(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】情報管理装置、情報管理システム、情報管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240213BHJP
G06Q 50/26 20240101ALI20240213BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2020040333
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2019215643
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】円谷 信一
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-219061(JP,A)
【文献】特開2018-191231(JP,A)
【文献】特開2016-164797(JP,A)
【文献】特開2010-231369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報の書き込みが可能な一つ又は複数の媒体を撮影した撮影画像を取得する画像取得部と、
前記撮影画像に含まれる前記媒体に書き込まれた情報について、所定の単位情報ごとに付され得る目印の状態を検出する画像処理部と、
前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力可能な出力部と、
を有
し、
前記単位情報に付された前記目印の状態が変化すると、前記出力部は、変化後の前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力する、
情報管理装置。
【請求項2】
前記撮影画像が、事象の内容とその事象が発生した時刻と属性とを1つの前記単位情報とし、複数の前記単位情報を表形式で表した情報を含む、
請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項3】
前記属性は、前記事象の種別である、
請求項2に記載の情報管理装置。
【請求項4】
前記属性は、前記事象の進捗状況である、
請求項2から請求項3の何れか1項に記載の情報管理装置。
【請求項5】
前記属性は、前記事象の重要度である、
請求項2から請求項4の何れか1項に記載の情報管理装置。
【請求項6】
前記属性は、前記事象が発生した時刻又は前記事象の内容の更新を示す、
請求項2から請求項5の何れか1項に記載の情報管理装置。
【請求項7】
前記画像取得部により取得された前記撮影画像に含まれる前記単位情報を記録する更新部、をさらに備え、
前記更新部は、前記更新を示す属性が変化すると、前記画像取得部によって取得された前記撮影画像に含まれる、前記更新を示す属性が変化した前記単位情報を記録し、
前記出力部は、前記更新を示す属性が変化した前記単位情報を出力することができる、
請求項6に記載の情報管理装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記更新を示す属性が変化した前記単位情報について、前記更新の履歴を表示することができる、
請求項7に記載の情報管理装置。
【請求項9】
前記単位情報には、複数の前記属性が含まれていて、前記目印は、前記属性ごとに付され得る、
請求項2から請求項8の何れか1項に記載の情報管理装置。
【請求項10】
情報の書き込みが可能な一つ又は複数の媒体を撮影した撮影画像を取得する画像取得部と、
前記撮影画像に含まれる前記媒体に書き込まれた情報について、所定の単位情報ごとに付され得る目印の状態を検出する画像処理部と、
前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力可能な出力部と、
事象の内容と前記事象が発生した時刻と前記事象の属性とを1つの前記単位情報としたときに、前記画像取得部により取得された前記撮影画像に含まれる前記単位情報を記録する更新部と、
を有し、
前記属性は、前記事象の内容の更新を示し、
前記更新部は、前記属性が変化すると、前記画像取得部によって取得された前記撮影画像に含まれる、前記属性が変化した前記単位情報を記録し、
前記出力部は、前記属性が変化した前記単位情報を出力することができる、
情報管理装置。
【請求項11】
情報の記入が可能な一つ又は複数の媒体と、
前記媒体を撮影する一つ又は複数のカメラと、
情報の書き込みが可能な一つ又は複数の媒体を撮影した撮影画像を取得する画像取得部と、
前記撮影画像に含まれる前記媒体に書き込まれた情報について、所定の単位情報ごとに付され得る目印の状態を検出する画像処理部と、
前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力可能な出力部と、
を有する情報管理装置と、
を備え、
前記媒体は、事象の内容とその事象が発生した時刻と所定の目印とを1つの単位情報とする複数の前記単位情報が入力可能で、且つ、前記目印が前記媒体に対して着脱可能に構
成された、
情報管理システム。
【請求項12】
情報の記入が可能な一つ又は複数の媒体と、
前記媒体を撮影する一つ又は複数のカメラと、
請求項1から請求項10の何れか1項に記載の情報管理装置と、
を備え、
前記媒体は、事象の内容とその事象が発生した時刻と所定の目印とを1つの単位情報とする複数の前記単位情報が入力可能で、且つ、前記目印が前記媒体に対して着脱可能に構
成された、
情報管理システム。
【請求項13】
前記媒体が複数存在する場合、
前記出力部は、複数の前記媒体に記入された前記単位情報のうち、前記目印の状態に応じた前記単位情報を統合して出力する、
請求項
12に記載の情報管理システム。
【請求項14】
事象の内容とその事象が発生した時刻と所定の目印とを1つの単位情報とする複数の前記単位情報が入力可能で、且つ、前記目印が着脱可能に構成された媒体を撮影するステップと、
前記媒体を撮影した画像を取得するステップと、
前記画像に含まれる前記媒体に記入された情報について、所定の単位情報ごとに付され得る目印の状態を検出するステップと、
前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力するステップと、
を有
し、
前記単位情報に付された前記目印の状態が変化すると、前記出力するステップでは、変化後の前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力する、
情報管理方法。
【請求項15】
コンピュータを、
情報の書き込みが可能な一つ又は複数の媒体を撮影した撮影画像を取得する手段、
前記撮影画像に含まれる前記媒体に書き込まれた情報について、所定の単位情報ごとに付され得る目印の状態を検出する手段、
前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力可能な手段、
として機能さ
せ、
前記単位情報に付された前記目印の状態が変化すると、前記出力可能な手段は、変化後の前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理装置、情報管理システム、情報管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害が発生すると災害対策本部では、対応に追われ情報に混乱が生じがちになる。そのような状況で被災地からの要望や被災地の状況を記録するには、紙やホワイトボードへの手入力が適している。例えば、情報を時系列かつ表形式でホワイトボードに書き込む方法であれば、作業負担が比較的小さく、緊急時であっても漏れなく情報を記録しておくことができる。また、ホワイトボードに表形式で書き込むことで情報の一覧性を確保することができる。
【0003】
特許文献1には、プロジェクタで投影した画像を撮影し、投影した元の画像と、撮影した画像との不一致を検出すると、元の画像に不一致箇所の画像を重ねた新たな画像を投影する投影装置が開示されている。この投影装置を使うと、例えば、プロジェクタを使ってホワイトボードに情報を投影しているときに、ユーザが、投影範囲内に所望のドキュメント用紙を提示したり、ドキュメント用紙をホワイトボードにピンアップしたような場合に、撮影した画像を即時投影内容に反映することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ホワイトボードに記入する方法では、情報量が多いと、複数のホワイトボードに跨って情報を記入することが多い。この場合、情報の一覧性は大きく毀損する。この問題を運用で回避する方法として、例えば、一定の重要度を超えた情報のみを記入する方法がある。これに従えば、情報量を抑制することが出来るが、(1)重要度は相対的なものであって時間により変化する、(2)重要度は個人の主観による為、画一的な評価が難しい、(3)緊急事態の継続時間が分からない為、記入する情報の上限が不明であるといった課題がある。負担の少ない方法で漏らすことなく情報を記録しつつ、情報量が増加しても一覧性を確保できるような情報の管理方法が求められている。
