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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/02 20210101AFI20240213BHJP
   G03B 17/04 20210101ALI20240213BHJP
   H04N 23/51 20230101ALI20240213BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20240213BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G03B17/02
G03B17/04
H04N23/51
H04N23/50
H04R1/02 106
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020010179
(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公開番号】P2021117340
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 晋作
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-005349(JP,A)
【文献】特開2004-357223(JP,A)
【文献】特開2007-194708(JP,A)
【文献】特開2008-028649(JP,A)
【文献】特開2020-003790(JP,A)
【文献】特開2005-079761(JP,A)
【文献】特開2019-095782(JP,A)
【文献】特開2012-019279(JP,A)
【文献】特開2015-148762(JP,A)
【文献】特開2004-120147(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0212755(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0090332(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/02
G03B 17/04
H04N 23/51
H04N 23/50
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置の一表面を形成する外装部材と、
前記外装部材に形成された凹部と、
前記凹部の内壁面に形成された集音孔と、
前記集音孔を介して集音する集音部材と、
前記外装部材に対して開閉可能に支持された表示部と、
を有し、
前記凹部は、前記外装部材が形成する前記表面とは異なる表面に向かって開口する開口部を有し、前記表示部を開く際に撮影者の指先が挿入される指がかり部として機能することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記外装部材には、前記撮像装置を操作する操作部材が形成されており、
前記凹部は、前記操作部材の近傍に形成されていることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記外装部材の内側に前記操作部材の回路が形成された基板が配置されており、
前記集音部材は、前記基板における前記凹部の内壁面に設けられた集音孔に対応する位置に支持されていることを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記外装部材は、前記撮像装置の背面を形成し、前記凹部は、前記撮像装置の背面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記開口部は、前記撮像装置の底面に開口していることを特徴とする請求項4記載の撮像装置。
【請求項6】
前記集音孔は、前記表示部の枠部と前記凹部の内壁面の一部に囲まれていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記表示部は、当該表示部を前記外装部材に対して開閉可能に支持する支持部材側に配置された位置検出用の磁石を備えており、
前記集音部材は、前記表示部の開状態及び閉状態において前記磁石とは所定の距離離れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像装置を操作する回転操作部材及び当該回転操作部材が回転する際に触感を生成する触感生成部を備えており、
