(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】工作機械におけるプロービング装置の運用方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/10 20060101AFI20240213BHJP
B23Q 17/20 20060101ALI20240213BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20240213BHJP
G01B 5/00 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
B23Q11/10 Z
B23Q17/20 A
B23Q17/00 A
G01B5/00 Z
(21)【出願番号】P 2020087009
(22)【出願日】2020-05-18
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000174987
【氏名又は名称】三井精機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098279
【氏名又は名称】栗原 聖
(72)【発明者】
【氏名】浅井 岳見
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-116714(JP,A)
【文献】特開2003-103437(JP,A)
【文献】特開2018-161716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00-11/14,17/00-17/24;
G01B 5/00-5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの測定に用いるプロービング装置を備えかつクーラント供給装置を備えた工作機械であって、且つそのプロービング装置はクーラントに対する防水及び/又は防油性能を有し信号のレベルをデジタル変換により2値ではなく多段階に数値変換する機構を備えた装置について、乱流状になったクーラント流をプロービング装置の感度方向に向けて放射し出力に重畳させデジタル変換された後の信号をローパスフィルタまたはバンドパスフィルタで濾波し得たい信号周波数成分の量子化雑音を安価に低減させかつプローブ装置のワークとの接触部分の洗浄も同時に行うことを特徴とする工作機械におけるプロービング装置の運用方法。
【請求項2】
ワークの測定に用いるプロービング装置を備えかつクーラント供給装置を備えた工作機械であって、且つそのプロービング装置クーラントに対する防水及び/又は防油性能を有し信号のレベルをデジタル変換により2値ではなく多段階に数値変換する機構を備えた装置について、クーラント流を間欠的にプロービング装置の感度方向に向けて放射し出力に重畳させデジタル変換された後の信号をローパスフィルタまたはバンドパスフィルタで濾波し得たい信号周波数成分の量子化雑音を安価に低減させかつプローブ装置のワークとの接触部分の洗浄も同時に行うことを特徴とする工作機械におけるプロービング装置の運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーラント供給装置とプロービング装置付きの工作機械に関し、特に、クーラント供給装置とプロービング装置を搭載した工作機械におけるプロービング装置の運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械にプロービング等の測定装置を搭載し、その測定装置を運用して加工した形状の寸法・軸送り精度等を機上測定するようにしている。例えば、特許文献1に記載のアナログ測定用プローブは、工作機械と共に用いられ、被加工物の表面に接触するためのスタイラスを備え、このスタイラスは、プローブ本体部から突出し、プローブ本体部に移動可能に接続される。測定用プローブは、プローブ本体部に対するスタイラスの移動を測定するためのセンサを更に備える。アナログ測定用プローブのスタイラスは、物体の形状をもしくは位置に関する情報を取得され得るように、物体に接触させ得る。アナログプローブでは、スタイラスが被加工物の表面にそって移動されるとき、スタイラスの振れの大きさ(および、随意に方向も)が、連続的に検知され、振れデータをプローブの位置を表すデータと組み合わせて被加工物の詳細な測定結果を取得できる。
【0003】
