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特許7434070ダイヤモンドの観察/撮像装置及びダイヤモンドの観察/撮像方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】ダイヤモンドの観察/撮像装置及びダイヤモンドの観察/撮像方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/87 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
G01N21/87
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020100729
(22)【出願日】2020-06-10
(65)【公開番号】P2021196192
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】593054675
【氏名又は名称】株式会社中央宝石研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100102886
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 光夫
(72)【発明者】
【氏名】堀内 信雄
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 悟
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3010214(JP,U)
【文献】特開2015-194467(JP,A)
【文献】特開2001-201454(JP,A)
【文献】国際公開第2011/086737(WO,A1)
【文献】特開2005-201744(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107807130(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤモンドを載置又は保持可能な保持ユニットと、この保持ユニットの上方から前記ダイヤモンドを照明するための環状の光源ユニットと、該光源ユニットをコントロールする光源ユニットコントローラーと、該光源ユニットの上方に上下動可能に載置され前記ダイヤモンドからの光の屈折反射パターンを観察/撮像するための観察/撮像ユニットとを備えているダイヤモンドの観察/撮像装置であって、
前記光源ユニットが中央部に縦方向の貫通口を有し貫通口を除いた上部が閉じられ内周面に周方向に間隔を置いて配置され複数の点光源a群で構成された第1の照明ユニットAと、該第1の照明ユニットの下方に配置され中央部に縦方向の貫通口を有し内周面に周方向に間隔を置いて配置され指向性の光を発する複数の点光源b群、c群、d群でそれぞれ構成された第2の照明ユニットB、C、Dとからなり、
該第1の照明ユニットAの点光源aは白色LEDからなり該第1の照明ユニットAにより白色拡散光を発生し、該白色拡散光は第2の照明ユニットの貫通口を介して下方に照射され、第2の照明ユニットB、C、Dは、同心円状に配置され指向性の光を発する複数の白色LED点光源b群の該照明ユニットBと、それぞれ該点光源b群と同心円周状に間隔をおいて配置され指向性の光を発する複数のRGB-LED点光源c群の照明ユニットC,RGB-LED点光源d群の照明ユニットDを有し、
該第1と第2の照明ユニットの該貫通口には該観察/撮像ユニットが挿入離脱可能とされ、
該保持ユニットと該第2の光源ユニットとが相対的に回転可能とされ、
該光源コントローラーは、該照明ユニットA、照明ユニットB、照明ユニットC、照明ユニットDを以下通りとなるようにそれぞれの照明タイミング、照明時間、照明強度を制御するように構成されている、ダイヤモンドの観察/撮像装置であって、
該保持ユニットと該第2の光源ユニットとを相対的に一方向に所定の速度で1回転させる間に、ブリリアンシー、シンチレーション、ディスパージョン、ダイヤモンド光沢とからなるダイヤモンドの輝きを視覚的に明確にとらえることを可能とするダイヤモンドの観察/撮像装置
【請求項2】
前記光源コントローラーは、前記照明ユニットA、照明ユニットB、照明ユニットC、照明ユニットDを以下の1)、2)、3)の通り制御するように構成されている、請求項1に記載のダイヤモンドの観察/撮像装置。
1)該保持ユニットと該第2の光源ユニットとを相対的に一方向に所定の速度で1回転させる間に、該照明ユニットAは該回転中に常時点灯させ、該照明ユニットBは初めに極微弱点灯させ徐々に出力アップをし最大出力まで点灯させその後最大出力を維持し、その後徐々に出力ダウンをし、極微弱点灯させ、
2)また、該照明ユニットCは照明ユニットBを最大出力点灯させた時点より遅く点灯をさせ、その点灯状態を保ち、該点照明ユニットBを徐々に出力ダウンを開始させる時に照明ユニットCを消灯し、
3)該照明ユニットDは該照明ユニットCを点灯させた時点より遅く点灯させ、その点灯状態を保ち、該照明ユニットCを消灯する前に照明ユニットDを消灯する。
【請求項3】
