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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】冷却庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/14 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
F25D21/14 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020107269
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2022001820
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年2月12日ないし2月14日に幕張メッセにおいて開催されたスーパーマーケットトレードショー2020で展示
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年2月18日ないし2月21日に幕張メッセにおいて開催された国際ホテル・レストラン・ショーHCJ2020で展示
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年2月4日ないし6月22日に新規性喪失の例外証明書の別紙に記載された場所に販売
(73)【特許権者】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 真吾
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓真
(72)【発明者】
【氏名】大林 奨
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-072645(JP,A)
【文献】特開2007-271158(JP,A)
【文献】特開2012-137258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
F24F 13/22
E03C 1/12
E03C 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却庫本体が、冷却室(1)と、冷却室(1)の左右いずれかの一側に設けられた冷却ユニット(2)を収容する機器室(3)とを備え、
冷却ユニット(2)が、凝縮機器(2A)と、蒸発機器(2B)と、両機器(2A・2B)を支持するユニットベース(12)とを含み、
冷却ユニット(2)が、機器室(3)内に収容される後方側の運転位置と、機器室(3)から引き出される前方側のメンテナンス位置との間で、前後方向に出し入れ操作可能に案内支持されている冷却庫において、
蒸発機器(2B)は、冷却室(1)内を冷却する蒸発器(19)と、蒸発器(19)の下方に配されたドレンパン(28)とを含み、
ドレンパン(28)と、冷却庫本体の底部に設けた排水トラップ(8)との間に、ドレンパン(28)に流下したドレン水を排出する排水構造が設けられており、
排水構造は、ドレンパン(28)から導出される内ドレンホース(29)と、機器室(3)の底壁(3a)から庫外へ導出されて排水トラップ(8)に接続される外ドレンホース(30)と、内ドレンホース(29)の導出端に接続される排水ソケット(31)と、機器室(3)の底壁(3a)に固定されて外ドレンホース(30)が接続される排水受(32)とを含み、
内ドレンホース(29)と排水ソケット(31)は、冷却ユニット(2)の前後方向の出し入れ操作に連動して移動するように構成されており、
排水ソケット(31)と排水受(32)との間に、機器室(3)に対して冷却ユニット(2)をメンテナンス位置に向かって引き出したとき両者(31・32)の分離を許すとともに、機器室(3)に対して冷却ユニット(2)を運転位置まで収容したとき両者(31・32)を水密状に連結するジョイント構造が形成されており、
排水ソケット(31)は、内ドレンホース(29)が接続される継手部(34)と、継手部(34)に連続して後向きに連出される筒状の出口通路(36)と、出口通路(36)の周囲に張出し形成されるフランジ部(37)とを備え、
排水受(32)は、機器室(3)の底壁(3a)に埋設状に固定されて上下方向に指向する下部通路(44)と、底壁(3a)よりも上方に配置されて下部通路(44)から前向きに連出される筒壁状の受水部(45)とを備え、
出口通路(36)が後方に向かって下り傾斜されており、
