IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-列車制御装置、及び列車制御方法 図1
  • 特許-列車制御装置、及び列車制御方法 図2
  • 特許-列車制御装置、及び列車制御方法 図3
  • 特許-列車制御装置、及び列車制御方法 図4
  • 特許-列車制御装置、及び列車制御方法 図5
  • 特許-列車制御装置、及び列車制御方法 図6
  • 特許-列車制御装置、及び列車制御方法 図7
  • 特許-列車制御装置、及び列車制御方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】列車制御装置、及び列車制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 15/40 20060101AFI20240213BHJP
   B60L 7/24 20060101ALI20240213BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20240213BHJP
   B61L 23/18 20060101ALI20240213BHJP
   B61L 27/20 20220101ALI20240213BHJP
【FI】
B60L15/40 F
B60L7/24 Z
B60T7/12 F
B61L23/18
B61L27/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020013972
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021121149
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 純子
(72)【発明者】
【氏名】射場 智
(72)【発明者】
【氏名】服部 陽平
(72)【発明者】
【氏名】宮島 康行
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-034610(JP,A)
【文献】特開2018-172053(JP,A)
【文献】特開2019-111944(JP,A)
【文献】特開2011-045226(JP,A)
【文献】特開2001-333511(JP,A)
【文献】特開2013-251953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 15/40
B61L 23/18
B60L 7/24
B60T 7/12
B61L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の速度、位置、及び列車より下流の先行列車の位置に基づいて当該列車が停止すべき停止限界位置が移動する移動時刻を取得する取得部と、
前記列車が走行する路線における当該列車が停止する駅の位置を示した路線情報と、前記路線で前記列車を運行するための情報として、少なくとも駅間の走行時間を含む運行情報と、を記憶する記憶部と、
前記路線情報と、前記運行情報と、前記取得部が取得した前記列車の位置及び速度と、に基づいて、前記駅間の走行時間を守るために駅間で前記列車の速度の変化を示した運転曲線を算出する運転算出部と、
前記運転曲線に従った制御指令を、前記列車の駆動/制動制御装置に出力する出力部と、
前記先行列車の停止限界位置に基づいた、前記列車を停止させるための照査パターンを算出する照査算出部と、
前記運転曲線に従って前記列車が走行している場合、現在から前記移動時刻までの間に、前記運転曲線に従った前記列車の速度及び位置と、前記照査パターンで示された速度及び位置と、が一致する場合があるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により一致する場合があると判定された場合に、一致した第1速度より低い第2速度であり且つ一致した第1位置より下流の第2位置で、前記照査パターンで示された速度及び位置と一致する前記列車の速度及び位置を有する、前記照査パターンの減速度よりも低い所定の減速度で減速する減速パターンを算出する減速算出部と、を備え、
前記出力部は、当該減速パターンに従った制御指令を、前記列車の駆動/制動制御装置に出力する、
列車制御装置。
【請求項2】
前記減速算出部は、前記列車の自動運転制御で駅に停止する際に算出される停止パターンの減速度より小さい減速度の前記減速パターンを算出する、または前記列車の自動運転制御で駅に停止する際に算出される停止パターンのブレーキノッチより弱いブレーキノッチを用いた場合の前記減速パターンを算出する、
請求項1に記載の列車制御装置。
【請求項3】
前記減速算出部は、前記列車が前記第2位置まで移動した後の時刻が、前記移動時刻より早く、且つ前記第2速度が所定速度以下の場合に、前記所定の減速度より低い減速の減速パターンに変更する、
請求項1または2に記載の列車制御装置。
【請求項4】
前記減速算出部によって算出される、前記減速パターンは、前記第2位置に近づくに従って、減速度が小さくなる、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の列車制御装置。