【0006】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる情報管理装置、情報管理システム、情報管理方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、情報管理装置は、情報の書き込みが可能な一つ又は複数の媒体を撮影した撮影画像を取得する画像取得部と、前記撮影画像に含まれる前記媒体に書き込まれた情報について、所定の単位情報ごとに付され得る目印の状態を検出する画像処理部と、前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力可能な出力部と、を有し、前記単位情報に付された前記目印の状態が変化すると、前記出力部は、変化後の前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力する。
【0008】
本発明の一態様によれば、情報管理システムは、情報の記入が可能な一つ又は複数の媒体と、前記媒体を撮影する一つ又は複数のカメラと、上記の情報管理装置と、を備え、前記媒体は、事象の内容とその事象が発生した時刻と所定の目印とを1つの単位情報とする複数の前記単位情報が入力可能で、且つ、前記目印が前記媒体に対して着脱可能に構成されている。
【0009】
本発明の一態様によれば、情報管理方法は、事象の内容とその事象が発生した時刻と所定の目印とを1つの単位情報とする複数の前記単位情報が入力可能で、且つ、前記目印が着脱可能に構成された媒体を撮影するステップと、前記媒体を撮影した画像を取得するステップと、前記画像に含まれる前記媒体に記入された情報について、所定の単位情報ごとに付され得る目印の状態を検出するステップと、前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力するステップと、を有し、前記単位情報に付された前記目印の状態が変化すると、前記出力するステップでは、変化後の前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力する。
【0010】
本発明の一態様によれば、プログラムは、コンピュータを、情報の書き込みが可能な一つ又は複数の媒体を撮影した撮影画像を取得する手段、前記撮影画像に含まれる前記媒体に書き込まれた情報について、所定の単位情報ごとに付され得る目印の状態を検出する手段、前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力可能な手段、として機能させ、前記単位情報に付された前記目印の状態が変化すると、前記出力可能な手段は、変化後の前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、手入力された情報の属性が変化しても、その変化に追従し、情報を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態における情報管理システムの一例を示す第1図である。
【
図2】本発明の一実施形態における情報の記入例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態における情報管理装置の機能ブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態における抽出条件設定画面の一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態における抽出結果表示画面の一例を示す第1図である。
【
図6】本発明の一実施形態における抽出結果表示画面の一例を示す第2図である。
【
図7】本発明の一実施形態におけるデータテーブルの一例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態における更新画面の一例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態における登録処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態における表示処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の一実施形態における情報管理システムの一例を示す第2図である。
【
図12】本発明の一実施形態における抽出結果表示画面の一例を示す第3図である。
【
図13】本発明の一実施形態における情報の更新例を示す第1図である。
【
図14】本発明の一実施形態における情報の更新例を示す第2図である。
【
図15】本発明の一実施形態におけるデータテーブルの一例を示す図である。
【
図16】本発明の一実施形態における抽出結果表示画面の一例を示す第4図である。
【
図17】本発明の一実施形態における抽出結果表示画面の一例を示す第5図である。
【
図18】本発明の一実施形態における履歴表示画面の一例を示す図である。
【
図19】本発明の一実施形態における情報管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
以下、本発明の各実施形態による情報管理方法を
図1~
図13を参照して説明する。
(システム構成)
図1は、本発明の一実施形態における情報管理システムの一例を示す第1図である。
図1に示す情報管理システム1は、複数の人によって同時に視認可能で情報の手入力が可能な媒体40a,40b上に、時間の経過とともに一定の形式で記入された情報を撮影し、その中から必要な情報だけを抽出して情報管理装置10の表示画面に表示したり、スクリーン50へ投影したりして情報を共有しつつ、媒体40a,40bに手入力された情報を管理する。必要な情報は、時間の経過に伴い変化するが、情報管理システム1は、必要な情報を簡単に変更する手段を提供する。
【0014】
図示するように情報管理システム1は、情報管理装置10と、カメラ20a,20bと、プロジェクタ30と、媒体40a,40bと、スクリーン50と、を含んで構成される。カメラ20a,20bとプロジェクタ30は、情報管理装置10に接続されている。媒体40a,40bは、例えば、紙、ホワイトボード、黒板などである。災害が発生すると、消防、警察、自衛隊など複数の情報ルートから様々な災害情報が様々なタイミングで寄せられる。担当者は、媒体40a、40bに寄せられた情報を表形式で手入力していく。
図2に媒体40aに手入力される情報の例を示す。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態における情報の記入例を示す図である。
媒体40aには、災害の発生時刻、災害の内容、種別、状況、重要度を表形式で記入するように罫線が表示されている。担当者は、「日時」の欄に災害が発生した時刻、又は災害情報が寄せられた日時(例えば、2019年11月19日10時30分30秒)を手入力し、「内容」の欄に災害の内容(例えば、「~地区で膝下までの浸水が発生した」等)を手入力する。「種別」、「進行状況」、「重要度」の各欄については、担当者が、必要に応じて所定の色のマグネットを付すことにより各欄へ情報を記入する。
図2では、各マグネットの色を文字で表示している。「種別」とは、地震、火災、水害などの災害の種類を示す。あるいは、種別は、消防、警察、自衛隊など災害への対処を行う組織を表すものとして用いられてもよい。「進行状況」は、災害の進行状況を示す。また、「重要度」は、その情報の重要性を示す。本実施形態では、「種別」、「進行状況」、「重要度」を属性情報と呼び、色がついたマグネットを付けることによって情報を入力する。例えば、「種別」の欄の場合、寄せられた災害情報が水害であれば青色のマグネットを付け、火災であれば赤色のマグネットを付け、地震であれば黄色のマグネットを付ける。また、災害への対処が終了した場合には「種別」の欄から赤色のマグネットを取り外す。「進捗状況」や「重要度」には、災害の進捗状況や重要度・緊急度に応じて定められた色のマグネットを付ける。
【0016】