ユニットベース(12)の出し入れ方向である前後方向と直交する投影面を想定するとき、フランジ部(37)から後方に突出する出口通路(36)の投影面における投影形状は、受水部(45)の投影面における開口内縁の投影形状の外郭線内に位置するように構成されており、
冷却ユニット(2)を後方側の運転位置にまで収容したとき、出口通路(36)が受水部(45)の内部に挿入されるとともに、フランジ部(37)が受水部(45)の開口端で受け止められて、受水部(45)と出口通路(36)との間が水密状に封止され、冷却ユニット(2)が前方側のメンテナンス位置に向かって引き出されるとき、排水ソケット(31)が冷却ユニット(2)に同行して移動し、出口通路(36)およびフランジ部(37)が受水部(45)から分離するように構成されていることを特徴とする冷却庫。
【請求項2】
排水ソケット(31)のフランジ部(37)と排水受(32)の受水部(45)の開口縁との間にシール体(40)が配置されている、請求項1に記載の冷却庫。
【請求項3】
排水ソケット(31)のフランジ部(37)の上部が継手部(34)と一体化され、フランジ部(37)の下部に連続して水平の締結座(38)が形成されており、
締結座(38)がユニットベース(12)に固定されている、請求項1又は2に記載の冷却庫。
【請求項4】
出口通路(36)の後端に形成された出口(39)の開口面が、後方に向かって下り傾斜されており、
冷却ユニット(2)が後方側の運転位置にあるとき、受水部(45)の内部に収容されている出口通路(36)の出口(39)の後端が、下部通路(44)の上開口の上方に臨むように構成されている、請求項1から3のいずれかひとつに記載の冷却庫
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器室の内部で発生したドレン水を庫外へ排水するための排水構造を備える冷却庫に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の排水構造を備える冷却庫は、例えば本出願人の提案に係る特許文献1に開示されている。特許文献1の冷却庫の排水構造は、庫内のドレンパンと、庫外に導出されるドレン管と、ドレンパンに接続された排水トラップと、ドレン管が接続される水受体などで構成される。排水トラップの内部には、外気や庫内の冷気、あるいは庫内に臭気が出入りするのを防ぐ必要からドレン水が貯留されている。排水トラップの出口開口と水受体の上開口とは、数mmの隙間を介して上下に対向している。そのため、メンテナンス時には、凝縮器や蒸発器などを備える冷却ユニット(冷凍機器)を、支障なく機器室から引き出すことができる。つまり、特許文献1の排水構造では、メンテナンス時に冷却ユニットを機器室(機械室)から引き出すと、当該冷却ユニットとともに排水トラップが機器室から引き出されるようになっている。また、メンテナンス時に冷却ユニットを機器室から引き出すと、排水トラップの出口開口と水受体の上開口との間で、排水流路が2分割されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-247138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の冷却庫では、排水流路の分割部分よりもドレンパン側(上流側)に排水トラップは配置されている。このため、分割部分から排水流路内に外気が侵入し、或いは臭気が侵入したときにも、排水トラップにより、これら外気や臭気がドレンパンに至ることを防ぐことができる。しかし、特許文献1の冷却庫では、メンテナンス時に冷凍機器(冷却ユニット)を機器室から引き出す際に、冷凍機器に衝撃が加えられる、或いは冷凍機器が後傾姿勢になると、排水トラップ内のドレン水が出口開口から漏れ出るおそれがある。また、特許文献1の冷却庫では、通常の運転時において、排水トラップの出口開口から勢い良く吐出されたドレン水が、水受体の上開口で受け止められず、ドレン水が排水流路から漏れ出るおそれもある。
【0005】
