(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】通信装置、アプリケーションプログラム、通信装置の制御方法、提供方法、およびサーバ
(51)【国際特許分類】
H04W 48/18 20090101AFI20240213BHJP
H04W 76/10 20180101ALI20240213BHJP
H04W 4/50 20180101ALI20240213BHJP
H04W 36/14 20090101ALI20240213BHJP
H04W 8/24 20090101ALI20240213BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20240213BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
H04W48/18 115
H04W76/10
H04W4/50
H04W36/14
H04W8/24
H04W88/06
H04M1/00 R
(21)【出願番号】P 2020020074
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】行正 浩二
【審査官】新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0331063(US,A1)
【文献】特開2004-080138(JP,A)
【文献】特開2005-027093(JP,A)
【文献】特開2020-022027(JP,A)
【文献】藤野 学, 竹内 久雄,ローカル5Gの概要と実証実験スターターキット,RFワールド,CQ出版株式会社,2019年11月01日,No.48,pp.74~81
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
H04M 1/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
移動体通信の基地局であって、PLMN-ID(Public Land Mobile Networks-IDentifier)を報知するローカル網の基地局との間で
接続が確立された後に当該基地局との通信を
伴う通信サービスを
実行するアプリケーションプログラムを外部装置から取得する取得手段と、
前記取得したアプリケーションプログラムを前記通信装置にインストールするインストール手段と、
前記アプリケーションプログラムが前記通信装置で実行された場合に、前記アプリケーションプログラムにバンドルされている前記ローカル網へ接続するための接続設定情報を少なくとも用いて、前記通信装置が前記ローカル網の基地局への接続処理を実行するように前記通信装置を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
外部装置からアプリケーションプログラムを取得してインストールする機能と移動体通信の基地局に接続して通信を行う機能とを有する通信装置にインストールされるアプリケーションプログラムであって、
前記アプリケーションプログラムは、PLMN-ID(Public Land Mobile Networks-IDentifier)を報知する移動体通信の基地局であるローカル網の前記基地局との間で
接続が確立された後に当該基地局との通信を
伴う通信サービスを
実行するアプリケーションプログラムであり、当該アプリケーションプログラムには、前記ローカル網へ接続するための接続設定情報がバンドルされており、
前記アプリケーションプログラムがインストールされた前記通信装置において、前記アプリケーションプログラムの実行は、前記通信装置のコンピュータに、前記アプリケーションプログラムにバンドルされている前記接続設定情報を少なくとも用いて前記通信装置が前記ローカル網の前記基地局へ接続する接続処理を引き起こさせる、ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項3】
前記接続設定情報は、アクセスポイント名(APN)、PLMN-ID、ユーザー名、パスワード、のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項4】
前記アプリケーションプログラムは、前記ローカル網とは異なるパブリック網に前記通信装置が接続している状態で、当該パブリック網を経由してアクセス可能な前記外部装置から前記パブリック網を経由して取得されることを特徴とする請求項2または3に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項5】
前記ローカル網の基地局への前記接続処理を行う前に、前記パブリック網との接続が切断されることを特徴とする請求項4に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項6】
前記接続処理の結果、前記ローカル網の基地局への接続が成功した後、前記アプリケーションプログラムは前記コンピュータに、前記通信サービスを実行する実行工程をさらに実行させ、
