(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/14 20210101AFI20240213BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240213BHJP
【FI】
G03B17/14
H04N23/50
(21)【出願番号】P 2020017849
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】橋本 吉隆
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-161679(JP,A)
【文献】特開2018-022093(JP,A)
【文献】特開平08-234369(JP,A)
【文献】実開昭59-128635(JP,U)
【文献】実開昭63-076834(JP,U)
【文献】実開平07-039040(JP,U)
【文献】国際公開第2016/117644(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/14
H04N 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ装置が着脱可能な撮像装置であって、
前記レンズ装置が装着されるマウント面に対して突出する状態または退避する状態に切り替え可能なロック部材と、
押下げられることで前記ロック部材の前記状態の切り替えを行う被押下げ部材と、
前記撮像装置の外装部材に設けられ、前記被押下げ部材を覆うカバー部材とを有し、
前記カバー部材は、外部から前記被押下げ部材へアクセス可能とする孔部を有
し、
前記被押下げ部材が有する被押下げ部が押下げられることで前記ロック部材が前記マウント面に対して突出する状態から退避する状態に切り替わり、
前記カバー部材が有する前記孔部は、前記被押下げ部の上方に、前記被押下げ部の押下げ方向に沿って形成されている
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
レンズ装置が着脱可能な撮像装置であって、
前記レンズ装置が装着されるマウント面に対して突出する状態または退避する状態に切り替え可能なロック部材と、
押下げられることで前記ロック部材の前記状態の切り替えを行う被押下げ部材と、
前記撮像装置の外装部材に設けられ、前記被押下げ部材を覆うカバー部材とを有し、
前記カバー部材は、外部から前記被押下げ部材へアクセス可能とする孔部を有
し、
前記カバー部材が有する前記孔部は、
前記被押下げ部とは異なる位置に長孔形状で形成されており、
前記長孔形状の長さは、前記被押下げ部から前記孔部までの距離よりも長い
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
レンズ装置が着脱可能な撮像装置であって、
前記レンズ装置が装着されるマウント面に対して突出する状態または退避する状態に切り替え可能なロック部材と、
押下げられることで前記ロック部材の前記状態の切り替えを行う被押下げ部材と、
前記撮像装置の外装部材に設けられ、前記被押下げ部材を覆うカバー部材とを有し、
前記カバー部材は、外部から前記被押下げ部材へアクセス可能とする孔部を有
し、
前記カバー部材は、空洞を有しており、
前記カバー部材が有する前記孔部は、前記カバー部材の上面から側面にかけて形成されており、
前記カバー部材における、前記孔部の前記カバー部材の上面側の端部の位置は、前記空洞を形成する壁面部の位置よりも内側であり、
前記カバー部材における、前記孔部の前記カバー部材の側面側の端部の位置は、前記カバー部材に設けられた、前記被押下げ部の上方の空間の端部の位置よりも内側である
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
レンズ装置が着脱可能な撮像装置であって、
前記レンズ装置が装着されるマウント面に対して突出する状態または退避する状態に切り替え可能なロック部材と、
被押下げ部が押下げられることで前記ロック部材の前記切り替えを行う被押下げ部材と、
前記被押下げ部材を覆うように、前記撮像装置が有する外装部材の収容部に収容され、前記被押下げ部材の移動方向と同一方向に移動可能なボタン部材と、を有し、
前記被押下げ部は、前記ボタン部材が押下げられた場合に、外部に臨む位置にあ
り、
前記外装部材は、前記被押下げ部の上方に設けられた凹部を有し、
前記被押下げ部は、前記ボタン部材が押下げられた場合に、前記凹部を通じて外部に臨む位置にある
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