本発明は、メンテナンス時に機器室から冷却ユニットを引き出すことができるように構成された冷却庫において、冷却ユニットを引き出し操作したときにも排水トラップ内のドレン水が漏れ出すことはなく、しかも運転時に排水流路の分離部分から水漏れや臭気戻りが発生することを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、冷却庫本体が、冷却室1と、冷却室1の左右いずれかの一側に設けられた冷却ユニット2を収容する機器室3とを備え、冷却ユニット2が、凝縮機器2Aと、蒸発機器2Bと、両機器2A・2Bを支持するユニットベース12とを含み、冷却ユニット2が、機器室3内に収容される後方側の運転位置と、機器室3から引き出される前方側のメンテナンス位置との間で、前後方向に出し入れ操作可能に案内支持されている冷却庫を対象とする。蒸発機器2Bは、冷却室1内を冷却する蒸発器19と、蒸発器19の下方に配されたドレンパン28とを含む。ドレンパン28と、冷却庫本体の底部に設けた排水トラップ8との間に、ドレンパン28に流下したドレン水を排出する排水構造が設けられている。排水構造は、ドレンパン28から導出される内ドレンホース29と、機器室3の底壁3aから庫外へ導出されて排水トラップ8に接続される外ドレンホース30と、内ドレンホース29の導出端に接続される排水ソケット31と、機器室3の底壁3aに固定されて外ドレンホース30が接続される排水受32とを含む。内ドレンホース29と排水ソケット31は、冷却ユニット2の前後方向の出し入れ操作に連動して移動するように構成されている。そして、排水ソケット31と排水受32との間に、機器室3に対して冷却ユニット2をメンテナンス位置に向かって引き出したとき両者31・32の分離を許すとともに、機器室3に対して冷却ユニット2を運転位置まで収容したとき両者31・32を水密状に連結するジョイント構造が形成されていることを特徴とする。
【0007】
排水ソケット31は、内ドレンホース29が接続される継手部34と、継手部34に連続して後向きに連出される筒状の出口通路36と、出口通路36の周囲に張出し形成されるフランジ部37とを備える。排水受32は、機器室3の底壁3aに埋設状に固定されて上下方向に指向する下部通路44と、底壁3aよりも上方に配置されて下部通路44から前向きに連出される筒壁状の受水部45とを備える。出口通路36は後方に向かって下り傾斜されている。ユニットベース12の出し入れ方向である前後方向と直交する投影面を想定するとき、フランジ部37から後方に突出する出口通路36の投影面における投影形状は、受水部45の投影面における開口内縁の投影形状の外郭線内に位置するように構成されている。そして、冷却ユニット2を後方側の運転位置にまで収容したとき、出口通路36が受水部45の内部に挿入されるとともに、フランジ部37が受水部45の開口端で受け止められて、受水部45と出口通路36との間が水密状に封止され、冷却ユニット2が前方側のメンテナンス位置に向かって引き出されるとき、排水ソケット31が冷却ユニット2に同行して移動し、出口通路36およびフランジ部37が受水部45から分離するように構成されている。
【0008】
排水ソケット31のフランジ部37と排水受32の受水部45の開口縁との間にシール体40が配置されている。
【0009】
排水ソケット31のフランジ部37の上部が継手部34と一体化され、フランジ部37の下部に連続して水平の締結座38が形成されており、締結座38がユニットベース12に固定されている。
【0010】
出口通路36の後端に形成された出口39の開口面が、後方に向かって下り傾斜されており、冷却ユニット2が後方側の運転位置にあるとき、受水部45の内部に収容されている出口通路36の出口39の後端が、下部通路44の上開口の上方に臨むように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る冷却庫においては、冷却ユニット2を、機器室3内に収容される後方側の運転位置と、機器室3から引き出される前方側のメンテナンス位置との間で、前後方向に出し入れ操作可能に案内支持した。そのうえで本発明に係る冷却庫においては、ドレンパン28と、冷却庫本体の底部に設けた排水トラップ8との間に、ドレンパン28から導出される内ドレンホース29と、機器室3の底壁3aから庫外へ導出されて排水トラップ8に接続される外ドレンホース30と、内ドレンホース29の導出端に接続される排水ソケット31と、機器室3の底壁3aに固定されて外ドレンホース30が接続される排水受32とを含む排水構造を設けた。さらに、排水ソケット31と排水受32との間に、機器室3に対して冷却ユニット2をメンテナンス位置に向かって引き出したとき両者31・32の分離を許すとともに、機器室3に対して冷却ユニット2を運転位置まで収容したとき両者31・32を水密状に連結するジョイント構造を形成した。以上のような構成からなる冷却庫によれば、排水トラップ8よりも排水流路の上流側に位置する排水ソケット31と排水受32との間に、冷却ユニット2をメンテナンス位置に引き出し操作したときに分離を許すジョイント構造を形成したので、当該冷却ユニット2の引き出し操作時に排水トラップ8内のドレン水が排水ソケット31と排水受32との間から漏れ出すような不都合が生じる余地はない。また、これら排水ソケット31と排水受32との間に形成されるジョイント構造を、機器室3に対して冷却ユニット2を運転位置まで収容したとき両者31・32を水密状に連結するものとしたので、冷却ユニット2が運転位置にある状態では、これら排水ソケット31と排水受32の間から外気や庫内の冷気が出入りすることを防ぐことができる。これら排水ソケット31と排水受32の間から庫内へ臭気が進入することを防ぐこともできる。