前記実行工程による前記通信サービスの実行が終了した場合に、前記通信装置は、前記ローカル網の基地局との接続を切断し、前記パブリック網の基地局と再接続することを特徴とする請求項5に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項7】
前記アプリケーションプログラムが前記通信装置により取得されて前記通信装置に対してインストールされた後に、前記通信装置において、前記アプリケーションプログラムおよび/または接続設定情報の更新情報が前記外部装置から取得されることを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項8】
前記アプリケーションプログラムが前記通信装置により取得されて、前記通信装置に対してインストールされた後であって前記通信装置がローカル網に接続済みである場合、前記通信装置において、前記アプリケーションプログラムおよび/または接続設定情報の更新情報が前記ローカル網に位置する装置から取得されることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項9】
前記ローカル網は、通信事業者以外の事業者が構築可能な5G(第5世代移動通信システム)システムであるローカル5Gの通信網であることを特徴とする請求項2から8のいずれか1項に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項10】
前記ローカル網は、地域BWA(Broadband Wireless Access)に分類される通信網であることを特徴とする請求項2から9のいずれか1項に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項11】
通信装置の制御方法であって、
移動体通信の基地局であって、PLMN-ID(Public Land Mobile Networks-IDentifier)を報知するローカル網の基地局との間で
接続が確立された後に当該基地局との通信を
伴う通信サービスを
実行するアプリケーションプログラムを外部装置から取得する取得工程と、
前記取得したアプリケーションプログラムを前記通信装置にインストールするインストール工程と、
前記アプリケーションプログラムが前記通信装置で実行された場合に、前記アプリケーションプログラムにバンドルされている前記ローカル網へ接続するための接続設定情報を少なくとも用いて、前記通信装置が前記ローカル網の基地局への接続処理を実行するように前記通信装置を制御する制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項12】
PLMN-ID(Public Land Mobile Networks-IDentifier)を報知する移動体通信の基地局であるローカル網の基地局との間で
接続が確立された後に当該基地局との通信を
伴う通信サービスを
実行するアプリケーションプログラムを通信装置に提供する提供方法であって、
前記通信装置に対して、前記ローカル網へ接続するための接続設定情報がバンドルされた前記アプリケーションプログラムを前記通信装置に提供する工程を有する、提供方法。
【請求項13】
PLMN-ID(Public Land Mobile Networks-IDentifier)を報知する移動体通信の基地局であるローカル網の基地局との間で
接続が確立された後に当該基地局との通信を
伴う通信サービスを
実行するアプリケーションプログラムを通信装置に提供するサーバであって、
前記通信装置に対して前記ローカル網へ接続するための接続設定情報がバンドルされた前記アプリケーションプログラムを提供する提供手段を有することを特徴とするサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信装置の制御方法、提供方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地域や産業のニーズに応じて、ローカル5Gや地域BWA(Broadband Wireless Access)といった、通信事業者(キャリア)以外の主体が構築運用可能なローカル網のシステムの制度化が進められている。今後、ローカル網(ローカル5Gや地域BWA)を利用し、当該ローカル網のみで利用可能なアプリケーションの普及が想定される。例えば、当該アプリケーションとして、病院内での診断結果表示アプリケーションや工場内でのロボット制御アプリケーション、スポーツ競技場での観戦アプリケーションなどが考えられる。
【0003】
現状、公衆網を利用する端末装置(例えば、スマートフォン)は、公衆網へ接続するための設定情報は予め設定されており、ユーザー自身は設定を行う必要がないのが一般的である。また、公衆網において、端末装置が所定の通信サービス(例えばP2P通信)を利用できるように、当該サービスに関する設定情報を当該端末装置へ提供する技術も存在する(特許文献1)。端末装置は当該設定情報を取得することにより、当該所定の通信サービスを利用することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
