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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】電力変換装置および変電所用電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
H02M3/28 U
H02M3/28 W
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020006831
(22)【出願日】2020-01-20
(65)【公開番号】P2021114854
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】野木 雅之
(72)【発明者】
【氏名】真木 康次
(72)【発明者】
【氏名】玉田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】河野 佑介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕司
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/038363(WO,A1)
【文献】特開2018-125985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1直流電源と第2直流電源との間に電気的に接続される装置であって、
前記第2直流電源の正極端子と負極端子との間に、リアクトルを介して、降圧出力端子が電気的に接続されたチョッパ回路と、
前記第1直流電源の正極端子と負極端子との間に第1直流主回路が電気的に接続された第1インバータと、前記チョッパ回路の高圧回路側に第2直流主回路が電気的に接続された第2インバータと、前記第1インバータの交流端と前記第2インバータの交流端との間に電気的に接続された高周波絶縁変圧器と、を備えた高周波絶縁回路と、
を備え
前記第1インバータと前記第2インバータとは、上アームと下アームとのそれぞれにスイッチング素子を備えた第1レグと、前記第1レグと並列に接続され、上アームと下アームとのそれぞれに共振コンデンサを備えた第2レグと、を備える電力変換装置。
【請求項2】
第1直流電源と第2直流電源との間に電気的に接続される装置であって、
前記第2直流電源の正極端子と負極端子との間に、リアクトルを介して、降圧出力端子が電気的に接続されたチョッパ回路と、
前記第1直流電源の正極端子と負極端子との間に第1直流主回路が電気的に接続された第1インバータと、前記チョッパ回路の高圧回路側に第2直流主回路が電気的に接続された第2インバータと、前記第1インバータの交流端と前記第2インバータの交流端との間に電気的に接続された高周波絶縁変圧器と、を備えた高周波絶縁回路と、
を含む電力変換ユニットを複数備え、
複数の前記第1インバータの前記第1直流主回路は、前記第1直流電源の正極端子と負極端子との間において直列に接続され、
複数の前記チョッパ回路はカスケード接続され、前記第2直流電源の正極端子と負極端子との間に接続されている電力変換装置。
【請求項3】
第1直流電源と第2直流電源との間に電気的に接続される装置であって、
前記第2直流電源の正極端子と負極端子との間に、リアクトルを介して、降圧出力端子が電気的に接続されたチョッパ回路と、
前記第1直流電源の正極端子と負極端子との間に第1直流主回路が電気的に接続された第1インバータと、前記チョッパ回路の高圧回路側に第2直流主回路が電気的に接続された第2インバータと、前記第1インバータの交流端と前記第2インバータの交流端との間に電気的に接続された高周波絶縁変圧器と、を備えた高周波絶縁回路と、
を含む電力変換ユニットを複数備え、
複数の前記第1インバータの前記第1直流主回路の少なくとも一部は、前記第1直流電源に対して並列に接続され、
複数の前記チョッパ回路はカスケード接続され、前記第2直流電源の正極端子と負極端子との間に接続されている電力変換装置。
【請求項4】
前記チョッパ回路は、ハーフブリッジ回路である請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記チョッパ回路は、上アームと下アームとのそれぞれにワイドバンドギャップ半導体素子を備えている請求項4記載の電力変換装置。
【請求項6】
複数の前記電力変換ユニットの動作を制御する制御回路を更に備え、
前記制御回路は、複数の前記チョッパ回路を、複数の電力変換ユニット間でインタリーブ動作をさせる請求項2又は請求項3記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記第1インバータと前記第2インバータとはフルブリッジ回路であって、