図2の例では、媒体40aが左右に隔てられ、左右の各領域において、日時、内容、種別、進行状況、重要度を1つの単位として、災害情報が1行ごとに手入力されていく。例えば、左の領域の上から下へ順に災害情報が入力され、一番下の行へ到達すると、右の領域の一番上の行から1行ずつ災害情報を入力していく。一度入力された災害情報は、消されること無く蓄積されていく。しかし、災害情報は、一度入力された後も、時間とともに変化することがある。例えば、水害の場合、最初に情報が寄せられた段階では、膝下までの浸水であっても、時間の経過とともに1階の軒下までが浸水するまでに状況が進行することがある。このような場合、担当者は、膝下までの浸水のときにはマグネットを付けず、腰の高さまでの浸水になると青色のマグネットを付け、胸の高さまでの浸水になると黄色のマグネットを付け、更に浸水深が増加すると赤色のマグネットを付ける。このように異なる色のマグネットを付け替えて災害の進行状況を記入、表示する。また、被害の規模が大きい場合等、災害対策本部は、優先順位を付けて対処にあたる必要がある。そこで、例えば、緊急性が高い、又は、規模の大きな災害情報の「重要度」には赤色のマグネットを付し、緊急性や規模が低下すると黄色のマグネットに付け替え、その地域の組織に対策を任せる場合には青色のマグネットを付し、経過観察中であればマグネットを付けない等の付け替え作業を行うことによって、その災害情報の重要度、緊急性などを記入、表示する。また、「種別」の欄を、対処を行う組織を表す印として用いる場合、災害の状況に応じて対策する組織が変化することがある。そのような場合、担当者は、対処を行う組織に応じた色のマグネットを「種別」の欄に付ける。
【0017】
ホワイトボード等の媒体40に情報を記入していく方法は、入力の負担が小さく、一覧性を確保することが可能な情報の管理方法であるが、例えば、記入する文字の色を変えることによって情報の重要度を表現しようとすると、その重要度が変化した場合に対応が難しい。本実施形態のように、所定の色のマグネットを付けることによって、その情報の属性を記入する方法であれば、状況の変化に応じて異なる色のマグネットを付け替えるだけで、その情報の最新の属性を反映した情報に更新することができる。
【0018】
図1に戻る。カメラ20aは、所定の時間間隔で媒体40aを撮影する。カメラ20bは、所定の時間間隔で媒体40bを撮影する。カメラ20a,20bは、撮影した画像をその都度、情報管理装置10へ出力する。情報管理装置10は、カメラ20a,20bから取得した画像を取得し、最新の画像の中からユーザによって指定された必要な災害情報だけを抽出する。必要な災害情報は、「種別」、「進行状況」、「重要度」の属性情報によって指定される。例えば、ユーザが「種別」に対して水害を指定した場合、情報管理装置10は、媒体40a,40bに記入された災害情報のうち、「種別」の欄に水害を示す青色のマグネットが付された災害情報だけを抽出して表示部18に表示する。あるいは、情報管理装置10は、プロジェクタ30を用いて、抽出した災害情報をスクリーン50に表示してもよい。プロジェクタ30は、情報管理装置10からの指示により、抽出した災害情報をスクリーン50へ投影する。
【0019】
なお、
図1に例示する情報管理システム1の構成について、カメラ20および媒体40の数は1つでも3つ以上であってもよい。また、カメラ20a,20bのそれぞれについて個別に情報管理装置10を設けてもよい。また、媒体40a、40bを1台のカメラ20で撮影するように構成されていてもよい。後述(
図11)するように、情報管理システム1は複数拠点を跨いで構成することも可能である。以下、媒体40a~40bの区別が必要ない場合は媒体40と記載し、カメラ20a~20bの区別が必要ない場合にはカメラ20と記載する場合がある。
【0020】
(情報管理装置の構成)
図3は、本発明の一実施形態における情報管理装置の機能ブロック図である。
情報管理装置10は、サーバ端末やPC(personal computer)等のコンピュータによって構成される。情報管理装置10は、画像取得部11と、画像処理部12と、抽出部13と、記憶部14と、入力受付部15と、制御部16と、出力部17と、表示部18とを備える。
画像取得部11は、カメラ20が所定の時間間隔で撮影した画像とその撮影時刻を取得し、記憶部14に記録する。画像取得部11が取得する画像を撮影画像と記載する。
画像処理部12は、撮影画像に対し画像処理を行い、撮影画像から必要な情報を認識したり、撮影画像の一部を切り出したりする。例えば、画像処理部12は、撮影画像から「種別」、「進行状況」、「重要度」の何れかに対して付されたマグネットの状態を検出する。画像処理部12は、検出したマグネットの位置と色から、マグネットが付された行に対して属性と属性値を対応付ける。属性とは「種別」、「進行状況」、「重要度」の何れかであり、属性値とは、赤、黄、青などの色に対して設定された値である。なお、マグネットの状態とは、マグネットの色の他、マグネットが付けられていないことも含む。また、画像処理部12は、各行ごとに「日時」や「内容」の欄に記入された情報を切り出す。情報の切り出しは、例えば、罫線で囲まれた各欄の範囲の画像を撮影画像から切り出してもよいし、OCR(optical character recognition)で各欄に記入された文字を認識してもよい。
【0021】
抽出部13は、撮影画像に含まれる災害情報のうち、ユーザが指定した属性情報を有する情報を抽出する。
記憶部14は、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体である。記憶部14は、画像取得部11が取得した撮影画像、画像処理部12が切り出した情報、抽出部13が抽出した情報などを記憶する。
入力受付部15は、ユーザが情報管理装置10へ入力する設定情報などを受け付ける。
制御部16は、表示部18へ表示する画像や、プロジェクタ30を介して投影する画像を生成する。
出力部17は、制御部16が生成した画像を表示部18とプロジェクタ30の何れか、又は両方へ出力する。
表示部18は、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置である。
記憶部14および表示部18は、情報管理装置10と一体的に構成されていてもよいし、独立した装置として情報管理装置10に接続されていてもよい。
【0022】
(表示対象の設定)
図4は、本発明の一実施形態における抽出条件設定画面の一例を示す図である。
図4に例示する抽出条件設定画面100は、制御部16が生成する画面である。
抽出条件設定画面100では、種別、進行状況、重要度の各々について抽出する条件を1つ又は複数選択することができる。例えば、ユーザが、火災に関する災害情報だけを見たい場合には「種別3(赤)」を選択し、火災と水害の情報を見たい場合には「種別3(赤)」と「種別1(青)」を選択する。また、進行状況が進んだ情報だけを見たい場合には「状況3(赤)」を選択し、重要度が高い情報だけを見たい場合には「重要度3(赤)」を選択する。また、ユーザは、種別、進行状況、重要度のうち複数の属性について選択することが可能である。例えば、火災のうち進行状況が進んでいて重要度が高い災害情報だけを抽出したい場合、ユーザは「種別3(赤)」、「状況3(赤)」、「重要度3(赤)」を選択する。また、ある属性について、マグネットのついていない災害情報を抽出したい場合、ユーザは、その属性について、「(無)」を選択する。例えば、ユーザが、種別が「終了(無)」、進行状況が「無し(無)」、重要度が「無し(無)」を選択した場合、何れの属性の欄にもマグネットが付されていない災害情報が抽出される。また、ある属性について特に抽出条件を指定しない場合、ユーザは、その属性について選択を行わない。例えば、ユーザが、「種別3(赤)」を選択し、進行状況や重要度については何ら選択しなかった場合、媒体40の「進行状況」や「重要度」の欄に付されたマグネットの有無やその色に関わらず「種別」の欄に赤色のマグネットが付された災害情報が全て抽出される。また、抽出条件設定画面100では、消去済みの情報について、“表示する”、“表示しない”の選択を行うことができる。消去済みの情報とは、媒体40に一度記入されて削除された災害情報のことである。災害情報が増加すると、媒体40a,40bに記入しきれなくなることがある。そのような場合、媒体40a,40bに記入された情報を一旦消去する。媒体40a,40bに記入された情報は、カメラ20a、20bによって撮影され、記憶部14に蓄積される。消去済みの情報を“表示する”を選択すると、現在、媒体40a,40bに記入されている災害情報に加え、消去された災害情報も表示対象となり、“表示しない”を選択すると、現在、媒体40a,40bに記入されている災害情報だけが表示対象となる。抽出条件を選択すると、ユーザは、抽出ボタン101を押下する。すると、入力受付部15が、抽出条件設定画面100で設定された抽出条件を取得し、それらの情報を検索条件として抽出部13に出力する。抽出部13は、画像取得部11が取得した画像の中から、抽出条件に合うマグネットが付された行の情報を抽出して、制御部16へ出力する。制御部16は、