端末装置は、ローカル網に接続してサービスを利用しようと試みる場合、以下の手順を行うことが考えられる。第1の手順は、端末装置のユーザーが手動で当該端末装置に対してローカル網への接続設定を行うものである。第2の手順は、端末装置が、ローカル網を利用するためのアプリケーションを取得し、当該アプリケーションを利用して当該ローカル網接続するための設定情報を取得し、当該設定情報を用いてローカル網接続の設定を行うものである。当該取得処理は、例えばダウンロード等により行われる。
【0006】
しかしながら、これらの手順には以下のような問題がある。すなわち、第1の手順は、手動による接続設定は煩雑であり、また、第2の手順は、ダウンロード等の取得処理を2回行う必要があるため、ユーザーの利便性が低下する。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ローカル網に接続するための処理を効率化するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための一手段として、本発明の通信装置は以下の構成を有する。すなわち、通信装置であって、移動体通信の基地局であって、PLMN-ID(Public Land Mobile Networks-IDentifier)を報知するローカル網の基地局との間で接続が確立された後に当該基地局との通信を伴う通信サービスを実行するアプリケーションプログラムを外部装置から取得する取得手段と、前記取得したアプリケーションプログラムを前記通信装置にインストールするインストール手段と、前記アプリケーションプログラムが前記通信装置で実行された場合に、前記アプリケーションプログラムにバンドルされている前記ローカル網へ接続するための接続設定情報を少なくとも用いて、前記通信装置が前記ローカル網の基地局への接続処理を実行するように前記通信装置を制御する制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ローカル網に接続するための処理を効率化するための技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】通信装置101のハードウェア構成例を表すブロック図。
【
図3】通信装置101の機能構成例を表すブロック図。
【
図4】ローカル網103への接続のための接続設定情報を取得し設定する処理のフローチャート。
【
図5】ローカル網103に接続してサービスを利用する処理のフローチャート。
【
図6】通信装置101による広域網102とローカル網103との接続を示すシーケンス図。
【
図7】アプリケーションまたは接続設定情報を更新する処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
[ネットワーク構成]
図1に、本実施形態におけるネットワークの構成例を示す。広域網102は例えばLTE(ロングタームエボリューション)等の公衆網あるいはIEEE802.11シリーズの規格に準拠する無線ローカルエリア網(無線LAN)である。広域網102は、ローカル網103と区別するために使用される用語であり、あらゆるネットワークを適用可能である。広域網102には、基地局104と、アプリケーションサーバー106が存在する。基地局104は広域網102を運用する、通信装置101と通信可能な装置であり、ノードBやアクセスポイント等とも称される。アプリケーションサーバー106は、ローカル網103で利用可能なサービスのためのアプリケーションを提供可能なサーバー装置である。
【0013】
通信装置101は、広域網102に接続して通信を行うことが可能な端末装置であり、当該接続に必要な加入者情報(IMSI(International Mobile Subscriber Identity))を記憶している。通信装置という用語は、スマートフォン、ラップトップ、センサ、タブレット等であり得る非限定的な語であることを当業者は理解されたい。通信装置101の構成については、
図2と
図3を用いて後述する。
【0014】
ローカル網103は、例えば、通信事業者以外の主体が構築可能な5G(第5世代移動通信システム)システムであるローカル5Gや、地域BWA(Broadband Wireless Access)である。また、ローカル網103は、複数のOFDMサブキャリア間隔の送受信をサポートする無線通信方式を用いてITU-T勧告E.212が規定しない公衆陸上移動体無線ネットワーク識別子を報知する基地局との間で通信を行うネットワークであり得る。ローカル網103には、基地局105、移動体通信管理装置(Mobility Management Entity、以降MME)107、加入者管理装置(Home Subscriber Server、以降HSS)108が存在する。さらに、ローカル網103内で利用可能なデータサーバー109を有する。
【0015】
[通信装置の構成]
次に、通信装置101の構成について説明する。
