(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成装置の製造方法並びに分解方法
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240213BHJP
H05K 7/12 20060101ALI20240213BHJP
F16B 5/04 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G03G21/16 119
H05K7/12 K
H05K7/12 N
F16B5/04 B
F16B5/04 C
(21)【出願番号】P 2020014174
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】長嶺 翔悟
(72)【発明者】
【氏名】吉村 明
(72)【発明者】
【氏名】山本 翔司
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-121431(JP,A)
【文献】特開平10-173368(JP,A)
【文献】実開昭58-042020(JP,U)
【文献】特開平10-142875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
H05K 7/12
F16B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に画像形成を行う画像形成部を支持する、互いに締結される第1部材と第2部材を有するフレームを備える画像形成装置であって、
前記第1部材は、第1面と、前記第1面から突出する第1突起と、前記第1突起から離れた位置において前記第1面から突出する第2突起と、前記第1面に設けられた溝部と、を有し、
前記第2部材は、第1穴と、第2穴と、を備えた第2面を有し、
前記第1穴に前記第1突起が、また前記第2穴に前記第2突起が挿入され、前記第2面が前記第1面に重ねられ、前記第1部材と前記第2部材の間に位置した前記溝部が視認可能な状態とされ、前記第1穴に挿入された前記第1突起の一部と、前記第1面とで前記第2面を挟むようにして前記第1部材に前記第2部材を固定する構成を備え、
前記第2突起が挿入された前記第2穴は、前記溝部の延びる方向において前記第2突起との間に隙間を有
し、
前記第1突起と前記第2突起との間に前記溝部が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2穴は、前記溝部の延びる方向と直交する方向において前記第2突起との間に隙間を有しておらず、
前記第2突起は、前記溝部の延びる方向と直交する方向において、前記第2穴と嵌合することを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1部材は樹脂であり、前記第2部材は板金であることを特徴とする請求項1
又は請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録材に画像形成を行う画像形成部を支持する、互いに締結される第1部材と第2部材を有するフレームを備える画像形成装置の製造方法であって、
第1面と、前記第1面から突出する第1突起と、前記第1突起から離れた位置において前記第1面から突出する第2突起と、前記第1面に設けられた溝部と、を有する前記第1部材を用意する第1工程と、
第1穴と、第2穴と、を備えた第2面を有する前記第2部材を用意する第2工程と、
前記第1工程と前記第2工程の後に、前記第1穴に前記第1突起を、また前記第2穴に前記第2突起を挿入し、前記第2面を前記第1面に重ね、前記第1部材と前記第2部材の間に位置した前記溝部が視認可能な状態とする第3工程と、
前記第3工程の後に、前記第1穴に挿入された前記第1突起を変形させ、前記第1突起の一部と、前記第1面とで前記第2面を挟むようにして前記第1部材に前記第2部材を固定する第4工程と、を備え、
前記第2突起が挿入された前記第2穴は、前記溝部の延びる方向において前記第2突起との間に隙間を有
し、
前記第1突起と前記第2突起との間に前記溝部が設けられていることを特徴とする画像形成装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2穴は、前記溝部の延びる方向と直交する方向において前記第2突起との間に隙間を有しておらず、
前記第2突起は、前記溝部の延びる方向と直交する方向において、前記第2穴と嵌合することを特徴とする請求項
4に記載の画像形成装置の製造方法。
【請求項6】
第1面と、前記第1面から突出する第1突起と、前記第1突起から離れた位置において前記第1面から突出する第2突起と、前記第1面に設けられた溝部と、を有する第1部材と、
第1穴と、第2穴と、を備えた第2面を有する第2部材と、
を有し、
前記第2穴に前記第2突起が挿入され、前記第2面が前記第1面に重ねられ、前記第1部材と前記第2部材の間に位置した前記溝部が視認可能な状態で、前記第1穴に挿入された前記第1突起の一部と、前記第1面とで前記第2面を挟むようにして前記第1部材に前記第2部材を固定したフレームを備えた画像形成装置の分解方法であって、
前記第2突起が挿入された前記第2穴は、前記溝部の延びる方向において前記第2突起との間に隙間を有し、
前記第1突起と前記第2突起との間に前記溝部が設けられており、
前記溝部に工具を挿入し、前記工具を前記第2面が前記第1面から離れる方向に動かすことで、前記第1部材と前記第2部材を分離することを特徴とする画像形成装置の分解方法。
【請求項7】
前記工具の挿入方向の下流側の一部が前記第2部材又は前記第1部材に接触し、前記工具の挿入方向の上流側の一部が前記第1部材又は前記第2部材に接触することを特徴とする請求項
6に記載の画像形成装置の分解方法。
【請求項8】
前記第1部材は樹脂であり、前記第2部材は板金であることを特徴とする請求項
6又は
請求項7に記載の画像形成装置の分解方法。
【請求項9】
第1面と、前記第1面から突出する第1突起と、前記第1突起から離れた位置において前記第1面から突出する第2突起と、前記第1面が延びる方向に延びた貫通穴と、を有する第1部材と、
第1穴と、第2穴と、を備えた第2面を有する第2部材と、
を有し、
前記第2穴に前記第2突起が挿入され、前記第2面が前記第1面に重ねられた状態で、前記第1穴に挿入された前記第1突起の一部と、前記第1面とで前記第2面を挟むようにして前記第1部材に前記第2部材を固定したフレームを備えた画像形成装置の分解方法であって、
前記第2突起が挿入された前記第2穴は、前記貫通穴の延びる方向において前記第2突起との間に隙間を有し、
