(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】航空機における廃棄される酸素富化空気の再使用
(51)【国際特許分類】
B64D 13/06 20060101AFI20240213BHJP
B64D 37/32 20060101ALI20240213BHJP
A62B 7/14 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
B64D13/06
B64D37/32
A62B7/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020014973
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2023-01-06
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】カン・オヌール
(72)【発明者】
【氏名】マキシム・コンスタンティン・ヴォス
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-193696(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0062371(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0157884(US,A1)
【文献】米国特許第05809999(US,A)
【文献】特表2017-500244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 13/06
B64D 37/32
B64D 25/00
A62B 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機であって、
前記航空機の客室に酸素を供給する酸素供給サブシステムと、
加圧空気流を受け、前記加圧空気流を酸素富化空気と不活性ガスとに分離し、前記酸素富化空気を前記酸素供給サブシステムに供給する空気分離器と
を備
え、
前記酸素供給サブシステムは緊急用酸素システムを含み、前記空気分離器は、前記緊急用酸素システムに前記酸素富化空気を供給するように構成されており、
前記航空機は、
前記航空機の客室減圧事象を検知する圧力センサーと、
前記客室減圧事象に応答して、前記空気分離器から前記緊急用酸素システムに前記酸素富化空気を供給するマニホールドと
をさらに備え、
前記緊急用酸素システムは、前記客室減圧事象に応答して自動的に展開するマスクを含み、前記マスクは前記マニホールドに接続されている、航空機。
【請求項2】
前記空気分離器が、前記航空機の燃料タンクに前記不活性ガスを供給する不活性化システムの一部である、
請求項1に記載の航空機。
【請求項3】
前記緊急用酸素システムが、
前記客室減圧事象に応答して、前記客室内の座席に近接した特定の領域に酸素を供給する出口通気口
を有する、請求項
1に記載の航空機。
【請求項4】
前記酸素供給サブシステムが、空気分配サブシステムを含み、
前記空気分離器が、前記空気分配サブシステムに前記酸素富化空気を供給するように構成されている、
請求項1に記載の航空機。
【請求項5】
前記航空機の客室減圧事象を検知する圧力センサーと、
前記客室減圧事象に応答して、前記空気分離器から前記空気分配サブシステムに前記酸素富化空気を供給するマニホールドと
をさらに備える、請求項
4に記載の航空機。
【請求項6】
前記酸素供給サブシステムの酸素含有量を測定する酸素センサーと、
前記酸素含有量に基づいて、前記酸素供給サブシステムに供給される前記酸素富化空気を調整するレギュレーターと
をさらに備える、請求項1に記載の航空機。
【請求項7】
前記加圧空気流が、前記航空機のエンジンからの抽気を含む、
請求項1に記載の航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は航空機の分野に関し、より詳細には、航空機における酸素送達に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の航空機は、乗務員及び乗客のために酸素、熱制御、及び客室加圧を提供する環境制御システム(ECS)を備える。ECSでは、空気はエンジンの圧縮機段からの抽気を用いるなどして、圧縮されて高圧高温になる。圧縮空気は、流れ制御弁を介して環境制御ユニット(ECU)に供給され、ここで空気は必要に応じて、空気を所望の温度まで冷却する熱交換器及びエアサイクルマシン(ACM)によって調節される。調和空気はその後、所望の温度及び圧力で客室及び操縦室に送られる。
【0003】
加圧される航空機は、客室が減圧状態になった場合に作動する緊急用酸素システムをさらに備える。一般的な緊急用酸素システムでは、酸素マスクは客席及び乗務員席の上方又は前に自動的に展開する。酸素は、化学酸素発生器又はガスマニホールドシステムを用いてマスクに供給される。化学酸素発生器は、供給する酸素を生成するために発熱反応を使用する(例えば、塩素酸ナトリウムと鉄粉との混合物に点火する)。ガスマニホールドシステムは、酸素を供給するために1つ以上の酸素のタンクを使用し、これは通常は貨物室に貯蔵されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