前記被押下げ部材は、前記ロック部材と一体に形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置の一例として、レンズロックボタンを備え、レンズロックボタンの押下操作によって、レンズ交換を可能な状態にする機構を有するレンズ交換式カメラが提案されている。従来、レンズ交換式カメラは、レンズ交換時にカメラ本体内部にゴミが侵入するという課題があった。例えば、カメラをユーザに貸し出したり、販売のために展示したりする場合、レンズがカメラ本体から外されると、カメラ本体内部にゴミが侵入してしまう。特許文献1は、レンズロックボタンが押下げられた指紋を読み取って指紋認証処理を行い、指紋認証処理の結果に基づいて、カメラ本体に装着されたレンズのロックを解除する撮像装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示する撮像装置では、指紋センサなど、指紋認証処理に必要なデバイスが必要となり高コストになってしまう。本発明は、工具なしにユーザが容易にレンズ交換できない撮像装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態の撮像装置は、レンズ装置が着脱可能な撮像装置であって、前記レンズ装置が装着されるマウント面に対して突出する状態または退避する状態に切り替え可能なロック部材と、押下げられることで前記ロック部材の前記切り替えを行う被押下げ部材と、前記撮像装置の外装部材に固定され、前記被押下げ部材を覆うカバー部材とを有する。前記カバー部材は、外部から前記被押下げ部材へアクセス可能とする孔部を有し、前記被押下げ部材が有する被押下げ部が押下げられることで前記ロック部材が前記マウント面に対して突出する状態から退避する状態に切り替わり、前記カバー部材が有する前記孔部は、前記被押下げ部の上方に、前記被押下げ部の押下げ方向に沿って形成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、工具なしにユーザが容易にレンズ交換できない撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】レンズロックピンの退避方法を説明する図である。
【
図4】ボタンを適用した場合のレンズロック機構を説明する図である。
【
図5】レンズロック機構の、主要部品の構成を示す図である。
【
図6】工具ピンを長孔部に差し込む操作を説明する図である。
【
図7】工具ピン長孔部に差し込んでから被押下げ部材を押すまでの操作を説明する図である。
【
図11】レンズロックピンを退避させる方法を説明する図である。
【
図14】レンズロックピンを退避させる方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施例1)
図1は、本実施形態の撮像装置の正面図の一例である。
図1に示す撮像装置100には、不図示の交換レンズ(レンズ装置)が着脱可能である。このために、撮像装置100は、交換レンズが装着されるカメラマウント101を有する。レンズロックピン102は、カメラマウント101に配置されているロック部材である。レンズロックピン102は、交換レンズのマウントと当接するカメラマウント101のマウント面に対して、突出状態または退避状態に切り替え可能である。レンズロックピン102がマウント面に対して突出状態のときには、撮像装置100に装着された交換レンズがロックされる。レンズロックピン102がマウント面に対して退避状態に切り替わると、交換レンズのロックが解除される。
【0009】
また、撮像装置100は、外装部材104を有し、外装部材104には、カメラマウント101の近傍にカバー部材103が設けられている。本実施形態では、撮像装置100の左右方向をX軸、上下方向をY軸、奥行き方向すなわち光軸と平行な方向をZ軸とし、図示のように各軸の矢印方向をプラス方向と定義する。なお、交換レンズの着脱に用いるマウント機構として、例えばバヨネット式マウントが適用されるが、本発明の適用範囲は、バヨネット式マウントに限定されない。以下の説明において、カメラのレンタルシステムを例にとると、ユーザは、例えば、カメラを借りて撮影等に使用し、使用後に返却する人物である。また、作業者は、例えば、カメラが返却された後に工具を使用してレンズ交換等の作業を行う自動レンズ交換装置によるシステムである。
【0010】
図2は、実施例1の撮像装置が有するレンズロック機構の断面を示す図である。
レンズロック機構において、被押下げ部材105は、押下げられることでレンズロックピン101の状態を突出状態から退避状態に切り替える。レンズロックピン102が、被押下げ部106を有する被押下げ部材105と一体に形成されていてもよい。
【0011】