【0012】
排水ソケット31の出口通路36が後方に向かって下り傾斜されていると、出口通路36に流下したドレン水をよりスムーズに排水受32に向かって排出することができる。このように出口通路36を下り傾斜した場合には、前後方向と直交する投影面における出口通路36の投影形状を、排水受32の受水部45の投影面における開口内縁の投影形状の外郭線内に位置するように構成することで、当該開口を介して受水部45の内部に出口通路36を挿入することが可能となる。また、冷却ユニット2を後方側の運転位置にまで収容したとき、出口通路36が受水部45の内部に挿入されるとともに、フランジ部37が受水部45の開口端で受け止められて、受水部45と出口通路36との間が水密状に封止されるようにしたので、これら排水ソケット31のフランジ部37と、排水受32の受水部45との間から、外気や庫内の冷気が出入りすることや、ドレン水が漏れ出ることや、臭気が進入することなどを確実に防ぐことができる。
【0013】
排水ソケット31のフランジ部37と排水受32の受水部45の開口縁との間にシール体40が配置されていると、冷却ユニット2を後方側の運転位置にまで収容したとき、シール体40が受水部45の開口端で受け止められるので、受水部45と出口通路36との間の封止状態をより確実なものとして、ドレン水の一部が受水部45の開口縁とシール体40の接合面から漏れ出るのを防ぐことができる。
【0014】
フランジ部37の上部を継手部34と一体化し、その下部に連続して水平の締結座38が形成されていると、フランジ部37が出口通路36の周囲に鍔状に張り出してある場合に比べて、フランジ部37の上部が継手部34で補強される。また、下部が締結座38を介してユニットベース12に締結されるので、その分だけフランジ部37の構造強度を増強できる。したがって、冷却ユニット2が運転位置に戻されるとき、誤ってフランジ部37が受水部45の開口端に衝突することがあったとしても、フランジ部37が破損するのを防止できる。
【0015】
出口通路36の傾斜下端に設けた出口39の開口面が、後方に向かって下り傾斜され、冷却ユニット2が後方側の運転位置にあるとき、受水部45の内部に収容されている出口通路36の出口39の後端が、下部通路44の上開口の上方に臨むように構成されていると、出口通路36に達したドレン水を、出口39の後端から下部通路44内へ直接的に流下させて、外ドレンホース30へと排出することができる。したがって、出口通路36の内部にドレン水が滞留することを抑えて、よりスムーズにドレン水を排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1に係る冷却庫の要部の縦断側面図である。
図2】冷却庫の正面図である。
図3】冷却庫を構成する機器室の内部を示す縦断側面図である。
図4】冷却庫を構成する冷却ユニットを示す縦断正面図である。
図5】冷却ユニットの分離手順を示す縦断正面図である。
図6】冷却ユニットを機器室から引き出した状態の側面図である。
図7】排水ソケットを排水受から分離した状態の一部破断側面図である。
図8】投影面における出口通路の投影形状と受水部の開口内縁の投影形状を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施例1)図1ないし図8は本発明に係る冷却庫をコールドテーブル型の冷蔵庫(冷却庫)に適用した実施例1を示す。本実施例1における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2に示すように、冷蔵庫は四角箱状に構成された冷蔵庫本体(冷却庫本体)を備える。冷蔵庫本体の内部の右半側に冷蔵室(冷却室)1が区画され、冷蔵室1の左に冷却ユニット2を収容する機器室3が設けられている。冷蔵室1は断熱壁で囲まれており、前面の開口が揺動開閉するドア4で塞がれている。同様に、機器室3の前開口は着脱可能な機器室パネル5で塞がれている。機器室パネル5の上部には、冷却ユニット2の運転状態を制御する制御パネル6が配置されており、同パネル5の下部には、機器室3の内部に冷却風を取り入れるためのルーバー構造7が開口されている。冷蔵室1の底面には排水トラップ8と排水ホース9が設けられており、冷蔵室1内のドレン水と機器室3内のドレン水は、排水トラップ8で受止められたのち排水ホース9を通って庫外の排水路に放出される。