前記第1突起と前記第2突起との間に前記貫通穴が設けられており、
前記貫通穴に工具を挿入し、前記工具を前記第2面が前記第1面から離れる方向に動かすことで、前記第1部材と前記第2部材を分離することを特徴とする画像形成装置の分解方法。
【請求項10】
前記工具の挿入方向の下流側の一部が前記第2部材又は前記第1部材に接触し、前記工具の挿入方向の上流側の一部が前記第1部材又は前記第2部材に接触することを特徴とする請求項
9に記載の画像形成装置の分解方法。
【請求項11】
前記第1部材は樹脂であり、前記第2部材は板金であることを特徴とする請求項
9又は
請求項10に記載の画像形成装置の分解方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機やプリンタ等の画像形成装置及び画像形成装置の製造方法並びに分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、フレームに記録材を搬送する搬送ローラや記録材にトナー像を定着させる定着器、トナー像を形成するためのレーザスキャナなどの様々な部品、ユニットを取り付けることで構成されている。そのため、フレームが歪んでしまうと、記録材の搬送精度の低下による印刷ずれやレーザ照射の位置ずれによる画像不良等が発生しやすくなる。このような画像品質の低下を防ぐために、フレームには高い剛性が求められる。そこで、フレームでは、対向する2つの側板間にステイを通すことでフレームとしての剛性を高めている。近年では、軽量化やコストダウンのために、板金を用いたフレームだけではなく、板金と樹脂とを組み合わせたフレームも用いられるようになっている。板金と樹脂とを締結する方法としては、ねじによる締結が一般的であるが、コストダウンを目的としてねじを使用しない締結方法も用いられている。ねじを使用しない締結方法の一つとして、熱可塑性樹脂で形成された締結部品の突起を被締結部品の貫通孔に挿入した状態とし、突起を抜け留め形状に変形させることで被締結部品を挟み込むようにして締結を行う熱加締めがある。熱加締めは、突起の太さや変形後の抜け止め形状に応じて、締結強度が変わる。
【0003】
一方で、環境保全の観点から、画像形成装置は材料毎に分解され、リサイクル可能な状態に材料を分別できなければならない。すなわち、板金と樹脂といった異なる材料が締結されたユニットは、板金と樹脂それぞれの材料に分解できなければならない。分解を容易にする方法として、熱加締めによって締結された被締結部材において、熱加締め部近傍に分解工具を差し込むための穴を設けた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、フレームのような剛性が求められるユニットの締結に用いられる、突起を太く、変形後の抜け止め形状を大きくした、高い締結強度を有する熱加締めを用いた構成では、分解する際に熱加締め部に加える力も大きくなってしまう。更に、熱加締め部を分解する際に使用する工具は特殊な専用工具ではなく、ドライバのような汎用工具であることが望ましいが、従来の熱加締め構成では特殊な専用工具に依らなければ締結強度を高めた構成における低下した分解性を高めることはできなかった。このため、分解時に使用する工具は締結強度に応じた工具を用いるようにしなければならなくなり、従来の熱加締め構成では、熱加締め強度と分解性を両立させることができないという課題が生じる。
【0006】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、熱加締め部における締結強度と分解性を両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明では、以下の構成を備える。
【0008】
(1)記録材に画像形成を行う画像形成部を支持する、互いに締結される第1部材と第2部材を有するフレームを備える画像形成装置であって、前記第1部材は、第1面と、前記第1面から突出する第1突起と、前記第1突起から離れた位置において前記第1面から突出する第2突起と、前記第1面に設けられた溝部と、を有し、前記第2部材は、第1穴と、第2穴と、を備えた第2面を有し、前記第1穴に前記第1突起が、また前記第2穴に前記第2突起が挿入され、前記第2面が前記第1面に重ねられ、前記第1部材と前記第2部材の間に位置した前記溝部が視認可能な状態とされ、前記第1穴に挿入された前記第1突起の一部と、前記第1面とで前記第2面を挟むようにして前記第1部材に前記第2部材を固定する構成を備え、前記第2突起が挿入された前記第2穴は、前記溝部の延びる方向において前記第2突起との間に隙間を有し、前記第1突起と前記第2突起との間に前記溝部が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
(2)記録材に画像形成を行う画像形成部を支持する、互いに締結される第1部材と第2部材を有するフレームを備える画像形成装置の製造方法であって、第1面と、前記第1面から突出する第1突起と、前記第1突起から離れた位置において前記第1面から突出する第2突起と、前記第1面に設けられた溝部と、を有する前記第1部材を用意する第1工程と、第1穴と、第2穴と、を備えた第2面を有する前記第2部材を用意する第2工程と、前記第1工程と前記第2工程の後に、前記第1穴に前記第1突起を、また前記第2穴に前記第2突起を挿入し、前記第2面を前記第1面に重ね、前記第1部材と前記第2部材の間に位置した前記溝部が視認可能な状態とする第3工程と、前記第3工程の後に、前記第1穴に挿入された前記第1突起を変形させ、前記第1突起の一部と、前記第1面とで前記第2面を挟むようにして前記第1部材に前記第2部材を固定する第4工程と、を備え、前記第2突起が挿入された前記第2穴は、前記溝部の延びる方向において前記第2突起との間に隙間を有し、前記第1突起と前記第2突起との間に前記溝部が設けられていることを特徴とする画像形成装置の製造方法。
(3)第1面と、前記第1面から突出する第1突起と、前記第1突起から離れた位置において前記第1面から突出する第2突起と、前記第1面に設けられた溝部と、を有する第1部材と、第1穴と、第2穴と、を備えた第2面を有する第2部材と、を有し、前記第2穴に前記第2突起が挿入され、前記第2面が前記第1面に重ねられ、前記第1部材と前記第2部材の間に位置した前記溝部が視認可能な状態で、前記第1穴に挿入された前記第1突起の一部と、前記第1面とで前記第2面を挟むようにして前記第1部材に前記第2部材を固定したフレームを備えた画像形成装置の分解方法であって、前記第2突起が挿入された前記第2穴は、前記溝部の延びる方向において前記第2突起との間に隙間を有し、前記第1突起と前記第2突起との間に前記溝部が設けられており、前記溝部に工具を挿入し、前記工具を前記第2面が前記第1面から離れる方向に動かすことで、前記第1部材と前記第2部材を分離することを特徴とする画像形成装置の分解方法。