前記高周波絶縁変圧器は、前記第1インバータの交流端間に電気的に接続された第1巻線と、前記第2インバータの交流端間に電気的に接続された第2巻線と、を備えたトランス回路であって、
前記第2インバータの交流端の一つと前記第2巻線との間に接続された交流ラインもしくは、前記第1インバータの交流端の一つと前記第1巻線の間に接続された交流ラインに介在する共振コンデンサを更に備えた請求項2又は請求項3記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記第1インバータと前記第2インバータとは、上アームと下アームとのそれぞれにスイッチング素子を備えた第1レグと、前記第1レグと並列に接続され、上アームと下アームとのそれぞれに共振コンデンサを備えた第2レグと、を備える請求項2又は請求項3記載の電力変換装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の電力変換装置と、
前記第1直流電源と、を備え、
前記第1直流電源は蓄電池を備えている変電所用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力変換装置、および、変電所用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電気鉄道の電力供給システムである直流き電システムは、負荷変動が激しく、き電線電圧変動が大きい特性になっている。また、直流き電システムでは、ダイオード整流器を用いて交流電力を直流電力に変換することが一般的に行われている。例えば、直流き電システムから交流電源系統へ電源回生を行うためには、回生インバータを設置しなければ実施することができず、回生車からの回生電流を吸収することができる十分な負荷が回生車周辺に存在しなければ、回生車は回生失効に陥ることになる。
【0003】
上記電圧変動や回生失効に対応するため、蓄電手段を備えた直流き電システムを設置することが行われている。例えば高出力な電車を導入した場合には、架線電圧の低下時や、余剰の回生電力が発生するときのために、蓄電手段を含む電源装置を設置することが考えられる。このような場合に用いられる電源装置は、蓄電池電圧を任意の電圧に変換して出力するための変換器を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-98834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、き電回路と電池回路とを絶縁すると、蓄電池の対地絶縁耐圧を下げることができ、任意の電力を架線と蓄電池との間で充放電することができる。その一方、例えばDC1500Vき電の場合、架線電圧は900V-1800V程度の範囲で変動するのが一般的であり、電池電圧と架線電圧との差が大きいと、絶縁回路(例えば高周波トランス)に流れるピーク電流値が大きくなる。これは結果として、高周波絶縁変圧器の大型化や、電力変換装置に用いるパワー半導体素子の電流定格を増大させる必要性が生じ、装置の大型化や、高コスト化を招くことになる。
【0006】
本発明の実施形態は、上記事情を鑑みて成されたものであって、電力変換装置および電源装置の小型化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態による電力変換装置は、第1直流電源と第2直流電源との間に電気的に接続される装置であって、前記第2直流電源の正極端子と負極端子との間に、リアクトルを介して、降圧出力端子が電気的に接続されたチョッパ回路と、前記第1直流電源の正極端子と負極端子との間に第1直流主回路が電気的に接続された第1インバータと、前記チョッパ回路の高圧回路側に第2直流主回路が電気的に接続された第2インバータと、前記第1インバータの交流端と前記第2インバータの交流端との間に電気的に接続された高周波絶縁変圧器と、を備えた高周波絶縁回路と、を備え、前記第1インバータと前記第2インバータとは、上アームと下アームとのそれぞれにスイッチング素子を備えた第1レグと、前記第1レグと並列に接続され、上アームと下アームとのそれぞれに共振コンデンサを備えた第2レグと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の電力変換装置および電源装置の一構成例を概略的に示す図である。
図2図2は、第2実施形態の電力変換装置の電力変換ユニットの一構成例を概略的に示す図である。
