(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20240213BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20240213BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/01 Z
G03G21/14
(21)【出願番号】P 2020037157
(22)【出願日】2020-03-04
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向原 卓也
(72)【発明者】
【氏名】矢口 和嵩
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-333759(JP,A)
【文献】特開2003-149904(JP,A)
【文献】特開2017-090597(JP,A)
【文献】特開2014-106418(JP,A)
【文献】特開2013-238674(JP,A)
【文献】特開2015-222380(JP,A)
【文献】特開2016-212266(JP,A)
【文献】特開2019-188734(JP,A)
【文献】特開2007-176166(JP,A)
【文献】特開2007-086439(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0028614(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/01
13/34
15/00-15/01
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
B41J 2/47
2/52-2/525
29/00-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1色と第2色とを含む複数の色のトナーを使用して、回転駆動される像担持体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段が前記像担持体に形成した検査用画像を検出する検出手段と、
前記検出手段による前記検査用画像の検出結果に基づき色ずれ量を取得する取得手段と、
を備え、
前記検査用画像は、1つ以上の基本パターンを含み、
前記1つ以上の基本パターンそれぞれは、前記像担持体の搬送方向の異なる位置に配置される第1パターン群と第2パターン群とを含み、
前記第1パターン群及び前記第2パターン群は、それぞれ、
前記第1色のみで形成されるV字状パターンと、前記第2色のみで形成されるV字状パターンと、前記第1色及び前記第2色で形成されるV字状パターンと、を少なくとも含む複数のV字状パターンを含み、
前記第1パターン群と前記第2パターン群の各V字状パターンは、前記搬送方向とは直交する幅方向を軸とした線対称な形状であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成手段は、前記幅方向の少なくとも2つの異なる位置に前記検査用画像を形成し、
前記検出手段は、前記少なくとも2つの異なる位置に形成される前記検査用画像それぞれに対応して設けられることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数のV字状パターンそれぞれは、前記幅方向及び前記搬送方向とは異なる方向の第1線状パターンと、前記搬送方向を軸として前記第1線状パターンとは線対称である第2線状パターンと、で構成され、
前記第1色及び前記第2色で形成されるV字状パターンの前記第1線状パターンは前記第1色であり、前記第1色及び前記第2色で形成されるV字状パターンの前記第2線状パターンは前記第2色であることを特徴とする請求項
1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検出手段は、
前記像担持体に向けて光を射出する発光手段と、
前記発光手段が射出し、前記像担持体での正反射光を主に受光する様に設けられる第1受光手段と、
前記発光手段が射出し、前記像担持体での乱反射光を主に受光する様に設けられる第2受光手段と、を備え、
前記画像形成手段は、前記第1受光手段が受光する前記正反射光の前記像担持体における反射位置に前記第1線状パターンを形成し、前記第2受光手段が受光する前記乱反射光の前記像担持体における反射位置に前記第2線状パターンを形成することを特徴とする請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成手段は、無彩色の前記第2線状パターンを有彩色のパターン上に形成することを特徴とする請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検査用画像は、複数の基本パターンを含み、
前記複数の基本パターンの各基本パターンに含まれる前記第1パターン群と前記第2パターン群は、前記搬送方向において連続して配置されることを特徴とする請求項1から
5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記複数の基本パターンの前記搬送方向において隣接する2つの基本パターンの間には、濃度を検出するための画像を形成するための領域が設けられることを特徴とする請求項
6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記複数の基本パターンの配置位置は、前記像担持体の回転の周期ムラに基づき決定されることを特徴とする請求項
6又は
7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記検査用画像は、複数の基本パターンを含み、
前記複数の基本パターンの各基本パターンに含まれる前記第1パターン群は前記搬送方向において連続して配置され、かつ、前記複数の基本パターンの各基本パターンに含まれる前記第2パターン群は前記搬送方向において連続して配置されることを特徴とする請求項1から
5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
連続する前記第1パターン群と、連続する前記第2パターン群との間には濃度を検出するための画像を形成するための領域が設けられることを特徴とする請求項
9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
連続する前記第1パターン群、及び、連続する前記第2パターン群の配置位置は、前記像担持体の回転の周期ムラに基づき決定されることを特徴とする請求項
9又は
10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記検査用画像は、複数の基本パターンを含み、
前記複数の基本パターンの前記搬送方向において隣接する2つの基本パターンの間と、各基本パターンに含まれる前記第1パターン群と前記第2パターン群の間には、濃度を検出するための画像を形成するための領域が設けられることを特徴とする請求項1から
