(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】検品装置、その制御方法、及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20240213BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20240213BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240213BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20240213BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J29/46 Z
G03G21/00
G03G21/00 510
H04N1/387
G06T1/00 500A
(21)【出願番号】P 2020056620
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】合田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】大林 洋介
(72)【発明者】
【氏名】神戸川 実
(72)【発明者】
【氏名】市川 雅教
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-196456(JP,A)
【文献】特開平09-198503(JP,A)
【文献】特開2003-136818(JP,A)
【文献】特開2018-031963(JP,A)
【文献】特開2019-025721(JP,A)
【文献】特開2015-024613(JP,A)
【文献】特開2011-070548(JP,A)
【文献】特開2007-310567(JP,A)
【文献】特開2013-195350(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0212955(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
B41J 29/46
G03G 21/00
H04N 1/387
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検品装置であって、
検品対象の画像である正解画像の特徴点と、検品対象の画像が形成される記録媒体に予め形成された所定のパターンの正解領域とを設定する設定手段と、
前記記録媒体に対して印刷装置によって形成された画像を読み取った読取画像から、前記設定手段によって設定された特徴点を抽出する抽出手段と、
前記設定手段によって設定された前記特徴点と前記正解領域との位置関係に基づいて、前記抽出手段によって抽出された特徴点の画像位置から、前記所定のパターンが形成されているべき領域となる前記読取画像上の第1領域
を特定する特定手段と、
前記第1領域に対して第1アルゴリズムで検品を行い、
前記読取画像のうち該第1領域以外の第2領域に対して前記第1アルゴリズムとは異なる第2アルゴリズムで検品を行う検品手段とを備え
、
前記所定のパターンは、ハーフカットであり、
前記検品手段は、前記第1アルゴリズムにおいて、前記第1領域の中に白の輝度値より所定値ほど下回る輝度の点線があるかを判断することにより、前記第1領域に前記所定のパターンがあるかを判断する
ことを特徴とする検品装置。
【請求項2】
検品装置であって、
検品対象の画像である正解画像の特徴点と、検品対象の画像が形成される記録媒体に予め形成された所定のパターンの正解領域とを設定する設定手段と、
前記記録媒体に対して印刷装置によって形成された画像を読み取った読取画像から、前記設定手段によって設定された特徴点を抽出する抽出手段と、
前記設定手段によって設定された前記特徴点と前記正解領域との位置関係に基づいて、前記抽出手段によって抽出された特徴点の画像位置から、前記所定のパターンが形成されているべき領域となる前記読取画像上の第1領域を特定する特定手段と、
前記第1領域に対して第1アルゴリズムで検品を行い、前記読取画像のうち該第1領域以外の第2領域に対して前記第1アルゴリズムとは異なる第2アルゴリズムで検品を行う検品手段とを備え、
前記検品手段は、前記読取画像と、項目ごとの検品結果と、検品結果が異常である場合の異常の要因とを示す結果画面を表示部に表示する
ことを特徴とする検品装置。
【請求項3】
前記検品手段は、
前記第1アルゴリズムにおいては、前記第1領域の中に前記記録媒体に予め形成された所定のパターンがあるかを判断することにより検品を行い、
前記第2アルゴリズムにおいては、前記第2領域の画像と、前記正解画像とを比較することにより検品を行うことを特徴とする請求項1
又は2に記載の検品装置。
【請求項4】
前記検品手段は、前記所定のパターンがハーフカットである場合に、前記第1アルゴリズムにおいて、前記第1領域の中に白の輝度値より所定値ほど下回る輝度の点線があるかを判断することにより、前記第1領域に前記所定のパターンがあるかを判断することを特徴とする請求項
2に記載の検品装置。
【請求項5】
前記設定手段は、さらに、
前記正解画像をユーザ入力に従って選択可能な画面を表示部に表示し、
選択された前記正解画像の画像中において前記特徴点を設定することを特徴とする請求項3又は4に記載の検品装置。
【請求項6】
前記設定手段は、
前記正解画像から抽出可能な複数の特徴点を、該複数の特徴点のうち少なくとも1つを選択可能に前記画面に表示することを特徴とする請求項5に記載の検品装置。
【請求項7】
前記設定手段によって設定される特徴点は、前記所定のパターンに近い位置の特徴点が選択されることを特徴とする請求項3乃至6の何れか1項に記載の検品装置。
【請求項8】
前記設定手段は、前記所定のパターンがハーフカットである場合において、
前記ハーフカットの内部エリアと外部エリアとをユーザ入力に従って設定可能な画面を表示部に表示し、設定された前記内部エリアと前記外部エリアとを前記第1領域として設定することを特徴とする請求項7に記載の検品装置。
【請求項9】
前記設定手段は、前記所定のパターンがハーフカットである場合において、
前記ハーフカットの内部エリアをユーザ入力に従って設定可能な画面を表示部に表示し、設定された前記内部エリアと、該設定された内部エリアから所定位置までの外部エリアとを前記第1領域として設定することを特徴とする請求項7に記載の検品装置。
【請求項10】
前記設定手段は、前記内部エリアから前記所定位置までの距離を前記表示部に表示した画面を介して設定可能であることを特徴とする請求項9に記載の検品装置。
【請求項11】
前記設定手段は、さらに、ハーフカットの形成パターンを設定可能であることを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の検品装置。
【請求項12】
前記設定手段は、前記所定のパターンがプレプリント画像である場合において、前記プレプリント画像をユーザ入力に従って選択可能な画像を表示部に表示し、
前記検品手段は、前記設定手段によって設定されたプレプリント画像が前記特定手段によって特定された前記第1領域にあるか否かを判断することにより、前記第1領域を検品することを特徴とする請求項3乃至11の何れか1項に記載の検品装置。
【請求項13】
前記設定手段は、さらに、前記第2アルゴリズムにおいて、欠陥画像として検出するための、前記読取画像と前記正解画像との差分のレベルを示す検品レベルと、検品種別とをユーザ入力に従って設定可能な画面を表示部に表示することを特徴とする請求項3乃至12の何れか1項に記載の検品装置。
【請求項14】
前記検品種別には、画像の位置、色合い、濃度、スジ、及び抜けの少なくとも1つの種別を含むことを特徴とする請求項13に記載の検品装置。
【請求項15】
前記記録媒体には、複数の異なる所定のパターンが予め形成されていることを特徴とする請求項1乃至14の何れか1項に記載の検品装置。
【請求項16】
前記結果画面では、前記読取画像の表示に前記第1領域を識別可能に合成して表示するか否かを切り替え可能であることを特徴とする請求項
2に記載の検品装置。
【請求項17】
前記印刷装置において印刷が行われた記録媒体が搬送されてくる搬送パスと、
前記搬送パスに搬送された記録媒体の画像を読み取る読取手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至
16の何れか1項に記載の検品装置。
【請求項18】
前記読取手段は、前記搬送パスを挟んで2つのカメラを有し、前記搬送パスに搬送された記録媒体の両面を読み取り可能であることを特徴とする請求項
17に記載の検品装置。
【請求項19】
前記特定手段は、前記読取画像に対して回転処理を行った後に前記第1領域及び前記第2領域を特定することを特徴とする請求項1乃至
18の何れか1項に記載の検品装置。
【請求項20】
検品装置の制御方法であって、
設定手段が、検品対象の画像である正解画像の特徴点と、検品対象の画像が形成される記録媒体に予め形成された所定のパターンの正解領域とを設定する設定工程と、
抽出手段が、前記記録媒体に対して印刷装置によって形成された画像を読み取った読取画像から、前記設定工程で設定された特徴点を抽出する抽出工程と、
特定手段が、前記設定工程で設定された前記特徴点と前記正解領域との位置関係に基づいて、前記抽出工程で抽出された特徴点の画像位置から、前記所定のパターンが形成されているべき領域となる前記読取画像上の第1領域
を特定する特定工程と、
検品手段が、前記第1領域に対して第1アルゴリズムで検品を行い、