【請求項5】
列車制御装置において実行される列車制御方法であって、
前記列車制御装置は、
列車が走行する路線における当該列車が停止する駅の位置を示した路線情報と、前記路線で前記列車を運行するための情報として、少なくとも駅間の走行時間を含む運行情報と、を記憶する記憶部と、
を備え、
前記列車制御方法は、
列車の速度、位置、及び列車より下流の先行列車の位置に基づいて当該列車が停止すべき停止限界位置が移動する移動時刻を取得する取得ステップと、
前記路線情報と、前記運行情報と、前記取得ステップが取得した前記列車の位置及び速度と、に基づいて、前記駅間の走行時間を守るために駅間で前記列車の速度の変化を示した運転曲線を算出する運転算出ステップと、
前記運転曲線に従った制御指令を、前記列車の駆動/制動制御装置に出力する出力ステップと、
前記先行列車の停止限界位置に基づいた、前記列車を停止させるための照査パターンを算出する照査算出ステップと、
前記運転曲線に従って前記列車が走行している場合、現在から前記移動時刻までの間に、前記運転曲線に従った前記列車の速度及び位置と、前記照査パターンで示された速度及び位置と、が一致する場合があるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより一致する場合があると判定された場合に、一致した第1速度より低い第2速度であり且つ一致した第1位置より下流の第2位置で、前記照査パターンで示された速度及び位置と一致する前記列車の速度及び位置を有し、前記照査パターンの減速度よりも低い所定の減速度で減速する減速パターンを算出する減速算出ステップと、を備え、
前記出力ステップは、当該減速パターンに従った制御指令を、前記列車の駆動/制動制御装置に出力する、
列車制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、列車制御装置、及び列車制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、運行密度の高い鉄道路線では、乗客混雑により駅出発が遅れる等の理由により、先行列車に遅延が発生することがある。先行列車に遅延が発生すると、自列車が先行列車に接近することで、照査パターンに抵触し、保安ブレーキが動作することがしばしば発生する。保安ブレーキが動作すると、自列車の減速が生じる。これにより自列車も遅延が生じると共に、当該減速によって乗り心地も悪化する。
【0003】
先行列車の進行で、照査パターンが進行方向に移動すると、自列車の保安ブレーキが解除される。これに伴い、自列車が遅延回復のために力行して速度を上げると、再び先行列車に接近して照査パターンに抵触し、保安ブレーキが動作する。このような力行と保安ブレーキとが繰り返されると、乗り心地が著しく悪化する。
【0004】
このため、力行と保安ブレーキの繰り返しによる乗り心地の悪化を回避しつつ、自列車に発生する遅延を抑制する技術が提案されている。当該技術としては、例えば、照査パターンが移動したタイミングで、移動前の照査パターンに抵触する位置に達するように、目標速度を設定する技術が提案されている。この目標速度に従って走行すれば、保安ブレーキが動作しない範囲内での最高速度で走行できる。これにより、遅延を抑制しながら保安ブレーキの動作を回避できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-217564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術においては、自列車は、現在位置から、自列車の現在の位置から照査パターンに基づいた制御を開始するまでの位置まで、定常走行を想定しているため、自列車はすぐに目標速度にするための減速を開始することで、当該減速による遅延が後続の列車に伝播する可能性があるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の列車制御装置は、取得部と、記憶部と、運転算出部と、出力部と、照査算出部と、判定部と、減速算出部と、を備える。取得部は、列車の速度、位置、及び列車より下流の先行列車の位置に基づいて当該列車が停止すべき停止限界位置が移動する移動時刻を取得する。記憶部は、列車が走行する路線における当該列車が停止する駅の位置を示した路線情報と、路線で列車を運行するための情報として、少なくとも駅間の走行時間を含む運行情報と、を記憶する。運転算出部は、路線情報と、運行情報と、取得部が取得した列車の位置及び速度と、に基づいて、駅間の走行時間を守るために駅間で列車の速度の変化を示した運転曲線を算出する。出力部は、運転曲線に従った制御指令を、列車の駆動/制動制御装置に出力する。照査算出部は、先行列車の停止限界位置に基づいた、列車を停止させるための照査パターンを算出する。判定部は、運転曲線に従って列車が走行している場合、現在から移動時刻までの間に、運転曲線に従った列車の速度及び位置と、照査パターンで示された速度及び位置と、が一致する場合があるか否かを判定する。減速算出部は、判定部により一致する場合があると判定された場合に、一致した第1速度より低い第2速度であり且つ一致した第1位置より下流の第2位置で、照査パターンで示された速度及び位置と一致する前記列車の速度及び位置を有し、照査パターンの減速度よりも低い所定の減速度で減速する減速パターンを算出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態にかかる列車制御装置が搭載された列車の構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
