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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】電子内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20240213BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240213BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20240213BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B1/00 530
A61B1/00 718
A61B1/00 552
A61B1/045 611
G02B23/24 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020038188
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021137355
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】萩原 雅之
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-245705(JP,A)
【文献】特開2011-217842(JP,A)
【文献】特開2008-011925(JP,A)
【文献】国際公開第2010/070791(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 - 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波画像を取得する電子内視鏡システムであって、
生体組織を撮像する撮像素子と、生体組織に超音波を付与してエコー信号を得る超音波プローブと、を先端部に有する電子内視鏡と、
前記撮像素子から出力する撮像信号を処理して、撮像画像を生成する画像処理部を有する撮像画像用プロセッサと、
前記超音波プローブから出力する前記エコー信号を処理して超音波画像を生成する超音波画像処理部と、前記エコー信号に含まれ、予め設定した閾値レベル以上の周期的に発生するノイズ成分を検出するノイズ検出部と、検出した前記ノイズ成分を抑制する処理を行うノイズ抑制部と、を有する超音波画像用プロセッサと、
を備えることを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項2】
前記ノイズ検出部は、前記ノイズ成分が周期的に発生するノイズ周期を算出し、前記ノイズ周期の最小値と最大値から周期幅を算出する周期幅検出部を備え、前記ノイズ検出部は、前記ノイズ周期と前記周期幅を利用して前記ノイズ成分を検出する、請求項1に記載の電子内視鏡システム。
【請求項3】
前記ノイズ抑制部は、検出した前記ノイズ成分の前記超音波画像中のノイズ画素位置における画素値を、前記ノイズ画素位置におけるノイズ画素以外の画素との間での増幅ゲイン値を変えるゲイン変更処理を行う、請求項1又は2に記載の電子内視鏡システム。
【請求項4】
前記ノイズ抑制部は、前記ノイズ周期および前記周期幅から前記ノイズ周期に対応する周波数帯域を求め、前記周波数帯域を用いて前記ノイズ成分を前記エコー信号から除去する帯域除去フィルタを備える、請求項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項5】
前記ノイズ抑制部は、検出した前記ノイズ成分の前記超音波画像中のノイズ画素位置における画素値を、前記ノイズ画素位置の周辺に位置する周辺画素の画素値に基づいて生成した補間画素値に置換する補正処理を行う、請求項1又は2に記載の電子内視鏡システム。
【請求項6】
前記ノイズ抑制部は、前記エコー信号の周期的に発生する前記ノイズ成分の発生周期から離間するように、前記撮像画像用プロセッサ及び前記超音波画像用プロセッサが有する複数の構成デバイスの動作周波数の少なくとも1つを変更する、請求項1~5のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項7】
前記動作周波数は、前記超音波プローブの超音波周波数、及び前記撮像素子の撮像素子動作周波数のうち少なくとも1つを含む、請求項6に記載の電子内視鏡システム。
【請求項8】
前記超音波画像用プロセッサは、アナログ信号である前記エコー信号をサンプリングによりデジタル信号に変換するA/D変換部を前記構成デバイスとして備え、
前記動作周波数は、前記A/D変換部における前記エコー信号のサンプリング周波数を含む、請求項6に記載の電子内視鏡システム。
【請求項9】
前記超音波画像用プロセッサは、前記電子内視鏡、前記撮像画像用プロセッサ及び前記超音波画像用プロセッサを駆動するためのスイッチング電源であるDC/DCコンバータを前記構成デバイスとして備え、
前記動作周波数は、前記DC/DCコンバータにおけるスイッチング周波数を含む、請求項6に記載の電子内視鏡システム。
【請求項10】
前記超音波画像用プロセッサは、外部の商用電源から受ける交流電力を直流電力に変換して、前記直流電力を前記DC/DCコンバータに供給するスイッチング電源であるAC/DCコンバータを前記構成デバイスとして備え、
前記動作周波数は、前記AC/DCコンバータにおけるスイッチング周波数を含む、請求項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項11】
前記DC/DCコンバータ及び前記AC/DCコンバータは、直流電力を供給する蓄電池を備え、
前記ノイズ抑制部は、前記ノイズ成分の検出時、前記DC/DCコンバータ及び前記AC/DCコンバータから前記蓄電池に切り替える、請求項10に記載の電子内視鏡システム。
【請求項12】
前記電子内視鏡システムは、前記電子内視鏡を体腔内に挿入したときに、磁気を利用して前記電子内視鏡の位置を特定する電子内視鏡位置測定装置を備え、
前記電子内視鏡位置測定装置は、前記電子内視鏡に巻回された送信コイルの駆動部と、前記電子内視鏡を体腔内に挿入したときに、前記送信コイルからの信号を利用して電子内視鏡の位置を特定する位置特定部を備え、
前記ノイズ抑制部は、前記ノイズ成分の検出時、発生する前記送信コイルの動作周波数を変更する、あるいは前記磁気の発生を停止する、請求項1~11のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項13】
前記ノイズ検出部は、
前記ノイズ成分のない教師用超音波画像と、前記ノイズ成分のある教師用超音波画像とを教師データとして前記ノイズ成分の有無を予め機械学習したノイズ成分推論モデルを作成し、
前記ノイズ成分推論モデルに、前記画像処理部で生成される前記超音波画像を入力することにより、前記ノイズ成分の有無を判定する、請求項1に記載の電子内視鏡システム。
【請求項14】
前記ノイズ抑制部は、
前記電子内視鏡、前記撮像画像用プロセッサあるいは前記超音波画像用プロセッサの動作環境情報及び前記超音波画像の特徴量と、前記動作環境情報に対応して前記ノイズ成分を抑制するための対応策が有効か無効かに関する情報との関係を機械学習したノイズ対策推論モデルを作成し、
前記ノイズ検出部で、新たに生成された超音波画像に前記ノイズ成分を検出した時、前記超音波画像の特徴量を抽出し、作成した前記ノイズ対策推論モデルに、前記ノイズ成分を検出した時の前記動作環境情報及び抽出した前記特徴量を入力することにより、前記ノイズの抑制に有効な対応策を設定する、請求項13に記載の電子内視鏡システム。
【請求項15】
前記動作環境情報は、前記撮像画像用プロセッサ及び前記超音波画像用プロセッサが有する複数の構成デバイスの動作周波数を含む、請求項14に記載の電子内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波画像を取得する電子内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人体内部の生体組織の観察や治療に電子内視鏡システムが使用されている。電子内視鏡システムは、生体組織の画像として、撮像素子を用いて被検体の光学観察像を取得することに加えて、超音波プローブを備える超音波内視鏡では、超音波画像(超音波断層像)を得ることができる。超音波内視鏡と接続したプロセッサは、超音波診断装置として機能して、検査や診断を行う。以下、撮像素子及び超音波プローブを備える内視鏡を超音波内視鏡(あるいは電子内視鏡)という。
【0003】
超音波内視鏡は、撮像素子と超音波プローブを備え、超音波内視鏡からプロセッサに延びる可撓管内には、挿入部の先端に設けた撮像素子と、プロセッサに接続するコネクタとの間を接続する撮像信号用伝送線が配設され、撮像信号用伝送線を通じて撮像信号が伝送される。また、上記可撓管内には、挿入部の先端に設けた超音波プローブと、プロセッサに接続するコネクタとの間を接続する超音波信号用伝送線が配設され、超音波信号線を通じて超音波信号が伝送される。
【0004】
超音波による検査や診断を行う際には、プロセッサから超音波プローブに電力供給を行い、超音波プローブは生体組織に超音波を送信して反射波を受信する。超音波プローブで受信した反射波は、エコー信号に信号化され、エコー信号は、超音波信号用伝送線を通じてプロセッサに送られ、プロセッサで信号処理を行って超音波画像となる。
【0005】
プロセッサは、超音波内視鏡からの送信信号(超音波信号、撮像信号)を用いてデータ処理を行う信号処理部、画像表示を制御する制御部等の他、スイッチング電源を備える。スイッチング電源は、超音波内視鏡及びプロセッサ内の各構成デバイスを動作させるための必要な電圧を生成し供給する。プロセッサは、撮像画像や超音波画像を表示するためのモニタと接続される。
【0006】