図3図3は、第3実施形態の電力変換装置および電源装置の一構成例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の電力変換装置および変電所用電源装置について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、第1実施形態の電力変換装置および電源装置の一構成例を概略的に示す図である。
【0010】
本実施形態の電源装置は、例えば変電所に設置される装置であって、第1直流電源1と、抵抗器Rと、電力変換装置3と、を備え、第2直流電源2と電気的に接続されている。第2直流電源2は、直流き電回路を備えた直流電源であって、例えば架線である。第2直流電源2は、例えばDC1500Vき電である。
【0011】
電力変換装置3は、複数の電力変換ユニット4と、リアクトル6、8と、コンデンサ7と、制御回路CTRと、を備えている。
第1直流電源1は、例えば蓄電池を備えた直流電源である。なお、第1直流電源1は、交流電力を直流電力に変換して出力する電力変換器を備えていてもよい。
【0012】
本実施形態では、第1直流電源1は、高電位側電源1Pと低電位側電源1Nとの間(中性点)において抵抗器Rを介して接地されている。これにより、第1直流電源1の蓄電池の対地電位を下げることができる。なお、第1直流電源1の蓄電池の絶縁耐圧が十分であるときには、中性点接地ではなく第1直流電源1の低電位側にて接地してもよく、絶縁回路(高周波絶縁変圧器15)よりも第1直流電源1側にある回路を電気的に浮いた状態としてもよい。
【0013】
図1に示す例では、電力変換装置3は3つの電力変換ユニット4を備えている。電力変換ユニット4のそれぞれは、チョッパ回路5と、共振型高周波絶縁回路とを備えている。共振型高周波絶縁回路は、コンデンサ12、13と、第1インバータINV1と、共振コンデンサ14と、高周波絶縁変圧器15と、第2インバータINV2と、を備えている。
【0014】
第1インバータINV1は、第1直流主回路間に電気的に接続された2つのレグを備えたフルブリッジ回路である。第1インバータINV1の各レグは、上アームと下アームとを備えている。第1インバータINV1の上アームと下アームとのそれぞれは、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワー半導体素子10を備えている。IGBT等のパワー半導体素子10を用いることにより、第1インバータINV1における導通損を抑制することが可能である。
コンデンサ13は、第1インバータINV1の高電位側の直流端と低電位側の直流端との間に接続されている。
【0015】
第2インバータINV2は、第2直流主回路間に電気的に接続された2つのレグを備えたフルブリッジ回路である。第2インバータINV2の各レグは、上アームと下アームとを備えている。第2インバータINV2の上アームと下アームとのそれぞれは、IGBT等のパワー半導体素子11を備えている。IGBT等のパワー半導体素子11を用いることにより、第2インバータINV2における導通損を抑制することが可能である。
コンデンサ12は、第2インバータINV2の高電位側の直流端と低電位側の直流端との間に接続されている。
【0016】
高周波絶縁変圧器15は、第1インバータINV1の交流端と第2インバータINV2の交流端との間に接続されている。高周波絶縁変圧器15は、例えば高周波トランス回路であって、第1インバータINV1の2つのレグの交流端間に接続された第1巻線と、第2インバータINV2の2つのレグの交流端間に接続された第2巻線と、を備えている。高周波絶縁変圧器15の第1巻線の巻数と第2巻線の巻数とは、コンデンサ12とコンデンサ13との電圧の比および直流電源1の電圧に応じて設定される。
共振コンデンサ14は、高周波絶縁変圧器15の第2巻線と第2インバータINV2の1つのレグの交流端との間を電気的に接続する交流ラインに介在している。共振コンデンサ14は第1巻線と第1インバータINV1の間の交流ラインに介在させてもよい。
【0017】
チョッパ回路5は、その高圧回路側が第2インバータINV2の第2直流主回路と電気的に接続されている。チョッパ回路5は、第2直流主回路間に直列に接続された2つのスイッチング素子9を備えたハーフブリッジ回路である。チョッパ回路5のスイッチング素子9には、例えば、SiC(Silicon Carbide)-MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等のワイドバンドギャップ半導体を用いたスイッチング素子(ワイドバンドギャップ半導体素子)を適用することが望ましい。ワイドバンドギャップ半導体には、例えば、III-V族半導体が含まれる。チョッパ回路5はハードスイッチングするため、前述のワイドバンドギャップ半導体を用いることにより、チョッパ回路5におけるスイッチング損失を低減することが可能である。