前記触感生成部は、前記集音部材とは前記回転操作部材を介して対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記集音部材は、前記撮像装置を操作する撮影者の音声を記録するためのマイクであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子を搭載した撮像装置に関し、特に、音声を記録するためのマイクを備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮像素子から出力される画像信号、画像情報等をデータファイルとして記録するデジタルカメラ(以下、「撮像装置」という。)が広く普及している。撮像装置は、撮影レンズで撮像素子上に光学像を結像させ、結像した光学像を撮像素子によって光電変換して、例えばJPEG等のファイル形式の画像データとし、得られた画像データに圧縮処理を施して記録用メディアに記録する。
【0003】
このような撮像装置には、静止画のみでなく音声を含んだ動画を撮影できるものがあり、音声を記録するためのマイクを搭載したものが普及している。マイクを搭載した撮像装置には、記録した静止画データに後から音声データを付帯させることができるボイスメモ機能が搭載されたものがある。ボイスメモ機能が搭載された撮像装置は、被写体の音声を記録するためのマイクに加えて、撮像装置を操作する撮影者(ユーザ)の音声を記録するためのマイクを備えている。
【0004】
ところで、マイクを搭載した撮像装置において、撮像装置の操作中に、ユーザが無意識にマイクの音孔部を指先で覆うなどして塞いでしまった場合、音声が記録されないという問題がある。
【0005】
このような問題に対して、特許文献1には、撮像装置のポップアップフラッシュ近傍の把持部に凹部を設け、当該凹部内にマイクを配置することによって音孔が塞がれることを防止する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004‐120147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術では、撮像装置のポップアップフラッシュを使用しない場合に、ユーザが凹部ごと指で覆うことによってマイクの音孔を塞いでしまう虞がある。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、撮影者(ユーザ)が誤って集音部材の集音孔を塞いでしまうことを防止することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の撮像装置は、撮像装置の一表面を形成する外装部材と、前記外装部材に形成された凹部と、前記凹部の内壁面に形成された集音孔と、前記集音孔を介して集音する集音部材と、前記外装部材に対して開閉可能に支持された表示部と、を有し、前記凹部は、前記外装部材が形成する前記表面とは異なる表面に向かって開口する開口部を有し、前記表示部を開く際に撮影者の指先が挿入される指がかり部として機能することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外装部材に形成され、集音孔を備えた凹部に、外装部材が形成する一表面とは異なる表面に向かって開口する開口部を設けたので、ユーザが、誤って凹部の一表面側を覆ってしまったとしても他方面側が開口している。これによって、ユーザが、撮像装置に設けられた集音部材の集音孔を誤って塞いでしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る撮像装置を示す斜視図であり、図1(a)は、前方から見た斜視図、図1(b)は、後方から見た斜視図である。
図2図1の撮像装置の装置構成を示すブロック図である。
図3図1の撮像装置の分解斜視図である。
図4】フレキシブルプリント基板と操作ダイヤルを説明するための分解斜視図である。
図5】リアカバーとマイクとの位置関係を説明するための図であり、図3の矢印A方向から見た図である。
図6】撮像装置におけるマイクの配置位置を説明するための図であり、図6(a)は表示部が閉じられた状態を示す図、図6(b)は表示部が開かれ状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る撮像装置を示す斜視図であり、図1(a)は、前方から見た斜視図、図1(b)は、後方から見た斜視図である。
【0014】