5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記像担持体に前記第1色の画像及び前記第2色の画像を転写する転写体をさらに有し、
前記検査用画像は、S個(Sは2以上の整数)の基本パターンを有し、
前記S個の基本パターンに含まれる前記S個の前記第1パターン群は、前記転写体の回転位相で2π×s/S(sは、1からSまでの整数)となる位置に配置され、
前記S個の基本パターンに含まれる前記S個の前記第2パターン群は、前記転写体の回転位相で(π+2π×s)/Sとなる位置に配置されることを特徴とする請求項
6から
12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
像担持体に第1テストパターン及び第2テストパターンを形成する画像形成手段と、
前記第1テストパターン及び前記第2テストパターンを検出する検出手段と、
前記検出手段による前記第1テストパターン及び前記第2テストパターンの検出結果に基づき色ずれ量を取得する取得手段と、
を備え、
前記第1テストパターン及び前記第2テストパターンは、前記像担持体の搬送方向の異なる位置に配置され、
前記第1テストパターン及び前記第2テストパターンは、それぞれ、
第1色のみで形成されるV字状パターンと、第2色のみで形成されるV字状パターンと、前記第1色及び前記第2色で形成されるV字状パターンと、を少なくとも含む複数のV字状パターンを含み、
前記第1
テストパターンに含まれる前記複数のV字状パターンと前記第2テストパターンに含まれる前記複数のV字状パターンは、前記搬送方向とは直交する幅方向を軸とした線対称な形状であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
前記画像形成手段は、前記幅方向の少なくとも2つの異なる位置に前記第1テストパターンを形成し、かつ、前記幅方向の前記少なくとも2つの異なる位置に前記第2テストパターンを形成し、
前記検出手段は、前記幅方向の前記少なくとも2つの異なる位置それぞれに対応する位置に設けられる複数の検出部を含むことを特徴とする請求項
14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記第1テストパターン及び前記第2テストパターンに含まれる前記複数のV字状パターンそれぞれは、前記幅方向及び前記搬送方向とは異なる方向の第1線状パターンと、前記搬送方向を軸として前記第1線状パターンとは線対称である第2線状パターンと、で構成され、
前記第1色及び前記第2色で形成されるV字状パターンの前記第1線状パターンは前記第1色であり、前記第1色及び前記第2色で形成されるV字状パターンの前記第2線状パターンは前記第2色であることを特徴とする請求項
14又は15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記検出手段は、
前記像担持体に向けて光を射出する発光手段と、
前記発光手段が射出し、前記像担持体での正反射光を主に受光する様に設けられる第1受光手段と、
前記発光手段が射出し、前記像担持体での乱反射光を主に受光する様に設けられる第2受光手段と、を備え、
前記画像形成手段は、前記第1受光手段が受光する前記正反射光の前記像担持体における反射位置に前記第1線状パターンを形成し、前記第2受光手段が受光する前記乱反射光の前記像担持体における反射位置に前記第2線状パターンを形成することを特徴とする請求項
16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記第1テストパターンに含まれる前記複数のV字状パターンそれぞれは、前記搬送方向の下流側に向けて尖った形状であり、
前記第2テストパターンに含まれる前記複数のV字状パターンそれぞれは、前記搬送方向の上流側に向けて尖った形状であることを特徴とする請求項
14から
17のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーレーザプリンタ、カラー複写機といった画像形成装置における色ずれ量の判定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、色ずれ量の検査用画像を中間転写ベルト等に形成し、検査用画像からの反射光を光学センサで検出することで、色ずれ量を判定している。
【0003】
特許文献1は、複数の同じ方向に尖った山形マークを含む検査用画像により色ずれ量を判定する構成を開示している。また、特許文献2は、複数の同じ方向に尖った山形マークを含む検査用画像を、中間転写ベルトの少なくとも1周に渡り、複数個形成することで色ずれ量を判定する構成を開示している。また、特許文献3は、画像形成装置による画像形成位置の初期調整方法を開示している。特許文献3によると、初期調整を実行するための補正データを予め画像形成装置に格納しておくことで、従来、工場出荷前に行っていた画像形成位置の調整工程を不要としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6―118735号公報
【文献】特開2001-134034号公報
【文献】特開平11-164161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2の構成では、画像が傾く色ずれが生じている場合や、主走査方向の長さが伸縮する色ずれが生じている場合、色ずれ量の判定精度が劣化する。特に、特許文献3が開示する様に、画像形成位置の調整工程を不要、或いは、簡略化する場合、画像の色ずれ量は大きくなるため、特許文献1及び特許文献2の構成では、判定される色ずれ量の誤差が無視できない量になり得る。
【0006】
本発明は、画像が傾く色ずれや、主走査方向の長さが伸縮する色ずれが生じている場合でも色ずれ量を精度良く判定できる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によると、画像形成装置は、第1色と第2色とを含む複数の色のトナーを使用して、回転駆動される像担持体に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段が前記像担持体に形成した検査用画像を検出する検出手段と、前記検出手段による前記検査用画像の検出結果に基づき色ずれ量を取得する取得手段と、を備え、前記検査用画像は、1つ以上の基本パターンを含み、前記1つ以上の基本パターンそれぞれは、前記像担持体の搬送方向の異なる位置に配置される第1パターン群と第2パターン群とを含み、前記第1パターン群及び前記第2パターン群は、それぞれ、前記第1色のみで形成されるV字状パターンと、前記第2色のみで形成されるV字状パターンと、前記第1色及び前記第2色で形成されるV字状パターンと、を少なくとも含む複数のV字状パターンを含み、前記第1パターン群と前記第2パターン群の各V字状パターンは、前記搬送方向とは直交する幅方向を軸とした線対称な形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、画像が傾く色ずれや、主走査方向の長さが伸縮する色ずれが生じている場合でも色ずれ量を精度良く判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】基本パターンの内、各色の色ずれ量を判定するために使用するV字状パターンの説明図。
