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特許7433934ネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物及び硬化膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】ネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物及び硬化膜
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/037 20060101AFI20240213BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20240213BHJP
   G03F 7/075 20060101ALI20240213BHJP
   C08G 69/26 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G03F7/037 501
G03F7/037
G03F7/038 504
G03F7/075 501
G03F7/038
C08G69/26
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020014144
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021120714
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(72)【発明者】
【氏名】井手 正仁
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
(72)【発明者】
【氏名】稲成 浩史
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 貴雄
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-101093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/037
G03F 7/038
G03F 7/075
C08G 69/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記(1)及び/又は(2)の構造を有するポリアミド樹脂、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、を必須成分とするネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物であって、
前記(1)及び/又は(2)のXは、下記一般式(3)含むことを特徴とするネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物。(但し、R1は、メチル基で置換あるいは無置換のフェニレン基であり、R2は、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、2,2’-ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6-トリカルボキシノルボナン-2-酢酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]-オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物から選択されるテトラカルボン酸二無水物の無水カルボキシル基を除いた構造であり、n、mは1以上の整数であり、Xは一般式(3)含む2価の有機基であり、Zは、フェニル基である。)
【化1】
【化2】
【請求項2】
前記(A)ポリアミド樹脂において、前記R1またはR2中に、ポリシロキサン構造、又は、脂環式構造を有する請求項1に記載のネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
前記(B)光重合性化合物が、アクリル基含有化合物、脂環式エポキシ基含有化合物、グリシジル基含有化合物、オキセタニル基含有化合物、アルコキシシリル基含有化合物、マレイミド基含有化合物、ビニルエーテル基含有化合物、の群から選ばれる一つ以上の化合物である請求項1又は2に記載のネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項4】
前記(B)光重合性化合物において、一分子中に光反応性基を2個以上有する化合物である請求項1~3のいずれか1項に記載のネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項5】
光増感剤を含有する請求項1~4のいずれか1項に記載のネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項6】
シランカップリング剤を含有する請求項1~5のいずれか1項に記載のネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物が硬化した硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィにより簡便にパターン形成が出来る感光性樹脂は、半導体やディスプレイ等のエレクトロニクス分野において広く利用されている材料である。
【0003】
それら感光性樹脂の中でも高い耐熱性を有する材料としてポリイミド系感光性樹脂が挙げられ、酸性基をポリマー中に有するポリイミド樹脂を用いた組成物が提案されている。
【0004】
具体的な技術例として、例えば、特許文献1、2には、フェノール基をアルカリ可溶性の酸性基としてポリマー分子中に含有するポリイミド樹脂を用いた感光性組成物が記載されている。しかし、フェノール基を含有するポリイミド樹脂の場合、フォトリソグラフィによるパターン形成の際、アルカリ現像液への可溶性発現のためには、酸性度を低くし、大量のフェノール系オリゴマーや架橋剤などの低分子成分を添加する必要があり、高温時に酸化・熱分解し易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-040273号公報
【文献】特開2008-197418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、パターニング性を維持しつつ、優れた耐熱性と電気絶縁性を有するポリアミド系感光性樹脂組成物を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、上記課題達成の為に検討を重ねた結果、アルカリ現像液への可溶性基として特定構造の酸性基をポリマー分子中に有するポリアミド樹脂を用いる事によって、優れた耐熱性と電気絶縁性を示す感光性樹脂組成物が得られる事を見出すに至った。本発明は、以下からなるものである。
【0008】