前記読取画像のうち該第1領域以外の第2領域に対して前記第1アルゴリズムとは異なる第2アルゴリズムで検品を行う検品工程とを含
み、
前記所定のパターンは、ハーフカットであり、
前記検品工程では、前記第1アルゴリズムにおいて、前記第1領域の中に白の輝度値より所定値ほど下回る輝度の点線があるかを判断することにより、前記第1領域に前記所定のパターンがあるかを判断することを特徴とする検品装置の制御方法。
【請求項21】
検品装置の制御方法であって、
設定手段が、検品対象の画像である正解画像の特徴点と、検品対象の画像が形成される記録媒体に予め形成された所定のパターンの正解領域とを設定する設定工程と、
抽出手段が、前記記録媒体に対して印刷装置によって形成された画像を読み取った読取画像から、前記設定工程で設定された特徴点を抽出する抽出工程と、
特定手段が、前記設定工程で設定された前記特徴点と前記正解領域との位置関係に基づいて、前記抽出工程で抽出された特徴点の画像位置から、前記所定のパターンが形成されているべき領域となる前記読取画像上の第1領域を特定する特定工程と、
検品手段が、前記第1領域に対して第1アルゴリズムで検品を行い、前記読取画像のうち該第1領域以外の第2領域に対して前記第1アルゴリズムとは異なる第2アルゴリズムで検品を行う検品工程とを含み、
前記検品工程では、前記読取画像と、項目ごとの検品結果と、検品結果が異常である場合の異常の要因とを示す結果画面を表示部に表示する
ことを特徴とする検品装置の制御方法。
【請求項22】
検品装置の制御方法における各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記制御方法は、
設定手段が、検品対象の画像である正解画像の特徴点と、検品対象の画像が形成される記録媒体に予め形成された所定のパターンの正解領域とを設定する設定工程と、
抽出手段が、前記記録媒体に対して印刷装置によって形成された画像を読み取った読取画像から、前記設定工程で設定された特徴点を抽出する抽出工程と、
特定手段が、前記設定工程で設定された前記特徴点と前記正解領域との位置関係に基づいて、前記抽出工程で抽出された特徴点の画像位置から、前記所定のパターンが形成されているべき領域となる前記読取画像上の第1領域
を特定する特定工程と、
検品手段が、前記第1領域に対して第1アルゴリズムで検品を行い、
前記読取画像のうち該第1領域以外の第2領域に対して前記第1アルゴリズムとは異なる第2アルゴリズムで検品を行う検品工程とを含
み、
前記所定のパターンは、ハーフカットであり、
前記検品工程では、前記第1アルゴリズムにおいて、前記第1領域の中に白の輝度値より所定値ほど下回る輝度の点線があるかを判断することにより、前記第1領域に前記所定のパターンがあるかを判断することを特徴とするプログラム。
【請求項23】
検品装置の制御方法における各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記制御方法は、
設定手段が、検品対象の画像である正解画像の特徴点と、検品対象の画像が形成される記録媒体に予め形成された所定のパターンの正解領域とを設定する設定工程と、
抽出手段が、前記記録媒体に対して印刷装置によって形成された画像を読み取った読取画像から、前記設定工程で設定された特徴点を抽出する抽出工程と、
特定手段が、前記設定工程で設定された前記特徴点と前記正解領域との位置関係に基づいて、前記抽出工程で抽出された特徴点の画像位置から、前記所定のパターンが形成されているべき領域となる前記読取画像上の第1領域を特定する特定工程と、
検品手段が、前記第1領域に対して第1アルゴリズムで検品を行い、前記読取画像のうち該第1領域以外の第2領域に対して前記第1アルゴリズムとは異なる第2アルゴリズムで検品を行う検品工程とを含み、
前記検品工程では、前記読取画像と、項目ごとの検品結果と、検品結果が異常である場合の異常の要因とを示す結果画面を表示部に表示する
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検品装置、その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷装置により印刷されたシート(以下、印刷シートと称する。)を搬送中に検品装置によって検査可能とした印刷システムが知られている。印刷シートの検査では、検品装置が搬送された印刷シートの画像を読み取り、読み取った画像の画像解析により印刷シートの印刷が正常であるか否かを判定する。検品装置は、例えばバーコードや罫線の欠け、画像抜け、印刷不良、ページ抜け、色ずれなどを検出することが可能である。こうして印刷シートが欠陥シートであると判定された場合には、当該欠陥シートは正常シートとは別の排紙先に排紙することができる。これにより欠陥シートが正常シートに混入することが防がれ、オペレータが欠陥シートを廃棄することが可能となる。
【0003】
また、ハーフカットと呼ばれる切り込みが入ったラベル紙や、予め画像が印刷されたプレプリント紙(以下、予め印刷された画像をプレプリント画像と称する。)に対し画像を印刷し、画像の検査を行うこともある。特許文献1には、プレプリント紙に対して画像検査を行う際に、プレプリント画像を画像検査の対象領域から除外することが提案されている。このように、ラベル紙やプレプリント紙に対し画像検査を行う場合、画像印刷前から予め紙に入っているハーフカットやプレプリント画像に対しては画像検査の対象領域から除外することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術には以下に記載する課題がある。例えば、上記従来技術では、ハーフカットやプレプリント画像を画像検査の対象領域から除外すると、ハーフカットやプレプリント画像が印刷画像に対し正しい位置にあるのか判断できなくなってしまう。特にハーフカットは、シールなどのように印刷シートからはがした場合に、画像との位置関係が重要になる。これは、ハーフカットの位置が印刷画像に対し大きなずれがある場合、ハーフカットをはがすことにより画像のずれが顕著になるためである。
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一つに鑑みて成されたものであり、印刷画像の品質を画像検査により保証しつつ、ハーフカットやプレプリント画像の位置も好適に検査する仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば、検品装置であって、検品対象の画像である正解画像の特徴点と、検品対象の画像が形成される記録媒体に予め形成された所定のパターンの正解領域とを設定する設定手段と、前記記録媒体に対して印刷装置によって形成された画像を読み取った読取画像から、前記設定手段によって設定された特徴点を抽出する抽出手段と、前記設定手段によって設定された前記特徴点と前記正解領域との位置関係に基づいて、前記抽出手段によって抽出された特徴点の画像位置から、前記所定のパターンが形成されているべき領域となる前記読取画像上の第1領域を特定する特定手段と、前記第1領域に対して第1アルゴリズムで検品を行い、前記読取画像のうち該第1領域以外の第2領域に対して前記第1アルゴリズムとは異なる第2アルゴリズムで検品を行う検品手段とを備え、前記所定のパターンは、ハーフカットであり、前記検品手段は、前記第1アルゴリズムにおいて、前記第1領域の中に白の輝度値より所定値ほど下回る輝度の点線があるかを判断することにより、前記第1領域に前記所定のパターンがあるかを判断することを特徴とする。
また、本発明は、例えば、検品装置であって、検品対象の画像である正解画像の特徴点と、検品対象の画像が形成される記録媒体に予め形成された所定のパターンの正解領域とを設定する設定手段と、前記記録媒体に対して印刷装置によって形成された画像を読み取った読取画像から、前記設定手段によって設定された特徴点を抽出する抽出手段と、前記設定手段によって設定された前記特徴点と前記正解領域との位置関係に基づいて、前記抽出手段によって抽出された特徴点の画像位置から、前記所定のパターンが形成されているべき領域となる前記読取画像上の第1領域を特定する特定手段と、前記第1領域に対して第1アルゴリズムで検品を行い、前記読取画像のうち該第1領域以外の第2領域に対して前記第1アルゴリズムとは異なる第2アルゴリズムで検品を行う検品手段とを備え、前記検品手段は、前記読取画像と、項目ごとの検品結果と、検品結果が異常である場合の異常の要因とを示す結果画面を表示部に表示することを特徴とする
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、印刷画像の品質を画像検査により保証しつつ、ハーフカットやプレプリント画像の位置も好適に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る印刷システムの構成の概要を示す図。
【
図2】一実施形態に係る印刷システムの詳細なシステム構成を示す図。
【
図3】一実施形態に係る画像形成装置のメカ断面図を表した模式図。
【
図4】一実施形態に係る検品装置で検査する内容を示す図。
【
図5】一実施形態に係る検品装置に正解画像の選択をする前の表示画面の一例を示す図。
【
図6】一実施形態に係る検品装置が正解画像の選択を行う際の表示画面の一例を示す図。
【
図7】一実施形態に係る検品装置が検品エリアの設定を行う際の表示画面の一例を示す図。
【
図8】一実施形態に係る検品装置が正解画像のどこを特徴点とするかを設定する際の表示画面の一例を示す図。
【
図9】一実施形態に係る検品装置がハーフカットエリアを設定する際の表示画面の一例を示す図。
【
図10】一実施形態に係る検品装置がプレプリントエリアを設定する際の表示画面の一例を示す図。
【