航空機のECS、緊急用酸素システム、その他のサブシステムに酸素を供給又は補充する他の方法を見つけることが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で説明する実施形態は、不活性化システム及び/又は独立型空気分離器からきた酸素富化空気を、航空機の1つ以上のサブシステムで再使用する。不活性化システム又は空気分離器は、加圧空気流を酸素富化空気と不活性ガス(窒素など)とに分離することによって動作する。不活性化システムを使用する従来の航空機では、火災又は爆発から守るために不活性ガスが燃料タンクに供給される一方で、酸素富化空気はラムダクトを通して廃棄される。本明細書で説明する実施形態では、酸素富化空気は、ECS、緊急用酸素システム、及び/又は航空機の別のサブシステムに供給される。したがって酸素富化空気は廃棄されることなく、航空機の別のシステムによって再使用される。
【0006】
一実施形態は、航空機の客室に酸素を供給する酸素供給サブシステムと、加圧空気流を受け加圧空気流を酸素富化空気と不活性ガスとに分離し、酸素富化空気を酸素供給サブシステムに供給する、空気分離器と、を備える航空機を含む。
【0007】
別の実施形態では、空気分離器は、航空機の燃料タンクに不活性ガスを供給する不活性化システムの一部である。
【0008】
別の実施形態では、酸素供給サブシステムは緊急用酸素システムを含み、空気分離器は、緊急用酸素システムに酸素富化空気を供給するように構成されている。
【0009】
別の実施形態では、航空機は、航空機の客室減圧事象を検知する圧力センサーと、客室減圧事象に応答して、空気分離器から緊急用酸素システムに酸素富化空気を供給するマニホールドとをさらに備える。
【0010】
別の実施形態では、緊急用酸素システムは、客室減圧事象に応答して自動的に展開するマスクを含む。
【0011】
別の実施形態では、緊急用酸素システムは、客室減圧事象に応答して、客室内の座席に近接した特定の領域に酸素を供給する出口通気口を有する。
【0012】
別の実施形態では、酸素供給サブシステムは空気分配サブシステムを含み、空気分離器は、空気分配サブシステムに酸素富化空気を供給するように構成されている。
【0013】
別の実施形態では、航空機は、航空機の客室減圧事象を検知する圧力センサーと、客室減圧事象に応答して、空気分離器から空気分配サブシステムに酸素富化空気を供給するマニホールドと、をさらに備える。
【0014】
別の実施形態では、航空機は、酸素供給サブシステムの酸素含有量を測定する酸素センサーと、酸素含有量に基づいて、酸素供給サブシステムに供給される酸素富化空気を調整するレギュレーターと、をさらに備える。
【0015】
別の実施形態では、加圧空気流は航空機のエンジンからきた抽気を含む。
【0016】
別の実施形態では、加圧空気流は航空機の圧縮機からきた圧縮空気を含む。
【0017】
別の実施形態は、客室高度が閾値を上回ったときに航空機の客室に酸素を自動的に供給する緊急用酸素システムを備える航空機を含む。航空機は、加圧空気流を受けて、加圧空気流を酸素富化空気と窒素富化空気とに分離し、窒素富化空気を航空機の燃料タンクに供給する不活性化システムをさらに備える。航空機は、客室高度が閾値を上回ったときに不活性化システムからきた酸素富化空気を緊急用酸素システムに供給するマニホールドをさらに備える。
【0018】
別の実施形態では、航空機は、1つ以上の頭上ダクトを介して客室全体に調和空気を分配する、空気分配サブシステムをさらに備える。マニホールドは、客室高度が閾値を下回っているときに、不活性化システムからきた酸素富化空気を空気分配サブシステムに供給するように構成されている。
【0019】
別の実施形態では、航空機は、緊急用酸素システム及び/又は空気分配サブシステムの酸素含有量を測定する酸素センサーと、酸素含有量に基づいて、緊急用酸素システム及び/又は空気分配サブシステムに供給される酸素富化空気を調整するレギュレーターとをさらに備える。
【0020】
別の実施形態は、航空機に酸素富化空気を供給する方法を含む。本方法は、航空機の空気分離器で加圧空気流を受けるステップと、空気分離器で加圧空気流を酸素富化空気と窒素富化空気とに分離するステップと、窒素富化空気を航空機の燃料タンクに供給するステップと、航空機の客室減圧事象を検知するステップと、客室減圧事象に応答して、緊急用酸素システムに酸素富化空気を供給するステップとを含む。
【0021】
別の実施形態では、本方法は、客室減圧事象が検知されないときに、航空機の空気分配サブシステムに酸素富化空気を供給するステップをさらに含む。
【0022】
別の実施形態では、本方法は、緊急用酸素システム及び/又は空気分配サブシステムの酸素含有量を測定するステップと、酸素含有量に基づいて、緊急用酸素システム及び/又は空気分配サブシステムに供給される酸素富化空気を調整するステップとをさらに含む。
【0023】
別の実施形態では、本方法は、客室減圧事象に応答して、航空機の空気分配サブシステムに酸素富化空気を供給するステップをさらに含む。
【0024】
これまで述べてきた特徴、機能、及び利点は、種々の実施形態において別個独立に達成することができ、或いは以下の説明及び図面を参照してさらなる詳細を見ることができる、さらに別の実施形態で組み合わせることができる。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態について、添付の図面を参照しながら、例としてのみここで説明する。すべての図面において、同じ参照符号は同じ要素、又は同種の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】例示的な実施形態における、航空機の側面図を示す。