図5に示す抽出結果表示画面を生成して表示部18に出力する。
【0023】
抽出条件設定画面100の再生ボタン102は、過去から現在までの災害情報の履歴を再現して表示する機能である。例えば、ユーザが、「種別3(赤)」を選択し、再生対象時間に昨日の10時から本日の10時までを設定し、再生ボタン102を押下すると、抽出部13は、昨日の10時に媒体40に記入されていた「種別3(赤)」の災害情報を抽出し、制御部16へ出力する。制御部16は、昨日の10時の時点で「種別」欄に赤色のマグネットが付けられていた災害情報の一覧を表示する。抽出部13は、例えば、1分ごとに時計を進め、昨日の10時1分の時点の災害情報を抽出する。制御部16は、昨日の10時1分の時点で「種別」欄に赤色のマグネットが付けられていた災害情報の一覧を表示する。抽出部13と制御部16は、このような処理を順次繰り返し、昨日の10時から本日の10時までの間に媒体40の「種別」欄に赤色のマグネットが付けられていた災害情報の変化を再現する。
【0024】
(抽出結果の表示例)
図5は、本発明の一実施形態における抽出結果表示画面の一例を示す第1図である。
図5にユーザが、種別で「種別3(赤)」を選択し、他の「進行状況」、「重要度」では何の設定も行わなかった場合の抽出結果を示す。
図5の各行は、媒体40に記入された情報のうち抽出された各々の行に相当する。
図5の「登録時刻」の欄には、ホワイトボードに災害情報が記入されてから一番最初にカメラ20が撮影した画像が登録された時刻が表示される。「発生時刻」、「内容」の各欄には、媒体40における抽出された行の日時および内容と同じ情報が表示される。「種別」、「進行状況」、「重要度」の各欄には、媒体40の対応する「種別」、「進行状況」、「重要度」の各欄に付けられたマグネットの色に対応するコード情報が表示される。例えば、マグネットが付けられていなければ“0”、青色のマグネットが付けられていれば“1”、黄色のマグネットが付けられていれば“2”、赤色のマグネットが付けられていれば“3”の各コード情報が表示される。
【0025】
ここで、
図2に示す媒体40の左側の領域の4行目の災害情報について、「重要度」欄の黄色のマグネットが取り外され、赤色のマグネットが付けられたとする。すると、画像処理部12は、次のタイミングでカメラ20が撮影した撮影画像から左側の領域の4行目の災害情報の「重要度」の欄に関して赤色のマグネットを検出し、属性情報の「重要度」の値に“3”を設定する。抽出部13は、属性情報の「種別」の値に“3”が設定された行を抽出する。制御部16は、抽出部13によって抽出された行を表示対象として抽出結果表示画面200を生成する。
図5の表示例と異なり、
図5の2行目の重要度の値は“3”から“2”に更新される。
【0026】
さらに状況が進行し、
図2に示す媒体40の左側の領域の4行目の災害情報について、火災への対処が終了し、「種別」欄から赤色のマグネットが取り外されたとする。すると、画像処理部12は、次のタイミングでカメラ20が撮影した撮影画像から左側の領域の4行目の災害情報の「種別」の欄に関してマグネットが無いことを検出し、属性情報の「種別」の値に“0”を設定する。抽出部13は、属性情報の「種別」の値に“3”が設定された行を抽出するので、
図5の2行目の災害情報は、次に制御部16が生成する抽出結果表示画面200からは消去される。
なお、抽出結果表示画面200には、媒体40aに記入された情報と媒体40bに記入された情報の両方が表示される。これにより、複数の媒体40に分離して記入された情報が統合して表示されることで情報の一覧性が向上する。
【0027】
図6は、本発明の一実施形態における抽出結果表示画面の一例を示す第2図である。
制御部16は、
図6に例示するような抽出結果表示画面200´を生成してもよい。抽出結果表示画面200´では、各種別に4分割された領域が割り当てられる。領域201´には、属性情報の「種別」に“0”が設定された災害情報(媒体40の「種別」欄にマグネットが付けられていないもの)が一覧表示され、領域202´には、属性情報の「種別」に“1”が設定された災害情報(青色のマグネット)が一覧表示され、領域203´には、属性情報の「種別」に“2”が設定された災害情報(黄色のマグネット)が一覧表示され、領域204´には、属性情報の「種別」に“3”が設定された災害情報(赤色のマグネット)が一覧表示される。例えば、
図2の3~4行目の災害情報は、右下の領域204´に表示される。ここで、
図2の4行目の火災の情報について、火災への対処が終わり、赤色のマグネットが取り外されると、領域204´に表示されていた災害情報は、左上の領域201´に表示されるようになる。
【0028】
(登録データの例)
次に記憶部14が記憶するデータ形式の一例について説明する。
図7は、本発明の一実施形態におけるデータテーブルの一例を示す図である。
画像処理部12は、画像取得部11が取得した最新の撮影画像に対して画像処理を行い、その結果を
図8に例示するテーブル300に書き込む。テーブル300は、「媒体ID」、「行番号」、「枝番号」、「登録時間」、「発生時刻」、「内容」、「種別」、「進行状況」、「重要度」、「消去フラグ」の各項目を有する。「媒体ID」には、媒体40の識別情報が格納される。例えば、
図1の構成例で、媒体40aに記入された災害情報(カメラ20aから取得した撮影画像)について、画像処理部12は、「媒体ID」項目に“1”を格納し、媒体40bに記入された災害情報(カメラ20bから取得した撮影画像)については「媒体ID」項目に“2”を格納する。画像処理部12は、「行番号」項目に媒体40の何行目に災害情報が記入されているかを格納する。画像処理部12は、「枝番号」項目に属性情報が変化するたびに1を加算した値を格納する。例えば、媒体40の1行目に初めて災害情報が記入された場合、画像処理部12は、その災害情報に対して、「行番号」に“1”、「枝番号」に“0”を格納する。その後、属性情報が変化(マグネットが変化)すると、画像処理部12は、その変化を検出し、枝番号に1を加算した新たな行を生成する。新たな行には、マグネット付け替え後の情報が登録される。「登録時間」項目には、その行の災害情報がテーブル300に登録された時刻(つまり、属性情報の変化が検出されて新しい枝番号のレコードが登録された時刻)が格納される。「発生時刻」項目には、画像処理部12が撮影画像から切り出した当該行の「日時」欄の画像が格納される。「内容」項目には、画像処理部12が撮影画像から切り出した当該行の「内容」欄の画像が格納される。「種別」項目には、撮影画像の当該行の「種別」欄に基づいて検出された値が格納される。具体的には、画像処理部12は、媒体40の「種別」欄にマグネットが付けられていなければ“0”、青色のマグネットが付けられていれば“1”、黄色のマグネットが付けられていれば“2”、赤色のマグネットが付けられていれば“3”を格納する。「進行状況」項目には、撮影画像の当該行の「進行状況」欄に基づいて検出された値が格納される。「重要度」項目には、撮影画像の当該行の「重要度」欄に基づいて検出された値が格納される。「進行状況」項目および「重要度」項目に画像処理部12が格納する値は、「種別」項目の場合と同様である。「消去フラグ」項目には、当該行の災害情報が、媒体40から消去されているかどうかを示す値が格納される。災害の規模が大きく情報量が多い場合や、災害が長期化する場合、媒体40a,40bに災害情報を記入しきれない場合がある。そのような場合、情報管理装置10には、媒体40a,40bに記入された情報が蓄積されているので、媒体40a,40bに記入された災害情報を消去する。媒体40a,40bから消去された災害情報に対しては消去フラグに“1”が設定され、現在、媒体40a,40bに記入されている災害情報については消去フラグに“0”が設定される。画像処理部12は、例えば、カメラ20aから取得した最新の撮影画像から罫線だけが検出されるような場合、「媒体ID」項目に「1」が格納されたレコードの「消去フラグ」項目に“1”を格納する。
また、媒体40a、40bの「進行状況」欄に付されたマグネットが外されると、画像処理部12は、登録済みの枝番号の最大値に1を加算したレコードをテーブル300に新たに登録するとともにそのレコードの「進行状況」項目に災害状況の終了、対応の完了を示す値“4”を設定する。
【0029】
(消去済み情報の編集)
図8は、本発明の一実施形態における更新画面の一例を示す図である。
媒体40に記入されている災害情報については、マグネットの付け替えが可能であるが、消去済みの災害情報については属性の変更ができない。
図8に例示する更新画面400は、消去済み災害情報に対して、「種別」、「進行状況」、「重要度」の値を変更する機能を提供する。