近年、研削盤の高速・高精度化に対応して、そのプロービング等の測定装置に対しても高速且つ高精度な測定を可能とすることが求められており、そのための様々な提案もなされている。例えば、特許文献2記載の従来例では、加工されたワークの所定位置の座標と基準座標との差、または工作機械の所定位置の座標と基準座標との差を、あらかじめ決められたタイミングでタッチプローブにより測定した値を順次メモリに記憶し、このメモリに記憶された測定値の履歴を基準座標および許容値とともに表示するようにし、この履歴により、工作機械の熱変形による加工誤差の状況を把握する。このようなシステムにおいて扱う値は高分解能化が要求されつつある。しかしながら、高分解能な測定を実現するためには、測定装置の運用のための複雑な制御が必要となったり、精密且つ高価な測定機器を別途製作したりしなければならず、研削盤全体のコストの増加を招いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2014-517252号公報
【文献】特開2007-007822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、工作機械及びそのプロービング装置の運用方法に関し、工作機械全体のコストの増加を招くこと無く、工作機械の高速・高精度化に対応した高分解能な測定を可能とするプロービング装置の開発が望まれている。
【0006】
本発明は上述のような事情から為されたものであり、その目的は、工作機械全体のコストの増加を招くこと無く、工作機械の高速・高精度化に対応した高分解能な測定を可能とするプロービング装置の運用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上述した工作機械全体のコストの増加を招くこと無く高分解能な測定を可能とするプロービング装置の運用方法について、様々な観点からアプローチを試み、鋭意研究した結果、そのような工作機械の構成と、そのプロービング装置の運用方法に関する新規且つ有用な着想を得るに至った。
【0008】
即ち、本発明に係る工作機械におけるプロービング装置の運用方法では、ワークの測定に用いるプロービング装置を備えかつクーラント供給装置を備えた工作機械であって、且つそのプロービング装置はクーラントに対する防水及び/又は防油性能を有し信号のレベルをデジタル変換により2値ではなく多段階に数値変換する機構を備えた装置について、乱流状になったクーラント流をプロービング装置の感度方向に向けて放射し出力に重畳させデジタル変換された後の信号をローパスフィルタまたはバンドパスフィルタで濾波し得たい信号周波数成分の量子化雑音を安価に低減させかつプローブ装置のワークとの接触部分の洗浄または冷却も同時に行うことを特徴とする。
ここで、クーラントノズルはロックライン(登録商標)として供されているような流路が乱流を誘発するようなものを使用するのがよい。また、クーラントの量は乱流を誘発するようなプローブ及びワークを壊さない程度に大量なほうが良い。
【0009】
また、本発明の他の様相に係る工作機械におけるプロービング装置の運用方法では、ワークの測定に用いるプロービング装置を備えかつクーラント供給装置を備えた工作機械であって、且つそのプロービング装置クーラントに対する防水及び/又は防油性能を有し信号のレベルをデジタル変換により2値ではなく多段階に数値変換する機構を備えた装置について、クーラント流を間欠的にプロービング装置の感度方向に向けて放射し出力に重畳させデジタル変換された後の信号をローパスフィルタまたはバンドパスフィルタで濾波し得たい信号周波数成分の量子化雑音を安価に低減させかつプローブ装置のワークとの接触部分の洗浄も同時に行うことを特徴とする。
ここで、クーラントを間欠的に流すために高速に連続ON/OFFできる弁を用意する。もしくは、間欠出力エア装置を用いてエアオペレート弁を高速でON/OFFする。ないし、間欠出力エア装置を用いてこの出力をクーラント流に向けてクーラント流の方向が高速に変わるように設計したノズルを用いる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、工作機械全体のコストの増加を招くこと無く、工作機械の高速・高精度化に対応した高分解能な測定を可能とするプロービング装置の運用方法を提供することが可能であり、更にプローブ装置のワークとの接触部分の洗浄と、接触・摩擦による熱を有効に取り除き得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一般的なプロービング装置の基本構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態の基本構成を示す図であり、プロービング装置とクーラント供給装置を備えた工作機械の要部を示し、クーラントノズルは「ロックライン」として供されているような流路が乱流を誘発するようなものを使用する例である。