前記光源ユニットが、前記保持装置に保持されたダイヤモンドに近接させダイヤモンドへの指向性の光を発する白色LED点光源eからなる第3の照明ユニットEを有し、該点照明ユニットEは該照明ユニットDを点灯させた時点より遅く点灯させ、その点灯状態を保ち、該照明ユニットDを消灯するより前に点照明ユニットEを消灯する、請求項1又は2に記載のダイヤモンドの観察/撮像装置。
【請求項4】
前記光源コントローラーは、該保持ユニットと該第2の光源ユニットとを相対的に一方向に所定の速度で1回転させる間に、照明ユニットAは常時点灯させ、照明ユニットBは0秒から極微弱点灯させ徐々に出力アップをし、6秒目で最大出力で点灯させ、その後34秒目まで最大出力を維持し、その後34~40秒目の間徐々に出力ダウンをし、40秒経過後は極微弱点灯させ、照明ユニットCは8秒目で点灯をさせ、その後34秒目迄点灯状態を保ち、34秒目以降は消灯させ、、照明ユニットDは10秒目で点灯させ、その後31秒目迄点灯状態を保ち、その後31秒目以降は消灯させ、照明ユニットEは14秒目で点灯させ、その点灯状態を保ち、29秒目以降は消灯させるタイムテーブルで制御して発光させる、請求項3に記載のダイヤモンドの観察/撮像装置。
【請求項5】
前記第2の照明ユニットにおいて、前記白色LED点光源b群が2段に設けられ,第1の白色LED点光源b群、前記RGB-LED点光源c群及びRGB-LED点光源d群、第2の白色LED点光源b群を順次内側から外側に同心円状で円周方向に配列されている、請求項1乃至4のいずれかに記載のダイヤモンドの観察/撮像装置。
【請求項6】
前記ダイヤモンドの観察/撮像装置がさらに、該ダイヤモンドの観察/撮像装置を内包し、ダイヤモンドの観察/撮像装置が挿脱可能な開閉蓋つきケーシングを有する、請求項1乃至5のいずれかに記載のダイヤモンドの観察/撮像装置。
【請求項7】
ダイヤモンドを保持ユニットで保持し、この保持ユニットの上方から前記ダイヤモンドを照明し、ダイヤモンドと照明ユニットを相対的に回転する際に、該照明ユニットに対して上下動可能に載置され前記ダイヤモンドからの光の屈折反射パターンを観察/撮像するためのダイヤモンドの観察/撮像方法であって、
周方向に間隔をあけて配置され下方に拡散光を発する複数の白色LED点光源a群からなる第1の照明ユニットAと、第1の照明ユニットの下方に配置された第2の照明ユニットB、C、Dが設けられ、該第2の照明ユニットB、C、Dはそれぞれ周方向に間隔をおいて配置され下方に指向性のある光を発する複数の白色LED点光源b群と、該周方向に配列した点光源b群と同心円周状に各々間隔をおいて配置され指向性のある光を発する複数のRGB-LED点光源c群,複数のRGB-LED点光源d群とからそれぞれ形成され、以下の通り発光を制御して、ダイヤモンドを観察/撮像するダイヤモンドの観察/撮像方法であって、
該保持ユニットと該第2の光源ユニットとが相対的に回転し、
該光源コントローラーは、該該照明ユニットA、照明ユニットB、照明ユニットC、照明ユニットDをそれぞれの照明タイミング、照明時間、照明強度を制御することによって、該保持ユニットと該第2の光源ユニットとを相対的に一方向に所定の速度で1回転させる間に、ブリリアンシー、シンチレーション、ディスパージョン、ダイヤモンド光沢とからなるダイヤモンドの輝きを視覚的に明確にとらえることを可能とするダイヤモンドの観察/撮像方法
【請求項8】
前記照明ユニットA、照明ユニットB、照明ユニットC、照明ユニットDを以下の1)、2)、3)の通り制御して発光させる、請求項7に記載のダイヤモンドの観察/撮像方法。
1)該保持ユニットと該第2の光源ユニットとを相対的に一方向に所定の速度で1回転させる間に、該照明ユニットAは回転中に常時点灯させ、該照明ユニットBは初めに極微弱点灯させ徐々に出力アップをし最大出力まで点灯させその後最大出力を維持し、その後徐々に出力ダウンをし、極微弱点灯させ、
2)また、該照明ユニットCは照明ユニットBを最大出力点灯させた時点より遅く点灯をさせ、その点灯状態を保ち、該照明ユニットBを徐々に出力ダウンを開始させる時に照明ユニットCを消灯し、
3)該照明ユニットDは該照明ユニットCを点灯させた時点より遅く点灯させ、その点灯状態を保ち、該照明ユニットCを消灯する前に照明ユニットDを消灯する。
【請求項9】
前記保持装置に保持されたダイヤモンドに近接させダイヤモンドへの指向性の光を発する白色LED点光源eからなる第3の照明ユニットEを有し、該照明ユニットEは該照明ユニットDを点灯させた時点より遅く点灯させ、その点灯状態を保ち、該照明ユニットDを消灯するより前に照明ユニットEを消灯する、請求項乃至8のいずれかに記載のダイヤモンドの観察/撮像方法。
【請求項10】
前記光源コントローラーは、該保持ユニットと該第2の光源ユニットとを相対的に一方向に所定の速度で1回転させる間に、照明ユニットAは常時点灯させ、照明ユニットBは0秒から極微弱点灯させ徐々に出力アップをし、6秒目で最大出力で点灯させ、その後34秒目まで最大出力を維持し、その後34~40秒目の間徐々に出力ダウンをし、40秒経過後は極微弱点灯させ、照明ユニットCは8秒目で点灯をさせ、その後34秒目迄点灯状態を保ち、34秒目以降は消灯させ、、照明ユニットDは10秒目で点灯させ、その後31秒目迄点灯状態を保ち、その後31秒目以降は消灯させ、照明ユニットEは14秒目で点灯させ、その点灯状態を保ち、29秒目以降は消灯させるタイムテーブルで制御して発光させる、請求項9に記載のダイヤモンドの観察/撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カットされたダイヤモンドを撮像するダイヤモンドの観察/撮像装置に関する。撮像された画像は、静止画(スチル写真)や動画のデジタル画像としてPCや記録メディアに保存することができる。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンドの品質は、従来から世界的に4Cと呼ばれる言葉で表現されてきた。
(1)カラット 重さ、0.2gが1カラット。
(2)カット カットの良し悪しは、以下の5段階で評価される。
EXELLENT、VERY GOOD、GOOD、FAIR、POOR
(3)カラー 無色のダイヤモンドが最上とされ、帯緑黄色の色が濃くなると評価は下がっていく。D-E-F-G-H-I-J-K-L、---Z。
(4)クラリティー ダイヤモンドは地中で成長するときに周囲のマントル成分や微小ダイヤモンドを取り込み成長する。また、地表に噴火するときには高速で移動するため移動時に割れが発生することがある。このような割れが内包されたものより内包されていないものの方が高く評価される。FL-IF-VVS1-VVS2-VS1-VS2-SI1-SI2-I1-I2-I3まで11段階に評価。
この4C評価はダイヤモンドの希少性を評価するものであるが、直接的な美しさを表現するものではない。
【0003】
ダイヤモンドの希少性を表す4Cという評価法だけではなく、実際のダイヤモンドの美しさ・輝きを視覚化して評価する試みが行われている。ブリリアントカットされたダイヤモンドは、通常、頂部に形成された正多角形状の平坦なテーブル面と、このテーブル面から側方へ傾斜したカット面を備えたクラウン部と、このクラウン部から傾斜して狭まるカット面を備えたパビリオン部とを備えている。このようなダイヤモンドのカットの良否は、ファセットの角度、大きさと位置、シンメトリー、プロポーションなどの良否により、ダイヤモンドの輝きに大きな影響を及ぼす。
【0004】
研磨したダイヤモンドに光が入ると、屈折反射を通して光がダイヤモンドから放射されることにより、以下のダイヤモンドの輝きが生ずる。
(1)ブリリアンシー
ダイヤモンドの内部に入った光が屈折を経てそのまま上部へ反射し、強く白く輝くダイヤモンド独自の美しい輝きを生ずる。これをブリリアンシーと呼ぶ。
(2)シンチレーション
ダイヤモンドのクラウン側及びパビリオン側のファセットに当たった光が、キラキラとする星の輝きに似た、きらめきの強い光を発生する。
(3)ディスパージョン
ダイヤモンド内部に入った光が、屈折を繰り返す中で それぞれのベクトルへ分解され、プリズム効果のように様々な色へ変化し、虹色に輝く色彩豊かな光を与える。
(4)ダイヤモンド光沢
ダイヤモンドの高い屈折率と鏡面研磨により強い光沢が得られる。
【0005】
従来、実際のダイヤモンドの美しさ・輝きを視覚化して評価するために、ダイヤモンド保持部と、この保持部の上方から前記ダイヤモンドを照明するための光源部と、この光源部の上部から前記ダイヤモンドからの屈折反射模様を観察するための観察部とを備えているダイヤモンド評価装置が提案されており、前記光源部として、周方向に間隔をおいて配置され、かつ指向性の光を発する複数の点光源で構成されたリング状光源部を採用し、前記保持部とリング状光源部とを相対的に回転可能とし、上部が狭まって開口し、ダイヤモンドの周囲を囲んで配置可能な透光性キャップを備え、かつこの透光性キャップが、縦方向に隣接して又は間隔をおいて、周方向に延び、色相の異なる複数の着色帯を備え、透光性キャップが回動可能なアームを介して、ダイヤモンドを囲繞可能にしたものが提案されている。
【0006】
しかしながら、透光性キャップは回動可能なアームを介して、ダイヤモンドを囲繞可能とされるので繁雑であり、また着色光は光源部の複数の点光源から発生される光が透光性キャップの色相の異なる複数の着色帯を通過する際に得られるので強度的に弱く、またその強度を調整することもできず、ブリリアンシー、シンチレーション、ディスパージョン、ダイヤモンド光沢を調整することができないので得られる屈折反射模様の明瞭さは十分とは言えなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5798229号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ブリリアンシー、シンチレーション、ディスパージョン、ダイヤモンド光沢とからなるダイヤモンドの輝きを視覚的に明確にとらえることができるダイヤモンドの観察/撮像装置及びダイヤモンドの観察/撮像方法を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、光源からの照明光の照射タイミングを調整可能とし、
ブリリアンシー、シンチレーション、ディスパージョン、ダイヤモンド光沢からなるダイヤモンドの輝きを視覚的に明確に観察/撮像を可能とするダイヤモンドの観察/撮像装置を提供する。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、可動部分が少なく簡単な構成かつ小型でコンパクトで、ダイヤモンドの輝きを視覚的に明確に捉えることができるダイヤモンドの観察/撮像装置及びダイヤモンドの観察/撮像方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、以下の発明に到達した。
(請求項1)
ダイヤモンドを載置又は保持可能な保持ユニットと、この保持ユニットの上方から前記ダイヤモンドを照明するための環状の光源ユニットと、該光源ユニットをコントロールする光源ユニットコントローラーと、該光源ユニットの上方に上下動可能に載置され前記ダイヤモンドからの光の屈折反射パターンを観察/撮像するための観察/撮像ユニットとを備えているダイヤモンドの観察/撮像装置であって、
前記光源ユニットが中央部に縦方向の貫通口を有し貫通口を除いた上部が閉じられ内周面に周方向に間隔を置いて配置され複数の点光源a群で構成された第1の照明ユニットAと、該第1の照明ユニットAの下方に配置され中央部に縦方向の貫通口を有し内周面に周方向に間隔を置いて配置され指向性の光を発する複数の点光源b群、c群、d群でそれぞれ構成された第2の照明ユニットB、C、Dとからなり、
該第1の照明ユニットAの点光源aは白色LEDからなり該第1の照明ユニットAにより白色拡散光を発生し、該白色拡散光は第2の照明ユニットの貫通口を介して下方に照射され、第2の照明ユニットB、C、Dは、同心円状に配置され指向性の光を発する複数の白色LED点光源b群の該照明ユニットBと、それぞれ該点光源b群と同心円周状に間隔をおいて配置され指向性の光を発する複数のRGB-LED点光源c群の照明ユニットC,RGB-LED点光源d群の照明ユニットDを有し、
該第1と第2の照明ユニットの該貫通口には該観察/撮像ユニットが挿入離脱可能とされ、
該保持ユニットと該第2の光源ユニットとが相対的に回転可能とされ、
該光源コントローラーは、該照明ユニットA、照明ユニットB、照明ユニットC、照明ユニットDを以下通りとなるようにそれぞれの照明タイミング、照明時間、照明強度を制御するように構成されている、ダイヤモンドの観察/撮像装置であって、
該保持ユニットと該第2の光源ユニットとを相対的に一方向に所定の速度で1回転させる間に、ブリリアンシー、シンチレーション、ディスパージョン、ダイヤモンド光沢とからなるダイヤモンドの輝きを視覚的に明確にとらえることを可能とするダイヤモンドの観察/撮像装置
【0012】
(請求項2)
前記光源コントローラーは、前記照明ユニットA、照明ユニットB、照明ユニットC、照明ユニットDを以下の1)、2)、3)の通り制御するように構成されている、請求項1に記載のダイヤモンドの観察/撮像装置。
1)該保持ユニットと該第2の光源ユニットとを相対的に一方向に所定の速度で1回転させる間に、該照明ユニットAは該回転中に常時点灯させ、該照明ユニットBは初めに極微弱点灯させ徐々に出力アップをし最大出力まで点灯させその後最大出力を維持し、その後徐々に出力ダウンをし、極微弱点灯させ、
2)また、該照明ユニットCは照明ユニットBを最大出力点灯させた時点より遅く点灯をさせ、その点灯状態を保ち、該点照明ユニットBを徐々に出力ダウンを開始させる時に照明ユニットCを消灯し、
3)該照明ユニットDは該照明ユニットCを点灯させた時点より遅く点灯させ、その点灯状態を保ち、該照明ユニットCを消灯する前に照明ユニットDを消灯する。
【0013】
(請求項3)
前記光源ユニットが、前記保持装置に保持されたダイヤモンドに近接させダイヤモンドへの指向性の光を発する白色LED点光源eからなる第3の照明ユニットEを有し、該照明ユニットEは該照明ユニットDを点灯させた時点より遅く点灯させ、その点灯状態を保ち、該照明ユニットDを消灯するより前に点照明ユニットEを消灯する、請求項1又は2に記載のダイヤモンドの観察/撮像装置。
(請求項4)
前記光源コントローラーは、該保持ユニットと該第2の光源ユニットとを相対的に一方向に所定の速度で1回転させる間に、照明ユニットAは常時点灯させ、照明ユニットBは0秒から極微弱点灯させ徐々に出力アップをし、6秒目で最大出力で点灯させ、その後34秒目まで最大出力を維持し、その後34~40秒目の間徐々に出力ダウンをし、40秒経過後は極微弱点灯させ、照明ユニットCは8秒目で点灯をさせ、その後34秒目迄点灯状態を保ち、34秒目以降は消灯させ、、照明ユニットDは10秒目で点灯させ、その後31秒目迄点灯状態を保ち、その後31秒目以降は消灯させ、照明ユニットEは14秒目で点灯させ、その点灯状態を保ち、29秒目以降は消灯させるタイムテーブルで制御して発光させる、請求項3に記載のダイヤモンドの観察/撮像装置。
【0014】
(請求項5)
前記第2の照明ユニットにおいて、前記白色LED点光源b群が2段に設けられ,第1の白色LED点光源b群、前記RGB-LED点光源c群及びRGB-LED点光源d群、第2の白色LED点光源b群を順次内側から外側に同心円状で円周方向に配列されている、請求項1乃至4のいずれかに記載のダイヤモンドの観察/撮像装置。
(請求項6)
前記ダイヤモンドの観察/撮像装置がさらに、該ダイヤモンドの観察/撮像装置を内包し、ダイヤモンドの観察/撮像装置が挿脱可能な開閉蓋つきケーシングを有する、請求項1乃至5のいずれかに記載のダイヤモンドの観察/撮像装置。
【0015】
(請求項7)
ダイヤモンドを保持ユニットで保持し、この保持ユニットの上方から前記ダイヤモンドを照明し、ダイヤモンドと照明ユニットを相対的に回転する際に、該照明ユニットに対して上下動可能に載置され前記ダイヤモンドからの光の屈折反射パターンを観察/撮像するためのダイヤモンドの観察/撮像方法であって、
周方向に間隔をあけて配置され下方に指向性のある拡散光を発する複数の白色LED点光源a群からなる第1の照明ユニットAと、第1の照明ユニットの下方に配置された第2の照明ユニットB、C、Dが設けられ、該第2の照明ユニットB、C、Dはそれぞれ周方向に間隔をおいて配置され下方に指向性の光を発する複数の白色LED点光源b群と、該周方向に配列した点光源b群と同心円周状に各々間隔をおいて配置され指向性の光を発する複数のRGB-LED点光源c群,複数のRGB-LED点光源d群とから形成され、以下の通り発光を制御して、ダイヤモンドを観察/撮像するダイヤモンドの観察/撮像方法
であって、
該保持ユニットと該第2の光源ユニットとが相対的に回転し、
該光源コントローラーは、該照明ユニットA、照明ユニットB、照明ユニットC、照明ユニットDをそれぞれの照明タイミング、照明時間、照明強度を制御することによって、該保持ユニットと該第2の光源ユニットとを相対的に一方向に所定の速度で1回転させる間に、ブリリアンシー、シンチレーション、ディスパージョン、ダイヤモンド光沢とからなるダイヤモンドの輝きを視覚的に明確にとらえることを可能とするダイヤモンドの観察/撮像方法

(請求項8)
前記照明ユニットA、照明ユニットB、照明ユニットC、照明ユニットDを以下の1)、2)、3)の通り制御して発光させる、請求項7に記載のダイヤモンドの観察/撮像方法。
1)該保持ユニットと該第2の光源ユニットとを相対的に一方向に所定の速度で1回転させる間に、該照明ユニットAは回転中に常時点灯させ、該照明ユニットBは初めに極微弱点灯させ徐々に出力アップをし最大出力まで点灯させその後最大出力を維持し、その後徐々に出力ダウンをし、極微弱点灯させ、
2)また、該照明ユニットCは照明ユニットBを最大出力点灯させた時点より遅く点灯をさせ、その点灯状態を保ち、該照明ユニットBを徐々に出力ダウンを開始させる時に照明ユニットCを消灯し、
3)該照明ユニットDは該照明ユニットCを点灯させた時点より遅く点灯させ、その点灯状態を保ち、該照明ユニットCを消灯する前に照明ユニットDを消灯する。
【0016】
(請求項9)
前記保持装置に保持されたダイヤモンドに近接させダイヤモンドへの指向性の光を発する白色LED点光源eからなる第3の照明ユニットEを有し、該照明ユニットEは該照明ユニットDを点灯させた時点より遅く点灯させ、その点灯状態を保ち、該照明ユニットDを消灯するより前に照明ユニットEを消灯する、請求項6乃至8のいずれかに記載のダイヤモンドの観察/撮像方法。
(請求項10)
前記光源コントローラーは、該保持ユニットと該第2の光源ユニットとを相対的に一方向に所定の速度で1回転させる間に、照明ユニットAは常時点灯させ、照明ユニットBは0秒から極微弱点灯させ徐々に出力アップをし、6秒目で最大出力で点灯させ、その後34秒目まで最大出力を維持し、その後34~40秒目の間徐々に出力ダウンをし、40秒経過後は極微弱点灯させ、照明ユニットCは8秒目で点灯をさせ、その後34秒目迄点灯状態を保ち、34秒目以降は消灯させ、、照明ユニットDは10秒目で点灯させ、その後31秒目迄点灯状態を保ち、その後31秒目以降は消灯させ、照明ユニットEは14秒目で点灯させ、その点灯状態を保ち、29秒目以降は消灯させるタイムテーブルで制御して発光させる、請求項9に記載のダイヤモンドの観察/撮像方法
【発明の効果】
【0017】
本発明のダイヤモンドの観察/撮像装置及び観察/撮像方法では、ダイヤモンドと第2の照明ユニットが相対的に回転する間に、ブリリアンシー、シンチレーション、ディスパージョン、ダイヤモンド光沢とからなるダイヤモンドの輝きを視覚的かつ明確にとらえることができる。
【0018】
また、本発明のダイヤモンドの観察/撮像装置及び観察/撮像方法では、光源からの照明光の照明タイミングを調整可能とし、ブリリアンシー、シンチレーション、ディスパージョン、ダイヤモンド光沢からなるダイヤモンドの輝きを視覚的に明確に観察/撮像することが可能となる。
【0019】
さらに、本発明のダイヤモンドの観察/撮像装置及び観察/撮像方法では、可動部分を少なく簡単な構成で小型化コンパクトで、ダイヤモンドの輝きを視覚的に明確にとらえることができる。
【0020】
上記方法で、ダイヤモンドの動画を撮影し、クラウドサーバーの動画ファイルに保存し個別の管理番号(ID番号)を付け、保存場所のURLをQRコード(登録商標)(登録商標)化し、顧客へID番号、パスワードを知らせることによって顧客がQRコード(登録商標)からダイヤモンドの動画をダウンロードしてみることができる。
また、該保存場所のURLをQRコード(登録商標)へ変換し、個別のダイヤモンドのレポートへプリントして顧客へ提供することができる。顧客はレポートのQRコード(登録商標)をスマートフォン等で読み込むことで、手元のダイヤモンドの輝きの動画を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施例に係るダイヤモンドの観察/撮像装置の模式図である。
図2】第1の実施例に係るダイヤモンドの観察/撮像装置の第1の照明ユニットを示し、(a)は上部構造を示し、(b)は側面構造を示し、(c)は下部構造の拡大断面図を示す。
図3】第1の実施例に係るダイヤモンドの観察/撮像装置の第2の照明ユニットを示し、(a)は下から見た図を示し、(b)はその一部拡大図である。
図4】1回転させる間に、光源コントローラーが照明ユニットA,B,C,D,Eを制御する制御内容を示すコントロールテーブルである。
図5】照明ユニットA,B,C,D,Eを順次点灯・消灯させて得られるダイヤモンドの屈折反射像であり、(a)は点光源A群の点灯により得られるハート&キューピット像であり、(b)は照明ユニットA及びBの点灯によって得られるシンチレーション像を示し、(c)は照明ユニットCの点灯により生じた虹色の光の屈折反射像(ディスパージョン)を示し、(d)は更に照明ユニットDを点灯して生じた強いディスパージョン像を示す。
図6】第1の実施例に係るダイヤモンドの観察/撮像装置において、ダイヤモンドDMを40秒/回転で第2の照明ユニットに対して回転した際に得られた画像で、それぞれ0秒経過時、7秒経過時、8秒経過時、10秒経過時、14秒経過時、24秒経過時、30秒経過時、35秒経過時、39秒経過時の画像を右から左、上から下に順に示す。
図7】第2の実施例に係るダイヤモンドの観察/撮像装置を示す。
図8】第2の実施例に係るダイヤモンドの観察/撮像装置の第2の照明ユニットを示し、(a)は回転本体を示し、(b)は点光源B、C、Dの配置構造を示し、(c)は断面で見た回転本体の回転構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明を図面を参照して説明する。これらの実施例は本発明を説明するための例示的な例であって、本発明をこれらのものに限定するものではなく、特許請求の範囲の文言に包含される構成は全て本発明に含まれると解さなければならない。
【0023】
図1は、第1のダイヤモンドの観察/撮像装置を示す。本実施例では、ダイヤモンド保持装置1が回転し、光源ユニット6は固定されている。
図1において、ターンテーブル1にはXYステージ2が載せられ、XYステージ2はターンテーブルの上面に対してXY方向に移動可能となっていて、ダイヤモンドと撮像ユニット8の位置合わせをするようになっている。XYステージ2上にはダイヤモンドDMをセットするダイヤモンドセットステージ3が載せられ、ダイヤモンドDMのキューレット部はダイヤモンドセットステージ3の上部に設けた断面V字状のくぼみに保持されるようになっている。ターンテーブル1は、ダイヤモンドの輝きのブリリアンシー、シンチレーション、ディスパージョン現象がはっきりと際立って見られ、それらの現象が視覚的に明確にスムーズに観察できるような回転数、例えば40秒/回転の速さで回転される。
【0024】
ターンテーブル1の近傍には支柱ポール5が立設され、支柱ポール5の所定の位置には、保持ユニット3上のダイヤモンドDMを上方から照射するための光源ユニット6が設置されている。前記光源ユニット6は、第1の照明ユニット6aと第2の照明ユニット6bとからなり、第1の照明ユニット6aと第2の照明ユニット6bは支柱ポール5の所定の高さに装着されている。また、光源ユニットの上方には上下動可能な撮像ユニット8が支柱5に装着されている。因みに、第1の照明ユニット6aの指示ポール5への装着高さを110mm、撮像ユニット8の可動範囲を50mmと設定することができる。
図2は中央部に縦方向の貫通口を有する第1の光源ユニット6aの構造を示し、貫通口を除いた上部が閉じられている。(a)は上部構造の平面図、(b)は側面図、(c)は下部構造の断面側面図である。図2(c)の断面図に示すように、多数の点光源aは第1の光源ユニット6aの下部構造のドーム状の湾局面に周方向でかつ多段に渡って配置され、点光源aは白色拡散板でおおわれている。点光源aは、青色LEDと黄色蛍光体の組み合わせた構造を有し、照明ユニットAでは点光源aの前面に乳白色のアクリル板を配置し、白色拡散光を下方に発生するようになっている。この構造のものは市販されているので、詳細な説明は省略する。
【0025】
第2の照明ユニット6bは、第1の照明ユニット6aの下方に配置され中央部に縦方向の貫通口を有する。図3(a)、(b)に示すように、第2の照明ユニット6bの下面には、周方向に間隔を置いて配置され指向性の光を発する多数の点光源bからなる照明ユニット(点光源b群)B、同じく多数の点光源cからなる照明ユニット(点光源c群)C、多数の点光源dからなる照明ユニット(点光源d群)Dを有する。第1及び第2の照明ユニット6a、6bには照明ユニットA、照明ユニットB、照明ユニットC、照明ユニットDをコントロールする光源コントローラー7が接続されている。
【0026】