図1において、撮像装置1は、例えば、レンズ交換式のデジタルカメラである。撮像装置1の上面には、ファインダ外表示部4が設けられている。ファインダ外表示部4は、シャッタ速度や絞りをはじめとする撮像装置1の様々な設定値を表示する表示部である。撮像装置1の装置本体の右側部分に撮像装置1を把持するためのグリップ部25が形成されている。グリップ部25は、撮影者(以下、「ユーザ」という。)が撮像装置1を構えた際に右手で握りやすい形状に形成された把持部である。グリップ部25の右側壁に蓋24が設けられている。蓋24は、記録媒体(図示省略)を格納したスロットの蓋である。
【0015】
グリップ部25を右手の小指、薬指、中指で握って撮像装置1を保持した状態で、右手の人差指で操作可能な位置にシャッターボタン5、メイン電子ダイヤル8が配置されている。シャッターボタン5は、撮影指示を行うための操作部である。メイン電子ダイヤル8は、回転操作部材であり、メイン電子ダイヤル8を回すことによってシャッタ速度や絞りなどの設定値を変更することができる。
【0016】
また、ユーザが、撮像装置1を保持した状態で、右手の親指で操作可能な位置に、サブ電子ダイヤル11及び選択部材26が配置されている。サブ電子ダイヤル11は、回転操作部材であり、選択枠の移動や画像送りなどを指示するための操作部材である。選択部材26は、上、下、左、右部分をそれぞれ押し込み可能な十字キー(4方向キー)であり、4方向キーにおける押下した部分に応じた操作が可能である。
【0017】
サブ電子ダイヤル11の中心に、モード切替スイッチ6が配置されている。モード切替スイッチ6は、各種モードを切り替えるための操作部である。メイン電子ダイヤル8とモード切替スイッチ6との間に、動画ボタン14が配置されている。動画ボタン14は、動画撮影(記録)の開始、停止の指示に用いられる。
【0018】
グリップ部25と対向する撮像装置1の左側面に、端子カバー7が設けられている。端子カバー7は、外部機器との接続ケーブルと撮像装置1とを接続する接続ケーブル等のコネクタ(図示省略)を保護するカバーである。撮像装置1の上部左側に、電源スイッチ10が配置されている。電源スイッチ10は、撮像装置1の電源のON及びOFFを切り替える操作部材である。
【0019】
撮像装置1は、その背面に表示部2を備えている。表示部2は、画像や各種情報を表示する表示部である。表示部2の表示面(操作面)は、タッチパネル3となっている。タッチパネル3は、表示部2の表示面(操作面)に対するタッチ操作を検出する。
【0020】
表示部2に隣接するように、その右側に操作部9が設けられている。操作部9は、複数の押しボタンと操作ダイヤル12によって構成されている。操作ダイヤル12は、回転操作部材であり、操作ダイヤル12を回転させることによって、シャッタ速度や絞りなどの設定値を変更することができる。操作ダイヤル12の中心部に、SETボタン13が配置されている。SETボタン13は、押しボタンであり、主に選択項目の決定などに用いられる。
【0021】
操作ダイヤル12の下方に、再生ボタン17が配置されている。再生ボタン17は、撮影モードと再生モードとを切り替える操作ボタンである。撮影モード中に再生ボタン17を押下することによって再生モードに移行し、記録媒体(図示省略)に記録された画像のうち最新の画像を表示部2に表示させることができる。
【0022】
操作部9の上方に、AEロックボタン15が配置されている。AEロックボタン15は、撮影待機状態で押下することにより、露出状態を固定することができる。AEロックボタン15に隣接するように、拡大ボタン16が配置されている。拡大ボタン16は、撮影モードのライブビュー表示において拡大モードのON、OFFを行うための操作ボタンである。拡大モードをONとしてからメイン電子ダイヤル8を操作することにより、LV画像の拡大、縮小を行うことができる。再生モードにおいて、拡大ボタン16は、再生画像を拡大し、拡大率を増加させるための拡大ボタンとして機能する。
【0023】
表示部2の上方に、接眼部21が設けられている。接眼部21は、接眼ファインダー(覗き込み型のファインダー)の接眼部であり、ユーザは、接眼部21を介して内部のEVF22に表示された映像を視認することができる。接眼部21に隣接するようにその下方に接眼検知部23が配置されている。接眼検知部23は、接眼部21にユーザが接眼しているか否かを検知する接眼検知センサである。
【0024】