〔1〕.(A):下記(1)及び/又は(2)の構造を有するポリアミド樹脂、(B):光重合性化合物、(C):光重合開始剤、を必須成分とするネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物であり、下記(1)又は(2)のXは、下記一般式(3)(4)を含むことを特徴とするネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物。(但し、R1は2価の有機基であり、R2は4価の有機基であり、R3は炭素数1~30より構成される有機基であり、n、mは1以上の整数であり、Xは、一般式(3)(4)を含む2価の有機基、Zは水素、メチル、アリル基、グリシジル基、ベンジル基から選ばれる連結基でない有機基である。)
【0009】
【化1】
【0010】
【化2】
【0011】
〔2〕.上記(A)ポリアミド樹脂において、上記R1またはR2中に、ポリシロキサン構造、もしくは、脂環式構造を有するネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物でもよい。
【0012】
〔3〕.上記(B)光重合性化合物が、アクリル基含有化合物、もしくは、脂環式エポキシ基含有化合物、グリシジル基含有化合物、オキセタニル基含有化合物、アルコキシシリル基含有化合物、マレイミド基含有化合物、ビニルエーテル基含有化合物、のいずれから選ばれる化合物であるネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物でもよい。
【0013】
〔4〕.上記(B)光重合性化合物において、一分子中に光反応性基を2個以上有する化合物である〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載のネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物でもよい。
【0014】
〔5〕.光増感剤を含有する〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の組成物でもよい。
【0015】
〔6〕.シランカップリング剤を含有する〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載のネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物でもよい。
【0016】
〔7〕.〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物が硬化した硬化物。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるポリアミド系感光性樹脂組成物は、優れたパターニング性を有し、かつ、優れた耐熱性と電気絶縁性を奏することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(ネガ型感光性樹脂組成物)
上記、ネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物は、(A):下記(1)及び/又は(2)の構造を有するポリアミド樹脂、(B):光重合性化合物、(C):光重合開始剤、を必須成分とするネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物であり、上記(1)や(2)のXは、下記一般式(3)(4)を含むことを特徴とし、このネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物により、優れた耐熱性と電気絶縁性を有するネガ型感光性樹脂組成物を提供できることを見出した。(但し、R1は2価の有機基であり、R2は4価の有機基であり、R3は炭素数1~30より構成される有機基であり、n、mは1以上の整数であり、Xは一般式(3)(4)を含む2価の有機基、Zは水素、メチル、アリル基、グリシジル基、ベンジル基から選ばれる連結基でない有機基である。)
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
【0021】
(成分(A):ポリアミド樹脂)
上記、ネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物は、成分(A)として、特定構造をポリマー分子中に有するポリアミド樹脂を必須成分として含有している。ポリアミド樹脂とは、イミド結合を有するポリマーの事を示し、非常に耐熱性の高いポリマーの一つとして知られている。
【0022】
本件発明の(A)成分であるポリアミド樹脂は、(1)及び/又は(2)の構造を有するポリアミド樹脂であり、上記(1)や(2)のXは一般式(3)(4)を含むことを特徴とする。上記(1)や(2)のXは、一般式(3)(4)以外の構造を含んでもかまわないが、上記(1)又は(2)のXが、一般式(3)(4)であることが耐熱性の面から好ましい。(但し、R1は2価の有機基であり、R2は4価の有機基であり、R3は炭素数1~30より構成される有機基であり、n、mは1以上の整数であり、Xは一般式(3)(4)を含む2価の有機基、Zは水素、メチル、アリル基、グリシジル基、ベンジル基から選ばれる基である。)
【0023】
【化5】
【0024】
【化6】
【0025】
成分(A)のポリアミド樹脂は、ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物の反応、或いはジイソシアナート化合物とテトラカルボン酸二無水物の反応により得られる。
【0026】
一般式(3)のR1は、ジアミン化合物やジイソシアネート化合物から、ジアミンやジイソシアネートを除いた構造であることを意味する。また、一般式(3)のR2は、テトラカルボン酸二無水物の無水カルボキシル基を除いた構造を意味する。
【0027】
本発明で用いられる、テトラカルボン酸としては特に限定されないが、例えば、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、2,2’-ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6-トリカルボキシノルボナン-2-酢酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]-オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等、及びそれらの誘導体などが挙げられ、これらを単独で、または任意の割合で混合した混合物を好ましく用いることができる。
【0028】
また、一般式(4)の構造を形成するため、上記ジアミン化合物とジカルボン酸化合物を反応させる事により得る事ができ、ジカルボン酸化合物としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’-オキシ二安息香酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、3,3’-メチレン二安息香酸、4,4’-メチレン二安息香酸、4,4’-チオ二安息香酸、3,3’-カルボニル二安息香酸、4,4’-カルボニル二安息香酸、4,4’-スルフォニル二安息香酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、リンゴ酸、4-マレイルアセト酢酸、イタコン酸、コリスミ酸、イサト酸、ジピコリン酸、シュウ酸、グルタル酸、マロン酸、N-メチル-D-アスパラギン酸、オキサロ酢酸、フマル酸、メサコン酸、Α-ケトグルタル酸、アジピン酸、2-アミノムコン酸、セバシン酸、4-フマリルアセト酢酸、イソシアヌル酸ビス(2-カルボキシエチル)、コハク酸、2-ヒドロキシ-3-オキソコハク酸、マレイン酸などが挙げられる。アルカリ可溶性をコントロールし易いという観点で、イソシアヌル酸ビス(2-カルボキシエチル)が好ましい。
