(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 63/10 20230101AFI20240213BHJP
H10N 70/00 20230101ALI20240213BHJP
【FI】
H10B63/10
H10N70/00 A
(21)【出願番号】P 2020026906
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】松本 優奈
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-229896(JP,A)
【文献】特開2009-239148(JP,A)
【文献】国際公開第2011/135843(WO,A1)
【文献】特開2009-267219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 63/10
H10N 70/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延伸する複数の第1配線層と、
前記第1配線層上に設けられた、前記第1方向に延伸する第1導電層と、
前記複数の第1配線層の上方で、第1方向に対して交差した第2方向に延伸する複数の第2配線層と、
前記複数の第2配線層と前記複数の第1配線層との交差部分において、前記第2配線層と前記第1配線層との間に配置され、第1抵抗変化膜を有する第1セル部と第1セレクタを有する第1セレクタ部とを有する第1メモリセルと、
前記第2配線層上に設けられた、前記第2方向に延伸する第2導電層と、
前記複数の第2配線層の上方で、前記第1方向に延伸する複数の第3配線層と、
前記複数の第3配線層と前記複数の第2配線層との交差部分において、前記第3配線層と前記第2配線層との間に配置され、第2抵抗変化膜を有する第2セル部と第2セレクタを有する第2セレクタ部とを有する第2メモリセルと、
前記第3配線層上に設けられた、前記第1方向に延伸する第3導電層と、
前記第3配線層と前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向上方に設けられ、前記第2方向に延伸する第4配線層と、
前記第4配線層と前記第3配線層との間に配置され、第3抵抗変化膜を有する第3セル部と第3セレクタを有する第3セレクタ部とを有する第3メモリセルと、
前記第1メモリセルと前記第3メモリセルとの間に設けられた層間絶縁膜とを備え、
前記第1セレクタは、前記第1導電層を介して前記第1配線層に接続され、前記第2セレクタは、前記第2導電層を介して前記第2配線層に接続され
、前記第3セレクタは、前記第3導電層を介して前記第3配線層に接続され、
前記第1配線層と前記第2配線層とは互いに異なる材料を備え、
前記第1配線層の前記材料は前記第2配線層のエッチング加工時に前記第2配線層よりもエッチングされにくい材料であり、前記第2配線層と前記第3配線層とは互いに異なる材料を備え、
前記第2配線層の前記材料は前記第3配線層のエッチング加工時に前記第3配線層よりもエッチングされにくい材料であり、前記第3配線層と前記第4配線層とは互いに異なる材料を備え、
前記第3配線層の前記材料は前記第4配線層のエッチング加工時に前記第4配線層よりもエッチングされにくい材料である、不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記層間絶縁膜は、前記第1抵抗変化膜と前記第3抵抗変化膜の間に設けられている、請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1導電層の上に配置された第1バリア導電層と、
前記第2導電層の上に配置された第2バリア導電層とを備え、
前記第1セレクタは、前記第1バリア導電層を介して前記第1導電層に接続され、
前記第2セレクタは、前記第2バリア導電層を介して前記第2導電層に接続される、請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1配線層、前記第2配線層及び前記第3配線層は、W、Mo、ポリシリコン、Ni、Co、Ti、及びCuの群から選ばれるいずれかの材料、いずれかのシリサイド材料、いずれかの窒化物材料、若しくはいずれかの混合比で選ばれる材料を有する、請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1導電層及び前記第2導電層は、は、カーボン、カーボン窒化物(CN)、チタン窒化物(TiN)、W、Cu又はAlの群から選ばれるいずれかの材料を備える、請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1バリア導電層及び前記第2バリア導電層は、W、Mo、ポリシリコン、Ni、Co、Ti、及びCuの群から選ばれるいずれかの材料、いずれかのシリサイド材料、いずれかの窒化物材料、若しくはいずれかの混合比で選ばれる材料を有する、請求項3に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項7】
第1方向に延伸する第1配線層と、
前記第1配線層の上に、設けられた第1導電層と、
第2方向に延伸し、前記第1配線層と前記第2方向に交差する第2配線層と、
前記第2配線層の上に、設けられた第2導電層と、
前記第1配線層及び前記第2配線層の上方に設けられ、前記第1方向に延伸する第3配線層と、
前記第3配線層の上に、設けられた第3導電層と、
前記第3導電層の上方に設けられ、前記
第2方向に延伸する第4配線層と、
前記第1導電層と前記第2配線層との間に配置され、第1抵抗変化膜を有する第1セル部と第1セレクタを有する第1セレクタ部とを有する第1メモリセルと、
前記第2導電層と前記第3配線層との間に配置され、第2抵抗変化膜を有する第2セル部と第2セレクタを有する第2セレクタ部とを有する第2メモリセルと
、
前記第3導電層と前記第4配線層との間に配置され、第3抵抗変化膜を有する第3セル部と第3セレクタを有する第3セレクタ部とを有する第3メモリセルと
前記第1メモリセルと前記第2メモリセルとの間に設けられた層間絶縁膜を有
し、
前記第1配線層と前記第2配線層とは互いに異なる材料を備え、
前記第1配線層の前記材料は前記第2配線層のエッチング加工時に前記第2配線層よりもエッチングされにくい材料であり、前記第2配線層と前記第3配線層とは互いに異なる材料を備え、
前記第2配線層の前記材料は前記第3配線層のエッチング加工時に前記第3配線層よりもエッチングされにくい材料であり、前記第3配線層と前記第4配線層とは互いに異なる材料を備え、
前記第3配線層の前記材料は前記第4配線層のエッチング加工時に前記第4配線層よりもエッチングされにくい材料である、不揮発性半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1導電層の上に配置された第1バリア導電層と、
前記第2導電層の上に配置された第2バリア導電層とを備え、
前記第1セレクタは、前記第1バリア導電層を介して前記第1導電層に接続され、前記第2セレクタは、前記第2バリア導電層を介して前記第2導電層に接続される、請求項7に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項9】
前記層間絶縁膜は、前記第1抵抗変化膜と前記第2抵抗変化膜の間に設けられている、請求項7に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項10】
第1配線層の上に
、アルゴンイオンを用いたカーボンターゲットのスパッタリングにより形成されたカーボンからなる第1導電層を自己整合化して形成し、アニール処理する
ことによりアルゴンの脱ガスを実施する工程と、
前記第1導電層の上に第1積層膜を積層する工程と、
前記第1積層膜、前記第1導電層及び前記第1配線層を第1方向に延伸するストライプ構造に加工する工程と、
第1層間絶縁膜を形成し平坦化する工程と、
第2配線層を形成する工程と、
前記第2配線層の上に
、アルゴンイオンを用いたカーボンターゲットのスパッタリングにより形成されたカーボンからなる第2導電層を自己整合化して形成し、アニール処理する
ことによりアルゴンの脱ガスを実施する工程と、
前記第2配線層及び前記第2導電層を前記第1方向に交差する第2方向に延伸するストライプ構造に加工する工程と、
前記ストライプ構造に加工された前記第2配線層
と前記第2配線層との間の
空間部分の下の前記第1積層膜及び前記第1層間絶縁膜を
エッチング加工して、
前記第2配線層と前記第1配線層との交差部分に柱状の前記第1積層膜を有する第1メモリセルを形成する工程とを有する、不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項11】
第2層間絶縁膜を形成し平坦化する工程と、
前記第2導電層及び前記第2層間絶縁膜の上に第2積層膜を積層する工程と、
前記第2積層膜を前記
第2方向に延伸するストライプ構造に加工する工程と、
第3層間絶縁膜を形成し、平坦化する工程と、
第3配線層を形成する工程と、
前記第3配線層の上に
、アルゴンイオンを用いたカーボンターゲットのスパッタリングにより形成されたカーボンからなる第3導電層を自己整合化して形成し、アニール処理する
ことによりアルゴンの脱ガスを実施する工程と、
前記第3配線層及び前記第3導電層を前記第1方向に延伸するストライプ構造に加工する工程と、
前記ストライプ構造に加工された前記第3配線層
と前記第3配線層との間の
空間部分の下の前記第2積層膜及び前記第3層間絶縁膜を
エッチング加工して、
前記第3配線層と前記第2配線層との交差部分に柱状の前記第2積層膜を有する第2メモリセルを形成する工程とを有する、
請求項10に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項12】
基板の上に第1層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1層間絶縁膜を第1方向に延伸するストライプ状に加工する工程と、
前記第1層間絶縁膜の間のトレンチ溝に第1配線層を埋め込む工程と、
前記第1配線層の上に自己整合により
、アルゴンイオンを用いたカーボンターゲットのスパッタリングにより形成されたカーボンからなる第1導電層を形成し、アニール処理する
ことによりアルゴンの脱ガスを実施する工程と、
前記第1導電層及び前記第1層間絶縁膜の上に、積層膜を形成する工程と、
前記積層膜を前記第1方向に延伸するストライプ構造に加工する工程と、
第2層間絶縁膜を形成する工程と、
第2配線層及び前記第2配線層の上に自己整合により
、アルゴンイオンを用いたカーボンターゲットのスパッタリングにより形成されたカーボンからなる第2導電層を形成し、アニール処理する
ことによりアルゴンの脱ガスを実施する工程と、
前記第2配線層及び前記第2導電層を前記第1方向に交差する第2方向に延伸するストライプ構造に加工し、前記積層膜と重畳する前記第2配線層を形成する工程と、
前記ストライプ構造に加工された前記第2配線層
と前記第2配線層との間の
空間部分の下の前記積層膜、及び前記第2層間絶縁膜を
エッチング加工して、
前記第2配線層と前記第1配線層との交差部分に柱状の前記積層膜を有する第1メモリセルを形成する工程とを有する、不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項13】
第1配線層及び前記第1配線層の上に自己整合により
、アルゴンイオンを用いたカーボンターゲットのスパッタリングにより形成されたカーボンからなる第1導電層を形成し、アニール処理する
ことによりアルゴンの脱ガスを実施する工程と、
前記第1配線層及び前記第1導電層を第1方向に延伸するストライプ構造に加工する工程と、
前記第1配線層及び前記第1導電層の間のトレンチ溝に第1層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1導電層及び前記第1層間絶縁膜の上に、第1積層膜を形成する工程と、
前記第1積層膜を前記第1方向に延伸するストライプ構造に加工する工程と、
第2層間絶縁膜を形成し、平坦化する工程と、
