の第1の給電点121の所在する側に位置し、第2の位相変調器180の第1の基板110への正投影は、放射パッチ120の第1の基板110への正投影の第2の給電点122の所在する側に位置する。このように、当該アンテナ構造が2つの位相変調器を含み、即ち第1の位相変調器及び第2の位相変調器を含む場合、スペースを十分に活用でき、このアンテナ構造体の体積をさらに小さくする。
【0066】
例えば、いくつかの例において、図3に示すように、第1の位相変調器170の第1の基板110への正投影と放射パッチ120の第1の基板110への正投影とは、離間されて設けられ、第2の位相変調器180の第1の基板110への正投影と放射パッチ120の第1の基板110への正投影とは、離間されて設けられる。
【0067】
例えば、いくつかの例において、第1の液晶層における液晶分子の誘電率は、ε||1-ε⊥2であり、第1の信号線が第1の液晶層と重なる長さLは、以下の式を満たす。
【0068】
【数3】
【0069】
ここで、ε||1は、第1の液晶層における液晶分子の平行誘電率であり、ε⊥2は、第1の液晶層における液晶分子の垂直誘電率であり、cは光速であり、fは第1の信号線における電磁波の周波数である。
【0070】
例えば、いくつかの例において、第2の液晶層における液晶分子の誘電率の範囲は、ε||3-ε⊥4を含み、第2の信号線が第2の液晶層と重なる長さLは、以下の式を満たす。
【0071】
【数4】
【0072】
ここで、ε||3は第2の液晶層における液晶分子の平行誘電率であり、ε⊥4は、第2の液晶層における液晶分子の垂直誘電率であり、cは光速であり、fは第2の信号線における電磁波の周波数である。
【0073】
図4は本願の実施例におけるアンテナ構造の動作の模式図である。図4に示すように、第2の位相変調器180は、第2の信号線150における電磁波の位相を変調せず、第1の位相変調器170は、第1の信号線140における電磁波を位相を変調して、第1の信号線140における電磁波の位相は-90度の位相差が発生し、第1の信号線140における第1の直線偏波と第2の信号線150における第2の直線偏波とは、第1の給電点121及び第2の給電点122をそれぞれ介して放射パッチ120に伝送され、放射パッチ120で左旋円偏波が形成され、放射パッチ120で送受信される。
【0074】
図5は本願の実施例における他のアンテナ構造の動作の模式図である。図5に示すように、第2の位相変調器180は、第2の信号線150における電磁波の位相を変調せず、第1の位相変調器170は、第1の信号線140における電磁波の位相を変調して、第1の信号線140における電磁波の位相は90度の位相差が発生し、第1の信号線140における第1の直線偏波と第2の信号線150における第2の直線偏波とは、第1の給電点121及び第2の給電点122をそれぞれ介して放射パッチ120に伝送され、放射パッチ120で右旋円偏波が形成され、放射パッチ120で送受信される。
【0075】
図6は本願の実施例における他のアンテナ構造の動作の模式図である。図6に示すように、第1の位相変調器170は、第1の信号線140における電磁波の位相を変調せず、第2の位相変調器180は、第2の信号線150における電磁波の位相を変調せず、第1の信号線140における第1の直線偏波と第2の信号線150における第2の直線偏波とは、第1の給電点121と第2の給電点122をそれぞれ介して放射パッチ120に伝送され、放射パッチ120で直線偏波が形成され、放射パッチ120で送受信される。
【0076】
なお、本願の実施例におけるアンテナ構造の動作状態は、図4図6に記載の内容に限定されず、実際に応じて、第1の位相変調器と第2の位相変調器をそれぞれ利用して第1の信号線と第2の信号線における電磁波をそれぞれ位相変調する。
【0077】
例えば、いくつかの例において、第2の位相変調器180は、第1の位相変調器170と同様の構成を採用しても良い。図7Aは本願の実施例におけるアンテナ構造における第2の位相変調器の断面模式図である。図7A図3のCD線による断面模式図である。図7Aに示すように、第2の位相変調器180は、第1の基板110に対向して設けられる第3の基板181と、第1の基板110と第3の基板181との間に挟まれて設けられる第2の液晶層182、第2の共通電極183、第2の駆動電極184とを含む。第2の共通電極183と第2の駆動電極184のうちの一方は、第1の基板110の第2の液晶層182に近い側に設けられ、第2の共通電極183と第2の駆動電極184のうちの他方は、第3の基板181の第2の液晶層182に近い側に設けられる。第2の信号線150の第1の基板110への正投影と第2の液晶層182の第1の基板110への正投影とは、少なくとも一部が重なる。第2の位相変調器180は、第2の共通電極183と第2の駆動電極184の電圧によって、第2の液晶層182における液晶分子の配向を調整して、第2の液晶層182の実効誘電率を変更することで、第2の信号線150における電磁波の位相を変調する。さらに、液晶アンテナ構造の第2の位相変調器を採用するのは、さらに、体積が小さくなり、軽薄等の利点があるため、本願の実施例におけるアンテナ構造の小型化により有利である。なお、図7Aには、放射パッチ120も示されており(図中破線枠で示す)、放射パッチ120は、第2の液晶層182と重ならないため、破線枠で示されている