【
図2】例示的な実施形態における、航空機の概略図である。
【
図3】例示的な実施形態における、ECUの概略図である。
【
図4A】例示的な実施形態における、空気分配サブシステムを示す。
【
図4B】例示的な実施形態における、航空機の断面図である。
【
図5】例示的な実施形態における、不活性化システムの概略図である。
【
図6】別の例示的な実施形態における、航空機の概略図である。
【
図7】さらに別の例示的な実施形態における、航空機の概略図である。
【
図8】さらに別の例示的な実施形態における、航空機の概略図である。
【
図9】例示的な実施形態における、航空機に酸素富化空気を供給する方法を示すフローチャートである。
【
図10】例示的な実施形態における、航空機に酸素富化空気を供給する別の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面及び以下の説明は、特定の例示的な実施形態を示す。本明細書で明示的に説明又は図示されていなくとも、当業者であれば、本明細書で説明する原理を具体化し且つこの説明の後に続く請求項が意図する範囲内に含まれる、さまざまな構成を考案できることは理解されよう。さらに、本明細書で説明する例はいずれも、本開示の原理を理解するのに役立てることが意図され、限定するものではないと解釈されるべきである。結果として、本開示は以下で説明する特定の実施形態又は例に限定されるのではなく、特許請求の範囲及びその等価物によって限定される。
【0028】
図1は、例示的な実施形態における、航空機100の側面図を示す。航空機100は、機首110と、翼120と、機体130と、尾部140と、エンジン150とを備える。機体130内は、操縦室160及び客室170である。操縦室160(又はフライトデッキ)は、パイロットが航空機100を制御する区画又は領域であり、飛行制御装置及び飛行計器を備える。客室170は旅客が乗る区画又は領域であり、座席の列を備える。考察する目的で、航空機100は特定の構成を有するように描かれているが、航空機100は、他の実施形態では他の構成を有してもよい。
【0029】
図2は、例示的な実施形態における、航空機100の概略図である。この実施形態では、航空機100が加圧されると仮定する。したがって、航空機100は、操縦室160及び/又は客室170内にいる乗員及び/又は乗客に酸素を供給し、運搬し、又は送達するように構成されている、1つ以上の酸素供給サブシステム201を備える。酸素供給サブシステム201は、酸素を送るためのさまざまな構造を有してもよく、酸素の供給を受けるように構成された1つ以上の入口281、酸素を含む空気流を生成又は制御するための1つ以上のファン282、操縦室160及び/又は客室170の位置に空気流を運搬するように構成された1つ以上のダクト283、空気流をダクト283に導き、且つ/又は流量を制御するように構成された1つ以上のマニホールド284、操縦室160及び/又は客室170の中に空気流を放出するように構成された1つ以上の出口285(出口通気口、マスクなど)、並びに/或いは配管、ホースなどの他の構成部品のうちの、1つ以上を備えてもよい。酸素供給サブシステム201の構造は、サブシステムの種類によって異なってもよい。酸素供給サブシステム201の一例は、ECS202である。ECS202は、空気の供給、客室170の加圧及び換気、温度の制御その他の役割を果たすシステムである。この実施形態では、ECS202は、環境制御ユニット(ECU)210と、空気分配サブシステム211と、排気サブシステム212と、再循環サブシステム213と、温度制御サブシステム214と、圧力制御サブシステム215とを備える。ECS202の構成は例であって、ECS202は、他の実施形態ではこれより多い、又は少ないサブシステムを含んでもよい。
【0030】
ECU210は、操縦室160及び/又は客室170に供給される空気を調節するように構成されている。
図3は、例示的な実施形態における、ECU210の概略図である。ECU210は、流れ制御弁302と、1つ以上の熱交換器304と、エアサイクルマシン(ACM)306と、バイパス308と、水分離器310とを備える。流れ制御弁302は、圧縮空気を受け、客室170に入る圧縮空気の量を調整する。流れ制御弁302は、航空機100の飛行中は、エンジン150の1つ以上の圧縮機段から圧縮空気(すなわち抽気)を受けてもよい。流れ制御弁302は、航空機100が地上にあるときは、補助動力ユニット(APU)、地上カート(ground cart、GCU)、空港高圧給水栓などから圧縮空気を受けてもよい。流れ制御弁302を通過した圧縮空気は、(複数の)熱交換器304を通り、そこで外気によって所望の温度まで冷却される。外気が低温の巡航高度では、圧縮空気は(複数の)熱交換器304によって充分に冷却され得るため、ACM306によってさらに冷却する必要はない。したがって、圧縮空気はACM306を通らずにバイパス308を通る。高度が低い、又は地上にいる場合は、圧縮空気はACM306を通ることによってさらに冷却されてもよく、ACM306は1つ以上の空気調節パック(air conditioning pack)を含む。圧縮空気はその後、水分離器310を通り、空気の水分レベルが制御される。ECU210から出た空気は「調和空気」であり、空気分配サブシステム211(