図11】一実施形態に係る検品装置が検品設定する際の表示画面の一例を示す図。
【
図12】一実施形態に係る検品装置が検品結果を表示する際の表示画面の一例を示す図。
【
図13】一実施形態に係る外部コントローラと印刷装置の処理の流れを示す図。
【
図14】一実施形態に係る検品装置が検品エリア設定を行う際の処理の流れを示す図。
【
図15】一実施形態に係る検品装置が検品処理を行う際の処理の流れを示す図。
【
図16】一実施形態に係る検品装置が検品処理を行う処理内容を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
以下の説明において、外部コントローラは、画像処理コントローラ、デジタルフロントエンド、プリントサーバ、DFEなどと呼ばれることもある。画像形成装置は、複合機、マルチファンクションペリフェラル、MFPと呼ばれることもある。
【0012】
<印刷システムの概要>
以下では、本発明の一実施形態について説明する。まず、
図1を参照して、本実施形態に係る印刷システムのシステム構成の概要を説明する。本実施形態に係る印刷システム100は、画像形成装置101と、外部コントローラ102とを備える。画像形成装置101と外部コントローラ102とは内部LAN105とビデオケーブル106を介して通信可能に接続される。外部コントローラ102は、外部LAN104を介してクライアントPC103と通信可能に接続されており、PC103から外部コントローラ102に対して印刷指示が行われる。
【0013】
クライアントPC103には印刷データを外部コントローラ102で処理可能な印刷記述言語に変換する機能を有するプリンタドライバがインストールされている。印刷を行うユーザは、例えばクライアントPC103上で動作する各種アプリケーションからプリンタドライバを介して外部コントローラ102を介して画像形成装置101に印刷指示を行うことができる。プリンタドライバはユーザからの印刷指示に基づいて外部コントローラ102に対して印刷データを送信する。外部コントローラ102はクライアントPC103から印刷指示を受け取ると、データ解析やラスタライズ処理を行い、画像形成装置101に対して印刷データを投入し印刷指示を行う。
【0014】
なお、ここでは、画像形成装置101と、外部コントローラ102とを区別した構成例を示すが、本発明を限定する意図はなく、外部コントローラ102の機能が画像形成装置101に設けられてもよい。すなわち、画像形成装置101を外部LAN104に接続し、クライアントPC103から、画像形成装置101が処理可能な印刷データを送信する構成でもよい。この場合、画像形成装置101において、データ解析やラスタライズ処理が行われ、印刷処理が実行される。また、ユーザが使用するクライアント装置としてクライアントPC103を例に説明するが、本発明はこれに限定されない。即ち、本発明は、他の端末、例えばスマートフォン、タブレット、ウェアラブル端末等、画像形成装置101のプリンタドライバをインストールすることが可能なあらゆるクライアント装置を適用することができる。
【0015】
次に画像形成装置101について説明する。画像形成装置101は、印刷装置107、インサータ108、検品装置109、大容量スタッカ110、及びフィニッシャ111を備える。このように、画像形成装置101には複数の異なる機能を持つ装置が接続され、製本などの複雑な印刷処理が可能なように構成されている。
【0016】
印刷装置107は、印刷装置107の下部に設けられた給紙部から搬送されるシート等の記録媒体に対してトナーを用いて画像を形成(印刷)する。印刷装置107の構成及び動作原理は次のとおりである。画像データに応じて変調された、レーザ光などの光線が、ポリゴンミラー等の回転多面鏡により反射して走査光として感光ドラムに照射される。このレーザ光により感光ドラム上に形成された静電潜像はトナーによって現像され、転写ドラムに貼り付けられたシートに、そのトナー像を転写する。この一連の画像形成プロセスをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーに対して順次実行することにより、シート上にフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写ドラム上のシートは定着器へ搬送される。定着器は、ローラやベルト等を含み、ローラ内にハロゲンヒータなどの熱源を内蔵し、トナー像が転写されたシート上のトナーを、熱と圧力によって溶解してシートに定着させる。
【0017】
インサータ108は、印刷装置107で印刷され搬送されてくるシート群に対して、任意の位置で挿入シートを挿入するための装置である。検品装置109は、搬送されてくるシートの画像を読み取り、当該読取画像と予め登録された正解画像とを比較することで、印刷された画像が正常かどうかを判定するための装置である。なお、本検品装置109は、詳細については後述するが、上記判定に加えて、シートに予め形成された所定のパターン、例えば、ハーフカットやプレプリント画像等に関しても検品を行う。大容量スタッカ110は、大容量のシートを積載することが可能なスタッカである。フィニッシャ111は、搬送されてくるシートに対してフィニッシング処理を施す装置である。フィニッシャ111は、例えばステイプルやパンチ、中綴じ製本などのフィニッシングを行うことが可能であり、処理後の印刷物を排紙トレイに排紙する。
【0018】
<システム構成の詳細>
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る印刷システムの詳細なシステム構成を説明する。まず画像形成装置101の印刷装置107の構成について説明する。画像形成装置101の印刷装置107は、通信I/F217、LANI/F218、ビデオI/F220、HDD221、CPU222、メモリ223、操作部224、及びディスプレイ225を備える。さらに画像形成装置101の印刷装置107は、原稿露光部226、レーザ露光部227、作像部228、定着部229、及び給紙部230を備える。それぞれの構成要素はシステムバス231を介して接続される。
【0019】
通信I/F217は通信ケーブル254を介してインサータ108、検品装置109、大容量スタッカ110、及びフィニッシャ111と接続され、それぞれの装置の制御のための通信が行われる。LANI/F218は内部LAN105を介して外部コントローラ102と接続され、印刷データなどの通信が行われる。ビデオI/F220はビデオケーブル106を介して外部コントローラ102と接続され、画像データなどの通信が行われる。
【0020】
HDD(hard disk drive)221は、プログラムやデータが保存された記憶装置である。CPU222はHDD221に保存されたプログラム等に基づいて、画像処理制御や印刷の制御を包括的に行う。メモリ223は、CPU222が各種処理を行う際に必要となるプログラムや、画像データを記憶し、ワークエリアとしても動作する。操作部224は、ユーザからの各種設定の入力や操作の指示を受け付ける。ディスプレイ225には、画像処理装置の設定情報や印刷ジョブの処理状況などが表示される。
【0021】
原稿露光部226は、コピー機能やスキャン機能を使用する際に原稿を読み込む処理を実行する。具体的には、原稿露光部226は、ユーザにより設置されたシートに対して露光ランプを照らしながらCCDカメラで画像を撮影することで原稿データを読み込む。レーザ露光部227は、トナー像を転写するために感光ドラムにレーザ光を照射するための一次帯電や、レーザ露光を行う装置である。レーザ露光部227においては、まず感光ドラム表面を均一なマイナス電位に帯電させる一次帯電が行われる。次にレーザードライバーによってレーザ光が、ポリゴンミラーで反射角度を調節しながら感光ドラムに照射される。これにより照射した部分のマイナス電荷が中和され、感光ドラムの表面に静電潜像が形成される。作像部228は、シートに対してトナーを転写するための装置であり、現像ユニット、転写ユニット、及びトナー補給部等を含んで構成され、感光ドラム上のトナーをシートに転写する。現像ユニットでは、現像シリンダーからマイナスに帯電したトナーを感光ドラム表面の静電潜像に付着させ、可視像化する。転写ユニットでは、一次転写ローラにプラス電位を印可し感光ドラム表面のトナーを転写ベルトに転写する一次転写、二次転写外ローラにプラス電位を印可し転写ベルト上のトナーをシートに転写する二次転写が行われる。定着部229はシート上のトナーを熱と圧力でシートに溶解固着するための装置であり、加熱ヒーター、定着ベルト、加圧ベルト等で構成される。給紙部230はシートを給紙するための装置であり、ローラや各種センサによりシートの給紙動作、搬送動作が制御される。
【0022】
次に画像形成装置101のインサータ108の構成について説明する。画像形成装置101のインサータ108は、通信I/F232、CPU233、メモリ234、及び給紙制御部235を備え、それぞれの構成要素はシステムバス236を介して接続される。通信I/F232は通信ケーブル254を介して印刷装置107と接続され、制御に必要な通信を行う。CPU233は、メモリ234に格納された制御プログラムに応じて、給紙に必要な各種制御を行う。メモリ234は、制御プログラムが保存された記憶装置である。給紙制御部235は、CPU233からの指示に基づき、ローラとセンサを制御しながら、インサータ108の給紙部や印刷装置107から搬送されたシートの給紙、搬送を制御する。
【0023】