【0078】
例えば、図7Aに示すように、第2の共通電極183は、第1の基板110の第2の液晶層182に近い側に設けられ、第2の駆動電極184は、第3の基板181の第2の液晶層182に近い側に設けられてもよい。勿論、本願の実施例はこれに限定されず、第2の駆動電極184は、第1の基板110の第2の液晶層182に近い側に設けられ、第2の共通電極183は、第3の基板181の第2の液晶層182に近い側に設けられてもよい。
【0079】
例えば、いくつかの例において、図7Aに示すように、第2の位相変調器180は、第2の枠ゴム187をさらに含み、当該第2の枠ゴム187は、第1の基板110と第3の基板181との間に位置し、第2の液晶層182を限定するように構成される。このように、第1の基板110と第3の基板181と第2の枠ゴム187とは、第2の液晶層182を形成する液晶分子を収容する液晶セルを形成する。
【0080】
例えば、いくつかの例において、図7Aに示すように、第2の信号線150は、第3の基板181と第2の駆動電極184との間に位置する。勿論、本願の実施例はこれに限定されず、第2の共通電極が第3の基板の第2の液晶層に近い側に位置する場合、第2の信号線が第2の液晶層の第2の共通電極から離れる側に位置し、第2の信号線と第2の共通電極との間に第2の液晶層が設けられることを保証することで、第2の液晶層が第2の信号線における電磁波の位相を変調できるようにする。
【0081】
例えば、いくつかの例において、図7Aに示すように、放射パッチ120は、第3の基板181の第2の液晶層182から離れる側に位置する。勿論、本願の実施例はこれに限定されない。
【0082】
図7Bは本願の実施例における他のアンテナ構造における第2の位相変調器の断面模式図である。図7Bに示すように、放射パッチ120が第3の基板181の第2の液晶層182に近い側に位置し、第2の信号線150と同一の層に設けられる。
【0083】
例えば、図7Cは本願の実施例におけるアンテナ構造における第1の位相変調器と第2の位相変調器の断面模式図である。図7C図3のEF線に沿う断面模式図である。図7Cに示すように、第2の基板171と第3の基板181とは、同一の基板であり、第1の液晶層172と第2の液晶層182とは、同一の層に設けられても良い。つまり、図2Aの第2の基板171と図7Aの第3の基板181とは、同一の基板により形成され、図2Aの第1の液晶層172と図7Aの第2の液晶層182は、同一の層に設けられても良い。
【0084】
例えば、図7Cに示すように、第2の基板171と第3の基板181とは、同一の基板であり、第1の共通電極173と第2の共通電極183とは、第1の基板110における同一の共通電極である。つまり、図2Aの第2の基板171と図7Aの第3の基板181とは、同一の基板により形成され、図2Aの第1の共通電極173と図7Aの第2の共通電極183とは、同一の電極層により形成されてもよい。
【0085】
本願の一実施例は、アンテナ構造の変調方法を提供する。当該アンテナ構造は、上記のアンテナ構造を含む。図8は本願の実施例におけるアンテナ構造の変調方法のフローチャートである。図8に示すように、当該変調方法は、ステップS801-S803を含む。
【0086】
ステップS801において、無線周波数ポートに直線偏波を入力する。
【0087】
ステップS802において、パワースプリッタ素子は、直線偏波を第1の信号線と第2の信号線に割り当てる。
【0088】
ステップS803において、第1の位相変調器は、第1の信号線における直線偏波の位相を変更させて第2の信号線における直線偏波の位相に直交するように、第1の信号線の直線偏波の位相を変調する。
【0089】
本願の実施例におけるアンテナ構造の変調方法において、パワースプリッタ素子が無線周波数ポートからの直線偏波を第1の信号線と第2の信号線に割り当て、つまり、第1の信号線と第2の信号線における電磁波とが直線偏波であり、そして、第1の位相変調器が第1の信号線における電磁波の位相を変調し、第1の位相変調器により変調された第1の信号線における第1の直線偏波と第2の信号線における第2の直線偏波との位相差が例えば±90度である場合、第1の信号線における第1の直線偏波と第2の信号線における第2の直線偏波とは、放射パッチで円偏波が形成され、放射パッチで送受信される。第1の位相変調器により変調された第1の信号線における第1の直線偏波と第2の信号線における第2の直線偏波との位相差が0度である場合、第1の信号線における第1の直線偏波と第2の信号線における第2の直線偏波とは、放射パッチで直線偏波が形成され、放射パッチで送受信される。このように、第1の位相変調器を制御することで、当該アンテナ構造が単一の無線周波数ポートを利用して左旋円偏波、右旋円偏波、及び直線偏波を送受信することができるようにする。