【0018】
図3および図4において、冷却ユニット2は凝縮機器2Aと蒸発機器2Bとで構成されており、両機器2A・2Bは一体化されてユニットベース12上に設けられている。ユニットベース12は、機器室3の底壁3aの左右に固定したガイド枠13で出し入れ可能に案内支持されている。したがって、図6に示すように、凝縮機器2Aおよび蒸発機器2Bは一体化した状態のままで、機器室3の前部に引き出すことができる。
【0019】
凝縮機器2Aは、圧縮機15と凝縮器16と送風ファン17などで構成される。蒸発機器2Bは、右側面に開口を有する四角箱状の断熱ケース18と、断熱ケース18の内部に収容される蒸発器19と循環ファン20などで構成される。断熱ケース18の周囲壁は、凝縮機器2Aに設けられた支持構造で支持されている。断熱ケース18は、外ケース18aと内ケース18bの間に発泡断熱材18cを充填して構成されており、外ケース18aの前面に制御箱21が固定されている。冷却ユニット2およびユニットベース12は、機器室3内に収容された後方側の運転位置(図3の位置)と、機器室3から引き出される前方側のメンテナンス位置(図6の位置)との間で、前後方向に出し入れ操作可能に案内支持されている。運転位置では、図4に示すように、断熱ケース18の吹出口22が冷蔵室1の上隅のルーバー口23に臨んでいる。この状態の冷却ユニット2は、断熱ケース18の上面に設けた保持枠25で固定保持されている。冷蔵室1内の空気は入口通路24に吸い込まれたのち、蒸発器19を通過する間に冷却されて、循環ファン20で加圧されて吹出口22からルーバー口23へ送給され、冷蔵室1内へ放出される。
【0020】
蒸発器19の下方には、内ケース18bと一体のドレンパン28が配置されている。このドレンパン28と先に説明した排水トラップ8の間に、蒸発器19からドレンパン28に流下したドレン水を排出する排水構造が設けられている。排水構造は、ドレンパン28から導出される内ドレンホース29と、機器室3の底壁3aから庫外へ導出されて排水トラップ8に接続される外ドレンホース30と、内ドレンホース29の導出端に接続される排水ソケット31と、外ドレンホース30が接続される排水受32とで構成される。また、これらドレンパン28、内ドレンホース29、排水ソケット31、排水受32、外ドレンホース30、排水トラップ8、および排水ホース9により、ドレンパン28から庫外の排水路に至る排水流路が形成されている。さらに、排水ソケット31と排水受32との間に、機器室3に対して冷却ユニット2をメンテナンス位置に向かって引き出したとき両者31・32の分離を許すとともに、機器室3に対して冷却ユニット2を運転位置まで収容したとき両者31・32を水密状に連結するジョイント構造が形成されている。
【0021】
図1に示すように、排水ソケット31は、内ドレンホース29が接続される継手部34と、継手部34と同心状のカバー壁35と、継手部34に連続して斜め後向きに連出される出口通路36と、上部が継手部34と一体化された状態で出口通路36の周囲に張出し形成されるフランジ部37と、ユニットベース12に固定される水平の締結座38とを一体に備えたプラスチック成形品からなる。出口通路36で受止められたドレン水の全てを速やかに排水受32に流下させるために、出口通路36は排水受32に向かって下り傾斜されている。さらに、出口通路36の傾斜下端に設けた出口39の開口面を、出口通路36の後端に向かって下り傾斜させ、出口通路36の出口39の後端が下部通路44の上開口の上方に臨むように構成している。フランジ部37は出口通路36の中心軸と直交する状態で張り出されており、受水部45との接合面にシール体40が固定されている。シール体40は、厚めのポリエチレンシートをリング状に打ち抜いて形成されている。図1において符号41は、締結座38をユニットベース12に締結するビスを示す。
【0022】
排水受32は、機器室3の底壁3aに埋設状に固定されて上下方向に指向する下部通路44と、下部通路44から斜め前向きに連出される筒壁状の受水部45と、機器室3の底壁3aに装着されるスタンド部46とを一体に備えたプラスチック成型品からなる。下部通路44には外ドレンホース30が接続される。受水部45で受止められたドレン水の全てを下部通路44に流下させるために、受水部45はフランジ部37に向かって上り傾斜されている。受水部45の開口周縁には、シール体40を介してフランジ部37を受け止める接合座47が設けられている。スタンド部46は、下部通路44を同心状に覆う連結筒壁48と、連結筒壁48の下部に設けた座壁49とを備えている。連結筒壁48を底壁3aに開口した係合穴50に係合し、座壁49を係合穴50の周縁壁で受止めることにより排水受32が底壁3aに固定される。この状態の下部通路44に外ドレンホース30が外嵌装着される。