図2図2は、第1実施形態のATC車上装置により算出される照査パターンを示した図である。
図3図3は、第1実施形態の運転曲線算出部により算出された運転曲線と、照査パターン算出部により算出された照査パターンと、を例示した図である。
図4図4は、第1実施形態の減速パターン算出部により算出される減速パターンを例示した図である。
図5図5は、第1実施形態の減速パターン算出部による、先行列車との間に速度制限区間がある場合における減速パターンの算出例を示した図である。
図6図6は、第1実施形態の減速パターン算出部による、運転曲線において減速度/加速度が異なる複数区間で構成されている場合における、減速パターンの算出手法を例示した図である。
図7図7は、実施形態の列車制御装置における制御指令を出力するまでの処理を示したフローチャートである。
図8図8は、変形例2にかかる列車制御装置が搭載された列車の構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示のいくつかの実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
まず、第1実施形態の構成について説明する。
【0010】
図1は、第1実施形態にかかる列車制御装置100が搭載された列車TRの構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。図1に示されるように、列車TRは、列車制御装置100の他、速度位置検出装置110、ATC(Automatic Train Control)車上装置120、及び駆動/制動制御装置130が搭載されている。
【0011】
速度位置検出装置110は、列車TRの車輪Wの車軸に設けられる速度発電機(Tachogenerator)140のパルスや、地上子201から車上子150を介して受信される情報などに基づいて、列車TRの速度および位置を検出する。
【0012】
ATC車上装置120は、列車TRが先行列車TRaに衝突したり脱線したりするのを回避するためのブレーキ指令を出力するものである。ATC車上装置120は、ATC地上装置200と通信可能に構成されている。
【0013】
ATC地上装置200は、レール(軌道回路)RLを介して各閉塞区間における列車の在線の有無を検知し、在線状況に応じて各閉塞区間の信号現示を決定し、決定した信号現示に関する情報を、各閉塞区間のレール(軌道回路)RLを介してATC車上装置120に送信する。
【0014】
ATC車上装置120は、信号現示に関する情報をATC地上装置200から受電器160を介して受信すると、この信号現示に関する情報に基づいて算出した停止限界位置までに停止するための停止パターンを算出する。そして、ATC車上装置120は、算出した停止パターンを、列車制御装置100に出力する。
【0015】
列車制御装置100は、列車を制御する装置であって、例えば、列車TRを所定位置(たとえば停車駅に設定される目標停車位置)に停車させる停車制御を実現するために駆動/制動制御装置130に与える制御指令(たとえばブレーキ指令)を算出する。さらに、列車制御装置100は、制限速度を守りながら駅間を走行させるための制御指令(力行指令および/またはブレーキ指令)も算出しうる。なお、列車制御装置100は、たとえば、プロセッサやメモリなどを備えたコンピュータとして構成されている。
【0016】
駆動/制動制御装置130は、ATC車上装置120からのブレーキ指令と、列車制御装置からの力行指令および/またはブレーキ指令と、運転士の操作に応じて不図示の主幹制御器(マスターコントローラ)から出力される力行指令および/またはブレーキ指令と、に基づいて、モータ170および/またはブレーキ装置180を制御する。
【0017】
なお、力行指令とは、駆動/制動制御装置130を介してモータ170に与えられることで列車TRの力行を実現し、ブレーキ指令とは、駆動/制動制御装置130を介してモータ170またはブレーキ装置180に与えられることで列車TRの制動を実現する。モータ170に与えられるブレーキ指令は、モータ170の回生を利用した回生ブレーキ(電気ブレーキ)を実現し、ブレーキ装置180に与えられるブレーキ指令は、ブレーキ装置180を利用した空気ブレーキを実現する。
【0018】
ここで、実施形態において、列車制御装置100は、車両特性推定部102と、車両特性モデル調整部103と、列車挙動予測部105と、運転曲線算出部106と、減速パターン算出部107と、制御指令出力部109と、取得部111と、照査パターン算出部112と、を有している。これらの構成の一部または全部は、列車制御装置100のプロセッサがメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することでハードウェアとソフトウェアとの協働により機能的に実現されてもよいし、専用の回路などによってハードウェア的に実現されてもよい。