接眼部21の左側に、メニューボタン19が配置されている。メニューボタン19は、押しボタンであり、メニューボタン19が押下されると各種の設定可能なメニュー画面が表示部2に表示される。ユーザは、表示部2に表示されたメニュー画面と、操作ダイヤル12やSETボタン13を用いて直感的に各種設定を行うことができる。メニューボタン19に隣接するようにその左側に、レーティングボタン18が配置されている。レーティングボタン18は、押しボタンであり、再生モードにおいて記録データに音声データを付与するボイスメモの開始ボタンでもある。再生モード中に記録データを選択し、レーティングボタン18を押し続けている間、後述する集音孔としてのマイク孔110の内側に配置されたマイク530によって音声記録が行われる。
【0025】
撮像装置1の前面に、レンズマウント部28が設けられている。レンズマウント部28は、撮像装置1に着脱可能なレンズを取り付ける部分である。レンズマウント部28の内側には通信端子20が配置されており、通信端子20は、撮像装置1とレンズとの間で通信を行う。
【0026】
レンズマウント部28における径中央部の左横には当該レンズマウント部28に隣接するように、ロックボタン27が配置されている。撮像装置1にレンズが装着されると保持ロック(図示省略)が機能する。ロックボタン27を押下することによって保持ロック機構が解除され、レンズを取り外すことが可能になる。
【0027】
撮像装置1には、着脱可能なレンズとして撮像素子90の略24mm×36mmの全有効領域に露光が可能なフルサイズ対応レンズ、及び、露光領域の小さいフォーマットのレンズであるAPS-C対応レンズの各レンズを装着することができる。撮像素子90は、取り込んだ光情報を信号に変換するCMOSセンサであり、略24mm×36mmの有効領域を有する、いわゆる35mmフルサイズ撮像素子である。
【0028】
撮像装置1の前面であって、レンズマウント部28の右上方部にマイク穴30が配置されている。マイク穴30の内部には集音部材としてのマイク(図示省略)が配置されており、マイクは、動画撮影中に被写体の音声データの記録に使用される。撮像装置1の前面であって、レンズマウント部28の左上方部にスピーカ穴31が配置されている。スピーカ穴31の内部にはスピーカ(図示省略)が配置されており、スピーカは、記録データの音声や撮像装置1の内蔵音声の再生に使用される。
【0029】
撮像装置1の左右の肩部に、それぞれストラップ挿入部材40及び41が設けられている。ユーザは、ストラップ挿入部材40及び41にストラップ等の紐状部材(図示省略)を挿通することによって、撮像装置1を吊るして持ち運びすることができる。
【0030】
次に、図1の撮像装置の装置構成について説明する。図2は、図1の撮像装置の装置構成を示すブロック図である。
【0031】
図2において、撮像装置1の装置本体にレンズ装置70を装着した交換レンズ式カメラが構成されている。
【0032】
レンズ装置70は、レンズシステム制御部72、レンズ駆動部73及び複数のレンズや絞りを有する撮像光学系74を備えている。撮像光学系74の光軸を符号99で示す。レンズシステム制御部72は、レンズ装置70全体を制御する。レンズ駆動部73は、フォーカスレンズ、ズームレンズ、絞り等の駆動部材を制御する。
【0033】
撮像装置1のカメラ本体部は、カメラシステム制御部81を備えている。カメラシステム制御部81は、画像処理部83、記憶部84、表示部85、操作検出部86、ブレ検出部87、ブレ補正部88、及びシャッタ機構部89とそれぞれ接続されている。カメラシステム制御部81は、ブレ補正部88を介して撮像素子90と接続されている。カメラシステム制御部81は、また、音声制御部82と接続されており、当該音声制御部82を介して上述した画像処理部83及び記憶部84とそれぞれ接続されている。カメラシステム制御部81は、通信端子20を介してレンズ装置70のレンズシステム制御部72とも接続されている。
【0034】
カメラシステム制御部81は、撮像装置1全体を制御する。カメラシステム制御部81は、操作検出部86により検出される操作信号にしたがって、撮像装置1及びレンズ装置70の制御を統括する。カメラシステム制御部81は、CPU(中央演算処理装置)を備えており、CPUは、所定のプログラムを実行して撮像システムにおける各種の処理を行う。また、カメラシステム制御部81は、通信端子20を介して接続されたレンズシステム制御部72と通信可能である。
【0035】
撮像素子90は、撮像光学系74、シャッタ機構部89を介して被写体からの光を受光し、光電変換により電気信号を出力する。画像処理部83は、撮像素子90が出力する画像信号を取得して現像処理等を実行する。画像処理後の画像データは記憶部84に記憶される。シャッタ機構部89は、撮像素子90に対して被写体側に配置され、露光時間の制御に用いられる。