【0029】
本発明のポリアミドに用いるジアミンの例としては特に限定されないが、例えば、[ビス(4-アミノ-3-カルボキシ)フェニル]メタン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノフェニルエタン、4,4’-ジアミノフェニルエーテル、4,4’-ジジアミノフェニルスルフィド、4,4’-ジジアミノフェニルスルホン、1,5-ジアミノナフタレン、3,3-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、5-アミノ-1-(4’-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、6-アミノ-1-(4’-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,5-ジアミノ-3’-トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5-ジアミノ-4’-トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,7-ジアミノフルオレン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’-メチレン-ビス(2-クロロアニリン)、2,2’,5,5’-テトラクロロ-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジクロロ-4,4’-ジアミノ-5,5’-ジメトキシビフェニル、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)-ビフェニル、1,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3’-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、4,4’-(p-フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’-(m-フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’-ビス[4-(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-2-トリフルオロメチル)フェノキシ]-オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1-メタキシリレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4-ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]-ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミンおよび脂環式ジアミン等及びそれらの誘導体などが挙げられ、これらを単独で、または任意の割合で混合した混合物を好ましく用いることができる。
【0030】
さらに、最終の硬化物における透明性を向上させる目的で、上記、ポリアミド樹脂のポリマー分子中に脂環式構造もしくはポリシロキサン構造を有している事が好ましい。脂環式構造のポリマー分子への導入方法は限定されないが、原料のジアミン、もしくは、テトラカルボン酸化合物にこれら構造を有しているものを用いる事で簡便に導入する事ができる。ジアミン化合物について記載したが、ジアミン化合物のアミノ基をイソシアネート基に置き換えたジイソシアネート化合物も、ジアミン化合物と同様に用いることができる。
【0031】
本件発明において、前述の一般式(X1)や(X2)のイソシアヌル酸骨格を構成するNHが酸性基であるため、アルカリ現像液への溶解性を発現する。
【0032】
また、この特定酸性基の導入量については、フォトリソグラフィで用いるアルカリ現像液の種類や条件にもより必ずしも限定されないが、上記(X1)または(X2)に含まれるNH基が、成分(A)のポリアミド樹脂1gに対して、0.01mmol/g以上10mmol/g以下であることが好ましく、現像液の溶解性を制御しやすく、パターン形成しやすい観点から、0.1mmol/g以上5mmol/g以下がさらに好ましい。
【0033】
また、(A)のポリアミド樹脂を得る方法は限定されず、テトラカルボン酸二無水物とイソシアヌル酸基を有するジアミン化合物またはジイソシアネート化合物との反応によって、イソシアヌル酸基を有する下記(1)及び/又は(2)の構造を有するポリアミド樹脂を得ることが出来る。(上記(1)、(2)のXは、下記一般式(3)(4)を含み、R1は2価の有機基であり、R2は4価の有機基であり、n、mは1以上の整数であり、Xは一般式(3)(4)を含む2価の有機基、Zは水素、メチル、アリル基、グリシジル基、ベンジル基から選ばれる基である)
【0034】
【化7】
【0035】
【化8】
【0036】
また、本発明で用いるイソシアヌル酸含有ジアミン/ジイソシアネート化合物は、様々な方法で得ることができ、特に限定されるものではない。イソシアヌル酸にニトロアルキルハライド化合物を2つ反応させ、ニトロ基を還元しジアミン化合物を得る方法や、ジイソシアネート化合物とシアン酸カリウムとを2:1で3量化させジイソシアネート化合物を得る方法、また、ニトロ基含有イソシアネート化合物とシアン酸カリウムとを2:1で3量化させ、ニトロ基を還元しジアミン化合物とする方法など、様々な方法でイソシアヌル酸含有ジアミン化合物/ジイソシアネート化合物を得ることが出来る。
【0037】
例えば、以下のような化合物で示される。(R1は、炭素数1~20で表される有機基)
【0038】
【化9】
【0039】
(成分(B):光重合性化合物)
上記ネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物は、1分子中に少なくとも1個の光重合性官能基を有する光重合性化合物を必須成分とする。光重合性官能基とは、活性エネルギー線が外部より照射された場合に、光酸発生剤により発生した酸性活性物質、または光重合開始剤により発生したラジカル種もしくはカチオン種によって、重合および架橋する官能基を意味する。活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線およびi線等が挙げられる。光重合性官能基による反応形式および架橋形式は特に限定されない。中でも反応性の観点から、光重合性官能基は、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基、アルコキシシリル基、マレイミド基、ビニロキシ基であることが好ましい。上記エポキシ基の中でも安定性の観点から、脂環式エポキシ基、グリシジル基が好ましく、特に光および熱によるカチオン重合性に優れる点では、脂環式エポキシ基が好ましい。上記アルコキシシリル基としては、ケイ素に結合する官能基が、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基またはtert-ブトキシ基のものが挙げられる。硬化後の残留成分が残りにくいという観点からは、上記ケイ素に結合する官能基は、メトキシ基またはエトキシ基であることが好ましい。