次に画像形成装置101の検品装置109の構成について説明する。画像形成装置101の検品装置109は、通信I/F237、CPU238、メモリ239、撮影部240、表示部241、及び操作部242を備え、それぞれの構成要素はシステムバス243を介して接続される。通信I/F237は通信ケーブル254を介して印刷装置107と接続され、制御に必要な通信を行う。CPU238は、メモリ239に格納された制御プログラムに応じて、検品に必要な各種制御を行う。メモリ239は、制御プログラムが保存された記憶装置である。撮影部240は、CPU238の指示に基づき、搬送されたシートを撮影する。CPU238は、撮影部240によって撮影された画像と、メモリ239に保存された正解画像とを比較し、印刷された画像が正常かどうかを判断する。表示部241は、検品結果や設定画面などが表示される。操作部242は、ユーザによって操作され、検品装置109の設定変更や正解画像の登録などの指示を受け付ける。
【0024】
次に画像形成装置101の大容量スタッカ110の構成について説明する。画像形成装置101の大容量スタッカ110は、通信I/F244、CPU245、メモリ246、及び排紙制御部247を備え、それぞれの構成要素はシステムバス248を介して接続される。通信I/F244は通信ケーブル254を介して印刷装置107と接続され、制御に必要な通信を行う。CPU245は、メモリ246に格納された制御プログラムに応じて、排紙に必要な各種制御を行う。メモリ246は、制御プログラムが保存された記憶装置である。排紙制御部247は、CPU245からの指示に基づき、搬送されたシートをスタックトレイ、エスケープトレイ、又は後続のフィニッシャ111に搬送する制御を行う。
【0025】
次に画像形成装置101のフィニッシャ111の構成について説明する。画像形成装置101のフィニッシャ111は、通信I/F249、CPU250、メモリ251、排紙制御部252、及びフィニッシング処理部253を備え、それぞれの構成要素はシステムバス255を介して接続される。通信I/F249は通信ケーブル254を介して印刷装置107と接続され、制御に必要な通信を行う。CPU250は、メモリ251に格納された制御プログラムに応じて、フィニッシングや排紙に必要な各種制御を行う。メモリ251は、制御プログラムが保存された記憶装置である。排紙制御部252は、CPU250からの指示に基づき、シートの搬送、排紙を制御する。フィニッシング処理部253は、CPU250からの指示に基づき、ステイプルやパンチ、中綴じ製本等のフィニッシング処理を制御する。
【0026】
次に外部コントローラ102の構成について説明する。外部コントローラ102は、CPU208、メモリ209、HDD210、キーボード211、ディスプレイ212、LANI/F213、LANI/F214、及びビデオI/F215を備え、システムバス216を通して接続されている。CPU208は、HDD210に保存されたプログラムやデータに基づいてクライアントPC103からの印刷データの受信、RIP処理、画像形成装置101への印刷データの送信などの処理を包括的に実行する。メモリ209は、CPU208が各種処理を行う際に必要なプログラムやデータを記憶し、ワークエリアとして動作する。HDD210には、印刷処理などの動作に必要なプログラムやデータが記憶される。キーボード211は、外部コントローラ102の操作指示を入力するための装置である。ディスプレイ212には、外部コントローラ102の実行アプリケーション等の情報が静止画や動画の映像信号により表示される。LANI/F213は、外部LAN104を介してクライアントPC103と接続され、印刷指示などの通信が行われる。LANI/F214は、内部LAN105を介して画像形成装置101と接続され、印刷指示などの通信が行われる。ビデオI/F215は、ビデオケーブル106を介して画像形成装置101と接続され、印刷データなどの通信が行われる。
【0027】
次にクライアントPC103の構成について説明する。クライアントPC103は、CPU201、メモリ202、HDD203、キーボード204、ディスプレイ205、及びLANI/F206を備え、システムバス207を介して接続されている。CPU201は、HDD203に保存された文書処理プログラム等に基づいて印刷データの作成や印刷指示を実行する。またCPU201は、システムバスに接続される各デバイスを包括的に制御する。メモリ202は、CPU201が各種処理を行う際に必要となるプログラムやデータを記憶し、ワークエリアとして動作する。HDD203には、印刷処理などの動作に必要なプログラムやデータが記憶される。キーボード204はPC103の操作指示を入力するための装置である。ディスプレイ205には、クライアントPC103の実行アプリケーション等の情報が静止画や動画の映像信号により表示される。LANI/F206は、外部LAN104と接続されており、印刷指示などの通信が行われる。
【0028】
外部コントローラ102と画像形成装置101との間には、内部LAN105とビデオケーブル106とがそれぞれ接続されているが、印刷に必要なデータの送受信が行える構成であればよく、例えば、ビデオケーブルのみの接続構成であってもよい。また、メモリ202、メモリ209、メモリ223、メモリ234、メモリ239、メモリ246、及びメモリ251はそれぞれ、データやプログラムを保持するための記憶装置であればよい。たとえば、揮発性のRAM、不揮発性のROM、内蔵HDD、外付けHDD、及びUSBメモリなどで代替した構成であってもよい。
【0029】
<画像形成装置の詳細構成>
次に、
図3を参照して、画像形成装置101の詳細な構成について説明する。
図3は画像形成装置101のメカ断面を示す。印刷装置107には、給紙デッキ301、302が設けられる。各給紙デッキ301、302には、各種シートを収容しておくことが可能である。各給紙デッキでは、収容されたシートの最上位のシート一枚のみを分離し、シート搬送パス303へ搬送することが可能である。304~307は現像ステーションであり、カラー画像を形成するために、それぞれY、M、C、Kの有色トナーを用いてトナー像を形成する。ここで形成されたトナー像は中間転写ベルト308に一次転写され、中間転写ベルト308は図を時計回りに回転し、309の二次転写位置でシート搬送パス303から搬送されてきたシートへとトナー像が転写される。
【0030】
ディスプレイ(表示部)225は、画像形成装置101の印刷状況や設定のための情報を表示する。定着ユニット311はトナー像をシートへ定着させる。定着ユニット311は加圧ローラと加熱ローラを備え、各ローラの間をシートが通過することにより、トナーを溶融・圧着することでシートにトナー像を定着させる。定着ユニット311を抜けたシートはシート搬送パス312を通って315へと搬送される。315へ搬送されたシートは、印刷装置107に接続された装置へ搬送され、本実施形態では一例としてインサータ108の搬送パスへと搬送される。シートの種類によって定着のためにさらに溶融・圧着が必要な場合は、定着ユニット311を通過した後、上のシート搬送パスを使って第二定着ユニット313へと搬送され、追加の溶融・圧着が施された後、シート搬送パス314を通って315へと搬送される。画像形成モードが両面の場合は、シート反転パス316へとシートを搬送し、シート反転パス316で反転した後、両面搬送パス317へとシートが搬送され、二次転写位置309で2面目の画像転写が行われる。
【0031】
インサータ108はインサータトレイ321を備え、シート搬送パス322を通じてインサータトレイ321から給紙されたシートを搬送パスへ合流させる。これにより、印刷装置107(315)から搬送される一連のシート群に、任意の位置で挿入シートを挿入させて後続装置へ搬送させることが可能となる。
【0032】
インサータ108を通過したシートは検品装置109へ搬送される。検品装置109内には搬送パスをカメラ331、332が対向する形で配置される。カメラ331はシートの上面を、カメラ332はシートの下面を読み取るためのカメラである。検品装置109は、シート搬送パス333に搬送されたシートが所定の位置に到達したタイミングで、カメラ331、332を用いてシートの画像を読み取り、装置の画像が正常であるかを判断することができる。表示部241には検品装置109によって行われた検品結果などが表示されてもよい。もちろん他の表示装置に表示されてもよく、ネットワークを介して外部装置へ検品結果が送信されてもよい
大容量スタッカ110は、シートを積載するトレイとしてスタックトレイ341を有する。検品装置109を通過したシートはシート搬送パス344を通じて大容量スタッカ110に入力されてくる。シートはシート搬送パス344からシート搬送パス345を経由して、スタックトレイ341に積載される。さらに大容量スタッカ110は、排紙トレイとしてエスケープトレイ346を有する。エスケープトレイ346は、検品装置109によって欠陥シートと判定されたシートを排出するために使用される排紙トレイである。エスケープトレイ346に出力する場合は、シート搬送パス344からシート搬送パス347を経由してエスケープトレイ346へシートが搬送される。なお、大容量スタッカ110の後段の後処理装置へシートを搬送する場合には、シート搬送パス348を経由してシートが搬送される。349はシートを反転するための反転部である。この反転部349は、シートをスタックトレイ341に積載する場合に使用される。入力されたシートの向きと出力時点でのシートの向きが同一となるように、スタックトレイ341に積載する場合には反転部349で一度シートを反転させる。エスケープトレイ346や、後続の後処理装置へ搬送する場合は、積載時に反転させずにそのままシートを排出するため、反転部349での反転動作は行わない。
【0033】
フィニッシャ111はユーザに指定された機能に応じて、搬送されたシートに対してフィニッシング処理を実施する。フィニッシャ111は、例えばステイプル(1個所綴じ、2箇所綴じ)や、パンチ(2穴、3穴)、中とじ製本等のフィニッシング機能を有する。フィニッシャ111は、2つの排紙トレイ351、352を備え、シート搬送パス353を経由して排紙トレイ351にシートを出力する。ただしシート搬送パス353ではステイプル等のフィニッシング処理を行うことはできない。ステイプル等のフィニッシング処理を行う場合は、シート搬送パス354を経由して処理部355でユーザに指定されたフィニッシング機能が実行され、排紙トレイ352へ処理後のシートが出力される。排紙トレイ351、352はそれぞれ昇降することが可能であり、排紙トレイ351を下降させ、処理部355でフィニッシング処理したシートを排紙トレイ351へ積載するように動作することも可能である。中とじ製本が指定された場合には中とじ処理部356で、シート中央にステイプル処理をした後、シートを二つ折りにしてシート搬送パス357を経由して中とじ製本トレイ358へ出力される。中とじ製本トレイ358はベルトコンベア構成になっており、中とじ製本トレイ358上に積載された中とじ製本束は左側へ搬送される構成となっている。
【0034】
<検品装置109>
次に、
図4を参照して、本実施形態における検品装置109で検査する内容を説明する。印刷画像の検査だけでなく、ハーフカットやプレプリント画像の位置にずれがない場合とある場合を、実際にずれを起こす原因も含めて説明する。
【0035】
図4に示す410、411、412は、印刷前のシートを示す。401はハーフカットを示す。402はプレプリント画像を示す。シート410は印刷前のシートにハーフカット401及びプレプリント画像402が理想的な位置(正解領域)にあるシートの例である。411は、シート410に対し、ハーフカット401とプレプリント画像402がずれ、理想的な位置にない状態の印刷前のシートである。412はシート410と同じであり、ハーフカット401及びプレプリント画像402が理想的な位置に形成されたシートである。画像を印刷する場合には、シート410~412を給紙デッキ301、302に設置する。このように、印刷シートにハーフカット401やプレプリント画像402を印刷する場合に若干のずれは発生してしまう。
【0036】
414~416は、シート410~412に示す印刷前のシートに、印刷装置107で413に示す画像を印刷した後の印刷シートの状態を示す。以下では、この印刷前のシートに画像を印刷した後、最終的に出力されるシートを最終シートと称する。シート414、415は、シート410、411に対して理想的な位置に画像を印刷できた場合の最終シートの例である。シート416は、シート412に対して理想的な位置に画像を印刷できなかった場合の最終シートの例である。
【0037】
シート414はハーフカット401及びプレプリント画像402が印刷前のシート上で理想的な位置にあり、かつ画像の印刷も理想的な位置に印字されているので、画像とハーフカット401及びプレプリント画像402の位置関係も理想的な状態である。シート415はハーフカット401及びプレプリント画像402が印刷前のシートの理想的な位置から外れて印刷されているため、画像を印刷した後のシートでは理想的に印刷された画像に対してハーフカット401及びプレプリント画像402がずれてしまっている。シート416はハーフカット401及びプレプリント画像402は印刷前のシート上で理想的な位置にあるが、画像を印刷する際に画像を形成する位置にずれが発生している。よって、画像を印刷した後のシートでは画像に対してハーフカット401及びプレプリント画像402がずれてしまっている。画像をシートに印刷する場合に、画像形成装置101内での紙搬送等によって理想的な位置から若干のずれは発生してしまう。
【0038】
417~419は、シート414~416の左下の画像である人物1とハーフカット401のずれを具体的に示す図である。417は人物1とハーフカットの位置関係が理想的な状態を示す。418、419はハーフカット401の中に人物1の画像は入っているが、実際にハーフカットをめくったあと、ハーフカットの4辺に対し人物1の画像が中央にない位置状態を示す。
【0039】
本発明に係る検品装置109は、印刷画像(
図4では人物1、人物2、画像A)を検査しつつ、この417~419のどこまで許容するかをユーザに設定させる。つまり、検品装置109は、画像の品質だけでなくハーフカット401やプレプリント画像402との位置関係が保証されているかについても検査を行う。
【0040】
<表示例>
以下では、
図5乃至
図12を参照して、本実施形態に係る検品装置109における表示画面について説明する。これらの表示画面は、検品装置109のCPU238の指示に基づき表示される。検品装置109は予め設定された検査項目に従って、送られてきた最終シートを検査する。最終シートの検査は予め設定された正解画像と送られてきたシート画像とを比較して行われる。最終シートの比較方法には、画像位置ごとの画素値を比較する方法や、エッジ検出による物体の位置の比較、OCR(Optical Character Recognition)による文字データの抽出などによる方法がある。検査項目には、印刷位置のずれ、画像の色合い、画像の濃度、スジやカスレ、印刷抜けなどがある。
【0041】
図5は検品装置109の起動時に表示部241に表示される画面の一例である。画面500は、501~507の表示を含んで構成される。501には、正解画像が選択されていないので検品を開始するには正解画像の選択が必要である旨が表示されている。正解画像が選択済みの場合は、検品開始可能である旨が表示される。表示部502には、選択済みの正解画像が表示される。
図5では正解画像が未選択のため、未選択である旨が表示されている。
【0042】
503は、正解画像の選択画面を呼び出すためのボタンである。正解画像は検品装置109で読み取る画像と比較対象となる画像であり、予め目視や検品装置109により正常に印刷されたと判断された最終シートを読み取った画像が登録されていることが望ましい。正解画像は例えばメモリ239に登録されている。もちろん検品を行う際に外部装置から読み出すような構成としてもよい。504は検品エリアの設定画面を呼び出すためのボタンである。ユーザがハーフカット401やプレプリント画像402が最終シートに対しどの位置にあれば問題ないと判断するかの領域を指定する。505は検品の設定画面を呼び出すためのボタンである。ユーザの検品目的に応じて検品の項目や検品の精度(正解画像との差異がどの程度で欠陥画像と判断するか)、及びハーフカットやプレプリント画像に何を適用するか等を設定する。507は検品の開始を指示するためのボタンである。検品を開始すると、検品装置109は、送られてきた最終シートの検査を開始する。なお、検品の開始後に印刷装置107において印刷が実行されてもよいし、前もって印刷が実行されていてもよい。
【0043】
図6は正解画像を選択する際に検品装置109の表示部241に表示される画面の一例である。画面600は、
図5のボタン503が操作された(押下された)場合に表示される、正解画像の選択を行う画面である。画面600は、601、602、610、611の表示を含んで構成される。
【0044】
表示部601には検品装置109のメモリ239に登録された正解画像が表示され、602の切り替えボタンで正解画像としてどの画像を選択するかを切り替えることができる。
図6の例では、シート414の最終シートに相当する正解画像が選択された場合が示されている。このように、本実施形態によれば、複数の正解画像をメモリ239等に登録することができ、ユーザはそれらの正解画像の中から比較対象とする正解画像を選択することができる。610は選択した正解画像の決定を指示するためのボタンである。ボタン610が操作されると、検品装置109は正解画像の決定をし、画面500に表示が戻される。611は正解画像の選択をキャンセルする場合のボタンである。ボタン611が操作された場合には、検品装置109は正解画像の選択を行わずに、画面500に戻る。
【0045】
図7は検品エリアを設定する際に検品装置109の表示部241に表示される画面の一例である。画面700は、
図5のボタン504が操作された場合に表示される、検品エリアを設定する。ここで検品エリアとは、所定のパターンであるハーフカットやプレプリント画像が予め形成されているべき正解領域を示す領域である。つまり、設定された検品エリアは、検品において予め形成されているはずのハーフカットやプレプリント画像が存在するか否かを判定する対象エリアとなる。画面700は、701、710~714の表示を含んで構成される。
【0046】
表示部701には検品エリアの設定を行った結果が表示される。
図7に示す表示部701では、まだ検品エリアの設定が行われておらず、例として
図6で選択した正解画像が表示された状態のままである。何も検品エリアの設定が行われていない場合(即ち、デフォルト設定)は、検品のために読み取った最終シートと正解画像を全面検査する設定となる。つまり、正解画像の全領域が検品エリアとして設定されるものである。
【0047】
710は正解画像のどの位置を特徴点とするか設定する画面を呼び出すためのボタンである。ここで設定された特徴点は、後述する
図15に示す検品装置109の検品フローの中で正解画像と検品のために読み取った最終シートの位置合わせをするための特徴点として使用される。なお、特徴点としては、ハーフカットやプレプリント画像にできるだけ近い位置の特徴点が選択されることが望ましい。これは、当該特徴点からハーフカットエリアとプレプリントエリアとを特定するため、それらの位置に近いほど上記エリアを特定する際の誤差を最小限にすることができるためである。711はハーフカットエリアとして登録するエリアを設定する画面を呼び出すためのボタンである。