【0090】
なお、第1の信号線における直線偏波の位相が変更されて第2の信号線における直線偏波の位相に直交する場合、第1の信号線における第1の直線偏波と第2の信号線における第2の直線偏波との位相差が±90度ではなく、且つ0度ではない場合、放射パッチで形成されたのは楕円偏波であり、第1の信号線における第1の直線偏波と第2の信号線における第2の直線偏波との電力が等しくない場合、放射パッチで形成されたのも楕円偏波であり、第1の信号線における第1の直線偏波と第2の信号線における第2の直線偏波との電力が等しく、位相差が±90度である場合、放射パッチで形成されたのは真円偏波である。
【0091】
例えば、いくつかの例において、第1の信号線における電磁波の電力と第2の信号線における電磁波の電力との差は、第1の信号線における電磁波の電力と第2の信号線における電磁波の電力のうちの大きい方の値の50%よりも小さい。したがって、形成される円偏波の軸が小さくなり、情報の伝送や受信により有利となる。
【0092】
例えば、いくつかの例において、パワースプリッタ素子が直線偏波を第1の信号線と第2の信号線に割り当てることは、パワースプリッタ素子が無線周波数ポートの電磁波を第1の信号線と第2の信号線に電力等分に割り当てることを含み、即ち、第1の信号線における第1の直線偏波と第2の信号線における第2の直線偏波とは、同じ電力を有する直線偏波である。そして、形成された円偏波が真円偏波であるため、さらに、情報の伝送や受信により有利となる。
【0093】
例えば、いくつかの例において、上記のアンテナ構造は、さらに、第2の位相変調器を含み、第2の位相変調器は、第2の信号線の電磁波の位相を変調する。この時、上記のステップ803は、さらに、第2の位相変調器が第2の信号線の直線偏波の位相を変調することで第2の信号線における直線偏波の位相を変更させることを含む。
【0094】
例えば、いくつかの例において、第1の位相変調器が、第1の信号線における直線偏波の位相を変更させて第2の信号線における直線偏波の位相に直交するように、第1の信号線の直線偏波の位相を変調することは、第1の位相変調器が、第1の信号線における直線偏波の位相と第2の信号線における直線偏波の位相とが90度異なるように、第1の信号線の直線偏波の位相を変調することを含む。そして、第1の信号線における第1の直線偏波と第2の信号線における第2の直線偏波とは、第1の給電点と第2の給電点をそれぞれ介して放射パッチに伝送され、放射パッチで右旋円偏波が形成され、放射パッチで送受信される。
【0095】
例えば、いくつかの例において、第1の位相変調器が、第1の信号線における直線偏波の位相を変更させて第2の信号線における直線偏波の位相に直交するように、第1の信号線の直線偏波の位相を変調することは、第1の位相変調器が、第1の信号線における直線偏波の位相と第2の信号線における直線偏波の位相とが-90度異なるように、第1の信号線の直線偏波の位相を変調することを含む。そして、第1の信号線における第1の直線偏波と第2の信号線における第2の直線偏波とは、第1の給電点と第2の給電点をそれぞれ介して放射パッチに伝送され、放射パッチで左旋円偏波が形成され、放射パッチで送受信される。
【0096】
以下の点が説明される。
【0097】
(1)本開示の実施形態の図面では、本開示の実施形態に関連する構造のみに関し、他の構造は、一般的な設計を参照すればよい。
【0098】
(2)本開示の同一の実施形態及び異なる実施形態における特徴は、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0099】
以上、本開示の具体的な実施形態についてのみ説明したが、本開示の技術的範囲はこれに限定されるものではなく、本願に開示された技術的範囲内において、当業者が容易に想到し得る変更または置換は、本開示の技術的範囲内に入る。したがって、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0100】
100 アンテナ構造
110 第1の基板
120 放射パッチ
1200 放射パッチ120の中心
1201 第1の連接線
1202 第2の連接線
121 第1の給電点
122 第2の給電点
130 無線周波数ポート
140 第1の信号線
150 第2の信号線
160 パワースプリッタ素子
170 第1の位相変調器
171 第2の基板
172 第1の液晶層
173 第1の共通電極
174 第1の駆動電極
177 第1の枠ゴム
180 第2の位相変調器
181 第3の基板
182 第2の液晶層
183 第2の共通電極
184 第2の駆動電極
187 第2の枠ゴム
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8