(4)第1面と、前記第1面から突出する第1突起と、前記第1突起から離れた位置において前記第1面から突出する第2突起と、前記第1面が延びる方向に延びた貫通穴と、を有する第1部材と、第1穴と、第2穴と、を備えた第2面を有する第2部材と、を有し、前記第2穴に前記第2突起が挿入され、前記第2面が前記第1面に重ねられた状態で、前記第1穴に挿入された前記第1突起の一部と、前記第1面とで前記第2面を挟むようにして前記第1部材に前記第2部材を固定したフレームを備えた画像形成装置の分解方法であって、前記第2突起が挿入された前記第2穴は、前記貫通穴の延びる方向において前記第2突起との間に隙間を有し、前記第1突起と前記第2突起との間に前記貫通穴が設けられており、前記貫通穴に工具を挿入し、前記工具を前記第2面が前記第1面から離れる方向に動かすことで、前記第1部材と前記第2部材を分離することを特徴とする画像形成装置の分解方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、熱加締め部における締結強度と分解性を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1~3の画像形成装置の構成を示す断面図
【
図2】実施例1~3のフレームの構成を示す分解斜視図
【
図4】実施例1の熱加締め締結部の構成を示す斜視図
【
図5】実施例1の熱加締め締結部の構成を示す断面図
【
図6】実施例1の熱加締め締結部の分解方法を説明する斜視図
【
図7】実施例1の熱加締め締結部の分解方法を説明する断面図
【
図8】実施例1の熱加締め締結部の分解時の挙動を説明する断面図
【
図9】実施例1の変形例の熱加締め締結部の構成を示す断面図
【
図10】実施例2の熱加締め締結部の構成を示す断面図
【
図11】実施例2の熱加締め締結部の分解方法を説明する断面図
【
図12】実施例3の熱加締め締結部の分解方法を説明する斜視図
【
図13】実施例3の熱加締め締結部の分解方法を説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
[画像形成装置の構成]
図1は、実施例1の画像形成装置1の構成を示す概略断面図である。画像形成装置1は、記録材Pを給送する給送部と、記録材P上にトナー像(現像剤像)を形成するプロセスカートリッジ14等からなる画像形成部と、記録材P上のトナー像を定着する定着器10と、を有する。なお、ここでは、電子写真式の画像形成装置として、1個のプロセスカートリッジ14が着脱可能なモノクロタイプの画像形成装置1を例示している。
【0016】
プロセスカートリッジ14は、回転自在の像担持体である感光ドラム2、感光ドラム2を帯電する帯電ローラ3、感光ドラム2上に形成された静電潜像をトナー(現像剤)で現像する現像ローラ5を有している。感光ドラム2は、帯電ローラ3により一様な電位に帯電される。表面が一様な電位に帯電された感光ドラム2は、露光手段である露光装置4から画像情報に応じたレーザ光Lを照射される。レーザ光Lは感光ドラム2上を走査し、感光ドラム2上に静電潜像を形成する。そして、感光ドラム2上に形成された静電潜像は、現像ローラ5によってトナーで現像され、トナー像として可視化される。
【0017】
一方、給送部は、ピックアップローラ6、給送ローラ7、給送トレイ13等で構成され、給送トレイ13には記録材Pが積載されている。記録材Pは、感光ドラム2上のトナー像の形成と同期して、ピックアップローラ6及び給送ローラ7により、1枚ずつ搬送ローラ8へと給送される。そして、記録材Pは、搬送ローラ8により感光ドラム2と転写ローラ9とで形成される転写ニップ部へと搬送される。転写ニップ部では、転写ローラ9により、感光ドラム2上に形成されたトナー像が記録材Pに転写される。
【0018】
トナー像が転写された記録材Pは、その後、未定着のトナー像を記録材Pに定着させる定着処理を行うため、定着手段である定着器10へと搬送される。定着器10は、駆動ローラ10a、及びヒータを内蔵する定着ローラ10bを有する。記録材Pは、駆動ローラ10a及び定着ローラ10bにより加熱、加圧され、トナー像は記録材Pに定着される。その後、記録材Pは排出ローラ11により搬送され、排出トレイ12上に排出され、積載される。
【0019】
なお、以下の説明では、画像形成装置1における排出ローラ11からの記録材Pの排出方向において、上流側を「後」、下流側を「前」としている。また、画像形成装置1を「前」から「後」へ見たとき、感光ドラム2の軸線方向において、右側を「右」、左側を「左」とし(
図3参照)、鉛直上方を「上」、鉛直下方を「下」としている。
【0020】
図1に示す画像形成装置1に用いられるフレームである本体フレーム100は、後述するように、右フレーム110、左フレーム120(不図示)、第1前フレーム130、第2前フレーム140、及び後フレーム150から構成されている。上述した記録材Pに画像形成を行う部品やユニットである画像形成部材は、本体フレーム100に配置され、本体フレーム100によって支持される。
【0021】
[本体フレームを構成する各フレームの形状]
図2は、本体フレーム100を、本体フレーム100を構成する各フレームに分解した分解斜視図であり、各フレームの形状、構成を説明する図である。上述したように、本体フレーム100は、右フレーム110、左フレーム120、第1前フレーム130、第2前フレーム140、及び後フレーム150から構成されている。右フレーム110は、本体フレーム100の右側面側に設置されるフレームであり、上述したプロセスカートリッジ14の右側面部を支持する。一方、左フレーム120は、本体フレーム100の左側面側に設置されるフレームであり、上述したプロセスカートリッジ14の左側面部を支持する。第1前フレーム130及び第2前フレーム140は、本体フレーム100の前側に設置されるフレームである。第1前フレーム130はL字形状を有するフレームである。
図2においては、第1前フレーム130と第2前フレーム140は締結された状態で示されている。第2前フレーム140は、第1前フレーム130と締結されて、断面三角形状の構造体を形成し(
図1参照)、第2前フレーム140は断面三角形の斜辺部分に対応するフレームである。後フレーム150は、転写ローラ9、搬送ローラ8を支持し、本体フレーム100にプロセスカートリッジ14を装着することにより、プロセスカートリッジ14との間に記録材Pの搬送路が形成されるフレームである。