【
図3】本発明の第2の実施形態の構成を示す図であり、弁の動作によりクーラントノズルからクーラントを間欠的にプロービング装置の感度方向に向けて放射する形態を示す。
【
図4】本発明の第3の実施形態の構成を示す図であり、クーラントノズルから噴射されるクーラントにエアを間欠的に吹きかけてプロービング装置の感度方向に向けて放射する形態を示す。
【
図5】本発明の第1の実施形態における測定のための制御動作を示す図であり、クーラントノズルからクーラントを噴射しつつ、スタイラスをワークに接触させた状態でワークワークテーブルを移動させて測定(走査)する形態を示す。
【
図6】本発明の第1乃至第3の実施形態に係る工作機械の機能ブロック図である。
【
図7】本発明の第1乃至第3の実施形態に係る工作機械におけるプロービング装置を用いた測定方法を説明するためのフローチャートであり、(a)は、比較例としての従来の測定方法のフロー、(b)は、本発明の実施形態の測定方法のフロー、をそれぞれ示す。
【
図8】本発明の実施形態に係る工作機械におけるプロービング装置を用いた測定方法を説明するための図であり、(a)は、クーラント供給の弁のON/OFF周波数を切り替えられるようにする場合且つローパスフィルタをしようする場合且つ送り速度に応じて信号の周波数が変わる場合に共通する機能ブロック図、(b)は、上記(a)の場合の制御方法の要諦を示す図であり、間欠供給周波数とADCサンプリング周波数/2とローパスフィルタのカットオフ周波数と信号の周波数がこのような上下関係になるように、間欠供給周波数と送り速度を制御することを示す。
【
図9】本発明の第1の実施形態の作用効果を説明するための波形図であり、(a)は、クーラント無しのアナログ波形、(b)は、クーラント無しのデジタル波形、(c)は、クーラント有りのアナログ波形、(d)は、クーラント有りのデジタル波形、(e)は、クーラント有りのデジタルローパスフィルタを通過させた波形、をそれぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明の理解を容易にするため、
図1を参照して、一般的なプロービング装置について説明しておく。
図1は、一般的なプロービング装置の基本構成を示す図である。プロービング装置は、図示しない研削盤等の工作機械の要部において、機上測定を行うためにセットされて用いられる。
図1に示すように、プロービング装置10は、送り装置12によりプローブ14とその先端の接触子であるスタイラス16がワークテーブル17上に載置されたワーク18に接触又は離反可能に送り動作されることにより、スタイラス16の先端チップ(又は先端球)16aがワーク18に接触した時に信号を発することで、加工したワーク18の形状の寸法・軸送り精度等を機上測定するようにしている。
【0013】
図2は、本発明の第1の実施形態の基本構成を示す図であり、プロービング装置とクーラント供給装置を備えた工作機械の要部を示し、クーラントノズルはロックライン(登録商標)として供されているような流路が乱流を誘発するようなものを使用する例である。即ち、本実施形態の工作機械におけるプロービング装置20は、図示しない工作機械の要部において、機上測定を行うためにセットされて用いられる。
図2に示すように、プロービング装置20は、送り装置22によりプローブ24とその先端の接触子であるスタイラス26がワークテーブル27上に載置されたワーク28に接触又は離反可能に送り動作されることにより、スタイラス26の先端チップ(又は先端球)26aがワーク28に接触した時に信号を発することで、加工したワーク28の形状の寸法・軸送り精度等を機上測定することが可能である。
【0014】