【0023】
冷却ユニット2およびユニットベース12が運転位置に配置された状態では、出口通路36が受水部45に収容され、排水ソケット31のフランジ部37およびシール体40が、受水部45の接合座47で受止められて、出口通路36の周囲が受水部45とフランジ部37とシール体40、および接合座47で止水される。したがって、排水ソケット31と排水受32の接続部分からドレン水が漏れ出るのを確実に防止できる。
【0024】
図3および図4に示すように蒸発機器2B用の支持構造は、送風ファン17の周囲を囲む風胴壁53の上面に固定される支持枠54と、断面がL字状のブラケット55とを備えており、支持枠54で断熱ケース18の下面前部を支持した状態で、断熱ケース18の前面下部がブラケット55に接合されて、左右一対のビス56で締結固定される。ブラケット55には、左右横長のビス溝57が形成されており、断熱ケース18をビス溝57に沿って横スライドできるようになっている。断熱ケース18の吹出口22の側には接続壁58が設けられており、この接続壁58を冷蔵室1側の断熱壁に凹み形成した接続凹部59にはめ込むことにより、吹出口22をルーバー口23に密着接続させて、先に説明した保持枠25で移動不能に保持固定している。図3に示すように、保持枠25の前後には掛止片61が突設されており、これらの掛止片61は機器室3の天井壁の前後に固定したガイド枠62で支持されて、前側の掛止片61の基端部分にねじ込まれたビス63で、機器室パネル5と保持枠25が一体的に締結されている。
【0025】
冷却ユニット2を機器室3から前方のメンテナンス位置へ引き出すときには、先のビス63を取外し、さらに機器室パネル5の下端に設けた係合爪64をユニットベース12の前壁から分離して、機器室3の前面を開放する。次に、保持枠25を機器室3の後方へスライド操作し、さらに保持枠25を断熱ケース18の上壁に沿って左方向へスライド操作して、前側の掛止片61を前側のガイド枠62から分離し、保持枠25の全体を機器室3の前方へ抜き外す。この状態の蒸発機器2Bは、図4に示すように断熱ケース18の接続壁58が接続凹部59にはめ込まれており、一対のビス56はビス溝57の右半部に位置している。
【0026】
次にビス56を緩めたのち、図5に示すように断熱ケース18を左方へスライド操作して、接続壁58を接続凹部59から分離する。以上の作業が終了した状態で、ユニットベース12を機器室3から前方へ引出すことにより、冷却ユニット2の全体を図6に示すように冷蔵庫から分離することができる。引き出された冷却ユニット2のメンテナンスが終了したら、上記の逆の手順に従ってユニットベース12を運転位置へ戻し、断熱ケース18を接続凹部59にはめ込み、保持枠25を組付ける。さらに、ビス56をねじ込んで断熱ケース18を固定し、機器室パネル5をユニットベース12に係合した状態で、ビス63を保持枠25にねじ込んで機器室パネル5を固定する。
【0027】
上記のように、冷却ユニット2およびユニットベース12を後方側の運転位置から前方側のメンテナンス位置へ支障なく引き出し操作し、あるいは引き出し操作された冷却ユニット2を運転位置へ支障なく戻すために、図8に示すように、ユニットベース12の出し入れ方向である前後方向と直交する投影面を想定するとき、フランジ部37から後方に突出する出口通路36の投影面における投影形状は、受水部45の投影面における開口内縁の投影形状の外郭線内に位置するように構成されている。
【0028】
上記構成を採ることにより、冷却ユニット2およびユニットベース12を後方側の運転位置に配置したとき、排水ソケット31の出口通路36が、排水受32の受水部45に収容され、排水ソケット31側のフランジ部37に固定されたシール体40が、受水部45に設けた接合座47で受止められて、出口通路36の周囲が受水部45とシール体40および接合座47で水密状に封止される。また、冷却ユニット2およびユニットベース12が運転位置から前方側のメンテナンス位置へ引き出されるときには、排水ソケット31がユニットベース12に同行して前方に移動するので、出口通路36、フランジ部37、およびシール体40を排水受32から分離することができる(図7参照)。
【0029】