【0019】
また、列車制御装置100は、SSDやHDDのような不揮発性の記憶媒体に、記憶部101と、特性モデル保持部104と、を備えている。
【0020】
記憶部101には、路線情報と、運行情報と、が記憶されている。路線情報は、列車TRが走行する路線の情報であって、少なくとも当該列車が停止する駅の位置を示した情報が含まれている。さらに、路線情報には、路線に関する様々な情報が含まれており、たとえば、列車TRが走行する路線の勾配および曲線(曲率半径)に関する情報や、各閉塞区間の制限速度に関する情報、閉塞長(閉塞区間の距離)に関する情報、閉塞区間の並びに関する線形情報などが含まれている。
【0021】
運行情報は、たとえば、列車TRが走行する路線上に存在する各停車駅の目標停車位置や、列車TRの運転種別ごとに設定される停車駅、各駅間で予め決められた走行時間などを含んでいる。
【0022】
特性モデル保持部104には、列車TRの加速特性や減速特性などを含む車両情報が記憶されている。より具体的に、車両情報は、列車TRの列車長や重量、与えられる力行指令およびブレーキ指令にそれぞれ対応した加速特性および減速特性を示すモデル(加速特性モデルおよび減速特性モデル)、空気抵抗の特性、勾配抵抗の特性、曲線抵抗の特性、電気ブレーキ(回生ブレーキ)と空気ブレーキとの切り換えの判断基準となる切換開始速度および切換終了速度などを含んでいる。
【0023】
本実施形態にかかる特性モデル保持部104には、さらに、ATCが照査パターンを算出するためのパラメータ(停止パターンの減速度や空走時間)が記憶されている。
【0024】
取得部111は、速度位置検出装置110から、速度位置検出装置110が検出した列車TRの速度および位置を取得する。
【0025】
さらに、取得部111は、記憶部101に運行情報として含まれている、停車駅における列車の停止時間から、先行列車TRaが駅から移動を開始する移動時刻を取得する。先行列車TRaが移動を開始することで、列車TRの停止限界位置が移動する。換言すれば、先行列車TRaの移動を開始する移動時刻は、列車TRの停止限界位置が移動する時刻とも称することができる。
【0026】
そして、列車TRの停止限界位置が移動する移動時刻を、照査パターンが移動する移動時刻として処理を行っている。なお、列車TRの停止限界位置が移動する移動時刻の取得手法は、運行情報の停車駅における列車の停止時間から、先行列車TRaが駅から移動開始する移動時刻を、列車TRの停止限界位置が移動する移動時刻として取得する手法に制限するものではなく、どのような手法を用いてもよい。例えば、停止限界位置が移動する移動時刻は、ATC車上装置120から受け取る停止限界位置の推移から推測してもよいし、さらに運行情報に保持されている標準の運転曲線を参考に推測してもよい。さらには、地上の運行管理装置との間の無線通信で、運行管理装置による先行列車TRaの移動予測結果として、先行列車TRaの移動時刻を通知してもらってもよい。
【0027】
車両特性推定部102は、取得部111によって取得された列車TRの速度と位置と、記憶部101から読み出した路線情報と、特性モデル保持部104から読み出した車両情報と、制御指令出力部109から出力されたブレーキ指令に基づいて、ブレーキの利き具合を算出する。
【0028】
車両特性モデル調整部103は、車両特性推定部102で推定されたブレーキの利き具合に基づいて、特性モデル保持部104に記憶されたパラメータを調整する。
【0029】
列車挙動予測部105は、取得部111が取得した列車TRの速度と位置、記憶部101から読み出した路線情報、特性モデル保持部104から読み出した車両情報、制御指令出力部109によって出力された前制御周期の力行指令とブレーキ指令に基づいて、所定時間後の列車の位置と速度を予測する。
【0030】
運転曲線算出部106は、記憶部101から読み出された路線情報及び運行情報と、取得部111が取得した列車の位置及び速度と、特性モデル保持部104から読み出した車両情報に基づいて、制限速度を守りながら駅間の走行時間を守るために駅間で列車TRの速度の変化を示した運転曲線を算出する。当該運転曲線に従って制御指令が行われることで、目的地(例えば次の駅)に走行時間を守りつつ到着できる。運転曲線算出部106は、例えば、駅出発時、臨時速度制限の発生/解除時、運転曲線と列車位置・速度・相対時刻のずれが大きくなったとき等で運転曲線を算出する。
【0031】
制御指令出力部109は、取得部111が取得した列車TRの速度と位置、記憶部101から読み出した路線情報と運行情報、特性モデル保持部104から読み出した車両情報、運転曲線算出部106により算出された運転曲線、列車挙動予測部105により算出された列車挙動予測結果(所定時間後の列車の位置と速度)に基づいて、列車TRを運転曲線に従って走行させるための力行指令・ブレーキ指令を算出し、列車TRの駆動/制動制御装置130に出力する。なお、本実施形態は、力行指令・ブレーキ指令を算出するために、列車TRの速度と位置、路線情報と運行情報、車両情報、運転曲線、列車挙動予測部105により算出された列車挙動予測結果(所定時間後の列車の位置と速度)を全て用いる手法に制限するものではなく、これらの情報のうちいずれか複数を組み合わせて力行指令・ブレーキ指令を算出してもよい。