【0018】
3つの電力変換ユニット4のコンデンサ13は、第1直流電源1の正極端子と負極端子との間に直列に接続されている。すなわち、最も高電位側の電力変換ユニット4の高電位側の第1直流主回路は、第1直流電源1の正極端子と電気的に接続されている。最も高電位側の電力変換ユニット4の低電位側の第1直流主回路は、次段の(低電位側に接続された)電力変換ユニット4の高電位側の第1直流主回路と電気的に接続されている。最も低電位側の電力変換ユニット4の高電位側の第1直流主回路は、前段の(高電位側に接続された)電力変換ユニット4の低電位側の第1直流主回路と電気的に接続されている。最も低電位側の電力変換ユニット4の低電位側の第1直流主回路は、第1直流電源1の負極端子と電気的に接続されている。
【0019】
3つの電力変換ユニット4のチョッパ回路5は、降圧出力端子において互いに電気的に接続されている。すなわち、電力変換ユニット4の低電位側の第2直流主回路は、次段の(低電位側に接続された)電力変換ユニット4の2つのスイッチング素子9の間に電気的に接続されている。最も高電位側の電力変換ユニット4のチョッパ回路5の2つのスイッチング素子9間は、リアクトル8およびリアクトル6を介して第2直流電源2の正極端子と電気的に接続されている。最も低電位側の電力変換ユニット4の低電位側の第2直流主回路は、第2直流電源2の負極端子と電気的に接続されている。つまり、3つの電力変換ユニット5のチョッパ回路5側は、図1に示されるように、カスケード接続されている。
【0020】
リアクトル6とリアクトル8とは、第2直流電源2の正極端子と、最も高電位側の電力変換ユニット4の2つのスイッチング素子9間との間において、直列に接続されている。
コンデンサ7は、第2直流電源2の正極端子と負極端子との間において、リアクトル6と直列に接続される。リアクトル6とコンデンサ7とは、LCフィルタを構成し、第2直流電源2に対して高調波電流が流れることを抑制する。
【0021】
制御回路CTRは、例えば、CPU(central processing unit)やMPU(micro processing unit)などのプロセッサを少なくとも1つと、プロセッサにより実行されるプログラムを記録可能なメモリと、を備えた演算回路である。
制御回路CTRは、チョッパ回路5の動作を制御してリアクトル8に流れる電流を制御し、コンデンサ7の電圧が所定の値となるように電圧制御を行う。なお、制御回路CTRは、必要に応じて、コンデンサ7の電圧を検出する電圧センサ、および、電力変換装置3に含まれる種々のセンサ(図示せず)により検出された値を取得し、演算に用いることが可能である。
【0022】
次に、本実施形態の電源装置および電力変換装置の動作の一例について説明する。
例えば、第1直流電源1から第2直流電源2へ電力を供給する際には、第1インバータINV1は、スイッチング動作を停止する。すなわち、第1インバータINV1の4つのパワー半導体素子11はオフされた状態となる。第2インバータINV2は、高周波インバータとして高周波電流を出力する。
【0023】
コンデンサ12とコンデンサ13との電圧は、高周波絶縁変圧器15の第1巻線と第2巻線との巻数比によって決まる。ここで、コンデンサ12の電圧を直列段数分(3つ分)加算した値は、第2直流電源2の電圧よりも大きくなるように設定される。
【0024】
上記の状態において、制御回路CTRは、チョッパ回路5が降圧動作を行うように制御し、電力変換装置3から第2直流電源2に対して電流を出力させる。このとき、制御回路CTRは、複数のチョッパ回路5にインタリーブ動作をさせる。例えば図1に示す電力変換装置3では、3つのチョッパ回路5が直列に接続されているため、制御回路CTRは、3つのチョッパ回路5のスイッチング素子9に対して、位相を互いに120°ずらしたゲート信号を生成する。これにより、例えば1つの電力変換ユニット4におけるスイッチング周波数が1kHzであるとき、電力変換装置3全体におけるスイッチング周波数は3kHzと等価となる。その結果、電力変換装置3から出力される電流を高周波化することが可能であり、リアクトル8のインダクタンス値を抑制し、リアクトル8の大きさを小さくすることができる。
【0025】