ここで、本実施形態の工作機械は、ワーク28の測定に用いるプロービング装置20を備えると共に、クーラント供給装置25を備え、且つそのプロービング装置20はクーラントに対する防水及び/又は防油性能を有し信号のレベルをデジタル変換により2値ではなく多段階に数値変換する機構を備えている。そして、乱流状になったクーラント流をプロービング装置20の感度方向に向けて放射し出力に重畳させデジタル変換された後の信号をローパスフィルタまたはバンドパスフィルタで濾波し得たい信号周波数成分の量子化雑音を安価に低減させかつプロービング装置20のワーク28との接触部分の洗浄または冷却も同時に行うことができる。ここで、クーラント供給装置25のクーラントノズル25aはロックライン(登録商標)として供されているような流路が乱流を誘発するようなものを使用するのがよい。また、クーラントの量は乱流を誘発するようなものであるが、プローブ24及びワーク28を壊さない程度に大量なほうが良い。
【0015】
図3は、本発明の第2の実施形態の構成を示す図であり、弁の動作によりクーラントノズルからクーラントを間欠的にプロービング装置の感度方向に向けて放射する形態を示す。即ち、本実施形態の工作機械におけるプロービング装置30は、図示しない工作機械の要部において、機上測定を行うためにセットされて用いられる。
図3に示すように、本実施形態の工作機械は、ワーク38の測定に用いるプロービング装置30を備えると共にクーラント供給装置35を備え、且つそのプロービング装置30は、クーラントに対する防水及び/又は防油性能を有し信号のレベルをデジタル変換により2値ではなく多段階に数値変換する機構を備えている。そして、クーラント流を間欠的にプロービング装置30の感度方向に向けて放射し出力に重畳させデジタル変換された後の信号をローパスフィルタまたはバンドパスフィルタで濾波し得たい信号周波数成分の量子化雑音を安価に低減させかつプロービング装置30のワーク38との接触部分の洗浄も同時に行うことができる。尚、プロービング装置30は、送り装置32によりプローブ34とその先端の接触子であるスタイラス36がワークテーブル37上に載置されたワーク38に接触又は離反可能に送り動作されることにより、スタイラス36の先端チップ(又は先端球)36aがワーク38に接触した時に信号を発することで、加工したワーク38の形状の寸法・軸送り精度等を機上測定するのは、第1の実施形態と同様である。ここで、クーラントを間欠的に流すために高速に連続ON/OFFできる弁を用意するようにしても良い。もしくは、間欠出力エア装置(図示せず)を用いてエアオペレート弁(図示せず)を高速でON/OFFするようにしても良い。
【0016】
図4は、本発明の第3の実施形態の構成を示す図であり、クーラントノズルから噴射されるクーラントにエアを間欠的に吹きかけてプロービング装置の感度方向に向けて放射する形態を示す。即ち、
図4に示すように、本実施形態では、間欠出力エア装置49を用いてこの出力をクーラント供給装置45のクーラントノズル45aから噴射されるクーラント流に向けてクーラント流の方向が高速に変わるように設計した間欠エアブローノズル49aを用いる。尚、
図4のプロービング装置40は、送り装置42によりプローブ44とその先端の接触子であるスタイラス46がワークテーブル47上に載置されたワーク48に接触又は離反可能に送り動作されることにより、スタイラス46の先端チップ(又は先端球)46aがワーク48に接触した時に信号を発することで、加工したワーク48の形状の寸法・軸送り精度等を機上測定するのは、第1及び第2の実施形態と同様である。
【0017】
図5は、本発明の第1の実施形態における測定のための制御動作を示す図であり、クーラントノズルからクーラントを噴射しつつ、スタイラスをワークに接触させた状態でワークワークテーブルを移動させて走査する形態を示す。即ち、
図5に示すように、本実施形態では、プロービング装置50は、送り装置52によりプローブ54とその先端の接触子であるスタイラス56がワークテーブル57上に載置されたワーク58に接近させて、ワークテーブル57を矢印59で示すように移動させることにより、その先端チップ(又は先端球)56aがワーク58に接触した時に信号を発することで、加工したワーク58の形状の寸法・軸送り精度等を機上測定する。
【0018】
次に、
図6を参照して、本発明の上記第1乃至第3の実施形態が適用される工作機械について説明する。
図6は、本発明の第1乃至第3の実施形態に係る工作機械の機能ブロック図である。