【0036】
ブレ検出部87は、手振れ等による装置の振れを検出する。ブレ検出部87は、光軸99を中心軸とする回転を検出可能であり、ピッチ方向、ヨー方向、ロール方向における撮像装置の回転ブレを検出する。例えば、ジャイロセンサ等を用いて振れ検出が行われ、振れ検出信号はカメラシステム制御部81に出力される。
【0037】
ブレ補正部88は、撮像された画像の像ブレを補正する。ブレ補正部88は、カメラシステム制御部81からの制御指令にしたがって像ブレ補正を行う。ブレ補正部88は、光軸99に直交する平面内にて撮像素子90を移動(駆動)させる。
【0038】
次に、このような構成の撮像装置1の動作について説明する。
【0039】
被写体からの光は、撮像光学系74を介して撮像素子90の撮像面に結像する。撮像素子90の出力信号からピント評価量や露光量が得られ、これらの情報に基づいて撮像光学系74の光学調整処理が実行される。すなわち、撮像素子90が適正に露光され、被写体像に対応する撮像信号が撮像素子90から出力される。
【0040】
シャッタ機構部89は、シャッタ幕を走行させることで撮像素子90に対する遮光制御を行う。シャッタ機構部89は、遮光部材(メカ後幕)を備えており、撮像素子90への露光の完了はシャッタ機構部89によって行われる。撮像素子90では、シャッタ機構部89の後幕走行に先だって電子先幕の処理が行われる。これは、ラインごとに電荷をリセットすることによって露光開始のタイミングを制御する処理である。電子先幕のモードでは、撮像素子90の電荷のリセット動作とシャッタ機構部89の後幕の移動とを同期させて露光制御が行われる。電子先幕の技術は公知であるため、その詳細な説明は割愛する。
【0041】
画像処理部83は、A/D変換器、ホワイトバランス調整回路、ガンマ補正回路、補間演算回路等を有する。画像処理部83は、例えば、撮像素子90から取得したベイヤ配列の信号から色補間(デモザイキング)処理を施してカラー画像データを生成し、記録用画像データを記憶部84に出力する。
【0042】
また、画像処理部83は、静止画像、動画像のデータ圧縮を行い、音声制御部82は、記録する音声データの圧縮を行う。音声制御部82にて圧縮された音声データは、画像処理部83にて動画像又は静止画像に合成処理された後、記憶部84に出力される。記憶部84は、不揮発性メモリを備え、画像データを含む各種データ等を記憶する。カメラシステム制御部81は、記憶部84へのデータの記憶処理や、記憶部84から読み出したデータを表示部85に出力してユーザに提示する処理を行う。なお、図2中の表示部85は、図1の表示部2とファインダ外表示部4に対応するものである。
【0043】
カメラシステム制御部81は、ユーザ操作信号に応じて、撮像処理、画像処理、記録再生処理等の制御を行う。操作検出部86は、例えば、シャッタレリーズ釦の押下を検出する。シャッタレリーズ釦の半押し操作によって第1スイッチがオンする。さらにシャッタレリーズ釦の全押し操作によりユーザが釦を最後まで押し切ると第2スイッチがオンする。カメラシステム制御部81は、操作検出部86から第2スイッチ操作による撮影指示を受け付けると、撮像素子90の駆動制御や、画像処理、圧縮処理等を行い、さらに表示部2の画面上に画像情報等を表示するよう制御する。また、操作検出部86は、例えば、カメラ背面に設けられたタッチパネル3(図1(b))の操作を検出して、ユーザの操作指示をカメラシステム制御部81に伝達する。
【0044】
また、カメラシステム制御部81は、撮像素子90からの信号に基づいて適切な焦点位置、絞り値を算出する。すなわち、カメラシステム制御部81は、撮像素子90の出力信号により、測光および焦点状態を検出し、露光条件として、例えばF値、シャッタ速度等を決定する。カメラシステム制御部81は、絞り制御やシャッタ制御によって撮像素子90の露光制御を行う。カメラシステム制御部81は、通信端子20を介してレンズシステム制御部72に指令信号を送信する。レンズシステム制御部72は、カメラシステム制御部81からの指令信号にしたがってレンズ駆動部73を制御する。
【0045】
カメラシステム制御部81は、ユーザの操作に応じて撮像装置1の各部の動作を制御することによって静止画および動画が撮影される。すなわち、ユーザが撮像装置1の操作部材を用いて静止画や動画の撮影を指示すると、カメラシステム制御部81は、操作検出部86からの操作信号にしたがって撮影動作を制御する。カメラシステム制御部81は、ブレ検出部87からの検出信号に基づいて目標値を算出し、ブレ補正部88を駆動させる。すなわち、ブレ検出部87の検出信号に基づく目標値の生成及びブレ補正部88の駆動制御は、カメラシステム制御部81が担っている。その際、カメラシステム制御部81は、撮影条件や露光条件等に応じて像ブレ補正動作を制御する。