第2配線層を形成する工程と、
前記第2配線層の上に自己整合により
、アルゴンイオンを用いたカーボンターゲットのスパッタリングにより形成されたカーボンからなる第2導電層を形成し、アニール処理する
ことによりアルゴンの脱ガスを実施する工程と、
前記第2配線層及び前記第2導電層を前記第1方向に交差する第2方向にストライプ構造に加工し、前記第1積層膜と重畳する前記第2配線層を形成する工程と、
前記ストライプ構造に加工された前記第2配線層
と前記第2配線層との間の
空間部分の下の前記第1積層膜、及び前記第2層間絶縁膜を
エッチング加工して、
前記第2配線層と前記第1配線層との交差部分に柱状の前記第1積層膜を有する第1メモリセルを形成する工程とを有する、不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項14】
第3層間絶縁膜を形成し、平坦する工程と、
前記第2導電層及び前記第3層間絶縁膜の上に第2積層膜を積層する工程と、
前記第2積層膜を前記
第2方向に延伸するストライプ構造に加工する工程と、
第4層間絶縁膜を形成し、平坦化する工程と、
第3配線層を形成する工程と、
前記第3配線層の上に自己整合により
、アルゴンイオンを用いたカーボンターゲットのスパッタリングにより形成されたカーボンからなる第3導電層を形成し、アニール処理する
ことによりアルゴンの脱ガスを実施する工程と、
前記第3配線層及び前記第3導電層を前記第1方向に延伸するストライプ構造に加工する工程と、
前記ストライプ構造に加工された前記第3配線層
と前記第3配線層との間の
空間部分の下の前記第2積層膜及び前記第4層間絶縁膜を
エッチング加工して、
前記第3配線層と前記第2配線層との交差部分に柱状の前記第2積層膜を有する第2メモリセルを形成する工程とを有する、
請求項12又は13に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項15】
基板の上に第1層間絶縁膜を形成し、平坦化する工程と、
前記第1層間絶縁膜を第1方向に延伸するストライプ構造に加工する工程と、
前記第1層間絶縁膜の間のトレンチ溝に第1配線層を埋め込む工程と、
前記第1配線層の上に自己整合により
、アルゴンイオンを用いたカーボンターゲットのスパッタリングにより形成されたカーボンからなる第1導電層を形成し、アニール処理する
ことによりアルゴンの脱ガスを実施する工程と、
前記第1導電層及び前記第1層間絶縁膜の上に、第1積層膜を形成する工程と、
前記第1積層膜を前記第1方向に延伸するストライプ構造に加工する工程と、
第2層間絶縁膜を形成し、平坦化する工程と、
前記第1導電層の上の前記第1積層膜を前記第1方向に交差する第2方向に
ストライプ状にエッチング加工し、柱状の前記第1積層膜を有する第1メモリセルを形成する工程と
、
第3層間絶縁膜を形成し、平坦化する工程と、
第2配線層を形成する工程と、
前記第2配線層の上に自己整合により、アルゴンイオンを用いたカーボンターゲットのスパッタリングにより形成されたカーボンからなる第2導電層を形成し、アニール処理することによりアルゴンの脱ガスを実施する工程と、
前記第2配線層及び前記第2導電層を前記第2方向に延伸するストライプ構造に加工し、前記第1積層膜との交差部分に前記第1メモリセルが形成されるように前記第2配線層を形成する工程とを有する、不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項16】
基板の上に第1配線層を形成する工程と、
前記第1配線層の上に自己整合により
、アルゴンイオンを用いたカーボンターゲットのスパッタリングにより形成されたカーボンからなる第1導電層を形成し、アニール処理する
ことによりアルゴンの脱ガスを実施する工程と、
前記第1配線層及び前記第1導電層を第1方向に延伸するストライプ構造に加工する工程と、
前記第1配線層及び前記第1導電層の間のトレンチ溝に第1層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1導電層及び前記第1層間絶縁膜の上に、第1積層膜を形成する工程と、
前記第1積層膜を前記第1方向に延伸するストライプ構造に加工する工程と、
第2層間絶縁膜を形成し、平坦化する工程と、
前記第1導電層の上の前記第1積層膜を前記第1方向に交差する第2方向に
ストライプ状にエッチング加工し、柱状の前記第1積層膜を有する第1メモリセルを形成する工程と、
第3層間絶縁膜を形成し、平坦化する工程と、
第2配線層を形成する工程と、
前記第2配線層の上に自己整合により
、アルゴンイオンを用いたカーボンターゲットのスパッタリングにより形成されたカーボンからなる第2導電層を形成し、アニール処理する
ことによりアルゴンの脱ガスを実施する工程と、
前記第2配線層及び前記第2導電層を前記第2方向に延伸するストライプ構造に加工し、前記第1積層膜と
の交差部分に前記第1メモリセルが形成されるように前記第2配線層を形成する工程とを有する、不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項17】
第4層間絶縁膜を形成し、平坦化する工程と、
前記第2導電層及び前記
第4層間絶縁膜の上に第2積層膜を積層し、前記第2積層膜を
前記第1方向に延伸するストライプ構造に加工する工程と、
第5層間絶縁膜を形成し平坦化する工程と、
第3配線層及び前記第3配線層の上に自己整合により
、アルゴンイオンを用いたカーボンターゲットのスパッタリングにより形成されたカーボンからなる第3導電層を形成し、アニール処理する
ことによりアルゴンの脱ガスを実施する工程と、
前記第3配線層及び前記第3導電層を前記
第2方向に延伸するストライプ構造に加工する工程と、
前記ストライプ構造に加工された前記第3配線層
と前記第3配線層との間の
空間部分の下の前記第2積層膜及び前記
第5層間絶縁膜を
エッチング加工して、
前記第3配線層と前記第2配線層との交差部分に柱状の前記第2積層膜を有する第2メモリセルを形成する工程とを有する、
請求項15又は16に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項18】
前記アニール処理の温度は、200℃~300℃の範囲を備える、
請求項10、12、13、15、16のいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、膜の抵抗変化を利用した抵抗変化メモリ(ReRAM)が開発されている。ReRAMの一種として、膜の記憶領域における結晶状態とアモルファス状態との間の熱的な相転移による抵抗値変化を利用した相変化メモリ(PCM)が開発されている。また、2つの異なる合金を繰り返し積層した超格子型のPCMは、少ない電流で膜を相変化させることができるため、省電力化が容易な記憶装置として注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施の形態が解決しようとする課題は、ボイドの発生を抑制し、配線抵抗を低減化可能な不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、第1配線層の上に、アルゴンイオンを用いたカーボンターゲットのスパッタリングにより形成されたカーボンからなる第1導電層を自己整合化して形成し、アニール処理することによりアルゴンの脱ガスを実施する工程と、前記第1導電層の上に第1積層膜を積層する工程と、前記第1積層膜、前記第1導電層及び前記第1配線層を第1方向に延伸するストライプ構造に加工する工程と、第1層間絶縁膜を形成し平坦化する工程と、第2配線層を形成する工程と、前記第2配線層の上に、アルゴンイオンを用いたカーボンターゲットのスパッタリングにより形成されたカーボンからなる第2導電層を自己整合化して形成し、アニール処理することによりアルゴンの脱ガスを実施する工程と、前記第2配線層及び前記第2導電層を前記第1方向に交差する第2方向に延伸するストライプ構造に加工する工程と、前記ストライプ構造に加工された前記第2配線層と前記第2配線層との間の空間部分の下の前記第1積層膜及び前記第1層間絶縁膜をエッチング加工して、前記第2配線層と前記第1配線層との交差部分に柱状の前記第1積層膜を有する第1メモリセルを形成する工程とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の模式的鳥瞰構成図。
【
図2】
図1のメモリセルの2段構成部分の模式的鳥瞰構成図。
【
図3】実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の回路構成図。
【
図4】実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の模式的平面パターン構成図。
【
図5A】第1の比較例に係る不揮発性半導体記憶装置の模式的断面構造図。
【
図5B】第2の比較例に係る不揮発性半導体記憶装置の模式的断面構造図。
【
図6A】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の模式的断面構造図。
【
図6B】第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の模式的断面構造図。
【
図7】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置に適用可能な配線材料の組み合わせとして、タングステンとモリブデンを例とした配線抵抗(Ω/sq)と配線幅WD(a.u.)との関係を示す模式図。
【
図8A】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセル2段構成部分の模式的断面構造図。
【
図8B】第3の実施の形態の変形例に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセル2段構成部分の模式的断面構造図。
【
図8C】第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセル2段構成部分の模式的断面構造図。
【
図9A】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の第1の製造方法であって、一工程を説明する模式的鳥瞰構成図(その1)。
【
図9B】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の第1の製造方法であって、一工程を説明する模式的鳥瞰構成図(その2)。
【
図9C】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の第1の製造方法であって、一工程を説明する模式的鳥瞰構成図(その3)。
【
図10A】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の第1の製造方法であって、一工程を説明する模式的鳥瞰構成図(その4)。
【
図10B】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の第1の製造方法であって、一工程を説明する模式的鳥瞰構成図(その5)。
【
図11】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の第1の製造方法であって、一工程を説明する模式的鳥瞰構成図(その6)。
【
図12】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置及び第1の製造方法であって、一工程を説明する模式的鳥瞰構成図(その7)。
【
図13A】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の第2の製造方法であって、一工程を説明する模式的鳥瞰構成図(その1)。
【
図13B】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の第2の製造方法であって、一工程を説明する模式的鳥瞰構成図(その2)。
【