超音波プローブのエコー信号に基づいて得られモニタに表示される超音波画像には、超音波内視鏡あるいはプロセッサ内で発生するノイズやAC電源に重畳されて外部から進入するノイズがノイズ成分として混入する場合がある。このノイズ成分は、例えば、スイッチング電源のスイッチングに起因したノイズ成分、あるいは、上記伝送線間の相互干渉に起因したノイズ成分を含む。例えば、可撓管内では、撮像信号用伝送線と超音波信号用伝送線とが近接して設けられているため、伝送線間の静電結合あるいは電磁結合が強くなり、撮像素子を制御するパルス制御信号等が、超音波プローブや超音波信号用伝送線に干渉してエコー信号にノイズ成分が混入する。
【0007】
さらに、超音波画像には、アーチファクト(実際には存在しない虚像)と呼ばれる超音波特有のノイズが発生する場合もある。超音波を発生させて、生体内から反射したエコーを受信してエコー信号を得るが、サイドロープアーチファクト、グレーティングローブや多重反射等の原因により虚像、即ちアーチファクトがノイズとなって発生する。また、スイッチング電源で発生する高周波ノイズが超音波信号の受信信号に重畳することで、超音波診断画像で生成される超音波画像にアーチファクトが表れる場合もある。
【0008】
これらの超音波画像内のノイズ成分に対して、特許文献1ではDC/DCコンバータの動作に起因する周期的なノイズを除去できる超音波画像用プロセッサを開示している。電源入力部から電源を入力し、定電圧の電源を出力する主コンバータと、この定電圧の電源を入力し、超音波画像用プロセッサを構成する回路に電源を出力する複数の従コンバータとを備え、主コンバータ及び従コンバータのスイッチング動作を同期させることにより、スパイクノイズを減らしている。
【0009】
特許文献2は、超音波画像上に表れるスイッチングノイズの増加を抑制するために、スイッチング電源のスイッチング周波数を、予め設定された変更幅ずつ変更する方法を開示している。スイッチング周波数が、スキャンを実行する際に超音波パルスを送信する周波数であるパルス繰返し周波数の整数倍になると、B(Brightness)モードスキャン又はM(Motion)モードスキャンの実行により生成される超音波画像データに基づく超音波画像上に、スイッチングに起因するスイッチングノイズが表れるからである。
【0010】
特許文献3は、画像生成部と、検出部と、制御部とを具備し、検出部で外部装置又は超音波プローブからの出力の時間方向における特異な変化を検出すると、制御部は、検出部による特異な変化の検出に応じて、表示部に表示されている超音波画像と実質的に同じ位置の医用画像を含む参照画像を表示部に表示し、ノイズを除去する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2014-003801号公報
【文献】特開2019-076707号公報
【文献】特開2017-080040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
超音波内視鏡及びプロセッサを備える電子内視鏡システムでは、より精度の高い診断のためにノイズ成分に埋もれ易いエコー信号を精度よく取り出し、画像化することが好ましい。さらに、超音波内視鏡が体腔内に挿入される患者の肉体的負担を軽くするために、今後さらなる可撓管の細径化が求められる。従来の伝送線のシールド構造でノイズの進入を抑えていた超音波信号用伝送線及び撮像信号用伝送線では、細径化によるシールド構造の制約によりシールド性能の低下を余儀なくされ、ノイズ成分が発生し易くなる。
【0013】
また、超音波内視鏡及びプロセッサを駆動するための電力源であるAC電源に外部からノイズが重畳した場合は、電源回路やフィルタ回路によりある程度は低減されるが、ノイズレベルが大きい場合や、EMIノイズ等が意図しないルートでエコー信号に重畳した場合は、超音波画像のノイズ成分となり画質の低下を招く。さらには高精細化のために、微小なエコー号の検出も要求され、超音波画像のノイズ成分をいかに抑制するかが大きな課題となっている。
【0014】
本発明は、超音波プローブを用いて超音波画像を取得する際、超音波画像に含まれる周期的に発生するノイズ成分を効率よく検出してノイズ成分の抑制を行い、精度の高い超音波画像を生成することができる電子内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様は、超音波画像を取得する電子内視鏡システムであって、
生体組織を撮像する撮像素子と、生体組織に超音波を付与してエコー信号を得る超音波プローブと、を先端部に有する電子内視鏡と、
前記撮像素子から出力する撮像信号を処理して、撮像画像を生成する画像処理部を有する撮像画像用プロセッサと、
前記超音波プローブから出力する前記エコー信号を処理して超音波画像を生成する超音波画像処理部と、前記エコー信号に含まれ、予め設定した閾値レベル以上の周期的に発生するノイズ成分を検出するノイズ検出部と、検出した前記ノイズ成分を抑制する処理を行うノイズ抑制部と、を有する超音波画像用プロセッサと、
を備えることを特徴とする。
【0016】
前記ノイズ検出部は、前記ノイズ成分が周期的に発生するノイズ周期を算出し、前記ノイズ周期の最小値と最大値から周期幅を算出する周期幅検出部を備え、前記ノイズ検出部は、前記ノイズ周期と前記周期幅を利用して前記ノイズ成分を検出する、ことが好ましい。
【0017】
前記ノイズ抑制部は、検出した前記ノイズ成分の前記超音波画像中のノイズ画素位置における画素値を、前記ノイズ画素位置におけるノイズ画素以外の画素との間での増幅ゲイン値を変えるゲイン変更処理を行う、ことが好ましい。
【0018】
前記ノイズ抑制部は、前記ノイズ周期および前記周期幅から前記ノイズ周期に対応する周波数帯域を求め、前記周波数帯域を用いて前記ノイズ成分を前記エコー信号から除去する帯域除去フィルタを備える、ことが好ましい。
【0019】
前記ノイズ抑制部は、検出した前記ノイズ成分の前記超音波画像中のノイズ画素位置における画素値を、前記ノイズ画素位置の周辺に位置する周辺画素の画素値に基づいて生成した補間画素値に置換する補正処理を行う、ことが好ましい。
【0020】
前記ノイズ抑制部は、前記エコー信号の周期的に発生する前記ノイズ成分の発生周期から離間するように、前記撮像画像用プロセッサ及び前記超音波画像用プロセッサが有する複数の構成デバイスの動作周波数の少なくとも1つを変更する、ことが好ましい。
【0021】
前記動作周波数は、前記超音波プローブの超音波周波数、及び前記撮像素子の撮像素子動作周波数のうち少なくとも1つを含む、ことが好ましい。
【0022】
前記超音波画像用プロセッサは、アナログ信号である前記エコー信号をサンプリングによりデジタル信号に変換するA/D変換部を前記構成デバイスとして備え、
前記動作周波数は、前記A/D変換部における前記エコー信号のサンプリング周波数を含む、ことが好ましい。
【0023】
前記超音波画像用プロセッサは、前記電子内視鏡、前記撮像画像用プロセッサ及び前記超音波画像用プロセッサを駆動するためのスイッチング電源であるDC/DCコンバータを前記構成デバイスとして備え、
前記動作周波数は、前記DC/DCコンバータにおけるスイッチング周波数を含む、ことが好ましい。
【0024】
前記超音波画像用プロセッサは、外部の商用電源から受ける交流電力を直流電力に変換して、前記直流電力を前記DC/DCコンバータに供給するスイッチング電源であるAC/DCコンバータを前記構成デバイスとして備え、
前記動作周波数は、前記AC/DCコンバータにおけるスイッチング周波数を含む、ことが好ましい。
【0025】
前記DC/DCコンバータ及び前記AC/DCコンバータは、直流電力を供給する蓄電池を備え、
前記ノイズ抑制部は、前記ノイズ成分の検出時、前記DC/DCコンバータ及び前記AC/DCコンバータから前記蓄電池に切り替える、ことが好ましい。
【0026】
前記電子内視鏡システムは、前記電子内視鏡を体腔内に挿入したときに、磁気を利用して前記電子内視鏡の位置を特定する電子内視鏡位置測定装置を備え、
前記電子内視鏡位置測定装置は、前記電子内視鏡に巻回された送信コイルの駆動部と、前記電子内視鏡を体腔内に挿入したときに、前記送信コイルからの信号を利用して電子内視鏡の位置を特定する位置特定部を備え、
前記ノイズ抑制部は、前記ノイズ成分の検出時、発生する前記送信コイルの動作周波数を変更する、あるいは前記磁気の発生を停止する、ことが好ましい。
【0027】
前記ノイズ検出部は、
前記ノイズ成分のない教師用超音波画像と、前記ノイズ成分のある教師用超音波画像とを教師データとして前記ノイズ成分の有無を予め機械学習したノイズ成分推論モデルを作成し、
前記ノイズ成分推論モデルに、前記画像処理部で生成される前記超音波画像を入力することにより、前記ノイズ成分の有無を判定する、ことが好ましい。
【0028】
前記ノイズ抑制部は、
前記電子内視鏡、前記撮像画像用プロセッサあるいは前記超音波画像用プロセッサの動作環境情報及び前記超音波画像の特徴量と、前記動作環境情報に対応して前記ノイズ成分を抑制するための対応策が有効か無効かに関する情報との関係を機械学習したノイズ対策推論モデルを作成し、
前記ノイズ検出部で、新たに生成された超音波画像に前記ノイズ成分を検出した時、前記超音波画像の特徴量を抽出し、作成した前記ノイズ対策推論モデルに、前記ノイズ成分を検出した時の前記動作環境情報及び抽出した前記特徴量を入力することにより、前記ノイズの抑制に有効な対応策を設定する、ことが好ましい。
【0029】
前記動作環境情報は、前記撮像画像用プロセッサ及び前記超音波画像用プロセッサが有する複数の構成デバイスの動作周波数を含む、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
上述の電子内視鏡システムによれば、超音波プローブを用いて超音波画像を取得する際、超音波画像に含まれる周期的に発生するノイズ成分を効率よく検出してノイズ成分の抑制を行い、高品質の超音波画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】一実施形態の電子内視鏡システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
図2】一実施形態の電子内視鏡システムで用いる超音波プローブを備えた電子内視鏡の一例を説明する図である。
図3】一実施形態の電子内視鏡システムで用いる電子内視鏡及び撮像画像用プロセッサの概略構成の一例を示すブロック図である。