図4の例においては、シート417~419の人物1の画像に対しハーフカットの位置ずれをどこまで許容するかを設定するものである。712はプレプリントエリアとして登録するエリアを設定する画面を呼び出すためのボタンである。
図4の例では、社名ロゴと記載されたプレプリント画像402が、印刷画像に対しどこまで位置ずれを許容するかを設定する。
【0048】
713はボタン710~712が操作されて、
図8乃至
図10を用いて後述する設定を行った設定値を登録するボタンである。ボタン713が操作された場合には、画面500に戻る。714は検品エリアの登録をキャンセルする場合のボタンである。ボタン714が操作された場合には、検品装置109は正解画像の選択を行わずに、画面500に戻る。
【0049】
図7の720については、後述する
図8乃至
図10で検品エリアの設定が行われた場合の例を示す。700とは表示部701の状態のみ異なる。720については、
図8乃至
図10を説明した後に説明する。
【0050】
図8は正解画像の画像中のどの位置を特徴点とするかを設定する際に検品装置109の表示部241に表示される画面の一例である。画面800は、
図7のボタン710が操作された場合に表示される。画面800は、801、812~817の表示を含んで構成される。
【0051】
表示部801にはどの特徴点を使うかの候補が表示される。本例では特徴点821~824の4か所を候補とした例である。特徴点候補は、正解画像登録時に抽出可能な複数の特徴点候補が一般的な特徴点抽出アルゴリズムによって抽出されている。従って、画面800に遷移した際にデフォルトで表示されるものである。なお、表示部801に示される正解画像には、画像A、人物1、及び人物2の画像が含まれるが、その全ての画像について1以上の特徴点が抽出され表示される。なお、例えば格子画像など模様が繰り返されるような特徴点が無い画像については表示されなくてもよい。或いは、デフォルトで画像の中心点が選択されてもよい。
【0052】
812は、特徴点として全てを使用するかを設定するボタンである。813~816は特徴点821から特徴点824をそれぞれ特徴点として使うか否かを個別に設定するボタンである。つまり、1以上の特徴点を設定することができる。例えば、ハーフカット401の近くの特徴点823や特徴点824のみ特徴点として使うよう設定すると、ハーフカットエリアとしての判定の精度が上がる可能性がある。817は、812~816で使用する設定が行われた特徴点を最終的に検品時に使う正解画像の特徴点であることを登録するボタンである。ボタン817が操作された場合には、
図7の画面720に戻る。ボタン812~816でいずれの特徴点も選択されていない場合は、812と同様全て特徴点を使用するよう設定が行われる。設定された特徴点は、表示部801においてハイライトなどで強調表示され、ユーザが見えるよう可視化してもよい。
【0053】
図9はハーフカットエリアとして登録するエリアを設定する際に検品装置109の表示部241に表示される画面の一例である。画面900は、
図7のボタン711が操作された場合に表示される。ここでは、ハーフカットがあるかを判別するエリア(正解領域)の設定例を900と950で2パターン説明する。
【0054】
まず、画面900から説明する。画面900は、901~903、912~916、941の表示を含んで構成される。表示部901にはハーフカットがあるかを判別するエリアを示すための設定された正解領域が表示される。本例では2つのハーフカットエリアが設定された例であり、それぞれの正解領域をハーフカットエリア923とハーフカットエリア933とする。ハーフカットエリア923は、ハーフカット内部エリア921とハーフカット外部エリア922がユーザ入力に従って設定され、それらの間のエリアとなる。941には、ハーフカットエリア923の内部エリア921からハーフカット外部エリア922の距離が表示されている。同様に、ハーフカットエリア933は、ハーフカット内部エリア931とハーフカット外部エリア932が設定されると、その間のエリアとなる。後述する別のハーフカットエリアを設定するボタン914が操作されると、ハーフカットエリア933に関する設定値が表示される。
【0055】
次に、ハーフカットエリア923、933の設定方法を説明する。902の位置設定部と903のエリアの大きさ設定部で、ハーフカット内部エリア及びハーフカット外部エリアの位置と大きさを変更できる。位置設定部902とエリアの大きさ設定部903は、それぞれ上下左右の方向キーを含んで構成され、それぞれの方向キーが選択されることにより、当該エリアの位置及び大きさを調整することができる。設定例としては、まずハーフカット内部エリアとなる領域を位置設定部902とエリアの大きさ設定部903で設定し、ボタン912が操作されると、ハーフカット内部エリアである921を設定する。次に、ハーフカット外部エリアとなる領域を位置設定部902とエリアの大きさ設定部903で設定し、ボタン913が操作されると、ハーフカット外部エリアである922を設定する。ハーフカット内部エリアとハーフカット外部エリアの両方が設定されると、その間がハーフカットエリア923として自動的に設定される。
【0056】
別のハーフカットエリアである933を設定するには、別のハーフカットエリアを設定するボタン914を操作し、ハーフカットエリア923と同様の設定方法でハーフカットエリア933を設定する。915は設定したハーフカットエリアを登録するボタンである。ボタン915が操作された場合には、例えば画面720に戻る。916はハーフカットエリアの登録をキャンセルする場合のボタンである。ボタン916が操作された場合には、ハーフカットエリアの登録を行わずに、例えば画面700に戻る。設定されたハーフカットエリア923、933は、表示部901においてハイライトなどで強調表示し、ユーザが見えるよう可視化(識別可能に)することもできる。
【0057】
画面950について画面900との差分を説明する。画面950では、画面900の913の表示の代わりに917の表示を含んで構成される。具体的には、画面900では、ボタン913でハーフカット外部エリアを設定していたが、画面950では、ハーフカット外部エリアをハーフカット内部エリアから何mmの位置(所定位置)までにするかを設定する設定部917を持つ点が異なる。ボタン912でハーフカット内部エリアが設定されると、設定部917で設定された幅に合わせてハーフカット外部エリアが設定される。本例では上下左右とも共通に3mmを適用する例で示しているが、上下左右個別に設定することも当然可能である。なお。ハーフカット内部エリアが設定された後に設定部917が設定可能に表示されるようにしてもよい。
【0058】
図10はプレプリントエリアとして登録するエリアを設定する際に検品装置109の表示部241に表示される画面の一例である。画面1000は、画面700、720のボタン712が操作された場合に表示される。画面1000は、1001~1003、1011~1014の表示を含んで構成される。
【0059】
表示部1001には指定されたエリアの中に予め登録されたプレプリント画像があるかを判別するエリアを示すための領域を表示する。本例では1つのプレプリントエリア1021が設定された例である。プレプリントエリア1021の設定方法を説明する。位置設定部1002とエリアの大きさ設定部1003は、それぞれ上下左右の方向キーを含んで構成され、それぞれの方向キーが選択されることにより、プレプリントエリア1021の位置及び大きさを調整することができる。位置設定部1002とエリアの大きさ設定部1003で設定し、ボタン1011を操作されると、プレプリントエリア1021に設定が反映される。
【0060】
別のプレプリントエリアを設定するには、別のプレプリントエリアを設定するボタン1012が操作され、プレプリントエリア1021と同様の設定方法で設定する。1013は設定したプレプリントエリアを登録するボタンである。ボタン1013が操作された場合には、例えば画面720に戻る。1014はプレプリントエリアの登録をキャンセルする場合のボタンである。ボタン1014が操作された場合には、プレプリントエリアの登録行わずに、例えば画面700に戻る。設定されたプレプリントエリア1021は、表示部1001においてハイライトなどで強調表示し、ユーザが見えるよう可視化することもできる。
【0061】
図8乃至
図10で説明した設定画面において特徴点、ハーフカットエリア、プレプリントエリアを設定した場合には、
図7の検品エリアを設定する画面に戻った場合に表示部701に設定された内容を表示も可能である。その表示例が画面720の表示部701である。表示された設定を見て、ユーザは登録内容を確認することができる。検品装置109は、網掛け表示したエリアのハーフカットエリア923、933及びプレプリントエリア1021については、正解画像と比較するのではない(第1アルゴリズム)。即ち、検品装置109は、これらのエリア(第1領域)については、そのエリアの中にハーフカットがあるか、及びプレプリント画像があるかを判断する別のアルゴリズム(第2アルゴリズム)で検品を行うことが本発明の一つの特徴である。検品装置109は、網掛け表示していない領域(第2領域)については、正解画像との比較を行い、欠陥判定を行う(第1アルゴリズム)。
【0062】
図11は検品の設定を行う際に検品装置109の表示部241に表示される画面の一例である。画面1100は、画面500のボタン505が操作された際に表示される。画面1100は、1131~1133の表示を含んで構成され、検品条件を設定するための画面である。
【0063】