【0032】
照査パターン算出部112は、ATC車上装置120から取得した停止パターンに基づいて、列車TRより下流で停止している先行列車TRaの停止限界位置に基づいて、列車TRを停止させるための照査パターンを算出する。
【0033】
図2は、本実施形態のATC車上装置120により算出される照査パターンを示した図である。図2に示される停止パターン251は、現在の停止限界位置で停止するために、現在の停止限界位置から所定の減速度で逆引きした位置対速度の曲線であり、曲線上の点を位置と速度の組で表したデータの集合である。所定の減速度としては、例えば、列車TRの非常ブレーキの減速度が考えられる。照査パターン算出部112は、当該停止パターン251から、列車TRの空走時間を前倒しすることで、照査パターン252を算出する。なお、本実施形態は、照査パターンの算出手法の一例を示したもので、停止限界位置に停止可能な減速パターンであればどのような算出手法を用いてもよい。
【0034】
そして、後述する制御指令出力部109が、照査パターンと、取得部111が取得した列車速度と比較し、列車速度が照査パターンを超過している場合に、駆動/制動制御装置130にブレーキ指令を出力する。
【0035】
減速パターン算出部107は、判定部108を備え、取得部111で取得された列車TRの速度と位置、記憶部101から読み出した路線情報、運行情報、特性モデル保持部104から読み出した車両情報、ATC車上装置120から受け取った信号情報、運転曲線算出部106により算出された運転曲線、照査パターン算出部112により算出された照査パターンに基づいて、先行列車TRa接近時に列車TRを減速させるための減速パターンを算出する。
【0036】
判定部108は、運転曲線算出部106により算出された運転曲線に従って列車TRが走行している場合、現在から、列車TRの停止限界位置が移動する移動時刻までの間に、運転曲線に従った列車TRの速度及び位置と、照査パターンで示された速度及び位置と、が一致する場合があるか否かを判定する。
【0037】
図3は、本実施形態の運転曲線算出部106により算出された運転曲線と、照査パターン算出部112により算出された照査パターンと、を例示した図である。図3に示される運転曲線301に従うように列車TRの走行制御が行われている。そして、先行列車TRaの現在位置に従って、先行列車の在線する閉塞区間の始点、または開通していない進路の始点として、停止限界位置312が設定されている。そして、照査パターン算出部112が、照査パターン302を算出している。
【0038】
運転曲線301と、照査パターン302と、の交点321が、運転曲線301で示された速度及び位置と、照査パターン302で示された速度及び位置と、が一致していることを示している。そして、判定部108は、先行列車TRaの走行に基づいて停止限界位置312が移動するまでの間に、列車TRが交点321まで移動するか否かを判定する。先行列車TRaの走行に基づいて停止限界位置312が移動するまでの時間とは、先行列車TRaの進行により停止限界位置が次の閉そく始端の手前に更新され、照査パターンが移動するまでの時間と示している。
【0039】
そして、判定部108は、先行列車TRaの走行に基づいて停止限界位置312が移動するまでの間に、列車TRが交点321まで移動しない場合、換言すれば、運転曲線に従った列車TRの速度及び位置と、照査パターン302で示された速度及び位置と、が一致する場合はないと判定した場合、特に制御は行わない。
【0040】
一方、判定部108は、先行列車TRaの走行に基づいて停止限界位置312が移動するまでの間に、列車TRが交点321まで移動する場合、換言すれば、運転曲線に従った列車TRの速度及び位置と、照査パターン302で示された速度及び位置と、が一致する場合があると判定した場合、照査パターン302に抵触して保安ブレーキが動作すると予測されるため、減速パターン算出部107による減速パターンが算出される。
【0041】
減速パターン算出部107は、判定部108により一致すると判定された場合に、一致した交点321の第1速度より低い第2速度であり且つ一致した交点321の第1位置より下流の第2位置で、照査パターン302と一致する、照査パターン302の減速度よりも低い所定の減速度で減速する減速パターン330を算出する。
【0042】
減速パターン330を算出するための所定の減速度は、列車TRの自動運転制御で駅に停止する際に算出される停止パターンの減速度より小さい減速度または、停止パターンのブレーキノッチより弱いブレーキノッチを用いた場合の減速度とする。これにより低い減速度が設定されるため、減速による不快感を抑制できる。
【0043】