【0046】
ブレ補正部88の駆動制御の流れを簡単に説明すると、ユーザによるS1操作が行われ、これを操作検出部86が検出して撮影準備動作が開始される。いわゆる構図を定めるエイミング動作中にユーザの構図決めを容易にするために、ブレ補正部88による像ブレ補正が行われる。すなわち、ブレ検出部87の検出信号に基づくブレ補正部88の制御により撮像素子90が駆動(移動または回転)される。その後、ユーザによる第2スイッチ操作が行われ、これを操作検出部86が検出して撮影動作(画像記録動作)が開始される。このとき、露光動作により取得される被写体像の像ブレを抑制するために、ブレ検出部87の検出信号に基づいてブレ補正部88を制御することにより、撮像素子90が駆動される。露光後に一定時間が経過すると、像ブレ補正動作が停止される。
【0047】
次に、図1の撮像装置1の特徴的な構成について説明する。図3は、図1の撮像装置1の分解斜視図である。
【0048】
図3において、撮像装置1は、リアカバー100を備えている。リアカバー100は、マグネシウムダイキャストの金属で形成された部材であり、高い剛性を有しており、撮像装置1の背面側を覆う外装部材である。
【0049】
表示部2は、リアカバー100に設けられた支持部150a、150bに開閉可能に保持されており、いわゆるバリアアングル機構を有している。すなわち、表示部2は、当該表示部2のヒンジ部170が、回転軸160に回動可能に支持される構成となっている。
【0050】
リアカバー100は、表示部2の回動操作時にユーザの指先がかかる指がかり部となる凹部112を備えている。凹部112は、表示部2及びリアカバー100の操作部面142よりも一段凹んだ形状の凹部である。
【0051】
そして、凹部112の内壁面(窪んだ面)には集音孔としてのマイク孔110が形成されており、マイク孔110を通じて音声を収音可能な位置に集音部材としてのマイク530が配置されている。マイク孔110が凹部112の内部に位置することによって、マイク孔110が表示部2の枠部172と凹部112の内壁面113の一部を成す壁部によって囲われた構成となる。さらに、凹部112の下方側には、凹部112の内部壁面が撮像装置1の一表面である背面とは異なる面である底面に開口する開口部114が形成されている。これによって、凹部112は、撮像装置1の背面と底面との2面に開口していることになる。
【0052】
リアカバー100には、ボタン140a~140hや操作ダイヤル12等の操作部材が配置されている。ボタン140a~140hは、樹脂モールドで形成された弾性を有する部材であり、一部が導電性ゴムによる接点(図示省略)を有している。操作ダイヤル12は、回転操作部材であり、中央にSETボタン13を有している。SETボタン13は一部が導電性ゴムによる接点(図示省略)を有している。
【0053】
ここで、図4を用いて、操作ダイヤル12及びSETボタン13を支持するフレキシブルプリント基板について説明する。
【0054】
図4は、フレキシブルプリント基板と操作ダイヤルを説明するための分解斜視図である。
【0055】
フレキシブルプリント基板500は、屈曲性を有する基板であり、絶縁性を有するポリイミド等のフィルムを用いたベースフィルムとカバーレイフィルムとで、銅箔からなる配線パターンを挟み、熱硬化性の接着剤を用いて接着された構造をしている。フレキシブルプリント基板500には、ボタン140a~140h(図3)とSETボタン13の接点に対向する位置に接点パターン510a~510iが設けられている。
【0056】
接点パターン510a~510iでは、カバーレイフィルムが開口して銅箔が露出しており、ボタン140a~140hとSETボタン13の接点が、接点パターン510a~510iに接触すると電気的にスイッチONを検出する。ダイヤルパターン512では、カバーレイフィルムが開口して銅箔が露出しており、当該ダイヤルパターン512が操作ダイヤル12に構成された端子ブラシ(図示省略)と当接する。操作ダイヤル12が回転すると、端子ブラシがダイヤルパターン512上を摺動し、端子ブラシとダイヤルパターン512の導通信号の組み合わせによって操作ダイヤル12の回転を検出する。
【0057】