図2を参照)に供給される。ECU210の構成は例であって、ECU210は、他の実施形態ではこれより多い、又は少ない要素を含んでもよい。
【0031】
図2では、空気分配サブシステム211はECU210から操縦室160及び客室170に調和空気を分配するように構成されている。空気分配サブシステム211は、調和空気を航空機100の別の区域に分配してもよく、各区域は、各区域に独立した温度制御を提供するために、独自のダクトシステムを有してもよい。例えば、ナローボディ航空機は、1つは操縦室160用、1つは客室170用の、2つの区域を有してもよい。ワイドボディ航空機は、それぞれ独立して温度制御される客室170用の複数の区域を有してもよい(1つはファーストクラス、1つはビジネスクラス、1つはエコノミーなど)。(空気分配サブシステム211の一部と考えてもよい)排気サブシステム212は、操縦室160及び客室170から空気を除去する。空気は通常、側壁に沿って両側にある、客室170の長さにわたる床上グリル、又は排気口を通って客室170から排気される。
図4Aは、例示的な実施形態における、空気分配サブシステム211を示す。空気の分配は、客室170全体を通る空気ダクトのシステムで管理される。通常、空気は頭上通気口にダクトで送られて放出され、循環して床上の排気口から流れ出る。ダクトは客室の床下に隠され、また航空機によっては壁及び天井パネルの裏に隠されている。この例では、空気分配サブシステム211は、混合マニホールド424と、1つ以上の立上りダクト426と、1つ以上の頭上供給ダクト428と、1つ以上の頭上ダクト430と、
図4Aには示されていない1つ以上の出口通気口又は頭上通気口とを備えてもよい。図示されていないが、空気分配サブシステム211は、再循環フィルター、1つ以上のファン、プレナム組立体などをさらに備えてもよい。
【0032】
図4Bは、例示的な実施形態における、航空機100の断面図である。
図4Bは、
図1の切断面4-4を横断する図である。機体130は、客室170を形成する床410と天井412と側壁414とを含む、上部402を有し、客室170は乗客用の座席416を備える。機体130は、貨物領域418を含む下部404をさらに有する。
図4Bは、航空機100の外面に向かって進む外側方向、及び航空機100の内部(例えば、客室170)に向かって進む内側方向をさらに示す。
【0033】
空気分配サブシステム211は、客室170を通して、又は客室170の1つ以上の区域を通して調和空気を送る、頭上ダクト430を備える。空気分配サブシステム211には、
図4Bに示すよりも多い、又は少ない頭上ダクト430があってもよく、頭上ダクト430は、他の実施形態では別の箇所に配置されてもよい。空気流は、頭上ダクト430から、1つ以上の出口通気口432を通って客室170の中に放出される。この例では、出口通気口432は頭上通気口として示されているが、出口通気口432は所望に応じて別の箇所に配置されてもよい。
図4Bの矢印は、調和空気が客室170を通ってどのように循環するかを示す。空気は出口通気口432から放出されて、客室170を通って循環する空気は、グリル又は排気口440を通って客室170から排気される。排気は、貨物領域418に沿って、又はここを通って導かれてもよく、ある程度の加熱又は冷却を提供し得る。排気はその後、所望の客室圧力を維持するように制御される流出弁(図示せず)を通って外側へ排出される。
【0034】
図2において、再循環サブシステム213は、排気の一部を客室170の中に戻す、又はECU210に戻して再利用する任意のシステムである。温度制御サブシステム214は、調和空気を所望の温度で吐出するよう、ECU210を制御するように構成されている。圧力制御サブシステム215は、航空機100の上昇中及び下降中の客室圧力の変化率を制御し、巡航高度における客室圧力を確立して客室170内に安全な環境を作り出す。客室170の内部の圧力は高度に準じるので、客室圧力は「客室高度」と呼ばれる。例えば、客室の圧力が約11 lbs/in
2の場合は、客室高度は約7,000フィートになる。この圧力は、人が高度7,000フィートで体験する圧力と等しい。輸送カテゴリー航空機の規定によって許容される最大客室高度は8,000フィートなので、圧力制御サブシステム215は通常の動作中は、その高度を超えないように客室170内部の圧力を維持しようとする。
【0035】
酸素供給サブシステム201の別の例は、緊急用酸素システム204である。緊急用酸素システム204は、客室減圧事象と呼ばれる、客室170の加圧が失われたことに応答して、乗務員及び乗客に酸素を供給するように構成されている。緊急用酸素システム204は、航空機100の客室170及び/又は操縦室160の内部の圧力を測定するように構成されたセンサーを含む、圧力センサー220を備える。圧力センサー220は、航空機100の客室減圧事象を検知するように構成されている。例えば、客室高度が閾値(例えば、10,000フィート)に達する、又は閾値を超えると、圧力センサー220が客室減圧事象を検知し得る。緊急用酸素システム204は、供給ダクト221、マスク222、及び/又は出口通気口224をさらに含んでもよい。