図4に例示する抽出条件設定画面100と同様にして、ユーザは、抽出条件を設定する。ユーザが抽出ボタン401を押下すると、抽出条件を満たし、消去フラグに“1”が格納された災害情報が領域403に一覧表示される。領域403の「種別」、「進行状況」、「重要度」の値は変更が可能である。例えば、
図8の1行目に表示されている災害情報に対する対処が終了すると、ユーザは、種別の“3”を“0”に変更し、更新ボタン402を押下する。すると、制御部16が、テーブル300の対応するレコードの「種別」項目の値を“0”で更新する。これにより、媒体40から消去したデータについても属性情報の値を更新することができる。
【0030】
(登録処理)
次に
図9に例示するテーブルへの登録処理について説明する。
図9は、本発明の一実施形態における登録処理の一例を示すフローチャートである。
担当者は、ペンで媒体40へ災害情報の手入力を行う。カメラ20は、所定の時間間隔で媒体40を撮影し、その画像を情報管理装置10へ出力する。
情報管理装置10では、画像取得部11が媒体40を撮影した撮影画像を取得する(ステップS11)。画像取得部11は、画像処理部12へ撮影画像を出力する。画像処理部12は、撮影画像に対し画像処理を行う(ステップS12)。例えば、画像処理部12は、媒体40の罫線を検出し、各行、各欄へ記入された情報の有無を判別し、判別結果を
図8のテーブル300の登録内容と比較する。あるいは、画像処理部12は、1つ前に取得した撮影画像と今回取得した撮影画像を比較してもよい。テーブル300の登録内容と差があれば、あるいは、1つ前に取得した撮影画像と今回取得した撮影画像に差があれば、画像処理部12は、撮影画像から必要な情報を抽出し、テーブル300へ登録する(ステップS13)。例えば、媒体40の左側の領域の1行目に初めて災害情報が記入された場合、そのときにはテーブル300には情報が登録されていないので、画像処理部12は、罫線に基づいて1行目および1行目の各欄を認識し、左側の領域の1行目に記入された情報をテーブル300に登録する。「媒体ID」~「消去フラグ」の各項目登録する情報については
図8を用いて説明したとおりである。
【0031】
例えば、媒体40aの左側の領域の1行目の「日時」欄に「10/1 15:10」、「内容」欄に「XXで火災発生」と記入され、「種別」欄に赤色のマグネットが付けられ、「進行状況」、「重要度」の何れにもマグネットが付けられていない場合、画像処理部12は、「媒体ID」項目に“1”、「行番号」項目に“1”、「枝番号」項目に“0”、「登録時間」項目に現在の時刻、「発生時刻」項目に「日時」欄を切り出した画像、「内容」項目に「内容」欄を切り出した画像、「種別」項目に“3”、「進行状況」項目に“0”、「重要度」項目に“0”、「消去フラグ」項目に“0”を格納したレコードをテーブル300に登録する。
【0032】
また、マグネットの付け替えがあった場合、画像処理部12は、罫線に基づいてマグネットの付け替えがあった欄を認識し、付け替え後のマグネットの有無や色を検出する。そして、画像処理部12は、テーブル300からマグネットの付け替えがあった行のレコードのうち、枝番の値が最大のレコードを選択して複製し、枝番の値を1加算し、マグネットの付け替えがあった項目に、付け替えられたマグネットに応じた0~3の何れかの値を設定した新たなレコードをテーブル300に登録する。例えば、上記の例で、「進行状況」欄に新たに青色のマグネットが付けられた場合、画像処理部12は、最新の撮影画像から罫線を目印にして「進行状況」欄に新たに青色のマグネットが付けられたこと検出し、上記処理で新規登録したレコードを複製し、「枝番号」項目に“1”、「進行状況」項目に“1”を設定し他の項目については同内容のままとした新たなレコードをテーブル300に登録する。
画像処理部12は、画像取得部11が撮影画像を取得する度に、新たな撮影画像に対し、ステップS11~S13の処理を繰り返し行う。
【0033】
(表示処理)
次に表示処理について説明する。
図10は、本発明の一実施形態における表示処理の一例を示すフローチャートである。
図9で説明した処理によってテーブル300には、媒体40の最新の状態を反映したデータが登録されている。まず、制御部16が、
図4の抽出条件設定画面100を生成する。出力部17は、抽出条件設定画面100を表示部18に表示する(ステップS21)。ユーザは、「種別」、「進行状況」、「重要度」、「消去済み情報」の各項目について抽出条件の設定を行う。また、再生の場合には再生対象時間を設定する。ユーザは、抽出ボタン101又は再生ボタン102を押下する。すると、入力受付部15は、入力された抽出条件と表示モードを取得し(ステップS22)、それらを制御部16へ出力する。表示モードとは、最新の災害情報を表示する最新モードか、過去からの災害情報の変化を再生する再生モードのことである。ユーザが、抽出ボタン101を押下すれば最新モードであり、ユーザが、再生ボタン102を押下すれば再生モードである。最新モードの場合(ステップS23;最新)、制御部16は、抽出条件を抽出部13へ渡し、条件に合った災害情報の抽出を指示する。抽出部13は、抽出条件を用いてテーブル300を検索する。例えば、抽出条件設定画面100にて、「種別3(赤)」、「状況3(赤)」、「重要度3(赤)」、表示済み情報「表示する」が選択された場合、抽出部13は、種別=“3”、進行状況=“3”、重要度=“3”、消去フラグ=“0”と“1”、且つ、各行番号について枝番号が最大値のレコードをテーブル300から抽出する。制御部16は、その抽出結果を取得して、
図5に例示する抽出結果表示画面200を生成する。出力部17は、抽出結果表示画面200を表示部18に表示する(ステップS24)。出力部17が抽出結果表示画面200を表示部18に表示している間にも、カメラ20は、媒体40を所定の時間間隔で撮影し、撮影画像を情報管理装置10へ出力する。情報管理装置10では、画像取得部11が撮影画像を取得し、撮影画像に変化があった場合には、画像処理部12が、最新の撮影画像から必要な情報を切り出す等してテーブル300に情報を登録する(
図9の処理)。また、制御部16は、所定の時間間隔で、抽出結果表示画面200を更新する。つまり、所定の時間間隔で抽出部13に上記の抽出条件に基づく抽出を指示し、その抽出結果を受け取る。制御部16は、抽出結果を受け取けると、その抽出結果を表示した抽出結果表示画面200を生成し、出力部17へ出力する。出力部17は、最新の抽出結果表示画面200を表示部18に表示する。これにより、情報管理装置10は、最新の災害情報のうち必要な情報だけを抽出して表示する。
【0034】
再生モードの場合(ステップS23;再生)、制御部16は、抽出条件および再生対象時間(再生開始時刻と再生終了時刻)を抽出部13へ渡し、条件に合った災害情報の抽出を時系列に沿って順次抽出するよう指示する。抽出部13は、抽出条件を用いてテーブル300を検索する。例えば、抽出条件設定画面100にて、「種別3(赤)」、「状況3(赤)」、「重要度3(赤)」、表示済み情報「表示する」が選択された場合、抽出部13は、まず、種別=“3”、進行状況=“3”、重要度=“3”、消去フラグ=“0”と“1”、且つ、各行番号について、登録時間の値が現在再生中の時刻以前で、枝番号が最大値のレコードをテーブル300から抽出する。抽出部13は、再生中の時刻を管理する時計を進めつつ、その時計が計測する時間における所定の時間間隔で、その時々の最新の情報を抽出する。抽出部13は、抽出した災害情報を制御部16へ出力する。制御部16は、抽出結果を取得する度に、抽出結果表示画面200を生成し、出力部17へ出力する。抽出結果表示画面200には再生中の日時が表示されてもよい(
図5の時刻表示欄201)。出力部17は、抽出結果表示画面200を表示部18に表示する(ステップS25)。災害情報の再生中も、カメラ20は、媒体40を所定の時間間隔で撮影し、撮影画像を情報管理装置10へ出力する。情報管理装置10では、画像取得部11が撮影画像を取得し、画像処理部12が、必要に応じて最新の撮影画像から必要な情報を切り出す等してテーブル300に情報を登録する(
図9の処理)。制御部16は、最新の情報に関係なく、再生中の時刻が再生終了時刻に至るまで災害情報の再生を行う。これにより、過去の所定期間にわたる災害情報の中から必要な情報だけを抽出して、時系列に再現することができる。
【0035】
<他の実施例>
図11は、本発明の一実施形態における情報管理システムの一例を示す第2図である。