【0040】
光重合性化合物としては、上記エポキシ化合物、オキセタン化合物の具体例では、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シクロヘキシルエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(環状または鎖状)、グリシジル基含有ポリオルガノシロキサン(環状または鎖状)、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’-ビス(4-グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ε‐カプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-5,5-スピロ-(3,4-エポキシシクロヘキサン)-1,3-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2-シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、1,4-ビス{(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ}メチル}ベンゼン、ビス{1-エチル(3-オキセタニル)}メチルエーテル、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタンおよび3-エチル-3-(2-エチルへキシロキシメチル)オキセタン等が挙げられる。
【0041】
光重合性架橋剤の例としてアルコキシシラン化合物の具体例では、イソシアヌル酸トリス3-(トリメトキシシリル)プロピル、テトラメトキシ(エトキシ)シランおよびその縮合物、メチルトリメトキシ(エトキシ)シランおよびその縮合物、並びにジメチルジメトキシ(エトキシ)シランおよびその縮合物等が挙げられる。
【0042】
上記(メタ)アクリレート化合物の具体的な例では、イソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸変性アリルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製、商品名:デナコールアクリレートDA111)、ウレタン(メタ)アクリレート類、エポキシ(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン(メタ)テトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール系(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、(メタ)アクリレート基含有ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
【0043】
(成分(C):光重合開始剤)
本発明の感光性ポリアミド樹脂組成物では、光重合開始剤が必須成分であり、重合化合物の種類によって光カチオン重合開始剤や、光ラジカル重合開始剤などから、適宜選択し用いられ、特に種類については限定されず、複数のものを併用することもできる。
【0044】
使用できる光カチオン重合開始剤としては特に限定されず使用する事ができ、米国特許第3379653号に記載されたような金属フルオロホウ素錯塩および三フッ化ホウ素錯化合物、米国特許第3586616号に記載されたようなビス(ペルフルオルアルキルスルホニル)メタン金属塩、米国特許第3708296号に記載されたようなアリールジアゾニウム化合物、米国特許第4058400号に記載されたようなVIa族元素の芳香族オニウム塩、米国特許第4069055号に記載されたようなVa族元素の芳香族オニウム塩、米国特許第4068091号に記載されたようなIIIa~Va族元素のジカルボニルキレート、米国特許第4139655号に記載されたようなチオピリリウム塩、米国特許第4161478号に記載されたようなMF6 -陰イオン(ここでMはリン、アンチモンおよびヒ素から選択される)の形のVIa族元素、米国特許第4231951号に記載されたようなアリールスルホニウム錯塩、米国特許第4256828号に記載されたような芳香族ヨードニウム錯塩および芳香族スルホニウム錯塩、W.R.Wattらによって「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス、ポリマー・ケミストリー版」、第22巻、1789頁(1984年)に記載されたようなビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド-ビスヘキサフルオロ金属塩(例えばリン酸塩、ヒ酸塩、アンチモン酸塩等)、陰イオンがB(C654 -である芳香族ヨードニウム錯塩および芳香族スルホニウム錯塩等が挙げられる。
【0045】
好ましい光カチオン重合開始剤としては、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族スルホニウム塩およびヨードニウム塩、並びにII族、V族およびVI族元素の芳香族オニウム塩、スルホネートエステル類、カルボン酸エステル類、が挙げられる。これらの塩のいくつかは、FX-512(3M社製)、UVR-6990およびUVR-6974(ユニオン・カーバイド社製)、UVE-1014およびUVE-1016(ジェネラル・エレクトリック社製)、KI-85(デグッサ社製)、並びにSP-152およびSP-172(旭電化社製)として商業的に入手できる。
【0046】
スルホニウム塩として、例えば、CPI-210S(サンアプロ社製)が挙げられる。1種のみまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0047】
上記ネガ型感光性樹脂組成物における光カチオン重合開始剤の含有量は、特に制限はないが、硬化性の観点から、成分(A)の100重量部に対して、0.01~10重量部であることが好ましい。光酸発生剤の量が少ないと、硬化に長時間を要したり、十分に硬化した硬化物が得られなかったりする場合がある。また、光酸発生剤が多いと、色が硬化物に残ったり、急硬化のために着色したり、耐熱性を損なったり、耐光性を損なったりするため、好ましくない場合がある。
【0048】
また、使用できる光ラジカル重合開始剤も、用いる光重合性化合物に合わせて用いる事ができ、特に種類は限定されない。例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾイン系化合物、ビイミダゾール系化合物、α-ジケトン系化合物、チタノセン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物、ケタール系化合物、アゾ系化合物、過酸化物、2,3-ジアルキルジオン系化合物、ジスルフィド系化合物、チウラム化合物類およびフルオロアミン系化合物等が挙げられる。
【0049】
アセトフェノン系化合物としては、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4’-i-プロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2’-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2,2-ジメトキシアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4’-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4’-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure184、BASF社製)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンおよび2-ヒドロキシ-1-〔4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル〕-2-メチル-プロパン-1-オン等が挙げられる。
【0050】
(光増感剤)
上記ネガ型感光性樹脂組成物は、光増感剤を含有していてもよい。光増感剤添加により、上記ネガ型感光性樹脂組成物において、可視光等への感度を向上させることができ、さらにg線(436nm)、h線(405nm)およびi線(365nm)等の高波長の光に感度を持たせることができる。これらの増感剤を、上述のカチオン重合開始剤、ラジカル重合開始剤および光酸発生剤等と併用して使用することにより、上記ネガ型感光性樹脂組成物の硬化性の調整を行うことができる。上記増感剤としては、アントラセン系化合物およびチオキサントン系化合物等が挙げられる。
【0051】
上記アントラセン系化合物の具体例としては、アントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジメチルアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、1,4-ジメトキシアントラセン、9-メチルアントラセン、2-エチルアントラセン、2-tert-ブチルアントラセン、2,6-ジ-tert-ブチルアントラセン、9,10-ジフェニル-2,6-ジ-tert-ブチルアントラセン等が挙げられる。特に入手しやすい観点からは、上記アントラセン系化合物として、アントラセン、9,10-ジメチルアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセンおよび9,10-ジエトキシアントラセン等が好ましい。
【0052】
上記アントラセン系化合物として、硬化物の透明性に優れる観点からはアントラセンが好ましく、硬化性組成物との相溶性に優れる観点からは9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセンおよび9,10-ジエトキシアントラセン等が好ましい。
【0053】
上記チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2-クロロチオキサントンおよび2,5-ジエチルジオキサントン等が挙げられる。
【0054】
これらの増感剤としては、1種で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0055】
本発明の硬化性組成物における増感剤の含有量は、増感効果を発揮できる量であれば、特に限定されないが、添加した開始剤(光酸発生剤、カチオン重合開始剤またはラジカル重合開始剤)1モルに対して、好ましくは0.01~300モルであり、より好ましくは0.1モル~100モルである。増感剤の量が少ないと、増感効果が得られず、硬化に長時間を要したり、現像性に好ましくない影響を及ぼしたりする場合がある。一方、増感剤の量が多いと、色が硬化物に残ったり、急硬化のために着色したり、耐熱性または耐光性を損なったりするおそれがある。
【0056】
(シランカップリング剤)
上記ネガ型感光性樹脂組成物は、接着性改良を目的として、シランカップリング剤を含有していてもよい。
【0057】
(充填材)
上記ネガ型感光性樹脂組成物には必要に応じて充填材を添加してもよい。
【0058】
(老化防止剤)
上記ネガ型感光性樹脂組成物には老化防止剤を添加してもよい。
【0059】
(紫外線吸収剤)
上記ネガ型感光性樹脂組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。
【0060】
(溶剤)
用いる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的には、ベンゼン、トルエン、ヘキサンおよびヘプタン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソランおよびジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)およびエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶剤;クロロホルム、塩化メチレンおよび1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤等が挙げられる。
【0061】
(その他)
上記ネガ型感光性樹脂組成物には、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、イオントラップ剤(アンチモン-ビスマス等)、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤および物性調整剤等を、本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
【0062】
(パターン形成方法について)
上記ネガ型感光性樹脂組成物を基材上に1~5μmの膜厚で層状塗布し、乾燥させることによって得た積層体(基材/感光性樹脂組成物)を、露光後、アルカリ性現像液によって現像することによって、パターンを形成することが出来る。
【0063】
上記ネガ型感光性樹脂組成物を光硬化(露光)させるための光源としては、使用する重合開始剤および増感剤の吸収波長を発光する光源を使用すればよく、通常200~450nmの範囲の波長を含む光源(例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプまたは発光ダイオード等)を使用できる。
【0064】
上記ネガ型感光性樹脂組成物を光硬化させるための露光量は特に制限されないが、好ましくは1~10000mJ/cm2、より好ましくは1~3000mJ/cm2である。露光量が少ないと上記ネガ型感光性樹脂組成物が硬化しない場合がある。露光量が多いと急硬化のために変色する場合がある。硬化時間の範囲は好ましくは1~600秒、より好ましくは1~150秒である。硬化時間が長いと、光硬化が有する速硬化という特徴が生かされない。
【0065】
また、溶剤除去および硬化物の物性向上の目的で、光硬化前後に熱を加えプリベークおよびアフターベークさせてもよい。硬化温度は適宜設定され得るが、好ましくは40~400℃、より好ましくは60~350℃である。
【0066】
アルカリ現像液によるパターニング形成について特に限定される方法はなく、一般的に行われる浸漬法またはスプレー法等の現像方法により未露光部を溶解および除去して所望のパターンを形成することができる。
【0067】
また、アルカリ現像において使用される現像液については、一般に使用されるものであれば特に限定なく使用することができる。上記現像液の具体例としては、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液およびコリン水溶液等の有機アルカリ水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液および炭酸リチウム水溶液等の無機アルカリ水溶液等が挙げられる。上記水溶液は、溶解速度等の調整のためにアルコールおよび界面活性剤等を含有していてもよい。上記水溶液の濃度は、露光部と未露光部とのコントラストがつきやすいという観点から、25重量%以下であることが好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下であることがさらに好ましい。
【0068】
(用途)
本発明のネガ型感光性樹脂組成物およびその硬化物は、種々の用途に用いることができる。例えば、透明材料、光学材料、光学レンズ、光学フィルム、光学シート、光学部品用接着剤、光導波路結合用光学接着剤、光導波路周辺部材固定用接着剤、DVD貼り合せ用接着剤、粘着剤、ダイシングテープ、電子材料、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、高電圧絶縁材料、層間絶縁膜、TFT用パッシベーション膜、TFT用ゲート絶縁膜、TFT用層間絶縁膜、TFT用透明平坦化膜、絶縁用パッキング、絶縁被覆材、接着剤、高耐熱性接着剤、高放熱性接着剤、光学接着剤、LED素子の接着剤、各種基板の接着剤、ヒートシンクの接着剤、塗料、UV粉体塗料、インク、着色インク、UVインクジェット用インク、コーティング材料(ハードコート、シート、フィルム、剥離紙用コート、光ディスク用コートおよび光ファイバ用コート等を含む)、成形材料(シート、フィルムおよびFRP等を含む)、シーリング材料、ポッティング材料、封止材料、発光ダイオード用封止材料、光半導体封止材料、CMOS・CCDセンサ用中空構造体、MEMSデバイス用中空構造体、液晶シール剤、表示デバイス用シール剤、電気材料用封止材料、各種太陽電池の封止材料、高耐熱シール材、レジスト材料、液状レジスト材料、着色レジスト、ドライフィルムレジスト材料、ソルダーレジスト材料、カラーフィルター用バインダー樹脂、カラーフィルター用透明平坦化材料、ブラックマトリクス用バインダー樹脂、液晶セル用フォトスペーサー材料、OLED素子用透明封止材料、光造形、太陽電池用材料、燃料電池用材料、表示材料、記録材料、防振材料、防水材料、防湿材料、熱収縮ゴムチューブ、オーリング、複写機用感光ドラム、電池用固体電解質、ガス分離膜、コンクリート保護材、ライニング、土壌注入剤、蓄冷熱材、滅菌処理装置用シール材、コンタクトレンズおよび酸素透過膜等が挙げられる。また、上記ネガ型感光性樹脂組成物は他樹脂等への添加剤として用いられてもよい。
【実施例
【0069】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0070】
(パターニング性評価)
実施例および比較例で得られた樹脂組成物を用いてパターニング性を評価するサンプルを作製した。まず、ガラス基板へ、実施例および比較例で得られた樹脂組成物を膜厚が2μmとなるようにスピンコーティングし、100℃に加熱したホットプレート上で2分間加熱した。次に露光装置(高圧水銀ランプ、手動露光機、大日本科研社製)を用い、50μmのラインアンドスペースパターンが刻まれたマスクを通して、それぞれの樹脂組成物に最適な積算光量で露光し(ソフトコンタクト露光)、露光後1分間放置した。その後、アルカリ性現像液(TMAH2.38%水溶液)に180秒間浸漬後、30秒間水洗してパターンを形成した。その後、230℃のホットプレート上で30分間加熱してパターニング性評価サンプルを得た。
【0071】
得られたパターニング性評価サンプルについて、3D測定レーザー顕微鏡(LEXT OLS4000、オリンパス社製)および触針式表面形状測定器(Dektak150、Veeco社製)を用いてパターン形状を観測し、50μmラインアンドスペースの状態を下記基準に従い評価した。
【0072】
<評価基準>
○:実用可能なレベル(50μmラインアンドスペースに残膜無し)
×:実用に適さないレベル(50μmラインアンドスペースに残膜有り)
(耐熱性評価)
熱重量測定装置(TGA、島津製作所製)を用いて、室温から500℃まで10℃/分で昇温させ、重量が1%減少する温度を指標として評価を行った。
【0073】
(電気絶縁性評価)
モリブデン薄膜つきガラス基板上に、実施例および比較例で得られた樹脂組成物をスピンコーティングし、100℃に加熱したホットプレート上で2分間加熱した。次に露光装置(高圧水銀ランプ、手動露光機、大日本科研社製)を用いて300mJ/cm2で露光後、230℃ホットプレート上で30分間加熱して感光性樹脂組成物の製膜を行い、この膜上に真空蒸着機を用いてアルミ電極(3mmΦ)を形成しコンデンサを作成した。半導体パラメーターアナライザー(Agilent4156)を用いて、30Vの電圧印加における上下電極間のリーク電流測定を実施した。
【0074】
(合成例1:成分(A))
2LフラスコにN,N-ジメチルホルムアミド1L、シアン酸カリウムを38g仕込み、75℃に加温した。次に滴下ロートで4-ニトロフェニルイソシアネートを224g滴下し、滴下終了後30分間撹拌し反応完了させた。その後、N,N-ジメチルホルムアミドを減圧除去し、酢酸エチル1L、水3Lを加えてから水層に濃塩酸を加えて析出した沈殿物を回収し、エタノールで再結晶を行うことにより白色結晶を得た。
【0075】
次に、500mLフラスコに上記で得た化合物白色結晶を23.9g、Pd担時カーボンを1g、ジメチルアセトアミド200mLを加え、フラスコ内をH2雰囲気とし、90℃で3時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え中和した後、酢酸エチルを加えてろ過を行った後、有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した後、シリカカラムで精製し、そしてエタノールで再結晶することにより、下記構造式で示されるジアミン化合物1を得た。
【0076】
【化10】
【0077】
200mLのフラスコ中に、溶剤としてN,N-ジメチルホルムアミド18g、上記合成で得たジアミン化合物1を2.5g、2,2’-ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物3.6gを投入し、室温、窒素雰囲気下で30分間撹拌した。次に、フラスコに500mLのイソプロピルアルコールを投入し、析出物を回収した。更に500mLリットルのイソプロピルアルコールで洗浄を3回行い、得られた析出物を 80℃で6時間減圧乾燥し、ポリアミド樹脂A1を得た。
【0078】
(合成例2:成分(A))
2LフラスコにN,N-ジメチルホルムアミド1L、シアン酸カリウムを38g仕込み、75℃に加温した。次に滴下ロートで2-メチル-4-ニトロフェニルイソシアネートを224g滴下し、滴下終了後30分間撹拌し反応完了させた。その後、N,N-ジメチルホルムアミドを減圧除去し、酢酸エチル1L、水3Lを加えてから水層に濃塩酸を加えて析出した沈殿物を回収し、エタノールで再結晶を行うことにより白色結晶を得た。
【0079】
次に、500mLフラスコに上記で得た化合物白色結晶を23.9g、Pd担時カーボンを1g、ジメチルアセトアミド200mLを加え、フラスコ内をH2雰囲気とし、90℃で3時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え中和した後、酢酸エチルを加えてろ過を行った後、有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した後、シリカカラムで精製し、そしてエタノールで再結晶することにより、下記構造式で示されるジアミン化合物2を得た。
【0080】
【化11】
【0081】
200mLのフラスコ中に、溶剤としてN,N-ジメチルホルムアミド18g、上記合成で得たジアミン化合物2を2.5g、2,2’-ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物を3.6g投入し、室温、窒素雰囲気下で30分間撹拌した。次に、フラスコに500mLのイソプロピルアルコールを投入し、析出物を回収した。更に500mLリットルのイソプロピルアルコールで洗浄を3回行い、得られた析出物を 80℃で6時間減圧乾燥し、ポリアミド樹脂A2を得た。
【0082】
(合成例3:成分(A))
2LフラスコにN,N-ジメチルホルムアミド1L、シアン酸カリウムを38g仕込み、75℃に加温した。次に滴下ロートで2-メチル-4-ニトロフェニルイソシアネートを224g滴下し、滴下終了後30分間撹拌し反応完了させた。その後、N,N-ジメチルホルムアミドを減圧除去し、酢酸エチル1L、水3Lを加えてから水層に濃塩酸を加えて析出した沈殿物を回収し、エタノールで再結晶を行うことにより白色結晶を得た。
【0083】
次に、500mLフラスコに上記で得た化合物白色結晶を23.9g、Pd担時カーボンを1g、ジメチルアセトアミド200mLを加え、フラスコ内をH2雰囲気とし、90℃で3時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え中和した後、酢酸エチルを加えてろ過を行った後、有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した後、シリカカラムで精製し、そしてエタノールで再結晶することにより、下記構造式で示されるジアミン化合物3を得た。
【0084】
【化12】
【0085】
200mLのフラスコ中に、溶剤としてN,N-ジメチルホルムアミド18g、上記合成で得たジアミン化合物3を2.0g、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを0.5g、2,2’-ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物を3.6g投入し、室温、窒素雰囲気下で30分間撹拌した。次に、フラスコに500mLのイソプロピルアルコールを投入し、析出物を回収した。更に500mLリットルのイソプロピルアルコールで洗浄を3回行い、得られた析出物を80℃で6時間減圧乾燥し、ポリアミド樹脂A3を得た。
【0086】
(合成例4:成分(A))
2LフラスコにN,N-ジメチルホルムアミド1L、シアン酸カリウムを38g仕込み、75℃に加温した。次に滴下ロートで2-メチル-4-ニトロフェニルイソシアネートを180g、フェニルイソシアネート40g滴下し、滴下終了後30分間撹拌し反応完了させた。その後、N,N-ジメチルホルムアミドを減圧除去し、酢酸エチル1L、水3Lを加えてから水層に濃塩酸を加えて析出した沈殿物を回収し、エタノールで再結晶を行うことにより白色結晶を得た。
【0087】
次に、500mLフラスコに上記で得た化合物白色結晶を23.9g、Pd担時カーボンを1g、ジメチルアセトアミド200mLを加え、フラスコ内をH2雰囲気とし、90℃で3時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え中和した後、酢酸エチルを加えてろ過を行った後、有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した後、シリカカラムで精製し、そしてエタノールで再結晶することにより、上記で示されるジアミン化合物2と下記構造式で示されるジアミン化合物4の混合物を得た。
【0088】
【化13】
【0089】
200mLのフラスコ中に、溶剤としてN,N-ジメチルホルムアミド18g、上記合成で得たジアミン化合物4を2.0g、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを0.5g、2,2’-ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物を3.6g投入し、室温、窒素雰囲気下で30分間撹拌した。次に、フラスコに500mLのイソプロピルアルコールを投入し、析出物を回収した。更に500mLリットルのイソプロピルアルコールで洗浄を3回行い、得られた析出物を80℃で6時間減圧乾燥し、ポリアミド樹脂A4を得た。
【0090】
(合成例5:成分(B))
ジアリルイソシアヌル酸40g、ジアリルモノメチルイソシアヌル酸29gをジオキサン264gに溶解させ、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金を3重量%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt-VTSC-3X)143μLを加えた。このようにして得られた溶液を、酸素を3%含有する窒素雰囲気下、105℃に加熱した1,3,5,7-テトラハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン88gをトルエン176gに溶解させた溶液に3時間かけて滴下した。
【0091】
滴下終了から30分後に1H-NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認した。その後、上記溶液に対して、1-ビニル-3,4-エポキシシクロヘキサン62gをトルエン62gに溶解させた溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了から30分後に1H-NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認した後、冷却により反応を終了した。溶媒のトルエンおよびジオキサンを減圧留去した後、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタートに置換し、無色透明の75重量%カチオン重合性樹脂である「変性シロキサンb」を得た。
【0092】
(合成例6:成分(A))