減速パターン算出部107は、一定のブレーキノッチを使った上で、逆引き始点から逆引きして減速パターンを算出する場合は、車両特性モデル調整部103で実際のブレーキの利き具合に合わせて調整した減速特性モデルを利用してもよい。当該減速特性モデルを用いることで、減速パターンに沿って減速する際のブレーキノッチの切換を低減できる。
【0044】
減速パターン330は、照査パターン302上の、運転曲線301と照査パターン302の交点321の速度よりも低い速度となる座標(以降、逆引き始点とも称す)322から、逆引きシミュレーションにより算出される。
【0045】
そして、列車挙動予測部105は、算出された減速パターンが運転曲線に達するまでの時間(列車TRが減速パターンに従って逆引き始点に達するまでの時間)と、運転曲線に従って列車TRが減速パターンと運転曲線との交点まで移動する相対時刻と、に基づいて、列車TRが照査パターンに抵触するまでの時間を算出する。
【0046】
このように、本実施形態の列車挙動予測部105は、減速パターン算出部107により減速パターンが算出される毎に、当該減速パターンに従って制御指令が出力された場合の列車TRの移動を予測する。これにより、列車TRが、照査パターン302まで達するか否かを判定できる。
【0047】
そして、判定部108は、算出された減速パターンに従って列車TRが移動した場合に、先行列車TRaの走行に基づいて停止限界位置312が移動するまでの間に、減速パターンと照査パターンとの交点まで移動するか否か、換言すれば減速パターンに従った列車TRの速度及び位置と、照査パターン302で示された速度及び位置と、が一致する場合があるか否かを判定する。減速パターンと照査パターンとの交点まで移動可能と判定された場合、減速パターン算出部107は、さらに、逆引き始点の速度を下げて減速パターンを算出する。当該処理を繰り返すことで、照査パターンに抵触する寸前に照査パターンが移動するような減速パターンを算出できる。
【0048】
そして、制御指令出力部109は、減速パターン算出部107により減速パターンが算出された場合に、減速パターンに従った制御指令(力行指令・ブレーキ指令)を、列車TRの駆動/制動制御装置130に出力する。
【0049】
具体的には、制御指令出力部109は、列車挙動予測部105の予測結果に基づいて、列車速度が、運転曲線と減速パターンの速度が低い方に従うように、かつ、制限速度と照査パターンに抵触しないように、制御指令を算出する。
【0050】
図4は、本実施形態の減速パターン算出部107により算出される減速パターンを例示した図である。図4で示される例では、運転曲線401に従って列車TRが走行し、先行列車TRaが駅で停車している例とする。このため、照査パターン402が算出されている。そして、列車TRが交点411に移動するまでに、判定部108によって停止限界位置412が移動しないと判定されたため、減速パターンが算出される。
【0051】
駅停車中の先行列車TRaの出発が遅れている場合、先行列車TRaの速度が低いため、先行列車TRaがホームトラックから抜けきって照査パターン402が移動するまでの時間が長くなる。
【0052】
そして、減速パターン算出部107により算出される減速パターンにおいては、減速パターンの逆引き始点421、422、423、424、425、426に示されるように、当該逆引き始点の速度を徐々に低くする調整を行った上で、減速パターンを算出する。
【0053】
従来は、照査パターンまで移動しないように目標速度を下げた上で、当該目標速度で定常走行する技術が提案されていた。当該技術では、列車TRで遅延が生じるため、後続列車に影響を与える可能性が大きかった。本実施形態では、先行列車TRaに接近するまで速度を下げずにすむため、後続列車への影響を低減できる。
【0054】
そして、減速パターン算出部107は、列車TRが減速パターンの逆引き始点426まで移動した後の時刻が、照査パターン402が移動する移動時刻より早く、逆引き始点426の速度が所定速度Vs以下の場合に、逆引き始点426を変更せず、照査パターン302の減速度よりも低い所定の減速度より低い減速度の減速パターンを算出し、当該減速パターンに変更する。
【0055】
つまり、減速パターン算出部107は、照査パターン402と減速パターンとの交点を逆引き始点426で示された所定速度Vsまで下げたにもかかわらず、照査パターン402が移動するまでに、列車TRが照査パターン402の逆引き始点426まで移動する場合には、所定の減速度よりも減速度を下げたまたはブレーキノッチを弱くした減速パターンを算出する。これにより、例えば、減速パターン算出部107は、所定の減速度の減速パターン431と比べて、減速度を下げた減速パターン432、433を算出していくことになる。
【0056】
所定速度Vsは、例えば、指令をブレーキから力行に切り換えても応答遅れのため力行が効く前に停車してしまう速度が設定されている。
【0057】
逆引き始点速度を所定速度Vsまで下げ、減速パターンの減速度を0km/h/s(減速パターンが定速)まで弱くしても、照査パターンが移動する前に照査パターンに達すると予測される場合は、機外停車は回避できないと判断する。
【0058】
この場合は、制御指令出力部109は、照査パターンに抵触しないように制御指令を算出する結果、照査パターンの逆引き始点手前で停車することになる。