マスク222は、客室減圧事象に応答して自動的に展開するように構成されており、顔に当てるカップと、マスク222を乗客又は乗務員の顔に固定するための弾性バンドとを含む。航空機100の座席416に近接した場所などの客室170内の特定の領域に酸素を供給するために、マスク222の代わりに、又はマスク222に加えて、出口通気口224が使用されてもよい。一実施形態では、緊急用酸素システム204の出口通気口224は、空気分配サブシステム211の出口通気口432を含んでもよい。他の実施形態では、乗客に向けて直接空気流を供給するために、座席416に近接して(すなわち頭上又は座席416のすぐ前に)追加の出口通気口224が取り付けられてもよい。緊急用酸素システム204は、客室高度が閾値を超えたときに、マスク222及び/又は出口通気口224を通して客室170に自動的に酸素を供給するように構成されている。図示されていないが、緊急用酸素システム204は、1つ以上のファン、1つ以上のマニホールド、ホース、配管などをさらに備えてもよい。
【0036】
本明細書で説明する実施形態では、空気分離器を介して、酸素富化空気が1つ以上の酸素供給サブシステム201に供給される。
図2に示すように、航空機100は、不活性化システム206をさらに備えてもよい。不活性化システム206は、航空機100の可燃性低減システム(FRS)の一部である。FRSはECS202の一部と考えてもよいが、この実施形態ではECS202の外側に示されている。不活性化システム206は、燃料タンク230内の空気を窒素、窒素富化空気、蒸気、二酸化炭素などの不活性ガスに置き換えて、航空機100の燃料タンク230に貯蔵された可燃物が燃焼する可能性を低くするように構成されている。不活性化システム206は、燃料タンク230のアレージに不活性ガスを供給し、燃焼閾値を下回るように空隙部の酸素濃度を低減する。したがって、燃料タンク230内の可燃性の蒸気が不活性になり、点火供給源が存在しても点火しない。不活性化システム206は、空気分離器240(空気分離モジュールとも呼ばれる)を備え、これは、加圧空気流を不活性ガス(例えば、窒素富化空気(NEA))と酸素富化空気(OEA)とに分離するように構成されている。一実施形態では、空気分離器240は、加圧空気流から酸素を除去し、燃料タンク230に分配される窒素富化空気を生成するために繊維膜を使用してもよい。不活性化システム206は、他の構成部品をさらに備え、その一例を
図5に示す。
【0037】
図5は、例示的な実施形態における、不活性化システム206の概略図である。不活性化システム206は、遮断弁502を通して加圧空気流250を受ける。加圧空気流250は、オゾン(O3)コンバーター504を通り、これは、不活性化システム206内の他の部品を酸化から保護するために、三原子酸素(オゾン)を二原子又は「通常の」酸素に変換する触媒コンバーターである。加圧空気流250は、次に、1つ以上のフィルター506を通って熱交換器508に至り、熱交換器508は加圧空気流250を冷却する。例えば、抽気はエンジン150から出たときは非常に高温であり、熱交換器508は抽気を冷却して不活性化システム206の他の部品を保護し、その効果を高める。加圧空気流250は次に空気分離器240に向かい、空気分離器240は、空気中の不活性ガス(例えば、窒素(N2))を物理的に分離する。この分離は、加圧空気流250を半透過性の繊維管を通して流すことによって達成されてもよい。存在する非N2分子のほぼすべてがN2分子よりも小さいので、このようなより小さい分子は酸素富化空気(OEA)として膜を通過し、残った窒素富化空気(NEA)は、流れ制御弁510を通して燃料タンク230に供給される。システムコントローラー512は、流れ制御弁510、遮断弁502、熱交換器508、及び/又は他の部品の動作を制御するために、センサー入力を受信する。
【0038】
図2に示す実施形態では、空気分離器240は、抽気として航空機100のエンジン150から加圧空気流250を受ける。例えば、ボーイング737又は777では、エンジンからの抽気は、不活性化システム206の空気分離器240に供給され得る。空気分離器240に供給される抽気を制御又は調整するために、レギュレーター243(例えば、流れ制御弁を備える)が不活性化システム206の上流に取り付けられてもよい。空気分離器240は、加圧空気流250を不活性ガス252と酸素富化空気254とに分離する。空気分離器240は、燃料タンク230に不活性ガス252を供給し、レギュレーター244を通して酸素供給サブシステム201に酸素富化空気254を供給する。
【0039】
レギュレーター244は、酸素供給サブシステム201に供給される酸素富化空気254を制御又は調整するように構成されている。酸素センサー246は、酸素供給サブシステム201内の酸素含有量又は酸素レベルを測定するように構成されている。例えば、酸素センサー246は、空気分配サブシステム211、緊急用酸素システム204などの酸素含有量を測定してもよい。酸素センサー246は、レギュレーター244及び/又はコントローラー262に、酸素含有量を示す信号を提供するように構成されている。コントローラー262は、酸素センサー246が測定した酸素含有量に基づいて、酸素供給サブシステム201に供給する酸素富化空気254の量を決定し、これに従ってレギュレーター244を制御するように構成されている。したがって、航空機100は、酸素供給サブシステム201に酸素富化空気254を供給するための閉ループシステムを備える。