フレキシブルプリント基板500は、腕部540の先端部分にマイク530を備えている。マイク530は、記録する音声データの集音部材であり、フレキシブルプリント基板500に実装される電子部品である。マイク530は、実装面側に音孔531を備えており、フレキシブルプリント基板500は音孔531の位置に孔532を有している。マイク530の周囲には、位置決め孔552a、552bが形成されている。
【0058】
フレキシブルプリント基板500は、コネクタ580を備えている。フレキシブルプリント基板500上の電気信号は、コネクタ580に集約され、コネクタ580によって図示省略した別の基板と電気的に接続され、信号を伝達する。
【0059】
フレキシブルプリント基板500に張り付けられるベースプレート部材200は、板状に形成された板金部材である。フレキシブルプリント基板500には位置決め孔550a、550bが設けられている。位置決め孔550a、550bは、ベースプレート部材200の位置決め孔212a、212bに図示省略した治工具によって位置決めされ、両基板は両面テープ(図示省略)によって貼り付け固定されている。
【0060】
操作ダイヤル12は、構成部材としてクリックプレート320を備えている。クリックプレート320は、操作ダイヤル12の回転時にクリック触感を発生させる触感生成部であり、板金からなる板金部材でもある。クリックプレート320は、外周に段差部322を有している。クリックプレート320には図示省略した端子ブラシが形成されており、端子ブラシは上述のフレキシブルプリント基板500のダイヤルパターン512に当接し、回動作によってダイヤルパターン512上を摺動する。
【0061】
また、操作ダイヤル12は、構成部材としてダイヤル部材300を有している。ダイヤル部材300とクリックプレート320は、間にベース部材310を介してビス330によって一体的に締結され、ベース部材310に対して回転可能に支持されている。
【0062】
ベース部材310は、収容部312を有している。収容部312にはバネ317が収容されており、バネ317は、クリックプレート320の段差部322にボール316を押圧する状態で保持されている。この構成によって、クリックプレート320が回転し、ボール316が段差部322を乗り越える際にクリックが発生する。また、ベース部材310には位置決め孔315a、315bが形成されている。
【0063】
図3に戻り、リアカバー100は、ボス180a、180bを有している。ボス180a、180bには、ベース部材310の位置決め孔315a、315bが挿入されて操作ダイヤル12が位置決めされている。また、ボス180a、180bには、ベースプレート部材200の位置決め孔210a、210bが挿入され、これによって、フレキシブルプリント基板500を有するベースプレート部材200の位置が決められる。そして、これらの部材は、図示省略したビスによって相互に締結固定される。
【0064】
次に、リアカバー100とマイク530との位置関係について説明する。
【0065】
図5は、リアカバーとマイクとの位置関係を説明するための図であり、図3の矢印A方向から見た図である。
【0066】
図5において、ベースプレート部材200がリアカバー100に締結固定された後、フレキシブルプリント基板500の腕部540がベースプレート部材200側に折り返えされて、マイク530が這い回されている。リアカバー100は、ボス185a、185bを有しており、ボス185a、185bにフレキシブルプリント基板500の位置決め孔552a、552bが挿入され、これによって、リアカバー100に対するマイク530の位置が決められる。このとき、リアカバー100に設けられたマイク孔110と、フレキシブルプリント基板500の孔532とが一致した位置関係となっており、マイク530の音孔531が開口された状態となる。
【0067】
マイクカバー400は、位置決め孔410a、410bを有しており、位置決め孔410a、410bがリアカバー100のボス185a、185bに挿入されることによってリアカバー100に対してマイクカバー400が位置決めされる。マイクカバー400は、マイク530を覆うように配置され、ビス450がマイクカバー400に設けられたた孔412に挿入され、リアカバー100のビス孔187に締結固定されている。
【0068】
上述したクリックプレート320のボール316は、マイク530の位置に対してクリックプレート320を挟んで対応する反対側の位置に配置されている。換言すれば、クリックプレート320のクリック時に衝突音を発生させるボール316は、マイク530から所定距離離れた位置に配置されている。
【0069】
次に、撮像装置1におけるマイク530の配置位置、及び配置位置に基づく作用効果について詳細に説明する。