図11に示すように情報管理システム1Aは、多拠点に跨って構成することも可能である。拠点1には、情報管理装置10a~10c、カメラ20a~20c、媒体40a~40cが設置され、媒体40a,40b,40cの各々に対して、カメラ20a,20b,20cが設置されている。カメラ20a,20b,20cは、それぞれ情報管理装置10a,10b,10cに接続されている。拠点2には、情報管理装置10d~10f、カメラ20d~20f、媒体40d~40fが設置され、媒体40d,40e,40fの各々に対して、カメラ20d,20e,20fが設置されている。カメラ20d,20e,20fは、それぞれ情報管理装置10d,10e,10fに接続されている。情報管理装置10a~10fは、ネットワークを介して互いに通信可能である。情報管理装置10aは、
図3と同様の構成、つまり、画像取得部11a、画像処理部12a、抽出部13a、記憶部14a、入力受付部15a、制御部16a、出力部17a、表示部18aを有している。情報管理装置10b~10fについても同様である。そして、例えば、拠点1の情報管理装置10aをマスタ機として災害情報の管理を行う。つまり、情報管理装置10bは、カメラ20bが撮影した撮影画像を情報管理装置10aへ送信する。情報管理装置10c~10fも自機に接続されたカメラ20c~20fが撮影した撮影画像を情報管理装置10aへ送信する。情報管理装置10aは、カメラ20a~20fが撮影した撮影画像を取得し、上記で説明したものと同様の処理を行う。例えば、抽出部13aは、ユーザが指定した属性を有する災害情報を抽出し、制御部16aは、抽出された情報を表示した抽出結果表示画面200aを生成する。また、出力部17aは、抽出結果表示画面200aを表示部18aに表示する。さらに、情報管理装置10aは、抽出した情報を、例えば拠点2の情報管理装置10dへ送信し、情報管理装置10dでは、制御部16dが、情報管理装置10aから受信した情報を表示した抽出結果表示画面200aを生成し、表示部18dに表示する。このような構成によれば、例えば、表示部18a、18dに表示されている災害情報について、拠点1の媒体40a~40cで属性情報を更新するか、拠点2の媒体40d~40fで属性情報を更新すると、その結果が、表示部18a、18dの表示に反映される。つまり、多拠点の間でのリアルタイムな情報の共有が可能になる。
【0036】
また、マスタ機を各拠点で設けることも可能である。例えば、拠点1では、情報管理装置1aをマスタ機、拠点2では、情報管理装置1dをマスタ機として設定する。情報管理装置10a,10dは、カメラ20a~20fが撮影した撮影画像を各カメラ20が接続された情報管理装置10を中継して取得する。そして、情報管理装置10aは、拠点1のユーザの操作に基づいて、拠点1に必要な情報を抽出して表示する。抽出される災害情報は、拠点2で記入されたものも含まれる。情報管理装置10dは、拠点2のユーザの操作に基づいて、拠点2に必要な情報を抽出して表示する。このような構成によれば、必要とする災害情報に関して、他拠点でどのような情報が寄せられているかを把握することができる。
【0037】
図12は、本発明の一実施形態における抽出結果表示画面の一例を示す第3図である。
図12に多拠点に跨って情報管理システム1Aを構築する場合の表示例を示す。抽出結果表示画面200Aは、
図5に例示する画面に比べさらに「拠点」の情報を表示する。例えば、1行目と3行目の災害情報は、拠点1の媒体40a等に記入された情報、2行目と4行目の災害情報は、拠点2の媒体40d等に記入された情報である。ここで、1行目と2行目の災害情報は、同じ災害に関する情報が拠点1と拠点2にそれぞれ報告され、それぞれの拠点の媒体40に記入された情報である。この例の場合、種別や進行状況については両拠点で同じ扱いがされているが、重要度に関しては両拠点の判断が異なっている。このような場合に、抽出結果表示画面200Aによれば、両拠点で異なる重要度の判断をしたことがその場で認識でき、意見のすり合わせや互いの認識の確認を行ったりすることができる。また、3行目と4行目は、被災地で必要とされる物資の調達に関する情報であるが、例えば、拠点1ではプッシュ型支援として、マニュアルに基づく物資Yを届けるよう計画し、それを媒体40に記入する。一方、被災地に近い拠点2では、現場から物資Zに対する要望が多くあることを聞きつけ、物資Zが必要とされていることを媒体40に書き込む。すると、拠点1の担当者は、実際には物資Zが必要とされていることを把握することができる。
なお、多拠点に跨って情報管理システム1Aを構築する場合、
図4に例示する抽出条件設定画面100において、更に拠点を選択できるようにしてもよい。
また、上記説明では、出力部17aは、各種画面の画像を表示部18aへ出力することとしたが、拠点1、2にプロジェクタ30とスクリーン50を設け、プロジェクタ30からスクリーン50へ投影するようにしてもよい。
【0038】
(効果)
緊急時には、情報の正確さや重要度などを精査して、必要な情報だけを記録するといった作業を行うことは難しい。また、情報の重要度や必要性は時間の経過とともに変化する。特に災害時には、余裕が無い状態で情報を漏らさずに記録することが要求される。その反面、災害対策本部等では、意思決定を行わなければならないことから、重要な情報については埋もれさせずに管理する必要がある。本実施形態によれば、媒体40に日時と内容さえ手入力すれば、カメラ20がその内容を撮影し、情報管理装置10が媒体40に記入された情報を保存するので情報の漏れが生じにくくなる。また、担当者は、媒体40に記入可能な情報量の上限を気にすることなく、媒体40に手入力することができる。また、手入力された情報の種別や重要度・必要性などを示す属性情報を簡便な方法で記入(所定の色のマグネットを付ける)し、また、状況の変化に応じて、その属性情報を容易に変更(マグネットの付け替え)することができる。このような方法であれば、一度記入した情報を修正する必要が無いので、緊急時でも無理なく情報の管理を行うことができ、重要度等の情報の属性の変化に対して容易に対応することができる。また、媒体40へ情報を書き込んだ時刻、属性情報を変更した履歴が全て記録されるため、いつどのような情報が寄せられ、それらの情報が示す状況が収束したかを記録に残すことができる。また、本実施形態によれば、属性情報に基づいて必要な情報だけを抽出して表示させることができる。従って、情報量が増大しても一覧性を確保することができる。また、抽出した情報を複数のPCの画面に表示したり、プロジェクタ30でスクリーン50に投影したりすることで情報の共有が可能である。また、情報の重要度は画一的な評価が難しいところ、情報を共有しながら関係者全員が参加して、意見のすり合わせを行って決定することが可能になる。また、抽出条件を切り替えることにより、共有する情報を容易に切り替えることができる。
また、媒体40から情報を消去すると元に戻せないが、情報管理装置10によれば、消去した情報も保存される為、情報の消去後もその情報を確認することができる。さらに、記録した情報は、一定時間経過後であっても任意に再現できるので、時系列の情報の変化の整理を簡便に行うことができる。また、各組織の担当者は、自分が関係する情報しか目に入らないことが多いが、表示部18が表示する災害情報の一覧を確認することで、全体の情報を俯瞰することができる。
【0039】
<情報更新対応機能>
上記の説明では、一度、媒体40に記入した災害情報を更新せずに属性情報だけを変化させることとした。しかし、災害情報は、時間の経過に伴って変化する場合がある。例えば、水害が発生した場合、水位や水圧などを媒体40に記入して共有することがある。このような場合に水位や水圧が変化するたびに、媒体40の新たな行に変化後の水位や水圧を記載するならば、情報を記入するための行が大量に必要となる。情報を記入するための行が大量に必要となると、多数の媒体40が必要になったり、媒体40の裏面に情報を記入したりするようになり、情報の一覧性も損なわれる。そこで、災害情報を更新する必要が生じた場合には、担当者が、媒体40に記入済みの災害情報を更新することを可能とする機能を情報管理装置10に設ける。具体的には、媒体40上の災害情報を更新したときに、その更新をマグネットの付着によって情報管理装置10へ通知し、情報管理装置10では、更新前と更新後の両方の災害情報を記録しておく。そうすることで、媒体40上に全ての情報を残しておかなくても、表示部18やスクリーン50に、最新の災害情報又は過去の災害情報の履歴を表示できるようにする。
【0040】
図13、
図14は、それぞれ、本発明の一実施形態における情報の更新例を示す第1図、第2図である。
図13、
図14に媒体40a´の一例を示す。
図2で例示した媒体40との違いは、新たに「更新」欄が設けられていることである。「更新」は、「日時」や「内容」に手入力した情報を更新した際に所定の色のマグネットを付すための領域である。担当者は、「日時」や「内容」を変更した際に「更新」欄にマグネットを付すことにより災害情報の更新を情報管理装置10へ通知する。「更新」は、「種別」、「進行状況」、「重要度」と同様に属性情報の1つである。