図4】(A)~(C)は、一実施形態の電子内視鏡システムにおける超音波画像の画像形成原理を説明する図である。
図5】超音波画像を取得する際のエコー信号がBモードの超音波画像として表示されるまでの信号処理の一例を説明する図である。
図6】(A)、(B)は、図5(A)で示したAモードのエコー信号が増幅回路及び積分回路を通過した後のエコー信号及び輝度変調された輝度の一例を示す図である。
図7】一実施形態の電子内視鏡システムで得られるBモードの超音波画像の一例を示す図である。
図8】一実施形態の電子内視鏡システムで得られるBモードの超音波画像における超音波ビームのスキャン位置とノイズ成分の発生部の例を示す図である。
図9】一実施形態の電子内視鏡システムで得られるBモードの超音波画像に表れるノイズ成分の発生周波数の例を説明する図である。
図10】一実施形態の電子内視鏡システムで得られる超音波画像に表れる周期性のあるノイズ成分のパワースペクトルの例を模式的に示す図である。
図11】一実施形態の電子内視鏡システムで用いる複数のスイッチング電源のノイズがエコー信号に重畳された例を示す図である。
図12】一実施形態の電子内視鏡システムで用いる電子内視鏡挿入部でのノイズ要因の例を説明する図である。
図13】一実施形態の電子内視鏡システムで周期的に発生するノイズ成分が重畳されたエコー信号の例を示す図である。
図14】一実施形態の電子内視鏡システムで用いる帯域除去フィルタによるノイズ抑制部の一例を説明する図である。
図15】一実施形態の電子内視鏡システムにおいてエコー信号をフィルタリングする全フィルタの周波数特性の一例を示す図である。
図16】一実施形態の電子内視鏡システムで得られる周期的に発生するノイズを含むエコー信号が帯域除去フィルタを通過した後のデジタルエコー信号と輝度の例を示す図である。
図17】一実施形態の電子内視鏡システムにおいてBモード画像として得られた超音波画像からノイズ画素を除去して補間処理を行うノイズ抑制部の一例を説明する図である。
図18】一実施形態の電子内視鏡システムにおいてスイッチング電源と蓄電池を併設して、切替手段を設けた一例を示す図である。
図19】(A)、(B)は、一実施形態の電子内視鏡システムにおいてコンバータを、併設されている蓄電池への充電専用電源として用いた例を示す図である。
図20】一実施形態の電子内視鏡システムで用いる電子内視鏡位置測定装置の一例の概略を示す図である。
図21】一実施形態の電子内視鏡システムにおいてAI(人工知能)による学習と周期的に発生するノイズ成分の有無の判断をおこなうプロセスの例を説明する図である。
図22】一実施形態の電子内視鏡システムにおいてAIによる有効なノイズ対応策を推論する例を説明する図である。
図23】一実施形態の電子内視鏡システムにおいて行うノイズ補正の動作フローの一例を示す図である。
図24】一実施形態の電子内視鏡システムにおいて行う人口知能(AI)によるノイズ補正の動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(電子内視鏡システムの全体構成)
図1は、一実施形態の電子内視鏡システムの全体構成を示すブロック図である。超音波画像を取得する電子内視鏡システム10は、電子内視鏡12と、撮像画像用プロセッサ22と、超音波画像用プロセッサ30と、を備える。
【0033】
電子内視鏡12は、生体組織を照射する照明部14と、生体組織を撮像する撮像素子16と、撮像素子16で撮像された信号を前処理するドライバ信号処理部18と、生体組織に超音波を付与してエコー信号を得る超音波プローブ20とを備える。超音波プローブ20は、超音波を出力する複数のプローブ要素が所定の方向に配列した各プローブ要素が所定の時間差をもって超音波を出力することにより、種々の方向に沿ったエコー信号を取得することができるフェーズドアレイ方式のプローブである。
【0034】
ドライバ信号処理部18には、生体組織の画像信号が撮像素子16より所定のフレーム周期で入力され、撮像画像用プロセッサ22のシステムコントローラ102や撮像画像処理部26へ出力する。フレーム周期は、例えば、1/30秒、1/60秒である。
【0035】
ドライバ信号処理部18はまた、メモリ92にアクセスして電子内視鏡12の固有情報を読み出す。メモリ92に記録される電子内視鏡12の固有情報には、例えば、撮像素子16の画素数や感度、動作可能なフレームレート、型番等が含まれる。
【0036】
撮像画像用プロセッサ22は、照明部14に光源を伝送する光源部24と、撮像素子16から出力される撮像信号を処理して撮像画像を生成する撮像画像処理部26を備える。
【0037】
超音波画像用プロセッサ30は、超音波プローブ20への駆動信号を送信し、エコー波を受信する送受信部38と、超音波プローブ20からのエコー信号を処理して超音波画像を生成する超音波画像処理部32と、エコー信号に含まれ、予め設定した閾値レベル以上の周期的に発生するノイズ成分を検出するノイズ検出部34と、検出したノイズ成分を抑制する処理を行うノイズ抑制部36と、を備える。
【0038】
超音波画像処理部32は、デジタルエコー信号に基づいて、例えば輝度変調により濃淡画像データとして所定の演算が施され、一方向に沿った一次元のBモード画像を生成する。さらに、超音波画像処理部32は、フェーズドアレイ方式の超音波プローブ20から得られるエコー信号に基づいて生成される複数の方向に沿った一次元のBモード画像を、フェーズドアレイの走査に合わせて所定の方位方向に沿って配置することにより、1つの二次元のBモード画像を作成する。さらに、作成された画像にゲイン処理、コントラスト処理等の公知の技術を用いた画像処理をおこなうとともに、超音波画像表示部46における画像の表示レンジに対応した階調処理を行う。
【0039】
超音波画像用プロセッサ30は、生成した超音波画像の表示とタッチパネル方式で入力可能な入力機能とを有する表示部46を備えている。さらに、超音波画像用プロセッサ30は、超音波画像用プロセッサ30の操作を行う入力部42と、電源部44と、AC電源入力部48を備える。
【0040】
入力部42は、キーボード、マウス、タッチパネル等を用いて、各種情報の入力を受け付ける。超音波画像表示部46は、生成された超音波画像を含む各種情報を表示する。電源部44は、超音波画像用プロセッサ30の他、電子内視鏡12と撮像画像用プロセッサ22を駆動するための電力を供給する。電源部44は、例えば、スイッチング電源であるDC/DCコンバータを構成デバイスとして備え、DC/DCコンバータにおけるスイッチング周波数により直流電圧を生成している。DC/DCコンバータは複数個備えられており、入力の直流電圧を各DC/DCコンバータで所望の直流電圧に変換し、各デバイスに電力を供給する。
【0041】
ノイズ検出部34は、エコー信号に予め設定した閾値レベル以上の周期的に発生するノイズ成分が含まれているか否かを検出する。ノイズ成分の検出方法は、特に制限されないが、例えば、ノイズ成分が周期的に発生するノイズ周期を算出し、ノイズ周期の最小値と最大値から周期幅を算出する周期幅検出部を備え、ノイズ検出部は、ノイズ周期と周期幅を利用してノイズ成分を検出することが好ましい。
【0042】
ノイズ検出部34は、さらに、FFT(Fast Fourier Transform)を利用した周波数分析を行うことにより、設定された閾値レベル以上のスペクトルピークが存在するか否かを判定してもよい。生体組織の境界面で反射するエコー信号は、周期性を有さないため、スペクトルピークが存在することは少なく、このため、スペクトルピークは、周期的に発生するノイズ成分のピークである可能性が高い。
【0043】
ノイズ抑制部36は、検出したノイズ成分を抑制するための処理を行う。ノイズ成分の抑制は、超音波プローブ20でエコー信号を出力する際に、周期的に発生するノイズ成分の発生が抑制されるように、電子内視鏡システム10の各デバイスの動作を変更する処理を設定すること、及び、超音波画像処理部32で作成された二次元のBモード画像に対して補間処理を行うこと、を含む。各デバイスの動作を変更する処理、及び、二次元のBモード画像に対しての補間処理については後述する。
【0044】
(電子内視鏡)
図2は、一実施形態の電子内視鏡システムで用いる超音波プローブを備えた電子内視鏡の一例を説明する図である。
【0045】
電子内視鏡12は、操作部52と、先端部56及び主に内部に軟性部58を備えた挿入部54と、ライトガイドケーブルを内部に備えた可撓性ケーブル60と、スキャナコネクタケーブル62と、コネクタ64と、スキャナコネクタ66と、を備える。
【0046】
先端部56は、生体組織を検査するセンサであり、撮像素子部68、射出端面70及び超音波プローブ20を備える。超音波プローブ20には、プローブ要素として複数の超音波振動子、例えば圧電素子をアレイ状に配列した振動子アレイを有している。これらの振動子は、それぞれ駆動信号に従って超音波を送信すると共に被検体からの反射波を受信してアナログの受信信号を出力する。各振動子は、例えば、圧電セラミックであるPZT(Lead Zirconate Titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)や、高分子圧電素子であるPVDF(Poly Vinylidene Di Fluoride:ポリフッ化ビニリデン)等からなる圧電体の両端に電極を形成した素子を用いて構成される。
【0047】
先端部56の撮像素子部68には、対物レンズと撮像素子16が設けられている。対物レンズは、照明光により照射された生体組織からの戻り光を、撮像素子16の受光面上で結像させる。撮像素子16は、例えば、ベイヤ型画素配置を有する単板式カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。単板式カラーCCDイメージセンサは、受光面上の各画素で結像した光学像を光量に応じた電荷として蓄積して、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の色成分に対応した画像信号を生成して出力する。撮像素子16は、CCDイメージセンサに限らず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやその他の種類の撮像装置を用いることもできる。撮像素子16はまた、補色系フィルタを搭載したものであってもよい。