図14A】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の第2の製造方法の変形例であって、一工程を説明する模式的鳥瞰構成図(その1)。
【
図14B】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の第2の製造方法の変形例であって、一工程を説明する模式的鳥瞰構成図(その2)。
【
図15】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の第2の製造方法であって、一工程を説明する模式的鳥瞰構成図(その3)。
【
図16A】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の第2の製造方法であって、一工程を説明する模式的鳥瞰構成図(その4)。
【
図16B】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の第2の製造方法であって、一工程を説明する模式的鳥瞰構成図(その5)。
【
図17】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の第3の製造方法であって、一工程を説明する模式的鳥瞰構成図。
【
図18A】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、一工程を説明する模式的平面パターン構成図(その1)。
【
図18B】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、一工程を説明する模式的平面パターン構成図(その2)。
【
図19A】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、一工程を説明する模式的平面パターン構成図(その3)。
【
図19B】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、一工程を説明する模式的平面パターン構成図(その4)。
【
図20A】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、
図18AのV-V線に沿う模式的断面構造図。
【
図20B】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、
図18AのVI-VI線に沿う模式的断面構造図。
【
図21A】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、
図18BのVII-VII線に沿う模式的断面構造図。
【
図21B】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、
図18BのVIII-VIII線に沿う模式的断面構造図。
【
図22】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、
図19AのIX-IX線に沿う模式的断面構造図。
【
図23】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、
図19AのX-X線に沿う模式的断面構造図。
【
図24】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、
図19BのXI-XI線に沿う模式的断面構造図。
【
図25】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、
図19BのXII-XII線に沿う模式的断面構造図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、図面を参照して、実施の形態について説明する。以下に説明する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各構成部品の厚みと平面寸法との関係等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0008】
また、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものではない。この実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
[実施の形態]
実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置1の模式的鳥瞰構成は、
図1に示すように表され、例えば、3行×3列のアレイ状に4層積層化されている。
図1のメモリセル2段構成部分の模式的鳥瞰構成は、
図2に示すように表される。
図1の構造において、n(nは自然数)層目のメモリセル、n層目の第1配線層、n層目の第2配線層をそれぞれ10
n,、11
n、12
nと表示している。尚、以下の説明においては、複数のメモリセル、複数の第1配線層、複数の第2配線層を単に10、11、12と表示する場合もある。
【0010】
実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置1は、
図1に示すように、クロスポイント型メモリ構造を備え、同一平面上に配置された複数の第1配線層11と、複数の第1配線層11上の同一平面上に3次元的に交差して配置された複数の第2配線層12と、それら複数の第2配線層12と複数の第1配線層11との交差部分において、第2配線層12と第1配線層11との間に配置されたメモリセル10と備える。実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置1は、例えば、半導体基板上に形成された絶縁層を備える絶縁基板の上に配置されていても良い。
【0011】
第1配線層11と第2配線層12は、非平行に3次元的に交差している。例えば、
図1に示すように、複数のメモリセル10が2次元方向(XY方向)にマトリックス状に配置され、更にそのマトリックス状のアレイが、XY平面に対して直交するZ方向に複数層積層される。第1配線層11は、上下のメモリセル10間で共有され、同様に、第2配線層12は、上下のメモリセル10間で共有される。
図1において、第1配線層11及び第2配線層12の上に配置される導電層21Aについては、図示を省略している。尚、複数の第1配線層11と複数の第2配線層12との間には層間絶縁膜が配置されるが図示は省略している。
【0012】
以下の説明において、第1配線層11を下層配線層若しくはビット線、第2配線層12を上層配線層若しくはワード線と称することもある。また、クロスポイント型メモリ構造は、複数層積層化可能である。ビット線、ワード線の呼称は、逆にしても良い。
【0013】
実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置には、抵抗変化メモリ(ReRAM:Resistive Random Access Memory)、相変化メモリ(PCM:Phase-Change Memory)、強誘電体メモリ(FeRAM :Ferroelectric Random Access Memory)などいずれも適用可能である。また、磁気トンネル接合(MTJ:Magneto Tunnel Junction)抵抗変化素子も適用可能である。以下の説明においては、主として、PCMについて説明する。
【0014】
(メモリセルの構成)
実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセル10は、
図2に示すように、第1配線層11と、第1配線層11の上に形成される導電層21Aと、第2配線層12、第2配線層12の上に形成される導電層21Aと、第1配線層11と第2配線層12との間に直列接続された記憶素子と、セレクタ22とを有する。記憶素子は、抵抗変化膜24を有する。
図2に示すように、第1配線層11及び第2配線層12の上には、導電層21Aが配置されている。第1配線層11及び第2配線層12は、2層構造を備えていても良い。
【0015】
第2配線層12と第1配線層11との間に配置された第1メモリセル101は、積層膜(21A、22、21B、23、24、25、26)を備え、第3配線層13と第2配線層12との間に配置された第2メモリセル102は、同様に積層膜(21A、22、21B、23、24、25、26)を備える。第1メモリセル101及び第2メモリセル102は、
図1に示すように、メモリセル10に対応するが、説明の便宜上区別している。同様に、第3配線層13は、
図1に示すように、第1配線層11に対応するが、説明の便宜上区別している。
【0016】
セレクタ22は、例えば2端子間スイッチ素子であってもよい。2端子間に印加する電圧が閾値以下の場合、そのスイッチ素子は“高抵抗”状態、例えば電気的に非導通状態である。2端子間に印加する電圧が閾値以上の場合、スイッチ素子は“低抵抗”状態、例えば電気的に導通状態に変わる。スイッチ素子は、電圧がどちらの極性でもこの機能を有していてもよい。このスイッチ素子には、テルル(Te)、セレン(Se)及び硫黄(S)からなる群より選択された少なくとも1種以上のカルコゲン元素を含む。または、上記カルコゲン元素を含む化合物であるカルコゲナイドを含んでいてもよい。このスイッチ素子は他にも、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、炭素(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、砒素(As)、燐(P)、アンチモン(Sb)からなる群より選択された少なくとも1種以上の元素を含んでもよい。
【0017】
また、セレクタ22は、例えばPIN(p-intrinsic-n)構造を有するシリコンダイオードなどで構成可能である。
【0018】
抵抗変化膜24は、相対的に抵抗が低い状態(セット状態)と抵抗が高い状態(リセット状態)とを電気的にスイッチング可能で、データを不揮発に記憶する。セレクタ22は、選択したメモリセルへ電気的にアクセス(フォーミング/書き込み/消去/読出し)する際の回り込み電流(sneak current)を防止する。
【0019】
抵抗変化膜24は、例えば金属酸化物を含む。その金属酸化物として、例えば、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、マンガン(Mn)、タンタル(Ta)、タングステン(W)からなる群から選択された1種の金属、若しくは2種以上の金属の合金の酸化物を用いることができる。
【0020】
メモリセル10を超格子型のPCMとして形成する場合には、抵抗変化膜24は、複数のカルコゲナイド化合物の層が積層された超格子構造により形成される。抵抗変化膜24に用いられるカルコゲナイド化合物は、例えば、Sb2Te3等のアンチモンテルル及びGeTe等のゲルマニウムテルルのように、2つ以上のカルコゲナイド化合物から構成される。相変化を安定させるために、このカルコゲナイド化合物の一種はアンチモン(Sb)又はビスマス(Bi)を含むことが好ましい。セレクタ22は、遷移金属のカルコゲナイド化合物により形成される。このカルコゲナイド化合物は、例えば、チタン(Ti)、バナジウム(V)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及びハフニウム(Hf)からなる群より選択された1種以上の遷移金属と、硫黄(S)、セレン(Se)及びテルル(Te)からなる群より選択された1種以上のカルコゲン元素との化合物である。より好適には、カルコゲナイド化合物は、Mを遷移金属、Xをカルコゲン元素とするとき、組成が化学式MX又はMX2で表される化合物である。組成がMXである場合、このカルコゲナイド化合物における遷移金属Mの濃度は50原子%であり、組成がMX2である場合、遷移金属Mの濃度は33原子%である。但し、化合物の組成には、それぞれ許容幅があるため、カルコゲナイド化合物における遷移金属Mの好適濃度は、20原子%以上60原子%以下である。本実施形態において、カルコゲナイド化合物は例えばTiTe2である。
【0021】
抵抗変化膜24は、導電膜25と導電膜23で挟まれている。導電膜25及び導電膜23は、金属膜または金属窒化膜を備える。導電膜25及び導電膜23として、例えば窒化チタン膜やカーボンを用いることも可能である。