【0059】
図5は、先行列車TRaとの間に速度制限区間がある場合における減速パターンの算出例を示した図である。図5に示される例では、運転曲線501で示された区間のうち、位置P1~位置P2までの区間で速度V1に制限する速度制限がされている。
【0060】
従来、定速走行するための目標速度を算出する手法では、先行列車TRaとの間に速度制限があるか否かにかかわらず、早めに列車の目標速度まで下げ始める必要がある。しかしながら、先行列車TRaとの間に速度制限があり、且つ速度制限区間の速度V1が目標速度より低い場合、移動前の照査パターンに達するのが予測より遅れるため、効率よく遅延を調整するのが難しい。この場合、後続列車に遅延が生じる可能性が高まる。
【0061】
これに対して、本実施形態の減速パターン算出部107は、照査パターンで示された奇跡上で、交点511から速度を下げていくことで、減速逆引き始点521、522、523、524の順に設定する。そして、減速パターン算出部107は、当該減速逆引き始点521、522、523、524から所定の減速度に従った減速パターン531、532、533、534を順に算出する。
【0062】
本実施形態においては、上述した減速パターン531、532、533、534に従って走行制御がされる。これにより、速度制限がなされた区間P1~P2までの間で減速する必要がない。
【0063】
本実施形態によれば、運転曲線と照査パターンの交点より速度が低い座標を逆引き始点として、照査パターンよりも弱い減速度の減速パターンを挿入しているが、当該減速パターンに従って制御指令を行うことで、保安ブレーキ回避用の目標速度に従って列車TRを走行させる際に、上述したような速度制限があっても、速度制限前には減速しなくてよいため、後続列車への遅延伝播を抑制できる。
【0064】
図6は、運転曲線において減速度/加速度が異なる複数区間で構成されている場合における、減速パターンの算出手法を例示した図である。図6に示される例では、速度制限区間のため、運転曲線601が、減速度が異なる複数の区間(第1区間651、第2区間652)で構成されている。
【0065】
このような場合、減速パターン算出部107は、運転曲線601と照査パターン602との交点611から速度を下げて、減速逆引き始点621、622を設定し、当該減速逆引き始点621、622から減速パターン631、632を算出する。
【0066】
本実施形態の減速パターン算出部107は、第2区間において算出された減速パターン632で、第1区間終端のブレーキの終了位置まで前倒しになった場合に、第1区間の開始部分に新たに減速パターン631を挿入することで、列車TRの速度を調整する。
【0067】
このように、減速パターン算出部107は、第1区間において第1減速度で減速し、第1区間より下流の第2区間で第1の減速度より小さい第2減速度で減速している運転曲線のうち、第2区間について、所定の減速度の減速パターンに変更して、当該減速パターンが第1区間の終端まで到達した後、第1区間で第1減速が開始する区間を所定の減速度の減速パターンに変更する。
【0068】
次に、列車制御装置100における全体的な処理について説明する。図7は、本実施形態の列車制御装置100における制御指令を出力するまでの処理を示したフローチャートである。
【0069】
まず、照査パターン算出部112は、ATC車上装置120が算出した停止パターンに基づいて、照査パターンを算出する(S701)。
【0070】
次に、判定部108は、運転曲線及び照査パターンの交点までの列車TRの走行時間が、照査パターンが移動するまでの時間よりも長いか否かを判定する(S702)。交点までの列車TRの走行時間が、照査パターンが移動するまでの時間よりも長いと判定した場合(S702:Yes)、制御指令出力部109が、運転曲線に従って列車TRが走行する制御指令を算出し、駆動/制動制御装置130に出力する(S703)。
【0071】
一方、交点までの列車TRの走行時間が、照査パターンが移動するまでの時間よりも短いと判定した場合(S702:No)、減速パターン算出部107は、照査パターン上の座標のうち、交点より低い速度に対応する座標を、逆引き始点として設定する(S704)。
【0072】
そして、減速パターン算出部107は、当該逆引き始点及び所定の減速度に基づいて、減速パターンを算出する(S705)。なお、S711で減速度が設定された場合、S711で設定された減速度に基づいて減速パターンが算出される。
【0073】
判定部108は、減速パターンに従って照査パターンに達するまでの列車TRの走行時間が、照査パターンが移動するまでの時間よりも長いか否かを判定する(S706)。照査パターンに達するまでの列車TRの走行時間が、照査パターンが移動するまでの時間よりも長いと判定した場合(S706:Yes)、制御指令出力部109が、運転曲線及び減速パターンのうち、速度が低い方に従って列車TRが走行する制御指令を算出し、駆動/制動制御装置130に出力し、処理を終了する(S707)。
【0074】