レンズロックピン102は、筐体108に配設されたばね107によって+Z方向に付勢されている。カバー部材103は、留め具109によって外装部材104に被押下げ部材105を覆うように固定されており、被押下げ部材105が外観に露出するのを防いでいる。また、カバー部材103は、被押下げ部材105が有する被押下げ部106の上方(+Z方向)に孔部110を有している。孔部110は、被押下げ部106の押下げ方向(-Z方向)に沿って形成されている。孔部110は、人の指に対して十分小さなサイズであり、孔部110を通して人の指で被押下げ部材105の被押下げ部106に接触できないが、後述するように、作業者が工具ピンを用いて外部から孔部110を通じて被押し下げ部106にアクセス可能である。
【0012】
図3は、実施例1におけるレンズロックピン102の退避方法を説明する図である。
レンズロックピン102を退避状態にするためには、被押下げ部材105をばね107に抗して-Z方向に移動させる必要がある。被押下げ部材105を-Z方向に移動させるために、孔部110の孔のサイズよりも細い工具ピン111を使用する。被押下げ部材105を-Z方向に移動させるために、作業者が、工具ピン111をカバー部材103の孔部110を挿通して被押下げ部材105の被押下げ部106を-Z方向に押圧する。レンズロックピン102がカメラマウント101のレンズマウントとの当接面より下方(図中-Z方向)まで移動するまで工具ピン111にて被押下げ部106を押すことによって、レンズロックピン102を退避させることができる。
【0013】
図4は、カバー部材に代えてボタンを適用した場合のレンズロック機構を説明する図である。
図4(A)は、レンズロックピン102突出状態を示す。また、
図4(B)は、レンズロックピン102退避状態を示す。
図4(A)、(B)に示すレンズロック機構において、カメラマウント101、レンズロックピン102、外装部材104、被押下げ部材105、ばね107、筐体108は、
図3に示すレンズロック機構の各部材と同様である。
図4(A)、(B)に示すレンズロック機構では、
図3に示すレンズロック機構のカバー部材103がボタン121に置き換わっている。また、
図4(A)、(B)に示すレンズロック機構は、ボタン121を+Z方向に付勢するばね122を有する。
【0014】
図4(B)に示すように、ユーザがボタン121を-Z方向に押し下げると、ボタン121が、被押下げ部材105の被押下げ部106を-Z方向に移動させ、レンズロックピン102が退避する。つまり、
図4(A)、(B)に示すレンズロック機構では、ユーザが工具なしに容易にレンズ交換することができてしまい、撮像装置100内にゴミが混入したり、撮像装置100が破損したりすることがある。
【0015】
一方、
図3を参照して説明した実施例1のレンズロック機構では、カバー部材103が被押下げ部材105を覆い、被押下げ部材105が外観に露出するのを防いでいる。また、実施例1のレンズロック機構では、カバー部材103に設けられた孔部110が、外部から被押し下げ部106にアクセス可能としている。したがって、実施例1のレンズロック機構は、ユーザが容易にレンズ交換できないようにすることができるとともに、作業者による工具を用いたレンズ交換が可能である。
【0016】
(実施例2)
図5乃至
図7を参照して、実施例2の撮像装置について説明する。
図5は、レンズロック機構の、主要部品の構成の一例を示す図であり、発明の説明に関わる部品のみを-Z方向から見た状態を示す。実施例2の構成部品のうち、実施例1と異なる部品は、カバー部材201のみであり、実施例1と同じ部品に関しては同一の番号を付している。
【0017】
カバー部材201は、被押下げ部材105が有する被押下げ部106の位置とは異なる位置に長孔形状で形成された孔部である長孔部202を有する。具体的には、長孔部202の位置は、被押下げ部106からL1に相当する距離だけ離れた位置である。
図5に示す例では、長孔部202が有する長孔形状の長さはL2である。長孔部202は直線部とその両端の円弧部とを有し、L2は、長孔部202の直線部の長さを示す。また、被押下げ部106の中心を示す点pのY座標位置と、長孔部202の
図5における下端の円弧中心を示す点qのY座標位置とは、ほぼ同一である。そして、L1とL2の関係は、L1≦L2である。
【0018】
次に、
図6と
図7を参照して、実施例2におけるレンズロックピン102の退避方法に関して説明する。
図6は、実施例2における、工具ピン203をカバー部材201の長孔部202に差し込む操作を説明する図である。
工具ピン203は、屈曲点sで、90°屈曲し、屈曲点tで、屈曲点sで屈曲した方向とは逆方向に90°屈曲している。点sと点tとの間の距離L3は、
図5に示す被押下げ部106と長孔部202との距離L1と略同等である。点sと点tとの間の距離L3(≒L1)は、長孔部202の長さL2よりも短いので、工具ピン203を長孔部202に差し込むことが可能である。