【0022】
[本体フレームの構成]
図3は、
図2で示した右フレーム110、左フレーム120、第1前フレーム130、第2前フレーム140、及び後フレーム150を組みつけて形成された本体フレーム100の形状を示す斜視図である。
図3に示す本体フレーム100は、第1前フレーム130及び第2前フレーム140の上に、右フレーム110、左フレーム120、及び後フレーム150を設置し、固定することにより形成されている。本実施例では、右フレーム110、左フレーム120及び後フレーム150は、熱可塑性を有する樹脂製である。一方、第1前フレーム130、及び第2前フレーム140は板金製である。
【0023】
右フレーム110、左フレーム120、及び後フレーム150等の締結部材には、第1前フレーム130、第2前フレーム140等の被締結部材との締結を行う締結部が設けられている。右フレーム110、左フレーム120、及び後フレーム150に設けられた締結部では、被締結部材との熱加締めによる締結が行われる。熱加締めによる締結とは、締結部に設けられた樹脂製の突起を被締結部材側に設けられた穴に挿入し、突起を変形させることにより、締結部と被締結部材とを締結する方法である。
【0024】
右フレーム110に設けられた熱加締めを行う締結部(以下、熱加締め締結部という)では、右フレーム110と被締結部材である第1前フレーム130及び第2前フレーム140との熱加締めによる締結が行われる。また、後フレーム150に設けられた熱加締め締結部では、後フレーム150と被締結部材である右フレーム110との熱加締めによる締結が行われる。
【0025】
同様に、左フレーム120に設けられた熱加締め締結部では、左フレーム120と被締結部材である第1前フレーム130及び第2前フレーム140との熱加締めによる締結が行われる。また、後フレーム150に設けられた熱加締め締結部では、後フレーム150と被締結部材である左フレーム120との熱加締めによる締結が行われる。
【0026】
図3において、2点鎖線の円で囲まれた右フレーム110のリブ部分は、右フレーム110に設けられた熱加締め締結部であり、上述した本体フレーム100に含まれる熱加締めによる締結箇所のうちの1つである。この熱加締め締結部は、右フレーム110と、被締結部材である第1前フレーム130及び第2前フレーム140とを熱加締めにより締結している。
図4は、熱加締めを行った後の
図3の2点鎖線の円で囲まれた熱加締め締結部を画像形成装置1の第1前フレーム130の下方向から見たときの斜視図である。
図4に示すように、熱加締め締結部は、第1前フレーム130及び第2前フレーム140の鉛直上方に設けられている。また、熱加締め締結部のリブには、右フレーム110と第1前フレーム130及び第2前フレーム140とを分解する際に、後述する分解工具200(
図6参照)を挿入する分解穴210が形成されている。
【0027】
図4に示された熱加締め後の突起111bは、熱加締め締結部に設けられていた熱加締め前の突起111aを第1前フレーム130及び第2前フレーム140に設けられた穴(
図4では不図示)に挿入し、加熱することにより変形させられた突起である。本実施例では、熱加締め前の突起111aを加熱して円錐形状の熱加締め後の突起111bに変形することにより、右フレーム110の熱加締め締結部と第1前フレーム130及び第2前フレーム140とが締結される。
【0028】
また、第2突起112は、熱加締め締結部に設けられた突起(ボス)である。第2突起112を第1前フレーム130に設けられた位置決め穴131に挿入することにより、右フレーム110の第1前フレーム130に対する位置決めが行われる。第2突起112は、第1前フレーム130に設けられた位置決め穴131に挿入され、第2突起112の先端部は、第1前フレーム130側に突出した状態となっている。なお、図中、A-A線は、円柱形上の第2突起112の中心を通り、図中左右方向の軸に平行な直線である。一方、B-B線は、第2突起112の中心を通り、A-A線に直交する(図中前後方向の)直線である。A-A線で示す方向の位置決め穴131の幅は、挿入された第2突起112が位置決め穴131と嵌合するように、第2突起112の径と略同じ長さである。一方、A-A線と直交するB-B線で示す方向の位置決め穴131の幅は、挿入された第2突起112との間に隙間が生じるように、第2突起112の径よりも大きい長さである。したがって、位置決め穴131は、前後方向であるB-B線方向の長さがA-A線方向の長さよりも大きい長丸穴の形状を有している。なお、左右方向は、右フレーム110、及び左フレーム120が倒れる方向ともいう。
【0029】
上述したように、画像形成装置1では、トナー像の画像形成及び記録材Pの搬送が行われる。そのため、画像形成を行う部品やユニットといった画像形成部材を支持する本体フレーム100が歪むと、画像不良や動作不良が生じる場合がある。したがって、本体フレーム100の歪みを抑制することが、画像不良や動作不良などの発生を防止する上で重要となる。特に部品同士のつなぎ目である熱加締め締結部は応力が集中しやすく、熱加締め締結部が容易に緩んだり破損したりすることがないよう、熱加締め締結部は強固な締結状態が維持されることが求められる。
【0030】
[熱加締め締結部の締結]
次に、右フレーム110と第1前フレーム130及び第2前フレーム140との締結強度を向上させる熱加締め締結部の構成について説明する。
図5は、
図4に示す第1前フレーム130及び第2前フレーム140と締結された熱加締め締結部を画像形成装置1の前後方向の軸に直交する平面、すなわち
図4のA-A線を含む平面で切断したときの切断面を示す図である。
図5に示すように、締結部材である右フレーム110は、鉛直下方に向いた第1面と、この第1面から第1前フレーム130及び第2前フレーム140に向かって突出する第1突起111と第2突起112とを有する固定部20を備えている。第1突起111及び第2突起112は、左フレーム120から右フレーム110の方向(図中、左側から右側に向かう方向)に第1突起111、第2突起112の順に設けられている。第1突起111は、円柱形状を有し、先端部の外周には傾斜面が設けられている。一方、第2突起112も、第1突起111と同様に円柱形状を有し、先端部の外周には傾斜面が設けられているが、第1突起111とは異なり、円柱形状の内部は中空となっている。また、固定部20の第1突起111と第2突起112との間には、第1前フレーム130及び第2前フレーム140と対向する側が開口となっており、右フレーム110を図中前後方向に向かって横断する溝部21が形成されている。
【0031】
一方、被締結部材である第1前フレーム130は、第1突起111が貫通する穴132と、第2突起112が貫通する位置決め穴131とが設けられた第1第2面を有している。同様に、被締結部材である第2前フレーム140も、第1突起111が貫通する穴142と、第2突起112が貫通する穴141とが設けられた第2第2面を有している。なお、位置決め穴131は、第2突起112と嵌合するために鉛直下方向に延びた縁周部を有している。
【0032】
続いて、熱加締め締結部と第1前フレーム130及び第2前フレーム140とを締結させて締結箇所を製造する方法について説明する。まず、固定部20が設けられた右フレーム110と、位置決め穴131、穴132を有する第1前フレーム130、穴141,142を有する第2前フレーム140を用意する。そして、固定部20の第1突起111を第2前フレーム140の穴142、第1前フレーム130の穴132に貫通させ、第2突起112を第2前フレーム140の穴141、第1前フレーム130の位置決め穴131に、順次貫通させる。これにより、右フレーム110の第1前フレーム130及び第2前フレーム140に対向する第1面に対して、右フレーム110に対向する第2前フレーム140の第2第2面、第1前フレーム130の第1第2面が順次重ねられた構成となる。そして、固定部20の熱加締めを行う前の第1突起111である熱加締め前の突起111a(図中、破線で表示)を加熱して変形させる。これにより、第1第2面と第2第2面が、先端部分が円錐形状に成形された熱加締め後の突起111bと第1面の間に挟まれるようにして熱加締めされることによって、第1前フレーム130と第2前フレーム140は右フレーム110に締結される。
【0033】
一方、第2突起112を第1前フレーム130に設けられた位置決め穴131に挿入することで、第2突起112と位置決め穴131とが嵌合し、右フレーム110と第1前フレーム130とが互いに位置決めされる。このように、第2突起112は、右フレーム110と第1前フレーム130とを位置決めするための突起である。また、第2突起112及び位置決め穴131は、位置決めに対する回転止めとしても機能する。
【0034】
更に、右フレーム110が第1前フレーム130及び第2前フレーム140と締結されることにより、右フレーム110に設けられた溝部21の開口が第1前フレーム130及び第2前フレーム140により塞がれる。これにより、後述する分解工具200が挿入される、視認可能な状態の分解穴210が形成される。
【0035】
ここで、
図5に示す熱加締めされた後の熱加締め締結部において、右フレーム110を第1前フレーム130及び第2前フレーム140から引きはがそうとする力が図中上方向に加えられると、次のような状態となる。すなわち、右フレーム110を第1前フレーム130及び第2前フレーム140から引きはがそうとする力により、右フレーム110と第1前フレーム130及び第2前フレーム140とは、熱加締め後の突起111bを起点に撓む。そのとき、第2突起112及び位置決め穴131とは嵌合しているため、アライメントが崩れ、互いに食い込む状態となって、引きはがそうとする力に対する抵抗力となる。このように、熱加締めされる第1突起111を、位置決め穴131に挿入することにより嵌合し位置決めされる第2突起112の近傍に設けることにより、従来の熱加締めによる締結に比べて、位置決め穴131に嵌合された第2突起112による抵抗力が加わる。これにより、本実施例の熱加締め締結部では締結強度が向上することになる。
【0036】
[熱加締め締結部の分解]
続いて、熱加締め締結部の分解方法について説明する。本実施例では、右フレーム110は樹脂製であり、第1前フレーム130及び第2前フレーム140は板金製である。そのため、環境保全のため、樹脂と板金とは分別して廃棄する必要があり、画像形成装置1を廃棄する際には、締結されている右フレーム110と第1前フレーム130及び第2前フレーム140とを分解(分離)する必要がある。
【0037】
図6は、右フレーム110と第1前フレーム130及び第2前フレーム140とを分解するために、右フレーム110に形成された分解穴210に分解工具200を挿入している様子を示した斜視図である。
図5に示すように、熱加締め後の突起111bと第2突起112との間には、熱加締め締結部を分解する際に分解工具200を挿入するための分解穴210が形成されている。
図6に示すように、分解工具200を図中前側から分解穴210に挿入し、分解工具200の先端の下部を第2前フレーム140に接触させ、分解工具200の上部を分解穴210の分解工具200の挿入口の上部に接触させる。そして、分解工具200の図中前側を図中上方向に引き上げるように力を加えることにより、右フレーム110は第1前フレーム130及び第2前フレーム140から分離(分解)される。すなわち、右フレーム110の第1面を、右フレーム110に対向する第2前フレーム140の第2第2面、第1前フレーム130の第1第2面から離れる方向に、分解工具200に力を加えることにより、熱加締め締結部は分解される。なお、分解工具200は、例えばドライバのような棒状の汎用工具であり、右フレーム110を第1前フレーム130及び第2前フレーム140から分解する際に要する剛性を有する工具であればよい。
【0038】
図7は、
図6に示す分解工具200が挿入された状態の分解穴210を切断した図であり、分解穴210を
図6の図中左右方向の軸に直交する面で切断したときの切断面を示した図である。
図7に示すように、分解穴210に挿入された分解工具200は、分解穴210を貫通し、分解工具200の挿入方向(図中前側から後側に向かう方向)の先端部の鉛直下方の一部分は、第2前フレーム140の第2角部144に接触している。一方、分解工具200の分解穴210の挿入口近傍の鉛直上方の一部分は、右フレーム110の分解穴210の挿入口の第1角部113に接触している。そして、第1角部113を作用点、第2角部144を支点として、分解工具200を図中上方向に引き上げるように力を加えることにより、右フレーム110に第1前フレーム130及び第2前フレーム140から引きはがす力が加えられる。その結果、右フレーム110は第1前フレーム130及び第2前フレーム140から引きはがされ、分離(分解)される。なお、図中のL1は、右フレーム110の固定部20の図中前後方向の長さ(幅)を示している。
【0039】
図8は、右フレーム110を第1前フレーム130及び第2前フレーム140から引きはがす際に、第2突起112が位置決め穴131から抜ける様子を説明する図である。
図8は、
図4に示す第2突起112を画像形成装置1の左右方向の軸に直交する平面、すなわち