【0022】
導電膜25と第2配線層12との間には、電極層26が配置されている。電極層26には、例えば、W、Ti、Ta、または、それらの窒化物などを適用可能である。また、抵抗変化膜24がSiで形成され、電極層26がNi若しくはPtで形成されていてもよい。第1配線層11及び第2配線層12の材料については後述する。
【0023】
導電膜23とセレクタ22との間には、導電膜21Bが配置されている。導電膜21Bは、例えば、カーボン、チタン窒化物(TiN)、W、Cu又はAl等の導電性材料を備えていても良い。
【0024】
第1配線層11とセレクタ22との間には、第1配線層11の上に形成される導電層21Aが配置されている。導電層21Aは、カーボンまたはカーボン窒化膜を備える。導電層21Aは、例えば、チタン窒化物(TiN)、W、Cu又はAl等の導電性材料を備えていても良い。導電層21Aは、第1配線層11に電気的に接続されている。
【0025】
導電層21Aは、導電層21Aを挟んだ上下の層間の元素の拡散を防止する。また、導電層21Aは、第1配線層11の上に形成後、予めアニール処理を実施することで、その後のセレクタ22を構成する膜との間にボイドの発生を抑制し、密着性を高めることができる。
【0026】
導電膜21B、23、25は、導電膜21B、23、25を挟んだ上下の層間の元素の拡散を防止する。また、導電膜21B、23、25は、導電膜21、23、25を挟んだ上下の層間の密着性を高める。
【0027】
第1配線層11及び第2配線層12を通じて、相対的に抵抗が低い低抵抗状態(セット状態)の抵抗変化膜24にリセット電圧が印加されると、抵抗変化膜24は相対的に抵抗が高い高抵抗状態(リセット状態)に切り替わることができる。高抵抗状態(リセット状態)の抵抗変化膜24に、リセット電圧よりも高いセット電圧が印加されると、抵抗変化膜24は低抵抗状態(セット状態)に切り替わることができる。
【0028】
実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置1の基本回路構成は、
図3に示すように、第1配線層11と、第2配線層12とのクロスポイントにメモリセル10が接続されている。
図3において、メモリセル10は、抵抗変化膜24とセレクタ22の直列構成として表されている。不揮発性半導体記憶装置1は、
図1に示すように、例えば、4層の積層構造を有することから、この場合、
図3に示された回路構成が4層積層化される。
【0029】
実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置1の模式的平面パターン構成例は、
図4に示すように、複数の第1配線層(ビット線)11と、複数の第2配線層(ワード線)12と、複数のビット線11と複数のワード線12との交差部に配置されたメモリセル10とを備える。
図4の構成は、メモリセル10が1層配置される例である。
【0030】
(第1の比較例_1層メモリセル構成)
第1の比較例に係る不揮発性半導体記憶装置1Bは、
図5Aに示すように、複数の第1配線層11Tと、複数の第2配線層12Tと、メモリセル10Tとを備え、例えば、半導体基板の上に形成された絶縁層を備える絶縁基板9の上に配置されている。複数の第1配線層11Tは、紙面に垂直なY方向に延伸する。複数の第2配線層12Tは、複数の第1配線層11Tの上方で、Y方向に対して交差したX方向に延伸する。メモリセル10Tは、複数の第2配線層12Tと複数の第1配線層11Tとの交差部分において、第2配線層12Tと第1配線層11Tとの間に配置される。複数の第2配線層12Tと複数の第1配線層11Tとの間には、層間絶縁膜31を備える。
【0031】
第1の比較例に係る不揮発性半導体記憶装置1Bでは、第1配線層11Tの上に積層膜(21A、22、21B、23、24、25、26)を連続的に形成している。すなわち、
図5Aに示すように、絶縁基板9と複数の第1配線層11Tの境界を示す破線A-Aより上の積層膜(21A、22、21B、23、24、25、26)を一体的に形成している。第1配線層11Tの上に積層膜(21A、22、21B、23、24、25、26)を連続的に形成するため、第1の比較例に係る不揮発性半導体記憶装置1Bでは、第1導電層21Aとセレクタ22を構成する膜との間にボイドが発生し、配線抵抗の上昇を招く。
【0032】
(第2の比較例_1層メモリセル構成)
第2の比較例に係る不揮発性半導体記憶装置1Bは、第1の比較例と基本的な構成は同様であるが、
図5Bに示すように、第1の比較例に比べて第1配線層11T及び第2配線層12Tを厚く形成している。
図5Bに示すように、第1配線層11Tを厚く形成するために、第1配線層11Tを2層化している。
図5Bに示すように、2層化された第1配線層11Tの境界を示す破線B-Bより上の積層膜(21A、22、21B、23、24、25、26)を一体的に形成している。第1配線層11Tの上に積層膜(21A、22、21B、23、24、25、26)を連続的に形成するため、第2の比較例に係る不揮発性半導体記憶装置1Bにおいても、第1導電層21Aとセレクタ22を構成する膜との間にボイドが発生し、配線抵抗の上昇を招く。
【0033】
(第1の実施の形態_1層メモリセル構成)
第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置1は、
図6Aに示すように、複数の第1配線層11と、第1導電層21Aと、複数の第2配線層12と、メモリセル10とを備え、例えば、半導体基板の上に形成された絶縁層を備える絶縁基板9の上に配置されている。
【0034】
複数の第1配線層11は、Y方向に延伸する。
【0035】
第1導電層21Aは、第1配線層11の上に自己整合されて配置され、Y方向に延伸する。ここで、「自己整合されて配置」とは、第1配線層11の平面的な形状を維持したまま、第1配線層11の上に第1導電層21Aが配置される構造を云う。尚、「自己整合」という表現は、製造方法の説明において記載する。以下同様である。
【0036】
複数の第2配線層12は、複数の第1配線層11の上方で、Y方向に対して交差したX方向に延伸する。
【0037】
メモリセル10は、積層膜(21A、22、21B、23、24、25、26)を備える。メモリセル10は、複数の第2配線層12と複数の第1配線層11との交差部分において、第2配線層12と第1配線層11との間に配置される。メモリセル10は、セル部とセレクタ部を備える。セル部は、抵抗変化膜24を備える。セレクタ部は、セレクタ22を備え、セル部と直列接続される。セレクタ22は、第1導電層21Aを介して第1配線層11に接続される。隣接するメモリセル10間には層間絶縁膜31を備える。層間絶縁膜31は、隣接する第1配線層11間にも配置されている。
【0038】
第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置1においては、第1導電層21Aを第1配線層11の上に形成し、アニール処理した後に、積層膜(22、21B、23、24、25、26)を一体的に積層して形成している。アニール処理の温度は、約200℃~300℃程度である。
【0039】
第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置1においては、第1配線層11の上に第1導電層21Aを形成した後、積層膜(22、21B、23、24、25、26)を連続的に形成している。すなわち、
図6Aに示すように、複数の導電層21Aと複数の積層膜(22、21B、23、24、25、26)の境界を示す破線C-Cより上の積層膜(22、21B、23、24、25、26)を一体的に形成している。第1配線層11の上に導電層21Aを連続的に形成するため、第1導電層21Aとセレクタ22を構成する膜との間のボイドの発生を抑制している。すなわち、第1配線層11と第1導電層21Aを先づくりして、第1導電層21Aとセレクタ22との間のボイドの発生を抑制し、第1配線層11とセレクタ22との密着性を良好にすることができる。
【0040】
また、第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置1においては、第1配線層11と第1導電層21Aを先づくりすることで、第1配線層11の高さを高くすることができ、配線抵抗を低減化可能である。
【0041】
図6Aにおいて、複数の第1配線層11と複数の第2配線層12との間には層間絶縁膜31が配置される。層間絶縁膜31の材料としては、SiO
2のみならず、SiO、SiOC、SiONなども適用可能である。
【0042】
第1導電層21Aは、カーボン、カーボン窒化物(CN)、チタン窒化物(TiN)、W、Cu又はAlの群から選ばれるいずれかの材料を備える。
【0043】
(第2の実施の形態_1層メモリセル構成)
第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置2は、
図6Bに示すように、複数の第1配線層11と、第1導電層と、第1バリア導電層27、複数の第2配線層12と、メモリセル10とを備える。
【0044】
第1導電層21Aは、第1配線層11の上に設けられ、Y方向に延伸する。
【0045】
メモリセル10は、積層膜(21A、27、22、21B、23、24、25、26)を備える。メモリセル10は、複数の第2配線層12と複数の第1配線層11との交差部分において、第2配線層12と第1配線層11との間に配置される。メモリセル10は、セル部とセレクタ部を備える。セル部は、抵抗変化膜24を備える。セレクタ部は、セレクタ22を備え、セル部と直列接続される。セレクタ22は、第1バリア導電層27を介して第1導電層21Aに接続される。
【0046】
第1バリア導電層27は、W、Mo、ポリシリコン、Ni、Co、Ti、及びCuの群から選ばれるいずれかの材料であっても良い。また、W、Mo、ポリシリコン、Ni、Co、Ti、及びCuの群から選ばれるいずれかのシリサイド材料であっても良い。また、W、Mo、ポリシリコン、Ni、Co、Ti、及びCuの群から選ばれるいずれかの窒化物であっても良い。また、W、Mo、ポリシリコン、Ni、Co、Ti、及びCuの群から選ばれるいずれかの混合比を有する材料であっても良い。その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0047】
第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置2においても、第1導電層21Aを第1配線層11の上に形成し、アニール処理した後に、積層膜(27、22、21B、23、24、25、26)を一体的に積層して形成している。アニール処理の温度は、約200℃~300℃程度である。
【0048】
第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置2においては、第1配線層11の上に第1導電層21Aを形成した後、積層膜(27、22、21B、23、24、25、26)を連続的に形成している。すなわち、
図6Bに示すように、複数の導電層21Aと複数の第1バリア導電層27の境界を示す破線D-Dより上の積層膜(27、22、21B、23、24、25、26)を一体的に形成している。第1配線層11の上に導電層21Aを連続的に形成するため、第1導電層21Aとセレクタ22を構成する膜との間のボイドの発生を抑制している。すなわち、第1配線層11と第1導電層21Aを先づくりして、第1導電層21Aとセレクタ22との間のボイドの発生を抑制し、第1配線層11とセレクタ22との密着性を良好にすることができる。
【0049】
また、第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置2においては、第1配線層11と第1導電層21Aを先づくりすることで、第1配線層11の高さを高くすることができ、配線抵抗を低減化可能である。
【0050】