【0048】
先端部56にある射出端面70からは、入射された照明光が、配光レンズを通して射出される。照明光は、ライトガイド94を介して、電子内視鏡12の照明部14に入射される。
【0049】
先端部56の外側部分は硬質樹脂で構成されている。撮像素子部68には、撮像素子16と撮像素子16による撮像のための対物レンズや照明レンズ等(図示略)が設けられている。
【0050】
さらに、先端部56は、液体あるいは気体を吐出するあるいは吸引する送気・送水ノズル72を備える。送気・送水ノズル72は、撮像素子16に付随した対物レンズ及び照明レンズの表面を洗浄する水等の液体を吐出したり、対物レンズ及び照明レンズの表面に残存する液体や異物を除去するために空気等の気体を吐出したりする。また、先端部56には、液体を充填して生体組織に接触させて超音波診断を行うために用いるバルーン(図示略)が装着されるようになっており、バルーン注水口88とバルーン吸水口90が設けられている。さらに、先端部56には、可撓性を有する穿刺針(図示略)を生体組織に接触させるための鉗子起上台76が設けられ、この鉗子起上台76を通して生体組織上の液体や気体の吸引を行なう開口も設けられている。
【0051】
挿入部54には、上下方向及び左右方向に湾曲する湾曲部78が設けられている。湾曲部78より基端側(操作部42の側)の部分は自重や施術者の操作に追従して屈曲することができる可撓性のある軟性部58となっている。
【0052】
軟性部58は、湾曲部78と操作部52の間に設けられ、先端部56に設けられるセンサの信号線、及び、上記開口から気体あるいは流体が流れる複数の個別流路がその内部に設けられている。これらの個別流路は、管、チューブ、あるいは長孔により形成されている。
【0053】
操作部52と先端部56の側には、可撓性を備え、穿刺針を挿入するための処置具挿入口突起80と鉗子起上ワイヤ洗浄口74が突設している。処置具挿入口突起80の端部開口にはキャップが着脱可能に取り付けてある。挿入部44の内部には、処置具挿入口突起80から先端部56側に向かって延び、かつ可撓性を有する処置具挿通兼吸引管が設けられている。処置具挿通兼吸引管は、鉗子起上台76で開口している。処置具挿入口突起80から処置具挿通兼吸引管に挿入された穿刺針は、鉗子起上台76にある処置具挿通兼吸引管の先端開口から外側に突出可能であり、先端開口から突出させて生体組織を触診するために用いられる。
【0054】
操作部52は、流路切換スイッチの複数の操作ボタン84を備え、コネクタ64から可撓性ケーブル60内を延びる、流体が流れる共通流路がその内部に設けられている。湾曲操作レバー82は、湾曲部78を、上下方向及び左右方向に湾曲させるために、術者が操作するレバーである。湾曲操作レバー82の回転操作に応じて湾曲部78が上下方向及び左右方向に湾曲する。
【0055】
可撓性ケーブル60は、電子内視鏡用プロセッサ22に接続するコネクタ64と操作部52を接続する。コネクタ64には、流体の供給あるいは吸引を行うための共通流路の開口ポートも設けられている。
【0056】
コネクタ64は、光源差込部86を有し、撮像画像用プロセッサ22に接続される。撮像画像用プロセッサ22にある光源ユニットで生成された照明光は、コネクタ64から、可撓性ケーブル60、操作部52、及び挿入部54内のライトガイドケーブル内を通り先端部56に向けて伝送される。さらに、コネクタ6からは、撮像画像用プロセッサ22から可撓性ケーブル60内の信号線を介して撮像素子16へ駆動信号が送られる。撮像素子16で撮像した画像信号は、可撓性ケーブル60、操作部52、及び挿入部54内の信号線を介して撮像画像用プロセッサ22へ送られる。
【0057】
スキャナコネクタ66は、超音波画像用プロセッサ30に接続され、超音波プローブ20でスキャンしたエコー信号を、スキャナコネクタケーブル62を介して超音波画像処理部32に送る。超音波画像処理部32は、エコー信号を処理して、検査対象の生体組織の診断用画像を生成し、生成した画像を表示部46に表示する。さらに、スキャナコネクタケーブル62は、超音波画像用プロセッサ30から、超音波プローブ20の駆動信号を、超音波プローブ64の圧電素子へ送信する。圧電素子は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換でき、電圧変化による伸縮で超音波を発生する。
【0058】
コネクタ64は、ドライバ信号処理部18に接続される。ドライバ信号処理部18には、撮像素子16より生体組織の画像信号が所定のフレーム周期で入力され、撮像画像用プロセッサ22のシステムコントローラや撮像画像処理部26へ出力される。フレーム周期は、例えば、1/30秒、1/60秒である。
【0059】
(電子内視鏡用プロセッサ)
図3は、一実施形態の電子内視鏡システムで用いる電子内視鏡及び撮像画像用プロセッサの概略構成の一例を示すブロック図である。撮像画像用プロセッサ22は、制御用のシステムコントローラ102及びタイミングコントローラ100を備えている。システムコントローラ102は、メモリ104に記憶された各種プログラムを実行し、電子内視鏡システム10全体を統合的に制御する。また、システムコントローラ102は、操作パネル96に接続されている。
【0060】
システムコントローラ102は、操作パネル96より入力されるオペレータからの指示に応じて、電子内視鏡システム10の各動作、各動作のためのパラメータを変更する。オペレータによる入力指示には、電子内視鏡システム10の動作モードの切り替え指示等が含まれる。一実施形態によれば、動作モードとして、通常モードと特殊モードがある。タイミングコントローラ100は、各部の動作のタイミングを調整するクロックパルスを電子内視鏡システム10内の各部分に出力する。
【0061】
光源部96は、ライトガイド94を通して、電子内視鏡12の照明部14へ照明光を伝送する。光源には、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ等の高輝度ランプが用いられる。光源より伝送された照明光は、図示されない集光レンズによって集光され、絞りを介して適正な光量に制限される。絞りには、図示されないアームやギヤ等の伝達機構を介してモータが機械的に連結している。絞りは、撮像画像表示部28の表示画面に表示される映像を適正な明るさにするため、開度が変えられる。
【0062】
絞りを通過した照明光は、ライトガイド94を介して、電子内視鏡12の照明部14に入射される。入射された照明光は、配光レンズを通して先端部56にある射出端面70より射出される。
【0063】
光源部96の光源は、白色光を射出する白色光源に替えて、所定の波長域の光を発光する発光ダイオードやレーザーダイオードの半導体発光素子を用いてもよい。
【0064】
システムコントローラ102は、電子内視鏡12の固有情報に基づいて各種演算を行い、制御信号を生成する。システムコントローラ102は、生成された制御信号を用いて、撮像画像用プロセッサ22に接続されている電子内視鏡12に適した処理がなされるように撮像画像用プロセッサ22内の各種回路の動作やタイミングを制御する。システムコントローラ102は、ドライバ信号処理部18で読み出されたメモリ92の固有情報を取得する。
【0065】
タイミングコントローラ100は、システムコントローラ102によるタイミング制御に従って、ドライバ信号処理部18にクロックパルスを供給する。ドライバ信号処理部18は、タイミングコントローラ100から供給されるクロックパルスに従って、撮像素子16を撮像画像用プロセッサ22側で処理される映像のフレームレートに同期したタイミングで駆動制御する。
【0066】
撮像画像用プロセッサ22は、撮像画像処理部26を備えている。撮像画像処理部26は、システムコントローラ102が、メモリ104に記録されたプログラムを読み出して実行することにより機能を発揮する。したがって、撮像画像処理部26は、システムコントローラ102と一体となって機能するため、システムコントローラ102内に設けてもよい。
【0067】
撮像画像処理部26には、前段信号処理回路が設けられており、ドライバ信号処理部18よりフレーム周期で入力されるR、G、Bの各画像信号に対してデモザイク処理を施す。具体的には、Rの各画像信号についてG、Bの周辺画素による補間処理が施され、Gの各画像信号についてR、Bの周辺画素による補間処理が施され、Bの各画像信号についてR、Gの周辺画素による補間処理が施される。これにより、画像信号が全て、R、G、Bの3つの色成分の情報を持つ画像データに変換される。さらに、前段信号処理回路は、色補正、マトリックス演算、及びホワイトバランス補正等の周知の処理を施す。
【0068】
撮像画像処理部26は、後段信号処理回路を備えてもよい。後段信号処理回路は、画像データに所定の信号処理を施して動画データを生成し、所定のビデオフォーマット信号に変換する。変換されたビデオフォーマット信号は、表示部38で動画の表示のために用いられる。これにより、生体組織の動画が表示画面に表示される。
【0069】
(超音波画像用プロセッサの撮影モード)
超音波画像用プロセッサ30の撮影モードは、Aモード、及びBモードを少なくとも含む。Aモードは、被検体内の所定の方向におけるエコー信号を時間軸上に振幅情報を表示するモードである。Bモードは、被検体内の組織の形状を表す所定の方向に沿った一次元の画像あるいは二次元の画像を生成し表示するモードである。
【0070】
図4(A)~(C)は、一実施形態の電子内視鏡システムにおける超音波画像の画像形成原理を説明する図である。超音波を利用した画像形成は、超音波パルス反射法を基礎にしている。図4(A)は、生体内で超音波プローブ12から超音波ビームを発生している状態である。超音波ビームは、超音波プローブ12から、例えば10MHz前後の超音波をパルス状に生体内に放射される。放射された超音波は、生体内での体内組織の音響インピーダンスの差により反射波となり、再度超音波プローブ12で受信される。この反射波は、エコー信号となる。