【
図3】一実施形態による色ずれ量の判定方法の説明図。
【
図4】副走査位置ずれが生じている場合の色ずれ量の検出例を示す図。
【
図5】主走査位置ずれが生じている場合の色ずれ量の検出例を示す図。
【
図6】傾きずれが生じている場合の色ずれ量の検出例を示す図。
【
図7】主走査長ずれが生じている場合の色ずれ量の検出例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<第一実施形態>
図12は、本実施形態による画像形成装置700の構成図である。なお、参照符号の末尾の文字Y、M、C、Kは、それぞれの部材が形成に係るトナー像の色が、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックであることを示している。以下の説明において、色を区別する必要がない場合には、末尾の文字Y、M、C、Kを除いた参照符号を使用する。画像形成部705は、各色に対応して設けられた感光体(転写体)701、帯電部702、現像部703及び一次転写ローラ706と、を有する。また、画像形成装置700は、1つの露光部707を有する。各画像形成部705と露光部707は、公知の電子写真プロセスにより、各感光体701にトナー像を形成する。一次転写ローラ706は、対応する感光体701のトナー像を中間転写ベルト20に転写する。中間転写ベルト20は、像担持体であり、画像形成時、
図12の反時計回り方向に回転駆動される。各色のトナー像を重ねて中間転写ベルト20に転写することにより、フルカラーのトナー像を中間転写ベルト20に形成することができる。
【0012】
一方、カセット713内の記録材は、搬送ローラ714、715及び716により搬送路709に沿って二次転写ローラ711の対向位置に搬送される。二次転写ローラ711は、中間転写ベルト20のトナー像を記録材に転写する。トナー像が転写された記録材は、定着部717において加熱及び加圧され、これにより、記録材へのトナー像の定着が行われる。その後、記録材は、搬送ローラ720により装置外へと排出される。制御部300は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと呼ぶ。)301を備えており、画像形成装置700全体の制御を行う。また、中間転写ベルト20に対向する位置には、光学センサ30が設けられる。光学センサ30は、色ずれ量や濃度を検出するための各種の検査用画像を検出し、検出結果をマイコン301に出力する。マイコン301は、これら検査用画像の検出結果に基づき色ずれ補正制御や濃度補正制御を行う。なお、以下では、中間転写ベルト20の表面が移動する方向を副走査方向又は搬送方向と呼び、副走査方向と直交する方向を主走査方向又は幅方向と呼ぶものとする。
【0013】
図11は、光学センサ30の構成図である。なお、
図11(A)は、光学センサ30の斜視図であり、
図11(B)は断面図である。光学センサ30は、プリント基板1上に設けられたLED(発光部)2と、受光素子(受光部)5及び6と、を有する。また、光学センサ30は、光線パスを絞って制限するための開口70、71及び75が設けられた絞り部材7を備えている。LED2が射出し、開口71を通過した光は、中間転写ベルト20の領域91を照射する。受光素子6は、領域91で乱反射し、開口75を通過した乱反射光を主に受光する様に設けられる。LED2が射出し、開口70を通過した光は、中間転写ベルト20の領域90を照射する。受光素子5は、領域90で正反射し、開口75を通過した正反射光を主に受光する様に設けられる。
図11に示す様に、中間転写ベルト20の領域90(反射位置)に対応する主走査方向位置をパターン位置aと呼び、領域91(反射位置)に対応する主走査方向位置をパターン位置bと呼ぶものとする。なお、後述する様に、色ずれ量の検査用画像は、パターン位置a及びパターン位置bを跨る様に形成される。受光素子5及び6は、受光量に対応する信号をマイコン301に出力する。
【0014】
本実施形態による光学センサ30は、濃度補正制御と色ずれ補正制御の両方に使用され得る。濃度補正制御においては、中間転写ベルト20に各色の濃度を検出するための検査用画像(濃度検査用画像)を形成し、形成した検査用画像からの反射光の強度を光学センサ30で検出する。濃度検出には、検査用画像からの正反射光量が使用される。上述した様に、光学センサ30の受光素子5は、領域90での正反射光を受光する位置に設けられる。しかしながら、受光素子5には、中間転写ベルト20(又は、その上に形成された検査用画像)での乱反射光も入射する。つまり、受光素子5の受光量には、乱反射光成分も含まれる。このため、受光素子6が受光する乱反射光の受光量に基づき、受光素子5の受光量に含まれる乱反射光成分を低減させる補正処理を行うことで検査用画像の濃度を精度良く検出することができる。色ずれ補正制御については後述する。
【0015】
図1は、本実施形態における色ずれ量の検出のための色ずれ検査用画像(以下、他の検査用画像であることを明記しない限り、色ずれ検査用画像を単に検査用画像と呼ぶ。)を示している。なお、以下の説明において中間転写ベルト20表面の進行方向をV方向と呼び、V方向を図の上向きの方向としたときに、図の右側から左側に向かう方向をH方向と呼ぶものとする。検査用画像は、1つのパターン群Pと1つのパターン群Nとで構成される基本パターンを、1つ以上含む。
図1(A)は、パターン群Pを示し、
図1(B)は、パターン群Nを示している。
図1(A)及び
図1(B)に示す様に、パターン群Pとパターン群Nの形状は異なるが、主走査方向を軸とした線対称な形状となっている。
【0016】
図1(A)に示す様に、パターン群Pは、パターン群Paの複数の線状パターンとパターン群Pbの複数の線状パターンで構成される。なお、パターン群Paの各線状パターンと、パターン群Pbの各線状パターンには1対1の対応関係があり、パターン群Paとパターン群Pbの対応する1組の線状パターンにより1つのV字状パターンが形成される。そして、パターン群Pの各V字状パターンは、V方向に尖った形状をしている。より詳しくは、パターン群Paの各線状パターンは、H方向に沿ってV方向とは逆側に傾斜し、パターン群Pbの各線状パターンは、H方向に沿ってV方向に傾斜する。なお、パターン群Pa及びパターン群Pbの各線状パターンの主走査方向に対する傾斜角は、共に、45度とすることができる。但し、パターン群Paとパターン群Pbは、副走査方向を軸とした線対称な形状である。なお、V字状パターンとは、上述した様に、2つの対応する線状パターンで構成されたパターンであるが、必ずしも正確なV字状である必要はない。例えば、V字状パターンの尖った部分において2つの線状パターンが接しておらず、少しの空隙があったり、V字状パターンの尖った部分において2つの線状パターンが重なりあう領域があったりしても良い。