1131は検品画像の設定を行う表示領域である。1101は検品レベルを設定するための設定部である。ここでは検品の精度を変更することができる。即ち、検品する際の比較対象との差分を示す閾値の設定に関わるものである。検品装置109は、検品精度のレベルが高いほど、正解画像と読み取り画像のわずかな違いでも欠陥画像と判断する。従って、検品精度のレベルが高いほど、わずかな違いでも欠品画像と判断する閾値が設定される。1102は検品種別を設定するための設定部である。ユーザの検品目的に応じて検品の項目を設定することが可能である。
図11の例では、位置、色合い、スジ、抜けは検品の対象とするが、濃度は検品の対象外とすることを示す。なお、本発明を限定する意図はなく、他の検品対象が選択可能に表示されてもよい。表示領域1131は、1101と1102は画面720の表示部701の網掛け表示した領域以外のエリアに対し適用する検品設定である。
【0064】
1132はプレプリントエリアの設定を行う表示領域である。1111は、プレプリントエリアに指定画像があるかを判断するための画像を選択する設定部である。本例では、社名ロゴ402と比較するための画像を設定している。上下キーを選択することで他の比較画像を選択することができる。プレプリント画像も、正解画像と同様に予め検品装置109のメモリ239に登録されている。1112は、1111で選択したプレプリント画像を示す表示部である。1111は、画面720のプレプリントエリア1021の中に社名ロゴ402があるかを判断するための検品設定である。
【0065】
1133はハーフカットエリアの設定を行う表示領域である。1121及び1123は、ハーフカットエリアにハーフカットがあるかを判別するためのハーフカットの形成パターンを選択する設定部である。本例では、ハーフカットエリアが2つある画面720の場合の例を示している。1122及び1124は、1121及び1123で選択したハーフカットのパターンのイメージ図を示す。画面720では、2つのハーフカット401はいずれも1121及び1122で示す小点線のハーフカットパターンである。よって、ハーフカットエリア933を設定する1123にも小点線が設定された事例である。ここで1123、1124を使って説明したかったのは、ハーフカットパターンが異なるものにも対応できるということであり、例を示している。ハーフカットの種類が複数ある場合は、ハーフカットの種類分のハーフカット検知方法が必要となる。ハーフカット検知方法は、検品装置109のCPU238が実行する検品プログラムとして用意する必要がある。本実施形態においては、後述する
図15のS313のハーフカットエリア判定処理がそれにあたる。
【0066】
図12は検品開始後に検品装置109の表示部241に表示される結果画面の一例である。
図12の結果画面は、
図5のボタン507が操作された際に表示される。画面1230、1231は検品判定がOKの場合の例で、画面1232、1233は検品判定がNG(異常)の場合の例である。画面1231、1233は、画面1230、1232に、それぞれ検品エリアがどこであるかを表示した例である。
【0067】
まず画面1230、1231について説明する。表示部1201には、検品装置109が最後に読み取った最終シートの画像が表示される。表示部1221には判定項目、判定結果、及び判定NGの場合の異常の要因が表示されている。表示部1221は、ハーフカットエリア、プレプリントエリア、及びハーフカットエリア及びプレプリントエリアでない画像エリアについてそれぞれの項目を表示する。画像エリアについては1201の最終シートの画像と正解画像を比較し、ハーフカットエリアはハーフカットがハーフカットエリア内にあるか、プレプリントエリアはプレプリント画像がプレプリントエリア内にあるかを判断し結果が表示されている。1211は検品エリアを表示するか否かを切り替えるボタンである。ボタン1211が操作されると、画面1231に示すようにハーフカットエリア923、933及びプレプリントエリア1021が読取画像に合成して識別可能に表示される。ハーフカットエリア923、933の中にハーフカット401があり、プレプリントエリア1021の中にプレプリント画像402があることが分かる。このように、上記エリアと読取画像とを合成して表示することにより、ユーザは所定のパターンに対する位置関係を容易に認識することができる。
【0068】
次に、画面1232、1233について、画面1230、1231との違いを説明する。画面1233と画面1231とを比較すると、ハーフカットエリア923、933の中にハーフカット401が入っておらず、プレプリントエリア1021の中にプレプリント画像402も入っていないことが分かる。また、プレプリント画像402が画像エリア内に入っていないため、画像エリアにおいても正解画像と不一致が発生している。この結果が、画面1233の表示部1221に表示されている。
【0069】
本例において、画像エリアのNG内容は、表示部1201の左上のプレプリント画像が印字されている点のみ指摘されており、ハーフカット401については画像エリアの判定結果ではNGと判定されていない。本理由としては、ハーフカットは通常白地の箇所に位置することが多く、かつ、ハーフカットは非常に濃度が低い(輝度が高い)。そのため、ハーフカットを画像として検査できる検品レベルまで上げてしまうと、ユーザの意図する検品レベルより欠陥判定が厳しくなりすぎ、欠陥率が上がってしまうというトレードオフが発生する可能性がある。本例では、画像エリアの検品レベルは、ハーフカットが白地に位置する箇所にある場合にはOKと判断する程度の検品レベルとしている。
【0070】
このような課題もあるため、本実施形態では、ハーフカット領域(第1領域)を正解画像と比較する領域(第2領域)と分け、指定したエリア内にハーフカットがあるかどうかを判断する解決手法を提案している。本例では検品結果はボタン507で検品開始した場合に随時表示部241に表示する例で示したが、
図12に示す情報を検品処理時にメモリ239に格納しておき、検品完了後に後から表示してもよく、外部装置に送信し、当該外部装置で表示するようにしてもよい。
【0071】
<印刷の処理手順>
図13を参照して、本実施形態に係る印刷を行う際の外部コントローラ102と、印刷装置107との処理手順を説明する。まず、1300のフローチャートを参照して、外部コントローラ102の処理手順を説明する。以下で説明する処理は、外部コントローラ102のCPU208がメモリ209又はHDD210の格納されたプログラムを実行することにより実現される。
【0072】
S101で、外部コントローラ102のCPU208は印刷ジョブの印刷指示を受信したかを判断する。当該印刷指示は、例えば外部装置であるPC103から受信する。印刷指示を受信した場合はS102に進み、CPU208は印刷装置107に対して印刷データを投入し、印刷の実行を指示し、処理を終了する。
【0073】
続いて、1310のフローチャートを参照して、印刷装置107の処理手順について説明する。以下で説明する処理は、印刷装置107のCPU222がメモリ223又はHDD221に格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0074】
S103で、印刷装置107のCPU222は外部コントローラ102の印刷指示を受信したか否かを判断する。S103で外部コントローラ102からの印刷指示を受信した場合には、S104に進み、CPU222は外部コントローラ102から受信したジョブに従って印刷を行う。外部コントローラ102から受信するジョブには、画像データの他に、給紙先や排紙先の情報も含まれる。印刷装置107は外部コントローラ102から受信したジョブの内容に応じて、通信ケーブル254を介してインサータ108、検品装置109、大容量スタッカ110、及びフィニッシャ111を制御する。検品装置109による検品の設定処理については
図14を用いて、検品処理については
図15を用いて後述する。
【0075】
<検品の設定手順>
次に、
図14を参照して、本実施形態に係る検品処理を行うための検品エリアの設定を行う際の処理手順を説明する。以下で説明する処理は、検品装置109のCPU238がメモリ239に格納されたプログラムを実行することにより実現される。ここでは、検品装置109の表示部241に
図5乃至
図12を参照して説明した画面が表示されているものとする。表示部241には、まず画面500が表示され、その後にユーザ入力によって各画面へ遷移するものとする。
【0076】
S201で、CPU238は、検品エリア設定の登録をするか否かを判断する。例えば画面700、720が表示部241に表示されており、操作部242を介してボタン713が操作されたか否かを判断する。S201で登録すると判断した場合、即ち、ボタン713が操作された場合はS208に進み、CPU238は、後述するS203、S205、S207で設定された全設定を登録し、処理を終了する。一方、S201で登録しないと判断した場合、即ち、ボタン713が操作されていない場合はS202に進む。
【0077】
S202で、CPU238は、正解画像上の特徴点を設定するかを判断する。即ち、画面700、720においてボタン710が操作されたか否かを判断する。S202で特徴点を設定すると判断した場合はS203に進み、そうでない場合はS204に進む。S203で、CPU238は、正解画像上の特徴点の設定を行う。つまり、CPU238は、上述した
図8の画面800を表示部241に表示し、操作部242を介してユーザ入力を受け付けて、複数の特徴点候補から正解画像上の1以上の特徴点の設定を行う。画面800のボタン817の操作を検知するとS203を抜けて、処理をS201に戻す。
【0078】