図13(a)に示す媒体40aの左側の領域の1行目には「日時」欄に「10/1 10:00」、「内容」欄に「X1が発生、水深Y1cm」と記入され、「種別」欄に黄色のマグネットが付けられ、「進行状況」欄には青色のマグネットが付され、「重要度」欄と「更新」欄にはマグネットが付けられていない。担当者は、この情報を10/1の10:05に媒体40a´へ入力する。
【0041】
その後、10:30に、担当者は、「日時」欄を「10/1 10:20」、「内容」欄を「X1が発生、水深Y2cm」に更新し、「更新」欄にマグネットを付ける。更新後の媒体40a´を
図13(b)に示す。担当者が「更新」欄にマグネットを付けると、画像処理部12は、撮影画像からマグネットを検出し、撮影画像から当該行の「日時」欄の画像と「内容」欄の画像とを切り出して、更新後の災害情報を新たなレコードとしてテーブル300へ登録する。例えば、この行の災害情報が抽出結果表示画面200に表示されていれば、抽出結果表示画面200には、更新後の内容が表示される。担当者は、抽出結果表示画面200の表示が更新されたことによって、媒体40a´の「日時」欄および「内容」欄の情報がテーブル300に登録されたことを認識する。更新後の災害情報が情報管理システム1へ登録されたことを確認すると(あるいは、マグネットを「確認」欄に付けて所定の時間が経過すると)、担当者は、「更新」欄からマグネットを取り外す。マグネットを取り外した後の媒体40a´を
図13(c)に示す。画像処理部12は、「更新」欄にマグネットが付けられたことを検出すると、更新後の情報をテーブル300へ登録するが、「更新」欄からマグネットが取り外されたことを検出してもテーブル300の更新などは行わない。
【0042】
次に
図14(a)を参照する。その後、再び状況が変化し、担当者は、12:30に、「日時」欄を「10/1 12:20」、「内容」欄を「X1が発生、水深Y3cm」に更新し、「更新」欄にマグネットを付ける。また、担当者は、災害状況の進行に合わせて「進行状況」欄のマグネットを赤色に付け替える。担当者が「更新」欄にマグネットを付けると、画像処理部12は、撮影画像から「更新」欄にマグネットが付されたことを検出し、撮影画像から当該行の「日時」欄の画像と「内容」欄の画像とを切り出して、新たなレコードをとしてテーブル300へ登録する。また、画像処理部12は、「進行状況」欄のマグネットが青色から赤色に変更されたことを検出し、今回新たにテーブル300に登録したレコードの「進行状況」項目の値を“1”から“3”に更新する。更新後の災害情報がテーブル300へ登録されると、担当者は、「更新」欄からマグネットを取り外す。マグネットを取り外した後の媒体40a´を
図14(b)に示す。
【0043】
その後、事態が収束すると、15:00に担当者は、「進行状況」欄から赤色のマグネットを取り外す。マグネット取り外し後の媒体40a´を
図14(c)に示す。担当者が「進行状況」欄からマグネットを取り外すと、画像処理部12は、撮影画像から「進行状況」欄からマグネットが取り外されたことを検出し、新たな枝番号を付したレコードをテーブル300へ登録し、そのレコードの「進行状況」項目の値に完了を示す“4”を設定する。この後、事態の完了をうけて、媒体40´のこの行の記載が消去されると、既に説明したようにテーブル300の対応するレコードの消去フラグには“1”が設定される。その後、同じ行に新たな災害情報が手入力されると、画像処理部12は、新たな災害情報(枝番=0)としてテーブル300に登録する。
【0044】
図13、
図14に例示した媒体40a´に記入された情報の変化に伴うデータの登録処理について説明する。
図15は、本発明の一実施形態におけるデータテーブルの一例を示す図である。
図7に例示したテーブル300と比較して、
図15のテーブル300´には、「更新回数」項目が設けられている。
図15のテーブル300´の1行目(枝番号=0)のレコードは、媒体40a´に記入された情報が
図13(a)に示す状態となったときにテーブル300´に登録されるデータである。pic11は撮影画像から“10/1 10:00”を切り出した画像、pic12は撮影画像から“X1が発生、水深Y1cm”を含む画像である。画像処理部12は、「更新回数」項目に“0”を格納する。テーブル300´の他の項目へのデータの登録方法は、
図7を用いて説明したものと同様である。
【0045】
2行目(枝番号=1)のレコードは、媒体40a´に記入された情報が
図13(b)に示す状態となった直後にテーブル300´に登録されるデータである。pic21は撮影画像から“10/1 10:20”を切り出した画像、pic22は撮影画像から“X1が発生、水深Y2cm”を含む画像である。画像処理部12は、「更新回数」項目に“1”を設定する。
【0046】
3行目(枝番号=2)のレコードは、媒体40a´に記入された情報が
図14(a)に示す状態となった直後にテーブル300´に登録されるデータである。pic31は撮影画像から“10/1 12:20”を切り出した画像、pic32は撮影画像から“X1が発生、水深Y3cm”を含む画像である。画像処理部12は、「更新回数」項目に“2”を設定する。
【0047】
4行目(枝番号=3)のレコードは、媒体40a´に記入された情報が
図14(c)に示す状態となった直後にテーブル300´に登録されるデータである。「進行状況」欄から赤色のマグネットが取り外されたことによって、「進行状況」項目に“4”が登録されている。
【0048】
次に
図13、
図14に例示した媒体40a´に記入された情報の変化に伴う抽出結果表示画面200の表示例を示す。
図16、
図17は、それぞれ、本発明の一実施形態における抽出結果表示画面の一例を示す第4図、第5図である。
図16(a)に、
図13(a)に示す記入が行われ、テーブル300´に
図15の1行目のレコードが登録された直後に制御部16が生成した抽出結果表示画面200を示す。抽出条件設定画面100で設定された抽出条件は、例えば、抽出条件は「種別1(青)」である。
図16(b)に、
図15の2行目のレコードがテーブル300´に登録された直後に制御部16が生成した抽出結果表示画面200を示す。
図16(c)に、
図15の3行目のレコードがテーブル300´に登録された直後に制御部16が生成した抽出結果表示画面200を示す。制御部16は、抽出結果表示画面200を生成する際に、抽出部13によって抽出されたデータの「更新回数」項目の値を参照する。「更新回数」項目の値が1以上であれば、制御部16は、例えば、そのデータの「内容」欄にプラスボタン210を表示した抽出結果表示画面200を生成する。ユーザがプラスボタン210をクリックすると、更新の履歴が抽出結果表示画面200上に表示される。
図17に更新履歴が表示された抽出結果表示画面200の一例を示す。
図17に例示する抽出結果表示画面200では、
図16(a)~
図16(c)に表示した内容が時系列に表示されている。抽出結果表示画面200の履歴が表示されたデータの「内容」欄にはマイナスボタン210´が表示される。マイナスボタン210´がクリックされると、抽出結果表示画面200は、
図16(c)の表示態様に戻る。
【0049】
また、ユーザが、プラスボタン210をクリックすると、制御部16は、
図18に例示する履歴表示画面220を生成してもよい。
図18は、本発明の一実施形態における履歴表示画面の一例を示す図である。図示するように履歴表示画面220には、過去の履歴が表示されている。
【0050】
このように、情報更新対応機能によれば、媒体40a´の「更新」欄へマグネットを付けたり取り外したりするだけで、媒体40a´へ手入力した情報を更新しても、その更新前後の情報を記録することができる。これにより、媒体40a´に常に全ての情報を記録しておく必要がなくなり、情報の散逸を解消し、情報の一覧性を確保できる。また、表示部18やスクリーン50へは最新の情報を表示することができる。また、参照したい災害情報に関して表示されたプラスボタン210をクリックするだけで、情報の更新履歴を表示することができるので、これまでの履歴データを容易に確認し、災害状況の推移を把握することができる。これにより、災害状況の変化に柔軟に対応した情報の管理が可能になる。
【0051】
<リフレッシュ機能>
媒体40は、両面に情報が書き込めるがホワイトボードの場合がある。媒体40aの表面に情報を書き込んで、裏面に移行する場合、ユーザが、情報管理装置10へ、媒体40aを指定して所定の操作(リフレッシュ操作)を行う。すると、画像処理部12は、カメラ20aが撮影している媒体40aが交換されたものと認識し、裏面の1行目に手入力された情報を、例えば、媒体ID=“1´”、行番号=“1”、枝番号=“0”・・・のようにテーブル300´に登録する。そして再び、媒体40aの表面が記入・更新対象になり、リフレッシュ操作が行われると、画像処理部12は、テーブル300´の媒体ID=“1”のレコードを登録・更新対象とする。