【0017】
なお、
図1(A)に示す様に、パターン群Pの各線状パターンについては、以下では、パターン"PxAB"と表記することで区別する。ここで、"x"は、"a"又は"b"であり、"A"及び"B"は、Y、M、C、Kのいずれかである。"x"が"a"であることは、パターン群Paの線状パターンであることを示し、"x"が"b"であることは、パターン群Pbの線状パターンであることを示している。また、"A"は、1つのV字状パターンの内のパターン群Pa側の線状パターンの色を示し、"B"は、1つのV字状パターンの内のパターン群Pb側の線状パターンの色を示している。なお、Y、M、C及びKは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックを表している。例えば、パターンPaKMとは、パターン群Paのブラックの線状パターンであり、対応するパターン群Pbの線状パターンの色がマゼンタであることを示している。同様に、パターンPbKYとは、パターン群Pbのイエローの線状パターンであり、対応するパターン群Paの線状パターンの色がブラックであることを示している。
【0018】
なお、パターン群Paの各線状パターンは、パターン位置aを跨る様に形成され、パターン群Pbの各線状パターンは、パターン位置bを跨る様に形成される。よって、
図11に示す様に、光学センサ30の受光素子5は、パターン群Paの各線状パターンが通過する位置での正反射光を受光し、光学センサ30の受光素子6は、パターン群Pbの各線状パターンが通過する位置での乱反射光を受光する。ここで、中間転写ベルト20の表面及びブラック(無彩色)のトナーでの乱反射は小さいため、パターンPbKKについては、イエロー(有彩色)のトナーパターン上に形成する。イエローのトナーでの乱反射は、ブラックのトナーでの乱反射より強いため、マイコン301は、受光素子6の受光量の減少を検出することでパターンPbKKを検出することができる。
【0019】
図1(B)に示す様に、パターン群Nは、簡単に述べると、パターン群Pの各V字状パターンを、主走査方向を軸として対称に反転させたものである。つまり、パターン群P及びパターン群Nの内の一方はV字状パターンで構成され、他方は逆V字状パターンで構成される。
図1(B)に示す様に、パターン群Nは、パターン群Naの複数の線状パターンと、パターン群Nbの複数の線状パターンで構成される。なお、パターン群Naの各線状パターンと、パターン群Nbの各線状パターンには1対1の対応関係があり、パターン群Naとパターン群Nbの対応する1組の線状パターンにより1つのV字状パターンが形成される。そして、パターン群Nの各V字状パターンは、V方向とは逆側に尖った形状をしている。より詳しくは、パターン群Naの各線状パターンは、H方向に沿ってV方向に傾斜し、パターン群Nbの各線状パターンは、H方向に沿ってV方向とは逆側に傾斜する。なお、パターン群Naとパターン群Nb共に、主走査方向に対する傾斜角は45度である。但し、パターン群Naとパターン群Nbは、副走査方向を軸として線対称な形状である。なお、
図1(B)に示す様に、パターン群Nの各線状パターンについては、以下では、パターン"NxAB"と表記することで区別する。なお、"x"、"A"及び"B"の用法はパターン群Pと同様である。なお、パターンNbKKについても、パターンPbKKと同様に、イエローのトナーパターン上に形成される。
【0020】
上述した様に、本実施形態では、1つのパターン群Pと1つのパターン群Nとで基本パターンを構成し、1つ以上の基本パターンを含む検査用画像により色ずれ補正制御を行う。なお、本実施形態では、色ずれ量の基準色をブラックとする。つまり、本実施形態において、マイコン301は、イエロー、マゼンタ及びシアンそれぞれについて、ブラックに対する色ずれ量を取得する。
図2(A)は、基本パターンの内のシアンの色ずれ量を取得する際に使用するV字状パターンを示している。また、
図2(B)は、基本パターンの内のマゼンタの色ずれ量を取得する際に使用するV字状パターンを示している。さらに、
図2(C)は、基本パターンの内のイエローの色ずれ量を取得する際に使用するV字状パターンを示している。なお、
図2(A)~
図2(C)においては、パターン"PxAB"及びパターン"NxAB"との表記の内の"x"を省略している。
図2(A)~
図2(C)に示す様に、判定対象色の色ずれ量は、判定対象色のみで構成されるV字状パターンと、基準色であるブラックのみで構成されるV字状パターンと、判定対象色及びブラックで構成されるV字状パターンと、により判定される。
【0021】
以下、色ずれ量の判定方法について説明する。なお、上述した様に、本実施形態では、マゼンタ、シアン及びイエローについてブラックに対する色ずれ量を判定する。但し、各色の色ずれ量の判定方法は同様であるため、以下では、マゼンタの色ずれ量の判定方法について説明する。
図3は、1つの基本パターンの内のマゼンタの色ずれ量の判定に使用するV字状パターンのみを示している。なお、
図3及び以下の
図3と同様の図においては、図の下から上に向かう方向をV方向とし、
図3の右から左側に向かう方向をH方向とする。本実施形態では、主走査方向における中間転写ベルト20の両端部の近傍にそれぞれ検査用画像を形成する。以下では、図の左側において検査用画像の中心が形成される位置を位置Lと表記し、図の右側において検査用画像の中心が形成される位置を位置Rと表記する。また、位置Lの検査用画像のパターン位置a及びパターン位置bと、各パターンには、"(L)"の文字を追加し、位置Rの検査用画像のパターン位置a及びパターン位置bと、各パターンには、"(R)"の文字を追加して表記する。なお、本実施形態においては、位置Lと位置Rにそれぞれ検査用画像を形成するため、2つの光学センサ30が設けられる。以下では、位置Lの検査用画像を検出する光学センサを光学センサ30Lと表記し、位置Rの検査用画像を検出する光学センサを光学センサ30Rと表記する。なお、
図3(A)は、位置L及び位置Rに形成されるパターン群Pを示し、
図3(B)は、位置L及び位置Rに形成されるパターン群Nを示している。
【0022】
マイコン301は、光学センサ30Lによる位置Lに形成されたパターン群Pの検出結果に基づき1つのV字状パターン内のパターン群Paの線状パターンに対するパターン群Pbの線状パターンのV方向のずれ量を判定する。なお、パターン群Pbの線状パターンが、パターン群Paの対応する線状パターンに対してV方向とは逆方向にずれている場合、ずれ量を正の値とし、V方向にずれている場合、ずれ量を負の値とする。したがって、マイコン301は、位置Lに形成されたパターン群Pに基づき、dPKK(L)、dPMM(L)及びdPKM(L)の3つの値を求める。なお、dPKK(L)は、パターンPaKK(L)に対するパターンPbKK(L)のずれ量である。また、dPMM(L)は、パターンPaMM(L)に対するパターンPbMM(L)のずれ量である。さらに、dPKM(L)は、パターンPaKM(L)に対するパターンPbKM(L)のずれ量である。