また、第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置2においては、第1導電層21Aとセレクタ22の間に第1バリア導電層27を挟むことで、積層膜(27、22、21B、23、24、25、26)の縮小化を防止することができる。すなわち、第1バリア導電層27によって、第1導電層21Aとセレクタ22の間の密着性を強化し、セルサイズの縮小化を防止することができる。
【0051】
(配線材料の選択)
第1~第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置に適用可能な第1配線層11及び第2配線層12は、W、Mo、ポリシリコン、Ni、Co、Ti、及びCuの群から選ばれるいずれかの材料であっても良い。また、W、Mo、ポリシリコン、Ni、Co、Ti、及びCuの群から選ばれるいずれかのシリサイド材料であっても良い。また、W、Mo、ポリシリコン、Ni、Co、Ti、及びCuの群から選ばれるいずれかの窒化物であっても良い。また、W、Mo、ポリシリコン、Ni、Co、Ti、及びCuの群から選ばれるいずれかの混合比を有する材料であっても良い。
【0052】
シリサイド材料としては、例えば、NiSi、CoSi、WSi、TiSiを適用可能である。材料の混合比としては、例えば、Ni:Si=1:1や0.5:1などが含まれる。
【0053】
(配線抵抗と配線幅の関係_Mo、W)
第1~第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置に適用可能な配線材料の組み合わせとして、WとMoを例とした配線抵抗(Ω/sq)と配線幅WD(a.u.)との関係は、模式的に
図7に示すように表される。配線幅WD(a.u.)=X2では、W配線とMo配線は抵抗的に略同等の値を有している。
【0054】
(エッチングガス系)
反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)によりW配線を形成する際のエッチングガス(エッチャント)としては、例えば、CF4/O2を適用可能である。RIEによりMo配線を形成する際のエッチャントとしては、例えば、HBr、ブロモトリフルオロメタン(CBrF3:Bromotrifluoromethane)を適用可能である。ブロモトリフルオロメタン(CBrF3)では、Wに比べてMoのエッチングが容易である。Mo配線を形成する際のエッチャントとしては、他に例えば、CCl4、SiCl4/O2/CHF3を適用可能である。
【0055】
Wに比べて、Moのエッチングに適用可能なエッチャントとしては、FやCl系ハロゲンガスとO2ガスの混合ガスなども適用可能である。O2があると、Wに比べてMoは酸化し易く、かつ酸化した方がエッチングが進むという性質を利用することができる。FやCl系ハロゲンガスとO2ガスの混合ガスとしては、例えば、CF4/O2,CHF3/O2、CH2F2/O2、SF6/O2、若しくはCl2/O2などが挙げられる。
【0056】
Moに比べて、Wのエッチングに有効なエッチャントとしては、F系ガスも適用可能である。金属電極の加工は、物理エッチングよりも化学エッチングが主体であり、W-Fは、蒸気圧的には低く、Moよりもエッチングが進む。この性質を利用することで、Wをエッチングすることができる。
【0057】
第1~第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置によれば、1層のメモリセル構造を挟んでクロスポイントに対向する配線層が互いに異なる材料を備えていても良い。上方の配線層の加工時、下方の配線層がエッチングされにくいため、配線抵抗の上昇を回避し、配線抵抗を低減化した不揮発性半導体記憶装置を提供することもできる。
【0058】
(第3の実施の形態_2層メモリセル構成)
第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置3の模式的断面構造は、
図8Aに示すように表される。
図8Aは、Y―Z方向から見た模式的断面構造に対応している。
図8Aでは、2層メモリセル構造を説明するために、第1メモリセル101、第2メモリセル102と表記するが、同じメモリセル10を表す。また第1メモリセル101の積層膜を積層膜(121A、122、121B、123、124、125、126)と表記し、第2メモリセル102の積層膜を積層膜(221A、222、221B、223、224、225、226)と表記するが、各層は、
図2と同様に、積層膜(21A、22、21B、23、24、25、26)に対応しており、同一の積層膜構造を備えている。以下同様である。
【0059】
第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置3は、
図8Aに示すように、複数の第1配線層11と、第1導電層121Aと、複数の第2配線層12と、第1メモリセル101とを備え、例えば、半導体基板の上に形成された絶縁層を備える絶縁基板9の上に配置されている。
【0060】
複数の第1配線層11は、Y方向に延伸する。
【0061】
第1導電層121Aは、第1配線層11の上に設けられ、Y方向に延伸する。
【0062】
複数の第2配線層12は、複数の第1配線層11の上方で、Y方向に対して交差したX方向に延伸する。
【0063】
第1メモリセル101は、積層膜(121A、122、121B、123、124、125、126)を備える。第1メモリセル101は、複数の第2配線層12と複数の第1配線層11との交差部分において、第2配線層12と第1配線層11との間に配置される。第1メモリセル101は、セル部とセレクタ部を備える。セル部は、抵抗変化膜124を備える。セレクタ部は、セレクタ122を備え、セル部と直列接続される。セレクタ122は、第1導電層121Aを介して第1配線層11に接続される。隣接する第1メモリセル101間には層間絶縁膜131を備える。層間絶縁膜131は、隣接する第1配線層11間にも配置されている。層間絶縁膜131は、隣接する第2配線層12間にも配置されている。
【0064】
更に、第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置3は、
図8Aに示すように、複数の第3配線層13と、第2メモリセル102とを備える。第2メモリセル102は、積層膜(221A、222、221B、223、224、225、226)を備える。第2メモリセル102は、複数の第3配線層13と複数の第2配線層12との交差部分において、第3配線層13と第2配線層12との間に配置される。第2メモリセル102は、セル部とセレクタ部を備える。セル部は、抵抗変化膜224を備える。セレクタ部は、セレクタ222を備え、セル部と直列接続される。セレクタ222は、第2導電層221Aを介して第2配線層12に接続される。
【0065】
複数の第3配線層13は、複数の第2配線層12の上方で、Y方向に延伸する。隣接するメモリセル102間にも層間絶縁膜131を備える。第3配線層13は、第1配線層11と同一の配線層であるが、説明の便宜上第3配線層13と表記する。
【0066】
第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置3においては、第1導電層121Aを第1配線層11の上に形成し、アニール処理した後に、積層膜(122、121B、123、124、125、126)を一体的に積層して形成している。アニール処理の温度は、約200℃~300℃程度である。
【0067】
第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置3においては、第1配線層11の上に第1導電層121Aを形成した後、積層膜(122、121B、123、124、125、126)を連続的に形成している。すなわち、
図8Aに示すように、複数の導電層121Aと複数の積層膜(122、121B、123、124、125、126)の境界を示す破線E1-E1より上の積層膜(122、121B、123、124、125、126)を一体的に形成している。第1配線層11の上に導電層121Aを連続的に形成するため、第1導電層121Aとセレクタ22を構成する膜との間のボイドの発生を抑制している。すなわち、第1配線層11と第1導電層121Aを先づくりして、第1導電層121Aとセレクタ122との間のボイドの発生を抑制し、第1配線層11とセレクタ122との密着性を良好にすることができる。
【0068】
また、第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置3においては、第1配線層11と第1導電層21Aを先づくりすることで、第1配線層11の高さを高くすることができ、配線抵抗を低減化可能である。
【0069】
また、第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置3においては、第2導電層221Aを第2配線層12の上に形成し、アニール処理した後に、積層膜(222、221B、223、224、225、226)を一体的に積層して形成している。アニール処理の温度は、約200℃~300℃程度である。
【0070】
第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置3においては、第2配線層12の上に第2導電層221Aを形成した後、積層膜(221A、222、221B、223、224、225、226)を連続的に形成している。すなわち、
図8Aに示すように、複数の導電層221Aと複数の積層膜(221A、222、221B、223、224、225、226)の境界を示す破線E2-E2より上の積層膜(222、221B、223、224、225、226)を一体的に形成している。第2配線層12の上に導電層221Aを連続的に形成するため、第2導電層221Aとセレクタ222を構成する膜との間のボイドの発生を抑制している。すなわち、第2配線層12と第2導電層221Aを先づくりして、第2導電層221Aとセレクタ222との間のボイドの発生を抑制し、第2配線層12とセレクタ222との密着性を良好にすることができる。
【0071】
また、第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置3においては、第2配線層12と第2導電層221Aを先づくりすることで、第2配線層12の高さを高くすることができ、配線抵抗を低減化可能である。
【0072】
また、第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置3においては、第3配線層13と第3導電層321Aとの関係も同様である。
【0073】
図8Aにおいて、複数の第1配線層11と複数の第2配線層12との間には層間絶縁膜131が配置される。複数の第2配線層12と複数の第3配線層13との間にも層間絶縁膜131が配置される。層間絶縁膜131の材料としては、SiO
2のみならず、SiO、SiOC、SiONなども適用可能である。
【0074】
第1導電層121A、第2導電層221A及び第3導電層321Aは、カーボン、カーボン窒化物(CN)、チタン窒化物(TiN)、W、Cu又はAlの群から選ばれるいずれかの材料を備える。
【0075】
第1配線層11、第2配線層12及び第3配線層13は、W、Mo、ポリシリコン、Ni、Co、Ti、及びCuの群から選ばれるいずれかの材料、いずれかのシリサイド材料、いずれかの窒化物材料、若しくはいずれかの混合比で選ばれる材料を有する。
【0076】
(第3の実施の形態の変形例_2層メモリセル構成)
第3の実施の形態の変形例に係る不揮発性半導体記憶装置3Aのメモリセル2段構成部分の模式的断面構造は、
図8Bに示すように表される。
【0077】
第3の実施の形態の変形例に係る不揮発性半導体記憶装置3Aにおいては、
図8Bに示すように、第1配線層11の上に第1導電層121Aを一体的に形成した後、破線E1-E1より上の積層膜(122、121B、123、124、125、126)を一体的に形成している。
【0078】
また、第3の実施の形態の変形例に係る不揮発性半導体記憶装置3Aにおいては、
図8Bに示すように、第2配線層12の上に第2導電層221Aを一体的に形成した後、破線E2-E2より上の積層膜(222、221B、223、224、225、226)を一体的に形成している。この場合、マスク合わせの工程が発生するため、破線E2-E2に示す境界部分において、Y方向に合わせズレが発生することがある。同様に、破線E1-E1に示す境界部分においても、X方向に合わせズレが発生することがある。第3の実施の形態の変形例に係る不揮発性半導体記憶装置3Aはこのような構成を示している。
その他の構成は、第3の実施の形態と同様である。
【0079】
第3の実施の形態の変形例に係る不揮発性半導体記憶装置3Aにおいても第1配線層11と第1導電層121Aを先づくりして、第1導電層121Aとセレクタ122との間のボイドの発生を抑制し、第1配線層11とセレクタ122との密着性を良好にすることができる。また、第1配線層11と第1導電層21Aを先づくりすることで、第1配線層11の高さを高くすることができ、配線抵抗を低減化可能である。
【0080】
第3の実施の形態の変形例に係る不揮発性半導体記憶装置3Aにおいても第2配線層12と第2導電層221Aを先づくりして、第2導電層221Aとセレクタ222との間のボイドの発生を抑制し、第2配線層12とセレクタ222との密着性を良好にすることができる。また、第2配線層12と第2導電層221Aを先づくりすることで、第2配線層12の高さを高くすることができ、配線抵抗を低減化可能である。その他の構成は、第3の実施の形態と同様である。
【0081】
(第4の実施の形態_2層メモリセル構成)
第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置4Aのメモリセル2段構成部分の模式的断面構造は、
図8Cに示すように表される。
【0082】
第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置4においては、
図8Cに示すように、第1配線層11の上に第1導電層121Aを一体的に形成した後、破線F1-F1より上の積層膜(127、122、121B、123、124、125、126)を一体的に形成している。セレクタ122は、第1バリア導電層127を介して第1導電層121Aに接続される。
【0083】
また、第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置4においては、
図8Cに示すように、第2配線層12の上に第2導電層221Aを一体的に形成した後、破線F2-F2より上の積層膜(227、222、221B、223、224、225、226)を一体的に形成している。セレクタ222は、第2バリア導電層227を介して第2導電層221Aに接続される。
【0084】
第1バリア導電層127及び第2バリア導電層227は、W、Mo、ポリシリコン、Ni、Co、Ti、及びCuの群から選ばれるいずれかの材料であっても良い。また、W、Mo、ポリシリコン、Ni、Co、Ti、及びCuの群から選ばれるいずれかのシリサイド材料であっても良い。また、W、Mo、ポリシリコン、Ni、Co、Ti、及びCuの群から選ばれるいずれかの窒化物であっても良い。また、W、Mo、ポリシリコン、Ni、Co、Ti、及びCuの群から選ばれるいずれかの混合比を有する材料であっても良い。
【0085】
第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置4の形成においては、破線F2-F2に示す境界部分においてマスク合わせの工程が発生するため、Y方向に合わせズレが発生することがある。同様に、破線F1-F1に示す境界部分においても、X方向に合わせズレが発生することがある。その他の構成は、第3の実施の形態と同様である。
【0086】
第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置4においても第1配線層11と第1導電層121Aを先づくりしてボイドの発生を抑制することができる。また、第1配線層11の高さを高くすることができ、配線抵抗を低減化可能である。また、第2配線層12と第2導電層221Aを先づくりしてボイドの発生を抑制することができる。また、第2配線層12の高さを高くすることができ、配線抵抗を低減化可能である。
【0087】
また、第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置4においては、第1導電層121Aとセレクタ122の間に第1バリア導電層127を挟むことで、第1導電層121Aとセレクタ122の間の密着性を強化し、セルサイズの縮小化を防止することができる。また、第2導電層221Aとセレクタ222の間に第2バリア導電層227を挟むことで、第2導電層221Aとセレクタ222の間の密着性を強化し、セルサイズの縮小化を防止することができる。
【0088】
(第5の実施の形態_3層メモリセル構成)
第5の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、3層メモリセル構成を備える。第5の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置において、2層メモリセル構成までは、第3~第4の実施の形態と同様である。
【0089】
第5の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、第1方向に延伸する複数の第1配線層11と、第1配線層11の上に設けられ、第1方向に延伸する第1導電層121Aと、複数の第1配線層11の上方で、第1方向に対して交差した第2方向に延伸する複数の第2配線層12と、複数の第2配線層12と複数の第1配線層11との交差部分において、第2配線層12と第1配線層11との間に配置され、第1抵抗変化膜124を有する第1セル部と第1セレクタ122を有する第1セレクタ部とを有する第1メモリセル101と、第2配線層12の上に設けられ、第2方向に延伸する第2導電層221Aと、複数の第2配線層12の上方で、第1方向に延伸する複数の第3配線層13と、複数の第3配線層13と複数の第2配線層12との交差部分において、第3配線層13と第2配線層12との間に配置され、第2抵抗変化膜224を有する第2セル部と第2セレクタ222を有する第2セレクタ部とを有する第2メモリセル102とを備える。
【0090】
更に、第3配線層13と第1方向及び第2方向に垂直な第3方向上方に設けられ、第2方向に延伸する第4配線層と、第4配線層と第3配線層13との間に配置され、第3抵抗変化膜を有する第3セル部と第3セレクタを有する第3セレクタ部とを有する第3メモリセルとを備える。ここで、
図1の構造を参照して、第3メモリセル10
3(3層目のメモリセル)について、説明する。
図1に示すように、第3メモリセル10
3(3層目のメモリセル)は、第2メモリセル10
2(2層目のメモリセル)が配置された第2配線層12
1(1層目の第2配線層)とY方向及びX方向に垂直なZ方向に隣り合った最も近い他の第2配線層12
2(2層目の第2配線層)と第3配線層11
2(2層目の第1配線層)との間に配置され、第3抵抗変化膜を有する第3セル部と第3セレクタを有する第3セレクタ部とを有する。その他の構成及び効果は、第3~第4の実施の形態と同様である。
【0091】
(製造方法)
(ボイド発生のメカニズム)
アルゴンイオンを用いたカーボンターゲットのスパッタリングによって、第1配線層11の上にカーボンからなる導電層21Aを形成する。この時、導電層21A中にアルゴンが取り込まれる。その後のセレクタ22の成膜を実施すると、200-300℃の間でアルゴン起因と考えられるボイドが発生した。このため、セレクタ膜の耐熱性が悪くなり、プロセス温度の制限が大きくなる。
【0092】
本実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置においては、下層配線層となる第1配線層11とカーボンからなる導電層21Aの積層構造を形成後、約200℃-300℃程度の間で熱処理によりアルゴンの脱ガスを実施している。下層配線層となる第1配線層11とカーボンからなる導電層21Aの先づくりを行い、ボイドの発生を予め抑制し、その後、セレクタ22及び抵抗変化膜24を成膜しメモリセルを形成する。導電層21Aを先に形成することでボイド発生を抑制することができる。また、導電層21Aを先に形成することで、メモリセルの高さを変えず、下層配線層となる第1配線層11を高くすることが可能となり微細な配線に対して配線抵抗を下げることできる。
【0093】
図1に示す基本構造は、例えば、以下のように製造可能である。第1配線層11の上にメモリセル10を含む積層膜を積層した後、積層膜及び第1配線層11をY方向のストライプ構造に加工し、加工によって形成された積層膜間のトレンチに層間絶縁膜を埋め込んだ後、積層膜の上及び層間絶縁膜の上に、第2配線層12を形成する。第2配線層12をX方向のストライプ構造に加工し、さらにストライプ構造に加工された第2配線層12の間の下の積層膜及び層間絶縁膜も加工することで、第2配線層12と第1配線層11との交差部分に、略柱状(以降、単に「柱状」と称する)の複数の積層膜からなるメモリセル10を形成することができる。
【0094】
(第1の製造方法_1層セル構造)
以下、
図9A~
図12を用いて、第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置1の第1の製造方法について説明する。
【0095】
以下の説明において、積層膜(21A、22、21B、23、24、25、26)はメモリセル10を構成することから、単に積層膜10と表現することもある。
【0096】
第1の製造方法は、
図9Aに示すように、絶縁基板9の上に、第1配線層11及び導電層21Aを形成し、第1アニール処理する工程を有する。次に、
図9Bに示すように、導電層21Aの上に積層膜(22、21B、23、24、25、26)を積層する工程を有する。更に、
図9Cに示すように、積層膜(22、21B、23、24、25、26)、導電層21A及び第1配線層11をY方向に延伸するストライプ構造に加工する工程を有する。次に、
図10Aに示すように、層間絶縁膜31を形成し平坦化する工程を有する。次に、
図10Bに示すように、第2配線層12及び導電層21Aを形成しアニール処理する工程を有する。次に、
図11に示すように、第2配線層12及び導電層21Aを第2方向に延伸するストライプ構造に加工し、積層膜10と重畳する第2配線層12及び導電層21Aを形成する工程を有する。次に、
図12に示すように、第2配線層12の間の下の積層膜10及び層間絶縁膜31を加工して、柱状の積層膜を有するメモリセル10を形成する工程を有する。以下に詳述する。
【0097】
(a)まず、
図9Aに示すように、絶縁基板9の上に第1配線層11を形成後、第1配線層11の上に導電層21Aを形成しアニール処理する。アニール処理の温度は、200℃~300℃の範囲を備える。導電層21Aは、第1配線層11の上に自己整合化して形成しても良い。
【0098】
(b)次に、
図9Bに示すように、導電層21Aの上に積層膜(22、21B、23、24、25、26)を積層する。すなわち、第1配線層11の上の導電層21Aの上に、セレクタ22、導電膜21B、導電膜23、抵抗変化膜24、導電膜25及び電極層26が、順に形成される。
【0099】
(c)次に、
図9Cに示すように、例えばRIE(Reactive Ion Etching)法により、積層膜(22、21B、23、24、25、26)、導電層21A及び第1配線層11をY方向に延伸するストライプ構造に同時加工する。複数の第1配線層11、導電層21A及び積層膜(22、21B、23、24、25、26)は、Y方向に対して直交するX方向にトレンチを挟んで配列される。
【0100】
(d)次に、
図10Aに示すように、層間絶縁膜31を形成し、化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)技術などを用いて、平坦化する。この結果、加工によって形成されたトレンチに層間絶縁膜31が埋め込まれる。
【0101】
X方向で隣り合う第1配線層11間の領域、X方向で隣り合う導電層21A間の領域及びX方向で隣り合う積層膜(22、21B、23、24、25、26)の間の領域に、層間絶縁膜31が設けられる。層間絶縁膜31は、ライナー膜(図示省略)を介して、埋め込まれていても良い。ライナー膜は、層間絶縁膜31を形成する前に、コンフォーマルに形成される。
【0102】
層間絶縁膜31として、例えば、シリコン酸化膜あるいはシリコン窒化膜が、ALD(Atomic Layer Deposition)法、低圧CVD(Chemical Vapor Deposition)、流動性(flowable)CVD法などにより形成される。
【0103】
流動性CVD法は、プラズマCVD法の一種であり、例えば400℃程度の温度下で、不純物の混入により液体に似た流動性を持つSiOxNxHx膜を形成する。その後、例えば、200℃程度のO3雰囲気中でベーク、あるいは350℃程度の温度下でwater vapor gas処理をすることで、SiOxNxHx膜中からNH3(気体)を抜いて、SiO(シリコン酸化膜)にする。
【0104】
例えば、導電層21Aは、カーボン、カーボン窒化物(CN)、チタン窒化物(TiN)、W、Cu又はAlの群から選ばれるいずれかの材料を備える。導電膜21Bは、カーボン系導電膜で形成され、導電膜23及び25は、WNで形成されていても良い。また、例えば、第1配線層11はMo若しくはWで形成され及び電極層26はWで形成され、層間絶縁膜31はシリコン酸化膜で形成可能である。尚、層間絶縁膜31は多層化形成しても良い。また、第1配線層11及び第2配線層12は、少なくとも2層以上の電極層が積層化されていても良い。
【0105】
層間絶縁膜31は、例えば、TEOS(Tetraethyl orthosilicate, Tetraethoxysilane)を含む原料ガスを用いたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、低圧CVD法、ALD法、塗布法などにより形成されるシリコン酸化膜を備えていても良い。
【0106】
層間絶縁膜31は異種の膜、例えば、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の多層膜を用いることができる。また、層間絶縁膜31は、例えば同じシリコン酸化物系の同種の多層膜にすることもできる。また、同種であっても、膜質が異なる多層膜にすることもできる。
【0107】
例えば、シリコン酸化膜は、原料ガスに起因して水素(H)が含まれる場合がある。そして、成膜方法や成膜条件により、シリコン酸化膜中のSi-H結合の量を制御することが可能である。一般に、緻密なシリコン酸化膜ほどSi-H結合の量が少ない傾向がある。したがって、層間絶縁膜31としてシリコン酸化膜を用いた場合、層間絶縁膜中のSi-H結合の量を制御して、緻密な膜にすることで、例えばフッ化炭素(C4F8、C4F6、CF4など)を含むガスを用いたRIEに対して、エッチングレートを、制御することができる。
【0108】
積層膜10より上に堆積した層間絶縁膜31を、例えばCMP法により研磨して除去するとともに、層間絶縁膜31の上面を平坦化する。
図10Aに示すように、電極層26の上面が露出される。
【0109】
(e)次に、
図10Bに示すように、電極層26及び層間絶縁膜31の上に第2配線層12を形成後、第2配線層12上に導電層221Aを形成しアニール処理する。アニール処理の温度は、200℃~300℃の範囲を備える。ここで、第2配線層12は、第1配線層11と異なる材料で形成しても良い。例えば、第1配線層11はMo、第2配線層12はWで形成しても良い。
【0110】
(f)次に、
図11に示すように、第2配線層12及び導電層221AをX方向に延伸するストライプ構造に加工する。この結果、第2配線層12は、メモリセル10の電極層26と接続される。
【0111】
複数の第2配線層12及び導電層221Aは、隙間をあけてY方向に配列され、Y方向で隣り合う第2配線層12の間には、積層膜10の上面(電極層26の上面)、及び層間絶縁膜31の上面が露出する。第2配線層12及び導電層221Aは、積層膜10をX方向に延び更に周辺にも延出している。
【0112】
(g)次に、
図12に示すように、図示しないマスクを用いたRIE法により、ストライプ構造に加工された第2配線層12及び導電層221Aの間の下の積層膜10及び層間絶縁膜31も加工して、第2配線層12と第1配線層11との交差部分に、柱状の積層膜10を有する第1メモリセルを形成する。
【0113】
ここで、第2配線層12及び導電層221Aの間の下の積層膜10や層間絶縁膜31のエッチングには、例えば、フッ化炭素(C4F8、C4F6、CF4など)を含むガスを用いたRIE法を用いても良い。第2配線層12及び導電層221Aの間の下の積層膜10と層間絶縁膜31は、同時にエッチングされて除去される。
【0114】
(第2の製造方法_1層セル構造)
以下、
図13A~
図16Bを用いて、第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置1の第2の製造方法について説明する。
【0115】
第2の製造方法は、
図13Aに示すように、絶縁基板9の上に第1層間絶縁膜31を形成し、平坦化する工程を有する。次に、
図13Bに示すように、Y方向に所定のピッチで第1層間絶縁膜31をパター二ング後、パターン形成された第1層間絶縁膜31の間のトレンチ溝に第1配線層11を埋め込む工程を有する。次に、
図15に示すように、第1配線層11の上に導電層21Aを形成しアニール処理すると共に、CMP等によって平坦化する工程を有する。次に、
図16Aに示すように、導電層21A及び層間絶縁膜31上に、積層膜(22、21B、23、24、25、26)を形成する工程を有する。次に、
図16Bに示すように、積層膜(22、21B、23、24、25、26)をY方向に延伸するストライプ構造に加工する工程を有する。次に、
図10Aと同様に、第2層間絶縁膜31を形成し、平坦化する工程を有する。次に、
図10Bと同様に、第2配線層12及び導電層221Aを形成しアニール処理する工程を有する。次に、
図11と同様に、第2配線層12及び導電層221Aを第2方向に延伸するストライプ構造に加工し、積層膜(22、21B、23、24、25、26)と重畳する第2配線層12を形成する工程を有する。次に、
図12と同様に、第2配線層12及び導電層221Aの間の下の積層膜(22、21B、23、24、25、26)及び層間絶縁膜31を加工して、柱状の積層膜(22、21B、23、24、25、26)を有するメモリセル10を形成する工程を有する。以下に詳述する。
【0116】
(a)まず、
図13Aに示すように、絶縁基板9の上に層間絶縁膜31を形成し、CMP技術などを用いて、平坦化する。
【0117】
(b)次に、
図13Bに示すように、層間絶縁膜31をX方向に所定のピッチでパターン形成し、パターン形成された層間絶縁膜31間のトレンチ溝に第1配線層11を形成する。
【0118】
(c)次に、
図15に示すように、第1配線層11の上に導電層21Aを形成し、アニール処理する。アニール処理の温度は、200℃~300℃の範囲を備える。その後、CMP等によって平坦化する。導電層21Aは、第1配線層11の上に自己整合化して形成しても良い。
【0119】
(a1)第2の製造方法の変形例においては、
図14Aに示すように、絶縁基板9の上に第1配線層11及び導電層21Aを形成しアニール処理する。アニール処理の温度は、200℃~300℃の範囲を備える。
【0120】
(b1)次に、
図14Bに示すように、第1配線層11及び導電層21Aをパターン形成する。
【0121】
(c1)次に、
図15と同様に、第1配線層11及び導電層21A間のトレンチ溝に層間絶縁膜31を形成し、CMP等によって平坦化する。
【0122】
(d)次に、
図16Aに示すように、導電層21A及び層間絶縁膜31の上に、積層膜(22、21B、23、24、25、26)を形成する。すなわち、導電層21A及び層間絶縁膜31の上に、セレクタ22、導電膜21B、導電膜23、抵抗変化膜24、導電膜25及び電極層26を順次形成する。
【0123】
(e)次に、
図16Bに示すように、例えばRIE法により、積層膜(22、21B、23、24、25、26)を加工する。
図16Bに示すように、第1配線層11及び導電層21Aの上の積層膜(22、21B、23、24、25、26)はY方向に延伸するストライプ構造に加工される。
【0124】
以下の工程は、第1の製造方法と同様である。すなわち、
図10A~
図12に示す工程により、第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置1を形成する。
【0125】
(第3の製造方法_1層セル構造)
以下、
図17を用いて、第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置1の第3の製造方法について説明する。
【0126】
第3の製造方法は、
図13Aに示すように、絶縁基板9の上に第1層間絶縁膜31を形成し、平坦化する工程を有する。次に、
図13Bに示すように、Y方向に所定のピッチで第1層間絶縁膜31をパター二ング後、パターン形成された第1層間絶縁膜31間のトレンチ溝に第1配線層11を埋め込む工程を有する。次に、
図15に示すように、第1配線層11の上に導電層21Aを形成し、第1アニール処理すると共に、CMP等によって平坦化する工程を有する。
【0127】
第3の製造方法の変形例は、
図14Aに示すように、絶縁基板9の上に第1配線層11及び導電層21Aを形成し、第1アニール処理する工程を有する。次に、
図14Bに示すように、第1配線層11及び第1導電層21Aをパターン形成する工程を有する。次に、
図15と同様に、第1配線層11及び第1導電層21A間のトレンチ溝に第1層間絶縁膜31を形成し、CMP等によって平坦化する工程を有する。
【0128】
次に、
図16Aに示すように、導電層21A及び層間絶縁膜31の上に、積層膜(22、21B、23、24、25、26)を形成する工程を有する。次に、
図16Bに示すように、導電層21Aの上の積層膜(22、21B、23、24、25、26)をY方向に延伸するストライプ構造に加工する工程を有する。次に、
図10Aと同様に、第2層間絶縁膜31を形成し、平坦化する工程を有する。次に、
図17に示すように、第1導電層21Aの上の積層膜(22、21B、23、24、25、26)をY方向に交差するX方向に加工し、柱状の積層膜(22、21B、23、24、25、26)を形成する工程を有する。次に、第3層間絶縁膜を形成し、平坦化する工程を有する。次に、
図10Bと同様に、第2配線層12及び導電層221Aを形成し、第2アニール処理する工程を有する。次に、
図11と同様に、第2配線層12及び導電層221Aを第2方向に延伸するストライプ構造に加工し、積層膜(22、21B、23、24、25、26)と重畳する第2配線層12を形成する工程を有する。以下に詳述する。
【0129】
(a)まず、
図13Aに示すように、絶縁基板9の上に層間絶縁膜31を形成し、CMP技術などを用いて、平坦化する。
【0130】
(b)次に、
図13Bに示すように、層間絶縁膜31をX方向に所定のピッチでパターン形成し、パターン形成された層間絶縁膜31間のトレンチ溝に第1配線層11を形成する。
【0131】
(c)次に、
図15に示すように、第1配線層11の上に第1導電層21Aを形成し第1アニール処理する。第1アニール処理の温度は、200℃~300℃の範囲を備える。その後、CMP等によって平坦化する。導電層21Aは、第1配線層11の上に自己整合化して形成しても良い。
【0132】
(a1)第3の製造方法の変形例においては、
図14Aに示すように、絶縁基板9の上に第1配線層11及び導電層21Aを形成し、第1アニール処理する。第1アニール処理の温度は、200℃~300℃の範囲を備える。
【0133】
(b1)次に、
図14Bに示すように、第1配線層11及び導電層21Aをパターン形成する。
【0134】
(c1)次に、
図15と同様に、第1配線層11及び導電層21A間のトレンチ溝に第1層間絶縁膜31を形成し、CMP等によって平坦化する。
【0135】
(d)次に、
図16Aに示すように、導電層21A及び層間絶縁膜31の上に、積層膜(22、21B、23、24、25、26)を形成する。すなわち、導電層21A及び層間絶縁膜31の上に、セレクタ22、導電膜21B、導電膜23、抵抗変化膜24、導電膜25及び電極層26を順次形成する。
【0136】
(e)次に、
図16Bに示すように、例えばRIE法により、積層膜(22、21B、23、24、25、26)及び層間絶縁膜31を加工する。
図16Bに示すように、導電層21Aの上の積層膜(22、21B、23、24、25、26)はY方向に延伸するストライプ構造に加工される。
【0137】
(f)次に、
図10Aと同様に、層間絶縁膜31を形成し、CMP技術などを用いて、平坦化する。この結果、加工によって形成された積層膜(22、21B、23、24、25、26)の間のトレンチに層間絶縁膜31が埋め込まれる。
【0138】
(g)次に、
図17に示すように、導電層21Aの上の積層膜(22、21B、23、24、25、26)をY方向に交差するX方向に加工し、メモリセルを含む柱状の積層膜(22、21B、23、24、25、26)を形成する。
【0139】
(h)次に、層間絶縁膜31を形成し、CMP技術などを用いて、平坦化する。この結果、加工によって形成された柱状の積層膜(22、21B、23、24、25、26)の間のトレンチに層間絶縁膜31が埋め込まれる。
【0140】
(i)次に、
図10Bと同様に、第2配線層12及び導電層221Aを形成し、第2
アニール処理する。第2アニール処理の温度は、200℃~300℃の範囲を備える。
【0141】
(j)次に、
図11と同様に、第2配線層12及び導電層221AをX方向に延伸するストライプ構造に加工する。この結果、第2配線層12は、メモリセル10の電極層26と接続される。
【0142】
以下の工程は、第1の製造方法と同様である。すなわち、
図12に示す工程により、第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置1を形成する。
【0143】
(製造方法_2層メモリセル構成)
第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、
図18A~
図25に示すように表される。
図20A~
図25において、第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセルアレイ部分をMCと表示している。ここで説明する製造方法は第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法にも適用可能である。
【0144】
以下の説明において、積層膜(121A、122、121B、123、124、125、126)はメモリセル101を構成することから、単に積層膜101と表現することもある。積層膜(221A、222、221B、223、224、225、226)はメモリセル102を構成することから、単に積層膜102と表現することもある。
【0145】
図24及び
図25示すように、第1配線層11と第2配線層12との間に第1メモリセル101が配置され、更に第2配線層12と第3配線層13との間に第2メモリセル102が配置される。すなわち、メモリセルが2層積層化配置される。
【0146】
図24及び
図25示すように、Y方向に延伸する複数の第1配線層11と、複数の第1配線層11の上方で、Y方向に対して交差したX方向に延伸する複数の第2配線層12と、複数の第2配線層12と複数の第1配線層11との交差部分において、第2配線層12と第1配線層11との間に配置された第1メモリセル101とを備える。
【0147】
更に、複数の第2配線層12の上方で、第1方向に延伸する複数の第3配線層13と、複数の第3配線層13と複数の第2配線層12との交差部分において、第3配線層13と第2配線層12との間に配置された第2メモリセル102とを備える。
【0148】
第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、一工程を説明する模式的平面パターン構成は、
図18A及び
図18B、
図19A及び
図19Bに示すように表される。
【0149】
【0150】
(a)まず、
図13Aと同様に、絶縁基板9の上に層間絶縁膜31を形成し、CMP技術などを用いて、平坦化する。
【0151】
(b)次に、
図13Bと同様に、層間絶縁膜31をX方向に所定のピッチでパターン形成し、パターン形成された層間絶縁膜31間のトレンチ溝に第1配線層11を形成する。
【0152】
(c)次に、
図15と同様に、第1配線層11の上に導電層121Aを形成し、アニール処理する。アニール処理の温度は、200℃~300℃の範囲を備える。その後、CMP等によって平坦化する。
【0153】
(a1)第3の製造方法の変形例においては、
図14Aと同様に、絶縁基板9の上に第1配線層11及び導電層121Aを形成しアニール処理する。アニール処理の温度は、200℃~300℃の範囲を備える。
【0154】
(b1)次に、
図14Bと同様に、第1配線層11及び導電層121Aをパターン形成する。
【0155】
(c1)次に、
図15と同様に、第1配線層11及び導電層121A間のトレンチ溝に第1層間絶縁膜31を形成し、CMP等によって平坦化する。
【0156】
(d)次に、
図16Aと同様に、パターン形成された導電層121A及び層間絶縁膜31の上に、積層膜(122、121B、123、124、125、126)を形成する。すなわち、導電層121A及び層間絶縁膜31の上に、セレクタ122、導電膜121B、導電膜123、抵抗変化膜124、導電膜125及び電極層126を順次形成する。
【0157】
(e)次に、
図16Bと同様に、積層膜(122、121B、123、124、125、126)及び層間絶縁膜31を加工する。例えばRIE法により、導電層121Aの上の積層膜(122、121B、123、124、125、126)はY方向に延伸するストライプ構造に加工される。複数の第1配線層11及び導電層121Aの上の積層膜(122、121B、123、124、125、126)は、Y方向に対して直交するX方向にトレンチを挟んで配列される。
【0158】
尚、
図9A、
図9B及び
図9Cと同様に、絶縁基板9の上に形成された第1配線層11及び導電層121Aの上に積層膜(122、121B、123、124、125、126)を積層した後、積層膜(122、121B、123、124、125、126)、導電層121A及び第1配線層11をY方向に延伸するストライプ構造に同時加工しても良い。
【0159】
(f)次に、層間絶縁膜31を形成し、CMP技術などを用いて、平坦化する。この結果、
図20A及び
図20Bに示すように、加工によって形成された積層膜(122、121B、123、124、125、126)の間のトレンチに層間絶縁膜31が埋め込まれる。
【0160】
積層膜101より上に堆積した層間絶縁膜31を、例えばCMP法により研磨して除去し、層間絶縁膜31の上面を平坦化する。この結果、
図20A及び
図20Bに示すように、電極層126の上面が露出される。
【0161】
図18BのVII-VII線に沿う模式的断面構造は、
図21Aに示すように表され、
図18BのVIII-VIII線に沿う模式的断面構造は、
図21Bに示すように表される。
【0162】
(g)次に、
図10Bと同様に、第2配線層12及び導電層221Aを形成し、アニール処理する。アニール処理の温度は、200℃~300℃の範囲を備える。
【0163】
(h)次に、
図11と同様に、第2配線層12及び導電層221AをX方向に延伸するストライプ構造に加工する。この結果、第2配線層12は、メモリセル101の電極層126と接続される。
【0164】
(i)次に、RIE法により、ストライプ構造に加工された第2配線層12及び導電層221Aの間の下の積層膜101及び層間絶縁膜31も加工して、第2配線層12と第1配線層11との交差部分に、メモリセル101を含む柱状の積層膜(121A、122、121B、123、124、125、126)を形成する。
【0165】
(j)次に、層間絶縁膜31を形成し、平坦化する。この結果、
図21A及び
図21Bに示すように、第2配線層12及び導電層221Aが積層化形成される。
【0166】
図19AのIX-IX線に沿う模式的断面構造は、
図22に示すように表され、
図19AのX-X線に沿う模式的断面構造は、
図23に示すように表される。
【0167】
(k)次に、
図22に示すように、導電層221A及び層間絶縁膜31の上に、積層膜(222、221B、223、224、225、226)を順次形成する。導電層221A及び層間絶縁膜31の上に、セレクタ222、導電膜221B、導電膜223、抵抗変化膜224、導電膜225及び電極層226が、順次形成される。
【0168】
(l)次に、導電層221Aの上の積層膜(222、221B、223、224、225、226)をX方向に延伸するストライプ構造に加工する。結果として、第2メモリセル102となる積層膜(221A、222、221B、223、224、225、226)が形成される。
【0169】
(m)次に、層間絶縁膜31を形成し平坦化する。この結果、
図22及び
図23に示すように、加工によって形成された積層膜102の間のトレンチに層間絶縁膜31が埋め込まれる。
【0170】
図19BのXI-XI線に沿う模式的断面構造は、
図24に示すように表され、
図19BのXII-XII線に沿う模式的断面構造は、
図25に示すように表される。
【0171】
(n)次に、第3配線層13を形成し、パターニングする。第3配線層13をX方向に延伸するストライプ構造に加工する。この結果、第3配線層13は、メモリセル102の電極層226と電気的に接続される。2層メモリセル構成の場合は、第3配線層13の上には、導電層321Aを形成しなくても良い。また、更なる積層化を想定して、第3配線層13の上には、導電層321Aを形成してアニール処理をしても良い。
【0172】
(o)次に、ストライプ構造に加工された第3配線層13の間の下の積層膜102及び層間絶縁膜31も加工して、第3配線層13と第2配線層12との交差部分に、メモリセル102を含む柱状の積層膜(221A、222、221B、223、224、225、226)を形成する。
【0173】
(p)次に、層間絶縁膜31を形成し、平坦化する。
【0174】
(q)尚、
図17と同様に、
図18A及び
図20A及び
図20Bに示された工程後、導電膜121Aの上の積層膜(122、121B、123、124、125、126)をY方向に交差するX方向に加工し、柱状の積層膜(122、121B、123、124、125、126)を形成しても良い。
【0175】
(r)次に、層間絶縁膜31を形成し、CMP技術などを用いて、平坦化する。この結果、加工によって形成された柱状の積層膜(122、121B、123、124、125、126)の間のトレンチに層間絶縁膜31が埋め込まれる。更に、
図21A及び
図21Bと同様に、第2配線層12及び導電層221Aを形成することができる。以下の工程は同様である。
【0176】
尚、更に多層化する場合には、メモリセルアレイの積層数に応じて、前述した工程を繰り返す。
【0177】
実施の形態によれば、下層配線層と導電層とを予め先づくりすることで、アニール処理によりボイドの発生を抑制することができる。このため、セレクタ膜の耐熱性に優れ、プロセス温度の制限を緩和することができる。
【0178】
また、実施の形態によれば、下層配線層と導電層とを予め先づくりすることで、配線層の高さを高く形成することができ、微細な配線に対して配線抵抗を低減化することができる。
【0179】
以上説明したように、実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置によれば、配線抵抗を低減化した不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を提供することができる。
【0180】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0181】
1、2、3、3A、4…不揮発性半導体記憶装置、10、101、102…メモリセル(積層膜)、11…第1配線層、12…第2配線層、21A、121A、221A、321A…導電層、22…セレクタ、21B、23、25…導電膜、24…抵抗変化膜、26…電極層、31…層間絶縁膜