【0052】
図19は、本発明の一実施形態における情報管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の情報管理装置10は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能(画像取得部11、画像処理部12、抽出部13、入力受付部15、制御部16、出力部17)は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。なお、記憶部14は、補助記憶装置903に記憶されている。
【0053】
情報管理装置10の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、情報管理装置10は、複数のコンピュータ900によって構成されていても良い。記憶部14は、コンピュータ900とは別体の外部記憶装置に記憶されていても良い。
【0054】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0055】
<付記>
各実施形態に記載の情報管理装置10、情報管理システム1、1A、情報管理方法およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0056】
(1)第1の態様に係る情報管理装置10は、情報の書き込みが可能な一つ又は複数の媒体40を撮影した撮影画像を取得する画像取得部11と、前記撮影画像に含まれる前記媒体に書き込まれた情報について、所定の単位情報(媒体40の左右の各領域における1行ずつの情報)ごとに付され得る目印(色別のマグネット)の状態を検出する画像処理部12と、前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力可能な出力部17と、を有する。
これにより、媒体40に大量の情報が書き込まれた場合でも、必要な情報だけを抽出して表示することができる。目印の状態に応じて単位情報を出力可能とは、例えば、ある色のマグネットが付されていることが指定された場合、その色のマグネットが付された単位情報が出力可能となることをいう。あるいは、目印なしが指定された場合には、どの色のマグネットも付されていない単位情報が出力可能となることをいう。また、目印の状態に応じて単位情報を出力とは、例えば、属性情報の「種別」に赤色のマグネットが付されていることが指定され、「重要度」に赤色のマグネットが付されていることが指定された場合、媒体40の属性情報の「種別」と「重要度」に赤色のマグネットが付された単位情報が出力可能となり、属性情報の「種別」に赤色のマグネットが付されていることが指定され、「重要度」にどの色のマグネットも付されていないことが指定された場合、媒体40の属性情報の「種別」に赤色のマグネットが付され、「重要度」にマグネットが付されていない単位情報が出力可能となることをいう。
【0057】
(2)第2の態様に係る情報管理装置10は、(1)の情報管理装置10であって、事象の内容とその事象が発生した時刻と属性とを1つの前記単位情報とした場合に、前記撮影画像が、複数の前記単位情報を表形式で表した情報を含む。
単位情報が表形式で表されることにより、撮影画像の画像処理が容易である。また、媒体40への情報の記入が整理され管理が容易になり、一覧性が確保される。なお、事象とは、地震、火災、水害などの災害のことである。
【0058】
(3)第3の態様に係る情報管理装置10は、(2)の情報管理装置10であって、前記属性は、前記事象の種別である。
【0059】
(4)第4の態様に係る情報管理装置10は、(2)~(3)の情報管理装置10であって、前記属性は、前記事象の進捗状況である。
【0060】
(5)第5の態様に係る情報管理装置10は、(2)~(4)の情報管理装置10であって、前記属性は、前記事象の重要度である。
【0061】
(6)第6の態様に係る情報管理装置10は、(2)~(5)の情報管理装置10であって、前記属性は、前記事象が発生した時刻又は前記事象の内容の更新を示す。
【0062】
(7)第7の態様に係る情報管理装置10は、(6)の情報管理装置10であって、前記画像取得部により取得された前記撮影画像に含まれる前記単位情報を記録する更新部、をさらに備え、前記更新部(画像処理部12)は、前記更新を示す属性が変化すると、前記画像取得部11によって取得された前記撮影画像に含まれる、前記更新を示す属性が変化した前記単位情報を記録し、前記出力部17は、前記更新を示す属性が変化した前記単位情報を出力することができる。
これにより、媒体40に全ての情報を記入したままにしておく必要がなくなり、情報量を減らし、情報の整理が容易になる。また、媒体40に表示された情報の一覧性を維持することができる。
【0063】
(8)第8の態様に係る情報管理装置10は、(7)の情報管理装置10であって、前記出力部は、前記更新を示す属性が変化した前記単位情報について、前記更新の履歴を表示することができる、
これにより、災害情報の時系列の変化を把握することができる。
【0064】
(9)第9の態様に係る情報管理装置10は、(2)~(8)の情報管理装置10であって、前記単位情報には、複数の前記属性が含まれていて、前記目印は、前記属性ごとに付され得る。
これにより、事象の種別、事象の進捗状況、事象の重要度、事象の内容等の更新の各属性別に独立して、目印を付すことができ、複数の属性に付された目印に応じて単位情報を出力することができる。
【0065】
(10)第10の態様に係る情報管理装置10は、(1)~(9)の情報管理装置10であって、前記単位情報に付された前記目印の状態が変化すると、前記出力部は、変化後の前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力する。
目印を付け変えるだけで、出力部17が出力する情報を変更することができる。
【0066】
(11)第11の態様に係る情報管理システム1、1Aは、情報の記入が可能な一つ又は複数の媒体40と、前記媒体を撮影する一つ又は複数のカメラ20と、上記の何れかに記載の情報管理装置10と、を備え、前記媒体40は、事象の内容とその事象が発生した時刻と所定の目印とを1つの単位情報とする複数の前記単位情報が入力可能で、且つ、前記目印(マグネット)が前記媒体40へ着脱可能に構成されている。
これにより、媒体40に記入した情報に対して、簡単に目印を付け変えることができ、その結果を情報管理装置10の出力結果に反映することができる。
【0067】
(12)第12の態様に係る情報管理システム1、1Aは、(11)の情報管理システム1、1Aであって、前記媒体40が複数存在する場合、前記出力部17は、複数の前記媒体40に記入された前記単位情報のうち、前記目印の状態に応じた前記単位情報を統合して出力する。
これにより、媒体40が複数存在する場合(複数の媒体40が一つの拠点に設置される場合、多拠点に設けられている場合を含む)、複数の媒体40に記入された情報を統合して表示することができるので、情報の一覧性が向上する。
【0068】
(13)第13の態様に係る情報管理方法は、事象の内容とその事象が発生した時刻と所定の目印とを1つの単位情報とする複数の前記単位情報が入力可能で、且つ、前記目印が着脱可能に構成された媒体を撮影するステップと、前記媒体を撮影した画像を取得するステップと、前記画像に含まれる前記媒体に記入された情報のうち前記目印の状態を検出するステップと、前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力するステップと、を有する。
【0069】
(14)第14の態様に係るプログラムは、コンピュータを、情報の書き込みが可能な一つ又は複数の媒体を撮影した撮影画像を取得する手段、前記撮影画像に含まれる前記媒体に書き込まれた情報について、所定の単位情報ごとに付され得る目印の状態を検出する手段、前記目印の状態に応じて前記単位情報を出力可能な手段、として機能させる。
【符号の説明】
【0070】
1、1A・・・情報管理システム
10、10a~10f・・・情報管理装置
11、11a・・・画像取得部
12、12a・・・画像処理部
13、13a・・・抽出部
14、14a・・・記憶部
15、15a・・・入力受付部
16、16a・・・制御部
17、17a・・・出力部
18、18a・・・表示部
20、20a~20f・・・カメラ
30・・・プロジェクタ
40、40a~40f・・・媒体
50・・・スクリーン
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース