(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】ボーディングブリッジシステム
(51)【国際特許分類】
B64F 1/305 20060101AFI20240213BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240213BHJP
A61B 5/01 20060101ALI20240213BHJP
G01J 5/48 20220101ALI20240213BHJP
【FI】
B64F1/305
A61B5/00 102B
A61B5/01
G01J5/48 D
(21)【出願番号】P 2020090581
(22)【出願日】2020-05-25
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】518337876
【氏名又は名称】三菱重工交通・建設エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】内田 吉彦
(72)【発明者】
【氏名】竹内 一也
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-235415(JP,A)
【文献】中国実用新案第206698365(CN,U)
【文献】国際公開第2019/224707(WO,A1)
【文献】特開2005-190826(JP,A)
【文献】特開2020-035584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/00
A61B 5/00
B63B 27/00
B64D 11/00
G01J 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル部と、前記トンネル部の先端に設けられ、航空機の乗降口に対して接続可能なヘッド部と、を有するボーディングブリッジ本体と、
前記ボーディングブリッジ本体に設置され、前記航空機の前記乗降口を通過する利用者を撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮像結果に基づいて、前記利用者が有する体温を検出する体温検出部と、
前記撮像部の撮像結果に基づいて、前記乗降口の位置を検出する乗降口検出部と、
検出された前記乗降口の位置に基づいて、前記撮像部が撮像する範囲を調整する撮像調整部と、
を備えるボーディングブリッジシステム。
【請求項2】
前記撮像部で取得された撮像結果に基づいて、前記利用者の顔を認識する顔認識部と、
前記顔認識部によって認識された前記顔に対して識別情報を付与する顔特定部と、
前記体温検出部によって検出された前記体温と、前記顔特定部によって特定された前記顔とを関連付けて、特定された前記顔ごとの前記体温に関する関連情報を生成する関連付け部と、
を備える請求項1に記載のボーディングブリッジシステム。
【請求項3】
前記関連付け部によって生成された前記関連情報を表示する表示部を備える請求項2に記載のボーディングブリッジシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボーディングブリッジシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボーディングブリッジは、例えば、空港のターミナルビルと航空機とを連絡するトンネル状の通路であり、ターミナルビルと航空機との間で乗客の直接の乗り降りを可能にする。ボーディングブリッジは、入れ子式に嵌合された複数のトンネル部(通路部)を備え、これらのトンネル部が長手方向に相互に相対移動することによって伸縮する。これによって、ターミナルビルと航空機との間に生じる様々な間隔に対応できる。
【0003】
航空機を利用する利用者は、ボーディングブリッジを通過してターミナルビルから航空機へ移動したり、航空機からターミナルビルへ移動したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
空港では感染症の感染拡大防止を図るため、利用者の感染可能性を把握することが要求される場合がある。空港内における利用者の動線は、ほぼ決められたルートに限定される。しかし、ターミナルビル内の空間や通路の広い場所などで複数の利用者が広がって移動すると、各利用者の体温などの健康状態を把握しづらい。また、利用者がターミナルビル出口に到達するまでに感染可能性を速やかに把握できない場合、検疫所や出口で行列や混雑が生じ、感染拡大のリスクが発生する可能性がある。
【0006】
なお、上記特許文献1では、航空機内の座席周囲の特定位置に取り付けられた赤外線カメラが、座席に座る乗客の放射熱による体温を検出する。そして、機内乗務員の詰め所に設置された座席モニタ上に表示を行って機内乗務員に注意を喚起する技術が開示されている。この技術では、それぞれの航空機において各座席に赤外線カメラが必要になる。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、利用者の体温を簡易かつ確実に検知することが可能なボーディングブリッジシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示のボーディングブリッジシステムは以下の手段を採用する。
すなわち、本開示に係るボーディングブリッジシステムは、トンネル部と、前記トンネル部の先端に設けられ、航空機の乗降口に対して接続可能なヘッド部と、を有するボーディングブリッジ本体と、前記ボーディングブリッジ本体に設置され、前記航空機の前記乗降口を通過する利用者を撮像する撮像部と、前記撮像部の撮像結果に基づいて、前記利用者が有する体温を検出する体温検出部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、利用者の体温を簡易かつ確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係るボーディングブリッジを示す平面図(A)及び側面図(B)である。
【
図2】本開示の一実施形態に係るボーディングブリッジシステムを示す概略図である。
【
図3】
図2のIII-III線で切断した縦断面図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係るボーディングブリッジシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の一実施形態に係るボーディングブリッジシステム10について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るボーディングブリッジシステム10は、ボーディングブリッジ1のヘッド4に設置されたカメラ11を用いて、航空機50の乗降口を通過する利用者の体温を検出でき、空港において速やかに利用者の健康状態を把握できる。
【0012】
ボーディングブリッジシステム10は、
図1から
図4に示すように、例えば、ボーディングブリッジ1と、カメラ11と、情報処理部12などを備える。
【0013】
ボーディングブリッジ1は、空港のターミナルビル側と航空機との間に乗客の通行路を形成して、ターミナルビルと航空機とを連絡し、乗客の直接の乗り降りを可能にする。ボーディングブリッジ1は、例えば、航空機到着前の接続準備のための待機位置と、航空機と接続されるときの接続位置との間で移動する。
【0014】
ボーディングブリッジ1は、
図1に示すように、ターミナルビル本体又はターミナルビルへ通じる固定橋などの付属施設付近に固定して設けられるロタンダ2と、ロタンダ2に対して水平方向及び垂直方向に回動可能に接続されている基端トンネル3aと、基端トンネル3aの先端側(航空機側)で、入れ子式に基端トンネル3aの外側に嵌合され、移動可能な先端トンネル3bと、先端トンネル3bの先端部に固定されたヘッド4などを備える。
【0015】
先端トンネル3bの長手方向先端側には、可動脚5が設けられる。可動脚5には、先端トンネル3bの両側面に取り付けられ、上下方向に延在する左右一対の支柱21が備えられている。ロタンダ2の下部には、固定脚6が基礎を介して地盤に固定されて設置される。ボーディングブリッジ1は、可動脚5と固定脚6とによって支持される。基端トンネル3a及び先端トンネル3bは、トンネル部3を構成し、トンネル部3とヘッド4は、可動脚5によって移動可能である。
【0016】
先端トンネル3bは、基端トンネル3aに沿って移動する。先端トンネル3bが航空機の駐機側へ移動することでトンネル部3の全長が伸長し、先端トンネル3bがロタンダ2側へ移動することでトンネル部3の全長が収縮する。なお、本開示のトンネル部は、基端トンネル3aと先端トンネル3bの二つのトンネル部の組み合わせに限定されず、三つ以上のトンネル部が連結されて、2段以上の伸縮機構を有するものでもよい。また、先端トンネル3bは、基端トンネル3aの先端側(航空機側)で、入れ子式に基端トンネル3aの内側に嵌合されてもよい。
【0017】
基端トンネル3aは、ロタンダ2に設けられた鉛直方向に平行な回動軸周りに回動可能である。したがって、基端トンネル3a,先端トンネル3b及びヘッド4は、回動軸を中心にして水平面内を例えば左右方向に回動可能である。
【0018】
先端トンネル3bは、可動脚5に設けられた走行部7が駆動して可動脚5が移動することによって、基端トンネル3aや先端トンネル3bの長手方向や左右方向に移動する。
【0019】
基端トンネル3aは、ロタンダ2に設けられた水平方向に平行な回動軸周りに回動可能である。可動脚5は、昇降装置20によって先端トンネル3bの高さ方向の調整が可能である。昇降装置20は、例えばモータとボールねじ機構を備える。したがって、可動脚5の高さが調整され、基端トンネル3a,先端トンネル3b及びヘッド4が、回動軸を中心にして上下方向に回動することによって、航空機の高さに応じて傾斜される。
【0020】
このようにボーディングブリッジ1が伸縮したり、ロタンダ2に設けられた回動軸を中心にして左右方向及び上下方向に回動したりするため、航空機の駐機状態に応じて、ボーディングブリッジ1を航空機に対して適切に接続することができる。
【0021】
ヘッド4は、先端側に開口部が形成され、先端側が航空機の搭乗口に接続される。ヘッド4の内部には、ボーディングブリッジ1の走行部7の駆動を開始又は停止させたり、走行部7の車輪9の走行方向(ステアリング角度)を操作したり、ヘッド4の方向を操作したりするための操作盤(図示せず。)が設けられている。
【0022】
なお、ボーディングブリッジ1のロタンダ2、基端トンネル3a、先端トンネル3b及びヘッド4の内部には、乗客が通行する通路がロタンダ2からヘッド4に向けて設置される。
【0023】
走行部7は、例えば2本のゴム製の車輪9と、車輪9を回転駆動する車輪駆動部(図示せず。)などを備える。2本の車輪9は、鉛直方向に平行な軸線周りに回転自在に支持されている車軸の両端部にそれぞれ固定して取り付けられている。車輪駆動部は、例えば、減速機付の走行モータや伝達機構を有する。
なお、走行部7は、上述した例に限定されず、例えば、2本の車輪9が1組のみ設けられてもよいし、2本の車輪9が2組設けられてもよい。
【0024】
走行部7の走行速度は、車輪9の回転速度を変更することによって調整可能である。走行部7における車輪9の先端トンネル3bの長さ方向に対する旋回角度(ステアリング角度)は、2本の車輪9のそれぞれの回転速度の差、及び、2本の車輪9のそれぞれの回転方向(正転又は逆転)を変更することによって調整可能である。
【0025】
次に、
図2から
図4を参照して、ボーディングブリッジ1に設置されるカメラ11、情報処理部12及び表示部13について説明する。
【0026】
カメラ11は、例えば赤外線カメラであり、人の体温に対して感度の高い撮像素子を有する。カメラ11は、ボーディングブリッジ1の内部、例えば、ヘッド4又はトンネル部3の内壁面又は天井面に設置される。カメラ11は、
図2及び
図3に示すように、ボーディングブリッジ1と接続した航空機50の乗降口51、及び、乗降口51を通過する利用者を撮像する。なお、表示部13において、赤外線カメラであるカメラ11による表示と合わせて、可視光による通常の表示が可能となるように、カメラ11とは別に可視光カメラが設けられてもよい。
【0027】
カメラ11は、撮像して取得されるデータである撮像結果を情報処理部12へ送信する。カメラ11は、撮像方向が固定されたものでもよいし、撮像方向が制御されて変更可能なものでもよい。カメラ11は、例えば、操作者の遠隔操作によって撮像方向が変更される。または、カメラ11は、撮像結果に基づいて、所定の対象物、例えば航空機50の乗降口51が撮像範囲に収まるように撮像方向が変更される。
【0028】
情報処理部12は、撮像結果をカメラ11から受信し、カメラ11の撮像結果に基づいて、乗降口51を通過する利用者の体温を検出したり、検出結果を外部へ出力したりする。情報処理部12は、
図4に示すように、例えば、体温検出部14と、顔認識部15と、顔特定部16と、関連付け部17と、乗降口検出部18と、撮像調整部19などを備える。
【0029】
情報処理部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0030】
なお、
図2及び
図3では、カメラ11と情報処理部12が同一筐体内に設置される場合について図示したが、本開示はこの例に限定されない。情報処理部12は、例えば表示部13と同一筐体内に設置されてもよいし、カメラ11や表示部13とは別に設置されてもよい。また、カメラ11と情報処理部12間、又は、情報処理部12と表示部13間のデータの送受信は、無線通信、有線通信のどちらでもよい。
【0031】
体温検出部14は、カメラ11の撮像結果に基づいて、利用者が有する体温を検出する。なお、体温検出については、情報処理部12で実行される場合に限定されず、例えば、体温検出部がカメラ11に備えられてもよく、カメラ11において、利用者が有する体温が検出されてもよい。体温検出部14は、カメラ11において撮像されたデータを解析し、撮像されたデータ内の温度分布を算出する。これにより、撮像データ内に人が含まれると人が有する温度が検出される。体温検出部14で検出された体温に関する体温情報は、外部に出力される。
【0032】