【0070】
図6は、撮像装置1におけるマイクの配置位置を説明するための図であり、図6(a)は表示部が閉じられた状態を示す図、図6(b)は表示部が開かれ状態を示す図である。
【0071】
上述したように、撮像装置1は、再生モードにおいて記録データが表示部2に再生表示される。そして、ユーザは、再生モードにおいて記録データを選択してレーティングボタン18を押し続けている間、マイク孔110の内側に配置されたマイク530によって音声記録を行い、記録データに音声を付加することができる。
【0072】
より詳しくは、ユーザは、記録データの確認と同時に撮影状況や被写体の情報をボイスメモとして音声を記録データに付加することができる。これによって、その後の記録データ確認時に記録音声によって、記録データの情報を認識しやすくなる。マイク530は、撮像装置1のユーザの音声を記録するためのマイクである。
【0073】
図6において、マイク孔110は、リアカバー100に形成された凹部112の内部(底部)に配置されており、表示部2の閉状態(図6(a))では、表示部2の枠部172と凹部112の内壁面113の一部によって囲われた構成となっている。
【0074】
このような構成によって、ユーザが、例えば、操作時において無意識に凹部112上に指を置いたとしても、マイク孔110が塞がれてしまうことはない。また、凹部112は、上述したように、当該凹部112が、撮像装置1の底面に開口する開口部114を有している。従って、例えば、ユーザの指が、表示部2と操作部面142に跨って凹部112の背面側を覆ったとしても、底面側に開口する開口部114によって必ずマイク530の音孔が開放されるので、マイク孔110が塞がれることはない。
【0075】
表示部2は、支持部材としての支持部150a、150bによってリアカバー100に対して回動可能に支持されている。そして、表示部2の支持部材側の一端には、位置検出用の磁石175が配置されており、表示部2の回動位置は、磁石175によって検出される。すなわち、表示部2の位置を検出するための磁石175は、表示部2のヒンジ部170側の一端、例えば上端部に配置されている。従って、磁石175とマイク530は、長方形の表示部2の対角線の長さに相当する所定距離離れていることになる。これによって、マイク530が磁石175の影響を受けることはない。
【0076】
また、磁石175に対向する撮像装置1側には、GMR(Giant Magnet Resistance)等の磁力センサ(図示省略)が配置されており、当該磁力センサで磁石175の磁力を検出することによって表示部2の位置が検出される。
【0077】
ユーザは、凹部112近傍の表示部2の枠部172を指で引き起こし、回転軸160を軸として表示部2を矢印B方向(図6(a)参照)に回動させることによって表示部2を開位置へ移動させることができる。表示部2の開状態(図6(b)参照)では、表示部2の表示面が被写体側に向いた状態となっている。表示部2のヒンジ部170は、回転軸162を軸として矢印C方向(図6(b)参照)に回動可能に構成されており、表示部2の開位置において表示面をユーザ側に向けることもできる。
【0078】
磁石175は、表示部2のヒンジ部170側の一端に配置されているので、表示部2の姿勢が変化しても、位置検出用の磁石175がマイク530と近接することがなく、マイク530に磁石175の磁力による不要な影響を及ぼすことがない。
【0079】
本実施の形態によれば、撮像装置1の背面を形成するリアカバー100に凹部112を設け、その内壁面のマイク孔110を介して集音するマイク530を設け、凹部112に、リアカバー100が形成する背面とは異なる底面に開口する開口部114を設けた。これによって、ユーザが誤って凹部112の背面側を塞いでしまったとしても、凹部112の底面側の開口が開放されるので、マイク孔が塞がれてしまうことを防止することができる。
【0080】
本実施の形態において、マイク孔110を有する凹部112を撮像装置1の背面側に設けたが、マイク530が音声を集音可能な位置であれば、例えば撮像装置1の上面側等に配置してもよい。この場合、凹部112は、撮像装置1の背面又は前面に開口する開口部を有するようになる。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 撮像装置
2 表示部
12 操作ダイヤル
100 リアカバー(外装部材)
110 マイク孔
112 凹部
113 内壁面
175 磁石
316 ボール
500 フレキシブルプリント基板
530 マイク
図1
図2
図3
図4
図5
図6