【0023】
マイコン301は、上記3つのずれ量に基づき、ブラックに対するマゼンタの色ずれ量のパターン位置a及びパターン位置bでの検知ずれ量Pa(L)及びPb(L)を以下の式により求める。
Pa(L)=dPKM(L)-dPMM(L) (1)
Pb(L)=dPKM(L)-dPKK(L) (2)
さらに、マイコン301は、検知ずれ量Pa(L)及びPb(L)に基づき主走査方向ずれ量Ps(L)及び副走査方向ずれ量Pp(L)を以下の式により求める。
Ps(L)=(Pa(L)-Pb(L))/2 (3)
Pp(L)=(Pa(L)+Pb(L))/2 (4)
【0024】
また、マイコン301は、光学センサ30Rによる位置Rに形成されたパターン群Pの検出結果に基づき、位置Lに形成されたパターン群Pについて求めたのと同じずれ量を以下の式により求める。
Pa(R)=dPKM(R)-dPMM(R) (5)
Pb(R)=dPKM(R)-dPKK(R) (6)
Ps(R)=(Pa(R)-Pb(R))/2 (7)
Pp(R)=(Pa(R)+Pb(R))/2 (8)
式(5)~式(8)は、式(1)~式(4)に対応し、位置Rに形成された検査用画像であるため、式(1)~式(4)の"(L)"を"(R)"に代えたものである。
【0025】
マイコン301は、式(3)、式(4)、式(7)及び式(8)で求めたずれ量に基づき、4つの色ずれ量Ps1、Ps2、Pp1及びPp2を以下の式による求める。
Ps1=(Ps(L)+Ps(R))/2 (9)
Ps2=-(Ps(L)-Ps(R)) (10)
Pp1=(Pp(L)+Pp(R))/2 (11)
Pp2=(Pp(L)-Pp(R)) (12)
なお、Ps1は、主走査方向の書き出し位置のずれ量である(以下、主走査位置ずれ量)。また、Ps2は、主走査方向における画像の長さのずれ量である(以下、主走査長ずれ量)。また、Pp1は、副走査方向の書き出し位置のずれ量である(以下、副走査位置ずれ量)。さらに、Pp2は、副走査方向への画像の傾き量である(以下、傾きずれ量)。
【0026】
マイコン301は、光学センサ30Lによる位置Lに形成されたパターン群Nの検出結果と、光学センサ30Rによる位置Rに形成されたパターン群Nの検出結果と、に基づきパターン群Pについて求めたのと同様のずれ量を以下の式により求める。
Na(L)=dNKM(L)-dNMM(L) (13)
Nb(L)=dNKM(L)-dNKK(L) (14)
Ns(L)=-(Na(L)-Nb(L))/2 (15)
Np(L)=(Na(L)+Nb(L))/2 (16)
Na(R)=dNKM(R)-dNMM(R) (17)
Nb(R)=dNKM(R)-dNKK(R) (18)
Ns(R)=-(Na(R)-Nb(R))/2 (19)
Np(R)=(Na(R)+Nb(R))/2 (20)
Ns1=(Ns(L)+Ns(R))/2 (21)
Ns2=-(Ns(L)-Ns(R)) (22)
Np1=(Np(L)+Np(R))/2 (23)
Np2=(Np(L)-Np(R)) (24)
式(13)~式(24)は、式(1)~式(12)に対応し、パターン群Nの検出結果に基づくものであるため、式(1)~式(12)の"P"を"N"に代えたものである。なお、式(15)及び式(19)は、ずれ量の正負の調整のため式(3)及び式(7)の符号を判定させている。
【0027】
マイコン301は、式(9)~式(12)で求めた値と、式(21)~式(24)で求めた値とに基づき、マゼンタの各色ずれ量を以下の式で求める。
S1=(Ps1+Ns1)/2 (25)
S2=(Ps2+Ns2)/2 (26)
P1=(Pp1+Np1)/2 (27)
P2=(Pp2+Np2)/2 (28)
なお、S1は主走査位置ずれ量であり、S2は主走査長ずれ量である。また、P1は副走査位置ずれ量であり、P2は傾きずれ量である。式(25)~式(28)は、パターン群Pにより求めた4つの色ずれ量と、パターン群Nにより求めた4つの色ずれ量の対応する色ずれ量の平均値を求めるものである。
【0028】
以下、具体的な数値例を使用して
図3に関して上述した色ずれ量の判定方法の説明を行う。
図4(A)は、マゼンタの副走査方向の書き出し位置が、+2000μmずれた状態を示している。
図4(B)は、この場合のパターン群Pを示し、
図4(C)は、この場合のパターン群Nを示している。なお、
図4(A)~
図4(C)や、以下の説明で使用する同様の図において、点線は、色ずれが無い場合の理想的な位置を示している。
【0029】
図4(B)より、dPKK(L)=0、dPMM(L)=0、dPKM(L)=2000となる。したがって、式(1)及び式(2)より、
検知ずれ量Pa(L)=2000
検知ずれ量Pb(L)=2000
となる。したがって、式(3)及び式(4)より、
主走査方向ずれ量Ps(L)=0
副走査方向ずれ量Pp(L)=2000
となる。R位置に形成された検査用画像も同様であり、よって、
主走査方向ずれ量Ps(R)=0
副走査方向ずれ量Pp(R)=2000
となる。したがって、式(9)~式(12)より、
主走査位置ずれ量Ps1=0
主走査長ずれ量Ps2=0
副走査位置ずれ量Pp1=2000
傾きずれ量Pp2=0
となる。
【0030】
図4(C)より、dNKK(L)=0、dNMM(L)=0、dNKM(L)=2000となる。したがって、式(13)及び式(14)より、
検知ずれ量Na(L)=2000
検知ずれ量Nb(L)=2000となる。したがって、式(15)及び式(16)より、
主走査方向ずれ量Ns(L)=0
副走査方向ずれ量Np(L)=2000
となる。R位置に形成された検査用画像も同様であり、よって、
主走査方向ずれ量Ns(R)=0
副走査方向ずれ量Np(R)=2000
となる。したがって、式(21)~式(24)より、
主走査位置ずれ量Ns1=0
主走査長ずれ量Ns2=0
副走査位置ずれ量Np1=2000
傾きずれ量Np2=0
となる。
【0031】
したがって、式(25)~式(28)より、
主走査位置ずれ量S1=0
主走査長ずれ量S2=0
副走査位置ずれ量P1=2000
傾きずれ量P2=0
となる。なお、
図4(A)に示す、副走査位置ずれのみが存在する場合、上記結果から明らかな様に、パターン群Pのみや、パターン群Nのみでも色ずれ量を精度良く判定できる。
【0032】
図5(A)は、マゼンタの主走査方向の書き出し位置が、+2000μmずれた状態を示している。
図5(B)は、この場合のパターン群Pを示し、
図5(C)は、この場合のパターン群Nを示している。
【0033】
図5(B)より、dPKK(L)=0、dPMM(L)=-4000、dPKM(L)=-2000となる。したがって、式(1)及び式(2)より、
検知ずれ量Pa(L)=2000
検知ずれ量Pb(L)=-2000
となる。したがって、式(3)及び式(4)より、
主走査方向ずれ量Ps(L)=2000
副走査方向ずれ量Pp(L)=0
となる。R位置に形成された検査用画像も同様であり、よって、
主走査方向ずれ量Ps(R)=2000