照明ユニットB、C、D、Eには白色拡散板を設けず、LED点光源b、c、d、eから発光される光をそのままダイヤモンドに照射している。なお、光量を低減するために照明ユニットC、Dはひとつ置きにアルミ製遮蔽版によって被覆している。例えば、ダイヤモンド表面での明るさは、照明ユニットAは4380ルックス、照明ユニットBは13200ルックス、照明Cは4040ルックス、照明Dは3940ルックス、照明ユニットEは3900ルックスとする。
第1及び第2の照明ユニット6a、6bの貫通口には、支柱ポール5に沿って上下に移動可能とされた撮像ユニット8が挿入・離脱可能とされ、ターンテーブル1によってダイヤモンドセットステージ3上のダイヤモンドDMを光源ユニット6に対して回転する間に、ダイヤモンドからの屈折反射光により作られる像を観測/撮像することができるようになっている。
【0027】
第2の照明ユニット6bの下面に取り付け周方向に配置した点光源b群、点光源c群,点光源d群の環状配列構造を図3(a)、(b)に示す。本実施例では、点光源群Bは最内周と最外周の2列設けられている。図3において、(b)は(a)の一部拡大図である。図3に示すように、内側から外側に向かって最内側の第1のLED点光源bの円周列、中間の2列のLED点光源c/dの円周列、第2の最外側のLED点光源b群とからなっている。点光源c/dの各円周列は点光源cと点光源dとが交互に配置され、中間の2列の点光源列は互いにずらされ点光源cと点光源dとが対向するように配置されている。
【0028】
本実施例では、図1に示す通り、光源ユニット6はさらに、保持装置3に保持されたダイヤモンドDMに近接させダイヤモンドへの指向性の光を発する白色LED点光源eからなる第3の照明ユニットEを有する。白色LED点光源eは、点光源aと同様の白色点光源である。
【0029】
照明ユニットは、(1)照明のタイミング、(2)照明の強さ、(3)照明の時間をコントロールされる。例えば、該光源コントローラーは、該照明ユニットA、B、C、Dを以下の1)、2)、3)の通り制御するように構成されている。
1)該保持ユニットを該第2の光源ユニットに対して1回転させる間に、に照明ユニットAは常時点灯させ、照明ユニットBは極微弱点灯させ徐々に出力アップをし最大出力まで点灯させその後最大出力を維持し、その後徐々に出力ダウンをし、極微弱点灯させ、但し照明ユニットBを照明ユニットAに先立って徐々に出力ダウンさせ、
2)また、照明ユニットCは照明ユニットBが最大出力点灯させた時点より遅く点灯をさせ、その点灯状態を保ち、該点照明ユニットBを徐々に出力ダウンを開始させる時に照明ユニットCを消灯し、
3)照明ユニットDは照明ユニットCを点灯させた時点より遅く点灯させ、その点灯状態を保ち、照明ユニットCを消灯する前に照明ユニットDを消灯する。
4)照明ユニットEを更に設ける場合には、照明ユニットEは照明ユニットDの点灯に遅れて点灯させ、照明ユニットDの消灯に先立ち消灯させる。
【0030】
さらに、第4図に示すタイムテーブルで照明ユニットをコントロールすることも可能である。
(1)この例では、照明ユニットAは最初から最後まで点灯させておく。照明ユニットAで生じる光の効果をキューピッド効果と呼び、ダイヤモンド業界ではダイヤモンドの研磨のよしあし(形のよしあし)を判断する基準となっているので、この光学効果を映像の最初から最後まで表示しておくことは重要である。
(2)照明ユニットBは照明ユニットAで生じているキューピッド効果にダイヤモンドの美しさを決定づけるブリリアンシー効果とシンチレーション効果を徐々に重ねることでその美しさを際立たせる。
【0031】
(3)照明ユニットCと照明ユニットDは照明ユニットAによるキューピッド効果、照明ユニットBによるブリリアンシー効果とシンチレーション効果に加えて虹色の光(ディスパージョン)を段階的に重ねることにより、より一層虹色の光学効果を看者に印象付けすることができる。
なお、1回転を40秒とする場合を図4に示したが、例えば1回転を30秒45秒あるいは60秒とした場合には、図4に示すタイミングを比例増減してセットすることもできる。なお、ターンテーブルは、可変モーターで稼働させることができる。
【0032】
照明ユニットA、B,C,D,Eは、以下の役割をします。図5参照。
(1)照明ユニットAの役割
照明ユニットAはダイヤモンドを正面から観察したときに見える8本の矢の形状をした白い光を出すための光源である。ダイヤモンドは58面の平らな面(ファセット)で構成されている。ダイヤモンドに入射した光は内部で屈折反射を繰り返し、ダイヤモンド表面から出射する。この時出射される光の形状は反射するファセットの形状となる。
この光が複数集まり、あたかも「矢のような模様」に見えたり、「ハートのような模様」に見えたりする。ダイヤモンド業界では「ハート&キューピッド」と呼び高く評価され、照明ユニットAはこのハート&キューピッド模様を出すために設置している。図5(a)参照。
【0033】
(2)照明ユニットBの役割
ダイヤモンドに入射した無色光はダイヤモンド内で屈折反射を繰り返し、ダイヤモンドから白色光として出射される。この時、反射される白色光が2つ以上重なって放射される場合がある。この2つ以上重なって放射される白色光が、 あたかも星の瞬きに似ていることからシンチレーションと呼ばれている。図5(b)参照。ダイヤモンドの美しさを構成する大事な光の効果である。照明ユニットの役割はダイヤモンドにブリリアンシー効果に加えシンチレーション効果を生じさせる。