S204で、CPU238は、ハーフカットエリア(正解領域)を設定するかを判断する。即ち、画面700、720においてボタン711が操作されたか否かを判断する。S204でハーフカットエリアを設定すると判断した場合はS205に進み、そうでない場合はS206に進む。S205で、CPU238は、ハーフカットエリアの設定を行う。つまり、CPU238は、上述した
図9の画面900、950を表示部241に表示し、操作部242を介してユーザ入力を受け付けてハーフカットエリアの設定を行う。画面900、950のボタン915の操作を検知するとS205を抜けて、処理をS201に戻す。
【0079】
S206で、CPU238は、プレプリントエリア(正解領域)を設定するかを判断する。即ち、画面700、720においてボタン712が操作されたか否かを判断する。S206でプレプリントエリアを設定すると判断した場合はS207に進み、そうでない場合は処理S201に戻す。S207で、CPU238は、プレプリントエリアの設定を行う。つまり、CPU238は、上述した
図10の画面1000を表示部241に表示し、操作部242を介してユーザ入力を受け付けてプレプリントエリアの設定を行う。画面1000のボタン1013の操作を検知するとS207を抜け、処理をS201に戻す。
【0080】
<検品の処理手順>
次に、
図15を参照して、本実施形態における検品処理について説明する。1500は検品処理を行う際に検品装置109が行う処理手順を示す。以下で説明する処理は、検品装置109のCPU238がメモリ239に格納されたプログラムを実行することにより実現される。画面500において検品エリアの設定が行われ、その後に検品開始のボタン507が操作されると本フローチャートの処理が開始する。
【0081】
S301で検品装置109のCPU238は、検品終了指示を受信したか否かを判断する。検品終了指示を受信した場合は検品装置109の処理を終了し、そうでなければS302に進む。S302で、CPU238は、検品装置109に最終シートが搬送されたかを否かを判断する。最終シートとは、上述したように、印刷後に最終的に印刷装置107から出力されるシートであり、検品対象のシートを示す。最終シートが搬送されてない場合はS301に処理を戻し、最終シートが搬送された場合はS303に進む。
【0082】
S303で、CPU238は、シートの画像をカメラ331及びカメラ332の少なくとも一方を使用して読み取り、検品装置109のメモリ239に読み取った画像を保存する。ここで保存した画像は、
図12の表示部1201に表示される。続いて、S304に進み、CPU238は、S303で読み取った最終シートと正解画像との比較と、ハーフカットエリア内にハーフカットがあるかの判定と、プレプリントエリア内にプレプリント画像があるかの判定とを行い、S305に進む。判定結果としては、
図12の表示部1221に示す判定項目の判定を行う。詳細な判定処理については1510を用いて後述する。
【0083】
S305で、CPU238は、S304で判定した結果を確認し、ハーフカットエリア、プレプリントエリア、及びそれ以外のエリアである画像エリアの判定結果の全てが正常(検品OK)であれば、S306に進み、そうでない場合はS308に進む。S306で、CPU238は、検品装置109の表示部241に検品結果がOKであることを表示する。例えば、画面1230、1231がS306で表示される画面の一例である。続いて、S307に進み、CPU238は、印刷装置107に対して、印刷シートを大容量スタッカ110のスタックトレイ341に排紙するよう指示し、処理をS301に戻す。
【0084】
一方、S305で欠陥(検品NG)と判断された場合にはS308に進み、CPU238は、表示部241に検品結果がNGであることを表示する。例えば、画面1232、1233がS308で表示される画面の一例である。続いて、S309に進み、CPU238は、印刷装置107に対して、印刷シートを大容量スタッカ110のエスケープトレイ346に排紙するよう指示し、処理をS301に戻す。
【0085】
続いて、
図15の1510を参照して、上記S304における検品判定処理の詳細について説明する。
【0086】
S311で、CPU238は、S303で読み取った最終シートの画像から、S203で設定した特徴点を抽出する。具体的には、CPU238は、読み取った画像の輝度値及びその位置から、設定された特徴点に関する情報(輝度値及びその位置)に類似する位置を特徴点として抽出する。処理負荷を低減すべく、設定された特徴点の位置を中心に類似する画素位置があるか否かを判定していくようにしてもよい。また、特徴点は複数の画素から構成されてもよく、複数の画素のうち所定数以上の画素が類似する場合に当該位置を特徴点として抽出してもよい。続いて、S312で、CPU238は、S311で抽出した特徴点の位置と、正解画像の特徴点の位置とが一致するようアフィン変換(回転処理)を実施する。これは、例えば最終シートの読み取り時に当該シートが斜行等によりずれて読み取られた場合に、読取位置のずれを画像形成位置のずれと判断することを防止するための措置である。また、当該変換を行うことにより、CPU238は、読取画像上において、S311で抽出した特徴点から、予め設定されたハーフカットエリア又はプレプリントエリア(正解領域)となるはずの領域を第1領域として特定し、それ以外の領域を第2領域として特定することができる。上記第1領域の特定は、710~712を介して設定された正解画像上の特徴点と、所定のパターンが形成されるべき領域である正解領域との位置関係に基づいて、S311で抽出された特徴点の画像位置から特定される。
【0087】
次に、S313で、CPU238は、S312でアフィン変換した画像に対し、S205で設定したハーフカットエリアの中に、
図11の画面1100で設定したハーフカットパターンが存在するか否かを判定する。画面1100を説明する際にも記載したが、ハーフカットパターンがエリア内にあるか否かを判断する判定処理は個別の判定処理を用意する必要がある。例えば、白地の箇所にハーフカットがあるかを検知するなら、白は非常に輝度が高く、その中に若干ながらでも(所定値ほど)白より輝度を下回る輝度の点線がハーフカットエリア1周の中に連続して存在するかを検知する処理を行う。
【0088】
次に、S314で、CPU238は、S312でアフィン変換した画像に対し、S207で設定したプレプリントエリアの中に、
図11の画面1100で設定したプレプリント画像が存在するか否かを判定する。ここでは、プレプリントエリアの中に、予め設定したプレプリント画像があるかを判断すればよい。続いて、S315で、CPU238は、S312でアフィン変換した画像に対し、
図14の設定処理においてハーフカットエリアにもプレプリントエリアにも設定されなかった領域に対して、正解画像との比較を行う。S315で比較する項目は、
図11の1101で設定された検品レベルや1102で設定された検品種別に基づき判断が行われる。S315の処理が終了すると、本処理を終了する。
【0089】
ここで、
図16を参照して、上記1510の検品判定処理の処理内容について補足する。1601は、画面720に示した検品エリア設定後の設定例を示す。
【0090】
1602~1604は、
図4の414~416と同じ最終シートの状態であり、1500のS303で読み取った画像でもある。さらに、1602~1604には、1510のS310で抽出した特徴点822、823、824が重ね合わせて示している。
【0091】
1605~1607は、1510のS310で抽出した特徴点が正解画像と特徴点の位置が一致するように1602~1604をそれぞれアフィン変換したS311の処理後の状態を示す。さらに、アフィン変換後の画像に対し、
図14のS205、S207で設定したハーフカットエリア923、933及びプレプリントエリア1021を重ね合わせて示している。上記S313乃至S315では、1605~1607に相当する画像を用いて判定処理が行われている。
以上説明したように、本実施形態に係る検品装置は、検品対象の画像である正解画像の特徴点と、検品対象の画像が形成される記録媒体に予め形成された所定のパターンの正解領域とを設定する。また、本検品装置は、記録媒体に対して印刷装置によって形成された画像を読み取った読取画像から、設定された特徴点を抽出する。また、本検品装置は、設定された特徴点と正解領域との位置関係に基づいて、抽出された特徴点の画像位置から、所定のパターンが形成されているべき領域となる読取画像上の第1領域と、前記読取画像のうち第1領域以外の第2領域とを特定する。さらに、本検品装置は、第1領域に対して第1アルゴリズムで検品を行い、第2領域に対して第1アルゴリズムとは異なる第2アルゴリズムで検品を行う。このように、本実施形態によれば、所定のパターンが形成されている第1領域と、それ以外の画像領域である第2領域とを特定し、各領域に対して適切なアルゴリズムで検品を行う。これにより、本発明によれば、正解画像と印刷された印刷シートの画像を比較し画像を保証しつつ、さらに、ハーフカット及びプレプリント画像の位置が保証されているかを確認することが可能となる。
【0092】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0093】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0094】
100:印刷システム、101:画像形成装置、102:外部コントローラ、103:PC、104:外部LAN、105:内部LAN、106:ビデオケーブル、107:印刷装置、108:インサータ、109:検品装置、110:大容量スタッカ、111:フィニッシャ