副走査方向ずれ量Pp(R)=0
となる。したがって、式(9)~式(12)より、
主走査位置ずれ量Ps1=2000
主走査長ずれ量Ps2=0
副走査位置ずれ量Pp1=0
傾きずれ量Pp2=0
となる。
【0034】
図5(C)より、dNKK(L)=0、dNMM(L)=4000、dNKM(L)=2000となる。したがって、式(13)及び式(14)より、
検知ずれ量Na(L)=-2000
検知ずれ量Nb(L)=2000
となる。したがって、式(15)及び式(16)より、
主走査方向ずれ量Ns(L)=2000
副走査方向ずれ量Np(L)=0
となる。R位置に形成された検査用画像も同様であり、よって、
主走査方向ずれ量Ns(R)=2000
副走査方向ずれ量Np(R)=0
となる。したがって、式(21)~式(24)より、
主走査位置ずれ量Ns1=2000
主走査長ずれ量Ns2=0
副走査位置ずれ量Np1=0
傾きずれ量Np2=0
となる。
【0035】
したがって、式(25)~式(28)より、
主走査位置ずれ量S1=2000
主走査長ずれ量S2=0
副走査位置ずれ量P1=0
傾きずれ量P2=0
となる。なお、
図5(A)に示す、主走査位置ずれのみが存在する場合、上記結果から明らかな様に、パターン群Pのみや、パターン群Nのみでも色ずれ量を精度良く判定できる。
【0036】
図6(A)は、マゼンタが副走査方向に傾いた状態を示している。
図6(A)では、中間転写ベルト20の左側でマゼンタの位置が副走査方向に+2000μmずれており、右側で副走査方向に-2000μmずれている。つまり、全体では+4000μmのずれが生じている。
図6(B)は、この場合のパターン群Pを示し、
図6(C)は、この場合のパターン群Nを示している。なお、
図6(B)及び
図6(C)には、各線状パターンの位置の副走査方向のずれ量も記載している。
【0037】
図6(B)より、dPKK(L)=0、dPMM(L)=-156、dPKM(L)=1922となる。したがって、式(1)及び式(2)より、
検知ずれ量Pa(L)=2078
検知ずれ量Pb(L)=1922
となる。したがって、式(3)及び式(4)より、
主走査方向ずれ量Ps(L)=78
副走査方向ずれ量Pp(L)=2000
となる。また、
図6(B)より、dPKK(R)=0、dPMM(R)=-156、dPKM(R)=-2078となる。したがって、式(5)及び式(6)より、
検知ずれ量Pa(R)=-1922
検知ずれ量Pb(R)=-2078
となる。したがって、式(7)及び式(8)より、
主走査方向ずれ量Ps(R)=78
副走査方向ずれ量Pp(R)=-2000
となる。したがって、式(9)~式(12)より、
主走査位置ずれ量Ps1=78
主走査長ずれ量Ps2=0
副走査位置ずれ量Pp1=0
傾きずれ量Pp2=4000
となる。
【0038】
図6(C)より、dNKK(L)=0、dNMM(L)=-156、dNKM(L)=1922となる。したがって、式(13)及び式(14)より、
検知ずれ量Na(L)=2078
検知ずれ量Nb(L)=1922
となる。したがって、式(15)及び式(16)より、
主走査方向ずれ量Ns(L)=-78
副走査方向ずれ量Np(L)=2000
となる。また、
図6(C)より、dNKK(R)=0、dNMM(R)=-156、dNKM(R)=-2078となる。したがって、式(17)及び式(18)より、
検知ずれ量Na(R)=-1922
検知ずれ量Nb(R)=-2078
となる。したがって、式(19)及び式(20)より、
主走査方向ずれ量Ns(R)=-78
副走査方向ずれ量Np(R)=-2000
となる。したがって、式(21)~式(24)より、
主走査位置ずれ量Ns1=-78
主走査長ずれ量Ns2=0
副走査位置ずれ量Np1=0
傾きずれ量Np2=4000
となる。
【0039】
したがって、式(25)~式(28)より、
主走査位置ずれ量S1=0
主走査長ずれ量S2=0
副走査位置ずれ量P1=0
傾きずれ量P2=4000
となる。
図6(A)に示す様な、傾きずれが生じている場合、パターン群Pのみや、パターン群Nのみでは、主走査位置ずれ量に誤差が生じる。具体的には、パターン群Pからは、Ps1は0ではなく78μmと判定され、パターン群Nからは、Ns1は0ではなく-78μmと判定される。しかしながら、本実施形態では、パターン群Pの検知結果とパターン群Nの検知結果との両方に基づき、最終的な主走査位置ずれ量S1は、上述した様に0と、精度良く判定することができる。
【0040】
図7(A)は、マゼンタの主走査方向の長さ(倍率)がずれている状態を示している。
図7(A)では、中間転写ベルト20の左側でマゼンタの位置が主走査方向に+2000μmずれており、右側で主走査方向に-2000μmずれている。つまり、主走査方向の長さが4000μmだけ短くなっている。
図7(B)は、この場合のパターン群Pを示し、
図7(C)は、この場合のパターン群Nを示している。なお、
図7(B)及び
図7(C)には、各線状パターンの位置の副走査方向のずれ量も記載している。
【0041】
図7(B)より、dPKK(L)=0、dPMM(L)=-4000、dPKM(L)=-1922となる。したがって、式(1)及び式(2)より、
検知ずれ量Pa(L)=2078
検知ずれ量Pb(L)=-1922
となる。したがって、式(3)及び式(4)より、
主走査方向ずれ量Ps(L)=2000
副走査方向ずれ量Pp(L)=78
となる。また、
図7(B)より、dPKK(R)=0、dPMM(R)=4000、dPKM(R)=2078となる。したがって、式(5)及び式(6)より、
検知ずれ量Pa(R)=-1922
検知ずれ量Pb(R)=2078となる。したがって、式(7)及び式(8)より、
主走査方向ずれ量Ps(R)=-2000
副走査方向ずれ量Pp(R)=78
となる。したがって、式(9)~式(12)より、
主走査位置ずれ量Ps1=0
主走査長ずれ量Ps2=-4000
副走査位置ずれ量Pp1=78
傾きずれ量Pp2=0
となる。
【0042】
図7(C)より、dNKK(L)=0、dNMM(L)=4000、dNKM(L)=1922となる。したがって、式(13)及び式(14)より、
検知ずれ量Na(L)=-2078
検知ずれ量Nb(L)=1922
となる。したがって、式(15)及び式(16)より、
主走査方向ずれ量Ns(L)=2000
副走査方向ずれ量Np(L)=-78
となる。また、
図7(C)より、dNKK(R)=0、dNMM(R)=-4000、dNKM(R)=-2078となる。したがって、式(17)及び式(18)より、
検知ずれ量Na(R)=1922
検知ずれ量Nb(R)=-2078
となる。したがって、式(19)及び式(20)より、
主走査方向ずれ量Ns(R)=-2000
副走査方向ずれ量Np(R)=-78
となる。したがって、式(21)~式(24)より、
主走査位置ずれ量Ns1=0
主走査長ずれ量Ns2=-4000
副走査位置ずれ量Np1=-78
傾きずれ量Np2=0
となる。
【0043】
したがって、式(25)~式(28)より、
主走査位置ずれ量S1=0
主走査長ずれ量S2=-4000
副走査位置ずれ量P1=0
傾きずれ量P2=0
となる。
図7(A)に示す様な主走査長ずれが生じている場合、パターン群Pのみや、パターン群Nのみでは、副走査位置ずれ量に誤差が生じる。具体的には、パターン群Pからは、Pp1は0ではなく78μmと判定され、パターン群Nからは、Np1は0ではなく-78μmと判定される。しかしながら、本実施形態では、パターン群Pの検知結果とパターン群Nの検知結果との両方に基づき、最終的な副走査位置ずれ量P1は0と、精度良く判定できている。
【0044】
例えば、特許文献3に記載されている様に、画像形成位置を機械的に調整する調整工程を省略又は簡略化し、代わりに、色ずれ量を測定して画像形成装置に格納しておき、格納された色ずれ量に基づき画像の形成位置を制御することが提案されている。この場合、製造工数は大幅に低減できるものの、傾きずれ量や主走査長ずれ量が大きくなり得る。ここで、特許文献1及び特許文献2の構成では、同じ方向のV字状パターンのみで構成される検査用画像を使用して色ずれ量を判定するため、上述した様に、画像の傾きが生じている場合や、主走査方向の長さがずれている場合、判定される色ずれ量には誤差が生じる。この誤差量は、傾きずれ量や主走査長ずれ量が大きくなる程、大きくなる。しかしながら、本実施形態では、上述した様に、パターン群Pとパターン群Nとに基づき色ずれ量を判定するため、画像の傾きや主走査方向の長さがずれている場合であっても精度良く色ずれ量を検出することができる。
【0045】
また、上述した様に、色ずれ量の判定には、V字状パターンの一方の線状パターンの位置に対する他方の線状パターンの副走査方向のずれ量を判定する必要がある。この副走査方向のずれ量を精度良く判定するには、光学センサ30が検出する中間転写ベルト20の領域90及び領域91を、位置L又は位置Rに対して左右対称にする。より具体的には、領域90及び領域91が位置L又は位置Rを通る主走査方向の線の左右方向に対して対称な形状となり、かつ、対称な検出強度分布となるように光学センサ30の発光素子2、受光素子5及び6並びに開口70、71及び75は形成される。
【0046】
なお、検査用画像が1つの基本パターンを含む場合には、式(25)~式(28)により求めたS1、S2、P1及びP2により画像形成条件を補正することで色ずれを抑制する。一方、検査用画像が複数の基本パターンを含む場合には、各基本パターンについて求めたS1、S2、P1及びP2の平均値により画像形成条件を補正することで色ずれを抑制する。
【0047】
なお、本実施形態では、パターン群Pを先に中間転写ベルト20に形成し、その後にパターン群Nを形成していたが、基本パターン内のパターン群Pとパターン群Nとの配置関係は逆であっても良い。また、各線状パターンの主走査方向に対する角度を45度としたが、線状パターンの方向は、主走査方向及び副走査方向とは異なる方向であれば良い。さらに、複数の基本パターンを形成する場合、各基本パターンにおけるパターン群Pとパターン群Nの配置関係や、各山型パターンの順序は総ての基本パターンで同じである必要はない。
【0048】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について説明する。本実施形態において、検査用画像は、複数の基本パターン、つまり、2つ以上の基本パターンを含む。以下では、本実施形態における複数の基本パターンの配置方法について説明する。画像形成装置700においては、各回転部材の回転周期ムラにより動的な転写位置のずれが生じる。回転周期ムラは、例えば、中間転写ベルト20の駆動ローラや感光体701の偏心や、これら回転部材を駆動するためのギアの偏心や、中間転写ベルト20の膜厚変動等により生じ得る。この動的な色ずれを除去するため、本実施形態では、複数の基本パターンを、この回転ムラの周期を相殺する位置に形成する。なお、各感光体701の配置間隔を駆動ローラの周長の整数倍にすることで、駆動ローラによる動的な位置ずれは相殺される。本実施形態では、副走査方向のほぼ同じ位相で基準色と比較色のパターンの位置を比較して色ずれ量を算出するため、光学センサ30の検知時に駆動ローラ周期での動的な位置ずれの影響を受けた誤検知は軽微となる。したがって、複数の基本パターンの配置位置により相殺する動的な色ずれは、主に、感光体701の回転周期ムラを起因としたものとすれば良い。
【0049】
図8は、本実施形態における検査用画像の配置例を示している。なお、位置L及び位置Rにおける検査用画像の配置方法は同じであるため、
図8や、以下に説明する第三実施形態及び第四実施形態の同様の図においては位置Lにおける検査用画像の配置のみを示し、位置Rにおける検査用画像については省略する。
図8の参照符号P1~P4は、パターン群Pを示し、参照符号N1~N4は、パターン群Nを示している。なお、パターン群Pk(kは1~4までの整数)とパターン群Nkが、1つの基本パターンである。
図8に示す様に、本実施形態では、基本パターンに含まれるパターン群Pとパターン群Nを副走査方向において連続して配置する。そして、本実施形態では、4つの基本パターンを中間転写ベルト20の一周に渡りほぼ等間隔で配置する。なお、中間転写ベルト20の一周に渡り形成する基本パターンの数は、2以上の任意の数とすることができる。基本パターンが配置されない空白領域には、濃度補正用の検査用画像を配置することができる。空白領域に濃度補正用の検査用画像を配置することで、濃度補正制御と色ずれ補正制御を並行して行うことができる。
【0050】
本実施形態では、1つの基本パターン内のパターン群Pとパターン群Nとを近接して配置する。したがって、中間転写ベルト20の周方向に沿って長周期の反射率変動が生じている場合でも、反射率変動の影響は、1つの基本パターン内のパターン群Pとパターン群Nで同程度となる。よって、反射率変動の影響を受けづらい状態で精度良く色ずれ量を判定することができる。
【0051】
複数の基本パターンを中間転写ベルト20の一周に渡りほぼ等間隔で配置するのは、中間転写ベルト20の回転周期ムラを相殺するためである。また、各基本パターンの各パターン群P及び各パターン群Nの配置位置は、感光体701の周期ムラを相殺する様に調整される。具体的には、基本パターンの数をSとすると、S個のパターン群Pは、感光体701の回転位相で2π×s/S(sは1~Sまでの整数)となる位置に配置される。同様に、S個のパターン群Nは、感光体701の回転位相で(π+2π×s)/Sとなる位置に配置される。なお、各パターン群が互いに重ならないとの条件の下、1つの基本パターン内のパターン群Pとパターン群Nの位置の差が最小となる様に各パターン群の配置位置を決定することができる。また、各基本パターン内のパターン群Pとパターン群Nの位置の差が同じとなる様に各パターン群の配置位置を決定することができる。
【0052】
例えば、
図8では、パターン群P1、P2、P3及びP4それぞれを、感光体701の回転位相が0度、90度、180度及び270度となる位置に配置することができる。なお、本例では、パターン群Pとパターン群Nとの距離を、感光体701の回転位相差で45度とすると、パターン群Pとパターン群Nとが重なってしまうものとする。この場合、パターン群N1、N2、N3及びN4それぞれを、感光体701の回転位相が135度、225度、315度及び45度となる位置に配置することができる。この場合、基本パターン内のパターン群Pとパターン群Nの位置の差は、感光体701の回転位相で135度の差になる。また、パターン群N1、N2、N3及びN4それぞれを、感光体701の回転位相が225度、315度、45度及び135度となる位置に配置することができる。この場合、基本パターン内のパターン群Pとパターン群Nの位置の差は、感光体701の回転位相で225度の差になる。
【0053】
例えば、3つの基本パターンを形成する場合、パターン群P1、P2、P3及びP4それぞれを、感光体701の回転位相が0度、120度及び240度となる位置に配置することができる。また、パターン群N1、N2及びN3それぞれを、感光体701の回転位相が180度、300度、60度となる位置に配置することができる。この場合、基本パターン内のパターン群Pとパターン群Nの位置の差は、感光体701の回転位相で180度の差になる。また、例えば、2つの基本パターンを形成する場合、パターン群P1及びP2それぞれを、感光体701の回転位相が0度及び180度となる位置に配置することができる。また、パターン群N1及びN2それぞれを、感光体701の回転位相が90度及び270度となる位置に配置することができる。この場合、基本パターン内のパターン群Pとパターン群Nの位置の差は、感光体701の回転位相で90度の差になる。
【0054】
以上、本実施形態では、基本パターン内のパターン群Pとパターン群Nを副走査方向において連続して配置する。したがって、中間転写ベルト20の周方向において、その表面の反射率が長周期で変動している場合でも色ずれ量を精度良く検出することができる。また、複数の基本パターンの各パターン群P及びパターン群Nを感光体701の回転位相を等分した位置に配置することで周期ムラの影響を抑えて精度良く色ずれ量を判定することができる。また、複数の基本パターンを中間転写ベルトの1周に渡り略等間隔で配置することで、中間転写ベルトの周期ムラの影響も抑えることができる。さらに、隣接する基本パターンの間に濃度補正用の検査用画像を形成するための領域を設けることで、色ずれ補正制御と濃度補正制御を並行して行うことができる。
【0055】
<第三実施形態>
続いて、第三実施形態について第二実施形態との相違点を中心に説明する。第二実施形態では、1つの基本パターン内のパターン群Pとパターン群Nを副走査方向において連続して配置していた。本実施形態では
図9に示す様に、複数(2以上)の基本パターンの各パターン群Pを副走査方向において連続して配置し、かつ、各パターン群Nを副走査方向において連続して配置する。そして、連続して配置された複数のパターン群Pと、連続して配置された複数のパターン群Nとの間に、濃度補正用の検査用画像を形成する領域を設ける。なお、
図9においては4つの基本パターンを形成しているが、形成する基本パターンの数は、2以上の任意の数とすることができる。同じ形状のパターン群Pやパターン群Nを連続して配置するため、連続して配置する2つの同じパターン群の間隔を短くすることができ、第二実施形態の配置方法と比較して、濃度補正用の検査用画像を形成する領域を大きくすることができる。なお、本実施形態においても、連続して形成するパターン群Pと、連続して形成するパターン群Nは、中間転写ベルト20を略等分する位置に設ける。また、本実施形態においても感光体701の周期ムラによる動的な色ずれを相殺する様に各パターン群を配置する。なお、パターン群Pとパターン群Nの配置位置の考え方は第二実施形態と同様である。
【0056】
例えば、パターン群P1、P2、P3及びP4それぞれを、感光体701の回転位相が0度、270度、180度、90度となる位置に配置することができる。そして、パターン群N1、N2、N3及びN4それぞれを、感光体701の回転位相が45度、315度、225度、135度となる位置に配置することができる。また、形成する基本パターンの数を3とする場合、パターン群P1、P2及びP3それぞれを、感光体701の回転位相が0度、120度及び240度となる位置に配置することができる。そして、パターン群N1、N2及びN3それぞれを、感光体701の回転位相が60度、180度及び300度となる位置に配置することができる。さらに、形成する基本パターンの数を2とする場合、パターン群P1及びP2それぞれを感光体701の回転位相が0度及び180度の位置に配置し、パターン群N1及びN2それぞれを感光体701の回転位相が90度及び270度の位置に配置することができる。
【0057】
以上、本実施形態でも、複数の基本パターンの各パターン群P及びパターン群Nを感光体701の回転位相を等分した位置に配置することで周期ムラの影響を抑えて精度良く色ずれ量を判定することができる。また、本実施形態では、同じパターン群を連続して配置するため、色ずれ検出のための検査用画像の占有領域を第二実施形態より削減できる。これにより、濃度補正用の検査用画像の形成領域を大きくすることができる。
【0058】
<第四実施形態>
続いて、第四実施形態について第二実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態では、
図10に示す様に、複数の基本パターンの総てのパターン群を副走査方向に離して配置する。例えば、第二実施形態において形成する基本パターンの数を2とすると、中間転写ベルト20の周期ムラを2つの基本パターンにより相殺することになる。この場合、中間転写ベルト20の周長の1/4周期で生じる高次の色ずれ成分を相殺することができない。従って、中間転写ベルト20の周方向における反射率変動の影響がそれほど大きくない場合には、
図10の様に配置することで、中間転写ベルト20の回転周期の整数分の一の周期で生じる高次の色ずれ成分の影響を抑えることができる。なお、感光体701の周期ムラを相殺するため、パターン群P1、P2、N1及びN2を、それぞれを、感光体701の回転位相が0度、180度、90度及び270度となる位置に配置することができる。また、各パターン群の間の領域は、濃度補正用の検査用画像を形成する領域とすることができる。
【0059】
以上、本実施形態では、副走査方向において、各基本パターンの各パターン群の間に、濃度補正制御に使用できる空白領域を設ける。各パターン群を、感光体701の周期ムラと中間転写ベルト20の周期ムラを相殺する位置に配置することで、第一実施形態より少ない数の基本パターンで、中間転写ベルト20の周期ムラの高次成分を相殺することができる。
【0060】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0061】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0062】
705Y、705M、750C、705K:画像形成部、30:光学センサ、301:マイクロコンピュータ