図4のA-A線に直交する平面で切断したときの切断面を示す図である。
図8に示すように、第1前フレーム130の位置決め穴131の形状は、分解工具200の挿入方向に広がる長丸穴形状になっている。すなわち、位置決め穴131は、分解工具200の挿入方向(図中前後方向)と直交する方向の幅は、第2突起112と嵌合するために第2突起112の径と略同じ幅である。一方、位置決め穴131は、分解工具200の挿入方向と平行な方向には、第2突起112の径よりも大きい長丸穴形状を有しているため、分解工具200の挿入方向における第2突起112と位置決め穴131との間は、隙間を有している。そのため、分解工具200によって、右フレーム110を第1前フレーム130及び第2前フレーム140から引きはがす力が図中上方向に加えられた際、第2突起112は分解工具200の挿入方向(図中前後方向)のみ、倒れることができる。詳細には、図中実線で示す第2突起112は、分解工具200が挿入される方向において、位置決め穴131との間に隙間があるため、位置決め穴131に食い込むことなく、図中破線で示すように斜め上方向に傾きながら引き上げられる(引き抜かれる)。
【0040】
このように、位置決め穴131に挿入された第2突起112は、分解工具200により右フレーム110を第1前フレーム130及び第2前フレーム140から引きはがす際の抵抗力とはならない。そのため、分解工具200を用いて、右フレーム110を第1前フレーム130及び第2前フレーム140から引きはがす際の抵抗力となるのは、熱加締め後の突起111bによる締結力だけとなる。
【0041】
上述したように、熱加締めのみで締結強度を担保する場合には、熱加締め前の突起111aを大きくし、加熱変形後の熱加締め後の突起111bの形状を大きくする必要がある。ところが、熱加締め後の突起111bの形状を大きくして、締結強度を上げると、熱加締め締結部を分解する際に必要な力も大きくなる。更に、熱加締め前の突起111aが大きくなることにより、画像形成装置1も大型化してしまうことになる。一方、本実施例では、熱加締めによる締結箇所を位置決め穴131の近傍に設定することにより、熱加締め前の突起111aを大きくすることなく、熱加締めによる締結強度を向上させることができる。また、熱加締め締結部を分解する際には、従来と同様の熱加締め部分の抵抗力が分解時にかかるだけであり、位置決め穴131の近傍に熱加締めの締結箇所を設けたことにより、分解時の抵抗力が増加するわけではない。そのため、従来と同様の力を加えることにより、熱加締め締結部を分解することができる。
【0042】
本実施例では、右フレーム110が凹む形の縦長の溝部21は、右フレーム110が第1前フレーム130及び第2前フレーム140と締結されることにより、分解穴210が形成される構成を示したが、分解穴210の構成はこれに限られるものではない。例えば、右フレーム110と第1前フレーム130及び第2前フレーム140とが締結された際に形成される分解穴210は、第1前フレーム130及び第2前フレーム140が凹む形で縦長の溝部を有する構成でもよい。また、右フレーム110と第1前フレーム130及び第2前フレーム140の両方が凹む形の溝部を有する構成で、分解穴210が形成されてもよい。また、
図5では、加熱変形された熱加締め後の突起111bの形状は円錐形状を示しているが、熱加締め後の突起111bの形状は円錐形状に限定されるものではなく、例えば、半球形状でもよく、円錐形状の場合と同様の締結力が得られる。
【0043】
また、本実施例では、第2突起112が第1突起111と同じ部材(右フレーム110)に設けられた構成を示した。例えば、第2突起112が第1前フレーム130や第2前フレーム140といった被締結部材に設けられた構成や、位置決め穴131が右フレーム110に設けられる構成においても、同様の効果を奏することができる。また、本実施例では、熱加締めによる被締結部材として板金フレームを示したが、樹脂フレームにおいても同様の効果が得られる。更に、本実施例では、熱加締めとそれ以外の締結方法を組み合わせたフレーム締結を示したが、熱加締めだけを使用したフレーム構成においても同様の効果が得られる。
【0044】
以上説明したように、本実施例によれば、熱加締め部における締結強度と分解性を両立させることができる。
【0045】
なお、本実施例では、分解穴210を形成する溝部21は、第1突起111と第2突起112との間に設けられていたが、溝部を設ける位置はこれに限定されない。例えば、変形例として、
図9に示すように、溝部22を第2突起112の第1突起111とは反対側に、第2突起112に隣接して設けてもよい。本変形例について
図9を用いて説明する。
【0046】
図9は、
図5と同様に、本変形例の右フレーム110に設けられた熱加締め締結部を画像形成装置1の前後方向の軸に直交する平面、すなわち
図4のA-A線を含む平面で切断したときの切断面を示す切断図である。溝部22は、第2突起112の第1突起111とは反対側に、第2突起112に隣接して設けられており、右フレーム110が第1前フレーム130及び第2前フレーム140と締結されることにより、分解穴210が形成される。なお、本変形例では、溝部22が形成されている位置が上述した実施例1の溝部21の位置と異なる点を除き、固定部20や第1前フレーム130、第2前フレーム140の基本的な構成は実施例1と同様である。そのため、位置決め穴131は、分解工具200の挿入方向と平行な方向に長丸穴形状を有しており、分解工具200の挿入方向において、第2突起112と位置決め穴131との間は隙間が設けられている。そのため、分解工具200によって、右フレーム110を第1前フレーム130及び第2前フレーム140から引きはがす力が加えられた際、第2突起112は、位置決め穴131に食い込むことなく倒れることができる。
【0047】
なお、本変形例では、溝部22は第2突起112に隣接して設けているが、第2突起112の第1突起111とは反対側で、第2突起112の近傍に設けても、同様の効果を奏することができる。ただし、溝部22を設ける位置を第2突起112から離れた位置に設けるほど、分解工具200による引きはがしの際に、第2突起112は、熱加締め後の突起111b側により傾くことになる。その結果、第2突起112が位置決め穴131に食い込む状態となり、右フレーム110と第1前フレーム130及び第2前フレーム140とが分解(分離)されづらくなる。そのため、溝部22は、第2突起112に近い位置に設けるほうがよい。
【実施例2】
【0048】
実施例1では、分解穴210は、右フレーム110と第1前フレーム130及び第2前フレーム140とを締結することにより、右フレーム110に形成された溝部21の開口が塞がれることにより形成されていた。実施例2では、分解穴210が右フレーム110の内部に設けられている実施例について説明する。
【0049】
[分解穴の構成]
図10は、実施例1の
図5と同様に、本実施例の右フレーム110に設けられた熱加締め締結部を画像形成装置1の前後方向の軸に直交する平面、すなわち
図4のA-A線を含む平面で切断したときの切断面を示す切断図である。本実施例の熱加締め締結部では、上述した実施例1の熱加締め締結部と比べて、分解穴210の構成が異なっている。右フレーム110に設けられた熱加締め締結部におけるその他の構成、第1前フレーム130、第2前フレーム140の構成については、実施例1と同様である。本実施例では、実施例1と同じ構成には同じ符号を用いて説明することにより、ここでの説明を省略する。
【0050】
本実施例の熱加締め締結部の固定部20の第1突起111と第2突起112との間には、右フレーム110の内部を前後方向に貫通する分解穴210が設けられている。実施例1では、分解穴210を構成する溝部21は、第1前フレーム130及び第2前フレーム140に対向する側が開口している溝部であった。一方、本実施例の分解穴210は、右フレーム110の画像形成装置1の図中前後方向の前側及び後側の壁に開口を有し、右フレーム110内部を貫通している貫通穴であり、実施例1の開口を有する溝部21とは異なる。また、本実施例の分解穴210は、実施例1の分解穴210と比べて、分解穴210内部の鉛直上下方向の長さが大きくなっている。なお、右フレーム110と第1前フレーム130及び第2前フレーム140との締結方法は実施例1と同様であり、説明を省略する。
【0051】
[熱加締め締結部の分解]
続いて、本実施例の熱加締め締結部の分解方法について説明する。
図11は、分解工具200が挿入された状態の
図10に示す分解穴210を切断した図であり、分解穴210を
図6の左右方向の軸に直交する面で切断したときの切断面を示した図である。
図11に示すように、分解穴210に挿入された分解工具200は、分解穴210を貫通し、分解工具200の挿入方向(図中前側から後側に向かう方向)の先端部の鉛直下方の一部分は、第2前フレーム140の第2角部144に接触している。一方、分解工具200の分解穴210の挿入口近傍の鉛直上方の一部分は、右フレーム110の分解穴210の挿入口の第1角部113に接触している。そして、第1角部113を作用点、第2角部144を支点として、分解工具200を図中上方向に引き上げるように力を加えることにより、右フレーム110に第1前フレーム130及び第2前フレーム140から引きはがす力が加えられる。本実施例でも、実施例1と同様に、分解工具200によって引きはがし力が加えられた際、第2突起112は、分解工具200の挿入方向においてのみ、位置決め穴131に食い込むことなく、倒れることができる。その結果、右フレーム110は第1前フレーム130及び第2前フレーム140から引きはがされ、分離(分解)される。
【0052】
図11において、L2は、右フレーム110の固定部20の図中前後方向の長さ(幅)を示している。本実施例の固定部20の幅L2は、実施例1の
図7に示す固定部20の幅L1よりも短くなっている。また、分解穴210の第1前フレーム130及び第2前フレーム140側の図中後側の開口近傍の面は、挿入された分解工具200が接触しないように、端部が第1前フレーム130及び第2前フレーム140に接触するように傾斜した傾斜面23となっている。上述したように、本実施例の分解穴210は、右フレーム110内部に形成されている。そのため、固定部20の幅L2が第2前フレーム140の幅と同じ長さの場合には、分解穴210に挿入された分解工具200の先端部が第2前フレーム140に接触できなくなる。そのため、本実施例の固定部20では、幅L2を実施例1の固定部20の幅L1よりも短くしている。更に、挿入された分解工具200が分解穴210の第1前フレーム130及び第2前フレーム140側の面と接触しないように、分解穴210の鉛直方向の長さを実施例1よりも長くし、傾斜面23を設けている。
【0053】
なお、本実施例では、分解穴210を右フレーム110に設けているが、第1前フレーム130及び第2前フレーム140側に設けてもよく、右フレーム110に設けた場合と同様の効果を奏することができる。
【0054】
以上説明したように、本実施例によれば、熱加締め部における締結強度と分解性を両立させることができる。
【実施例3】
【0055】
実施例1、2では、固定部20の第1突起111、第2突起112は、右フレーム110、左フレーム120の倒れる方向、すなわち画像形成装置1の左右方向に並んで設けられていた。実施例3では、固定部20の第1突起111、第2突起112は、右フレーム110、左フレーム120の倒れる方向に直交する方向、すなわち画像形成装置1の前後方向に並んで設けられている実施例について説明する。
【0056】
[熱加締め締結部の構成]
図12は、右フレーム110と第1前フレーム130及び第2前フレーム140とを分解するために、右フレーム110に形成された分解穴210に分解工具200を挿入している様子を示した図である。
図12に示すように、熱加締め締結部では、実施例2と同様に、熱加締め締結部を分解する際に分解工具200を挿入するための分解穴210が、右フレーム110の内部に形成されている。
図13は、分解工具200が挿入された状態の
図12に示す分解穴210を切断した図であり、分解穴210を
図12の図中左右方向の軸に直交する面で切断したときの切断面を示した図である。
【0057】
図13に示すように、本実施例では、固定部20の第1突起111、第2突起112は実施例1と同様に並んで設けられている。ところが、第1突起111、及び第2突起112が並んでいる方向が、実施例1では画像形成装置1の左右方向であったのに、本実施例では画像形成装置1の前後方向となっている。すなわち、第1突起111及び第2突起112は、図中、画像形成装置1の後側から前側に向かう方向に第1突起111、第2突起112の順に設けられている。そのため、固定部20の図中前後方向の幅L3は、実施例1の固定部20の幅L1(
図7)に比べて長くなっている。また、右フレーム110に締結される第1前フレーム130及び第2前フレーム140の図中前後方向の長さも、同様に実施例1に比べて長くなっている。また、本実施例の固定部20の第1突起111及び第2突起112の鉛直上方には、右フレーム110の内部を前後方向に貫通する分解穴210が設けられている。
【0058】
[熱加締め締結部の締結]