顔認識部15は、カメラ11の撮像結果に基づいて、利用者の顔を認識する。なお、顔認識については、情報処理部12で実行される場合に限定されず、例えば、顔認識部がカメラ11に備えられてもよく、カメラ11において、乗降口51を通過する利用者の顔が認識されてもよい。これにより、撮像データ内に人の顔部分が含まれると、人の顔が認識される。
【0033】
顔特定部16は、顔認識部15によって認識された顔に対して識別情報を付与して顔を特定する。例えば、認識された顔を抽出し、抽出した顔それぞれに対して識別番号などの識別情報を付与することによって、認識された顔それぞれが個別に処理可能となる。
【0034】
関連付け部17は、体温検出部14によって検出された体温と、顔特定部16によって特定された顔とを関連付けて、特定された顔ごとの体温に関する関連情報を生成する。これにより、検出された体温が利用者ごとに関連付けされる。生成された関連情報は、例えば表示部13、空港ビルの通信機器60等の外部に出力される。
【0035】
乗降口検出部18は、カメラ11の撮像結果に基づいて、乗降口51の位置を検出する。乗降口検出部18は、例えば、カメラ11において撮像されたデータを画像処理し、航空機50の乗降口51を特定して、特定した乗降口51の位置を検出する。
【0036】
撮像調整部19は、検出された乗降口51の位置に基づいて、カメラ11が撮像する範囲を調整する。撮像調整部19は、例えば、カメラ11で撮像された範囲において乗降口51が適切な位置になるように、カメラ11の撮像方向を変更する駆動データを生成し、生成された駆動データをカメラ11の駆動部に送る。これにより、カメラ11の撮像方向が変更されて乗降口51が適切に撮像され、乗降口51を通過する利用者を確実に撮像できる。
【0037】
表示部13は、例えばモニタであり、カメラ11によって撮像された結果を表示する。表示部13は、情報処理部12から各種情報を受信する。表示部13に撮像結果が表示される際、温度分布が複数の色を用いて表示されることによって、温度の高低が迅速かつ確実に把握され得る。また、表示部13は、認識された顔の利用者と検出された体温を関連付けた結果を表示してもよい。表示部13は、ボーディングブリッジ1やボーディングブリッジ1の近傍に必ずしも設置されなくてもよく、空港内の他の施設に設置されてもよい。
【0038】
次に、ボーディングブリッジシステム10のカメラ11を用いた体温検出方法について説明する。
【0039】
ボーディングブリッジ1が航空機50の乗降口51に接続されると、カメラ11は乗降口51を撮像する。これにより、カメラ11が乗降口51を通過する利用者を撮像できる。乗降口51付近では、一度に通過する利用者の数が1人から数人に限られ、かつ、利用者が必ず通過する場所であることから、全ての利用者の体温を確実に把握できる。
【0040】
カメラ11の撮像方向が制御されて変更可能なものである場合、カメラ11で撮像された範囲において乗降口51が適切な位置になるようにカメラ11が駆動されて、カメラ11の撮像方向が変更される。この結果、乗降口51を通過する利用者をさらに確実に撮像できるようになる。
【0041】
利用者が乗降口51を通過すると、カメラ11の撮像結果に基づいて、利用者の体温が検出されて、例えば、複数の色を用いた温度分布が表示部13に表示される。これにより、管理者等は、各利用者の体温の高低を目視して認識することができる。可視光カメラが併設されていれば、表示部13において画面を分割するなどして、温度分布と同時に可視光による通常の表示が行われる。管理者等は、可視光による表示によって利用者の顔も同時に認識できるため、高温であると特定された利用者のみを空港内の健康相談所等へ案内できる。
【0042】
なお、ボーディングブリッジシステム10は、必ずしもカメラ11の撮像結果を表示部13に表示しなくてもよく、航空機50を降りた複数の利用者の中に高温な利用者が含まれているという情報のみを外部、例えば空港ビルの通信機器60を介して情報端末(パソコンやタブレットなど)に出力してもよい。管理者等は、その情報に基づいて、特定の航空便に高温な利用者が含まれていたということを把握でき、その便の利用者をまとめて健康相談所等へ誘導するといった対処をとることができる。
【0043】
ボーディングブリッジシステム10は、顔認識機能を用いて、検出された体温と利用者を関連付けるようにしてもよい。例えば、利用者が乗降口51を通過すると、カメラ11の撮像結果に基づいて、利用者の顔が認識されて、認識されて識別情報が付与された顔それぞれが個別に処理可能とされる。そして、体温が高温な利用者が検出された場合、認識された顔と検出された体温が関連付けされて、関連付けされた情報が表示部13等の外部に出力される。例えば、体温が高温である利用者の顔と共に体温が表示部13に表示される。また、利用者の氏名等と顔に関する情報が関連付けされて登録されたデータベースがある場合には、そのデータベースに登録された情報と、検出された体温と特定された顔が関連付けられた情報とに基づいて、氏名等の情報が合わせて表示部13に表示されるようにしてもよい。