【0034】
(3)照明ユニットC、照明ユニットDの役割
照明ユニットC、照明ユニットDはダイヤモンドから虹色の光(ディスパーションと呼ばれる光の効果)を引き出すために設置している。点光源c、d群はRGBタイプのLEDで、この光でダイヤモンドを照射すると、ダイヤモンドから虹色の光(ディスパーション)が放射される。図5(c)(d)参照。
最初は照明ユニットCを点灯し、ダイヤモンドにディスパージョンを与え(図5(c))、次いで照明ユニットDを点灯するとより強くディスパージョンが生じる(図5(d))。
【0035】
(4)照明ユニットEの役割
照明ユニットBでシンチレーションを放射させているが、点光源eはダイヤモンドにより近い位置で指向性のある光を照明することにより、より強いシンチレーション効果を発生させることができる。
本発明に係るダイヤモンドの観察/撮像装置という場合、レンズを通してダイヤモンドの輝きを目視観察することもできる装置を含み、また静止画像あるいは動画を撮影し記録媒体あるいはPCに録画するものも含む。
【0036】
図7は、本発明の第2の実施例に係るダイヤモンドの観察/撮像装置を示す。本実施例では、ターンテーブルは設けずダイヤモンド保持装置は固定する一方、第2の光源ユニットを回転可能としている点を除けば第1の実施例のものと同じである。従って、同一部分については、同じ番号を付け説明を原則省略する。本実施例では、光源ユニットは第1の照明ユニット6aと第2の照明ユニット6dと第3の照明ユニットEとからなり、第1の実施例の第2の照明ユニット6bに代えて第2の照明ユニット6dを採用している。
【0037】
図7に示すように、第2の照明ユニット6dは、中央部にカメラが挿入離脱可能な縦の貫通口を有する中空の回転本体6d-1と、回転本体6d-1の下面の環状の照明ユニットB、照明ユニットC、照明ユニットDからなる照明ユニット6d-2を含む。環状の照明ユニット6d-2は、同心円状に配置され指向性の光を発する多数の白色LED点光源b群2列と、2列の点光源b群の間に同心円周状に間隔をおいて配置され指向性の光を発する点光源cと,同じく同心円周状に間隔をおいて配置され指向性の光を発する点光源d群とを有し、照明ユニットB、C、Dは図3(a)、(b)に示す構成と同様の構成を取る。
【0038】
図7(c)に示すように、回転体6d-1の下方には仕切り板6d-3が設けられ、仕切り板6d-3の下には環状のラックギヤ6d-4が設けられ、ラックギヤ6d-4には歯車ギア6d-5が噛合しており、歯車ギア6d-5には減速装置(図示せず)を介して仕切り板6d-3に取り付けた可変モータ6d-6の回転軸が装着されており、歯車ギア6d-5は減速装置(図示せず)を介してモータ6d-6によって回転し照明ユニットB、C、Dからなる環状の光源ユニット6d-2を回転可能としている。第2の照明ユニット6dをダイヤモンドに対して回転させるが、照明ユニットA、B、C、D、Eの役割、効果については前述のものと同様であるので、説明は省略する。
【0039】
なお、例えば、本発明に係るダイヤモンドの観察/撮像装置の高さは全長で160~200mm程度、全幅は80~100mm程度とすることができるので、ダイヤモンドの設置や部品の交換のための開閉自在なドアを設けた開閉扉つきケーシング内にイヤモンドの観察/撮像装置を収め、必要に応じてダイヤモンドの観察/撮像装置をケーシングから脱着可能とすることもできる。
【0040】
上記方法で、ダイヤモンドの動画を撮影し、クラウドサーバーの動画ファイルに保存し個別の管理番号(ID番号)を付け、保存場所のURLをQRコード(登録商標)化し、顧客へID番号、パスワードを知らせることによって顧客がQRコード(登録商標)からダイヤモンドの動画をダウンロードしてみることができる。
また、該保存場所のURLをQRコード(登録商標)へ変換し、個別のダイヤモンドのレポートへプリントして顧客へ提供することができる。顧客はレポートのQRコード(登録商標)をスマートフォン等で読み込むことで、手元のダイヤモンドの輝きの動画を確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
カットしたダイヤモンドのブリリアンシー、シンチレーション、ディスパージョン、ダイヤモンド光沢からなるダイヤモンドの輝きを視覚的に明確に観察/撮像することが可能となり、ダイヤモンドの評価をするのに役立ち、また、顧客は購入したカットダイヤモンドを撮像した動画を随時確認することが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
1 ターンテーブル
2 XYステージ
3 ダイヤモンドセットステージ
5 支柱ポール
6 光源ユニット
6a 第1の照明ユニット、 6b 第2の照明ユニット
6c 第3の照明ユニット、 6d 第2の照明ユニット
6d-1 回転本体、 6d-2 第2の照明ユニット
6d-3 仕切り板、6d-4 環状のラックギヤ
6d-5 歯車ギヤ、6d-6 可変モータ
7 光源コントローラー
8 観察/撮像ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8