図13に示すように、被締結部材である第1前フレーム130は、第1突起111が貫通する穴133と、第2突起112が貫通する位置決め穴131とが設けられた第1第2面を有している。同様に、被締結部材である第2前フレーム140も、第1突起111が貫通する穴143と、第2突起112が貫通する穴141とが設けられた第2第2面を有している。なお、位置決め穴131は、第2突起112と嵌合するために鉛直下方向に延びた縁周部を有している。
【0059】
続いて、熱加締め締結部と第1前フレーム130及び第2前フレーム140とを締結させて締結箇所を製造する方法について説明する。まず、固定部20が設けられた右フレーム110と、位置決め穴131、穴133を有する第1前フレーム130、穴141,143を有する第2前フレーム140を用意する。そして、固定部20の第1突起111を第2前フレーム140の穴143、第1前フレーム130の穴133に貫通させ、第2突起112を第2前フレーム140の穴141、第1前フレーム130の位置決め穴131に、順次貫通させる。これにより、右フレーム110の第1前フレーム130及び第2前フレーム140に対向する第1面に対して、右フレーム110に対向する第2前フレーム140の第2第2面、第1前フレーム130の第1第2面が順次重ねられた構成となる。そして、固定部20の熱加締めを行う前の第1突起111を加熱して変形させる。これにより、第1第2面と第2第2面が、先端部分が円錐形状に成形された熱加締め後の第1突起111である突起111bと第1面の間に挟まれるようにして熱加締めされる。その結果、第1前フレーム130と第2前フレーム140は右フレーム110に締結される。
【0060】
一方、第2突起112を第1前フレーム130に設けられた位置決め穴131に挿入することで、第2突起112と位置決め穴131とが嵌合し、右フレーム110と第1前フレーム130とが互いに位置決めされる。このように、第2突起112は、右フレーム110と第1前フレーム130とを位置決めするための突起である。また、第2突起112及び位置決め穴131は、位置決めに対する回転止めとしても機能する。
【0061】
なお、本実施例の位置決め穴131は、実施例1と同様の形状を有している。すなわち、位置決め穴131の図中左右方向の幅は、挿入された第2突起112が位置決め穴131と嵌合するように、第2突起112の径と略同じ長さである。一方、位置決め穴131の図中前後方向の幅は、挿入された第2突起112との間に隙間が生じるように、第2突起112の径よりも大きい長さである。したがって、位置決め穴131は、図中前後方向の長さが図中左右方向の長さよりも大きい長丸穴の形状を有している。
【0062】
[熱加締め締結部の分解]
続いて、本実施例の熱加締め締結部の分解方法について説明する。
図13に示すように、分解穴210に挿入された分解工具200は、分解穴210を貫通し、分解工具200の挿入方向(図中前側から後側に向かう方向)の先端部の鉛直下方の一部分は、第2前フレーム140の第2角部144に接触している。一方、分解工具200の分解穴210の挿入口近傍の鉛直上方の一部分は、右フレーム110に設けられた分解穴210の挿入口の第1角部113に接触している。そして、第1角部113を作用点、第2角部144を支点として、分解工具200を図中上方向に引き上げるように力を加えることにより、右フレーム110に第1前フレーム130及び第2前フレーム140から引きはがす力が加えられる。本実施例でも、実施例1と同様に、分解工具200によって引きはがし力が加えられた際、第2突起112は、分解工具200の挿入方向(図中前後方向)においてのみ、位置決め穴131に食い込むことなく、倒れることができる。その結果、右フレーム110は第1前フレーム130及び第2前フレーム140から引きはがされ、分離(分解)される。なお、分解穴210の第1前フレーム130及び第2前フレーム140側の中央部から図中後側の面には、分解穴210に挿入された分解工具200が第1前フレーム130及び第2前フレーム140だけに接触するように、傾斜面24が設けられている。
【0063】
以上説明したように、本実施例によれば、熱加締め部における締結強度と分解性を両立させることができる。
【0064】
[その他の実施例]
上述した実施例では、位置決め穴131は長丸穴形状を有しているが、この形状に限定されるものではなく、例えば、長方形形状でも同様の効果を奏することができる。また、分解穴210については、縦長等の四角形の形状を有する穴が形成されている構成を示したが、形成される穴の形状が例えば三角形などの形状であっても同様の効果を奏することができる。更に上述した実施例では、第2突起112の形状はボス形状を示したが、例えばリブなど他の突起形状であっても同様の効果を奏することができる。
【0065】
また、上述した実施例では、分解工具200は、第2前フレーム140の第2角部144と、右フレーム110に設けられた分解穴210の挿入口の第1角部113に接触している。そして、第1角部113を作用点、第2角部144を支点として、分解工具200を鉛直上方向に引き上げるように力を加えることにより、右フレーム110は第1前フレーム130及び第2前フレーム140から分解(分離)される。例えば、分解穴210の鉛直上方の天井部に分解工具200が接触するリブを設け、第2前フレーム140の第2角部144を支点、リブを作用点として、分解工具200を用いて熱加締め締結部を分解(分離)する構成にしてもよい。
【0066】
また、上述した実施例では、本発明が適用される画像形成装置として、装着されるプロセスカートリッジ14の個数が1個のモノクロタイプの画像形成装置について説明したが、本発明の適用は、モノクロタイプの画像形成装置に限定されるものではない。例えば、フルカラーの画像を形成する画像形成装置の場合には、トナーの色としてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色が用いられ、装着されるプロセスカートリッジの個数は4個となる。本発明は、このようなフルカラーの画像を形成する画像形成装置にも適用可能である。また、上述した実施例では、画像形成装置の一態様としてプリンタを例に説明したが、本発明は複写機、ファクシミリ装置や、これらの機能を組み合わせた複合機等の画像形成装置にも適用することができる。
【0067】
以上説明したように、その他の実施例においても、熱加締め部における締結強度と分解性を両立させることができる。
【符号の説明】
【0068】
110 右フレーム
111 第1突起
112 第2突起
130 第1前フレーム
131 位置決め穴
132 穴
140 第2前フレーム
141 穴
142 穴