【0019】
図7は、実施例2における、工具ピン203をカバー部材201の長孔部202に差し込んでから被押下げ部材105を押すまでの操作を説明する図である。
図7では、
図5と同様に、発明の説明に関わる部品のみを-Z方向から見た状態が示される。
図7(A)は、工具ピン203をカバー部材201の長孔部202に差し込んだ状態を示す。
図7(B)は,工具ピン203を回転させて被押下げ部材105の被押下げ部106上に移動させた状態を示す。
【0020】
図7(A)に示す状態から
図7(B)に示す状態にするために、作業者が、工具ピン203を、屈曲点tを中心にZ軸周りに図中反時計回りの方向に90°回転させる。工具ピン203の屈曲点tの位置は、長孔部202の点qの位置にあり、L1≒L3なので、被押下げ部106の点pの位置と工具ピン203の屈曲点sの位置とがほぼ同位置となる。したがって、工具ピン203が、被押下げ部材105の被押下げ部106を押すことが可能となる。実施例2の構成によれば、被押下げ部材105を押すために、屈曲点を有する工具ピン203を用いる必要があるため、実施例1の構成に比べて、工具なしにレンズ交換することをより困難にすることができる。
【0021】
(実施例3)
実施例3の撮像装置は、ユーザが工具なしにレンズ交換することを困難にしつつ、外観品位を向上させる。以下、
図8乃至
図10を参照して、実施例3の撮像装置について説明する。
【0022】
図8は、実施例3におけるカバー部材301の斜視図の一例である。
実施例3の撮像装置の構成部品のうち、実施例1及び実施例2の撮像装置の構成部品と異なる構成部品は、カバー部材301のみである。カバー部材301は、孔部として、長孔部302を有する。長孔部302は、カバー部材301の上面303から側面304にかけて形成されている。
【0023】
図9は、実施例3におけるカバー部材301の断面図である。
図9に示す断面は、XZ平面に平行で、長孔部302の中心を通る断面である。
図9では、説明の便宜上、レンズロックピン102及び被押下げ部材105も併せて示している。長孔部302は、直線部と、直線部の両端の円弧部とを有する。直線部の一方の端部305は上面側(上面303の側)にあり、他方の端部306は側面側(側面304の側)にある。カバー部材301の内部は、空洞となっている。内壁307は、空洞を形成する壁面部のうち、カバー部材301の外側面304側の部分である。カバー部材301における、端部305のX方向の位置は、内壁307のX方向の位置に対して、L4分だけ内側(-X方向)である。
【0024】
カバー部材301は、被押下げ部材105の被押下げ部106の上方(+Z方向)に、端部308を上端とする空間を有している。カバー部材301における、長孔部302の端部306の位置は、端部308の位置よりもL5分だけ内側(-Z方向)である。また、端部305と被押下げ部106の点pとのX方向の距離をL6と定義する。
【0025】
図10は、実施例3においてレンズロックピン102を退避させるために使用する工具ピン309を説明する図である。
工具ピン309は、被押下げ部材105の被押下げ部106を押下げする押下げ部310を備える。工具ピン309は、押下げ部310からZ軸方向に垂直に伸びる第1の領域311と、第1の領域311から90°屈曲した第2の領域312と、第2の領域312から90°屈曲し、第1の領域311と平行な第3の領域313を有する。各領域の断面は円形状である。第1の領域311のX方向の幅はL7であり、
図9に示すL4に対して、L7≦L4となっている。第3の領域313のX方向の幅はL8であり、
図9に示すL4に対して、L8≦L4となっている。第2の領域312のZ方向の幅はL9であり、
図9に示すL5に対して、L9≦L5となっている。第3の領域313の-X方向の端部から押下げ部310の中心までの距離はL10であり、
図9に示すL6に対して、L10≒L6となっている。工具ピン309を円筒形状の物体を2回折り曲げて形成する場合、L7=L8=L9という条件となるが、本発明においてこの条件は必須ではない。
【0026】
図11は、実施例3において、レンズロックピン102を退避させる方法を説明する図である。
図11(A)は、工具ピン309をカバー部材301に差し込む前の状態である。作業者は、第1の領域311の-X方向の端部の位置が、カバー部材301の端部305の位置となるように工具ピン309の位置を調整する。工具ピン309の位置の調整が完了すると、作業者は、
図11(B)に示す状態となるように工具ピン309を-Z方向に移動させる。