図2は、通信装置101のハードウェア構成例を表すブロック図である。制御部201は、例えばCPUやMPU等の1つ以上のプロセッサにより構成され、記憶部202に記憶される制御プログラムを実行することにより装置全体を制御する。CPUは、Centra Processing Unit、MPUはMicro Processor Unitの略である。記憶部202は、ROMやRAMなどの1以上のメモリにより構成され、制御部201が実行する制御プログラムと、通信パラメータや撮影画像データ、通信を利用したアプリケーション等の各種情報を記憶する。ROMはRead Only Memory、RAMはRandom Access Memoryの略である。後述する各種動作は、記憶部202に記憶された制御プログラムを制御部201が実行することにより行われ得る。無線通信部203は、公衆網(3GPP(3rd Generation Partnership Project)規格に準拠したLTEや5G等のセルラー網)あるいはIEEE802.11シリーズの規格に準拠したローカルエリア網(WLAN)の通信を行うための制御を行う。無線通信部203は、アンテナ206を制御するアンテナ制御部205を介して、通信を行う。表示部204は、各種表示を行う。表示部204は、LCD(Liquid Crystal Display)やLED(Light Emitting Diode)のように視覚で認知可能な情報の出力、あるいはスピーカなどの音出力が可能な機能を有する。表示部204は視覚情報および音情報の少なくともどちらか一方を出力する機能を備える。入力部207は、ユーザーが各種入力等を行う入力部であり、通信装置101を操作するための操作機能を有する。
【0016】
図3は、通信装置101の機能構成例を表すブロック図である。アプリ/情報取得部301は、ローカル網103でサービスを利用するためのアプリケーションや、ローカル網103への接続のための接続設定情報(以降、単に接続設定情報と称する)を、例えば外部の装置から取得する。当該取得処理は、例えばダウンロード処理を介して行われる。アプリケーションは、例えば、病院内での診断結果表示アプリケーション、工場内でのロボット制御アプリケーション、スポーツ競技場での観戦アプリケーション等である。接続設定情報は、アクセスポイント名(Access Point Name、以降APN)、公衆陸上移動体無線ネットワーク識別子(Public Land Mobile Networks―IDentifier、以降PLMN-ID)、ユーザー名、パスワードのうちの少なくとも1つが含まれ得る。なお、ローカル網103におけるPLMN-IDは、ITU-T勧告E.212が規定しないものでありうる。さらに、接続設定情報は、PLMN-IDと移動体加入者識別番号(Mobile Subscription Identification Number以降、MSIN)から成るIMSI(International Mobile Subscriber Identity)を含んでもよい。なお、接続設定情報にMSINが含まれない場合は、任意に設定することも可能である。
【0017】
設定部302は、アプリ/情報取得部301により取得されたアプリケーションおよび/または情報を、通信装置101に設定(インストール)する。また、設定部302は、設定解除(アンインストール)のための処理を行うこともできる。接続制御部303は、通信対象の他の通信装置(基地局等)と接続するための処理を行う。アプリケーション実行部304は、アプリ/情報取得部301により取得されたアプリケーションを実行する。また、アプリ/情報取得部301は、アプリケーションの終了のための制御を行う。表示制御部305は、表示部204(
図2)に対する表示制御を行う。
【0018】
[処理の流れ]
続いて、通信装置101の処理の流れを説明する。通信装置101は、ローカル網103でサービスを利用するためのアプリケーションをダウンロードし、当該アプリケーションに接続設定情報がバンドルされている(接続設定情報が付属している)場合に、当該情報を用いてローカル網103への接続処理を行う。
図4は、通信装置101がローカル網103への接続のための接続設定情報を取得し設定する処理のフローチャートである。
図4の処理は、例えば、通信装置101が広域網102の通信範囲内にいる場合に(すなわち、基地局104と接続中に)、ユーザーによる入力部207に対する操作が行われたことを受けて開始される。
【0019】
広域網102の通信範囲内にある通信装置101のアプリ/情報取得部301は、アプリケーションサーバー306から、ローカル網103でサービスを利用するためのアプリケーションをダウンロード等により取得する(S401)。当該アプリケーションに接続設定情報がバンドルされている場合、アプリ/情報取得部301は、接続設定情報も取得する。上述のように、接続設定情報には、APN、PLMN-ID、ユーザー名、パスワード、IMSI等が含まれ得る。続いて、設定部302は、取得したアプリケーションのデータを通信装置101に設定(インストール)する(S402)。当該設定は、自動的に、または、ユーザーによる入力部207に対する操作が行われたことを受けて行われ得る。
【0020】
次に、アプリ/情報取得部301は、取得したアプリケーションに、接続設定情報がバンドルされているかを判定する。アプリケーションに接続設定情報がバンドルされている場合(S403でYes)、設定部302は、接続設定情報を通信装置101に設定する。アプリケーションに接続設定情報がバンドルされていない場合(S403でNo)、処理を終了する。
【0021】