また、本実施形態の電力変換ユニット4は共振型高周波絶縁回路であるため、例えば従来のデュアルアクティブブリッジ(DAB)回路と比較すると、高周波絶縁変圧器15に流れるピーク電流値の増大がなくなる。このため、高周波絶縁変圧器15の電流定格が増大することを抑制するとともに、第1インバータINV1および第2インバータINV2のパワー半導体素子10、11のピーク電流を抑制し、電源装置および電力変換装置を小型にすることが可能となる。
【0026】
なお、第2直流電源2から第1電源2へ電力を供給する際には、上記動作とは逆に、第2インバータINV2はスイッチング動作を停止し、第1インバータINV1は高周波インバータとして動作して高周波電流を出力する。制御回路CTRは、上記状態において、リアクトル8に任意の電流が通流するように、チョッパ回路5のスイッチング素子9のゲート信号を生成する。
上記のように、本実施形態によれば、電力変換装置および電源装置の小型化を実現することができる。
【0027】
次に、第2実施形態の電力変換装置および電源装置について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態の電力変換装置および電源装置と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0028】
図2は、第2実施形態の電力変換装置の電力変換ユニットの一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態の電力変換装置は、電力変換ユニット4の第1インバータINV1および第2インバータINV2の構成が上述の第1実施形態と異なっている。
【0029】
第1インバータINV1は、上アームと下アームとのそれぞれにパワー半導体素子10を備えたレグ(第1レグ)と、上アームと下アームとのそれぞれに共振コンデンサ21を備えたレグ(第2レグ)と、により構成されている。
【0030】
第2インバータINV2は、上アームと下アームとのそれぞれにパワー半導体素子11を備えたレグ(第1レグ)と、上アームと下アームとのそれぞれに共振コンデンサ22を備えたレグ(第2レグ)と、により構成されている。
【0031】
本実施形態の電力変換装置では、第1インバータINV1と第2インバータINV2とが共振コンデンサ21、22を備える構成であるため、上述の第1実施形態の電力変換ユニット4における共振コンデンサ14は省略されている。
【0032】
本実施形態の電力変換装置の電力変換ユニット4は、上記構成以外は上述の第1実施形態と同様である。また、本実施形態の電力変換装置および電源装置の動作は、上述の第1実施形態と同様である。
【0033】
すなわち、本実施形態の電力変換装置および電源装置によれば、高周波絶縁変圧器15の電流定格が増大することを抑制するとともに、第1インバータINV1および第2インバータINV2のパワー半導体素子10、11のピーク電流を抑制することができる。このことにより、本実施形態によれば、電力変換装置および電源装置の小型化を実現することができる。
【0034】
次に、第3実施形態の電力変換装置および電源装置について図面を参照して詳細に説明する。
図3は、第3実施形態の電力変換装置および電源装置の一構成例を概略的に示す図である。
【0035】
本実施形態の電源装置は、第1直流電源1と、抵抗器Rと、電力変換装置3と、を備え、第2直流電源2と電気的に接続されている。第2直流電源2は、直流き電回路を備えた直流電源であって、例えば架線である。第2直流電源2は、例えばDC3000Vき電である。
【0036】
本実施形態の電力変換装置3は、チョッパ回路5と共振型高周波絶縁回路とを含む電力変換ユニット4を複数備えている。複数の第1インバータINV1の第1直流主回路の少なくとも一部は、第1直流電源1に対して並列に接続されている。複数のチョッパ回路5の降圧出力端子は、第2直流電源2の正極端子と負極端子との間において直列に接続されている。
【0037】
図3に示す例では、電力変換装置3は、第1変換部31と、第2変換部32と、コンデンサ7と、リアクトル6、8と、を備えている。
第1直流電源1は、例えば蓄電池を備えた直流電源である。なお、第1直流電源1は、交流電力を直流電力に変換して出力する電力変換器であってもよい。
【0038】
本実施形態では、第1直流電源1は、高電位側電源1Pと低電位側電源1Nとの間(中性点)において抵抗器Rを介して接地されている。これにより、第1直流電源1の蓄電池の対地電位を下げることができる。なお、第1直流電源1の蓄電池の絶縁耐圧が十分であるときには、中性点接地ではなく第1直流電源1の低電位側にて接地してもよく、第1直流電源1側の回路を絶縁し、電気的に浮いた状態としてもよい。
【0039】