【0044】
これにより、管理者等は、表示部13において表示された利用者を目視に頼って対処するだけでなく、情報処理された結果を用いて対処できるため、高温であると検出された利用者を確実かつ容易に把握できる。その結果、航空機50の乗降口51において多数の利用者が短時間に通過する場合でも、高温の利用者を見逃しづらくなる。
【0045】
以上、本実施形態によれば、航空機50から降りる利用者の体温を検出することから、空港を利用する利用者の体温を早期に把握できる。また、航空機50の乗降口51は、全ての利用者が通過する場所であり、乗降口51付近で一度に通過する人数も限定されることから、検出漏れが生じにくい。したがって、利用者の体温を確実に検知することができ、感染症の感染拡大防止に貢献できる。さらに、早期に利用者の体温を把握することで、利用者を健康相談所等へ案内又は誘導しやすくなる。
【0046】
またさらに、カメラ11は、ボーディングブリッジ1ごとに設置すればよいため、航空機の各座席に設置する場合に比べて、体温検出に必要なカメラの台数が減少する。また、ボーディングブリッジ1は、空港に設置された設備であるため、航空機内で体温が検出される場合に比べて、空港内の各施設への情報伝達が容易である。したがって、利用者の体温を簡易に検知することができる。
【0047】
なお、上述した実施形態では、空港に設置されるボーディングブリッジシステム10について説明したが、本開示はこの例に限定されない。本開示に係るボーディングブリッジシステムは、客船ターミナル等に設置され、船舶に接続されるボーディングブリッジにも同様に適用できる。
【0048】
以上説明した各実施形態に記載のボーディングブリッジシステムは例えば以下のように把握される。
本開示に係るボーディングブリッジシステム(10)は、トンネル部(3)と、前記トンネル部の先端に設けられ、航空機(50)の乗降口(51)に対して接続可能なヘッド部(4)と、を有するボーディングブリッジ本体(1)と、前記ボーディングブリッジ本体に設置され、前記航空機の前記乗降口を通過する利用者を撮像する撮像部(11)と、前記撮像部の撮像結果に基づいて、前記利用者が有する体温を検出する体温検出部(14)とを備える。
【0049】
この構成によれば、ヘッド部に設置された撮像部によって、航空機の乗降口を通過する利用者が撮像され、体温検出部によって、撮像部の撮像結果に基づいて利用者が有する体温が検出される。体温検出部で検出された体温に関する体温情報は、例えば表示部等の外部に出力される。
【0050】
本開示に係るボーディングブリッジシステムにおいて、前記撮像部で取得された撮像結果に基づいて、前記利用者の顔を認識する顔認識部(15)と、前記顔認識部によって認識された前記顔に対して識別情報を付与する顔特定部(16)と、前記体温検出部によって検出された前記体温と、前記顔特定部によって特定された前記顔とを関連付けて、特定された前記顔ごとの前記体温に関する関連情報を生成する関連付け部(17)とを備えてもよい。
【0051】
この構成によれば、撮像部で取得された撮像結果に基づいて利用者の顔が認識され、認識された顔に対して識別情報が付与される。また、検出された体温と特定された顔が関連付けられて、特定された顔ごとの体温に関する関連情報が生成される。これにより、検出された体温が利用者ごとに関連付けされる。生成された関連情報は、例えば外部に出力される。
【0052】
本開示に係るボーディングブリッジシステムにおいて、前記関連付け部によって生成された前記関連情報を表示する表示部(13)を備えてもよい。
【0053】
この構成によれば、表示部において、特定された利用者ごとの体温に関する情報が表示される。
【0054】
本開示に係るボーディングブリッジシステムにおいて、前記撮像部の撮像結果に基づいて、前記乗降口の位置を検出する乗降口検出部(18)と、検出された前記乗降口の位置に基づいて、前記撮像部が撮像する範囲を調整する撮像調整部(19)とを備えてもよい。
【0055】
この構成によれば、撮像部の撮像結果に基づいて乗降口の位置が検出され、検出された乗降口の位置に基づいて撮像部が撮像する範囲が調整される。これにより、乗降口を通過する利用者が確実に撮像される。
【符号の説明】
【0056】
1 :ボーディングブリッジ(ボーディングブリッジ本体)
2 :ロタンダ
3 :トンネル部
3a :基端トンネル
3b :先端トンネル
4 :ヘッド(ヘッド部)
5 :可動脚
6 :固定脚
7 :走行部
9 :車輪
10 :ボーディングブリッジシステム
11 :カメラ(撮像部)
12 :情報処理部
13 :表示部
14 :体温検出部
15 :顔認識部
16 :顔特定部
17 :関連付け部
18 :乗降口検出部
19 :撮像調整部
20 :昇降装置
21 :支柱
50 :航空機
51 :乗降口
60 :通信機器