図5は、アプリケーションを設定した通信装置101がローカル網103に接続してサービスを利用する処理のフローチャートである。
図5の処理は、例えば、通信装置101が広域網102の通信範囲内にいる場合に、ユーザーによる入力部207に対する操作が行われ、アプリケーション実行部304がアプリケーションを起動したことを受けて開始される。
【0022】
まず、通信装置101の設定部302は、接続設定情報が設定されているかを判定する(S501)。
図4のS404で接続設定情報が設定されていれば、(S501でYes)、処理はS502へすすみ、そうでない場合は、処理はS511へ進む。S502では、接続制御部303は、通信装置101がローカル網103の圏内にいるか(通信範囲内にいるか)を判定する。当該判定は、接続制御部303が、ローカル網103における基地局104から、所定の信号(例えば、PLMN-IDを含む信号)を受信できるか否かで行うことができる。通信装置101がローカル網103の圏内にいる場合(S502でYes)、接続制御部303は、広域網102との接続を切断する(S503)。具体的には、接続制御部303は、広域網102における基地局104に対して切断要求を送信し、その応答として基地局104から切断応答を受信した場合に、広域網102との接続が切断される。その後、接続制御部303は、ローカル網103への接続を試行する(S504)。ここで、接続制御部303は、後述する
図6に示すように、ローカル網103における基地局105との接続を確立し、ローカル網103におけるMME107との接続を試みる。ローカル網103への接続に成功した場合(S505でYes)、アプリケーション実行部304は、アプリケーションを使用し、ローカル網103の通信を介してデータサーバー109のデータを用いたサービスを利用する(S506)。当該サービスの例は、病院内での診断結果表示のサービス、工場内でのロボット制御のサービス、スポーツ競技場での観戦のサービス等がある。
【0023】
この後、通信装置101のユーザーによる入力部207に対する操作により、アプリケーションの終了が指示された場合(S507でYes)、アプリケーション実行部304はアプリケーションを終了する(S508)。さらに、接続制御部303は、ローカル網103との接続を切断し(S509)、広域網102へ再度接続する(S510)。
【0024】
S501の判定において、通信装置101に接続設定情報が設定されていないと判定された場合(S501でNo)、通信装置101は、ユーザーに対して、接続設定情報の取得を要求する(S511)。例えば、表示制御部305は、表示部204上に、接続設定情報の取得を要求する(促す)ための画面を表示する。その後、一定時間内に、ユーザーによる操作により、アプリ/情報取得部301が接続設定情報をダウンロード等により取得した場合(S512でYes)、設定部302が接続設定情報を設定し、処理はS501へ戻る。一定時間内に接続設定情報が取得されない場合(S512でNo)、アプリケーション実行部304はアプリケーションを終了する(S514)。
【0025】
S502の判定において、通信装置101がローカル網103の圏外の場合(S502でNo)、通信装置101は、通信装置101が圏外であること、および/または、移動を要求することを通知する(S515)。例えば、表示制御部305は、表示部204上に、通信装置101が圏外であること、および/または、移動を要求する(促す)ための画面を表示する。この後、通信装置101のユーザーによる入力部207に対する操作により、アプリケーションの終了が指示された場合(S516でYes)、アプリケーション実行部304はアプリケーションを終了する(S514)。アプリケーションの終了が指示されない間は(S516でNo)、通信装置101がローカル網103の圏内かの判定が行われる(S502)。
【0026】
S504でのローカル網103への接続の試行に対して、当該接続に成功しなかった場合(S505でNo)、通信装置101は、ローカル網103に接続不可であることを通知する(S517)。例えば、表示制御部305は、表示部204上に、ローカル網103に接続不可であることを示す画面を表示する。この後、通信装置101のユーザーによる入力部207に対する操作により、再接続が指示された場合(S518でYes)、接続制御部303は再度、ローカル網103への接続を試行する。再接続が指示されない場合(S518でNo)、アプリケーション実行部304はアプリケーションを終了し(S519)、接続制御部303は広域網102と接続する(S520)。尚、S501とS502の判定順序は逆でもかまわない。
【0027】