【0040】
レギュレーター244は、空気分配サブシステム211、緊急用酸素システム204、及び/又は別のサブシステムなどの酸素供給サブシステム201に、酸素富化空気254を直接供給してもよい。この実施形態では、レギュレーター244はマニホールド260に酸素富化空気254を供給してもよく、マニホールド260は、酸素富化空気254を供給する場所を制御するように構成されている。マニホールド260はコントローラー262に結合され、コントローラー262は、圧力センサー220、及び/又は他の装置若しくは機器からの入力に応答して、マニホールド260を制御するように構成されている。例えば、マニホールド260は、通常の動作条件下(例えば、客室高度が閾値を下回る)で、酸素富化空気254を空気分配サブシステム211に導いてもよく、客室減圧事象(例えば、客室高度が閾値を上回る)に応答して酸素富化空気254を空気分配サブシステム211に導いてもよく、客室減圧事象に応答して酸素富化空気254を緊急用酸素システム204に導いてもよく、或いは酸素富化空気254を両方のサブシステム、又は他のサブシステムに導いてもよい。コントローラー262は、レギュレーター243~244その他の装置をさらに制御してもよく、圧力センサー220、酸素センサー246、及び/又は他の装置若しくは機器からの入力を受信してもよい。
【0041】
前述した実施形態では、不活性化システム206からきた酸素富化空気254は、好適には、空気分配サブシステム211、緊急用酸素システム204、及び/又は別のサブシステムに再使用される。従来の航空機では、不活性化システムからきた酸素富化空気254は、ラムダクトから出されて廃棄されていた。前述した実施形態は、不活性化システム206からきた酸素富化空気254を、効果的に航空機100の他のサブシステムに使用する。例えば、酸素富化空気254は、客室減圧事象中の酸素供給として、緊急用酸素システム204に(又はおそらくは空気分配サブシステム211に)供給されてもよく、これは従来の緊急システム(すなわち化学酸素発生器又はガスマニホールド)に代わるものである。技術的な利点の1つとして、従来の緊急システムは酸素供給に限りがあったが(15~20分など)、緊急用酸素システム204は、航空機100が空中にある限り無限に酸素を供給する。別の利点は、従来の緊急システムを航空機100に取り付ける必要がないことで、航空機100の重量が低減され得る。さらに別の利点は、化学酸素発生器は発熱反応を使用することで、これは火災の危険性があり、有害な蒸気が発生する場合がある。さらに別の利点は、従来の緊急用酸素システムとは異なり、酸素供給を制御できることである。これに加えて、又はこれに代えて、酸素富化空気254は、操縦室160及び/又は客室170内の空気の酸素含有量を向上させるために、空気分配サブシステム211に供給されてもよい。技術的利点の1つは、航空機100の空気の質を向上させ得ることである。
【0042】
図6は、別の例示的な実施形態における、航空機100の概略図である。この実施形態では、不活性化システム206の空気分離器240は、エンジン150の圧縮機段ではなく圧縮機602から加圧空気流250を受ける。圧縮機602は加圧空気を生成する補助的な装置であり、電気式、液圧式、空気圧式などであってもよい。例えば、ボーイング787は、エンジンからの抽気を使用するのではなく、不活性化システム206に加圧空気流を供給する、電動式の圧縮機を備えている場合がある。コントローラー262は、空気分離器240に供給される空気を調整するように、圧縮機602を制御してもよい。
【0043】
図7は、別の例示的な実施形態における、航空機100の概略図である。この実施形態では、航空機100は独立した空気分離器240を備え、不活性化システムから分離される、又は不活性化システムから独立している。空気分離器240は、抽気として航空機100のエンジン150から加圧空気流250を受ける。空気分離器240は、加圧空気流250を不活性ガス252と酸素富化空気254とに分離する。空気分離器240は、レギュレーター244を通して酸素供給サブシステム201に酸素富化空気254を供給し、不活性ガス252を廃棄する。
【0044】
図8は、別の例示的な実施形態における、航空機100の概略図である。この実施形態では、航空機100は、これも独立した空気分離器240を備える。空気分離器240は、エンジン150の圧縮機段ではなく圧縮機602から加圧空気流250を受ける。
【0045】
図9は、例示的な実施形態における、航空機に酸素富化空気を供給する方法900を示すフローチャートである。方法900のステップは、
図2又は
図6の航空機100に関して説明するが、本明細書で説明する方法が他の種類の航空機で実行されてもよいことは当業者には理解されよう。本明細書で説明する方法のステップはすべてを含むものではなく、図示されていない他のステップを含む場合がある。本明細書に示すフローチャートのステップは、別の順番で行われてもよい。
【0046】
航空機100の空気分離器240は、加圧空気流250を受ける(ステップ902)。例えば、空気分離器240は、航空機100のエンジン150から抽気として加圧空気流250を受けてもよい(
図2を参照)。別の例では、空気分離器240は、航空機100の圧縮機602から加圧空気流250を受けてもよい(