200mLのフラスコ中に、溶剤としてN,N-ジメチルホルムアミド18g、上記合成例2で得たジアミン化合物2を2.5g、イソシアヌル酸ビス(2-カルボキシエチル)を1.8g投入し、室温、窒素雰囲気下で30分間撹拌した。次に、フラスコに500mLのイソプロピルアルコールを投入し、析出物を回収した。更に500mLリットルのイソプロピルアルコールで洗浄を3回行い、得られた析出物を80℃で6時間減圧乾燥し、ポリアミド樹脂A5を得た。
【0093】
(合成例7:成分(A))
200mLのフラスコ中に、溶剤としてN,N-ジメチルホルムアミド18g、上記合成例2で得たジアミン化合物2を2.5g、アジピン酸を0.9g投入し、室温、窒素雰囲気下で30分間撹拌した。次に、フラスコに500mLのイソプロピルアルコールを投入し、析出物を回収した。更に500mLリットルのイソプロピルアルコールで洗浄を3回行い、得られた析出物を80℃で6時間減圧乾燥し、ポリアミド樹脂A6を得た。
【0094】
(実施例1)
成分(A)として合成例1に記載のポリアミド樹脂A1を0.50g、成分(B)としてイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)を0.10g、成分(C)として、光重合開始剤Irgacure184(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.025g、9,10-ジブトキシアントラセン0.025g、を溶剤のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)3.5gに溶解させ、感光性組成物1を調製した。
【0095】
(実施例2)
成分(A)として合成例2に記載のポリアミド樹脂A2を0.50g、成分(B)としてイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)を0.10g、成分(C)として、光重合開始剤Irgacure184(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.025g、9,10-ジブトキシアントラセン0.025gを溶剤のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)3.5gに溶解させ、感光性組成物2を調製した。
【0096】
(実施例3)
成分(A)として合成例3に記載のポリアミド樹脂A3を0.50g、成分(B)としてイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)0.10g、成分(C)として、光重合開始剤Irgacure184(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.025g、9,10-ジブトキシアントラセン0.025gを溶剤のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)3.5gに溶解させ、感光性組成物3を調製した。
【0097】
(実施例4)
成分(A)として合成例1に記載のポリアミド樹脂A1を0.50g、成分(B)として3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート1.5g(セロキサイド2021P、ダイセル有機合成カンパニー社製)、成分(C)として、光カチオン重合開始剤CPI-210S(サンアプロ社製)0.045g、9,10-ジブトキシアントラセンジブトキシアントラセン0.025gを溶剤のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)3.5gに溶解させ、感光性組成物4を調製した。
【0098】
(実施例5)
成分(A)として合成例1に記載のポリアミド樹脂A1を0.50g、成分(B)として合成例3に記載のカチオン重合性樹脂である変性シロキサンbを0.50g、成分(C)として、光カチオン重合開始剤CPI-210S(サンアプロ社製)0.045g、9,10-ジブトキシアントラセン0.025gを溶剤のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)3.5gに溶解させ、感光性組成物5を調製した。
【0099】
(実施例6)
成分(A)として合成例4に記載のポリアミド樹脂A4を0.50g、成分(B)として合成例6に記載のカチオン重合性樹脂である変性シロキサンbを0.50g、成分(C)として、光カチオン重合開始剤CPI-210S(サンアプロ社製)0.045g、9,10-ジブトキシアントラセン0.025gを溶剤のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)3.5gに溶解させ、感光性組成物6を調製した。
【0100】
(実施例7)
成分(A)として合成例6に記載のポリアミド樹脂A5を0.50g、成分(B)として3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート1.5g(セロキサイド2021P、ダイセル有機合成カンパニー社製)、成分(C)として、光カチオン重合開始剤CPI-210S(サンアプロ社製)0.045g、9,10-ジブトキシアントラセンジブトキシアントラセン0.025gを溶剤のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)3.5gに溶解させ、感光性組成物7を調製した。
【0101】
(実施例8)
成分(A)として合成例7に記載のポリアミド樹脂A6を0.50g、成分(B)として3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート1.5g(セロキサイド2021P、ダイセル有機合成カンパニー社製)、成分(C)として、光カチオン重合開始剤CPI-210S(サンアプロ社製)0.045g、9,10-ジブトキシアントラセンジブトキシアントラセン0.025gを溶剤のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)3.5gに溶解させ、感光性組成物8を調製した。
【0102】
(比較例1)
成分(A)の比較として、酸性基としてフェノール基含有樹脂マルカリンカーM(ポリビニルフェノール樹脂、丸善石油化学社製)0.50g、成分(B)としてイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)0.10g、成分(C)として、光重合開始剤Irgacure184(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.025g、9,10-ジブトキシアントラセン0.025gを溶剤のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)3.5gに溶解させ、感光性組成物9を調製した。
【0103】
(結果)
実施例1~8および比較例1で得られた感光性樹脂組成物に対し、前述の評価を行った。その結果を表1に示す。本発明によって得られる、ネガ型感光性ポリアミド樹脂組成物は良好な耐熱性、絶縁性を有することが明らかとなった。
【0104】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、半導体やディスプレイ等のエレクトロニクスデバイス用の絶縁層間膜、接着剤、コーティング剤および封止剤等の様々な分野で利用することができる。