図11(B)に示す状態とは、工具ピン309の第2の領域312の-Z方向の端部が、カバー部材301の端部306に接触する位置となる状態である。L7≦L4であるので、第1の領域311は、カバー部材301の長孔部302を通過して、カバー部材301の空洞内に移動する。
【0027】
第1の領域311のカバー部材301の空洞内への移動が完了すると、作業者は、
図11(C)に示す状態となるように工具ピン309を-X方向に移動させる。
図11(C)に示す状態とは、工具ピン309の第3の領域313の-X方向の端部の位置が、カバー部材301の端部305の位置となる状態である。工具ピン309の第2の領域312の-Z方向の端部は、カバー部材301の端部306に沿って移動する。そして、第3の領域313の-X方向の端部の位置がカバー部材301の端部305の位置となる。このとき、L9≦L5であるので、第2の領域312の+Z方向の端部の位置は、カバー部材301の端部308よりも-Z方向に位置する。工具ピン309の移動が完了すると、L10≒L6であるため、第1の領域311は、被押下げ部材105の被押下げ部106上に位置する。
図11(C)に示す状態になった後、作業者は、
図11(D)に示す状態となるように工具ピン309を-Z方向に移動させる。
図11(D)に示す状態とは、工具ピン309の押下げ部310が、被押下げ部材105の被押下げ部106上の点pと接触した状態である。
図11(D)に示す状態から、さらに工具ピン309を-Z方向に移動させることにより、被押下げ部材105が-Z方向に移動する。これにより、レンズロックピン102を退避させることができる。以上説明した実施例3の構成によれば、ユーザが工具なしにレンズ交換することを困難にしつつ、撮像装置の外観品位を向上させることが可能となる。
【0028】
(実施例4)
実施例4の撮像装置は、ユーザが工具なしにレンズ交換することを困難にしつつ、外観品位を向上させる。以下、
図12乃至
図14を参照して、実施例4の撮像装置について説明する。
【0029】
図12は、実施例4の撮像装置400の正面図である。また、
図13は、実施例4におけるレンズロック機構の断面図である。
前述の実施例1乃至実施例3では、被押下げ部材105を覆う部材として、カバー部材を配置していたが、実施例4では、
図12に示すボタン部材(ボタン)401が配置される。
図13に示すように、ボタン部材401は、被押下げ部材105を覆うように、撮像装置400が有する外装部材402の収容部(ボタン収容部)404に収容され、ばね403によって、+Z方向に付勢されている。そして、ボタン401は、被押下げ部材105の移動方向と同一方向に移動可能である。なお、外装部材402の形状は,前述の実施例1乃至実施例3における外装部材の形状と比べて一部形状の差異があるが、ほぼ同形状である。
【0030】
図13に示すように、ばね403によって+Z方向に付勢されたボタン401は、留め具109によって位置を固定されている。ボタン401の天面は、外装部材402のボタン収納部404の内壁上面(
図13中の点線A)よりも低い位置にある。ボタン収納部404は、一般的な人の指の大きさに比べてやや小さなサイズに設定されている。これにより、ボタン401を-Z方向に押そうとすると、ボタン収納部404の壁が邪魔となり、押しづらい。外装部材402には、被押下げ部材105の被押下げ部106の上方に凹部405が設けられている。ボタン401が押し下げられていない
図13の状態においては、凹部405はボタン401に隠れて外部からは見えない。外装部材402の形状は,前述の実施例1乃至実施例3における外装部材の形状と比べて、凹部405を有するという点が異なる。
【0031】
図14は、実施例4におけるレンズロックピン102を退避させる方法を説明する図である。
図14に示す状態は、
図13に示す状態から、ボタン401を-Z方向に押したときの状態である。ボタン401は押しづらい構成を有するので、先の細い工具などで押すことが必要である。作業者が、
図14に示す状態になるまでボタン401を押下げすると、外装部材402に設けられた凹部405が外観から見えるようになる。このとき、
図14中の矢印Bで示すように、被押下げ部材105の被押下げ部106が、凹部405を通して外観から見える(外部に臨む)位置にある。したがって、作業者は、不図示の工具ピンを用いて、凹部405を通して被押下げ部材105の被押下げ部106にアクセスして、被押下げ部106を-Z方向に押すことができる。これにより、レンズロックピン102を退避させることが可能となる。以上説明した実施例4の構成によれば、外観品位を損なうことなく、工具なしに容易にレンズ交換することを困難にすることが可能となる。以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
100 撮像装置
102 レンズロックピン
103 カバー部材
105 被押下げ部材