【0071】
電子内視鏡12での超音波ビームのスキャンは、フェーズドアレイ方式によるセクタスキャンであり、このセクタスキャンにより、所定の方向に沿ったエコー信号を得ることができる。図5(B)には、Aモードの表示によるエコー信号の一例が示されている。Aモードでは、横軸に時間、縦軸に反射強度(振幅)を採り、エコー信号が表示される。時間は生体深度を表し、体内組織及び体内組織間の距離となる。
【0072】
このAモードのエコー信号の波形を、図4(C)に示すように、反射強度に応じて輝度変調して輝度に変換し、輝度により断層像を濃淡画像として表わすのがBモードである。超音波画像用プロセッサ30の撮影モードは、この他に、周知のMモード、ドプラモードを含んでもよい。
【0073】
図5は、従来用いられている、超音波画像を取得する際のエコー信号が、Bモードの超音波画像として表示されるまでの信号処理の一例を説明する図である。超音波プローブ12で得られるエコー信号は、増幅回路120で増幅され、積分回路122で積分され高調波ノイズが除去される。増幅回路120と積分回路122は、一体化した反転増幅型積分回路により、増幅機能とローパスフィルタ機能を備えてもよい。次に、アナログ信号であるエコー信号は、A/D変換器124でクロック信号126によるサンプリング周期でデジタル化され、デジタルエコー信号となる。
【0074】
デジタルエコー信号は、輝度変調部128で、反射強度に応じて輝度変調して輝度に変換される。輝度に変換されたデジタルエコー信号は、超音波画像生成部130において画像処理され二次元のBモードの断層像となる。このデジタル画像信号をD/A変換器132でアナログ信号に変換し、超音波画像表示部46でBモードの断層像として表示される。
【0075】
図6(A)、(B)は、図4(A)で示したAモードのエコー信号が、増幅回路120及び積分回路122を通過した後のエコー信号及び輝度信号の一例を示す図である。図6(A)に示すように、図4(A)で示したAモードのエコー信号は、高周波ノイズが除去されている。このAモードのエコー信号は、図6(B)に示すように、高周波ノイズが除去された輝度信号となる。このように、従来の超音波画像のノイズ処理は、基本的には図5で示した増幅回路120と積分回路122、或はこれらを一体化した反転増幅回路により行われる。なお、A/D変換器124のクロック信号126によるサンプリング周波数の1/2以上の周波数は、サンプリングによるデジタル化されない周波数であり、A/D変換器124も一種のローパスフィルタとなる。
【0076】
(周期的に発生するノイズ成分)
図7は、一実施形態の電子内視鏡システムで得られるBモードの超音波画像の一例を示す図である。セクタスキャンによる扇型の部分が超音波画像であり、上部の白い部分が超音波プローブ12の駆動信号に相当する。この例では、矢印で示したように、放射状に延びる白い湾曲した曲線が現れており、周期(厳密には、ある範囲内で変動する周期)を持ったノイズ成分となっている。
【0077】
図8は、一実施形態の電子内視鏡システムで得られるBモードの超音波画像における超音波ビームのスキャン位置と、ノイズ成分の発生部の例を示す図である。スキャン位置が相違するスキャンA、スキャンBとスキャンCにおけるノイズの発生部をマル印で示している。例えば、スキャンBにおいてノイズの発生する位置は4か所であり、その時間間隔をT1、T2、T3とすると、T1、T2、T3はある幅を持って発生している。時間間隔T1、T2、T3は、一定ではなく、ある範囲内の時間間隔である。
【0078】
さらにスキャンAとスキャンCにおけるノイズの発生の時間間隔も、スキャンB同様に、一定ではなく、ある範囲内の時間間隔で発生していることが分かる。従って、放射状の湾曲曲線として表れるノイズ成分はスキャンにおいて、ある範囲内の周期幅を持つ。すなわち、周波数領域ではある周波数帯域の中で周期的に発生する周期ノイズ成分と考えられる。
【0079】
図9は、一実施形態の電子内視鏡システムで得られるBモードの超音波画像に表れるノイズ成分の発生周波数の例を説明する図である。ノイズ成分を表す高輝度点の間隔xを測定すると、5.3cmが得られる。生体内の音速をvとすると、ノイズ周波数fnは、fn=v/2xで表すことができる。音速vを例えば1540m/sとすると、ノイズ成分の発生周波数fnは14.5kHzとなる。この周波数は、積分回路122あるいは反転増幅型積分回路におけるローパスフィルタの周波数特性の通過帯域になり、従来のノイズ処理では対応できない。なお、音速は生体組織に依存し、例えば、血液は1570m/s、脂肪は1450m/s、腎臓は1560m/s、筋肉は1590m/sである。平均的には1540m/sとなる。
【0080】
図10は、一実施形態の電子内視鏡システムで得られる超音波画像に表れる周期性のあるノイズ成分のパワースペクトルの例を模式的に示す図である。ノイズ成分の発生周期は一定ではなく、ある範囲の周期幅も持って変動しており、これにともない周波数領域におけるパワースペクトルのピーク位置もある帯域幅の範囲内で変動している。測定されるノイズ成分の最小周期の最小周期をTminと最大周期をTmaxとすると、図10で示すように、パワースペクトルは、最小周波数1/Tmaxと最大周波数1/Tminの間で変動している。
【0081】
周期的に発生するノイズ成分として図7に示した超音波画像のノイズ周波数fnは、一例として計算した値は、14.5kHzであった。この周波数は、電子内視鏡22や超音波画像用プロセッサ30で使用される信号が数MHzであり、スイッチング電源のスイッチング周波数も数百KHz以上であるのに対してかなり低い。
【0082】
このような周期的に発生するノイズ成分は、以下の発生要因に起因すると考えられる。
(1)複数の構成デバイスで用いるクロック信号の周波数あるいは複数の構成デバイスのスイッチング信号の周波数の整数倍の周波数が同期することにより、発生するノイズ成分。
(2)スイッチング電源で発生するノイズ成分。
(3)電子内視鏡挿入部44で発生するノイズ成分。
【0083】
(1)について
例えば、超音波画像用プロセッサ30で、超音波プローブ22の駆動信号の繰り返し周波数PRF(Pulse Repetition Frequency)をスイッチング電源のスイッチング周波数の整数倍にして同期させ、二次元Bモード画像を生成する場合を考える。スイッチング周波数をPRFの略整数倍にして超音波を出力した場合、Bモード画像にアーチファクトが発生する可能性がある。
【0084】
スイッチング周波数をPRFのほぼ整数倍にして超音波プローブ22と超音波画像用プロセッサ30との間で送受信を行うとき、エコー信号を検出する時間内にスイッチング電源のスイッチングが行われる。このため、エコー信号のそれぞれにスイッチングに由来するノイズ成分が発生することとなる。同じ超音波ビームから得られた複数のエコー信号を加算した場合、各エコー信号のそれぞれに発生したスイッチングに起因するノイズ成分が加算されてしまう。そのため、加算されるエコー信号の数に応じてスイッチングに起因するノイズ成分も加算され、これが輝度変調によって高輝度の輝度信号となり、Bモード画像で周期的に発生するノイズ成分となる。
【0085】
(2)について
スイッチング電源、例えば降圧型DC/DCコンバータは、スイッチング素子として、例えばMOSFETを使用している。MOSFETのオン/オフ時にコンバータのループ内に寄生要素である寄生インダクタンスと寄生容量で共振が起き、高周波ノイズが発生し、降圧型DC/DCコンバータの出力インダクタの浮遊容量を介して、DC/DCコンバータの出力にノイズ成分がのる。
【0086】
DC/DCコンバータ等のスイッチング電源では、ノイズ成分となるサージ/リンギング電圧を抑制することを目的としたサージ吸収素子やスナバ回路が設けられる。しかしながら、このようなノイズ対策を行ったとしても、完全にノイズ成分を無くすことは困難であり、スイッチング周波数を変えたとしても、ノイズ成分の発生タイミング(周期)が変わるだけで、無くならない。このため、スイッチング周波数を変えることが、複数のスイッチング電源からのノイズ成分が同期して重畳される現象を防ぐ点から好ましい。
【0087】
図11は、一実施形態の電子内視鏡システムで用いる複数のスイッチング電源のノイズがエコー信号に重畳された例を示す図である。複数のスイッチング電源のノイズ成分がエコー信号に重畳された例を示す図である。例えば、3個のスイッチング電源の直流出力Vda、Vdb、Vdcに重畳されたノイズ成分が、あるタイミングで同期して共振ノイズ成分となり、エコー信号に重畳される。この共振ノイズ成分が、スイッチング周波数の設定によって周期的に発生する場合がある。この場合、この共振ノイズ成分がBモード画像において周期的に発生するノイズ成分となる。
【0088】
(3)について
図12は、一実施形態の電子内視鏡システムで用いる電子内視鏡の挿入部でのノイズ要因の例を説明する図である。挿入部54の先端には、上述したように、照明部14、撮像素子16と超音波プローブ20が設けられている。照明部14には、ライトガイド94により光が伝送されている。撮像素子16には、撮像素子駆動信号ライン142と撮像素子出力信号ライン144が接続されている。超音波プローブ20には、超音波素子の駆動信号と出力信号が伝送する超音波素子駆動・出力信号ライン146が接続されている。また、挿入部54には、必要に応じて、後述する電子内視鏡位置測定装置110の送信コイル118が巻回されている。
【0089】
上記信号ライン及び送信コイル118の間には、浮遊容量が存在し、静電結合により超音波素子駆動・出力信号ライン146にノイズが誘導される。浮遊容量C1は、撮像素子駆動信号ライン142と超音波素子駆動・出力信号ライン146間の浮遊容量である。浮遊容量C2は、撮像素子出力信号ライン144と超音波素子駆動・出力信号ライン146間の浮遊容量である。浮遊容量C3は、超音波素子駆動・出力信号ライン146とアース間の浮遊容量である。浮遊容量C4は、超音波素子駆動・出力信号ラインと送信コイル118間の浮遊容量である。さらに、浮遊容量C5、C6、C7は、アースと撮像素子駆動信号ライン142、撮像素子出力信号ライン144、送信コイル118との間の浮遊容量である。
【0090】
上記浮遊容量により、超音波素子駆動・出力信号ライン146は各ラインと静電結合され、各ラインの信号として流れる電流が超音波素子駆動・出力信号ライン146にディファレンシャルモードのノイズ成分となって重畳される。さらに、各信号ラインとアースとの間に発生する浮遊容量C5~C7は、静電結合によりコモンモードのノイズ成分となって電流が流れ、このノイズ成分が超音波素子駆動・出力信号ライン146に重畳される。
【0091】
その他、送信コイル144の磁界及び外部EM波ノイズも超音波素子駆動・出力信号ライン146に重畳される。さらには、図6で示したように、エコー信号をデジタル化するA/D変換器124のクロック信号126にもEM波ノイズとして、超音波素子駆動・出力信号ライン146に重畳される可能性がある。通常これらのノイズは微小であるが、重畳された場合は超音波画像に周期性のあるノイズ成分として表れる場合がある。
【0092】
電子内視鏡内の撮像素子16及び超音波プローブ20への接続ラインは、シールド材を用いてノイズ成分を抑えている。具体的には、シールド材の反射損失、吸収損失、及び多重反射補正を利用して、ノイズ成分を抑えている。反射損失は、シールド材が反射することで生じる損失である。吸収損失は、シールド材にEM波が入射したときに流れる誘導電流が流れることで生じる損失である。多重反射補正では、シールド材内部に侵入したEM波の一部が境界で反射し、それが複数回繰り返すうちに外部に漏れることを利用してノイズ成分を抑える。多重反射補正では、シールド材の厚さ、表皮効果とEM波の波長を考慮して補正する。
【0093】
このようなシールド材による挿入部54のノイズ対策を行うと、挿入部54の外径は大きくなるため、挿入部54の細系化が十分にできない。また、電子内視鏡12の機器性能の向上のために、駆動信号あるいは出力信号を微小信号にする、あるいは高周波信号にすると、ノイズ成分の問題が発生し易くなるため、超音波画像の高画質化に悪影響を及ぼす可能性がある。このため、シールド材によるノイズ成分の抑制は難しい。
【0094】
周期的に発生するノイズ成分の発生原因は一つではなく、様々なノイズ成分の複合的な現象と考えられる。この周期的に発生するノイズ成分を抑制して超音波画像の高画質化を図るためには、エコー信号に周期的に発生する、予め設定した閾値レベル以上のノイズ成分を検出して、検出したノイズ成分を抑制することが必要である。ここで、ノイズ成分の抑制には、エコー信号に上記ノイズ成分が含まれないように抑制する方法と、ノイズ成分を含んだエコー信号から得られる二次元のBモード画像に対して画像処理をして、ノイズ画素を無くす方法がある。
【0095】
(ノイズ成分の抑制)
図13は、一実施形態の電子内視鏡システムで周期的に発生するノイズ成分が重畳されたエコー信号の例を示す図である。ノイズ成分は図4で示されているようにBモード画像において高輝度の部分に対応し、超音波プローブ20の駆動信号によって生体組織で反射したエコー信号よりも大きな振幅となっている波形である。このため、ノイズ検出部34で、予め設定した閾値レベル以上の信号をノイズ成分と判定して検出する。
【0096】
ノイズ成分の検出は、上述したように、デジタルエコー信号のFFTを利用した周波数分析を行うことにより、設定された閾値レベル以上のスペクトルピークが存在するか否かを判定することにより行われる。
【0097】
(ノイズ成分の増幅ゲイン抑制)
図14は、一実施形態の電子内視鏡システムで得られる超音波画像におけるノイズ画素値の増幅ゲインを変える方法の一例を説明する図である。エコー信号は、増幅回路120、積分回路122、A/D変換器124を通ってデジタルエコー信号となる。ノイズ検出部34は、予めノイズレベルの閾値を設定し、この閾値以上の信号をノイズ成分と判定する。ノイズ成分として検出されたデジタルエコー信号は、周期幅検出部150で周期(T1、T2、T3、・・・)を測定する。このとき、ランダムなノイズの一部のである場合もあり、ある周期以下の短周期は除くのが好ましい。
【0098】
周期幅検出部150は、図1に示す超音波画像用プロセッサ30のノイズ検出部34に設けられる。周期は、例えば、Aモード表示のデジタルエコー信号の波形から、デジタルエコー信号のFFTを利用した周波数分析により得られるパワースペクトルのピーク周波数から算出する周期を利用して、ノイズ成分の複数の発生時点を特定し、発生時点間の時間間隔を算出することで、周期(T1、T2、T3、・・・)を求めることができる。このように周期幅検出部150は、周期幅を算出し、ノイズ周期と周期幅を利用してノイズ成分を検出するので、検出精度は高い。
【0099】
測定された周期(T1、T2、T3、・・・)は、一定の範囲内で変動しており、周期幅検出部150で、バラツキの幅と周期の最大値Tmax及び周期の最大値Tminを求める。ディジタルフィルタ設計部152では、周期幅検出部150で検出された周期幅を周波数領域の帯域幅として、最小周波数1/Tmaxと最大周波数1/Tminの周波数帯域を除去する帯域除去フィルタ154を設計する(除去帯域を設定する)。この帯域除去フィルタ154にデジタルエコー信号を通すことにより、エコー信号に周期的にノイズ成分が発生しても、このノイズ成分の振幅を抑制することができ、Bモード画像における周期性のあるノイズ成分を抑制することができる。
【0100】
ゲイン変更処理は、ノイズ周期および周期幅からノイズ周期に対応する周波数帯域を求め、周波数帯域を用いてノイズ成分をエコー信号から除去する帯域除去フィルタを備え、時系列的に処理することが好ましい。なお、帯域除去フィルタの特性では、変動する周期(T1、T2、T3、・・・)に対応した周波数帯域が除去帯域となるように除去帯域幅が設定される。
【0101】
図15は、エコー信号をフィルタリングする全フィルタの周波数特性を示す図である。エコー信号は、積分回路122と帯域除去フィルタ154でフィルタリングされるが、積分回路122ではランダムな高調波ノイズ成分の周波数帯域Bが抑制され、周期的に発生するノイズ成分は周波数が低い周波数帯域Aで抑制される。
【0102】
図16は、一実施形態の電子内視鏡システムで得られる周期的に発生するノイズを含むエコー信号が帯域除去フィルタを通過した後のデジタルエコー信号の例を示す図である。積分回路122により高調波ノイズが抑圧され、さらに、帯域除去フィルタ154通過後のデジタルエコー信号も抑圧されている。これにより、輝度変調部128で得られる輝度信号では周期的に発生するノイズ成分が抑制される。
【0103】
なお、増幅ゲインの調整は、帯域除去フィルタ154の代わりに、デジタルエコー信号を輝度信号に変換する輝度変換部168において、ノイズ成分の発生時点を特定した情報に基づいて、ノイズ成分に対応する信号の増幅ゲイン値を低下させることにより、輝度値を低下させるように構成してもよい。これにより、エコー信号に周期的にノイズ成分が発生しても、このノイズ成分の振幅を増幅ゲインの調整により抑制することができ、Bモード画像における周期性のあるノイズ成分を抑制することができる。
【0104】
(ノイズ画素値の補間処理)
一実施形態の電子内視鏡システムにおいて、Bモード画像として得られた超音波画像からノイズ画素を除去して、補間処理を行うこともできる。
【0105】
図17は、一実施形態の電子内視鏡システムにおいてBモード画像として得られた超音波画像からノイズ画素を除去して補間処理を行うノイズ抑制部の一例を説明する図である。超音波画像生成部130で生成された超音波画像(Bモード画像)において、ノイズ検出部34で検出された周期的に発生するノイズ成分に対応するノイズ画素は、画像補間部160で周辺画素の画素値に基づいて生成した補間画素値に置換される。画像補間部160は、図1に示す超音波画像用プロセッサ30のノイズ抑制部36に設けられる。
【0106】
画像補間部160は、例えば、ノイズ画素の4辺に隣接する4つの周辺画素を用いて画素補間する。ノイズ画素の画素値は、隣接する4つの周辺画素の画素値を用いて画素補間される。例えば、4つの周辺画素の画素値の平均値をノイズ画素の画素値とする。この補間方法は、双一次補間(バイリニア補間)と呼ばれる方法であるが、補間方法は他の方法でもよく、例えば、双三次補間(バイキュビック補間)が用いられる。ノイズ画素が隣接している場合、ノイズ画素に隣接する非ノイズ画素が見いだされるまで、画像補間部160は、ノイズ画素に対して隣接する画素を探索し、ノイズ画素の領域を囲む複数の非ノイズ画素の画素値を用いて画素補間を行う。
【0107】
このように、ノイズ抑制部34は、検出したノイズ成分の超音波画像中のノイズ画素位置における画素値を、ノイズ画素位置の周辺に位置する周辺画素の画素値に基づいて生成した補間画素値に置換する補正処理を行うので、エコー信号において周期的にノイズ成分が発生しても、Bモード画像においてノイズ成分を抑制することができる。
【0108】
(電源ノイズの除去)
電子内視鏡システム10の各装置に供給される電力の供給電源は、スイッチング電源が使用される場合が多い。この場合、上述したように、スイッチング電源のスイッチング動作の影響によりノイズ成分が発生する。このノイズ成分を抑制するためには、DC/DCコンバータにおけるスイッチング周波数及びAC/DCコンバータにおけるスイッチング周波数を変えることが好ましい。さらに、ノイズ成分を無くすためには、スイッチング動作をしない蓄電池を用いることが好ましい。
【0109】
図18は、一実施形態の電子内視鏡システムにおいてスイッチング電源と蓄電池を併設して、切替手段を設けた一例を示す図である。AC/DCコンバータ202は、交流の商用電源を入力電圧として、スイッチング信号Sによりスイッチングして直流電圧Visを出力する。AC/DCコンバータ202には蓄電池S204が併設され、切替スイッチS206で、スイッチング電源であるAC/DCコンバータ202と蓄電池S204を切り替えるように構成される。これにより、直流電圧Visは、スイッチング動作によるノイズ成分を含まない電圧となる。また、蓄電池S204へ切り替えることにより、AC/DCコンバータ202は動作を停止するから、商用電源に侵入している外部ノイズを遮断することができる。
【0110】
AC/DCコンバータ202から出力された直流電圧Visは、DC/DCコンバータA206、DC/DCコンバータB214とDC/DCコンバータC220の入力電圧となる。DC/DCコンバータA208には蓄電池A210が併設され、切替スイッチA212で、スイッチング電源であるDC/DCコンバータA208と蓄電池A210を切り替えるように構成される。DC/DCコンバータC220も同様に、蓄電池B216と蓄電池C222が併設されており、それぞれ切替スイッチB218と切替スイッチC224で切替えられるように構成される。
【0111】
蓄電池S、DC/DCコンバータA~C208、214、220は、ノイズ対策だけでなく、ACコンセントが何らかの原因で外れ、あるいは停電した時の非常用電源としても有効である。また、各コンバータは併設されている蓄電池への充電も行うようにすることが好ましい。これにより、各蓄電池は、常に充電された状態となり、いつでも切り替えて使用可能となる。
【0112】
図19(A)、(B)は、一実施形態の電子内視鏡システムにおいてコンバータを、併設されている蓄電池への充電専用電源として用いた例を示す図である。各コンバータに蓄電池が併設されている場合は、スイッチング動作によるノイズが発生しない蓄電池を常時使用し、コンバータを蓄電池への専用電源としてもよい。この場合の蓄電池の容量は、図18で示した切り替えによる方式よりも、小さい容量で済む。AC/DCコンバータ202を、併設されている蓄電池S204への充電専用電源とした場合は、蓄電池S204の出力電圧ViSは、AC/DCコンバータ202へフィードバックされ、蓄電池S204が一定の出力電圧Visとなるように制御される。この制御は、スイッチング信号Sのオン/オフによる制御としてもよい。
【0113】
図19(B)は、DC/DCコンバータA208を、併設されている蓄電池A210への充電専用電源とした例である。蓄電池A210の出力電圧Vdaは、DC/DCコンバータA208へフィードバックされ、蓄電池A210が一定の出力電圧Vdaとなるように制御される。DC/DCコンバータB214とDC/DCコンバータC220も同様に構成することができる。出力電圧Vda、Vdb、Vdcは異なる電圧値であり、各構成デバイスの供給電圧に対応している。
【0114】
このために複数のDC/DCコンバータが用いられる。蓄電池は、任意の電圧値を出力するために、1~3V程度の出力電圧である単セルを直列接続している。単セルを直列接続する数によって、任意の電圧値を得ている。このため、AC/DCコンバータ202の出力電圧を、蓄電池の単セルに個別に充電できるようにすると、DC/DCコンバータA208、DC/DCコンバータB214とDC/DCコンバータC220を不要にすることができる。
【0115】
さらに、ノイズ成分の抑制のために、ノイズ抑制部36は、エコー信号に周期的に発生するノイズ成分の発生周期から離間するように、撮像画像用プロセッサ22及び超音波画像用プロセッサ30が有する複数の構成デバイスの動作周波数の少なくとも1つを変更する、ことが好ましい。
【0116】
この場合、上述したように電子内視鏡12、撮像画像用プロセッサ22、及び超音波画像用プロセッサ30を駆動するためのスイッチング電源であるDC/DCコンバータを構成デバイスとして備え、DC/DCコンバータA~C208、214、220におけるスイッチング周波数を、構成デバイスにおいて変更する動作周波数として、エコー信号に周期的に発生するノイズ成分の発生周期から離間するように動作周波数を変更することが好ましい。これにより、エコー信号に周期的に発生するノイズ成分を抑制することができる場合がある。
【0117】
AC/DCコンバータ202におけるスイッチング周波数を、構成デバイスにおいて変更する動作周波数として、エコー信号に周期的に発生するノイズ成分の発生周期から離間するように動作周波数を変更することが好ましい。これにより、エコー信号に周期的に発生するノイズ成分を抑制することができる場合がある。
【0118】
また、超音波プローブ20の超音波周波数、及び撮像素子16の撮像素子動作周波数のうち少なくとも1つを、構成デバイスにおいて変更する動作周波数としてもよい。これにより、エコー信号に周期的に発生するノイズ成分を抑制することができる場合がある。
【0119】
また、AD変換器124におけるエコー信号のサンプリング周波数を、構成デバイスにおいて変更する動作周波数としてもよい。これにより、エコー信号に周期的に発生するノイズ成分を抑制することができる場合がある。
【0120】
このように、超音波画像用プロセッサ30は、エコー信号に含まれ、予め設定した閾値レベル以上の周期的に発生するノイズ成分を検出し、検出したノイズ成分を抑制する処理を行うので、高品質の超音波画像を生成することができる。
【0121】
より詳しく説明すると、電子内視鏡システム10では、超音波プローブ20から出力するエコー信号には様々なノイズが重畳されており、多くは高調波成分を含むランダムなノイズである。このため、高調波成分を除去することで高画質化を図っている。しかしながら、周期的に発生するノイズ成分は、多くの信号や、その高調波が同期して発生するものと思われ、高調波が同期する周期は低周波領域にあり、大きな振幅を有する。このため、超音波画像用プロセッサ30は、ノイズ検出部34を備え、予め設定した閾値レベル以上の周期的に発生するエコー信号をノイズと判断し、このノイズ成分を抑制部36で抑制する。
【0122】
したがって、電子内視鏡システム10では、周期的に発生するノイズは振幅の大きなノイズ成分であることを利用して、閾値レベルを設けることにより検出する一方、検出したノイズ成分が小さくなるように抑制部36がノイズ成分を抑制するので、高画質の超音波画像を得ることができる。
【0123】
なお、電子内視鏡システム10を用いるとき、体腔内に挿入した電子内視鏡12が体腔内のどの位置にあるかを、磁気を利用して位置を特定することができる電子内視鏡位置測定装置110を用いる場合もある。電子内視鏡位置測定装置110の一例は、図20に示される。
【0124】
図20は、一実施形態の電子内視鏡システム10で用いる電子内視鏡位置測定装置の一例の概略を示す図である。電子内視鏡位置測定装置110に用いられる送信コイル118は、電子内視鏡12の挿入部54に所定の間隔で複数個巻回され、電流によって磁界を発生する。複数個の送信コイル118-1、118-2、・・・、118-nは、電子内視鏡12を体腔内に挿入したときに、各位置で磁界を発生し、受信コイル116で受信して内視鏡の位置を測定する。なお、図20では、送信コイル118が挿入部54にあり、受信コイル116が外部にある場合を示しているが、送信コイル118が外部にあり、受信コイル116が内視鏡にある場合もある。
【0125】
受信コイル116は、複数のコイルブロックを有し、例えば、ベッドの横に配置される。受信コイル116の各コイルブロックは、3方向にそれぞれのコイル面が直交するように巻回されている。コイルはそのコイル面に直交する軸方向成分の磁界の強度に比例した信号を検出するようになっている。コイルブロックは、発生している磁界を受信して電圧信号に変換し、この電圧信号を検出結果として出力している。これらの送信コイル118及び受信コイル116は、駆動部112によって動作状態が制御される。
【0126】
各送信コイル118-1、118-2、・・・、118-nは、電子内視鏡用プロセッサ22を介して駆動部112から高周波数の正弦波が供給される。各送信コイル118-1、118-2、・・・、118-nは、正弦波が印加されることで、磁界を伴う電磁波を周囲に放射する。なお、駆動部112は、各送信コイル118-1、118-2、・・・、118-nが磁界を発生するタイミングを個別に指定することもできる。
【0127】
受信コイル116は、送信コイル118が発生した磁界を受信し、受信した磁界により電流を発生し、電圧の信号に変換する。信号は、受信コイル116から駆動部112に送られる。駆動部112は、受信コイル116からの信号を位置特定部114に与え、増幅処理等の所定の信号処理を施した後A/D変換により、デジタルデータにする。
【0128】
位置の特定は、デジタルデータに対して高速フーリエ変換により周波数を抽出し、各送信コイル118-1、118-2、・・・、118-nの正弦波に対応する周波数成分の磁界検出情報に分離抽出する。分離した磁界検出情報の各デジタルデータから超音波プローブ20に設けられた各送信コイル118-1、118-2、・・・、118-nの空間位置座標を算出する。さらに位置特定部114は、各送信118-1、118-2、・・・、118-nの位置座標を連結して、線状の挿入形状画像を電子内視鏡位置画像として生成する。
【0129】
また、挿入部の入口部分に位置するコイル位置から挿入部の先端に位置するコイル位置にまでの長さを挿入長として算出することもできる。
【0130】
このような電子内視鏡位置測定装置110を用いた場合に、エコー信号にノイズ成分が周期的に発生するとき、電子内視鏡位置測定装置110を構成デバイスの1つとして、エコー信号に周期的に発生するノイズ成分の発生周期から離間するように、電子内視鏡位置測定装置の動作周波数の少なくとも1つを変更する、ことが好ましい。送信コイル118の駆動信号は、エコー信号に周期的に発生するノイズ成分の発生原因となる場合がある。このため、駆動部112は、駆動信号の周波数を、上記動作周波数として変更させるように、駆動部112を制御することが好ましい。あるいは、ノイズ抑制部36は、ノイズ成分の検出時、発生する送信コイル118の磁気の発生を停止するために駆動信号の送信を停止するように、駆動部112を制御することが好ましい。これにより、エコー信号に周期的に発生するノイズ成分を抑制することができる場合がある。
【0131】
ノイズ成分の検出は、上述の実施形態では、予め設定した閾値を用いて検出する、或は周波数分析を用いて検出するが、これらに代えて機械学習をした予測モデルを用いて、すなわち、AI(Artificial Intelligence:人工知能)を用いて検出してもよい。
【0132】