一方、照査パターンに達するまでの列車TRの走行時間が、照査パターンが移動するまでの時間よりも短いと判定した場合(S706:No)、判定部108は、減速パターンの始点が、現在の列車TR近傍の位置か否かを判定する(S708)。減速パターンの始点が、現在の列車TR近傍の場合(S708:Yes)、減速パターンの再算出を行わず、制御指令出力部109が、運転曲線及び減速パターンのうち、速度が低い方に従って列車TRが走行する制御指令を算出し、駆動/制動制御装置130に出力する(S707)。
【0075】
一方、減速パターンの始点が、現在の列車TR近傍まで到達していない場合(S708:No)、減速パターンと照査パターンの交点で示される速度が、所定速度Vs以下か否かを判定する(S709)。減速パターンと照査パターンの交点で示される速度が、所定速度Vsより大きいと判定した場合(S709:No)、照査パターン上の座標のうち現在の逆引き始点として設定されている座標より、速度が低い座標を、逆引き始点として設定する(S710)。
【0076】
一方、減速パターンと照査パターンの交点で示される速度が、所定速度Vs以下と判定した場合(S709:Yes)、減速パターン算出部107は、現在の逆引き始点は変更せずに、現在の減速パターンと比べて低い減速度が設定される(S711)。
【0077】
そして、再びS705から処理を繰り返し、S707に遷移した時点で、算出された減速パターンまたは運転曲線に従った制御指令が出力されることになり、処理を終了する。
【0078】
(変形例1)
上述した実施形態では、減速パターンでは所定の減速度で減速させる場合について説明した。しかしながら、減速パターンを所定の減速度で減速させる場合に制限するものではない。そこで、変形例1では、減速パターンと照査パターンの交点に近づくに従って減速度が小さくなる場合について説明する。
【0079】
本変形例の減速パターン算出部107は、逆引き始点から減速パターンを算出する際に、逆引き始点(交点)ほど減速度が低い、またはブレーキノッチを引くように設定し、逆引き始点(交点)から遠くなるに従って減速度が高くなる、またはブレーキノッチを押すような減速パターンを算出する。
【0080】
本変形例では、当該減速パターンを算出することで、照査パターンに抵触する直前には減速度が低くなっている。このため、照査パターンが下流に移動したことで、列車TRの減速パターンが更新されたことで、列車TRの目標速度が上がった場合に、制御指令を力行側に変更するための変更量を低減できる。これにより、乗り心地の悪化を抑止できる。
【0081】
(変形例2)
図8は、変形例2にかかる列車制御装置800が搭載された列車TRの構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。図8に示されるように、列車TRは、列車制御装置100の他、速度位置検出装置110、ATC車上装置120、及び駆動/制動制御装置130の他に車上通信装置190が搭載されている。
【0082】
図8に示される例では、第1の実施形態で示したような、固定閉塞方式のATCの代わりに移動閉塞方式のCBTC(Communications-Based Train Control)が設けられた例とする。変形例においては、CBTC地上装置850と、第1地上通信装置851と、第2地上通信装置852と、が設けられている。CBTC地上装置850と、第1地上通信装置851と、第2地上通信装置852と、はネットワーク860を介して接続されている。
【0083】
第1地上通信装置851は、列車TRとの間で無線通信を行う。第2地上通信装置852は、先行列車TRaとの間で無線通信を行う。そして、CBTC地上装置850は、第1地上通信装置851と第2地上通信装置852が受信した情報に基づいて、列車TR、TRaの制御を行う。
【0084】
例えば、CBTC地上装置850は、先行列車TRaの位置情報等を、第2地上通信装置852を介して、列車TRの車上通信装置190に送信する。これにより、列車TRは、先行列車の進行する毎に、進行に応じた先行列車TRaの位置情報を逐次受信できる。これによって、列車TRの列車制御装置100は、先行列車TRaの位置情報に応じて更新される停止限界位置に基づいた照査パターンの移動を認識できる。これにより、第1の実施形態で示したATCの場合と比べて高い頻度で変更される照査パターンに応じた、列車TRの移動制御を実現できる。なお、移動制御については第1の実施形態と同様として説明を省略する。
【0085】
上述した実施形態及び変形例によれば、運転曲線と照査パターンの交点に、照査パターンよりも弱い減速度の減速パターンに変更して、当該減速パターンで示された保安ブレーキ回避用の目標速度になるように制御指令が行われることで、後続列車への遅延伝播を抑制できる。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
100、800…列車制御装置、101…記憶部、102…車両特性推定部、103…車両特性モデル調整部、104…特性モデル保持部、105…列車挙動予測部、106…運転曲線算出部、107…減速パターン算出部、108…判定部、109…制御指令出力部、111…取得部、112…照査パターン算出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8