第1変換部31と第2変換部32とのそれぞれは、3つの電力変換ユニット4を備えている。第1変換部31と第2変換部32とは、第1直流電源1に対して並列に接続され、第2直流電源2の正極端子と負極端子との間において直列に接続されている。
【0040】
第1変換部31と第2変換部32とのそれぞれにおいて、3つの電力変換ユニット4のコンデンサ13は、第1直流電源1の正極端子と負極端子との間に直列に接続されている。すなわち、最も高電位側の電力変換ユニット4の高電位側の第1直流主回路は、第1直流電源1の正極端子と電気的に接続されている。最も高電位側の電力変換ユニット4の低電位側の第1直流主回路は、次段の(低電位側に接続された)電力変換ユニット4の高電位側の第1直流主回路と電気的に接続されている。最も低電位側の電力変換ユニット4の高電位側の第1直流主回路は、前段の(高電位側に接続された)電力変換ユニット4の低電位側の第1直流主回路と電気的に接続されている。最も低電位側の電力変換ユニット4の低電位側の第1直流主回路は、第1直流電源1の負極端子と電気的に接続されている。
【0041】
第1変換部31の3つの電力変換ユニット4のチョッパ回路5の降圧出力端子と、第2変換部32の3つの電力変換ユニット4のチョッパ回路5の降圧出力端子とは、第2直流電源2の正極端子と負極端子との間において直列に接続されている。すなわち、電力変換ユニット4の低電位側の第2直流主回路は、次段の(低電位側に接続された)電力変換ユニット4の2つのスイッチング素子9の間に電気的に接続されている。最も高電位側の電力変換ユニット4のチョッパ回路5の2つのスイッチング素子9間は、リアクトル8およびリアクトル6を介して第2直流電源2の正極端子と電気的に接続されている。最も低電位側の電力変換ユニット4の低電位側の第2直流主回路は、第2直流電源2の負極端子と電気的に接続されている。
【0042】
リアクトル6とリアクトル8とは、第2直流電源2の正極端子と、最も高電位側の電力変換ユニット4の2つのスイッチング素子9間との間において、直列に接続されている。
コンデンサ7は、第2直流電源2の正極端子と負極端子との間において、リアクトル6と直列に接続される。リアクトル6とコンデンサ7とは、LCフィルタを構成し、第2直流電源2に対して高調波電流が流れることを抑制する。
【0043】
制御回路CTRは、例えば、CPU(central processing unit)やMPU(micro processing unit)などのプロセッサを少なくとも1つと、プロセッサにより実行されるプログラムを記録可能なメモリと、を備えた演算回路である。
制御回路CTRは、チョッパ回路5の動作を制御してリアクトル8に流れる電流を制御し、コンデンサ7の電圧が所定の値となるように電圧制御を行う。
【0044】
本実施形態の電力変換装置および電源装置の動作は、上述の第1実施形態と同様である。すなわち、本実施形態の電力変換装置および電源装置によれば、高周波絶縁変圧器15の電流定格が増大することを抑制するとともに、第1インバータINV1および第2インバータINV2のパワー半導体素子10、11のピーク電流を抑制することができる。このことにより、本実施形態によれば、電力変換装置および電源装置の小型化を実現することができる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0046】
例えば上述の複数の実施形態において、複数のコンデンサ13が第1直流電源1の正極端子と負極端子との間において直列に接続されていたが、複数のコンデンサ13は第1直流電源1に並列に接続されてもよい。その場合であっても上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
また、上述の複数の実施形態では、電力変換装置3は複数の電力変換ユニット4を備えていたが、電力変換装置3は少なくとも一つの電力変換ユニット4を備えていればよい。電力変換装置3に搭載される電力変換ユニット4の数は、チョッパ回路5のスイッチング素子9のスイッチング周波数とスイッチング損失とに応じて調整することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…第1直流電源、1N…低電位側電源、1P…高電位側電源、2…第2直流電源、3…電力変換装置、4…電力変換ユニット、5…チョッパ回路、6…リアクトル、7…コンデンサ、8…リアクトル、9…スイッチング素子、10…パワー半導体素子、11…パワー半導体素子、12…コンデンサ、13…コンデンサ、14…共振コンデンサ、15…高周波絶縁変圧器、21…共振コンデンサ、22…共振コンデンサ、INV1…第1インバータ、INV2…第2インバータ
図1
図2
図3