AIによる検出では、ノイズ検出部34において、周期的にノイズ成分が発生するエコー信号のない教師用超音波画像と、周期的にノイズ成分の発生している教師用超音波画像とを教師データとして機械学習により特徴量を抽出する。これにより、周期性のあるノイズ成分の有無を予め学習させることができる。この学習結果をもとに、入力された超音波画像の周期性のあるノイズ成分の有無を判定する。
【0133】
図21は、一実施形態の電子内視鏡システムにおいて人工知能(AI)による学習と周期的に発生するノイズ成分の有無の判断をおこなうプロセスの例を説明する図である。ノイズ成分推論モデル230は、ノイズ成分有無の情報を与えた教師用超音波画像から機械学習により特徴量を抽出して作成される。このノイズ成分推論モデル230に超音波画像を入力することにより、ノイズ成分推論モデル230が内部で抽出した特徴量からノイズ成分の有無を判定することができる。特徴量としては、ノイズ成分の振幅、ノイズ成分の周期性、ノイズ成分の広がり等がある。
【0134】
図22は、一実施形態の電子内視鏡システムにおいてAIによる有効なノイズ対応策を推論する例を説明する図である。AIによるノイズの抑制は、ノイズ対策推論モデル232を用いて行われる。ノイズ対策推論モデル232は、ノイズ抑制部36において、電子内視鏡、撮像画像用プロセッサあるいは超音波画像用プロセッサの動作環境情報及び超音波画像の特徴量と、この特徴量及び動作環境情報に対応してノイズ成分を抑制するための対応策が有効か無効かに関する情報の関係を機械学習したモデルである。
【0135】
ノイズ検出部34で、新たに生成された超音波画像にノイズ成分を検出した時、超音波画像の特徴量を抽出し、作成したノイズ対策推論232モデルに、ノイズ成分を検出した時の動作環境情報及び抽出した特徴量を入力することにより、ノイズの抑制に有効な環境動作情報の変更内容を設定する。抑制部36においては、設定された環境動作情報に基づいて、電子内視鏡12、撮像画像用プロセッサ22、超音波画像用プロセッサ30あるいは電子内視鏡位置測定装置110の動作環境を変更する。動作環境を変更することにより、周期性のあるノイズを抑制する。
【0136】
ノイズ検出部34のノイズ成分推論モデル230及びノイズ抑制部36のノイズ対策推論モデル232は、例えば、ニューラルネットワークを利用して作成される。ニューラルネットワークは、例えば、画像認識で広く応用されている畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network)が好適に用いられる。
【0137】
動作環境情報には、撮像画像用プロセッサ22及び超音波画像用プロセッサ30が有する複数の構成デバイスの動作周波数を含んでいることが好ましい。動作周波数は、超音波プローブ20の超音波周波数及び撮像素子16の動作周波数、A/D変換部124におけるエコー信号のサンプリング周波数、DC/DCコンバータ208、214、220におけるスイッチング周波数、AC/DCコンバータ202におけるスイッチング周波数、及び、電子内視鏡位置測定装置110の送信コイル118の動作周波数を含んでいる、ことが好ましい。このような動作周波数の変更を、AIにより行うので、ノイズ抑制を有効に行うことができる。
【0138】
図23は、ノイズ補正の動作フローを示す図である。まず、ステップS1において、超音波画像を生成する。超音波画像は、超音波プローブ20からのエコー信号を輝度変調部128で濃淡画素に変換し、超音波画像生成部130で生成される。ステップS2で、周期性のあるノイズを検出する。ノイズの検出は、予め定められた閾値以上の信号をノイズとして検出する。ノイズが検出されなかったときは、終了する。
【0139】
ノイズが検出されたときは、超音波画像補正を行う。超音波画像補正は、帯域除去フィルタ154又は画像補間部160により行われる。ステップS4では、超音波画像補正でノイズが補正されているかを確認するため、再度ノイズ検出を行う。ノイズが検出されなかったときは、終了する。ノイズが検出されたときは、ステップS5で、電子内視鏡12、撮像画像用プロセッサ22、超音波画像用プロセッサ30及び電子内視鏡位置測定装置110が有する複数の構成デバイスの動作周波数を含んだ動作環境を変更する。変更する動作環境は、電子内視鏡12、撮像画像用プロセッサ22、超音波画像用プロセッサ30及び電子内視鏡位置測定装置110が有する複数の構成デバイスの動作周波数を含んでいる。
【0140】
動作周波数は、超音波プローブ20の超音波周波数及び撮像素子16の動作周波数、A/D変換部124におけるエコー信号のサンプリング周波数、DC/DCコンバータ208、214、220におけるスイッチング周波数、AC/DCコンバータ202におけるスイッチング周波数、及び、電子内視鏡位置測定装置110の送信コイル118の動作周波数を含んでいる。撮像素子16又は送信コイル118の動作を停止させてもよい。さらに、DC/DCコンバータ208、214、220及びAC/DCコンバータ202を蓄電池に代えてもよい。
【0141】
ステップS6では、変更した動作環境の効果を確認するため、再度ノイズ検出を行う。ノイズが検出されなかったときは、終了する。ノイズが検出されたときは、ステップS7で警告を行い終了する。警告は、超音波画像表示部46に表示する。この場合は、ノイズがあることを術者に知らせ、超音波画像での診断に影響がないようにする。
【0142】
図24は、AIによるノイズ補正の動作フローを示す図である。まず、ステップS11において、超音波画像を生成する。ステップS12で、ノイズ検出部34におけるノイズ成分推論モデル230により周期性のあるノイズを検出する。ノイズの検出は、機械学習されたノイズ成分推論モデル232により行われる。ノイズが検出されなかったときは、終了する。
【0143】
ステップS13で電子内視鏡12、撮像画像用プロセッサ22、超音波画像用プロセッサ30及び電子内視鏡位置測定装置110が有する複数の構成デバイスの動作周波数を含んだ動作環境を変更する。動作環境の変更は、超音波画像の特徴量を抽出し、作成したノイズ対策推論モデル232を適用して特徴量を照合し、この照合結果を基に、ノイズの抑制に有効な環境動作情報の変更内容を設定する。ノイズ抑制部36においては、設定された環境動作情報に基づいて、電子内視鏡12、撮像画像用プロセッサ22、超音波画像用プロセッサ30あるいは電子内視鏡位置測定装置110の動作環境を変更する。
【0144】
動作環境情報には、電子内視鏡12、撮像画像用プロセッサ22、超音波画像用プロセッサ30あるいは電子内視鏡位置測定装置110が有する複数の構成デバイスの動作周波数を含んでいる。
【0145】
動作周波数は、超音波プローブ12の超音波周波数及び撮像素子16の動作周波数、A/D変換部124におけるエコー信号のサンプリング周波数、DC/DCコンバータ208、214、220におけるスイッチング周波数、AC/DCコンバータ202におけるスイッチング周波数、及び、電子内視鏡位置測定装置110の送信コイル118の動作周波数を含んでいる。撮像素子16又は送信コイル118の動作を停止させてもよい。さらに、DC/DCコンバータ208、214、220及びAC/DCコンバータ202を蓄電池に代えてもよい。
【0146】
ステップS14では、変更した動作環境の効果を確認するため、再度AIによりノイズ検出を行う。ノイズが検出されなかったときは、終了する。ノイズが検出されたときは、ステップS15で、補間による超音波画像の補正を行う。ステップS16で、超音波画像の補正効果を確認するため、AIによりノイズ検出を行う。ノイズが検出されなかったときは、終了する。ノイズが検出されたときは、ステップS17で、警告を行い終了する。警告は、超音波画像表示部46に表示する。この場合は、ノイズがあることを術者に知らせ、超音波画像での診断に影響がないようにする。
【0147】
以上、本発明の内視鏡診断データ管理システムについて詳細に説明したが、本発明の内視鏡診断データ管理システムは上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0148】
10 電子内視鏡システム
12 電子内視鏡
14 照明部
16 撮像素子
18 ドライバ信号処理部
20 超音波プローブ
22 撮像画像用プロセッサ
24 光源部
26 撮像画像処理部
28 撮像画像表示部
30 超音波画像用プロセッサ
32 超音波画像処理部
34 ノイズ検出部
36 ノイズ抑制部
38 送受信部
42 入力部
44 電源部
46 超音波画像表示部
48 AC電源入力部
52 操作部
54 挿入部
56 先端部
58 軟性部
60 可撓性ケーブル
62 スキャナコネクタケーブル
64 コネクタ
66 スキャナコネクタ
68 撮像素子部
70 射出端面
72 送気・送水ノズル
74 鉗子起上ワイヤ洗浄口
76 鉗子起上台
78 湾曲部
80 処置具挿入口突起
82 湾曲操作レバー
84 操作ボタン
86 光源差込部
88 バルーン注水口
90 バルーン吸水口
94 ライトガイド
96 光源部
100 タイモングコントローラ
102 システムコントローラ
104 メモリ
106 操作パネル
110 電子内視鏡位置測定装置
112 駆動部
114 位置特定部
116 受信コイル
118、118-1、118-2、・・・、118-n 送信コイル
120 増幅回路
122 積分回路
124 A/D変換器
126 クロック信号
128 輝度変調部
130 超音波画像生成部
132 D/A変換器
142 撮像素子駆動信号ライン
144 撮像素子出力信号ライン
146 超音波素子駆動・出力信号ライン
150 周期幅検出部
152 ディジタルフィルタ設計部
154 帯域除去フィルタ
160 画像補間部
200 電源部
202 AC/DCコンバータ
204 蓄電地S
206 切替スイッチS
208 DC/DCコンバータA
210 蓄電地A
212 切替スイッチA
213 DC/DCコンバータB
216 蓄電地B
218 切替スイッチB
220 DC/DCコンバータC
222 蓄電地C
224 切替スイッチC
230 ノイズ成分推論モデル
232 ノイズ対策推論モデル
240 ノイズ補正の動作フロー
242 AIによるノイズ補正の動作フロー

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24