以上のような構成からなる本実施例の冷蔵庫によれば、排水トラップ8よりも排水流路の上流側に位置する排水ソケット31と排水受32との間に冷却ユニット2をメンテナンス位置に引き出し操作したときに分離を許すジョイント構造を形成したので、当該冷却ユニット2の引き出し操作時に排水トラップ8内のドレン水が排水ソケット31と排水受32との間から漏れ出すような不都合が生じる余地はない。また、これら排水ソケット31と排水受32との間に形成されるジョイント構造を、機器室3に対して冷却ユニット2を運転位置まで収容したとき両者31・32を水密状に連結するものとしたので、冷却ユニット2が運転位置にある状態では、これら排水ソケット31と排水受32との間から外気や庫内の冷気が出入りすることを防ぐことができる。これら排水ソケット31と排水受32との間から庫内へ臭気が進入することを防ぐこともできる。
【0030】
排水ソケット31の出口通路36を後方に向かって下り傾斜させたので、出口通路36に流下したドレン水をよりスムーズに排水受32に向かって排出することができる。このとき、前後方向と直交する投影面における出口通路36の投影形状を、排水受32の受水部45の投影面における開口内縁の投影形状の外郭線内に位置するように構成したので、当該開口を介して受水部45の内部に出口通路36を挿入することが可能となる。また、冷却ユニット2を後方側の運転位置にまで収容したとき、出口通路36が受水部45の内部に挿入されるとともに、フランジ部37が受水部45の開口端で受け止められて、受水部45と出口通路36との間が水密状に封止されるようにしたので、これら排水ソケット31のフランジ部37と、排水受32の受水部45との間から、外気や庫内の冷気が出入りすることや、ドレン水が漏れ出ることや、臭気が進入することなどを確実に防ぐことができる。
【0031】
排水ソケット31のフランジ部37と排水受32の受水部45の開口縁との間にシール体40を配置したので、冷却ユニット2を後方側の運転位置にまで収容したとき、シール体40が受水部45の開口端で受け止められて、受水部45と出口通路36との間の封止状態をより確実なものとして、ドレン水の一部が受水部45の開口縁とシール体40の接合面から漏れ出るのを防ぐことができる。
【0032】
フランジ部37の上部を継手部34と一体化し、その下部に連続して水平の締結座38を形成したので、フランジ部37が出口通路36の周囲に鍔状に張り出してある場合に比べて、フランジ部37の上部を継手部34で補強することができる。また、下部が締結座38を介してユニットベース12に締結されるので、その分だけフランジ部37の構造強度を増強できる。したがって、冷却ユニット2が運転位置に戻されるとき、誤ってフランジ部37が受水部45の接合座47(開口端)に衝突することがあったとしても、フランジ部37が破損するのを防止できる。
【0033】
出口通路36の傾斜下端に設けた出口39の開口面を、後方に向かって下り傾斜し、冷却ユニット2が後方側の運転位置にあるとき、受水部45の内部に収容され出口通路36の出口39の後端が、下部通路44の上開口の上方に臨むように構成したので、出口通路36に達したドレン水を、出口39の後端から下部通路44内へ直接的に流下させて、外ドレンホース30へと排出することができる。したがって、出口通路36の内部にドレン水が滞留することを抑えて、よりスムーズにドレン水を排出することができる。
【0034】
排水トラップ8を、冷蔵室1の底面に配置して冷蔵室1から流下するドレン水と機器室3から流下するドレン水の両者を受止めるものとしたので、冷蔵室1および機器室3から流下するドレン水を、それぞれ専用の排水トラップで受止める場合に比べて、排水構造を簡素化し、排水構造を低コスト化できる。
【0035】
本発明に係る冷却庫は、冷蔵庫以外に冷凍庫や冷凍冷蔵庫にも適用できる。排水トラップ8は冷蔵室1の底面に配置する必要はなく、冷却庫本体の底面の任意の位置に配置することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 冷却室(冷蔵室)
2 冷却ユニット
2A 凝縮機器
2B 蒸発機器
3 機器室
3a 機器室の底壁
5 機器室パネル
8 排水トラップ
12 ユニットベース
13 ガイド枠
19 蒸発器
28 ドレンパン
29 内ドレンホース
30 外ドレンホース
31 排水ソケット
32 排水受
34 継手部
36 出口通路
37 フランジ部
39 出口
40 シール体
44 下部通路
45 受水部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8