図6に示すように、本発明の第1乃至第3の実施形態に係る工作機械は、制御装置100を有し、この制御装置100は、数値制御部102と、シーケンス制御部104と、デジタルフィルタ106を含んでいる。制御装置100は、入出力装置200を介して、プロービング装置(プローブ)300、クーラント供給装置又はON/OFF弁400、軸制御器500と接続されており、軸制御器500には、各種モータ600が接続されている。入出力装置200は、アナログ入力部202と、デジタル出力部204と、IOバス206を含んでいる。数値制御部102は、IOバス206を介して軸制御器500に数値制御指令を発し、この数値制御指令に基づいて軸制御器500は各種モータ600を駆動制御する。プロービング装置(プローブ)300からの検出信号は、アナログ入力部202を介してデジタルフィルタ106により処理(濾波)され、シーケンス制御部104、更に、数値制御部102に、その情報が送られる。この情報に基づき、シーケンス制御部104は、デジタル出力部204を介してクーラント供給装置又はON/OFF弁400を動作させる。また、同様に、この情報に基づき、数値制御部102は、IOバス206を介して軸制御器500に新たな数値制御指令を発し、この数値制御指令に基づいて軸制御器500は各種モータ600を駆動制御する。
【0019】
図7は、本発明の第1乃至第3の実施形態に係る工作機械におけるプロービング装置を用いた測定方法を説明するためのフローチャートであり、(a)は、比較例としての従来の測定方法のフロー、(b)は、本発明の実施形態の測定方法のフロー、をそれぞれ示す。
図7(a)に示すように、従来の測定方法では、測定開始すると(S701)、通常のプロービング装置を用いた測定を行う(S702)ことにより、測定終了に至る(S703)。これに対して、本発明の実施形態の測定方法では、
図7(b)に示すように、測定開始すると(S704)、まず、クーラント間欠供給装置をONにする(S705)した上で、上述したプロービング装置を用いた測定を行う(S706)。続いて、クーラント間欠供給装置をOFFにしてから(S707)、測定結果のデジタルフィルタリングを行い(S708)、測定終了に至る(S709)。尚、上記デジタルフィルタリングは、測定中のリアルタイムの処理として行うようにしても良い。
【0020】
図8は、本発明の実施形態に係る工作機械におけるプロービング装置を用いた測定方法を説明するための図であり、(a)は、クーラント供給の弁のON/OFF周波数を切り替えられるようにする場合且つローパスフィルタをしようする場合且つ送り速度に応じて信号の周波数が変わる場合に共通する機能ブロック図、(b)は、上記(a)の場合の制御方法の要諦を示す図であり、間欠供給周波数とADCサンプリング周波数/2とローパスフィルタのカットオフ周波数と信号の周波数がこのような上下関係になるように、間欠供給周波数と送り速度を制御することを示す。即ち、
図8(a)に示すように、まず、クーラントの影響を重畳された信号800をADCサンプリング周波数を考慮して折り返し雑音が生じない程度に調整するアナログフィルタ811を通したアナログ信号フィルタ後の信号801を入力し、ADC(アナログデジタルコンバータ)802でアナログデジタル変換し、デジタル信号フィルタ前の測定情報803が得られる。続いて、ローパスフィルタ804でフィルタリングした後、デジタル信号フィルタ後の処理805が実行される。このような機能ブロックの制御において、間欠供給周波数とADCサンプリング周波数/2とローパスフィルタのカットオフ周波数と信号の周波数が、
図8(b)に示すような上下関係になるように、間欠供給周波数と送り速度を制御する。なお、ADCの前に設けるフィルタ811はサンプリング周波数が高い場合など省略することも可能である。
【0021】
図9は、本発明の第1の実施形態の作用効果を説明するための波形図であり、(a)は、クーラント無しのアナログ波形、(b)は、クーラント無しのデジタル波形、(c)は、クーラント有りのアナログ波形、(d)は、クーラント有りのデジタル波形、(e)は、クーラント有りのデジタルローパスフィルタを通過させた波形、をそれぞれ示す図である。即ち、上述した第1の実施形態において、
図6乃至
図8に関して述べた制御方法を用いて、
図5に示したように装置やワークテーブルを動作させることにより、
図9(c)(d)(e)に示すような波形が得られる。
【符号の説明】
【0022】
10、20、30、40、50 プロービング装置、
12、22、32、42、52 送り装置、
14、24、34、44、54 プローブ、
16、26、36、46、56 スタイラス、
16a、26a、36a、46a、56a 先端チップ(先端球)、
17、27、37、47、57 ワークテーブル、
18、28、38、48、58 ワーク、
25、35、45 クーラント供給装置、
25a、45a クーラントノズル、
49 間欠出力エア装置、
49a 間欠エアブローノズル、
59 矢印、