図6を参照)。空気分離器240は、加圧空気流250を酸素富化空気254と、窒素富化空気などの不活性ガス252とに分離する(ステップ904)。空気分離器240は、不活性ガス252を航空機100の燃料タンク230に供給する(ステップ906)。これは、燃料タンク230内の空気を不活性ガスに置き換えることによって、可燃性を低減するのに役立つ。
【0047】
酸素富化空気254は、航空機100の酸素供給サブシステム201で再使用されてもよい。例えば、圧力センサー220(及び/又は関連するコントローラー)は、客室減圧事象を監視する(ステップ908)。圧力センサー220が航空機100の客室減圧事象(例えば、客室高度が閾値を上回る)を検知すると、マニホールド260は、空気分離器240から緊急用酸素システム204に酸素富化空気254を供給する(ステップ910)。客室減圧事象がないときは、マニホールド260は、空気分配サブシステム211に酸素富化空気254を供給してもよい(ステップ912)。いずれの場合も、酸素センサー246は、緊急用酸素システム204及び/又は空気分配サブシステム211の酸素含有量を測定してもよく(ステップ914)、レギュレーター244は酸素含有量に基づいて、緊急用酸素システム204及び/又は空気分配サブシステム211に供給される酸素富化空気254を調整してもよい(ステップ916)。
【0048】
図10は、例示的な実施形態における、航空機に酸素富化空気を供給する別の方法1000を示すフローチャートである。方法1000のステップ902~909は、
図9で前述したものと類似している。圧力センサー220が航空機100の客室減圧事象を検知すると、マニホールド260は、空気分離器240から空気分配サブシステム211に酸素富化空気254を供給する(ステップ1012)。したがって、客室減圧事象中は、客室170の酸素濃度が酸素富化空気254によって濃縮され得る。ステップ1012は、方法900のステップ910と同時に行われてもよく、或いはステップ910の代わりに行われてもよい。
【0049】
方法900~1000は、好適には、緊急用酸素システム204及び/又は空気分配サブシステム211用に、空気分離器240から「廃棄された」酸素を使用する。したがって、客室減圧事象用に従来の化学酸素発生器及びガスマニホールドが必要とされない。また、方法900~1000は、空気分配サブシステム211によって客室170に送られる空気を補充するのに空気分離器240からの「廃棄」酸素を使用してもよく、航空機100内の空気の質を向上させる。
【0050】
図面に示し、又は本明細書で説明したさまざまな要素はいずれも、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらのいくつかの組み合わせとして実施されてもよい。例えば、要素は専用のハードウェアとして実施されてもよい。専用のハードウェア要素は、「プロセッサー」、「コントローラー」、又はいくつかの類似の用語で呼ばれてもよい。プロセッサーによって提供されるとき、機能は単一の専用プロセッサーによって、単一の共有プロセッサーによって、或いはそのうちのいくつかは共有され得る、複数の個別のプロセッサーによって提供されてもよい。さらに、「プロセッサー」又は「コントローラー」という用語が明示的に使用されるときは、ソフトウェアを実行可能なハードウェアだけを指すと解釈されるべきではなく、これに限定されないが、デジタル信号プロセッサー(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサー、特定用途向け集積回路(ASIC)その他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶する読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性記憶装置、論理又は他の何らかの物理ハードウェア部品又はモジュールを暗黙的に含み得る。
【0051】
また要素は、要素の機能を実行するためにプロセッサー又はコンピューターが実行可能な命令として実施されてもよい。命令のいくつかの例は、ソフトウェア、プログラムコード、及びファームウェアである。命令は、プロセッサーによって実行されると有効になり、要素の機能を実行するようにプロセッサーに指示する。命令は、プロセッサーが読み取ることのできる記憶装置に記憶されてもよい。記憶装置のいくつかの例は、デジタル又は固体メモリ、磁気ディスク及び磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、又は光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体である。
【0052】
また、本開示は、以下の項に基づく例を含む。
項1.航空機であって、前記航空機の客室に酸素を供給する酸素供給サブシステムと、加圧空気流を受け、前記加圧空気流を酸素富化空気と不活性ガスとに分離し、前記酸素富化空気を前記酸素供給サブシステムに供給する空気分離器とを備える、航空機。
項2.前記空気分離器が、前記航空機の燃料タンクに前記不活性ガスを供給する不活性化システムの一部である、項1に記載の航空機。
項3.前記酸素供給サブシステムが、緊急用酸素システムを含み、前記空気分離器が、前記緊急用酸素システムに前記酸素富化空気を供給するように構成されている、項1に記載の航空機。