図6は、通信装置101がローカル網103でサービスを利用するためのアプリケーションを実行した際の、広域網102とローカル網103との接続を示すシーケンス図である。通信装置101は、広域網102に接続中に、ユーザーによる入力部207を介した操作により当該アプリケーションが起動する(F601)。通信装置101は、ローカル網103における基地局105から報知信号PLMN-IDを検知し(F602)、ローカル網103の圏内にいると判定すると、広域網102との接続を切断する(F603、F604、S503)。なお、広域網102との接続を切断後に、報知信号PLMN-IDが検知されるような流れであってもよい。続いて、通信装置101は、基地局105との間で、無線ネットワーク制御RRC(Radio Resource Control)接続を確立する(F605)。RRC接続の確立後、通信装置101は、ローカル網103におけるMME307からIdentity Requestを受信し(F606)、MME307にIdentity Responseを送信する(F607)。通信装置101は、Identity Responseにおいて、S404で設定された接続設定情報に含まれるIMSIを含めて送信する。続いて、通信装置101は、MME307からAuthentication Requestを受信し(F608)、MME307にAuthentication Responseを送信する(F609)。これにより、加入者識別モジュール(Subscriber Identity Module)認証が行われる。次に、通信装置は、MME307からESM Information Requestを受信し(F610)、MME307にESM Information Responseを送信する(F611)。通信装置101は、ESM Information Responseにおいて、APN、ユーザー名、パスワード等を含めて送信する。これにより、通信装置101はローカル網103に接続される。尚、ESMはEPS(Evolved Packet System) Session Managementの略であり、EPSは3GPPで規定されたIPベースパケットネットワークの総称である。
【0028】
以上のシーケンスにより、通信装置101はローカル網103と接続し、データサーバー109のデータを用いた、アプリケーションのサービスを利用可能となる(F612、S506)。その後、通信装置101のユーザーによる入力部207を介した操作により、アプリケーションの終了が実行されると(F613、S508)、ローカル網103を切断する(F614、F615、S509)。さらに、通信装置101は、アプリケーション使用前に接続していた広域網102と接続する(F616~F618、S510)。
【0029】
図7は、
図4の処理によってアプリケーションを設定(インストール)後に、当該アプリケーションまたは接続設定情報を更新する処理を示すフローチャートである。
図7の処理は、例えば、ユーザーによる入力部207に対する操作が行われた場合や、アプリケーションまたは接続設定情報の更新要求時に自動的に、開始され得る。
【0030】
広域網102の通信範囲内にある通信装置101のアプリ/情報取得部301は、アプリケーションサーバー306から、アプリケーションおよび/または接続設定情報の更新情報を取得する(S701)。アプリケーションの更新情報取得した場合は(S702でYes)、設定部302は、更新されたアプリケーションのデータを通信装置101に設定する(S703)。すなわち、設定部302は、現在のアプリケーションを、更新情報を用いて更新する。更新後、および、アプリケーションの更新情報を取得していない場合は(S702でNo)、処理はS704へ進む。接続設定情報の更新情報を取得した場合は(S704でYes)、設定部302は、更新された接続設定情報を通信装置101に設定する(S705)。設定後、および、接続設定情報の更新情報を取得していない場合は(S704でNo)、更新処理を終了する。
【0031】
このように、ローカル網のサービスを利用する通信装置は、アプリケーションの取得(ダウンロード)を一回行うだけで、ローカル網への接続設定情報を取得でき、迅速かつ効率的にローカル網へ接続することが可能となる。これにより、ユーザーの利便性が向上する。
【0032】
[変形例]
上記実施形態では、通信装置101は、アプリケーションを起動後に広域網102の接続を切断しているが(S503、F603、F604)、広域網102との接続を維持しながら、ローカル網103と接続するように構成してもよい。また、上記実施形態では、通信装置101は、アプリケーションや接続設定情報を、広域網102に位置するアプリケーションサーバー106から取得したが、ローカル網103に接続している状態であれば、ローカル網103に位置する装置から取得するように構成してもよい。また、通信装置101においてユーザーによる操作等に基づいて、アプリケーションをアンインストールする場合は、接続制御部303は、接続設定を解除または接続設定情報を削除することができる。また、上記実施形態では、接続設定情報はアプリケーションにバンドルされ得る例を説明したが、接続設定情報がアプリケーションのデータに含まれるように構成されてもよい。
【0033】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0034】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0035】
101 通信装置、102 広域網(公衆網や無線LAN等)、103 ローカル網、104 基地局、105 基地局、106 アプリケーションサーバー、107 移動体通信管理装置(MME)、108 加入者管理装置(HSS)、109 データサーバー