項4.前記航空機の客室減圧事象を検知する圧力センサーと、前記客室減圧事象に応答して、前記空気分離器から前記緊急用酸素システムに前記酸素富化空気を供給するマニホールドと、をさらに備える、項3に記載の航空機。
項5.前記緊急用酸素システムが、前記客室減圧事象に応答して自動的に展開するマスクを含む、項4に記載の航空機。
項6.前記緊急用酸素システムが、前記客室減圧事象に応答して、前記客室内の座席に近接した特定の領域に酸素を供給する出口通気口を有する、項4に記載の航空機。
項7.前記酸素供給サブシステムが、空気分配サブシステムを含み、前記空気分離器が、前記空気分配サブシステムに前記酸素富化空気を供給するように構成されている、項1に記載の航空機。
項8.前記航空機の客室減圧事象を検知する圧力センサーと、前記客室減圧事象に応答して、前記空気分離器から前記空気分配サブシステムに前記酸素富化空気を供給するマニホールドと、をさらに備える、項7に記載の航空機。
項9.前記酸素供給サブシステムの酸素含有量を測定する酸素センサーと、前記酸素含有量に基づいて、前記酸素供給サブシステムに供給される前記酸素富化空気を調整するレギュレーターとをさらに備える、項1に記載の航空機。
項10.前記加圧空気流が、前記航空機のエンジンからの抽気を含む、項1に記載の航空機。
項11.前記加圧空気流が、前記航空機の圧縮機からの圧縮空気を含む、項1に記載の航空機。
項12.航空機であって、客室高度が閾値を上回ったときに前記航空機の客室に酸素を自動的に供給する緊急用酸素システムと、加圧空気流を受けて、前記加圧空気流を酸素富化空気と窒素富化空気とに分離し、前記窒素富化空気を前記航空機の燃料タンクに供給する不活性化システムと、前記客室高度が前記閾値を上回ったときに、前記不活性化システムからきた前記酸素富化空気を前記緊急用酸素システムに供給するマニホールドと、を備える、航空機。
項13.1つ以上の頭上ダクトを介して、前記客室全体に調和空気を分配する空気分配サブシステムをさらに備え、前記マニホールドは、前記客室高度が前記閾値を下回っているときに、前記不活性化システムから前記空気分配サブシステムに前記酸素富化空気を供給するように構成されている、項12に記載の航空機。
項14.前記緊急用酸素システム及び前記空気分配サブシステムのうちの少なくとも1つの酸素含有量を測定する酸素センサーと、前記酸素含有量に基づいて、前記緊急用酸素システム及び前記空気分配サブシステムのうちの少なくとも1つに供給される前記酸素富化空気を調整するレギュレーターと、をさらに備える、項13に記載の航空機。
項15.前記加圧空気流が、前記航空機のエンジンからの抽気を含む、項12に記載の航空機。
項16.前記加圧空気流が、前記航空機の圧縮機からの圧縮空気を含む、項12に記載の航空機。
項17.航空機の空気分離器で加圧空気流を受けるステップと、空気分離器で加圧空気流を酸素富化空気と窒素富化空気とに分離するステップと、窒素富化空気を航空機の燃料タンクに供給するステップと、航空機の客室減圧事象を検知するステップと、客室減圧事象に応答して、緊急用酸素システムに酸素富化空気を供給するステップとを含む、方法。
項18.前記客室減圧事象が検知されないときに、前記航空機の空気分配サブシステムに酸素富化空気を供給するステップをさらに含む、項17に記載の方法。
項19.前記緊急用酸素システム及び前記空気分配サブシステムのうちの少なくとも1つの酸素含有量を測定するステップと、前記酸素含有量に基づいて、前記緊急用酸素システム及び前記空気分配サブシステムのうちの少なくとも1つに供給される前記酸素富化空気を調整するステップとをさらに含む、項18に記載の方法。
項20.前記客室減圧事象に応答して、前記航空機の空気分配サブシステムに前記酸素富化空気を供給するステップをさらに含む、項17に記載の方法。
【0053】
本明細書で特定の実施形態について説明したが、これらの特定の実施形態に範囲が限定されることはない。むしろ範囲は以下の特許請求の範囲、及びその等価物によって定義される。
【符号の説明】
【0054】
100 航空機
110 機首
120 翼
130 機体
140 尾部
150 エンジン
160 操縦室
170 客室
201 酸素供給サブシステム
202 環境制御システム(ECS)
204 緊急用酸素システム
206 不活性化システム
210 環境制御ユニット(ECU)
211 空気分配サブシステム
212 排気サブシステム
213 再循環サブシステム
214 温度制御サブシステム
215 圧力制御サブシステム
220 圧力センサー
221 供給ダクト
222 マスク
224 出口通気口
230 燃料タンク
240 空気分離器
243 レギュレーター
244 レギュレーター
246 酸素センサー
250 加圧空気流
252 不活性ガス
254 酸素富化空気
260 マニホールド
262 コントローラー
281 入口
282 ファン
283 ダクト
284 マニホールド
285 出口
302 流れ制御弁
304 熱交換器
306 エアサイクルマシン(ACM)
308 バイパス
310 水分離器
402 上部
404 下部
410 床
412 天井
414 側壁
416 座席
418 貨物領域
424 混合マニホールド
426 立上りダクト
428 頭上供給ダクト
430 頭上ダクト
432 出口通気口
440 排気口
502 遮断弁
504 オゾン(O3)コンバーター
506 フィルター
508 熱交換器
510 流れ制御弁
512 システムコントローラー
602 圧縮機
900 方法
1000 方法